(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電力システムおよびサーバ
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20240730BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240730BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20240730BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240730BHJP
H02J 9/00 20060101ALI20240730BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J3/32
H02J3/46
H02J3/38 170
H02J3/38 130
H02J13/00 311R
H02J9/00 120
H02J7/34 G
(21)【出願番号】P 2020213628
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜田 成孝
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 遥
(72)【発明者】
【氏名】堀井 雄介
(72)【発明者】
【氏名】中村 達
(72)【発明者】
【氏名】佐野 隆章
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/149081(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/020645(WO,A1)
【文献】特開2015-061448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-5/00
H02J 7/34
H02J 9/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電力網に電気的に接続された複数の電力調整リソースと、
前記第1電力網の電力管理を行なう管理装置とを備え、
前記第1電力網は、第2電力網に並列および解列可能に構成され、
前記管理装置は、
前記第2電力網と並列されて前記第1電力網が前記第2電力網と連系運転する場合には、前記第2電力網の周波数に同期するように、前記複数の電力調整リソースを電流制御し、
前記第2電力網と解列されて前記第1電力網が自立運転する場合には、前記複数の電力調整リソースのうちの予め定められた電力調整リソースである所定の電力調整リソースをマスタとし、かつ、前記所定の電力調整リソース以外の電力調整リソースをスレーブとして、前記複数の電力調整リソースをマスタスレーブ制御し、
前記第1電力網が前記自立運転する場合に前記所定の電力調整リソースが作動できないときには、前記管理装置は、前記複数の電力調整リソースの電力量に関する情報に基づいて、前記複数の電力調整リソースの中からマスタを決定し、当該決定されたマスタ以外の電力調整リソースをスレーブとして、前記複数の電力調整リソースを前記マスタスレーブ制御
し、
前記電力量に関する情報は、供給可能電力量を示す情報であり、
前記複数の電力調整リソースは、蓄電装置と燃料電池を有する発電装置とを含む燃料電池自動車を含み、
前記燃料電池自動車の供給可能電力量は、前記蓄電装置の残容量と、前記発電装置の発電可能電力量とを含み、
前記マスタスレーブ制御において、前記管理装置は、前記複数の電力調整リソースのうちの供給可能電力量が最大のものをマスタとし、当該決定されたマスタ以外の電力調整リソースをスレーブとする、電力システム。
【請求項2】
前記マスタスレーブ制御において、前記管理装置は、前記マスタの供給可能電力量が閾電力量を下回った場合、前記スレーブのうちの供給可能電力量が最大のものを新たなマスタとして決定し、マスタであった電力調整リソースをスレーブとする、請求項1に記載の電力システム。
【請求項3】
複数の電力調整リソースが電気的に接続された第1電力網の電力管理を行なうサーバであって、
前記第1電力網は、第2電力網に並列および解列可能に構成され、
前記サーバは、
前記複数の電力調整リソースの電力量に関する情報を記憶する記憶装置と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記第2電力網と並列されて前記第1電力網が前記第2電力網と連系運転する場合には、前記第2電力網の周波数に同期するように、前記複数の電力調整リソースを電流制御し、
前記第2電力網と解列されて前記第1電力網が自立運転する場合には、前記複数の電力調整リソースのうちの予め定められた電力調整リソースである所定の電力調整リソースをマスタとし、かつ、前記所定の電力調整リソース以外の電力調整リソースをスレーブとして、前記複数の電力調整リソースをマスタスレーブ制御し、
前記第1電力網が前記自立運転する場合に前記所定の電力調整リソースが作動できないときには、前記制御装置は、前記電力量に関する情報に基づいて、前記複数の電力調整リソースの中からマスタを決定し、当該決定されたマスタ以外の電力調整リソースをスレーブとして、前記複数の電力調整リソースを前記マスタスレーブ制御
し、
前記電力量に関する情報は、供給可能電力量を示す情報であり、
前記複数の電力調整リソースは、蓄電装置と燃料電池を有する発電装置とを含む燃料電池自動車を含み、
前記燃料電池自動車の供給可能電力量は、前記蓄電装置の残容量と、前記発電装置の発電可能電力量とを含み、
前記マスタスレーブ制御において、前記制御装置は、前記複数の電力調整リソースのうちの供給可能電力量が最大のものをマスタとし、当該決定されたマスタ以外の電力調整リソースをスレーブとする、サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力システムおよびサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-28198号公報(特許文献1)には、外部の電力系統と連系するマイクログリッドの需給管理を行なう制御システムが開示されている。この制御システムでは、マイクログリッドに電気的に接続可能な複数の電力調整リソース(たとえば、分散型電源、負荷、およびフライホイール付き誘導機)を用いてマイクログリッドの需給管理が行なわれる。外部の電力系統からマイクログリッドへの電力供給が停止された場合には、優先順位に従ってマイクログリッドに電気的に接続された負荷が遮断されるとともに、フライホイール付き誘導機により電力が補完される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクログリッドが外部の電力系統と連系運転する場合には、外部の電力系統の周波数に基づいて、外部の電力系統の電力に同期するように複数の電力調整リソースが電流制御される。一方、マイクログリッドが自立運転する場合には、複数の電力調整リソースを制御するための、マイクログリッドにおける周波数を決定する必要がある。
【0005】
