(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】タイヤ成形サービサー
(51)【国際特許分類】
B29D 30/30 20060101AFI20240730BHJP
B29D 30/60 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B29D30/30
B29D30/60
(21)【出願番号】P 2020135896
(22)【出願日】2020-08-11
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 武始
(72)【発明者】
【氏名】湯川 隆之
(72)【発明者】
【氏名】片野 和哉
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-125030(JP,A)
【文献】特開2005-288942(JP,A)
【文献】特開昭58-059829(JP,A)
【文献】特開2012-030370(JP,A)
【文献】特開平03-096327(JP,A)
【文献】特開平04-214334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/30
B29D 30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺帯状ゴム部材を切断して得られる、タイヤの製造に用いられる帯状ゴム部材を搬送する搬送部と、
前記帯状ゴム部材を巻回する成形ドラムと、
前記帯状ゴム部材の長さの測定に用いる検出部と、
前記成形ドラムに巻回する、基準となる前記帯状ゴム部材の長さに関する第一情報、並びに前記搬送部による前記帯状ゴム部材の搬送速度、及び前記成形ドラムによる前記帯状ゴム部材の巻回速度の少なくとも1つを制御して調整できる、前記帯状ゴム部材の長さに関する第二情報を記憶する記憶部と、
前記検出部を用いて測定される前記帯状ゴム部材の長さ、前記第一情報、及び前記第二情報に基づいて、前記搬送速度、及び前記巻回速度の少なくとも一つを制御する演算部と、
を備え
、
前記第二情報が、前記検出部を用いて測定される前記帯状ゴム部材の長さ、及び前記第一情報の長さとの差の値と、下記の式1で表される貼付け比率に関する情報との関係を示す情報であり、
貼付け比率(%)=(搬送速度-巻回速度)÷搬送速度×100 ・・・式1
前記演算部は、
前記検出部を用いて測定される前記帯状ゴム部材の長さと、前期第一情報の長さとの差の値を取得し、
取得した前記差の値、及び前記第二情報から、貼付け比率を取得し、
取得した貼付け比率から、前記式1に基づいて、前記搬送速度、及び前記巻回速度を設定し、
設定した前記搬送速度、及び前記巻回速度に基づいて、前記搬送速度、及び前記巻回速度を制御する、
タイヤ成形サービサー。
【請求項2】
前記検出部が、前記帯状ゴム部材と接触することで、前記搬送部で搬送される前記帯状ゴム部材を検出する検出部である、請求項
1に記載のタイヤ成形サービサー。
【請求項3】
前記演算部は、前記検出部の検出結果、及び前記搬送部による、前記帯状ゴム部材の移動量に基づいて、前記成形ドラムに巻回する、前記帯状ゴム部材の長さを取得する、請求項1
又は2に記載のタイヤ成形サービサー。
【請求項4】
前記演算部は、前記成形ドラムにより、前記帯状ゴム部材が巻回される前に、前記検出部を用いて測定される前記帯状ゴム部材の長さを取得する、請求項1~
3のいずれか一項に記載のタイヤ成形サービサー。
【請求項5】
長尺帯状ゴム部材を切断する、切断部をさらに備え、
前記検出部は、前記長尺帯状ゴム部材を切断する長さの測定に用いる第一検出部と、前記切断部で前記長尺帯状ゴム部材を切断して形成した、前記帯状ゴム部材の長さの測定に用いる第二検出部とを含み、
前記演算部は、前記第二検出部を用いて測定される、前記帯状ゴム部材の長さ、前記第一情報、及び前記第二情報に基づいて、前記搬送速度、及び前記巻回速度の少なくとも一つを制御する、請求項1~
4のいずれか一項に記載のタイヤ成形サービサー。
【請求項6】
前記演算部は、前記第一検出部の検出結果に基づき、前記切断部による、前記長尺帯状ゴム部材の切断を制御する、請求項
5に記載のタイヤ成形サービサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ成形サービサーに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ成形ドラムに、長尺帯状ゴム部材を送り出し、長尺帯状ゴム部材をタイヤ成形ドラムに巻回する長さに切断して帯状ゴム部材を形成し、形成した帯状ゴム部材をタイヤ成形ドラムに巻回する、タイヤ成形サービサーが知られている。タイヤ成形サービサーによる、タイヤ成形ドラムへの帯状ゴム部材の巻回では、巻回後の帯状ゴム部材の両端部(ジョイント部)のオーバーラップ量、又はオープン量が、規定を満たしているか否かの確認が必要である。ジョイント部のオーバーラップ量、又はオープン量が、規定を満たしていない場合、巻回後の帯状ゴム部材の接合に、不備が生じる恐れがあるためである。
【0003】
例えば、特許文献1~3には、ジョイント部のオーバーラップ量、又はオープン量を測定する技術が、開示されている。これら技術を用いて、ジョイント部のオーバーラップ量、又はオープン量を確認することで、ジョイント部の品質が担保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-207240号公報
【文献】特開平11-227067号公報
【文献】特開2007-315901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術により、ジョイント部の品質が、担保される一方、規定を満たさないジョイント部を有する、巻回後の帯状ゴム部材は、廃棄されるという課題が生じる。
