IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-超音波装置 図1
  • 特許-超音波装置 図2
  • 特許-超音波装置 図3
  • 特許-超音波装置 図4
  • 特許-超音波装置 図5
  • 特許-超音波装置 図6
  • 特許-超音波装置 図7
  • 特許-超音波装置 図8
  • 特許-超音波装置 図9
  • 特許-超音波装置 図10
  • 特許-超音波装置 図11
  • 特許-超音波装置 図12
  • 特許-超音波装置 図13
  • 特許-超音波装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】超音波装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20240730BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20240730BHJP
   H04R 1/44 20060101ALI20240730BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H04R17/00 330B
H04R17/00 332B
H04R17/00 330H
H04R17/00 330J
H04R3/00 330
H04R1/44 330K
A61B8/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020563074
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2019048874
(87)【国際公開番号】W WO2020137601
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2018242884
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】森本 類
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/139194(WO,A1)
【文献】特表2018-502467(JP,A)
【文献】特開2013-005040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 17/00
H04R 3/00
H04R 1/44
A61B 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波装置の第1の面側に配置され、上部電極と下部電極によって圧電材料層が挟まれた構造を有する超音波送信素子と、
前記超音波装置の前記第1の面とは反対側の面である第2の面と前記超音波送信素子の間に配置され、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)構造を有する超音波受信素子と
を具備する超音波装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波装置であって、
前記上部電極と前記下部電極の少なくとも一方は、前記超音波送信素子をアレイ状素子として独立制御させるアレイ状電極である
超音波装置。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波装置であって、
前記アレイ状電極の間の前記圧電材料層には溝構造が設けられていない
超音波装置。
【請求項4】
請求項1に記載の超音波装置であって、
音響吸収材料からなり、前記超音波送信素子に音響的に接合された音響吸収層
をさらに具備する超音波装置。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波装置であって、
前記音響吸収層は、前記圧電材料層の音響インピーダンスの1/10以下の音響インピーダンスを有する
超音波装置。
【請求項6】
請求項1に記載の超音波装置であって、
前記超音波受信素子の前記超音波送信素子とは反対側に設けられた音響整合層
をさらに具備する超音波装置。
【請求項7】
請求項1に記載の超音波装置であって、
前記超音波受信素子は、圧電材料薄膜を有する
超音波装置。
【請求項8】
請求項7に記載の超音波装置であって、
前記圧電材料薄膜は前記圧電材料層より厚みが薄い薄膜である
超音波装置。
【請求項9】
請求項7に記載の超音波装置であって、
前記圧電材料薄膜は、無機系圧電材料、有機系圧電材料又はこれらの組み合わせの圧電材料からなる
超音波装置。
【請求項10】
請求項1に記載の超音波装置であって、
前記超音波送信素子と前記超音波受信素子の間に配置された半導体基板
をさらに具備する超音波装置。
【請求項11】
請求項10に記載の超音波装置であって、
前記超音波受信素子は圧電材料薄膜を有し、
前記半導体基板において、前記圧電材料薄膜と前記超音波送信素子の間にはキャビティが設けられている
超音波装置。
【請求項12】
請求項10に記載の超音波装置であって、
前記半導体基板の前記圧電材料層側には半導体回路が設けられている
超音波装置。
【請求項13】
請求項12に記載の超音波装置であって、
前記半導体回路は、チャージポンピング回路、ドライバ回路、アドレス選択回路、増幅回路、アナログ演算回路、アナログ-デジタル変換回路、デジタル演算回路、電源回路、変調回路及びインピーダンス整合回路のうち一つ以上を含む
超音波装置。
