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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】移動体用の外部電気機器接続装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20240730BHJP
   G05D 1/00 20240101ALI20240730BHJP
【FI】
H01R13/631
G05D1/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020188724
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077746
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】中島 陽平
(72)【発明者】
【氏名】松井 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】小原 基央
(72)【発明者】
【氏名】今井 悠太
(72)【発明者】
【氏名】大澤 拓也
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/156147(WO,A1)
【文献】特開2020-031472(JP,A)
【文献】特開2005-149808(JP,A)
【文献】特開2002-158062(JP,A)
【文献】特開平09-259973(JP,A)
【文献】特表2015-507914(JP,A)
【文献】特開2013-106391(JP,A)
【文献】特開2009-026775(JP,A)
【文献】特開2005-350940(JP,A)
【文献】特開2019-175672(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0235522(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111834801(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 13/56-13/72
H01R 24/00-24/86
G05D 1/00-1/12
H02J 7/02
B60L 53/14
B60L 53/16
B60L 53/35
B60L 53/60
B60L 53/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無軌道で移動可能な移動体と前記移動体の外部に配置された外部電気機器とを電気的に接続する装置であって、
前記移動体に設けられ前記移動体に内蔵された内部電気機器に電気的に接続される移動体側プラグと、
前記外部電気機器に電気的に接続され人の手を介して前記移動体側プラグに対して挿抜可能に構成されて前記移動体側プラグに挿入された場合に前記移動体側プラグを前記外部電気機器に電気的に接続する機能を有する手動用外部側プラグと、
前記外部電気機器に電気的に接続されかつ前記手動用外部側プラグと互換性を有する仕様に構成された自動用外部側プラグを有し、人の手を介さずに前記移動体の移動を受けて前記自動用外部側プラグに前記移動体側プラグを挿抜可能に受け付けるとともに、前記自動用外部側プラグに前記移動体側プラグが挿入された場合に前記移動体側プラグを前記外部電気機器に電気的に接続する機能を有する自動接続器と、を備え、
前記移動体が前記自動接続器に接近して前記自動用外側プラグに接続するものであって、
前記自動接続器は、
前記自動用外部側プラグを保持するとともに、前記移動体から移動に伴う外力を受けると前記自動用外部側プラグに対する前記移動体側プラグの挿入方向に垂直に交わる平面方向に前記自動用外部側プラグを移動させ、当該外力が解除されると前記自動用外部側プラグを前記平面上における初期位置に復帰させる機能を有する保持機構を更に有し、
前記保持機構は、
前記自動用外部側プラグを保持するプラグ取付け部と、
前記プラグ取付け部及び前記自動用外部側プラグをZ軸に平行な回転軸を中心にY軸方向へ回動させる機能を有する回動機構と、
前記回動機構及び前記プラグ取付け部をY軸に沿って一体的に移動させるY軸移動機構と、
前記Y軸移動機構、前記回動機構、及び前記プラグ取付け部をZ軸に沿って一体的に移動させるZ軸移動機構と、
前記Z軸移動機構、前記Y軸移動機構、前記回動機構、及び前記プラグ取付け部をX軸に沿って一体的に移動させるX軸移動機構と、を更に有し、
前記移動体側プラグは、前記手動用外部側プラグと前記自動用外部側プラグとを択一的に接続可能に構成されている、
移動体用の外部電気機器接続装置。
【請求項2】
前記移動体側プラグは、
前記手動用外部側プラグ及び前記自動用外部側プラグが有する外部側電極と電気的に接続可能な移動体側電極と、
前記移動体側電極の周囲に設けられて前記移動体側電極を囲うソケットと、を有し、
前記ソケットは、前記移動体の移動によって前記移動体側プラグが前記自動用外部側プラグに接近した際に前記移動体側プラグが前記自動用外部側プラグに与える前記挿入方向の力を前記平面方向への力に変換し前記自動用外部側プラグを前記移動体側プラグとの接続位置に案内する案内部を有している、
請求項1に記載の移動体用の外部電気機器接続装置。
【請求項3】
前記移動体側プラグは、
前記手動用外部側プラグ及び前記自動用外部側プラグが有する外部側電極と電気的に接
続される移動体側電極と
前記移動体側電極の周囲に設けられて前記移動体側電極を囲うソケットと、を有し、
前記移動体側電極の先端部は、前記ソケットの内側に位置している、
請求項1または2に記載の移動体用の外部電気機器接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、移動体用の外部電気機器接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば無人搬送台車や自動掃除ロボット、ドローン等のように、無軌道でかつ自動で移動可能な電動の移動体の普及が進んでいる。このような電気を動力源とする移動体は、移動体の内部に内蔵されている電気機器と、外部に設置されている電気機器とを電気的に接続する場面が多数ある。例えば移動体は、電気機器として充電池を内蔵しており、充電の際には外部に設置された電気機器である充電装置と移動体に内蔵された電気機器である充電池とを電気的に接続して給電する必要がある。
