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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】中留及び腕時計
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/18 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
A44C5/18 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020141402
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2022037325
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中塚 義樹
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-116592(JP,A)
【文献】実開昭62-164808(JP,U)
【文献】米国特許第04060854(US,A)
【文献】米国特許第05852829(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0265034(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0224070(US,A1)
【文献】米国特許第06568044(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00-5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装面に第1の開口部と第2の開口部とが形成されたカバー部材と、
前記カバー部材の前記第1の開口部に挿入される第1の装飾部材と、
前記カバー部材の前記第2の開口部に挿入される第2の装飾部材と、を備え、
前記第1の装飾部材には第1の嵌合部が形成され、前記第2の装飾部材には第2の嵌合部が形成されており、
前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部とは、前記カバー部材の裏側で嵌合状態となることを特徴とする中留。
【請求項2】
前記第1の装飾部材及び前記第2の装飾部材は、前記外装面上に露出する部分に前記第1の開口部及び前記第2の開口部の端縁に当接し前記第1の開口部及び前記第2の開口部の周りに張り出すフランジ部を有することを特徴とする請求項1に記載の中留。
【請求項3】
前記第2の装飾部材は、部材本体と、前記部材本体から前記第1の装飾部材に向かって延在し、前記第2の嵌合部が形成された舌片部と、を有し、
前記部材本体は、前記カバー部材の裏側に重なる構成部材との間の距離が前記舌片部の厚みよりも小さくなるように配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中留。
【請求項4】
前記カバー部材の裏側であってバンドの長手方向の一端側には、前記バンドを構成する駒体の一部が配置されるようになっており、
前記第1の装飾部材は、前記駒体が配置される側に設けられ、他側に設けられる前記第2の装飾部材よりも前記バンドの厚み方向の厚みが小さいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の中留。
【請求項5】
前記第1の嵌合部及び前記第2の嵌合部のいずれか一方は、抜け止め構造を有する凸部であり、前記第1の嵌合部及び前記第2の嵌合部の他方は、前記凸部に対応し前記凸部を受け入れる受け入れ部であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の中留。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の中留を備えるバンドと、
前記バンドが取り付けられる時計本体と、
を備えていることを特徴とする腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中留及び腕時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、腕時計等のバンドの連結部に設けられる中留として、カバー部材等を備える三つ折れ方式の中留等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
カバー部材は中留の外装面を構成し、バンドを装着した際、バンドの駒体とともに視認される部分である。このため、中留の外装面を構成するカバー部材に装飾を施すことでバンドのデザイン性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許4641098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、中留は、バンドが取り付けられる腕時計等を腕に対して着脱する度に触れる部分であるため、単に表面に装飾部材を貼着したり凹部に嵌め込むだけでは、繰り返し中留を操作することで装飾が外れてしまうおそれがある。
他方、装飾部材を中留の外装面にねじ止め等により固定すると部品点数が増え、組み込み作業の工数も増えてコストが増大する。
【0005】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、部品点数を増やすことなく、外れにくい装飾をカバー部材に施し、デザイン性に優れた中留及び腕時計を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る中留は、
外装面に第1の開口部と第2の開口部とが形成されたカバー部材と、
前記カバー部材の前記第1の開口部に挿入される第1の装飾部材と、
前記カバー部材の前記第2の開口部に挿入される第2の装飾部材と、を備え、
前記第1の装飾部材には第1の嵌合部が形成され、前記第2の装飾部材には第2の嵌合部が形成されており、