【請求項14】
請求項13に記載の超音波装置であって、
前記増幅回路は、ローノイズ回路、差動アンプ及び対数変換アンプのいずれかである
超音波装置。
【請求項15】
請求項12に記載の超音波装置であって、
前記半導体基板は、前記超音波受信素子と前記半導体回路を接続する貫通電極を有する
超音波装置。
【請求項16】
請求項12に記載の超音波装置であって、
前記圧電材料層は、前記半導体回路と前記下部電極を接続する貫通ビア電極を有する
超音波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、超音波の送受信を行う超音波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波の送受信が可能なアレイ型超音波装置は、生体構造や心拍、血流等の情報を取得できることから、医療のみならずヘルスケアデバイス等の一般民生製品への応用が検討されている。
【0003】
超音波装置は、一般に電圧の印加により超音波振動を生じる圧電素子を用いて構成される。しかしながら、従来型の構造ではバッキングと呼ばれる音響吸収層のサイズが大きく、一般診療用途では問題ないものの、ウェアラブル機器に搭載するにはサイズが大きすぎる。
【0004】
また、アレイ型超音波装置は一般に、Dice&Fillと呼ばれるダイシングとカーフ溝にエポキシ樹脂を充填するプロセスによって作製されるが、この製法ではアレイ毎にダイシングをすることからスループットが悪い。また、電極からの配線引き出しのため、フレキシブル基板のランド部との接合工程を個々の超音波装置で行う必要があることから量産性に課題がある。
【0005】
一方、近年ではMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)構造を採ったアレイ型超音波装置が注目されている。MEMSを利用することで小型化及び低背化が可能な装置とすることができ、血管内超音波カテーテル等への適用も研究されている。例えば、特許文献1にはMEMS構造を備える超音波プローブが開示されている。
【0006】
MEMSでは、圧電材料に空隙が設けられ、メンブレン構造と呼ばれる梁構造が形成される。このメンブレン構造が振動することにより発生した電荷を電流の形式で受信することにより、超音波の検知が可能である。MEMSは半導体プロセスで製造することができるため、量産性が高く、同一基板上に増幅回路等を搭載できることから、受信信号のS/N比も高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-071842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、メンブレン構造を基本とするMEMSでは、高い送信音圧の超音波を発生させることが困難であり、信頼性も不十分である。
【0009】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、高い送信強度と高い受信感度を有し、信頼性及び量産性に優れる超音波装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本技術に係る超音波装置は、超音波送信素子と、超音波受信素子とを具備する。
上記超音波送信素子は、上記超音波装置の第1の面側に配置され、上部電極と下部電極によって圧電材料層が挟まれた構造を有する。
上記超音波受信素子は、上記超音波装置の上記第1の面とは反対側の面である第2の面と上記超音波送信素子の間に配置され、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)構造を有する。
【0011】
この構成によれば、超音波装置はMEMS構造を有し、受信感度が高い超音波受信素子と、超音波送信強度が高い超音波送信素子を備えるため、高い送信強度と高い受信感度を有するものとすることができる。また、この超音波装置は半導体プロセスにより作製することが可能であり、信頼性及び量産性に優れたものとすることができる。
【0012】
上記上部電極と上記下部電極の少なくとも一方は、上記超音波送信素子をアレイ状素子として独立制御させるアレイ状電極であってもよい。
【0013】
上記アレイ状電極の間の上記圧電材料層には溝構造が設けられていなくてもよい。
【0014】
上記超音波装置は、音響吸収材料からなり、上記超音波送信素子に音響的に接合された音響吸収層をさらに具備してもよい。
【0015】
上記音響吸収層は、上記圧電材料層の音響インピーダンスの1/10以下の音響インピーダンスを有してもよい。
【0016】
上記超音波装置は、上記超音波受信素子の上記超音波送信素子とは反対側に設けられた音響整合層をさらに具備してもよい。
【0017】
上記超音波受信素子は、圧電材料薄膜を有してもよい。
【0018】
上記圧電材料薄膜は上記圧電材料層より厚みが薄い薄膜であってもよい。
【0019】
上記圧電材料薄膜は、無機系圧電材料、有機系圧電材料又はこれらの組み合わせの圧電材料からなるものであってもよい。
【0020】
上記超音波装置は、上記超音波送信素子と上記超音波受信素子の間に配置された半導体基板をさらに具備してもよい。
【0021】
上記半導体基板において、上記圧電材料薄膜と上記超音波送信素子の間にはキャビティが設けられていてもよい。
【0022】
上記半導体基板の上記圧電材料層側には半導体回路が設けられていてもよい。
【0023】
