(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240730BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240730BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06T7/00 510F
(21)【出願番号】P 2020130847
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 悠
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-109395(JP,A)
【文献】特開2019-003361(JP,A)
【文献】特表2017-528823(JP,A)
【文献】特表2020-502633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの待機列を管理するための管理装置であって、
ユーザの並び順を示す仮想列のデータを設定し、前記待機列の進行に合わせてユーザの並び順を減少させることで前記仮想列を進行させる仮想列進行手段と、
前記待機列から一時抜けするユーザのユーザ端末から一時抜けの申請を受信する受付手段と、
前記仮想列に基づいて、ユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知する通知手段と、
を有し、
前記仮想列進行手段は、ユーザが一時抜けする場合、当該ユーザが前記仮想列に存在するとして前記仮想列の進行を続け、
前記通知手段は、当該仮想列に基づいて、一時抜けから戻るユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知
し、
且つ、
ユーザの顔画像を登録する登録手段を有し、前記登録手段は、前記待機列の形成中止時に、前記待機列の形成再開を待つユーザの顔画像を登録し、
前記仮想列進行手段は、前記待機列のユーザの後ろに前記待機列の形成再開を待つユーザを並べた仮想列を進行させ、
前記仮想列が進行し、前記待機列の形成再開を待つユーザが前記待機列に整列できる条件となった後、前記通知手段は、当該仮想列に基づいて、当該ユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記管理装置は、
前記待機列に並ぶユーザの顔認証を行う認証手
段を有し、
前記認証手段は、一時抜けから戻るユーザの顔認証を行うことを特徴とする請求項1記載の管理装置。
【請求項3】
前記通知手段は、ユーザが前記待機列において並ぶべき位置をユーザ端末に通知することを特徴とする請求項1
または請求項
2のいずれかに記載の管理装置。
【請求項4】
ユーザの待機列を管理するための管理装置が、
ユーザの並び順を示す仮想列のデータを設定し、前記待機列の進行に合わせてユーザの並び順を減少させることで前記仮想列を進行させるステップと、
前記待機列から一時抜けするユーザのユーザ端末から一時抜けの申請を受信するステップと、
前記仮想列に基づいて、ユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知するステップと、
を実行し、
前記管理装置は、ユーザが一時抜けする場合、当該ユーザが前記仮想列に存在するとして前記仮想列の進行を続け、当該仮想列に基づいて、一時抜けから戻るユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知
し、
且つ、
前記管理装置は、前記待機列の形成中止時に、前記待機列の形成再開を待つユーザの顔画像を登録し、前記待機列のユーザの後ろに前記待機列の形成再開を待つユーザを並べた仮想列を進行させ、前記仮想列が進行し、前記待機列の形成再開を待つユーザが前記待機列に整列できる条件となった後、当該仮想列に基づいて、当該ユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知することを特徴とする管理方法。
【請求項5】
コンピュータを、
ユーザの待機列を管理するための管理装置であって、
ユーザの並び順を示す仮想列のデータを設定し、前記待機列の進行に合わせてユーザの並び順を減少させることで前記仮想列を進行させる仮想列進行手段と、
前記待機列から一時抜けするユーザのユーザ端末から一時抜けの申請を受信する受付手段と、
前記仮想列に基づいて、ユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知する通知手段と、
を有し、
前記仮想列進行手段は、ユーザが一時抜けする場合、当該ユーザが前記仮想列に存在するとして前記仮想列の進行を続け、
前記通知手段は、当該仮想列に基づいて、一時抜けから戻るユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知
