(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 45/47 20180101AFI20240730BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20240730BHJP
F21S 41/19 20180101ALI20240730BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240730BHJP
F21S 43/19 20180101ALI20240730BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20240730BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20240730BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240730BHJP
H01L 33/64 20100101ALI20240730BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240730BHJP
F21W 102/30 20180101ALN20240730BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20240730BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20240730BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20240730BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20240730BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240730BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20240730BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20240730BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240730BHJP
【FI】
F21S45/47
F21S41/143
F21S41/19
F21S43/14
F21S43/19
F21V29/503
F21V29/76
F21V23/00 150
H01L33/64
H01L33/00 L
F21W102:30
F21W103:55
F21W102:00
F21W103:35
F21W103:10
F21Y115:10
F21Y115:20
F21Y115:15
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2020182643
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 健二
(72)【発明者】
【氏名】清水 邦宏
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-025934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 45/47
F21S 41/143
F21S 41/19
F21S 43/14
F21S 43/19
F21V 29/503
F21V 29/76
F21V 23/00
H01L 33/64
H01L 33/00
F21W 102/30
F21W 103/55
F21W 102/00
F21W 103/35
F21W 103/10
F21Y 115/10
F21Y 115/20
F21Y 115/15
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源が設置面に宛がわれて、前記光源からの熱を放熱する放熱部材と、
前記放熱部材が取付面に取り付けられるソケットと、を備え、
前記放熱部材は、前記設置面に連続する環状の側面を有し、
前記ソケットでは、前記取付面から突出して、前記放熱部材の固定のためのカシメ用突起が設けられ、
前記放熱部材では、前記側面に、前記放熱部材を構成する溶融金属の出入口と、前記カシメ用突起による支持箇所となるカシメ用板状部と、が設けられ
、
前記カシメ用突起は、前記放熱部材が前記取付面に宛がわれた状態で塑性変形されることで、前記カシメ用板状部を支持することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記カシメ用板状部は、前記取付面に直交する光軸方向での寸法が前記出入口よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記側面では、前記カシメ用板状部と前記出入口とがそれぞれ複数設けられ、前記
取付面に直交する光軸方向を中心とする回転方向で前記出入口と前記出入口との間に前記カシメ用板状部が配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記側面では、前記カシメ用板状部と前記出入口とがそれぞれ複数設けられ、前記
取付面に直交する光軸方向を中心とする回転方向で前記カシメ用板状部と前記出入口とが隣り合って配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記出入口は、前記光源の光軸を中心とする円周に沿って設けられ、
前記カシメ用板状部は、前記円周よりも小さな半径の円の接線方向に伸びる板状とされていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記放熱部材は、前記設置面とは反対側の裏面から突出された放熱フィン部を有し、
前記ソケットは、前記裏面に対向される
前記取付面において、前記放熱フィン部が嵌め入れられるフィン溝部を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記光源は、サブマウントタイプの発光素子であり、
前記設置面には、前記光源とは異なる位置で、前記光源に電気的に接続される基板が設けられ、
前記放熱部材では、前記
