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特許7528796疲労試験機、及び疲労試験機管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】疲労試験機、及び疲労試験機管理システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/34 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
G01N3/34 A
G01N3/34 R
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021005001
(22)【出願日】2021-01-15
(65)【公開番号】P2022109606
(43)【公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧 翔太
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-203689(JP,A)
【文献】特開2015-210094(JP,A)
【文献】国際公開第2020/026288(WO,A1)
【文献】特開平11-064195(JP,A)
【文献】特開平03-152441(JP,A)
【文献】国際公開第2014/087538(WO,A1)
【文献】特開2018-040751(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0116660(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疲労試験を実行する疲労試験機であって、
第1条件を満たすか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部の判定結果に基づいて、前記疲労試験の実行を停止する停止指示部と、
第2条件を満たすか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部の判定結果に基づいて、前記疲労試験の実行を再開する再開指示部と、
前記疲労試験機の特定箇所の温度を検出するセンサと、
前記センサから、前記特定箇所の検出温度を取得する取得部と、
試験片に試験力を付与する駆動機構と、
を備え、
前記第1条件は、前記特定箇所の検出温度が第1閾値以上であることを含み、
前記第2条件は、前記特定箇所の検出温度が第2閾値以下であることを含み、
前記特定箇所は、前記駆動機構を駆動するモータを含み、
前記モータへの少なくとも1周期分の指示値を記憶する指示値記憶部を更に備え、
前記指示値は、前記疲労試験の実行中における前記駆動機構のストローク計測値を、前記駆動機構のストローク目標値に一致させるように演算されたものであり、
前記再開指示部は、前記指示値記憶部に記憶された指示値に基づいて、前記疲労試験の実行を再開する、疲労試験機。
【請求項2】
前記取得部は、所定時間毎に前記特定箇所の温度を取得し、
前記第1条件は、第1所定回数の検出温度が連続して前記第1閾値以上であることを含み、
前記第2条件は、第2所定回数の検出温度が連続して前記第2閾値以下であることを含む、
請求項1に記載の疲労試験機。
【請求項3】
疲労試験を実行する疲労試験機本体と、前記疲労試験機本体と通信可能に接続される管理装置と、を備える疲労試験機監視システムであって、
前記管理装置は、
第1条件を満たすか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部の判定結果に基づいて、前記疲労試験機本体に対して、前記疲労試験の実行を停止させる停止指示部と、
第2条件を満たすか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部の判定結果に基づいて、前記疲労試験機本体に対して、前記疲労試験の実行を再開させる再開指示部と、
前記疲労試験機本体の特定箇所の温度を検出するセンサから、前記特定箇所の検出温度を取得する取得部と、
を備え、
前記第1条件は、前記特定箇所の検出温度が第1閾値以上であることを含み、
前記第2条件は、前記特定箇所の検出温度が第2閾値以下であることを含み、
前記特定箇所は、試験片に試験力を付与する駆動機構を駆動するモータを含み、
前記モータへの少なくとも1周期分の指示値を記憶する指示値記憶部を更に備え、
前記指示値は、前記疲労試験の実行中における前記駆動機構のストローク計測値を、前記駆動機構のストローク目標値に一致させるように演算されたものであり、
前記再開指示部は、前記指示値記憶部に記憶された指示値に基づいて、前記疲労試験の実行を再開させる、疲労試験機管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疲労試験機、及び疲労試験機管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
疲労試験機において、作業者の手間を軽減する種々の技術が知られている。
例えば、特許文献1に記載の疲労試験機は、繰り返し波形の振幅および周波数範囲を設定する手段を設け、試験片の装着状態で、設定された周波数範囲で周波数を順次自動的に変化させながら、設定された振幅のもとに試験片に試験力が加わるように負荷機構(油圧シリンダ)を駆動制御し、周波数ごとの力検出手段の出力を取り込み、試験片を含む系の周波数応答特性を表すグラフを作成して表示等の出力を行う。
そこで、特許文献1に記載の疲労試験機は、試験機と試験片を含む系の周波数応答特性を、簡単な設定により正確に知ることができ、もって疲労試験等を行う際の事前作業の簡素化を達成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-292400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の疲労試験機等の従来の疲労試験機では、例えば、試験片に試験力を付与する駆動機構を構成するモータの温度が所定値以上の場合に、疲労試験の実行を停止していた。一方、疲労試験の実行が停止された場合には、作業者は、疲労試験の実行を再開する必要があり、作業者の手間が発生していた。
また、作業者が、疲労試験の実行を再開する場合には、駆動機構に適正な動作をさせる必要があるため、作業者の手間が発生していた。適正な動作とは、例えば、試験片の変位量の変化を示す振幅を、目標振幅にすることである。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、作業者の負荷を軽減できる疲労試験機、及び疲労試験機管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、疲労試験を実行する疲労試験機であって、第1条件を満たすか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部の判定結果に基づいて、前記疲労試験の実行を停止する停止指示部と、第2条件を満たすか否かを判定する第2判定部と、前記第2判定部の判定結果に基づいて、前記疲労試験の実行を再開する再開指示部と、を備える、疲労試験機である。
