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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】脇見判定装置および脇見判定方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240730BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20240730BHJP
【FI】
G08G1/16 F
B60W40/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020212966
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022099160
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 康利
(72)【発明者】
【氏名】林 啓太
(72)【発明者】
【氏名】谷山 紘史
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-156173(JP,A)
【文献】国際公開第2016/059724(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/149220(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
B60R 21/00 - 21/13
B60R 21/34 - 21/38
B60K 28/00 - 28/16
G08B 19/00 - 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者および前記運転者以外の搭乗者の顔または視線の向きを検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記運転者が前記車両の進行方向以外を第1期間以上向いているときに脇見を行っていると判定し、前記運転者以外の搭乗者が前記運転者と同一方向を向いている場合は、前記運転者が前記車両の進行方向以外を前記第1期間より短い第2期間以上向いているときに脇見を行っていると判定する判定部と、
前記判定部が脇見を行っていると判定した場合、前記運転者に警告を行う警告制御部と、
を備える、脇見判定装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記運転者以外の搭乗者の着座位置をさらに検出し、
前記判定部は、前記車両の前部座席の搭乗者が前記運転者と同一方向を向いている場合は、前記運転者が前記車両の進行方向以外を前記第1期間より短い第2期間以上向いているときに脇見を行っていると判定する、
請求項1に記載の脇見判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記運転者と同一方向を向いている搭乗者の人数が多いほど、前記第2期間を短く設定する、
請求項1または2に記載の脇見判定装置。
【請求項4】
前記検出部は、車両の運転者および前記運転者以外の搭乗者が発した声をさらに検出し、
前記判定部は、前記運転者以外の搭乗者が前記運転者と同一方向を向いているときに、声が発せられている場合は、前記第2期間を短く設定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の脇見判定装置。
【請求項5】
車両の運転者および前記運転者以外の搭乗者の顔または視線の向きを検出するステップと、
前記運転者が前記車両の進行方向以外を第1期間以上向いているときに脇見を行っていると判定し、前記運転者以外の搭乗者が前記運転者と同一方向を向いている場合は、前記運転者が前記車両の進行方向以外を前記第1期間より短い第2期間以上向いているときに脇見を行っていると判定するステップと、
脇見を行っていると判定された場合、前記運転者に警告を行うステップとを、
脇見判定装置が実行する、脇見判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脇見判定装置および脇見判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者を撮影し、顔や視線の向きから脇見を判定する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術は、車両の運転者が特定の車載部品の方向を基準時間以上向いている場合に脇見運転と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-24532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の運転者による脇見は、進行方向以外の方向に、特に目を引く対象物などが存在する場合、進行方向の確認が疎かになりやすい。一般的に、特許文献1に記載の装置などは、運転者が脇見を行っている場合、危険な状態が発生しない程度の時間で運転者に警告を行う。
