(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ゲート駆動装置
(51)【国際特許分類】
H03K 17/56 20060101AFI20240730BHJP
H03K 17/06 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H03K17/56 E
H03K17/06 065
(21)【出願番号】P 2020197004
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】道下 雄介
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-113867(JP,A)
【文献】特開2020-5085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K17/06
H03K17/16
H03K17/56-17/735
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のゲート駆動型のスイッチング素子を駆動するゲート駆動装置であって、
ゲート駆動信号とゲート駆動能力を設定する駆動能力調整信号とに基づき前記スイッチング素子のゲートを駆動する1または複数のゲート駆動回路(20、20a、20b、50)と、
前記スイッチング素子のゲート電圧がオンもしくはオフの判定設定値に達したことを検出してオンもしくはオフの検出信号を出力する1または複数のゲート電圧検出回路(30、30a、30b、80)と、
前記ゲート駆動信号によりオンまたはオフのゲート駆動を指示した時点から前記ゲート電圧検出回路が前記オンまたはオフの検出信号を出力した時点までのゲート駆動時間があらかじめ設定されたゲート駆動時間設定値と一致するように前記ゲート駆動回路に前記駆動能力調整信号を指示する1または複数の制御回路(10、10a、10b、12、13、15、18)と
を備えたゲート駆動装置。
【請求項2】
前記スイッチング素子の電流を検出する電流検出回路を備え、
前記制御回路は、前記ゲート駆動時間が前記ゲート駆動時間設定値と一致するように前記ゲート駆動回路に前記駆動能力調整信号を指示する処理において、前記ゲート駆動時間設定値を、前記電流検出回路により検出された前記スイッチング素子の電流があらかじめ設定されたレベルよりも大きい場合には大きく、小さい場合には小さく調整したものを用いる請求項1に記載のゲート駆動装置。
【請求項3】
前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出回路を備え、
前記制御回路は、前記ゲート駆動時間が前記ゲート駆動時間設定値と一致するように前記ゲート駆動回路に前記駆動能力調整信号を指示する処理において、前記ゲート駆動時間設定値を、前記温度検出回路により検出された前記スイッチング素子の温度に応じて調整したものを用いる
請求項1または2に記載のゲート駆動装置。
【請求項4】
前記スイッチング素子に印加する電源電圧を検出する電源電圧検出回路を備え、
前記制御回路は、前記ゲート駆動時間が前記ゲート駆動時間設定値と一致するように前記ゲート駆動回路に前記駆動能力調整信号を指示する処理において、前記ゲート駆動時間設定値を、前記電源電圧検出回路により検出された前記電源電圧に応じて調整したものを用いる
請求項1から3のいずれか一項に記載のゲート駆動装置。
【請求項5】
前記1または複数のゲート電圧検出回路(80)は、前記スイッチング素子のゲート電圧がミラー電圧レベルの判定設定値に達したことを検出して中間レベル検出信号を出力
するよう構成され、
前記制御回路(18)は、前記ゲート駆動信号によりオンまたはオフのゲート駆動を指示した時点から前記ゲート電圧検出回路が前記中間レベル検出信号を出力した時点までのゲート駆動時間があらかじめ設定された第1ゲート駆動時間設定値と一致するように前記ゲート駆動回路に前記駆動能力調整信号を指示し、且つ、前記ゲート電圧検出回路が前記中間レベル検出信号を検出した時点から前記ゲート電圧検出回路が前記オンまたはオフの検出信号を出力した時点までのゲート駆動時間があらかじめ設定された第2ゲート駆動時間設定値と一致するように前記ゲート駆動回路に前記駆動能力調整信号を指示する
請求項1から4のいずれか一項に記載のゲート駆動装置。
【請求項6】
前記ゲート駆動回路は、前記スイッチング素子のゲートに対して定電流により駆動する
請求項1から5のいずれか一項に記載のゲート駆動装置。
【請求項7】
前記ゲート駆動回路は、前記スイッチング素子のオン駆動を行う
請求項1から6のいずれか一項に記載のゲート駆動装置。
【請求項8】
前記ゲート駆動回路は、前記スイッチング素子のオフ駆動を行う
請求項1から6のいずれか一項に記載のゲート駆動装置。
【請求項9】
前記ゲート駆動回路は、前記スイッチング素子のオン駆動およびオフ駆動を行う
請求項1から6のいずれか一項に記載のゲート駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲート駆動型のスイッチング素子のゲート駆動制御においては、あらかじめ決められた駆動能力でゲート駆動をしようとすると、制御対象のスイッチング素子のゲート容量のばらつきに起因して次のような不具合があった。
【0003】
スイッチング素子は、ゲート容量が異なることで、設定された駆動能力で駆動すると、ゲート電荷Qgが同じでもゲート電圧が異なる状態が生じ、これによってオンあるいはオフのゲート駆動時間がばらつく。
【0004】
このため、パワー系のスイッチング素子では、スイッチング時に発生するサージ電圧もばらつくため、ばらつきを考慮してサージ電圧がスイッチング素子の耐圧を超えないように駆動能力を決める必要がある。
【0005】
具体的にはスイッチング素子の特性ばらつきがあるため、ゲート容量あるいはゲート容量に相当する規格の最小値のものに合わせてサージ電圧を見ながら駆動能力を調整している。この結果、制御対象となるスイッチング素子に特性ばらつきがあっても、サージ電圧が耐圧を超えることを抑制することができるが、逆にゲート容量が最大のものでは、ゲート電圧駆動時間が長くなることで、スイッチング損失が大きくなるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4144541号公報
【文献】特許第4935266号公報
【文献】特許第5460519号公報
【文献】特許第6350301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、制御対象となるスイッチング素子のゲート容量がばらつきによって異なる場合でも、スイッチング損失の低減効果を考慮して設定したオン駆動時間で駆動でき、しかも耐圧を超えないサージ電圧で駆動することができるようにしたゲート駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のゲート駆動装置は、1または複数のゲート駆動型のスイッチング素子を駆動するゲート駆動装置であって、ゲート駆動信号とゲート駆動能力を設定する駆動能力調整信号とに基づき前記スイッチング素子のゲートを駆動する1または複数のゲート駆動回路(20、20a、20b、50)と、前記スイッチング素子のゲート電圧がオンもしくはオフの判定設定値に達したことを検出してオンもしくはオフの検出信号を出力する1または複数のゲート電圧検出回路(30、30a、30b、80)と、前記ゲート駆動信号によりオンまたはオフのゲート駆動を指示した時点から前記ゲート電圧検出回路が前記オンまたはオフの検出信号を出力した時点までのゲート駆動時間があらかじめ設定されたゲート駆動時間設定値と一致するように前記ゲート駆動回路に前記駆動能力調整信号を指示する1または複数の制御回路(10、10a、10b、12、13、15、18)とを備えている。
