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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電力伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240730BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20240730BHJP
【FI】
H02J7/00 L
B60L55/00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020218310
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022103582
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村里 健次
(72)【発明者】
【氏名】橋本 広伸
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-109872(JP,A)
【文献】特開2013-240191(JP,A)
【文献】特開2014-057407(JP,A)
【文献】特開2015-019542(JP,A)
【文献】特開2015-133796(JP,A)
【文献】特開2020-068618(JP,A)
【文献】特開2020-078153(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0139335(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0164362(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 55/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と外部電源または外部負荷との間で電力変換を行う電力変換装置と、
前記車両とを備え、
前記電力変換装置は、
前記車両のインレットとの間で直流電力を伝送するように構成されたDCコネクタと、
前記外部電源から交流電力を受けるように構成された充電ポートと、
前記外部負荷に交流電力を出力するように構成された給電ポートと、
前記DCコネクタと前記充電ポートとの間で電力変換を実行可能であるとともに、前記DCコネクタと前記給電ポートとの間で電力変換を実行可能に構成された、双方向の電力変換回路と、
前記電力変換回路と前記充電ポートとを電気的に接続するか、前記電力変換回路と前記給電ポートとを電気的に接続するかを選択的に切り替えるように構成された切替回路と、
前記電力変換回路および前記切替回路を制御することによって、充電動作および給電動作を選択的に実行するように構成された制御回路とを含み、
前記充電動作は、前記外部電源から前記充電ポートを介して供給される交流電力を前記電力変換回路により直流電力に変換し、その直流電力を前記DCコネクタから出力することで前記車両を充電する動作であり、
前記給電動作は、前記車両から前記DCコネクタを介して供給される直流電力を前記電力変換回路により交流電力に変換し、その交流電力を前記給電ポートから出力することで前記外部負荷に給電する動作であり、
前記制御回路は、前記車両から前記DCコネクタを介して供給される電圧を、前記給電動作の実行時における前記制御回路の動作電圧に使用するように構成され、
前記車両は、前記インレットと前記DCコネクタとの接続検知後に、前記給電動作を実行するための前記制御回路の動作電圧を出力するように構成されたリレーを含む、電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市販されている電動車両(プラグインハイブリッド車、電気自動車等)には電動車両を充電するための電力変換装置が搭載されている。電力変換装置は、電動車両の外部に設けられた外部電源(給電設備)から供給される交流(AC:Alternating Current)電力を、車載バッテリを充電するための直流(DC:Direct Current)電力に変換する。
【0003】
今後、上記AC充電方式の外部電源(いわゆる普通充電器)に加えて、DC充電方式の外部電源(いわゆる急速充電器)の普及が進むことが予想されている。急速充電器ではAC/DC変換は行われない。そのため、急速充電器を主に使用するユーザにとっては、AC/DC変換を行う車載の電力変換装置は必ずしも必要でなくなる。そこで、車載(車両に備え付け)の電力変換装置に代わる、持ち運び可能な電力変換装置(いわばポータブル充電器)が提案されている(たとえば特開2020-78153号公報(特許文献1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-78153号公報