【0005】
しかし、特に目を引く対象物に対しては、車両の運転者に加えて他の搭乗者も同様に、対象物を注視する傾向がある。車両の運転者に加えて他の搭乗者も対象物を注視することにより、運転者による車両の進行方向に対する確認がさらに疎かになる可能性が高くなる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両の運転者の脇見に対して適切に警告を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る脇見判定装置は、車両の運転者および前記運転者以外の搭乗者の顔または視線の向きを検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記運転者が前記車両の進行方向以外を第1期間以上向いているときに脇見を行っていると判定し、前記運転者以外の搭乗者が前記運転者と同一方向を向いている場合は、前記運転者が前記車両の進行方向以外を前記第1期間より短い第2期間以上向いているときに脇見を行っていると判定する判定部と、を備える。
【0008】
本発明に係る脇見判定装置が実行する脇見判定方法は、車両の運転者および前記運転者以外の搭乗者の顔または視線の向きを検出するステップと、前記運転者が前記車両の進行方向以外を第1期間以上向いているときに脇見を行っていると判定し、前記運転者以外の搭乗者が前記運転者と同一方向を向いている場合は、前記運転者が前記車両の進行方向以外を前記第1期間より短い第2期間以上向いているときに脇見を行っていると判定するステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両の運転者の脇見に対して適切に警告を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第一実施形態に係る脇見判定装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、検出範囲の一例を説明する概略図である。
図3図3は、搭乗者の顔または視線の向きを説明する概略図である。
図4図4は、第一実施形態に係る脇見判定装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、第二実施形態に係る脇見判定装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、第三実施形態に係る脇見判定装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、第四実施形態に係る脇見判定装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る脇見判定装置および脇見判定方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
[第一実施形態]
<警告装置>
図1は、第一実施形態に係る脇見判定装置20の構成例を示すブロック図である。警告装置10は、車両の運転者および運転者以外の搭乗者の顔または視線の向きに基づいて、脇見を判定して警告する。
【0013】
警告装置10は、撮像部11と、通知部12と、脇見判定装置20とを有する。警告装置10は、例えば、車両にあらかじめ設置されている安全運転支援機能を有する装置やナビゲーション装置、ドライブレコーダー等、または、インフォテインメントシステムの機能として実装されていてもよい。警告装置10は、可搬型で車両に持ち込まれた装置の機能として実装されていてもよい。
【0014】
撮像部11は、車両の車室内の音声を含む映像を撮影する。撮像部11は、例えば車内カメラである。撮像部11は、撮影した車室内の車内映像データである撮像データを脇見判定装置20の撮像データ取得部21へ出力する。
【0015】
撮像部11の車内カメラとしての機能について説明する。撮像部11は、車両の車室内を撮影するカメラである。撮像部11は、車両のすべての座席に着座している運転者を含む搭乗者の少なくとも顔部を撮影可能な位置に配置されている。撮像部11は、例えば、車両のルームミラー内部またはルームミラーの周辺に配置されている。撮像部11は、撮影範囲と撮影向きが固定またはほぼ固定である。撮像部11は、例えば、可視光カメラまたは近赤外線カメラで構成される。撮像部11は、例えば、可視光カメラと近赤外線カメラとの組み合わせで構成されてもよい。撮像部11は、エンジンが始動してから停止するまでの間、つまり車両が動作している間は、映像を常時撮影する。撮像データは、例えば毎秒30フレームの画像から構成される動画像である。
【0016】
通知部12は、車両の運転者に対して警告を通知する。通知部12は、スピーカおよび表示部の少なくともどちらかを含む。通知部12は、脇見判定装置20の警告制御部24からの制御信号に基づいて通知を出力するよう制御する。本実施形態では、通知部12は、脇見判定装置20の警告制御部24からの制御信号に基づいて、脇見運転を警告する通知を出力するよう制御する。
