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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】搬送システム及び搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021022732
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022124852
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
(72)【発明者】
【氏名】高木 裕太郎
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-028700(JP,A)
【文献】特開2004-018183(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0305124(US,A1)
【文献】特開2019-131403(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0073589(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車両を有する搬送システムであって、
前記搬送車両は、
それぞれが複数の箱を収容可能な2つのラックと、
前記2つのラックに挟まれる位置に配置された、各ラックから各箱を出し入れする駆動アームと、を備え、
前記駆動アームの向きを変えることで、前記2つのラックのそれぞれから前記各箱を出し入れし、
前記搬送車両は、
前記駆動アームの動作を制御する制御部、
を更に備え、
前記制御部は、
前記2つのラックの一方に収容されている箱の量と、他方に収容されている箱の量とのバランスをとるように、前記2つのラックの間で箱を移動させる、
搬送システム。
【請求項2】
前記2つのラックのそれぞれは、予め規定された複数種類のサイズの箱を収容可能に構成されている、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記2つのラックの少なくとも一方は、前記搬送車両から分離し、かつ、再連結することが可能に構成されている、
請求項1または2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記搬送車両は、
前記2つのラックと、前記駆動アームを有する搬送部とに分離し、かつ、再連結することが可能に構成されており、
前記搬送車両は、前記搬送部が備える駆動車輪によって走行する、
請求項に記載の搬送システム。
【請求項5】
搬送車両を用いる搬送方法であって、
前記搬送車両は、
それぞれが複数の箱を収容可能な2つのラックと、
前記2つのラックに挟まれる位置に配置された、各ラックから各箱を出し入れする駆動アームと、
を備え、
前記搬送方法は、
前記搬送車両が、前記駆動アームの向きを変えることで、前記2つのラックのそれぞれから前記各箱を出し入れするステップと、
前記2つのラックの一方に収容されている箱の量と、他方に収容されている箱の量とのバランスをとるように、前記2つのラックの間で箱を移動させるステップと、
を含む搬送方法。
【請求項6】
前記2つのラックのそれぞれは、予め規定された複数種類のサイズの箱を収容可能に構成されている、
請求項に記載の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送システム及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、マニピュレータ装置と収容装置とが一体で走行可能に構成された搬送システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-196106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、搬送ロボットは、自身のサイズに対して高い位置まで荷物を持ち上げると、転倒してしまうという問題があった。尚、特許文献1に記載された技術は、この問題を解決することはできない。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、高所での荷物操作を安定的に行う搬送システム及び搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態における搬送システムは、搬送車両を有する搬送システムであって、
前記搬送車両は、
それぞれが複数の箱を収容可能な2つのラックと、
前記2つのラックに挟まれる位置に配置された、各ラックから各箱を出し入れする駆動アームと、を備え、
前記駆動アームの向きを変えることで、前記2つのラックのそれぞれから前記各箱を出し入れする。
【0007】
本実施の形態における搬送方法は、搬送車両を有する搬送方法であって、
前記搬送車両は、
それぞれが複数の箱を収容可能な2つのラックと、
前記2つのラックに挟まれる位置に配置された、各ラックから各箱を出し入れする駆動アームと、を備え、
前記搬送方法は、