【文献】特開2020-68618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力変換装置に、車両への充電機能に加えて、車両からの給電機能を持たせることが考えられる。給電機能とは、より具体的には、車両(たとえば車載バッテリ)の直流電力を交流電力に変換し、その交流電力を外部機器(コンセント、車外の電気機器など)に給電する機能である。このような電力変換装置においては、充電と給電とを適切に管理することが望ましい。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、車両の外部に設けられた電力変換装置において、充電と給電とを適切に管理することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示のある局面に従う電力変換装置は、車両と外部電源または外部負荷との間で電力変換を行う電力変換装置であって、DCコネクタと、ACコネクタと、電力変換回路と、切替回路と、制御回路とを備える。DCコネクタは、車両のインレットとの間で直流電力を伝送するように構成されている。充電ポートは、外部電源から交流電力を受けるように構成されている。給電ポートは、外部負荷に交流電力を出力するように構成されている。電力変換回路は、双方向の電力変換回路であり、DCコネクタと充電ポートとの間で電力変換を実行可能であるとともに、DCコネクタと給電ポートとの間で電力変換を実行可能に構成されている。切替回路は、電力変換回路と充電ポートとを電気的に接続するか、電力変換回路と給電ポートとを電気的に接続するかを選択的に切り替えるように構成されている。制御回路は、電力変換回路および切替回路を制御することによって、充電動作および給電動作を選択的に実行するように構成されている。
【0008】
充電動作は、外部電源から充電ポートを介して供給される交流電力を電力変換回路により直流電力に変換し、その直流電力をDCコネクタから出力することで車両を充電する動作である。給電動作は、車両からDCコネクタを介して供給される直流電力を電力変換回路により交流電力に変換し、その交流電力を給電ポートから出力することで外部負荷に給電する動作である。
【0009】
(2)電力変換回路、充電ポートおよび給電ポートの各々は、第1端子および第2端子を含む。切替回路は、第1および第2のリレーを含む。第1のリレーは、電力変換回路の第1端子を、充電ポートの第1端子と接続するか、給電ポートの第1端子と接続するかを切り替えるように構成されている。第2のリレーは、電力変換回路の第2端子を、充電ポートの第2端子と接続するか、給電ポートの第2端子と接続するかを切り替えるように構成されている。
【0010】
上記(1),(2)の構成においては、切替回路により、電力変換回路と充電ポートとを電気的に接続するか、電力変換回路と給電ポートとを電気的に接続するかが選択的に切り替えられる。充電ポートと給電ポートとが電気的に接続されることはない。したがって、充電ポートに接続された外部電源と、給電ポートに接続された外部負荷との間が電気的に遮断された状態を常に確保できる(詳細は後述)。よって、上記(1)の構成によれば、電力変換装置の充電と給電とを適切に管理できる。
【0011】
(3)制御回路は、車両からDCコネクタを介して供給される電圧を、給電動作の実行時における制御回路の動作電圧に使用するように構成されている。
【0012】
(4)制御回路は、外部機器から給電ポートを介して供給される電圧を、充電動作の実行時における制御回路の動作電圧に使用するように構成されている。
【0013】
上記(3),(4)の構成においては、電力変換装置の外部から供給される動作電圧により制御回路が動作する。したがって、上記(3),(4)の構成によれば、電力変換装置の動作電圧の供給源(内蔵バッテリなど)を電力変換装置内に設けなくてよくなるので、電力変換装置の構造を単純化し、部材コストも削減できる。
【0014】
(5)電力変換装置は、充電動作および給電動作のうちのいずれか一方を選択するユーザ操作を受け付けるように構成された操作部をさらに備える。制御回路は、操作部がユーザ操作を受け付けるまでは、充電ポートと電力変換回路とが電気的に接続されるように切替回路を制御する。
【0015】
上記(5)の構成においては、操作部がユーザ操作を受け付けるまでは充電動作が選択された状態をデフォルトとする。一般に、充電動作の方が給電動作よりも選択される機会が多い。よって、上記(5)の構成によれば、ユーザが充電動作を選択する手間を省くことができる。
【0016】
(6)本開示の他の局面に従う電力伝送システムは、上記電力変換装置と、車両とを備える。車両はリレーを含む。リレーは、インレットとDCコネクタとの接続検知後に、給電動作を実行するための制御回路の動作電圧を出力するように構成されている。
【0017】
上記(6)の構成によれば、インレットと充電ポートとの接続を検知してから、より確実に動作電圧を供給できる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、車両の外部に設けられた電力変換装置において、充電と給電とを適切に管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態に係るポータブル充電器の充電動作時における電力伝送システムの全体構成を概略的に示す模式図である。
図2】ポータブル充電器の充電動作時における電力伝送システムの構成をより詳細に示す回路ブロック図である。
図3】AC/DC変換器の回路構成の一例を示す図である。
図4】本実施の形態に係るポータブル充電器の給電動作時における電力伝送システムの全体構成を概略的に示す模式図である。
図5】ポータブル充電器の給電動作時における電力伝送システムの構成をより詳細に示す回路ブロック図である。
図6】本実施の形態に係るポータブル充電器の充電動作および給電動作を示すフローチャートである。
図7】DCコネクタの接続面の一例を示す図である。
図8】給電動作のための動作電圧をポータブル充電器に供給する回路構成を示す回路ブロック図である。
図9】給電動作に先立つ車両およびポータブル充電器の制御を示すフローチャートである。
