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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電子制御式機械時計
(51)【国際特許分類】
   G04C 3/14 20060101AFI20240730BHJP
   G04B 31/02 20060101ALI20240730BHJP
   G04B 13/02 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G04C3/14 L
G04B31/02
G04B13/02 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020169796
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2022061699
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】林 茂之
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-128272(JP,U)
【文献】特開2009-258038(JP,A)
【文献】特開2013-88179(JP,A)
【文献】特開2016-166869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00-99/00
G04B 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端にほぞを有する回転軸と、前記回転軸に設けられ、ぜんまいからのトルクが伝達さ
れるかなと、前記回転軸に取り付けられたローター磁石とを備え、前記トルクで回転する
ローターと、
地板に固定された枠体と、前記枠体に固定されて前記回転軸の一方のほぞが挿通される
貫通孔を有する穴石と、前記枠体内に配置された受石と、前記受石を押さえる押さえバネ
と備え、前記一方のほぞを軸支する軸受と、
前記回転軸に取り付けられて、前記ローターが前記軸受側に移動した際に前記穴石に当
接する当接部を有するストッパーと、を備え
前記ストッパーの前記穴石に対向する対向面は平面円形とされ、
前記当接部は、前記対向面の外周に沿ってリング状に形成されている
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項2】
請求項1に記載の電子制御式機械時計において、
前記当接部と前記穴石との隙間をA、
前記枠体と前記受石との係合量をB、
前記ほぞの先端と前記受石との隙間をCとしたときに、
B>A-Cである
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子制御式機械時計において、
前記穴石は、前記回転軸の軸方向に直交する平坦面を備え、
前記当接部は、前記平坦面に対向している
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の電子制御式機械時計において、
前記ストッパーは、前記ローター磁石を固定する磁石固定座を兼用している
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項5】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の電子制御式機械時計において、
前記回転軸の他方のほぞを軸支する第2軸受を有し、
前記第2軸受は、輪列受に固定された第2枠体と、前記第2枠体に固定された第2穴石
と、前記第2枠体内に配置された第2受石と、前記第2受石を押さえる第2押さえバネと
を備え、
前記回転軸は、前記ローターが前記第2軸受側に移動した際に前記第2穴石に当接する
第2ストッパーを備える
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項6】
請求項に記載の電子制御式機械時計において、
前記ローターは、前記回転軸に取り付けられたローター慣性板を有し、
前記第2ストッパーは、前記ローター慣性板に設けられている
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項7】
両端にほぞを有する回転軸と、前記回転軸に設けられ、ぜんまいからのトルクが伝達さ
れるかなと、前記回転軸に取り付けられたローター磁石とを備え、前記トルクで回転する
ローターと、
地板に固定された枠体と、前記枠体に固定されて前記回転軸の一方のほぞが挿通される
貫通孔を有する穴石と、前記枠体内に配置された受石と、前記受石を押さえる押さえバネ
と備え、前記一方のほぞを軸支する軸受と、
前記回転軸に取り付けられて、前記ローターが前記軸受側に移動した際に前記穴石に当
接する当接部を有するストッパーと、を備え、
前記ストッパーは、前記ローター磁石を固定する磁石固定座を兼用している
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項8】