し、
且つ、
ユーザの顔画像を登録する登録手段を有し、前記登録手段は、前記待機列の形成中止時に、前記待機列の形成再開を待つユーザの顔画像を登録し、
前記仮想列進行手段は、前記待機列のユーザの後ろに前記待機列の形成再開を待つユーザを並べた仮想列を進行させ、
前記仮想列が進行し、前記待機列の形成再開を待つユーザが前記待機列に整列できる条件となった後、前記通知手段は、当該仮想列に基づいて、当該ユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知する管理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーマパーク等において待機列の管理に用いる管理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
テーマパーク等では、人気のアトラクションに長時間待って入場しなければならないことが多い。特許文献1には、このような来園客の待機列を管理する手法の一例として、来園客に、アトラクションへの入場を待つ仮想待ち行列における位置を割り当て、当該仮想待ち行列を用いて待機列の管理を行うことが開示されている。これにより、来園客に正確な待ち時間を提供できるなどのメリットが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような待機列では、来園客がトイレや買い物等で一時抜けしたい、ということが起こり得る。しかしながら、実際に一時抜けを行う場合は極めて少ない。一時抜けしている間に待機列が進むと自分の戻る位置が分からなくなり、前後の来園客との間でトラブル等が発生する原因となるためである。
【0005】
待機列が進まないケースでは、自身の荷物を置いて一時抜けすることがまれにあるが、盗難などのリスクが大きい。結果、来園客は待機列から一度抜けると、待機列の最後尾から並び直しが必要となる可能性が高く、利便性に欠ける。
【0006】
その他、テーマパーク等では、人気のアトラクションに長い待機列ができることで、来園客の混乱、熱中症等の急病などの恐れがあり、係員の負荷にもつながる。また長い待機列ができると、事故、感染症、テロなどのリスクも生じる。そのため、待機列の形成を中止することが起こり得るが、この場合も待機列の形成の中止および再開に伴う混乱が発生する恐れがある。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、待機列に並ぶユーザの利便性を向上させる待機列の管理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するための第1の発明は、ユーザの待機列を管理するための管理装置であって、ユーザの並び順を示す仮想列のデータを設定し、前記待機列の進行に合わせてユーザの並び順を減少させることで前記仮想列を進行させる仮想列進行手段と、前記待機列から一時抜けするユーザのユーザ端末から一時抜けの申請を受信する受付手段と、前記仮想列に基づいて、ユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知する通知手段と、を有し、前記仮想列進行手段は、ユーザが一時抜けする場合、当該ユーザが前記仮想列に存在するとして前記仮想列の進行を続け、前記通知手段は、当該仮想列に基づいて、一時抜けから戻るユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知し、且つ、ユーザの顔画像を登録する登録手段を有し、前記登録手段は、前記待機列の形成中止時に、前記待機列の形成再開を待つユーザの顔画像を登録し、前記仮想列進行手段は、前記待機列のユーザの後ろに前記待機列の形成再開を待つユーザを並べた仮想列を進行させ、前記仮想列が進行し、前記待機列の形成再開を待つユーザが前記待機列に整列できる条件となった後、前記通知手段は、当該仮想列に基づいて、当該ユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知することを特徴とする管理装置である。
【0009】
本発明では、上記のようにユーザの一時抜け状態を管理することで、ユーザの待機列からの出入りをスムーズに行うことができ、ユーザの一時抜け時の利便性が向上する。これにより、ユーザは待機時間のストレスを軽減でき、長時間並べない子供なども連れてこられる。また待機列に復帰する際に正確な並び位置がわかるので、一時抜けに関するユーザ同士のトラブルも起こらず、荷物を待機列に残しておく必要もない。さらに、管理者側では、係員の削減が可能であり、ユーザが待機列を抜けている時間に物販等の別の商機も見出せる。
【0010】
前記管理装置は、前記待機列に並ぶユーザの顔認証を行う認証手段を有し、前記認証手段は、一時抜けから戻るユーザの顔認証を行うことが望ましい。
これにより、待機列に他人が復帰するのを防止することができる。
【0011】