前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部とは、前記カバー部材の裏側で嵌合状態となることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、部品点数を増やすことなく、外れにくい装飾をカバー部材に施し、デザイン性に優れた中留及び腕時計を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における中留が適用されたバンドを備える腕時計の外観斜視図であり、(a)は、時計本体の表側(視認側)が上になる向きで示した図であり、(b)は、時計本体の裏側(非視認側)が上になる向きで示した図である。
図2】本実施形態における中留の拡大斜視図である。
図3】本実施形態における中留の分解斜視図である。
図4】(a)は、中留に設けられる第1の装飾部材の側面図であり、(b)は、第1の装飾部材を斜め上方向から見た斜視図である。
図5】(a)は、中留に設けられる第2の装飾部材の側面図であり、(b)は、第2の装飾部材を斜め上方向から見た斜視図である。
図6】(a)は、第1の装飾部材が嵌め込まれた状態のカバー部材の側断面図であり、(b)は、(a)の状態のカバー部材を裏側(非視認側)から見た斜視図である。
図7】(a)は、第1の装飾部材及び第2の装飾部材が嵌め込まれた状態のカバー部材の側断面図であり、(b)は、(a)の状態のカバー部材を裏側(非視認側)から見た斜視図である。
図8】第1の装飾部材及び第2の装飾部材が取り付けられた状態を示す中留の要部断面図である。
図9図8において一点鎖線で囲った領域を拡大した要部拡大面図である。
図10】本実施形態の一変形例である第1の装飾部材及び第2の装飾部材が取り付けられた状態のカバー部材を裏側(非視認側)から見た斜視図である。
図11】本実施形態の一変形例である第1の装飾部材及び第2の装飾部材が取り付けられた状態を示す中留の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図9を参照しつつ、本発明に係る中留及びこの中留を有するバンドを備える腕時計の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態では中留を有するバンドが時計本体に取り付けられる時計バンドである場合を例として説明する。また、以下の実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
図1は、本実施形態における中留が適用されたバンドを備える腕時計の斜視図であり、図1(a)は、時計の視認側から見た斜視図であり、図1(b)は、時計の裏側から見た斜視図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、腕時計100は、後述する中留10を備えるバンド1と、このバンド1が取り付けられる時計本体2と、を備えている。
時計本体2は、時計における表裏に開口した本体ケース21を備えている。本体ケース21内には、図示しない時計モジュールや時計モジュールによって動作する各種の表示装置等が収容されている。
【0011】
図1(a)に示すように、本体ケース21の表側(視認側)の開口部には透明なガラス等で形成された風防部材22が開口部を塞部ように設けられている。
また、図1(b)に示すように、本体ケース21の裏側(非視認側)の開口部には蓋部材23が開口部を塞部ように設けられている。
本体ケース21の側部には、操作ボタン24が設けられている。
また、本体ケース21の上下(アナログ方式の時計における12時側と6時側)には、バンド取付部25が設けられている。
【0012】
バンド1は、本体ケース21の下側(アナログ方式の時計における6時側)に設けられているバンド取付部25に一端側が取り付けられる第1のバンド1aと、本体ケース21の上側(アナログ方式の時計における12時側)に設けられているバンド取付部25に一端側が取り付けられる第2のバンド1bとを備えており、第1のバンド1aと第2のバンド1bとは、中留10によって連結されている。
【0013】
本実施形態において、バンド1(第1のバンド1a及び第2のバンド1b)は、複数の駒体11が連結されることにより構成されている。
バンド1を構成する駒体11は、例えばチタンやステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属や、セラミック等で形成されている。
なお、駒体11を構成する材料はここに例示したものに限定されない。例えばABS樹脂や、ポリアリレート(PAR)等のスーパーエンジニアリング・プラスチック、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等のエンジニアリング・プラスチック等の硬質の合成樹脂によって駒体11を形成してもよい。
【0014】
中留10は、カバー部材3及びカバー部材3の非視認側に重なる構成部材40を有している。
図2は、本実施形態における中留を拡大した斜視図であり、図3は、本実施形態における中留の分解斜視図である。
図2及び図3に示すように、本実施形態において構成部材40は、下板4、中板5、係止ユニット7である。本実施形態の中留10は、下板4、中板5が重ね合わせられ係止ユニット7とともにカバー部材3の非視認側に配置される三つ折れ方式のバンドの中留である。
【0015】
下板4は、例えばステンレス鋼(SUS)等の金属材料で形成された長尺な板状の部材であり、平板状の部分である下板本体41を有している。
本実施形態では、図1等に示すように、下板本体41は、バンド1を腕に装着した際に腕の形状に沿うように、長手方向においてわずかに湾曲している。
また、後述するように、下板本体41は、枠状に形成されている中板5の切欠き部511よりも狭い幅に形成されており、中留10の折り畳み状態(三つ折れ状態)において、下板本体41が切欠き部511内に嵌め込まれるようになっている。
【0016】
図3に示すように、この下板本体41の一端側には、下板4を第1のバンド1aの自由端側と連結させるための第1のバンド連結部42が設けられている。第1のバンド連結部42は、下板本体41の外側面(すなわち、腕時計100を腕に嵌めた際に外側となる面、図3において上側の面)から上方に立ち上がるように形成された立設部である。
