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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】印刷システム及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240730BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240730BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20240730BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240730BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G06F3/12 334
B41J2/01 451
B41J2/165
B41J29/38 204
B41J29/38 350
B41J29/46 Z
G06F3/12 310
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021016463
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119389
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山縣 真也
(72)【発明者】
【氏名】水野 義治
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-209851(JP,A)
【文献】特開2019-096198(JP,A)
【文献】特開2020-131631(JP,A)
【文献】特開2015-071281(JP,A)
【文献】特開2017-177643(JP,A)
【文献】特開2010-264702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 2/01
B41J 2/165
B41J 29/38
B41J 29/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷材を用いて媒体に印刷を行う印刷装置と、前記印刷装置とネットワークを介して通信可能なサーバー装置と、を備え、前記印刷装置で用いられる印刷材の管理を行う印刷システムにおいて、
前記印刷装置は、
収容体に収容されている印刷材を用いて媒体に印刷を行う印刷部と、
前記収容体に収容されている印刷材の残量を検出する残量検出部と、
前記印刷部のメンテナンスを実行するメンテナンス部と、
前記収容体の交換又は前記収容体への印刷材の補給についての所定報知を行うことが可能に構成される報知部と、を有し、
前記印刷装置と前記サーバー装置とのうち何れか一方は、印刷材の使用量に関する情報に基づいて、所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、前記残量検出部により検出された印刷材の残量に応じて、前記メンテナンス部による前記印刷部のメンテナンスの実行と、前記報知部による前記所定報知との何れかを選択することが可能に構成される選択部を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記選択部は、前記所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、前記残量検出部により検出された印刷材の残量が前記印刷部のメンテナンスの実行に必要な量以上であるときに、前記印刷部のメンテナンスの実行を選択することが可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷部のメンテナンスには、第1メンテナンスと、前記第1メンテナンスよりも印刷材の使用量が多い第2メンテナンスとがあり、
前記選択部は、前記所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、前記残量検出部により検出された印刷材の残量が、前記第1メンテナンスの実行に必要な量以上であるが、前記第2メンテナンスの実行に必要な量未満であるときに、前記第1メンテナンスの実行を選択することが可能に構成されることを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記選択部は、印刷材の使用量に関する情報に基づいて、前記所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、前記所定期間における印刷材の使用量に応じて、前記メンテナンス部による前記印刷部のメンテナンスの実行と、前記報知部による前記所定報知との何れかを選択することが可能に構成されることを特徴とする請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記サーバー装置は、
印刷材の使用量に関する情報を前記印刷装置から受信する受信部と、
前記選択部と、
前記選択部によって選択された選択結果に関する情報を前記印刷装置に送信する送信部と、を有し、
前記印刷装置は、前記送信部から送信された選択結果に関する情報に基づいて、前記メンテナンス部による前記印刷部のメンテナンスの実行と、前記報知部による前記所定報知との何れかを制御する制御部を有することを特徴とする請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記サーバー装置は、
前記所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である状態が継続する継続時間を算出する継続時間算出部と、
前記継続時間算出部により算出された前記継続時間に基づいて、前記メンテナンス部により次に実行されるメンテナンスで使用される印刷材の使用量を予測する使用量予測部と、
印刷材の配送を指示する配送指示部と、を有し、
前記配送指示部は、前記残量検出部により検出された印刷材の残量が、前記使用量予測部により予測された印刷材の使用量未満であるときに、印刷材の配送を指示することを特徴とする請求項1~請求項5のうち何れか一項に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記所定期間は、30日以上の期間であることを特徴とする請求項1~請求項6のうち何れか一項に記載の印刷システム。
【請求項8】
印刷材を用いて媒体に印刷を行う印刷装置において、
収容体に収容されている印刷材を用いて媒体に印刷する印刷部と、
前記収容体に収容されている印刷材の残量を検出する残量検出部と、
前記印刷部のメンテナンスを実行するメンテナンス部と、
前記収容体の交換又は前記収容体への印刷材の補給についての所定報知を行うことが可能に構成される報知部と、
印刷材の使用量に関する情報に基づいて、所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、前記残量検出部により検出された印刷材の残量に応じて、前記メンテナンス部による前記印刷部のメンテナンスの実行と、前記報知部による前記所定報知との何れかを選択することが可能に構成される選択部と、を有することを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷材を用いて媒体に印刷を行う印刷システム及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷装置の一種として、収容体に収容された印刷材を用いて媒体に印刷を行う印刷装置が知られている。このような印刷装置において、印刷材を用いて媒体に印刷する印刷部のメンテナンスを実行するものがある。また、このような印刷装置において、収容体に収容されている印刷材の残量が少なくなったときに、収容体の交換又は印刷材の補給についての報知を行うものがある。
【0003】
このような印刷装置において、例えば、特許文献1には、サーバー装置と通信可能に構成されるものがある。そして、このような印刷装置では、所定期間において印刷材の使用量が予め定めた量を超えたときに、印刷材の配送が行われる印刷システムが開示されている。これにより、印刷材の使用量が急激に増加したと推定した場合であっても、印刷材の不足を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-77207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような印刷装置において、印刷材の使用頻度が低い場合、以前に使用した印刷材が印刷部において付着し、凝固してしまう等の原因により印刷品質が低下してしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する印刷システムは、印刷材を用いて媒体に印刷を行う印刷装置と、前記印刷装置とネットワークを介して通信可能なサーバー装置と、を備え、前記印刷装置で用いられる印刷材の管理を行う印刷システムにおいて、前記印刷装置は、収容体に収容されている印刷材を用いて媒体に印刷を行う印刷部と、前記収容体に収容されている印刷材の残量を検出する残量検出部と、前記印刷部のメンテナンスを実行するメンテナンス部と、前記収容体の交換又は前記収容体への印刷材の補給についての所定報知を行うことが可能に構成される報知部と、を有し、前記印刷装置と前記サーバー装置とのうち何れか一方は、印刷材の使用量に関する情報に基づいて、所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、前記残量検出部により検出された印刷材の残量に応じて、前記メンテナンス部による前記印刷部のメンテナンスの実行と、前記報知部による前記所定報知との何れかを選択することが可能に構成される選択部を有する。
