(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02F 7/00 20060101AFI20240730BHJP
F01L 1/356 20060101ALI20240730BHJP
F02F 1/24 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
F02F7/00 K
F01L1/356 E
F02F1/24 R
(21)【出願番号】P 2020207745
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 光希
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-012452(JP,A)
【文献】特開2001-050102(JP,A)
【文献】特許第4343396(JP,B2)
【文献】特許第6711147(JP,B2)
【文献】特開2002-242617(JP,A)
【文献】特開2014-152647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 7/00
F01L 1/356
F02F 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの軸線が平行となるようにして内燃機関本体に回転自在に設けられ、伝導部材を介してクランク軸の動力が伝達される吸気カム軸および排気カム軸と、
前記吸気カム軸の軸線方向の一端部に設けられ、前記クランク軸に対する前記吸気カム軸の相対回転位相を変更する吸気可変動弁装置と、
前記排気カム軸の軸線方向の一端部に設けられ、前記クランク軸に対する前記排気カム軸の相対回転位相を変更する排気可変動弁装置と、
前記内燃機関本体の一端部に取付けられ、前記伝導部材を収容するカバー部材と、
前記カバー部材に設けられ、前記内燃機関本体を車体に支持するマウント部材が取付けられるマウント取付部とを備えた内燃機関であって、
前記吸気カム軸の軸線と同軸上に設けられ、前記吸気可変動弁装置を作動する吸気ソレノイドと、前記排気カム軸の軸線と同軸上に設けられ、前記排気可変動弁装置を作動する排気ソレノイドとを有し、
前記カバー部材は、前記吸気カム軸の軸線方向で前記吸気可変動弁装置に対向する吸気側壁部と、前記排気カム軸の軸線方向で前記排気可変動弁装置に対向する排気側壁部とを有し、
前記吸気可変動弁装置および前記排気可変動弁装置は、前記カバー部材に対向する前記吸気可変動弁装置の端面および前記排気可変動弁装置の端面のいずれか一方が、前記吸気可変動弁装置の端面および前記排気可変動弁装置の端面のいずれか他方よりも前記吸気カム軸および
前記排気カム軸の軸線方向で前記内燃機関本体側に位置するように設置されており、
前記カバー部材は、前記吸気側壁部および前記排気側壁部のいずれか一方が、前記吸気側壁部および前記排気側壁部のいずれか他方よりも前記内燃機関本体側に窪んでおり、
前記マウント取付部は、少なくとも前記吸気側壁部と前記排気側壁部とを連絡する段差部に設けられており、
前記吸気側壁部は、前記吸気ソレノイドが挿入される吸気側開口と、前記吸気側開口を取り囲むようにして前記カバー部材から外方に突出し、前記吸気ソレノイドが固定される吸気側円環部とを有し、
前記排気側壁部は、前記排気ソレノイドが挿入される排気側開口と、前記排気側開口を取り囲むようにして前記カバー部材から外方に突出し、前記排気ソレノイドが固定される排気側円環部とを有し、
前記吸気側円環部と前記排気側円環部は、前記段差部に連結されていることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
前記吸気可変動弁装置および前記排気可変動弁装置のいずれか一方は、前記吸気可変動弁装置および前記排気可変動弁装置のいずれか他方に対して、前記吸気カム軸および
前記排気カム軸の軸線方向の寸法が短いことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記吸気可変動弁装置および前記排気可変動弁装置のそれぞれは、
前記クランク軸の動力が前記伝導部材を介して伝達されるハウジング部材と、ベーンロータとを有し、
前記ベーンロータは、
前記ハウジング部材に収容され、前記吸気カム軸と前記排気カム軸とにそれぞれ連結されるロータと、前記ロータから径方向外方に突出し、前記ハウジング部材の内部を複数の進角室と複数の遅角室とに区画する複数のベーンとを有し、前記進角室または前記遅角室に導入される作動油圧によって前記ハウジング部材に対して相対回転するように構成されており、
前記吸気可変動弁装置および前記排気可変動弁装置のいずれか一方に設けられた前記ベーンの枚数は、前記吸気可変動弁装置および前記排気可変動弁装置のいずれか他方に設けられた前記ベーンの枚数よりも多いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記排気可変動弁装置は、前記排気可変動弁装置の端面が前記吸気可変動弁装置の端面よりも前記吸気カム軸および前記排気カム軸の軸線方向で前記内燃機関本体側に位置するように設置されており、