図10】充電動作のための動作電圧をポータブル充電器に供給する回路構成を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0021】
[実施の形態]
<電力伝送システムの全体構成>
図1は、本実施の形態に係るポータブル充電器の充電動作時における電力伝送システムの全体構成を概略的に示す模式図である。図2は、本実施の形態に係るポータブル充電器2の給電動作時における電力伝送システム9の全体構成を概略的に示す模式図である。図1および図2を参照して、電力伝送システム9は、車両1と、ポータブル充電器2と、外部機器3とを備える。
【0022】
車両1は、外部機器3から供給される電力による充電(いわゆる外部充電)が可能に構成されている。また、車両1は、車両1に蓄えられた電力(車両1で発電された電力であってもよい)を外部機器3に給電(いわゆる外部給電)も可能に構成されている。本実施の形態において、車両1は電気自動車(EV:Electric Vehicle)である。しかし、車両1の種類は、外部充電および外部給電の両方が可能であれば、プラグインハイブリッド車(PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)であってもよいし、プラグイン燃料電池車(PFCV:Plug-in Fuel Cell Vehicle)であってもよい。
【0023】
ポータブル充電器2は、充電機能に加えて給電機能も有する電力変換装置である。ポータブル充電器2は、ユーザにより車両1に必要に応じて搭載される。そして、たとえば車両1の外出先において車両1を充電する場合、および/または、車両1から給電する場合に、車両1から取り出されて使用される。
【0024】
外部機器3は、車両1およびポータブル充電器2の外部に設けられた機器である。ポータブル充電器2の充電動作時における外部機器3は、図1に示すように、交流電力を外部に供給可能な外部電源3Aである。外部電源3Aは、たとえば車両用の充電設備(ユーザの自宅に設置された充電器、公共の充電スタンド等)である。外部電源3Aは、系統電源に接続された電力設備(コンセント等)であってもよい。図1には、ポータブル充電器2の充電動作開始に先立ち、車両1のインレット11と外部電源3Aのコネクタ31(この例ではコンセント)とがポータブル充電器2を介して電気的に接続された状況が図示されている。
【0025】
一方、ポータブル充電器2の給電動作時における外部機器3は、図2に示すように、外部から交流電力の供給を受ける外部負荷3Bである。外部負荷3Bは、たとえば、交流電力を消費する各種電気機器であり得る。図2には、ポータブル充電器2の給電動作開始に先立ち、車両1のインレット11と外部負荷3Bのコネクタ32(この例ではプラグ)とがポータブル充電器2を介して電気的に接続された状況が図示されている。
【0026】
<ポータブル充電器の詳細構成>
図3は、ポータブル充電器2の充電動作時における電力伝送システム9の構成をより詳細に示す回路ブロック図である。図4は、ポータブル充電器2の給電動作時における電力伝送システム9の構成をより詳細に示す回路ブロック図である。
【0027】
図3および図4を参照して、車両1は、インレット11と、電圧センサ12と、電流センサ13と、充電リレー14と、バッテリ15と、PCU(Power Control Unit)16と、モータジェネレータ17と、動力伝達ギヤ18と、駆動輪19と、ECU(Electronic Control Unit)10とを備える。
【0028】
インレット11は、嵌合等の機械的な連結を伴ってポータブル充電器2のDCコネクタ26を挿入することが可能に構成されている。DCコネクタ26の挿入に伴い、車両1とポータブル充電器2とが電気的に接続される。また、車両1のECU10とポータブル充電器2のコントローラ20とがCAN(Controller Area Network)等の通信規格に従う通信線CLにより接続される。これにより、ECU10とコントローラ20との間で各種情報(指令、メッセージまたはデータ等)を相互に送受信することが可能になる。
【0029】
電圧センサ12は、インレット11と充電リレー14との間において電力線間の直流電圧を検出し、その検出結果をECU10に出力する。電流センサ13は、上記電力線を流れる電流を検出し、その検出結果をECU10に出力する。ECU10は、電圧センサ12および電流センサ13による検出結果に基づき、ポータブル充電器2から車両1への供給電力(バッテリ15の充電電力)を算出できる。
【0030】
充電リレー14は、インレット11とバッテリ15との間に電気的に接続されている。ECU10からの指令に従って充電リレー14が閉成されると、インレット11とバッテリ15との間での電力伝送が可能な状態となる。
【0031】
バッテリ15は、複数のセル(図示せず)を含む組電池である。各セルは、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池などの二次電池である。バッテリ15は、車両1の駆動力を発生させるための電力を供給する。また、バッテリ15は、モータジェネレータ17により発電された電力を蓄える。さらに、バッテリ15は、外部電源3Aからポータブル充電器2を介して供給される電力により充電される。
【0032】
PCU16は、コンバータおよびインバータ(いずれも図示せず)を含む。PCU16は、ECU10からの指令に従って、バッテリ15から供給された電力を用いてモータジェネレータ17を駆動する。