【0007】
上記課題を解決する印刷装置は、印刷材を用いて媒体に印刷を行う印刷装置において、収容体に収容されている印刷材を用いて媒体に印刷する印刷部と、前記収容体に収容されている印刷材の残量を検出する残量検出部と、前記印刷部のメンテナンスを実行するメンテナンス部と、前記収容体の交換又は前記収容体への印刷材の補給についての所定報知を行うことが可能に構成される報知部と、印刷材の使用量に関する情報に基づいて、所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、前記残量検出部により検出された印刷材の残量に応じて、前記メンテナンス部による前記印刷部のメンテナンスの実行と、前記報知部による前記所定報知との何れかを選択することが可能に構成される選択部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における印刷システムを示す模式図。
図2】第1実施形態における印刷装置を示す斜視図。
図3】第1実施形態における印刷装置を示す斜視図。
図4】第1実施形態の印刷システムの電気的構成を示すブロック図。
図5】第1実施形態のサーバー装置の記憶部に記憶されるユーザー情報データベースを示す模式図。
図6】印刷装置の制御部が実行するインク量関連情報送信処理を示すフローチャート。
図7】印刷装置の制御部が実行する選択結果制御処理を示すフローチャート。
図8】サーバー装置の制御部が実行するインク量関連情報受信処理を示すフローチャート。
図9】サーバー装置の制御部が実行するインク量監視処理を示すフローチャート。
図10】サーバー装置の制御部が実行する配送指示監視処理を示すフローチャート。
図11】第2実施形態の印刷システムの電気的構成を示すブロック図。
図12】印刷装置の制御部が実行するインク量関連情報制御処理を示すフローチャート。
図13】印刷装置の制御部が実行するインク量監視処理を示すフローチャート。
図14】第3実施形態の印刷装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態の印刷装置11及び印刷システム10について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1に示すように、印刷システム10は、複数の印刷装置11A~11Dと、サーバー装置200と、を備える。以下、複数の印刷装置11A~11Dのそれぞれを印刷装置11と示す場合がある。本実施形態では、印刷システム10は、印刷装置11で用いられるインク等の印刷材の管理を行うことが可能に構成される。
【0011】
印刷装置11は、用紙等の媒体Mに印刷材を吐出することにより、印刷材を用いて媒体Mに印刷を行う。
サーバー装置200は、ネットワークNTを介して印刷装置11と通信可能に接続される。印刷装置11は、例えば、パーソナルコンピューター等よりなるホスト装置(図示略)を経由してネットワークNTに接続されてもよい。
【0012】
図2に示すように、印刷装置11は、略四角箱状の本体12を備える。印刷装置11は、操作パネル13を備える。操作パネル13は、本体12の前面上部に設けられる。操作パネル13は、操作部14と、表示部15とを備える。操作部14は、ユーザーにより操作可能に構成される。表示部15は、各種画像を表示する。本実施形態では、表示部15は、例えば、インクカートリッジ24の交換及びメンテナンスを促すメッセージ情報等を表示する。
【0013】
印刷装置11は、給紙カセット16を備える。給紙カセット16は、本体12の操作パネル13に下側に設けられる。給紙カセット16は、本体12に挿抜可能な状態で装着されている。給紙カセット16は、用紙等の媒体Mを複数収容可能に構成される。印刷装置11は、給紙カセット16から給送された媒体Mに印刷を行う。
【0014】
印刷装置11は、排出口12aを備える。排出口12aは、本体12の前面に開口する。排出口12aは、印刷後の媒体Mを排出する。印刷装置11は、排紙トレイ17を備える。排紙トレイ17は、本体12の前面にスライド可能に設けられる。排紙トレイ17は、排出口12aから排出された印刷後の媒体Mを保持する。
【0015】
図3に示すように、印刷装置11は、本体フレーム18を備える。本体フレーム18は、上側と前側が開口する略四角箱状である。印刷装置11は、ガイド軸19を備える。ガイド軸19は、本体フレーム18の左右の側壁間に架設される。ガイド軸19は、所定長さを有する。
【0016】
印刷装置11は、印刷部20を備える。印刷部20は、インクを用いて媒体Mに印刷を行う。印刷部20は、キャリッジ21を備える。キャリッジ21は、ガイド軸19に沿って幅方向Xに往復移動可能に構成される。印刷部20は、液体吐出ヘッド22を備える。液体吐出ヘッド22は、キャリッジ21の下部に設けられる。
【0017】
印刷部20は、カートリッジホルダー23を備える。カートリッジホルダー23は、キャリッジ21の上部に設けられる。カートリッジホルダー23は、複数のインクカートリッジ24を装着可能に構成される。本実施形態では、カートリッジホルダー23は、4つのインクカートリッジ24を装着可能に構成される。本実施形態では、4つのインクカートリッジ24には、例えば、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のインクがそれぞれ収容されている。カートリッジホルダー23は、4つに限らず、1~3、5以上であってもよい。インクカートリッジ24は、4色に限らず、1~3、5以上の色であってもよい。つまり、本実施形態では、インクカートリッジ24は、インクが収容されている収容体の一例に相当する。
【0018】
液体吐出ヘッド22は、各インクカートリッジ24から供給されるインクを、その下面に開口する色別のノズルからそれぞれ吐出する。このように、液体吐出ヘッド22は、カートリッジホルダー23に装着されたインクカートリッジ24に収容されているインクを吐出して印刷を行う。なお、液体吐出ヘッド22は、キャリッジ21に接続されたフレキシブルフラットケーブルFCを介して印刷装置11内に設けられた図4に示す制御部110と通信可能に接続される。液体吐出ヘッド22は、制御部110からの吐出制御データに基づいて駆動する。
【0019】
印刷装置11は、支持台25を備える。支持台25は、液体吐出ヘッド22と対向する下方位置に設けられる。支持台25は、長尺状である。支持台25は、媒体Mを上面で支持する。支持台25は、液体吐出ヘッド22と媒体Mとの間隔が規定されるように設けられる。支持台25は、少なくとも印刷領域に亘って幅方向Xに延びる。支持台25に支持される媒体Mに、液体吐出ヘッド22の下面に開口するノズルから吐出されたインクが着弾することで、文字又は画像の印刷が行われる。
【0020】
印刷装置11は、搬送モーター26を備える。搬送モーター26は、本体フレーム18に設けられる。印刷装置11は、搬送ローラー対27を備える。搬送ローラー対27は、奥行方向Yにおいて支持台25を挟んだその上流側に設けられる。搬送ローラー対27は、搬送モーター26の回転駆動により媒体Mを挟持した状態で奥行方向Yに搬送する。
【0021】
本実施形態では、シリアル式の印刷装置11が採用されている。シリアル式の印刷装置11は、キャリッジモーター28を備える。印刷装置11は、キャリッジモーター28は、本体フレーム18に設けられる。キャリッジモーター28は、キャリッジ21を幅方向Xに往復移動可能に構成される。印刷装置11は、キャリッジ21を幅方向Xに往復移動させながら液体吐出ヘッド22のノズルから媒体Mにインクを吐出する印字動作と、媒体Mを奥行方向Yに所定の搬送量で搬送する送り動作とを交互に繰り返す。これにより、印刷装置11は、媒体Mに文字又は画像を印刷する。本実施形態では、キャリッジ21を往復移動させる幅方向Xが走査方向及び主走査方向になり、媒体Mが搬送される奥行方向Yが搬送方向及び副走査方向となる。
【0022】
印刷装置11は、メンテナンス部29を備える。メンテナンス部29は、印刷部20のメンテナンスを実行する。特に、本実施形態では、メンテナンス部29は、液体吐出ヘッド22に対してメンテナンスを行う。メンテナンス部29は、キャリッジ21のホームポジションの直下に設けられる。キャリッジ21のホームポジションは、キャリッジ21の移動経路上の一端位置である。キャリッジ21のホームポジションは、印刷を行わないときにキャリッジ21が待機する位置である。本実施形態では、メンテナンスとして、クリーニング及びワイピングが行なわれる。
【0023】
メンテナンス部29は、キャップ30と、ワイパー31と、メンテナンスポンプ32と、廃液タンク33とを備える。キャップ30は、上下方向Zに移動可能に構成される。キャリッジ21がホームポジションに配置されているときに、キャップ30は、上方向に移動することにより、液体吐出ヘッド22の下面であるノズル形成面に当接可能に構成される。メンテナンスポンプ32は、液体吐出ヘッド22のノズルからインクを強制的に吸引排出する。廃液タンク33は、支持台25の下側に設けられる。廃液タンク33は、液体吐出ヘッド22のノズルから吸引排出された廃インクを貯留する。
【0024】
