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特許7528700サーバ装置およびインストール用のプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】サーバ装置およびインストール用のプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
G06F3/12 374
G06F3/12 320
G06F3/12 325
G06F3/12 345
G06F3/12 367
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020170318
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2022062360
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕詞
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-178908(JP,A)
【文献】特開2010-244550(JP,A)
【文献】特開2013-016098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信インタフェースと、
メモリと、
コンピュータと、
を備えるサーバ装置であって、
前記メモリには、
前記サーバ装置以外のデバイスからもアクセス可能な共有フォルダが設けられており、さらにユーザの識別情報に対応するフォルダである個別フォルダが、前記共有フォルダの下に前記識別情報ごとに設けられ、
前記サーバ装置には、
プリンタで印刷可能な印刷データを生成するプリンタドライバと、前記メモリに記憶される印刷データを削除する削除プログラムと、前記共有フォルダのパスを格納する設定ファイルと、がインストールされており、前記設定ファイルは、前記プリンタドライバおよび前記削除プログラムからアクセス可能であり、
前記サーバ装置は、
クライアント装置から送信される印刷ジョブを前記通信インタフェースを介して受信可能であり、前記クライアント装置から送信される前記印刷ジョブには、ユーザの前記識別情報と、印刷対象の画像を示す中間データとが含まれ、
前記コンピュータは、
前記通信インタフェースを介して前記クライアント装置から前記印刷ジョブを受信した場合に、前記プリンタドライバによって、受信した前記印刷ジョブに含まれる前記中間データをレンダリングして前記印刷データを生成し、さらに前記プリンタドライバによって、前記設定ファイルから前記共有フォルダのパスを読み出し、生成した前記印刷データを、受信した前記印刷ジョブに含まれる前記識別情報に対応する前記個別フォルダに保存し、
さらに前記コンピュータは、
前記削除プログラムによって、前記設定ファイルから前記共有フォルダのパスを読み出し、前記共有フォルダの下に設けられた前記識別情報ごとの前記個別フォルダに保存されている前記印刷データのうち、削除条件を満たす前記印刷データを削除する、
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
請求項1に記載するサーバ装置において、
ユーザインタフェースを備え、
さらに前記サーバ装置には、
前記削除プログラムが用いる前記削除条件を設定する削除条件設定プログラムがインストールされており、
さらに前記コンピュータは、
前記削除条件設定プログラムによって、前記削除条件の設定を前記ユーザインタフェースを介して受け付け、受け付けた前記削除条件を前記メモリに記憶し、
さらに前記コンピュータは、
前記削除プログラムによって、前記メモリに記憶されている前記削除条件を読み出し、前記設定ファイルから前記共有フォルダのパスを読み出し、前記共有フォルダの下に設けられた前記識別情報ごとの前記個別フォルダに保存されている前記印刷ジョブのうち、前記メモリから読み出した前記削除条件を満たす前記印刷データを削除する、
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項3】
請求項1に記載するサーバ装置において、
前記設定ファイルは、前記共有フォルダのパスと前記削除条件とを格納し、
さらに前記コンピュータは、
前記削除プログラムによって、前記設定ファイルから前記共有フォルダのパスおよび前記削除条件を読み出し、前記共有フォルダの下に設けられた前記識別情報ごとの前記個別フォルダに保存されている前記印刷ジョブのうち、前記設定ファイルから読み出した前記削除条件を満たす前記印刷データを削除する、
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項4】
情報処理装置のコンピュータに、
プリンタで印刷可能な印刷データを生成するプリンタドライバと、前記情報処理装置のメモリに記憶される印刷データを削除する削除プログラムと、前記情報処理装置以外のデバイスからもアクセス可能な共有フォルダのパスを格納する設定ファイルと、をインストールするインストール処理を実行させ、
さらに前記インストール処理では、前記設定ファイルを、前記プリンタドライバおよび前記削除プログラムからアクセス可能とし、前記プリンタドライバは、ユーザの識別情報と印刷対象の画像を示す中間データとを含む印刷ジョブを前記情報処理装置が受信した場合に、受信した前記印刷ジョブに含まれる前記中間データをレンダリングして前記印刷データを生成し、さらに前記設定ファイルから前記共有フォルダのパスを読み出し、生成した前記印刷データを、前記共有フォルダの下に設けられる個別フォルダであって、受信した前記印刷ジョブに含まれる前記識別情報に対応する前記個別フォルダに保存し、前記削除プログラムは、前記設定ファイルから前記共有フォルダのパスを読み出し、前記共有フォルダの下に設けられた前記識別情報ごとの前記個別フォルダに保存されている前記印刷ジョブのうち、削除条件を満たす前記印刷データを削除し、
さらに前記インストール処理では、前記情報処理装置のユーザインタフェースを介して前記共有フォルダの指定を受け付け、受け付けた前記共有フォルダのパスを前記設定ファイルに格納する、
ことを特徴とするインストール用のプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載するインストール用のプログラムにおいて、
さらに前記インストール処理では、前記設定ファイルを記憶する特定フォルダに管理者用のアクセス権限を設定する、
ことを特徴とするインストール用のプログラム。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載するインストール用のプログラムにおいて、
さらに前記インストール処理では、指定された前記共有フォルダついて、前記情報処理装置以外のデバイスからもアクセス可能にするための設定を行う必要がある旨を、前記ユーザインタフェースを介して報知する、
ことを特徴とするインストール用のプログラム。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれか1つに記載するインストール用のプログラムにおいて、