【0033】
モータジェネレータ17は、交流回転電機である。モータジェネレータ17の出力トルクは、動力伝達ギヤ18を通じて駆動輪19に伝達され、車両1を走行させる。また、モータジェネレータ17は、車両1の制動動作時には、駆動輪19の回転力によって発電することができる。モータジェネレータ17による発電電力は、PCU16によってバッテリ15の充電電力に変換される。
【0034】
ECU10は、各センサ等からの信号に応じて、車両1が所望の状態となるように機器類(充電リレー14、PCU16等)を制御する。なお、ECU10は、機能毎に複数のECU(電池ECU、MG-ECU等)に分割して構成されていてもよい。
【0035】
ポータブル充電器2は、外部電源3Aから供給される交流電力を直流電力に変換し、その直流電力により車両1に搭載されたバッテリ15を充電する。また、ポータブル充電器2は、車両1から供給される直流電力を交流電力に変換し、その交流電力を外部負荷3B(図4および図5参照)に給電する。
【0036】
ポータブル充電器2は、AC充電ポート21と、AC給電ポート22と、切替回路23と、電力線ACLと、電圧センサ241と、電流センサ242と、AC/DC変換器25と、給電線PL,NLと、電圧センサ243と、電流センサ244と、DCコネクタ26と、操作パネル27と、インジケータ28と、通信モジュール29と、コントローラ20とを備える。ポータブル充電器2の構成要素のうち外部インターフェース(AC充電ポート21、AC給電ポート22およびDCコネクタ26)以外の構成要素は、単一の筐体SH(図1および図2参照)の表面または内部に配置することができる。
【0037】
AC充電ポート21は、ポータブル充電器2の充電動作開始に先立ち、外部電源3Aのコネクタ31(コンセント等)と機械的に接続されるように構成されている(図3参照)。AC充電ポート21は、外部電源3Aのコネクタ31と接続された状態において、外部電源3Aから供給される交流電力を受ける。AC充電ポート21は、第1端子taおよび第2端子tbを含む。第1端子Taは、リレー231に電気的に接続されている。第2端子tbは、リレー232に電気的に接続されている。
【0038】
AC給電ポート22は、ポータブル充電器2の給電動作開始に先立ち、外部負荷3Bのコネクタ32(プラグ等)と機械的に接続されるように構成されている(図4参照)。AC給電ポート22は、外部負荷3Bのコネクタ32と接続された状態において、外部負荷3Bに供給するための交流電力を出力する。AC給電ポート22は、第1端子Tcおよび第2端子Tdを含む。第1端子Tcは、リレー231に電気的に接続されている。第2端子Tdは、リレー232に電気的に接続されている。
【0039】
切替回路23は、コントローラ20からの指令に従って、AC充電ポート21とAC/DC変換器25とを電気的に接続するか、AC給電ポート22とAC/DC変換器25とを電気的に接続するかを切り替えるように構成されている。切替回路23は、この例では2つのリレー231,232を含む。各リレー231,232は、1回路-2接点(SPDT:Single Pole Double Throw)型の回路構成を有する。
【0040】
リレー(第1のリレー)231は、AC/DC変換器25の第1端子t1を、AC充電ポート21の第1端子taと接続するか、AC給電ポート22の第1端子tcと接続するかを切り替えるように構成されている。リレー(第2のリレー)232は、AC/DC変換器25の第2端子t2を、AC充電ポート21の第2端子tbと接続するか、AC給電ポート22の第2端子tdと接続するかを切り替えるように構成されている。
【0041】
ポータブル充電器2の充電動作には、図3に示すように、AC充電ポート21とAC/DC変換器25とが電力線ACLを介して電気的に接続されているように、切替回路23の接点が選択される。より詳細には、リレー231は、AC/DC変換器25の第1端子t1とAC充電ポート21の第1端子taとを接続する。リレー232は、AC/DC変換器25の第2端子t2とAC充電ポート21の第2端子tbとを接続する。
【0042】
一方、ポータブル充電器2の給電動作には、図4に示すように、AC給電ポート22とAC/DC変換器25とが電力線ACLを介して電気的に接続されているように、切替回路23の接点が選択される。より詳細には、リレー231は、AC/DC変換器25の第1端子t1とAC給電ポート22の第1端子tcとを接続する。リレー232は、AC/DC変換器25の第2端子t2とAC給電ポート22の第2端子tdとを接続する。
【0043】
電力線ACLは、切替回路23とAC/DC変換器25とを電気的に接続する。電力線ACLは、切替回路23とAC/DC変換器25との間で交流電力を伝送する。
【0044】
電圧センサ241は、電力線ACL間の交流電圧を検出し、その検出結果をコントローラ20に出力する。電流センサ242は、電力線ACLを流れる交流電流を検出し、その検出結果をコントローラ20に出力する。
【0045】
AC/DC変換器25は、外部電源3Aから供給される電力線ACL上の交流電力を、車両1に搭載されたバッテリ15を充電するための直流電力に変換する(AC/DC変換動作)。また、AC/DC変換器25は、車両1から供給される直流電力を、外部負荷3Bに給電するための交流電力に変換することも可能に構成されている(DC/AC変換動作)。すなわち、AC/DC変換器25は、双方向の電力変換動作が可能に構成されている。
【0046】