本実施形態では、クリーニングは、キャップ30をノズル形成面に当接させた状態でメンテナンスポンプ32が駆動することで、液体吐出ヘッド22のノズルからインクを強制的に吸引排出する。なお、クリーニングは、吸引クリーニングに替え、加圧クリーニングとしてもよい。
【0025】
また、本実施形態では、クリーニングでは、液体吐出ヘッド22のノズルから所定の使用量のインクを吸引することにより、所定の使用量のインクを消費する。クリーニングを行うことにより、液体吐出ヘッド22のノズルから吐出不良の原因となる増粘インク、気泡または異物が排出される。このため、ノズルの目詰まりを予防することができる。
【0026】
本実施形態では、クリーニングには、メンテナンス強度が異なる複数種類のクリーニングがある。具体的な一例をあげると、クリーニングには、通常クリーニングと、強力クリーニングとがある。強力クリーニングは、通常クリーニングよりも、吸引力及び吸引時間の少なくとも何れかが異なり、通常クリーニングよりもインクの使用量が多い。このように、本実施形態では、メンテナンスには、通常クリーニングと、通常クリーニングよりもインクの使用量が多い強力クリーニングとがある。本実施形態では、通常クリーニングが第1メンテナンスの一例に相当する。本実施形態では、強力クリーニングが第2メンテナンスの一例に相当する。
【0027】
ワイパー31は、ゴムなどの弾性部材によって形成されている。ワイパー31は、上下方向Zに移動可能に構成される。ワイピングは、ワイパー31が液体吐出ヘッド22のノズル形成面に当接した状態で、キャリッジ21が幅方向Xに移動することによってノズル形成面を払拭する。
【0028】
次に、図4を参照して、印刷システム10の電気的構成について説明する。ここでは、サーバー装置200に対して1台の印刷装置11がネットワークNTを介して通信可能に接続される印刷システム10について説明する。
【0029】
印刷装置11は、制御部110と、通信部130と、操作パネル13と、搬送モーター26と、キャリッジモーター28と、印刷部20と、メンテナンス部29と、を備える。
制御部110は、印刷装置11を制御する。制御部110には、通信部130、操作パネル13、搬送モーター26、キャリッジモーター28、印刷部20及びメンテナンス部29が電気的に接続されている。
【0030】
制御部110は、CPUと、ASIC(Application Specific Integrated Circuit(特定用途向けIC))と、記憶部120とを備える。CPUは、記憶部120に記憶された制御プログラムを実行することにより、印刷装置11を制御する。特に、制御部110は、印刷部20による印刷に関する制御を行う。
【0031】
記憶部120は、RAM及び不揮発性メモリー等から構成される。記憶部120には、制御部110により印刷装置11を制御するための情報が記憶される。特に、記憶部120には、制御プログラムと、参照データとが記憶されている。この制御プログラムは、印刷装置11を制御するためのプログラムである。この参照データは、印刷装置11を制御するために参照されるデータである。
【0032】
通信部130は、ネットワークNTを介してサーバー装置200と通信可能に接続される。搬送モーター26は、制御部110からの制御信号に応じて媒体Mを搬送するアクチュエーターである。キャリッジモーター28は、制御部110からの制御信号に応じてキャリッジ21を幅方向Xに沿って往復移動させるアクチュエーターである。なお、印刷装置がラインプリンターである場合、印刷装置は、キャリッジモーター28を備えなくてもよい。印刷部20は、制御部110からの制御信号に応じて媒体Mにインクを吐出する。
【0033】
制御部110は、制御プログラムを実行することで、メンテナンス制御部111、表示制御部112、計数部113、残量検出部114、情報送信部115、及び情報受信部116として機能する。
【0034】
メンテナンス制御部111は、メンテナンス部29に印刷部20のメンテナンスを行わせる。本実施形態では、メンテナンス制御部111は、メンテナンス部29に通常クリーニングを行わせる。本実施形態では、メンテナンス制御部111は、メンテナンス部29に強力クリーニングを行わせる。本実施形態では、メンテナンス制御部111は、メンテナンス部29にワイピングを行わせる。
【0035】
本実施形態では、メンテナンス制御部111は、操作部14の操作に応じて、メンテナンスを実行させることができるが、サーバー装置200からの指示に応じて、メンテナンスを実行させることもできる。また、メンテナンス制御部111は、操作部14の操作に応じてメンテナンスを実行させる場合、液体吐出ヘッド22のノズル検出等に基づいて、応じて、メンテナンスの強度を選択してもよい。
【0036】
表示制御部112は、表示部15に画像を表示させる制御を行う。本実施形態では、表示制御部112は、インクカートリッジ交換及びメンテナンスを促すメッセージ情報などを表示部15に表示させる。つまり、本実施形態では、表示部15は、インクカートリッジの交換についての所定報知を行うことが可能に構成される報知部として機能する。
【0037】
計数部113は、印刷中又はメンテナンス中においてインクを使用したときに、インクの使用量を計数する。本実施形態では、インクの使用には、印刷時において液体吐出ヘッド22からインクを吐出することが含まれる。本実施形態では、計数部113は、印刷時に用いられる画像データに基づいて、各色のインク毎に使用したインクの使用量を計数する。本実施形態では、インクの使用には、メンテナンス時において各種クリーニングを行うことにより液体吐出ヘッド22からインクを吸引することが含まれる。本実施形態では、計数部113は、メンテナンス時において実行されるメンテナンスの種別に対応する予め定めた量をインクの使用量として計数する。
【0038】
計数部113は、計数したインクの使用量を記憶部120に累積的に記憶する。これにより、計数部113は、所定時間あたりのインクの使用量を特定可能となる。本実施形態では、所定時間は、30日に相当する時間であるが、これに限らず、例えば、30日以上であることが好ましい。本実施形態では、所定時間前の時間から現在の時間までの期間が所定期間に相当する。
【0039】
残量検出部114は、インクカートリッジ24に収容されているインクの残量を検出する。本実施形態では、残量検出部114は、インクカートリッジ24におけるメモリー素子にアクセス可能に構成される。インクカートリッジ24は、インクの残量を示す情報をメモリー素子に記憶可能に構成される。残量検出部114は、電源オン処理時においてインクカートリッジ24からインクの残量を特定可能な情報を読み出す。残量検出部114は、インクを使用したときに、計数部113により計数されたインクの使用量を示す情報を取得する。残量検出部114は、インクを使用したときに、インクカートリッジ24からインクの残量を特定可能な情報を読み出し、インクの使用量を減じることにより、現在のインクの残量を算出する。残量検出部114は、算出したインクの残量を示す情報をインクカートリッジ24のメモリー素子に書き込む。これにより、残量検出部114は、インクカートリッジ24に収容されているインクの残量を検出することができる。
【0040】
情報送信部115は、各種の情報をサーバー装置200に送信する。特に、情報送信部115は、インクの使用量に関する情報をサーバー装置200に送信する。本実施形態では、インクの使用量に関する情報として、印刷及びメンテナンス等により使用されたインクの使用量と、インクカートリッジ24に収容されているインクの残量とが含まれている。
【0041】
また、情報送信部115は、インクカートリッジ24に収容されているインクの残量が所定の下限量となったときに、配送要求情報をサーバー装置200に送信する。配送要求情報は、インクカートリッジ24の配送を要求する情報である。
【0042】
情報受信部116は、各種の情報をサーバー装置200から受信する。本実施形態では、サーバー装置200から受信する各種の情報には、インクカートリッジ24の交換又はメンテナンスの実行を促す報知することを指示する情報と、実際にメンテナンスを行うことを指示する情報とがある。これらの情報は、サーバー装置200においてインクの使用量に関する情報に基づく選択結果を示す情報である。
【0043】
サーバー装置200は、制御部210と、記憶部220と、通信部230とを備える。制御部210は、CPUを備える。CPUは、制御プログラムを実行することにより、サーバー装置200を制御する。
【0044】
記憶部220は、RAM及び不揮発性メモリー等から構成される。記憶部220には、制御部210によりサーバー装置200を制御するための情報が記憶される。特に、記憶部220には、制御プログラムと、参照データとが記憶されている。この制御プログラムは、サーバー装置200を制御するためのプログラムである。この参照データは、サーバー装置200を制御するために参照されるデータである。
【0045】
通信部230は、ネットワークNTを介して印刷装置11などの他の装置と通信可能に接続される。
制御部210は、制御プログラムを実行することで、情報受信部211、選択部212、情報送信部213、継続時間算出部214、使用量予測部215及び配送指示部216として機能する。
【0046】
情報受信部211は、インク使用量に関する情報を印刷装置11から受信する。本実施形態では、情報受信部211が受信部の一例に相当する。
