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<図1>
  • 特許-キャップ 図1
  • 特許-キャップ 図2
  • 特許-キャップ 図3
  • 特許-キャップ 図4
  • 特許-キャップ 図5
  • 特許-キャップ 図6
  • 特許-キャップ 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/04 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
B65D41/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020169752
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2022061675
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】三田 とも子
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-226343(JP,A)
【文献】特開2000-062817(JP,A)
【文献】特開2015-151132(JP,A)
【文献】特開2003-246395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/04
B65D 51/24
B67B 1/00- 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部を封止するキャップであって、キャップ高さ方向での一部に、キャップ周壁の外周形状を多角形にした多角柱部を有し、
前記キャップ周壁は、キャップ高さ方向に、前記多角柱部と、キャップ周壁の外周面周りに複数のローレットを配置してなるローレット部とに分かれており、多角柱部は、前記ローレット部の上部であってキャップ頂部側に位置し、
前記多角柱部と前記ローレット部との高さ寸法比率は、1対2から1対3の範囲であることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記多角柱部の側面それぞれは立面であってキャップ中心軸に対して平行に配置され、かつ、キャップ径方向に対向位置する側面は平行に配置されている請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記多角柱部の平面視形状は、六角形または八角形である請求項1または2に記載のキャップ。
【請求項4】
キャップ径方向に対向して平行に配置された前記側面の対向間隔は、ローレット部におけるキャップ周壁の外径寸法以下である請求項2に記載のキャップ。
【請求項5】
前記キャップは、掴み動作する把持手段で把持可能とされているものであって、
前記多角柱部の側面それぞれは、キャップを掴んで搬送する前記把持手段の把持面と対応する平坦面である請求項2に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部にねじ付けて容器の口部を閉じるキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、シャンプーやリンス、液体洗剤などを容器に収容した商品では、環境保護の観点や容器廃棄時の減容化の観点から、詰め替え用としてフレキシブルなシートを貼り合わせたパウチ容器を用いた製品が増えている。
【0003】
中でも、大容量のパウチ容器は、合成樹脂製の注出口具とこの注出口具にねじ付けして封止を行なうキャップ(スクリュータイプのキャップ)とが取り付けられていて、キャップを備えているので、相手容器に複数回の詰め替えが可能である。
【0004】
また、パウチ容器は、ゼリー飲料などの飲料商品を収容する容器としても採用されていて、同様に注出口具(吸い口)とこの注出口具にねじ付けして封止するキャップとが取り付けられている。
【0005】
詰め替え用や飲料商品を収容するパウチ容器に取り付ける注出口具は口径が比較的小さく、キャップも同様に小形である。そのため、キャップには、開閉栓を行なうときに指先の掛かりを良くするために工夫が色々提案されており、小形のキャップに限定されるものではないが、例えば、キャップ周壁の外周に複数の突条からなるローレットを配置してキャップ周壁全体をローレット部とする工夫がある。
【0006】
さらに、開閉栓の操作を行なうときに指掛かりを良くする他の工夫として、特許文献1では、ペットボトルのキャップの平面視形状を多角形にすることが挙げられていて、指が滑らずに小さな力でキャップを開栓できるという利便性や容易性が示されている。また、この特許文献1では、多角形の部分の平面に、点字を設けることができるという利便性があることも示している。
【0007】
