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特許7528780情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/04 20060101AFI20240730BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240730BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20240730BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H04M11/04
G08B25/04 K
G08B25/10 D
G08B21/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020215042
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100827
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 豊和
(72)【発明者】
【氏名】田村 誠
(72)【発明者】
【氏名】三笘 佑介
(72)【発明者】
【氏名】高武 康介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 純子
(72)【発明者】
【氏名】是安 則子
(72)【発明者】
【氏名】刀根川 浩巳
(72)【発明者】
【氏名】藤井 愛子
(72)【発明者】
【氏名】宮下 友大朗
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-50183(JP,A)
【文献】特開2007-6113(JP,A)
【文献】国際公開第2020/100584(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/361451(US,A1)
【文献】特開2018-190142(JP,A)
【文献】特開2012-222443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-31/00
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被救助者が搭乗している移動体の移動予定経路および移動スケジュールを含む情報である移動情報を取得することと、
前記被救助者を救助可能な1以上の救助者候補の夫々の位置情報を取得することと、
前記移動情報と、前記救助者候補の夫々の位置情報とに基づいて、前記救助者候補から救助者を決定するとともに、前記救助者が前記被救助者と合流すべき地点である合流地点を決定することと、
を実行する制御部
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記移動体の移動予定経路から所定の地理的範囲に存在する前記救助者候補を前記救助者として選択する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記移動情報と前記救助者候補の夫々の位置情報とに基づいて、前記救助者候補の夫々について前記被救助者と最短で合流可能な地点及び時刻を算出し、前記時刻が早い順で前記救助者を決定する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記被救助者と合流可能な時刻が最も早い複数の救助者候補が存在する場合に、前記被救助者と同性の救助者候補の選択を優先して、前記複数の救助者候補から前記救助者を決定する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記被救助者と合流可能な時刻が最も早い複数の救助者候補が存在する場合に、前記被救助者に実施すべき行為を示す情報と、前記複数の救助者候補の夫々が前記被救助者に対して実施可能な行為を示す情報とに基づいて、前記救助者の決定を行う
請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記移動予定経路上において前記移動体が停止可能な地点を抽出し、抽出された地点から前記合流地点を決定する
請求項1、3又は5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記合流地点を示す情報を前記移動体及び前記救助者に通知する
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
被救助者が搭乗している移動体の移動予定経路および移動スケジュールを含む情報である移動情報を取得することと、
前記被救助者を救助可能な1以上の救助者候補の夫々の位置情報を取得することと、
前記移動情報と、前記救助者候補の夫々の位置情報とに基づいて、前記救助者候補から救助者を決定するとともに、前記救助者が前記被救助者と合流すべき地点である合流地点を決定することと、
を情報処理装置が実行する情報処理方法。
【請求項9】
前記情報処理装置は、前記移動体の移動予定経路から所定の地理的範囲に存在する前記救助者候補を前記救助者として選択する
請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記情報処理装置は、前記移動情報と前記救助者候補の夫々の位置情報とに基づいて、