上記半導体回路は、チャージポンピング回路、ドライバ回路、アドレス選択回路、増幅回路、アナログ演算回路、アナログ-デジタル変換回路、デジタル演算回路、電源回路、変調回路及びインピーダンス整合回路のうち一つ以上を含むものであってもよい。
【0024】
上記増幅回路は、ローノイズ回路、差動アンプ及び対数変換アンプのいずれかであってもよい。
【0025】
上記半導体基板は、上記超音波受信素子と上記半導体回路を接続する貫通電極を有してもよい。
【0026】
上記圧電材料層は、上記半導体回路と上記下部電極を接続する貫通ビア電極を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本技術の実施形態に係る超音波装置の斜視図である。
図2】同超音波装置の反対側からみた斜視図である。
図3】同超音波装置の断面図である。
図4】同超音波装置が備えるアレイ部の断面図である。
図5】同超音波装置が備えるアレイ部の一部構成の断面図である。
図6】同超音波装置の製造プロセスを示す模式図である。
図7】同超音波装置の製造プロセスを示す模式図である。
図8】同超音波装置の製造プロセスを示す模式図である。
図9】同超音波装置の製造プロセスを示す模式図である。
図10】同超音波装置の製造プロセスを示す模式図である。
図11】同超音波装置の製造プロセスを示す模式図である。
図12】同超音波装置の製造プロセスを示す模式図である。
図13】同超音波装置の製造プロセスを示す模式図である。
図14】同超音波装置の製造プロセスを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本技術の実施形態に係る超音波装置について説明する。
【0029】
[超音波装置の全体構成]
図1は、本実施形態に係る超音波装置100の斜視図である。図2は超音波装置100を図1の裏面側から見た図であり、一部を透視して示す斜視図である。なお、以下の各図において相互に直交する3方向をそれぞれX方向、Y方向及びZ方向とする。
【0030】
超音波装置100は、超音波の送信及び受信が可能な装置である。超音波装置100は測定対象物に超音波を送信し、測定対象物の反射波を受信することで測定対象物の情報を取得することが可能である。測定対象物は典型的には生体であり、超音波装置100は医療用やヘルスケア等の各種分野に利用可能である。また、測定対象物は生体に限られず、超音波装置100は超音波による測定が可能な各種分野に利用することができる。
【0031】
図1に示すように、超音波装置100は、アレイ領域151と周辺回路領域152を有する。アレイ領域151は超音波装置100の中央部に設けられ、超音波素子のアレイが形成されている領域である。周辺回路領域152は、アレイ領域151の周囲に設けられ、超音波の送受信等に係る回路が設けられている領域である。
【0032】
なお、アレイ領域151と周辺回路領域152の配置は図1に示すものに限られず、例えば超音波装置100の一辺にのみ周辺回路領域152が設けられてもよい。
【0033】
図3は、アレイ領域151と周辺回路領域152を含む超音波装置100のY-Z平面での断面図であり、図4はアレイ領域151のみを含む超音波装置100のX-Z平面での断面図である。これらの図に示すように、超音波装置100は、音響吸収層101、圧電材料層102、半導体基板103、MEMS層104、音響整合層105、下部電極106及び上部電極107を備える。
【0034】
アレイ領域151には、後述する超音波送信素子131及び超音波受信素子132が設けられており、周辺回路領域152には、超音波送信素子131及び超音波受信素子132が設けられず、周辺回路が設けられている。
【0035】
超音波装置100は、生体等の測定対象物に音響整合層105が接触するように配置される。超音波装置100の表裏面のうち、音響吸収層101側の面を第1の面100aとし、第1の面100aの反対側である音響整合層105側の面を第2の面100bとする。
【0036】
超音波送信素子131は圧電材料層102、下部電極106及び上部電極107によって構成され、超音波装置100の第1の面100a側に配置されている。超音波受信素子132はMEMS層104において構成され、第2の面100bと超音波送信素子131の間に配置されている。
【0037】
超音波送信素子131は、第2の面100b側に向けて超音波を送信する。測定対象物によって生じた超音波の反射波は超音波受信素子132によって受信される。
【0038】
音響吸収層101は、圧電材料層102に音響的に接合され、圧電材料層102に蓄積される反射音波を吸収し、残響を削減する。音響吸収層101は、フィラーと合成樹脂を混合した材料等である音響吸収材からなるものとすることができる。音響吸収層101は、圧電材料層102の音響インピーダンスの1/10以下の音響インピーダンスを有するものが好適である。また、音響吸収層101は、不要音波を圧電材料層102側に反射し、送信音波に加算させることで送信音波を増強させるデマッチング構造を採ることも可能である。
【0039】
圧電材料層102は、音響吸収層101上に配置され、超音波送信素子131において超音波振動を発生させる層である。圧電材料層102は無機系圧電材料、有機系圧電材料又はこれらの組み合わせの圧電材料からなるものとすることができる。
【0040】