【0003】
移動体に内蔵された電気機器と外部の電気機器との接続方式は、大別すると、外部の電気機器に繋がる外部側プラグと移動体に設けられた移動体側プラグとを、人の手を介在させて手動で接続する手動方式と、人の手を介在させずに移動体の移動によって自動で接続する自動方式とがある。しかしながら従来の構成において、手動方式と自動方式とでは、使用するプラグのサイズや形状、電極の仕様等が異なるものが一般的であった。そのため、手動方式と自動方式との両方を同時に採用しようとすると、手動方式に対応した外部側プラグ及び移動体側プラグと、自動方式に対応した外部側プラグ及び移動体側プラグと、の両方を準備する必要があり、構成が複雑になる等の事情があった。
【0004】
また、接続方式に関し、手動方式と自動方式との両方に対応しようとすると、手動方式に対応した移動体側プラグと自動方式に対応した移動体側プラグとの2種類のプラグを移動体に設けることになる。すると、ユーザが手動方式により接続しようとした場合に、誤って手動用の外部側プラグを自動用の移動体側プラグに差し込もうとし、これにより思わぬ不都合を生じる可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-149808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、移動体に内蔵された電気機器と外部の電気機器とを電気的に接続する際の接続方式に関し、手動方式と自動方式とを簡易な構成で安全に切り替えることができる移動体用の外部電気機器接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の移動体用の外部電気機器接続装置(1)は、無軌道で移動可能な移動体と外部電気機器(20)とを電気的に接続する装置である。外部電気機器接続装置は、前記移動体に設けられ前記移動体に内蔵された内部電気機器(15)に電気的に接続される移動体側プラグ(30)と、前記外部電気機器に電気的に接続され人の手を介して前記移動体側プラグに対して挿抜可能に構成されて前記移動体側プラグに挿入された場合に前記移動体側プラグを前記外部電気機器に電気的に接続する機能を有する手動用外部側プラグ(602)と、前記外部電気機器に電気的に接続されかつ前記手動用外部側プラグと互換性を有する仕様に構成された自動用外部側プラグ(602)を有し、人の手を介さずに前記移動体の移動を受けて前記自動用外部側プラグに前記移動体側プラグを挿抜可能に受け付けるとともに、前記自動用外部側プラグに前記移動体側プラグが挿入された場合に前記移動体側プラグを前記外部電気機器に電気的に接続する機能を有する自動接続器(40)と、を備える。前記自動接続器は、前記自動用外部側プラグを保持するとともに、前記移動体から移動に伴う外力を受けると前記自動用外部側プラグに対する前記移動体側プラグの挿入方向に垂直に交わる平面方向に前記自動用外部側プラグを移動させ、当該外力が解除されると前記自動用外部側プラグを前記平面上における初期位置に復帰させる機能を有する保持機構(50)を更に有する。前記移動体側プラグは、前記手動用外部側プラグと前記自動用外部側プラグとを択一的に接続可能に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による移動体用の外部電気機器接続装置について、自動用外部側プラグに対して移動体側プラグを自動で接続する場合の構成の一例を概念的に示す図
図2】一実施形態による移動体用の外部電気機器接続装置について、移動体側プラグの構成の一例を示す断面図
図3】一実施形態による移動体用の外部電気機器接続装置について、自動接続器の一例を示す斜視図
図4】一実施形態による移動体用の外部電気機器接続装置について、自動接続器の一例を示す正面図
図5】一実施形態による移動体用の外部電気機器接続装置について、自動接続器の一例を示す背面図
図6】一実施形態による移動体用の外部電気機器接続装置について、自動接続器の一例を示すもので、図4のX6-X6線に沿って示す断面図
図7】一実施形態による移動体用の外部電気機器接続装置について、自動接続器の一例を示す平面図
図8】一実施形態による移動体用の外部電気機器接続装置について、移動体側プラグが自動接続器の自動用外部側プラグに挿入される際の一例を示す断面図(その1)
図9】一実施形態による移動体用の外部電気機器接続装置について、移動体側プラグが自動接続器の自動用外部側プラグに挿入される際の一例を示す断面図(その2)
図10】一実施形態による移動体用の外部電気機器接続装置について、移動体側プラグが自動接続器の自動用外部側プラグに挿入される際の一例を示す断面図(その3)
図11】一実施形態による移動体用の外部電気機器接続装置について、移動体側プラグに対して手動用外部側プラグを手動で接続する場合の構成の一例を概念的に示す図
図12】一実施形態による移動体用の外部電気機器接続装置について、移動体側プラグに対して手動用外部側プラグが手動で挿入される際の一例を示す断面図(その1)
図13】一実施形態による移動体用の外部電気機器接続装置について、移動体側プラグに対して手動用外部側プラグが手動で挿入される際の一例を示す断面図(その2)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示す移動体用の外部電気機器接続装置1は、移動体10と外部電気機器20とを電気的に接続するための装置である。移動体10は、無軌道で移動可能に構成されている。移動体10は、例えば工場や商業施設等の敷地内において自律的に移動可能な無人走行車や、ドローン等の飛行体、若しくは家庭で使用される自動掃除ロボット等が想定されるが、これらに限られない。
【0010】
