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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】スピーカー装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20240730BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H04R1/02 105B
H04R1/00 310G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020159631
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053046
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明善
(72)【発明者】
【氏名】平野 太祐
【審査官】中嶋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-346476(JP,A)
【文献】特開平07-327289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
H04R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動板及び磁気回路を有するスピーカーユニットと、
前記スピーカーユニットを、背面側から覆うキャビネットと、
前記スピーカーユニットと前記キャビネットとを接続するバネ部材と、
前記スピーカーユニットと前記キャビネットとの間を密封する密封部材と、
前記キャビネットの外部に設けられ、前記キャビネットの振動が伝達される振動伝達部材と、を備えるスピーカー装置であって、
前記振動伝達部材は、前記キャビネットに固定された響板であるスピーカー装置
【請求項2】
前記バネ部材は板バネであり、
前記板バネの厚み方向は、前記スピーカーユニットの軸線方向に平行である
請求項1に記載のスピーカー装置。
【請求項3】
前記スピーカーユニットを保持するスピーカーフレームを備え、
前記スピーカーフレームは、前記バネ部材を介して、前記キャビネットに連結される
請求項1又は2に記載のスピーカー装置。
【請求項4】
前記キャビネットは、前記スピーカーユニットの軸線方向に交差する背面板を有し、
前記響板は、前記背面板に沿って配置される
請求項1~3の何れか一項に記載のスピーカー装置。
【請求項5】
振動板及び磁気回路を有するスピーカーユニットと、
前記スピーカーユニットを、背面側から覆うキャビネットと、
前記スピーカーユニットと前記キャビネットとの間を密封する密封部材と、
前記キャビネットの外部に設けられ、前記キャビネットの振動が伝達される振動伝達部材と、
を備え、
前記密封部材は、弾性を有し、前記スピーカーユニットと前記キャビネットとを接続し、
前記振動伝達部材は、前記キャビネットに固定された響板であるスピーカー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スピーカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカーの磁気回路の振動エネルギーを、当該スピーカーが内装される機器に、伝達する振動スピーカーがある(例えば、特許文献1参照)。このような振動スピーカーは、例えば携帯電話などに内装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-343384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スピーカーの外部に振動を伝達可能なスピーカー装置において、外部に伝達される振動を増強することが求められている。本開示は、外部に伝達される振動が増強されるスピーカー装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のスピーカー装置は、振動板及び磁気回路を有するスピーカーユニットと、前記スピーカーユニットを、背面側から覆うキャビネットと、前記スピーカーユニットと前記キャビネットとを接続するバネ部材と、前記スピーカーユニットと前記キャビネットとの間を密封する密封部材と、前記キャビネットの外部に設けられ、前記キャビネットの振動が伝達される振動伝達部材と、を備える。
