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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】光センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/14 20060101AFI20240730BHJP
   G01W 1/12 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G01W1/14 B
G01W1/12 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021023266
(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2022125594
(43)【公開日】2022-08-29
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】弁理士法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛込 直弥
(72)【発明者】
【氏名】坂本 朋子
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-184154(JP,A)
【文献】特開2015-052496(JP,A)
【文献】特開2007-139659(JP,A)
【文献】特開2005-241339(JP,A)
【文献】特開2010-054370(JP,A)
【文献】特開平11-149061(JP,A)
【文献】特開2016-044997(JP,A)
【文献】特開2000-065955(JP,A)
【文献】中国実用新案第203587495(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0190319(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J1/00-1/20
B60R16/00-17/02
G01V1/00-99/00
G01W1/00-1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウィンドシールド(200)に向かって発光する複数の発光素子(131、132)と、前記ウィンドシールドで反射した反射光を受光する受光素子(133)と、前記複数の発光素子から発せられる光を前記ウィンドシールドに導くと共に前記反射光を前記受光素子に導く導光用レンズ部(134)と、を備え、前記受光素子が受光する前記反射光の強度に基づいて前記ウィンドシールドに雨滴が付着したことを検知するレインセンサ(130)を含み、
前記複数の発光素子は、配置面(121)に設置されると共に、前記配置面のうちの前記複数の発光素子に対応する領域と前記受光素子に対応する領域とを結ぶz方向に垂直なx方向に互いに離間して配置され、
前記導光用レンズ部は、前記複数の発光素子それぞれに対応すると共に前記複数の発光素子それぞれから光を入射する複数の入射部(137、138)を有し、
前記複数の入射部は、対応する発光素子から発せられる光のうちの前記z方向に沿って入射する光の強度を低下させる一方、前記対応する発光素子の隣の発光素子から発せられる光の一部の入射することで、前記導光用レンズ部に入射する光の強度を前記x方向に均一化させる均一部(139、140)を有する、光センサ装置。
【請求項2】
前記均一部は、
前記z方向に沿った平面部(142、145)と、
前記x方向において前記平面部よりも前記隣の発光素子の側に位置すると共に前記平面部に接続され、前記隣の発光素子から発せられる光の一部を入射する採光部(143、146)と、
を有し、
前記採光部は、前記z方向において、前記隣の発光素子の側が前記平面部の側よりも前記対応する発光素子の側に位置するレンズ面である、請求項1に記載の光センサ装置。
【請求項3】
前記ウィンドシールド(200)に所定の仰角範囲で入射する日射光を受光する日射検出素子(151、152)と、前記ウィンドシールドに入射する前記日射光を前記日射検出素子に導く日射用レンズ部(153、154)と、を備え、前記日射検出素子が受光する前記日射光の強度に基づいて日射量を検知する日射センサ(150)を含み、
前記日射検出素子は、前記配置面(121)に配置され、
前記日射用レンズ部は、前記日射光を前記日射検出素子に出射する出射面(155、156)を有し、
前記日射検出素子の仰角を構成する面に沿って切断される切断面が前記配置面に投影される直線(124)の方向を切断面方向と定義すると、前記出射面は、前記切断面方向において、前記配置面に投影される前記日射光の光像(125)が前記日射検出素子に対して相対的に離れる側とは反対側に突出した突出部(157、158)を有する、請求項1または2に記載の光センサ装置。
【請求項4】
前記突出部は、前記出射面の平面形状における鈍角の角部を構成する、請求項3に記載の光センサ装置。