駒体11には、駒体11の幅方向(すなわち、バンド1の幅方向)に貫通する連結用の軸孔(図示せず)が形成されており、第1のバンド連結部42には、この駒体11の連結用の軸孔に対応する位置に連結軸12を挿通させる図示しない貫通孔が形成されている。
本実施形態では、第1のバンド1aの自由端側に設けられた駒体11に形成されている軸孔と、第1のバンド連結部42の貫通孔とに連結軸12を挿通させることにより、この連結軸12等を介して下板4の一端側が第1のバンド1aの自由端側に回動自在に取り付けられる。
なお、第1のバンド連結部42は、第1のバンド1aを下板4に回動自在に連結可能なものであればよく、その構成は図示例に限定されない。
【0017】
下板本体41の他端側には、下板4に中板5を連結させるための中板連結部43が設けられている。
中板連結部43には、下板本体41の幅方向(バンド1の幅方向)に貫通する図示しない貫通孔が形成されている。
中板5は、中板連結部43の貫通孔と中板5の中板連結部43に形成されている貫通孔との位置を合わせた上でこの貫通孔に軸部材431を挿通させることにより、下板4に回動自在に取り付けられる。
なお、中板連結部43は、中板5を下板4に回動自在に連結可能なものであればよく、その構成は図示例に限定されない。
【0018】
また、下板4における下板本体41の外側面(すなわち、腕時計100を腕に嵌めた際に外側となる面、図3において上側の面)には、係止用突起44が設けられている。
本実施形態では、係止用突起44は、下板本体41上の第1のバンド連結部42の近傍であって、バンド1の幅方向のほぼ中央部に配置されている。
図3に示すように、本実施形態において、係止用突起44は、下板本体41の上に立設された軸部441と当該軸部441の先端に設けられ当該軸部441の径よりも径が大きく形成された係止部442からなり、外形形状がほぼきのこ状に形成されたロックピンである。本実施形態において、係止部442は、下方に向かって徐々に径が大きくなり、側面視において傘状に広がった形状となっている。
係止用突起44は、中留10の折り畳み状態(三つ折れ状態)において後述するように係止ユニット7の開閉窓73内に受け入れられ、係止される。これにより中留10の折り畳み状態(三つ折れ状態)が維持される。
なお、係止用突起44の形状や配置等は図示例に限定されない。
【0019】
中板5は、例えばステンレス鋼(SUS)等の金属材料で形成された長尺な部材であり、長手方向に沿って表裏に貫通する切欠き部511が形成された枠状の部分である中板本体51を有している。
前述のように、切欠き部511の幅は、下板4の下板本体41の幅よりも大きく形成されており、中留10の折り畳み状態(三つ折れ状態)において、下板本体41は切欠き部511内に嵌め込まれ、図2に示すように、下板4と中板5とがほぼ面一となるようになっている。また、このように下板本体41が切欠き部511内に嵌め込まれた状態において、係止用突起44は、中板5の切欠き部511から中板本体51の上方に突出する。
【0020】
図3に示すように、この中板本体51の一端側には、中板5を下板4と連結させるための下板連結部52が設けられている。下板連結部52には、中板本体51の幅方向(バンド1の幅方向)に貫通する図示しない貫通孔が形成されている。
中板5は、下板連結部52の貫通孔と下板4の中板連結部43に形成されている貫通孔との位置を合わせた上でこの貫通孔に軸部材431を挿通させることにより、下板4に回動自在に取り付けられる。
なお、下板連結部52は、中板5を下板4に回動自在に連結可能なものであればよく、その構成は図示例に限定されない。
【0021】
中板本体51の他端側には、カバー部材3に中板5を連結させるためのカバー部材連結部53が設けられている。
カバー部材連結部53は、中板本体51の外側面(すなわち、腕時計100を腕に嵌めた際に外側となる面、図3において上側の面)から上方に立ち上がるように形成された立設部である。
後述するように、カバー部材3の一対の側壁部32には、バンド1の幅方向における対応する位置に連結用の軸孔34が形成されており、カバー部材連結部53には、このカバー部材3の連結用の軸孔34に対応する位置に連結軸54を挿通させる貫通孔531が形成されている。
また、カバー部材連結部53におけるバンド1の幅方向のほぼ中央部には、係止ユニット7の連結部72が嵌め込まれる切欠き部532が形成されている。
本実施形態では、カバー部材連結部53の切欠き部532に係止ユニット7の連結部72を嵌め込んだ上で、カバー部材連結部53の貫通孔531と係止ユニット7の連結部72の軸孔とに連結軸54を挿通させて、この連結軸54の両端部をカバー部材3の側壁部32に設けられた一対の軸孔34にそれぞれ嵌め込むことで、中板5とカバー部材3と係止ユニット7とが連結軸54を介してそれぞれ回動自在に連結される。
なお、第1のバンド連結部42は、第1のバンド1aを中板5に回動自在に連結可能なものであればよく、その構成は図示例に限定されない。
【0022】
係止ユニット7は、ユニット本体71と、その一端部(本実施形態では、第1のバンド1a側に配置される端部、図3等において右側端部)に設けられ中板5のカバー部材連結部53の切欠き部532に嵌め込まれる連結部72とを備えている。
連結部72には、バンド1の幅方向に貫通する軸孔が形成されており、連結部72が中板5の切欠き部532に嵌め込まれた際にカバー部材連結部53の貫通孔531と連結部72の軸孔とが連通するようになっている。
【0023】
ユニット本体71には、中留10の折り畳み状態(三つ折れ状態)において下板4の係止用突起44に係止される開閉窓73が形成されている。また、ユニット本体71の両側部には、プッシュボタン74が突出している。
ユニット本体71は、内部に図示しないばね等を含む係止機構を内蔵しており、プッシュボタン74を内側に押し込むことで開閉窓73が開口して係止用突起44の係止部442を受け入れ、プッシュボタン74から手を放すと図示しないばねの復元力等によって開閉窓73が閉じて係止用突起44の係止部442を挟み込むようになっている。これにより、係止用突起44は係止ユニット7に係止される。
なお、ユニット本体71に内蔵される係止機構は、各種公知の構成を適用することができるものであるため、詳細な説明は省略する。
【0024】