例えば、圧電材料層102は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなるものとすることができる。また、圧電材料層102はPZTの他に、PMN-PT(ニオブ酸鉛マグネシウム ‐ チタン酸鉛)等の鉛系圧電材料、BTO(チタン酸バリウム)、AlN、BZT-BCT(チタン酸ジルコ酸バリウムカルシウム)等の非鉛系圧電材料やPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDT-TrFE(フッ化ビニリデン/三フッ化エチレン共重合体)、ポリアミノ酸材料、ポリ乳酸材料等の有機圧電材料からなるものであってもよい。
【0041】
圧電材料層102は、半導体基板103がシリコンからなる場合、音響的に連なっている半導体基板103の音響インピーダンスが19.7MRayls程度であることから、例えば、PZT(~30MRayls)、PMN-PT(34MRayls)、BTO(~30MRayls)、AlN(36MRayls)又は1-3コンポジット等の有機-無機コンポジット材料等、半導体基板103の音響インピーダンスに比較的近い音響インピーダンスをもつ圧電材料からなるものが好適である。
【0042】
圧電材料層102と音響吸収層101の間には超音波送信素子131の下部電極106が設けられている。下部電極106は、図2及び図4に示すように、アレイ状に設けられたアレイ状電極であり、周辺回路領域152からアレイ領域151に延伸されている。下部電極106はAg、Ni、Ti、Au又はCu等の導電性材料からなる。
【0043】
圧電材料層102と半導体基板103の間には超音波送信素子131の上部電極107が設けられている。上部電極107は、図3及び図4に示すように、アレイ領域151において平面状に設けられている。上部電極107はAg、Ni、Ti、Au又はCu等の導電性材料からなる。
【0044】
なお、上部電極107をアレイ状電極とし、下部電極106は平面状に構成されもよい。
【0045】
アレイ領域151では、圧電材料層102が下部電極106及び上部電極107によって挟まれ、超音波送信素子131が構成されている。
【0046】
半導体基板103は、半導体材料からなる基盤であり、圧電材料層102とMEMS層104の間に配置され、アレイ領域151においては超音波送信素子131と超音波受信素子132によって挟まれている。半導体基板103は、半導体部108、絶縁体部109a及び絶縁体部109bを有する。絶縁体部109aは、半導体基板103のうち圧電材料層102側に設けられ、絶縁体部109bは、半導体基板103のうちMEMS層104側に設けられている。半導体部108は、絶縁体部109aと絶縁体部109bの間に設けられている。
【0047】
絶縁体部109a及び109bは、半導体部108の材料を酸化して形成された部分とすることができ、半導体部108は例えばシリコンからなり、絶縁体部109a及び109bは例えばシリコン酸化物(SiO)からなるものとすることができる。
【0048】
半導体部108において、超音波受信素子132の第1の面100a側には空隙であるキャビティ108aが設けられている。また、半導体部108において圧電材料層102側には、半導体回路110が設けられている。
【0049】
半導体回路110は、半導体部108においてp型及びn型の不純物をドープすることにより形成された回路である。半導体回路110の詳細については後述する。
【0050】
MEMS層104は半導体基板103上に配置され、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により構成されている。MEMS層104によって超音波受信素子132が形成されている。
【0051】
音響整合層105は、MEMS層104上に配置され、測定対象物と超音波受信素子132の音響インピーダンスの差を低減し、超音波の測定対象物への反射を防止する。音響整合層105により、送受信時の超音波の透明性やエネルギー効率を高め、残響の影響を抑制することができる。
【0052】
音響整合層105は、2層とすることができ、測定対象が生体の場合には、最上層の音響インピーダンスは1.5~4MRayls、第2層の音響インピーダンスは3~8MRaylsが好適である。また、音響整合層105は、1層又は3層以上が設けられてもよい。音響整合層105の材料は、合成樹脂やセラミックス材料とすることができる。
【0053】
図2及び図3に示すように、周辺回路領域152において圧電材料層102には、圧電材料層102を貫通する貫通ビア電極111が設けられている。貫通ビア電極111は、下部電極106と電極パッド112を接続し、配線113を介して半導体回路110に接続されている。貫通ビア電極111の周囲には絶縁体114が設けられ、貫通ビア電極111と圧電材料層102を絶縁する。
【0054】
これにより、半導体回路110において生成された駆動信号が貫通ビア電極111を介して下部電極106に供給され、超音波送信素子131が駆動される。
【0055】
[アレイ部の構造]
上述のように、圧電材料層102、下部電極106及び上部電極107によって超音波送信素子131が構成されている。圧電材料層102は、下部電極106及び上部電極107によって挟まれており、下部電極106と上部電極107の間に電圧が印加されると、逆圧電効果による振動を生じ、超音波を生成する。
【0056】
上部電極107は、圧電材料層102上において平面状に形成され、グランドに接続される。下部電極106は、図4に示すようにアレイ構造となっている。これにより、下部電極106の電位を独立に位相制御することで、送信ビームフォーミングが可能である。
【0057】