図5は、AC/DC変換器25の回路構成の一例を示す図である。図5を参照して、AC/DC変換器25は、PFC(Power Factor Correction)回路251と、絶縁回路252と、遮断スイッチ253と、整流回路254とを含む。
【0047】
PFC回路251は、整流回路251aと、インバータ251bとを含む。整流回路251aは、交流電力を整流するとともに昇圧し、昇圧した直流電力をインバータ251bに出力する。より具体的には、整流回路251aは、昇圧チョッパ回路であって、2つの上下アームと、2つのリアクトルと、平滑コンデンサとを含む。各上下アームにおいて、上アームはダイオードを含み、下アームはスイッチング素子を含む。
【0048】
インバータ251bは、整流回路251aからの直流電力を高周波の交流電力に変換する。インバータ251bは、たとえばフルブリッジ回路であって、4つのスイッチング素子を含む。各スイッチング素子は、制御装置111によって制御される。
【0049】
絶縁回路252は、絶縁トランスであって、第1コイル252aと第2コイル252bとを含む。絶縁回路252は、第1コイル252aよりもPFC回路251側の電力経路と、第2コイル252bよりも整流回路254側の電力経路とを電気的に絶縁する。その上で、絶縁回路252は、第1コイル252aに印加される交流電圧を昇圧して第2コイル252bに出力する。
【0050】
遮断スイッチ253は、第2コイル252bと整流回路254との間に電気的に接続されている。第2コイル252bに流れる電流の導通/遮断を切り替え可能に構成されている。
【0051】
整流回路254は、絶縁回路252の第2コイル252bからの交流電力を直流電力に変換する。整流回路254は、ダイオードブリッジ回路であって、4つのダイオードを含む。なお、AC/DC変換器25は、本開示に係る「電力変換回路」に相当する。
【0052】
図3および図4を再び参照して、給電線PL,NLは、AC/DC変換器25とDCコネクタ26とを電気的に接続する。給電線PL,NLは、AC/DC変換器25とDCコネクタ26との間で直流電力を伝送する。
【0053】
電圧センサ243は、給電線PLと給電線NLとの間の直流電圧を検出し、その検出結果をコントローラ20に出力する。電流センサ244は、給電線PLを流れる直流電流を検出し、その検出結果をコントローラ20に出力する。
【0054】
DCコネクタ26は、車両1のインレット11に挿入することが可能に構成されている。DCコネクタ26は、ポータブル充電器2の充電動作時には、AC/DC変換器25からの直流電力をインレット11に出力する。DCコネクタ26は、ポータブル充電器2の給電動作時には、インレット11からの直流電力を受ける。
【0055】
操作パネル27は、ポータブル充電器2に対するユーザ操作を受け付ける。本実施の形態において、操作パネル27は、たとえば、ポータブル充電器2に充電動作をさせるか給電動作をさせるのかをユーザが選択する操作を受け付けるように構成されている。なお、操作パネル27は、本開示に係る「操作部」に相当する。
【0056】
インジケータ28は、コントローラ20からの指令に従って、ポータブル充電器2の動作状態をユーザに報知する。インジケータ28は、たとえば充電ランプおよび給電ランプ(いずれも図示せず)を含む。充電ランプは、ポータブル充電器2の充電動作時(AC/DC変換器25のAC/DC変換動作時)には点灯する一方で、それ以外の動作時には消灯する。一方、給電ランプは、ポータブル充電器2の給電動作時(AC/DC変換器25のDC/AC変換動作時)には点灯する一方で、それ以外の動作時には消灯する。これにより、ポータブル充電器2の近くにいるユーザがポータブル充電器2の動作状態を容易に確認できる。
【0057】
なお、インジケータ28は、充電ランプに代えて小型ディスプレイ(液晶パネル等)を含んでもよい。また、操作パネル27と小型ディスプレイとがタッチパネルとして一体的に構成されていてもよい。
【0058】
通信モジュール29は、コントローラ20からの指令に従って、ポータブル充電器2の動作状態をユーザの携帯端末(スマートホン等)に送信する。これにより、ユーザは、ポータブル充電器2から離れた場所からでもポータブル充電器2の動作状態を確認できる。たとえば、ユーザは、他の用事をしながらであっても充電または給電の終了タイミングを知ることができる。
【0059】
コントローラ20は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ201と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリ202と、入出力ポート203とを含む。コントローラ20は、計時のためのカウンタ(タイマー)を含んでもよい。コントローラ20は、電圧センサ241(または電圧センサ243)により検出された電圧、電流センサ242(または電流センサ244)により検出された電流、操作パネル27からの信号、車両1からの信号、ならびに、メモリ202に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、ポータブル充電器2の構成要素を制御する。具体的には、コントローラ20は、AC/DC変換器25によるAC/DC変換動作およびDC/AC変換動作を制御したり、インジケータ28の表示内容(充電ランプおよび給電ランプの点灯/消灯)を制御したり、通信モジュール29による通信を制御したりする。なお、コントローラ20は、本開示に係る「制御回路」に相当する。
【0060】