【0017】
通知部12のスピーカとしての機能について説明する。通知部12は、一例としては、警告装置10に固有の音声出力装置、又は、ナビゲーションシステムを含む他のシステムと共用した音声出力装置などである。通知部12は、脇見判定装置20の警告制御部24から出力された音声信号に基づいて、音声を出力する。本実施形態では、通知部12は、脇見判定装置20の警告制御部24からの音声信号に基づいて、脇見運転を警告する音声をスピーカから出力するよう制御する。
【0018】
通知部12の表示部としての機能について説明する。通知部12は、一例としては、警告装置10に固有の表示装置、または、ナビゲーションシステムを含む他のシステムと共用した表示装置などである。通知部12は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。本実施形態では、通知部12は、車両の運転者前方の、ダッシュボード、インストルメントパネル、センターコンソールなどに配置されている。通知部12が表示部である場合、脇見判定装置20の警告制御部24から出力された映像信号に基づいて、映像を表示する。本実施形態では、通知部12は、脇見判定装置20の警告制御部24からの映像信号に基づいて、脇見運転を警告する映像を表示部に表示させるよう制御する。
【0019】
<脇見判定装置>
脇見判定装置20は、車両の運転者の脇見を判定する。脇見判定装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置(制御装置)である。脇見判定装置20は、記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。脇見判定装置20には図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは脇見判定装置20におけるデータの一時記憶などに用いられる。脇見判定装置20は、本発明にかかるプログラムを動作させるコンピュータである。脇見判定装置20は、バス20Xに接続された、撮像データ取得部21と、検出部22と、判定部23と、警告制御部24とを有する。
【0020】
撮像データ取得部21は、撮像部11が撮影した撮像データを取得する。より詳しくは、撮像データ取得部21は、撮像部11が出力した車内映像データであり、車両の運転者および運転者以外の搭乗者の顔が撮影された撮像データを取得する。
【0021】
検出部22は、車両の運転者および運転者以外の搭乗者の顔または視線の向きを検出する。より詳しくは、検出部22は、撮像データ取得部21が取得した撮像データから人物を認識する。撮像データから人物を認識する方法は、公知の方法を使用可能であり、限定されない。検出される人物は、車両の運転者および運転者以外の搭乗者である。
【0022】
検出部22は、車両の運転者および運転者以外の搭乗者の顔または視線の向きを検出する。本実施形態では、検出部22は、車内映像データに画像処理を行って、運転者および運転者以外の搭乗者の顔部を認識して、顔または視線の向きを検出する。より詳しくは、検出部22は、例えば、車内映像データから運転者および運転者以外の搭乗者の眼を認識して、顔または視線の向きを示す情報を取得する。運転者および運転者以外の搭乗者の目の映像に基づく視線検出は、目の映像から検出した目頭と光彩の位置関係に基づく視線検出や、角膜反射と瞳孔の位置関係に基づく視線検出など任意の手法が適用可能である。
【0023】
図2を用いて、車内映像データ100から運転者および運転者以外の搭乗者を検出する方法について説明する。図2は、検出範囲の一例を説明する概略図であり、乗車定員5名の車両の車内映像データ100を一例として説明する。各座席に着座した人物の顔は、車内映像データ100の座標で定義される範囲内にそれぞれ撮影される。これにより、各座席に対応した、車内映像データ100の座標で定義される範囲から認識された人または顔が、当該座席の搭乗者である。本実施形態では、例えば、ステアリング位置が右側の車両の場合を示し車内映像データ100の範囲102から人または顔が認識された場合、右前部座席に着座した運転者である。例えば、車内映像データ100の範囲101、範囲103、範囲104、または、範囲105から人または顔が認識された場合、運転者以外の搭乗者である。このようにして、各座席においての搭乗者有無、搭乗者の顔や目の向きを検出可能である。
【0024】