たとえば、マイクログリッドの自立運転時には、周波数を決定するマスタなる電力調整リソースを予め定めておき、他の電力調整リソースをスレーブとして、マスタスレーブ制御を行なうことが考えられる。しかしながら、マスタとなる電力調整リソースが、何らかの理由により停止(ダウン)したような場合には、マイクログリッドの自立運転が適切になされない可能性がある。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、電力網の自立運転を適切に行なうことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に係る電力システムは、第1電力網に電気的に接続された複数の電力調整リソースと、第1電力網の電力管理を行なう管理装置とを備える。第1電力網は、第2電力網に並列および解列可能に構成される。管理装置は、第2電力網と並列されて第1電力網が第2電力網と連系運転する場合には、第2電力網の周波数に同期するように、複数の電力調整リソースを電流制御し、第2電力網と解列されて第1電力網が自立運転する場合には、複数の電力調整リソースのうちの予め定められた電力調整リソースである所定の電力調整リソースをマスタとし、かつ、所定の電力調整リソース以外の複数の電力調整リソースをスレーブとして、複数の電力調整リソースをマスタスレーブ制御する。第1電力網が自立運転する場合に所定の電力調整リソースが作動できないときには、管理装置は、複数の電力調整リソースの電力量に関する情報に基づいて、複数の電力調整リソースの中からマスタを決定し、当該決定されたマスタ以外の電力調整リソースをスレーブとして、複数の電力調整リソースをマスタスレーブ制御する、電力システム。
【0008】
上記構成によれば、第1電力網が自立運転する場合において、予めマスタとして定められていた所定の電力調整リソースが作動できないときでも、複数の電力調整リソースの中からマスタを決定しマスタスレーブ制御を実行することができる。これにより、第1電力網が自立運転する場合において、所定の電力調整リソースが作動できないときでも、第1電力網の自立運転を適切に行なうことができる。
【0009】
ある実施の形態においては、電力量に関する情報は、現在の蓄電容量を示す情報である。マスタスレーブ制御において、管理装置は、複数の電力調整リソースのうちの蓄電容量が最大のものをマスタとし、当該決定されたマスタ以外の電力調整リソースをスレーブとする。
【0010】
上記構成によれば、複数の電力調整リソースのうちの蓄電容量が最大のものがマスタとして決定されるので、蓄電容量が小さい電力調整リソースがマスタとされる場合に比べ、マスタスレーブ制御を長く実行することができる。
【0011】
ある実施の形態においては、マスタスレーブ制御において、管理装置は、マスタの蓄電容量が閾容量を下回った場合には、スレーブのうちの蓄電容量が最大のものを新たなマスタとして決定し、マスタであった電力調整リソースをスレーブとする。
【0012】
上記構成によれば、マスタの蓄電容量が閾容量を下回った場合には、新たなマスタが決定されるので、マスタの蓄電容量が低下してもマスタスレーブ制御を継続させることができる。すなわち、第1電力網の自立運転を停止させることなく、第1電力網の自立運転を適切に継続させることができる。
【0013】
ある実施の形態においては、電力量に関する情報は、SOCを示す情報である。マスタスレーブ制御において、管理装置は、複数の電力調整リソースのうちのSOCが最大のものをマスタとし、当該決定されたマスタ以外の電力調整リソースをスレーブとする。
【0014】
上記構成によれば、複数の電力調整リソースのうちのSOCが最大のものがマスタとして決定されるので、SOCが小さい電力調整リソースがマスタとされる場合に比べ、マスタスレーブ制御を長く実行することができる。
【0015】
ある実施の形態においては、マスタスレーブ制御において、管理装置は、マスタのSOCが閾SOCを下回った場合には、スレーブのうちのSOCが最大のものを新たなマスタとして決定し、マスタであった電力調整リソースをスレーブとする。
【0016】
上記構成によれば、マスタのSOCが閾容量を下回った場合には、新たなマスタが決定されるので、マスタのSOCが低下してもマスタスレーブ制御を継続させることができる。すなわち、第1電力網の自立運転を停止させることなく、第1電力網の自立運転を適切に継続させることができる。
【0017】
本開示の他の局面に係るサーバは、複数の電力調整リソースが電気的に接続された第1電力網の電力管理を行なうサーバ。第1電力網は、第2電力網に並列および解列可能に構成される。サーバは、複数の電力調整リソースの電力量に関する情報を記憶する記憶装置と、制御装置とを備える。制御装置は、第2電力網と並列されて第1電力網が第2電力網と連系運転する場合には、第2電力網の周波数に同期するように、複数の電力調整リソースを電流制御し、第2電力網と解列されて第1電力網が自立運転する場合には、複数の電力調整リソースのうちの予め定められた電力調整リソースである所定の電力調整リソースをマスタとし、かつ、所定の電力調整リソース以外の電力調整リソースをスレーブとして、複数の電力調整リソースをマスタスレーブ制御する。第1電力網が自立運転する場合に所定の電力調整リソースが作動できないときには、制御装置は、電力量に関する情報に基づいて、複数の電力調整リソースの中からマスタを決定し、当該決定されたマスタ以外の電力調整リソースをスレーブとして、複数の電力調整リソースをマスタスレーブ制御する。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、電力網の自立運転を適切に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態に係る電力システムの概略的な構成を示す図である。
【
図2】CEMSサーバの構成要素を機能別に示す機能ブロック図である。
【
図3】マイクログリッドの連系運転中にCEMSサーバによって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】マイクログリッドの自立運転中にCEMSサーバによって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図4のS31の詳細な処理を示すフローチャートである。
【
図6】変形例1における、マイクログリッドの自立運転中にCEMSサーバによって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図6のS55の詳細な処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0021】
[実施の形態]
<電力システムの全体構成>
図1は、実施の形態に係る電力システムの概略的な構成を示す図である。電力システム1は、電力系統PGと、マイクログリッドMGと、CEMS(Community Energy Management System)サーバ100と、送配電事業者サーバ200と、DER(Distributed Energy Resource)群500と、受変電設備501とを含む。
【0022】
マイクログリッドMGは、1つの街(たとえば、スマートシティ)全体に電力を供給する電力網である。マイクログリッドMG内の電力の需給は、CEMSサーバ100によって管理される。マイクログリッドMGにおいて複数のDERをネットワーク化するための電力線は、自営電力線であってもよい。マイクログリッドMGは、電力系統PGに並列および解列可能に構成される。
【0023】
送配電事業者サーバ200は、電力系統PGの需給を管理するコンピュータである。電力系統PGは、図示しない発電所および送配電設備によって構築される電力網である。本実施の形態では、電力会社が発電事業者および送配電事業者を兼ねる。電力会社は、一般送配電事業者に相当し、電力系統PG(商用電力系統)を保守および管理する。電力会社は、電力系統PGの管理者に相当する。送配電事業者サーバ200は、電力会社に帰属する。
【0024】
受変電設備501は、マイクログリッドMGの連系点(受電点)に設けられ、電力系統PGとマイクログリッドMGとの並列(接続)および解列(切離し)を切替え可能に構成される。受変電設備501は、マイクログリッドMGと電力系統PGとの接続点に位置する。
【0025】
マイクログリッドMGが電力系統PGと接続された状態で連系運転しているときには、受変電設備501は、電力系統PGから交流電力を受電し、受電した電力を降圧してマイクログリッドMGへ供給する。マイクログリッドMGが電力系統PGから切り離された状態で自立運転しているときには、電力系統PGからマイクログリッドMGへの電力供給は行なわれない。受変電設備501は、高圧側(一次側)の開閉装置(たとえば、区分開閉器、断路器、遮断器、および負荷開閉器)、変圧器、保護リレー、計測機器、および制御装置を含んで構成される。CEMSサーバ100は、マイクログリッドMGに関する情報(たとえば、電力波形)を受変電設備501から受信するとともに、受変電設備501へ並列および解列を指示するように構成される。