また第1の発明において、待機列の形成中止時には、上記のように待機列の形成再開待ち状態の管理を行うことにより、待機列の形成中止と再開をスムーズに行うことができる。これにより、待機列の形成再開を待つユーザの利便性が向上し、ユーザは待機列の形成中止時のストレスを軽減でき、待機列の形成再開を係員等に何度も確認する必要がなくなる。また管理者側では、待機列の形成中止に伴う係員への殺到など、待機列の形成中止と再開に伴うトラブルを防止できる。
【0012】
前記通知手段は、ユーザが前記待機列において並ぶべき位置をユーザ端末に通知することが望ましい。
これにより、ユーザは手元のユーザ端末で並び位置を確認することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0013】
第2の発明は、ユーザの待機列を管理するための管理装置が、ユーザの並び順を示す仮想列のデータを設定し、前記待機列の進行に合わせてユーザの並び順を減少させることで前記仮想列を進行させるステップと、前記待機列から一時抜けするユーザのユーザ端末から一時抜けの申請を受信するステップと、前記仮想列に基づいて、ユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知するステップと、を実行し、前記管理装置は、ユーザが一時抜けする場合、当該ユーザが前記仮想列に存在するとして前記仮想列の進行を続け、当該仮想列に基づいて、一時抜けから戻るユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知し、且つ、前記管理装置は、前記待機列の形成中止時に、前記待機列の形成再開を待つユーザの顔画像を登録し、前記待機列のユーザの後ろに前記待機列の形成再開を待つユーザを並べた仮想列を進行させ、前記仮想列が進行し、前記待機列の形成再開を待つユーザが前記待機列に整列できる条件となった後、当該仮想列に基づいて、当該ユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知することを特徴とする管理方法である。
【0014】
第3の発明は、コンピュータを、ユーザの待機列を管理するための管理装置であって、ユーザの並び順を示す仮想列のデータを設定し、前記待機列の進行に合わせてユーザの並び順を減少させることで前記仮想列を進行させる仮想列進行手段と、前記待機列から一時抜けするユーザのユーザ端末から一時抜けの申請を受信する受付手段と、前記仮想列に基づいて、ユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知する通知手段と、を有し、前記仮想列進行手段は、ユーザが一時抜けする場合、当該ユーザが前記仮想列に存在するとして前記仮想列の進行を続け、前記通知手段は、当該仮想列に基づいて、一時抜けから戻るユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知し、且つ、ユーザの顔画像を登録する登録手段を有し、前記登録手段は、前記待機列の形成中止時に、前記待機列の形成再開を待つユーザの顔画像を登録し、前記仮想列進行手段は、前記待機列のユーザの後ろに前記待機列の形成再開を待つユーザを並べた仮想列を進行させ、前記仮想列が進行し、前記待機列の形成再開を待つユーザが前記待機列に整列できる条件となった後、前記通知手段は、当該仮想列に基づいて、当該ユーザが前記待機列において並ぶべき位置を通知する管理装置として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、待機列に並ぶユーザの利便性を向上させる待機列の管理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図9】仮想列200の表示および各種の通知について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
(1.管理システム1)
図1は、本発明の実施形態に係る管理装置2を含む待機列の管理システム1を示す図である。管理システム1はテーマパークの来園客HのアトラクションAへの入場待機列(以下、単に待機列ということがある)を管理するものであり、管理装置2、ゲート3、ユーザ端末5等を有する。
【0019】
管理装置2は、待機列の管理に関する各種の処理を実行する。管理装置2の処理については後述する。
【0020】
図2は管理装置2のハードウェア構成を示す図である。管理装置2は制御部21、記憶部22、通信部23等をバスにより接続して構成したコンピュータにより実現できる。ただし管理装置2の構成はこれに限定されず、適宜変更可能である。また管理装置2が複数のコンピュータによって実現されていてもよい。
【0021】