【0006】
接続するとは、直接的に接続する場合と、間接的に接続する場合の双方を含む。直接的に接続するとは、2つの部材が接触する場合、及び2つの部材が接触する状態と同視できる状態を含む。2つの部材が接触する状態と同視できる状態とは、例えば、接着剤で固定される状態である。間接的に接続するとは、2つの部材の間に他の部材が配置されることを意味する。
【0007】
本開示のスピーカー装置は、振動板及び磁気回路を有するスピーカーユニットと、前記スピーカーユニットを、背面側から覆うキャビネットと、前記スピーカーユニットと前記キャビネットとの間を密封する密封部材と、前記キャビネットの外部に設けられ、前記キャビネットの振動が伝達される振動伝達部材と、を備え、前記密封部材は、弾性を有し、前記スピーカーユニットと前記キャビネットとを接続する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るスピーカー装置の正面図である。
図2】第1実施形態に係るスピーカー装置の断面図である。
図3】第2実施形態に係るスピーカー装置の断面図である。
図4】第3実施形態に係るスピーカー装置の断面図である。
図5】第4実施形態に係るスピーカー装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面において各部の寸法及び縮尺は実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に記載する実施形態は、本開示の好適な具体例である。このため、本実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0010】
図1は、第1実施形態に係るスピーカー装置1Aの正面図である。図2は、スピーカー装置1Aの断面図である。スピーカー装置1Aは、スピーカーユニット10を備える。
【0011】
図2に示される断面は、スピーカーユニット10の軸線Oに沿って切断した断面である。なお、軸線Oは、後述する振動板2の振動方向に平行で、かつ、振動板2の中心を通る線分である。軸線Oと交差する方向は、スピーカーユニット10の径方向Rである。軸線O方向において、振動板2が配置される側は、正面側であり、反対側は背面側である。スピーカーユニット10の軸線Oは、後述する磁気回路5の軸線Oである。
【0012】
スピーカーユニット10は、振動板2と駆動部3とスピーカーフレーム4とを有し、これらをユニット化した構造体である。
【0013】
振動板2は、シート材で構成され、振動により放音する振動体である。当該シート材は、例えば、樹脂材料を繊維基材に含浸させた状態で硬化または固化することで得られる。当該樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、変性ゴム樹脂およびフェノール樹脂等が挙げられる。当該繊維基材としては、例えば、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、シリカ繊維、金属繊維、チタン酸カリウム繊維、ジルコニア繊維、ポリアクリレート繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、綿繊維、麻繊維およびセルロース繊維等が挙げられる。
【0014】
振動板2は、軸線Oに沿う方向に振動する。振動板2は、コーン型である。なお、振動板2の形状は、コーン型に限定されず、例えば、ドーム型等でもよい。
【0015】
駆動部3は、入力される電気信号に基づいて振動板2を駆動する機構である。駆動部3は、磁場を生じさせる磁気回路5と、振動板2に接続されるボイスコイル6とを含む。
【0016】
磁気回路5は、マグネット11とヨーク12とトッププレート13とを含む。マグネット11はリング状を成す。マグネット11は、軸線Oを中心とする円周に沿う。ヨーク12及びトッププレート13は磁性材料から成る。
【0017】