選択部212は、印刷装置11で所定期間におけるインクの使用量が基準となる基準使用量以下である場合、インクの残量に応じて、印刷部20のメンテナンスの実行と、インクの使用に関する所定報知との何れかを選択することが可能に構成される。特に、選択部212は、インクの残量が印刷部20のメンテナンスの実行に必要な量以上であるときに、印刷部20のメンテナンスの実行を選択することが可能に構成される。一方、選択部212は、インクの残量が印刷部20のメンテナンスの実行に必要な量未満であるときに、インクの使用に関する所定報知を選択することが可能に構成される。
【0047】
情報送信部213は、選択部212により選択された選択結果に関する情報を印刷装置11に送信する。本実施形態では、情報送信部213が送信部の一例に相当する。
継続時間算出部214は、印刷装置11から送信されるインクの使用に関する情報に基づいて、印刷装置11においてインクを使用していない状態が継続する未使用時間を算出する。
【0048】
使用量予測部215は、印刷装置11においてインク使用量を予測する。特に、本実施形態では、使用量予測部215は、継続時間算出部214により算出された未使用時間に基づいて、印刷装置11において次に実行されるメンテナンスで使用されるインクの使用量を予測する。
【0049】
配送指示部216は、インクカートリッジ24の配送条件が成立したときに、インクカートリッジ24の配送を指示する。特に、本実施形態では、配送指示部216は、印刷装置11に装着されているインクカートリッジ24に収容されているインクの残量が、使用量予測部215により予測されたインクの使用量未満であるときに、インクカートリッジ24材の配送を指示する。
【0050】
このような印刷システム10では、サーバー装置200において、印刷システム10を構成する複数の印刷装置11に関する情報が図5に示すユーザー情報データベースDBとして管理されている。特に、本実施形態では、ユーザー情報データベースDBは、印刷装置11において使用されたインクの使用量、及び、インクカートリッジ24に収容されているインクの残量について管理可能に構成されている。
【0051】
本実施形態では、サーバー装置200の記憶部220には、ユーザー情報データベースDBが記憶されている。ユーザー情報データベースDBは、印刷装置11に関する情報を管理するための情報群である。
【0052】
図5に示すように、ユーザー情報データベースDBにおいて、1つのユーザー識別情報には、1又は複数の装置識別情報が対応付けられている。ユーザー識別情報は、ユーザーを識別可能なユーザー固有の識別情報である。装置識別情報は、印刷装置11を識別可能な印刷装置11固有の識別情報である。
【0053】
ユーザー情報データベースDBにおいて、1つの装置識別情報には、装置種別情報と、装置通信情報と、サブスクリプション情報と、配送先情報とが対応付けられている。装置種別情報は、印刷装置11の種別として印刷装置11の機種を識別可能な情報である。装置通信情報は、印刷装置11と通信するための情報である。サブスクリプション情報は、サブスクリプションが有効であるか無効であるかを示す情報である。サブスクリプションとは、インクの使用量に関係なく、印刷システム10を利用する期間に対する対価が発生するシステムである。このため、サブスクリプションは、インクの使用量が多くなった場合であっても、直接的に対価に影響がないシステムである。配送先情報は、印刷装置11が設置された場所を示す情報であり、インクカートリッジ24を配送するための情報である。
【0054】
ユーザー情報データベースDBにおいて、1つの装置識別情報には、所定時間あたりの基準使用量が対応付けられている。所定時間あたりの基準使用量は、所定時間あたりにインクを使用する最低使用量の基準である。所定時間あたりのインクの使用量が基準使用量未満であると、液体吐出ヘッド22のノズルに付着したインクが経時変化し、増粘インク、気泡又は異物が発生してしまい、吐出不良の原因となる。このような場合、印刷装置11において印刷品質の低下を抑制するためにメンテナンスを行うことが必要となる。このように、ユーザー情報データベースDBにおいて、所定時間あたりのインクの使用量が基準使用量を認識可能となる。所定時間あたりの基準使用量は、印刷装置11の種別に対応する情報である。
【0055】
ユーザー情報データベースDBにおいて、1つの装置識別情報には、1種類又は複数種類のメンテナンス情報が対応付けられている。メンテナンス情報には、メンテナンスの種別と、メンテナンスでのインクの使用量とがある。具体的な一例をあげると、メンテナンスの種別としては、通常クリーニングと、強力クリーニングとがある。通常クリーニングには、通常クリーニングに必要なインクの使用量が対応付けられている。強力クリーニングには、強力クリーニングに必要なインクの使用量が対応付けられている。強力クリーニングに必要なインクの使用量は、通常クリーニングに必要なインクの使用量よりも多い。メンテナンス情報は、印刷装置11の種別に対応する。
【0056】
ユーザー情報データベースDBにおいて、1つの装置識別情報には、1種類又は複数種類のインク使用履歴情報が対応付けられている。インク使用履歴情報は、印刷装置11において使用されたインクの使用量の履歴情報である。インク使用履歴情報は、印刷装置11から送信される情報である。インク使用履歴情報には、時刻情報と、インク使用量情報と、インク残量情報とが対応付けられている。時刻情報は、印刷装置11においてインク使用量に関する情報を生成した時刻情報である。インク使用量情報は、印刷装置11において使用されたインク使用量を示す情報である。インク残量情報は、印刷装置11においてインクカートリッジ24に収容されているインク残量を示す情報である。最新の時刻情報に対応するインク残量情報が、印刷装置11の最新のインク残量情報として認識可能である。
【0057】
ユーザー情報データベースDBにおいて、1つの装置識別情報には、所定時間あたりのインク使用量が対応付けられている。所定時間あたりのインク使用量は、インク使用履歴情報から生成される情報である。具体的には、インク使用履歴情報から、所定時間に含まれる時刻情報であるインク使用量情報が抽出され、抽出されたインク使用量情報の合計が所定時間あたりのインク使用量として算出される。
【0058】
ユーザー情報データベースDBにおいて、1つの装置識別情報には、未使用時間が対応付けられている。未使用時間は、印刷装置11において液体を吐出しておらず、インク使用量の変化がない時間である。未使用時間は、インク使用履歴情報から生成される情報である。具体的には、インク使用履歴情報から、インク使用量情報の変化があった時刻情報が抽出され、抽出された時刻情報と現在の時刻との差が未使用時間として算出される。
【0059】
ここで、各種の制御プログラムに従って印刷装置11及びサーバー装置200において行われる各種の処理について説明する。
最初に、図6を参照して、印刷装置11において実行されるインク量関連情報送信処理について説明する。このインク量関連情報送信処理は、所定周期毎に印刷装置11の制御部110により実行される。
【0060】
図6に示すように、ステップS11において、制御部110は、送信条件が成立したか否かを判定する。本実施形態では、送信条件には、電源オン時、電源オフ時、印刷の終了時、メンテナンス終了時及びインクカートリッジ24の取り換え時がある。制御部110は、送信条件が成立していないと判定した場合、ステップS12を実行せずに、インク量関連情報送信処理を終了する。一方、制御部110は、送信条件が成立したと判定した場合、ステップS12に移行する。
【0061】
ステップS12において、制御部110は、インク使用量に関するインク量関連情報を送信する。本実施形態では、インク量関連情報としては、時刻情報、インク使用量情報、インク残量情報及び配送要求情報がある。
【0062】
具体的に、制御部110は、内蔵されている計時素子から現在の時刻情報を取得する。制御部110は、インクカートリッジ24のメモリー素子からインクカートリッジ24のインク残量を読み出し、インク残量情報を生成する。特に、制御部110は、インクカートリッジ24の配送を要求するインク残量であった場合、配送要求情報を生成する。制御部110は、印刷終了時及びメンテナンス終了時においては、使用したインク使用量を示すインク使用量情報を生成する。制御部110は、生成した各種情報を、ネットワークNTを介してサーバー装置200に送信する。この処理が終了すると、制御部110は、インク量関連情報送信処理を終了する。
【0063】
次に、図7を参照して、印刷装置11において実行される選択結果制御処理について説明する。この選択結果制御処理は、サーバー装置200から選択結果情報を受信したときに印刷装置11の制御部110により実行される。特に、この選択結果制御処理は、サーバー装置200における選択基準により選択された選択結果情報に基づいて実行される。本実施形態において、選択基準は、図9に示すインク量監視処理にて詳しく説明するが、インク使用量の変化があったか否かを含む。また、本実施形態において、選択基準は、未使用時間が第2メンテナンスを行うことが推奨される規定時間以上であるか否かを含む。本実施形態において、選択基準は、インク残量が各種メンテナンスに必要なインク使用量以上であるか否かを含む。
【0064】
図7に示すように、ステップS21において、制御部110は、サーバー装置200から受信した選択結果情報に基づいて、選択結果が第1メンテナンスであるか否かを判定する。本実施形態では、第1メンテナンスとしては、通常クリーニングが相当する。制御部110は、選択結果が第1メンテナンスではないと判定した場合、ステップS23に移行する。一方、制御部110は、選択結果が第1メンテナンスであると判定した場合、ステップS22に移行する。