【0006】
本発明は、廃棄される巻回後の帯状ゴム部材の量を抑制できる、タイヤ成形サービサーの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、長尺帯状ゴム部材を切断して得られる、タイヤの製造に用いられる帯状ゴム部材を搬送する搬送部と、上記帯状ゴム部材を巻回する成形ドラムと、上記帯状ゴム部材の長さの測定に用いる検出部と、上記成形ドラムに巻回する、基準となる上記帯状ゴム部材の長さに関する第一情報、並びに上記搬送部による上記帯状ゴム部材の搬送速度、及び上記成形ドラムによる上記帯状ゴム部材の巻回速度の少なくとも1つを制御して調整できる、上記成形ドラムに巻回後の上記帯状ゴム部材の長さに関する第二情報を記憶する記憶部と、上記検出部を用いて測定される上記帯状ゴム部材の長さ、上記第一情報、及び上記第二情報に基づいて、上記搬送速度、及び上記巻回速度の少なくとも一つを制御する演算部と、を備えるタイヤ成形サービサー。
【発明の効果】
【0008】
本発明のタイヤ成形サービサーは、廃棄される巻回後の帯状ゴム部材の量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るタイヤ成形サービサーの概略図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係る制御部による、タイヤ成形サービサーの制御において、切断部で長尺帯状ゴム部材が切断されるまでのフローチャートである。
【
図2B】本発明の一実施形態に係る制御部による、タイヤ成形サービサーの制御において、切断部で長尺帯状ゴム部材が切断された後、形成された帯状ゴム部材の長さを取得するまでのフローチャートである。
【
図2C】本発明の一実施形態に係る制御部による、タイヤ成形サービサーの制御において、帯状ゴム部材の長さを取得した後のフローチャートである。
【
図3A】長尺帯状ゴム部材の端が、第一センサにより、検出された状態を示す、タイヤ成形サービサーの模式図である。
【
図3B】長尺帯状ゴム部材が、切断部に切断された際の状態を示す、タイヤ成形サービサーの模式図である。
【
図3C】帯状ゴム部材の、搬送方向側の端が、第二センサにより、検出された状態を示す、タイヤ成形サービサーの模式図である。
【
図3D】帯状ゴム部材の、搬送方向反対側の端が、第二センサにより、検出された状態を示す、タイヤ成形サービサーの模式図である。
【
図3E】帯状ゴム部材の、成形ドラムによる巻回が開始された状態を示す、タイヤ成形サービサーの模式図である。
【
図3F】第三センサにより、ジョイント部が検出された状態を示す、タイヤ成形サービサーの模式図である。
【
図4】本実施形態に係る、カット長さ、及びブレーカーの長さの差の値と、貼付け比率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
【0011】
(1)本発明の一実施形態は、長尺帯状ゴム部材を切断して得られる、タイヤの製造に用いられる帯状ゴム部材を搬送する搬送部と、
上記帯状ゴム部材を巻回する成形ドラムと、
上記帯状ゴム部材の長さの測定に用いる検出部と、
上記成形ドラムに巻回する、基準となる上記帯状ゴム部材の長さに関する第一情報、並びに上記搬送部による上記帯状ゴム部材の搬送速度、及び上記成形ドラムによる上記帯状ゴム部材の巻回速度の少なくとも1つを制御して調整できる、上記帯状ゴム部材の長さに関する第二情報を記憶する記憶部と、
上記検出部を用いて測定される上記帯状ゴム部材の長さ、上記第一情報、及び上記第二情報に基づいて、上記搬送速度、及び上記巻回速度の少なくとも一つを制御する演算部と、
を備えるタイヤ成形サービサーである。
【0012】
上記(1)のタイヤ成形サービサーは、廃棄される巻回後の帯状ゴム部材の量を抑制できる。
【0013】
(2)上記(1)に記載のタイヤ成形サービサーにおいて、上記第二情報が、上記搬送速度、及び上記巻回速度の比率と、上記成形ドラムに巻回後の上記帯状ゴム部材の長さとの関係を示す情報である。
【0014】
(3)上記(1)又は(2)に記載のタイヤ成形サービサーにおいて、上記演算部は、上記検出部を用いて測定される上記帯状ゴム部材の長さと、第一情報の長さとの差の値を取得し、
取得した上記差の値、及び上記第二情報に基づいて、上記搬送速度、及び上記巻回速度の少なくとも一つを制御する。
【0015】
(4)上記(1)~(3)のいずれか一つに記載のタイヤ成形サービサーにおいて、上記検出部が、上記帯状ゴム部材と接触することで、上記搬送部で搬送される上記帯状ゴム部材を検出する検出部である。
【0016】
(5)上記(1)~(4)のいずれか一つに記載のタイヤ成形サービサーにおいて、上記演算部は、上記検出部の検出結果、及び上記搬送部による、上記帯状ゴム部材の移動量に基づいて、上記成形ドラムに巻回する、上記帯状ゴム部材の長さを取得する。
【0017】
(6)上記(1)~(5)のいずれか一つに記載のタイヤ成形サービサーにおいて、前記演算部は、前記成形ドラムにより、上記帯状ゴム部材が巻回される前に、前記検出部を用いて測定される上記帯状ゴム部材の長さを取得する。
【0018】
(7)上記(1)~(6)のいずれか一つに記載のタイヤ成形サービサーにおいて、長尺帯状ゴム部材を切断する、切断部をさらに備え、
上記検出部は、上記長尺帯状ゴム部材を切断する長さの測定に用いる第一検出部と、上記切断部で上記長尺帯状ゴム部材を切断して形成した、上記帯状ゴム部材の長さの測定に用いる第二検出部とを含み、
上記演算部は、上記第二検出部を用いて測定される、上記帯状ゴム部材の長さ、上記第一情報、及び上記第二情報に基づいて、上記搬送速度、及び上記巻回速度の少なくとも一つを制御する。
【0019】
(8)上記(7)に記載のタイヤ成形サービサーにおいて、上記演算部は、上記第一検出部の検出結果に基づき、上記切断部による、上記長尺帯状ゴム部材の切断を制御する。