本実施形態において、移動体10は、例えば工場内で使用される無人搬送台車を想定している。移動体10は、電気を動力源としており、例えば図1に示すように、台車本体11、駆動輪12、駆動装置13、制御装置14、及び内部電気機器15を有している。駆動輪12は、駆動装置13によって回転する車輪であり、移動体10を地面に対して平行つまり前後左右の水平方向に2次元的に移動させる機能を有する。駆動装置13は、例えば駆動輪12を駆動させる電気モータ等で構成されており、制御装置14に制御を受けて駆動する。
【0011】
制御装置14は、図示しないCPUや、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの記録領域を有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。内部電気機器15は、移動体10内に内蔵された電気機器であり、その一例として例えば充電池やコンデンサ等のように蓄電可能な電子機器で構成することができる。内部電気機器15が充電池やコンデンサ等である場合、内部電気機器15は、移動体10が内蔵された駆動装置13及び制御装置14等の内部電気機器15以外の電気機器を駆動するための電力を蓄電する機能を有する。
【0012】
外部電気機器20は、移動体10の外部に配置された電気機器であり、その一例として例えば充電装置等で構成することができる。この場合、内部電気機器15は、外部電気機器20からの電力供給を受けて充電可能に構成されている。内部電気機器15は、外部電気機器接続装置1を介して外部電気機器20に電気的に接続され、これにより外部電気機器20からの電力供給を受けて充電される。外部電気機器20が外部電源装置である場合、外部電気機器20は、詳細は図示しないが、例えば商用電源に接続されており、商用電源の電力を内部電気機器15に対応した電力に変換するための整流回路や変圧回路、及びこれら整流回路や変圧回路等を制御する制御装置等を有している。
【0013】
なお、内部電気機器15は、上述した充電池やコンデンサ等のように蓄電可能なものに限られない。例えば内部電気機器15は、電源装置としての外部電気機器20からの電力供給を受けて駆動するものや、通信装置としての外部電気機器20と有線により通信するものであっても良い。また、外部電気機器20は、内部電気機器15に電力供給を行う外部電源装置に限られない。外部電気機器20は、例えば蓄電可能な内部電気機器15からの電力供給を受けて駆動するものや充電されるものであっても良い。
【0014】
外部電気機器接続装置1は、図1に示すように自動用外部側プラグ601を有する自動接続器40と移動体側プラグ30との組み合わせで、又は図11に示すように手動用外部側プラグ602と移動体側プラグ30との組み合わせで機能する。すなわち、外部電気機器接続装置1は、移動体側プラグ30と、自動用外部側プラグ601を有する自動接続器40と、手動用外部側プラグ602と、を備えている。移動体側プラグ30は、自動用外部側プラグ601と手動用外部側プラグ602とを択一的に接続可能に構成されている。
【0015】
自動用外部側プラグ601と手動用外部側プラグ602とは互換性を有する仕様に構成されている。ここで、互換性を有する仕様とは、自動用外部側プラグ601と手動用外部側プラグ602との外径形状等が同一で共に移動体側プラグ30と接続可能に構成されていることを意味する。本実施形態の場合、自動用外部側プラグ601と手動用外部側プラグ602とは、同一の構成であり、例えば同一型番の市販品を採用することができる。自動用外部側プラグ601及び手動用外部側プラグ602は、それぞれ図1及び図11に示すように、ケーブル65によって外部電気機器20に接続されている。
【0016】
自動用外部側プラグ601及び手動用外部側プラグ602は、図6及び図12等に示すように、それぞれ外部側プラグ本体61、一つ又は複数の外部側電極62、外部側吸着部材63、電気配線64、及びケーブル65を有している。外部側プラグ本体61は、例えば電気絶縁性を有する合成樹脂製であって、各外部側プラグ601、602の外殻を構成している。なお、内部電気機器15が蓄電可能な充電池等で構成され、外部電気機器20が外部電源装置で構成されている場合、自動用外部側プラグ601及び手動用外部側プラグ602は、それぞれ内部電気機器15に給電するための自動用給電プラグ及び手動用外部側プラグと称することができる。
【0017】
外部側電極62は、例えば金属製の電極であり、電気配線64を介して外部電気機器20に電気的に接続されている。外部側電極62は、移動体側プラグ30が有する移動体側電極31と電気的に接続可能に構成されている。本実施形態の場合、外部側電極62は、外部側プラグ本体61の先端面部611から内側に円筒形に窪んで構成されたメス型の電極である。すなわち、自動用外部側プラグ601及び手動用外部側プラグ602は、メス型のプラグである。また、電気配線64のうち外部側プラグ本体61から延び出た部分はケーブル65内を通って外部電気機器20に接続されている。
【0018】
外部側吸着部材63は、移動体側プラグ30と、外部側プラグ601、602との間に磁力等による吸着力を作用させ、これにより外部側プラグ601、602を移動体側プラグ30との適切な接続位置に導くとともに、接続状態を保持する機能を有する。外部側吸着部材63は、例えば磁石や強磁性体の金属部材で構成される。
【0019】
外部側吸着部材63は、例えば外部側プラグ本体61の先端面部611において外部側電極62の周囲に設けられている。この場合、外部側吸着部材63は、先端面部611の表面に露出している。また、図8及び図12に示すように、移動体側プラグ30に設けられた移動体側吸着部材33が磁石である場合、外部側吸着部材63は、磁石又は強磁性体の金属板等で構成することができる。また、移動体側プラグ30に設けられた移動体側吸着部材33が強磁性体の金属板等である場合、外部側吸着部材63は、磁石で構成される。
【0020】