両端にほぞを有する回転軸と、前記回転軸に設けられ、ぜんまいからのトルクが伝達さ
れるかなと、前記回転軸に取り付けられたローター磁石とを備え、前記トルクで回転する
ローターと、
地板に固定された枠体と、前記枠体に固定されて前記回転軸の一方のほぞが挿通される
貫通孔を有する穴石と、前記枠体内に配置された受石と、前記受石を押さえる押さえバネ
と備え、前記一方のほぞを軸支する軸受と、
前記ローターが前記軸受側に移動した際に前記穴石に当接する当接部を有するストッパ
ーと、を備え、
前記ローターは、前記回転軸に取り付けられたローター慣性板を有し、
前記ストッパーは、前記ローター慣性板に設けられている
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項9】
両端にほぞを有する回転軸と、前記回転軸に設けられ、ぜんまいからのトルクが伝達さ
れるかなと、前記回転軸に取り付けられたローター磁石とを備え、前記トルクで回転する
ローターと、
地板に固定された枠体と、前記枠体に固定されて前記回転軸の一方のほぞが挿通される
貫通孔を有する穴石と、前記枠体内に配置された受石と、前記受石を押さえる押さえバネ
と備え、前記一方のほぞを軸支する軸受と、
前記ローターは、前記軸受側に移動した際に前記穴石に当接する当接部を有し、
前記穴石は、前記貫通孔の周囲に配置され且つ前記ローター磁石側に開口する凹部と、
前記凹部の周囲に配置され且つ前記回転軸の軸方向に直交する平坦面と、を備え、
前記当接部は、前記平坦面に当接する、
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御式機械時計に関する。
【背景技術】
【0002】
ぜんまいなどから開放された機械エネルギーを電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーによって輪列を調速する電子制御式機械時計が知られている(例えば特許文献1参照)。
このような電子制御式機械時計では、ぜんまいにより輪列を介して駆動される磁石付きのローターと、ローターが回転可能に配置されるステーターと、ステーターの一部に巻き回されるコイルとを有する発電機が設けられている。ぜんまいから開放された機械エネルギーによって輪列が回転すると、この回転運動がローターに伝達されてローターが回転し、電磁誘導によってコイルに起電力が発生する。そして、この起電力によって制御回路を駆動し、ローターの回転速度を調速することにより、輪列に制動をかけて当該輪列を調速する。
前記ローターは、摺動部である軸に対して保油性を確保するために、穴石と受石を組み合わせ、受石を押さえる押さえばねを有する組合軸受で軸支されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-267979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ローターは、回転ムラを抑制するためにローター慣性板を備えるため、他の歯車よりも重量が重い。このため、回転軸方向に大きな衝撃が加わると受石を押し上げてしまう場合がある。例えば、携帯中に時計のカバーガラス面をぶつけたり、カバーガラス面を下にして時計を落下させた場合、軸受に対して大きな衝撃が加わる。この場合でも受石が外れない、押さえばねが破損しないなど対策が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の電子制御式機械時計は、両端にほぞを有する回転軸と、前記回転軸に設けられ、ぜんまいからのトルクが伝達されるかなと、前記回転軸に取り付けられたローター磁石とを備え、前記トルクで回転するローターと、地板に固定された枠体と、前記枠体に固定されて前記回転軸の一方のほぞが挿通される貫通孔を有する穴石と、前記枠体内に配置された受石と、前記受石を押さえる押さえバネと備え、前記一方のほぞを軸支する軸受と、前記回転軸に取り付けられて、前記ローターが前記軸受側に移動した際に前記穴石に当接する当接部を有するストッパーと、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の電子制御式機械時計を示す正面図である。
図2】電子制御式機械時計を示す裏面図である。
図3】電子制御式機械時計のムーブメントの要部を示す平面図である。
図4】電子制御式機械時計のムーブメントの要部を示す断面図である。
図5】電子制御式機械時計のムーブメントの要部を示す拡大断面図である。
図6】ローターの地板側の軸受を示す断面図である。
図7】ローターの地板側の軸受を示す断面図である。
図8】ローターの輪列受側の軸受を示す断面図である。
図9】ローターの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態の電子制御式機械時計1を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態の説明において、平面視とは、後述する秒針軸941の軸方向から見た状態を意味し、側面視とは、秒針軸941の軸方向に直交する方向から見た状態を意味する。