前記カバー部材は、前記吸気側壁部に対し、前記排気側壁部が前記内燃機関本体側に窪んでいることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の内燃機関。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記カバー部材を前記内燃機関本体に締結する締結部を有し、
前記締結部は、前記段差部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されたエンジンとして、可変バルブタイミング機構付エンジンが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この可変バルブタイミング機構付エンジンは、吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトの軸線方向の一端部に吸気側アクチュエータおよび排気側アクチュエータが取付けられている。
【0004】
吸気側アクチュエータおよび排気側アクチュエータは、油圧制御弁から供給される作動油によって作動され、クランクシャフトに対する吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトの回転位相を変更している。
【0005】
吸気側アクチュエータおよび排気側アクチュエータは、カバー部材によって覆われている。カバー部材の上部にはマウント取付部が設けられており、マウント取付部は、エンジンマウントを介して車体に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の可変バルブタイミング機構付エンジンにあっては、カバー部材に対向する吸気側アクチュエータの一端面と排気側アクチュエータの一端面が同一平面上に位置している。
【0008】
これに加えて、吸気側アクチュエータの一端面と排気側アクチュエータの一端面に対向するカバー部材の壁面が平坦面となっており、平坦面にマウント取付部が設けられている。
【0009】
このため、マウント取付部の設置部位におけるカバー部材の面剛性が低下し、エンジンの振動によってマウント取付部が振動し易くなり、内燃機関の支持剛性が低下するおそれがある。したがって、内燃機関の支持剛性を高くするために未だ改善の余地がある。
【0010】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、マウント取付部の設置部位におけるカバー部材の面剛性を向上させ、内燃機関の振動によってマウント取付部が振動することを抑制でき、内燃機関の支持剛性を高くできる内燃機関を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、互いの軸線が平行となるようにして内燃機関本体に回転自在に設けられ、伝導部材を介してクランク軸の動力が伝達される吸気カム軸および排気カム軸と、前記吸気カム軸の軸線方向の一端部に設けられ、前記クランク軸に対する前記吸気カム軸の相対回転位相を変更する吸気可変動弁装置と、前記排気カム軸の軸線方向の一端部に設けられ、前記クランク軸に対する前記排気カム軸の相対回転位相を変更する排気可変動弁装置と、前記内燃機関本体の一端部に取付けられ、前記伝導部材を収容するカバー部材と、前記カバー部材に設けられ、前記内燃機関本体を車体に支持するマウント部材が取付けられるマウント取付部とを備えた内燃機関であって、前記吸気カム軸の軸線と同軸上に設けられ、前記吸気可変動弁装置を作動する吸気ソレノイドと、前記排気カム軸の軸線と同軸上に設けられ、前記排気可変動弁装置を作動する排気ソレノイドとを有し、前記カバー部材は、前記吸気カム軸の軸線方向で前記吸気可変動弁装置に対向する吸気側壁部と、前記排気カム軸の軸線方向で前記排気可変動弁装置に対向する排気側壁部とを有し、前記吸気可変動弁装置および前記排気可変動弁装置は、前記カバー部材に対向する前記吸気可変動弁装置の端面および前記排気可変動弁装置の端面のいずれか一方が、前記吸気可変動弁装置の端面および前記排気可変動弁装置の端面のいずれか他方よりも前記吸気カム軸および前記排気カム軸の軸線方向で前記内燃機関本体側に位置するように設置されており、前記カバー部材は、前記吸気側壁部および前記排気側壁部のいずれか一方が、前記吸気側壁部および前記排気側壁部のいずれか他方よりも前記内燃機関本体側に窪んでおり、前記マウント取付部は、少なくとも前記吸気側壁部と前記排気側壁部とを連絡する段差部に設けられており、前記吸気側壁部は、前記吸気ソレノイドが挿入される吸気側開口と、前記吸気側開口を取り囲むようにして前記カバー部材から外方に突出し、前記吸気ソレノイドが固定される吸気側円環部とを有し、前記排気側壁部は、前記排気ソレノイドが挿入される排気側開口と、前記排気側開口を取り囲むようにして前記カバー部材から外方に突出し、前記排気ソレノイドが固定される排気側円環部とを有し、前記吸気側円環部と前記排気側円環部は、前記段差