前記搬送車両が、前記駆動アームの向きを変えることで、前記2つのラックのそれぞれから前記各箱を出し入れするステップ、を含む、
【発明の効果】
【0008】
本開示により、高所での荷物の操作を安定的に行う搬送システム及び搬送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態にかかる搬送車両の構成を示す模式側面図である。
図2】実施形態にかかる搬送車両の構成を示す模式正面図である。
図3】実施形態にかかる搬送車両の構成を示す模式平面図である。
図4】実施形態にかかる搬送車両の機能を示すブロック図である。
図5】駆動アームがラック140aを向いた状態を示す模式平面図である。
図6】駆動アームがラック140bを向いた状態を示す模式平面図である。
図7】駆動アームがラック40を向いた状態を示す模式平面図である。
図8】搬送車両が備えるラックの概要を示す模式図である。
図9】搬送車両が搬送する箱の形状を例示する斜視図である。
図10】搬送車両が備えるラックが、異なるサイズの箱を収容する状態を示す概略図である。
図11】実施形態にかかる搬送車両がラックから箱を取り出す前の状態を示す模式側面図である。
図12】実施形態にかかる搬送車両が、箱に形成された溝と第2アームとを係合させた状態を示す模式側面図である。
図13】実施形態にかかる搬送車両が、第2アームを用いて箱を取り出した状態を示す模式側面図である。
図14】実施形態にかかる搬送車両が、搬送部とラックとに分離可能な例を示す模式側面図である。
図15】搬送車両の外部に設置されたラックの構成を示す模式正面図である。
図16】実施形態にかかる搬送車両が、ラック140aから箱を取り出す前の状態を示す模式平面図である。
図17】実施形態にかかる搬送車両が、ラック140aから箱を取り出した状態を示す模式平面図である。
図18】実施形態にかかる搬送車両が、箱を取り出した後に駆動アーム120を回転させた状態を示す模式平面図である。
図19】実施形態にかかる搬送車両が、ラック140bに箱を格納した状態を示す模式平面図である。
図20】実施形態にかかる搬送車両が、複数種類のサイズの箱を搬送している状態を示す模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0011】
以下、図面を参照して実施形態にかかる搬送システムについて説明する。実施形態にかかる搬送システムは、搬送車両10を有する。搬送システムは、搬送車両10が通函等の箱を搬送する搬送システムである。
【0012】
尚、搬送システムには、搬送車両10の走行を制御するサーバが備えられていてもよいが、搬送車両10が自ら搬送ルートを生成して自律移動を行ってもよい。サーバを含まない、搬送車両内で処理が完結したシステムも実施形態にかかる搬送システムには含まれ得る。
【0013】
図1図2図3はそれぞれ、実施形態にかかる搬送システムが有する搬送車両10の構成を示す模式側面図、模式正面図、及び模式平面図である。また、図4は、搬送車両10の機能を示すブロック図である。搬送車両10は、移動可能な移動部110と、駆動アーム120と、制御部100と、無線通信部130と、ラック140a及び140bとを備えている。制御部100は、駆動アーム120の制御を含む、搬送車両10の制御を行う。搬送システムは、ラック140a及び140bに収容された箱を搬送する。
【0014】
移動部110は、車両本体111と、車両本体111に回転可能に設けられた2対の車輪112と、各車輪112を回転駆動する一対のモータ113と、を有している。モータ113は、減速機などを介して、各車輪112を回転させる。各モータ113は、制御部100からの制御信号に応じて、各車輪112を回転させることで、車両本体111の前進移動、後進移動、及び回転を可能にする。これにより、車両本体111は、任意の位置に移動することができる。尚、上記移動部の構成は一例であり、これに限定されない。車両本体111を任意の位置に移動させることができれば任意の構成が適用可能である。2対の車輪112には、従動車輪が含まれていてもよい。
【0015】
駆動アーム120は、ラック140a及び140bに挟まれる位置に配置されている。駆動アーム120は、ラック140a及び140bのそれぞれから箱を出し入れする。駆動アーム120は、第1アーム121と、載置された箱を支持するための天板122と、回転機構123と、第2アーム124とを備えている。尚、駆動アーム120は、天板122を備えていなくてもよい。このような場合、第2アーム124は、第1アーム121の上端に取り付けられる。
【0016】
第1アーム121は、上下方向へ伸縮する。第1アーム121は、昇降機構とも称される。第1アーム121は、搬送車両10に、回転可能に設置されていてもよい。第1アーム121は、例えば、テレスコピック型の伸縮機構を有している。第1アーム121の上端には、第2アーム124、又は、第2アーム124が取り付けられた天板122が設けられている。したがって、第1アーム121の動作により、第2アーム124が上昇又は下降する。第1アーム121は、モータなどの第1駆動装置1211を備えており、第1駆動装置1211の動作により伸縮する。すなわち、第1駆動装置1211の駆動により、第2アーム124が上昇又は下降する。第1駆動装置1211は、制御部100からの制御信号に応じて駆動する。尚、搬送車両10において、第2アーム124の高さを任意に変更させることができれば任意の構成が適用可能である。