【0020】
(2)から(8)のタイヤ成形サービサーは、廃棄される巻回後の帯状ゴム部材の量を、さらに抑制できる。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ成形サービサー1の、概略図である。本実施形態のタイヤ成形サービサー1は、第一コンベア10、第二コンベア11、切断部60、及び成形ドラム20を備えている。第一コンベア10は、長尺帯状ゴム部材を搬送するための搬送部である。第二コンベア11は、長尺帯状ゴム部材、及び帯状ゴム部材を搬送するための搬送部である。切断部60が、第一コンベア10、及び第二コンベア11で搬送される長尺帯状ゴム部材を切断することで、帯状ゴム部材が形成される。成形ドラム20は、第二コンベア11で搬送される帯状ゴム部材を、巻回する。第一センサ30は、第一コンベア10、及び第二コンベア11で搬送される長尺帯状ゴム部材を、第二コンベア11上で検出する、検出部である。第二センサ31は、第二コンベア11で搬送される帯状ゴム部材を、第二コンベア11上で検出する、検出部である。第三センサ32は、成形ドラム20に巻回された帯状ゴム部材のジョイント部を検出する、検出部である。第一コンベア10は、第一サーボモータ40により、駆動される。第二コンベア11は、第二サーボモータ41により、駆動される。成形ドラム20は、第三サーボモータ42により、駆動される。第一エンコーダ50は、第一サーボモータ40の、回転量や回転速度等の駆動状態を、取得する。第二エンコーダ51は、第二サーボモータ41の駆動状態を、取得する。第三エンコーダ52は、第三サーボモータ42の駆動状態を、取得する。第一センサ30、第二センサ31、第三センサ32、第一サーボモータ40、第二サーボモータ41、第三サーボモータ42、第一エンコーダ50、第二エンコーダ51、第三エンコーダ52、及び切断部60は、制御部100と電気的に接続されている。
【0022】
制御部100は、記憶部110と、演算部120と、入力部130とを有している。記憶部110は、タイヤ成形サービサー1の制御に関する情報を、記憶している。演算部120は、第一センサ30、第二センサ31、第三センサ32、第一エンコーダ50、第二エンコーダ51、及び第三エンコーダ52からの電気信号、及び記憶部110に記憶されている上記情報に基づき、第一サーボモータ40、第二サーボモータ41、第三サーボモータ42、及び切断部60の制御を行う。タイヤ成形サービサー1の操作者は、入力部130から、後述する帯状ゴム部材のカット長さCL等の入力を行う。制御部100としては、例えば、CPU等の演算部、メモリ等の記憶部、及びキーボード等の入力部を備えたコンピュータが挙げられる。
【0023】
図1に示されるタイヤ成形サービサー1において、長尺帯状ゴム部材や、帯状ゴム部材は、第一コンベア10、第二コンベア11、及び成形ドラム20の順に、
図1の左から右方向へ移動される。また、切断部60、第一センサ30、及び第二センサ31は、長尺帯状ゴム部材の搬送方向に、切断部60、第一センサ30、及び第二センサ31の順で配置されている。切断位置CPは、切断部60により帯状ゴム部材が切断される、第一コンベア10上の位置を示す。端位置EPは、切断部60により切断される際の、第二コンベア11上の長尺帯状ゴム部材の端の位置を示す。そのため、帯状ゴム部材のカット長さCLは、切断位置CPから、端位置EPまでの長さとなる。カット長さCLは、上記成形ドラム20に巻回する、基準となる帯状ゴム部材の長さに関する第一情報である。固定長さFLは、切断位置CPから、第一センサ30が長尺帯状ゴム部材の端を検出する位置までの長さを示す。固定長さFLは、タイヤ成形サービサー1における、第一センサ30、及び切断部60の配置位置により定まる固定の長さである。記憶部110には、予め固定長さFLが、記憶されている。位置決め長さPLは、第一センサ30が長尺帯状ゴム部材の端を検出する位置から、端位置EPまでの長さを示す。固定長さFL、及び位置決め長さPLの合計は、カット長さCLとなる。なお、端位置EPは、第一センサ30、及び第二センサ31の間に位置している。すなわち、第二センサ31は、端位置EPよりも、成形ドラム20側に配置されている。
【0024】
本実施形態に係る第一センサ30は、長尺帯状ゴム部材と接触するためのローラーを有している。第二センサ31は、帯状ゴム部材と接触するためのローラーを有している。第一センサ30、及び第二センサ31は、上記ローラーと、長尺帯状ゴム部材や、帯状ゴム部材との接触により、第二コンベア11上の長尺帯状ゴム部材や、帯状ゴム部材の有無を検出する、接触型のセンサである。第一センサ30、及び第二センサ31の詳細構成は、後述する。第三センサ32は、成形ドラム20に巻回された、帯状ゴム部材のジョイント部を、光学的に検出する、非接触型のセンサである。第一センサ30、第二センサ31、及び第三センサ32は、接触型のセンサ、及び非接触型のセンサのいずれを用いることもできる。例えば、第一センサ30、及び第二センサ31の少なくとも一つが、非接触型のセンサに変更されても良い。また、第三センサ32が、接触型のセンサに変更されても良い。なお、非接触型のセンサは、コンベアの汚れによる誤検知の恐れがあるため、第一センサ30、及び第二センサ31は、接触型のセンサが好ましい。
【0025】
図2A~Cは、本発明の一実施形態に係る制御部100による、タイヤ成形サービサー1の制御を示すフローチャートである。