移動体側プラグ30は、移動体10に設けられるものであり、移動体10に内蔵された内部電気機器15に電気的に接続されている。この場合、移動体側プラグ30は、外部電気機器接続装置1の構成要素であるとともに、移動体10の構成要素でもある。移動体側プラグ30は、図2に示すように、一つ又は複数の移動体側電極31、ソケット32、及び移動体側吸着部材33を有している。なお、内部電気機器15が蓄電可能な充電池等で構成され、外部電気機器20が外部電源装置で構成されている場合、移動体側プラグ30は、外部電気機器20からの電力供給を受けるための受電プラグとも称することができる。
【0021】
移動体側電極31は、例えば金属製の電極であり、電気配線34を介して内部電気機器15に電気的に接続されている。移動体側電極31は、外部側プラグ601、602が有する外部側電極62と電気的に接続可能に構成されている。本実施形態の場合、移動体側電極31は、電気配線34の芯線又は金属製の棒状の部材を底面部301から外側へ向かって突出して構成されたオス型の電極である。すなわち、移動体側プラグ30は、オス型のプラグである。
【0022】
ソケット32は、電気絶縁性を有する例えば合成樹脂製であって、移動体側電極31の周囲に設けられて移動体側電極31を囲っている。ソケット32は、台車本体11の表面から突出した状態で設けられている。ソケット32は、外側つまり移動体側電極31の突出方向へ向かって開口した開口部321を有する容器状、換言すると矩形又は円形の筒状に形成されている。また、ソケット32は、案内部322を有している。案内部322は、移動体10の移動によって移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に接近した際に、移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に与える挿入方向の力を挿入方向に直角な平面方向への力に変換し、自動用外部側プラグ601を適切な接続位置に案内する機能を有する。
【0023】
本実施形態の案内部322は、図2に示すように、開口部321から底面部301へ向かって狭まるように傾斜したテーパ形状に形成されている。換言すると、案内部322は、底面部301から開口部321側へ向かって広がるように傾斜したテーパ形状に形成されている。すなわち、案内部322は、開口部321側から移動体側電極31側へ向けて傾斜している。案内部322は、図8から図10に示すように、移動体10の移動によって移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に挿入される際に、自動用外部側プラグ601に接することで、自動用外部側プラグ601を移動させて適切な接続位置に案内する。
【0024】
また、移動体側電極31の先端部は、ソケット32の内側に位置している。すなわち、移動体側電極31の先端部は、ソケット32の開口部321の内側、つまりソケット32の先端部よりも底面部301側に位置している。換言すると、移動体側電極31の先端部は、ソケット32から外側には突出していない。この場合、移動体側電極31の先端部は、案内部322よりも底面部301側に位置している。
【0025】
移動体側吸着部材33は、外部側吸着部材63に対応し、外部側吸着部材63と対になって機能する。すなわち、移動体側吸着部材33は、移動体側プラグ30と、外部側プラグ601、602に設けられた外部側吸着部材63との間に磁力等による吸着力を作用させ、これにより自動用外部側プラグ601及び手動用外部側プラグ602を移動体側プラグ30との適切な接続位置に導くとともに、接続状態を保持する機能を有する。移動体側吸着部材33は、例えば磁石や強磁性体の金属板等で構成される。
【0026】
移動体側吸着部材33は、底面部301において移動体側電極31の周囲に設けられている。この場合、移動体側吸着部材33は、底面部301の表面に露出している。また、図8及び図12に示すように、外部側プラグ601、602に設けられた外部側吸着部材63が磁石である場合、移動体側吸着部材33は、磁石又は強磁性体の金属板等で構成することができる。また、外部側プラグ601、602に設けられた外部側吸着部材63が強磁性体の金属板等である場合、移動体側吸着部材33は、磁石で構成される。
【0027】
自動接続器40は、外部電気機器20に電気的に接続されており、自動用外部側プラグ601を有している。そして、自動接続器40は、人の手を介さずに移動体10の移動を受けて自動用外部側プラグ601に移動体側プラグ30を挿抜可能に受け付けており、自動用外部側プラグ601に移動体側プラグ30が挿入された場合に移動体側プラグ30を外部電気機器20に電気的に接続する機能を有する。
【0028】
自動接続器40は、図3に示すように、台座部41、保持機構50、及び自動用外部側プラグ601を有している。すなわち、自動用外部側プラグ601は、保持機構50とともに自動接続器40を構成する。台座部41は、保持機構50の台座であり、保持機構50を一定位置に固定する機能を有する。台座部41は、例えばアンカー等によって設置面に固定されるか、又は移動体10が移動して保持機構50に接触しても自動接続器40が動かない程度の重量に設定されている。
【0029】
なお、以下の説明においては、図3等に示すように、自動用外部側プラグ601に対する移動体側プラグ30の挿抜方向をX軸方向とする。本実施形態の場合、X軸方向のうち自動用外部側プラグ601に対して移動体側プラグ30側を前側とし、移動体側プラグ30とは反対側を後側とする。また、X軸と垂直に交わる平面上における水平方向をY軸方向とする。そして、X軸と垂直に交わる平面上における上下方向をZ軸方向とする。
【0030】
保持機構50は、自動用外部側プラグ601に対する移動体側プラグ30の挿入方向に対して垂直に交わるY-Z平面方向に移動可能に構成されている。また、保持機構50は、移動体10の移動に伴う外力が加えられるとY-Z平面方向に移動し当該外力が解除されるとY-Z平面上の初期位置に復帰可能な状態で自動用外部側プラグ601を保持する機能を有する。すなわち、保持機構50は、移動体10の接近により移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に接触し、自動用外部側プラグ601が移動体側プラグ30からX軸方向の外力を受けると、自動用外部側プラグ601をY-Z平面上で移動させる。