図3は、搭乗者の顔または視線の向きを説明する概略図である。図3を用いて、各搭乗者の顔または目の向きを検出する方法について説明する。検出部22は、撮像部11の位置と各座席の位置とに基づいて、顔または目の向きを正面とするオフセット角が設定されている。図3は、撮像部11が車両のインナーミラー内部やインナーミラー付近に備えられている場合の、右前部座席(例えば運転席)に着座している搭乗者M(例えば運転者)の検出を示している。図3は、搭乗者Mの頭部を示している。搭乗者Mの正面方向は車両の前方であり、fで示す。搭乗者Mの頭部中心部となることが仮定された位置を中心に、オフセット角bが設定されている。検出部22が検出する搭乗者Mの顔または視線の向きは、実際に検出された方向からオフセット角bの補正が行われる。角度aは、搭乗者Mの顔または視線の向きが、車両の前方を向いている、言い換えると、脇見ではないと判定される範囲の例を示す。つまり、搭乗者Mの顔または視線の向きが、車両の直進時に角度a以外の向きである場合は、車両の前方以外を向いている、言い換えると、脇見をしていると判定する。角度aは、通常の運転者が、車両の直進時、つまり車両の走行時における右左折や後退以外のときに顔または視線を向ける範囲である。
【0025】
判定部23は、検出部22の検出結果に基づいて、運転者が車両の進行方向以外を第1期間t1以上向いているときに脇見を行っていると判定し、運転者に加えて運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いている場合は、運転者が車両の進行方向以外を第1期間t1より短い第2期間t2(t2<t1)以上向いているときに脇見を行っていると判定する。言い換えると、判定部23は、検出部22の検出結果に基づいて、運転者が車両の進行方向以外を向いているときは、運転者が脇見を行っていると判定するまでの期間を第1期間t1に設定する。また、運転者に加えて運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いているときは、運転者が脇見を行っていると判定するまでの期間を第1期間t1より短い第2期間t2(t2<t1)に設定する。例えば、第1期間t1は、3秒、第2期間t2は、2秒が設定される。
【0026】
運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いているとは、完全に角度が一致する場合に限らず、同一方向を含み所定角度の範囲内を同一方向として判定してもよい。例えば、運転者が角度aの方向を向いている場合、角度aを含む所定角度の範囲内を同一方向として判定する。
【0027】
運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を見ているタイミングは、運転者が進行方向以外を見ている期間と、運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を見ている期間との一部が重なっていればよい。
【0028】
運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いている場合は、向いている方向に、特に目を引く対象物などが存在する可能性が高く、運転者が対象物を注視してしまう場合などもあり、さらには、運転者以外の同乗者も車両の進行方向を確認する意識が低くなることから、運転者による車両の進行方向に対する確認がさらに疎かになる可能性が高くなる。そこで、運転者のみが車両の進行方向以外を向いている場合に比べて、早いタイミングで脇見と判定する。
【0029】
警告制御部24は、運転者に対する警告の出力を制御する。より詳しくは、警告制御部24は、判定部23が脇見を行っていると判定した場合、通知部12による表示または図示しない出力される音声を用いて、運転者の脇見を警告する。警告制御部24は、映像信号を出力して、通知部12に映像を表示するよう制御する。警告制御部24は、音声信号を出力して、通知部12から音声を出力するよう制御する。脇見に対する警告は、音声の出力による警告が適切であるが、音声に加えて映像の表示による警告を行ってもよい。
【0030】
<脇見判定装置における処理>
次に、図4を用いて、脇見判定装置20における処理の流れについて説明する。図4は、第一実施形態に係る脇見判定装置20における処理の流れを示すフローチャートである。警告装置10が起動されると、図4に示すフローチャートの処理が開始される。図4の処理の開始は、任意の条件で開始される。例えば、警告装置10を搭載している車両のエンジンが始動するなど車両が利用可能になった場合や、ユーザの操作によって警告装置10の動作が開始されたときなどである。また、ステップS101の処理は、車両が走行していることを条件として実行されてもよい。
【0031】
図4の処理の開始に伴い、脇見判定装置20は、搭乗者検出および顔または視線の向きの検出処理を開始する(ステップS101)。より詳しくは、脇見判定装置20は、撮像部11によって、車室内の運転者および運転者以外の搭乗者の撮影を開始させる。脇見判定装置20は、撮像データ取得部21によって、撮像部11が出力した撮像データを取得する。脇見判定装置20は、検出部22によって、撮像データ取得部21が取得した撮像データから、車室内の運転者および運転者以外の搭乗者を認識する。そして、脇見判定装置20は、検出部22によって、運転者および運転者以外の搭乗者の顔または視線の向きを検出する。脇見判定装置20は、ステップS102に進む。
【0032】