ヨーク12は、円盤部14と円柱部15とを含む。円盤部14は、マグネット11の背面側に配置される。円盤部14は、マグネット11の背面側の開口部を閉じるように配置される。円柱部15は、円盤部14から正面側に張り出す。円柱部15は軸線Oに沿って配置される。円柱部15は、軸線O方向において、マグネット11よりも正面側まで形成される。
【0018】
トッププレート13は、リング状を成す。トッププレート13は、軸線Oと中心とする円周に沿う。トッププレート13は、マグネット11の正面側に配置される。ヨーク12の円柱部15は、軸線O方向において、トッププレート13よりも正面側まで配置される。
【0019】
マグネット11から生じる磁束は、ヨーク12及びトッププレート13を通過する。磁気回路5を通過する磁束により、磁気回路5の周囲に磁場が形成される。ボイスコイル6は、磁気回路5による磁場内に配置される。
【0020】
スピーカーユニット10は、ボイスコイル6が巻回されるボビン16を備える。ボビン16は、筒状部を含む。ボイスコイル6は、ボビン16の筒状部の外周面に沿って巻回される。ボイスコイル6は、ボビン16を介して、振動板2に接続される。ボビン16の正面側には、センターキャップ17が配置される。センターキャップ17は、ボビン16を正面側から覆う。
【0021】
振動板2は、軸線O方向から見て、ボビン16の周囲に形成される。振動板2の内周は、ボビン16の外周に接続される。
【0022】
スピーカーユニット10は、エッジ部18を備える。エッジ部18は、リング状を成し、振動板2の外周に沿って設けられる。振動板2の外周は、エッジ部18に接続される。振動板2は、エッジ部18を介して、スピーカーフレーム4に連結される。ボビン16の周囲には、ダンパー19が配置される。ダンパー19は、径方向Rにおいて、ボビン16とスピーカーフレーム4とを接続する。
【0023】
スピーカーフレーム4は、振動板2を保持する。スピーカーフレーム4は、鉄または金属材料または樹脂材料で構成される。スピーカーフレーム4の形状は、振動板2を保持できればよく、図2に示す形状に限定されず、任意である
【0024】
スピーカーフレーム4は、コーン部分21及び連結部分22を備える。軸線O方向において、連結部分22は、コーン部分21の背面側に連結される。コーン部分21は、振動板2を収容する。コーン部分21の内径は、背面側から正面側に向かって、大きくなる。軸線O方向において、コーン部分21の長さは、振動板2の長さとほぼ同じである。
【0025】
連結部分22の背面側には、磁気回路5が連結される。連結部分22の背面側の端部には、径方向Rの内側に張り出すつば部が設けられる。磁気回路5のトッププレート13は、連結部分22に対して固定される。
【0026】
スピーカーフレーム4の正面側の端部には、フランジ部23が設けられる。フランジ部23は、コーン部分21の正面側の端部から径方向Rの外側に張り出す。
【0027】
スピーカー装置1Aは、スピーカーユニット10を保持するキャビネット30を備える。キャビネット30は、スピーカーユニット10を背面側から覆う。キャビネット30は、側面板31及び背面板32を有する。側面板31は円筒状を成す。側面板31の内径は、スピーカーユニット10の外径よりも大きい。スピーカーユニット10の外径は、スピーカーフレーム4のフランジ部23の外径である。
【0028】
側面板31は、スピーカーユニット10の径方向R外側からスピーカーユニット10を覆う。側面板31は、軸線O方向において、スピーカーユニット10よりも長い。側面板31は、軸線O方向において、スピーカーユニット10よりも背面側まで形成される。背面板32は、円盤状を成す。背面板32は、側面板31の背面側の開口部を閉じる。背面板32は、軸線O方向において、磁気回路5から離間する。
【0029】
キャビネット30は、スピーカーユニット10が接続されるフランジ部33を有する。フランジ部33は、軸線O方向において、側面板31の正面側の端部に設けられる。フランジ部33は、径方向Rにおいて、側面板31から内側に張り出す。
【0030】