図1は電子制御式機械時計1を示す正面図であり、図2は電子制御式機械時計1の裏面図である。電子制御式機械時計1は、ユーザーの手首に装着される腕時計であり、円筒状の外装ケース2を備え、外装ケース2の内周側に、文字板3が配置されている。外装ケース2の二つの開口のうち、表面側の開口は、カバーガラスで塞がれており、裏面側の開口は裏蓋8で塞がれている。裏蓋8は、リング状の枠8Aと、枠8Aに取り付けられた裏蓋ガラス8Bとで構成されている。
【0008】
電子制御式機械時計1は、外装ケース2内に収容された図3および図4に示すムーブメント10と、図1に示す時刻情報を指示する時針4A、分針4B、秒針4Cとを備えている。また、裏蓋8の一部はムーブメント10を視認可能な裏蓋ガラス8Bで構成され、ぜんまいの巻上げ残量を指示するパワーリザーブ針5がムーブメント10の裏面側に設けられている。
文字板3には、カレンダー小窓3Aが設けられており、カレンダー小窓3Aから、日車6が視認可能となっている。また、文字板3には、時刻を指示するためのアワーマーク3Bが設けられている。
【0009】
図2に示す回転錘51の錘体512には、開口512Aが形成され、回転錘51の位置によってパワーリザーブ針5が視認できないことが少なくなるように構成されている。
後述する輪列受14の裏面には、扇形の目盛部14Aが設けられている。この目盛部14Aをパワーリザーブ針5が指示することで、ぜんまいの巻上げ残量を表示できる。
なお、パワーリザーブ針5は、輪列受14に形成された凹部14Bに配置されており、平面視において、重錘511と重ならない位置に配置され、かつ、側面視において輪列受14と重なる位置に配置されている。これにより、重錘511とパワーリザーブ針5とを電子制御式機械時計1の厚さ方向に並べて配置しなくても、重錘511とパワーリザーブ針5との干渉を防ぐことができる。
【0010】
外装ケース2の側面には、りゅうず7が設けられている。りゅうず7は、電子制御式機械時計1の中心に向かって押し込まれた0段位置から1段位置および2段位置に引き出されて移動することができる。
りゅうず7を0段位置で回転すると、ムーブメント10に設けた第1ぜんまいおよび第2ぜんまいを巻き上げることができる。電子制御式機械時計1は、第1ぜんまいおよび第2ぜんまいをフルに巻き上げた場合に、約120時間の持続時間を確保できる。
りゅうず7を1段位置に引いて回転すると、日車6を移動して日付を合わせることができる。りゅうず7を2段位置に引くと秒針4Cが停止し、2段位置でりゅうず7を回転すると、時針4A、分針4Bが移動して時刻を合わせることができる。りゅうず7による日車6や時針4A、分針4Bの修正方法は、従来の機械時計と同様であるため説明を省略する。
【0011】
[ムーブメント]
次に、ムーブメント10について図3図4を参照して説明する。なお、図3は、ムーブメント10の要部を裏蓋側から見た平面図であり、図4はムーブメント10の要部の断面図である。
ムーブメント10は、第1ぜんまいが収納される第1香箱車21および第2ぜんまいが収納される第2香箱車31を備える。時針4A、分針4B、秒針4Cは、図4に示すように、ムーブメント10の筒車97、筒かな921、秒針軸941にそれぞれ取り付けられ、ムーブメント10の第1ぜんまいおよび第2ぜんまいによって駆動される。
【0012】
ムーブメント10は、図4に示すように、地板11、二番受13、輪列受14を備えている。地板11と輪列受14との間には、第1香箱車21と、第2香箱車31と、第1ぜんまいおよび第2ぜんまいを巻き上げる手動巻上機構40および自動巻上機構50とが配置されている。また、地板11と二番受13、輪列受14との間には、第1ぜんまいおよび第2ぜんまいの巻上げ残量を表示するパワーリザーブ表示機構と、第1ぜんまいおよび第2ぜんまいのトルクを伝達する表示輪列90と、表示輪列90を介して伝達されるトルクで駆動される発電機80とが配置されている。
ここで、本実施形態では、回転錘51の重錘511と輪列受14とは、平面視において重ならない位置に配置され、かつ、側面視において一部が重なるように配置されている。そのため、重錘511と輪列受14とを、電子制御式機械時計1の厚さ方向に並べて配置した場合に比べて、電子制御式機械時計1の厚さを小さくすることができる。
【0013】
[第1ぜんまいおよび第1香箱車]
第1ぜんまいは、第1香箱車21に収納されている。第1香箱車21は、第1香箱22と、第1香箱真23を備えている。第1香箱真23には、第1香箱真23と一体に回転する第1角穴車24が取り付けられている。
【0014】
[手動巻上機構]
手動巻上機構40は、りゅうず7が取り付けられた巻真41と、つづみ車42と、きち車43と、丸穴車44と、角穴第1伝え車45と、角穴第2伝え車46と、角穴第3伝え車47とを備える。角穴第3伝え車47は、第1角穴車24に噛み合っている。
このため、利用者がりゅうず7を0段位置で回転操作すると、巻真41およびつづみ車42が回転する。りゅうず7が0段位置の場合、つづみ車42はきち車43に噛み合っており、つづみ車42の回転は、きち車43から丸穴車44、角穴第1伝え車45、角穴第2伝え車46、角穴第3伝え車47に順次伝達される。このため、第1角穴車24および第1香箱真23が回転し、第1ぜんまいが巻き上げられる。