【0007】
本発明の第2の態様は、疲労試験を実行する疲労試験機本体と、前記疲労試験機本体と通信可能に接続される管理装置と、を備える疲労試験機監視システムであって、前記管理装置は、第1条件を満たすか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部の判定結果に基づいて、前記疲労試験機本体に対して、前記疲労試験の実行を停止させる停止指示部と、第2条件を満たすか否かを判定する第2判定部と、前記第2判定部の判定結果に基づいて、前記疲労試験機本体に対して、前記疲労試験の実行を再開させる再開指示部と、を備える、疲労試験機管理システムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、第2判定部が第2条件を満たすか否かを判定し、再開指示部が、第2判定部の判定結果に基づいて、疲労試験の実行を再開する。
よって、第2条件を適正に設定することによって、疲労試験の実行を適正に再開できる。したがって、作業者の負荷を軽減できる。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、第2判定部が第2条件を満たすか否かを判定し、再開指示部が、第2判定部の判定結果に基づいて、疲労試験機に対して、疲労試験の実行を再開させる。
よって、第2条件を適正に設定することによって、疲労試験の実行を適正に再開できる。したがって、作業者の負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る疲労試験機の構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る加振機の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る制御回路ユニット及び制御装置の構成の一例を示す図である。
図4】条件設定画面の一例を示す図である。
図5】加振機の動作の一例を示すグラフである。
図6】制御回路ユニット及び制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図7】制御回路ユニット及び制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本実施形態について説明する。
【0012】
[1.引張試験機の構成]
[1-1.引張試験機の全体構成]
図1は、本実施形態に係る疲労試験機1の構成の一例を示す図である。
疲労試験機1は、試験片TPの疲労試験を行う。疲労試験機1は、例えば、試験片TPに押圧力Fを繰り返し印加する。押圧力F及び繰り返し回数は、予め設定される。繰り返し回数は、例えば、10回~10回である。
疲労試験機1は、試験機本体2と、制御ユニット4と、を備える。
試験機本体2は、制御ユニット4からの指示に従って、試験片TPの疲労試験を実行する。制御ユニット4は、試験機本体2の動作を制御する。
【0013】
試験機本体2は、加振機20と、ロードセル12とを備える。
加振機20は、ロードセル12を介して、試験片TPに負荷を与える。例えば、試験片TPの一方側端部(本実施形態では、左端部)は壁11で支持され、試験片TPの他方側端部(本実施形態では、右端部)に、加振機20から押圧力Fが印加される。押圧力Fは、試験片TPに対して左方向DLに印加される。
疲労試験では、例えば、押圧力Fを所定周期で増減するため、加振機20のピストンロッド212は、左右方向に駆動される。すなわち、押圧力Fを増加する場合には、ピストンロッド212は左方向DLに駆動され、押圧力Fを減少する場合には、ピストンロッド212は右方向DRに駆動される。
ロードセル12は、加振機20から試験片TPに印加される押圧力Fを検出する。ロードセル12は、押圧力Fを示す試験力測定信号SG1を出力する。
【0014】
加振機20は、本実施形態では、固定部材LGによって床面等に固定される。本実施形態では、加振機20は、水平方向に沿って配置される。
加振機20は、出力端子13と、入力端子14と、を備える。
出力端子13は、ピストンロッド212のストロークSTを示すストローク測定信号SG2を出力する。なお、ストローク測定信号SG2は、図2を参照して説明するストロークセンサ216によって出力される。
入力端子14には、図2を参照して説明するサーボモータ22に入力される指令信号SG3が入力される。指令信号SG3は、制御回路ユニット50が出力する指示値dXに対応する。
加振機20は、「駆動機構」の一例に対応する。
【0015】
制御ユニット4は、統括制御装置30と、表示装置32と、試験プログラム実行装置34と、制御装置60と、を備える。
統括制御装置30は、試験機本体2を中枢的に制御する装置であり、試験機本体2との間で信号を送受信可能に接続される。試験機本体2から受信する信号は、ロードセル12が出力する試験力測定信号SG1、ストロークセンサ216が出力するストローク測定信号SG2、及び制御や試験に要する適宜の信号等である。
表示装置32は、統括制御装置30から入力される信号に基づいて各種情報を表示する装置であり、例えば、統括制御装置30は、疲労試験の間、ストロークセンサ216が出力するストロークSTを示すストローク計測値XDを表示装置32に表示する。
【0016】
試験プログラム実行装置34は、LCD(Liquid Crystal Display)等を備え、LCDを介して、疲労試験の試験条件といった各種設定パラメータの設定操作や実行指示操作などのユーザ操作を受け付け、統括制御装置30に出力する機能や、試験力計測値FDのデータを解析する機能などを備えた装置である。
本実施形態では、試験プログラム実行装置34は、図4に示す条件設定画面600をLCDに表示し、ユーザ操作に基づいて、各種の設定値を設定する。
試験プログラム実行装置34はコンピュータを備え、このコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリデバイスと、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のストレージ装置と、統括制御装置30や各種の周辺機器などを接続するためのインターフェース回路と、を備える。そして、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶されたコンピュータプログラムである疲労試験プログラムを実行することで、上述の各種の機能を実現する。
【0017】