【0065】
ステップS22において、制御部110は、第1メンテナンス制御処理を実行する。この処理において、制御部110は、第1メンテナンスの実行を示す情報を記憶部120に記憶させる。これにより、制御部110は、所定のタイミングで第1メンテナンスとしての通常クリーニングをメンテナンス部29に実行させる。本実施形態では、所定のタイミングとしては、電源オフ時が相当するが、これに限らず、例えば、電源オン時、印刷の終了時、所定時間経過時であってもよい。このような処理を実行する制御部110は、メンテナンス制御部111として機能する。この処理が終了すると、制御部110は、選択結果制御処理を終了する。
【0066】
ステップS23において、制御部110は、サーバー装置200から受信した選択結果情報に基づいて、選択結果が第2メンテナンスであるか否かを判定する。本実施形態では、第2メンテナンスとしては、強力クリーニングが相当する。制御部110は、選択結果が第2メンテナンスではないと判定した場合、ステップS25に移行する。一方、制御部110は、選択結果が第2メンテナンスであると判定した場合、ステップS24に移行する。
【0067】
ステップS24において、制御部110は、第2メンテナンス制御処理を実行する。この処理において、制御部110は、第2メンテナンスの実行を示す情報を記憶部120に記憶させる。これにより、制御部110は、所定のタイミングで第2メンテナンスとしての通常クリーニングをメンテナンス部29に実行させる。このような処理を実行する制御部110は、メンテナンス制御部111として機能する。この処理が終了すると、制御部110は、選択結果制御処理を終了する。
【0068】
ステップS25において、制御部110は、サーバー装置200から受信した選択結果情報に基づいて、選択結果がメンテナンス関連報知であるか否かを判定する。本実施形態では、メンテナンス関連報知としては、インクカートリッジ24の交換又はクリーニングの実施を促す報知が相当する。制御部110は、選択結果がメンテナンス関連報知ではないと判定した場合、ステップS26を実行せずに、選択結果制御処理を終了する。一方、制御部110は、選択結果がメンテナンス関連報知であると判定した場合、ステップS26に移行する。
【0069】
ステップS26において、制御部110は、メンテナンス関連報知制御処理を実行する。この処理において、制御部110は、メンテナンス関連報知の実行を示す情報を記憶部120に記憶させる。これにより、制御部110は、メンテナンス関連報知を表示部15に実行させる。このような処理を実行する制御部110は、表示制御部112として機能する。この処理が終了すると、制御部110は、選択結果制御処理を終了する。
【0070】
このように、本実施形態では、制御部110は、サーバー装置200から送信された選択結果に関する選択結果情報に基づいて、印刷部20のメンテナンスの実行と、表示部15による所定報知との何れかを行う。
【0071】
次に、図8を参照して、サーバー装置200において実行されるインク量関連情報受信処理について説明する。このインク量関連情報受信処理は、所定周期毎にサーバー装置200の制御部210により実行される。
【0072】
図8に示すように、ステップS101において、制御部210は、印刷装置11からインク量関連情報を受信したか否かを判定する。このような処理を実行する制御部210が情報受信部211として機能する。制御部210は、印刷装置11からインク量関連情報を受信していないと判定した場合、ステップS102を実行せずに、インク量関連情報受信処理を終了する。一方、制御部210は、印刷装置11からインク量関連情報を受信したと判定した場合、ステップS102に移行する。
【0073】
ステップS102において、制御部210は、インク使用履歴記録処理を実行し、インク量関連情報受信処理を終了する。この処理において、制御部210は、印刷装置11から受信したインク量関連情報に基づいて、ユーザー情報データベースDBのインク使用履歴情報に新しい情報を記憶する。本実施形態では、制御部210は、インク量関連情報として配送要求情報を受信した場合、配送要求があったことを示す情報を記憶部220に記憶させる。これにより、制御部210は、配送要求があったことを認識可能となる。
【0074】
次に、図9を参照して、サーバー装置200において実行されるインク量監視処理について説明する。このインク量監視処理は、所定周期毎にサーバー装置200の制御部210により実行される。
【0075】
図9に示すように、ステップS111において、制御部210は、監視条件が成立したか否かを判定する。本実施形態では、監視条件としては、所定時間よりも短い周期毎に成立するが、これに限らず、例えば、所定時間が経過したときに成立してもよい。制御部210は、監視条件が成立していないと判定した場合、ステップS112~S122を実行せずに、インク量監視処理を終了する。一方、制御部210は、監視条件が成立したと判定した場合、ステップS112に移行する。
【0076】
ステップS112において、制御部210は、所定期間インク使用量算出処理を実行する。この処理において、制御部210は、ユーザー情報データベースDBのインク使用履歴情報を参照し、所定時間あたりのインク使用量を算出する。具体的に、制御部210は、ユーザー情報データベースDBのインク使用履歴情報の時刻情報を参照する。制御部210は、現在の時刻情報から所定時間前までの時刻情報から、所定時間に含まれるインク使用量を抽出する。制御部210は、抽出したインク使用量を合算し、所定時間あたりのインク使用量を算出する。制御部210は、算出した所定時間あたりのインク使用量をユーザー情報データベースDBに記憶させる。この処理が終了すると、制御部110は、ステップS113に移行する。
【0077】
ステップS113において、制御部210は、ユーザー情報データベースDBを参照し、算出した所定時間あたりのインク使用量が、基準使用量以下であるか否かを判定する。制御部210は、所定時間あたりのインク使用量が基準使用量以下ではないと判定した場合、ステップS114~S122を実行せずに、インク量監視処理を終了する。一方、制御部210は、制御部210は、所定時間あたりのインク使用量が基準使用量以下であると判定した場合、ステップS114に移行する。本実施形態では、所定時間あたりの基準使用量が規定量の一例に相当する。
【0078】
ステップS114において、制御部210は、インク残量認識処理を実行する。この処理において、制御部210は、ユーザー情報データベースDBのインク使用履歴情報を参照し、最新の時刻情報に対応するインク残量を現状のインク残量として認識する。この処理が終了すると、制御部110は、ステップS115に移行する。
【0079】
ステップS115において、制御部210は、所定時間あたりのインク使用量に変化があったか否かを判定する。制御部210は、所定時間あたりのインク使用量に変化がなかったと判定した場合、ステップS116に移行する。一方、制御部210は、所定時間あたりのインク使用量に変化があったと判定した場合、ステップS121に移行する。
【0080】
ステップS116において、制御部210は、ユーザー情報データベースDBを参照し、未使用時間が規定時間以上であるか否かを判定する。本実施形態では、規定時間として、強力クリーニングを行うことが推奨される時間が規定されている。制御部210は、未使用時間が規定時間以上であると判定した場合、ステップS117に移行する。一方、制御部210は、未使用時間が規定時間未満であると判定した場合、ステップS118に移行する。
【0081】
ステップS117において、制御部210は、認識したインク残量が第2メンテナンスに必要なインク使用量以上であるか否かを判定する。本実施形態では、第2メンテナンスとして、強力クリーニングが相当する。制御部210は、インク残量が第2メンテナンスに必要なインク使用量以上であると判定した場合、ステップS118に移行する。一方、制御部210は、インク残量が第2メンテナンスに必要なインク使用量未満であると判定した場合、ステップS119に移行する。
【0082】
ステップS118において、制御部210は、第2メンテナンス選択処理を実行する。この処理において、制御部210は、第2メンテナンスの実行を選択結果として選択し、ステップS122に移行する。
【0083】
つまり、制御部210は、所定期間におけるインクの使用量が基準使用量以下である場合、インクの残量が印刷部20のメンテナンスの実行に必要な量以上であるときに、印刷部20のメンテナンスの実行を選択することが可能に構成される。特に、本実施形態では、制御部210は、未使用時間が規定時間以上である場合、インクの残量が第2メンテナンスの実行に必要な量以上であるときに、第2メンテナンスの実行を選択することが可能に構成される。
【0084】
ステップS119において、制御部210は、認識したインク残量が第1メンテナンスに必要なインク使用量以上であるか否かを判定する。本実施形態では、第1メンテナンスとして、通常クリーニングが相当する。制御部210は、インク残量が第1メンテナンスに必要なインク使用量以上であると判定した場合、ステップS120に移行する。一方、制御部210は、インク残量が第1メンテナンスに必要なインク使用量未満であると判定した場合、ステップS121に移行する。
【0085】
ステップS120において、制御部210は、第1メンテナンス選択処理を実行する。この処理において、制御部210は、第1メンテナンスの実行を選択結果として選択し、ステップS122に移行する。