脇見判定装置20は、運転者が進行方向以外を向いているか否かを判定する(ステップS102)。より詳しくは、脇見判定装置20は、判定部23によって、検出部22の検出結果に基づいて、図2に示す車内映像データ100の範囲102から検出された運転者の顔または視線の向きが、車両の直進時に角度a以外の向きである場合は、進行方向以外を向いていると判定する。脇見判定装置20は、判定部23によって、検出部22の検出結果に基づいて、運転者が進行方向以外を向いていると判定する場合(ステップS102でYes)、ステップS103へ進む。脇見判定装置20は、判定部23によって、検出部22の検出結果に基づいて、運転者が進行方向以外を向いていないと判定する場合(ステップS102でNo)、ステップS109へ進む。
【0033】
運転者が進行方向以外を向いていると判定する場合(ステップS102でYes)、脇見判定装置20は、運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いているか否かを判定する(ステップS103)。より詳しくは、脇見判定装置20は、判定部23によって、検出部22の検出結果に基づいて、運転者以外の搭乗者が、言い換えると、図2に示す車内映像データ100の範囲102以外から検出された搭乗者が、同一方向を向いていると判定する。脇見判定装置20は、判定部23によって、検出部22の検出結果に基づいて、運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いていると判定する場合(ステップS103でYes)、ステップS104へ進む。脇見判定装置20は、判定部23によって、検出部22の検出結果に基づいて、運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いていないと判定する場合(ステップS103でNo)、ステップS105へ進む。
【0034】
運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いていると判定する場合(ステップS103でYes)、脇見判定装置20は、判定部23によって、運転者へ警告するまでの期間tを第2期間t2に設定する(ステップS104)。より詳しくは、脇見判定装置20は、判定部23によって、運転者が進行方向以外を向いたことが検出されてから第2期間t2が経過したときに警告が行われる期間を設定し、ステップS106へ進む。
【0035】
運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いていないと判定する場合(ステップS103でNo)、脇見判定装置20は、判定部23によって、運転者へ警告するまでの期間tを第1期間t1に設定する(ステップS105)。より詳しくは、脇見判定装置20は、判定部23によって、運転者が進行方向以外を向いたことが検出されてから第1期間t1が経過したときに警告が行われる期間を設定し、ステップS106へ進む。
【0036】
脇見判定装置20は、期間tが経過したか否かを判定する(ステップS106)。より詳しくは、脇見判定装置20は、判定部23によって、ステップS104またはステップS105で設定された期間tが経過したか否かを判定する。期間tが経過したと判定された場合(ステップS106でYes)、ステップS108へ進む。この場合は、運転者が進行方向以外を向いたことが検出されてから第2期間t2または第1期間t1が経過した場合である。期間tが経過したと判定されない場合、つまり期間tが経過していない場合(ステップS106でNo)、ステップS107へ進む。
【0037】
脇見判定装置20は、期間tが経過していない場合(ステップS106でNo)、運転者が進行方向以外をまだ向いているか否かを判定する(ステップS107)。より詳しくは、脇見判定装置20は、判定部23によって、運転者が進行方向以外を向いている状態が継続されているか否かを判定する。運転者が進行方向以外をまだ向いていると判定された場合(ステップS107でYes)、ステップS106へ進み、ステップS103の判定に基づく第2期間t2または第1期間t1が経過したか否かを判定する。運転者が進行方向以外を向いていないと判定された場合(ステップS107でNo)、ステップS109へ進む。
【0038】
脇見判定装置20は、運転者が脇見をしたと判定し、警告を行う(ステップS108)。より詳しくは、脇見判定装置20は、警告制御部24によって、運転者に脇見を警告する。例えば、脇見判定装置20は、警告制御部24によって、通知部12に音声信号を出力して、スピーカから警告を示す音声を出力させてもよい。例えば、脇見判定装置20は、警告制御部24によって、通知部12に映像信号を出力して、表示部に警告を示す映像を表示させてもよい。脇見判定装置20は、ステップS109へ進む。
【0039】