【0031】
また、保持機構50は、自動用外部側プラグ601を挿入方向に移動可能な状態つまりX軸上に移動可能に構成されている。そして、保持機構50は、移動体10の移動に伴う外力が加えられると挿入方向つまりX軸方向における後側へ移動し、移動体10からの外力が解除されると挿入方向つまりX軸方向における初期位置に復帰可能な状態で自動用外部側プラグ601を保持する機能を更に有している。
【0032】
そして、保持機構50は、自動用外部側プラグ601に対する移動体側プラグ30の挿入方向から見て左右方向つまりY軸方向へ回動可能な状態で自動用外部側プラグ601を保持する機能を更に有している。これらにより、保持機構50は、移動体10が自動用外部側プラグ601に接近した際に、自動用外部側プラグ601に対する移動体側プラグ30のY-Z平面方向の位置のずれを吸収するとともに、移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に衝突した際の衝撃を吸収することができ、その結果、適切な接続位置でかつ安全に自動用外部側プラグ601と移動体側プラグ30とを接続することができる。
【0033】
保持機構50は、図3から図7に示すように、第1ベース部51、X軸移動機構52、第2ベース部53、Z軸移動機構54、第3ベース部55、Y軸移動機構56、第4ベース部57、回動機構58、及びプラグ取付け部59を有している。第1ベース部51は、台座部41に固定されている。
【0034】
X軸移動機構52は、第1ベース部51に直接的に設けられている。また、第2ベース部53、Z軸移動機構54、第3ベース部55、Y軸移動機構56、第4ベース部57、回動機構58、プラグ取付け部59、及び自動用外部側プラグ601は、X軸移動機構52を介して第1ベース部51に設けられている。X軸移動機構52は、第2ベース部53、Z軸移動機構54、第3ベース部55、Y軸移動機構56、第4ベース部57、回動機構58、プラグ取付け部59、及び自動用外部側プラグ601をX軸に沿って一体的に移動させる機能を有している。
【0035】
X軸移動機構52は、移動体10の移動により移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に接触してX軸方向に押し込まれる力を受けた場合に、そのX軸方向に押し込まれる力を吸収する機能を有する。この場合、X軸移動機構52は、移動体10の移動により移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に接触して移動体10の移動力を受けた場合に、第2ベース部53とともにZ軸移動機構54、第3ベース部55、Y軸移動機構56、第4ベース部57、回動機構58、プラグ取付け部59、及び自動用外部側プラグ601をX軸の後側へ一体的に移動させる機能を有する。
【0036】
また、X軸移動機構52は、移動体10から受ける移動力が解除された場合に、第2ベース部53とともにZ軸移動機構54、第3ベース部55、Y軸移動機構56、第4ベース部57、回動機構58、プラグ取付け部59、及び自動用外部側プラグ601をX軸の前側へ移動させて初期位置に戻す機能を有する。本実施形態の場合、X軸移動機構52の初期位置は、第2ベース部53の移動範囲のうちX軸上における前端位置となる。そのため、第2ベース部53は、X軸の前側へ向かう外力が作用しても、初期位置よりも前側へは移動しない。
【0037】
X軸移動機構52は、図6等に示すように、X軸用シャフト521、X軸用ブッシュ522、及びX軸用コイルばね523をそれぞれ2つずつ有している。図4及び図5に示すように、各X軸用シャフト521、X軸用ブッシュ522、及びX軸用コイルばね523は、左右方向に並べて配置されている。X軸用シャフト521は、例えば円柱の軸であり、X軸に沿って配置されている。すなわち、X軸用シャフト521は、前後方向に延びている。そして、X軸用シャフト521の両端部は、第1ベース部51に固定されている。
【0038】
X軸用ブッシュ522は、X軸用シャフト521に通されて、X軸用シャフト521に沿って移動可能この場合摺動可能に構成されている。X軸用コイルばね523は、X軸用シャフト521に通されて、X軸用ブッシュ522の後側に配置されている。X軸用コイルばね523は、X軸用ブッシュ522に対して前側へ向かう弾性力を与えている。
【0039】
第2ベース部53は、X軸用ブッシュ522の上面に固定されており、X軸用ブッシュ522と一体的にX軸方向へ移動可能に構成されている。Z軸移動機構54は、第2ベース部53に直接的に設けられている。また、第3ベース部55、Y軸移動機構56、第4ベース部57、回動機構58、及びプラグ取付け部59は、Z軸移動機構54を介して第2ベース部53に設けられている。Z軸移動機構54は、第3ベース部55、Y軸移動機構56、第4ベース部57、回動機構58、及びプラグ取付け部59をZ軸に沿って一体的に移動させる機能を有している。
【0040】
Z軸移動機構54は、移動体10の移動により移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に接触した際に、移動体側プラグ30と自動用外部側プラグ601とのZ軸方向の位置ずれつまり上下方向の位置ずれを吸収する機能を有する。すなわち、Z軸移動機構54は、移動体10の移動により移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に接触し、自動用外部側プラグ601が移動体側プラグ30から受ける移動力が案内部322によりZ軸方向の力に変換された場合に、第3ベース部55、Y軸移動機構56、第4ベース部57、回動機構58、プラグ取付け部59、及び自動用外部側プラグ601をZ軸に沿って一体的に移動させ、これにより自動用外部側プラグ601を適切な接続位置まで移動させる機能を有する。
【0041】
また、Z軸移動機構54は、移動体10から受ける移動力が解除された場合に、第3ベース部55、Y軸移動機構56、第4ベース部57、回動機構58、プラグ取付け部59、及び自動用外部側プラグ601をZ軸上の初期位置に戻す機能を有する。本実施形態の場合、Z軸移動機構54の初期位置は、第3ベース部55の移動範囲のうちZ軸上の中間位置である。