【0009】
上記構成を採用することにより、与えられるゲート駆動時間設定値に対して、スイッチング素子のゲート電圧をゲート電圧検出回路により検出してオンあるいはオフのゲート駆動時間をモニタし、制御回路により駆動能力を調整設定することでゲート駆動回路によるスイッチング素子のゲートへの定電流通電の電流値を制御してゲート駆動時間を設定値となるように制御することができる。
【0010】
これにより、設定されるオン駆動時間設定値に対して、スイッチング素子のゲート容量のばらつきに起因したゲート駆動時間のばらつきをなくすように駆動能力を適切に設定することができ、これによって、サージ電圧が耐圧を超えることを抑制し、且つゲート電圧駆動時間を適正に保持してスイッチング損失が大きくなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】第1実施形態を示すスイッチングサイクルの流れ図
【
図3】第1実施形態を示すオン駆動時間設定処理の流れ図
【
図19】第10実施形態を示すタイミングチャートその1
【
図20】第10実施形態を示すタイミングチャートその2
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、
図1~
図4を参照して説明する。
図1は電気的構成を示すもので、ゲート駆動装置100は、制御対象となるゲート駆動型のスイッチング素子である例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)1のオンオフの駆動制御を行うもので、この実施形態ではオン駆動の制御を行う構成を示している。なお、IGBT1をオフ駆動するオフ駆動回路は、
図1には示していないが、ゲート駆動装置100に設けても良いし別途設けても良い。
【0013】
ゲート駆動装置100は、制御回路10、オン駆動用のゲート駆動回路20およびゲート電圧検出回路30を備えている。制御回路10は、IGBT1のオンオフ制御を司る外部の回路からオン駆動指令信号Sonxを受けるとともに、オン駆動時間設定値Tonsが与えられる。制御回路10は、与えられたオン駆動指令信号Sonxに応じてオン駆動回路20にオン駆動信号Sonを出力するとともに、オン駆動時間設定値Tonsに応じた駆動能力電圧信号Sdxを出力する。また、制御回路10は、ゲート電圧検出回路30からゲート検出信号Sgが入力される。
【0014】
ゲート駆動回路20は、ゲート駆動用のPチャンネル型のMOSトランジスタ21、誤差増幅器22および定電流回路23を備えている。MOSトランジスタ21は、ソースが抵抗2を介して制御用の直流電源Vccに接続され、ドレインはIGBT1のゲートに接続される。MOSトランジスタ21のゲートは、誤差増幅器22の出力端子に接続されている。
【0015】
誤差増幅器22は、反転入力端子がMOSトランジスタ21のソースに接続され、非反転入力端子が抵抗24を介して直流電源Vccに接続されるとともに定電流回路23に接続される。定電流回路23は、定電流値が駆動能力調整信号Sdxにより変更設定される構成で、抵抗24に定電流を流すことで誤差増幅器22の非反転入力端子に与える電圧を調整する構成である。
【0016】
誤差増幅器22は、直流電源Vccの電圧から、定電流回路23により流される定電流で抵抗24に発生する電圧分が降下した電圧に対して、抵抗2を通じて流れる電流で発生する電圧分が降下した電圧と一致するようにMOSトランジスタ21のゲートに電圧を出力する。これにより、MOSトランジスタ21に流れる電流を定電流となるように制御するものである。MOSトランジスタ21によりIGBT1のゲートに流す定電流値は、駆動能力調整信号Sdxを調整することで変更することができる。
【0017】
ゲート電圧検出回路30は、コンパレータ31および参照電源32を備えている。コンパレータ31は、非反転入力端子がIGBT1のゲートに接続され、反転入力端子が参照電源32に接続されている。参照電源32は、参照電圧VrefUとして、IGBT1がオン状態になったときのゲート電圧VGよりも少し低い電圧に設定されており、コンパレータ31は、IGBT1のゲート電圧Vgが参照電圧VrefUに達するとハイレベルのゲート検出信号Sgを制御回路10に出力する。
【0018】
次に、上記構成の作用について、
図2~
図4も参照して説明する。この実施形態においては、ゲート駆動装置10により、IGBT1のオン駆動について、ゲート駆動時間としてオン駆動時間Tonをオン駆動時間設定値Tonsとなるように制御する。この場合、制御対象となるIGBT1は、規格の範囲においてゲート容量がばらつくため、定電流でゲート駆動をする場合には、ゲート電荷Qgが同じでもゲート電圧Vgがばらつくことになるので、これに対して駆動能力Sdxの設定により定電流値を調整して合わせ込みを行うことでオン駆動時間Tonがオン駆動時間設定値Tonsとなるように制御する。
【0019】
図2はゲート制御装置100によるIGBT1のオン駆動制御動作のスイッチングサイクルの流れを示している。まず、ステップS100では、外部からオン駆動指令信号Sonxが与えられると、制御回路10がこれを入力し、次に、ステップ110で駆動能力調整信号Sdxが更新されている場合にはこれを入力し、ゲート駆動回路20に出力して設定する。駆動能力調整信号Sdxが更新されていない場合には、前回の値もしくは初期値を設定する。
【0020】
次に、制御回路10は、ステップ120で、ゲート駆動回路20にハイレベル「H」のオン駆動信号Sonを出力してIGBT1にゲート電流を流す。ここでは、ゲート駆動回路20では、誤差増幅器22にオン駆動信号Sonが与えられると、定電流回路23に設定された定電流が直流電源Vccから抵抗24に流れ、電源電圧Vccから抵抗24の端子間電圧だけ下がった電圧が誤差増幅器22の非反転入力端子に印加される。誤差増幅器22は、反転入力端子の電圧が抵抗24の電圧降下分と同じ電圧となるようにMOSトランジスタ21にゲート電圧を与えて抵抗2に定電流を流す。
【0021】
これにより、IGBT1はゲートに定電流で充電され、ステップS130で、ゲート電圧Vgは一定の電圧上昇率で上昇して所定のゲート電圧VGに達するとIGBT1がオン状態となる。このとき、IGBT1のゲート電圧Vgは、ゲート電圧検出回路30により検出されており、コンパレータ31は、ゲート電圧Vgが所定のゲート電圧VGにほぼ達した状態を検知するための参照電圧VrefUに達すると、ステップS140でハイレベル「H」のゲート検出信号Sgによりオン状態に達したことを制御回路10に出力する。
【0022】
