(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】表示装置及び遊技機
(51)【国際特許分類】
G09F 13/18 20060101AFI20240730BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240730BHJP
A63F 7/02 20060101ALI20240730BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240730BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240730BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20240730BHJP
【FI】
G09F13/18 N
G02F1/13357
A63F7/02 304D
F21S2/00 435
F21Y115:10
F21Y113:13
(21)【出願番号】P 2020197144
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】奥田 満
(72)【発明者】
【氏名】藤田 純也
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-118128(JP,A)
【文献】特開2017-107048(JP,A)
【文献】国際公開第2009/013930(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0195063(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/00-13/46
A63F 7/02
F21S 2/00
F21V 8/00
G02F 1/13357
F21Y 115/10
F21Y 113/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な部材で形成され、少なくとも一つのパターンを表示可能であり、かつ、入射面を有する導光板と、
前記入射面と対向するように配置され、互いに異なる発光色を有し、かつ、前記パターンを照明する複数の光源とを有し、
前記パターンは、互いに異なる表示色で表される複数のサブパターンに区分され、
前記導光板は、前記複数のサブパターンのそれぞれについて、前記導光板の一方の面に、当該サブパターンに沿って配列され、前記複数の光源のうちの当該サブパターンに対応する光源から発して前記入射面から前記導光板内に入射した光を前記導光板の他方の出射面から出射させるように反射する反射面を有する複数のプリズムを有し、
前記複数の光源のそれぞれは、当該光源に対応する前記サブパターンと隣接する、前記複数のサブパターンのうちの他のサブパターンに対応する光源と隣接するように配置さ
れ、かつ、
前記複数の光源のうちの互いに隣接する光源の組の少なくとも二つについて、当該組に含まれる隣接する光源間の間隔が互いに異なる、表示装置。
【請求項2】
前記複数のサブパターンのうちの第1のサブパターンに沿って配列される前記複数のプリズム及び第2のサブパターンに沿って配列される前記複数のプリズムのそれぞれの前記反射面は、当該プリズムが配列される前記サブパターンに対応する光源に対して凸となる曲面として形成され、かつ、前記第1のサブパターンに沿って配列される前記複数のプリズムの前記反射面の曲率と、前記第2のサブパターンに沿って配列される前記複数のプリズムの前記反射面の曲率とが互いに異なる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
遊技機本体と、
前記遊技機本体の遊技者と対向する側の面に設けられた表示装置とを有し、
前記表示装置は、
透明な部材で形成され、少なくとも一つのパターンを表示可能であり、かつ、入射面を有する導光板と、
前記入射面と対向するように配置され、互いに異なる発光色を有し、かつ、前記パターンを照明する複数の光源とを有し、
前記パターンは、互いに異なる表示色で表される複数のサブパターンに区分され、
前記導光板は、前記複数のサブパターンのそれぞれについて、前記導光板における遊技者と対向する側と反対側の面に、当該サブパターンに沿って配列され、前記複数の光源のうちの当該サブパターンに対応する光源から発して前記入射面から前記導光板内に入射した光を前記導光板の遊技者と対向する側の出射面から出射させるように反射する反射面を有する複数のプリズムを有し、