取付面に直交する光軸方向に直交する直交方向において、前記光源および前記基板の外側に前記カシメ用板状部が位置されていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具は、高出力で高輝度の光源を用いることが求められている。このため、車両用灯具では、光源からの熱を効率よく逃がすものが考えられている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
その車両用灯具は、光源が実装された基板に薄い板状の金属体を宛がい、その金属体をソケット(熱伝導樹脂部材)に固定することで、光源からの熱を金属体からソケットを経て逃がすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の車両用灯具は、薄い板状の金属体では熱容量が不足して、光源からの熱を十分に逃がすことが困難となる虞がある。このため、車両用灯具では、薄い板状の金属体に替えて、それよりも厚いダイカスト製の放熱部材を用いることで、光源が宛がわれる箇所の熱容量を高めることが考えられる。しかしながら、車両用灯具では、厚いダイカスト製の放熱部材を用いると、放熱部材の重量が増すことから、放熱部材のソケットへの固定状態を維持することが困難となる。
【0006】
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、放熱部材のソケットへの固定状態の維持を可能として、光源からの熱を十分に逃がすことのできる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の車両用灯具は、光源と、前記光源が設置面に宛がわれて、前記光源からの熱を放熱する放熱部材と、前記放熱部材が取付面に取り付けられるソケットと、を備え、前記放熱部材は、前記設置面に連続する環状の側面を有し、前記ソケットでは、前記取付面から突出して、前記放熱部材の固定のためのカシメ用突起が設けられ、前記放熱部材では、前記側面に、前記放熱部材を構成する溶融金属の出入口と、前記カシメ用突起による支持箇所となるカシメ用板状部と、が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の車両用灯具によれば、放熱部材のソケットへの固定状態を維持して、光源からの熱を十分に逃がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示に係る車両用灯具としての実施例1の車両用灯具を示す説明図である。
【
図2】車両用灯具の光源ユニットを示す説明図である。
【
図3】光源ユニットの構成を分解して示す説明図である。
【
図4】光源ユニットの放熱部材を裏面側から見た様子を示す説明図である。
【
図5】光源ユニットのソケットを取付面側から見た様子を示す説明図である。
【
図6】
図3のI-I線に沿って得られた断面を示す説明図である。
【
図7】放熱部材に回路基板を配置した様子を示す
図6と同様の説明図である。
【
図8】
図7の状態から円柱カシメ突起をカシメた様子を示す説明図である。
【
図9】放熱部材をソケットに圧入した状態を示す説明図であり、
図2のII-II線に沿って得られた断面に相当する。
【
図10】
図9の状態からカシメ用突起をカシメた様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る車両用灯具の一例としての車両用灯具10の実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0011】
本開示に係る車両用灯具の一実施形態に係る実施例1の車両用灯具10を、
図1から
図10を用いて説明する。実施例1の車両用灯具10は、自動車等の車両の灯具として用いられるもので、例えば、ヘッドランプやフォグランプやデイタイムランニングランプやクリアランスランプやストップランプやテールランプ等に用いられる。以下の説明では、車両用灯具10において、車両の直進時の進行方向であって光を照射する方向を光軸方向(図面ではZとし、照射する方を前側とする)とし、車両に搭載された状態での上下方向を上下方向(図面ではYとする)とし、光軸方向および上下方向に直交する方向を幅方向(図面ではXとする)とする。
【0012】
車両用灯具10は、
図1に示すように、ランプハウジング11、ランプレンズ12、リフレクタ13および光源ユニット20を備える。ランプハウジング11は、色付きや塗装された樹脂材料等の光不透過性の部材で形成され、前方が開口し、後方が塞がれた中空形状とされる。ランプハウジング11では、塞がれた後端を貫通する取付穴11aが設けられている。この取付穴11aの縁には、複数個の切欠部とストッパ部とが略等間隔に設けられている。
【0013】
ランプレンズ12は、透明樹脂部材料やガラス部材等の光透過性の部材で形成され、ランプハウジング11の開放された前端を覆うことのできる形状とされる。そのランプレンズ12は、ランプハウジング11の開口部に封止された状態で固定され、水密性が確保されている。このランプハウジング11とランプレンズ12とに区画されて、灯室14が形成されている。
【0014】
リフレクタ13は、光源ユニット20から出射される光を配光制御する配光制御部であり、ランプハウジング11等に固定されて灯室14内に配置されている。リフレクタ13は、光源ユニット20の光源21(
図2等参照)の近傍に焦点を有する湾曲形状とされ、内側の面が光を反射する反射面13aとされ、底部に取付穴13bが設けられている。その取付穴13bは、リフレクタ13が灯室14内に配置された状態において、ランプハウジング11の取付穴11aと通じる位置関係とされている。なお、実施例1では、リフレクタ13をランプハウジング11とは別の部材として形成しているが、一体の構成すなわちランプハウジング11の内側の面を反射面としてもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。また、リフレクタ(反射面)に替えて、光源ユニット20の光軸方向の前側に導光部材を設けてその光源21とは異なる位置や大きさの異なる領域で光を出射するものとしてもよく、実施例1の構成に限定されない。このように導光部材を設けた場合であっても、車両用灯具10は、例えば、ヘッドランプやフォグランプやデイタイムランニングランプやクリアランスランプやストップランプやテールランプ等として用いることができる。
【0015】