この後、ステップS150で、外部からオン駆動指令信号が与えられると、制御回路10がこれを入力し、次に、ステップ160でゲート駆動回路20にローレベル「L」のオフ駆動信号を出力してIGBT1のゲート電荷を放電させる。これにより、ステップS170で、IGBT1のゲート電圧Vgは下降してゆき、しきい値電圧以下に低下するとIGBT1はオフ状態に移行する。
この後、上記と同様にしてスイッチングサイクルを繰り返し実行することで、ゲート制御装置100によるIGBT1のオンオフ駆動の制御動作が実施される。
【0023】
次に、上記スイッチングサイクルにおいて、オン駆動時間の設定処理の流れについて、
図3を参照して説明する。この実施形態においては、上記したスイッチングサイクルにおいて、与えられたオン駆動時間設定値TonsでIGBT1をオン駆動させるために、制御回路10において、駆動能力を調整して駆動能力調整信号Sdxを設定している。
【0024】
制御回路10は、オンオフの駆動制御動作を開始すると、まず、ステップS200で、前述したステップS120、S140で出力されたオン駆動信号Sonのタイミングとゲート検出信号Sgの検出タイミングを取得し、続くステップS210で、これらの間の時間をオン駆動時間Tonとして算出する。
【0025】
この後、制御回路10は、ステップS220で、算出したオン駆動時間Tonの値が、与えられているオン駆動時間設定値Tonsとほぼ一致しているか否かを判定する。この場合、オン駆動時間設定値Tonsに対して上下に若干の範囲を設定して一致する条件としている。一般的には最初は一致していることはないので、NOと判断して次のステップS230に移行する。
【0026】
制御回路10は、ステップS230で、算出したオン駆動時間Tonの値が、与えられているオン駆動時間設定値Tonsに対して大であるか否かを判定する。この場合、オン駆動時間Tonが大きいということは、駆動能力が小さいためにオンするまでの時間が長いということになるので、YESと判断してステップS240に移行し、駆動能力をアップする処理をする。
【0027】
駆動能力は初期値としては、IGBT1のサージ電圧が耐圧を超えないようにするために小さく設定されているので、通常の処理では駆動能力をアップすることになる。ここでは、制御回路10は、次のステップS250で、アップさせた駆動能力に相当する駆動能力調整信号Sdxを設定する。これにより、前述のスイッチングサイクルのオン駆動制御においては、ステップS110で設定された駆動能力調整信号Sdxを更新された値として受け付けて、ゲート駆動回路20の定電流回路23の定電流値を上昇させるように設定する。
【0028】
以上のようにして、制御を繰り返すことで、オン駆動時間Tonは、オン駆動時間設定値Tonsとほぼ一致する状態とすることができ、制御回路10は、ステップS220でYESと判断して駆動能力をそのまま維持して処理を終了する。これにより、IGBT1のゲート容量にばらつきがあって、ゲート駆動時間Tonがずれる場合でも、駆動能力を調整設定することでオン駆動時間設定値Tonsとなるように制御することができる。
【0029】
また、このようにして制御を繰り返すうちに、オン駆動時間Tonがオン駆動時間設定値Tons以下になった場合には、制御回路10は、ステップS230で、NOと判断してステップS260に移行し、この場合には、駆動能力をダウンさせるように制御する。これにより、ステップS250に移行すると、制御回路10は、更新設定された駆動能力調整信号Sdxを新たに設定することで、再びオン駆動時間Tonをオン駆動時間設定値Tonsに一致するように制御することができる。
次に、上記の制御動作について、
図4のタイミングチャートを参照して説明する。
【0030】
時刻t0でハイレベルのオン駆動信号Sonが出力されると、この後、時刻t1でオン駆動時間設定値Tonsが経過し、さらにこの後の時刻t2でゲート電圧Vgが参照電圧VrefUに達してゲート検出信号Vgはハイレベルに変化する。この後、ゲート電圧VgがVGに達するとIGBT1がオン状態となる。
【0031】
制御回路10は、オン駆動時間Tonとして、時刻t0からt2までの期間をオン駆動時間Tona(aは1回目を示しており、以下、b、c、・・・)として算出する。このオン駆動時間Tonaは、オン駆動時間設定値Tonsよりも大であるので、短くするために、制御回路10により駆動能力をアップするように調整した駆動能力調整信号Sdxを初期値Sdx0からSdxaに変更するように設定される。
【0032】
なお、このときの駆動能力調整信号Sdxの上げ幅は、所定幅で変化させるようにしても良いし、オン駆動時間Tonとオン駆動時間設定値Tonsとの差の大きさに応じて設定するようにしても良い。
【0033】
この結果、次のオン時には、時刻t4でハイレベルのオン駆動信号Sonが出力されると、この後、時刻t5でオン駆動時間設定値Tonsが経過するとともに、ゲート電圧Vgが参照電圧VrefUに達してゲート検出信号Vgはハイレベルに変化するようになり、この後、ゲート電圧VgがVGに達するとIGBT1がオン状態となる。
【0034】
制御回路10は、オン駆動時間Tonとして、時刻t4からt5までの期間をオン駆動時間Tonb(2回目)として算出する。このオン駆動時間Tonbは、オン駆動時間設定値Tonsとほぼ同じになる。この状態では、制御回路10は、駆動能力を維持した状態とする。
【0035】
このような本実施形態では、与えられるオン駆動時間設定値Tonsに対して、ゲート電圧をゲート電圧検出回路30により検出してオン駆動時間Tonをモニタし、制御回路10により駆動能力を調整設定することでゲート駆動回路20によるIGBT1のゲートへの定電流通電の電流値を制御するように構成した。
【0036】
これにより、設定されるオン駆動時間設定値Tonsに対して、制御対象となるIGBT1のゲート容量のばらつきに起因したオン駆動時間Tonのばらつきをなくすように駆動能力を適切に設定することができ、これによって、サージ電圧が耐圧を超えることを抑制し、且つゲート電圧駆動時間を適正に保持してスイッチング損失が大きくなることを抑制することができる。
【0037】
また、上記実施形態においては、ゲート駆動回路20として、IGBT1のゲートに駆動能力に基づいて定電流を供給して充電する構成としているので、IGBT1のゲート電圧Vgの上昇速度の変更設定のための構成が容易であり、オン駆動時間の調整を簡単な構成で実現できる。
【0038】
なお、上記実施形態では、ゲート電圧検出回路30として、コンパレータ31を設ける構成としているが、これに限らず、例えば、IGBT1のゲート電圧Vgをデジタルデータに変換するA/Dコンバータとして設ける構成とすることもできる。この場合には、ゲート検出信号をゲート電圧に基づくデジタルデータとして、ゲート検出信号を得るための処理を制御回路10内で実施することで同様の制御を行うことができる。
【0039】
(第2実施形態)
図5および
図6は第2実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、ゲート駆動装置110として、2個のIGBT1a、1bを駆動する構成を備えたものである。ここで、2個のIGBT1a、1bは並列接続されている。
【0040】
図5は電気的構成を示しており、ゲート駆動装置110は、第1実施形態で示したゲート駆動装置100の制御回路10、ゲート駆動回路20、ゲート電圧検出回路30をそれぞれのIGBT1a、1bに対応して2組設けられている。各組の構成はIGBT1aの構成に対して添え字「a」を付し、IGBT1bの構成に添え字「b」を付して示している。