制御部21は、CPU、ROM、RAM等を備える。CPUは、記憶部22、ROM等の記憶媒体に格納されたプログラムをRAM上のワークエリアに呼び出して実行する。ROMは不揮発性メモリであり、ブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。RAMは揮発性メモリであり、記憶部22、ROM等からロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部21が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
【0022】
記憶部22は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等であり、後述する処理に際し管理装置2が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS等が格納される。これらのプログラムやデータは、制御部21により必要に応じて読み出され実行される。また記憶部22には、後述するユーザデータと仮想列のデータが記録されている。
【0023】
通信部23は、通信制御装置、通信ポート等を有し、ネットワークを介した通信を媒介する。
【0024】
図1の説明に戻る。ゲート3はアトラクションAの待機列スペースS(待機列を形成する場所)の入口に設けられる。ゲート3は、来園客Hを撮影する撮影装置31や、来園客H(ユーザ)のユーザIDを入力するための入力装置等を備える。
【0025】
待機列スペースSには、来園客Hの並ぶ位置を示すマーキングMが設けられ、来園客HはマーキングMで示された位置に整列する。またマーキングMにはその並び順を示す番号1~Nが付されているものとする。
【0026】
また、待機列スペースSには、来園客Hの一時抜けを許可する一時抜けスペースBが設定されており、
図1の例では一時抜けスペースBの範囲が並び順nから並び順n+mまでの位置に対応する。
【0027】
ユーザ端末5は、来園客Hが所持する端末であり、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末が用いられる。
【0028】
図3はユーザ端末5のハードウェア構成を示す図である。
図3に示すように、ユーザ端末5は、制御部51、記憶部52、表示部53、入力部54、通信部55、カメラ56、音声入出力部57等をバス等により接続して構成されたコンピュータ端末により実現できる。ただしこれに限ることは無く、適宜様々な構成をとることができる。
【0029】
制御部51、記憶部52、通信部55は前記の制御部21、記憶部22、通信部23と略同様の機能を有する。
【0030】
表示部53は液晶パネル等のディスプレイ装置を有し、ユーザ端末5に入力を行うための入力部54としてタッチパネルが設けられている。
【0031】
カメラ56は、光学レンズ、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子、A/D(Analog/Digital)変換部等から構成されるエリアカメラである。
【0032】
音声入出力部57は、音声の入力に用いるマイクや、音声の出力を行うスピーカーを備える。
【0033】
(2.管理装置2の機能)
図4は、管理装置2の機能構成を示す図である。
図4に示すように、管理装置2は、登録手段201、仮想列進行手段202、受付手段203、認証手段204、通知手段205等を備える。
【0034】
登録手段201は、管理装置2の制御部21が、来園客Hの顔画像を記憶部22に記録し、登録するものである。
【0035】
仮想列進行手段202は、管理装置2の制御部21が、来園客Hの並び順を示す仮想の待機列(以下、仮想列という)のデータを設定し、実際の待機列の進行に合わせて来園客Hの並び順を減少させることで仮想列を進行させるものである。仮想列については後述する。
【0036】
受付手段203は、管理装置2の制御部21が、待機列から一時抜けする来園客Hのユーザ端末5から一時抜けの申請を受信するものである。この処理については後述する。
【0037】
認証手段204は、管理装置2の制御部21が、待機列に並ぶ来園客Hの顔認証を行うものである。
【0038】
通知手段205は、管理装置2の制御部21が、上記の仮想列に基づいて、来園客Hが待機列において並ぶべき位置を通知するものである。
【0039】
(3.待機列の管理方法)
次に、
図5、6等を参照し、本実施形態において実行される待機列の管理方法について説明する。
図5、6は待機列の管理方法について示すフローチャートであり、
図5、6の各ステップは管理装置2の制御部21によって実行される。
【0040】
本実施形態では、アトラクションAへの入場待機列が長くなり、所定数(ここではN人)の来園客Hが並んだところで待機列の形成が一旦中止されたものとする。以下では、待機列の形成再開を待つ来園客Hが待機列に並ぶまでのフロー(
図5)、当該来園客Hが待機列から一時抜けし、待機列に復帰するまでのフロー(
図6)について説明を行う。
【0041】