以上のように、ポータブル充電器2は、AC充電ポート21とAC給電ポート22とを別々に備え、充電動作および給電動作の両方が可能に構成されている。このような構成においては、ポータブル充電器2の充電と給電とを適切に管理可能であることが望ましい。より具体的に説明すると、図示しないが上記構成では、外部電源3AがAC充電ポート21に接続され、かつ、外部負荷3BがAC給電ポート22に接続される状況が生じ得る。その場合、外部電源3Aおよび外部負荷3Bのうちの一方が他方に悪影響を及ぼし得る。たとえば、外部電源3Aが単相200Vの交流電力を出力する一方で、外部負荷3Bが単相100Vを消費する機器である場合、外部電源3Aからの交流電力が外部負荷3Bに入力され、外部負荷3Bが故障する可能性がある。
【0061】
本実施の形態において、切替回路23は、電力線ACLの接続先をAC充電ポート21とAC給電ポート22との間で選択的(択一的)に切り替えるように構成されている。言い換えると、AC充電ポート21およびAC給電ポート22のうちのいずれか一方しか電力線ACLに接続されず、両方が同時に電力線ACLに接続されることはない。そのため、AC充電ポート21とAC給電ポート22との間は常に電気的に遮断されている。したがって、外部電源3AがAC充電ポート21に接続され、かつ、外部負荷3BがAC給電ポート22に接続されたとしても、外部電源3Aと外部負荷3Bとが電気的に接続されることを防止できる。よって、外部負荷3Bの故障を予防できる。つまり、外部電源3Aと外部負荷3Bとが相互的または一方的に悪影響を及ぼさないようにポータブル充電器2を管理できる。
【0062】
<制御フロー>
図6は、本実施の形態に係るポータブル充電器2の制御を示すフローチャートである。このフローチャートは、予め定められた演算周期毎に繰り返し実行される。このフローチャートに含まれる各ステップは、コントローラ20によるソフトウェア処理により実現されるが、コントローラ20内に作製されたハードウェア(電気回路)により実現されてもよい。以下、ステップをSと略す。
【0063】
当該フローチャートの実行開始に先立ち、車両1と外部機器3(外部電源3Aまたは外部負荷3B)との間にポータブル充電器2が接続されているものとする。詳細は後述するが、本実施の形態におけるコントローラ20の動作電圧は、車両1または外部機器3から供給される。ただし、コントローラ20の動作電圧の供給源は特に限定されない。コントローラ20が内蔵バッテリ(図示せず)を備えていてもよい。
【0064】
図6を参照して、S101において、コントローラ20は、充電機能および給電機能のうちのどちらの機能がユーザにより選択されているかを判定する。ユーザが操作パネル27を操作することで充電機能が選択されている場合(S101において充電機能)、コントローラ20は、処理をS111に進め、AC充電ポート21とAC/DC変換器25とが電力線ACLを介して電気的に接続されるように切替回路23を制御する(図3参照)。また、コントローラ20は、充電機能が選択された旨を表示するようにインジケータ28を制御する。
【0065】
一方、ユーザが操作パネル27を操作することで給電機能が選択されている場合(S101において給電機能)、コントローラ20は、処理をS121に進め、AC給電ポート22とAC/DC変換器25とが電力線ACLを介して電気的に接続されるように切替回路23を制御する(図4参照)。また、コントローラ20は、給電機能が選択された旨を表示するようにインジケータ28を制御する。
【0066】
ユーザが操作パネル27を操作していない場合(S101において選択なし)、コントローラ20は、充電機能が選択されている場合と同様に、AC充電ポート21とAC/DC変換器25とが電気的に接続されるように切替回路23を制御できる(S111)。つまり、ユーザが操作パネル27を操作する前のデフォルトの状態では、ポータブル充電器2は充電機能が選択された状態に暫定的に設定される。ポータブル充電器2においては、通常、充電機能の方が給電機能よりも選択されやすい(高頻度である)と考えられる。したがって、デフォルト=充電機能とすることで、ユーザが操作パネル27を操作する手間を省くことができる。
【0067】
S101にて充電機能が選択された場合(または、ユーザ操作が行われずデフォルトのままの場合)、コントローラ20は、AC充電ポート21とAC/DC変換器25とを切替回路23により電気的に接続した後(S111)、ユーザが操作パネル27に対して充電開始操作を行うまで待機する(S112においてNO)。充電開始操作の一例としては、操作パネル27に設けられた充電開始スイッチ(図示せず)を押す操作が挙げられる。充電開始操作が行われると(S112においてYES)、コントローラ20は、所定の充電シーケンスに従って外部電源3Aから車両1への充電を開始する(S113)。この充電シーケンスとしては公知の様々なシーケンスを採用できる。車両1への充電中、コントローラ20は、充電ランプを点灯するようにインジケータ28を制御する(S114)。
【0068】
コントローラ20は、車両1から送信される充電停止要求を受けるまでの間、処理をS113に戻し(S115においてNO)、車両1への充電を継続する。車両1は、バッテリ15が満充電に至った場合、タイマー充電において予め定められた時刻が到来した場合などに充電停止要求をポータブル充電器2に送信する。車両1から充電停止要求を受けると(S115においてYES)、コントローラ20は、車両1への充電を終了するようにAC/DC変換器25を制御する(S116)。さらに、コントローラ20は、インジケータ28を制御することで充電ランプを消灯させ、充電が終了した旨をユーザに報知する(S117)。その後、コントローラ20は、処理をメインルーチンに戻す。