次いで、本実施形態の統括制御装置30について、更に説明する。統括制御装置30は、信号入出力ユニット40と、制御回路ユニット50と、を備える。
信号入出力ユニット40は、試験機本体2との間で信号を送受信する入出力インターフェース回路を構成するものであり、本実施形態では、第1センサアンプ42と、第2センサアンプ43と、サーボアンプ44とを有する。
第1センサアンプ42は、ロードセル12が出力する試験力測定信号SG1を増幅して、試験力計測値FDを制御回路ユニット50に出力する増幅器である。
第2センサアンプ43は、ストロークセンサ216が出力するストローク測定信号SG2を増幅して、ストローク計測値XDを制御回路ユニット50に出力する増幅器である。
サーボアンプ44は、制御回路ユニット50の指示に従って、サーボモータ22を制御する装置である。
【0018】
制御回路ユニット50は、通信部51と、フィードバック制御部52とを備える。
制御回路ユニット50は、CPUやMPUなどの第1プロセッサ50Aと、ROMやRAMなどの第1メモリデバイス50Bと、HDDやSSDなどのストレージ装置と、信号入出力ユニット40とのインターフェース回路と、試験プログラム実行装置34と通信する通信装置と、表示装置32を制御する表示制御回路と、各種の電子回路と、を備えたコンピュータを備える。また、制御回路ユニット50の第1プロセッサ50Aが第1メモリデバイス50Bに記憶された第1制御プログラムを実行することで、図1に示す各機能部を実現する。
また、信号入出力ユニット40のインターフェース回路にはA/D変換器が設けられており、アナログ信号の試験力測定信号SG1及びストローク測定信号SG2がA/D変換器によってデジタル信号に変換される。
なお、制御回路ユニット50は、コンピュータに限らず、ICチップやLSIなどの集積回路といった1又は複数の適宜の回路によって構成されてもよい。
制御回路ユニット50は、「管理装置」の一部に対応する。
【0019】
通信部51は、試験プログラム実行装置34との間で通信し、試験条件の設定や各種設定パラメータの設定値、疲労試験の実行指示などを試験プログラム実行装置34から受信する。また、通信部51は、試験力測定信号SG1に基づく試験力計測値FDを適宜のタイミングで試験プログラム実行装置34に送信する。また、通信部51は、ストローク計測値XDを適宜のタイミングで試験プログラム実行装置34に送信する。
【0020】
フィードバック制御部52は、試験機本体2のサーボモータ22をフィードバック制御して疲労試験を実行する。フィードバック制御部52は、サーボモータ22のフィードバック制御を実行する回路である。
フィードバック制御部52は、例えば、ストローク測定信号SG2に基づく、ストローク計測値XDについて位置制御を実行する。この場合には、フィードバック制御部52は、ストローク計測値XDをストローク目標値XTに一致させるように、ストローク計測値XDの指示値dXを演算し、当該指示値dXを示す指令信号A4をサーボアンプ44に出力する。
【0021】
制御装置60は、パーソナルコンピューター等で構成され、制御回路ユニット50と通信可能に構成される。
制御装置60は、「管理装置」の一例に対応する。
すなわち、本実施形態では、「管理装置」は、制御回路ユニット50と、制御装置60と、で構成される。
【0022】
[1-2.加振機の構成]
図2は、本実施形態に係る加振機20の一例を示す図である。
図2に示すように、加振機20は、ケーシング21と、サーボモータ22と、温度センサSNと、アダプタ211と、を備える。
ケーシング21は、略円筒状に形成され、その内部に、ピストンロッド212と、ボールスプライン213と、ボールねじ214と、ボールねじナット215と、ストロークセンサ216と、ベアリング217と、カップリング218と、が収納される。
【0023】
サーボモータ22は、フィードバック制御部52から出力される指令信号A4に基づき、回転方向、及び回転速度が制御される。カップリング218は、サーボモータ22の図略の駆動軸と、ボールねじ214とを連結する。ベアリング217は、サーボモータ22の図略の駆動軸を回転自在に支持する。ベアリング217は、例えば、ボールスプライン軸受で構成される。
サーボモータ22は、「モータ」の一例に対応する。
【0024】
ボールねじナット215は、略円筒状に形成され、その内周面と、ボールねじ214の内周面とが螺合する。また、ボールねじナット215は、ピストンロッド212と連結されている。ピストンロッド212は、略円筒状に形成され、その一方端(図2では、右端)が、ボールねじナット215と連結される。ピストンロッド212の内部には、ボールねじ214が挿通される。
アダプタ211は、ピストンロッド212の他方端(図2では、左端)に連結され、ピストンロッド212からの押圧力Fを試験片TPに伝達する。
ピストンロッド212及びボールねじナット215は、ケーシング21の軸方向(図2では、左右方向)に摺動自在に構成される。
【0025】
サーボモータ22は、ボールねじ214を回転駆動することによって、ボールねじナット215及びピストンロッド212を左右方向に駆動する。ボールスプライン213は、ピストンロッド212を左右方向に摺動自在に支持する。
具体的には、サーボモータ22の図略の駆動軸は、カップリング218によって、ボールねじ214に接続される。すなわち、サーボモータ22の駆動軸の回転トルクは、カップリング218を介して、ボールねじ214に伝達され、ボールねじ214が回転駆動される。そして、ボールねじ214と螺合するボールねじナット215は、ボールねじ214の回転に伴って左右方向に駆動される。その結果、ボールねじナット215と共に、ピストンロッド212が左右方向、すなわち、右方向DR及び左方向DLに駆動される。
ピストンロッド212が右方向DRに駆動されることによって、試験片TPに印加される押圧力Fが減少し、ピストンロッド212が左方向DLに駆動されることによって、試験片TPに印加される押圧力Fが増加する。
【0026】
ストロークセンサ216は、ピストンロッド212の位置、すなわち、ストロークSTを検出する。ストロークセンサ216は、例えば、差動トランス式変位検出器で構成される。ストロークセンサ216の出力信号、すなわちストローク測定信号SG2は、図1に示す出力端子13、及び第2センサアンプ43を順次介して、制御回路ユニット50に出力される。
【0027】
温度センサSNは、サーボモータ22の外周面に配置され、サーボモータ22の温度TMを検出する。温度センサSNは、例えばサーミスタ等で構成される。温度センサSNが検出した温度TMは、制御回路ユニット50に出力される。温度TMを、以下の説明では、検出温度TMと記載する場合がある。
温度センサSNは、「センサ」の一例に対応する。
サーボモータ22は、「特定箇所」の一例に対応する。
【0028】