【0042】
Z軸移動機構54は、図4から図6等に示すように、Z軸用シャフト541及びZ軸用ブッシュ542をそれぞれ2つずつ有しており、また、2つで1組のZ軸用コイルばね543を2組有している。図4及び図5に示すように、各Z軸用シャフト541、Z軸用ブッシュ542、及びZ軸用コイルばね543は、左右方向に並べて配置されている。Z軸用シャフト541は、例えば円柱の軸であり、Z軸に沿って配置されている。すなわち、Z軸用シャフト541は、上下方向に延びている。そして、Z軸用シャフト541の両端部は、第2ベース部53に固定されている。
【0043】
Z軸用ブッシュ542は、Z軸用シャフト541に通されて、Z軸用シャフト541に沿って上下方向に移動可能この場合摺動可能に構成されている。Z軸用コイルばね543は、Z軸用シャフト541に通されて、Z軸用ブッシュ542の上下両側に配置されている。上下両側に配置された2つのZ軸用コイルばね543は、Z軸用ブッシュ542に対してそれぞれZ軸の下側及び上側に向かう弾性力を与えている。すなわち、Z軸用ブッシュ542は、上下両側に配置された2つのZ軸用コイルばね543からZ軸用シャフト541の中心側へ向かう弾性力を受けている。
【0044】
第3ベース部55は、図5に示すように、Z軸用ブッシュ542の後側の面に固定されており、Z軸用ブッシュ542と一体的にZ軸方向へ移動可能に構成されている。Y軸移動機構56は、第3ベース部55に直接的に設けられている。また、第3ベース部55、Y軸移動機構56、第4ベース部57、回動機構58、及びプラグ取付け部59は、Y軸移動機構56を介して第3ベース部55に設けられている。Y軸移動機構56は、第4ベース部57、回動機構58、及びプラグ取付け部59をY軸に沿って一体的に移動させる機能を有している。
【0045】
Y軸移動機構56は、移動体10の移動により移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に接触した際に、移動体側プラグ30と自動用外部側プラグ601とのY軸方向の位置ずれつまり左右方向の位置ずれを吸収する機能を有する。すなわち、Y軸移動機構56は、移動体10の移動により移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に接触し、自動用外部側プラグ601が移動体側プラグ30から受ける外力が案内部322によりY軸方向の力に変換された場合に、第4ベース部57、回動機構58、プラグ取付け部59、及び自動用外部側プラグ601をY軸に沿って一体的に移動させ、これにより自動用外部側プラグ601を適切な接続位置まで移動させる機能を有する。また、Y軸移動機構56は、移動体10から受ける外力が解除された場合に、第4ベース部57、回動機構58、プラグ取付け部59、及び自動用外部側プラグ601をY軸上の初期位置に戻す機能を有する。本実施形態の場合、Y軸移動機構56の初期位置は、第4ベース部57の移動範囲のうちY軸上の中間位置である。
【0046】
Y軸移動機構56は、図4から図7に示すように、Y軸用シャフト561及びY軸用ブッシュ562をそれぞれ2つずつ有しており、また、2つで1組のY軸用コイルばね563を2組有している。図5等に示すように、各Y軸用シャフト561、Y軸用ブッシュ562、及びY軸用コイルばね563は、上下方向に並べて配置されている。Y軸用シャフト561は、例えば円柱の軸であり、Y軸に沿って配置されている。すなわち、Y軸用シャフト561は、左右方向に延びている。この場合、第3ベース部55は、シャフト取付け部551を一体に有している。そして、Y軸用シャフト561の両端部は、第2ベース部53のシャフト取付け部551に固定されている。
【0047】
Y軸用ブッシュ562は、Y軸用シャフト561に通されて、Y軸用シャフト561に沿って移動可能この場合摺動可能に構成されている。Y軸用コイルばね563は、Y軸用シャフト561に通されて、Y軸用ブッシュ562の左右両側に配置されている。左右両側に配置された2つのY軸用コイルばね563は、Y軸用ブッシュ562に対してY軸の左側及び右側に向かう弾性力を与えている。すなわち、Y軸用ブッシュ562は、左右両側に配置された2つのY軸用コイルばね563からY軸用シャフト561の中心側へ向かう弾性力を受けている。
【0048】
第4ベース部57は、図6に示すように、Y軸用ブッシュ562の後側の面に固定されており、Y軸用ブッシュ562と一体的にY軸方向へ移動可能に構成されている。第4ベース部57は、Y軸用ブッシュ562から前方へ延びている。回動機構58は、第4ベース部57の前端部に設けられており、第4ベース部57に対してプラグ取付け部59を回動可能に取り付けている。プラグ取付け部59は、回動機構58を介して第4ベース部57に設けられており、自動用外部側プラグ601を保持する機能を有する。回動機構58は、第4ベース部57に対してプラグ取付け部59及び自動用外部側プラグ601をヨーイングさせる、つまりZ軸に平行な回転軸を中心にY軸方向へ回動させる機能を有する。
【0049】
回動機構58は、図7に示すように、第4ベース部57の前端部分つまり保持機構50の前側寄り部分に設けられている。回動機構58は、移動体10の移動により移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に接触した際に、移動体側プラグ30と自動用外部側プラグ601とのヨー方向の位置ずれを吸収する機能を有する。すなわち、回動機構58は、移動体10の移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に対して斜め方向から接近してきた場合に、プラグ取付け部59及び自動用外部側プラグ601を回動させて自動用外部側プラグ601と移動体側プラグ30とを正対させる機能を有する。この場合、正対とは、移動体側プラグ30の底面部301と自動用外部側プラグ601の先端面部611とが平行となるように対向することを意味する。
【0050】