さらに前記インストール処理では、既に前記情報処理装置に前記設定ファイルがインストールされている場合、前記共有フォルダの指定を受け付ける際、インストール済みの前記設定ファイルを読み出し、インストール済みの前記設定ファイルに格納されている前記共有フォルダのパスをデフォルトとして表示する、
ことを特徴とするインストール用のプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載するインストール用のプログラムにおいて、
さらに前記インストール処理では、既に前記情報処理装置に前記設定ファイルがインストールされている場合、前記共有フォルダの指定を受け付ける際、インストール済みの前記設定ファイルを読み出し、前記設定ファイルに格納されている前記共有フォルダのパスと異なるパスのフォルダが指定された場合に、前記ユーザインタフェースを介して警告する、
ことを特徴とするインストール用のプログラム。
【請求項9】
請求項4から請求項8のいずれか1つに記載するインストール用のプログラムにおいて、
さらに前記インストール処理では、プリンタ名の入力を受け付け、受け付けた前記プリンタ名でプリントキューを作成し、前記プリンタドライバは、前記情報処理装置が受信した前記印刷ジョブであって、前記プリントキューに蓄積された前記印刷ジョブに含まれる前記中間データをレンダリングして前記印刷データを生成する、
ことを特徴とするインストール用のプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載するインストール用のプログラムにおいて、
さらに前記インストール処理では、前記プリントキューを作成した後、前記情報処理装置でのレンダリングに設定する、
ことを特徴とするインストール用のプログラム。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載するインストール用のプログラムにおいて、
さらに前記インストール処理では、前記プリントキューを作成した後、前記プリントキューの出力ポートの設定を無効のポートに設定する、
ことを特徴とするインストール用のプログラム。
【請求項12】
請求項4から請求項11のいずれか1つに記載するインストール用のプログラムにおいて

前記インストール処理では、前記プリンタドライバと、前記削除プログラムと、前記設定ファイルと、前記削除プログラムが用いる前記削除条件を設定する削除条件設定プログラムと、をインストールし、前記削除条件設定プログラムは、前記ユーザインタフェースを介して前記削除条件の設定を受け付け、受け付けた前記削除条件を前記メモリに記憶し、前記削除プログラムは、前記メモリに記憶されている前記削除条件を読み出し、前記設定ファイルから前記共有フォルダのパスを読み出し、前記共有フォルダの下に設けられた前記識別情報ごとの前記個別フォルダに保存されている前記印刷ジョブのうち、前記メモリから読み出した前記削除条件を満たす前記印刷データを削除する、
ことを特徴とするインストール用のプログラム。
【請求項13】
請求項4から請求項11のいずれか1つに記載するインストール用のプログラムにおいて

前記インストール処理では、前記プリンタドライバと、前記削除プログラムと、前記共有フォルダのパスと前記削除条件とを格納する前記設定ファイルと、をインストールし、前記削除プログラムは、前記設定ファイルから前記共有フォルダのパスおよび前記削除条件を読み出し、前記共有フォルダの下に設けられた前記識別情報ごとの前記個別フォルダに保存されている前記印刷ジョブのうち、前記設定ファイルから読み出した前記削除条件を満たす前記印刷データを削除する、
ことを特徴とするインストール用のプログラム。
【請求項14】
請求項4から請求項13のいずれか1つに記載するインストール用のプログラムにおいて

さらに前記インストール処理では、前記削除プログラムのインストールを行う前に、前記ユーザインタフェースを介して前記削除プログラムをインストールするか否かの入力を受け付け、インストールする入力を受け付けた場合、前記削除プログラムをインストールし、インストールしない入力を受け付けた場合、前記削除プログラムをインストールしない、
ことを特徴とするインストール用のプログラム。
【請求項15】
請求項4から請求項13のいずれか1つに記載するインストール用のプログラムにおいて

さらに前記インストール処理では、前記削除プログラムのインストールを行う前に、最新の前記削除プログラムが前記情報処理装置にインストール済みか否かを判断し、インストール済みでなければ、前記削除プログラムをインストールし、インストール済みであれば、前記削除プログラムをインストールしない、
ことを特徴とするインストール用のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、印刷システムを構成するサーバ装置およびインストール用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタとクライアント装置とに接続するサーバ装置を有する印刷システムであって、サーバ装置に共有フォルダを設け、サーバ装置がクライアント装置から送信された印刷データを受信して共有フォルダに記憶し、プリンタからサーバ装置の共有フォルダにアクセスし、印刷データを受信して印刷する構成が知られている。
【0003】
前述した構成を開示する文献としては、例えば特許文献1がある。特許文献1には、プリントサーバを備えるネットワークプリントシステムであって、プリントサーバは、端末装置から印刷データを受信した場合に、受信した印刷データをユーザ別のフォルダに記憶し、さらにプリンタからアクセスされた場合に、印刷データを要求元のプリンタに送信する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-244550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような印刷システムにおいて、印刷データがプリンタに送信されずにサーバ装置のメモリに長期に残っていると、サーバ装置のメモリを圧迫してしまう。また、印刷データは秘匿性が高いものも多く、高い安全性が要求される。そのため、サーバ装置のメモリに残ったままになると、漏洩のリスクが高まることから、印刷データの安全性の観点からも好ましくない。
【0006】