前記複数の光源のそれぞれは、当該光源に対応する前記サブパターンと隣接する、前記複数のサブパターンのうちの他のサブパターンに対応する光源と隣接するように配置さ
れ、かつ、
前記複数の光源のうちの互いに隣接する光源の組の少なくとも二つについて、当該組に含まれる隣接する光源間の間隔が互いに異なる
遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板を用いてパターンをカラー表示可能な表示装置、及び、そのような表示装置を有する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、導光板内に、所定のパターンに沿って複数のプリズムを配列し、光源から発して導光板内を伝搬する光をその複数のプリズムにて観察者の方へ向けて反射することで、その所定のパターンを表示する表示装置が提案されている。このような表示装置において、表示させるパターンをカラー表示することを可能とする技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された表示装置は、光出射面を有する複数の表示部を備え、各表示部は、それぞれの光出射面が互いに平行になるように離間して配置されており、各光出射面から、互いに異なる色で構成された単色の階調画像を出力する。
【0004】
また、特許文献2に開示された表示装置は、少なくとも一つのパターンを表示可能な導光板と、その導光板の少なくとも一つの入射面と対向するように配置され、かつ、互いに異なる色を持つ光を発する複数の光源とを有する。そして導光板は、その一方の面に、パターンに沿って配列され、複数の光源のそれぞれから発して入射面から導光板内に入射した光を導光板の他方の面から出射させるように反射する複数のプリズムを有し、パターンの色に応じて、複数の光源のそれぞれについて、複数のプリズムのうちのその光源からの光を反射するプリズムの配置密度が設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-151567号公報
【文献】特開2019-35808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの技術による表示装置は、パターンをカラーで表示することができる。しかし、観察者の臨場感を高めるために、表示されるパターンの質感をより高めることが求められる。
【0007】
そこで、本発明は、表示されるパターンの質感を向上することが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの形態として、表示装置が提供される。この表示装置は、透明な部材で形成され、少なくとも一つのパターンを表示可能であり、かつ、入射面を有する導光板と、入射面と対向するように配置され、互いに異なる発光色を有し、かつ、パターンを照明する複数の光源とを有する。パターンは、互いに異なる表示色で表される複数のサブパターンに区分され、導光板は、複数のサブパターンのそれぞれについて、導光板の一方の面に、そのサブパターンに沿って配列され、複数の光源のうちのそのサブパターンに対応する光源から発して入射面から導光板内に入射した光を導光板の他方の出射面から出射させるように反射する反射面を有する複数のプリズムを有し、複数の光源のそれぞれは、その光源に対応するサブパターンに対して隣接する、複数のサブパターンのうちの他のサブパターンに対応する光源と隣接するように配置される。
係る構成を有することにより、この表示装置は、表示されるパターンの質感を向上することができる。
【0009】
この表示装置において、複数のサブパターンのうちの第1のサブパターンに沿って配列される複数のプリズム及び第2のサブパターンに沿って配列される複数のプリズムのそれぞれの反射面は、そのプリズムが配列されるサブパターンに対応する光源に対して凸となる曲面として形成され、かつ、第1のサブパターンに沿って配列される複数のプリズムの反射面の曲率と、第2のサブパターンに沿って配列される複数のプリズムの反射面の曲率とが互いに異なることが好ましい。
これにより、この表示装置は、サブパターンごとに、そのサブパターンに対応する光源の発光色と、隣接するサブパターンに対応する光源の発光色との混色の度合いを異ならせることができるので、より多彩なパターンの表現を可能とすることができる。