前記救助者候補の夫々について前記被救助者と最短で合流可能な地点及び時刻を算出し、前記時刻の早い順で前記救助者を決定する
請求項8又は9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記情報処理装置は、前記被救助者と合流可能な時刻が最も早い複数の救助者候補が存在する場合に、前記被救助者と同性の救助者候補の選択を優先して、前記複数の救助者候補から前記救助者を決定する
請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記情報処理装置は、前記被救助者と合流可能な時刻が最も早い複数の救助者候補が存在する場合に、前記被救助者に実施すべき行為を示す情報と、前記複数の救助者候補の夫々が前記被救助者に対して実施可能な行為を示す情報と基づいて、前記救助者の決定を行う
請求項10又は11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記情報処理装置は、前記移動予定経路上において前記移動体が停止可能な地点を抽出し、抽出された地点から前記合流地点を決定する
請求項9、10又は12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記情報処理装置は、前記合流地点を前記移動体及び前記救助者に通知する
請求項8から13のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
被救助者が搭乗している移動体の移動予定経路および移動スケジュールを含む情報である移動情報を取得することと、
前記被救助者を救助可能な1以上の救助者候補の夫々の位置情報を取得することと、
前記移動情報と、前記救助者候補の夫々の位置情報とに基づいて、前記救助者候補から救助者を決定するとともに、前記救助者が前記被救助者と合流すべき地点である合流地点を決定することと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項16】
前記移動体の移動予定経路から所定の地理的範囲に存在する前記救助者候補を前記救助者として選択することを前記コンピュータに実行させる請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記移動情報と前記救助者候補の夫々の位置情報とに基づいて、前記救助者候補の夫々について前記被救助者と最短で合流可能な地点及び時刻を算出し、前記時刻の早い順で前記救助者を決定することを前記コンピュータに実行させる請求項15又は16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記時刻が最も早い複数の救助者候補が存在する場合に、前記被救助者に実施すべき行為を示す情報と、前記複数の救助者候補の夫々が前記被救助者に対して実施可能な行為を示す情報と基づいて、前記救助者の決定を行うことを前記コンピュータに実行させる請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
前記移動予定経路上において前記移動体が停止可能な地点を抽出し、抽出された地点から前記合流地点を決定することを前記コンピュータに実行させる請求項15、17又は18に記載のプログラム。
【請求項20】
前記合流地点を前記移動体及び前記救助者に通知することを前記コンピュータに実行させる請求項15から19のいずれか一項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザ端末装置と第三者端末装置と救命救急補助装置とで構成された救命救急補助システムがある。この救命救助補助システムでは、ユーザの生体情報から救命救急の緊急性が判断される。また、ユーザと複数の第三者それぞれとの間の距離情報が算出される。そして、救命救急の緊急性、距離情報、各第三者の属性情報に基づいて、救命指示情報を送信する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-222443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、移動中の被救助者を救助するのに好適な救助者及び救助地点を決定することができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、被救助者が搭乗している移動体の移動予定経路および移動スケジュールを含む情報である移動情報を取得することと、被救助者を救助可能な1以上の救助者候補の夫々の位置情報を取得することと、移動情報と、救助者候補の夫々の位置情報とに基づいて、救助者候補から救助者を選択するとともに、救助者が被救助者と合流すべき地点である合流地点を決定することと、を実行する制御部を備える情報処理装置である。
【0006】
本開示の態様は、情報処理装置と同様の特徴を有する、情報処理方法、情報処理システム、プログラム、及びプログラムを記録した記録媒体の少なくとも一つを含んでもよい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、移動中の被救助者を救助するのに好適な救助者及び救助地点を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る情報処理システムの例を示す。
図2図2は、実施形態に係るサーバの構成例を示す。
図3図3は、車両データベースのデータ構造例を示す。