【0026】
CEMSサーバ100は、送配電事業者サーバ200およびDER群500の各々と通信可能に構成される。通信プロトコルは、OpenADRであってもよい。DER群500は、マイクログリッドMGに電気的に接続可能な複数のDERを含む。CEMSサーバ100は、DER群500に含まれる複数のDERを管理するように構成される。CEMSサーバ100は、送配電事業者サーバ200から電力系統PGの需給調整を要請されたときに、DER群500に対してDR(デマンドレスポンス)を実施してもよい。また、CEMSサーバ100は、需給調整市場の要請に応じてDER群500に対してDRを実施してもよい。また、CEMSサーバ100は、マイクログリッドMGの需給調整を行なうために、DER群500に対してDRを実施してもよい。
【0027】
DER群500は、EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)20と、住宅30と、商業施設40と、工場50と、ESS(Energy Storage System)60と、FCS(Fuel Cell System)70と、発電機80と、自然変動電源90とを含む。これらの各々が、DERとして機能し得る。DER群500に含まれる上記の複数のDERの各々は、マイクログリッドMGを介して相互に電気的に接続されている。
【0028】
DER群500は、電気自動車(EV:Electric Vehicle)11と、燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)12とをさらに含む。EVSE20は、車両(たとえば、EVまたはFCV)と電気的に接続された状態でDERとして機能する。たとえば、EVSE20の充電コネクタが車両のインレットに挿入(プラグイン)されることによって、EVSE20と車両とが電気的に接続される。
【0029】
なお、DER群500に含まれる車両の数は任意である。DER群500は、個人が所有する車両(POV)を含んでもよいし、MaaS(Mobility as a Service)車両を含んでもよい。MaaS車両は、MaaS事業者が管理する車両である。また、DER群500に含まれるEVSE20、住宅30、商業施設40、工場50、ESS60、FCS70、発電機80、および自然変動電源90の各々の数も任意である。なお、DER群500に含まれるDERの各々は、本開示に係る「電力調整リソース」の一例に相当する。
【0030】
EV11は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)10aと、バッテリB1と、通信装置C1とを含む。ECU10aは、EV11に搭載された各機器を制御するように構成される。通信装置C1は、CEMSサーバ100と無線通信が可能に構成される。バッテリB1は、たとえば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池を含んで構成される。バッテリB1に蓄えられた電力は、EV11の走行用モータ(図示せず)を駆動するために使用されたり、EV11に搭載された各機器を駆動するために使用されたりする。
【0031】
FCV12は、ECU10bと、発電装置H2と、バッテリB2と、通信装置C2とを含む。発電装置H2は、いずれも図示しないが、水素を貯留する水素タンクと、水素と酸素との化学反応によって発電する燃料電池とを含む。燃料電池は、水素タンクから供給される水素を使って発電を行なう。発電装置H2によって発電された電力は、FCV12の走行用モータ(図示せず)を駆動するために使用されたり、FCV12に搭載された各機器を駆動するために使用されたり、バッテリB2に蓄えられたりする。FCV12のユーザは、街の中に設置された水素ステーション(図示せず)で水素を補給できる。通信装置C2は、CEMSサーバ100と無線通信が可能に構成される。バッテリB2は、たとえば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池を含んで構成される。バッテリB2に蓄えられた電力は、FCV12の走行用モータ(図示せず)を駆動するために使用されたり、FCV12に搭載された各機器を駆動するために使用されたりする。
【0032】
EVSE20は、たとえば、街に設置された充電設備である。EVSE20は、車両ユーザが所定の認証を行なうことによって利用できる公共のEVSEである。認証の方式は、充電カード方式であってもよいし、通信による認証(たとえば、Plug and Charge)であってもよい。なお、本実施の形態では、DER群500には複数のEVSE20が含まれている。
【0033】
住宅30は、各種の家庭用電気機械器具(たとえば、照明器具、空調設備、調理器具、情報機器、テレビ、冷蔵庫、および洗濯機など)を含む。また、住宅30は、充放電器(たとえば、家庭用EVSE)と、自然変動電源(たとえば、屋根に設置される太陽光パネル)と、ESSと、FCSと、コージェネレーションシステム(たとえば、自家発電時に発生する熱を利用した給湯機、またはヒートポンプ給湯機)との少なくとも1つを備えてもよい。住宅30におけるエネルギーの需給は、たとえば図示しないHEMS(Home Energy Management System)によって管理されている。マイクログリッドMGと住宅30とは電力授受可能に接続されている。本実施の形態では、CEMSサーバ100と各住宅30とがHEMSを介して通信する。また、本実施の形態では、DER群500には複数の住宅30が含まれている。
【0034】
商業施設40は、たとえば、オフィスビルと、商店とを含む。商店の例としては、デパート、ショッピングセンタ、スーパーマーケット、またはコンビニエンスストアが挙げられる。商業施設40に含まれる各施設におけるエネルギーの需給は、たとえば図示しないBEMS(Building Energy Management System)によって管理されている。BEMSは、施設ごとに個別にエネルギーの需給を管理してもよいし、複数の施設におけるエネルギーの需給をまとめて管理してもよい。商業施設40に含まれる各施設とマイクログリッドMGとは電力授受可能に接続されている。本実施の形態では、CEMSサーバ100がBEMSを介して商業施設40と通信する。
【0035】
工場50は、たとえば自動車製造工場であってもよいし、他の工場であってもよい。工場50は、たとえば、生産ラインと、空調用の集中熱源とを含む。また、工場50は、自然変動電源(たとえば、太陽光発電設備または風力発電設備)と、EVSEと、ESSと、FCSと、発電機(たとえば、ガスタービン発電機またはディーゼル発電機)と、コージェネレーションシステムとの少なくとも1つを備えてもよい。工場50におけるエネルギーの需給は、たとえば図示しないFEMS(Factory Energy Management System)によって管理されている。マイクログリッドMGと工場50とは電力の授受が可能に接続されている。本実施の形態では、CEMSサーバ100と工場50とがFEMSを介して通信する。
【0036】
ESS60は、マイクログリッドMGに対して充放電可能に構成される定置式のバッテリを含む。ESS60に含まれるバッテリとしては、たとえば、リチウムイオン電池、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、レドックスフロー電池、またはNAS(ナトリウム硫黄)電池が採用されてもよい。自然変動電源90によって発電された余剰電力がESS60に蓄えられてもよい。
【0037】