【0010】
あるいは、この表示装置において、複数の光源のうちの互いに隣接する光源の組の少なくとも二つについて、その組に含まれる隣接する光源間の間隔が互いに異なることが好ましい。
これにより、この表示装置は、サブパターンごとに、そのサブパターンに対応する光源の発光色と、隣接するサブパターンに対応する光源の発光色との混色の度合いを異ならせることができるので、より多彩なパターンの表現を可能とすることができる。
【0011】
本発明の他の形態によれば、遊技機本体と、遊技機本体の遊技者と対向する側の面に設けられた表示装置とを有する遊技機が提供される。この遊技機において、表示装置は、透明な部材で形成され、少なくとも一つのパターンを表示可能であり、かつ、入射面を有する導光板と、入射面と対向するように配置され、互いに異なる発光色を有し、かつ、パターンを照明する複数の光源とを有する。パターンは、互いに異なる表示色で表される複数のサブパターンに区分され、導光板は、複数のサブパターンのそれぞれについて、導光板における遊技者と対向する側と反対側の面に、そのサブパターンに沿って配列され、複数の光源のうちのそのサブパターンに対応する光源から発して入射面から導光板内に入射した光を導光板の遊技者と対向する側の出射面から出射させるように反射する反射面を有する複数のプリズムを有し、複数の光源のそれぞれは、その光源に対応するサブパターンと隣接する、複数のサブパターンのうちの他のサブパターンに対応する光源と隣接するように配置される。
係る構成を有することにより、この遊技機は、表示装置により表示されるパターンの質感を向上することができ、その結果として、遊技者の興趣を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一つの実施形態に係る表示装置の概略構成図である。
【
図2】表示装置が有する導光板の概略正面図である。
【
図3】
図2の矢印AA’で示される線における導光板の概略側面断面図である。
【
図4】各光源の配置とパターンに含まれる各サブパターンの関係の一例を示す図である。
【
図5】(a)は、この変形例によるプリズムの概略斜視図であり、(b)は、(a)の矢印BB’で示される線における、プリズムの概略側面断面図である。
【
図6】実施形態または変形例による表示装置を有する弾球遊技機の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態による表示装置を、図を参照しつつ説明する。この表示装置は、複数の光源が発する光に対して透明な材料を板状に形成した導光板を有し、その導光板の一方の面が観察者に面する出射面として形成される。さらに、導光板の出射面を囲う周囲の側面のうちの少なくとも一つが、複数の光源と対向する入射面として形成される。出射面と対向する導光板の他方の面には、表示装置が表示させるパターンに沿って配列される複数のプリズムが形成される。そしてパターンは、例えば、ある方向から見た立体的な構造物(実在するものでもよく、あるいは、仮想的なものでもよい)を模式的に表すものであり、その構造物について、互いに異なる、表示される色(以下、単に表示色と呼ぶ)ごとのサブパターンに区分される。なお、表示色は、パターンを個々のサブパターンに区分する際に設定される色である。二つのサブパターン間の表示色の違いは、それら表示色を構成する色相値の違いだけでなく、彩度あるいは輝度の違いであってもよい。個々のサブパターン内に配列されるプリズムは、そのサブパターンの表示色に相当する発光色を持つ光源と正対するように配置される。さらに、各光源は、互いに隣接する二つのサブパターンのそれぞれに対応する光源同士が隣接するように配置される。これにより、個々のサブパターンにおいて、そのサブパターン内に配列されるプリズムのうち、隣接するサブパターンとの境界に近いプリズムほど、そのサブパターンに対応する光源からの光だけでなく、隣接するサブパターンに対応する光源からの光も観察者へ向けて反射する。そのため、サブパターン間の境界近傍にて、実際に観察者から見える色が徐々に変化することとなり、その結果としてパターンの質感が向上する。
なお、以下では、説明の便宜上、観察者と対向する側を正面とし、その反対側を背面とする。