なお、圧電材料層102の厚みは、圧電材料の周波数定数を用いた計算に依り、求められる周波数で発振するように設定される。この計算式は、以下の(式1)で表される
【0058】
N=f×t (式1)
【0059】
(式1)においてNは周波数定数、fは共振周波数、tは圧電材料層102の厚みである。共振周波数を7MHzとする場合、tは約150μmとなる。
【0060】
超音波受信素子132は上述のように、MEMS層104に設けられている。図5は、超音波装置100のうち半導体基板103及びMEMS層104のみを示す断面図であり、図4の一部である。図5に示すように、MEMS層104は、圧電材料薄膜115、下部電極膜116、上部電極膜117及び層間絶縁膜118を有する。
【0061】
圧電材料薄膜115は下部電極膜116及び上部電極膜117によって挟まれ、超音波受信素子132が構成されている。超音波受信素子132は複数が設けられ、アレイを形成している。
【0062】
圧電材料薄膜115は、超音波受信素子132において超音波を受信する薄膜であり、層間絶縁膜118を挟んで複数が設けられている。圧電材料薄膜115は無機系圧電材料、有機系圧電材料又はこれらの組み合わせの圧電材料からなるものとすることができる。
【0063】
無機系圧電材料としては、PZT、PMN-PT(ニオブ酸鉛マグネシウム ‐ チタン酸鉛)等の鉛系圧電材料、BTO(チタン酸バリウム)、AlN、BZT-BCT(チタン酸ジルコ酸バリウムカルシウム)等の非鉛系圧電材料が挙げられる。
【0064】
有機系圧電材料としては、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDT-TrFE(フッ化ビニリデン/三フッ化エチレン共重合体)、ポリアミノ酸材料、ポリ乳酸材料等が挙げられる。
【0065】
下部電極膜116は、半導体基板103上において圧電材料薄膜115毎に複数が配置されている。下部電極膜116は超音波受信素子132の信号取り出し電極として機能する。
【0066】
上部電極膜117は、圧電材料薄膜115及び層間絶縁膜118上に平面状に配置される。上部電極膜117はグランドとして機能する。
【0067】
下部電極膜116及び上部電極膜117は、Pt等の導電性材料からなる。圧電材料薄膜115がPZTからなる場合、下部電極膜116及び上部電極膜117をPtとすると、PZTとの界面が安定するため好適である。また、Ptに限られず、ITO(酸化インジウムスズ)等でも同様の効果が得られる。
【0068】
層間絶縁膜118は、圧電材料薄膜115、下部電極膜116及び上部電極膜117を絶縁する。層間絶縁膜118は、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)等の絶縁性材料からなる。
【0069】
超音波受信素子132では、測定対象物によって反射した反射波が入射し、圧電材料薄膜115が振動すると、圧電効果により下部電極膜116と上部電極膜117の間に電位差が生じる。
【0070】
超音波受信素子132の直下であり、圧電材料薄膜115と超音波送信素子131の間となる位置にはキャビティ108aが設けられている。このキャビティ構造により、超音波送信素子131からの送信波による残響の影響が防止されると共に、生体を測定対象とする場合、音響整合層105の音響インピーダンスが1.5~7MRaylsと比較的低い値となる。キャビティ構造により、超音波受信素子132が梁構造となり、圧電材料薄膜115に撓みが生じ、実行的な音響インピーダンスが低下するため、音響整合が生じやすくなる。
【0071】
超音波受信素子132は、図5に示すように静電容量式超音波MEMS(cMUT)構造を有するものとすることができる。また、超音波受信素子132は圧電式超音波MEMS(pMUT)構造を有するものであってもよい。
【0072】
cMUTでは受信準備状態にするために大きなバイアスを印加する必要があるが、pMUTではこれが不要であり、ドライバ回路を簡素化することができる。
【0073】
圧電材料薄膜115の厚みは、キャビティ構造が設けられない場合は上記(式1)を用い、圧電材料の周波数定数で決めることができる。一方、キャビティ108aを設けることにより梁構造となり、圧電材料薄膜115とキャビティ108aの間の部分の剛性が減少するため、より薄い厚みで所望の共振周波数とすることができる。
【0074】
具体的には、超音波受信素子132は、圧電材料薄膜115を弾性薄膜(ダイヤフラム)とするダイヤフラム型振動子とみなせる。ダイヤフラム型振動子の共振周波数は以下の(式2)で表される。
【0075】
【数1】
【0076】
(式2)においてtはダイヤフラムの厚み、aはダイヤフラムの半径、ρはダイヤフラムの密度、Eはダイヤフラムのヤング率、ρH2Oは水負荷の密度を示す。
【0077】
例えば圧電材料薄膜115がPZTからなる場合、7MHzの超音波受信素子132を作製するためには、a=60μm、t=20μmとすればよく、同じ共振周波数であっても超音波送信素子131の圧電材料層102より薄くすることができる。
【0078】
また、図5に示すように、半導体基板103には、半導体基板103を貫通する貫通電極119が設けられている。貫通電極119は、超音波受信素子132の下部電極膜116に接続されると共に配線120を介して半導体回路110に接続されている。貫通電極119の周囲には絶縁体121が設けられ、貫通電極119と半導体基板103を絶縁する。
【0079】