図4図4は、救助者データベースのデータ構造例を示す。
図5図5は、端末3及び端末4として使用可能な端末装置30の構成例を示す。
図6図6は、移動体の端末の処理例を示すフローチャートである。
図7図7Aは、救急要求のメッセージのフォーマット例を示し、図7Bは、通知のメッセージのフォーマット例を示す。
図8図8は、サーバの処理例を示すフローチャートである。
図9図9は、救助者及び合流地点の決定の処理例を示すフローチャートである。
図10図10は、救助者の端末の処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態に係る情報処理装置は、被救助者が搭乗している移動体の移動予定経路および移動スケジュールを含む情報である移動情報を取得することと、被救助者を救助可能な1以上の救助者候補の夫々の位置情報を取得することと、移動情報と、救助者候補の夫々の位置情報とに基づいて、救助者候補から救助者を決定するとともに、救助者が被救助者と合流すべき地点である合流地点を決定することと、を実行する。
【0010】
情報処理装置によれば、移動情報と救助者候補の位置情報とに基づいて、移動体の移動スケジュールに合致するタイミングで救助者による救助が可能となる。
【0011】
ここに、移動体は、人が載って移動する物体である。「移動体」の語は、自転車、モータサイクル、車両、鉄道車両、船舶、及び航空機などを含み得る。移動体の種類や推進機関の種別は問わない。移動予定経路を示す情報は、移動体が移動する経路を示す情報であり、例えば、移動体である列車が複数の駅を経由して始点から終点まで移動するコースを示す情報である。或いは、移動予定経路を示す情報は、移動体であるバスが複数の停留所を経由して始点から終点まで移動するコースを示す情報である。移動スケジュールは、上記した例では、列車又はバスが各駅または各停留所に停車する時間(到着予定時刻及び出発予定時刻)である。但し、移動予定経路及び移動スケジュールを示す情報は、上記した例示に限定されない。
【0012】
ここに、被救助者は、移動体での移動中に何らかの要因で自律的な行動が不能又は困難となり、救助者による救助が必要となった者である。例えば、被救助者は、何らかの理由(事故或いはトラブルなど)により、移動体の内部又は上部等で病気に罹患又は怪我を負った者を含む。また、被救助者には、移動体での移動中に病気或いは怪我の容態が悪化した者(低血糖症など)、及び何らかの要因(貧血、めまい、動悸、或いはその他の体調不良、又は妊婦)で救助者による救助が必要となった者を含み得る。
【0013】
被救助者は、必ずしも救急治療が必要な者(救急車での搬送が必要な者)ではなく、持病または基礎疾患などを有しており、移動体から降りたところで安静にしていればやがて自然に回復するが、移動体での移動の継続は容態の悪化のおそれがある場合など、移動体での移動を休止すべき者を含む。
【0014】
救助者は、被救助者に対する救助行為を行う者であり、行為は、医療行為(医師のみに許された行為)、医師以外の者でも実施可能な行為(人工呼吸又は胸部圧迫などの救命行為、或いは擦り傷などの処置など)、介護行為(被救助者の歩行の補助又は支援、或いは被救助者の搬送など)、付き添い、或いは見守り(容態の変化の適正な観察乃至対応)などを含み得る。被救助者の行為は、その行為の内容によっては、その行為に応じた資格が必要であるが、救助者が有資格者であることは必ずしも必須ではない。
【0015】
被救助者が移動体を降りた時点で、本来的に被救助者の面倒をみなければならない者がいない場合、或いはその者が直ちに対応できない場合がある。例えば、降車場所が無人駅、或いはバスの停留所のように人がいない場合、或いは、移動体が自動運転で運転手及び車掌が乗っていない場合である。或いは、降車してから救急車の到着に時間がかかる場合、駅員不足で即座の付き添いが困難な場合、又は、救急車の出動を要請する程の病状でない場合、被救助者が、救急隊員や駅員への救助依頼は大げさであるため避けたいが、人の助けを望む場合などがある。救助者は、移動体を降りた被救助者に対し、見守り又は付き添いを最低限の行為として、軽微なキズの処置などの治療、歩行の支援、或いは搬送などの必要な行為を行う。このように、駅員などの移動体の管理者(交通機関の運営者)、移動体の運転手、及び救急車の救急隊員以外の救助者が、被救助者を救助することで、移動体に乗っていた被救助者の健康や安全を守ることができる。
【0016】
救助者は、移動体の管理者(駅員、運転手、又は車掌など)、或いは救急車の救急隊員などと連携又は協力して被救助者を救助してもよく、管理者及び救急隊員の代わりに、又は無関係に救助を行う者であってもよい。すなわち、移動体の管理者からの依頼を受けて、駅員等の代わりに救助を行う者であってもよい。また、救急車の出動が不要な程度の被救助者の救助を行う者であってもよい。また、救助者の管理者(管理団体)が、被救助者となり得る者(例えば、基礎疾患または持病を有する独居者)と事前に救助の契約を結び、被救助者からの連絡を受けて救助者が救助に向かう形態であってもよい。
【0017】
情報処理装置は、以下の構成を採用し得る。すなわち、制御部が、移動体の移動予定経路から所定の地理的範囲に存在する救助者候補を救助者として選択する構成を採用し得る。救助者の中から、一刻も早く被救助者と合流し得るものを選択することで、合流のタイミングを早めることができる。また、救助者候補の数が地理的範囲内に存する者に絞られることで救助者を算出する処理の負荷を低減することができる。換言すれば、救助者への救助を依頼してから救助者と被救助者とが合流するまでの時間が最短となる救助者及び合流地点を決定することができる。これによって、移動体で発生した急病人などの移動中の被救助者を救助するのに好適な救助者及び救助地点(合流地点)を決定することができる。