【0017】
回転機構123は、第1アーム121を、鉛直軸を中心軸として所定量回転させる。所定量は、例えば、90°及び180°である。尚、回転機構123は、第1アーム121の上端に取り付けられた天板122を回転させてもよい。回転機構123は、第1アーム121等を所定量回転させることにより、後述するように、駆動アーム120の向きを変更することができる。回転機構123は、モータなどの駆動装置により第1アーム121を回転させる。
【0018】
駆動アーム120は、上述の通り、天板122を備えていてもよい。このような場合、第2アーム124は、天板122に取り付けられる。天板122は、例えば、上面となる板材と下面となる板材とで構成されており、上面と下面との間に第2アーム124を収めていてもよい。この板材の形状、すなわち、天板122の形状は、例えば、平らな円盤状であるが、他の任意の形状であってもよい。第2アーム124の移動の際に、第2アーム124が天板122と干渉しないように、天板122には第2アーム124の動線に沿って切り欠きが設けられていてもよい。
【0019】
第2アーム124は、水平方向に伸縮し、ラック140a及び140bから箱を出し入れするアームである。第2アーム124は、第1アーム121の上端や、天板122に取り付けられている。第2アーム124は、軸方向(軸部1241に沿った方向、さらに換言すると第2アーム124の長手方向)に伸縮する軸部1241と、突起部1242と、第2駆動装置1243とを備えている。
【0020】
突起部1242は、軸部1241から軸方向とは異なる方向に延び、搬送対象である箱に形成された溝等と係合する。突起部1242は、軸部1241の先端で軸部1241と垂直方向に延びていてもよい。即ち、第2アーム124の先端は、L字形状を有していてもよい。尚、第2アーム124の形状は、これに限られない。第2アーム124の先端は、搬送対象である箱を挟み込む形状であってもよい。
【0021】
第2駆動装置1243は、制御部100からの制御信号に応じて、第2アーム124を水平方向に伸縮させる。第2駆動装置1243は、軸部1241を回転軸とした第2アーム124の回転を更に行ってもよい。第2駆動装置1243は、例えば、モータ及びリニアガイドを含み、これにより第2アーム124の伸縮を行うが、これらの動作を行うための公知の他の機構が用いられてもよい。第2アーム124の伸縮機構は、ガイドレール機構に限られず、任意の構成が適用可能である。
【0022】
次に、図5~7を用いて、駆動アーム120の向きについて説明する。尚、駆動アーム120の向きは、第2アーム124が伸長する方向であるともいえる。つまり、上述した回転機構123は、第2アーム124の向きを変更しているともいえる。
【0023】
搬送車両10は、駆動アーム120の向きを変えることにより、ラック140a及び140bの両方に対して箱を出し入れすることが可能である。さらに、搬送車両10は、駆動アーム120の向きを変えることによって、外部に設置されたラックから箱を出し入れすることが可能であってもよい。
【0024】
図5は、駆動アーム120が、ラック140aが配置された方向を向いた状態を示す模式平面図である。このとき、搬送車両10は、ラック140aから箱を出し入れすることができる。図6は、駆動アーム120が、ラック140bが配置された方向を向いた状態を示す模式平面図である。このとき搬送車両10は、ラック140bから箱を出し入れすることができる。搬送車両10は、回転機構123を用いて第1アーム121等を180°回転させることにより、図5の状態から図6の状態に移行する。したがって、搬送車両10は、ラック140aから箱を取り出した後、第1アーム121等を180°回転させ、ラック140bに格納することができる。これにより、搬送車両10は、ラック140aと140bとの間で箱を移載することができる。尚、ラック140a及び140bの構造については後述する。
【0025】
また、図7は、駆動アーム120が、搬送車両10の外部に設置されたラック40の方向を向いた状態である。尚、ラック40の構造については後述する。このとき搬送車両10は、ラック40から箱を出し入れすることができる。搬送車両10は、図5の状態から、第1アーム121等を90°回転させることにより、図7の状態に移行することができる。このような場合、搬送車両10は、配送先において、ラック140aから取り出した箱をラック40に格納することができる。また、同様に、搬送車両10は、ラック40から箱を取り出して、ラック140a、又は140bに格納することも可能である。
【0026】
図4に示す無線通信部130は、必要に応じてサーバ又はロボットなどと通信するために、無線通信する回路であり、例えば、無線送受信回路及びアンテナを含む。尚、搬送車両10が他の機器と通信を行わない場合には、無線通信部130が省略されてもよい。
【0027】