図2Aは、長尺帯状ゴム部材としてのロングブレーカー70が、切断部60により切断されるまでのフローチャートである。S1において、タイヤ成形サービサー1の操作者は、制御部100の入力部130を用い、制御部100へ、カット長さCLの入力を行う。操作者により入力されたカット長さCLは、記憶部110に記憶される。S2において、演算部120は、記憶部110に記憶されている、カット長さCL、及び固定長さFLに基づき、位置決め長さPLを取得する。より具体的には、演算部120は、カット長さCL、及び固定長さFLの差の値を、位置決め長さPLとして算出する。S3において、演算部120は、取得した位置決め長さPLを、記憶部110に記憶する。
【0026】
S4において、演算部120は、第一コンベア10、及び第二コンベア11により、ロングブレーカー70を第一センサ30の方向(
図3Aにおいて左から右の方向)へ搬送する。S4における、ロングブレーカー70の搬送において、演算部120は、第一コンベア10、及び第二コンベア11によるロングブレーカー70の搬送速度が同一となるよう、第一コンベア10、及び第二コンベア11を制御する。より具体的には、演算部120は、第一エンコーダ50、及び第二エンコーダ51からの、第一サーボモータ40、及び第二サーボモータ41の駆動状態に関する情報を取得する。そして、演算部120は、取得した上記情報に基づき、第一コンベア10、及び第二コンベア11の、ロングブレーカー70の搬送速度が、同一となるよう、第一サーボモータ40、及び第二サーボモータ41の駆動を制御する。なお、本実施形態における、S4における、ロングブレーカー70の搬送速度は、10m/min以上、20m/min以下が好ましい。搬送速度が、10m/min以上、20m/min以下であれば、搬送によるロングブレーカー70の、形状変化や、破損等を抑えつつ、効率的にロングブレーカー70を搬送することができる。
【0027】
図3Aは、ロングブレーカー70の第一端71Aが、第一センサ30により、検出された状態を示す、タイヤ成形サービサー1の模式図である。S5において、演算部120は、第一センサ30が、ロングブレーカー70の第一端71Aを検出したか否かを判定する。第一センサ30が、第一端71Aを検出していない場合、処理は、S4に戻る。S5において、第一センサ30が、第一端71Aを検出した場合、S6において、演算部120は、ロングブレーカー70を、第一コンベア10、及び第二コンベア11により、位置決め長さPL搬送する。これにより、ロングブレーカー70の第一端71Aが、端位置EPに到達する。より具体的には、第一センサ30による第一端71Aの検出後、演算部120は、第一エンコーダ50、及び第二エンコーダ51からの、第一サーボモータ40、及び第二サーボモータ41の駆動状態に関する情報を取得する。演算部120は、取得した上記情報に基づき、第一コンベア10、及び第二コンベア11により、ロングブレーカー70が搬送される移動量が、位置決め長さPLとなるよう、第一サーボモータ40、及び第二サーボモータ41の駆動を制御する。なお、演算部120は、S4と同様に、S6においても、第一コンベア10、及び第二コンベア11によるロングブレーカー70の搬送速度が同一となるよう、第一コンベア10、及び第二コンベア11を制御する。
【0028】
S6において、演算部120は、ロングブレーカー70の搬送速度が、S4におけるロングブレーカー70の搬送速度よりも遅くなるよう、第一コンベア10、及び第二コンベア11の搬送速度を、制御することができる。これにより、演算部120は、ロングブレーカー70の搬送が、位置決め長さPLの移動量となるよう、第一コンベア10、及び第二コンベア11を、より精密に制御できる。演算部120が、第一コンベア10、及び第二コンベア11を、より精密に制御することで、カット長さCLと、後述するブレーカー長さBLとの誤差が、少なくなる。これにより、後述する貼付け比率に基づく、第二コンベア11の搬送速度、及び成形ドラム20の巻回速度の制御により、より品質が担保されたジョイント部71Cの形成が、可能となる。その結果、巻回後の、ジョイント部71Cの形成不備による、ブレーカー71の廃棄量が、さらに抑制される。なお、S6における、ロングブレーカー70の搬送速度は、10m/min以上、20m/min以下が好ましい。搬送速度が、10m/min以上、20m/min以下であれば、第一コンベア10、及び第二コンベア11の精密な制御が、可能となる。
【0029】
S6において、ロングブレーカー70が、第一センサ30の検出位置から、位置決め長さPL搬送された後、S7において、演算部120は、切断部60に、ロングブレーカー70を切断させる。
図3Bは、ロングブレーカー70が、切断部60に切断された際の状態を示す、タイヤ成形サービサー1の模式図である。ロングブレーカー70が、切断部60に切断されることで、帯状ゴム部材としてのブレーカー71、及び第二端71Bが、形成される。ブレーカー71の、後述するブレーカー長さBLは、ほぼカット長さCLと同じ長さである。ほぼカット長さCLと同じ長さとは、より具体的には、ブレーカー長さBLが、カット長さCLに対し、-10mm以上、+10mm以下、特に-8mm以上、+4mm以下の誤差の範囲であることを示す。後述する貼付け比率に基づく、第二コンベア11の搬送速度、及び成形ドラム20の巻回速度の制御による、ブレーカー71の長さの調整量が、上記の誤差の範囲内であれば、ジョイント部71Cを含め、巻回後のブレーカー71全体の品質が、担保される。
【0030】
図2Bは、S7によるロングブレーカー70の切断後、切断により形成されたブレーカー71の、ブレーカー長さBLを取得するまでのフローチャートである。S7において、ブレーカー71が形成された後、S8において、演算部120は、第二コンベア11により、ブレーカー71を、第二センサ31側へ搬送する。この際、演算部120は、第一コンベア10による搬送を、行なわない。そのため、第一コンベア10上のロングブレーカー70は、ブレーカー71と共に、第二センサ31側へ搬送されない。なお、演算部120は、S6と同様に、S8におけるブレーカー71の搬送速度が、S4におけるロングブレーカー70の搬送速度よりも遅くなるよう、第二コンベア11の搬送速度を制御することができる。これにより、後述する、S9における、第二センサ31による、ブレーカー71の第一端71Aの検出精度が、向上する。第二センサ31による、第一端71Aの検出精度向上の観点から、ブレーカー71の搬送速度は、10m/min以上、20m/min以下が好ましい。