FCS70は、水素と酸素との化学反応によって発電する定置式の燃料電池を含む。FCS70は水素タンク71と接続されている。水素タンク71は水素生成装置72と接続されている。FCS70は、水素タンク71から供給される水素を使って発電し、発電した電力をマイクログリッドMGに対して供給するように構成される。水素生成装置72は、種々の公知の方法を採用することができる。たとえば、水素生成装置72において、副生水素法、水分解法、化石燃料改質法、バイオマス改質法、またはIS(ヨウ素/硫黄)プロセスのような方法を採用することができる。水素生成装置72は、マイクログリッドMGから供給される電力を使って水素を生成してもよいし、自然変動電源90によって発電された余剰電力を使って水素を生成してもよい。CEMSサーバ100は、水素タンク71内の水素残量が所定値を下回らないように、水素生成装置72を制御してもよい。
【0038】
発電機80は、化石燃料を用いて発電する定置式の発電機である。発電機80は、たとえばガスタービン発電機またはディーゼル発電機であってもよい。発電機80は、非常用の電源として使用されてもよい。
【0039】
自然変動電源90は、気象条件によって発電出力が変動する電源であり、発電した電力をマイクログリッドMGへ出力する。自然変動電源90は、たとえば太陽光発電設備および風力発電設備を含む。自然変動電源90によって発電された電力は、変動性再生可能エネルギー(VRE)に相当する。
【0040】
CEMSサーバ100は、プロセッサ110と、記憶装置120と、通信装置130とを含んで構成される。プロセッサ110、記憶装置120、および、通信装置130は、バス140により接続されている。プロセッサ110は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶装置120は、各種情報を保存可能に構成される。記憶装置120には、プロセッサ110によって実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。通信装置130は、各種の通信I/Fを含む。CEMSサーバ100は、通信装置130を通じて外部と通信するように構成される。
【0041】
CEMSサーバ100は、マイクログリッドMGに接続されるDER群500を制御することにより、DER群500をVPP(仮想発電所)として機能させる。より具体的には、CEMSサーバ100は、IoT(モノのインターネット)を利用したエネルギーマネジメント技術により、DER群500を遠隔制御および統合制御することによって、DER群500をあたかも1つの発電所のように機能させる。
【0042】
本実施の形態では、マイクログリッドMGの管理者が電力会社と電力契約を結んでいる。電力会社は、電力契約に従って、マイクログリッドMGに電力を供給する。この電力契約において、マイクログリッドMGが電力系統PGから供給を受ける電力が決められている。この電力を以下では「契約電力」とも称する。なお、「供給電力が契約電力を満たす」とは、供給電力が契約電力に対して過不足がない(契約電力として決められた範囲内に含まれる)ことを意味する。
【0043】
マイクログリッドMGが電力系統PGと接続された状態で、マイクログリッドMGが電力系統PGと連系運転する場合には、CEMSサーバ100は、電力系統PGからマイクログリッドMGに供給される電力が契約電力を満たすように、マイクログリッドMGの電力需給を調整するように構成されている。マイクログリッドMGの連系運転中に、CEMSサーバ100は、マイクログリッドMGの調整力として機能するDERを制御することにより、電力需給を調整する。なお、以下においては、マイクログリッドMGの調整力として機能するDERを、「調整力DER」とも称する。
【0044】
電力系統PGからの電力の供給が停止され、マイクログリッドMGが自立運転する場合には、CEMSサーバ100は、電力系統PGから電力供給を受けることなく、マイクログリッドMGの電力需給を調整するように構成されている。マイクログリッドMGの自立運転中に、CEMSサーバ100は、調整力DERを制御することにより、電力需給を調整する。
【0045】
以下、
図1および
図2を参照しながら、マイクログリッドMGの連系運転時および自立運転時の調整力DERの制御について、具体的に説明する。
【0046】
図2は、CEMSサーバ100の構成要素を機能別に示す機能ブロック図である。
図1とともに
図2を参照して、CEMSサーバ100のプロセッサ110は、情報管理部111と、運転切替部113と、連系運転部115と、自立運転部117とを含む。たとえば、プロセッサ110は、記憶装置120に記憶されたプログラムを実行することにより、情報管理部111、運転切替部113、連系運転部115、および、自立運転部117として機能する。なお、情報管理部111、運転切替部113、連系運転部115、および、自立運転部117は、たとえば、専用のハードウェア(電子回路)により実現されてもよい。
【0047】
情報管理部111は、CEMSサーバ100に登録されたDERの情報(以下「リソース情報」とも称する)を管理する。DER群500に含まれる各DERには、個別に識別情報(ID)が割り当てられて、記憶装置120に記憶されている。情報管理部111は、各DERの情報を収集して、所定の制御周期毎にリソース情報を更新し、更新されたリソース情報を記憶装置120に記憶させる。
【0048】
CEMSサーバ100には、EVSE20と、住宅30と、商業施設40と、工場50と、ESS60と、FCS70と、発電機80と、自然変動電源90とが、定置式のDERとして登録されている。さらに、CEMSサーバ100には、車両(EV11,FCV12)が、移動式のDERとして登録されている。車両は、EVSE20と接続されることによって、DERとして機能する。
【0049】
リソース情報には、各DERの電力量に関する情報が含まれる。電力量に関する情報には、住宅30、商業施設40、および工場50の各々の消費電力を示す情報が含まれる。また、電力量に関する情報には、ESS60のバッテリのSOCを示す情報と、充放電電力を示す情報と、残容量(kWh)を示す情報とが含まれる。また、電力量に関する情報には、FCS70の発電電力を示す情報と、水素タンク71内の水素残量を示す情報とが含まれる。また、電力量に関する情報には、発電機80およびの自然変動電源90の各々の発電電力を示す情報が含まれる。
【0050】
さらに、電力量に関する情報には、EVSE20に接続されたEV11のバッテリB1のSOCを示す情報、バッテリB1の充放電電力を示す情報、および、バッテリB1の残容量(kWh)を示す情報が含まれる。さらに、電力量に関する情報には、EVSE20に接続されたFCV12の発電装置H2の水素残量を示す情報、発電装置H2の発電電力を示す情報、バッテリB2のSOCを示す情報、および、バッテリB2の充放電電力を示す情報が含まれる。
【0051】
なお、リソース情報には、各DERの作動状態(作動しているか停止しているか)を示す情報が含まれてもよい。CEMSサーバ100は、各定置式DERとの通信により、リソース情報を取得できる。
【0052】
DER群500に含まれる各DERは、発電型DERと蓄電型DERと負荷型DERとに大別される。
【0053】
発電型DERでは、所定の燃料(たとえば、軽油、天然ガス、または水素)を用いて発電機が発電を行ない、発電された電力が電力変換回路を経てマイクログリッドMGへ出力される。蓄電型DERでは、バッテリとマイクログリッドMGとの間での電力のやり取りが電力変換回路を介して行なわれる。各DERにおける電力変換回路は、CEMSサーバ100からの制御信号に従って動作し、所定の電力変換を行なうように構成される。本実施の形態では、電力変換回路がインバータおよびPLL(Phase Locked Loop)を含む。また、電力変換回路は、DERとマイクログリッドMGとの接続および遮断を切り替えるリレーを含んでもよい。
【0054】
たとえば、
図1に示したDER群500において、ESS60は蓄電型DERとして機能する。また、FCS70、発電機80、および自然変動電源90の各々は、発電型DERとして機能する。自然変動電源90の発電電力は基本的には気象条件によって決まるが、自然変動電源90の発電出力を制限することは可能である。