【0069】
S101にて給電機能が選択された場合、コントローラ20は、AC給電ポート22とAC/DC変換器25とを切替回路23により電気的に接続した後(S121)、ユーザが操作パネル27に対して給電開始操作を行うまで待機する(S122においてNO)。給電開始操作の例としても、操作パネル27に設けられた給電開始スイッチ(図示せず)を押す操作が挙げられる。給電開始操作が行われると(S122においてYES)、コントローラ20は、車両1から外部負荷3Bへの給電を開始する(S123)。車両1からの給電は、典型的には定電力または定電圧で行われる。車両1からの給電中、コントローラ20は、給電ランプを点灯するようにインジケータ28を制御する(S124)。コントローラ20は、インジケータ28に代えてまたは加えて、通信モジュール29を用いた通知を行ってもよい。
【0070】
コントローラ20は、操作パネル27がユーザによる給電停止操作(図示しない給電停止スイッチを押す操作など)を受け付けるまでの間、処理をS123に戻し(S125においてNO)、車両1からの給電を継続する。給電停止操作に代えて、予め定められた時刻の到来時に給電を停止するようにしてもよい(タイマー給電)。操作パネル27が給電停止操作を受け付ける等すると(S125においてYES)、コントローラ20は、車両1からの給電を終了するようにAC/DC変換器25を制御する(S126)。さらに、コントローラ20は、インジケータ28を制御することで給電ランプを消灯させ、給電が終了した旨をユーザに報知する(S127)。コントローラ20は、インジケータ28に代えてまたは加えて、通信モジュール29を用いた通知を行ってもよい。S117またはS127の処理後、コントローラ20は、処理をメインルーチンに戻す。
【0071】
以上のように、本実施の形態においては、AC/DC変換器25とAC充電ポート21とを電気的に接続するか、AC/DC変換器25とAC給電ポート22とを電気的に接続するかを選択的に切り替えるように、切替回路23が構成されている。これにより、AC充電ポート21とAC給電ポート22との間が電気的に遮断された状態が常に確保されている。したがって、外部電源3AがAC充電ポート21に接続され、かつ、外部負荷3BがAC給電ポート22に接続されたとしても、外部電源3Aと外部負荷3Bとの間の電気的な相互作用をポータブル充電器2が媒介しないようにすることができる。よって、本実施の形態によれば、ポータブル充電器2において充電と給電とを適切に管理できる。
【0072】
また、本実施の形態では、コントローラ20は、充電機能が選択された状態を初期状態(デフォルト)として動作する(S101においてNO)。典型的なユーザにとっては、充電機能を選択する機会の方が給電機能を選択する機会よりも多い。そのため、どちらかの機能が選択されるまでは充電機能が選択されていると見なすことで、ユーザによる操作回数を低減し、操作パネル27のユーザビリティを向上させることができる。
【0073】
<コントローラの動作電圧>
続いて、コントローラ20の動作電圧がコントローラ20の外部からコントローラ20にどのように供給されるのかについて、詳細に説明する。
【0074】
図7は、DCコネクタ26の接続面の一例を示す図である。図7を参照して、DCコネクタ26は、この例ではチャデモ(CHAdeMO)方式の電力伝送規格に適合している。DCコネクタ26は、端子T1~T10を含む。
【0075】
端子T1は、グランド端子である。端子T2,T4,T7~T10は、信号端子であって、作動開始停止用、コネクタ接続確認用またはCAN信号伝送用などの各種端子を含む。端子T5,T6は、直流電力が入出力される電力端子(ポジティブ端子/ネガティブ端子)である。
【0076】
端子T3は、車両1に搭載された補機バッテリ101(図8参照)の補機電圧Vaux(たとえばVaux=12V)を伝送するための端子である。ポータブル充電器2は、車両1から端子T3を介して供給される補機電圧Vauxを用いて動作する。
【0077】
なお、DCコネクタ26が適合する電力伝送規格の種類は特に限定されるものではない。DCコネクタ26は、チャデモ方式以外の方式(CCS方式、GB/T方式、テスラ(Tesla)方式等)の規格に適合していてもよい。コントローラ20への動作電圧の供給に用いられるDCコネクタ26の端子は、DCコネクタ26が適合する電力伝送規格に応じて適宜定めることができる。
【0078】
図8は、給電動作のための動作電圧をポータブル充電器2に供給する回路構成を示す回路ブロック図である。図8を参照して、車両1は、補機バッテリ101と、補機リレー102とをさらに備える。補機リレー102は、補機バッテリ101とインレット11との間に電気的に接続され、ECU10からの指令に応じて開閉される。
【0079】
ポータブル充電器2のDCコネクタ26と車両1のインレット11とが接続されると、補機リレー102が閉成する。そうすると、補機バッテリ101とコントローラ20の動作電圧線OLとがDCコネクタ26の端子T3を介して電気的に接続される。これにより、補機バッテリ101の補機電圧Vauxを動作電圧としてコントローラ20に供給できる。
【0080】
なお、車両1またはポータブル充電器2は、補機バッテリ101の補機電圧Vauxを降圧する降圧コンバータをさらに備えてもよい。この降圧コンバータを用いることで、補機電圧Vauxからコントローラ20の動作電圧を生成できる。