【0015】
[自動巻上機構]
自動巻上機構50は、回転錘51と、ベアリング52と、偏心車53と、爪レバー54と、伝え車55とを備える。
回転錘51は、図2に示すように、重錘511と、重錘511を支持する錘体512とを備えている。
ベアリング52は、図3に示すように、回転錘51を回動自在に軸支し、外輪に回転錘51と一体で回転する回転錘歯車521を備える。
【0016】
偏心車53は、偏心歯車531と、偏心軸部材532とを備えている。偏心軸部材532は、地板11および輪列受14に軸支されている。
偏心歯車531は、ベアリング52の回転錘歯車521と噛み合っている。これにより、偏心車53は、回転錘51に連動して正逆両方向に回動する。
【0017】
爪レバー54は、偏心車53の偏心軸部材532の偏心軸部に対して回動自在に取り付けられている。
偏心車53が回転錘51に連動して回動すると、偏心車53に取り付けられた爪レバー54は、伝え車55に近づく方向および遠ざかる方向に進退運動し、伝え車55を一方向に回転する。
【0018】
伝え車55は、第1角穴車24に噛み合う歯車を備えて地板11および輪列受14に軸支され、爪レバー54の進退運動に連動して一方向に回転すると、第1角穴車24を回転する。第1角穴車24が回転すると、第1香箱真23が第1角穴車24と一体で回転し、第1ぜんまいが巻き上げられる。
したがって、本実施形態の電子制御式機械時計1は、りゅうず7を操作することによる手巻巻上げと、回転錘51の回動させることによる自動巻上げの両方で、第1ぜんまいを巻き上げることができる。
【0019】
[第2ぜんまいおよび第2香箱車]
第2ぜんまいは、第2香箱車31に収納されている。第2香箱車31は、第2香箱32と、第2香箱真を備えている。第2香箱真は、第2角穴車34と一体に回転可能とされている。
第2ぜんまいは、第1ぜんまいによって巻き上げられる。すなわち、第1ぜんまいが巻き上げられて第2ぜんまいを巻上げ可能なトルクが蓄積されると、第1香箱車21の第1香箱22が回転する。第1香箱22は、香箱中間車27を介して第2角穴車34に噛み合っており、第1香箱22が回転すると、第2角穴車34および第2香箱真が回転し、第2ぜんまいが巻き上げられる。
【0020】
したがって、本実施形態の電子制御式機械時計1では、手動巻上機構40および自動巻上機構50のいずれによっても第1ぜんまいおよび第2ぜんまいを巻き上げることができる。なお、電子制御式機械時計1としては、手動巻上機構40または自動巻上機構50の一方のみを設けてもよい。
【0021】
[パワーリザーブ表示機構]
電子制御式機械時計1は、駆動源である第1ぜんまいおよび第2ぜんまいの巻上げ残量を表示するパワーリザーブ表示機構を備える。パワーリザーブ表示機構は、遊星歯車機構60と、パワーリザーブ輪列70と、パワーリザーブ針5とを備える。目盛部14Aには、パワーリザーブ針5が指示する略帯状の目盛が表記されている。なお、駆動源である第1ぜんまいおよび第2ぜんまいの巻上げ残量によって、電子制御式機械時計1の持続時間が推定できるため、目盛部14Aに持続時間を示す数字を印字すれば、パワーリザーブ針5で持続時間を指示させることができる。
【0022】
パワーリザーブ輪列70は、巻上げ表示輪列71と、巻戻し表示輪列76とを備える。
巻上げ表示輪列71は、第1角穴車24の回転に連動して回転する輪列であり、手動巻上機構40または自動巻上機構50で第1角穴車24が回転して第1ぜんまいが巻き上げられると、その回転を遊星歯車機構60に伝達するものである。このため、巻上げ表示輪列71は、遊星歯車機構60に噛み合うかな716Aが設けられた遊星伝え車716を含む複数の歯車で構成されている。なお、遊星伝え車716以外の歯車は図示を省略する。
【0023】
巻戻し表示輪列76は、遊星伝え車77、78を備え、第2香箱32が回転すると、遊星伝え車77、78は連動して回転する。遊星伝え車78は、遊星歯車機構60に噛み合うかな78Aを備える。
【0024】
遊星歯車機構60は、第1太陽車61と、第2太陽車62と、図示略の遊星中間車と、遊星中間車に回転自在に支持された図示略の遊星車とを備える。
この遊星歯車機構60は、巻上げ表示輪列71からの回転が伝達されると第1太陽車61のかな614を第1方向に回転し、巻戻し表示輪列76からの回転が伝達されると第1太陽車61のかな614を第1方向とは逆方向の第2方向に回転する。かな614には、かな614の回転をパワーリザーブ針に伝える図示略の巻印車が噛み合っている。このため、巻上げ表示輪列71からの回転が伝達されると、パワーリザーブ針は持続時間が長くなる方向に回転し、巻戻し表示輪列76からの回転が伝達されると、パワーリザーブ針は持続時間が短くなる方向に回転する。
【0025】
[発電機]
発電機80は、図3に示すように、ローター81およびコイルブロック88、89を備えて構成される。
コイルブロック88は、ステーター881にコイル882を巻回して構成され、コイルブロック89は、ステーター891にコイル892を巻回して構成されている。