カバー部材3は、中留10の折り畳み時(すなわち、中留10による第1のバンド1aと第2のバンド1bとの連結時)において下板4及び中板5の外側面の上に重なり合うように配置されるものであり、中留10の外観部分を構成する。
カバー部材3は、カバー部材3の外装面を構成する外装部31を有している。外装部31は、長尺な平板状に形成されている。この外装部31の両側部には一対の側壁部32が垂設されている。
【0025】
カバー部材3は、例えばチタンやステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属や、セラミック等で形成されている。なお、カバー部材3を構成する材料はここに例示したものに限定されない。例えばABS樹脂や、ポリアリレート(PAR)等のスーパーエンジニアリング・プラスチック、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等のエンジニアリング・プラスチック等の硬質の合成樹脂によってカバー部材3を形成してもよい。
なお、カバー部材3を、第1のバンド1a及び第2のバンド1bを構成する駒体11と同じ材料で形成した場合には、中留10の部分が目立たなくなり、第1のバンド1a及び第2のバンド1bがあたかも一繋がりであるかのような優れた外観のバンド1を実現することができ、好ましい。
【0026】
上記側壁部32の一端側には、カバー部材3を第2のバンド1bの自由端側と連結させるための連結用の軸孔33が、一対の側壁部32のそれぞれ対応する位置に設けられている。
本実施形態において、第2のバンド1bの自由端側に設けられた駒体11には、駒体11の幅方向(すなわち、バンド1の幅方向)に貫通する連結用の貫通孔(図示せず)が形成されており、側壁部32の軸孔33は、この駒体11の貫通孔に対応する位置に配置されている。
駒体11の貫通孔に図示しない連結軸を挿通させ、この連結軸の両端部を一対の側壁部32に形成された軸孔33にそれぞれ係止させることにより、この連結軸を介してカバー部材3の一端側が第2のバンド1bの自由端側に回動自在に取り付けられる。
なお、カバー部材3と第2のバンド1bとは、第2のバンド1bがカバー部材に対して回動自在に連結されるものであればよく、その構成はここに例示したものに限定されない。
【0027】
図2及び図3等に示すように、軸孔33は、一対の側壁部32のそれぞれ対応する位置にバンド1の長手方向に沿って複数設けられていることが好ましい。このように軸孔33をバンド1の長手方向に沿って複数設けることにより、連結軸13を係止させる軸孔33を変えることで、駒体11の着脱等を行うことなく、バンド1の長さを簡易に微調整することが可能となる。
なお、本実施形態ではこのようなバンド長調整用の軸孔として、一対の側壁部32にそれぞれ対応する4つの軸孔33が設けられている例を図示しているが、軸孔33の数はこれに限定されず、これよりも多くても少なくてもよい。
【0028】
一対の側壁部32の他端側には、カバー部材3を中板5の他端側と連結させるための連結軸54の端部が嵌め込まれる連結用の軸孔34が設けられている。
前述のように、本実施形態では、中板5のカバー部材連結部53に形成された貫通孔531と係止ユニット7の連結部72に形成された軸孔とに連結軸54を挿通させて中板5と係止ユニット7とを連結させた上で、この連結軸54の両端部をカバー部材3の側壁部32に設けられた一対の軸孔34にそれぞれ嵌め込むことで、中板5とカバー部材3と係止ユニット7とが連結軸54を介してそれぞれ回動自在に連結される。
【0029】
また、一対の側壁部32において軸孔33と軸孔34との間には、後述する係止ユニット7のプッシュボタン74が嵌め込まれる開口部35が形成されている。
係止ユニット7は、連結部72が中板5とともにカバー部材3の側壁部32に軸支され、プッシュボタン74が開口部35に嵌め込まれることにより、カバー部材3内の所定位置に保持される。
【0030】
カバー部材3の外装面を構成する外装部31には、一対の開口部37(第1の開口部、第2の開口部)が形成されている。本実施形態では、
本実施形態では、図3等に示すように、矩形状に形成された一対の開口部37がバンド1の長手方向に沿って所定間隔をもってほぼ一直線上に並んで配置されている。
後述するように、各開口部37には、装飾部材8(8a,8b)がそれぞれ装着されるようになっている。
【0031】
装飾部材8(8a,8b)は、図3等に示すように、カバー部材3の開口部37に対応して一対設けられている。装飾部材8(8a,8b)は、カバー部材3の外装面側(外装部31の、図2における上側)から一対の開口部37内に一部分がそれぞれ挿入される。
装飾部材8は、例えばABS樹脂や、ポリアリレート(PAR)等のスーパーエンジニアリング・プラスチック、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等のエンジニアリング・プラスチック等の硬質の合成樹脂で形成されている。なお、装飾部材8を構成する材料はここに例示したものに限定されない。装飾部材8は、形状や構成によっては例えばチタン、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属や、セラミック、ガラス等で形成されてもよい。
【0032】
図4(a)は、第1の装飾部材8aの側面図であり、図4(b)は、第1の装飾部材8aを斜め上方向から見た斜視図である。また図5(a)は、第2の装飾部材8bの側面図であり、図5(b)は、第2の装飾部材8bを斜め上方向から見た斜視図である。
本実施形態において一対の装飾部材8である第1の装飾部材8a及び第2の装飾部材8bは、それぞれ形状を異にするが、いずれも部材本体81a,81bと、この部材本体81a,81bの下側に設けられた脚部82a,82b(板状の舌片部)と、を有している。
本実施形態の装飾部材8(8a,8b)においてカバー部材3の開口部37内に挿入される一部分は、脚部82a,82b及び部材本体81a,81bの一部である。
【0033】
部材本体81a,81bはカバー部材3の開口部37よりもバンド1の幅方向の長さ及びバンド1の長手方向(延在方向)の長さが小さく形成されており、開口部37内に後述の脚部82a,82bとともに挿入される。