この灯室14には、ランプハウジング11の取付穴11aとリフレクタ13の取付穴13bとに通されて、光源ユニット20が配置される。その光源ユニット20は、ランプハウジング11との間に封止部材(Oリング)15を介在させて、その取付穴11aに着脱可能に取り付けられる。なお、光源ユニット20は、上下方向用光軸調整機構や左右方向用光軸調整機構を介して灯室14に設けられていてもよい。
【0016】
その光源ユニット20は、
図2、
図3に示すように、光源21と放熱部材22とソケット23と給電部材24とを備える。光源21は、サブマウント基板31に発光チップ32が設けられたサブマウントタイプの発光素子として形成されている。サブマウント基板31の取付面31aは、光軸方向で前側から見て略矩形状とされ、
図2を正面視して上半分に発光チップ32が取り付けられており、下側の2つの角部で対を為して接続端子31bが設けられている。光源21は、発光チップ32と両接続端子31bとがサブマウント基板31(その電路)を介して電気的に接続されており、両接続端子31b間に電力が供給されると発光チップ32を点灯させる。
【0017】
発光チップ32は、LED(Light Emitting Diode)、EL(有機EL)LDチップ(レーザーダイオードチップ)等の自発光半導体型光源であり、実施例1ではLEDチップとされている。発光チップ32は、光源ユニット20が組みつけられた状態で、リフレクタ13の焦点の近傍に位置されている。
【0018】
放熱部材22は、光源21で発生する熱をソケット23に伝達するヒートシンク部材であり、熱伝導率の高い金属材料で形成され、実施例1では金属製ダイカストのうちのアルミダイカストにより形成されている。放熱部材22は、
図3、
図4に示すように、ベース部41と放熱フィン部42とを有する。ベース部41は、光軸方向に直交する板状とされており、光軸方向の前側が設置面43とされ、その反対側(光軸方向の後側)が放熱フィン部42に連続する裏面44とされている。設置面43は、相対的に光軸方向の前側に突出する凸面部43aと、相対的に光軸方向の後側に凹む凹面部43bと、が設けられている。
【0019】
凸面部43aは、設置面43の中央領域を含むT字形状とされており、その中央領域に光源21が設置される。その光源21は、熱伝導性を有する接着層33を介して凸面部43a(その中央領域)に取り付けられる。この接着層33は、光源21(そのサブマウント基板31)を凸面部43aに取り付けるもので、エポキシ系樹脂接着剤、シリコン系樹脂接着剤、アクリル系樹脂接着剤等の材質で、液状形態、流動状形態、テープ形態等の形態とされる。
【0020】
凹面部43bは、凸面部43aにおける光源21が取り付けられた箇所を取り巻くU字形状とされており、一対の円柱カシメ突起45と一対の端子用穴46とが設けられている。両円柱カシメ突起45は、凹面部43bから光軸方向に突出する円柱状とされ、幅方向で光源21を挟むように対を為して設けられている。この各円柱カシメ突起45は、光軸方向で、後述する連結フィン52と同一直線上に設けられている(
図6参照)。両端子用穴46は、ベース部41を貫通する貫通孔であり、給電部材24のピン端子24aを通すことが可能とされている。
【0021】
この凹面部43bには、回路基板47が設けられる。この回路基板47は、車両に搭載された制御回路からの制御信号を光源21に伝えるものであり、コンデンサ等の複数の素子が適宜設けられている。回路基板47は、凹面部43bに嵌る形状、すなわち凸面部43aにおける光源21が取り付けられた箇所を取り巻くU字形状の板部材とされており、光軸方向で凹面部43bに設けられると凸面部43aと略等しい高さ位置とされる。なお、回路基板47は、制御回路が設けられていてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0022】
回路基板47には、一対のカシメ用穴47aと、一対の端子接続穴47bと、一対の接続端子47cと、が設けられている。両カシメ用穴47aは、回路基板47を光軸方向に貫通する貫通孔とされ、幅方向で光源21を挟むように対を為している。各カシメ用穴47aは、放熱部材22の凹面部43bに設けられた一対の円柱カシメ突起45に対応する位置に設けられており、その対応する円柱カシメ突起45を通すことが可能とされている。各端子接続穴47bは、回路基板47を光軸方向に貫通する貫通孔とされ、放熱部材22の凹面部43bに設けられた一対の端子用穴46に対応する位置に設けられており、給電部材24のピン端子24aを通すことが可能とされている。各端子接続穴47bは、回路基板47における回路と電気的に接続されており、対応するピン端子24aがハンダ等で固定されることで給電部材24と電気的に接続される。両接続端子47cは、サブマウント基板31の取付面31aの接続端子31bに対応する位置に設けられ、回路基板47に形成された回路に電気的に接続されている。
【0023】
この回路基板47は、粘着シート48を介して凹面部43bに取り付けられる。その粘着シート48では、一対のカシメ用切欠48aと、一対の端子接続切欠48bと、が設けられている。両カシメ用切欠48aは、両カシメ用穴47aすなわち両円柱カシメ突起45に対応して設けられ、対応する円柱カシメ突起45を通すことが可能とされている。両端子接続切欠48bは、両端子接続穴47bすなわち両ピン端子24aに対応して設けられ、対応するピン端子24aを通すことが可能とされている。
【0024】
回路基板47は、ワイヤボンディングにより設けられた一対のボンディングワイヤ49により、光源21と電気的に接続される。そのボンディングワイヤ49は、凸面部43aに取り付けられた光源21のサブマウント基板31の各接続端子31bと、凹面部43bに取り付けられた回路基板47の各接続端子47cと、を架け渡すように対を為して設けられる。各ボンディングワイヤ49は、実施例1では、超音波を用いたワイヤボンディングにより、一端が接続端子31bに、かつ他端が接続端子47cに、それぞれ電気的に接続される。なお、光源21(そのサブマウント基板31)と回路基板47とは、電気的に接続されていればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0025】
放熱フィン部42は、ベース部41の裏面44から光軸方向の後側に突出する複数の並列フィン51を有する。各並列フィン51は、ベース部41の裏面44において、上下方向に直交する平坦な板状とされており、上下方向に所定の間隔を開けて並んで(並列して)設けられている。すなわち、各並列フィン51は、平板状とされることで上下のそれぞれに平坦な外表面を有しており、互いの外表面を対向させて並列されている。並列フィン51の枚数や厚さは、適宜設定すればよく、実施例1では4枚とするとともに、互いの間隔と略等しい厚さの厚板状としている。