本実施形態では、「特定箇所」がサーボモータ22である場合について説明するが、本発明の実施形態はこれに限定されない。「特定箇所」は、その箇所の温度が、試験機本体2による疲労試験の実行を停止するか否かを規定するような箇所であればよい。換言すれば、「特定箇所」は、疲労試験の実行によって加熱し、その結果、疲労試験の実行を停止する必要がある箇所であればよい。「特定箇所」は、例えば、ボールねじナット215又はベアリング217でもよい。
【0029】
[1-3.制御回路ユニット及び制御装置の構成]
図3は、本実施形態に係る制御回路ユニット50及び制御装置60の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、制御回路ユニット50は、取得部53、停止指示部55、再開指示部57、及び指示値記憶部58を備える。
具体的には、制御回路ユニット50の第1プロセッサ50Aが第1メモリデバイス50Bに記憶された第1制御プログラムを実行することによって、取得部53、停止指示部55、及び再開指示部57として機能する。また、制御回路ユニット50の第1プロセッサ50Aが第1メモリデバイス50Bに記憶された第1制御プログラムを実行することによって、第1メモリデバイス50Bを、指示値記憶部58として機能させる。
【0030】
制御装置60は、CPUやMPUなどの第2プロセッサ60Aと、ROMやRAMなどの第2メモリデバイス60Bと、LCD60Cと、HDDやSSDなどのストレージ装置と、制御回路ユニット50と通信する通信装置と、を備える。
LCD60Cは、第2プロセッサ60Aの指示に従って、種々の画像を表示する。
制御装置60は、第1判定部61、第2判定部62、及び表示制御部63を備える。
具体的には、制御装置60の第2プロセッサ60Aが第2メモリデバイス60Bに記憶された第2制御プログラムを実行することによって、第1判定部61、第2判定部62、及び表示制御部63として機能する。
【0031】
指示値記憶部58は、サーボモータ22への少なくとも1周期分の指示値dXを記憶する。指示値dXは、図1に示すフィードバック制御部52によって算出される。また、フィードバック制御部52は、ストローク計測値XDをストローク目標値XTに一致させるように、ストローク計測値XDの指示値dXを演算する。
例えば、フィードバック制御部52は、1周期分の指示値dXを算出する度に、指示値記憶部58に1周期分の指示値dXを記憶させる。
【0032】
取得部53は、温度センサSNからサーボモータ22の検出温度TMを取得する。具体的には、取得部53は、所定時間ΔT毎に温度センサSNからサーボモータ22の検出温度TMを取得する。所定時間ΔTは、例えば、500msecである。
【0033】
第1判定部61は、第1条件を満たすか否かを判定する。第1条件は、例えば、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上であることを示す。本実施形態では、第1条件は、例えば、サーボモータ22の第1所定回数N1の検出温度TMが連続して第1閾値TA1以上であることを示す。
第1閾値TA1は、例えば60℃である。第1閾値TA1は、条件設定画面600を介して、作業者等のユーザによって設定される。また、第1所定回数N1は、例えば、10個である。第1所定回数N1は、条件設定画面600を介して、作業者等のユーザによって設定される。
条件設定画面600については、後述にて図4を参照して説明する。
【0034】
本実施形態では、第1条件は、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上であることを示すが、本発明の実施形態はこれに限定されない。第1条件は、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上であることを含めばよい。
第1条件は、例えば、連続して実行された繰り返し回数が所定の閾値以上であることを含んでもよい。この場合には、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上であるか、又は、連続して実行された繰り返し回数が所定の閾値以上である場合に、第1判定部61は、第1条件を満たすと判定する。
【0035】
停止指示部55は、第1判定部61の判定結果に基づいて、疲労試験の実行を停止する。具体的には、第1判定部61が第1条件を満たすと判定した場合に、停止指示部55は、疲労試験の実行を停止する。本実施形態では、第1判定部61がサーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上であると判定した場合に、停止指示部55は、疲労試験の実行を停止する。
【0036】
第2判定部62は、第2条件を満たすか否かを判定する。第2条件は、サーボモータ22の検出温度TMが第2閾値TA2以下であることを示す。本実施形態では、第2条件は、例えば、サーボモータ22の第2所定回数N2の検出温度TMが連続して第2閾値TA2以下であることを示す。
第2閾値TA2は、例えば40℃である。第2閾値TA2は、条件設定画面600を介して、作業者等のユーザによって設定される。また、第2所定回数N2は、例えば、10個である。第2所定回数N2は、条件設定画面600を介して、作業者等のユーザによって設定される。
条件設定画面600については、後述にて図4を参照して説明する。
【0037】
本実施形態では、第2条件は、サーボモータ22の検出温度TMが第2閾値TA2以下であることを示すが、本発明の実施形態はこれに限定されない。第2条件は、サーボモータ22の検出温度TMが第2閾値TA2以下であることを含めばよい。
第2条件は、例えば、疲労試験の実行を停止後の経過時間が所定時間以上であることを含んでもよい。この場合には、サーボモータ22の検出温度TMが第2閾値TA2以下であるか、又は、疲労試験の実行を停止後の経過時間が所定時間以上である場合に、第2判定部62は、第2条件を満たすと判定する。所定時間は、例えば、1時間である。
【0038】
再開指示部57は、第2判定部62の判定結果に基づいて、疲労試験の実行を再開する。具体的には、第2判定部62が第2条件を満たすと判定した場合に、再開指示部57は、疲労試験の実行を再開する。本実施形態では、第2判定部62がサーボモータ22の検出温度TMが第2閾値TA2以下であると判定した場合に、再開指示部57は、疲労試験の実行を再開する。
【0039】
また、再開指示部57は、指示値記憶部58に記憶された指示値dXに基づいて、疲労試験の実行を再開する。
再開指示部57が、指示値記憶部58に記憶された指示値dXに基づいて、疲労試験の実行を再開するため、ストローク計測値XDをストローク目標値XTに一致させることができる。したがって、疲労試験の実行を再開した直後に、ピストンロッド212のストロークSTの振幅BDを、目標振幅BTと一致させることができる。この点については、後述にて図5を参照して説明する。
【0040】