ペットボトル商品などの製造ラインで、キャップを適正に把持する技術に関しては、ライン中の機器に工夫が施されている。例えば、機械によりキャップを把持する技術の一つに、ペットボトルの口部(注出口)を封止するキャップ巻き締め装置のキャップグリップがある。特許文献2に示されているようにキャップグリップでは、フィーダーからのキャップをその下面側を除いて全体的に包み込むようにして、順次送られてくるペットボトルの口部の上部まで搬送するようにしている。
【0008】
そして、キャップグリップではキャップ全周を三本爪または四本爪の係止爪で掴んでおり、回転しながらキャッピングを行ない、所定の回転の後にキャップを開放してキャップグリップ全体が上方移動し、ペットボトルから離れるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2009-007065号公報
【文献】実開平06-018296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記キャップは合成樹脂成形品であり、パウチ容器本体や注出口具、そしてペットボトル本体とは別成形されるものである。そして、キャップ自体は、各種の検査を経て品質を均一化した製品として出荷されており、パウチ容器やペットボトル容器の充填ラインにこれらのキャップが連続的に供給されて、パウチ容器の注出口具やペットボトル容器の口部にねじ付けされる。
【0011】
ところで、製造業の内、プラスチック成形現場においては、労働力人口の減少、作業者の高年齢化などの要因で、プラスチック成形事業に従事する作業者への負担が重く、事業継承の問題も表面化してきている。
【0012】
キャップ製造も上記プラスチック成形事業の内に含まれる。このキャップの成形工程では、検査員が製品の外観検査、重量測定、寸法測定、機能検査などを定期的に抜き取って行ない、また出荷前にも様々な検品作業を行なっている。
【0013】
このような各種の測定検査作業や検品作業を行なう作業者の負荷を軽減しながら品質の確認をするために、成形プロセスデータを監視する装置や外観検査機などを導入することも増えてきており、検査の機械化が進められている。
【0014】
ライン検査機などでは、キャップをコンベヤで搬送して検査作業を行なうが、寸法検査や重量検査、機能検査までを全て行なおうとすると、各検査装置の下へ成形品を一つずつ摘まんで搬送することが求められる。そして、それらを実現するためには、多軸ロボットなどを活用することが予想される。
【0015】
自動車部品や家電、OA機器向けの部品の成形を行なう製造ラインでの検査では、検査対象の部品に摘み持つことができる部分があるので、部品を多軸ロボットなどのグリップで掴むことは比較的容易と考えられる。
【0016】
しかしながら、上記パウチ容器の注出口具に取り付けるキャップのような小形の成形品については、ユーザビリティが重視され、自動検査ロボットが掴み易いような設計はなされていない。その点を以下に説明する。
【0017】
具体的には、キャップを一個ずつ多軸ロボットで検査機の下や検査位置へ搬送する場合、多軸ロボットの作業部に配したアクチュエーターに、キャップをクランプするためのチャックハンドを設け、起立置きしたキャップを両側から挟んで移動させる方法がある。
【0018】
図5(a)、(b)に示すように既存のキャップaの形状としては、キャップ周壁bの外周面に縦の突条となるローレットcを複数にして設けていて、キャップ周壁全体をローレット部dにして指が滑ることなく開閉栓ができる形状となっている。
【0019】
そして、キャップ周壁bが高さ方向上方に向けてキャップ中心軸側に傾斜しており、ローレットcを含めてローレット部dが高さ方向上方に向けて縮径するテーパー状に設けられている。
【0020】
しかし、既存のキャップaでは、ローレット部dの両側からチャックハンドeで挟む場合、ローレットcに当たった状態で挟むことになる。そして、図7の矢印A部で示すようにチャックハンドeの把持面fの下縁gとローレットcの稜線部hの一部とが当接する状態となって、チャックハンドeとローレットcとが局所でしか点接触しない。また、図7の矢印B部で示すように、ローレットcとチャックハンドeの把持面fの上縁i側との間に隙間jが生じてしまう。よって、チャックハンドeの把持状態は不安定になってしまう。
【0021】
また、接触部分が少ないことにより、掴んだ時にキャップaを落とすことがないようにチャック圧が必要となり、強く掴み過ぎることでキャップが変形する可能性があるという不具合がある。