【0026】
実施例1の放熱フィン部42では、連結フィン52を設けている。連結フィン52は、各並列フィン51をその並列方向に架け渡すもので、実施例1では2枚設けられている。2枚の連結フィン52は、光軸方向で、設置面43の凹面部43bに設けられた円柱カシメ突起45と同一直線上に位置されている(
図6参照)。この両連結フィン52は、各並列フィン51の幅方向端部近傍を上下に架け渡す、すなわち一番上側の並列フィン51から中間の2枚の並列フィン51を経て一番下側の並列フィン51に至るものとされている。このため、実施例1の放熱フィン部42は、4枚の並列フィン51と2枚の連結フィン52とが格子状に組み合わされている。そして、実施例1の両円柱カシメ突起45は、対応する連結フィン52において、並列フィン51と重なる位置すなわち並列フィン51と連結フィン52とが交差する位置と光軸方向で同一直線上の位置とされている(
図6参照)。
【0027】
この放熱部材22では、
図4に示すように、一対の端子用穴46がベース部41を貫通することで、裏面44において一番下の並列フィン51の下方に両端子用穴46が位置されている。加えて、放熱部材22では、ベース部41の裏面44に一対の位置決め突起53が設けられている。各位置決め突起53は、裏面44において、幅方向で一対の端子用穴46の外側に位置されており、裏面44から光軸方向の後側に突出する柱状とされている。
【0028】
放熱部材22では、ベース部41において、光軸方向に直交する方向に環状の側面61が設けられている。この側面61は、設置面43と裏面44とを光軸方向に掛け渡しており、ソケット23のソケット本体部71の周壁71aの内側に収まる大きさとされている。この側面61には、カシメ用板状部62とゲート部63とオーバーフロー部64とが設けられている。
【0029】
カシメ用板状部62は、ソケット本体部71に設けられるカシメ用突起79による支持箇所となる。実施例1のカシメ用板状部62は、上下方向で対を為すとともに幅方向で対を為して、合計4箇所に設けられている。各カシメ用板状部62は、ベース部41において、光源21の光軸を中心とする円の接線方向に伸びる板状とされており、光軸方向での寸法(以下では、厚さ寸法ともいう)がベース部41の他の部分と比較して小さくされている。各カシメ用板状部62は、ベース部41において、設置面43側が部分的に切り欠かれた構成とされている。また、各カシメ用板状部62は、その裏面が裏面44と略同一平面とされている。このため、各カシメ用板状部62は、ベース部41における設置面43の上下方向の両縁部と幅方向の両縁部との4箇所に、部分的に凹む箇所を形成している。
【0030】
ゲート部63は、放熱部材22を形成するアルミダイカストのための金型において、放熱部材22を構成する溶融金属の注入のためのゲートと対向される箇所である。このため、ゲート部63は、放熱部材22において、その放熱部材22を構成する溶融金属の出入口(入口)として機能する。ゲート部63は、ベース部41の側面61において、厚さ寸法が大きい箇所に設定され、実施例1では、T字形状とされた凸面部43aにおける上端側の左右の両縁部に設定されており、周壁71aの内周に沿う円弧状とされている。このため、ゲート部63は、上下方向の上側のカシメ用板状部62を挟んで幅方向で対を為して設けられており、ベース部41の側面61において最も厚さ寸法が大きい箇所に設定されている。
【0031】
オーバーフロー部64は、放熱部材22を形成するアルミダイカストのための金型において、放熱部材22を構成する溶融金属に含まれる気体等を逃がすためのオーバーフローと対向される箇所である。このため、オーバーフロー部64は、放熱部材22において、その放熱部材22を構成する溶融金属の出入口(出口)として機能する。オーバーフロー部64は、ベース部41の側面61において、厚さ寸法が大きい箇所に設定され、実施例1では、凹面部43bにおける下端側の左右の両縁部に設定されており、周壁71aの内周に沿う円弧状とされている。このため、オーバーフロー部64は、上下方向の下側のカシメ用板状部62を挟んで幅方向で対を為して設けられており、ベース部41の側面61において両ゲート部63(そこに連続する凸面部43a)の次に厚さ寸法が大きい箇所に設定されている。
【0032】
このため、放熱部材22では、側面61上において、光源21の光軸(光軸方向)を中心とする回転方向で、各カシメ用板状部62と溶融金属の出入口(両ゲート部63、両オーバーフロー部64)とが交互に配置されている。すなわち、側面61は、周壁71aの内周に沿う円弧状の各ゲート部63および各オーバーフロー部64と、光源21の光軸を中心とする円の接線方向に伸びる各カシメ用板状部62と、で構成されている。このため、側面61(ベース部41)では、周壁71aの内周に沿う円周すなわち光源21の光軸を中心とする所定の半径の円周上にゲート部63およびオーバーフロー部64を設けているとともに、その円周よりも小さな半径の円の接線方向に伸びるように各カシメ用板状部62を設けている。なお、ゲート部63やオーバーフロー部64は、放熱部材22として形成された後であっても、ゲートやオーバーフローに連なるように残った構成物質を除去した跡が残っているので、溶融金属の出入口であったことを判別できる。
【0033】
ソケット23は、
図3、
図5に示すように、熱伝導性を有する材料で形成され、実施例1では樹脂部材で形成されている。ソケット23は、ソケット本体部71とソケット放熱部72とを有し、放熱部材22から伝達された熱を外部へ逃がす機能(主にソケット放熱部72)を有する。ソケット本体部71は、光軸方向の前側が取付面73とされ、その反対側(光軸方向の後側)がソケット放熱部72に連続する裏面74とされている。ソケット本体部71には、外径がランプハウジング11の取付穴11aの内径より若干小さい円筒形状の周壁71aと、そこから光軸方向に直交する面に沿って外側に突出するフランジ壁71bと、周壁71aの光軸方向の後側を閉鎖する底壁71cと、が設けられている。このソケット本体部71は、底壁71cにより取付面73側と裏面74側とが区画されている。
【0034】