回動機構58は、回転軸581及び軸受け582をそれぞれ2つずつ有し、また、2つで1組の回動用ばね583を2組有している。回転軸581は、Z軸方向つまり上下方向に延びる円柱形状の軸である。また、軸受け582は、プラグ取付け部59に設けられており、回転軸581の一方の端部を回転可能に保持する。また、回転軸581の一方の端部は第4ベース部57に固定されている。これにより、プラグ取付け部59及び自動用外部側プラグ601は、回転軸581を支点に回動することができる。
【0051】
回動用ばね583は、例えばコイルばねであり、図7に示すように、1つの回転軸581に対して左右両側にそれぞれ1つずつ設けられている。回動用ばね583の一方の端部は第4ベース部57に設けられた第1ばね取付け部571に取り付けられている。第1ばね取付け部571は、第4ベース部57の左右両側に設けられている。また、回動用ばね583の他方の端部はプラグ取付け部59に設けられた第2ばね取付け部591に取り付けられている。第2ばね取付け部591は、プラグ取付け部59の左右両側に設けられている。
【0052】
この場合、回転軸581の左右両側に設けられた2つの回動用ばね583の距離は、第4ベース部57からプラグ取付け部59側へ向かうにつれて広くなるように設定されている。回動用ばね583は、プラグ取付け部59を中立の姿勢つまり自動用外部側プラグ601が正面を向いた初期の姿勢に維持する方向へ向かう弾性力を作用させる。これにより、プラグ取付け部59が回転軸581を中心に回動した後、自動用外部側プラグ601から移動体側プラグ30が離れると、回動用ばね583の弾性力により、プラグ取付け部59及び自動用外部側プラグ601は初期の姿勢つまり向きに戻る。
【0053】
また、保持機構50は、図3等に示すように、カバー部材501及び保護部材502を更に有している。カバー部材501は、例えば薄鋼板等を折り曲げ加工するなどして形成されており、保持機構50の周囲を囲って保持機構50の外殻を構成している。保護部材502は、例えば矩形の薄鋼板等で構成されており、プラグ取付け部59の前側に設けられている。自動用外部側プラグ601は保護部材502を貫いて前側に露出している。保護部材502は、例えばユーザの手が保持機構50の内部に侵入することを抑制する機能を有する。
【0054】
この構成において、移動体10は、図1に示すように自動接続器40を用いることで、移動体側プラグ30と自動接続器40の自動用外部側プラグ601とを人の手を介さずに自動で接続することができる。この場合、移動体10は、例えば自律的な制御により自動接続器40に接近する。そして、移動体10は、図8に示すように、自動用外部側プラグ601の正面から自動用外部側プラグ601に接近し、自動用外部側プラグ601に対する移動体側プラグ30の挿入を行う。このとき、保持機構50のX軸移動機構52は、移動体10の接近によって移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に接触した際の衝撃を吸収する。
【0055】
また、移動体10が自動接続器40に接近した際に自動用外部側プラグ601に対する移動体側プラグ30のY-Z平面方向における位置がずれている場合、保持機構50のY軸移動機構56及びZ軸移動機構54がそのY-Z平面方向の位置ずれを吸収し補正する。例えば図9に示すように、自動用外部側プラグ601に対して移動体側プラグ30の位置がY-Z平面上にずれている場合、ソケット32の案内部322に自動用外部側プラグ601が接触し、移動体10が自動用外部側プラグ601に接近する方向へ移動力が、案内部322によってY-Z平面方向への移動力に変換される。これにより、自動用外部側プラグ601は、図9から図10に示すように、Y-Z平面上を移動して移動体側プラグ30との適切な接続位置に案内される。
【0056】
また、移動体10が自動接続器40に接近した際に自動用外部側プラグ601に対して移動体側プラグ30が正対せずに移動体側プラグ30の向きがずれている場合、つまり移動体側プラグ30の向きがX軸に対して角度を有している場合、保持機構50の回動機構58が、移動体側プラグ30の向きのずれを吸収し補正する。すなわち、保持機構50の回動機構58は、自動用外部側プラグ601をZ軸に平行な回転軸581を中心に回動させることにより、自動用外部側プラグ601が、移動体側プラグ30と正対させる。これにより、自動用外部側プラグ601は、適切な姿勢で移動体側プラグ30と接続される。
【0057】
以上説明した実施形態によれば、移動体用の外部電気機器接続装置1は、無軌道で移動可能な移動体10と外部電気機器20とを電気的に接続する装置である。外部電気機器接続装置1は、移動体側プラグ30と、手動用外部側プラグ602と、自動接続器40と、を備える。移動体側プラグ30は、移動体10に設けられ、移動体10に内蔵された内部電気機器15に電気的に接続される。手動用外部側プラグ602は、外部電気機器20に電気的に接続され、人の手を介して移動体側プラグに対して挿抜可能に構成されて、移動体側プラグ30に挿入された場合に移動体側プラグ30を外部電気機器20に電気的に接続する機能を有する。
【0058】
自動接続器40は、外部電気機器20に電気的に接続され、かつ、手動用外部側プラグ602と互換性を有する仕様に構成された自動用外部側プラグ601を有している。そして、自動接続器40は、人の手を介さずに移動体10の移動を受けて自動用外部側プラグ601に移動体側プラグ30を挿抜可能に受け付けるとともに、自動用外部側プラグ601に移動体側プラグ30が挿入された場合に移動体側プラグ30を外部電気機器20に電気的に接続する機能を有する。
【0059】
自動接続器40は、保持機構50を更に有する。保持機構50は、自動用外部側プラグ601を保持する機能を有する。また、保持機構50は、移動体10から移動に伴う外力を受けると、自動用外部側プラグ601に対する移動体側プラグ30の挿入方向に垂直に交わる平面方向、この場合、Y-Z平面方向に自動用外部側プラグ601を移動させ、当該外力が解除されると自動用外部側プラグ601をY-Z平面上における初期位置に復帰させる機能を有する。そして、移動体10に設けられた移動体側プラグ30は、手動用外部側プラグ602と自動用外部側プラグ601とを択一的に接続可能に構成されている。
