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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】不要樹脂除去装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20240730BHJP
   B29C 45/38 20060101ALI20240730BHJP
   B29C 45/42 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01L21/56 T
B29C45/38
B29C45/42
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020182887
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022073108
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永冨 信至
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-231030(JP,A)
【文献】特開平06-224236(JP,A)
【文献】特開昭62-070010(JP,A)
【文献】特開2005-294408(JP,A)
【文献】特開平03-290218(JP,A)
【文献】特開平01-225144(JP,A)
【文献】特開平07-241888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
B29C 45/38
B29C 45/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が載置された基材が樹脂封止成形されて形成される樹脂封止成形品の前記基材を保持した状態で前記樹脂封止成形品に連結されたランナーおよびカルを含む不要樹脂に対して相対的に前記基材を回転させて前記樹脂封止成形品から前記不要樹脂を剥離する剥離処理を行うゲートブレイク部と、
前記ゲートブレイク部によって前記剥離処理が行われた前記樹脂封止成形品を保持して前記ゲートブレイク部から搬出するローダ部と、を備え、
前記ローダ部は、
前記剥離処理が行われた前記樹脂封止成形品の前記基材を保持する保持機構と、
前記保持機構によって前記基材が保持された状態で前記不要樹脂のうち前記カルを押圧する押圧機構と、を備える
ことを特徴とする不要樹脂除去装置。
【請求項2】
前記ローダ部は、
前記ゲートブレイク部の保持部に前記樹脂封止成形品が載置された状態で前記樹脂封止成形品の前記基材を前記保持機構によって保持し且つ前記押圧機構で前記カルを押圧した状態で移動する
ことを特徴とする請求項1に記載の不要樹脂除去装置。
【請求項3】
前記押圧機構は、
前記カルに当接する当接部材と、
前記当接部材を前記カルに押圧させる弾性部材と、を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の不要樹脂除去装置。
【請求項4】
前記当接部材は、
前記保持機構が前記基材の保持を開始する位置に移動する際に前記保持機構の移動に伴って前記カルに当接し前記弾性部材を収縮させ、
前記弾性部材は、
当該弾性部材の収縮に対する反発力によって前記当接部材に前記カルを押圧させる
ことを特徴とする請求項3に記載の不要樹脂除去装置。
【請求項5】
前記押圧機構は、
前記カルに当接する当接部材と、
前記当接部材が前記カルに当接した状態で前記当接部材を前記カルに押圧させるアクチュエータと、を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の不要樹脂除去装置。
【請求項6】
前記押圧機構は、
エアシリンダである
ことを特徴とする請求項5に記載の不要樹脂除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、不要樹脂除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リードフレームなどの基材に半導体素子が載置されて樹脂封止成形される樹脂封止成形品には、樹脂封止成形の際にカルおよびランナーを含む不要樹脂が形成される。かかる不要樹脂は不要樹脂除去装置によって樹脂封止成形品から除去される。