脇見判定装置20は、搭乗者検出および顔または視線の向きの検出処理を終了するか否かを判定する(ステップS109)。脇見判定装置20は、例えば、処理を終了する操作を検出した場合、または、車両が停止してエンジンがOFFされた場合などは、搭乗者検出および顔または視線の向きの検出処理を終了すると判定する。脇見判定装置20は、搭乗者検出および顔または視線の向きの検出処理を終了すると判定する場合(ステップS109でYes)、処理を終了する。脇見判定装置20は、搭乗者検出および顔または視線の向きの検出処理を終了すると判定しない場合(ステップS109でNo)、ステップS102の処理を再度実行する。
【0040】
上記で説明した、図4に示す処理は、車両に運転者と運転者以外の搭乗者が搭乗している場合の処理である。車内に運転者以外の搭乗者がいない場合、言い換えると、運転者が一人で搭乗している場合、運転者の顔または視線の向きが進行方向以外の方向を、第1期間t1継続して向いているとき、脇見と判定されて、警告が通知される。
【0041】
<効果>
上述したように、本実施形態では、運転者が車両の進行方向以外を第1期間t1以上向いているときに脇見を行っていると判定する。本実施形態は、運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いている場合は、運転者が車両の進行方向以外を第1期間t1より短い第2期間t2以上向いているときに脇見を行っていると判定する。本実施形態によれば、運転者および運転者以外の搭乗者の顔または視線の向きによって脇見を判定することができる。本実施形態では、運転者に加えて運転者以外の搭乗者が同一方向を向いている場合には、より早いタイミングで警告することができる。本実施形態によれば、車両の運転者の脇見に対して適切に警告を行うことができる。
【0042】
[第二実施形態]
図5を参照しながら、本実施形態に係る警告装置10について説明する。図5は、第二実施形態に係る脇見判定装置における処理の流れを示すフローチャートである。第二実施形態にかかる警告装置10の構成は第一実施形態の警告装置10と同一であり、処理が異なるため、構成の説明は省略する。
【0043】
検出部22は、運転者以外の搭乗者の着座位置をさらに検出する。本実施形態では、検出部22は、前部座席および後部座席に着座している運転者以外の搭乗者を区別して検出する。より詳しくは、検出部22は、図2に示すように、撮像部11の撮影範囲と撮影向きが固定またはほぼ固定であるので、前部座席および後部座席に着座している搭乗者を区別して検出可能である。図2に示す例では、前部座席の着座位置は、範囲101と範囲102とに対応し、後部座席の着座位置は、範囲103と範囲104と範囲105とに対応する。例えば、車内映像データ100の範囲101から人または顔が認識された場合、左前部座席の搭乗者である。例えば、車内映像データ100の範囲102から人または顔が認識された場合、右前部座席の搭乗者である。例えば、車内映像データ100の範囲103から人または顔が認識された場合、左後部座席の搭乗者である。例えば、車内映像データ100の範囲104から人または顔が認識された場合、中央後部座席の搭乗者である。例えば、車内映像データ100の範囲105から人または顔が認識された場合、右後部座席の搭乗者である。
【0044】
判定部23は、車両の前部座席の搭乗者が運転者と同一方向を向いている場合は、車両の後部座席の搭乗者が運転者と同一方向を向いている場合に比べて、第2期間を短く設定する。本実施形態では、判定部23は、図2に示す車内映像データ100の範囲101から検出された搭乗者が、範囲102から検出された運転者と同一方向を向いている場合は、範囲103、範囲104および範囲105から検出された搭乗者が運転者と同一方向を向いている場合に比べて、第2期間を短く設定する。
【0045】
前部座席の搭乗者は、運転者と同様の視界があるため、運転者と同様の対象物を視認できる。また、前部座席の搭乗者は、運転者とコミュニケーションがとりやすいため、前部座席の搭乗者の脇見は、運転者に影響を与えやすい。このため、前部座席の搭乗者が運転者と同一方向を向いている場合は、運転者による車両の進行方向に対する確認がさらに疎かになる可能性が高くなる。そこで、後部座席の搭乗者が運転者と同一方向を向いている場合に比べて、早いタイミングで脇見と判定する。
【0046】
次に、図5を用いて、脇見判定装置20における処理の流れについて説明する。図5に示すステップS111ないしステップS113、ステップS116、ステップS117、ステップS120、ステップS121の処理は、図4に示すステップS101ないしステップS103、ステップS105、ステップS104、ステップS108、ステップS109と同様の処理を行う。
【0047】