【0031】
図3Cは、S9において、第一端71Aが、第二センサ31により、検出された状態を示す、タイヤ成形サービサー1の模式図である。S9において、演算部120は、第二センサ31により、ブレーカー71の第一端71Aが検出されたか否かを判定する。第二センサ31により、第一端71Aが検出されていない場合、処理は、S8に戻る。S9において、第二センサ31により、第一端71Aが検出された場合、演算部120は、第二センサ31により、第一端71Aが検出された時点の、ブレーカー71の搬送による移動量を、初期値0mmとして設定する。S11において、演算部120は、第二エンコーダ51からの第二サーボモータ41の駆動状態の情報に基づき、第二センサ31により、第一端71Aが検出された後の、ブレーカー71の搬送による移動量を取得する。なお、ブレーカー71の搬送による移動量は、mmで取得される。例えば、S9における、第二センサ31による、第一端71Aの検出直後の移動量は、0mmとなる。
【0032】
S11において、ブレーカー71の搬送による移動量を取得後、S12において、演算部120は、第二センサ31により、ブレーカー71の第二端71Bが検出されたか否かを判定する。第二センサ31により、第二端71Bが検出されていない場合、S13において、演算部120は、第二コンベア11により、ブレーカー71を、成形ドラム20側へ搬送する。ここで、演算部120は、S8と同様に、S13におけるブレーカー71の搬送速度が、S4におけるロングブレーカー70の搬送速度よりも遅くなるよう、第二コンベア11の搬送速度を制御することができる。これにより、第二センサ31による、第二端71Bの検出精度が、向上する。検出精度の向上により、後述のS14において取得される、ブレーカー長さBLの測定結果の正確性が向上する。そのため、後述する貼付け比率に基づく、搬送速度、及び巻回速度の制御により、より品質が担保されたジョイント部71Cの形成が、可能となる。その結果、巻回後の、ジョイント部71Cの形成不備による、ブレーカー71の廃棄量が、さらに抑制される。第二センサ31による、第二端71Bの検出精度向上の観点から、S13における、ブレーカー71の搬送速度は、10m/min以上、20m/min以下が好ましい。また、演算部120は、ブレーカー71の搬送による移動量に応じ、搬送速度を切り換えることもできる。例えば、演算部120は、S11における、ブレーカー71の搬送による移動量が、固定長さFL未満の場合、S4におけるロングブレーカー70の搬送速度と同じ速度で、ブレーカー71の搬送を行う。一方、演算部120は、S11における、ブレーカー71の搬送による移動量が、固定長さFL以上の場合、S4における搬送速度よりも遅い搬送速度で、ブレーカー71の搬送を行なう。これにより、下記S14において取得される、ブレーカー長さBLの測定結果の正確性を維持しつつ、タイヤ成形サービサー1の動作効率の向上を、図ることができる。
【0033】
図3Dは、S12において、第二端71Bが、第二センサ31により、検出された状態を示す、タイヤ成形サービサー1の模式図である。第二センサ31により、第二端71Bが検出された場合、S14において、演算部120は、S11で取得したブレーカー71の搬送による移動量を、ブレーカー長さBLとして取得する。実際のブレーカー長さBLを測定して取得することで、後述する貼付け比率に基づく、搬送速度、及び巻回速度の制御により、品質が担保されたジョイント部71Cの形成が、可能となる。その結果、巻回後の、ジョイント部71Cの形成不備による、ブレーカー71の廃棄量が、抑制される。
【0034】
本実施形態では、
図3Dに示されるように、S12において、第二端71Bが、第二センサ31により、検出された際、ブレーカー71の第一端71Aが、第二コンベア11上に位置している。このように、成形ドラム20による、ブレーカー71の巻回が開始される前に、ブレーカー長さBLを取得することで、より品質が担保されたジョイント部71Cの形成が、可能となる。その結果、巻回後の、ジョイント部71Cの形成不備による、ブレーカー71の廃棄量が、さらに抑制される。
【0035】
図2Cは、S14において、ブレーカー長さBLを取得した後のフローチャートである。S15において、演算部120は、カット長さCL、及びブレーカー長さBLの差の値を取得する。次に、S16において、演算部120は、取得した上記差の値から、記憶部110に記憶されている、貼付け比率に関する情報に基づいて、第二コンベア11の搬送速度、及び成形ドラム20の巻回速度を設定する。
【0036】
図4は、カット長さCL、及びブレーカー長さBLの差の値と、貼付け比率との関係を示すグラフである。貼付け比率は、下記の式1で表される。
貼付け比率(%)=(搬送速度-巻回速度)÷搬送速度×100 ・・・式1
本実施形態の記憶部110は、
図4のグラフに示される、カット長さCL、及びブレーカー長さBLの差の値と、貼付け比率との関係、及び貼付け比率を表す式1を、貼付け比率に関する情報として、予め記憶している。すなわち、本実施形態における貼付け比率に関する情報は、第二コンベア11によるブレーカー71の搬送速度、及び成形ドラム20によるブレーカー71の巻回速度の少なくとも1つを制御して調整できる、ブレーカー71の長さに関する第二情報である。S16において、より詳細には、演算部120は、S15で取得した差の値から、