【請求項5】
前記出射面は、六角形の平面形状である、請求項3または4に記載の光センサ装置。
【請求項6】
車両のウィンドシールド(200)に所定の仰角範囲で入射する日射光を受光する日射検出素子(151、152)と、前記ウィンドシールドに入射する前記日射光を前記日射検出素子に導く日射用レンズ部(153、154)と、を備え、前記日射検出素子が受光する前記日射光の強度に基づいて日射量を検知する日射センサ(150)を含み、
前記日射検出素子は、配置面(121)に配置され、
前記日射用レンズ部は、前記日射光を前記日射検出素子に出射する出射面(155、156)を有し、
前記日射検出素子の仰角を構成する面に沿って切断される切断面が前記配置面に投影される直線(124)の方向を切断面方向と定義すると、前記出射面は、前記切断面方向において、前記配置面に投影される前記日射光の光像(125)が前記日射検出素子に対して相対的に離れる側とは反対側に突出した突出部(157、158)を有する、光センサ装置。
【請求項7】
前記突出部は、前記出射面の平面形状における鈍角の角部を構成する、請求項6に記載の光センサ装置。
【請求項8】
前記出射面は、六角形の平面形状である、請求項6または7に記載の光センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レインセンサと日射センサとを含む光センサ装置が、例えば特許文献1で提案されている。
【0003】
光センサ装置は、レインセンサの構成部材として、発光素子、受光素子、及び導光用レンズ部を有する。導光用レンズ部は、発光素子から照射された光を車両のウィンドシールドに導くと共に、ウィンドシールドにて反射した反射光を受光素子の検出面に導く光学部品である。受光素子は、導光用レンズ部によって導かれた反射光の強度を検出する。これにより、ウィンドシールドに付着した雨滴量を検知する。
【0004】
また、光センサ装置は、日射センサの構成部材として、日射検出素子及び日射用レンズ部を有する。日射用レンズ部は、太陽光を日射検出素子の検出面に導く光学部品である。日射用レンズ部は、日射検出素子に日射光を出射する出斜面を有する。日射検出素子は、出射面から出射された日射光の強度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-184154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のレインセンサの構成では、受光素子の検出面の検出範囲が狭くなってしまい、反射光の光量の検出精度が低下する可能性がある。
【0007】
その理由は、発光素子から照射される光は、発光素子の近傍に配置される導光用レンズ部の中央部を通過しやすく、導光用レンズ部の端部を通過しにくいからである。換言すると、導光用レンズ部の端部を通過する平行光の光量は、中央部を通過する平行光の光量よりも少なくなりやすいからである。
【0008】
このため、受光素子の検出面のうち、導光用レンズ部の端部を通過した反射光を検出する部位では、光量の変化を検出しにくくなる。その結果、受光素子の検出面の検出範囲が狭くなる。よって、光量の検出精度が低下してしまう。ひいては、少量の雨滴を検知することができない可能性がある。
【0009】
また、特許文献1の日射センサでは、太陽光の角度の変化に応じて、日射用レンズ部から日射検出素子の検出面に照射される光像の範囲も移動する。このため、太陽光の角度が変化すると、日射検出素子に日射光が届かなくなる。よって、太陽光の角度及び太陽光の光量の検出精度が低下する可能性がある。
【0010】
そこで、日射用レンズ部の出射面の面積あるいは日射検出素子の検出面の面積を拡大させる手段が考えられる。しかしながら、日射用レンズ部の出射面の面積あるいは日射検出素子の検出面の面積を拡大させると、光センサ装置のコストが掛かると共に、日射検出素子の大型化を招く原因となる。
【0011】
本発明は上記点に鑑み、レインセンサの検知可能範囲を広くすることができる光センサ装置を提供することを第1の目的とする。また、日射センサの日射検出素子を安価で小型化したとしても検出精度の低下を抑制することができる光センサ装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、光センサ装置は、レインセンサ(130)を含む。レインセンサは、複数の発光素子(131、132)、受光素子(133)、及び導光用レンズ部(134)を備える。
【0013】
複数の発光素子は、車両のウィンドシールド(200)に向かって発光する。受光素子は、ウィンドシールドで反射した反射光を受光する。導光用レンズ部は、複数の発光素子から発せられる光をウィンドシールドに導くと共に反射光を受光素子に導く。レインセンサは、受光素子が受光する反射光の強度に基づいてウィンドシールドに雨滴が付着したことを検知する。
【0014】
複数の発光素子は、配置面(121)に設置される。複数の発光素子は、配置面のうちの複数の発光素子に対応する領域と受光素子に対応する領域とを結ぶz方向に垂直なx方向に互いに離間して配置される。