【0018】
また、情報処理装置は、以下の構成を採用し得る。すなわち、制御部は、移動情報と救助者候補の夫々の位置情報とに基づいて、救助者候補の夫々について被救助者と最短で合流可能な地点及び時刻を仮定し、時刻の早い順で前記救助者を決定する。これによって、救助者と被救助者との合流のタイミングを早めることができる。
【0019】
また、情報処理装置は、以下の構成を採用し得る。すなわち、制御部は、被救助者と合流可能な時刻が最も早い複数の救助者候補が存在する場合に、被救助者と同性の救助者候補の選択を優先する救助者の決定を行う。被救助者に対する救助者の数は、1人であっても2人以上であってもよい。但し、救助者として決定すべき数より多くの救助者候補が抽出される場合があり得る。この場合、被救助者と同性の救助者が優先的に選択されることで、他人である救助者を被救助者が受け入れ易くすることができる。もっとも、被救助者及び救助者の少なくとも一方の性別の希望を示す情報に基づいて救助者の性別(男女)の一方が優先されるようにしてもよい。
【0020】
また、情報処理装置は、以下の構成を採用し得る。すなわち、制御部は、前記時刻が最も早い複数の救助者候補が存在する場合に、被救助者に行うべき救助の行為を示す情報と、被救助者に対して実施可能な行為を示す情報に基づいて、救助者の決定を行う。被救助者の状況によっては、救助者の行為は単なる付き添いでよく、医師又は看護師による処置を必要としない場合もある。この場合に、医師或いは看護師を救助者として決定すると、医師又は看護師が必要な別の被救助者が出た場合に救助者候補から除外される可能性がある。上記構成の採用によれば、被救助者に実施すべき行為に応じて救助者を選択することができる。
【0021】
また、情報処理装置は、以下の構成を採用し得る。すなわち、制御部は、移動予定経路上において移動体が停止可能な地点を抽出し、抽出された地点から合流地点を決定する。このようにすれば、被救助者を安全に下ろすことが可能な地点で救助者が合流することができる。移動体が停止可能な時点は、例えば、列車等の駅、或いはバスの停留所である。但し、駅及び停留所以外の場所を含んでもよい。例えば、車庫又は基地などを含んでもよい。移動体が車両の場合、被救助者を安全に下ろすことのできる駐車場、広場(空き地)、或いは公園などであってもよい。
【0022】
また、情報処理装置は、以下の構成を採用し得る。すなわち、制御部は、合流地点を移動体及び救助者に通知する。これによって、移動体は被救助者を下ろす場所を認識することができ、救助者は合流地点を知ることができる。
【0023】
以下、図面を参照して実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムについて説明する。実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0024】
<情報システムの構成>
図1は、実施形態に係る情報処理システムの例を示す。図1において、情報処理システムは、ネットワーク1と、ネットワーク1に夫々接続されたサーバ2。端末3、及び端末4を含む。
【0025】
ネットワーク1は、例えば、インターネット等の公衆通信網であり、WAN(Wide Area Network)又はその他の通信網を採用し得る。ネットワーク1は、LTE(Long Term Evolution)、5Gなどのセルラー網、或いは無線LAN(Local Area Network:Wi-Fi含
む)、BLE等の無線網(無線経路)を含んでもよい。
【0026】
端末3は、移動体の一例である鉄道車両10に乗せられた端末であり、ネットワーク1を介してサーバ2と通信することができる。端末3は、鉄道車両10の車載端末であってもよく、鉄道車両10の運転手又は車掌に所持(携帯)されている端末であってもよい。また、端末3は、被救助者となる鉄道車両10の搭乗者(人11)が所持している端末であってもよい。
【0027】
鉄道車両10は、線路13上を、始点から終点に向かって移動する。始点と終点との間には、停車駅A、B及びCがある。鉄道車両10の現在位置から終点までの線路13は、移動体の移動予定経路の一例である。停車駅A、B及びCは、鉄道車両10の停車予定位置SS1、SS2及びSS3である。鉄道車両10の駅Aへの到着予定時刻は午前9時であり、数分後に駅Bへ向けて出発予定である。鉄道車両10の駅Bへの到着予定時刻は午前9時15分であり、数分後に駅Cへ向けて出発予定である。駅Cへの到着予定時刻は午前9時30分であり、数分後に出発する。駅A、B及びCでの着発予定時刻は、移動体の移動スケジュールの一例である。
【0028】
また、駅Bと駅Cとの間には、駅以外の停車可能位置SC1がある。停車可能位置SC1は、基地或いは車庫であるが、これら以外の場所でもよい。なお、鉄道車両10が車両(例えばバス)であり、駅A、B及びCの夫々が停留所であり、停車可能位置C1が車庫であってもよい。このように、移動体の停止可能な位置は、駅又は停留所以外の場所(位置)であってもよい。停車可能位置C1の利用が決定された場合、そこへの到着予定時刻が計算される。
【0029】