部材本体81a,81bの上端外周には、開口部37の端縁に当接し開口部37の周りに張り出すフランジ部83が形成されている。装飾部材8(8a,8b)をカバー部材3に装着した際には、フランジ部83の下面がカバー部材3の外装面(外装部31の表面)に突き当たる。これにより、部材本体81a,81b全体が開口部37から抜け落ちることを防いで、部材本体81a,81bの上面がカバー部材3の外装面(外装部31の表面)に露出した状態が維持されるようになっている。
【0034】
なお、部材本体81a,81bの形状は図示例に限定されない。
部材本体81a,81bは、軽量化のため適宜肉抜きされていてもよい。
また、部材本体81a,81bの上面は、カバー部材3の開口部37よりも大きく、開口部37全体を覆うことができる程度の大きさであればよく、その形状は開口部37と同じでなくてもよい。例えば、開口部37が矩形である場合に部材本体81a,81bの上面がこれを覆う大きさの各種多角形や円形、楕円形等であってもよい。
部材本体81a,81bの上面には模様や各種ロゴ等が施されていてもよいし、ガラス等で形成された装飾ピースを埋め込む等の装飾が施されていてもよい。
部材本体81a,81bの上面をこのような構成とした場合には、装飾部材8(8a,8b)が装着されたカバー部材3の意匠性をより向上させることができる。
【0035】
脚部82a,82bは、図4(a)、図4(b)及び図5(a)、及び図5(b)に示すように、部材本体81a,81bの下端部から延出する板状の舌片部である。脚部82a,82bは、バンド1の幅方向の長さがカバー部材3の開口部37の幅よりも小さく(狭く)形成されており、カバー部材3の開口部37内に挿入可能となっている。
装飾部材8(8a,8b)をカバー部材3に装着した際、脚部82a,82bは互いに向かい合う方向に延出しており、カバー部材3の内側であって外装部31の裏面側に配置された状態で少なくともその先端部分が重なり合う。
なお脚部82a,82bはその一部が重なり合う形状であればよく、その形状や大きさ等は図示例に限定されない。例えば脚部82a,82bは図示例のように互いに幅の異なる形状であってもよいし、同じ幅に形成されていてもよい。
【0036】
図4(a)及び図4(b)に示すように、一方側の装飾部材8である第1の装飾部材8aにおける開口部37内に挿入される部分である脚部82aには、第1の嵌合部84が形成されている。本実施形態において第1の嵌合部84は、脚部82aの裏面側(図4(a)において下側)に形成された凸部である。
図5(a)及び図5(b)に示すように、他方側の装飾部材8である第2の装飾部材8bにおける開口部37内に挿入される部分である脚部82bには、第1の嵌合部84と嵌合可能に構成された第2の嵌合部85が形成されている。本実施形態において第1の嵌合部84は、脚部82bにおける第1の嵌合部84に対応する位置に形成された孔部である。第1の嵌合部84と第2の嵌合部85とは、開口部37内に挿入された状態においてカバー部材3の非視認側(カバー部材3の裏側、すなわち、外装部31の裏面側)において嵌合状態となる。
本実施形態において、凸部である第1の嵌合部84は、孔部である第2の嵌合部85に対して圧入されるようになっている。
【0037】
なお、第1の嵌合部84である凸部の外周部及び第2の嵌合部85である孔部の内周部の少なくともいずれか一方にはダボ等を設けて、圧入した際に抜け止めとなる構造を有していることが好ましい。
なお、第1の嵌合部84及び第2の嵌合部85は嵌合可能なものであればよく、その形状等は図示例に限定されない。
例えば第2の装飾部材8bの脚部82bに設けられる第2の嵌合部85が凸部であり、第1の装飾部材8aの脚部82aに設けられる第1の嵌合部84がこの凸部に対応し凸部を受け入れる受け入れ部(孔部)であってもよい。
また凸部を受け入れる受け入れ部は、図5(a)及び図5(b)に示すような、脚部82bを貫通する孔部であってもよいし、貫通しない凹部でもよい。
【0038】
次に、本実施形態における中留及びこれを適用した腕時計100の作用について説明する。
本実施形態において、バンド1は、時計本体2の本体ケース21の一方のバンド取付部25に第1のバンド1aを取り付け、他方のバンド取付部25に第2のバンド1bを取り付けて、第1のバンド1aと第2のバンド1bの各自由端を繋ぐ位置に中留10を取り付けることで構成される。
中留10をバンド1に取り付ける際には、中留10の下板4における第1のバンド連結部42に第1のバンド1aの自由端側を取り付け、第2のバンド1bの自由端側に連結軸13を挿通させ、この連結軸13の両端部をカバー部材3における軸孔33に嵌め込むことで第2のバンド1bをカバー部材3に取り付ける。
また、下板4の中板連結部43と中板5の下板連結部52とに軸部材431を挿通させて下板4に中板5を取り付ける。
【0039】
次にカバー部材3に装飾部材8(8a,8b)を取り付ける。
図6(a)は、カバー部材に第1の装飾部材を取り付けた状態を示す側断面図であり、図6(b)は、カバー部材に第1の装飾部材を取り付けた状態を外装部の裏面側から見た斜視図である。なお、図6(a)では、カバー部材3の外装部31のみを断面にして示し、外装部31に取り付けられた第1の装飾部材8aの側面を図示している。
カバー部材3の開口部37のうち、バンド長調整用の軸孔33が形成されている側に設けられた開口部37(第1の開口部)から第1の装飾部材8aを挿入する。具体的には、脚部82aの自由端が他方の開口部37(第2の開口部)側に向くようにして脚部82aの自由端側からカバー部材3の外装部31の裏面側に第1の装飾部材8aを挿入していく。
図6(a)及び図6(b)に示すように、第1の装飾部材8aは、部材本体81aのフランジ部83が外装部31の上面に突き当たる位置まで開口部37内に挿入され、部材本体81aの上面のみが外装部31の上面に露出し、それ以外の部分が外装部31の裏面側に配置された状態となる。
【0040】
カバー部材3の非視認側(裏面側)であってバンド1の長手方向の一端側(図6(a)及び図6(b)では左側)には、前述のようにバンド長調整用の軸孔33が設けられており、バンド1を構成する駒体11の一部が配置される。特にバンド1を短くしたい場合には、複数ある軸孔33のうち最も右側に配置された軸孔33に先頭の駒体11が係止され、これに続く駒体11がカバー部材3の非視認側(裏面側)に配置される。