【0055】
EV11は、マイクログリッドMGと接続されるバッテリB1の充放電を行なうことによって蓄電型DERとして機能する。FCV12は、発電装置H2によって発電した電力をマイクログリッドMGへ出力することによって発電型DERとして機能する。また、FCV12は、蓄電型DERとして機能するように構成されてもよい。バッテリB2の容量および充放電性能が十分であれば、FCV12は蓄電型DERとしても機能し得る。電力変換回路は、車両(EV11,FCV12)に搭載されてもよいし、EVSE20に搭載されてもよい。たとえば、車両からDC方式のEVSE20へ直流電力が出力され、EVSE20に内蔵されるインバータによってDC/AC変換が行なわれてもよい。また、車両が備えるバッテリから放電される電力に対して車載インバータがDC/AC変換を行ない、変換後の交流電力が車両からAC方式のEVSEへ出力されてもよい。
【0056】
なお、
図2には示していないが、マイクログリッドMGの電力を消費する電気機器も、DERとして機能し得る。マイクログリッドMGと接続される電気機器の電力負荷が大きくなるほどマイクログリッドMGの電力消費量は大きくなる。たとえば、
図1に示した住宅30と商業施設40と工場50との各々における需要家は、電気機器の電力負荷を調整することによって、マイクログリッドMGの需給調整を行なうことができる。
【0057】
情報管理部111は、各DERの情報を収集して、所定の制御周期毎にリソース情報を更新し、更新されたリソース情報を記憶装置120に記憶させる。
【0058】
運転切替部113は、マイクログリッドMGの連系運転と自立運転との切り替えを判断し、連系運転部115および自立運転部117に通知する。マイクログリッドMGの連系運転時には、運転切替部113は、電力系統PGに不具合が発生しているか否かを監視する。上記監視は、たとえば、所定の制御周期毎に繰り返し行なわれる。不具合とは、たとえば、停電や断線等により、電力系統PGからマイクログリッドMGへの電力の供給ができなくなることを意味する。電力系統PGに不具合が発生していない場合には、運転切替部113は、第1通知を連系運転部115へ通知する。第1通知は、連系運転を指示する通知である。第1通知を受けると、連系運転部115は、後述する電流制御を継続する。電力系統PGに不具合が発生している場合には、運転切替部113は、第2通知を自立運転部117へ通知する。第2通知は、自立運転を指示する通知である。第2通知を受けると、自立運転部117は、後述するマスタスレーブ制御を開始する。
【0059】
マイクログリッドMGの自立運転時には、運転切替部113は、不具合が発生した電力系統PGの復旧を監視する。上記監視は、たとえば、所定の制御周期毎に繰り返し行なわれる。電力系統PGが復旧していない場合には、運転切替部113は、第2通知を自立運転部117へ通知する。第2通知を受けると、自立運転部117は、後述するマスタスレーブ制御を継続する。電力系統PGが復旧した場合には、運転切替部113は、第1通知を連系運転部115へ通知する。第1通知を受けると、連系運転部115は、後述する電流制御を開始する。
【0060】
連系運転部115は、マイクログリッドMGの連系運転中に、調整力DERを電流制御することにより、マイクログリッドMGおよび電力系統PGの需給調整を行なう。調整力DERは、たとえば、インバータおよびPLLを含む電力変換回路を内蔵する。連系運転部115は、調整力DERのPLLを用いて電力系統PGの電圧波形の振幅および位相を検出し、マイクログリッドMGの電力が電力系統PGの電力に同期するように調整力DERのインバータを制御する。連系運転部115は、調整力DERのインバータによって交流電流を制御し、電流検出値をフィードバックしながら、マイクログリッドMGに流れる電流を目標電流値に追従させる。より具体的には、連系運転部115は、マイクログリッドMGに流れる電流を有効電流成分と無効電流成分とに分けて、有効電流成分および無効電流成分の各々が目標電流値となるように、調整力DERのインバータの出力電圧を制御する。なお、調整力DERの電流制御は、FMES、HEMS、BEMS、ECUなどと連系して行なわれてもよい。
【0061】
自立運転部117は、マイクログリッドMGの自立運転中に、調整力DERをマスタスレーブ制御することにより、マイクログリッドMGの需給調整を行なう。マスタスレーブ制御においてマスタとなるDERは、予め定められて記憶装置120に記憶されている。以下においては、マスタとなるDERを示す情報を「マスタプラン」とも称する。マスタとして定められるDERには、たとえば、ESS60、FCS70および発電機80のような定置式のDERが選定される。自立運転部117は、運転切替部113から第2通知(自立運転を指示する通知)を受けると、記憶装置120からマスタプランを読み出して、マスタプランにより特定されるDERをマスタとし、他のDERをスレーブとする。
【0062】
自立運転部117によるマスタスレーブ制御では、マイクログリッドMGに電気的に接続されたマスタが電力変換回路(インバータを含む)によって電圧制御を行なうとともに、マイクログリッドMGに電気的に接続された各スレーブが電力変換回路(インバータを含む)によって電流制御を行なう。マスタは電圧制御で運転される。電圧制御は、CVCF(Constant Voltage Constant Frequency)制御であってもよい。定電圧かつ定周波数の交流電力がマスタから出力されるように自立運転部117がマスタを制御することで、マイクログリッドMGの周波数および電圧を定めることができる。各スレーブは、マスタによって定められた周波数および電圧に従って電流制御で運転される。なお、以下においては、マスタプランによってマスタとして定められたDERを「第1マスタDER」とも称する。
【0063】
自立運転部117は、各DERに調整指令を出力する。マスタとなるDER(第1マスタDER)に送信される調整指令には、たとえば、マスタとなることを示す情報、目標周波数および目標電圧値を示す情報が含まれる。スレーブとなるDERに送信される調整指令には、たとえば、スレーブとなることを示す情報が含まれる。なお、スレーブとなるDERに送信される調整指令にも、目標周波数および目標電圧値を示す情報が含まれてもよい。
【0064】
ここで、第1マスタDERが、何らかの理由により停止(ダウン)してしまう可能性がある。たとえば、災害によるダウンなどが考えられる。このような場合、マイクログリッドMGにおける周波数が決められず、自立運転が適切になされない可能性がある。
【0065】
そこで、本実施の形態においては、第1マスタDERがダウンした場合には、自立運転部117は、新たなマスタを決定し、マスタスレーブ制御を実行(継続)させる。本実施の形態においては、自立運転部117は、リソース情報に含まれる電力量に関する情報に基づいて、蓄電型DERの中から、マスタを選定する。より具体的には、自立運転部117は、DER群500に含まれる蓄電型DERの中から、残容量が最も大きいDERをマスタとして選定する。
【0066】
EV11においては、残容量は、バッテリB1の残容量の値である。ESS60においては、残容量は、バッテリの残容量の値である。FCV12も蓄電型DERとしてマスタの候補に含めることができる。FCV12においては、残容量は、バッテリB2の残容量の値である。なお、FCV12においては、残容量に、バッテリB2の残容量に加えて、発電装置H2からバッテリB2に供給される電力量が考慮されてもよい。
【0067】