【0003】
例えば、特許文献1には、不要樹脂が連結された樹脂封止成形品の基材を不要樹脂に対して回転させて樹脂封止成形品から不要樹脂を剥離する剥離処理を行う不要樹脂除去装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平3-290218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂封止装置による樹脂封止成形の際に、樹脂による薄いバリが基材に形成され、かかる薄いバリを介して基材と不要樹脂とが連結される場合がある。この場合、特許文献1に記載の不要樹脂除去装置によって基材と不要樹脂との連結部分が剥離されても、樹脂封止成形品に薄いバリを介して不要樹脂が連結された状態が維持されて樹脂封止成形品から不要樹脂を除去できない場合がある。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、樹脂封止成形品から不要樹脂を精度よく除去することができる不要樹脂除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る不要樹脂除去装置は、ゲートブレイク部と、ローダ部とを備える。ゲートブレイク部は、半導体素子が載置された基材が樹脂封止成形されて形成される樹脂封止成形品の基材を保持した状態で樹脂封止成形品に連結されたランナーおよびカルを含む不要樹脂に対して相対的に基材を回転させて樹脂封止成形品から不要樹脂を剥離する剥離処理を行う。ローダ部は、ゲートブレイク部によって剥離処理が行われた樹脂封止成形品を保持してゲートブレイク部から搬出する。ローダ部は、保持機構と、押圧機構とを備える。保持機構は、剥離処理が行われた樹脂封止成形品の基材を保持する。押圧機構は、保持機構によって基材が保持された状態で不要樹脂のうちカルを押圧する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、樹脂封止成形品から不要樹脂を精度よく除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る不要樹脂除去装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る不要樹脂が連結された樹脂封止成形品の側面図である。
図3図3は、実施形態に係る不要樹脂が連結された樹脂封止成形品の平面図である。
図4図4は、実施形態に係る不要樹脂が連結され且つ基材に薄いバリが形成された樹脂封止成形品の平面図である。
図5図5は、実施形態に係る不要樹脂除去装置のゲートブレイク部の構成の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係るゲートブレイク部での剥離処理を説明するための図(その1)である。
図7図7は、実施形態に係るゲートブレイク部での剥離処理を説明するための図(その2)である。
図8図8は、実施形態に係るゲートブレイク部での剥離処理を説明するための図(その3)である。
図9図9は、実施形態に係る不要樹脂除去装置のローダ部の構成の一例を示す図(その1)である。
図10図10は、実施形態に係る不要樹脂除去装置のローダ部の構成の一例を示す図(その2)である。
図11図11は、図10に示すローダ部による剥離処理の一例を説明するための図(その1)である。
図12図12は、図10に示すローダ部による剥離処理の一例を説明するための図(その2)である。
図13図13は、図10に示すローダ部による剥離処理の一例を説明するための図(その3)である。
図14図14は、図10に示すローダ部による剥離処理の一例を説明するための図(その4)である。
図15図15は、実施形態に係る不要樹脂除去装置のローダ部の一部の構成の他の例を示す図である。
図16図16は、図15に示すローダ部による剥離処理の他の例を説明するための図(その1)である。
図17図17は、図15に示すローダ部による剥離処理の他の例を説明するための図(その2)である。