【0086】
つまり、制御部210は、所定期間におけるインクの使用量が基準使用量以下である場合、インクの残量が印刷部20のメンテナンスの実行に必要な量以上であるときに、印刷部20のメンテナンスの実行を選択することが可能に構成される。特に、本実施形態では、制御部210は、未使用時間が規定時間以上である場合であっても、インクの残量が第1メンテナンスの実行に必要な量以上であるが、第2メンテナンスの実行に必要な量未満であるときに、第1メンテナンスの実行を選択することが可能に構成される。
【0087】
ステップS121において、制御部210は、メンテナンス関連報知選択処理を実行する。この処理において、制御部210は、メンテナンス関連報知を行うことを選択結果として選択し、ステップS122に移行する。
【0088】
つまり、制御部210は、制御部210は、所定期間におけるインクの使用量が基準使用量以下である場合、インクの残量が印刷部20のメンテナンスの実行に必要な量未満であるときに、インクカートリッジ24の交換及びメンテナンスの実行などの所定報知を選択することが可能に構成される。特に、本実施形態では、制御部210は、未使用時間が規定時間以上である場合であっても、インクの残量が第2メンテナンスの実行に必要な量未満、第1メンテナンスの実行に必要な量以上であるときに、印刷部20の第1メンテナンスの実行を選択することが可能に構成される。
【0089】
このように、制御部210は、インクの使用量に関する情報に基づいて、所定期間におけるインクの使用量が基準使用量以下である場合、インクの残量に応じて、印刷部20のメンテナンスの実行と、所定報知との何れかを選択することが可能に構成される。また、制御部210は、所定時間あたりのインク使用量に変化があったか否かに応じて、印刷部20のメンテナンスの実行と、所定報知との何れかを選択する。つまり、制御部210は、所定期間におけるインクの使用量が規定量以下である場合、その所定期間におけるインクの使用量に応じて、印刷部20のメンテナンスの実行と、所定報知との何れかを選択することが可能に構成される。本実施形態では、このような処理を実行する制御部210が選択部212として機能する。
【0090】
ステップS122において、制御部210は、選択した選択結果を示す選択結果情報を生成し、ネットワークNTを介して、印刷装置11に送信する。このような処理を実行する制御部210が情報送信部213として機能する。この処理が終了すると、制御部110は、インク量監視処理を終了する。
【0091】
次に、図10を参照して、サーバー装置200において実行される配送管理処理について説明する。この配送管理処理は、所定周期毎にサーバー装置200の制御部210により実行される。
【0092】
図10に示すように、ステップS131において、制御部210は、ステップS114と同じように、インク残量認識処理を実行し、ステップS132に移行する。
ステップS132において、制御部210は、未使用時間算出処理を実行する。この処理において、制御部210は、ユーザー情報データベースDBのインク使用履歴情報を参照し、印刷装置11においてインクを使用していない状態が継続する未使用時間を算出する。制御部210は、算出した未使用時間をユーザー情報データベースDBに登録する。このように、制御部210は、印刷装置11においてインクを使用していない未使用時間を算出する。本実施形態では、このような処理を実行する制御部210が継続時間算出部214として機能する。本実施形態では、インクを使用していない未使用時間が継続時間の一例に相当する。この処理が終了すると、制御部110は、ステップS133に移行する。
【0093】
ステップS133において、制御部210は、メンテナンスインク使用量予測処理を実行する。この処理において、制御部210は、ユーザー情報データベースDBの未使用時間を参照する。制御部210は、未使用時間が規定時間以上である場合、第2メンテナンスに必要なインク使用量を予測インク使用量として予測する。制御部210は、未使用時間が規定時間未満である場合、第1メンテナンスに必要なインク使用量を予測インク使用量として予測する。このように、制御部210は、印刷装置11においてインクを使用していない未使用時間に基づいて、メンテナンス部29により次に実行されるメンテナンスで使用されるインクの使用量を予測する。本実施形態では、このような処理を実行する制御部210が使用量予測部215として機能する。この処理が終了すると、制御部110は、ステップS134に移行する。
【0094】
ステップS134において、制御部210は、配送条件が成立したか否かを判定する。本実施形態では、配送条件としては、印刷装置11から配送要求があったときに成立する。本実施形態では、配送条件としては、ユーザー情報データベースDBを参照して、インク残量が予測インク使用量未満であるときに成立する。制御部210は、配送条件が成立していないと判定した場合、ステップS135を実行せずに、配送管理処理を終了する。一方、制御部210は、配送条件が成立したと判定した場合、ステップS135に移行する。
【0095】
ステップS135において、制御部210は、配送指示処理を実行する。この処理において、制御部210は、配送条件が成立した印刷装置11の配送先にインクカートリッジ24を配送することを示す情報を記憶部220に記憶させる。これにより、配送条件が成立した印刷装置11の配送先にインクカートリッジ24を配送することが認識可能となる。本実施形態では、このような処理を実行する制御部210が配送指示部216として機能する。この処理が終了すると、制御部110は、配送管理処理を終了する。
【0096】
印刷システム10の作用について説明する。
印刷装置11では、印刷時にインクの吐出により使用したインクの使用量が計数される。印刷装置11では、メンテナンス時にインクの吸引により使用したインクの使用量が計数される。計数された使用量を減算したインクの残量は、インクカートリッジ24のメモリー素子に記憶される。このように、インクの使用量及びインクの残量がインクの使用に関する情報として認識可能となる。そして、送信条件が成立したときに、インクの使用に関する情報が印刷装置11からサーバー装置200に送信される。
【0097】
サーバー装置200では、インクの使用に関する情報が受信されると、インクの使用に関する情報がインク使用履歴情報としてユーザー情報データベースDBに登録される。ユーザー情報データベースDBのインク使用履歴情報が参照されることにより、所定期間あたりのインクの使用量及びインク残量が認識可能となる。
【0098】
サーバー装置200では、所定期間あたりのインクの使用量が基準使用量以下である場合、インク残量に応じて、印刷部20のメンテナンスの実行と、インクの使用に関する所定報知との何れかが選択される。特に、インク残量が印刷部20のメンテナンスの実行に必要な量以上であるときには、印刷部20のメンテナンスの実行が選択される。一方、インク残量が印刷部20のメンテナンスの実行に必要な量未満であるときには、インクの使用に関する所定報知が選択される。選択された選択結果を示す情報がサーバー装置200から印刷装置11に送信される。
【0099】
印刷装置11では、選択された選択結果を示す情報が受信されると、選択結果を示す情報に基づいて、印刷部20のメンテナンスと、インクの使用に関する所定報知との何れかが実行される。
【0100】
以上、詳述したように、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)所定期間におけるインクの使用量が基準使用量以下である場合に、メンテナンスの実行と、インクカートリッジ24の交換についての所定報知との何れかを行うことができる。このため、インクの使用頻度が低い場合であっても、以前に使用したインクが印刷部20において付着し、凝固してしまう等の原因により印刷品質の低下を抑制することができる。
【0101】
(2)所定期間におけるインクの使用量が基準使用量以下である場合、インクの残量に応じて、メンテナンスの実行と、所定報知との何れかを選択することができる。このため、インクの残量に応じた処理を実行させることができる。
【0102】
(3)所定期間におけるインクの使用量が基準使用量以下である場合、インクの残量がメンテナンスの実行に必要な量以上であるときに、メンテナンスを実行させることができる。したがって、ユーザーが意図しない場合であっても、十分にインクを使用してメンテナンスを実行することができ、印刷品質の低下を抑制することができる。
【0103】
(4)メンテナンスには、第1メンテナンスと、第1メンテナンスよりもインクの使用量が多い第2メンテナンスとがあり、インクの使用量が異なる複数種類のメンテナンスを実行することができる。所定期間におけるインクの使用量が基準使用量以下である場合、インクの残量が、第2メンテナンスの実行に必要な量未満であるときであっても第1メンテナンスの実行に必要な量以上であれば、第1メンテナンスを実行させることができる。このため、インクの残量に応じた種別のメンテナンスを実行させることができ、印刷品質の低下を抑制することができる。
【0104】
(5)所定期間におけるインクの使用量が基準使用量以下である場合、インクの残量以外にも、所定期間におけるインクの使用量に応じて、メンテナンスの実行と、所定報知との何れかを行うことができる。このため、所定期間におけるインクの使用量が基準使用量以下である場合であっても、そのインクの使用量に応じた処理を実行させることができる。
【0105】