図4のグラフに示される上記関係に基づいて、貼付け比率を取得する。演算部120は、取得した貼付け比率から、式1に基づいて、第二コンベア11の搬送速度、及び成形ドラム20の巻回速度を設定する。例えば、演算部120は、ブレーカー長さBLが、カット長さCLよりも6mm短い(S15で取得した差の値が-6mm)場合、
図4のグラフに示される関係に基づいて、-0.42%の貼付け比率を取得する。そして、演算部120は、貼付け比率が-0.42%となるよう、式1に基づいて、搬送速度、及び巻回速度を設定する。なお、式1から明らかなように、貼付け比率は、搬送速度、及び巻回速度の少なくとも一つを変更することで、調整することができる。そのため、演算部120は、取得した貼付け比率となるよう、搬送速度、及び巻回速度の少なくとも一つを変更し、搬送速度、及び巻回速度を設定する。ここで、S16で設定される、搬送速度、及び巻回速度は、70m/min以上、80m/min以下であることが好ましい。搬送速度、及び巻回速度が、70m/min以上、80m/min以下であれば、巻回におけるブレーカー71の、破損を抑えつつ、効率的にブレーカー71を、成形ドラム20上に巻回することができる。これにより、より品質が担保されたジョイント部71Cの形成が、可能となる。その結果、巻回後の、ジョイント部71Cの形成不備による、ブレーカー71の廃棄量が、さらに抑制される。
【0037】
図4のグラフを得るために使用したブレーカー71の幅は、176mmである。図示されないが、ブレーカー71は、並列した多数のスチールコードを含み、これらスチールコードは、トッピングゴムで覆われている。各スチールコードは、ブレーカー71の長さ方向に対して傾斜して配置され、傾斜角度は28°に設定されている。50mm幅のブレーカー71に含まれるスチールコードの本数で表される、ブレーカーのコード打ち込み本数は、40エンズ/50mmに設定されている。4本のスチールフィラメント(外径=0.27mm)を撚り合わせて構成されたコードが、スチールコードとして用いられている。また、
図4のグラフは、カット長さCLに対し、-8mm、-6mm、-4mm、-2mm、+2mm、及び+4mmとなる、ブレーカー長さBLの上記ブレーカー71を準備し、それぞれのブレーカー長さBLについて、品質が担保されたジョイント部71Cの形成が可能となる、搬送速度、及び巻回速度を求め、取得したグラフである。なお、タイヤ成形サービサー1に適用する帯状ゴム部材の、形状、大きさ、及び種類等が異なれば、カット長さCL、及び帯状ゴム部材の長さの差の値と、貼付け比率との関係が、異なってくる。そのため、タイヤ成形サービサー1に、上記ブレーカー71以外の帯状ゴム部材を適用する場合、予め、上記差の値と、貼付け比率との関係の取得が、必要となる。タイヤ成形サービサー1に適用する帯状ゴム部材の、上記差の値と、貼付け比率との関係は、
図4のグラフの取得と同様の手法で、取得することができる。より具体的には、まず、タイヤ成形サービサー1に適用する、長さの異なる複数の帯状ゴム部材が、準備される。次に、準備した長さの異なる帯状ゴム部材のそれぞれについて、成形ドラム上で品質が担保されたジョイント部の形成が可能となる、搬送速度、及び巻回速度が、求められる。求められた搬送速度、及び巻回速度から、上記差の値と、貼付け比率との関係が、取得される。ここで、長さの異なる帯状ゴム部材を準備する際は、カット長さCLに対して短い(マイナスの)長さ、及び長い(プラスの)長さの帯状ゴム部材が、準備されることが好ましい。
図4のグラフが示すように、カット長さCL、及び帯状ゴム部材の長さの差の値と、貼付け比率との関係は、単純な比例の関係ではなく、上記差の値が0mmを起点として変化する場合があるためである。より具体的には、少なくとも-10mm以上、-1mm以下、及び+1mm以上、+10mm以下の、少なくとも二つの長さの帯状ゴム部材が、準備されることが、好ましい。なお、本発明のタイヤ成形サービサーに適用可能な帯状ゴム部材としては、ブレーカー以外に、インナーライナー、プライ、トレッド、及びサイドウォール等が挙げられる。
【0038】
本発明のタイヤ成形サービサーには、異なる複数の帯状ゴム部材に適用可能なタイヤ成形サービサーが、含まれる。この場合、記憶部110には、予め適用対象とする複数の帯状ゴム部材それぞれについて、カット長さCL、及び帯状ゴム部材の長さの差の値と、貼付け比率との関係が、記憶されている。また、上述のS1において、操作者は、入力部130を用い、カット長さCLに加え、適用対象となる帯状ゴム部材を入力し、カット長さCL、及び適用対象となる帯状ゴム部材が、記憶部110に記憶される。そして、S16において、演算部120は、記憶部110に記憶されている、適用対象となる帯状ゴム部材の貼付け比率に関する情報と、取得したカット長さCL、及び帯状ゴム部材の長さの差の値とに基づいて、第二コンベア11の搬送速度、及び成形ドラム20の巻回速度を設定する。
【0039】
本実施形態の演算部120は、記憶部110に記憶されている、カット長さCL、及びブレーカー長さBLの差の値、並びに貼付け比率の関係を示すグラフから、式1に基づいて、第二コンベア11の搬送速度、及び成形ドラム20の巻回速度を設定しているが、本発明の搬送速度、及び巻回速度を設定は、これに限られない。例えば、式1に基づいて、カット長さCL、及びブレーカー長さBLの差の値に対応する、搬送速度、及び巻回速度を、予め設定したデータテーブルを、記憶部110が、記憶していても良い。この場合、演算部120は、記憶部110に記憶されている、カット長さCL、及びブレーカー長さBLの差の値、並びにデータテーブルに基づき、搬送速度、及び巻回速度を設定する。
【0040】