制御部100は、搬送車両10を制御する装置であり、プロセッサ1001、メモリ1002、及びインタフェース(IF)1003を備える。プロセッサ1001、メモリ1002、及びインタフェース1003は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0028】
インタフェース1003は、移動部110、第1アーム121、回転機構123、第2アーム124、無線通信部130などの他の装置と通信するために使用される入出力回路である。
【0029】
メモリ1002は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ1002は、プロセッサにより実行される、1以上の命令を含むソフトウェア(コンピュータプログラム)、及び搬送車両10の各種処理に用いるデータなどを格納するために使用される。
【0030】
プロセッサ1001は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)などであってもよい。プロセッサ1001は、複数のプロセッサを含んでもよい。このように、制御部100は、コンピュータとして機能する装置である。
【0031】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0032】
次に、制御部100について説明する。制御部100は、移動部110の各モータ113に制御信号を送信することで、各車輪112の回転を制御し、車両本体111を任意の位置に移動させることができる。
【0033】
制御部100は、車輪112に設けられた回転センサにより検出された車輪112の回転情報などに基づいて、フィードバック制御、ロバスト制御等の周知の制御を行うことで、搬送車両10の移動を制御してもよい。また、制御部100は、搬送車両10に設けられたカメラや超音波センサなどの距離センサにより検出された距離情報、移動環境の地図情報に基づいて、移動部110を制御することで、搬送車両10を自律的に移動させてもよい。
【0034】
また、制御部100は、駆動アーム120の第1アーム121に対して制御信号を送信することで、第2アーム124の高さを制御することができる。そして、制御部100は、回転機構123に対して制御信号を送信することで、駆動アーム120の向き(第1アーム121又は天板122の回転角度)を制御することができる。さらに、制御部100は、第2駆動装置1243に対して制御信号を送信することで、第2アーム124の伸縮を制御する。ここで、制御部100は、第2アーム124の突起部1242の向きを更に制御してもよい。
【0035】
次に、図1図3に戻って、ラック140a及び140bについて説明する。以下、ラック140a及び140bを互いに区別しない場合、総称してラック140と呼ぶ場合がある。ラック140は、搬送車両10が搬送する箱を収容する。ラック140は、搬送車両10の前後の両方に設けられている。ラック140a及びラック140bは、それぞれが複数の箱を収容可能である。ラック140は、箱を支持するための対のレール142を有している。
【0036】
図8は、搬送車両10が有するラック140と、ラック140に収容された箱50とを示す模式図である。また、図9は、箱50の正面、底面、及び側面を示す斜視図である。ラック140の下部には、車輪が取り付けられていてもよい。
【0037】
ラック140は、筐体141と、対のレール142とを備えている。上述の通り、対のレール142は、箱50の両サイドを支持する。対のレール142は、同じ高さに平行に設けられている。ラック140に収容された箱50は、箱50の一方のサイドがレール142の一方により支持され、他方のサイドがレール142の他方により支持される。レール142は、いずれも、ラック140の正面から背面にわたって設けられている。
【0038】
箱50の両サイドには、例えば、図9に示すようにつば51が設けられており、つば51がレール142に下から支持されることにより、ラック140において箱50が支持される。尚、つば51は箱50の両サイドに正面から背面にわたって設けられている。図9に示した例では、つば51は、箱50のサイドの上部に設けられているが、例えば下部に設けられてもよく、必ずしも上部でなくてもよい。また、箱50の底面をレール142が支持する場合には、必ずしもつば51が箱50に設けられていなくてもよい。
【0039】
このように、ラック140は、箱50の両サイドをレール142により下から支持する。そして、箱50は、レール142に沿って、ラック140内で前後方向に移動可能である。すなわち、箱50をラック140の背面に向かって押し込むことにより、箱50はラック140に収納される。逆に、箱50をラック140の正面に向かって引き出すことにより、箱50をラック140から取り出すことができる。
【0040】
図9に示すように、箱50の底面には、第2アーム124の突起部1242を引っ掛けるための溝52が所定の位置に形成されている。溝52は、例えば、箱50の引き出し方向を軸方向とする半円筒形状であってもよい。尚、箱50は、例えば、直方体形状の容器であるが、これに限らず任意の形状でよい。尚、図9は、あくまでも例示である。例えば、第2アーム124が箱50を把持する場合、箱50に溝52が形成されていなくてもよい。
【0041】