このため軸孔33が設けられている側には、カバー部材3の外装部31の下側にある程度の空間が確保されることが望ましく、軸孔33が設けられている側の開口部37に取り付けられる第1の装飾部材8aは他側に設けられる第2の装飾部材8bよりもバンド1の厚み方向の厚みが小さく(薄く)形成されることが好ましい。
これにより、最も右側に配置された軸孔33に先頭の駒体11が係止された場合でも、中留10の開閉時等に駒体11とカバー部材3や構成部材40とが干渉するのを回避することができる。
なお、第1の装飾部材8aの部材本体81a及び脚部82aの両方が薄く形成されていてもよいが、特に駒体11と干渉しやすい位置に配置される部材本体81aのみを薄く形成してもよい。第1の装飾部材8aを他方の第2の装飾部材8bよりもどの程度薄くするかは、駒体11の形状や厚み、カバー部材3の軸孔33と第1の装飾部材8aが取り付けられる開口部37(第1の開口部)との位置関係等との関係から適宜設定される。
【0041】
また図7(a)は、図6(a)及び図6(b)に示すように第1の装飾部材8aが取り付けられたカバー部材に、さらに第2の装飾部材8bを取り付けた状態を示す側断面図であり、図7(b)は、カバー部材に第2の装飾部材8bを取り付けた状態を外装部の裏面側から見た斜視図である。なお、図7(a)では、カバー部材3の外装部31のみを断面にして示し、外装部31に取り付けられた第1の装飾部材8a及び第2の装飾部材8bの側面を図示している。
第1の装飾部材8aを取り付けたのち、図7(a)及び図7(b)に示すように、カバー部材3の開口部37のうち、軸孔34が形成されている側に設けられた開口部37(第2の開口部)から第2の装飾部材8bを挿入する。具体的には、脚部82bの自由端が他方の開口部37(第1の開口部)側に向くようにして脚部82bの自由端側からカバー部材3の外装部31の裏面側に第2の装飾部材8bを挿入していく。
【0042】
図7(a)及び図7(b)に示すように、第2の装飾部材8bは、部材本体81bのフランジ部83が外装部31の上面に突き当たる位置まで開口部37内に挿入され、部材本体81bの上面のみが外装部31の上面に露出し、それ以外の部分が外装部31の裏面側に配置された状態となる。
そしてこの状態において第2の装飾部材8bの脚部82bは先端側の一部が第1の装飾部材8aの脚部82aの先端側の一部と重なり合い、脚部82aに設けられた第1の嵌合部84である凸部が脚部82bに設けられた第2の嵌合部85である受け入れ部(孔部)に圧入される。これにより第1の装飾部材8aと第2の装飾部材8bとが一体化される。
【0043】
さらに、中板5のカバー部材連結部53と係止ユニット7の連結部72とに軸54を挿通させた上で、この軸54の各端部をカバー部材3における軸孔34に嵌め込む。また係止ユニット7のプッシュボタン74をカバー部材3の開口部35に嵌め込むことでプッシュボタン74をカバー部材3の外側(側部)に突出させる。これにより、中板5と係止ユニット7とがカバー部材3に係止される。
これにより、中留10の組み立てが完了する。なお、中留10の組み立て手順は上記に限定されない。
【0044】
図8は、装飾部材8(8a,8b)が取り付けられたカバー部材3の非視認側(裏面側)構成部材40が重なって折り畳み状態(三つ折れ状態)となった中留10の側断面図であり、図9は、図8において一点鎖線で示した領域IXを拡大した拡大断面図である。
図8及び図9に示すように、本実施形態ではカバー部材3の外装部31の裏面側に回り込んで嵌合された装飾部材8(8a,8b)の下方に構成部材40が配置される。
特に本実施形態において構成部材40のうち係止ユニット7は、カバー部材3の内側であって、第2の装飾部材8bの下方位置に配置される。
本実施形態では、装飾部材8(8a,8b)のうち第2の装飾部材8bは、部材本体81b(本実施形態では部材本体81bの下面86)と構成部材40(本実施形態では係止ユニット7)との間の距離が脚部82b(舌片部)の厚みよりも小さく(狭く)なるように配置される。これにより、仮に第1の嵌合部84である凸部と第2の嵌合部85である受け入れ部(孔部)との間に遊びが生じ、ガタつきを生じた場合でも、第2の装飾部材8bは、部材本体81bの下面86が係止ユニット7の上面に突き当たる位置までしか下がることができない。すなわち、脚部82b(舌片部)の厚みよりも狭い距離までしか下がることができない。このため、第1の嵌合部84である凸部が第2の嵌合部85である受け入れ部(孔部)から外れるのを防ぎ、嵌合状態を維持することができる。
【0045】
前述のように係止ユニット7は、プッシュボタン74がカバー部材3の開口部35に嵌め込まれているため、中留10が図8及び図9に示す折り畳み状態(三つ折れ状態)のときはもちろん、中留10の連結が解除されたときにもカバー部材3の外装部31との位置関係が変化しない。
このため、中留10の連結状態、解除状態のいずれにおいても外装部31に取り付けられた第2の装飾部材8bの部材本体81bとの距離が脚部82b(舌片部)の厚みよりも狭い状態に維持され、第2の装飾部材8b及びこれと連結されている第1の装飾部材8aがカバー部材3から外れることを防止する。
【0046】
なお、中留10を留める(連結する)際には、下板4、中板5及びカバー部材3を三つ折れに折り畳み、係止ユニット7のプッシュボタン74を押し込んで開閉窓73を開口して係止用突起44の係止部442を受け入れ、プッシュボタン74から手を放すことで開閉窓73を閉じ係止用突起44の係止部442を開閉窓73内に挟み込む。これにより、係止ユニット7が係止用突起に係止された維持され、中留10は、第1のバンド1aと第2のバンド1bとを連結させた連結状態となる。