図3Eは、ブレーカー71の、成形ドラム20による巻回が開始された状態を示す、タイヤ成形サービサー1の模式図である。S17において、演算部120は、第二コンベア11、及び成形ドラム20が、S16で設定した搬送速度、及び巻回速度で動作するように、成形ドラム20へのブレーカー71の巻回を開始する。より具体的には、演算部120は、第二エンコーダ51、及び第三エンコーダ52からの、第二サーボモータ41、及び第三サーボモータ42の駆動状態に関する情報を取得する。そして、演算部120は、取得した上記情報に基づき、第二コンベア11、及び成形ドラム20が、S16で設定した搬送速度、及び巻回速度で動作するように、第二サーボモータ41、及び第三サーボモータ42の駆動を制御する。ブレーカー等の帯状ゴム部材は、伸縮性を有する。そのため、搬送速度、及び巻回速度を制御することで、成形ドラムに巻回後の上記帯状ゴム部材の長さは、調整可能である。平たく言えば、巻回速度を、搬送速度より速くなるよう制御すると、上記帯状ゴム部材が、伸びながら成形ドラムに巻回される。その結果、巻回後の上記帯状ゴム部材の長さは、巻回前より長くなる。逆に、巻回速度を、搬送速度より遅くなるよう制御すると、上記帯状ゴム部材が、縮みながら成形ドラムに巻回される。その結果、巻回後の上記帯状ゴム部材の長さは、巻回前より短くなる。例えば、ブレーカー71のブレーカー長さBLが、カット長さCLに対して-6mmの場合、
図4のグラフに示される関係に基づいて、-0.42%の貼付け比率となるよう、搬送速度、及び巻回速度が、制御される。貼付け比率を表す式1の値が、-0.42%とは、巻回速度が、搬送速度より0.42%速いことを示す。巻回速度を、搬送速度より0.42%速くなるよう制御すると、ブレーカー71が、伸びながら成形ドラム20に巻回される。その結果、巻回後のブレーカー71の長さが、巻回前より6mm長くなり、カット長さCLと同じ長さになる。そのため、品質が担保されたジョイント部71Cの形成が可能となり、巻回後のブレーカー71の廃棄量が、抑制される。また、本実施形態のタイヤ成形サービサー1では、成形ドラム20へのブレーカー71の巻回が開始される前に、搬送速度、及び巻回速度が設定される。そのため、品質が担保されたジョイント部71Cの形成を可能とする、適切な搬送速度、及び巻回速度で、成形ドラム20へのブレーカー71の巻回が開始される。その結果、巻回後の、ジョイント部71Cの形成不備による、ブレーカー71の廃棄量が、さらに抑制される。
【0041】
図3Fは、第三センサ32により、ジョイント部71Cが検出された状態を示す、タイヤ成形サービサー1の模式図である。S18において、演算部120は、第三センサ32が、成形ドラム20上のジョイント部71Cを検出したか否かを判定する。第三センサ32が、ジョイント部71Cを検出していない場合、処理は、S17に戻る。第三センサ32が、ジョイント部71Cを検出した場合、制御部100による、タイヤ成形サービサー1の制御が完了する。本実施形態の第三センサ32は、光学的にジョイント部71Cを検出する、非接触型のセンサである。成形ドラム上に形成されたジョイント部の、センサによる検出は、公知の技術を用いればよく、特に制限されない。例えば、上述の特許文献1、及び特許文献2に記載の技術が、適用できる。また、演算部120は、ジョイント部71Cの検出に加え、例えば、特許文献1、及び特許文献2に記載の技術を用いて、ジョイント部71Cが、既定の品質を満たしているか否かを、さらに判定しても良い。これにより、ジョイント部71Cの品質が、さらに担保される。
【0042】
図5Aは、第一センサ30の固定部材304が、手前側になる方向から見た、第一センサ30の側面図である。
図5Bは、第一センサ30の第一シャフト302Aが、手前側になる方向から見た、第一センサ30の正面図である。第一センサ30は、第二コンベア11のベルト表面BS上や、第二コンベア11により搬送されるロングブレーカー等の長尺帯状ゴム部材の表面上に、回転可能に接触するローラー300を有している。ローラー300は、ローラー支持部材301を介して、第一シャフト302A、及び第二シャフト302Bに接合している。
【0043】
また、第一センサ30は、第二コンベア11に固定される、固定部材304を有している。固定部材304には、第一シャフト302A、及び第二シャフト302Bを支持するシャフト支持部材303が、接合されている。シャフト支持部材303には、近接センサ305を支持するセンサ支持部材306が、接合されている。第一シャフト302Aには、近接センサ305で検出される、第一検出面307A、及び第二検出面307Bを有する検出部材307が、配置されている。
【0044】
図5Bに示される第一センサ30の正面図は、ローラー300が、第二コンベア11のベルト表面BS上を回転している状態を示している。ローラー300が、ベルト表面BS上を回転している場合、近接センサ305は、検出部材307の第一検出面307Aを、検出する。一方、ローラー300が、長尺帯状ゴム部材の表面上を回転している場合、長尺帯状ゴム部材の厚みにより、ローラー300が、
図5Bにおいて、図面上方に、移動する。これに伴い、ローラー支持部材301を介して第一シャフト302Aも、
図5Bにおいて、図面上方に移動する。また、第一シャフト302Aに配置されている検出部材307も、第一シャフト302Aと同様に、
図5Bにおいて、図面上方に移動する。これにより、近接センサ305は、第二検出面307Bを、検出することとなる。すなわち、近接センサ305は、ローラー300が、ベルト表面BS上を回転している場合は、第一検出面307Aを検出し、ローラー300が、長尺帯状ゴム部材の表面上を回転している場合は、第二検出面307Bを検出する。演算部120は、近接センサ305が、第一検出面307Aを検出するときの信号と、近接センサ305が、第一検出面307Aを検出するときの信号との違いで、長尺帯状ゴム部材の有無を判定することができる。
【0045】
図6Aは、第二センサ31の回帰反射板315が、手前側になる方向から見た、第二センサ31の側面図である。