端末4は、救助者候補となる人12の夫々が使用する端末である。端末4の夫々は、移動端末(無線端末)であってもよく、固定端末であっても良い。人12は、求めに応じて停止予定位置及び停止可能位置のいずれかに赴き、鉄道車両10から降りた被救助者に合流し、被救助者の救助者となりうる者(すなわち、救助者候補)である。救助者候補は、医師、看護師、介護士、救急隊員、或いは救急救命等の講習を受けた者など、救助者としての知識、経験又は資格を有する者であるのが好ましい。
【0030】
端末3は、移動中の鉄道車両10内で、人11の救助が必要になった場合に、サーバ2へ救助要求のメッセージを送信する。サーバ2は、救助要求のメッセージを受けて、救助者となる者を救助者候補である人12の中から決定するともに、被救助者(人11)と決
定した救助者(人12)の合流地点を決定する。サーバ2は、合流地点を示す情報を含む通知のメッセージを、端末4及び端末3(鉄道車両10)へ送信する。
【0031】
<サーバの構成>
図2は、サーバ2の構成例を示す図である。サーバ2は、パーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション(WS)、又はサーバマシンなどの専用又は汎用の情報処理装置(コンピュータ)を用いて構成可能である。サーバ2は、通信機能によりネットワーク1を介して端末3及び端末4と通信可能である。ネットワーク1への接続は、有線でも無線でもよい。サーバ2は、1台の情報処理装置でも、2台以上の情報処理装置の集合(クラウド)であってもよい。サーバ2は、固定端末であっても携帯端末であってもよい。
【0032】
サーバ2は、バス26を介して相互に接続された、処理部又は制御部(コントローラ)としてのプロセッサ21と、記憶装置22と、通信インタフェース23(通信IF23)と、入力装置24と、ディスプレイ25とを含む。
【0033】
記憶装置22は、主記憶装置と補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、プログラム及びデータの記憶領域、プログラムの展開領域、プログラムの作業領域、及び通信データのバッファ領域などの少なくとも一つとして使用される。主記憶装置はRAM(Random Access Memory)、又はRAMとROM(Read Only Memory)との組み合わせで構成される。補助記憶装置は、データ及びプログラムの記憶領域として使用される。補助記憶装置には、不揮発性記憶媒体が適用される。不揮発性記憶媒体は、例えば、ハードディスク、Solid State Drive(SSD)、フラッシュメモリ、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などである。また、記憶装置22は、ディスク記録媒体のドライブ装置を含むことができる。
【0034】
通信IF23は、通信処理を行う回路である。例えば、通信IF23は、ネットワークインタフェースカード(NIC)である。また、通信IF23は、無線通信(LTE、5G、無線LAN(Wi-Fi)、BLEなど)を行う無線通信回路であってもよい。また
、通信IF23は、有線の通信処理を行う回路と、無線通信回路との組み合わせであってもよい。
【0035】
入力装置24は、キー、ボタン、ポインティングデバイス、及びタッチパネル等を含み、情報の入力に使用される。ディスプレイ25は例えば液晶ディスプレイなどであり、情報及びデータを表示する。
【0036】
プロセッサ21は、例えば、Central Processing Unit(CPU)である。CPUはMicroprocessor Unit(MPU)とも呼ばれる。プロセッサ21は、単一のプロセッサ構成であってもマルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一の物理CPUがマルチコア構成を有していても良い。プロセッサ21は、Digital Signal Processor(DSP)、或いはGraphics Processing Unit(GPU)などの様々な回路構成の演算装置を含んでも良い。また、プロセッサ21は、集積回路(IC)、その他のディジタル回路、及びアナログ回路などの少なくとも一つと連携する構成を有していてもよい。集積回路は、LSI、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、及びプログラマ
ブルロジックデバイス(PLD)などを含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。プロセッサ21は、例えば、マイクロコントローラ(MCU
)、SoC(System-on-a-chip)、システムLSI、或いはチップセットなどと呼ばれるものも含む。
【0037】
プロセッサ21は、記憶装置22に記憶された各種のプログラムを実行することによって、様々な処理を行う。
【0038】
<テーブルの構成>
図3は、サーバ2の記憶装置22に記憶された車両データベース(車両DB)のデータ構造例を示す。車両DBは、管理対象の鉄道車両(編成)毎に、鉄道車両に関する情報の管理に使用される。図3には、1つの鉄道車両(鉄道車両10、識別子(ID)=V1)に関して保持される情報要素が示されている。
【0039】
図3において、車両DBは、鉄道車両10(ID=V1)に関して、車両情報と、現在位置と、移動情報と、搬送施設情報とを記憶することができる。IDは鉄道車両10の識別子である。車両情報は、鉄道車両10の編成を示す情報(車両数、始発駅、停車駅、及び終点、各駅の着発予定時刻)などを示す。