これにより、超音波受信素子132において生成された受信信号は、貫通電極119を介して半導体回路110に供給され、半導体回路110によって信号処理がなされる。半導体回路110による信号処理には増幅、整相加算及び検波等のアナログ信号処理、アナログ-デジタル変換やFFT(fast Fourier transform)等のデジタル信号処理、画像処理等の一部又は全部のデータ処理が含まれる。
【0080】
[超音波装置の動作及び効果]
超音波装置100は以上のような構成を有し、超音波送信素子131は第1の面100a側において積層構造によって構成され、超音波受信素子132は第2の面100b側においてMEMSによって構成されている(図4参照)。
【0081】
超音波送信素子131において半導体回路110から駆動信号が下部電極106に供給されると、下部電極106と上部電極107の電位差により、圧電材料層102において超音波振動が生じ、超音波(送信波)が生成される。超音波は第2の面100b側(図4中、上方)に進行し、第1の面100aから測定対象物に送信される。
【0082】
超音波送信素子131では、下部電極106をアレイ構造とすることにより、下部電極106の電位をアレイ毎に独立して位相制御し、送信ビームフォーミングが可能である。
【0083】
超音波は測定対象物によって反射され、第2の面100bを通過して超音波受信素子132に到達する。超音波受信素子132では、超音波(受信波)を受けて圧電材料薄膜115が振動し、受信信号が下部電極膜116を介して半導体回路110に出力される。
【0084】
なお、第2の面100bの垂直方向(Z方向)から見て、超音波送信素子131の下部電極106は、超音波受信素子132の圧電材料薄膜115とは重ならないように配置すると好適である。超音波送信素子131からの送信波を効率よく第2の面100b側に送信させることができ、また、キャビティ108aに送信音波が到達すると乱反射が生じて残響特性が悪化するが、これを避けるためである。
【0085】
また、MEMSによって構成された超音波受信素子132は同一基板上に増幅回路等を搭載することができ、S/N比の高い受信信号を得ることが可能である。一方、MEMSでは高い送信音圧を実現することが困難である。超音波装置100ではMEMSではない超音波送信素子131とMEMSである超音波受信素子132を設けることにより、高い送信強度と高い受信感度を共に実現することが可能である。
【0086】
さらに、一般的なアレイ構造を有する超音波素子では、音響クロストークを防止するため、超音波素子間に分離溝を設けるが、超音波送信素子131では圧電材料層102に分離溝が設けられていない。超音波装置100では超音波送信素子131と超音波受信素子132が分離されているため、残響観点での音響クロストークが問題とならないためである。
【0087】
これにより、製造工程において分離溝を形成するためのDice&Fillプロセスを省き、低コスト化と低TAT(Turn Around Time)化を実現することが可能である。加えて、圧電材料層102にポーラス圧電材料や1-3コンポジット材等のQ値の低い圧電材料を用いることでさらに音響クロストークを抑制することができ、例えば送信ビームにおけるサイドローブ抑制が可能である。
【0088】
このように、超音波装置100では量産性が高く、かつ配線基板との接合工程等が不要であるため、信頼性も高い。したがって、超音波装置100では、高い送信強度と高い信感度を有し、かつ量産性及び信頼性に優れる超音波装置を実現することが可能である。
【0089】
[製造方法]
超音波装置100の製造方法について説明する。図6乃至図14は、超音波装置100の製造プロセスを示す模式図である。
【0090】
図6に示すように、半導体部108及び絶縁体部109aを有する半導体基板103において半導体回路110を形成する。半導体回路110は、一般的なSi-CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)プロセスによって形成することが可能である。この際、貫通電極119及び絶縁体121も形成する。
【0091】
続いて、図7に示すように半導体基板103の絶縁体部109a側の面を支持基板161に貼り付ける。支持基板161は例えば石英基板である。この貼り付けは、例えばUV硬化樹脂からなる接着層162を用いて行うことができる。
【0092】
さらに、半導体部108を薄板化してパターニングし、キャビティ108aを形成する。この加工はDeepRIE(Reactive Ion Etching)のようなドライエッチングやKOH、NaOH又はTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等によるアルカリウェットエッチングによって行うことができる。
【0093】
続いて、図8に示すように半導体基板103にSOI(Silicon on Insulator)基板163を貼り付ける。SOI基板163は、シリコンからなる半導体部163aとシリコン酸化物からなる絶縁体部163bを備え、絶縁体部163bは絶縁体部109bとなる部分である。SOI基板163には、事前にアライメントマークと貫通電極119に対応する電極が形成されている。
【0094】
続いて、図9に示すように、SOI基板163を薄板化する。これにより、超音波受信素子132のメンブレン構造が形成される。
【0095】