部に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このように上記の本発明によれば、マウント取付部の設置部位におけるカバー部材の面剛性を向上させ、内燃機関の振動によってマウント取付部が振動することを抑制でき、内燃機関の支持剛性を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る内燃機関の右側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係る内燃機関の右側面図であり、吸気ソレノイドと排気ソレノイドを取り外した内燃機関の上部の右側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る内燃機関の上面図であり、シリンダヘッドカバーの取り外した状態の内燃機関の右側部分の上面図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明の一実施例に係る内燃機関の吸気可変動弁装置の構成図であり、
図5(b)は、本発明の一実施例に係る内燃機関の排気可変動弁装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態に係る内燃機関は、互いの軸線が平行となるようにして内燃機関本体に回転自在に設けられ、伝導部材を介してクランク軸の動力が伝達される吸気カム軸および排気カム軸と、吸気カム軸の軸線方向の一端部に設けられ、クランク軸に対する吸気カム軸の相対回転位相を変更する吸気可変動弁装置と、排気カム軸の軸線方向の一端部に設けられ、クランク軸に対する排気カム軸の相対回転位相を変更する排気可変動弁装置と、内燃機関本体の一端部に取付けられ、伝導部材を収容するカバー部材と、カバー部材に設けられ、内燃機関本体を車体に支持するマウント部材が取付けられるマウント取付部とを備えた内燃機関であって、カバー部材は、吸気カム軸の軸線方向で吸気可変動弁装置に対向する吸気側壁部と、排気カム軸の軸線方向で排気可変動弁装置に対向する排気側壁部とを有し、吸気可変動弁装置および排気可変動弁装置は、カバー部材に対向する吸気可変動弁装置の端面および排気可変動弁装置の端面のいずれか一方が、吸気可変動弁装置の端面および排気可変動弁装置の端面のいずれか他方よりも吸気カム軸および排気カム軸の軸線方向で内燃機関本体側に位置するように設置されており、カバー部材は、吸気側壁部および排気側壁部のいずれか一方が、吸気側壁部および排気側壁部のいずれか他方よりも内燃機関本体側に窪んでおり、マウント取付部は、少なくとも吸気側壁部と排気側壁部とを連絡する段差部に設けられている。
【0015】
これにより、本発明の一実施の形態に係る内燃機関は、マウント取付部の設置部位におけるカバー部材の面剛性を向上させ、内燃機関の振動によってマウント取付部が振動することを抑制でき、内燃機関の支持剛性を高くできる。
【実施例】
【0016】
以下、本発明に係る内燃機関の実施例について、図面を用いて説明する。
図1から
図5は、本発明に係る一実施例の内燃機関を示す図である。
図1から
図5において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態の内燃機関を基準とし、車両の前後方向を前後方向、車両の左右方向(車幅方向)を左右方向、車両の上下方向(車両の高さ方向)を上下方向とする。
【0017】
まず、構成を説明する。
図1において、車両に搭載されたエンジン1は、エンジン本体2を備えている。
図4に示すように、エンジン本体2は、シリンダブロック3およびシリンダヘッド4を有する。シリンダヘッド4は、シリンダブロック3の上部に取付けられている。
【0018】
シリンダヘッド4の上部にはシリンダヘッドカバー5が取付けられており、シリンダブロック3の下部にはオイルを貯留するオイルパン6が取付けられている(
図1参照)。本実施例のエンジン1は、内燃機関を構成し、エンジン本体2は、内燃機関本体を構成する。
【0019】
シリンダブロック3には図示しない複数の気筒が設けられており、気筒は、左右方向である車両の幅方向(以下、車幅方向という)に並んで設置されている。
【0020】
気筒にはそれぞれ図示しないピストンが収容されており、ピストンは、図示しないコネクティングロッドを介してクランク軸3S(
図1参照)に連結されている。ピストンは、気筒内で往復運動することにより、コネクティングロッドを介してクランク軸を回転させる。シリンダヘッド4には図示しない複数の吸気ポートと複数の排気ポートが形成されている。
【0021】
吸気ポートは、それぞれ気筒に連通しており、吸入空気を気筒に導入する。排気マニホールドは、排気ポートを通して複数の気筒に連通しており、複数の気筒から排出された排気ガスを集合して排気口から図示しない触媒コンバータに排出する。
【0022】
図3に示すように、シリンダヘッド4には吸気カム軸11と排気カム軸12が設置されている。吸気カム軸11と排気カム軸12は、ベアリングキャップ13によってシリンダヘッド4に回転自在に支持されている。