【0014】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る表示装置の概略構成図である。表示装置1は、導光板2と、複数の光源3-1~3-n(nは2以上の整数)と、記憶部4と、制御部5とを有する。
【0015】
導光板2は、複数の光源3-1~3-nのそれぞれから発する光に対して透明な板状に形成された部材である。導光板2は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーといった、可視光に対して透明な樹脂を成型することで形成される。そして導光板2には、複数の光源3-1~3-nが点灯することによって表示可能なパターン21が設けられる。ただし、導光板2に設けられる表示可能なパターンの数は一つに限られず、複数のパターンが設けられてもよい。また、パターンの配列及び各パターンの形状も
図1に示される例に限られない。
【0016】
導光板2は、複数の光源3-1~3-nの何れかが点灯している間、その点灯中の光源からの光をその内部で伝搬させるとともに、背面側に形成された、パターン21を形成するように配列された複数のプリズム(詳細は後述)によりその光を正面側に位置する観察者へ向けて反射させる。これにより、観察者は、パターン21が発光して見えるようになる。
なお、導光板2の詳細については後述する。
【0017】
複数の光源3-1~3-nは、それぞれ、互いに異なる発光色を持つ光を発する発光素子を有する。例えば、複数の光源3-1~3-nは、それぞれ、赤色発光ダイオードと緑色発光ダイオードと青色発光ダイオードとの組み合わせで構成されるフルカラー発光ダイオードとすることができる。そして複数の光源3-1~3-nのそれぞれの発光色は、制御部5により制御される。なお、各光源は、互いに隣接して配置される複数の発光素子を有してもよい。
【0018】
また、複数の光源3-1~3-nは、それぞれ、導光板2の一つの側面に形成される入射面2aと対向し、かつ、入射面2aの長手方向に沿って一列に並ぶように配置される。そして複数の光源3-1~3-nは、それぞれ、パターン21のうちの対応するサブパターンを照明するために利用される。具体的に、制御部5が複数の光源3-1~3-nを点灯させている間、点灯中の光源から発した光は、入射面2aを介して導光板2内に入射する。導光板2に入射した光は、導光板2内を全反射しながら伝搬した後に、導光板2の背面2bに設けられた、パターン21に沿って配列される複数のプリズムで反射されて正面側の出射面2cから出射する。そのため、導光板2の正面側に位置する観察者から、パターン21が光って見える。
【0019】
なお、各光源の配列、発光色及びパターンの関係については後述する。
【0020】
記憶部4は、例えば、揮発性あるいは不揮発性のメモリ回路を有する。そして記憶部4は、複数の光源3-1~3-nのそれぞれを制御するための光源制御情報を記憶する。光源制御情報には、例えば、各光源の発光色を指定するための発光色情報が含まれる。さらに、光源制御情報には、各光源の点灯または消灯のタイミングを指定する点灯制御情報、及び、各光源の点灯または消灯の順序を表す点灯順序情報が含まれてもよい。
【0021】
制御部5は、例えば、プロセッサと、複数の光源3-1~3-nを駆動するための駆動回路とを有する。そして制御部5は、光源制御情報に従って、複数の光源3-1~3-nのそれぞれの発光色を制御する。さらに制御部5は、光源制御情報に従って、複数の光源3-1~3-nのそれぞれの点灯及び消灯を制御してもよい。
【0022】
以下、導光板2の詳細及び各光源の配置について説明する。
【0023】
図2は、導光板2の概略正面図である。また
図3は、
図2の矢印AA’で示される線における、導光板2の概略側面断面図である。
図2及び
図3に示されるように、導光板2の側面の一つは、複数の光源3-1~3-nと対向する入射面2aとして形成される。上記のように、複数の光源3-1~3-nのそれぞれから発した光は入射面2aから導光板2の内部に入射する。そして導光板2の内部を伝搬した、複数の光源3-1~3-nのそれぞれからの光は、パターン21に沿って配列される複数のプリズム11のそれぞれにて全反射された後、導光板2の正面側に位置し、かつ、背面2bと対向する出射面2cから出射する。なお、
図2及び
図3において、図の見易さの向上のために、各プリズムのサイズ及び導光板2の厚さは誇張されている点に留意されたい。
【0024】