(6)複数の印刷装置11と通信可能に接続されるサーバー装置200で、インクの使用量に関する情報を集中的に管理することができる。
(7)所定期間においてインクが使用されていない状態が継続する未使用時間に基づいて、次に実行されるメンテナンスで使用されるインクの使用量を予測することができる。このため、次のメンテナンスを実行させる前に、次のメンテナンスで使用するインクの使用量を予測することができる。
【0106】
(8)インクの残量が、予測されたインクの使用量未満であるときに、インクの配送を指示することができる。このため、ユーザーによりインクの配送を要求しなくてもインクの配送を行うことができ、十分なインクを使用して次のメンテナンスを実行させることができ、印刷品質の低下を抑制することができる。
【0107】
(9)インクの使用頻度が低いことを原因として印刷品質が低下するおそれがある期間が30日を閾値とした期間である。このようなことから、30日以上を所定期間として採用することにより、インクの使用頻度が低い場合であっても印刷品質の低下を抑制することができる。
【0108】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、サーバー装置200が選択部212を備えるように構成したが、第2実施形態では、印刷装置11が選択部を備えるように構成してもよい。第2実施形態について、第1実施形態と同じような構成については説明を省略する。
【0109】
図11に示すように、印刷装置11では、制御部110が選択部117としても機能する。第2実施形態の選択部117は、第1実施形態の選択部212と同じような機能を備えている。第2実施形態の選択部117は、印刷装置11で生成されるインクに関する情報に基づいて、第1実施形態の選択部212と同じような選択が行われる。この場合、第2実施形態の記憶部120には、第1実施形態のユーザー情報データベースDBに相当する情報が記憶される。第2実施形態では、サーバー装置200が選択部212及び情報送信部213を備えない構成としたが、選択部212及び情報送信部213の少なくとも何れかを備える構成としてもよい。
【0110】
ここで、図12を参照して、印刷装置11において実行されるインク量関連情報制御処理について説明する。このインク量関連情報制御処理は、所定周期毎に印刷装置11の制御部110により実行される。
【0111】
図12に示すように、ステップS31において、制御部110は、記録条件が成立したか否かを判定する。本実施形態では、記憶条件は、第1実施形態の送信条件と同じように、電源オン時、電源オフ時、印刷の終了時、メンテナンス終了時及びインクカートリッジ24の取り換え時がある。制御部110は、記録条件が成立していないと判定した場合、ステップS32を実行せずに、インク量関連情報制御処理を終了する。一方、制御部110は、記録条件が成立したと判定した場合、ステップS32に移行する。
【0112】
ステップS32において、制御部110は、インク使用量に関する情報を記憶部120に記憶する。本実施形態では、インク使用量に関する情報としては、時刻情報、インク使用量情報及びインク残量情報がある。この処理が終了すると、制御部110は、インク量関連情報制御処理を終了する。
【0113】
次に、図13を参照して、印刷装置11において実行されるインク量監視処理について説明する。このインク量監視処理は、所定周期毎に印刷装置11の制御部110により実行される。
【0114】
図13に示すように、第2実施形態では、制御部110は、第1実施形態と同じようなステップS111~S121を実行する。そして、ステップS41において、制御部110は、第1実施形態の図9に示すステップS122に替えて、図7に示す選択結果制御処理を実行する。これにより、第1実施形態でサーバー装置200の制御部210が選択部212として機能したことと同じように、第2実施形態では、印刷装置11の制御部110が選択部117として機能する。
【0115】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態について説明する。第1実施形態及び第2実施形態では、インクが収容されたインクカートリッジを着脱可能に構成した。第3実施形態では、これに替えて、インクボトルに充填されたインクを収容体に注入するように構成してもよい。第3実施形態について、第1実施形態及び第2実施形態と同じような構成については説明を省略する。
【0116】
図14に示すように、印刷装置51は、収容体ユニット52を備える。収容体ユニット52は、5つの収容体53を備えるが、これに限らず、例えば、少なくとも1つの収容体を備えていればよい。各収容体53は、それぞれ異なる種類のインクを収容する。本実施形態では、インクの種類には、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなどのインク色の種類や、インクに含まれる顔料や染料などの着色剤の種類などがあるが、これに限らない。収容体53は、インクボトル54からインクを補給可能に構成される。
【0117】
このように構成される第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態のインクカートリッジ24の交換を、収容体53へのインクの補充と読み替えることができる。また、報知部の一例としての表示部15は、収容体53へのインクの補給についての所定報知を行うことが可能に構成される。
【0118】
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のような形態に変更することもできる。さらに、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできる。
【0119】
・上記実施形態では、例えば、所定期間におけるインクの使用量が基準使用量以下である状態が継続する継続時間に基づいて、メンテナンスで使用されるインクの使用量が予測されてもよい。つまり、継続時間算出部214は、所定期間におけるインクの使用量が基準使用量以下である状態が継続する継続時間を算出してもよい。使用量予測部215は、所定期間におけるインクの使用量が基準使用量以下である状態が継続する継続時間に基づいて、次に実行されるメンテナンスで使用されるインクの使用量を予測してもよい。このように、所定期間におけるインクの使用量が基準使用量以下である状態が継続する継続時間に基づいて、次に実行されるメンテナンスで使用されるインクの使用量を予測することができる。このため、次のメンテナンスを実行させる前に、次のメンテナンスで使用するインクの使用量を予測することができる。
【0120】
・上記実施形態では、例えば、印刷時において、印刷部20のキャリッジ21が幅方向Xに走査する走査回数に基づいて、インクの使用量が計数されてもよい。
・上記実施形態では、通常クリーニングが第1メンテナンスに、強力クリーニングが第2メンテナンスにそれぞれ相当したが、これに限らない。例えば、通常クリーニング及び強力クリーニングとはインクの使用量が異なる別種別のクリーニングが第1メンテナンス又は第2メンテナンスに相当してもよい。また、第1メンテナンス及び第2メンテナンスの少なくとも何れかとしては、クリーニングに限定されず、例えば、液体吐出ヘッド22からインクを空吐出するフラッシングが採用されてもよい。つまり、インクの使用量が異なる複数種類のメンテナンスが第1メンテナンス及び第2メンテナンスとして採用されればよい。
【0121】
・上記実施形態では、現在の所定時間前から現在の時間までの期間を所定期間をとしたが、これに限らない。例えば、現在の時間に関係なく、月単位など予め定められた期間を所定期間としてもよい。この場合、所定期間となったときに監視条件が成立するように制御されてもよい。
【0122】
・上記実施形態では、例えば、メンテナンスの実行が決定された場合、メンテナンスの実行契機としては、電源オン時、電源オフ時、印刷装置11を使用しない時間帯であってもよい。
【0123】
・上記実施形態では、例えば、サブスクリプション情報が無効である印刷装置11を対象として各種機能を採用してもよい。
・上記実施形態において、インクは、例えば、媒体Mに付着することで、この媒体Mに印刷することができるものであれば任意に選択することができる。インクは、例えば、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含み、水性インク、油性インク、ジェルインク、ホットメルトインク等の各種組成物を包含するものとする。
【0124】
・上記実施形態では、印刷材として、例えば、液体に限定されず、トナーなどが採用されてもよい。
・上記実施形態では、媒体Mとしては、例えば、紙、合成樹脂、金属、布、セラミック、ゴムや、これらの複合体としてもよい。
【0125】
・上記実施形態において、印刷装置11は、媒体Mに液体を吐出することにより印刷する装置であればよい。印刷装置11は、例えば、シリアルプリンター、ラテラル式プリンター、ラインプリンター、ページプリンター、オフセット印刷装置、捺染印刷装置などとしてもよい。更に、給紙カセットとリア給紙を備えたタイプなど、給紙位置の構成も問わない。また、印刷装置11は、少なくとも媒体Mに印刷する印刷機能を有していればよく、例えば、印刷機能以外の機能も併せ持つ複合機としてもよい。さらに、印刷装置11は、2次元の媒体に限らず3次元の曲面を有する媒体に印刷する装置であってもよい。
【0126】
以下、前記実施形態及び変更例から把握される技術思想を効果と共に記載する。