【0023】
吸気カム軸11と排気カム軸12は、軸線11a、12aが車幅方向に平行に延びるように前後方向に並んで設置されている。
【0024】
吸気カム軸11は、複数の吸気カム11Aを備えており(図示1つ)、吸気カム11Aは、吸気カム軸11の軸線11aの方向に並んで設置されている。以下、吸気カム軸11の軸線11aの方向を軸線方向という。
【0025】
吸気カム11Aは、1つの気筒に対して、例えば2つ設けられている。吸気ポートには図示しない吸気バルブが設けられており、吸気カム11Aは、吸気バルブを操作して吸気ポートを開閉し、気筒と吸気ポートを連通または遮断する。
【0026】
排気カム軸12は、複数の排気カム12Aを備えており(図示1つ)、排気カム12Aは、排気カム軸12の軸線12aの方向に並んで設置されている。以下、排気カム軸12の軸線12aの方向を軸線方向という。
【0027】
また、吸気カム軸11と排気カム軸12の軸線方向は平行であり、説明の便宜上、吸気カム軸11と排気カム軸12の軸線方向を吸気カム軸11の軸線方向という場合がある。
【0028】
排気カム12Aは、1つの気筒に対して、例えば2つ設けられている。排気ポートには図示しない排気バルブが設けられており、排気カム12Aは、排気バルブを操作して排気ポートを開閉し、気筒と排気ポートを連通または遮断する。
【0029】
吸気カム軸11の軸線方向の右端部(一端部)には吸気可変動弁装置15が取付けられている。吸気可変動弁装置15は、吸気側ハウジング部材23を有し、吸気側ハウジング部材23の外周部には吸気スプロケット23Sが設けられている。
【0030】
排気カム軸12の軸線方向の右端部(一端部)には排気可変動弁装置16が取付けられてている。排気可変動弁装置16は、排気側ハウジング部材25を有し、排気側ハウジング部材25の外周部には排気スプロケット25Sが設けられている。
【0031】
図1に示すように、クランク軸3Sの右端部にはクランクスプロケット3Aが設けられている。クランクスプロケット3Aと吸気スプロケット23Sと排気スプロケット25Sとにはタイミングチェーン19が巻き掛けられている。本実施例のタイミングチェーン19は、伝導部材を構成する。
【0032】
クランク軸3Sの動力は、タイミングチェーン19を介して吸気カム軸11と排気カム軸12に伝達される。これにより、吸気カム11Aが回転して吸気カム11Aによって吸気バルブの開閉が行われ、排気カム12Aが回転して排気カム12Aによって排気バルブの開閉が行われる。
【0033】
吸気可変動弁装置15は、クランク軸3Sに対する吸気カム軸11の相対回転位相を変更し、排気可変動弁装置16は、クランク軸3Sに対する排気カム軸12の相対回転位相を変更する。
【0034】
シリンダブロック3の右端部とシリンダヘッド4の右端部にはチェーンカバー20が取付けられている。具体的には、チェーンカバー20の外周縁にはフランジ部20Fが形成されており、チェーンカバー20は、フランジ部20Fが複数のボルト33Aによってシリンダブロック3の右端部とシリンダヘッド4の右端部に締結されている。
【0035】
チェーンカバー20は、タイミングチェーン19を収容している(
図1参照)。すなわち、タイミングチェーン19は、シリンダブロック3およびシリンダヘッド4とチェーンカバー20とによって囲まれる空間部30(
図4参照)に設置されている。本実施例のチェーンカバー20は、カバー部材を構成する。
【0036】
図3、
図4に示すように、チェーンカバー20の右側面20rの上部にはマウント取付部21が設けられている。マウント取付部21は、チェーンカバー20の右側面20rから右側に膨出している。
【0037】
図4に示すように、エンジン1の右方には右サイドメンバ7が設けられており、右サイドメンバ7は、車両の前後方向に延びている。マウント取付部21にはマウント部材22が設けられている。
【0038】
マウント部材22は、マウントブラケット22Aを備えており、マウントブラケット22Aの左端部は、図示しないボルトによってマウント取付部21に固定されている。
【0039】
マウント部材22は、振動吸収部材22Bを備えており、振動吸収部材22Bは、右サイドメンバ7に取付けられている。マウントブラケット22Aの右端部は、振動吸収部材22Bに取付けられており、マウント取付部21は、マウント部材22を介して右サイドメンバ7に弾性的に支持されている。
【0040】
これにより、エンジン1の振動をマウント部材22によって吸収でき、エンジン1から右サイドメンバ7に伝達される振動を低減できる。変速機は、図示しないマウント部材によって図示しない左サイドメンバに弾性的に支持されている。本実施例の右サイドメンバ7は、車体を構成する。
【0041】
図4に示すように、チェーンカバー20には膨出部20Eが設けられている。膨出部20Eは、マウント取付部21の上方において、チェーンカバー20の右側面20rよりも左方に膨出しており、吸気可変動弁装置15の前方と排気可変動弁装置16の後方とを覆っている。
【0042】