また来園客Hは、自らのユーザ端末5にテーマパークが提供するアプリケーションを予めインストールしてユーザ登録を行い、後述するユーザIDが管理装置2の記憶部22に記録されているものとする。
【0042】
(3-1.待機列の形成中止と再開)
本実施形態では、待機列の形成が中止された後、アトラクションAに入場したい来園客Hが、ゲート3に自らのユーザIDを入力し、ゲート3の撮影装置31で自らの顔を撮影する。ゲート3は、ユーザIDの入力を受付け、来園客Hの顔を撮影すると、来園客HのユーザIDと顔画像を管理装置2に送信する。
【0043】
管理装置2は、ユーザIDと顔画像をゲート3から受信する(
図5のS101)と、待機番号を生成し、顔画像を含むユーザデータを記憶部22に記録し、登録する(S102)。
【0044】
図7はユーザデータ100を示す図である。ユーザデータ100は、ユーザID101、顔画像102、待機番号103を紐づけたものである。
【0045】
ユーザID101は、ユーザ端末5にアプリケーションをインストールした来園客Hの識別情報である。
顔画像102は、ゲート3で撮影した来園客Hの顔画像である。
待機番号103は、待機列に並ぶ来園客Hを識別する識別情報である。
【0046】
管理装置2は、ユーザデータ100の登録後、来園客Hのユーザ端末5に待機番号103を通知する(S103)。来園客Hは、ユーザ端末5でアプリケーションを起動させ、待機番号103を確認することができる。
【0047】
来園客Hは、以上の処理によって顔画像102等を登録すると、待機列には並ばず、待機列の形成再開を待つ。一方、管理装置2は、システム上で来園客Hの仮想列のデータを設定し、これを進行させてゆく(S104)。
【0048】
図8(a)はこの仮想列を示す図であり、待機列の形成再開を待つ来園客Hが、S101~S103の処理により1または複数人登録されている場合を示したものである。
【0049】
この場合、管理装置2は、待機列に整列しているN人の来園客Hの後ろに、S101~S103の処理により登録した来園客H(待機列の形成再開を待つ来園客H)がその登録順に並んだ仮想列を設定する。来園客Hの並び順は待機番号103と紐づけられており、
図8(a)の例では、仮想列のN+1番目に並んでいる、待機列の形成再開を待つ来園客Hの待機番号103が「C」となっている。
【0050】
管理装置2は、実際の待機列の進行に合わせて、来園客Hの並び順を減少させることで仮想列を前へと進行させる。その方法は特に限定されないが、例えばアトラクションAの端末(不図示)からアトラクションAへの入場者数に関する通知を受信し、その入場者数に応じて仮想列を進行させる。あるいは、アトラクションA内の来園客Hの平均滞在時間などを元に、待機人数の減少速度(単位時間当たりのアトラクションAへの入場者数)を予め定めておき、当該減少速度に応じて仮想列を進行させることも可能である。
【0051】
図8(b)は仮想列が進行した状態を示したものであり、待機列の形成再開を待つ来園客Hを除いた仮想列の人数が、Nからn+m(<N)へと減少した時点を示している。この時、待機番号Cの来園客Hの並び順は、N+1からn+m+1へと減少している。
【0052】
来園客Hは、ユーザ端末5でアプリケーションを起動し、このような仮想列の進行状況を随時管理装置2から受け取ることができる。この際、ユーザ端末5は来園客Hの待機番号103を含む仮想列の送信要求を管理装置2に送信し、管理装置2は、当該要求を受信すると(S105;YES)、ユーザ端末5に仮想列のデータを送信する(S106)。ユーザ端末5は、受信した仮想列のデータを表示部53に表示させる。
【0053】
図9(a)は、表示部53に表示される仮想列200のデータを示す図であり、自身(並び順N+1の来園客H)が他の来園客Hと区別して表示され、自身の並び順を含む仮想列200の進行状況が把握可能である。
【0054】
本実施形態では、仮想列が進行した結果、所定の待機列形成再開条件、すなわち待機列の形成再開を待つ来園客Hが待機列に整列できる条件が満たされると(S105;NO、S107;YES)、当該来園客Hが待機列に整列できる旨を管理装置2からユーザ端末5に通知する(S108)。
【0055】
上記の条件は特に限定されないが、本実施形態では、
図8(b)に示したように、仮想列が進行し、待機列の形成再開を待つ来園客Hを除いた仮想列の人数が所定数(ここではn+m)に減少した時とする。来園客Hは、S108の通知により待機列の形成が再開され、待機列に整列できる旨を知ることができる。なお、この通知はテーマパーク内の電子掲示板等の表示装置に対して行ってもよく、例えば待機列に並ぶことのできる来園客Hの待機番号103を表示装置に通知して表示させることができる。
【0056】
来園客Hは、待機列に整列する際にゲート3で顔画像102を撮影し、ゲート3は撮影した顔画像102を管理装置2に送信する。管理装置2は顔画像102を受信する(S109;YES)と、顔認証を行う(S110)。
【0057】