【0040】
現在位置は、端末3から受信された端末3の現在位置、或いは、鉄道車両10のエンコーダによって計測された走行距離から換算される現在位置を示す情報である。
【0041】
移動情報は、停車予定位置と、停車可能位置と、停車時間との夫々を示す情報を含む。移動情報は、さらに、停車予定位置又は停車可能位置の施設情報を含んでもよい。停車予定位置及び停車可能位置は、図1で例示した、停車可能位置SS1、SS2、及びSS3と、停車可能位置SC1などを示す情報である。停車時間は、各停車予定位置における着発予定時刻を示す情報である。但し、停車可能位置には非常時の停車位置を示すため、停車時間の情報はない。停車可能位置の利用が決定された場合、停車可能位置への到着予定時刻がプロセッサ21などによって計算される。
【0042】
施設情報は、停車予定位置又は停車可能位置が属する施設に関する情報である。施設は、駅、車庫、又は基地であり、施設において救助者が採ることができる救助の行為を示す情報を含んでもよい。施設情報は、施設に対する人12が利用可能なアクセス方法(移動手段)を示す情報を含む。例えば、人12の車両等(自家用車)の駐車スペースがある場合、車両でのアクセスが認められる。駐車スペースがない場合、公共交通機関か徒歩でのアクセスとなる。
【0043】
また、停車予定位置又は停車可能位置と関連づけて、搬送施設情報が記憶されてもよい。搬送施設情報は、被救助者の搬送先の施設(病院、診療所、或いは接骨院など)の名称、住所(位置)、及び連絡先などを示す情報である。停車予定位置及び停車可能位置において、人11を安全に鉄道車両10から降ろすことが可能であるため、本実施形態では、停車予定位置又は停車可能位置が、被救助者と救助者との合流地点となる。
【0044】
図4は、サーバ2の記憶装置22に記憶された救助者データベース(救助者DB)のデータ構造例を示す。救助者DBは、テーブル構造を有し、救助者として登録された人12ごとに用意された複数のレコードからなる。レコードは、救助者のID(識別子)と、個人情報と、現在位置と、移動手段と、可能行為と、対応可否の夫々を示す情報を記憶する。救助者DBに記憶された情報は、例えば、人12が対応する端末4を操作して、サーバ2にアクセスし、事前に登録する。端末4の夫々の位置情報は、定期的にサーバ2に送信され、救助者DBの現在位置が更新される。
【0045】
個人情報は、救助者となる人12の氏名、性別、年齢、連絡先(住所、電話番号或いはメールアドレス)、及び端末4のネットワークアドレスなどを含む。現在位置として、端末4から受信される端末4の位置が、人12の現在位置として管理される。移動手段を示す情報は、人12が救助者として合流地点へ移動する場合に使う移動手段(徒歩、自転車、自家用車、或いは公共交通機関)と合流地点への移動の所要時間を示す情報を含む。可能行為は、人12が被救助者に対して実施可能な行為の種別を示す。行為は、見守り、付
き添い(歩行或いは移動の補助)、軽微なキズの処置、救急救命行為、及び看護師又は救急救命士が可能な医療行為、及び医師のみが可能な医療行為などを含む。
【0046】
対応可否は、現時点での救助者としての呼び出しに応じられる状態か否かを示す。この対応可否を示す状態(OK又はNG)は、人12が端末4を用いて適宜変更することができる。
【0047】
<端末の構成>
図4は、端末3又は端末4として動作可能な端末装置30(以下端末30)の構成例を示す。端末30は、例えば、無線通信機能を有する携帯端末(移動端末:可搬性を有する端末)である。携帯端末は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のパーソナルコンピュータ(PC)、Personal Digital Assistant(PDA)、又はウェアラブルコンピュータである。但し、端末3は固定端末であってもよい。また、端末30は、鉄道車両10に載せられる車載端末であってもよい。端末4として使用される端末30は固定端末であってもよい。
【0048】
端末30は、バス37を介して相互に接続された、プロセッサ31と、記憶装置32と、通信インタフェース(通信IF)33と、入力装置34と、ディスプレイ35と、GPS受信機36とを含む。
【0049】
プロセッサ31、記憶装置32、通信IF33、入力装置34、ディスプレイ35の夫々は、プロセッサ21、記憶装置22、通信IF23、入力装置24、及びディスプレイ25について説明したものと同様のものを適用可能である。但し、用途及び使用目的等の違いに応じて、サーバ2に適用されるものと性能の異なるものが適用される。
【0050】
GPS受信機36は、GPS衛星からの電波を受信して、端末30の位置を検出する。プロセッサ31は、記憶装置32に記憶された各種のプログラムを実行することによって、様々な処理を行う。
【0051】
<動作例>
<<端末3の処理>>
端末3(端末3として動作する端末30)において、プロセッサ31は、記憶装置32に記憶されたプログラムを実行する。プログラムの実行によって、端末3は、人11の救助を求める救助要求のメッセージをサーバ2へ送信する処理を行う。また、プロセッサ31は、サーバ2から受信された通知のメッセージに含まれた、救助者と合流地点を出力(表示)する処理を行う。救助要求の生成及び送信、並びに救助者及び合流地点の表示に係る処理は、端末3にインストールされたウェブブラウザ又は専用のアプリケーションプログラム(アプリ)を用いて行われる。