表示制御部63は、条件設定画面600等の種々の画像をLCD60Cに表示する。
【0041】
[2.条件設定画面の具体例]
図4は、条件設定画面600の一例を示す図である。条件設定画面600は、例えば、試験プログラム実行装置34のプロセッサの指示に従って、制御装置60のLCD60Cに表示される。
図4に示すように、条件設定画面600には、温度変化表示部610と、閾値設定部620と、判定条件表示部630と、が表示される。
【0042】
閾値設定部620は、ユーザからの操作に基づいて設定された第1閾値TA1及び第2閾値TA2の各々の値を表示する。
閾値設定部620は、第1閾値設定部621と、第2閾値設定部622と、を含む。
第1閾値設定部621は、ユーザからの操作に基づいて設定された第1閾値TA1の値を表示する。第1閾値TA1の値は、例えば60℃である。
第2閾値設定部622は、ユーザからの操作に基づいて設定された第2閾値TA2の値を表示する。第2閾値TA2の値は、例えば40℃である。
【0043】
温度変化表示部610は、第1閾値TA1及び第2閾値TA2と、サーボモータ22の検出温度TMの変化と、の関係を示すグラフを表示する。グラフの横軸は時間Tであり、縦軸は、検出温度TMである。
また、温度変化表示部610には、第1閾値TA1を示す上限線612と、第2閾値TA2を示す下限線613とが表示される。
サーボモータ22の検出温度TMの変化を示すグラフ611は、例えば、上限値が上限線612と一致し、下限値が下限線613と一致する三角波として表示される。
【0044】
判定条件表示部630は、説明表示部631と、個数設定部632とを含む。
個数設定部632は、ユーザからの操作に基づいて設定された第1所定回数N1、及び第2所定回数N2の各々の値が表示される。本実施形態では、第1所定回数N1の値と、第2所定回数N2の値とが同一である場合について説明する。
【0045】
説明表示部631は、第1閾値TA1と、サーボモータ22の検出温度TMの変化と、の関係を示すグラフを表示する。グラフの横軸は時間Tであり、縦軸は、検出温度TMである。グラフは、所定時間ΔT間隔の離散値として表される。所定時間ΔTは、例えば、500msecである。グラフを構成する黒丸は、測定点を示す。
説明表示部631には、第1閾値TA1を示す上限線631Aと、第1所定回数N1に対応する測定点の個数を示すマーク631Bとが表示される。マーク631Bは、連続して第1閾値TA1以上である測定点を示す。
【0046】
条件設定画面600が試験プログラム実行装置34のLCDに表示されるため、ユーザは、条件設定画面600を用いて、第1閾値TA1、第2閾値TA2、第1所定回数N1、及び第2所定回数N2の各々の値を設定できる。
【0047】
本実施形態では、第1所定回数N1の値と、第2所定回数N2の値とが同一である場合について説明するが、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、第1所定回数N1の値と、第2所定回数N2の値とが相違してもよい。
【0048】
本実施形態では、ユーザが、第1閾値TA1、第2閾値TA2、第1所定回数N1、及び第2所定回数N2の各々の値を設定する場合について説明するが、本発明の実施形態はこれに限定されない。制御回路ユニット50が、第1閾値TA1、第2閾値TA2、第1所定回数N1、及び第2所定回数N2の各々の値を設定してもよい。例えば、制御回路ユニット50の第1プロセッサ50Aが、外気温に基づいて、第1閾値TA1、及び第2閾値TA2の少なくとも一方を設定してもよい。
【0049】
本実施形態では、条件設定画面600が、制御装置60の第2プロセッサ60Aの指示に従って、制御装置60のLCD60Cに表示されるが、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、制御回路ユニット50の第1プロセッサ50Aが、制御回路ユニット50の備えるLCDに、条件設定画面600を表示してもよい。
【0050】
[3.加振機の動作の具体例]
図5は、加振機20の動作の一例を示すグラフである。
図5の上段に示すグラフは、従来の加振機20の動作の一例を示すグラフであり、図5の下段に示すグラフは、本実施形態に係る加振機20の動作の一例を示すグラフである。
各グラフの横軸は、時間Tであり、縦軸は、ストロークST又はストローク計測値XDである。最大ストロークSTXは、目標振幅BTに対応するストロークSTの最大値を示し、最小ストロークSTNは、目標振幅BTに対応するストロークSTの最小値を示す。最小ストロークSTNと、最大ストロークSTXとの間の振幅が目標振幅BTに対応する。
【0051】
図5の上段に示すように、従来の加振機20では、時間T10において作業者が疲労試験を開始し、その後、作業者(又は、フィードバック制御部52)がピストンロッド212のストロークSTの振幅BDを徐々に増加して、時間T11において、ピストンロッド212のストロークSTの振幅BDが目標振幅BTと一致する。そして、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上になったことを作業者が確認したため、時間T12において、作業者は疲労試験を停止する。
【0052】
次に、サーボモータ22の検出温度TMが第2閾値TA2以下になったことを作業者が確認したため、時間T13において、作業者は疲労試験を再開する。その後、作業者(又は、フィードバック制御部52)がピストンロッド212のストロークSTの振幅BDを徐々に増加して、時間T14において、ピストンロッド212のストロークSTの振幅BDが目標振幅BTと一致する。
【0053】
図5の下段に示すように、本実施形態に係る加振機20では、時間T20において作業者が疲労試験を開始し、その後、フィードバック制御部52がピストンロッド212のストロークSTの振幅BDを徐々に増加して、時間T21において、ピストンロッド212のストロークSTの振幅BDが目標振幅BTと一致する。そして、第1判定部61が、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上になったと判定し、時間T22において、停止指示部55は、疲労試験を停止する。
【0054】
そして、第2判定部62が、サーボモータ22の検出温度TMが第2閾値TA2以下になったと判定し、時間T23において、再開指示部57は、指示値記憶部58に記憶された指示値dXに基づいて、疲労試験の実行を再開する。なお、再開指示部57が指示値記憶部58に記憶された指示値dXに基づいて疲労試験の実行を再開するため、時間T23において疲労試験の実行を再開した直後から、ピストンロッド212のストロークSTの振幅BDが目標振幅BTと一致する。
その後、第1判定部61が、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上になったと判定し、時間T24において、停止指示部55は、疲労試験を停止する。