尚、図10に示すように、ラック140は、予め規定された複数種類のサイズの箱を収容可能に構成されていてもよい。レール142aに支持される箱50aは、レール142bに支持される箱50bよりも小さい。ラック140は、レール142cを使用しないことにより、大きなサイズの箱50bを収容可能に構成されている。図10では2種類のサイズの箱50が収容されているが、ラック140は、3種類以上のサイズの箱を収容可能であってもよい。
【0042】
次に、図11図13を用いて、ラック140に格納された箱を取り出す方法について説明する。搬送車両10の制御部100は、第2アーム124を操作することにより、ラック140から箱50を出し入れする。図11図13は、搬送車両10の側面図を模式的に示した図である。尚、見やすくするため、箱50及び第2アーム124は、ラック140aに隠れている場合であっても実線で表示している。また、ラック140のレール142は、図示を省略している。
【0043】
図11に示すように、まず、制御部100は、第2アーム124を所定の長さ分だけ伸長させて、箱50の底面の溝52へと、第2アーム124の突起部1242を移動する。尚、搬送車両10は、物体の溝52の位置を検知するカメラなどのセンサを備え、センサによる検出結果に基づいて、第2アーム124を伸長させる長さを決定してもよい。このとき、突起部1242の突起の方向は、水平方向であってもよい。
【0044】
次に、図12に示すように、制御部100は、第2アーム124の突起部1242を箱50の溝52に入れる。制御部100は、突起部1242が上側を向くように、第2アーム124を回転させてもよい。尚、制御部100は、突起部1242が上側を向いた状態で第2アーム124を伸長させた後、天板122や第2アーム124を上昇させることにより、突起部1242を溝52に入れてもよい。
【0045】
そして、搬送車両10は、第2アーム124を収縮させる。これにより、図13に示されるように、箱50が、ラック140から引き出される。
【0046】
これに対し、制御部100は、箱50の溝52に引っかかった第2アーム124をラック140に挿入することにより、すなわち、溝52に突起部1242が入った状態で第2アーム124を所定の長さ分だけ伸長させることにより、箱50をラック140に格納することができる。
【0047】
ところで、箱50の溝52の数は、図9に示したように一つであってもよいが、複数であってもよい。具体的には、箱50の底面は、箱50の移動方向に並んだ複数の溝52を有していてもよい。このような場合、搬送車両10の制御部100は、ラック140に収納された箱50を引き出す場合、駆動アーム120側の溝52から順に第2アーム124の先端を引っ掛けることにより、ラック140からの引き出し動作を繰り返してもよい。同様に、搬送車両10の制御部100は、箱50をラック140に格納する場合、ラック140側の溝から順に第2アーム124の先端を引っ掛けることにより、ラック140への押し入れ動作を繰り返してもよい。
【0048】
図1~3において、ラック140は搬送車両10と一体化しているが、ラック140a及びラック140bの少なくとも一方は、搬送車両10から分離し、かつ、再連結することが可能に構成されていてもよい。このような場合、搬送車両10は、搬送する箱の数量に応じて適切なサイズのラック140を選択することが可能となる。
【0049】
図14は、ラック140aと、ラック140bと、駆動アーム120を含む搬送部150と、に分離し、かつ再連結することが可能に構成された搬送車両10の模式側面図である。ラック140a、ラック140b、及び搬送部150はそれぞれ、一対の車輪112を備えている。
【0050】
搬送車両10は、連結機構114a及び連結機構114bを備えている。搬送部150は、連結機構114aによりラック140aと連結し、連結機構114bによりラック140bと連結する。尚、連結機構の構成は任意である。
【0051】
ここで、搬送部150が備える車輪112は、搬送車両10を走行させる駆動車輪であり、ラック140a及び140bが備える車輪112は従動車輪であってもよい。このような場合、搬送部150が駆動機構を備えていればよく、ラック140a及びラック140bは駆動機構を備えていなくてもよい。このような場合、搬送車両10は、搬送部150が備える駆動車輪によって走行する。
【0052】
次に、ラック140と同様の構成を有する、搬送車両10の外部に設置されたラック40について説明する。搬送車両10は、外部に設置されたラック40に対しても箱50の引き出し動作、押し入れ動作を行うことができる。図15は、搬送車両10の外部に設置されたラック40の構成例を示す模式正面図である。ラック40は、住居の外部又は内部に設置されていてもよい。
【0053】
ラック40は、筐体41と、対のレール42と、仕切板43とを備えている。筐体41は、搬送車両10のラック140の筐体141に対応している。対のレール42は、搬送車両のラック140の対のレール142に対応している。したがって、詳細な説明は省略する。図15の例では、2枚の仕切板43が設けられているが仕切板43の数は何ら限定されない。また、仕切板43は、設けられていなくてもよい。
【0054】