【0015】
導光用レンズ部は、複数の入射部(137、138)を有する。複数の入射部は、複数の発光素子それぞれに対応すると共に複数の発光素子それぞれから光を入射する。
【0016】
複数の入射部は、均一部(139、140)を有する。均一部は、対応する発光素子から発せられる光のうちのz方向に沿って入射する光の強度を低下させる一方、対応する発光素子の隣の発光素子から発せられる光の一部の入射することで、導光用レンズ部に入射する光の強度をx方向に均一化させる。
【0017】
これによると、x方向において、各入射部のうちの中央部に入射しやすい光の強度を、均一部によって弱めることができる。また、x方向において、各入射部のうちの端部に入射しにくい光を、均一部によって隣の発光素子の光で補うことができる。
【0018】
このため、導光用レンズ部の内部を通過する光の強度はx方向において全体的に均一化されるので、x方向において光の強度が雨滴を検出するための閾値を超える範囲を広げることができる。したがって、x方向において、レインセンサの検知可能範囲を広くすることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、光センサ装置は、日射センサ(150)を含む。日射センサは、日射検出素子(151、152)及び日射用レンズ部(153、154)を備える。日射検出素子は、車両のウィンドシールド(200)に所定の仰角範囲で入射する日射光を受光する。日射用レンズ部は、ウィンドシールドに入射する日射光を日射検出素子に導く。日射センサは、日射検出素子が受光する日射光の強度に基づいて日射量を検知する。
【0020】
日射検出素子は、配置面(121)に配置される。日射用レンズ部は、日射光を日射検出素子に出射する出射面(155、156)を有する。
【0021】
日射検出素子の仰角を構成する面に沿って切断される切断面が配置面に投影される直線(124)の方向を切断面方向と定義する。出射面は、突出部(157、158)を有する。突出部は、切断面方向において、配置面に投影される日射光の光像(125)が日射検出素子に対して相対的に離れる側とは反対側に突出する。
【0022】
これによると、配置面に投影される日射光の光像(125)が日射検出素子に対して相対的に離れる側に最大限に移動したとしても、光像のうちの突出部に対応する部分が日射検出素子の検出面に照射される。このため、日射検出素子を安価で小型化したとしても、突出部が出射面に設けられない場合と同等の検出範囲を確保することができる。したがって、日射センサの日射検出素子を安価で小型化したとしても日射量の検出精度の低下を抑制することができる。
【0023】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施形態に係る光センサ装置の断面図である。
図2】導光用レンズ部と日射用レンズ部とが一体化されたレンズの平面図である。
図3】回路基板の設置面を示した平面図である。
図4】各日射検出素子の方位角特性を示した図である。
図5】導光用レンズ部の第1レンズ部及び各発光素子を示した平面図である。
図6】x方向における導光用レンズ部の位置と光の強度との関係を示した図である。
図7】比較例として、均一部を備えない第1レンズ部及び各発光素子を示した平面図である。
図8】方位角が0°の場合の一方の出射面、光像、及び一方の日射検出素子の各位置を示した図である。
図9】方位角が90°の場合の一方の出射面、光像、及び一方の日射検出素子の各位置を示した図である。
図10】比較例として、出射面が四角形の場合であって、方位角が0°の場合の出射面、光像、及び一方の日射検出素子の各位置を示した図である。
図11】比較例として、出射面が四角形の場合であって、方位角が90°の場合の出射面、光像、及び一方の日射検出素子の各位置を示した図である。
図12】日射センサの変形例として、各出射面の平面形状の一例を示した平面図である。
図13】日射センサの変形例として、各突出部の一例を示した平面図である。
図14】日射センサの変形例として、各突出部の一例を示した平面図である。
図15】日射センサの変形例として、各突出部の一例を示した平面図である。
図16】日射センサの変形例として、各突出部の一例を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、一実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係る光センサ装置は、例えば車両のウィンドシールドに付着する雨滴を検出するレインセンサと、車両周辺の日射量を検出する日射センサと、が一体化されたものである。
【0026】
図1に示されるように、光センサ装置100は、ウィンドシールド200のうちの車室の側に設置される。ウィンドシールド200のシールド角度θは車種毎に異なる。
【0027】
図1図3に示されるように、光センサ装置100は、カバーハウジング110、回路基板120、レインセンサ130、及び日射センサ150を備える。レインセンサ130は、複数の発光素子131、132、受光素子133、及び導光用レンズ部134を備える。また、日射センサ150は、複数の日射検出素子151、152及び複数の日射用レンズ部153、154を備える。