ソケット本体部71では、周壁71aから光軸方向に直交する方向の外側に突出する4つの取付突起71dが設けられている。4つの取付突起71dは、周壁71aの周方向で略等しい間隔で設けられており、ランプハウジング11の取付穴11aの縁に設けられた切欠部を通すことができる。各取付突起71dは、上記の切欠部を通した後にランプハウジング11に対するソケット本体部71の回転姿勢が変化されてストッパ部に宛がわれることで、フランジ壁71bとの間に取付穴11aの周縁部と封止部材15とを挟み込むことができる(
図1参照)。これにより、各取付突起71dは、フランジ壁71bと協働して、ソケット23すなわち光源ユニット20をランプハウジング11に封止部材15を介して着脱可能に取り付けることができる。
【0035】
ソケット本体部71では、取付面73における周壁71aの内方に、フィン溝部76と設置穴77と位置決め穴78とカシメ用突起79とが設けられている。フィン溝部76は、放熱フィン部42を嵌め入れることができるものであり、放熱フィン部42を反転させた形状とされている。すなわち、フィン溝部76は、4枚の並列フィン51に適合する並列溝76aと、2枚の連結フィン52に適合する連結溝76bと、が格子状に組み合わされている。このため、フィン溝部76は、放熱フィン部42と適切に噛み合うように放熱フィン部42を受け入れることができる。
【0036】
設置穴77は、給電部材24(
図3参照)を設置する箇所であり、底壁71cを光軸方向に貫通している。その給電部材24は、電源側のコネクタ16(
図1参照)が、機械的に着脱可能にかつ電気的に断続可能に接続されるものであり、そのコネクタ16からの電力を光源ユニット20に供給する。この給電部材24は、一対のピン端子24aを有し、このピン端子24aが各端子接続穴47bに電気的に接続されることで、回路基板47への電力の供給が可能とされる。設置穴77は、給電部材24の外形を模る形状とされており、絶縁材料を介して給電部材24を嵌め入れることで、その給電部材24の絶縁性が確保される。この設置穴77は、裏面74に設けられる取付箇所(その内方)と通じている。給電部材24は、設置穴77に設けられることで、光軸方向の後側の連結端子が取付箇所内に露出され、その取付箇所に電源側のコネクタ16(
図1参照)が取り付けられると、連結端子がそのコネクタ16の連結端子に電気的に接続される。
【0037】
位置決め穴78は、放熱部材22の一対の位置決め突起53に対応して対を為しており、その各位置決め突起53を挿入することのできる穴とされている。各位置決め穴78は、取付面73において、幅方向で設置穴77の外側に位置されており、光軸方向の後側に延びる穴とされている。各位置決め穴78は、対応する位置決め突起53が挿入されることで、放熱部材22とソケット23との相対的な位置を定める。このため、実施例1では、放熱部材22の一対の位置決め突起53が放熱側位置決め部となり、ソケット23の一対の位置決め穴78がソケット側位置決め部となる。なお、放熱側位置決め部とソケット側位置決め部とは、放熱部材22とソケット23との相対的な位置を定めるものであれば、位置や数は適宜設定すればよく、突起と穴とを入れ替えてもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0038】
カシメ用突起79は、放熱部材22をソケット23(そのソケット本体部71)に取り付けるために設けられている。カシメ用突起79は、
図3、
図5、
図9等に示すように、放熱部材22のベース部41の側面61に設けられた4つのカシメ用板状部62に個別に対応して4つ設けられている。この各カシメ用突起79は、上下方向で対を為すとともに幅方向で対を為しており、光源21の光軸を中心とする円の径方向でフィン溝部76や設置穴77や位置決め穴78よりも外側に位置されている。各カシメ用突起79は、各位置決め穴78と各位置決め突起53とにより相対的な位置が定められた状態において、対応するカシメ用板状部62の径方向の外側に隣接する位置関係とされている(
図9等参照)。各カシメ用突起79は、光軸方向を中心とする円の接線方向に伸びるとともに、取付面73から光軸方向の前側に突出する板状とされている。各カシメ用突起79は、先端部79aが光軸方向の前側に向かうに連れて漸次的に細くされており、実施例1では上記した径方向における外側が切り欠かれた形状とされている(
図5、
図9等参照)。
【0039】
ソケット放熱部72は、放熱部材22から伝えられた熱を外部に逃がす(放射させる)もので、複数のフィン81を有する。各フィン81は、幅方向に直交する面に沿う板状とされ、裏面74から光軸方向の後側に突出しつつ幅方向に並列されている。この裏面74では、
図1に示すように、各フィン81が設けられていない箇所に、電源側のコネクタ16が挿入される取付箇所が設けられている。この取付箇所は、コネクタ16が機械的に着脱可能に取り付けられるものであり、コネクタ16が取り付けられるとその連結端子を設置穴77に設けられた給電部材24(
図3等参照)の連結端子に電気的に接続させる。
【0040】
この光源ユニット20は、次のように組み付けられる。先ず、
図3に示すように、ソケット23の取付面73の設置穴77に、絶縁材料を介して給電部材24を嵌め入れる。また、放熱部材22のベース部41の設置面43において、凸面部43aの中央領域に接着層33を介して光源21を取り付けるとともに、凹面部43bに粘着シート48を介して回路基板47を取り付ける。このとき、粘着シート48および回路基板47では、凹面部43bの一対の円柱カシメ突起45が対応するカシメ用切欠48aおよびカシメ用穴47aに通される(
図7参照)とともに、凹面部43bの一対の端子用穴46に対応する端子接続穴47bおよび端子接続切欠48bが重ねられる。
【0041】
次に、両円柱カシメ突起45の先端を潰して塑性変形させる、すなわちカシメる(変形前の
図7から変形後の
図8参照)。これにより、各円柱カシメ突起45は、対応するカシメ用切欠48aおよびカシメ用穴47aに通された状態で先端が膨らませて、そのカシメ用切欠48aおよびカシメ用穴47aから抜けることが防止される。このとき、放熱部材22では、円柱カシメ突起45の先端と、その反対側の放熱フィン部42と、の間で圧力をかけることとなるが、各並列フィン51の並列方向に各並列フィン51を架け渡して複数の連結フィン52を設けているので、その各連結フィン52により各並列フィン51の間隔の変化が防がれている。加えて、放熱部材22では、並列フィン51と連結フィン52とが交差する位置と光軸方向で同一直線上の位置に両円柱カシメ突起45を設けているので、各円柱カシメ突起45の先端をカシメる際に掛けられる圧力を同一直線上の交差する位置で受けることができ、放熱フィン部42が変形することをより効果的に抑制できる。これにより、回路基板47は、凹面部43bに強固に固定される。