運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いていると判定する場合(ステップS113でYes)、脇見判定装置20は、運転者以外の前席搭乗者が運転者と同一方向を向いているか否かを判定する(ステップS114)。より詳しくは、脇見判定装置20は、判定部23によって、検出部22の検出結果に基づいて、図2に示す車内映像データ100の範囲101から検出された搭乗者が、範囲102から検出された運転者と同一方向を向いているか否かを判定する。脇見判定装置20は、判定部23によって、検出部22の検出結果に基づいて、運転者以外の前席搭乗者が運転者と同一方向を向いていると判定する場合(ステップS114でYes)、ステップS115へ進む。脇見判定装置20は、判定部23によって、検出部22の検出結果に基づいて、運転者以外の前席搭乗者が運転者と同一方向を向いていないと判定する場合(ステップS114でNo)、ステップS117へ進む。
【0048】
運転者以外の前席搭乗者が運転者と同一方向を向いていると判定する場合(ステップS114でYes)、脇見判定装置20は、判定部23によって、運転者へ警告するまでの期間tを第2期間t2より短い期間である第3期間t3(t3<t2)に設定する(ステップS115)。より詳しくは、脇見判定装置20は、判定部23によって、運転者が進行方向以外を向いたことが検出されてから第3期間t3が経過したときに警告が行われる期間を設定し)、ステップS118へ進む。第3期間t3は、第2期間を短く設定した値であり、例えば1秒が設定される。
【0049】
脇見判定装置20は、期間tが経過したか否かを判定する(ステップS118)。より詳しくは、脇見判定装置20は、判定部23によって、ステップS1115、ステップS116またはステップS117で設定された期間tが経過したか否かを判定する。期間tが経過したと判定された場合(ステップS118でYes)、ステップS120へ進む。この場合は、運転者が進行方向以外を向いたことが検出されてから第3期間t3または第2期間t2または第1期間t1が経過した場合である。期間tが経過したと判定されない場合、つまり期間tが経過していない場合(ステップS118でNo)、ステップS119へ進む。
【0050】
脇見判定装置20は、期間tが経過していない場合(ステップS118でNo)、運転者が進行方向以外をまだ向いているか否かを判定する(ステップS119)。より詳しくは、脇見判定装置20は、判定部23によって、運転者が進行方向以外を向いている状態が継続されているか否かを判定する。運転者が進行方向以外をまだ向いていると判定された場合(ステップS119でYes)、ステップS118へ進み、ステップS113またはステップS114の判定に基づく第3期間t3、第2期間t2または第1期間t1が経過したか否かを判定する。運転者が進行方向以外を向いていないと判定された場合(ステップS119でNo)、ステップS121へ進む。
【0051】
上述したように、本実施形態では、車両の前部座席の搭乗者が運転者と同一方向を向いている場合は、車両の後部座席の搭乗者が運転者と同一方向を向いている場合に比べて、第2期間より短い期間である第3期間を設定する。本実施形態によれば、前部座席の搭乗者が運転者と同一方向を向いている場合には、後部座席の搭乗者が運転者と同一方向を向いている場合に比べて、より早いタイミングで警告することができる。
【0052】
[第三実施形態]
図6を参照しながら、本実施形態に係る警告装置10について説明する。図6は、第三実施形態に係る脇見判定装置における処理の流れを示すフローチャートである。第三実施形態にかかる警告装置10の構成は第一実施形態の警告装置10と同一であり、処理が異なるため、構成の説明は省略する。
【0053】
判定部23は、運転者と同一方向を向いている搭乗者の人数が多いほど、第2期間を短く設定する。本実施形態では、判定部23は、運転者と同一方向を向いている搭乗者の人数が所定割合である場合、第2期間より短い期間である第3期間を設定する。所定割合は、例えば5割とする。つまり、運転者以外の搭乗者が2名である場合は、1名の搭乗者が運転者と同一方向を向いている場合に所定割合を満たすと判断できる。同様に、運転者以外の搭乗者が3名である場合は、2名の搭乗者が運転者と同一方向を向いている場合に所定割合を満たすと判断できる。
【0054】
運転者と同一方向を向いている搭乗者の人数が多いほど、車両の搭乗者における対象物への注目度が高いことが想定され、運転者による車両の進行方向に対する確認がさらに疎かになる可能性が高くなる。そこで、運転者と同一方向を向いている搭乗者の人数が多いほど、早いタイミングで脇見と判定する。
【0055】
次に、図6を用いて、脇見判定装置20における処理の流れについて説明する。図6に示すステップS131ないしステップS133、ステップS135ないしステップS141の処理は、図5に示すステップS111ないしステップS113、ステップS115ないしステップS121と同様の処理を行う。
【0056】
運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いていると判定する場合(ステップS133でYes)、脇見判定装置20は、運転者以外の搭乗者の所定割合以上が運転者と同一方向を向いているか否かを判定する(ステップS134)。より詳しくは、脇見判定装置20は、判定部23によって、検出部22の検出結果に基づいて、運転者以外の搭乗者の所定割合が運転者と同一方向を向いていると判定する場合(ステップS134でYes)、ステップS135へ進む。脇見判定装置20は、判定部23によって、検出部22の検出結果に基づいて、運転者以外の搭乗者の所定割合が運転者と同一方向を向いていないと判定する場合(ステップS134でNo)、ステップS137へ進む。