続いて、図10に示すように、半導体基板103上にMEMS層104を形成する。MEMS層104の圧電材料薄膜115、下部電極膜116、上部電極膜117及び層間絶縁膜118はスパッタ又はCVD(chemical vapor deposition)による成膜とドライエッチング等によるパターニングによって形成することができる。
【0096】
圧電材料薄膜115がPZTからなる場合、下部電極膜116及び上部電極膜117はPt、Ti又はITO等のPZTと界面反応を起こしにくい材料が好適である。圧電材料薄膜115の材料はPZTに限られず、AlN等のスパッタ膜でもよい。
【0097】
続いて、図11に示すように、MEMS層104上に音響整合層105を形成する。音響整合層105はスピンコート等によって成膜することができる。音響整合層105には音響インピーダンスを最適化するためにフィラーを混合してもよい。また、マトリックスポリマーとして、感光性ソルダレジストのようなリソグラフィでパターニングできるものを利用すると、MEMS層104上の電極パッド開口が容易になる。
【0098】
続いて、図12に示すように、支持基板161及び接着層162を除去し、送信用圧電板164を半導体基板103に貼り付ける。図12(a)は断面図であり、図12(b)は送信用圧電板164側からみた平面図である。送信用圧電板164は、圧電材料層102に下部電極106及び上部電極107を形成したものである。図12は模式的に図示したもので、配線幅は例えば90μm幅であり、配線の間隔は15μmであり、通常の半導体製造技術で作製される。
【0099】
圧電材料層102は例えば直径150mm、厚み0.2mmの単品ディスク品を用いることができる。この圧電材料層102にスパッタ等のPVD(physical vapor deposition)、メッキ又はCVD等の手法により、下部電極106及び上部電極107となる金属膜を成膜する。金属膜の材料はNi、Ti、Au、Ag又はCu等とすることができるが、PZTに付けられるものであれば特に限定されない。
【0100】
圧電材料層102にスルーホール加工と電極パターニングをドライエッチングで行い、基板貼り合わせ技術により半導体基板103に貼り付ける。この際、予め半導体基板103に形成していた電極パッド112(図3参照)と貫通ビア電極111が接合するように位置を合わせる。
【0101】
続いて、図13に示すように、音響吸収層101を送信用圧電板164に貼り付ける。図13(a)は断面図であり、図13(b)は音響吸収層101側からみた平面図である。
【0102】
音響吸収層101の材料は通常のバッキング吸収材で用いられるアクリル又はエポキシ系の分散ポリマーでもよくポリウレタンのような音響インピーダンスが小さい材料でもよい。ポリウレタンは音響インピーダンスが1.5MRaylsであり、低背化のために音響吸収層101をデマッチング構造として機能させることが可能である。
【0103】
最後に、図14に示すようにダイサーで切り取り、超音波装置100のチップを作製する。以上のような製造プロセスを採ることで、従来のDice&Fill法に比べてダイシング回数を大幅に減らすことが可能となり、量産性が向上する。また、アレイ領域151(図1参照)に半導体回路を形成することが可能であるため、実装面積の大幅な縮小が可能となる。
【0104】
[半導体回路について]
上述のように半導体基板103のMEMS層104とは反対側には半導体回路110が設けられている。半導体回路110は、トランスインピーダンスアンプをはじめとする電流電圧変換回路であり、超音波受信素子132から出力された受信電流を電圧に変換するものとすることができる。さらに、この後段に低ノイズアンプによる信号増幅回路を設けてもよい。
【0105】
一方、超音波計測で得るべき音圧では50~80dB以上のダイナミックレンジが必要となるため、後段にログアンプ(対数変換回路)を設けると取り扱う受信信号のダイナミックレンジを拡大させることが可能になる。
【0106】
上記の回路は各々の超音波受信素子132に一対一で対応させる必要は必ずしもないが、各超音波受信素子132のフットプリント内に配置することで各超音波受信素子132に一対一で対応させることができる。これにより、各々の超音波受信素子132の出力を独立に増幅することができ、超音波受信素子132に到達する超音波の到達時刻や位相差情報等も含めて取得することが可能となる。
【0107】
さらに半導体回路110には、アナログ演算回路、アナログ遅延回路、アナログ-デジタル変換回路及びデジタル演算回路のいずれか一つ以上が構成されていてもよい。超音波受信素子132の受信信号に対してこれらの回路により、信号処理や画像処理を行うことが可能となり、これらの回路を半導体基板103上に配置することにより、超音波装置の大幅な小型化が実現できる。
【0108】
これらの回路は、アドレス選択により、超音波受信素子132毎に選択されることも可能であり、一回の送受信によるデータ量が膨大である場合には、データ量の分割が行われる。データ速度が要求されない分野であれば、合成開口法等の複数回の送受信でスキャンデータを完成させる方法もあり、一度に処理すべきデータ量が減り、そのために半導体回路の面積を縮小させることも可能である。
【0109】
これらの回路は、アレイ領域151(図1参照)に配置されてもよく、周辺回路領域152に配置されてもよい。
【0110】
また、超音波送信素子131のドライバ回路を半導体回路110に構成してもよい。図2及び図3に示すように、周辺回路領域152における半導体回路110にドライバ回路を設け、貫通ビア電極111によってドライバ回路と下部電極106を接続することが可能である。