したがって、発電機80は、外部からのトルクでローター81が回転すると、コイルブロック88、89によって誘起電力を発生し、電気エネルギーを出力してIC等に供給できる。また、コイル882、892をショートさせることで、ローター81にブレーキを加えることができ、ブレーキ力を制御することで、ローター81の回転周期を一定に調速できる。
このように、本実施形態の電子制御式機械時計1は、誘起電力を発生し電気エネルギーを出力する発電機80を備える。
【0026】
ローター81は、図5に示すように、回転軸82と、ローターかな83と、ローター磁石84と、ローター慣性板85と、ストッパー86とを備えている。ローター磁石84、ローター慣性板85、ストッパー86は、それぞれ回転軸82に取り付けられている。ローター慣性板85は、第2香箱32からの駆動トルク変動に対しローター81の回転数変動を少なくするための部品である。
【0027】
回転軸82の地板11側の端部には、第1ほぞ821が形成され、輪列受14側の端部には、第2ほぞ822が形成されている。回転軸82には、ぜんまいからのトルクが伝達されるローターかな83が一体に形成されている。また、回転軸82は、大径のフランジ823と、フランジ823から連続して形成された小径の軸部824とを備え、軸部824の先端に第1ほぞ821が設けられている。なお、軸部824の先端は、徐々に径が小さくなるテーパー状に形成され、第1ほぞ821に連続している。第1ほぞ821および軸部824の連続部分は曲面とされ、ローター81にラジアル方向の力が加わった場合でも第1ほぞ821が根元から折れることを防止できる。
【0028】
回転軸82の輪列受14側の端面825は、第2ほぞ822よりも大径とされている。また、端面825に連続する第2ほぞ822の根元部分は曲面とされ、ローター81にラジアル方向の力が加わった場合でも第2ほぞ822が根元から折れることを防止できる。
この端面825は、後述するように、ローター81が輪列受14側に移動した際に穴石220に当接する第2ストッパーとして機能する。
【0029】
ローター磁石84は、図6にも示すように、円柱状に形成され、中心に貫通穴841が形成されている。そして、ローター磁石84は、貫通穴841に軸部824が挿入され、フランジ823に当接する位置まで挿入されている。
【0030】
ストッパー86は、略円柱状に形成され、中心に貫通穴861が形成されている。そして、ストッパー86は、貫通穴861に軸部824を圧入することで軸部824に固定されている。これにより、ローター磁石84は、フランジ823と、ストッパー86とで挟持されて固定される。したがって、ストッパー86は、ローター磁石84を固定する磁石固定座を兼ねている。
図6にも示すように、ストッパー86の外周面において軸方向の中間部には、外周全周に渡って連続する凹部862が形成されている。このため、ローター磁石84に当接して固定する固定部863の直径は、凹部862に比べて大きくされている。
また、ストッパー86の第1ほぞ821側の端面864には、当接部865が形成されている。当接部865は、端面864の外周に沿って形成され、第1ほぞ821側に突設されている。このため、当接部865は、平面リング状に形成されている。当接部865の直径は、固定部863よりも小さいが、凹部862に比べて大きくされている。
【0031】
[表示輪列]
次に、第1ぜんまいおよび第2ぜんまいからの機械的エネルギーによって時針4A、分針4B、秒針4Cを駆動する表示輪列90について説明する。
表示輪列90は、二番車92、三番車93、四番車94、五番車95、六番車96を備えている。第2香箱32の回転は、二番車92へ伝達された後、三番車93、四番車94、五番車95、六番車96と順次増速され、ローター81へと伝達される。したがって、ローター81は、第1ぜんまい、第2ぜんまいから伝達されるトルクで回転する。
【0032】
二番車92には、筒かな921を介して分針4Bが固定されている。
四番車94は、秒針4Cが固定される秒針軸941と、五番車95と噛合う四番歯車942と、三番車93と噛合う四番かな943とを備える。本実施形態では、四番車94の秒針軸941は、輪列受14と、筒かな921を介して地板11とによって軸支されている。
筒かな921には図示しない日の裏車を介して筒車97が接続され、この筒車97に時針4Aが固定されている。
【0033】
以上の電子制御式機械時計1では、発電機80からの交流出力は、昇圧整流、全波整流、半波整流、トランジスター整流等からなる整流回路を通して昇圧、整流されて平滑用コンデンサーに充電され、このコンデンサーからの電力で発電機80の回転周期を制御する図示しない回転制御装置を作動させている。なお、回転制御装置としては、発振回路、分周回路、回転検出回路、回転数比較回路、電磁ブレーキ制御手段等を含む集積回路によって構成され、発振回路には水晶振動子が用いられる。
【0034】
[ローターの軸受]
次に、ローター81の軸受構造について、図5から図8を参照して説明する。
ローター81を軸支する軸受は、地板11に取り付けられた軸受100と、輪列受14に取り付けられた第2軸受200とを備えている。
【0035】
[軸受]