図3に示すように、排気カム軸12の軸線方向における排気可変動弁装置16の寸法は、吸気カム軸11の軸線方向における吸気可変動弁装置15の寸法よりも短く形成されている。
【0043】
図5(a)に示すように、吸気可変動弁装置15は吸気側ハウジング部材23を有し、吸気側ハウジング部材23にはタイミングチェーン19を介してクランク軸3Sの動力が伝達される。
【0044】
吸気側ハウジング部材23には吸気側ベーンロータ24が収容されており、吸気側ベーンロータ24は、ロータ24Aと3枚のベーン24Bとを有する。本実施例の吸気側ハウジング部材23はハウジング部材を構成し、吸気側ベーンロータ24はベーンロータを構成する。
【0045】
ロータ24Aは、吸気カム軸11の右端部に連結されており、吸気カム軸11と一体で回転する。ベーン24Bは、ロータ24Aから径方向外方に突出しており、吸気側ハウジング部材23の内部を複数の進角室23Aと複数の遅角室23Bとに区画している。
【0046】
ロータ24Aには複数の進角側オイル通路24aと遅角側オイル通路24bが形成されている。
【0047】
エンジン1には図示しないオイルポンプが設けられており、オイルポンプから供給されるオイルは、後述する吸気ソレノイド31によって進角側オイル通路24aと遅角側オイル通路24bのいずれか一方に供給されるように供給経路が切り替えられる。
【0048】
吸気ソレノイド31によって供給経路が進角側オイル通路24aに切り替えられると、進角側オイル通路24aから進角室23Aにオイルが供給される。
【0049】
進角室23Aにオイルが導入されると、吸気側ハウジング部材23に対して吸気側ベーンロータ24が相対回転することにより、クランク軸3Sに対する吸気カム軸11の相対回転位相が進角側に変更され、排気バルブの開閉タイミングが進角側に変更される。
【0050】
吸気ソレノイド31によって供給経路が遅角側オイル通路24bに切り替えられると、遅角側オイル通路24bから遅角室23Bにオイルが供給される。
【0051】
遅角室23Bにオイルが導入されると、クランク軸3Sに対する吸気カム軸11の相対回転位相が遅角側に変更され、排気バルブの開閉タイミングが遅角側に変更される。
【0052】
図5(b)に示すように、排気可変動弁装置16は、排気側ハウジング部材25を有し、排気側ハウジング部材25にはタイミングチェーン19を介してクランク軸3Sの動力が伝達される。
【0053】
図3に示すように、排気カム軸12の軸線方向における排気側ハウジング部材25の寸法は、吸気カム軸11の軸線方向における吸気側ハウジング部材23の寸法よりも短く形成されている。
【0054】
具体的には、排気カム軸12の軸線方向における排気側ハウジング部材25の長さは、吸気カム軸11の軸線方向における吸気側ハウジング部材23の半分程度の長さに形成されている。
【0055】
図5(b)に示すように、排気側ハウジング部材25には排気側ベーンロータ26が収容されており、排気側ベーンロータ26は、ロータ26Aと4枚のベーン26Bとを有する。本実施例の排気側ハウジング部材25はハウジング部材を構成し、排気側ベーンロータ26はベーンロータを構成する。
【0056】
ロータ26Aは、排気カム軸12の右端部に連結されており、排気カム軸12と一体で回転する。ベーン26Bは、ロータ26Aから径方向外方に突出しており、排気側ハウジング部材25の内部を複数の進角室25Aと複数の遅角室25Bとに区画している。
【0057】
ロータ26Aには複数の進角側オイル通路26aと遅角側オイル通路26bが形成されている。
【0058】
オイルポンプから供給されるオイルは、後述する排気ソレノイド32によって進角側オイル通路26aと遅角側オイル通路26bのいずれか一方に供給されるように供給経路が切り替えられる。
【0059】
排気ソレノイド32によって供給経路が進角側オイル通路26aに切り替えられると、進角側オイル通路26aから進角室25Aにオイルが供給される。
【0060】
進角室25Aにオイルが導入されると、排気側ハウジング部材25に対して排気側ベーンロータ26が相対回転することにより、クランク軸3Sに対する排気カム軸12の相対回転位相が進角側に変更され、排気バルブの開閉タイミングが進角側に変更される。
【0061】
排気ソレノイド32によって供給経路が遅角側オイル通路26bに切り替えられると、遅角側オイル通路26bから遅角室25Bにオイルが供給される。
【0062】
遅角室25Bにオイルが導入されると、クランク軸3Sに対する排気カム軸12の相対回転位相が遅角側に変更され、排気バルブの開閉タイミングが遅角側に変更される。
【0063】
排気可変動弁装置16のベーン24Bの作動角α1は、吸気可変動弁装置15のベーン26Bの作動角α2よりも小さく構成されている。すなわち、吸気側ハウジング部材23に対する吸気側ベーンロータ24の相対回転角度の作動範囲は、排気側ハウジング部材25に対する排気側ベーンロータ26の相対回転角度の作動範囲よりも大きい。
【0064】
図3に示すように、吸気可変動弁装置15および排気可変動弁装置16は、排気可変動弁装置16の右端面が吸気可変動弁装置15の右端面よりも吸気カム軸11の軸線方向でエンジン本体2側に位置するように設置されている。