【0022】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、多軸ロボットなどの作業部に取り付けたチャックハンドが、小形のキャップを確実に掴むことができるようにすることを課題とし、キャップ検査時の搬送を機械化して製品検査に係る労務を軽減することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、容器の口部を封止するキャップであって、キャップ高さ方向での一部に、キャップ周壁の外周形状を多角形にした多角柱部を有し、前記キャップ周壁は、キャップ高さ方向に、前記多角柱部と、キャップ周壁の外周面周りに複数のローレットを配置してなるローレット部とに分かれており、多角柱部は、前記ローレット部の上部であってキャップ頂部側に位置し、前記多角柱部と前記ローレット部との高さ寸法は、1対2から1対3の範囲であることを特徴とするキャップを提供して、上記課題を解消するものである。
【0025】
た、本発明において、前記多角柱部の側面それぞれは立面であってキャップ中心軸に対して平行に配置され、かつ、キャップ径方向に対向位置する側面は平行に配置されていることが良好である。
【0026】
た、本発明において、前記多角柱部の平面視形状は、六角形または八角形であることが良好である。
【0027】
た、本発明において、キャップ径方向に対向して平行に配置された前記側面の対向間隔は、ローレット部におけるキャップ周壁の外径寸法以下であることが良好である。
【0028】
た、本発明において、前記キャップは、掴み動作する把持手段で把持可能とされているものであって、
前記多角柱部の側面それぞれは、キャップを掴んで搬送する前記把持手段の把持面と対応する平坦面であることが良好である。
【発明の効果】
【0029】
発明によれば、キャップに多角柱部が設けられているので、アーム先端に把持手段を設けた多軸ロボットを利用してキャップを掴んで搬送する場合に、前記把持手段の把持面を多角柱部の側面にあてがうようにすることで、把持手段とキャップ周壁との接触面積を広く確保できるようになる。
【0030】
そのため、前記多軸ロボットなどが備える把持手段でキャップを掴んで搬送する機械搬送が、従来のキャップのローレット部を掴んで搬送する場合に比べて極めて安定して実施できる。
【0031】
また、把持手段が掴む部分として多角柱部を設定し、把持手段側の把持面と多角柱部の側面との面同士で接触させるようにすることで、把持手段がキャップを把持したときに発生しがちな変形や傷などを生じさない。よって、合成樹脂製のキャップの成形工程以降での不良発生を無くすことができる。
【0032】
また、キャップ周壁は多角柱部だけではなく、人がキャップの開け閉め操作をするときに指が滑らないようにするローレット部も有しているので、人がキャップを開け閉めするときにも確実にキャップを回転させることができる。
【0033】
さらに、従来のキャップに比べてキャップ周壁の一部にローレットを存在させない形状となるため、キャップ成形に係る樹脂量を削減できるとともに、軽量化できる。よって、キャップの製造コストを下げることができる。
【0034】
加えて、多軸ロボットを用いた自動検査装置などへの適性を考慮したキャップとなり、プラスチック成形工程の省人化を図ることができる。
【0035】
また、多角柱部がキャップ頂部側に位置しているので、検査前のテーブルなどにキャップを起立置き(キャップ頂部を上にし、キャップ下部側の開口部を下にした置き方)すれば、多角柱部を上にしてキャップを並べることができるようになる。
【0036】
そして、キャップ頂部側に多角柱部が位置することで、把持手段をキャップに向けて移動させる空間を広く確保して、把持手段が移動させる設定の自由度が高くなるという効果がある。
【0037】
さらに、キャップ頂部は天面として閉じた天壁部分であるため、容器の口部などを差し入れる開放部分が存在するキャップ下部に比較してキャップ径方向での強度が高い。よって、このキャップ頂部側に多角柱部を配しても、多軸ロボットの作業アームに取り付けられる把持手段の掴みに抗する強度の確保が容易であり、把持手段で多角柱部を掴んでも変形が生じないという利点がある。
【0038】
また本発明によれば、多角柱部の側面それぞれはキャップ中心軸に平行であり、キャップを起立置きしたときに側面それぞれが上下に立つ面となるようにしている。そして、キャップ中心軸を間にして対向する側面の組のそれぞれにおいて、その側面が平行に相対するように配置されている。
【0039】
このように多角柱部の側面が上下に立つ起立面となる平面形状であり、対向する位置の関係にある側面が平行であるので、キャップを掴む把持手段にあっては、平行開閉する機構が簡易で安価なタイプのものから多指ハンドタイプのものなど、各種のタイプの把持手段を採用できる。
【0040】
また本発明によれば、多角柱部の平面視形状が、六角形または八角形であるので、上記把持手段でキャップを掴む方向が6方向、8方向となり、把持手段を多角柱部に近付ける方向が多くなるという利点がある。
【0041】
また本発明によれば、多角柱部において平行な側面の対向間隔が、ローレット部のキャップ周壁の外径寸法以下としている。これによって、把持手段にて適正に掴むことができるキャップ周壁の肉厚を確保しながら、キャップ周壁からローレットを省いてキャップ成形に係る樹脂量を削減できるとともに、軽量化できる。