軸受100は、地板11に固定された枠体110と、枠体110に固定された穴石120と、枠体110内に配置された受石130と、受石130を押さえる押さえバネ140と備える。
【0036】
枠体110は、円盤状の保持部111と、保持部111の外周に連続するリング状の位置決め部112とを備える。保持部111の中心には貫通孔113が形成され、保持部111の時計表面側には、貫通孔113に連続する凹部114が形成されている。
凹部114は、貫通孔113の時計表面側の端部から軸部824の軸方向に直交する方向に形成された受け面部114Aと、受け面部114Aの外周から前記軸方向に形成されたガイド面部114Bとで構成されている。ガイド面部114Bは円周状に形成され、凹部114の開口面積は貫通孔113よりも大きくされている。
保持部111の時計表面側の開口の直径は、ガイド面部114Bよりも大きくされ、この開口から斜め外側に向かう溝116が形成されている。
【0037】
穴石120は、例えばルビーなどで形成されており、平面視略中央に貫通孔121が形成された略円盤状の部品である。貫通孔121には、回転軸82の第1ほぞ821が挿通されている。穴石120は、枠体110の貫通孔113に圧入固定され、回転軸82の第1ほぞ821を回転自在に軸支する。
穴石120において、ストッパー86に対向する底面122は、回転軸82の軸方向から見た平面視で中心部分が球面状の凹部122Aとされ、凹部122Aの周囲は平坦面122Bとされている。貫通孔121は、前記平面視で凹部122Aの中心位置に形成されている。
【0038】
受石130は、例えばルビーなどで形成された略円盤状の部品であり、平坦な底面131と、湾曲した表面132と、底面131および表面132間に設けられた外周面133とを備えている。受石130は、凹部114に配置され、底面122は第1ほぞ821の先端に対向している。なお、受石130の外周面133の直径は、貫通孔113より大きく、ガイド面部114Bよりも小さくされ、凹部114において、ガイド面部114Bに沿って回転軸82の軸方向に移動可能に配置されている。
【0039】
押さえバネ140は、例えば金属で形成された板バネ部材で構成され、外周端部が枠体110の溝116に保持され、内周端部が受石130の表面132に当接され、受石130を回転軸82側に付勢している。このため、受石130は、通常状態では、押さえバネ140によって付勢されて、底面131が受け面部114Aに当接されて位置決めされている。
【0040】
図6に示すように、ストッパー86の当接部865と、穴石120との隙間の寸法をA、ガイド面部114Bの高さ寸法つまり受石130と枠体110との係合量をB、第1ほぞ821の先端と受石130の隙間の寸法をCとしたときに、B>A-Cとされている。
例えば、A=0.07±0.025(mm)、B=0.11±0.01(mm)、C=0.025±0.015(mm)である場合、Amax=0.095mm、Bmin=0.10mm、Cmin=0.01mmである。したがって、B>A-Cを必ず満たすことができる。
【0041】
第2軸受200は、図5に示すように、枠体210と、穴石220と、受石230と、押さえバネ240とを備える。
枠体210は、枠体110の保持部111と同様の構成を備え、輪列受14に固定されている。
穴石220、受石230、押さえバネ240は、穴石120、受石130、押さえバネ140と同じ部品であるため、説明を省略する。
【0042】
[衝撃時の動作]
次に、電子制御式機械時計1を落下させた場合等、電子制御式機械時計1に衝撃が加わった場合の動作について説明する。
電子制御式機械時計1に衝撃が加わり、ローター81が地板11側に移動すると、図7に示すように、第1ほぞ821の先端が受石130に当接して受石130を付勢する。このため、押さえバネ140で付勢されている受石130は、第1ほぞ821で押されて時計表面側に移動する。ローター81がさらに地板11側に移動し、ストッパー86の当接部865が穴石120の平坦面122Bに当接すると、ローター81はそれ以上移動しない。したがって、電子制御式機械時計1に衝撃が加わっても、受石130が凹部114から外れる位置まで移動することを確実に防止できる。
一方、衝撃によってローター81に加わった力が解除されると、押さえバネ140による付勢力で受石130および第1ほぞ821が輪列受14側に移動し、ローター81は元の位置に戻る。
【0043】
また、電子制御式機械時計1に衝撃が加わり、ローター81が輪列受14側に移動すると、図8に示すように、第2ほぞ822の先端が受石230に当接して受石230を付勢する。このため、押さえバネ240で付勢されている受石230は、押さえバネ240の付勢力に抗して、第2ほぞ822で押されて裏蓋8側に移動する。ローター81がさらに裏蓋8側に移動すると、第2ストッパーである端面825が穴石220の凹部222Aに当接し、ローター81はそれ以上移動しない。したがって、受石230が枠体210の凹部214から外れる位置まで移動することを防止できる。
そして、衝撃によってローター81に加わった力が解除されると、押さえバネ240による付勢力で受石230および第2ほぞ822が地板11側に移動し、ローター81は元の位置に戻る。
【0044】