本明細書は、プリンタとクライアント装置とに接続するサーバ装置を有する印刷システムにおいて、サーバ装置のメモリの圧迫を軽減し、印刷データの安全性を高める技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の解決を目的としてなされたサーバ装置は、通信インタフェースと、メモリと、コンピュータと、を備えるサーバ装置であって、前記メモリには、前記サーバ装置以外のデバイスからもアクセス可能な共有フォルダが設けられており、さらにユーザの識別情報に対応するフォルダである個別フォルダが、前記共有フォルダの下に前記識別情報ごとに設けられ、前記サーバ装置には、プリンタで印刷可能な印刷データを生成するプリンタドライバと、前記メモリに記憶される印刷データを削除する削除プログラムと、前記共有フォルダのパスを格納する設定ファイルと、がインストールされており、前記設定ファイルは、前記プリンタドライバおよび前記削除プログラムからアクセス可能であり、前記サーバ装置は、クライアント装置から送信される印刷ジョブを前記通信インタフェースを介して受信可能であり、前記クライアント装置から送信される前記印刷ジョブには、ユーザの前記識別情報と、印刷対象の画像を示す中間データとが含まれ、前記コンピュータは、前記通信インタフェースを介して前記クライアント装置から前記印刷ジョブを受信した場合に、前記プリンタドライバによって、受信した前記印刷ジョブに含まれる前記中間データをレンダリングして前記印刷データを生成し、さらに前記プリンタドライバによって、前記設定ファイルから前記共有フォルダのパスを読み出し、生成した前記印刷データを、受信した前記印刷ジョブに含まれる前記識別情報に対応する前記個別フォルダに保存し、さらに前記コンピュータは、前記削除プログラムによって、前記設定ファイルから前記共有フォルダのパスを読み出し、前記共有フォルダの下に設けられた前記識別情報ごとの前記個別フォルダに保存されている前記印刷データのうち、削除条件を満たす前記印刷データを削除する、ことを特徴としている。
【0008】
上述したサーバ装置によれば、サーバ装置にインストールされたプリンタドライバがサーバ装置の個別フォルダに保存した印刷データについて、サーバ装置にインストールされた削除プログラムが削除条件を満たす印刷データを自動的に削除している。これにより、印刷データが印刷されずに長期間にわたってサーバ装置のメモリに残ったままになる状態が回避される。その結果として、サーバ装置のメモリの圧迫が軽減されるとともに、印刷データの漏洩のリスクが軽減される。
【0009】
上記装置の機能を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムのインストーラ、および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0010】
本明細書に開示される技術によれば、プリンタとクライアント装置とに接続するサーバ装置を有する印刷システムにおいて、サーバ装置のメモリの圧迫を軽減し、印刷データの安全性を高める技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本形態の印刷システムの電気的構成を示すブロック図である。
図2】共有フォルダの構成を示す図である。
図3】印刷データを共有フォルダに記憶する第1の手順の概要を示すシーケンス図である。
図4】記憶された印刷データに基づく印刷を行う第2の手順の概要を示すシーケンス図である。
図5】削除条件設定アプリケーションによる条件設定処理の手順を示すフローチャートである。
図6】削除条件アプリケーションによって表示される削除条件の設定画面の例を示す説明図である。
図7】削除プログラムによる削除処理の手順を示すフローチャートである。
図8】インストーラによるインストール処理の手順を示すフローチャートである。
図9】インストーラによって表示される共有プリンタの設定画面の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態にかかる印刷システムについて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)を用いてプリンタに印刷を実行させるための印刷システムである。
【0013】
[印刷システムの構成]
本形態の印刷システム100は、図1に示すように、複数のクライアントPC1~2と、サーバ3と、複数のプリンタ5~6と、を含む。クライアントPC1~2は、クライアント装置の一例であり、サーバ3は、サーバ装置の一例である。各クライアントPC1~2とサーバ3とは、通信可能に接続されている。また、サーバ3と各プリンタ5~6とは、通信可能に接続されている。各クライアントPC1~2と各プリンタ5~6とは、通信可能であってもなくても良い。
【0014】
本形態のクライアントPC1とクライアントPC2とは、同様の動作や処理を行う同様の装置である。以下では、クライアントPC1について代表して説明する。また、本形態のプリンタ5とプリンタ6とは、同じモデルの装置であって、同様の動作や処理を行う同様の装置である。以下では、プリンタ5について代表して説明する。
【0015】
本形態のクライアントPC1は、少なくとも、ユーザ操作によって印刷の指示を受け付ける機能と、通信機能と、を有する装置である。クライアントPC1は、図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。クライアントPC1は、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。なお、図1中のコントローラ10及び後述する他の装置のコントローラは、クライアントPC1等の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にクライアントPC1等に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0016】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ12は、クライアントPC1を起動するための起動プログラム、プリンタ5~6を使用するための各種のアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」とする)等の各種のプログラムや、画像データ、文書データ等の各種のデータが記憶される記憶領域である。メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。
【0017】
メモリ12など、各装置のメモリの一例は、装置に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU11が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0018】
ユーザIF13は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。なお、ユーザIF13は、表示機能と操作受け付け機能とを共に備えるタッチパネルであっても良いし、表示機能を備えるディスプレイと操作受け付け機能を備えるキーボード、マウス、トラックボール等との組であっても良い。
【0019】
通信IF14は、サーバ3等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF14の通信規格は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などである。通信IF14の通信の態様は、有線でも無線でもよい。
【0020】
クライアントPC1のメモリ12には、図1に示すように、オペレーティングシステム(以下、「OS」とする)21と、印刷アプリ22と、プリントキュー24と、を含む、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。OS21は、例えば、Windows(登録商標)であるが、同様のアーキテクチャを有するOSであれば差し支えない。