【0041】
制御回路10a、10bには同じオン駆動信号Sonx、オン駆動時間設定値Tonsが与えられる構成である。制御回路10aは、ゲート駆動回路20aにオン駆動信号Son1、駆動能力調整信号Sdx1を与える。また、制御回路10aは、ゲート電圧検出回路30aからゲート検出信号Sg1が入力される。また、制御回路10bは、ゲート駆動回路20bにオン駆動信号Son2、駆動能力調整信号Sdx2を与える。また、制御回路10bは、ゲート電圧検出回路30bからゲート検出信号Sg2が入力される。
【0042】
これにより、各制御回路10a、10bは、
図6に示すように、共通のオン駆動時間設定値Tonsに対応して第1実施形態と同様の制御を実施することで、ゲート駆動回路20a、20bの駆動能力を最適な状態に調整することができ、これによってIGBT1aのオン駆動時間Ton1とIGBT1bのオン駆動時間Ton2のいずれもオン駆動時間設定値Tonsに一致させるように駆動することができる。
【0043】
このような第2実施形態によっても、設定されるオン駆動時間設定値Tonsに対して、制御対象となるIGBT1a、1bのゲート容量のばらつきに起因したオン駆動時間Ton1、Ton2のばらつきをなくすように駆動能力を適切に設定することができ、これによって、サージ電圧が耐圧を超えることを抑制し、且つゲート電圧駆動時間を適正に保持してスイッチング損失が大きくなることを抑制することができる。
【0044】
(第3実施形態)
図7から
図9は第3実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、ゲート駆動装置120は、ゲート電圧検出回路30に代えて、センス電流検出回路40を設ける構成としている。また、IGBT1は、センス電流を検出できるセンスエミッタ端子を備えている。IGBT1のセンスエミッタ端子は電流検出用の抵抗3を介してグランドに接続されている。
【0045】
センス電流検出回路40は、オペアンプ41、42およびコンデンサ43を備えている。センス電流検出回路40は、IGBT1のセンスエミッタ端子から抵抗3に流れるセンス電流Isenにより抵抗3に発生する端子電圧Vsenを取り込み、2個のオペアンプ41、42をバッファとして介した出力をセンス電流検出信号Ssenとして制御回路11に出力する。
【0046】
制御回路11は、あらかじめ設定されたオン駆動指令信号Sonxおよびセンス電流検出回路40から入力されるセンス電圧Vsenを取り込み、オン駆動指令信号Sonxからオン駆動信号Sonをゲート駆動回路20に出力する。また、制御回路11は、オン駆動時の駆動能力を駆動能力調整信号Sdxとしてゲート駆動回路20の定電流回路23に出力する。
【0047】
そして、この実施形態においては、制御回路11は、IGBT1のオン駆動時の駆動能力を、センス電流検出信号Ssenに応じて適切なレベルに調整して駆動能力調整信号Sdxとしてゲート駆動回路20に更新設定するように出力する。
【0048】
この場合、制御回路11は、ゲート駆動回路20に対して、センス電流検出回路40からのセンス電流検出信号SsenによりIGBT1のセンス電流Isenが増大したと判定すると駆動能力を小さくするように更新設定し、IGBT1の電流が減少したと判定すると駆動能力を大きくするように更新設定する。
【0049】
これにより、IGBT1のセンス電流検出信号Ssenが小さい場合には、IGBT1に流れる電流が小さくサージ電圧も小さくなるため、前回のスイッチングよりも駆動能力を上昇することができる。また、IGBT1のセンス電流検出信号Ssenが大きい場合には、IGBT1に流れる電流が大きくサージ電圧が大きくなるため、前回のスイッチングよりも駆動能力を低下することでサージ電圧を抑制する。
【0050】
上記した制御内容について、
図8のタイミングチャートを参照して説明する。なお、図中、センス電流検出信号Ssenのサンプルホールドのタイミングは、ゲート電圧が所定レベルに達した後であってIGBT1が十分にオンした状態で行うことを前提としている。このため、
図7には示していないが、IGBT1のゲート電圧を検出することでタイミングを設定しても良いし、ハイレベルのオン駆動信号Sonを出力してから一定時間が経過したタイミングを設定しても良い。
【0051】
制御回路11は、オン駆動指令信号Sonxが入力されると、「状態1」では、前回のスイッチング時により決定された駆動能力を駆動能力調整信号Sdx0として、時刻t0にオン駆動タイミングをハイレベルのオン駆動信号Sonとしてゲート駆動回路20に入力する。これにより、ゲート駆動回路20は、入力された駆動能力調整信号Sdx0に基づきIGBT1のゲートに定電流を供給して充電する。IGBT1は、ゲート電圧Vgが上昇して、時刻t1に図中「状態1」で示すオン状態に移行する。
【0052】
IGBT1がオン状態にある期間中に電流が流れることで、これに比例したセンス電流Isenがセンスエミッタ端子から抵抗3を介して流れる。これにより、抵抗3の抵抗値とセンス電流Isenの積に相当するセンス電圧Vsenが抵抗3の端子に発生する。このセンス電圧Vsenを時刻t2でセンス電流検出回路40により検出し、センス電流検出信号Ssen0を制御回路11に伝える。
【0053】
この後、「状態移行時」のスイッチングサイクルにおいて、IGBT1の電流が小さくなり、センス電流信号がSsen0からSsenaに小さくなると、制御回路11は、低下したセンス電流信号Ssenaに応じて駆動能力を決定する。ここでは、センス電流信号Ssenaが低下しているので、次の時刻t4からt8の「状態移行時」のスイッチングサイクルにて、オフ開始時点の時刻t7でゲート駆動回路20に駆動能力調整信号をSdx0からアップさせたSdxaとして駆動能力を伝達する。このときのセンス電流信号Ssenのレベルと駆動能力Sdxとの関係については、
図9に示すような関係にある。
【0054】
例えば、小さいセンス電流Isenaの場合にはIGBT1の電流が小さくサージ電圧が小さくなるため、前回のスイッチングの駆動能力SdxaからSdxbにアップする。逆に大きいセンス電流Isenbの場合にはIGBT1の電流が大きくサージ電圧が大きくなるため、前回のスイッチングの駆動能力SdxbからSdxaにダウンさせる。
【0055】
この実施形態では、制御回路11は、時刻t7でゲート駆動回路20に出力する駆動能力調整信号をSdxaにアップするので、実質的にはオン駆動時間設定値Tonが短く設定されたことと等価となり、オン駆動時間Tonも短い時間として調整されるようになる。
【0056】
このような第3実施形態によれば、センス電流検出回路40を設け、制御回路11により、センス電流検出信号Ssenのレベルに応じて駆動能力を
図9に示す関係で調整するようにしたので、IGBT1のサージ電圧を制御しつつ、スイッチング損失を低減することができる。
【0057】
なお、上記実施形態においては、センス電流検出回路40をオペアンプの組み合わせによる構成としているが、A/Dコンバータによりセンス電圧Vsenをデジタルデータのセンス電流検出信号Ssenに変換して制御回路11に出力する構成とし、制御回路11内においてレベルを判定するようにしても良い。