なお、軸受100および第2軸受200を地板11、輪列受14に固定する固定力は、ローター81が穴石120、220に衝突した場合に穴石120、220を介して枠体110、210に加わる衝撃力を受けることができる固定力とされている。同様に、穴石120、220を枠体110、210に固定した際の固定力も、ローター81が穴石120、220に衝突した場合に穴石120、220に加わる衝撃力を受けることができる固定力とされている。
【0045】
[実施形態の効果]
電子制御式機械時計1に衝撃が加わり、ローター81が地板11側に移動した場合に、ストッパー86が穴石120に当接することで、ローター81の移動を規制できる。このため、受石130が凹部114から外れたり、押さえバネ140が破損したり、輪列受14側の第2ほぞ822が穴石220から外れることを防止できる。
【0046】
ストッパー86において穴石120に当接する当接部865と穴石120との隙間をA、枠体110と受石130との係合量をB、第1ほぞ821の先端と受石130との隙間をCとしたときに、B>A-Cに設定しているので、受石130が枠体110の凹部114から外れる前に、ストッパー86が穴石120に必ず当接する。このため、受石130が枠体110の凹部114から外れることを確実に防止できる。特に、各寸法の設定で受石130の外れを防止でき、押さえバネ140の付勢力で受石130の外れを防止する必要が無いため、受石130の外れを確実に防止できる。
【0047】
ストッパー86の当接部865は、端面864の外周に沿って形成されて穴石120の平坦面122Bに対向している。このため、当接部865の直径を大きくでき、穴石120に対して広い面積で当てることができる。このため、当接部865において、単位面積当たりの荷重(圧力)を小さくでき、衝撃時の変形を抑制できる。
また、ストッパー86の当接部865は、穴石120の平坦面122Bに対向しているので、当接部865の全体を平坦面122Bに当接させることができる。このため、当接部865や穴石120に加わる荷重を分散でき、この点でも衝撃時の変形を抑制できる。
【0048】
ストッパー86の当接部865は、端面864の外周に沿って形成され、当接部865の内側は凹部とされているので、ストッパー86の重量を小さくできる。また、ストッパー86の外周面にも凹部862を形成しているので、ストッパー86をさらに軽量化できる。このため、ローター81を回転駆動させるためのエネルギーも抑制できる。
【0049】
ストッパー86は、ローター磁石84を固定する磁石固定座を兼用しているので、磁石固定座とストッパーとを別々の部品で構成する場合に比べて、部品数を少なくできて部品組立工数も削減できる。また、磁石固定座とストッパー86とを別部品とすると、組み立て時に部品間に隙間が生じる場合があり寸法精度が低下するが、本実施形態ではストッパー86が磁石固定座を兼用しているので寸法精度を向上できる。
さらに、ストッパー86において、固定部863の直径を大きくし、ストッパー86がローター磁石84に接触する面積を広くしたので、ストッパー86を回転軸82に圧入してローター磁石84に圧接した際の摩擦力を増加できる。このため、回転軸82に対してローター磁石84が回転することを防止できる。
【0050】
電子制御式機械時計1に衝撃が加わり、ローター81が輪列受14側に移動した場合に、回転軸82の端面825が凹部222Aに当接して第2ストッパーとして機能するので、ローター81の移動を規制できる。
このため、電子制御式機械時計1が裏蓋8側から落下した場合のように、ローター81が輪列受14側に移動する衝撃が加わった場合も、受石230が凹部214から外れたり、押さえバネ240が破損したり、地板11側の第1ほぞ821が外れることを防止できる。
【0051】
[他の実施形態]
なお、本開示は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、衝撃によりローター81が輪列受14側に移動した場合に穴石220に当接する第2ストッパーは、回転軸82の端面825で構成していたが、この構造に限定されない。例えば、ローターかな83の穴石220側に、穴石220に当接するストッパーを固定してもよい。
また、図9に示すローター81Aのように、ローター慣性板85Aの内周部分を円筒状に形成し、その穴石220側の端面に第2ストッパーとしての当接部855を形成してもよい。このような当接部855は、ストッパー86の当接部865と同様に、穴石220の平坦面222Bに当接するため、当接部865と同様にストッパーとして機能することができる。さらに、ローター慣性板85Aの一部に当接部855を形成すれば、ローター慣性板85Aとは別部材のストッパーを設ける場合に比べて部品数を少なくできる。
【0052】
ストッパー86の形状は前記実施形態に限定されない。例えば、ストッパー86では穴石120に対向する端面864の外周部にリング状に当接部865を設けていたが、端面864全体をフラットな平坦面とし、端面864全体を穴石120に当接する当接部としてもよい。
【0053】
[本開示のまとめ]