【0042】
次に、一対のボンディングワイヤ49を、光源21のサブマウント基板31の各接続端子31bと、回路基板47の各接続端子47cと、を架け渡して配置する。そして、各接続端子31bおよび各接続端子47cに宛がわれた各ボンディングワイヤ49の両端を、超音波を用いたワイヤボンディングにより電気的に接続する。次に、ソケット23のソケット本体部71の取付面73のフィン溝部76に熱伝導体82(
図3参照)を設ける。この熱伝導体82は、放熱部材22の放熱フィン部42とソケット23のフィン溝部76との間での熱伝達性を高めるために設けるもので、実施例1では熱伝導グリースを用いている。
【0043】
その後、ソケット本体部71の周壁71a内において、各位置決め突起53を対応する位置決め穴78に挿入して裏面74を取付面73に宛がい、放熱部材22をソケット23に圧入する。この圧入の際、適宜超音波を用いることができる、すなわち超音波を用いてもよく、用いなくてもよい。このとき、各位置決め突起53と各位置決め穴78との位置決めの作用により、裏面74の放熱フィン部42が取付面73のフィン溝部76に嵌め入れられるとともに、ソケット23の設置穴77に設けられた給電部材24の各ピン端子24aがソケット本体部71の対応する端子用穴46を経て回路基板47の対応する端子接続穴47bに通される。また、各位置決め突起53と各位置決め穴78との位置決めの作用により、ソケット本体部71の各カシメ用突起79が、ベース部41の側面61の対応するカシメ用板状部62の径方向の外側に隣接される(
図9等参照)。
【0044】
次に、各カシメ用突起79の先端部79aを潰して塑性変形させる、すなわちカシメる(変形前の
図9から変形後の
図10参照)。このとき、各カシメ用突起79は、先端部79aが光軸方向の前側から対応するカシメ用板状部62上に覆い被さるように、先端部79aを径方向の内側に曲げて塑性変形させる。このカシメは、熱を加えて行う熱カシメでもよく、超音波を用いて行う超音波カシメでもよい。これにより、各カシメ用突起79は、その先端部79aと自らが設けられた取付面73とにより、カシメ用板状部62を光軸方向で挟むことができる(
図10参照)。そして、各カシメ用突起79は、対応するカシメ用板状部62の径方向の外側に隣接されているとともに、先端部79aが径方向の内側に曲げられているので、四方からベース部41を支持することでソケット本体部71に強固に固定できる。その後、ハンダ等を用いて、各ピン端子24aを端子接続穴47bに電気的に接続することで、光源ユニット20を組み付けることができる。
【0045】
この光源ユニット20は、周壁71aを取り巻きつつフランジ壁71bに宛がって封止部材15が設けられた状態で、光源21側からランプハウジング11の取付穴11aに挿入され、そのソケット23の各取付突起71dが取付穴11aの縁に設けられた切欠部に通される。その後、光源ユニット20は、ランプハウジング11に対するソケット本体部71の回転姿勢が変化されて各取付突起71dが対応するストッパ部に宛がわれることで、フランジ壁71bと取付穴11aの周縁部との間に封止部材15とを挟み込んだ状態で、ランプハウジング11に取り付けられる。このランプハウジング11にリフレクタ13およびランプレンズ12が取り付けられることで、車両用灯具10が組み付けられる。その車両用灯具10では、光源ユニット20における光源21や回路基板47が、ランプハウジング11の取付穴11aおよびリフレクタ13の取付穴13bを経て灯室14内であって、リフレクタ13の反射面13a側に配置されている。車両用灯具10は、ランプハウジング11に取り付けられた光源ユニット20のソケット23の取付箇所に電源側のコネクタ16(
図1参照)が取り付けられることで、給電部材24を経て回路基板47に電力を供給可能となり、光源21を適宜点灯および消灯することができる。
【0046】
この車両用灯具10は、金属製ダイカスト(実施例1ではアルミダイカスト)で形成した放熱部材22に光源21を設けているので、従来技術のように薄い板状の金属体を用いることと比較して、放熱部材22の熱容量を高めることができ、光源21を適切に冷却できる。特に、車両用灯具10は、放熱部材22の放熱フィン部42をソケット23のフィン溝部76に嵌め入れているので、光源21で発生した熱を放熱部材22からソケット23へと効率よく伝えることができ、その熱をソケット23から外部へと逃がすことができる。このため、車両用灯具10は、光源21をより適切に冷却することができ、光源21を適切に点灯することができる。加えて、車両用灯具10は、ソケット23にもソケット放熱部72(各フィン81)を設けているので、放熱部材22からソケット23へと伝達された熱を効率よく放射することができ、放熱部材22の放熱を促進させることができる。
【0047】
ここで、従来技術の薄い板状の金属体から金属製ダイカストの放熱部材22に変更すると重量が増加することから、板状の金属体と同様の簡易な構成では、放熱部材22のソケット23(ソケット本体部71)への固定状態を維持することが困難となる。特に、車両用灯具10では、車両に搭載されることにより、車両の振動の影響を受けるので、その固定状態を適切に維持することが困難となる。そこで、出願人は、ソケット23(ソケット本体部71)に、放熱部材22を固定するためのカシメ用突起を設けることを考えた。ところが、放熱部材22では、ベース部41の設置面43が光源21等を設置するために設けられていることから、設置面43上にカシメ用突起が押さえる領域を設定すると、光源21等を設置できる領域が狭くなるので望ましくない。
【0048】
また、放熱部材22では、ダイカストにより適切に形成するために、その金型において溶融金属の出入り口すなわちゲートやオーバーフローと対向される箇所の厚さを十分に確保することが望ましい。これは、溶融金属の出入り口の箇所の厚さを十分に確保することにより、金型内における溶融金属の流れを適切なものにできることによる。
【0049】