【0052】
図6は、端末3における処理例を示すフローチャートである。ステップS001において、端末3のプロセッサ31は、入力装置34を用いて端末3に入力される、被救助者関連情報を受け付ける。端末3のユーザは、例えば、鉄道車両10の車掌又は運転手であるが、人11自身であってもよい。車掌、運転手及び人11以外であってもよい。
【0053】
被救助者関連情報は、被救助者としての人11に関わる情報である。被救助者関連情報は、人11の搭乗している号車番号、氏名、性別、年齢、血液型、服装、特徴、容態(病状、症状、又は怪我の程度など)、必要と思われる救助者の行為、及び救助者の人数などの夫々を示す情報を含む。但し、被救助者関連情報は、人11が失神している場合などがあるため、上述した情報から外見的に得られる情報(性別、服装、年齢の予想、及び症状など)のみでもよい。
【0054】
ステップS002では、プロセッサ31は、救助要求のメッセージを生成し、サーバ2へ送信する処理を行う。図7Aは、救助要求のメッセージのフォーマット例を示す。救助要求は、ヘッダ情報と、被救助者関連情報とを含む。ヘッダ情報は、メッセージID、メッセージ種別、送信先アドレス(サーバ2のアドレス:既知)、送信元アドレス(端末3のネットワークアドレス)、及びアプリケーション番号(救急要求のメッセージを処理するアプリの識別番号)などを含む。
【0055】
ステップS003では、プロセッサ31は、サーバ2からの通知のメッセージを待ち受ける状態となる。通知が受信されると処理がステップS004に進む。
ステップS004では、プロセッサ31は、通知に含まれる合流地点、救助者関連情報をディスプレイ35に表示(出力)する処理を行う。
【0056】
図7Bに示すように、通知のメッセージは、ヘッダ情報と、救助者関連情報と、合流地点情報とを含む。ヘッダ情報は、救助要求に含まれていたメッセージID、送信先アドレス(端末3のネットワークアドレス)、送信元アドレス(サーバ2のネットワークアドレス)、及びアプリケーション番号などを含む。救助者関連情報は、救助者の氏名、所属、連絡先、服装などの特徴を示す。合流地点情報は、停車予定位置(駅名、プラットホームの番号、救助者の待機場所(例えば被救助者が搭乗している号車の停車位置付近)を示す。
【0057】
<<サーバ2の処理>>
サーバ2において、プロセッサ21は、記憶装置22に記憶されたプログラムを実行する。プログラムの実行によって、サーバ2は、端末3からの救助要求のメッセージに対する処理を行い、救助要求に対応する通知を端末3及び救助者の端末4へ送信する処理を行う。
【0058】
図8は、サーバ2における処理例を示すフローチャートである。ステップS101において、サーバ2のプロセッサ21は、問合せのメッセージを待ち受け、メッセージが受信されたと判定すると、処理をステップS102に進める。
【0059】
ステップS102では、プロセッサ21は、記憶装置22に記憶された車両DB(図3)を参照し、鉄道車両10の移動情報を車両DBから読み出す(取得する)。ステップS103では、プロセッサ21は、記憶装置22に記憶された救助者DB(図4)を参照し、各救助者候補の現在位置を救助者DBから読み出す(取得する)。但し、対応可否の状態“NG”である人12の現在位置情報は、取得対象から除外される(救助者者候補とならない)。
【0060】
ステップS104では、プロセッサ21は、ステップS102で取得した移動情報と、ステップS103で取得した救助者候補(人12)の夫々の現在位置とを用いて、救助者及び合流地点の決定を行う。
【0061】
ステップS105では、プロセッサ21は、合流地点を示す情報を含む通知のメッセージを生成し、この通知のメッセージを端末3及び救助者の端末4に送信する。
【0062】
図9は、救助者及び合流地点の決定処理(ステップS104)のサブルーチンの例を示すフローチャートである。ステップS111では、プロセッサ21は、移動情報に含まれる、停車予定位置及び停車可能位置のうちのいずれか一つの位置を選択する。以下の説明において、この位置を「選択位置」と称する。
【0063】
ステップS112では、プロセッサ21は、現在位置情報に基づいて救助者候補を抽出する。すなわち、プロセッサ21は、救助者DBから得られた人12(端末4)の現在位置のうち、選択位置から所定の地理的範囲内に存する人12を、救助者候補として抽出する。所定の地理的範囲は、例えば、人12の現在位置が、選択位置の座標を中心とする所定半径の円内とすることができる。選択位置を中心とする図形は、円以外の楕円、三角形、或いは四角形以上の多角形であってもよい。なお、ステップS111と現在位置との距離が所定距離の範囲内にある人12が救助者候補として抽出されてもよい。なお、該当の人12がいない場合にはエラーが端末3に通知される。
【0064】
ステップS113では、ステップS112で抽出された救助者候補(人12)の夫々について、選択位置を合流地点と仮定したときにその位置で被救助者と合流可能な時刻(合流時刻)を算出する。救助者候補の夫々の選択位置への到着時刻の算出にあたり、救助者候補の移動速度として、移動手段毎に予め定めた平均速度を利用することができる。救助者候補の移動手段として、救助者候補が利用する移動手段であり、且つ選択位置が属する施設での利用が認められた移動手段のうち、移動速度が最も速いものが選択される。例えば、救助者候補が選択位置への移動に利用可能な移動手段が車両と徒歩の場合、徒歩より速い車両が救助者候補の移動速度として選択される。