【0021】
印刷アプリ22は、例えば、文書データや画像データを作成または編集するためのアプリであり、ユーザによる印刷指示を受け付けるアプリである。OS21は、プリンタ5~6に印刷を実行させるための中間データの生成機能を有する。中間データは、印刷対象の画像を示すデータであって、PDL(Page Description Languageの略)データ等の、印刷アプリ22が扱う画像データから印刷データを生成するまでの過程で作成される中間的なデータである。中間データは、レンダリングが完了していないデータであって、中間データはプリンタ5がそのまま印刷に利用できる印刷データではない。プリントキュー24は、中間データの受け渡しを行うインタフェースである。
【0022】
なお、本形態のプリントキュー24は、OS21の機能によって、プリンタ5~6に対応する共有プリンタが割り当てられている。プリントキュー24に渡された中間データは、OS21によって、通信IF14を介してサーバ3に送信される。共有プリンタとは、後述するサーバ3のOS41の機能によってネットワークに公開されているプリントキュー44のことである。以下の実施例では、ネットワークに公開されているプリントキューに対応付けられているプリンタのことを、便宜上、「共有プリンタ」と記載することもある。
【0023】
本形態のサーバ3は、少なくとも、印刷データを記憶する機能と、通信機能と、を有する装置である。サーバ3は、図1に示すように、CPU31と、メモリ32と、を含むコントローラ30を備えている。CPU31は、コンピュータの一例である。サーバ3は、ユーザIF33と、通信IF34と、を備え、これらがコントローラ30に電気的に接続されている。サーバ3が備える各電気的構成は、クライアントPC1について説明したものと同様のものである。
【0024】
サーバ3のメモリ32には、図1に示すように、OS41と、削除プログラム42と、プリンタドライバ43と、プリントキュー44と、共有フォルダ45と、セットアップファイル46と、削除条件設定アプリ47とを含む、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。OS41は、例えば、Windows(登録商標)であるが、同様のアーキテクチャを有するOSであれば差し支えない。
【0025】
プリンタドライバ43は、中間データをレンダリングしてプリンタ5~6が対応可能な印刷データを生成するプログラムである。プリントキュー44は、中間データや印刷データの受け渡しを行うインタフェースである。本形態では、クライアントPC1~2から送信される中間データをOS41が受信し、OS41によって中間データがプリントキュー44に渡され、さらに、プリントキュー44に渡された中間データがプリンタドライバ43に渡される。プリンタドライバ43は、渡された中間データをレンダリングしてプリンタ5が印刷可能な印刷データを生成し、さらに生成した印刷データを共有フォルダ45に保存する。
【0026】
共有フォルダ45は、OS41の機能によってネットワークに公開されているフォルダである。共有フォルダ45は、クライアントPC1~2やプリンタ5~6等の、サーバ3以外の外部装置からもアクセス可能なフォルダである。共有フォルダ45には、管理者権限が設定されている。
【0027】
また、共有フォルダ45の下には、図2に示すようにユーザごとのフォルダである個別フォルダ450が設けられる。例えば共有フォルダ45の下に、ユーザAに対応する個別フォルダ450A、ユーザBに対応する個別フォルダ450B、ユーザCに対応する個別フォルダ450C、がそれぞれ設けられる。各個別フォルダ450のフォルダ名にはユーザIDが含まれ、フォルダ名によってユーザIDが対応付けられる。各個別フォルダ450にもアクセス権限が設定される。管理者権限が設定されているユーザは、共有フォルダ45の下の全ての個別フォルダ450および全てのファイルにアクセス可能である。管理者権限が設定されていないユーザは、ユーザ自身のユーザIDが含まれる個別フォルダ450にのみアクセス可能である。また、印刷システム100の利用が許可されていないユーザは、共有フォルダ45にアクセスする権限が設定されず、共有フォルダ45の下のいずれの個別フォルダ450にもアクセスできない。以下の説明において「共有フォルダ45」は、共有フォルダ45の下の個別フォルダ450も含むものとする。例えば、「共有フォルダ45に保存されているファイル」とした場合、共有フォルダ45の直下に保存されているファイルの他、共有フォルダ45の下の個別フォルダ450に保存されているファイル、例えば個別フォルダ450Aに保存されている印刷データ451も含むものとする。
【0028】
削除プログラム42は、共有フォルダ45に保存されている印刷データのうち、予め設定された削除条件を満たす印刷データを削除するプログラムである。削除プログラム42は、常駐プログラムであり、サーバ3が起動されると、OS41によって起動される。削除条件設定アプリ47は、削除プログラム42に用いられる削除条件を設定するプログラムである。削除条件設定アプリ47は、削除条件設定プログラムの一例である。例えば本形態では、削除条件設定アプリ47によって削除条件として削除を実行するタイミングが設定され、そのタイミングに達した場合に削除プログラム42によって印刷データが削除される。
【0029】
セットアップファイル46は、共有フォルダ45のパスおよび削除プログラム42で用いられる削除条件を格納するファイルである。セットアップファイル46は、設定ファイルの一例である。セットアップファイル46は、プリンタドライバ43や削除プログラム42が共有フォルダ45にアクセスする際に参照される。セットアップファイル46は、管理者権限が設定された所定のフォルダの下に記憶されており、プリンタドライバ43は、その所定のフォルダにアクセスするためにシステム権限に偽装する。また、削除プログラム42および削除条件設定アプリ47は、管理者権限で起動されるため、セットアップファイル46にアクセスできる。
【0030】
本形態のプリンタ5は、複数のユーザによって共用される装置であり、少なくとも、印刷データに基づく画像の印刷を行う機能と、通信機能と、を有する装置である。プリンタ5は、図1に示したように、CPU51と、メモリ52と、を含むコントローラ50を備えている。プリンタ5は、ユーザIF53と、通信IF54と、画像形成エンジン55と、を備え、これらがコントローラ50に電気的に接続されている。プリンタ5のメモリ52には、共有プリントプログラム61と、アクセス情報62と、を含む各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。アクセス情報62は、サーバ3にアクセスするための情報であって、共有フォルダ45にアクセス可能な権限を有するアカウント情報である。
【0031】