本開示の電子制御式機械時計は、両端にほぞを有する回転軸と、前記回転軸に設けられ、ぜんまいからのトルクが伝達されるかなと、前記回転軸に取り付けられたローター磁石とを備え、前記トルクで回転するローターと、地板に固定された枠体と、前記枠体に固定されて前記一方のほぞが挿通される貫通孔を有する穴石と、前記枠体内に配置された受石と、前記受石を押さえる押さえバネと備え、前記一方のほぞを軸支する軸受と、前記回転軸に取り付けられて、前記ローターが前記軸受側に移動した際に前記穴石に当接する当接部を有するストッパーと、を備えることを特徴とする。
これにより、電子制御式機械時計に衝撃が加わり、ローターが地板に取り付けられた軸受側に移動した場合に、ストッパーの当接部が穴石に当接することで、ローターの移動を規制できる。このため、受石が枠体から外れたり、押さえバネが破損することを防止できる。
【0054】
本開示の電子制御式機械時計において、前記当接部と前記穴石との隙間をA、前記枠体と前記受石との係合量をB、前記ほぞの先端と前記受石との隙間をCとしたときに、B>A-Cであることが好ましい。
これにより、ストッパーが穴石に当接した場合に、受石が枠体から外れることを確実に防止できる。
【0055】
本開示の電子制御式機械時計において、前記穴石は、前記回転軸の軸方向に直交する平坦面を備え、前記当接部は、前記平坦面に対向していていてもよい。
これにより、ローターが軸受側に移動した際に、前記ストッパーの当接部は前記平坦面に対して直交する方向から前記平坦面に当接する。このため、当接部の全体を平坦面に当接させることができ、当接部や穴石に加わる荷重を分散できるので、衝撃時の変形を抑制できる。
【0056】
本開示の電子制御式機械時計において、前記ストッパーの前記穴石に対向する対向面は平面円形とされ、前記当接部は、前記対向面の外周に沿ってリング状に形成されていてもよい。
これにより、当接部の直径を大きくでき、穴石に対して広い面積で当てることができる。このため、当接部において、単位面積当たりの荷重を小さくでき、衝撃時の変形を抑制できる。
【0057】
本開示の電子制御式機械時計において、前記ストッパーは、前記ローター磁石を固定する磁石固定座を兼用していてもよい。
これにより、磁石固定座とストッパーとを別々の部品で構成する場合に比べて、部品数を少なくできて部品組立工数も削減でき、さらに寸法精度も向上できる。
【0058】
本開示の電子制御式機械時計において、前記回転軸の他方のほぞを軸支する第2軸受を有し、前記第2軸受は、輪列受に固定された第2枠体と、前記第2枠体に固定された第2穴石と、前記第2枠体内に配置された第2受石と、前記第2受石を押さえる第2押さえバネとを備え、前記回転軸は、前記ローターが前記第2軸受側に移動した際に前記第2穴石に当接する第2ストッパーを備えるものでもよい。
電子制御式機械時計1に衝撃が加わり、ローター81が輪列受14側に移動した場合も、受石が凹部から外れたり、押さえバネが破損することを防止できる。
【0059】
本開示の電子制御式機械時計において、前記ローターは、前記回転軸に取り付けられたローター慣性板を有し、前記第2ストッパーは、前記ローター慣性板に設けられてもよい。
ローター慣性板の一部に第2ストッパーを形成すれば、部品数を少なくできる。
【符号の説明】
【0060】
1…電子制御式機械時計、2…外装ケース、3…文字板、3A…カレンダー小窓、3B…アワーマーク、4A…時針、4B…分針、4C…秒針、5…パワーリザーブ針、6…日車、7…りゅうず、8…裏蓋、10…ムーブメント、11…地板、13…二番受、14…輪列受、21…第1香箱車、22…第1香箱、23…第1香箱真、24…第1角穴車、27…香箱中間車、31…第2香箱車、32…第2香箱、34…第2角穴車、40…手動巻上機構、50…自動巻上機構、51…回転錘、53…偏心車、54…爪レバー、60…遊星歯車機構、61…第1太陽車、62…第2太陽車、70…パワーリザーブ輪列、71…巻上げ表示輪列、76…巻戻し表示輪列、80…発電機、81、81A…ローター、82…回転軸、823…フランジ、824…軸部、825…第2ストッパーである端面、83…ローターかな、84…ローター磁石、841…貫通穴、85、85A…ローター慣性板、855…第2ストッパーである当接部、86…ストッパー、861…貫通穴、862…凹部、863…固定部、864…端面、865…当接部、88…コイルブロック、881…ステーター、882…コイル、89…コイルブロック、891…ステーター、892…コイル、90…表示輪列、92…二番車、93…三番車、94…四番車、95…五番車、96…六番車、97…筒車、100…軸受、110…枠体、111…保持部、112…位置決め部、113…貫通孔、114…凹部、114A…受け面部、114B…ガイド面部、116…溝、120…穴石、121…貫通孔、122…底面、122A…凹部、122B…平坦面、130…受石、131…底面、132…表面、133…外周面、140…押さえバネ、200…第2軸受、210…枠体、214…凹部、220…穴石、222A…凹部、222B…平坦面、230…受石、240…押さえバネ。
図1
図2
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図9