図18図18は、図15に示すローダ部による剥離処理の他の例を説明するための図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する不要樹脂除去装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
<1.不要樹脂除去装置の構成>
図1に示すように、実施形態に係る不要樹脂除去装置100は、ゲートブレイク部1と、ローダ部2とを備える。ゲートブレイク部1は、ランナーおよびカルを含む不要樹脂が連結された樹脂封止成形品が搬入され、かかる樹脂封止成形品に連結された不要樹脂に対して相対的に樹脂封止成形品の基材を回転させて樹脂封止成形品から不要樹脂を剥離する剥離処理を行う。
【0012】
ローダ部2は、ゲートブレイク部1によって剥離処理が行われた樹脂封止成形品を保持してゲートブレイク部1から搬出する。ローダ部2は、ゲートブレイク部1によって樹脂封止成形品から不要樹脂が剥離されていない場合であっても、ゲートブレイク部1から樹脂封止成形品を搬出する際またはゲートブレイク部1から樹脂封止成形品を搬出中に、樹脂封止成形品から不要樹脂を除去する。
【0013】
ローダ部2は、保持機構20と、押圧機構21とを備える。保持機構20は、ゲートブレイク部1によって剥離処理が行われた樹脂封止成形品の基材を保持する。押圧機構21は、保持機構20によって樹脂封止成形品の基材が保持された状態で樹脂封止成形品に連結された不要樹脂のうちカルを押圧する。
【0014】
これにより、不要樹脂除去装置100は、例えば、ゲートブレイク部1の剥離処理後において薄いバリを介して基材と不要樹脂とが連結された状態が維持された場合であっても、樹脂封止成形品から不要樹脂を精度よく除去することができる。以下、不要樹脂除去装置100で不要樹脂が除去される前の樹脂封止成形品の構成の一例と不要樹脂除去装置100の構成の一例について具体的に説明する。
【0015】
<2.不要樹脂が除去される前の樹脂封止成形品の構成>
不要樹脂除去装置100で不要樹脂が除去される前の樹脂封止成形品は、不図示の樹脂封止装置によって形成される。樹脂封止装置は、ポット、カル樹脂路、ランナー樹脂路、およびキャビティなどを有する金型を備え、複数の半導体素子が載置された状態のリードフレームなどの基材が金型に供給される。また、金型のポットには、封止樹脂が供給される。
【0016】
樹脂封止装置は、金型のポットに封止樹脂が供給された後、金型を閉じて封止樹脂を溶融させる。溶融した封止樹脂は、金型のポットからカル樹脂路およびランナー樹脂路を経てキャビティへ流入し、基材に載置された複数の半導体素子を封止する。
【0017】
図2および図3に示すように、不要樹脂除去装置100で不要樹脂が除去される前の樹脂封止成形品3は、基材である2つのリードフレーム30,31と、各リードフレーム30,31に載置される複数の半導体素子32と、カル34およびランナー35を含む不要樹脂33とを含む。2つのリードフレーム30,31は、不要樹脂33によって間隔を空けて繋がれている。
【0018】
カル34は、樹脂封止装置の金型におけるカル樹脂路によって形成され、ランナー35は、樹脂封止装置の金型におけるランナー樹脂路によって形成されている。ランナー35は、リードフレーム30,31の裏面(図2における下方の面)に形成される。2枚のリードフレーム30,31は、基材の一例である。
【0019】
基材は、リードフレーム30,31に限定されない。また、カル34、およびランナー35の配列および数などは図3に示す例に限定されない。また、図3に示す例では、複数の半導体素子32がリードフレーム30,31に載置されるが、リードフレーム30,31に載置される半導体素子32の数は、1つであってもよい。
【0020】
上述した基材と金型とが設計図面通りの公差内に仕上げられていても、基材と金型のカル樹脂路とに隙間が生じ、かかる隙間によって、図4に示すように、リードフレーム30,31に樹脂による薄いバリ36が形成される場合がある。薄いバリ36は、リードフレーム30,31の各々と不要樹脂33とに跨って形成される。
【0021】
<3.ゲートブレイク部1の構成>
次に、ゲートブレイク部1の構成について説明する。図5に示すように、ゲートブレイク部1は、上ブレイク盤4と、上ブレイク盤4と対向する下ブレイク盤5とを備える。
【0022】