また、本形態の印刷システム100は、インターネット等の外部ネットワークを介して、プリンタ5のメーカのサーバ9と接続されている。メーカのサーバ9には、プリンタドライバ43や削除プログラム42等をインストールするためのインストーラ90が記憶されている。インストーラ90は、インストール用のプログラムの一例である。サーバ3は、これらのプログラムをインストールする際、インストーラ90をダウンロードし、インストーラ90によるインストール処理を実行する。なお、メーカのサーバ9は、インストーラ90のダウンロードの際にサーバ3と接続されていればよく、印刷システム100を運用する際には接続されていてもいなくてもよい。また、インストーラ90は、CD-ROM等の持ち運び可能なデバイスに記憶されてサーバ3に提供されてもよい。
【0032】
[共有プリンタによる印刷手順]
続いて、クライアントPC1を使用して、プリンタ5等の共有プリンタに印刷を実行させる手順の概要について、シーケンス図を参照して説明する。以下では、クライアントPC1にて印刷の指示を行う第1の手順と、プリンタ5にて印刷を実行させる第2の手順とを、順に説明する。なお、クライアントPC1での手順は、クライアントPC1のCPU11によって実行され、サーバ3での手順は、サーバ3のCPU31によって実行され、プリンタ5での手順は、プリンタ5のCPU51によって実行される。
【0033】
まず、図3を参照して第1の手順の概要を説明する。第1の手順では、ユーザは、クライアントPC1にログインし、印刷アプリ22等にて印刷を指示する(A01)。ユーザは、印刷アプリ22等を介して、OS21に登録されているプリントキューを指定して印刷を指示する。
【0034】
印刷アプリ22は、受け付けた印刷指示に基づいて、OS21に印刷命令を渡す(A02)。印刷命令には、印刷対象の画像を示す画像データと印刷に関するパラメータとが含まれる。
【0035】
OS21は、例えばGDI(Graphic Device Interface)によって、受け取った印刷命令に基づく中間データを生成する(A03)。そして、OS21は、生成した中間データを、プリントキュー24というインタフェースを介してサーバ3に送信する(A04)。
【0036】
サーバ3のOS41は、クライアントPC1から中間データを受信する。サーバ3では、OSが受け取った中間データに基づいて、プリンタドライバ43が印刷データの生成を開始する(A05、A06)。本形態では、サーバ3が受け取るデータが中間データであって、レンダリングが完了していないことから、受信した中間データは、プリンタドライバ43に渡される。
【0037】
また、プリンタドライバ43は、印刷データの生成に際して、OS41に対して、中間データを送信したクライアントPC1のログイン情報を問い合わせる(A07)。ログイン情報には、クライアントPC1にログイン中のユーザを示すユーザIDまたはユーザ名の情報が含まれる。プリンタドライバ43は、OS41からユーザIDもしくはユーザ名の情報を取得する(A08)。プリンタドライバ43は、中間データをレンダリングして印刷データを生成し、生成した印刷データにOS41から取得したユーザIDもしくはユーザ名の情報を含ませる。本形態では、印刷データにユーザ名を含ませるものとする。
【0038】
また、プリンタドライバ43は、システム権限に偽装する(A09)。プリンタドライバ43は、中間データを受け取ったことで処理を開始した場合、中間データのユーザIDが有する権限で動作する。そこで、本形態のプリンタドライバ43は、A09にて、現在のアカウントを一時的に退避して、OS41が予め備えている情報を用いて、システム権限に偽装する。
【0039】
さらに、プリンタドライバ43は、セットアップファイル46を参照して共有フォルダ45のパスを取得し、A08にて取得したユーザ名に対応する個別フォルダ450を特定し、A06にて生成したレンダリング後の印刷データを、共有フォルダ45のうち特定した個別フォルダ450Aに記憶する(A10)。プリンタドライバ43は、システム権限に偽装することで、どの個別フォルダ450へも印刷データを記憶させることができる。また、プリンタドライバ43は、システム権限に偽装することで、ユーザに対応する個別フォルダ450が無い場合には個別フォルダ450を作成することができる。これにより、クライアントPC1にて印刷指示を受け付けた画像に対応する印刷データが、印刷を指示したユーザに対応する個別フォルダ450に記憶される。印刷データを共有フォルダ45に記憶した後、プリンタドライバ43は、権限の偽装を解いて、元の権限に戻す(A11)。
【0040】
次に、図4を参照して第2の手順の概要を説明する。第2の手順では、ユーザは、プリンタ5にユーザIDを含むログイン情報を入力し、プリンタ5にログインする(B01)。プリンタ5は、入力されたログイン情報に基づいて、ログイン認証を行う。ログイン認証は、プリンタ5自身に記憶されるユーザ情報に基づいて行ってもよいし、サーバ3やクライアントPC1と共通の認証サーバによって行ってもよい。プリンタ5へのログイン認証に成功しなかった場合には、プリンタ5は、共有プリントプログラム61による共有印刷の処理を実行しない。
【0041】
ログイン認証に成功した場合、プリンタ5は、共有プリントプログラム61による共有印刷の処理を実行する。プリンタ5は、入力されたログイン情報に基づいて、ログインしたユーザのユーザIDを取得する(B02)。
【0042】
そして、プリンタ5は、アクセス情報62を読み出し、取得したユーザIDを用いて、サーバ3の共有フォルダ45の下にあるユーザごとの個別フォルダ450のうち、取得したユーザIDによって示されるユーザ名に対応する個別フォルダ450にアクセスする(B03)。ユーザごとの個別フォルダ450に印刷データが保存されていることで、CPU51は、ログインユーザの印刷データが保存されるフォルダを容易に判別できる。
【0043】
プリンタ5は、アクセスした個別フォルダ450に保存されている全ての印刷データのファイル名を取得する(B04)。そして、プリンタ5は、取得したファイル名の一覧をユーザIF53に表示し、ユーザの選択を受け付ける(B05)。
【0044】
ユーザは、ユーザIF53を介して、表示されたファイル名の一覧から、印刷対象の印刷データのファイル名を選択する(B06)。プリンタ5は、選択されたファイル名に対応する印刷データを、サーバ3から取得する(B07)。選択された印刷データのみを取得することで、プリンタ5のメモリ52の負荷を軽減できる。
【0045】
プリンタ5は、取得した印刷データに基づいて、画像形成エンジン55によって印刷を実行する(B08)。印刷が完了したら、プリンタ5は、サーバ3から取得した印刷データを削除する。プリンタ5は、サーバ3の印刷データを削除する指示をサーバ3に送信しても良い。
【0046】
なお、プリンタ5は、表示したファイル名の一覧から、複数のファイルの選択を受け付けても良い。そして、複数のファイルが選択された場合には、プリンタ5は、B07~B08の手順を、選択された全てのファイルについて順に実行するとしても良い。
【0047】
[削除条件設定アプリによる設定手順]