【0042】
また本発明によれば、多角柱部の側面を平坦面としているので、上記把持手段のグリップ圧を高めなくとも確実にキャップを掴むことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明に係るキャップでの多角柱部を八角形にした例を示すもので、(a)はキャップ頂部側から見た状態を示す説明図、(b)は側方から見た状態で示す説明図である。
図2】多角柱部を六角形とした例を示すもので、(a)はキャップ頂部側から見た状態を示す説明図、(b)は側方から見た状態で示す説明図である。
図3】多角柱部を八角形としたキャップを把持手段が把持する状態を示すもので、(a)は上方から見た状態で示す説明図、(b)は側方から見た状態で示す説明図、(c)は他の側方から見た状態で示す説明図である。
図4】多角柱部を六角形としたキャップを把持手段が把持する状態を示すもので、(a)は上方から見た状態で示す説明図、(b)は側方から見た状態で示す説明図、(c)は他の側方から見た状態を示す説明図である。
図5】従来のキャップを示すもので、(a)はキャップ頂部側から見た状態を示す説明図、(b)は側方から見た状態で示す説明図である。
図6】従来のキャップを把持手段が把持する状態を示すもので、(a)は上方から見た状態で示す説明図、(b)は側方から見た状態で示す説明図である。
図7】同じく従来のキャップを把持手段が把持する状態を示すもので、(a)他の側方から見た状態で示す説明図、(b)はA部とB部とを拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
つぎに本発明を図1から図4に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。図中1は注出口具やボトル口に取り付けて封止するための合成樹脂製のキャップであり、キャップ1は、キャップ本体2を不図示の注出口具やボトル口部にキャッピングしてから、キャップ本体2を開栓方向に回転させたときに、注出口具やボトル口部に設けられた段部に係止する環状のバンド3を有している。
【0045】
そしてキャップ1は、開栓方向に回転を続けることでバンド3が注出口具側やボトル口部側に残るようにしたものであり、成形した時点でのキャップ1は、図1(b)に示すようにキャップ本体2の下部に破断可能なブリッジ4を介してバンド3が連接されている。
【0046】
(キャップ周壁)
キャップ本体2は、キャップ頂部5の周辺から下方にキャップ周壁6が連続していて、キャップ周壁6の内周には、注出口具やボトル口部の外ねじに対応する不図示の内ねじが設けられている。
【0047】
(ローレット部)
図1(b)の側方から見た状態で示すように、キャップ周壁6は、キャップ高さ方向にしてキャップ頂部5側に位置する多角柱部7とローレット部8とに分かれている。ローレット部8は、多角柱部7との境界となる高さ位置からキャップ周壁6の下端となる高さ位置までに亘る縦方向にして、かつ外方に向けて凸となる複数のローレット9をキャップ周壁6の外周面周りに間隔を置いて位置させることで形成されている。
【0048】
このローレット部8でのキャップ周壁6はキャップ高さ方向で上方に行くに従ってキャップ中心軸側に近付くように傾斜している。そして、ローレット9もキャップ周壁6の外面の傾斜に沿ってキャップ中心軸側に傾斜しており、ローレット部8全体では上方に向けて徐々に縮径するテーパー形状に設けられている。
【0049】
(多角柱部)
多角柱部7は、キャップ周壁6の周方向にそれぞれ立面である複数の平坦面を並べてキャップ周壁6の外周形状を多角形にしており、平坦面それぞれをキャップ中心軸に対して平行で起立した側面10にして、柱状に形成されている。図1(a)に示したキャップ1の多角柱部7は、平面視形状を八角形としている例である。
【0050】
そして、多角柱部7の平面視形状の八角形は、正八角形を呈するように形成されており、よって、キャップ径方向に対向位置する側面10は平行に配置された状態となっている。なお、多角柱部7の中心とキャップ中心軸の位置とは一致しており、平行の組となる側面10は、キャップ中心軸を間にして平行に対向する。
【0051】
側面10それぞれは、キャップ1を掴んで搬送する後述の把持手段の把持面と対応する平坦面である。そして、人の指先で掴む場合と異なって多軸ロボットなどの作業アームの先端に取り付けられる把持手段で多角柱部7を掴むものであるので、平坦面である側面10それぞれは、平滑度が高められた面に仕上げる必要はない。例えば、各側面10は、表面積の60%以上が平面として形成されていれば、多少の凹凸があっても把持手段の把持面に対応して滑り無く適正に接する平面とみなす。
【0052】
図1(a)で示す符号11は、平行な位置関係の配置となるように設けられた側面10の対向間隔であり、符号12は、ローレット部8におけるキャップ周壁6の外径寸法である。そして、図示の一例のキャップ1において、側面10の最大の対向間隔11は、ローレット部9におけるキャップ周壁6の前記外径寸法12以下となるように設けられている。