上ブレイク盤4は、上述した樹脂封止成形品3のリードフレーム30,31に図5における上方から当接する2つのクランプ部材41,42と、樹脂封止成形品3に連結された不要樹脂33のうちカル34を押圧する押圧部材43と、2つのクランプ部材41,42および押圧部材43を支持する支持部材44とを備える。各クランプ部材41,42は、支持部材44によって不図示の回転軸を中心に回転可能に支持される。
【0023】
下ブレイク盤5は、樹脂封止成形品3のリードフレーム30,31に図5における下方から当接する2つのクランプ部材51,52と、2つのクランプ部材51,52を不図示の回転軸を中心に回転可能に支持する支持部53とを備える。
【0024】
下ブレイク盤5は、各クランプ部材51,52の端部を図5における上方へ押す不図示の駆動機構を有しており、かかる駆動機構によって、各クランプ部材51,52が上述した回転軸を中心に回転させられる。クランプ部材51,52は、保持部の一例である。
【0025】
また、ゲートブレイク部1は、上ブレイク盤4を移動させる不図示の移動機構を有しており、かかる移動機構によって、上ブレイク盤4が図5における上下方向に移動させられる。なお、ゲートブレイク部1は、移動機構によって、下ブレイク盤5が図5における上下方向に移動させられる構成であってもよい。
【0026】
次に、ゲートブレイク部1による樹脂封止成形品3からの不要樹脂33の剥離処理について説明する。図6に示すように、下ブレイク盤5における2つのクランプ部材51,52上に不要樹脂33が除去される前の樹脂封止成形品3が載置される。
【0027】
クランプ部材51,52上への樹脂封止成形品3の載置は、不図示の樹脂封止装置から樹脂封止成形品3を搬出する不図示のアウトローダ部によって行われる。なお、樹脂封止装置から樹脂封止成形品3を搬出する装置は、ローダ部2であってもよい。この場合、ローダ部2は、不図示の樹脂封止装置から樹脂封止成形品3を搬出し、搬出した樹脂封止成形品3をゲートブレイク部1に搬入してクランプ部材51,52上に樹脂封止成形品3を載置する。
【0028】
不要樹脂33が除去される前の樹脂封止成形品3が下ブレイク盤5のクランプ部材51,52上に載置された後、上ブレイク盤4が不図示の移動機構によって図6における下方に移動させられる。
【0029】
これにより、ゲートブレイク部1では、図7に示すように、上ブレイク盤4の2つのクランプ部材41,42と下ブレイク盤5の2つのクランプ部材51,52とによって樹脂封止成形品3のリードフレーム30,31が挟持される。具体的には、クランプ部材41とクランプ部材51とによってリードフレーム30が挟持され、クランプ部材42とクランプ部材52とによってリードフレーム31が挟持される。
【0030】
また、図7に示す状態では、上ブレイク盤4の押圧部材43と、下ブレイク盤5の支持部53とによって、カル34が挟持されている。
【0031】
次に、ゲートブレイク部1は、樹脂封止成形品3に連結された不要樹脂33に対して相対的にリードフレーム30,31を回転させて樹脂封止成形品3から不要樹脂33を剥離する剥離処理を行う。
【0032】
かかる剥離処理は、上ブレイク盤4の押圧部材43と、下ブレイク盤5の支持部53とによって、カル34が挟持された状態で、下ブレイク盤5における不図示の駆動機構がクランプ部材51,52の端部を押すことによって行われる。
【0033】
具体的には、クランプ部材51の図7における左端部とクランプ部材52の図7における右端部とが不図示の駆動機構によって図7における上方へ押される。これにより、図8に示すように、クランプ部材41とクランプ部材51とが、不図示の回転軸を中心に図8における時計回りに回転し、クランプ部材42とクランプ部材52とが、不図示の回転軸を中心に図8における反時計回りに回転する。
【0034】
このように、ゲートブレイク部1は、押圧部材43と支持部53との間にカル34が挟持された状態で、リードフレーム30を挟持したクランプ部材41およびクランプ部材51を回転させ、リードフレーム31を挟持したクランプ部材42およびクランプ部材52を回転させる。
【0035】
これにより、リードフレーム30,31に薄いバリ36が形成されていない場合には、樹脂封止成形品3に連結された不要樹脂33に対して相対的にリードフレーム30,31が回転するため、リードフレーム30,31から不要樹脂33が剥離される。
【0036】