印刷システムは、印刷材を用いて媒体に印刷を行う印刷装置と、前記印刷装置とネットワークを介して通信可能なサーバー装置と、を備え、前記印刷装置で用いられる印刷材の管理を行う印刷システムにおいて、前記印刷装置は、収容体に収容されている印刷材を用いて媒体に印刷を行う印刷部と、前記収容体に収容されている印刷材の残量を検出する残量検出部と、前記印刷部のメンテナンスを実行するメンテナンス部と、前記収容体の交換又は前記収容体への印刷材の補給についての所定報知を行うことが可能に構成される報知部と、を有し、前記印刷装置と前記サーバー装置とのうち何れか一方は、印刷材の使用量に関する情報に基づいて、所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、前記残量検出部により検出された印刷材の残量に応じて、前記メンテナンス部による前記印刷部のメンテナンスの実行と、前記報知部による前記所定報知との何れかを選択することが可能に構成される選択部を有することを特徴とする。
【0127】
この構成によれば、所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合に、印刷部のメンテナンスの実行と、収容体の交換又は収容体への印刷材の補給についての所定報知との何れかを行うことができる。このため、印刷材の使用頻度が低い場合であっても、以前に使用した印刷材が印刷部において付着し、凝固してしまう等の原因により印刷品質の低下を抑制することができる。
【0128】
また、所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、印刷材の残量に応じて、印刷部のメンテナンスの実行と、収容体の交換又は前記収容体への印刷材の補給についての所定報知との何れかを選択することができる。このため、印刷材の残量に応じた処理を実行させることができる。
【0129】
上記印刷システムにおいては、前記選択部は、前記所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、前記残量検出部により検出された印刷材の残量が前記印刷部のメンテナンスの実行に必要な量以上であるときに、前記印刷部のメンテナンスの実行を選択することが可能に構成されることを特徴とする。
【0130】
この構成によれば、所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、印刷材の残量が印刷部のメンテナンスの実行に必要な量以上であるときに、印刷部のメンテナンスを実行させることができる。したがって、ユーザーが意図しない場合であっても、十分におインクを使用して印刷部のメンテナンスを実行することができ、印刷品質の低下を抑制することができる。
【0131】
上記印刷システムにおいては、前記印刷部のメンテナンスには、第1メンテナンスと、前記第1メンテナンスよりも印刷材の使用量が多い第2メンテナンスとがあり、前記選択部は、前記所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、前記残量検出部により検出された印刷材の残量が、前記第1メンテナンスの実行に必要な量以上であるが、前記第2メンテナンスの実行に必要な量未満であるときに、前記第1メンテナンスの実行を選択することが可能に構成されてもよい。
【0132】
この構成によれば、印刷部のメンテナンスには、第1メンテナンスと、第1メンテナンスよりも印刷材の使用量が多い第2メンテナンスとがあり、印刷材の使用量が異なる複数種類のメンテナンスを実行することができる。所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、印刷材の残量が、第2メンテナンスの実行に必要な量未満であるときであっても第1メンテナンスの実行に必要な量以上であれば、第1メンテナンスを実行させることができる。このため、印刷材の残量に応じた種別のメンテナンスを実行させることができ、印刷品質の低下を抑制することができる。
【0133】
なお、2種類のメンテナンスに限らず、例えば、第1メンテナンスと第2メンテナンスの中間程度の強度である第3メンテナンス等、3種類以上のメンテナンス動作があってもよい。
【0134】
上記印刷システムにおいては、前記選択部は、印刷材の使用量に関する情報に基づいて、前記所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、前記所定期間における印刷材の使用量に応じて、前記メンテナンス部による前記印刷部のメンテナンスの実行と、前記報知部による前記所定報知との何れかを選択することが可能に構成されてもよい。
【0135】
この構成によれば、所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、印刷材の残量以外にも、所定期間における印刷材の使用量に応じて、印刷部のメンテナンスの実行と、所定報知との何れかを行うことができる。このため、所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合であっても、その印刷材の使用量に応じた処理を実行させることができる。
【0136】
上記印刷システムにおいては、前記サーバー装置は、印刷材の使用量に関する情報を前記印刷装置から受信する受信部と、前記選択部と、前記選択部によって選択された選択結果に関する情報を前記印刷装置に送信する送信部と、を有し、前記印刷装置は、前記送信部から送信された選択結果に関する情報に基づいて、前記メンテナンス部による前記印刷部のメンテナンスの実行と、前記報知部による前記所定報知との何れかを制御する制御部を有してもよい。
【0137】
この構成によれば、複数の印刷装置と通信可能に接続されるサーバー装置で、印刷材の使用量に関する情報を集中的に管理することができる。
上記印刷システムにおいては、前記サーバー装置は、前記所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である状態が継続する継続時間を算出する継続時間算出部と、前記継続時間算出部により算出された前記継続時間に基づいて、前記メンテナンス部により次に実行されるメンテナンスで使用される印刷材の使用量を予測する使用量予測部と、印刷材の配送を指示する配送指示部と、を有し、前記配送指示部は、前記残量検出部により検出された印刷材の残量が、前記使用量予測部により予測された印刷材の使用量未満であるときに、印刷材の配送を指示してもよい。
【0138】
この構成によれば、所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である状態が継続する継続時間に基づいて、次に実行されるメンテナンスで使用される印刷材の使用量を予測することができる。このため、次のメンテナンスを実行させる前に、次のメンテナンスで使用するインクの使用量を予測することができる。
【0139】
また、印刷材の残量が、予測された印刷材の使用量未満であるときに、印刷材の配送を指示することができる。このため、ユーザーにより印刷材の配送を要求しなくても印刷材の配送を行うことができ、十分な印刷材を使用して次のメンテナンスを実行させることができ、印刷品質の低下を抑制することができる。
【0140】
上記印刷システムにおいては、前記所定期間は、30日以上の期間であってもよい。
この構成によれば、印刷材の使用頻度が低いことを原因として印刷品質が低下するおそれがある期間が30日を閾値とした期間である。このようなことから、30日以上を所定期間として採用することにより、印刷材の使用頻度が低い場合であっても印刷品質の低下を抑制することができる。
【0141】
印刷装置は、印刷材を用いて媒体に印刷を行う印刷装置において、収容体に収容されている印刷材を用いて媒体に印刷する印刷部と、前記収容体に収容されている印刷材の残量を検出する残量検出部と、前記印刷部のメンテナンスを実行するメンテナンス部と、前記収容体の交換又は前記収容体への印刷材の補給についての所定報知を行うことが可能に構成される報知部と、印刷材の使用量に関する情報に基づいて、所定期間における印刷材の使用量が規定量以下である場合、前記残量検出部により検出された印刷材の残量に応じて、前記メンテナンス部による前記印刷部のメンテナンスの実行と、前記報知部による前記所定報知との何れかを選択することが可能に構成される選択部と、を有することを特徴とする。
【0142】
この構成によれば、上記印刷システムと同じような効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0143】
DB…ユーザー情報データベース、M…媒体、NT…ネットワーク、X…幅方向、Y…奥行方向、Z…上下方向、10…印刷システム、11,51…印刷装置、13…操作パネル、14…操作部、15…表示部、20…印刷部、21…キャリッジ、22…液体吐出ヘッド、24…インクカートリッジ、25…支持台、26…搬送モーター、27…搬送ローラー対、28…キャリッジモーター、29…メンテナンス部、52…収容体ユニット、53…収容体、110…制御部、111…メンテナンス制御部、112…表示制御部、113…計数部、114…残量検出部、115…情報送信部、116…情報受信部、117…選択部、120…記憶部、200…サーバー装置、210…制御部、211…情報受信部、212…選択部、213…情報送信部、214…継続時間算出部、215…使用量予測部、216…配送指示部、220…記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14