図6Bは、第二センサ31の固定部材316が、手前側になる方向から見た、第二センサ31の正面図である。第二センサ31は、第二コンベア11のベルト表面BS上や、第二コンベア11により搬送される、ブレーカー等の帯状ゴム部材の表面上に、回転可能に接触するローラー310を有している。ローラー310は、ローラー310の、図面上下方向の移動を、
図6Aの左右方向への移動に変換し、移動部材312へ伝えるための、ローラー支持部材311に支持されている。
図6Aにおいて、移動部材312は、ローラー310が図面上方に移動した場合、図面右側へ、ローラー310が図面下方に移動した場合、図面左側へ移動する。なお、図示されないが、移動方向の変換は、ローラー支持部材311に形成されている溝、及びその溝を移動する移動部材312に形成されているピンを利用して行われる。遮光部材313は、移動部材312に接合しており、移動部材312の移動により、遮光部材313も、
図6Aの左右方向に移動する。
【0046】
また、第二センサ31は、第二コンベア11に固定するための、固定部材316を有している。固定部材316には、引張ばね320を引掛けるための、引掛け部材321を有する、第一支持部材317が、接合されている。引張ばね320は、一端を引掛け部材321に、他端を移動部材312の引掛け穴312Aに引掛けて、配置される。これにより、引張ばね320は、移動部材312が、
図6Aの図面左側に移動する方向に、移動部材312を付勢する。また、ローラー310は、引張ばね320により、
図6Aの図面下方に付勢される。第一支持部材317には、ローラー支持部材311と、回帰反射形電光センサ314とを支持するための第二支持部材318、及び回帰反射板315を支持するための第三支持部材319が接合されている。回帰反射形電光センサ314、及び回帰反射板315は、遮光部材313を挟んで、対向して配置されている。
【0047】
図6Aに示される第二センサ31の側面図は、ローラー310が、第二コンベア11のベルト表面BS上を回転している状態を示している。この場合、回帰反射形電光センサ314から投光された光は、遮光部材313の開口部313Aを通過して、回帰反射板315で反射される。回帰反射板315で反射された反射光は、開口部313Aを通過して、回帰反射形電光センサ314に受光される。一方、ローラー310が、帯状ゴム部材の表面上を回転する場合、帯状ゴム部材の厚みにより、ローラー310が、
図6Aにおいて、図面上方に移動する。ローラー310の上方移動により、移動部材312を介して遮光部材313が、
図6Aにおいて、図面右側へ移動する。これにより、遮光部材313の開口部313Aの位置も、
図6Aにおいて、図面右側へ移動する。その結果、反射形電光センサ314で受光される受光量が変化する。すなわち、反射形電光センサ314で受光される受光量は、ローラー310が、ベルト表面BS上を回転している場合と、帯状ゴム部材の表面上を回転している場合とで異なる。演算部120は、反射形電光センサ314で受光される受光量の変化により、帯状ゴム部材の有無を判定することができる。
【0048】
本実施形態の第一センサ30、及び第二センサ31は、第二コンベア11上の長尺帯状ゴム部材や、帯状ゴム部材と接触することで、長尺帯状ゴム部材や、帯状ゴム部材を検出する。そのため、非接触型のセンサを用いた際に生じる、コンベアの汚れによる誤検知が、抑制される。なお、本実施形態のタイヤ成形サービサー1は、コンベアを駆動するサーボモータに接続されているエンコーダを用いて、ロングブレーカー70や、ブレーカー71の搬送による移動量を取得しているが、本発明のタイヤ成形サービサーによる、上記移動量の取得は、これに限られない。本発明には、例えば、第一センサ30、及び第二センサ31を、測長センサに変更し、第一センサ30、及び第二センサ31から、上記移動量を取得するタイヤ成形サービサーも、含まれる。測長センサは、特に制限されず、公知の接触式測長センサや、非接触式測長センサ等を用いることができる。接触式測長センサとして、測長ローラーを用いた場合、長尺帯状ゴム部材や、帯状ゴム部材上でローラーが滑り、正確な移動量が、取得できない場合がある。また、非接触型のセンサを用いた場合、コンベアの汚れを誤検知し、正確な移動量が、取得できない場合がある。そのため、長尺帯状ゴム部材や、帯状ゴム部材の搬送による移動量は、コンベアを駆動するサーボモータに接続されたエンコーダにより、取得されることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上説明された、廃棄される巻回後の帯状ゴム部材の量を抑制する技術は、種々のタイヤ成形サービサーに適用されうる。
【符号の説明】
【0050】
1 タイヤ成形サービサー
10 第一コンベア
11 第二コンベア
20 成形ドラム
30 第一センサ
31 第二センサ
32 第三センサ
40 第一サーボモータ
41 第二サーボモータ
42 第三サーボモータ
50 第一エンコーダ
51 第二エンコーダ
52 第三エンコーダ
60 切断部
70 ロングブレーカー
71 ブレーカー
71A 第一端
71B 第二端
71C ジョイント部
100 制御部
110 記憶部
120 演算部
130 入力部
300 ローラー
301 ローラー支持部材
302A 第一シャフト
302B 第二シャフト
303 シャフト支持部材
304 固定部材
305 近接センサ
306 センサ支持部材
307 検出部材
307A 第一検出面
307B 第二検出面
310 ローラー
311 ローラー支持部材
312 移動部材
312A 引掛け穴
313 遮光部材
313A 開口部
314 回帰反射形電光センサ
315 回帰反射板
316 固定部材
317 第一支持部材
318 第二支持部材
319 第三支持部材
320 引張ばね
321 引掛け部材
BL ブレーカー長さ
BS ベルト表面
CL カット長さ
CP 切断位置
EP 端位置
FL 固定長さ
PL 位置決め長さ