一方、リードフレーム30,31に薄いバリ36が形成されている場合、ゲートブレイク部1によって剥離処理を行っても、リードフレーム30,31の各々と不要樹脂33とが薄いバリ36を介して連結された状態が維持されて樹脂封止成形品3から不要樹脂33が剥離されない場合がある。
【0037】
このような場合であっても、不要樹脂除去装置100では、ローダ部2によって樹脂封止成形品3から不要樹脂33を剥離することができる。以下、ローダ部2について具体的に説明する。
【0038】
<4.ローダ部2の構成>
図9に示すように、ローダ部2は、保持機構20と、押圧機構21と、支持部22とを備える。保持機構20は、ゲートブレイク部1によって剥離処理が行われた樹脂封止成形品3のリードフレーム30,31を保持する。
【0039】
押圧機構21は、保持機構20によってリードフレーム30,31が保持された状態で不要樹脂33のうちカル34を押圧する。なお、図9では、リードフレーム31がリードフレーム30に隠れて見えない位置にある。支持部22は、保持機構20および押圧機構21を支持する。
【0040】
図9に示す例では、リードフレーム30とリードフレーム31とが6つのカル34を含む不要樹脂33によって連結されており、6つのカル34の各々は、押圧機構21に設けられる6つの押圧部80のうち対応する押圧部80によって押圧されている状態である。なお、押圧機構21では、押圧部80は、カル34毎に設けられるが、複数のカル34毎に設けられる構成であってもよい。
【0041】
図10に示すように、保持機構20は、リードフレーム30を保持する保持部60と、リードフレーム31を保持する保持部70とを備える。なお、図10は、ローダ部2を図9とは別の角度から見た図である。
【0042】
保持部60は、リードフレーム30の裏面に当接する爪部61,62を有する腕部63,64と、腕部63,64の一方を図10における左右方向に移動させる駆動部65とを備える。保持部70は、リードフレーム31の裏面に当接する爪部71,72を有する腕部73,74と、腕部73,74の一方を図10における左右方向に移動させる駆動部75とを備える。
【0043】
押圧機構21の押圧部80は、カル34に当接する当接部材81と、当接部材81をカル34に押圧させる弾性部材82と、当接部材81を図10における上下方向に移動可能に支持する支持部83とを備える。当接部材81は、ピン状の部材であり、頭部811と、頭部811に基端が連続する胴部812とを備える。
【0044】
頭部811は、円盤状に形成され、胴部812は、円柱状に形成される。頭部811の径は、胴部812の径よりも大きい。胴部812は、支持部83に形成された貫通孔831に挿通され、図10における上下方向に移動可能である。胴部812の頭部811が形成された基端と反対側の先端には係合部813が設けられており、胴部812に設けられた係合部813が支持部83の支持面832に係合することで、貫通孔831から胴部812が脱落することが防止される。
【0045】
弾性部材82は、例えば、円筒コイルバネであり、円筒コイル内に胴部812が挿通される。弾性部材82の一端は、頭部811に当接し、弾性部材82の他端は、支持部83の当接面833に当接している。図10に示す状態では、弾性部材82は、図10における上下方向に圧縮されており、当接部材81を図10における下方に付勢している。なお、弾性部材82は、円筒コイルバネに限定されず、円筒コイルバネ以外のバネであってもよく、ゴムまたは樹脂で形成された弾性部材であってもよい。
【0046】
次に、ゲートブレイク部1の剥離処理では樹脂封止成形品3から不要樹脂33が剥離されない場合におけるローダ部2による樹脂封止成形品3からの不要樹脂33の剥離処理について説明する。図11に示すように、ゲートブレイク部1では、剥離処理が終了して上ブレイク盤4が下ブレイク盤5に対して図11における上方に移動させられており、上ブレイク盤4は、図11では見えない位置にある。
【0047】
下ブレイク盤5のクランプ部材51,52には樹脂封止成形品3が載置された状態であり、ローダ部2は、下ブレイク盤5の図11における上方に移動する。その後、ローダ部2が図11における下方に移動し、ローダ部2と下ブレイク盤5とが図12に示す状態になる。なお、不要樹脂除去装置100では、ローダ部2に代えて、図11における上下方向に下ブレイク盤5が移動する構成であってもよい。