【0060】
これによれば、手動用外部側プラグ602と自動用外部側プラグ601とは互換性を有しているため、ユーザは、例えば移動体10の内部電気機器15を充電する等のために内部電気機器15と外部電気機器20とを電気的に接続する際に、1つの移動体側プラグ30に対して手動用外部側プラグ602と自動用外部側プラグ601とを切り替えて接続することができる。このため、移動体10の接続方式に関し、手動用に対応した移動体側プラグと自動用に対応した移動体側プラグとの2種類の移動体側プラグを移動体10に設ける必要がないため、簡易な構成で手動と自動とを切り替えることが可能となる。
【0061】
さらに、本実施形態によれば、手動用と自動用との2種類の移動体側プラグを移動体10に設ける必要がなく、1つの移動体側プラグ30に対して、自動用外部側プラグ601と手動用外部側プラグ602とを接続することができる。そのため、例えばユーザが手動で移動体10に接続しようとした際に、手動用外部側プラグ602の接続先を間違えることがなくなり、これにより、移動体10の接続方式に関し、手動方式と自動方式とを安全に切り替えることができる。これらの結果、本実施形態によれば、移動体10の内部電気機器15と外部電気機器20との接続方式に関し、手動方式と自動方式とを簡易な構成で安全に切り替えることができる。
【0062】
移動体側プラグ30と自動用外部側プラグ601とが接触した際の衝撃が大きいと、移動体側プラグ30や自動用外部側プラグ601が破損してしまうおそれがある。そこで、本実施形態の保持機構50は、移動体10の移動に伴う外力が加えられると自動用外部側プラグ601を挿入方向つまりX軸方向に移動させ、当該外力が解除されると自動用外部側プラグ601を挿入方向における初期位置に復帰させる機能を更に有している。これによれば、保持機構50は、移動体10が自動接続器40に接近して移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に衝突した際の衝撃を吸収することができる。そのため、本実施形態によれば、移動体側プラグ30と自動用外部側プラグ601とが接触した際の衝撃により移動体側プラグ30や自動用外部側プラグ601が破損してしまうことを抑制でき、その結果、本実施形態によれば、移動体側プラグ30と自動用外部側プラグ601とをより安全に自動で接続することができる。
【0063】
移動体10が自動接続器40に対してX軸方向からずれて斜め方向に接近してくると、移動体側プラグ30と自動用外部側プラグ601とが適切に接続されない可能性がある。そこで、本実施形態の保持機構50は、移動体10の移動に伴う外力が加えられると自動用外部側プラグ601を挿入方向つまりX軸方向から見て左右方向へ回動させ、当該外力が解除されると自動用外部側プラグ601の回動を解除して自動用外部側プラグ601を回動方向における初期位置に復帰させる機能を更に有している。これによれば、移動体10が自動接続器40に対してX軸方向からずれた斜め方向に接近してきた場合であっても、自動用外部側プラグ601は、移動体側プラグ30の接触により移動体10の移動力を受けて移動体側プラグ30と正対するように回動する。その結果、本実施形態によれば、移動体側プラグ30と自動用外部側プラグ601とをより確実に自動で接続することができる。
【0064】
移動体側プラグ30は、移動体側電極31と、ソケット32と、を有している。移動体側電極31は、手動用外部側プラグ602及び自動用外部側プラグ601が有する外部側電極62と電気的に接続可能に構成されている。ソケット32は、移動体側電極31の周囲に設けられて移動体側電極31を囲っている。そして、ソケット32は、案内部322を有している。案内部322は、移動体10の移動によって移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に接近した際に移動体側プラグ30が自動用外部側プラグ601に与える挿入方向の力つまりX軸の後側へ向かう力をY-Z平面方向への力に変換し、自動用外部側プラグ601を移動体側プラグ30との接続位置に案内する機能を有する。これによれば、移動体10が自動接続器40に接近した際に、案内部322によって自動用外部側プラグ601を移動体側プラグ30との接続位置に案内することができるため、移動体側プラグ30と自動用外部側プラグ601とをより確実に接続することができる。
【0065】
ここで、移動体側電極31は内部電気機器15に接続されているため、内部電気機器15が高電圧を蓄電可能な充電池等で構成した場合において、例えばユーザが移動体側電極31に誤って触れてしまうと感電のおそれがある。そこで、本実施形態において、移動体側電極31の先端部は、ソケット32の内側に位置している。これによれば、ユーザの手が移動体側電極31に接近した場合であっても、ソケット32に阻害されてユーザの手が移動体側電極31に触れてしまうことを抑制できる。その結果、本実施形態によれば、ユーザに対する安全性も向上することができる。
【0066】
また、本実施形態の場合、自動用外部側プラグ601及び手動用外部側プラグ602は、外部側電極62が外部側プラグ本体61の先端面部611から内部に窪んで形成されたいわゆるメス型のプラグで構成されている。このため、外部側プラグ601、602も、ユーザの手が外部側電極62に触れ難い構成となっている。その結果、本実施形態によれば、ユーザに対する安全性を更に向上することができる。
【0067】
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0068】
1…外部電気機器接続装置、10…移動体、15…内部電気機器、20…外部電気機器、30…移動体側プラグ、31…移動体側電極、311…先端部、32…ソケット、322…案内部、40…自動接続器、50…保持機構、601…自動用外部側プラグ、602…手動用外部側プラグ、62…外部側電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13