【0057】
上述したように、本実施形態では、運転者と同一方向を向いている搭乗者の人数が多いほど、第2期間より短い期間である第3期間を設定する。本実施形態によれば、運転者と同一方向を向いている搭乗者の人数が多いほど、より早いタイミングで警告することができる。
【0058】
[第四実施形態]
図7を参照しながら、本実施形態に係る警告装置10について説明する。図7は、第四実施形態に係る脇見判定装置における処理の流れを示すフローチャートである。第四実施形態にかかる警告装置10の構成は第一実施形態の警告装置10と同一であり、処理が異なるため、構成の説明は省略する。
【0059】
撮像部11は、さらに、車両の車室内の音声の音声データを収音するマイクロフォンとしての機能を有する。本実施形態では、撮像部11は、車内カメラおよびマイクロフォンを含む。撮像部11は、撮像した車室内の映像データおよび音声データを含む撮像データを脇見判定装置20の撮像データ取得部21へ出力する。
【0060】
撮像データ取得部21は、さらに撮像部11が出力した音声データを含む車内映像データを取得する。
【0061】
検出部22は、車両の運転者および運転者以外の搭乗者が発した声をさらに検出する。り詳しくは、検出部22は、撮像データ取得部21が取得した撮像データの音声データから声を認識する。音声データから声を認識する方法は、公知の方法を使用可能であり、限定されない。検出部22が検出する、車両の運転者および運転者以外の搭乗者が発した声は、単に声が発せられたことを検出してもよく、発話分析によって発話内容も含めて検出してもよい。例えば、「見て」「事故」などの発話である場合に、発声ありと判断してもよい。
【0062】
判定部23は、運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いているときに、声が発せられている場合は、第2期間より短い期間である第3期間を設定する。
【0063】
運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いているときに、声が発せられている場合は、運転者の注意が声に向けられ、注意が進行方向以外へそれる可能性が高くなる。このため、より早いタイミングで脇見を判定することが好ましい。
【0064】
声が発せられているタイミングは、運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を見ている期間と一部が重なっていればよい。
【0065】
次に、図7を用いて、脇見判定装置20における処理の流れについて説明する。図7に示すステップS151ないしステップS153、ステップS155ないしステップS161の処理は、図5に示すステップS111ないしステップS113、ステップS115ないしステップS121と同様の処理を行う。
【0066】
運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いていると判定する場合(ステップS153でYes)、脇見判定装置20は、搭乗者の発声があるか否かを判定する(ステップS154)。より詳しくは、脇見判定装置20は、判定部23によって、検出部22の検出結果に基づいて、搭乗者の発声があると判定する場合(ステップS154でYes)、ステップS155へ進む。脇見判定装置20は、判定部23によって、検出部22の検出結果に基づいて、搭乗者の発声がないと判定する場合(ステップS154でNo)、ステップS157へ進む。
【0067】
上述したように、本実施形態では、運転者以外の搭乗者が運転者と同一方向を向いているときに、声が発せられている場合は、第2期間より短い期間である第3期間を設定する。本実施形態によれば、運転者の注意が進行方向以外にそれる可能性が高い場合に、より早いタイミングで警告することができる。
【0068】
これまで本発明に係る警告装置10について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。
【0069】
図示した警告装置10の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0070】
警告装置10の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0071】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 警告装置
11 撮像部
12 通知部
20 脇見判定装置
21 撮像データ取得部
22 検出部
23 判定部
24 警告制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7