また、中留10の連結を解除する場合には、再びプッシュボタン74を押し込んで、係止用突起44の係止状態を解除する。これにより、中留10の連結状態が解除され、バンド1が取り外し可能な状態となる。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、カバー部材3及びカバー部材3の非視認側に重なる構成部材40を有するバンド1の中留10において、カバー部材3の外装面である外装部31に一対の開口部37を形成し、カバー部材3の外装部31の表面側から一対の開口部37内に一対の装飾部材8(8a,8b)の一部分がそれぞれ挿入されるように構成するとともに、装飾部材8(8a,8b)の一方における開口部37内に挿入される部分には第1の嵌合部84を形成し、装飾部材8(8a,8b)の他方における開口部37内に挿入される部分には第1の嵌合部84と嵌合可能に構成された第2の嵌合部85を形成し、第1の嵌合部84と第2の嵌合部85とが、開口部37内に挿入された状態においてカバー部材3の非視認側で嵌合状態となるように構成した。
これにより、ねじ止め等により固定する場合と比べて別部材を設ける必要がなく、部品点数を抑えつつ装飾部材8(8a,8b)を開口部37から外れないように固定することができ、装飾部材8(8a,8b)により中留10のデザイン性を向上させることができる。
また、カバー部材3の裏面側において装飾部材8(8a,8b)を一体化させるため、中留10の外観に影響を与えずに、衝撃を受けても装飾部材8(8a,8b)が外れにくい構成とすることができる。
【0048】
また本実施形態の装飾部材8(8a,8b)は、外装面を構成する外装部31の表面に露出する部分に開口部37の端縁に当接し開口部37の周りに張り出すフランジ部83を有する。
このような構成とすることにより、外観視において、開口部37の周りに隙間が生じるのを防いで高い意匠性を実現する。
また、フランジ部83が開口部37の端縁に引っ掛かることで、装飾部材8(8a,8b)全体が開口部37の内部に抜け落ちるのを防ぐことができる。
【0049】
また本実施形態では、装飾部材8(8a,8b)は、部材本体81a,81bと、部材本体81a,81bから他方の装飾部材8(8a,8b)に向かって延在する脚部82a,82b(舌片部)と、を有しており、このうち第2の装飾部材8bは、構成部材40との間の距離が脚部82b(舌片部)の厚みよりも小さく(狭く)なるように配置される。具体的には部材本体81bの下面86と構成部材40である係止ユニット7との間の隙間が脚部82b(舌片部)の厚みよりも小さく(狭く)構成されている。
これにより、第2の装飾部材8bは脚部82b(舌片部)の厚み分以上、下方に下がることができず、装飾部材8(8a,8b)の嵌合部分が外れるのをより確実に防ぐことができる。
なお、部材本体81bの下面86との間の隙間が狭くなるように配置される構成部材40は、中留10の連結状態・解除状態のいずれにおいてもカバー部材3の外装部31との位置関係が維持される部材であればよく、係止ユニット7以外の部材でもよい。
【0050】
また本実施形態において、カバー部材3の非視認側であってバンド1の長手方向の一端側には、バンド1を構成する駒体11の一部が配置されるようになっており、装飾部材8(8a,8b)のうち駒体11が配置される側に設けられるもの(本実施形態では、第1の装飾部材8a)は、他側に設けられる装飾部材(本実施形態では、第2の装飾部材8b)よりもバンド1の厚み方向の厚みが小さい。
これにより、軸孔33によって調整可能な最も短いバンド長となるように先頭の駒体11を係止された場合でも、中留10の開閉時等に駒体11とカバー部材3や構成部材40とが干渉せず、円滑に中留10を操作することができる。
また、第1の装飾部材8aと第2の装飾部材8bとは、バンド1の厚み方向の厚みが異なるように構成されている。このため、第1の装飾部材8aと第2の装飾部材8bとを逆に開口部37内に挿入して取り付けた場合(例えば図6(a)の左側の開口部37(第1の開口部)に第2の装飾部材8bを取り付けた場合)には、バンド1を構成する駒体11の一部が第2の装飾部材8bに接触して、中留10が閉まらない状態となる。これにより、第1の装飾部材8aと第2の装飾部材8bとを逆に取り付けてしまうことを防止できる。
【0051】
また本実施形態おいて、第1の嵌合部84及び前記第2の嵌合部85のいずれか一方は、抜け止め構造を有する凸部であり、第1の嵌合部84及び第2の嵌合部85の他方は、凸部に対応し凸部を受け入れる受け入れ部(貫通する孔部又は凹部)である。
これにより、簡易な構成によって、第1の嵌合部84と第2の嵌合部85とをより外れにくい嵌合構成とすることができる。
【0052】
また腕時計が、本実施形態に示す中留10を備えるバンド1と、このバンド1が取り付けられる時計本体2と、を備える構成とした場合には、腕に装着した際に外観に現れる部分に装飾部材8(8a,8b)を施すことで優れた外観のバンド1を備える時計とすることができ、意匠性に優れた腕時計100を実現することができる。
【0053】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0054】
例えば、上記各実施形態では、矩形状の開口部37がバンドの長手方向に沿って2つ配置されている場合を例示したが、開口部37の大きさや形状、配置等は、図示例に限定されない。
開口部37の大きさや形状、配置等は、装飾部材8(8a,8b)の大きさや形状、カバー部材3の外装面において装飾部材8(8a,8b)を配置したい位置等に応じて適宜決定される。
例えば開口部37の形状は矩形状でなくてもよい。一対の開口部37の形状はそれぞれ異なっていてもよい。また一対の開口部37はバンド1の長手方向に沿って配置されるものに限らない。例えばバンド1の幅方向に沿って配置されていてもよいし、バンド1の長手方向や幅方向に対して傾いた斜め方向に配置されてもよい。また開口部37は一対に限定されず、二対以上設けられてもよい。開口部37の配置や設ける数等を変えることで、装飾部材8(8a,8b)の配置を様々に変化させることができ意匠性に優れた中留10とすることができる。
【0055】
また、装飾部材8(8a,8b)同士を嵌合させる第1の嵌合部及び第2の嵌合部の形状、構成は実施形態に例示したものに限定されない。
例えば、図10及び図11に示すように、装飾部材9(9a,9b)における平板状の舌片部である脚部92a,92bの一方側(図示例では第1の装飾部材9a)に切り欠き部94を設け、他方側(図示例では第2の装飾部材9b)にこの切り欠き部94と平面的に嵌り合う形状の張出部95を設けてもよい。
この場合には、図11に示すように、装飾部材9(9a,9b)が、一方の(図示例では第1の装飾部材9a)の部材本体91aの下面側とほぼ面一の位置で平面的に嵌合する。