複数のプリズム11のそれぞれは、例えば、背面2bにおいて所定の長さを持ち、かつ、断面形状が略三角形状となる溝として形成される。そして複数のプリズム11のそれぞれは、背面2bに対して所定の角度をなす反射面11aを有する。なお、所定の角度は、導光板2へ入射した、対応する光源からの光を全反射させて、出射面2cへ向ける角度、例えば、背面2bに対して40°~50°をなすように設定される。また所定の長さは、パターン21の各サブパターン(詳細は後述)内に複数のプリズムが配置できる程度の長さ、例えば、100μm~数mm程度に設定される。
【0025】
本実施形態では、パターン21は、複数のサブパターン22-1~22-nに区分される。各サブパターン22-1~22-nは、例えば、パターン21が表す構造物の表示色が異なる部分ごとに設定される。個々のサブパターン内に配列されるプリズム11は、複数の光源3-1~3-nのうち、そのサブパターンの表示色に対応する発光色を持つ光源(以下、単に、対応する光源と呼ぶことがある)と正対するように配置される。さらに、各光源は、互いに隣接する二つのサブパターンのそれぞれに対応する光源同士が隣接するように配置される。所定のサブパターンが二つ以上の他のサブパターンと隣接している場合には、隣接する度合いが大きい方から順に、その所定のサブパターンに対応する光源と、一つまたは二つの隣接する他のサブパターンに対応する光源とが隣接するように、各光源が配置されればよい。サブパターン同士の隣接する度合いは、例えば、それらサブパターン間の境界の長さに基づいて評価されればよい。例えば、境界が長いサブパターンの組み合わせほど、隣接する度合いが大きいと判定されればよい。これにより、個々のサブパターン22-1~22-nにおいて、そのサブパターン内に配列されるプリズム11のうち、隣接するサブパターンとの境界に近いプリズム11ほど、そのサブパターンに対応する光源からの光だけでなく、隣接するサブパターンに対応する光源からの光も観察者へ向けて反射することとなる。そのため、サブパターン間の境界近傍にて、観察者から実際に見える色が徐々に変化することとなり、その結果としてパターンの質感が向上する。
【0026】
図4は、各光源3-1~3-nの配置とパターン21に含まれる各サブパターン22-1~22-nの関係の一例を示す図である。
図4に示される例では、パターン21は、6個のサブパターン22-1~22-6に区分される(すなわち、n=6)。なお、
図4において、図の見易さの向上のために、各プリズムのサイズは誇張されている点に留意されたい。
【0027】
サブパターン22-1は、サブパターン22-2に対して最も隣接する度合いが高い。サブパターン22-2は、サブパターン22-1及びサブパターン22-3に対して他のサブパターンよりも隣接する度合いが高い。同様に、サブパターン22-3は、サブパターン22-2及びサブパターン22-4に対して他のサブパターンよりも隣接する度合いが高い。さらに、サブパターン22-4は、サブパターン22-3及びサブパターン22-5に対して他のサブパターンよりも隣接する度合いが高い。そしてサブパターン22-5は、サブパターン22-4及びサブパターン22-6に対して他のサブパターンよりも隣接する度合いが高い。
【0028】
また、光源3-i(i=1,2,...,6)のそれぞれは、サブパターン22-iに対応する発光色を持つ光を発する。したがって、各光源は、光源3-1→光源3-2→光源3-3→光源3-4→光源3-5→光源3-6の順に並べて配置される。さらに、サブパターン22-i内に配列される各プリズム11は、その反射面が対応する光源3-iと正対するように配置される。そのため、サブパターン22-i内に配列される各プリズム11は、対応する光源3-iから発して導光板2内を伝搬する光を、正面側に位置する観察者の方へ向けて反射するので、観察者は、パターン21の各サブパターン22-iが、対応する光源3-iの発光色にて光っているように見える。さらに、サブパターン間の境界付近に配置されたプリズム11は、そのプリズム11を含むサブパターンに対応する光源からの光だけでなく、隣接するサブパターンに対応する光源からの光の入射角も小さくなるので、その隣接するサブパターンに対応する光源からの光も観察者へ向けて反射する。例えば、サブパターン22-1とサブパターン22-2の境界近傍に配置されたプリズム11は、光源3-1からの光と光源3-2からの光を観察者へ向けて反射する。そのため、サブパターン間の境界近傍では、隣接するサブパターンの色も混じっているように見える。このように、サブパターン間の境界近傍にて、実際に見える色が徐々に変化することとなる。