【0058】
(第4実施形態)
図10から
図12は第4実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、ゲート駆動装置130は、第1実施形態のゲート駆動装置100の構成に第3実施形態のセンス電流検出回路40を付加した構成としたものである。
【0059】
この構成では、制御回路10に代る制御回路12は、あらかじめ設定されたオン駆動指令信号Sonx、オン駆動時間設定値Tons、ゲート電圧検出回路30からのゲート検出信号Sgおよびセンス電流検出回路40からのセンス電流検出信号Ssenを入力信号とする。
【0060】
制御回路12は、オン駆動指令信号Sonxからオン駆動タイミングを設定してゲート駆動回路20にオン駆動信号Sonを出力するとともに、駆動能力調整信号Sdxからオン駆動時の駆動能力を出力する。
【0061】
また、制御回路12は、オン駆動時の駆動能力をハイレベルのオン駆動信号Sonの出力タイミングからゲート検出信号Sgが入力されるまでのオン駆動時間Tonとあらかじめ設定されたオン駆動時間設定値Tonsとを比較して、比較結果とセンス電流検出信号Ssenに応じて駆動能力調整信号Sdxとして出力する。
【0062】
これにより、制御回路12は、IGBT1の電流の変化をセンス電流検出信号Ssenのレベルの変化によって検出しながら駆動能力を変更設定し、且つ、オン駆動時間Tonが設定されたオン駆動設定値Tonsとなるように駆動能力を変更設定することができる。この結果、サージ電圧による保護を図りながら最適なオン駆動時間TonsでIGBT1をオン駆動させることができる。
【0063】
図11を参照して具体的な制御動作について説明する。
制御回路12は、オン駆動指令信号Sonxが入力されると、前回のスイッチング時により決定された駆動能力を駆動能力調整信号Sdxとして、オン駆動タイミングをハイレベルのオン駆動信号Sonにより時刻0でゲート駆動回路20に入力する。
【0064】
ゲート駆動回路20は、入力された駆動能力に基づきIGBT1のゲートに定電流で充電をすることで、ゲート電圧Vgが上昇して、オン状態に移行する。このとき、IGBT1のゲート電圧Vgが、オン状態を検出するための参照電圧VrefUを超えるとゲート電圧検出回路30により検出して、ハイレベルのゲート検出信号Sgを制御回路12に出力する。
【0065】
また、IGBT1がオンしている期間中、IGBT1に電流が流れ、そのミラーした電流がセンスエミッタ端子から抵抗3に流れ、それらの積となるセンス電圧Vsenが発生する。センス電圧Vsenをセンス電流検出回路40により検出し、センス電流検出信号Ssenを制御回路12に出力する。
【0066】
制御回路12は、オン駆動時の駆動能力はオン駆動タイミングからゲート電圧を検出するまでのオン駆動時間Tonとあらかじめ設定されたオン駆動時間設定値Tonsとを比較して設定する。この場合、オン駆動時間Tonがオン駆動時間設定値Tonsよりも大きい場合は、前回のスイッチングよりも駆動能力を上昇するように駆動能力調整信号Sdxを設定する。オン駆動時間Tonがオン駆動時間設定値Tonsよりも小さい場合は前回のスイッチングよりも駆動能力を低下する。
【0067】
また、制御回路12は、センス電流検出信号Ssenに応じて駆動能力を決定して、ゲート駆動回路20に駆動能力調整信号Sdxとして駆動能力を伝達する。この場合、駆動能力を変更設定することは、オン駆動時間設定値Tonsを実質的に変更設定することと等価になる。
【0068】
例えば、小さいセンス電流Isenaの場合にはIGBT1の電流が小さくサージ電圧が小さくなるため、前回のスイッチングの駆動能力SdxaからSdxbにアップする。このことは、
図12に示しているように、オン駆動時間設定値TonsをTons1から長いオン駆動時間設定値Tons2に変更設定することとなる。
【0069】
逆に大きいセンス電流Isenbの場合にはIGBT1の電流が大きくサージ電圧が大きくなるため、前回のスイッチングの駆動能力SdxbからSdxaにダウンさせる。このことは、
図12に示しているように、オン駆動時間設定値TonsをTons2から短いオン駆動時間設定値Tons1に変更設定することとなる。
【0070】
このような第4実施形態によれば、制御回路12により、オン駆動時間TonとIGBT1の電流をミラーしたセンス電流検出信号Sonにより、駆動能力を決定するようにしたので、オン駆動時間Tonをあらかじめ設定したオン駆動時間設定値Tonsとすることができ、且つ駆動能力をIGBT1の電流に応じて変更できるので、IGBT1のサージ電圧を制御しつつ、スイッチング損失を低減することができる。
【0071】
(第5実施形態)
図13は第5実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、ゲート駆動装置140は、制御回路13、オフ駆動用のゲート駆動回路50およびゲート電圧検出回路30aを設ける構成である。
【0072】
制御回路13は、IGBT1のオンオフ制御を司る外部の回路からオフ駆動指令信号Soffxを受けるとともに、オフ駆動時間設定値Toffsが与えられる。制御回路13は、与えられたオフ駆動指令信号Soffxに応じてゲート駆動回路50にオフ駆動信号Soffを出力するとともに、オフ駆動時間設定値Toffsに応じた駆動能力電圧信号Sdyを出力する。また、制御回路13は、ゲート電圧検出回路30aからオフ状態に移行したゲート検出信号Sgが入力される。
【0073】
ゲート駆動回路50は、ゲート駆動用のNチャンネル型のMOSトランジスタ51、誤差増幅器52、定電流回路53などを備えている。MOSトランジスタ51は、ソースが抵抗2を介してグランドに接続され、ドレインはIGBT1のゲートに接続される。MOSトランジスタ51のゲートは、誤差増幅器52の出力端子に接続されている。
【0074】
誤差増幅器52は、反転入力端子がMOSトランジスタ51のソースに接続され、非反転入力端子が抵抗54を介してグランドに接続されるとともに定電流回路53を介して直流電源Vccに接続される。定電流回路53は、定電流値が駆動能力電圧信号Sdyにより変更設定される構成で、抵抗54に定電流を流すことで誤差増幅器52の非反転入力端子に与える電圧を調整する構成である。
【0075】
誤差増幅器52は、直流電源Vccの電圧から、定電流回路53により流される定電流で抵抗54に発生する電圧に対して、抵抗2を通じて流れる電流で発生する電圧と一致するようにMOSトランジスタ51のゲートに電圧を出力する。これにより、MOSトランジスタ51に流れる電流を定電流となるように制御するものである。MOSトランジスタ51によりIGBT1のゲートからグランドに流す定電流値は、駆動能力電圧信号Sdyを調整することで変更することができる。
【0076】
ゲート電圧検出回路30aは、コンパレータ31および参照電源33を備えている。コンパレータ31は、非反転入力端子がIGBT1のゲートに接続され、反転入力端子が参照電源32に接続されている。参照電源33は、参照電圧VrefDとして、IGBT1がオフ状態になったときのゲート電圧よりも少し高い電圧に設定されており、コンパレータ31は、IGBT1のゲート電圧Vgが参照電圧VrefDまで低下するとオフ状態に移行したことを示すハイレベルのゲート検出信号Sgを制御回路13に出力する。