【0065】
プロセッサ21は、救助者候補毎に、現在位置と選択位置との距離と、移動手段の移動速度とを用いて、移動の所要時間を計算し、選択位置への到着予定時刻を算出する。また、プロセッサ21は、選択位置への鉄道車両10の到着予定時刻を用いて、救助者候補の夫々が被救助者と合流する時刻を算出する。そして、合流時刻が早い順で、救助者候補から救助者を決定する。例えば、合流時刻が最も早い救助者候補を救助者と決定してもよい。
【0066】
ここで、救助者候補の選択位置への到着時刻が鉄道車両10の到着予定時刻より早い場合には、鉄道車両10の到着予定時刻が合流時刻として扱われる。これに対し、救助者候補の選択位置への到着時刻が鉄道車両10の到着予定時刻より遅い場合には、救助者候補の選択位置への到着時刻が合流時刻として扱われる。このように、鉄道車両10の到着前に選択位置へ到着可能な人12の順位は、同順位として扱われる。いずれも駅等にて待機できるため、その点において優劣がないからである。
【0067】
ステップS115では、プロセッサ21は、全ての選択位置についてのステップS112~S114の処理が終了したかを判定する。このとき、全ての選択位置についてのステップS112~S114の処理が終了したと判定された場合には、処理がステップS116に進む。これに対し、ステップS115で処理が終了していないと判定された場合には、処理がステップS111に戻り、他の選択位置が選択され、ステップS112~S114の処理が行われる。
【0068】
ステップS116に処理が進んだ場合には、プロセッサ21は、合流時刻が最も速い選択位置を合流地点に決定し、その合流地点への合流時刻が最も早い救助者候補を抽出する。
【0069】
ステップS117では、救助者の最終決定を行う。ステップS116の時点で、該当の救助者候補の数が救助要求で指定された救助者の人数(定員)と同数である場合には、救助者候補が救助者に決定される。これに対し、救助者の人数を救助者候補の数が救助者の人数を超過している場合には、適宜の手法で、人数分の救助者候補を救助者に決定する。
【0070】
例えば、合流地点への到着順の早い順で、人数分の救助者候補を救助者に決定してもよい。或いは、プロセッサ21は、被救助者の性別と同性の救助者候補を優先的に選択して
もよい。或いは、プロセッサ21は、被救助者に対して実施すべき行為(必要な行為)を示す情報と、複数の救助者候補の夫々が実施可能な行為を示す情報とに基づいて、必要な行為を実施可能な救助者候補を人数分抽出し、抽出した救助者候補を救助者に決定してもよい。最終的にどの救助者候補を救助者に決定するかは適宜設定可能である。ステップS117の処理が終了すると、処理がステップS105に進む。
【0071】
なお、プロセッサ21は、合流地点の決定にあたり、被救助車が病院などの施設への搬送を要する場合に、搬送施設情報を参照してもよい。そして、プロセッサ21は、搬送施設情報を用いて、停車予定位置又は停車可能位置と搬送先の施設との距離を算出し、距離が最短の停車予定位置又は停車可能位置を優先的に合流地点として決定してもよい。
【0072】
<<端末4の処理>>
図10は、救助者の端末4として動作する端末30の処理例を示すフローチャートである。ステップS201では、プロセッサ31は、サーバ2からの通知のメッセージを受信する。ステップS202では、プロセッサ31は、救助者関連情報及び合流地点情報を、ディスプレイ35に表示する処理を行う。ステップS203では、プロセッサ31は、現在位置から合流地点までの移動経路を計算し、救助者としての人を合流地点に案内する情報をディスプレイ35に表示する。救助者としての人12は、表示された情報を参照して、被救助者の救助に向かうことができる。
【0073】
<実施形態の効果>
実施形態に係る情報処理装置としてのサーバ2によれば、移動情報と救助者候補の夫々の位置情報に基づいて、救助者及び合流地点を決定する。これによって、鉄道車両10に乗って移動中の救助者に関して好適な合流地点と救助者を、鉄道車両10の運行スケジュール(移動予定経路及び移動スケジュール)に合わせて決定することができる。また、サーバ2によれば、救助者が最も早く被救助者と合流できる停車予定位置又は停車可能位置が合流地点として決定されるため、救助をいち早く行うことができる。また、サーバ2によれば、定員より多くの救助者候補者が選出された場合に、好適な者が救助者として決定される。
【0074】
<その他>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
【0075】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0076】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスクである。また、非一時的なコンピュータ可読媒体には、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0077】
1・・・ネットワーク
2・・・サーバ
3、4・・・端末
21、31・・・プロセッサ
22、32・・・記憶装置
23、33・・・通信インタフェース
24、34・・・入力装置
25、35・・・ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10