スピーカー装置1Aは、スピーカーユニット10とキャビネット30とを接続するバネ部材41Aを備える。バネ部材41Aは板バネ42を含む。板バネ42の厚み方向は、軸線O方向に沿う。板バネ42は、軸線O方向から見て、例えばリング状を成す。板バネ42は、径方向Rにおいて、スピーカーユニット10とキャビネット30との間に配置される。径方向Rにおいて、板バネ42の内側の端部は、スピーカーフレーム4のフランジ部23に接続される。板バネ42とスピーカーフレーム4との接続方法は、接着でもよく、ネジ止めでもよく、その他の方法でもよい。板バネ42の外側の端部は、キャビネット30のフランジ部33に接続される。板バネ42とキャビネット30との接続方法は、接着でもよく、ネジ止めでもよく、その他の方法でもよい。磁気回路5は、スピーカーフレーム4及びバネ部材41Aを介して、キャビネット30に接続される。
【0031】
スピーカー装置1Aは、スピーカーユニット10とキャビネット30との間を密封する密封部材43を備える。密封部材43は、キャビネット30の内部の空気が外部に漏れ出すことを防止する封止部材を含む。密封部材43は、軸線O方向において、バネ部材41Aの正面側に配置される。密封部材43は、軸線O方向から見て、リング状に配置される。密封部材43は、正面側から、スピーカーフレーム4のフランジ部23と、キャビネット30のフランジ部33との間の隙間を封止する。密封部材43は、径方向Rにおいて、スピーカーフレーム4のフランジ部23からキャビネット30のフランジ部33にかけて形成される。密封部材43は、フランジ部23の外周に沿って全周にわたって形成される。
【0032】
密封部材43とスピーカーフレーム4との接続方法は、接着でもよく、ネジ止めでもよく、その他の方法でもよい。密封部材43とキャビネット30との接続方法は、接着でもよく、ネジ止めでもよく、その他の方法でもよい。密封部材43は弾性を有する部材であり、例えばゴム膜である。密封部材43の材料は、ゴムに限定されず、樹脂等であってもよい。また、密封部材43は、膜状に限定されず、例えばブロック状でもよい。
【0033】
スピーカーユニット10が、キャビネット30に保持されている状態において、スピーカーフレーム4のフランジ部23は、キャビネット30のフランジ部33よりも正面側に配置される。スピーカーフレーム4のフランジ部23の位置は、軸線O方向において、キャビネット30のフランジ部33と同じ位置でもよく、フランジ部33よりも背面側の位置でもよい。
【0034】
スピーカー装置1Aは、キャビネット30の外部に設けられた振動伝達部材50Aを備える。振動伝達部材50Aには、キャビネット30の振動が伝達される。振動伝達部材50Aは、伝達される振動を音に変える響板51Aを含む。響板51Aは、低音域の音を補強する。音を補強するとは、音量を増大することを含む。
【0035】
響板51Aは、キャビネット30の背面板32に固定される。響板51Aは、厚み方向は、軸線O方向であり、背面板32及び響板51Aは平行である。響板51Aは円盤状を成し、響板51Aの外径は、背面板32の外径よりも大きい。響板51Aは、背面板32と同じでもよく、背面板32よりも小さくてもよい。響板51Aは、背面板32に固定されるものに限定されず、側面板31に固定されてもよく、フランジ部33に固定されてもよい。
【0036】
響板51Aは、キャビネット30に対して、ネジ止めされてもよく、接着されてもよく、その他の方法で固定されているものでもよい。
【0037】
次に、スピーカー装置1Aの動作について説明する。スピーカーユニット10のボイスコイル6に電気信号が供給され、ボイスコイル6及び振動板2が振動する。振動板2が振動して音が出力される。振動板2の振動は、キャビネット30の内部の空気に伝達される。キャビネット30の内部の空気の振動は、キャビネット30に伝達される。
【0038】
ボイスコイル6が振動すると、反発力によって、磁気回路5が振動する。磁気回路5の振動は、スピーカーフレーム4に伝達される。スピーカー装置1Aのスピーカーフレーム4は、バネ部材41Aを介してキャビネット30に接続される。磁気回路5の振動は、バネ部材41Aによって減衰される。これにより、磁気回路5に起因するスピーカーフレーム4の振動は、キャビネット30に伝達されにくい。
【0039】
従来のスピーカー装置では、スピーカーフレーム4がキャビネット30に対して固定されている。これにより、磁気回路5に起因するスピーカーフレーム4の振動は、キャビネット30に伝達される。このため、振動板2の振動がキャビネット30の内部の空気の振動を介して、キャビネット30に伝達されても、磁気回路5に起因してキャビネット30に伝達される振動によって相殺される。その結果、キャビネット30の振動は弱い。