【0028】
カバーハウジング110は、回路基板120、レインセンサ130、及び日射センサ150を収容するための筐体である。カバーハウジング110は、金属材料や樹脂材料から形成される。カバーハウジング110を開口端111の側から底面112の側に見た平面形状は例えば四角形状になっている。
【0029】
カバーハウジング110は、ウィンドシールド200に固定された図示しないブラケットに取り付けられる。これにより、カバーハウジング110は、ブラケットと共に収容体を構成する。なお、ブラケットは、例えば金属板が所定の形状にプレス加工されたものである。ブラケットは、接着剤等でウィンドシールド200に固定される。
【0030】
回路基板120は、レインセンサ130の各発光素子131、132及び受光素子133が実装されると共に、日射センサ150の日射検出素子151、152が実装された部品である。回路基板120は、配置面121を有する板状の部品である。回路基板120は、例えばプリント基板である。
【0031】
回路基板120は、コネクタ122や図示しない電子部品が配置面121に実装されている。コネクタ122は図示しない配線コネクタが接続される樹脂製の接続部品である。コネクタ122は、回路基板120に形成された回路に電気的に接続されるターミナル123を有する。ターミナル123はコネクタ122にインサート成形される。電子部品は、例えばICチップ、抵抗素子、チップコンデンサ等である。回路基板120は、配置面121側がカバーハウジング110の開口端111に向けられた状態でカバーハウジング110の底面112の側に収容される。
【0032】
レインセンサ130は、車両のウィンドシールド200に付着した雨滴を検知するように構成された雨滴検出装置である。光センサ装置100は、レインセンサ130に対して日射センサ150が一体化されたものである。すなわち、光センサ装置100を構成するカバーハウジング110や回路基板120は、レインセンサ130を構成する部品である。
【0033】
複数の発光素子131、132は、ウィンドシールド200に付着する雨滴を検出するための測定光を照射する発光装置である。本実施形態では、レインセンサ130は、2個の発光素子131、132を備える。
【0034】
各発光素子131、132は、ウィンドシールド200に向かって発光する発光ダイオードと、発光ダイオードを駆動する図示しない駆動回路と、を備える。発光ダイオードは、点光源である。駆動回路は、発光ダイオードを例えばPWM制御する。すなわち、駆動回路は、パルス信号によって発光ダイオードを点滅させる。もちろん、一定の電圧で発光ダイオードを駆動しても良い。
【0035】
なお、各発光素子131、132は、例えば半導体チップとして構成される。また、各発光素子131、132は、発光ダイオードのみで構成されており、駆動回路は別体でも構わない。
【0036】
各発光素子131、132は、回路基板120の配置面121に実装される。ここで、回路基板120の配置面121のうちの複数の発光素子131、132に対応する領域と受光素子133に対応する領域とを結ぶ方向をz方向と定義する。また、配置面121において、z方向に垂直な方向をx方向と定義する。z方向及びx方向は、回路基板120の配置面121に平行な方向である。各発光素子131、132は、x方向に互いに離間して配置される。
【0037】
受光素子133は、ウィンドシールド200で反射した反射光を受光する受光装置である。受光素子133は、受光した光を検出するフォトダイオードと、フォトダイオードで検出された光の強度に応じた信号を増幅等する図示しない処理回路と、を備える。受光素子133は、回路基板120の配置面121において、各発光素子131、132に対して所定の距離だけ離れて実装される。
【0038】
なお、受光素子133は、例えば半導体チップとして構成される。また、受光素子133は、フォトダイオードのみで構成されており、処理回路は別体でも構わない。
【0039】
導光用レンズ部134は、各発光素子131、132から発せられる光をウィンドシールド200に導くと共にウィンドシールド200で反射した反射光を受光素子133に導くように構成された光学部品である。導光用レンズ部134は、第1レンズ部135及び第2レンズ部136を備える。第1レンズ部135は、導光用レンズ部134のうちの各発光素子131、132の放射光を集光すると共に平行光に変換する部分である。
【0040】
第1レンズ部135は、各発光素子131、132に対向するようにカバーハウジング110に収容される。第2レンズ部136は、ウィンドシールド200で反射した反射光を受光素子133に集光する部分である。第2レンズ部136は、受光素子133に対向するようにカバーハウジング110に収容される。
【0041】