なお、実施形態にかかる搬送システムは、搬送車両10の外部に設置されたラック40を備えていなくてもよい。例えば、搬送車両10は、ラック140aに収容された箱50の量と、ラック140bに収容された箱50の量とのバランスをとるように、ラック140aとラック140bとの間で箱50を移動させてもよい。
【0055】
搬送車両10の制御部100は、例えば、ラック140aに収容された箱の数と、ラック140bに収容された箱の数とが等しくなるように、箱50を移動してもよい。また、搬送車両10は、ラック140aに収容された箱50の重量の和と、ラック140bに収容された箱50の重量の和とが等しくなるように、箱50を移動させてもよい。各ラック140に収容された箱50の数や、各ラック140に収容された箱50の重量の和は、制御部100によって管理されていてもよい。2つのラック140のバランスをとることにより、搬送車両10は、車体の安定性をより向上させることができる。
【0056】
次に、図16から図19を用いて、搬送車両10が、ラック140aからラック140bに箱50を移動させる方法について具体的に説明する。図16に示すように、駆動アーム120が、ラック140aの方向を向いているものとする。まず、搬送車両10は、移載する箱50が収容された高さまで、天板122又は第2アーム124を上昇させる。
【0057】
次に、図17に示すように、第2アーム124を伸縮させて箱50をラック140aから引き出す。引き出された箱50は、第2アーム124や天板122によって支持されている。
【0058】
次に、搬送車両10は、図18に示すように、駆動アーム120をラック140bの方向に向ける。つまり、搬送車両10は、回転機構123を制御し、第1アーム121又は天板122を、鉛直軸回りに180°回転させる。ここで、箱50は、天板122や第2アーム124によって支持されている。次に、搬送車両10は、図19に示すように、第2アーム124を伸長させて、ラック140bに箱50を格納する。搬送車両10は、ラック140bに箱50を格納する前に、天板122又は第2アーム124の高さを調整してもよい。ラック140bに箱50を格納した後、搬送車両10は、第2アーム124を収縮させる。
【0059】
搬送車両10は、2つのラック140のバランスをとることにより、車体の安定性をより向上させることができる。また、車体の安定性を向上させることにより、搬送車両10は、駆動アーム120による高所での作業時の転倒リスクを低減することができる。
【0060】
また、図10に示されたようにラック140に異なるサイズの箱50を収容可能な場合、搬送車両10は、一方のラック140に格納されている箱50を他方のラック140に移載することにより、当該一方のラック140にスペースを空けることができる。これにより、搬送車両10は、ラック140a及び140bに大きな箱50を収容可能なスペースがない場合であっても、大きな箱50を収容して搬送することができる。
【0061】
図20を参照すると、ラック140aには、箱50a1と、箱50a1よりもサイズが大きい箱50b1と、が収容されている。また、ラック140bには、箱50a1と同じサイズの箱50a2、50a3、及び50a4が収容されている。
【0062】
このとき、搬送車両10は、箱50b1と同じサイズの箱を、ラック140aやラック140bに収容することができない。しかし、例えば、箱50a3又は箱50a4を、ラック140bから140aに移載すると、搬送車両10は、箱50b1と同じサイズの箱を、ラック140bに収容することが可能となる。
【0063】
以下、実施形態にかかる搬送車両が奏する効果について説明する。小型の搬送ロボットの幅や奥行に対して高い位置まで駆動アームを上昇させると、搬送ロボットが、転倒したり、荷物を落下させたりするリスクがある。実施形態にかかる搬送車両は、駆動アームの両側にラックを備えており、搬送車両のサイズが大きいため、駆動アームを上昇させた場合の転倒リスクを低減することができる。また、実施形態にかかる搬送システムによれば、箱を搬送する車両と、より小型の搬送ロボットの両方を用いる必要がない。
【0064】
実施形態にかかる搬送車両は、車両の前方と後方にラックを備えており、外部から駆動アームを視認しにくくすることができるため、周囲に与える威圧感を低減することができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 搬送車両
100 制御部
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 インタフェース
110 移動部
111 車両本体
112 車輪
113 モータ
114a、114b 連結機構
120 駆動アーム
121 第1アーム
1211 第1駆動装置
122 天板
123 回転機構
124 第2アーム
1241 軸部
1242 突起部
1243 第2駆動装置
130 無線通信部
140、140a、140b ラック
141 筐体
142、142a、142b、142c レール
150 搬送部
40 ラック
41 筐体
42 レール
50、50a、50a1、50a2、50a3、50a4、50b、50b1 箱
51 つば
52 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20