【0111】
ドライバ回路と超音波送信素子131は、ワイヤーボンディング、フレキシブル基板又インターポーザー等で接続することも可能であるが、半導体プロセスでは困難な工程となる。貫通ビア電極111によってドライバ回路と超音波送信素子131を接続することにより、作製を容易とすることができる。
【0112】
貫通ビア電極111を作製するための圧電材料層102へのビア加工は、ドリル加工又はレーザー加工によって行うことができ、焼成時に金型パターンを配置しておくことによってビアを形成してもよい。
【0113】
以上のように、半導体回路110は、超音波受信素子132の信号処理回路及び超音波送信素子131の信号生成回路のいずれか一方、または両方として構成することができる。
【0114】
具体的には、半導体回路110は、チャージポンピング回路、ドライバ回路、アドレス選択回路、増幅回路、アナログ演算回路、アナログ-デジタル変換回路、デジタル演算回路、電源回路、変調回路及びインピーダンス整合回路のうち一つ以上を含むものとすることができる。また、上記増幅回路は、ローノイズ回路、差動アンプ及び対数変換アンプのいずれかとすることができる。
【0115】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
【0116】
(1)
超音波装置の第1の面側に配置され、上部電極と下部電極によって圧電材料層が挟まれた構造を有する超音波送信素子と、
上記超音波装置の上記第1の面とは反対側の面である第2の面と上記超音波送信素子の間に配置され、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)構造を有する超音波受信素子と
を具備する超音波装置。
【0117】
(2)
上記(1)に記載の超音波装置であって、
上記上部電極と上記下部電極の少なくとも一方は、上記超音波送信素子をアレイ状素子として独立制御させるアレイ状電極である
超音波装置。
【0118】
(3)
上記(2)に記載の超音波装置であって、
上記アレイ状電極の間の上記圧電材料層には溝構造が設けられていない
超音波装置。
【0119】
(4)
上記(1)から(3)のうちいずれか一つに記載の超音波装置であって、
音響吸収材料からなり、上記超音波送信素子に音響的に接合された音響吸収層
をさらに具備する超音波装置。
【0120】
(5)
上記(4)に記載の超音波装置であって、
上記音響吸収層は、上記圧電材料層の音響インピーダンスの1/10以下の音響インピーダンスを有する
超音波装置。
【0121】
(6)
上記(1)から(5)のうちいずれか一つに記載の超音波装置であって、
上記超音波受信素子の上記超音波送信素子とは反対側に設けられた音響整合層
をさらに具備する超音波装置。
【0122】
(7)
上記(1)から(6)のうちいずれか一つに記載の超音波装置であって、
上記超音波受信素子は、圧電材料薄膜を有する
超音波装置。
【0123】
(8)
上記(7)に記載の超音波装置であって、
上記圧電材料薄膜は上記圧電材料層より厚みが薄い薄膜である
超音波装置。
【0124】
(9)
上記(7)又は(8)に記載の超音波装置であって、
上記圧電材料薄膜は、無機系圧電材料、有機系圧電材料又はこれらの組み合わせの圧電材料からなる
超音波装置。
【0125】
(10)
上記(1)から(9)のうちいずれか一つに記載の超音波装置であって、
上記超音波送信素子と上記超音波受信素子の間に配置された半導体基板
をさらに具備する超音波装置。
【0126】
(11)
上記(10)に記載の超音波装置であって、
上記半導体基板において、上記圧電材料薄膜と上記超音波送信素子の間にはキャビティが設けられている
超音波装置。
【0127】
(12)
上記(10)又は(11)に記載の超音波装置であって、
上記半導体基板の上記圧電材料層側には半導体回路が設けられている
超音波装置。
【0128】
(13)
上記(12)に記載の超音波装置であって、
上記半導体回路は、チャージポンピング回路、ドライバ回路、アドレス選択回路、増幅回路、アナログ演算回路、アナログ-デジタル変換回路、デジタル演算回路、電源回路、変調回路及びインピーダンス整合回路のうち一つ以上を含む
超音波装置。
【0129】
(14)
上記(13)に記載の超音波装置であって、
上記増幅回路は、ローノイズ回路、差動アンプ及び対数変換アンプのいずれかである
超音波装置。
【0130】
(15)
上記(12)から(14)のうちいずれか一つに記載の超音波装置であって
上記半導体基板は、上記超音波受信素子と上記半導体回路を接続する貫通電極を有する
超音波装置。
【0131】
(16)
上記(12)から(14)のうちいずれか一つに記載の超音波装置であって、
上記圧電材料層は、上記半導体回路と上記下部電極を接続する貫通ビア電極を有する
超音波装置。
【符号の説明】
【0132】
100…超音波装置
101…音響吸収層
102…圧電材料層
103…半導体基板
104…MEMS層
105…音響整合層
106…下部電極
107…上部電極
108…半導体部
108a…キャビティ
109a…絶縁体部
109b…絶縁体部
110…半導体回路
111…貫通ビア電極
115…圧電材料薄膜
116…下部電極膜
117…上部電極膜
118…層間絶縁膜
119…貫通電極
131…超音波送信素子
132…超音波受信素子
151…アレイ領域
152…周辺回路領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14