【0077】
上記構成を採用することで、オン/オフの動作の違いがあるものの、ほぼ第1実施形態と同様にしてIGBT1のオフ駆動制御を行うことで、オフ駆動時間Toffをオフ駆動時間設定値Toffsに一致させることができる。
【0078】
このような本実施形態では、与えられるオフ駆動時間設定値Toffsに対して、ゲート電圧Vgをゲート電圧検出回路30aにより検出してオフ駆動時間Toffをモニタし、制御回路13により駆動能力を調整設定することでゲート駆動回路50によるIGBT1のゲートへの定電流通電の電流値を制御するように構成した。
【0079】
これにより、設定されるオフ駆動時間設定値Toffsに対して、制御対象となるIGBT1のゲート容量のばらつきに起因したオフ駆動時間Toffのばらつきをなくすように駆動能力を適切に設定することができ、これによって、サージ電圧が耐圧を超えることを抑制し、且つゲート電圧駆動時間を適正に保持してスイッチング損失が大きくなることを抑制することができる。
【0080】
また、上記実施形態においては、ゲート駆動回路50として、IGBT1のゲートから駆動能力に基づいて定電流を流して放電する構成としているので、IGBT1のゲート電圧Vgの下降速度の変更設定のための構成が容易であり、オフ駆動時間の調整を簡単な構成で実現できる。
【0081】
なお、上記実施形態では、ゲート電圧検出回路30aとして、コンパレータ31を設ける構成としているが、これに限らず、例えば、IGBT1のゲート電圧Vgをデジタルデータに変換するA/Dコンバータとして設ける構成とすることもできる。この場合には、ゲート検出信号をゲート電圧に基づくデジタルデータとして、ゲート検出信号を得るための処理を制御回路13内で実施することで同様の制御を行うことができる。
【0082】
また、上記実施形態では、オフ駆動の制御について実施する構成を示したが、この構成を第1から第4の各実施形態に組み合わせた構成として適用することもできる。これによって、オンおよびオフの両方の駆動制御について実施することができるようになる。
【0083】
(第6実施形態)
図14は第6実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、ゲート駆動装置150は、制御回路14、オフ駆動用のゲート駆動回路50およびセンス電流検出回路40を設ける構成である。IGBT1は、センス電流を検出できるセンスエミッタ端子を備えている。IGBT1のセンスエミッタ端子は電流検出用の抵抗3を介してグランドに接続されている。
【0084】
制御回路14は、あらかじめ設定されたオフ駆動指令信号Soffxおよびセンス電流検出回路40から入力されるセンス電圧Vsenを取り込み、オフ駆動指令信号Soffxからオフ駆動信号Soffをゲート駆動回路50に出力する。また、制御回路14は、オフ駆動時の駆動能力を駆動能力調整信号Sdyとしてゲート駆動回路50の定電流回路53に出力する。
【0085】
そして、この実施形態においては、制御回路14は、IGBT1のオフ駆動時の駆動能力を、センス電流検出信号Ssenに応じて適切なレベルに調整して駆動能力調整信号Sdyとしてゲート駆動回路50に更新設定するように出力する。
【0086】
この場合、制御回路14は、ゲート駆動回路50に対して、センス電流検出回路40からのセンス電流検出信号SsenによりIGBT1のセンス電流Isenが増大したと判定すると駆動能力を小さくするように更新設定し、IGBT1の電流が減少したと判定すると駆動能力を大きくするように更新設定する。
【0087】
これにより、IGBT1のセンス電流検出信号Ssenが小さい場合には、IGBT1に流れる電流が小さくサージ電圧も小さくなるため、前回のスイッチングよりも駆動能力を上昇することができる。また、IGBT1のセンス電流検出信号Ssenが大きい場合には、IGBT1に流れる電流が大きくサージ電圧が大きくなるため、前回のスイッチングよりも駆動能力を低下することでサージ電圧を抑制する。
【0088】
このような第6実施形態によれば、センス電流検出回路40を設け、制御回路14により、センス電流検出信号Ssenのレベルに応じて駆動能力を調整するようにしたので、IGBT1のサージ電圧を制御しつつ、スイッチング損失を低減することができる。
【0089】
なお、上記実施形態においては、センス電流検出回路40をオペアンプの組み合わせによる構成としているが、A/Dコンバータによりセンス電圧Vsenをデジタルデータのセンス電流検出信号Ssenに変換して制御回路14に出力する構成とし、制御回路14内においてレベルを判定するようにしても良い。
【0090】
また、上記実施形態では、オフ駆動の制御について実施する構成を示したが、この構成を第1から第4の各実施形態に組み合わせた構成として適用することもできる。これによって、オンおよびオフの両方の駆動制御について実施することができるようになる。
【0091】
(第7実施形態)
図15は第7実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、ゲート駆動装置160は、第5実施形態のゲート駆動装置140の構成に第6実施形態のセンス電流検出回路40を付加した構成としたものである。
【0092】
この構成では、制御回路13に代る制御回路15は、あらかじめ設定されたオフ駆動指令信号Soffx、オフ駆動時間設定値Toffs、ゲート電圧検出回路30aからのゲート検出信号Sgおよびセンス電流検出回路40からのセンス電流検出信号Ssenを入力信号とする。
【0093】
制御回路15は、オフ駆動指令信号Soffxからオフ駆動タイミングを設定してゲート駆動回路50にオフ駆動信号Soffを出力するとともに、駆動能力調整信号Sdyからオフ駆動時の駆動能力を出力する。
【0094】
また、制御回路15は、オフ駆動時の駆動能力をハイレベルのオフ駆動信号Soffの出力タイミングからゲート検出信号Sgが入力されるまでのオフ駆動時間Toffとあらかじめ設定されたオフ駆動時間設定値Toffsとを比較して、比較結果とセンス電流検出信号Ssenに応じて駆動能力調整信号Sdyとして出力する。
【0095】
これにより、制御回路15は、IGBT1の電流の変化をセンス電流検出信号Ssenのレベルの変化によって検出しながら駆動能力を変更設定し、且つ、オフ駆動時間Toffが設定されたオフ駆動設定値Toffsとなるように駆動能力を変更設定することができる。この結果、サージ電圧による保護を図りながら最適なオフ駆動時間設定値ToffsでIGBT1をオフ駆動させることができる。
【0096】
このような第4実施形態によれば、制御回路15により、オフ駆動時間ToffとIGBT1の電流をミラーしたセンス電流検出信号Ssenより、駆動能力を決定するようにしたので、オフ駆動時間Toffをあらかじめ設定したオフ駆動時間設定値Toffsとすることができ、且つ駆動能力をIGBT1の電流に応じて変更できるので、IGBT1のサージ電圧を制御しつつ、スイッチング損失を低減することができる。
【0097】
また、上記実施形態では、オフ駆動の制御について実施する構成を示したが、この構成を第1から第4の各実施形態に組み合わせた構成として適用することもできる。これによって、オンおよびオフの両方の駆動制御について実施することができるようになる。