S110では、受信した顔画像102がユーザデータ100に存在するかどうか、顔画像102の特徴量などを元に照合を行う。受信した顔画像102がユーザデータ100に存在すれば認証成功となり、管理装置2は、当該顔画像102に対応する待機番号103から来園客Hの並び順を仮想列中で特定し、これに基づきユーザ端末5に来園客Hの並ぶべき位置(並び位置)を通知する(S111)。管理装置2は、以降、来園客Hが待機列に並んでいるものとして仮想列を進行させる。
【0058】
図9(b)は並び位置の通知の例であり、
図9(a)と同様の仮想列200のデータと併せて、来園客Hの並び位置を示すメッセージ210が表示される。
図9(b)の例では来園客Hの並び位置について「n+m+1の位置に並んでください」と表示されており、来園客Hは、待機列スペースSの並び順n+m+1のマーキングMの位置(
図1参照)に並べば良い。前記の表示装置あるいはゲート3に並び位置を通知し、表示装置やゲート3の表示部(不図示)により来園客Hの並び位置を表示させても良い。
【0059】
なお、並び位置の通知は、上記の並び順(「n+m+1」)に対応する現実空間の位置を示すGPS情報などにより行ってもよく、この場合、マーキングMを省略することも可能である。またS110の顔認証が失敗した場合は、その旨をゲート3やユーザ端末5、係員の端末(不図示)等に通知してこれを表示させ、注意を促すことができる。
【0060】
(3-2.待機列からの一時抜けと待機列への復帰)
待機列の形成が再開された後も、管理装置2は引き続き前記と同様に仮想列を進行させる(
図6のS201)。この間も、前記のS105、S106と同様の処理S202、S203により、来園客Hは現在の仮想列のデータをユーザ端末5の表示部53に表示させ、自身の並び順を含む仮想列の進行状況が把握可能である。
【0061】
そして本実施形態では、仮想列が進行した結果、所定の一時抜け許可条件、すなわち仮想列の来園客Hが待機列から一時抜けできる条件が満たされると(S202;NO、S204;YES)、当該来園客Hが一時抜けできる旨の通知(一時抜けの許可通知)を管理装置2からユーザ端末5に対して行う(S205)。
【0062】
本実施形態では、前記したように、待機列の並び順nから並び順n+mまでのマーキングMの位置に一時抜けスペースB(
図1参照)が設定されており、上記の条件は、例えば
図8(c)に示すように、来園客Hが一時抜けスペースBに対応する並び順n~n+mに位置する事とする。
【0063】
来園客Hは、S205の通知により一時抜けができる旨を知ることができ、トイレや買い物のために待機列から離れることができる。待機列から一時抜けする来園客Hは、一時抜けの申請を待機番号103やユーザID101とともにユーザ端末5から管理装置2に送信する。
【0064】
管理装置2は、一時抜けの申請を受信する(S206;YES)と、一時抜けする来園客Hを待機番号103等によって仮想列中で特定し、
図8(d)に示すようにその来園客Hが待機列に存在するとして仮想列の進行を続ける(S207)。
【0065】
来園客Hは、一時抜けから待機列に復帰する際にゲート3で顔画像102を撮影し、ゲート3は撮影した顔画像102を管理装置2に送信する。管理装置2は顔画像102を受信する(S206;NO、S208;YES)と、前記と同様、顔認証を行い(S209)、ユーザ端末5に来園客Hの並び位置を通知する(S210)。
【0066】
図9(c)は並び位置の通知の例であり、現在の仮想列200のデータと併せて、来園客Hの並び位置を示すメッセージ220が表示される。
【0067】
図9(c)の例では、仮想列における来園客Hの並び順が、一時抜けした時の並び順n+m+1からnへと進んで(減少して)おり、来園客Hの並び位置について「nの位置に並んでください」と表示される。来園客Hは待機列スペースSの並び順nのマーキングMの位置を探してそこに並べばよい。前記したように、テーマパーク内の表示装置あるいはゲート3に並び位置を通知し、表示装置やゲート3の表示部(不図示)により来園客Hの並び位置を表示させても良い。
【0068】
なお、一時抜けから復帰できる並び位置が限定されている場合、例えば一時抜けスペースBにおいて待機列に復帰する必要がある場合は、仮想列が進行して一時抜けした来園客Hが仮想列中で所定位置に到達したときに、待機列に戻らないといけない旨をユーザ端末5に通知することも可能である。例えば
図8(e)に示すように一時抜けした来園客Hが仮想列中で所定位置(並び順n+2の位置)に到達したときに、待機列に戻らないといけない旨をユーザ端末5に通知する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、上記のように来園客Hの一時抜け状態を管理することで、来園客Hの待機列からの出入りをスムーズに行うことができ、来園客Hの一時抜け時の利便性が向上する。これにより、来園客Hは待機時間のストレスを軽減でき、長時間並べない子供なども連れてこられる。また待機列に復帰する際に正確な並び位置がわかるので、一時抜けに関する来園客H同士のトラブルも起こらず、荷物を待機列に残しておく必要もない。さらに、管理者側では、係員の削減が可能であり、来園客Hが待機列を抜けている時間に物販等の別の商機も見出せる。