自立運転部117は、蓄電型DERの残容量を比較し、残容量が最も大きいDERをマスタとして選定する。マスタを選定すると、自立運転部117は、マスタに選定されたDERを電圧制御し、マスタ以外のDERをスレーブとして電流制御する。以下においては、残容量の比較によってマスタとして選定されたDERを「第2マスタDER」とも称する。これにより、第1マスタDER(マスタプランで定められたDER)がダウンした場合にも、第1マスタDERに代えて第2マスタDERをマスタとしてマスタスレーブ制御を実行し、マイクログリッドMGの自立運転を適切に行なう(継続する)ことができる。第2マスタDERには、DER群500に含まれる蓄電型DERの中から、残容量が最も大きいDERが選定されることにより、残容量が小さいDERがマスタとして選定される場合に比べ、選定されたDERをマスタとしたマスタスレーブ制御を長時間実行することができる。
【0068】
なお、マスタスレーブ制御において、自立運転部117は、各スレーブに対する目標電流値を、全体の目標電流値をスレーブの台数で除算した値とすることができる。すなわち、各スレーブに対する目標電流値は、同じ値に設定される。あるいは、スレーブの電流制御における目標電流値は、たとえば、各スレーブの残容量に応じて設定されてもよい。たとえば、残容量が大きいスレーブの目標電流値は、残容量が小さいスレーブの目標電流値よりも大きく設定されてもよい。あるいは、スレーブの電流制御における目標電流値は、たとえば、各スレーブのSOCに応じて設定されてもよい。たとえば、SOCが大きいスレーブの目標電流値は、SOCが小さいスレーブの目標電流値よりも大きく設定されてもよい。
【0069】
さらに、本実施の形態においては、マイクログリッドMGの自立運転時中に第2マスタDERの残容量が低下すると、自立運転部117は、第2マスタDERを変更する。第2マスタDERは蓄電型DERであるため、その容量が所定まで低下すると、作動を継続できなくなる可能性がある。そこで、自立運転部117は、自立運転中に第2マスタDERの残容量を監視し、第2マスタDERの残容量が閾容量を下回ると、第2マスタDERを他のDERに変更する。閾容量は、第2マスタDERに選定されているDERが作動を継続できるか否かを判定するための閾値である。具体的には、自立運転部117は、第2マスタDERの残容量が閾容量を下回った場合、スレーブの中で残容量が最も大きい蓄電型DERを新たな第2マスタDERに選定する。このとき、自立運転部117は、第2マスタDERに選定されていたDER(残容量が閾容量を下回ったDER)を、スレーブに変更する。これにより、第2マスタDERの残容量が低下しても、マイクログリッドMGの自立運転を適切に継続させることができる。
【0070】
なお、作動を継続するために要する電力量は、DERによって異なり得る。閾容量は、たとえば、作動を継続するために要する電力量に基づいて、DER毎に設定されてもよい。
【0071】
<CEMSサーバにより実行される処理>
<<連系運転中の処理>>
図3は、マイクログリッドMGの連系運転中にCEMSサーバ100によって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図3に示すフローチャートの処理は、マイクログリッドMGの連系運転中にCEMSサーバ100によって所定の制御周期毎に繰り返し実行される。なお、
図3および後述する
図4から
図7に示すフローチャートの各ステップ(以下ステップを「S」と略す)は、CEMSサーバ100によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部がCEMSサーバ100内に作製されたハードウェア(電子回路)によって実現されてもよい。
【0072】
S1において、CEMSサーバ100は、電力系統PG(外部グリッド)に、たとえば停電のような不具合が発生したか否か、すなわち、電力系統PGからの電力の供給が意図せずに停止されたか否かを判定する。電力系統PGに不具合が発生していない(正常)である場合には(S1においてNO)、CEMSサーバ100は、連系運転を継続するために、処理をS3に進める。電力系統PGに不具合が発生した場合には(S1においてYES)、CEMSサーバ100は、連系運転から自立運転へ切り替えるために、処理をS5に進める。
【0073】
S3において、CEMSサーバ100は、マイクログリッドMGの電力が電力系統PGの電力と同期するように、調整力DERを電流制御で運転する。CEMSサーバ100は、調整力DERによってマイクログリッドMGの電流(ひいては、マイクログリッドMGの需給バランス)を調整する。S3の処理を実行すると、CEMSサーバ100は、処理をリターンに進める。
【0074】
S5からS9において、CEMSサーバ100は、電力系統PGに不具合が発生したため、連系運転から自立運転へ切り替える処理を実行する。
【0075】
S5において、CEMSサーバ100は、受変電設備501の遮断器を制御してマイクログリッドMGを解列させる。これにより、電力系統PGからマイクログリッドMGが切り離される。
【0076】
S7において、CEMSサーバ100は、連系運転から自立運転へ切り替えるために、記憶装置120からマスタプランを読み出す。
【0077】
S9において、CEMSサーバ100は、S7で読み出されたマスタプランに従って、マスタとなるDER(第1マスタDER)を決定する。CEMSサーバ100は、第1マスタDER以外のDERをスレーブとして決定する。そして、CEMSサーバ100は、DER群500の制御を、電力系統PGと同期をとる電流制御から、マスタスレーブ制御へ切り替える。S9の処理が実行されると、
図3に示す一連の処理が終了し、以下に説明する
図4に示す処理が開始される。
【0078】
<<自立運転中の処理>>
図4は、マイクログリッドMGの自立運転中にCEMSサーバ100によって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図4に示すフローチャートの処理は、マイクログリッドMGの自立運転中にCEMSサーバ100によって所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0079】
S21において、CEMSサーバ100は、不具合が発生した電力系統PG(外部グリッド)が復旧したか否かを判定する。電力系統PGがまだ復旧していない場合には(S21にてNO)、CEMSサーバ100は、処理をS23に進める。電力系統PGが復旧した場合には(S21にてYES)、CEMSサーバ100は、処理をS33に進める。
【0080】
S23において、CEMSサーバ100は、第1マスタDERがダウンしているか否かを判定する。第1マスタDERがダウンしていない場合には(S23においてNO)、CEMSサーバ100は、処理をS25に進める。第1マスタDERがダウンしている場合には(S23においてYES)、CEMSサーバ100は、処理をS27に進める。
【0081】
S25において、CEMSサーバ100は、第1マスタDERをマスタとしたマスタスレーブ制御を継続する。CEMSサーバ100は、マスタおよびスレーブの各々に調整指令を送ることにより、マイクログリッドMGの電力を安定させるようにマスタおよびスレーブを制御する。マスタは、たとえばCVCF制御で運転される。各スレーブは、マスタによって定められた周波数および電圧に従って電流制御で運転される。S25の処理を実行すると、CEMSサーバ100は、処理をリターンに進める。
【0082】
S27において、CEMSサーバ100は、第1マスタDERに代わるマスタを選定するために、スレーブに設定されている蓄電型DERの残容量を比較する。CEMSサーバ100は、記憶装置120(
図2)内のリソース情報を参照して、各蓄電型DERの残容量を取得することができる。
【0083】
S29において、CEMSサーバ100は、スレーブに設定されている蓄電型DERの中で残容量が最も大きいDERをマスタとして選定し、当該DERを第2マスタDERとして決定する。CEMSサーバ100は、第2マスタDER以外のDERをスレーブとして決定する。
【0084】
S31において、CEMSサーバ100は、第2マスタDERをマスタとしてマスタスレーブ制御を実行する。S31の処理の詳細は、