【0098】
(第8実施形態)
図16は第8実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、ゲート駆動装置170は、ゲート電圧検出回路30に代えて、温度検出回路60を設ける構成としている。また、IGBT1は、順方向電圧Vfにより温度を検出するためのダイオード4が近傍に配置されている。
【0099】
温度検出回路60は、定電流回路61およびA/Dコンバータ62を備えている。温度検出回路60は、IGBT1の近傍に配置されたダイオード4に所定の電流を定電流回路61により流し、このときの順方向電圧VfをA/Dコンバータ62に取り込み、デジタル信号に変換した温度検出信号Stを制御回路16に出力する構成である。
【0100】
制御回路16は、あらかじめ設定されたオン駆動指令信号Sonxおよび温度検出回路60から入力される温度検出信号Stを取り込み、オン駆動指令信号Sonxからオン駆動信号Sonをゲート駆動回路20に出力する。また、制御回路16は、IGBT1のオン駆動時の駆動能力を駆動能力調整信号Sdxとしてゲート駆動回路20の定電流回路23に出力する。
【0101】
そして、この実施形態においては、制御回路16は、IGBT1のオン駆動時の駆動能力を、温度検出信号Stに応じて適切なレベルに調整して駆動能力調整信号Sdxとしてゲート駆動回路20に更新設定するように出力する。
【0102】
この場合、制御回路16は、ゲート駆動回路20に対して、温度検出回路60からの温度検出信号StによりIGBT1の温度が低下したと判定すると駆動能力を小さくするように更新設定し、IGBT1の温度が上昇したと判定すると駆動能力を大きくするように更新設定する。
【0103】
これにより、IGBT1の温度が低い場合には、IGBT1のサージ電圧が大きくなるため、前回のスイッチングよりも駆動能力を低下させることで抑制を図ることができる。また、IGBT1の温度が高い場合には、IGBT1のサージ電圧が小さくなるため、前回のスイッチングよりも駆動能力を高めることができる。
【0104】
このような第8実施形態によれば、IGBT1の温度をダイオード4の順方向電圧Vfから検出する温度検出回路60を設け、制御回路16により、IGBT1の検出温度に応じて駆動能力を調整するようにしたので、IGBT1のサージ電圧を制御しつつ、スイッチング損失を低減することができる。
【0105】
(第9実施形態)
図17は第9実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、ゲート駆動装置180は、ゲート電圧検出回路30に代えて、電源電圧検出回路70を設ける構成としている。また、IGBT1に接続される高圧電源の直流電圧VHを検出するための分圧回路5を配置している。分圧回路5は、高圧電源の直流電圧VHを分圧する抵抗5a、5bの直列回路により構成される。
【0106】
電源電圧検出回路70は、入力回路71およびA/Dコンバータ72を備えている。入力回路71は、高圧電源の直流電圧VHを分圧回路5により分圧した抵抗5bの端子電圧Vhを取り込み、アナログ電圧信号としてA/Dコンバータ72に入力する。A/Dコンバータ72は、入力回路71が出力する電圧信号を高圧電源の電圧に相当するデジタル信号に変換して電源電圧検出信号SVとして制御回路17に入力する。
【0107】
制御回路17は、あらかじめ設定されたオン駆動指令信号Sonxおよび電源電圧検出回路70から入力される電源電圧検出信号SVを取り込み、オン駆動指令信号Sonxからオン駆動信号Sonをゲート駆動回路20に出力する。また、制御回路17は、オン駆動時の駆動能力を駆動能力調整信号Sdxとしてゲート駆動回路20の定電流回路23に出力する。
【0108】
そして、この実施形態においては、制御回路17は、IGBT1のオン駆動時の駆動能力を、電源電圧検出信号SVに応じて適切なレベルに調整して駆動能力調整信号Sdxとしてゲート駆動回路20に更新設定するように出力する。
【0109】
この場合、制御回路17は、ゲート駆動回路20に対して、電源電圧検出回路70からの温度検出信号SVによりIGBT1に印加される電源電圧HVが上昇したと判定すると駆動能力を小さくするように更新設定し、電源電圧HVが低下したと判定すると駆動能力を大きくするように更新設定する。
【0110】
これにより、IGBT1に印加される高圧電源の直流電圧VHが高い場合には、IGBT1のサージ電圧が大きくなるため、前回のスイッチングよりも駆動能力を低下させることで抑制を図ることができる。また、直流電圧VHが低い場合には、IGBT1のサージ電圧が小さくなるため、前回のスイッチングよりも駆動能力を高めることができる。
【0111】
このような第9実施形態によれば、IGBT1に印加される直流電圧VHを分圧回路5で分圧し、電源電圧に相当する分圧Vhからデジタル信号の電源電圧信号SVとして検出する電源電圧検出回路70を設け、制御回路17により、直流電圧VHの大きさに応じて駆動能力を調整するようにしたので、IGBT1のサージ電圧を制御しつつ、スイッチング損失を低減することができる。
【0112】
(第10実施形態)
図18から
図20は第10実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、ゲート駆動装置190は、第1実施形態のゲート駆動装置100の構成におけるゲート電圧検出回路30に加えてさらに別のゲート電圧検出回路80を付加した構成としたものである。
【0113】
ゲート電圧検出回路80は、コンパレータ81および参照電源82を備えている。コンパレータ81は、非反転入力端子がIGBT1のゲートに接続され、反転入力端子が参照電源82に接続されている。参照電源82は、参照電圧VrefMとして、IGBT1のゲート電圧Vgがミラー期間に移行するタイミングを検出するため、ミラー電圧Vmよりも少し低い電圧に設定されている。
【0114】
コンパレータ81は、IGBT1のゲート電圧Vgが参照電圧VrefMに達するとハイレベルのゲート検出信号SgMを制御回路10に出力する。また、ゲート電圧検出回路80のゲート検出信号SgMに対応して、ゲート電圧検出回路30が検出するゲート検出信号Sgは、ゲート検出信号SgUとして出力するものとする。
【0115】
なお、ゲート電圧検出回路80により検出するゲート電圧Vgのレベルは、ミラー電圧Vmを検出するものとは限らず、ゲート電圧Vgがオン状態に移行する中間レベルの電圧を検出するように参照電圧VrefMを設定することができる。
【0116】
この構成では、制御回路10に代わる制御回路18は、あらかじめ設定されたオン駆動指令信号Sonx、オン駆動時間設定値Tons1、オン駆動時間設定値Tons2、ゲート検出信号SgM、ゲート検出信号SgUを入力とする。また、オン駆動指令信号Sonxからオン駆動タイミングを設定してゲート駆動回路20にオン駆動信号Sonを出力するとともに、駆動能力調整信号Sdxからオン駆動時の駆動能力をゲート駆動回路20に出力する。
【0117】
制御回路18は、オン駆動時の駆動能力を、ハイレベルのオン駆動信号Sonの出力タイミングからゲート電圧Vgが参照電圧VrefMに達してゲート検出信号SdMが入力されるまでの第1オン駆動時間Ton1とあらかじめ設定された第1オン駆動時間設定値Tons1とを比較して、その比較結果に応じて駆動能力調整信号Sdxとして出力する。