さらに、ソケット23(ソケット本体部71)に放熱部材22を固定するためのカシメ用突起を設ける場合、カシメ用突起により挟まれる箇所の厚さ寸法を小さくすることが望ましい。これは、次のことによる。ソケット23の取付面73では、放熱部材22の固定以外にも様々な構成(実施例1ではフィン溝部76、設置穴77、位置決め穴78)が設けられることから、カシメ用突起を設けるための領域(面積)には制限がある。このため、カシメ用突起では、挟む箇所の厚さ寸法が大きくなってそれに応じた突出寸法とすると、制限された領域(断面積)に対する突出寸法の割合が大きくなってしまうので、内部に生じる応力が大きくなり、放熱部材22を適切に固定できなくなる虞がある。
【0050】
これに対して、車両用灯具10は、放熱部材22のベース部41で環状とされた側面61において、部分的に厚さ寸法を小さくしてカシメ用板状部62を設けるとともに、厚さ寸法の大きい箇所にゲート部63とオーバーフロー部64とを設けている。そして、車両用灯具10は、ソケット23(ソケット本体部71)に放熱部材22を固定するためのカシメ用突起79を設け、その先端部79aをカシメて取付面73との間でカシメ用板状部62を挟むことで、放熱部材22をソケット23に固定する。このため、車両用灯具10は、カシメ用突起79が放熱部材22のベース部41の側面61のカシメ用板状部62を挟むので、カシメ用突起79を設置面43上に位置させることなく放熱部材22をソケット23に固定でき、設置面43が狭められることを防止できる。これにより、車両用灯具10は、設置面43上での光源21や回路基板47等の配置を邪魔することなく放熱部材22をソケット23に適切に固定できるとともにその固定状態を維持することができ、所望の光を照射できる。
【0051】
また、車両用灯具10は、放熱部材22のベース部41の側面61において、厚さ寸法の大きい箇所にゲート部63とオーバーフロー部64とを設けているので、金型内における溶融金属の流れを適切なものにでき、放熱部材22を適切に形成できる。さらに、車両用灯具10は、放熱部材22のベース部41の側面61において、部分的に厚さ寸法を小さくしてカシメ用板状部62を設けているので、カシメ用突起79の突出寸法を小さくすることができ、放熱部材22を適切に固定できる。特に、車両用灯具10は、放熱部材22のベース部41の側面61において、厚さ寸法の最も大きい箇所にゲート部63を設け、その次に厚さ寸法の大きい箇所にオーバーフロー部64を設けている。このため、車両用灯具10は、金型への溶融金属の注入を円滑としつつ金型から気体等を適切に逃がすことができ、放熱部材22をより適切に形成できる。
【0052】
加えて、車両用灯具10は、側面61において、周方向で4つのカシメ用板状部62の間に出入口としての2つのゲート部63や2つのオーバーフロー部64を設けており、各カシメ用板状部62と各出入口とを交互に設けている。このため、車両用灯具10は、各出入口を離して設けることができ、ダイカスト製の放熱部材22を適切に形成できる。特に、車両用灯具10は、上下方向の上側に両ゲート部63を設けるとともに下側に両オーバーフロー部64を設けているので、金型内における溶融金属の流れをより適切なものにでき、放熱部材22をより適切に形成できる。また、車両用灯具10は、各カシメ用板状部62を離して設けることができ、放熱部材22をバランスよく固定できる。特に、車両用灯具10は、上下方向で対を為すとともに幅方向で対を為して、合計4箇所にカシメ用板状部62を設けているので、よりバランスよく放熱部材22を固定できる。これらのことから、車両用灯具10は、放熱部材22のソケット23への固定状態を維持することができる。
【0053】
車両用灯具10は、サブマウントタイプの光源21を用いているので、光源21を直に放熱部材22に取り付けることができ、光源21を効果的に冷却できる。ここで、車両用灯具10は、サブマウントタイプの光源21であると、放熱部材22をソケット23(ソケット本体部71)に固定する前に光源21を放熱部材22に取り付ける必要がある。また、車両用灯具10は、光源21の各接続端子31bと回路基板47の各接続端子47cとを超音波を用いたワイヤボンディングにより一対のボンディングワイヤ49で電気的に接続しているので、両円柱カシメ突起45をカシメて回路基板47を凹面部43bにより強固に固定している。これは、回路基板47が、粘着シート48のみで凹面部43bに取り付けられていると、超音波を用いたワイヤボンディングの際に凹面部43bから脱落したり、位置がずれてしまったりする虞があることによる。これらのことから、車両用灯具10では、光源21や回路基板47を設置面43に設けた放熱部材22を、ソケット23に固定する必要がある。そして、車両用灯具10は、各カシメ用板状部62を放熱部材22(ベース部41)の側面61に設けるとともに、その対応するカシメ用板状部62の径方向の外側に隣接する位置関係で各カシメ用突起79をソケット23に設けている。このため、車両用灯具10は、設置面43上の光源21や回路基板47よりも径方向の外側に、各カシメ用板状部62や各カシメ用突起79を位置させることができ、光源21や回路基板47を設置面43に設けた放熱部材22であってもソケット23に適切に固定できる。加えて、車両用灯具10は、径方向の外側に位置させることで、各カシメ用突起79で各カシメ用板状部62を固定している構成を露出させることができるので、一見して放熱部材22を強固に固定していることを把握させることができる。
【0054】
実施例1の車両用灯具10は、以下の各作用効果を得ることができる。
【0055】
車両用灯具10は、ソケット23に、取付面73から突出して放熱部材22の固定のためのカシメ用突起79を設け、放熱部材22の側面61に、放熱部材22を構成する溶融金属の出入口としてのゲート部63やオーバーフロー部64と、カシメ用突起79による支持箇所となるカシメ用板状部62と、を設けている。このため、車両用灯具10は、カシメ用突起79が放熱部材22の側面61のカシメ用板状部62を挟むので、カシメ用突起79を設置面43上に位置させることなく固定することができ、設置面43が狭められることを防止できる。また、車両用灯具10は、放熱部材22の側面61に出入口を設けているので、金型内における溶融金属の流れを適切なものにでき、ダイカスト製の放熱部材22を適切に形成できる。これにより、車両用灯具10は、放熱部材22をソケット23に適切に固定して、光源21を十分に冷却できる。
【0056】
車両用灯具10は、取付面73に直交する光軸方向での寸法すなわち厚さ寸法を、出入口よりもカシメ用板状部62を小さくしている。このため、車両用灯具10は、出入口の厚さ寸法を大きくできるので、金型内における溶融金属の流れを適切なものにでき、放熱部材22を適切に形成できる。また、車両用灯具10は、カシメ用板状部62の厚さ寸法を小さくできるので、カシメ用突起79の突出寸法を小さくすることができ、放熱部材22を適切に固定できる。