図5を用いて説明する。なお、S27およびS29の処理は、連系運転から自立運転に切り替わる毎に、1度実行されるか、または実行されない。すなわち、連続した自立運転の実行中において、2回目以降のS27およびS29の処理はスキップされる。
【0085】
図5は、
図4のS31の詳細な処理を示すフローチャートである。
S311において、CEMSサーバ100は、第2マスタDERの残容量が閾容量を下回ったか否かを判定する。第2マスタDERの残容量が閾容量を下回ったと判定すると(S311においてYES)、CEMSサーバ100は、処理をS313に進める。第2マスタDERの残容量が閾容量を下回っていないと判定すると(S311においてNO)、CEMSサーバ100は、処理をS317に進める。
【0086】
S313において、CEMSサーバ100は、スレーブに設定されている蓄電型DERの残容量を比較する。CEMSサーバ100は、記憶装置120(
図2)内のリソース情報を参照して、各蓄電型DERの残容量を取得することができる。
【0087】
S315において、CEMSサーバ100は、スレーブに設定されている蓄電型DERの中で残容量が最も大きいDERをマスタとして選定し、当該DERを、現在の第2マスタDERに設定されているDERに代えて第2マスタDERとして決定する。CEMSサーバ100は、第2マスタDER以外のDERをスレーブとして決定する。CEMSサーバ100は、第2マスタDERとして設定されていたDERもスレーブとして決定する。
【0088】
S317において、CEMSサーバ100は、マスタスレーブ制御を行なう。CEMSサーバ100は、マスタおよびスレーブの各々に調整指令を送ることにより、マイクログリッドMGの電力を安定させるようにマスタおよびスレーブを制御する。マスタは、たとえばCVCF制御で運転される。各スレーブは、マスタによって定められた周波数および電圧に従って電流制御で運転される。S317の処理が実行されると、処理は
図4のS31の処理に戻り、処理がリターンに進められる。
【0089】
再び
図4を参照し、S33において、CEMSサーバ100は、マイクログリッドMGを自立運転から連系運転に切り替える。より具体的には、CEMSサーバ100は、受変電設備501の遮断器(連系遮断器)を投入することで、電力系統PGに対してマイクログリッドMGを並列させる。また、CEMSサーバ100は、マイクログリッドMGの電力制御モードを、マスタスレーブ制御から、電力系統PGと同期をとる電流制御へ切り替える。S33の処理が実行されると、
図4に示す一連の処理が終了する。そして、マイクログリッドMGが連系運転を開始することに伴ない、上述した
図3の処理が開始される。
【0090】
以上のように、本実施の形態においては、マイクログリッドMGが自立運転する場合において、マスタプランで定められたマスタ(第1マスタDER)がダウンしたときには、CEMSサーバ100は、DER群500に含まれる蓄電型DERの中からマスタを選定し(第2マスタDERを選定し)、マスタスレーブ制御を実行する。これにより、第1マスタDERがダウンしても、新たにマスタを設定してマスタスレーブ制御を実行または継続させることができる。すなわち、第1マスタDERがダウンした場合にも、マイクログリッドMGの自立運転を適切に開始または継続させることができる。
【0091】
第2マスタDERには、DER群500に含まれる蓄電型DERの中で残容量が最も大きいDERが選ばれる。残容量が最も大きいDERが第2マスタDERに選定されることにより、残容量が小さいDERが第2マスタDERに選定される場合に比べ、選定されたDERをマスタとしたマスタスレーブ制御を長時間実行することができる。
【0092】
そして、マスタスレーブ制御において、第2マスタDERの残容量が閾容量未満に低下した場合には、CEMSサーバ100は、DER群500に含まれる蓄電型DERの中から、残容量が最も大きいDERを新たな第2マスタDERとして選定する。これにより、マイクログリッドMGの自立運転を停止させることなく、マイクログリッドMGの自立運転を適切に継続させることができる。
【0093】
[変形例1]
実施の形態においては、マスタスレーブ制御における第2マスタDERの選定に、蓄電型DERの残容量が用いられた。しかしながら、第2マスタDERの選定には、他のパラメータが用いられてもよい。たとえば、蓄電型DERのSOCに基づいて、マスタスレーブ制御における第2マスタDERの選定が行なわれてもよい。
【0094】
マイクログリッドMGの自立運転時において、第1マスタDERがダウンすると、CEMSサーバ100は、第1マスタDERに代わる第2マスタDERを選定する。この際、CEMSサーバ100は、蓄電型DERのうちの、SOCが最も大きいDERをマスタとして選定し、当該DERを第2マスタDERとして決定する。CEMSサーバ100は、DER群500の他のDERをスレーブとして決定する。そして、CEMSサーバ100は、マスタスレーブ制御を実行する。
【0095】
さらに、マスタスレーブ制御の実行中に、CEMSサーバ100は、第2マスタDERのSOCを監視する。第2マスタDERのSOCが閾SOCまで低下すると、CEMSサーバ100は、第2マスタDERを他のDERに変更する。閾SOCは、第2マスタDERに選定されているDERが作動を継続できるか否かを判定するための閾値である。具体的には、CEMSサーバ100の自立運転部117は、第2マスタDERのSOCが閾SOCを下回った場合、スレーブの中でSOCが最も大きい蓄電型DERを第2マスタDERに選定する。このとき、自立運転部117は、第2マスタDERに選定されていたDER(SOCが閾SOCを下回ったDER)を、スレーブに変更する。これにより、第2マスタDERのSOCが低下しても、マイクログリッドMGの自立運転を適切に継続させることができる。これにより、第2マスタDERのSOCが低下しても、マイクログリッドMGの自立運転を適切に継続させることができる。
【0096】
なお、作動を継続するために要する電力量は、DERによって異なり得る。閾SOCは、たとえば、作動を継続するために要する電力量に基づいて、DER毎に設定されてもよい。
【0097】
図6は、変形例1における、マイクログリッドMGの自立運転中にCEMSサーバ100によって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートの処理は、マイクログリッドMGの自立運転中にCEMSサーバ100によって所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0098】
図6のフローチャートは、
図4のフローチャートのS27,S29,S31の処理を、S51,S53,S55の処理にそれぞれ代えたものである。
図6のフローチャートのその他の処理については、
図4のフローチャートの処理と同様であるため、同じステップ番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0099】
S23において、第1マスタDERがダウンしたと判定すると(S23においてYES)、CEMSサーバ100は、処理をS51に進める。
【0100】
S51において、CEMSサーバ100は、第1マスタDERに代わるマスタを選定するために、スレーブに設定されている蓄電型DERのSOCを比較する。CEMSサーバ100は、記憶装置120(
図2)内のリソース情報を参照して、各蓄電型DERのSOCを取得することができる。
【0101】
S53において、CEMSサーバ100は、スレーブに設定されている蓄電型DERの中で最もSOCが大きいDERをマスタとして選定し、当該DERを第2マスタDERとして決定する。CEMSサーバ100は、第2マスタDER以外のDERをスレーブとして決定する。
【0102】
S55において、CEMSサーバ100は、第2マスタDERをマスタとしてマスタスレーブ制御を実行する。S55の処理の詳細は、
図7を用いて説明する。なお、S51およびS53の処理は、連系運転から自立運転に切り替わる毎に、1度実行されるか、または実行されない。すなわち、連続した自立運転の実行中において、2回目以降のS51およびS53の処理はスキップされる。