【0118】
また、制御回路18は、ゲート電圧Vgが参照電圧VrefMに達した時点からの駆動能力を、ゲート検出信号SgMが入力されたタイミングからゲート検出信号SgUが入力されるまでの第2オン駆動時間Ton2とあらかじめ設定された第2オン駆動時間設定値Tons2と比較して、その比較結果に応じて駆動能力調整信号Sdxとして出力する。
【0119】
つまり、制御回路18により設定する駆動能力は、オン駆動時間Ton1とオン駆動時間Ton2のそれぞれで調整して設定される構成である。この結果、サージ電圧による保護を図りながら最適なオン駆動時間TonsでIGBT1をオン駆動させることができるものである。
【0120】
次に、
図19および
図20を参照して具体的な制御動作について説明する。
制御回路18は、オン駆動指令信号Sonxが入力されると、前回のスイッチング時により決定された駆動能力を駆動能力調整信号Sdxとして、時刻t0にオン駆動タイミングをハイレベルのオン駆動信号Sonとしてゲート駆動回路20に入力する。これにより、ゲート駆動回路20は、入力された駆動能力調整信号Sdxに基づきIGBT1のゲートに定電流を供給して充電することで、IGBT1は、ゲート電圧Vgが上昇する。
【0121】
IGBT1のゲート電圧Vgが上昇して、ゲート電圧検出回路80の参照電圧VrefMを超えると、ゲート電圧検出回路80により検出され、ゲート検出結果をハイレベルのゲート検出信号SgMとして制御回路18に伝える。
【0122】
制御回路18は、オン駆動時の駆動能力はオン駆動タイミングからゲート電圧Vgが参照電圧VrefMを検出するまでのオン駆動時間Ton1とあらかじめ設定されたオン駆動時間設定値Tons1とを比較して設定する。この場合、オン駆動時間Ton1がオン駆動時間設定値Tons1よりも大きい場合は、前回のスイッチングよりも駆動能力を上昇するように駆動能力調整信号Sdxを設定する。オン駆動時間Ton1がオン駆動時間設定値Tons1よりも小さい場合は前回のスイッチングよりも駆動能力を低下する。
【0123】
また、制御回路18は、ゲート電圧Vgが参照電圧VrefMを超えると、前回のスイッチング時により決定された駆動能力を駆動能力調整信号Sdxとしてゲート駆動回路20に入力する。
【0124】
ゲート駆動回路20は、入力された駆動能力に基づきIGBT1のゲートを充電するため、ゲート電圧Vgがさらに上昇する。ゲート電圧Vgが参照電圧VrefUを超えるとゲート電圧検出回路30によりゲート検出して、ゲート検出結果をハイレベルのゲート検出信号SgUとして制御回路18に伝える。
【0125】
制御回路18は、ゲート検出の参照電圧VrefMを超えたときの駆動能力は、ゲート検出信号SgMが入力された時点からゲート検出の参照電圧VrefUを検出するまでのオン駆動時間Ton2とあらかじめ設定された第2オン駆動時間設定値Tons2とを比較して、オン駆動時間Ton2が第2オン駆動時間設定値Tons2よりも大きい場合は前回のスイッチング時よりも参照電圧VrefMを超えたときの駆動能力を上昇する。オン駆動時間Ton2が第2オン駆動時間設定値Tons2よりも小さい場合は前回のスイッチング時よりも参照電圧VrefMを超えたときの駆動能力を低下する。
【0126】
これより、オン駆動時間Ton1とオン駆動時間Ton2をそれぞれ設定することにより、スイッチング損失とサージ電圧をそれぞれ最適に設定することができる。
【0127】
図20は、
図19に示した時刻t6からt8までの間におけるゲート電圧Vgの変化の様子を示している。図中、ゲート電圧Vgが時刻t0でオン駆動された後、参照電圧VrefMに達するまでのオン駆動時間Ton1は、第1オン駆動時間設定値Tons1と比較することで、主としてIGBT1のサージ電圧を決める領域Z1として機能している。また、時刻t1からゲート電圧Vgが参照電圧VrefUに達するまでのオン駆動時間Ton2は、第2オン駆動時間設定値Tons2と比較することで、主としてスイッチング損失を決める領域Z2として機能している。
【0128】
このような本実施形態によれば、ゲート電圧Vgを、オン駆動レベルの参照電圧VrefUで検出するゲート電圧検出回路30と、中間レベルの参照電圧VrefMで検出するゲート電圧検出回路80とを設け、制御回路18により、第1オン駆動時間設定値Tons1、第2オン駆動時間設定値Tons2で比較することにより、2段階でゲート駆動回路20の駆動能力を設定する構成としたので、サージ電圧およびスイッチング損失のそれぞれについて個別に制御することができるようになる。
【0129】
なお、上記実施形態においては、第1実施形態の構成に、ゲート電圧検出回路80を付加した構成の例を示したが、これに限らず、他の実施形態の構成に組み合わせることもできる。
【0130】
(他の実施形態)
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば、以下のように変形または拡張することができる。
【0131】
上記実施形態においては、第1実施形態で1個のIGBTを駆動するものを示し、第2実施形態で2個のIGBTを駆動するものを示したが、3個以上のIGBTを駆動するものに適用することもできるし、他の実施形態においても2個以上のIGBTを駆動するものとして構成することもできる。
【0132】
また、上記各実施形態では、ゲート駆動型のスイッチング素子として、IGBTに適用した場合を示したが、これに限らず、MOSトランジスタに適用することもできるし、SiGを用いたMOSトランジスタなどにも適用することができるし、他のゲート駆動型のスイッチング素子に適用することができる。
【0133】
上記実施形態においては、第1から第4実施形態でIGBT1をオン駆動制御する構成の実施形態を示し、第5から第7実施形態でIGBT1をオフ駆動制御する構成の実施形態を示しているが、これらを組み合わせることで、オン駆動制御の構成とオフ駆動制御の構成をともに備える構成とすることもできる。
【0134】
また、上記各実施形態では、ゲート駆動回路として、IGBT1のゲートを定電流駆動する構成のゲート駆動回路を示したが、これに限らず、他の方式によりゲート駆動を行う構成を用いることもできる。
【0135】
また、上記第4実施形態では、第1実施形態の構成に、第3実施形態の構成を合成した構成の例を示したが、第1実施形態や他の実施形態に、第8実施形態の温度検出回路や第9実施形態の電源電圧検出回路の構成を合成した構成とすることもできる。
【0136】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0137】
図面中、1、1a、1bはIGBT(ゲート駆動型のスイッチング素子)、2は電流設定用の抵抗、3は電流検出用の抵抗、4は温度検出用のダイオード、5は電源電圧検出用の分圧回路、10、10a、10b、11~17は制御回路、20、20a、20bはオン駆動用のゲート駆動回路、30、30a、30b、80はゲート電圧検出回路、40はセンス電流検出回路、50はオフ駆動用のゲート駆動回路、60は温度検出回路、70は電源電圧検出回路、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190はゲート駆動装置である。