【0040】
本開示のスピーカー装置1Aでは、磁気回路5に起因する振動は、バネ部材41Aによって減衰されて、キャビネット30に伝達されにくい。これにより、振動板2の振動は、キャビネット30の内部の空気の振動を介してキャビネット30に伝達され、磁気回路5に起因する振動によって相殺されにくい。その結果、スピーカー装置1Aでは、従来のスピーカー装置と比較して、キャビネット30における振動が増強される。振動が増強されるとは、振幅が大きいことを含む。
【0041】
スピーカー装置1Aでは、キャビネット30の振動が響板51Aに伝達されて、響板51Aを振動させることができる。スピーカー装置1Aでは、キャビネット30の振動が増強されるので、響板51Aを大きく振動させることができる。響板51Aは、伝達される振動を音に変えることができ、低音域の音を再生させやすい。その結果、スピーカー装置1Aでは低音域の音量を大きくできる。
【0042】
スピーカー装置1Aでは、バネ部材41Aが無い場合に、磁気回路5に起因しスピーカーフレーム4を介して伝達される振動によって、振動板2に起因しキャビネット30の内部の空気を介して伝達される振動が相殺されるように、キャビネット30または/およびスピーカーユニット10の仕様が決められる。キャビネット30の仕様とは、容積、密閉度、材質、厚み、大きさ等であり、スピーカーユニットの仕様とは、重量、体積等である。スピーカー装置1Aは、キャビネット30の容積が小さい場合には、容積が大きい場合と比較してキャビネット30の振動を増強できる。キャビネット30の密閉度が高い場合には、密閉度が低い場合と比較してキャビネット30の振動を増強できる。
【0043】
スピーカー装置1Aは、キャビネット30を振動させるためのアクチュエータを備えていない。スピーカー装置1Aでは、キャビネット30を振動させるためのアクチュエータを不要として、キャビネット30及び振動伝達部材50を振動させることができる。キャビネット30又は振動伝達部材50に触れた使用者は、スピーカー装置1Aの振動を体感できる。
【0044】
スピーカー装置1Aは、例えば機器の筐体内に設置できる。スピーカー装置1Aが設置される機器としては、遊技機、通信端末、電子機器等が挙げられる。遊技機としては、パチンコ、パチスロ、ゲーム機等が挙げられる。スピーカー装置1Aは、例えば、遊技機のボタンとして使用できる。スピーカー装置1Aでは、ボタンのカバーを振動伝達部材50Dとして振動させることができる。遊技機の遊技者は、遊技の状況に応じて、スピーカー装置1Aから発生する音とともに、振動を体感できる。
【0045】
図3は、第2実施形態に係るスピーカー装置1Bの断面図である。第2実施形態のスピーカー装置1Bが第1実施形態のスピーカー装置1Aと異なる点は、弾性を有する密封部材44を備え、板バネ42を備えていない点である。このように密封部材44が、バネ部材41Bを兼ねる構成でもよい。
【0046】
このような第2実施形態のスピーカー装置1Bにおいても、第1実施形態のスピーカー装置1Aと同様の作用効果を奏する。さらに、スピーカー装置1Bでは、部品点数を削減することができ、スピーカー装置1Bを製造する際の工数を削減できる。
【0047】
図4は、第3実施形態に係るスピーカー装置1Cの断面図である。図3では、直交する3方向であるX方向、Y方向、及びZ方向が図示される。Z方向は軸線O方向に平行である。X方向及びY方向は、軸線O方向と交差する。スピーカー装置1Cの説明において、前述の第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0048】
第3実施形態のスピーカー装置1Cが第1実施形態のスピーカー装置1Aと異なる点は、振動伝達部材50Cとして、筐体60を備える点である。スピーカー装置1Cは、スピーカーユニット10とキャビネット30と筐体60とを備える。
【0049】
筐体60は、箱型を成し、一対の側面板61、底板62、及び天板63を有する。筐体60は、図示しない正面板及び背面板を含む。背面板は、開閉可能な扉でもよい。一対の側面板61は、Y方向に対向する。底板62及び天板63は、Z方向に対向する。正面板及び背面板はX方向に対向する。一対の側面板61、底板62、天板63及び正面板は、隣接する端部同士がネジ止めにより接合される。接合方法は、ネジ止めに限定されず、接着等その他の方法でもよい。