このような構成とした場合には、2つの脚部を重ね合わせて嵌合させる場合と比較して、平板状の舌片部である脚部92a,92bの1枚分だけ厚みを少なく(薄く)することができる。
この場合にも他方側(図示例では第2の装飾部材9b)の部材本体91bの厚みは一方側(図示例では第1の装飾部材9a)の厚みよりも厚くして、その下面96を、構成部材40(図示例では係止ユニット7)との間の距離(隙間)が脚部92b(舌片部)の厚みよりも小さく(狭く)なるように配置する。
これにより、第2の装飾部材9bは脚部92b(舌片部)の厚み分以上、下方に下がることができず、装飾部材9(9a,9b)の嵌合部分が外れるのを防ぐことができる。
【0056】
また、本実施形態では、装飾部材8(8a,8b)のうちの両方が、部材本体81a,81bと、部材本体81a,81bから他方の装飾部材8(8a,8b)に向かって延在する脚部82a,82b(板状の舌片部)と、を備えている場合を例示したが、装飾部材8(8a,8b)の構成はこれに限定されない。
脚部82a,82b(板状の舌片部)は、装飾部材8(8a,8b)のうちの少なくとも一方が備えていればよく、例えば、装飾部材8(8a,8b)のうちの一方は、下面側に第1の嵌合部を備える部材本体のみで構成され、装飾部材8(8a,8b)のうちの他方のみに部材本体と部材本体から延在する脚部(板状の舌片部)とを設けて、この脚部(板状の舌片部)に第1の嵌合部と嵌合する第2の嵌合部を設けてもよい。
この場合、双方の装飾部材8(8a,8b)に脚部(板状の舌片部)を設けて、これを重ね合わせて嵌合させる場合よりも脚部(板状の舌片部)1枚分の厚みを少なく(薄く)することができる。
また、本実施形態では、装飾部材8は、第1の装飾部材8aと第2の装飾部材8bとを備えている場合を例示したが、第1の装飾部材8aは単数であっても複数であってもよく、第2の装飾部材8bも同様に単数であっても複数であってもよい。例えば、第1の装飾部材8aが1つで第2の装飾部材8bが2つの場合は、第1の装飾部材8aの第1の嵌合部と第2の装飾部材8bのそれぞれの第2の嵌合部とが嵌合状態となればよい。
【0057】
また、カバー部材3の外装部31の構成は図示例に限定されない。例えば、装飾部材8(8a,8b)のフランジ部83が配置される部分をフランジ部83の高さ(厚み)分だけ下に掘り下げておいてもよい。これにより、外装部31の表面に露出する部材本体81a,81bの上面を外装部31の表面と面一にすることができ、装飾部材8(8a,8b)による装飾を施しつつ、指や爪に引っ掛からない構成の中留10とすることができる。
【0058】
また、上記各実施形態では、バンド1が複数の駒体11から構成されている場合を例として説明したが、本発明の中留を適用可能なバンドは複数の駒体11で構成されるものに限定されない。例えば、バンド1(第1のバンド1a及び第2のバンド1b)がウレタン樹脂や革等で形成され、第1のバンド1a及び第2のバンド1bを連結させるバックル部分に本発明の中留を適用してもよい。
【0059】
また、上記各実施形態では、中留10が腕時計100のバンド1に設けられている場合を例示したが、本発明の中留を適用可能なバンドは、腕時計のバンドに限定されない。
第1のバンドと第2のバンドとを備え、これらを中留によって連結する構造のバンドであれば、本発明の中留を広く適用することができる。
【0060】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
外装面に第1の開口部と第2の開口部とが形成されたカバー部材と、
前記カバー部材の前記第1の開口部に挿入される第1の装飾部材と、
前記カバー部材の前記第2の開口部に挿入される第2の装飾部材と、を備え、
前記第1の装飾部材には第1の嵌合部が形成され、前記第2の装飾部材には第2の嵌合部が形成されており、
前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部とは、前記カバー部材の裏側で嵌合状態となることを特徴とする中留。
<請求項2>
前記第1の装飾部材及び前記第2の装飾部材は、前記外装面上に露出する部分に前記第1の開口部及び前記第2の開口部の端縁に当接し前記第1の開口部及び前記第2の開口部の周りに張り出すフランジ部を有することを特徴とする請求項1に記載の中留。
<請求項3>
前記第2の装飾部材は、部材本体と、前記部材本体から前記第1の装飾部材に向かって延在し、前記第2の嵌合部が形成された舌片部と、を有し、
前記部材本体は、前記カバー部材の裏側に重なる構成部材との間の距離が前記舌片部の厚みよりも小さくなるように配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中留。
<請求項4>
前記カバー部材の裏側であってバンドの長手方向の一端側には、前記バンドを構成する駒体の一部が配置されるようになっており、
前記第1の装飾部材は、前記駒体が配置される側に設けられ、他側に設けられる前記第2の装飾部材よりも前記バンドの厚み方向の厚みが小さいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の中留。
<請求項5>
前記第1の嵌合部及び前記第2の嵌合部のいずれか一方は、抜け止め構造を有する凸部であり、前記第1の嵌合部及び前記第2の嵌合部の他方は、前記凸部に対応し前記凸部を受け入れる受け入れ部であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の中留。
<請求項6>
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の中留を備えるバンドと、
前記バンドが取り付けられる時計本体と、
を備えていることを特徴とする腕時計。
【符号の説明】
【0061】
1 バンド
2 時計本体
3 カバー部材
4 下板
5 中板
7 係止ユニット
8 装飾部材
10 中留
31 外装部
32 側壁部
37 開口部
40 構成部材
81a、81b 部材本体
82a、82b 脚部
83 フランジ部
84 第1の嵌合部
85 第2の嵌合部
86 下面
100 腕時計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11