【0055】
その後、第2判定部62が、サーボモータ22の検出温度TMが第2閾値TA2以下になったと判定し、時間T25において、再開指示部57は、指示値記憶部58に記憶された指示値dXに基づいて、疲労試験の実行を再開する。
その後、第1判定部61が、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上になったと判定し、時間T26において、停止指示部55は、疲労試験を停止する。
その後、第2判定部62が、サーボモータ22の検出温度TMが第2閾値TA2以下になったと判定し、時間T27において、再開指示部57は、指示値記憶部58に記憶された指示値dXに基づいて、疲労試験の実行を再開する。
その後、第1判定部61が、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上になったと判定し、時間T28において、停止指示部55は、疲労試験を停止する。
【0056】
図5を参照して説明したように、本実施形態では、再開指示部57は、指示値記憶部58に記憶された指示値dXに基づいて、疲労試験の実行を再開するため、疲労試験の実行を再開した直後から、ピストンロッド212のストロークSTの振幅BDを目標振幅BTと一致させることができる。
したがって、疲労試験の実行を再開してから、ピストンロッド212のストロークSTの振幅BDが目標振幅BTと一致するまでの間の時間を短縮できる。
更に、疲労試験の実行を再開してから、ピストンロッド212のストロークSTの振幅BDが目標振幅BTと一致するまでの間に、試験片TPに印加される押圧力Fが疲労試験の試験結果に及ぼす影響を抑制できる。したがって、疲労試験を適正に実行できる。
【0057】
[4.制御回路ユニット及び制御装置の処理]
図6及び図7は、制御回路ユニット50及び制御装置60の処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、まず、ステップS101において、制御回路ユニット50は、疲労試験を開始するか否かを判定する。
疲労試験を開始しないと制御回路ユニット50が判定した場合(ステップS101;NO)には、処理が待機状態になる。疲労試験を開始すると制御回路ユニット50が判定した場合(ステップS101;YES)には、処理がステップS103へ進む。
そして、ステップS103において、フィードバック制御部52がピストンロッド212のストロークSTの振幅BDを徐々に増加する。
次に、ステップS105において、フィードバック制御部52は、ピストンロッド212のストロークSTの振幅BDが目標振幅BTに到達したか否かを判定する。
振幅BDが目標振幅BTに到達していないとフィードバック制御部52が判定した場合(ステップS105;NO)には、処理がステップS103に戻る。振幅BDが目標振幅BTに到達したとフィードバック制御部52が判定した場合(ステップS105;YES)には、処理がステップS107へ進む。
【0058】
そして、ステップS107において、フィードバック制御部52は、目標振幅BTでの疲労試験を実行する。
次に、ステップS109において、制御回路ユニット50は、疲労試験の繰り返し回数が設定回数以上であるか否かを判定する。設定回数は、例えば、10回~10回である。
繰り返し回数が設定回数以上であると制御回路ユニット50が判定した場合(ステップS109;YES)には、図7に示すように処理が終了する。繰り返し回数が設定回数以上ではないと制御回路ユニット50が判定した場合(ステップS109;NO)には、処理がステップS111へ進む。
そして、ステップS111において、制御回路ユニット50は、1周期分の指示値dXを指示値記憶部58に記憶させる。
次に、ステップS113において、取得部53は、温度センサSNが検出したサーボモータ22の検出温度TMを取得する。
【0059】
次に、ステップS115において、第1判定部61は、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上であるか否かを判定する。
検出温度TMが第1閾値TA1以上ではないと第1判定部61が判定した場合(ステップS115;NO)には、処理がステップS109に戻る。検出温度TMが第1閾値TA1以上であると第1判定部61が判定した場合(ステップS115;YES)には、処理がステップS117へ進む。
そして、ステップS117において、停止指示部55は、疲労試験の実行を停止する。
次に、ステップS119において、取得部53は、温度センサSNが検出したサーボモータ22の検出温度TMを取得する。
次に、ステップS121において、第2判定部62は、サーボモータ22の検出温度TMが第2閾値TA2以下であるか否かを判定する。
検出温度TMが第2閾値TA2以下ではないと第2判定部62が判定した場合(ステップS121;NO)には、処理がステップS119に戻る。検出温度TMが第2閾値TA2以下であると第2判定部62が判定した場合(ステップS121;YES)には、処理が図7に示すステップS123へ進む。
【0060】
そして、図7に示すように、ステップS123において、再開指示部57は、指示値記憶部58に記憶された指示値dXを読み出す。
次に、ステップS125において、再開指示部57は、指示値記憶部58から読みだした指示値dXに基づいて、疲労試験の実行を再開する。その結果、疲労試験において、ピストンロッド212のストロークSTの振幅BDが目標振幅BTと一致する。
次に、ステップS127において、フィードバック制御部52は、目標振幅BTでの疲労試験を実行する。
次に、ステップS129において、制御回路ユニット50は、疲労試験の繰り返し回数が設定回数以上であるか否かを判定する。
繰り返し回数が設定回数以上であると制御回路ユニット50が判定した場合(ステップS129;YES)には、処理が終了する。繰り返し回数が設定回数以上ではないと制御回路ユニット50が判定した場合(ステップS129;NO)には、処理がステップS131へ進む。
【0061】
そして、ステップS131において、制御回路ユニット50は、1周期分の指示値dXを指示値記憶部58に記憶させる。
次に、ステップS133において、温度センサSNが検出したサーボモータ22の検出温度TMを取得する。
次に、ステップS135において、第1判定部61は、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上であるか否かを判定する。
検出温度TMが第1閾値TA1以上ではないと第1判定部61が判定した場合(ステップS135;NO)には、処理がステップS129に戻る。検出温度TMが第1閾値TA1以上であると第1判定部61が判定した場合(ステップS135;YES)には、処理が図6に示すステップS117に戻る。
【0062】