上記の構成において、各発光素子131、132から発せられる光は導光用レンズ部134の第1レンズ部135を介してウィンドシールド200に導かれると共に、ウィンドシールド200で反射させられる。また、ウィンドシールド200で反射させられた光は導光用レンズ部134の第2レンズ部136を介して受光素子133に導かれる。これによると、雨滴がウィンドシールド200に付着することによりウィンドシールド200における光の屈折特性が変化するので、受光素子133で検出される光の強度が変化する。したがって、レインセンサ130は、受光素子133が受光した光の強度と閾値との関係に基づいてウィンドシールド200に雨滴が付着したことを検知する。
【0042】
日射センサ150は、太陽光の日射量を検出するように構成された日射量検出装置である。複数の日射検出素子151、152は、ウィンドシールド200に所定の仰角範囲で入射する日射光を受光する。本実施形態では、日射センサ150は、2個の日射検出素子151、152を備える。
【0043】
各日射検出素子151、152は、回路基板120の配置面121に配置される。各日射検出素子151、152は、x方向に互いに離間して配置される。各日射検出素子151、152は、回路基板120の配置面121において、レインセンサ130の各発光素子131、132と受光素子133との間に配置される。
【0044】
各日射検出素子151、152は、受光した日射光の強度を検出するフォトダイオードと、フォトダイオードで検出された日射光の強度に応じた信号に基づいて日射量を取得する図示しない処理回路と、を備える。なお、各日射検出素子151、152は、例えば半導体チップとして構成される。また、各日射検出素子151、152は、フォトダイオードのみで構成されており、処理回路は別体でも構わない。
【0045】
日射用レンズ部153、154は、ウィンドシールド200に所定の仰角範囲で入射する日射光を各日射検出素子151、152に導く光学部品である。一方の日射用レンズ部153は一方の日射検出素子151に対向するようにカバーハウジング110に収容される。他方の日射用レンズ部154は他方の日射検出素子152に対向するようにカバーハウジング110に収容される。各日射用レンズ部153、154は、z方向において、導光用レンズ部134を構成する第1レンズ部135と第2レンズ部136との間に配置される。各日射用レンズ部153、154は、z方向を基準として、線対称に構成される。
【0046】
上記の構成において、各日射用レンズ部153、154に導入される日射光は各日射検出素子151、152に導かれる。各日射検出素子151、152は、日射光の方位角特性が異なる。すなわち、図4に示されるように、各日射検出素子151、152は、方位角に対する出力が異なる。このため、特定の方位角において、各日射検出素子151、152の各出力に差分が生じる。日射センサ150の処理回路は、各日射検出素子151、152の各出力の差分値を取得すると共に、差分値を日射量として検知する。
【0047】
各日射用レンズ部153、154は、導光用レンズ部134と一体成形される。すなわち、導光用レンズ部134と各日射用レンズ部153、154とが一つの金型から形成される。各日射用レンズ部153、154と導光用レンズ部134とが一体成形されるので、各日射用レンズ部153、154と導光用レンズ部134との繋ぎ目を考慮した設計を行う必要が無い。すなわち、各日射用レンズ部153、154及び導光用レンズ部134の設計を容易にすることができる。
【0048】
したがって、導光用レンズ部134及び各日射用レンズ部153、154を含む一つのレンズ160が構成される。レンズ160は、回路基板120の配置面121の上方に位置するようにカバーハウジング110に収容される。レンズ160のうちの第1レンズ部135、第2レンズ部136、及び各日射用レンズ部153、154が形成された側とは反対側は平面形状になっている。
【0049】
さらに、図1に示されるように、レンズ160の平面部分にはシート170が貼り付けられる。シート170はレンズ160だけでなくウィンドシールド200にも接触する。そして、レンズ160は、シート170を介してウィンドシールド200から光を取り込むようになっている。
【0050】
以上が、本実施形態に係る光センサ装置100の全体構成である。レインセンサ130の検出結果及び日射センサ150の検出結果は、コネクタ122を介して外部装置に出力される。
【0051】
次に、導光用レンズ部134の具体的な構成について説明する。図2に示されるように、導光用レンズ部134の第1レンズ部135は、複数の入射部137、138を有する。各入射部137、138は、各発光素子131、132それぞれに対応すると共に、各発光素子131、132それぞれから光を入射する。つまり、一方の入射部137と一方の発光素子131とが対応すると共に、他方の入射部138と他方の発光素子132とが対応する。
【0052】
各入射部137、138は、均一部139、140を有する。各均一部139、140は、対応する発光素子131、132から発せられる光のうちのz方向に沿って入射する光の強度を低下させる。z方向に沿って入射する光は、z方向に平行な光だけでなく、z方向に対して多少傾斜した光も含む。