【0065】
具体的には、吸気可変動弁装置15および排気可変動弁装置16は、排気側ハウジング部材25の右端面25rが吸気側ハウジング部材23の右端面23rよりも吸気カム軸11の軸線方向でエンジン本体2側に位置するように設置されている。
【0066】
本実施例の吸気側ハウジング部材23の右端面23rは、吸気可変動弁装置の端面を構成し、排気側ハウジング部材25の右端面25rは、排気可変動弁装置の端面を構成する。
【0067】
図3に示すように、チェーンカバー20は、吸気カム軸11の軸線方向で吸気可変動弁装置15に対向する吸気側壁部20Aと、排気カム軸12の軸線方向で排気可変動弁装置16に対向する排気側壁部20Bとを有する。
【0068】
排気側壁部20Bは、吸気側壁部20Aに対してエンジン本体2側に窪んでいる。すなわち、排気側壁部20Bは、吸気側壁部20Aに対してエンジン本体2側に近づくように窪んでおり、吸気側壁部20Aは、排気側壁部20Bに対してエンジン本体2から離れるように膨出している。
【0069】
吸気側壁部20Aと排気側壁部20Bは、吸気カム軸11の軸線方向と直交する方向(前後方向)において段差部20Cによって連絡されている。
図2において、段差部20Cの前後方向の範囲を矢印20Cで示す。
【0070】
図2に示すように、マウント取付部21は、吸気側壁部20Aと排気側壁部20Bと段差部20Cとに設けられている。具体的には、マウント取付部21は、吸気側壁部20A、排気側壁部20Bおよび段差部20Cから右方に膨出している。
【0071】
図1、
図3に示すように、チェーンカバー20には吸気ソレノイド31と排気ソレノイド32が設けられている。
【0072】
図2に示すように、吸気側壁部20Aは、吸気ソレノイド31が挿入される吸気側開口20aと、吸気側開口20aを取り囲むようにしてチェーンカバー20から右方(外方)に突出し、図示しないボルトによって吸気ソレノイド31が固定される吸気側円環部20bとを有する。
【0073】
排気側壁部20Bは、排気ソレノイド32が挿入される排気側開口20cと、排気側開口20cを取り囲むようにしてチェーンカバー20から右方(外方)に突出し、ボルト33B(
図1参照)によって排気ソレノイド32が固定される排気側円環部20dとを有する。
【0074】
図2に示すように、吸気側円環部20bの前端部と排気側円環部20dの後端部は、段差部20Cに連結されている。
【0075】
吸気ソレノイド31は、吸気カム軸11の軸線11aと同軸上に設けられており、吸気可変動弁装置15を作動する。
【0076】
具体的には、吸気ソレノイド31は、図示しないプランジャ部を有し、プランジャ部は、吸気側開口20aを通して吸気可変動弁装置15に接続されている。
【0077】
吸気ソレノイド31は、プランジャ部が車幅方向(左右方向)に移動することにより、オイルポンプからオイルが供給される供給経路を進角側オイル通路24aと遅角側オイル通路24bのいずれか一方に切替える。
【0078】
なお、吸気ソレノイド31が吸気カム軸11の軸線11aと同軸上に設けられているとは、吸気ソレノイド31が吸気カム軸11の軸線11a上に位置することである。
【0079】
排気ソレノイド32は、排気カム軸12の軸線12aと同軸上に設けられており、排気可変動弁装置16を作動する。具体的には、排気ソレノイド32は、図示しないプランジャ部を有し、プランジャ部は、排気側開口20cを通して排気可変動弁装置16に接続されている。
【0080】
排気ソレノイド32は、プランジャ部が車幅方向に移動することにより、オイルポンプからオイルが供給される供給経路を進角側オイル通路26aと遅角側オイル通路26bのいずれか一に切替える。
【0081】
なお、排気ソレノイド32が排気カム軸12の軸線12aと同軸上に設けられているとは、排気ソレノイド32が排気カム軸12の軸線12a上に位置することである。
【0082】
図1、
図2に示すようにチェーンカバー20の段差部20Cにはボス部20Dが設けられている。
【0083】
図4に示すように、ボス部20Dは膨出部20Eに設けられており、膨出部20Eの後端はシリンダヘッド4に当接している。シリンダヘッド4にはボルト締結溝4Aが設けられており、ボルト締結溝4Aは、車幅方向でボス部20Dに対向している。
【0084】
チェーンカバー20は、ボス部20Dにボルト33Cが挿通され、ボルト33Cがシリンダヘッド4のボルト締結溝4Aに締結されることにより、段差部20Cがシリンダヘッド4に締結される。本実施例のボス部20Dおよびボルト33Cは、本発明の締結部を構成する。
【0085】
次に、本実施例のエンジン1の効果を説明する。
本実施例のエンジン1は、軸線11a、12aが平行となるようにしてエンジン本体2に回転自在に設けられ、タイミングチェーン19を介してクランク軸3Sの動力が伝達される吸気カム軸11および排気カム軸12を有する。
【0086】