続いて、サーバ3にインストールされた削除プログラム42および削除条件設定アプリ47による処理の手順についてフローチャートを参照して説明する。なお、以下の処理およびフローチャートの各処理ステップは、基本的に、プログラムに記述された命令に従ったCPU31等の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU31等の処理を表している。CPU31等による処理は、サーバ3等のOSのAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OSの記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOSのAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU31等の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPU31が行う」のように記載することがある。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU31等の処理を、「プログラムAが行う」のようにCPUを省略した文言で記載することがある。
【0048】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU31等が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPU31がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0049】
また、CPU31等による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPU31等による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0050】
始めに、削除条件設定アプリ47による処理である条件設定処理の手順について、図5のフローチャートを参照して説明する。削除条件設定アプリ47はプリンタドライバ43からの起動指示や、ユーザから直接に起動指示が入力された際に起動され。条件設定処理は、削除条件設定アプリ47が起動されることを契機に、サーバ3のCPU31にて実行される。
【0051】
条件設定処理では、CPU31は先ず、図6に示す削除条件設定画面70をユーザIF33に表示させる(S001)。削除条件設定画面70には、削除条件として、削除プログラム42による印刷データの自動削除を「有効」にするか「無効」にするかを設定する項目71と、削除を実行する間隔を設定する項目72と、削除を実行する時刻を設定する項目73と、が含まれる。項目72および項目73は、項目71によって「有効」が選択されている場合にその設定内容が有効になり、「無効」が選択されている場合には削除プログラム42による印刷データの削除は実行されない。項目72には、削除を実行する間隔を、「毎日」とするか、「毎週」とするか、「毎月」とするか、が択一的に選択可能であり、「毎週」とした場合は「曜日」の選択が有効になり、「毎月」とした場合は「日付」の選択が有効になる。項目73には、削除する時刻を、10分単位で指定可能である。すなわち、項目72および項目73によって、印刷データを削除するタイミングが設定される。
【0052】
そして、CPU31は、削除条件設定画面70に表示されるOKボタンが選択されたかキャンセルボタンが選択されたかを判断する(S002)。OKボタンが選択された場合(S002:YES)、CPU31は、削除条件設定画面70にて選択されている内容を削除条件として、セットアップファイル46に書き込む(S003)。例えば、削除条件設定画面70に表示される各項目について、項目71に「有効」が選択され、項目72に「毎週」の「月曜日」が選択され、項目73に「13:00」が選択されていた場合、毎週月曜日の午後1時が削除するタイミングになる。
【0053】
新たな削除条件がセットアップファイル46に書き込まれたとしても、削除プログラム42にその削除条件を反映されるためには削除プログラム42を再起動させる必要がある。そのため、S003の後、CPU31は、削除プログラム42の再起動を実施する(S004)。なおS004ではサーバ3を再起動させてもよい。削除プログラム42の再起動を自動的に行うことで、ユーザの手間を軽減できる。S004の後、あるいはキャンセルボタンが選択された場合(S002:NO)、CPU31は本処理を終了し、削除条件設定アプリ47も終了する。削除条件設定アプリ47によって、削除プログラム42が用いる削除条件をユーザIF33を介して設定できることで、印刷データの削除条件をユーザが設定し易い。
【0054】
[削除プログラムによる削除手順]
続いて、削除プログラム42による処理である削除処理の手順について、図7のフローチャートを参照して説明する。削除プログラム42はサーバ3が起動した際にOS41によって起動され、管理者権限を持った常駐プログラムとして動作する。削除処理は、削除プログラム42が起動されることを契機に、サーバ3のCPU31にて実行される。
【0055】
削除処理では、CPU31は先ず、セットアップファイル46を読み出し、セットアップファイル46に格納される共有フォルダ45のパスを取得する(S101)。セットアップファイル46は、あらかじめ決められた所定のフォルダに保存されており、削除プログラム42は、その所定のフォルダにアクセスしてセットアップファイル46を読み出す。さらにCPU31は、セットアップファイル46に格納される削除条件を取得する(S102)。
【0056】
共有フォルダ45のパスおよび削除条件を取得した後、CPU31は、削除条件に設定されるタイミングになったか否かを判断する(S111)。削除条件には、削除を実行するタイミングが設定可能であり、例えば削除する間隔が毎日であり、削除する時刻が午後1時であれば、午後1時になったか否かを判断する。また、例えば削除する間隔が毎週月曜日であり、削除する時刻が午後1時であれば、月曜日の午後1時になったか否かを判断する。例えば削除する間隔が毎月の1日であり、削除する時刻が午後1時であれば、1日の午後1時になったか否かを判断する。
【0057】
削除するタイミングになった場合(S111:YES)、CPU31は、共有フォルダ45を検索し(S112)、印刷データがあればその印刷データを削除する(S113)。すなわち、ユーザごとの個別フォルダ450の中を検索し、記憶されている印刷データを削除することで各個別フォルダ450の中に印刷データが記憶されていない状態にする。S113の後はS111に戻り、再び削除時間になるのを待つ。これにより、削除条件に従って各個別フォルダ450の中が空になり、長期間にわたって印刷データがサーバ3に記憶されている状態を回避する。なお、削除条件に無効が設定されている場合、削除するタイミングにならないことで、削除プログラム42による印刷データの削除を無効にする。
【0058】
一方、削除するタイミングになっていない場合(S111:NO)、CPU31は、終了条件を満たすか否かを判断する(S121)。終了条件には、削除プログラム42の終了が指示されたことが含まれる。終了条件を満たす場合(S121:YES)、CPU31は本処理を終了し、削除プログラム42も終了する。終了条件を満たさない場合(S121:NO)、S111に戻り、削除するタイミングになるか終了指示を待つ。