【0053】
また、各均一部139、140は、対応する発光素子131、132の隣の発光素子131、132から発せられる光の一部の入射する。これにより、均一部139、140は、導光用レンズ部134に入射する光の強度をx方向に均一化させる。
【0054】
具体的には、一方の均一部139は、曲面部141、平面部142、及び採光部143を有する。他方の均一部140は、曲面部144、平面部145、及び採光部146を有する。
【0055】
図5に示されるように、各曲面部141、144は、対応する発光素子131、132から発せられる光を入射する。各曲面部141、144は、隣の発光素子131、132から離れるに伴って受光素子133の側に傾斜する曲面状のレンズ面である。
【0056】
各平面部142、145は、z方向に沿った面である。各平面部142、145は、z方向に平行な面だけでなく、z方向に対して多少傾斜した面も含む。各平面部142、145は、曲面部141、144のうちの隣の発光素子131、132の側に接続される。各平面部142、145は、z方向に沿った光を導光用レンズ部134に入射しにくくすることで、x方向において各入射部137、138の中央部に入射する光の強度を低下させる。
【0057】
各採光部143、146は、x方向において、平面部142、145よりも隣の発光素子131、132の側に位置する。各採光部143、146は、z方向において、隣の発光素子131、132の側が平面部142、145の側よりも対応する発光素子131、132の側に位置する曲面状のレンズ面である。各採光部143、146は、平面部142、145のうちの受光素子133の側に接続される。各採光部143、146は、対応する発光素子131、132から発せられる光の一部を入射すると共に、隣の発光素子131、132から発せられる光の一部を入射する。
【0058】
上記の第1レンズ部135によると、図6に示されるように、各入射部137、138に入射する光の強度は、各均一部139、140によって全体的に上昇する。図6に示された2つのピークは、各発光素子131、132に対応する。そして、各平面部142、145はz方向に沿っているので、導光用レンズ部134の内部に入射しにくい。すなわち、x方向において、各入射部137、138のうちの中央部に入射しやすい光の強度を、各平面部142、145によって弱めることができる。
【0059】
また、x方向において、各入射部137、138のうちの隣の発光素子131、132の側に入射しにくい光を各採光部143、146によって隣の発光素子131、132の光で補うことができる。これにより、導光用レンズ部134の内部を通過する光の強度はx方向において全体的に均一化される。このため、図6に示されるように、x方向において光の強度が雨滴を検出するための閾値を超える最大の範囲を広げることができる。したがって、x方向において、レインセンサ130の検知可能範囲を広くすることができる。
【0060】
比較例として、図7に示されるように、各入射部137、138が均一部139、140を備えないレンズ面の場合、x方向において、各入射部137、138の中央部に光が集中する。このため、図6の破線に示されるように、光の強度が局所的に強くなると共に、光の強度の最大値と最小値との差が大きくなる。よって、x方向において光の強度が雨滴を検出するための閾値を超える検知可能範囲が狭くなる。
【0061】
次に、各日射用レンズ部153、154の具体的な構成について説明する。図2に示されるように、各日射用レンズ部153、154は、日射光を各日射検出素子151、152に出射する出射面155、156を有する。一方の出射面155が一方の日射検出素子151に対応する。また、他方の出射面156が他方の日射検出素子152に対応する。
【0062】
ここで、図8に示されるように、日射検出素子151、152の仰角を構成する面に沿って切断される切断面が配置面121に投影される直線124の方向を切断面方向と定義する。切断面方向は、z方向と同じ方向である。
【0063】
図8では、例えば日射光の方位角が0°の場合について、一方の出射面155、回路基板120の配置面121に投影される日射光の光像125、及び一方の日射検出素子151の各位置が示されている。光像125は、一方の出射面155から出射される光の形である。一方の出射面155と光像125は、ほぼ重なる。このため、受光素子133の検出面のうちの受光エリアは、図8の斜線部として示される。他方の出射面156、光像、及び他方の日射検出素子152の各位置も同じである。
【0064】
そして、図2に示されるように、各出射面155、156は、切断面方向において、突出部157、158を有する。図9に示されるように、例えば日射光の方位角が90°になると、回路基板120の配置面121に投影される日射光の光像125と一方の日射検出素子151との相対的な位置が変化する。他方の出射面156から出射される光像と他方の日射検出素子152との相対的な位置も変化する。つまり、各突出部157、158は、切断面方向において、回路基板120の配置面121に投影される日射光の光像125が日射検出素子151、152に対して相対的に離れる側とは反対側に突出した部分である。日射光の方位角が-90°の場合も同様である。