また、エンジン1は、吸気カム軸11の軸線方向の右端部(一端部)に設けられ、クランク軸3Sに対する吸気カム軸11の相対回転位相を変更する吸気可変動弁装置15と、排気カム軸12の軸線方向の右端部(一端部)に設けられ、クランク軸3Sに対する排気カム軸12の相対回転位相を変更する排気可変動弁装置16とを有する。
【0087】
また、エンジン1は、シリンダブロック3とシリンダヘッド4の右端部(一端部)に取付けられ、タイミングチェーン19を収容するチェーンカバー20と、チェーンカバー20に設けられ、エンジン本体2を右サイドメンバ7に支持するマウント部材22が取付けられるマウント取付部21とを有する。
【0088】
チェーンカバー20は、吸気カム軸11の軸線方向で吸気可変動弁装置15に対向する吸気側壁部20Aと、排気カム軸12の軸線方向で排気可変動弁装置16に対向する排気側壁部20Bとを有する。
【0089】
吸気可変動弁装置15および排気可変動弁装置16は、チェーンカバー20に対向する排気可変動弁装置16の右端面(排気側ハウジング部材25の右端面25r)が吸気可変動弁装置15の右端面(吸気側ハウジング部材23の右端面23r)よりも吸気カム軸11の軸線方向でエンジン本体2側に位置するように設置されている。
【0090】
これに加えて、チェーンカバー20は、排気側壁部20Bが吸気側壁部20Aに対してエンジン本体2側に窪んでおり、マウント取付部21は、吸気側壁部20Aと、排気側壁部20Bと、吸気側壁部20Aおよび排気側壁部20Bとを連絡する段差部20Cとに設けられている。
【0091】
このように、チェーンカバー20に段差部20Cを設けることにより、マウント取付部21の設置部位におけるチェーンカバー20の面剛性を高くでき、エンジン1の振動によってマウント取付部21が振動することを抑制できる。この結果、エンジン1の支持剛性を高くできる。
【0092】
また、本実施例のエンジン1によれば、排気可変動弁装置16は、吸気可変動弁装置15に対して、吸気カム軸11の軸線方向の寸法が短く形成されている。
【0093】
これにより、排気カム軸12の軸長を吸気カム軸11の軸長よりも短くでき、排気カム軸12のシリンダヘッド4に対する設置スペースを低減できる。
【0094】
なお、エンジン1において、吸気可変動弁装置15および排気可変動弁装置16は、チェーンカバー20に対向する吸気可変動弁装置15の右端面(吸気側ハウジング部材23の右端面23r)が排気可変動弁装置16の右端面(排気側ハウジング部材25の右端面25r)よりも吸気カム軸11の軸線方向でエンジン本体2側に位置するように設置されてもよい。
【0095】
また、チェーンカバー20は、吸気側壁部20Aが排気側壁部20Bに対してエンジン本体2側に窪んでいてもよい。
【0096】
さらに、吸気可変動弁装置15は、排気可変動弁装置16に対して、吸気カム軸11の軸線方向の寸法が短く形成されてもよい。
【0097】
また、本実施例のエンジン1によれば、吸気可変動弁装置15は、吸気側ハウジング部材23に収容された吸気側ベーンロータ24を備えている。
【0098】
吸気側ベーンロータ24は、吸気カム軸11に連結されるロータ24Aと、ロータ24Aから径方向外方に突出し、吸気側ハウジング部材23の内部を複数の進角室23Aと複数の遅角室23Bとに区画する複数のベーン24Bとを有し、進角室23Aまたは遅角室23Bに導入される作動油圧によって吸気側ハウジング部材23に対して相対回転する。
【0099】
また、排気可変動弁装置16は、排気側ハウジング部材25に収容された排気側ベーンロータ26を備えている。
【0100】
排気側ベーンロータ26は、排気カム軸12に連結されるロータ26Aと、ロータ26Aから径方向外方に突出し、排気側ハウジング部材25の内部を複数の進角室25Aと複数の遅角室25Bとに区画する複数のベーン26Bを有し、進角室25Aまたは遅角室25Bに導入される作動油圧によって排気側ハウジング部材25に対して相対回転する。
【0101】
そして、吸気可変動弁装置15に設けられたベーン24Bの枚数に対して、排気可変動弁装置16に設けられたベーン26Bの枚数が多い。
【0102】
これにより、排気可変動弁装置16の軸長を短くした場合に、ベーン26Bの面積が減少する代わりにベーン26Bの数を増大させることにより、排気バルブの開閉タイミングの応答性を維持できる。
【0103】
具体的には、可変動弁装置の理論駆動トルクは、以下の式(1)によって求められる。ここで、理論駆動トルクは、吸排気バルブからトルクを受けたときにベーンが耐え得るトルクのことである。
【0104】
理論駆動トルク(Nmm) =ベーンに作用する油圧×ベーンの枚数×ベーンの加圧面積......(1)
【0105】
上記式(1)により、吸気可変動弁装置15と排気可変動弁装置16において同じ駆動トルクを確保する場合、排気可変動弁装置16のベーン26Bの枚数が増えた分だけ、ベーン26Bの加圧面積を小さくできるので、排気可変動弁装置16の軸方向の寸法を短くしても、排気バルブの開閉タイミングの応答性を維持できる。
【0106】
なお、吸気可変動弁装置15と排気可変動弁装置16のベーン24B、26Bの枚数は、それぞれ3枚および4枚に限定されるものではない。