図6及び図7を参照して説明したように、第1判定部61が、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上になったと判定した場合に、停止指示部55は、疲労試験を停止するため、作業者の負荷を軽減して、疲労試験を適正に停止できる。
【0063】
また、第2判定部62が、サーボモータ22の検出温度TMが第2閾値TA2以下になったと判定した場合に、再開指示部57は、疲労試験の実行を再開するため、作業者の負荷を軽減して、疲労試験を適正に再開できる。
【0064】
[5.態様と効果]
上述した実施形態及び変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0065】
(第1項)
一態様に関わる疲労試験機は、疲労試験を実行する疲労試験機であって、第1条件を満たすか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部の判定結果に基づいて、前記疲労試験の実行を停止する停止指示部と、第2条件を満たすか否かを判定する第2判定部と、前記第2判定部の判定結果に基づいて、前記疲労試験の実行を再開する再開指示部と、を備える。
【0066】
第1項に記載の疲労試験機によれば、第1判定部が、第1条件を満たすと判定した場合に、停止指示部は、疲労試験を停止する。また、第2判定部が第2条件を満たすと判定した場合に、再開指示部は、疲労試験の実行を再開する。
したがって、第1条件を適正な条件に設定することによって、作業者の負荷を軽減して、疲労試験を適正に停止できる。また、第2条件を適正な条件に設定することによって、作業者の負荷を軽減して、疲労試験の実行を適正に再開できる。
【0067】
(第2項)
第1項に記載の疲労試験機において、前記疲労試験機の特定箇所の温度を検出するセンサと、前記センサから、前記特定箇所の検出温度を取得する取得部と、を更に備え、前記第1条件は、前記特定箇所の検出温度が第1閾値以上であることを含み、前記第2条件は、前記特定箇所の検出温度が第2閾値以下であることを含む。
【0068】
第2項に記載の疲労試験機によれば、第1条件は、特定箇所の検出温度が第1閾値以上であることを含み、第2条件は、特定箇所の検出温度が第2閾値以下であることを含む。
よって、第1判定部が、特定箇所の検出温度が第1閾値以上であると判定した場合に、停止指示部は、疲労試験を停止する。また、第2判定部が、特定箇所の検出温度が第2閾値以下であると判定した場合に、再開指示部は、疲労試験の実行を再開する。
したがって、特定箇所、第1閾値、及び第2閾値を適正に設定することによって、疲労試験を適正に停止できると共に、疲労試験の実行を適正に再開できる。
【0069】
(第3項)
第2項に記載の疲労試験機において、前記取得部は、所定時間毎に前記特定箇所の温度を取得し、前記第1条件は、第1所定回数の検出温度が連続して前記第1閾値以上であることを含み、前記第2条件は、第2所定回数の検出温度が連続して前記第2閾値以下であることを含む。
【0070】
第3項に記載の疲労試験機によれば、第1条件は、第1所定回数の検出温度が連続して第1閾値以上であることを含み、第2条件は、第2所定回数の検出温度が連続して第2閾値以下であることを含む。
よって、第1判定部が、特定箇所の第1所定回数の検出温度が連続して第1閾値以上であると判定した場合に、停止指示部は、疲労試験を停止する。また、第2判定部が、特定箇所の第2所定回数の検出温度が連続して第2閾値以下であると判定した場合に、再開指示部は、疲労試験の実行を再開する。
したがって、第1所定回数、及び第2所定回数を適正に設定することによって、疲労試験を適正に停止できると共に、疲労試験の実行を適正に再開できる。
【0071】
(第4項)
第2項又は第3項に記載の疲労試験機において、試験片に試験力を付与する駆動機構を備え、前記特定箇所は、前記駆動機構を駆動するモータを含む。
【0072】
第4項に記載の疲労試験機によれば、特定箇所は、駆動機構を駆動するモータを含む。
よって、第1判定部が、モータの検出温度が第1閾値以上であると判定した場合に、停止指示部は、疲労試験を停止する。また、第2判定部が、モータの検出温度が第2閾値以下であると判定した場合に、再開指示部は、疲労試験の実行を再開する。
したがって、第1閾値、及び第2閾値を適正に設定することによって、疲労試験を適正に停止でき、疲労試験の実行を適正に再開できる。また、第1閾値、及び第2閾値を適正に設定することによって、モータの加熱による故障を抑制できる。例えば、第1閾値は、60℃に設定し、第2閾値は、40℃に設定すればよい。
【0073】
(第5項)
第4項に記載の疲労試験機において、前記モータへの少なくとも1周期分の指示値を記憶する指示値記憶部を更に備え、前記再開指示部は、前記指示値記憶部に記憶された指示値に基づいて、前記疲労試験の実行を再開する。
【0074】
第5項に記載の疲労試験機によれば、再開指示部は、指示値記憶部に記憶された指示値に基づいて、疲労試験の実行を再開する。
よって、疲労試験の実行を再開してから、例えばピストンロッドのストロークの振幅が目標振幅と一致するまでの間の時間を短縮できる。したがって、作業者の負荷を軽減して、疲労試験に要する時間を短縮できる。また、振幅が目標振幅と一致するまでの間に、試験片に印加される押圧力の疲労試験の試験結果に及ぼす影響を抑制できる。
【0075】
(第6項)
一態様に関わる疲労試験機管理システムは、疲労試験を実行する疲労試験機本体と、前記疲労試験機本体と通信可能に接続される管理装置と、を備える疲労試験機監視システムであって、前記管理装置は、第1条件を満たすか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部の判定結果に基づいて、前記疲労試験機本体に対して、前記疲労試験の実行を停止させる停止指示部と、第2条件を満たすか否かを判定する第2判定部と、前記第2判定部の判定結果に基づいて、前記疲労試験機本体に対して、前記疲労試験の実行を再開させる再開指示部と、を備える。
【0076】
第6項に記載の疲労試験機管理システムによれば、第1項に記載の疲労試験機と同様の効果を奏する。
【0077】
[6.その他の実施形態]
なお、本実施形態に係る疲労試験機1は、あくまでも本発明に係る疲労試験機の態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形および応用が可能である。
例えば、本実施形態では、疲労試験機1の「駆動機構」がサーボモータ22を駆動源とする加振機20であるが、本発明の実施形態はこれに限定されない。「駆動機構」が、例えば油圧シリンダを駆動源とする駆動機構でもよい。
【0078】