【0053】
特にローレット部8は、上述したように上方に向けて先細りするテーパー形状であり、このテーパー形状を呈するローレット部8の上部に多角柱部7が位置している。上記側面10の最大の対向間隔11は、ローレット部8におけるキャップ周壁6の最小の外径寸法12以下となるようにしている。また、多角柱部7の平面視形状で示される多角形(八角形)において、対角線の最大長さ13も、最小の外径寸法12以下となるようにしている。
【0054】
このように最大の対向間隔11をローレット部8におけるキャップ周壁6の外径寸法12以下にすること、また、多角柱部7の対角線最大長さ13を前記外径寸法12以下とすることで、多角柱部7を掴む後述の把持手段を小形のものとすることができる。
【0055】
なお、外径寸法12に対向間隔11を近付けること、そして、外径寸法12に正多角形での対角線最大長さ13を一致、または近付けることは、多角柱部7でのキャップ周壁6の肉厚を確保する上で有利である。
【0056】
(平面視形状-六角形)
図1においては、多角柱部7がその平面視形状において正八角形となる例を示しているが、多角柱部7は平面視形状が八角形に限定されない。例えば、図2に示すように平面視形状において正六角形となるものであってもよい。
【0057】
図2(a)はキャップ1をキャップ頂部5側から見た状態を示し、図2(b)は側方から見た状態を示している。図2に示した例は、多角柱部7の平面視形状が正六角形である点のみで図1で示した例と異なっており、その他は同じである。
【0058】
なお、多角柱部7をその平面視形状が正六角形となるキャップ1においては、多角柱部7でのキャップ周壁5の肉厚を確保し難くなることもある。その場合には多角柱部7を正八角形の形状にするキャップ1とすればよい。
【0059】
(把持手段)
図3は、多角柱部7が八角形(平面視形状)であるキャップ1を把持手段14で掴む状態を示している。把持手段14は、多軸ロボットの作業アームの先端に取り付けられているものである。例えば、多軸ロボットは、製造工程を終えたキャップ1それぞれを検査エリアに搬送する動作をし、把持手段14がキャップ1を掴んで検査エリアに運ぶように設けられている。
【0060】
把持手段14は、図3に示すようにアクチュエーター15と平行開閉型のチャックハンド16とからなるものである。そして、キャップ1を把持手段14が掴むにあたっては、チャックハンド16での把持面の間隔を、八角形の多角柱部7における側面10の対向間隔11より大きくなるように広げて、その状態で、広げたチャックハンド16の間(把持面の間)にキャップ1の多角柱部7が位置するように把持手段14が移動する。
【0061】
なお、このとき、チャックハンド16の把持面17と多角柱部7の側面10とは平行となるように、不図示の作業アームの動きが制御される。また、図3(a)において、対向間隔11より大きく広がって待機状態としているチャックハンド16を、一点鎖線で示している。
【0062】
この後、チャックハンド16が閉じる動作をし、把持面17が側面10に面接触する状態で多角柱部7を掴む。そして、チャックハンド16が閉じて把持手段14が多角柱部7を掴んだ状態でキャップ1の検査機器側などに向けた搬送が行なわれる。キャップ1の開放に関しても、予め多軸ロボットに設定されている動きによって所定位置にキャップ1を起立置きした状態にして置き、その後にチャックハンド16が開いて、把持手段14が待機位置へ移動する。
【0063】
図4は多角柱部7が六角形(平面視形状)であるキャップ1を把持手段14で掴む状態を示している。上述した多角柱部7が八角形のキャップ1を搬送する場合との違いは、チャックハンド16が挟む対象が六角形の多角柱部7となる点であり、それ以外については同様である。
【0064】
合成樹脂製のキャップ1を掴む把持手段14のチャックハンド16について、材質は限定されるものではなく、ステンレスなどの金属材や樹脂材を用いることができる。
【0065】
キャップ1での高さ方向において、多角柱部7とローレット部8との高さ寸法比率は、多角柱部7における側面10それぞれでチャックハンド16の把持面17の高さ寸法分を確保することを条件として、1対2から1対3程度が望ましい。
【0066】
また、多角柱部7の形状(平面視形状)に関しては、側面10とチャックハンド16の把持面17との接触面積を十分に確保する上で、上述した六角形から八角形が望ましい。
【符号の説明】
【0067】
1…キャップ
2…キャップ本体
3…バンド
5…キャップ頂部
6…キャップ周壁
7…多角柱部
8…ローレット部
9…ローレット
10…側面
14…把持手段
15…アクチュエーター
16…チャックハンド
17…把持面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7