【0059】
[インストーラによるインストール手順]
続いて、インストーラ90による処理であるインストール処理の手順について、図8のフローチャートを参照して説明する。インストーラ90は、メーカのサーバ9からサーバ3にダウンロードされた後、ユーザから直接に起動指示が入力されたことによって起動され。インストール処理は、インストーラ90が起動されることを契機に、サーバ3のCPU31にて実行される。インストーラ90によるインストール処理は、インストール用のプログラムによるインストール処理の一例である。
【0060】
インストール処理では、CPU31は先ず、プログラムのインストールのために必要な初期設定を行う(S201)。初期設定としては、例えば言語の設定、ソフトウェアの使用許諾契約が該当する。インストーラ90が複数のプリンタのモデルに対応しており、プリンタのモデルを特定する必要がある場合は、プリンタのモデルの選択を受け付ける。また、スプーラサービスが起動していた場合にはプリンタドライバのインストールができないため、スプーラサービスが動作していた場合にはその旨を警告するとともに本処理を終了させる。
【0061】
S201の後、CPU31は、セットアップファイル46がメモリ32に有るか否か、すなわちセットアップファイル46がインストール済みか否かを判断する(S211)。セットアップファイル46が有る場合(S211:YES)、CPU31は、インストール済みのセットアップファイル46を読み出し、共有フォルダ45のパスを取得する(S212)。
【0062】
S212の後、あるいはセットアップファイル46が無い場合(S211:NO)、CPU31は、共有プリンタの設定を行う(S213)。具体的にS213では、図9に示すような共有プリンタ設定画面80をユーザIF33に表示させる。共有プリンタ設定画面80には、共有プリンタの設定に必要な項目として、共有プリンタのプリンタ名を入力する項目81と、共有フォルダ45のパスを入力する項目82と、共有フォルダ45に設定したパスに対する注意事項を表示する項目83と、が含まれる。
【0063】
また、S212にて共有フォルダ45のパスを取得している場合、共有プリンタ設定画面80を表示する際、項目82には初期値としてその取得した共有フォルダ45のパスを表示する。セットアップファイル46が既に存在する場合、それまでに本形態の共有プリンタの運用が行われており、取得した共有フォルダ45には印刷データが残っている可能性がある。その場合、共有フォルダ45のパスを変更してしまうと、その印刷データの印刷が困難になる。そこで、取得した共有フォルダ45のパスを初期表示し、不用意に変更されてしまうことを抑制する。また、共有フォルダ45のパスの初期値を表示することで、共有フォルダ45の指定の手間を省くことができる。
【0064】
また、項目82に、サーバ3に存在しないパスが指定された場合、不適切なパスが指定されたことを示すエラーを報知する。なお、共有フォルダ45のパスをインストーラ90の起動オプションとして指定してもよく、その場合、項目82の入力を省略してもよい。あるいは起動オプションに指定されたパスを項目82の初期値として表示してもよい。
【0065】
また、共有フォルダ45として運用するフォルダは、共有設定を行っている必要がある。インストーラ90では、フォルダに対する共有設定を行わないため、ユーザ自身が設定する必要がある。そこで、項目83には、少なくとも、共有フォルダに選択したフォルダは共有設定が行われている必要があることをメッセージ表示して報知する。また、共有フォルダ45は印刷データを保存する場所になるため、不特定多数のユーザがアクセスできないようなアクセス権限が設定されていることが望ましい。そのため、項目83には、例えばそのようなアクセス権限で運用することをメッセージ表示して報知する。なお、報知の態様は、項目83のようなメッセージ表示の他、例えば音声ガイダンスを再生してもよい。
【0066】
S213にて共有プリンタの設定が行われた後、CPU31は、共有フォルダ45のパスが変更されたか否かを判断する(S214)。具体的にS214では、設定された共有フォルダ45のパスがS212にて取得した共有フォルダ45のパスと異なる場合は、変更されたと判断し、同じ場合は変更されていないと判断する。S212を行っていない場合は、変更されていないと判断する。共有フォルダ45のパスが変更された場合(S214:YES)、前述したように変更前のフォルダに印刷データが残っている可能性があるため、CPU31は、これまでにサーバ3で受信した印刷データの印刷ができなくなる可能性があることをユーザIF33を用いて警告する(S215)。あらかじめ警告することで、既存の印刷データの印刷できなくなることによるユーザの困惑を軽減できる。
【0067】
S215の後、あるいは共有フォルダ45のパスが変更されていない場合(S214:NO)、CPU31は、プリンタドライバ43をインストールする(S221)。さらにS213で選択されたプリンタ名を用いて、共有プリンタのプリントキューを作成する(S222)。そして、作成したプリントキューの出力ポートを無効(NUL)に設定する(S223)。本形態では、プリンタドライバ43が印刷データを共有フォルダ45に保存することから、プリントキューから中間データないし印刷データが出力されないように、無効の出力ポートを設定する。さらに本形態の印刷システム100ではサーバ3のプリンタドライバ43で印刷データを個別フォルダ450に振り分けることから、プリンタドライバ43がプリントキューから印刷データを受け取る必要があり、サーバ3側でレンダリングを行うよう設定する(S224)。
【0068】
また、CPU31は、セットアップファイル46のインストールも行う(S225)。セットアップファイル46は、不用意に削除ないし変更されてしまうとプリンタドライバ43および削除プログラム42が適切な処理を実行できなくなる。そのため、セットアップファイル46が保存されるフォルダに管理者権限を設定し、セットアップファイル46へのアクセスを制限し、セットアップファイル46の不用意な削除ないし変更を抑制する。そして、インストールされたセットアップファイル46に対して、S213にて設定された共有フォルダのパスを書き込む(S226)。
【0069】
S226の後、CPU31は、削除プログラム42をインストールするか否かを判断する(S231)。具体的にS231では、最新のバージョンの削除プログラム42がメモリ32に有るか否か、すなわち最新のバージョンの削除プログラム42がインストール済みか否かを判断し、最新のバージョンの削除プログラム42が無ければインストールすると判断し、最新のバージョンの削除プログラム42が有ればインストールしないと判断する。あるいは最新のバージョンの削除プログラム42が有った場合に、削除プログラム42をインストールするか否かをユーザに問い合わせて、その問い合わせ結果に基づいて削除プログラム42をインストールするか否かを判断してもよい。また、最新のバージョンの削除プログラム42が有るか否かに関わらず、削除プログラム42をインストールするか否かをユーザに問い合わせて、その問い合わせ結果に基づいて削除プログラム42をインストールするか否かを判断してもよい。また、削除プログラム42のバージョンは判断せず、削除プログラム42が有るか否かによって判断してもよい。