【0065】
図2に示されるように、各突出部157、158は、各出射面155、156の平面形状における鈍角の角部を構成する。本実施形態では、各出射面155、156は、五角形の平面形状である。具体的には、各出射面155、156は、四角形のうちの日射検出素子151、152の側の2つの角部にテーパ形状が追加されたことによる五角形の平面形状である。五角形の平面形状は、2つの90°の角部、及び、3つの鈍角の角部を含む。
【0066】
上記の各出射面155、156によると、各突出部157、158は、切断面方向において、光像125が日射検出素子151、152に対して相対的に離れる側に最大限に移動したとしても、光像125の一部を日射検出素子151、152の検出面に照射する。すなわち、図9の斜線部に示されるように、光像125が最大限に移動したとしても、光像125のうちの突出部157、158に対応する部分が、日射検出素子151、152の検出面に照射される。
【0067】
よって、安価で小型の各日射検出素子151、152を用いるとしても、各突出部157、158が各出射面155、156に設けられない場合と同等の日射光の検出範囲を確保することができる。したがって、日射センサ150の各日射検出素子151、152を安価で小型化したとしても、日射量の検出精度の低下を抑制することができる。
【0068】
比較例として、図10に示されるように、出射面159が四角形の場合、例えば日射光の方位角が0°においては四角形の光像126が一方の日射検出素子151に照射される。出射面159と光像126は、ほぼ重なる。しかし、図11に示されるように、切断面方向において、光像126が一方の日射検出素子151に対して相対的に離れる側に最大限に移動した場合、すなわち日射光の方位角が90°の場合、光像126が一方の日射検出素子151の検出面に照射されなくなる。つまり、図11では、日射検出素子151の検出面と光像126とが重なる斜線部は無い。日射光の方位角が-90°の場合も同様である。
【0069】
レインセンサ130の変形例として、各均一部139、140において、平面部142、145及び採光部143、146の組は、一組に限られない。各均一部139、140は、平面部142、145及び採光部143、146の組を複数組有していても良い。
【0070】
日射センサ150の変形例として、図12に示されるように、各出射面155、156は、全ての角部が鈍角の五角形でも良い。図13に示されるように、各突出部157、158は、四角形状でも良い。あるいは、図14に示されるように、各突出部157、158は、半円形状や半楕円形状でも良い。あるいは、図15に示されるように、各突出部157、158は、台形状でも良い。あるいは、図16に示されるように、各出射面155、156は、六角形状のように、五角以上の多角形状でも良い。ここで、図2では、各出射面155、156は五角形であるが、x方向を基準とした線対称とすると、各出射面155、156は六角形になる。つまり、図2では、z方向において六角形のうちの一方の側を示しているとも言える。なお、図12図16では一方の出射面155を示しているが、他方の出射面156も同様である。また、一方の出射面155の形状と他方の出射面156の形状とを異ならせることも可能である。
【0071】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された光センサ装置100の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、光センサ装置100は、レインセンサ130と日射センサ150とが一体化されていなくても良い。すなわち、光センサ装置100はレインセンサ130のみを備えていても良いし、光センサ装置100は、日射センサ150のみを備えていても良い。また、導光用レンズ部134と日射用レンズ部153、154とは一体化されていなくても良い。
【0072】
レインセンサ130が備える発光素子は、2個に限られない。発光素子は3個以上でも構わない。この場合、均一部は発光素子毎に設けられる。
【0073】
日射センサ150が備える日射検出素子151、152は、2個に限られない。日射検出素子は、1個でも構わない。
【符号の説明】
【0074】
100 光センサ装置、121 配置面、124 直線、125 光像、130 レインセンサ、131、132 発光素子、133 受光素子、134 導光用レンズ部、137、138 入射部、139、140 均一部、142、145 平面部、143、146 採光部、150 日射センサ、151、152 日射検出素子、153、154 日射用レンズ部、155、156 出射面、157、158 突出部、200 ウィンドシールド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16