【0050】
キャビネット30は、筐体60の底板62上に配置される。キャビネット30の背面板32は、筐体60の底板62に固定される。
【0051】
スピーカー装置1Cは、キャビネット30の外部に設けられた振動伝達部材50Cとして筐体60を有する。振動伝達部材50Cは、響板51C,52C,及び53Cを含む。響板51Cは、底板62であり、響板52Cは、側面板61であり、響板53Cは、天板63である。振動伝達部材50Cは、響板として、筐体60の正面板及び背面板を含むことができる。
【0052】
このような第3実施形態に係るスピーカー装置1Cは、第1実施形態のスピーカー装置1Aと同様な作用効果を奏する。スピーカー装置1Cでは、キャビネット30の振動が増強される。スピーカー装置1Cでは、キャビネット30の振動が筐体60の底板62に伝達されて、底板62を振動させることができる。同様に、筐体60の一対の側面板61、天板63、正面板、及び背面板を振動させることができる。響板51C,52C、及び53Cを有する筐体60は、伝達される振動を音に変えることができ、低音域の音を再生させやすい。その結果、スピーカー装置1Cでは低音域の音量を大きくできる。
【0053】
図5は、第4実施形態に係るスピーカー装置1Dの断面図である。スピーカー装置1Dは、プッシュボタン型スピーカー装置である。スピーカー装置1Dの説明において、前述の実施形態と同様の説明は省略する。
【0054】
スピーカー装置1Dは、スピーカーユニット10とキャビネット30とボタン70とを備える。スピーカー装置1Dは、パチンコ又はパチスロ等の遊技機に設置され、遊技者による入力操作に使用される。遊技者がボタン70を押すことによって、機器に対して入力操作が実行される。ボタン70は、図示しないセンサー等を含む。センサーは、遊技者によるボタンの押し込み動作を検出できる。
【0055】
ボタン70は、スピーカーユニット10の上方に配置される。ボタン70は、カバー71を有する。カバー71は、スピーカーユニット10の放音面を覆うように配置される。カバー71は、上方に膨らむように形成される。カバー71のキャビネット30側の端部にはフランジ部72が設けられる。
【0056】
カバー71のフランジ部72は、キャビネット30のフランジ部33上に配置される。カバー71のフランジ部72は、キャビネット30のフランジ部33に対して固定される。カバー71は、キャビネット30のその他の部位に取り付けられてもよい。カバー71は、キャビネット30の開口部に嵌るものでもよい。カバー71には貫通孔が設けられていてもよい。これにより、スピーカーユニット10から出力された音が貫通孔を通じて、スピーカー装置1Dの外部に伝達される。
【0057】
キャビネット30は、軸線O方向において、背面板32の外側に配置された支持部材73によって支持される。支持部材73は、例えば圧縮コイルばね等の弾性体でもよい。支持部材73は、ベース板74上に配置され、キャビネット30を下方から支持される。弾性体である支持部材73によって支持されたキャビネット30は、軸線O方向に変位可能である。
【0058】
スピーカー装置1Dは、キャビネット30の外部に設けられた振動伝達部材50Dとしてボタン70のカバー71を有する。カバー71は、キャビネット30から伝達される振動を音に変える響板51Dとして機能する。
【0059】
このような第4実施形態に係るスピーカー装置1Dは、スピーカー装置1Aと同様の作用効果を奏する。スピーカー装置1Dでは、キャビネット30の振動が増強される。スピーカー装置1Dでは、キャビネット30の振動がボタン70のカバー71に伝達されて、カバー71を振動させることができる。響板51Dであるボタン70のカバー71は、伝達される振動を音に変えることができ、低音域の音を再生させやすい。スピーカー装置1Cでは低音域の音量を大きくできる。
【0060】
スピーカー装置1Dは、音を出力するとともに、キャビネット30及びボタン70を振動させることができるので、遊技者は、音とともに振動を体感することができる。これにより、スピーカー装置1Dが設置される遊技機の興趣の向上を図ることができる。