【0029】
また、各光源の発光色は、色相の値が、類似の色と認められる所定の範囲(例えば、30度~45度)内に含まれ、輝度または彩度について、一方の端部に配置された光源から他方の端部に配置された光源へ向けて単調に変化するように設定されることが好ましい。あるいは、各光源の発光色が、一端側から他端側へ向けて単調に変化するように、各光源の発光色及び各サブパターンの表示色が定められてもよい。これにより、サブパターン間での色の変化が自然となり、その結果として、パターンの質感がより向上する。
【0030】
以上に説明してきたように、この表示装置では、発光色が互いに異なる複数の光源のそれぞれから発して導光板内に入射した光が、導光板の背面においてパターンに沿って配列された複数のプリズムにより正面側に位置する観察者へ向けて反射されることで、光って見えるパターンが表示される。そして、導光板が表示するパターンが互いに異なる表示色ごとのサブパターンに区分され、個々のサブパターン内に配列されるプリズムが、そのサブパターンの表示色に対応する発光色を持つ光源と正対するように配置される。さらに、各光源は、互いに隣接する二つのサブパターンのそれぞれに対応する光源同士が隣接するように配置される。これにより、個々のサブパターンにおいて、そのサブパターン内に配列されるプリズムのうち、隣接するサブパターンとの境界に近いプリズムほど、そのサブパターンに対応する光源からの光だけでなく、隣接するサブパターンに対応する光源からの光も観察者へ向けて反射することとなる。そのため、サブパターン間の境界近傍にて、観察者から実際に見える色が徐々に変化することとなり、その結果として、この表示装置は、パターンの質感を向上することができる。
【0031】
変形例によれば、表示するパターンに沿って配列される各プリズムは、その反射面が光源に対して凸となる曲面上に形成されてもよい。
【0032】
図5(a)は、この変形例によるプリズム12の概略斜視図であり、
図5(b)は、
図5(a)の矢印BB’で示される線における、プリズム12の概略側面断面図である。プリズム12は、導光板の背面2bにおいて所定の長さを持ち、かつ、中心の幅が広く、端に近付くほど幅が狭くなる形状の溝として形成される。そしてプリズム12の二つの斜面の一方が、光源3-1~3-nからの光を出射面2cへ向けて反射する反射面12aとして形成される。また、プリズム12は、プリズム11と同様に、背面2b及び反射面12aと直交する面における断面形状が略三角形状となるように形成される。例えば、反射面12aは、導光板2へ入射した光源3-1~3-nからの光を全反射させて、出射面2cへ向ける角度、例えば、背面2bに対して40°~50°をなすように設けられる。また、各プリズム12は、その反射面12aの中心近傍が、光源3-1~3-nのうち、パターン内のそのプリズムが配列されるサブパターンに対応する光源に対して正対するように配置される。さらに、所定の長さは、各サブパターン内に複数のプリズム12を配置できる程度の長さ、例えば、100μm~数mm程度に設定される。
【0033】
この変形例では、プリズム12の反射面12aは、光源3-1~3-n及び入射面2aに対して凸となる曲面形状(例えば、円筒状、球面状あるいは放物面状)となるように形成される。すなわち、背面2bに沿った反射面12aの形状が、入射面2aに対して凸となる曲線形状(例えば、円弧状あるいは放物線状)となり、その曲率(なお、反射面12aが放物面状に形成される場合には、反射面12aの頂点における曲率)は正の値(すなわち、曲率半径は正の有限な値)となる。したがって、各プリズム12の反射面12aの一部は、光源3-1~3-nのうち、そのプリズムが配列されるサブパターンに隣接するサブパターンに対応する光源に対しても正対する。そのため、隣接するサブパターンに対応する光源から発して観察者へ向けて反射される光の光量を上記の実施形態におけるプリズム11よりも増やすことができる。そのため、隣接するサブパターン間での実際に見える色の変化がより滑らかとなる。このことから、この変形例による表示装置は、上記の実施形態よりも、表示されるパターンにおいてより滑らかに変化する曲面を表現することが可能となる。
【0034】