【0048】
ローダ部2と下ブレイク盤5とが図12に示す状態になる前に、不要樹脂33のカル34が押圧部80の当接部材81に当接し、ローダ部2の図11における下方へのさらなる移動に伴って、当接部材81に対するカル34からの反力によって押圧部80の当接部材81が図11における上方に移動して押圧部80の弾性部材82が収縮し、係合部813が支持面832から離れる。
【0049】
図12に示す状態では、リードフレーム30が保持部60によって保持され、リードフレーム31が保持部70によって保持されており、さらに、不要樹脂33のカル34が押圧部80の当接部材81によって押圧された状態である。
【0050】
このように、不要樹脂除去装置100では、当接部材81は、保持機構20がリードフレーム30,31の保持を開始する位置に移動する際に保持機構20の移動に伴ってカル34に当接し弾性部材82を収縮させる。
【0051】
その後、不要樹脂除去装置100では、図12に示す状態から、ローダ部2が図12における上方に移動していき、図13に示す状態になる。ローダ部2が図12に示す状態から図13に示す状態へ移動する過程で、リードフレーム30,31は保持部60,70に保持されている状態でローダ部2が図12に示す上方に移動していくが、押圧部80の弾性部材82の収縮に対する反発力によって、係合部813が支持面832に当接するまで、押圧部80の当接部材81が図12における下方に移動して不要樹脂33のカル34が押圧部80によって押圧された状態が維持される。
【0052】
そのため、不要樹脂除去装置100では、ローダ部2が図12に示す状態から図13に示す状態へ移動する過程で、樹脂封止成形品3から不要樹脂33が確実に剥離される。このように、不要樹脂除去装置100は、ゲートブレイク部1の剥離処理で樹脂封止成形品3から不要樹脂33が剥離されない場合であっても、図13および図14に示すように、ローダ部2によって樹脂封止成形品3から不要樹脂33を精度よく除去することができる。
【0053】
また、不要樹脂除去装置100では、ゲートブレイク部1のクランプ部材51,52に樹脂封止成形品3が載置された状態で樹脂封止成形品3のリードフレーム30,31を保持機構20によって保持し且つ押圧機構21でカル34を押圧した状態で移動する。そのため、ゲートブレイク部1によって樹脂封止成形品3から不要樹脂33が剥離された場合の不要樹脂33の位置と、ローダ部2によって樹脂封止成形品3から不要樹脂33が剥離された場合の不要樹脂33の位置とを同じ位置にすることができる。
【0054】
これにより、不要樹脂除去装置100では、ゲートブレイク部1の剥離処理で樹脂封止成形品3から不要樹脂33が剥離されない場合であっても、ゲートブレイク部1の剥離処理で樹脂封止成形品3から不要樹脂33が剥離された場合と同様の処理によってゲートブレイク部1から不要樹脂33を外部へ排出することができる。
【0055】
ローダ部2の構成および動作は、上述した例に限定されない。例えば、不要樹脂除去装置100は、図10図14に示すローダ部2に代えて、図15に示すローダ部2Aを備える構成であってもよい。ローダ部2Aは、当接部材81および弾性部材82を含む押圧機構21に代えて、当接部材84とアクチュエータ85とを各々含む複数の押圧部80Aを備える押圧機構21Aを備える点で、ローダ部2と異なる。
【0056】
押圧部80Aのアクチュエータ85は、当接部材84がカル34に当接した状態で当接部材84をカル34に押圧させる。当接部材84は、アクチュエータ85のピストンの先端に形成される。アクチュエータ85は、エアシリンダであるが、電磁ソレノイドであってもよく、油圧シリンダであってもよい。
【0057】
ローダ部2Aは、ローダ部2と同様に、下ブレイク盤5のクランプ部材51,52に載置された状態の樹脂封止成形品3のカル34をアクチュエータ85によって当接部材84で押圧した状態で移動することで、樹脂封止成形品3から不要樹脂33を除去することができる。
【0058】
また、ローダ部2Aは、ゲートブレイク部1から樹脂封止成形品3を搬出中にまたはゲートブレイク部1から樹脂封止成形品3を搬出した後に、アクチュエータ85によりカル34を当接部材84で押圧することによって、樹脂封止成形品3から不要樹脂33を除去することもできる。