【0061】
なお、前述した実施形態は、本開示の代表的な形態を示したに過ぎず、本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加が可能である。
【0062】
前述の実施形態では、スピーカー装置1Aは、バネ部材41Aとして板バネ42を備える構成としているが、バネ部材41Aは、板バネ42に限定されない。バネ部材41Aは圧縮コイルばね等その他のバネ部材でもよい。板バネ42としては、皿バネ等が挙げられる。
【0063】
前述の実施形態では、スピーカー装置1Aは、振動伝達部材50Aとして響板51Aを備える構成としているが、振動伝達部材50Aは響板51Aに限定されず、その他の部材でもよい。振動伝達部材50Aは、板状の部材でもよく、棒状、ブロック状、リング状等その他の形状を有する部材でもよい。振動伝達部材50Aは、低音域の音を補強するものに限定されず、低音域の音を補強しなくてもよい。振動伝達部材50Aは、振動を音に変えるものに限定されず、振動を音に変えなくてもよい。
【0064】
前述の実施形態では、響板51Aがキャビネット30の背面板32に固定されているが、響板51Aは、背面板32に固定されるものに限定されない。響板51Aは、側面板31に固定されてもよく、キャビネット30のその他の部位に取り付けられる。例えば、スピーカーユニット10の上方に天板を備えるキャビネット30において、響板51Aが天板に固定されていてもよい。
【0065】
前述の実施形態では、響板51Aは、背面板32と平行に配置されているが、響板51Aは背面板32と平行に配置されるものに限定されない。響板51Aは、背面板32に対して交差するように配置されて背面板32に取り付けられていてもよい。
【0066】
前述の実施形態では、響板51Aは、キャビネット30に直接取り付けられているが、響板51Aは、キャビネット30に直接取り付けられるものに限定されない。響板51Aは、キャビネット30の振動を伝達可能な他の振動伝達部材50Aを介して、キャビネット30に取り付けられていてもよい。
【0067】
前述の実施形態では、スピーカーフレーム4のフランジ部23の外径がキャビネット30のフランジ部33の内径より小さいが、スピーカーフレーム4のフランジ部23の外径は、キャビネット30の内径より大きくてもよい。スピーカー装置1Aは、軸線O方向から見た場合に、スピーカーフレーム4のフランジ部23と、キャビネット30のフランジ部33とが重なるように配置される構成でもよい。この場合には、軸線O方向において、スピーカーフレーム4のフランジ部23と、キャビネット30のフランジ部33との間に、バネ部材41及び密封部材43が配置されてもよい。
【0068】
前述の実施形態では、軸線O方向において、バネ部材41の外側に密封部材43が配置されているが、密封部材43が内側に配置され、密封部材43の外側にバネ部材41が配置されてもよい。
【0069】
前述の実施形態では、バネ部材41Aは、スピーカーフレーム4のフランジ部23に接続されているが、バネ部材41Aは、スピーカーユニット10のその他の部位に接続されてもよい。バネ部材41Aは、スピーカーフレーム4のコーン部分21の外面に接続されていてもよい。
【0070】
前述の実施形態では、バネ部材41Aは、キャビネット30のフランジ部33に接続されているが、バネ部材41Aは、キャビネット30のその他の部位に接続されていてもよい。バネ部材41Aは、キャビネット30の側面板31に接続されていてもよい。
【0071】
前述の実施形態において、スピーカー装置1C及び1Dは、バネ部材41A及び密封部材43を備える構成としているが、スピーカー装置1C及び1Dは、バネ部材41A及び密封部材43に代えて、バネ部材41Bを兼ねる密封部材44を備える構成でもよい。
【符号の説明】
【0072】
1A,1B,1C,1D…スピーカー装置、2…振動板、4…スピーカーフレーム、5…磁気回路、6…ボイスコイル、10…スピーカーユニット、30…キャビネット、32…背面板、41A,41B…バネ部材、42…板バネ、43,44…密封部材、50A,50C,50D…振動伝達部材、51A,51C,51D,52C,53C…響板。
図1
図2
図3
図4
図5