【0107】
また、本実施例のエンジン1によれば、吸気可変動弁装置15および排気可変動弁装置16は、チェーンカバー20に対向する排気可変動弁装置16の右端面が吸気可変動弁装置15の右端面よりも吸気カム軸11の軸線方向でエンジン本体2側に位置するように設置されている。
【0108】
これに加えて、チェーンカバー20は、吸気側壁部20Aに対して排気側壁部20Bがエンジン本体2側に窪んでいる。
【0109】
これにより、排気可変動弁装置16の軸長を短くするために、排気可変動弁装置16のベーン26Bの枚数を4枚にした場合には、ベーン26Bの作動角α1が吸気可変動弁装置15のベーン24Bの作動角α2よりも小さくなる(
図5参照)。
【0110】
しかしながら、排気可変動弁装置16のベーン26Bの作動角α1を吸気可変動弁装置15のベーン24Bの作動角α2よりも小さくしても、排気側に設けられる排気可変動弁装置16は、吸気可変動弁装置15に比べてエンジン1の運転性に与える影響が少なくて済むので、排気可変動弁装置16の軸長を確実に短くできる。
【0111】
なお、排気可変動弁装置16の軸長を吸気可変動弁装置15の軸長よりも短くできるので、吸気カム軸11と排気カム軸12の軸長を同じにしてもよい。この場合に、排気可変動弁装置16を含んだ排気カム軸12の軸長を、吸気可変動弁装置15を含んだ吸気カム軸11の軸長よりも短くできる。
【0112】
また、本実施例のエンジン1によれば、吸気カム軸11の軸線11aと同軸上に設けられ、吸気可変動弁装置15を作動する吸気ソレノイド31と、排気カム軸12の軸線12aと同軸上に設けられ、排気可変動弁装置16を作動する排気ソレノイド32とを有する。
【0113】
吸気側壁部20Aは、吸気ソレノイド31が挿入される吸気側開口20aと、吸気側開口20aを取り囲むようにしてチェーンカバー20から右方に突出し、吸気ソレノイド31が固定される吸気側円環部20bとを有する。
【0114】
排気側壁部20Bは、排気ソレノイド32が挿入される排気側開口20cと、排気側開口20cを取り囲むようにしてチェーンカバー20から右方に突出し、排気ソレノイド32が固定される排気側円環部20dとを有する。
【0115】
これに加えて、吸気側円環部20bと排気側円環部20dは、段差部20Cに連結されている。
【0116】
これにより、剛性の高い吸気側円環部20bと排気側円環部20dによって段差部20Cの剛性をより一層高くでき、マウント取付部21の設置部位におけるチェーンカバー20の面剛性をより効果的に高くできる。
【0117】
このため、エンジン1の振動によってマウント取付部21が振動することをより効果的に抑制でき、エンジン1の支持剛性をより一層高くできる。
【0118】
また、本実施例のエンジン1によれば、チェーンカバー20は、チェーンカバー20をシリンダヘッド4に締結するボス部20Dおよびボルト33Cを有し、ボス部20Dおよびボルト33Cが段差部20Cに設けられている。
【0119】
これにより、段差部20Cをボルト33Cによってシリンダヘッド4に締結することにより、段差部20Cの剛性をより一層高くできる。
【0120】
このため、マウント取付部21の設置部位におけるチェーンカバー20の面剛性をより効果的に高くでき、エンジン1の振動によってマウント取付部21が振動することをより効果的に抑制できる。この結果、エンジン1の支持剛性をより一層高くできる。
【0121】
なお、本実施例のマウント取付部21は、吸気側壁部20Aと段差部20Cに設けられてもよく、排気側壁部20Bと段差部20Cに設けられてもよく、段差部20Cのみに設けられていてもよい。
【0122】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0123】
1...エンジン(内燃機関)、2...エンジン本体(内燃機関本体)、3S...クランク軸、7...右サイドメンバ(車体)、11...吸気カム軸、11a...軸線(吸気カム軸の軸線)、12...排気カム軸、12a...軸線(排気カム軸の軸線)、15...吸気可変動弁装置、16...排気可変動弁装置、19...タイミングチェーン(伝導部材)、20...チェーンカバー(カバー部材)、20A...吸気側壁部、20a...吸気側開口、20B...排気側壁部、20b...吸気側円環部、20C...段差部、20c...排気側開口、20D...ボス部(締結部)、20d...排気側円環部、21...マウント取付部、22...マウント部材、23...吸気側ハウジング部材(ハウジング部材)、23A,25A...進角室、23B,25B...遅角室、23r...右端面(吸気可変動弁装置の端面)、24...吸気側ベーンロータ(ベーンロータ)、24A...ロータ、24B...ベーン、25...排気側ハウジング部材(ハウジング部材)、25r...右端面(排気可変動弁装置の端面)、26...排気側ベーンロータ(ベーンロータ)、26A...ロータ、26B...ベーン、31...吸気ソレノイド、32...排気ソレノイド、33C...ボルト(締結部)