さらに他の変形例によれば、パターンを構成する複数のサブパターンの少なくとも二つのサブパターン間で、各プリズムの反射面の曲率が互いに異なっていてもよい。例えば、隣接するサブパターンに対する混色の度合いが高いサブパターンほど、プリズムの反射面の曲率が大きくなるように各プリズムは形成されてもよい。プリズムの反射面の曲率が大きくなるほど、その反射面は湾曲するので、その反射面の何れかの部分に対して正対する光源の数が増加する。そしてプリズムの反射面の何れかの部分が正対する光源からの光は、その正対する部分により全反射されて正面側に位置する観察者の方へ向かうので、プリズムの反射面の曲率が大きくなるほど、その反射面により反射されて観察者の方へ光が向かう光源の数が増加する。したがって、プリズムの反射面の曲率が大きくなるほど、混色の度合いが高くなる。これにより、サブパターンごとに、隣接するサブパターンとの混色の度合いを調整することができるので、より多彩なパターンの表現が可能となる。
【0035】
さらに他の変形例によれば、互いに隣接する光源同士の間隔が、対応するサブパターンごとに異なっていてもよい。例えば、隣接するサブパターンに対する混色の度合いが高いサブパターンほど、そのサブパターンに対応する光源と隣接するサブパターンに対応する光源間の間隔が小さくなるように、各光源は配置されてもよい。これにより、サブパターンごとに、隣接するサブパターンとの混色の度合いを調整することができるので、より多彩なパターンの表現が可能となる。
【0036】
上記の実施形態または変形例による表示装置は、弾球遊技機または回胴遊技機といった遊技機に搭載されてもよい。
【0037】
図6は、上記の実施形態または変形例による表示装置を有する弾球遊技機を遊技者側から見た、その弾球遊技機の概略斜視図である。
図6に示すように、弾球遊技機100は、上部から中央部の大部分の領域に設けられ、遊技機本体である遊技盤101と、遊技盤101の下方に配設された球受け部102と、ハンドルを備えた操作部103と、遊技盤101の略中央に設けられた液晶ディスプレイ104と、液晶ディスプレイ104の前面に配置された、表示装置105とを有する。
【0038】
また弾球遊技機100は、遊技の演出のために、遊技盤101の前面において遊技盤101の下方または表示装置105の周囲に配置された役物106を有する。また遊技盤101の側方にはレール107が配設されている。また遊技盤101上には多数の障害釘(図示せず)及び少なくとも一つの入賞装置108が設けられている。
【0039】
操作部103は、遊技者の操作によるハンドルの回動量に応じて図示しない発射装置より所定の力で遊技球を発射する。発射された遊技球は、レール107に沿って上方へ移動し、多数の障害釘の間を落下する。そして遊技球が何れかの入賞装置108に入ったことを、図示しないセンサにより検知すると、遊技盤101の背面に設けられた主制御回路(図示せず)は、遊技球が入った入賞装置108に応じた所定個の遊技球を、玉払い出し装置(図示せず)を介して球受け部102へ払い出す。さらに主制御回路は、遊技盤101の背面に設けられた演出用CPU(図示せず)を介して液晶ディスプレイ104及び表示装置105を駆動する。そして演出用CPUは、遊技の状態に応じた点灯制御情報を含む制御信号を表示装置105へ送信する。
【0040】
表示装置105は、上記の実施形態または変形例による表示装置の一例であり、導光板の出射面が遊技者へ向くように遊技盤101に取り付けられる。そして表示装置105の制御部は、演出用CPUからの制御信号に含まれる光源制御情報に従って、各光源を点灯させることで、遊技者が、液晶ディスプレイ104に表示された映像とともに、パターンを視認できるようにする。あるいは、制御部は、演出用CPUからの制御信号に含まれる光源制御情報に従って、各光源の発光色を変更してもよい。あるいはまた、制御部は、光源制御情報に従って、全ての光源を消灯して、遊技者が、導光板を介して液晶ディスプレイ104に表示された映像のみを観察できるようにしてもよい。
【0041】
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0042】
1 表示装置
2 導光板
2a 入射面
2b 背面
2c 出射面
3-1~3-n 光源
11、12 プリズム
11a、12a 反射面
21 パターン
22-1~22-n サブパターン
4 記憶部
5 制御部
100 弾球遊技機
101 遊技盤
102 球受け部
103 操作部
104 液晶ディスプレイ
105 表示装置
106 役物
107 レール
108 入賞装置