【0057】
車両用灯具10は、カシメ用板状部62と出入口とをそれぞれ複数設け、光軸方向を中心とする回転方向で出入口と出入口との間にカシメ用板状部62を配置している。このため、車両用灯具10は、各出入口を離して設けることができるので、ダイカスト製の放熱部材22を適切に形成できる。また、車両用灯具10は、各カシメ用板状部62を離して設けることができるので、放熱部材22をバランスよくソケット23に固定できる。
【0058】
車両用灯具10は、カシメ用板状部62と出入口とをそれぞれ複数設け、光軸方向を中心とする回転方向でカシメ用板状部62と出入口とを隣り合わせて配置している。このため、車両用灯具10は、各出入口を離して設けることができるので、ダイカスト製の放熱部材22を適切に形成できる。また、車両用灯具10は、各カシメ用板状部62を離して設けることができるので、放熱部材22をバランスよくソケット23に固定できる。
【0059】
車両用灯具10は、出入口を光源21の光軸を中心とする円周に沿って設け、カシメ用板状部62を上記の円周よりも小さな半径の円の接線方向に伸びる板状としている。このため、車両用灯具10は、放熱部材22の大きさを確保して十分な放熱性能を有するものとしつつ、カシメ用突起79により支持されるカシメ用板状部62の位置を、出入口よりも放熱部材22の重心に近い位置とすることができる。これにより、車両用灯具10は、光源21を十分に冷却しつつ、放熱部材22をより適切にソケット23に固定でき、その固定状態を維持できる。特に、実施例1の車両用灯具10は、出入口としての各ゲート部63と各オーバーフロー部64とを、ソケット23のソケット本体部71の周壁71aの内周に沿う円弧状としている。このため、実施例1の車両用灯具10は、放熱部材22(そのベース部41)を、ソケット本体部71の内方への配置を可能としつつ最大限の大きさとすることができ、十分な放熱性能を確保できる。
【0060】
車両用灯具10は、放熱部材22が裏面44から突出された放熱フィン部42を有し、ソケット23が取付面73において放熱フィン部42が嵌め入れられるフィン溝部76を有する。このため、車両用灯具10は、放熱フィン部42を設けることにより重量が増加した放熱部材22であってもカシメ用板状部62とカシメ用突起79とにより適切にソケット23に固定でき、光源21で発生した熱を放熱部材22からソケット23へと効率よく伝えることができる。
【0061】
車両用灯具10は、設置面43において、光源21とは異なる位置でそこに電気的に接続される基板(回路基板47)を設け、放熱部材22において、光軸方向に直交する直交方向における光源21および基板の外側にカシメ用板状部62を位置させている。このため、車両用灯具10は、光源21や基板を設置面43に設けた放熱部材22であってもソケット23に適切に固定できる。
【0062】
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例1の車両用灯具10は、放熱部材22のソケット23への固定状態の維持を可能として、光源21からの熱を十分に逃がすことができる。
【0063】
以上、本開示の車両用灯具を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0064】
なお、実施例1では、放熱部材22をアルミダイカストにより形成している。しかしながら、放熱部材は、金属製ダイカストにより形成したものであって薄い板状の金属体(所謂金属プレート)よりも厚さ寸法の大きいものであればよく、実施例1の構成に限定されない。そして、実施例1では、放熱部材22に放熱フィン部42を設けているが、金属製ダイカストの放熱部材であれば、放熱フィン部を設けなくてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0065】
また、実施例1では、ソケット23に4つのカシメ用突起79を設けるとともに、放熱部材22の側面61に4つのカシメ用板状部62を設けている。しかしながら、カシメ用突起79がカシメ用板状部62を支持することにより放熱部材22をソケット23に固定するものであれば、側面61におけるカシメ用板状部62の位置や個数や形状、およびそれに対応するカシメ用突起79の位置や個数や形状は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0066】
さらに、実施例1では、放熱部材22を構成する溶融金属の出入口として、放熱部材22の側面61に2つのゲート部63と2つのオーバーフロー部64とを設けている。しかしながら、放熱部材22の適切な形成を可能とするものであれば、溶融金属の出入口の位置や個数や形状は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0067】
実施例1では、サブマウントタイプの光源21を用いて、ワイヤボンディングにより設けられた一対のボンディングワイヤ49により、回路基板47と電気的に接続している。しかしながら、光源は、放熱部材22に取り付けられて、ソケット23に取り付けられる電源側のコネクタ16からの電力の供給により適宜点灯および消灯するものであれば、例えば、光源を基板に実装したものを放熱部材22に取り付ける構成としてもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0068】
実施例1では、放熱フィン部42を上記の構成としている。しかしながら、放熱フィン部は、放熱部材22の放熱性を高めるために表面積を拡げる所謂フィン形状とされていればよく、実施例1の構成に限定されない。そして、実施例1では、フィン溝部76を上記の構成としている。しかしながら、フィン溝部は、放熱フィン部の嵌め入れを可能とするもの、すなわち放熱フィン部を反転させた形状とされていればよく、実施例1の構成に限定されない。
【符号の説明】
【0069】
10 車両用灯具 21 光源 22 放熱部材 23 ソケット 42 放熱フィン部 43 設置面 44 裏面 47 (基板の一例としての)回路基板 61 側面 62 カシメ用板状部 63 (出入口の一例としての)ゲート部 64 (出入口の一例としての)オーバーフロー部 73 取付面 76 フィン溝部 79 カシメ用突起