【0070】
また本実施形態では、一時抜けから戻る来園客Hや、待機列の形成再開を待つ来園客Hが待機列に並ぶ際に顔認証を行うので、これらの来園客H以外の他人が待機列に並ぶのを防ぐことができる。
【0071】
さらに本実施形態では、待機列の形成中止時に前記のように待機列の形成再開待ち状態の管理を行うことにより、待機列の形成中止と再開をスムーズに行うことができる。これにより、待機列の形成再開を待つ来園客Hの利便性が向上し、来園客Hは待機列の形成中止時のストレスを軽減でき、待機列の形成再開を係員等に何度も確認する必要がなくなる。また管理者側では、待機列の形成中止に伴う係員への殺到など、待機列の形成中止と再開に伴うトラブルを防止できる。
【0072】
加えて、本実施形態では並び位置の通知をユーザ端末5に対し行うので、来園客Hは手元のユーザ端末5で並び位置を確認することができ、来園客Hの利便性が向上する。
【0073】
しかしながら、本発明は上記の実施形態に限らない。例えば
図5のS111や
図6のS210における並び位置の通知は、顔認証のタイミングで行うものに限らず、ユーザ端末5からの通知要求に応じて随時行ってよい。
【0074】
また
図5のS103において待機列の形成再開を待つ来園客Hのユーザ端末5に待機番号103を通知する代わりに、待機番号103の記載された整理券を発行し、待機列の形成再開後、整理券を持つ来園客Hを順次整列させてゆく、といった運用も可能である。
【0075】
また来園客Hは、顔画像102を登録する際、ゲート3の撮影装置31の代わりに、ユーザ端末5のカメラ56その他で撮影した来園客Hの顔画像を管理装置2に登録することができる。
【0076】
また来園客Hは、顔認証を行う際、ゲート3の撮影装置31の代わりに、管理装置2とネットワークを介して接続された別の撮影装置で顔画像102を撮影してもよい。例えば
図10の管理システム1aに示すように、一時抜けした来園客Hが待機列へと復帰するスペースを一時抜けスペースBに限定し、一時抜けスペースBを撮影する撮影装置4を設け、当該撮影装置4で撮影した顔画像を用いて顔認証を行うことができる。
【0077】
例えばこの場合、一時抜けした来園客Hが待機列に復帰した際、その旨を待機番号103などともにユーザ端末5から管理装置2に通知する。管理装置2は、撮影装置4で一時抜けスペースBを撮影した撮影画像において、当該来園客Hの並ぶべき位置で来園客Hの顔画像102が検出されれば顔認証が完了する。
【0078】
また本実施形態では一時抜けの申請を行う際にユーザ端末5から管理装置2に来園客Hの待機番号103等を送信するが、その代わりに、来園客Hの位置情報(GPS情報やマーキングMに付された並び順)を管理装置2に送信してもよい。
【0079】
例えばGPS情報を管理装置2に送信した場合、一時抜けの申請を受信した管理装置2は、撮影装置4の撮影画像において、GPS情報に対応する位置にある来園客H(一時抜けする来園客H)の顔画像102とその前後の来園客Hの顔画像を取得する。そして、一時抜けする来園客Hの顔画像102に対応する待機番号103によって一時抜けする来園客Hを仮想列中で特定し、
図8(d)と同様、その来園客Hが待機列に存在するとして仮想列の進行を続ける。
【0080】
来園客Hは、一時抜けから待機列に復帰した際にユーザ端末5から管理装置2にその旨を通知し、管理装置2は、撮影装置4の撮影画像から、上記前後の来園客Hの顔画像の間に一時抜けから戻った来園客Hの顔画像102を検出できれば顔認証が完了する。上記の通知が無い場合であっても、撮影装置4の撮影画像から、上記前後の来園客Hの顔画像の間に一時抜けから戻った来園客Hの顔画像102を検出できれば顔認証を完了させてもよい。
【0081】
また本実施形態ではテーマパークのアトラクションAに並ぶ来園客Hの待機列の管理を行う例を説明したが、テーマパークのアトラクションA以外の施設に並ぶ待機列の管理を行うことも可能であり、テーマパーク以外の観光地においても、各種の施設等に並ぶ待機列の管理を本実施形態の手法で行うことが可能である。また観光地以外であっても、待機列が形成される場所であれば、同様の手法を用いて管理を行うことが可能である。
【0082】
以上、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0083】
1、1a:管理システム
2:管理装置
3:ゲート
4、31:撮影装置
5:ユーザ端末
100:ユーザデータ
101:ユーザID
102:顔画像
103:待機番号
200:仮想列
201:登録手段
202:仮想列進行手段
203:受付手段
204:認証手段
205:通知手段