【0059】
例えば、図16に示すように、ローダ部2Aは、ゲートブレイク部1の下ブレイク盤5から不要樹脂33が連結された状態の樹脂封止成形品3を搬出した後、図17に示すように、アクチュエータ85を駆動させて当接部材84を不要樹脂33のカル34に当接させる。そして、ローダ部2Aは、アクチュエータ85をさらに駆動させて当接部材84によって不要樹脂33のカル34を図17における下方に押圧する。これにより、図18に示すように、不要樹脂33が樹脂封止成形品3から剥離される。
【0060】
以上のように、実施形態に係る不要樹脂除去装置100は、ゲートブレイク部1と、ローダ部2,2Aとを備える。ゲートブレイク部1は、半導体素子32が載置されたリードフレーム30,31が樹脂封止成形されて形成される樹脂封止成形品3のリードフレーム30,31を保持した状態で樹脂封止成形品3に連結されたランナー35およびカル34を含む不要樹脂33に対して相対的にリードフレーム30,31を回転させて樹脂封止成形品3から不要樹脂33を剥離する剥離処理を行う。リードフレーム30,31は、基材の一例である。ローダ部2,2Aは、ゲートブレイク部1によって剥離処理が行われた樹脂封止成形品3を保持してゲートブレイク部1から搬出する。ローダ部2,2Aは、保持機構20と、押圧機構21,21Aとを備える。保持機構20は、剥離処理が行われた樹脂封止成形品3のリードフレーム30,31を保持する。押圧機構21,21Aは、保持機構20によってリードフレーム30,31が保持された状態で不要樹脂33のうちカル34を押圧する。これにより、不要樹脂除去装置100は、ゲートブレイク部1の剥離処理で樹脂封止成形品3から不要樹脂33が剥離されない場合であっても、樹脂封止成形品3から不要樹脂33を精度よく除去することができる。
【0061】
また、ローダ部2,2Aは、ゲートブレイク部1のクランプ部材51,52に樹脂封止成形品3が載置された状態で樹脂封止成形品3のリードフレーム30,31を保持機構20によって保持し且つ押圧機構21,21Aでカル34を押圧した状態で移動する。これにより、不要樹脂除去装置100では、ゲートブレイク部1の剥離処理で樹脂封止成形品3から不要樹脂33が剥離されない場合であっても、樹脂封止成形品3から不要樹脂33を精度よく除去することができる。
【0062】
また、押圧機構21は、カル34に当接する当接部材81と、当接部材81をカル34に押圧させる弾性部材82とを備える。これにより、不要樹脂除去装置100では、カル34を押圧する押圧機構21を簡単な構成で形成することができる。
【0063】
また、当接部材81は、保持機構20がリードフレーム30,31の保持を開始する位置に移動する際に保持機構20の移動に伴ってカル34に当接し弾性部材82を収縮させる。弾性部材82は、弾性部材82の収縮に対する反発力によって当接部材81にカル34を押圧させる。これにより、不要樹脂除去装置100では、カル34を押圧する押圧機構21をより簡単な構成で形成することができる。
【0064】
また、押圧機構21Aは、カル34に当接する当接部材84と、当接部材84がカル34に当接した状態で当接部材84をカル34に押圧させるアクチュエータ85とを備える。これにより、不要樹脂除去装置100では、ローダ部2Aの位置にかかわらず押圧機構21Aによりカル34を押圧することができる。
【0065】
また、アクチュエータ85は、エアシリンダである。これにより、不要樹脂除去装置100では、例えば、ローダ部2Aがエア駆動で移動する場合において、ローダ部2Aに押圧機構21Aを容易に設けることができる。
【0066】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 ゲートブレイク部
2,2A ローダ部
3 樹脂封止成形品
4 上ブレイク盤
5 下ブレイク盤
20 保持機構
21,21A 押圧機構
30,31 リードフレーム(基材の一例)
32 半導体素子
33 不要樹脂
34 カル
35 ランナー
36 バリ
51,52 クランプ部材(保持部の一例)
80,80A 押圧部
81,84 当接部材
82 弾性部材
85 アクチュエータ
100 不要樹脂除去装置
図1
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