【0103】
図7は、
図6のS55の詳細な処理を示すフローチャートである。
S551において、CEMSサーバ100は、第2マスタDERのSOCが閾SOCを下回ったか否かを判定する。第2マスタDERのSOCが閾SOCを下回ったと判定すると(S551においてYES)、CEMSサーバ100は、処理をS553に進める。第2マスタDERのSOCが閾SOCを下回っていないと判定すると(S551においてNO)、CEMSサーバ100は、処理をS557に進める。
【0104】
S553において、CEMSサーバ100は、スレーブに設定されている蓄電型DERのSOCを比較する。CEMSサーバ100は、記憶装置120(
図2)内のリソース情報を参照して、各蓄電型DERのSOCを取得することができる。
【0105】
S555において、CEMSサーバ100は、スレーブに設定されている蓄電型DERの中で最もSOCが大きいDERをマスタとして選定し、当該DERを、現在の第2マスタDERに設定されているDERに代えて第2マスタDERとして決定する。CEMSサーバ100は、第2マスタDER以外のDERをスレーブとして決定する。CEMSサーバ100は、第2マスタDERとして設定されていたDERもスレーブとして決定する。
【0106】
S557において、CEMSサーバ100は、マスタスレーブ制御を行なう。S557の処理が実行されると、処理は
図6のS55の処理に戻り、処理をリターンに進める。
【0107】
以上のように、変形例1においては、マイクログリッドMGが自立運転する場合において、マスタプランで定められたマスタ(第1マスタDER)がダウンした場合、CEMSサーバ100は、蓄電型DERの中からマスタを選定し(第2マスタDERを選定し)、マスタスレーブ制御を実行する。第2マスタDERには、DER群500に含まれる蓄電型DERの中から、SOCが最も大きいDERが選ばれる。これにより、実施の形態と同様に、第1マスタDERがダウンしても、新たにマスタを設定してマスタスレーブ制御を実行または継続させることができる。すなわち、第1マスタDERがダウンした場合にも、マイクログリッドMGの自立運転を適切に開始または継続させることができる。
【0108】
第2マスタDERには、DER群500に含まれる蓄電型DERの中でSOCが最も大きいDERが選ばれる。SOCが最も大きいDERが第2マスタDERに選定されることにより、SOCが小さいDERが第2マスタDERに選定される場合に比べ、選定されたDERをマスタとしたマスタスレーブ制御を長時間実行することができる。
【0109】
そして、マスタスレーブ制御において、第2マスタDERのSOCが閾SOC未満に低下した場合には、CEMSサーバ100は、DER群500に含まれる蓄電型DERの中から、SOCが最も大きいDERを新たな第2マスタDERとして選定する。これにより、マイクログリッドMGの自立運転を停止させることなく、マイクログリッドMGの自立運転を適切に継続させることができる。
【0110】
[変形例2]
実施の形態および変形例1においては、第2マスタDERは、DER群500に含まれる蓄電型DERから選定された。しかしながら、第2マスタDERは、DER群500に含まれる蓄電型DERおよび発電型DERの中から選定されてもよい。
【0111】
CEMSサーバ100は、たとえば、供給可能電力量に基づいて、第2マスタDERを選定する。具体的には、CEMSサーバ100は、DER群500に含まれる蓄電型DERおよび発電型DERの中から、供給可能電力量が最も大きいDERを第2マスタDERとして選定する。
【0112】
たとえば、EV11においては、供給可能電力量は、バッテリB1の残容量である。ESS60においては、供給可能電力量は、バッテリの残容量の値である。FCV12においては、供給可能電力量は、発電装置H2の発電可能な電力量およびバッテリB2の残容量の値である。発電装置H2の発電可能な電力量は、たとえば、発電装置H2の水素残量と発電装置H2の発電効率とに基づいて算出されてもよい。FCS70においては、供給可能電力量は、FCS70の発電可能な電力量の値である。FCS70の発電可能な電力量は、たとえば、水素タンク71の水素残量とFCS70の発電効率とに基づいて算出されてもよい。
【0113】
マイクログリッドMGの自立運転時において、第1マスタDERがダウンすると、CEMSサーバ100は、第1マスタDERに代わる第2マスタDERを選定する。この際、CEMSサーバ100は、蓄電型DERおよび発電型DERのうちの、供給可能電力量が最も大きいDERをマスタとして選定し、当該DERを第2マスタDERとして決定する。CEMSサーバ100は、DER群500の他のDERをスレーブとして決定する。そして、CEMSサーバ100は、マスタスレーブ制御を実行する。
【0114】
さらに、マスタスレーブ制御の実行中に、CEMSサーバ100は、第2マスタDERの供給可能電力量を監視する。第2マスタDERの供給可能電力量が閾電力量まで低下すると、CEMSサーバ100は、第2マスタDERを他のDERに変更する。閾電力量は、第2マスタDERに選定されているDERが作動を継続できるか否かを判定するための閾値である。具体的には、CEMSサーバ100の自立運転部117は、第2マスタDERの供給可能電力量が閾電力量を下回った場合、スレーブの中で供給可能電力量が最も大きい蓄電型DERまたは発電型DERを第2マスタDERに選定する。このとき、自立運転部117は、第2マスタDERに選定されていたDER(供給可能電力量が閾電力量を下回ったDER)を、スレーブに変更する。これにより、第2マスタDERの供給可能電力量が低下しても、マイクログリッドMGの自立運転を適切に継続させることができる。これにより、第2マスタDERの供給可能電力量が低下しても、マイクログリッドMGの自立運転を適切に継続させることができる。
【0115】
なお、作動を継続するために要する電力量は、DERによって異なり得る。閾電力量は、たとえば、作動を継続するために要する電力量に基づいて、DER毎に設定されてもよい。
【0116】
以上のように、DER群500に含まれる蓄電型DERおよび発電型DERの中から第2マスタDERを選定する構成であっても、実施の形態および変形例1と同様の効果を奏することができる。
【0117】
[変形例3]
実施の形態および変形例1,2においては、マイクログリッドMGの電力制御について説明した。しかしながら、本開示は、マイクログリッドMGの電力制御の他にも、FEMSの電力制御、BEMSの電力制御などに用いることも可能である。
【0118】
たとえば、本開示がFEMSの電力制御に用いられる場合には、実施の形態において説明したCEMSサーバ100の機能を、FEMSサーバが備えればよい。そして、FEMSに含まれる蓄電型DER、たとえば、EV11およびFCV12を第2マスタDERとして選定することができる。本開示がBEMSの電力制御に用いられる場合には、実施の形態において説明したCEMSサーバ100の機能を、BEMSサーバが備えればよい。そして、BEMSに含まれる蓄電型DER、たとえば、EV11およびFCV12を第2マスタDERとして選定することができる。
【0119】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0120】
1 電力システム、10a,10b ECU、11 EV、 12 FCV、20 EVSE、30 住宅、40 商業施設、50 工場、60 ESS、70 FCS、71 水素タンク、72 水素生成装置、80 発電機、90 自然変動電源、100 CEMSサーバ、110 プロセッサ、111 情報管理部、113 運転切替部、115 連系運転部、117 自立運転部、120 記憶装置、130 通信装置、140 バス、200 送配電事業者サーバ、500 DER群、501 受変電設備、B1,B2 バッテリ、C1,C2 通信装置、H2 発電装置、MG マイクログリッド、PG 電力系統。