【0070】
削除プログラム42をインストールする場合(S231:YES)、CPU31は、削除プログラム42をインストールする(S232)。このときCPU31は、削除プログラム42を、あらかじめ管理者権限を持ったサービスプログラムとしてインストールする。さらにCPU31は、削除プログラム42のインストールに伴って、削除条件設定アプリ47もインストールする(S233)。
【0071】
S233の後、あるいは削除プログラム42をインストールする場合(S231:NO)、CPU31は、ユーザIF33を介して、削除条件の設定を受け付ける(S234)。S234で設定を受け付ける削除条件は、削除条件設定アプリ47で設定可能な削除条件と同様である。そして、S225にてインストールされたセットアップファイル46に対して、S234に受け付けた削除条件を書き込む(S235)。削除条件の受け付けおよび設定は、インストーラ90が設定画面を提供して行ってもよいし、削除条件設定アプリ47を起動して削除条件設定アプリ47に行わせてもよい。なお、削除プログラム42をインストールしない場合、削除条件を設定は行わなくてもよい。また、削除プログラム42をインストールした場合であっても、削除条件の設定を行わなくてもよい。S235の後、本処理を終了する。
【0072】
なお、本形態のインストーラ90では、プリンタドライバ43、セットアップファイル、削除プログラム42、削除条件設定アプリ47、の順にインストールを行っているが、インストール順序はこれに限るものではない。例えば、削除プログラム42のインストールを、プリンタドライバ43等のインストールよりも先に行ってもよい。また、本形態のインストーラ90では、共有プリンタの設定を、プリンタドライバ43等のインストールよりも後に行ってもよいし、途中に行ってもよい。例えば、削除プログラム42のインストールを行った後、共有プリンタの設定を行い、その後、残りのプログラムのインストールを行うようにしてもよい。
【0073】
以上詳細に説明したように本形態のサーバ3では、プリンタドライバ43がサーバ3の共有フォルダ45に保存した印刷データについて、削除プログラム42が削除条件を満たした印刷データを自動的に削除する。これにより、印刷データが印刷されずに長期間にわたってサーバ3のメモリ32に残ったままになる状態が回避される。その結果として、サーバ3のメモリ32の圧迫が軽減されるとともに、印刷データの漏洩のリスクが軽減される。
【0074】
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、各装置の台数は、図示の例に限らず、何台でも良い。また、クライアントPCは、PCに限らず、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータであっても良い。
【0075】
また、プリンタは、印刷機能を有する装置であれば良く、複合機、コピー機、FAX装置等でも良い。プリンタが共有印刷の機能以外にも機能を有するものであれば、プリンタは、例えば、実行する機能の選択を受け付け、共有印刷の指示を受け付けた場合に共有印刷の処理を実行するとすればよい。また、プリンタは、ログインしたユーザに応じて、実行可能な機能を制限しても良い。例えば、プリンタの使用が許可されているユーザであっても、共有印刷が許可されていないユーザがあってもよい。
【0076】
また、実施の形態では、セットアップファイル46に削除条件が格納されており、削除プログラム42はセットアップファイル46から削除条件を取得し、削除条件設定アプリ47はセットアップファイル46に削除条件を格納しているが、削除条件はセットアップファイル46とは別のファイルに格納してもよい。この場合、削除プログラム42はその別のファイルから削除条件を取得し、削除条件設定アプリ47はその別のファイルに削除条件を格納する。また、インストーラは、セットアップファイル46のインストールとともにその別のファイルもインストールする。ただし、実施の形態のようにセットアップファイル46に削除条件を格納することで、削除条件を格納するためのファイルを別途に用意する必要がなく、サーバ3の構成がシンプルになる。
【0077】
また、実施の形態では、削除条件として、削除する間隔と時刻とからなる検索時間が設定可能であり、検索時間になった時点でメモリ32に残っている印刷データを削除している、すなわち決まった時刻に印刷データを纏めて削除する構成であるが、削除条件はこれに限るものではない。例えば、削除条件として保存時間を設定し、削除条件設定アプリ47は定期的に共有フォルダ45にある印刷データを検索し、印刷データ個々に、生成時間からの経過時間が保存時間を超える場合にその印刷データを削除する、すなわち印刷データを個々に削除する構成であってもよい。
【0078】
また、実施の形態では、削除プログラム42が常駐しているが、例えばOS41や他のアプリによって定期的あるいは予め設定された所定の時刻に起動され、その起動時に共有フォルダ45にある印刷データを検索し、削除条件を満たす印刷データを削除するようにしてもよい。
【0079】
また、実施の形態では、削除プログラム42によって印刷データを削除しているが、プリンタドライバ43によって印刷データを削除してもよい。この場合、削除プログラム42はインストールされなくてもよく、例えば印刷データの生成時等、OS41からプリンタドライバ43が呼び出されたタイミングで共有フォルダ45にある印刷データを検索し、削除条件を満たす印刷データを削除すればよい。
【0080】
また、実施の形態では、インストーラ90において削除プログラム42をインストールするか否かを選択できるが、選択せずに必ずインストールするようにしてもよい。ただし、削除プログラム42をインストールするか否かを選択できることで、印刷ジョブの削除を行わないシステムも構築でき、インストーラ90の対象のシステムの自由度が高まる。また、プリンタドライバ43も同様に、インストールするか否かを選択できてもよい。
【0081】
また、実施の形態では、インストーラ90において最新の削除プログラム42がインストールされていればインストールを行っていないが、上書きインストールするようにしてもよい。ただし、削除プログラム42をインストールしないことで無駄なインストール作業を回避できる。また、プリンタドライバ43も同様に、最新のプリンタドライバ43がインストール済みの場合にインストールしないようにしてもよい。
【0082】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0083】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 クライアントPC
3 サーバ
5 プリンタ
42 削除プログラム
43 プリンタドライバ
45 共有フォルダ
46 セットアップファイル
47 削除条件設定アプリ
100 印刷システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9