また、本実施形態では、「特定箇所」がサーボモータ22である場合について説明するが、本発明の実施形態はこれに限定されない。「特定箇所」が、その箇所の温度が、試験機本体2による疲労試験の実行を停止するか否かを規定するような箇所であればよい。換言すれば、「特定箇所」は、疲労試験の実行によって加熱し、その結果、疲労試験の実行を停止する必要がある箇所であればよい。「特定箇所」は、例えば、ボールねじナット215又はベアリング217でもよい。
【0079】
また、本実施形態では、第1条件は、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上であることを示すが、本発明の実施形態はこれに限定されない。第1条件は、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上であることを含めばよい。
第1条件は、例えば、繰り返し回数が所定の閾値以上であることを含んでもよい。この場合には、サーボモータ22の検出温度TMが第1閾値TA1以上である、及び/又は、繰り返し回数が所定の閾値以上である場合に、第1判定部61は、第1条件を満たすと判定する。
【0080】
また、本実施形態では、第2条件は、サーボモータ22の検出温度TMが第2閾値TA2以下であることを示すが、本発明の実施形態はこれに限定されない。第2条件は、サーボモータ22の検出温度TMが第2閾値TA2以下であることを含めばよい。
第2条件は、例えば、疲労試験の実行を停止後の経過時間が所定時間以上であることを含んでもよい。この場合には、サーボモータ22の検出温度TMが第2閾値TA2以下である、及び/又は、疲労試験の実行を停止後の経過時間が所定時間以上である場合に、第2判定部62は、第2条件を満たすと判定する。
【0081】
また、図3に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【0082】
本実施形態では、制御回路ユニット50が、取得部53、停止指示部55、及び再開指示部57を備え、制御装置60が、第1判定部61、及び第2判定部62を備える場合について説明したが、これに限定されない。制御回路ユニット50及び制御装置60の少なくとも一方が、取得部53、停止指示部55、再開指示部57、第1判定部61、及び第2判定部62を備えればよい。例えば、制御回路ユニット50が、取得部53、停止指示部55、再開指示部57、第1判定部61、及び第2判定部62を備えてもよい。
【0083】
また、図6及び図7に示すフローチャートの処理単位は、制御回路ユニット50及び制御装置60の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。図6及び図7のフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって制限されることはなく、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0084】
また、制御回路ユニット50の機能部は、制御回路ユニット50が備える第1プロセッサ50Aに、第1制御プログラムを実行させることで実現できる。また、この第1制御プログラムは、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体に記録しておくことも可能である。記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、記録媒体は、画像処理装置が備える内部記憶装置であるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。また、第1制御プログラムをサーバー装置等に記憶させておき、サーバー装置から制御回路ユニット50に、第1制御プログラムをダウンロードしてもよい。
【0085】
また、制御装置60の機能部は、制御装置60が備える第2プロセッサ60Aに、第2制御プログラムを実行させることで実現できる。また、この第2制御プログラムは、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体に記録しておくことも可能である。記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD、CD-ROM、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、記録媒体は、画像処理装置が備える内部記憶装置であるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。また、第2制御プログラムをサーバー装置等に記憶させておき、サーバー装置から制御装置60に、第2制御プログラムをダウンロードしてもよい。
【0086】
本実施形態では、疲労試験機1が制御回路ユニット50及び制御装置60を備える場合について説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されない。制御回路ユニット50及び制御装置60が「管理装置」として構成され、疲労試験機1が「疲労試験機管理システム」として構成されてもよい。この場合には、管理装置として機能する制御回路ユニット500及び制御装置60と、試験機本体2とが、インターネット等のネットワークを介して通信可能に構成されてもよい。また、複数台の試験機本体2が、1台の管理装置に接続され、1台の管理装置が、複数台の試験機本体2の各々における疲労試験の停止及び再開を制御してもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 疲労試験機(疲労試験機管理システム)
2 試験機本体
12 ロードセル
20 加振機(駆動機構)
21 ケーシング
211 アダプタ
212 ピストンロッド
213 ボールスプライン
214 ボールねじ
215 ボールねじナット
216 ストロークセンサ
217 ベアリング
218 カップリング
22 サーボモータ(モータ、特定箇所)
4 制御ユニット
30 統括制御装置
32 表示装置
34 試験プログラム実行装置
40 信号入出力ユニット
42 第1センサアンプ
43 第2センサアンプ
44 サーボアンプ
50 制御回路ユニット(管理装置の一部)
50A 第1プロセッサ
50B 第1メモリデバイス
51 通信部
52 フィードバック制御部
53 取得部
55 停止指示部
57 再開指示部
58 指示値記憶部
60 制御装置(管理装置の一部)
60A 第2プロセッサ
60B 第2メモリデバイス
60C LCD
61 第1判定部
62 第2判定部
63 表示制御部
600 条件設定画面
A4 指令信号
dX 指示値
F 試験力
N1 第1所定個数
N2 第2所定個数
SG1 試験力測定信号
SG2 ストローク測定信号
SG3 指令信号
ST 温度センサ(センサ)
TA1 第1閾値
TA2 第2閾値
TM 検出温度
TP 試験片
XD ストローク計測値
ΔT 所定時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7