【0081】
図9は、給電動作に先立つ車両1およびポータブル充電器2の制御を示すフローチャートである。図9では、図中左側に車両1のECU10により実行される処理を示し、右側にポータブル充電器2のコントローラ20により実行される処理を示している。図9に示したフローチャートは、図6に示したフローチャートに先立って実行される。なお、車両1ではイグニッションオン(IG-ON)操作が行われ、ECU10は起動しているものとする。
【0082】
図9を参照して、S201において、ECU10は、車両1のインレット11とポータブル充電器2のDCコネクタ26とが接続されているかどうかを判定する。この判定は、前述のコネクタ接続確認用の信号端子(たとえば端子T7)の電圧値に基づいて行うことができる。
【0083】
ポータブル充電器2のDCコネクタ26が接続されたことを検知すると(S201においてYES)、ECU10は、端子T3から動作電圧を供給する条件が成立しているかどうかを判定する(S202)。ECU10は、たとえば補機バッテリ101の補機電圧Vauxが規定の電圧範囲内である場合に上記条件が成立していると判定できる。動作電圧を供給する条件が成立していることを確認すると(S202においてYES)、ECU10は、補機リレー102を閉成することで、ポータブル充電器2への動作電圧の供給を開始する。この動作電圧の供給を受けて、ポータブル充電器2のコントローラ20が起動する(S100)。
【0084】
S100に続く処理は、図6にて説明したS101以降の処理と同様であるため、ここでの詳細な説明は繰り返さない。図示しないが、ECU10は、一連の給電シーケンス(S204)の実行後には補機リレー102を開放し、車両1からポータブル充電器2への動作電圧の供給を終了してもよい。
【0085】
以上のように、本実施の形態においては、ポータブル充電器2の外部からポータブル充電器2にコントローラ20の動作電圧が供給される。これにより、コントローラ20を動作させるためのポータブル充電器2の内蔵バッテリを削減できる。その結果、内蔵バッテリの電力切れを起こすことがなくなり、電力切れに備えた対策も不要になる。
【0086】
この例では、ポータブル充電器2の給電動作時におけるコントローラ20の動作電圧が車両1から供給される。電力供給源である車両1は十分な電力をバッテリ15に有しており、バッテリ15と補機バッテリ101との間での電力のやり取りも可能である。したがって、コントローラ20の動作電圧を余裕を持って供給できる。
【0087】
[変形例]
図10は、充電動作のための動作電圧をポータブル充電器2に供給する回路構成を示す回路ブロック図である。図10を参照して、ポータブル充電器2は、コントローラ20の動作電圧を生成するための小型のAC/DCコンバータ25aを備えてもよい。AC/DCコンバータ25aは、外部電源3Aから供給される交流電圧を、コントローラ20の動作電圧に変換する。この回路構成におけるポータブル充電器2の制御は、図6にて説明したフローチャートと同様であるため、説明は繰り返さない。
【0088】
ポータブル充電器2の充電動作時におけるコントローラ20の動作電圧については外部電源3Aから供給することで、コントローラ20の動作電圧を余裕を持って供給できる。ただし、ポータブル充電器2の充電動作時におけるコントローラ20の動作電圧を車両1から供給してもよい。
【0089】
また、ポータブル充電器2は、外部電源3Aからも車両1からも動作電圧の供給を受けることが可能なように構成されていてもよい。言い換えると、図8に示した回路億世と図10に示した回路構成とを組み合わせてもよい。
【0090】
ポータブル充電器2は、DCコネクタ26に代えて、直流電力(DC)および交流電力(AC)の両方に対応するコネクタを備えてもよい。すなわち、ポータブル充電器2は、AC/DC変換に加えて、AC/AC変換も可能に構成されていてもよい。また、ポータブル充電器2は、AC充電ポート21、AC給電ポート22およびDCコネクタ26の形状を、所望の電力伝送規格(チャデモ方式、CCS方式、GB/T方式、テスラ方式等)に適合するように取り替え可能に構成されていてもよい。
【0091】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
1 車両、10 ECU、11 インレット、12 電圧センサ、13 電流センサ、14 充電リレー、15 バッテリ、16 PCU、17 モータジェネレータ、18 動力伝達ギヤ、19 駆動輪、2 ポータブル充電器、20 コントローラ、201 プロセッサ、202 メモリ、203 入出力ポート、21 AC充電ポート、22 AC給電ポート、23 切替回路、25 AC/DC変換器、241,243 電圧センサ、242,244 電流センサ、25a AC/DCコンバータ、26 DCコネクタ、27 操作パネル、28 インジケータ、29 通信モジュール、101 補機バッテリ、102 補機リレー、111 制御装置、231,232 リレー、251 回路、251a,254 整流回路、251b インバータ、252 絶縁回路、252a 第1コイル、252b 第2コイル、253 遮断スイッチ、2020 特開、ACL 電力線、CL 通信線、NL,PL 給電線、OL 動作電圧線、SH 筐体、t1,t2,ta~td,T1~T10 端子、3 外部機器、3A 外部電源、3B 外部負荷、31,32 コネクタ、9 電力伝送システム。
図1
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図10