(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】アクチュエータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02P 5/68 20060101AFI20240730BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240730BHJP
【FI】
H02P5/68
H02M7/48 M
(21)【出願番号】P 2021032646
(22)【出願日】2021-03-02
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】工藤 正善
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-56913(JP,A)
【文献】特開2003-274652(JP,A)
【文献】特開平6-233450(JP,A)
【文献】特開2011-125113(JP,A)
【文献】特開2016-220413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 5/68
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電圧で電子制御ユニットに電源を供給するように構成された第1電源線(L1)と、
前記第1電圧より低電圧の第2電圧で前記電子制御ユニットに搭載された少なくとも一部の機器に電源を供給するように構成された第2電源線(L2)と、
前記第2電源線から電源供給を受けて作動し、それぞれがアクチュエータに接続される複数対の出力端子(T21~T24)のそれぞれに対して、前記第2電圧又は接地電圧を印加するように構成された複数のドライバ回路(91~94)と、
前記複数のドライバ回路を駆動することで前記アクチュエータの動作を制御するように構成された駆動制御部(90,95~98)と、
前記複数のドライバ回路のそれぞれに設けられ、過電流の有無を検出するように構成された過電流検出部(951、961,971,981)と、
前記複数のドライバ回路のいずれかで過電流が検出された場合、前記過電流が検出された前記ドライバ回路によって駆動される前記アクチュエータを対象アクチュエータとして、前記対象アクチュエータの駆動に用いられる全ての前記ドライバ回路を停止するように構成された異常停止部(S110~S130、S150、S170~S180、S200)と、
前記過電流の原因が前記出力端子の前記第1電源線への短絡異常であるか否かを判定するように構成された故障判定部(S140、S190)と、
前記故障判定部にて前記第1電源線への短絡異常であると判定された場合に、前記複数のドライバ回路の全てを停止するように構成された故障抑制部(S160、S210)と、
を備えるアクチュエータ駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアクチュエータ駆動装置であって、
前記ドライバ回路は、前記第2電源線と接地との間に直列接続された高電位側スイッチング素子と低電位側スイッチング素子とを備え、前記高電位側スイッチング素子と前記低電位側スイッチング素子との接続点が前記出力端子に接続されるハーフブリッジ回路を用いて構成され、
前記故障判定部は、前記駆動制御部からの指示に従って前記高電位側スイッチング素子がオフ、前記低電位側スイッチング素子がオンされている前記ドライバ回路において過電流が検出された場合、前記第1電源線への短絡異常であると判定するように構成された
アクチュエータ駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載のアクチュエータ駆動装置であって、
前記ドライバ回路は、前記第2電源線と接地との間に直列接続された高電位側スイッチング素子と低電位側スイッチング素子とを備え、前記高電位側スイッチング素子と前記低電位側スイッチング素子との接続点が、前記出力端子に接続されるハーフブリッジ回路が用いられ、
前記過電流検出部は、前記ハーフブリッジ回路の前記高電位側スイッチング素子、及び前記低電位側スイッチング素子のそれぞれについて、個別に過電流の有無を検出し、
前記故障判定部は、前記低電位側スイッチング素子にて過電流が検出された場合、前記第1電源線への短絡異常であると判定するように構成された
アクチュエータ駆動装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のアクチュエータ駆動装置であって、
前記駆動制御部は、前記故障抑制部が作動することによって前記ドライバ回路の駆動が停止された場合、あらかじめ設定された再開待時間後に、前記ドライバ回路を駆動する制御を再開するように構成された、
アクチュエータ駆動装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のアクチュエータ駆動装置であって、
マイクロコンピュータを更に備え、
前記異常停止部及び前記故障判定部、前記故障抑制部は、前記マイクロコンピュータが実行する処理によって実現されるように構成された
アクチュエータ駆動装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のアクチュエータ駆動装置であって、
前記異常停止部及び前記故障判定部、前記故障抑制部は、集積回路によって実現されるように構成された
アクチュエータ駆動装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のアクチュエータ駆動装置であって、
前記アクチュエータは、モータである
アクチュエータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータ等のアクチュエータを駆動制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スイッチング素子を直列接続したハーフブリッジ回路を用いてモータ等のアクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動回路が記載されている。なお、ハーフブリッジ回路を構成するスイッチング素子には、該スイッチング素子がオフしたときに発生する逆起電力を逃がす還流ダイオードが並列接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された従来のアクチュエータ駆動回路を、バッテリ電圧の異なる普通自動車とトラックとで共通に使用するため、普通自動車のバッテリ電圧(例えば12V)で動作するアクチュエータを採用することが考えられる。つまり、アクチュエータ駆動回路をトラックに適用した場合、トラックのバッテリ電圧(例えば、24V)から普通乗用車のバッテリ電圧に降圧することで生成されたアクチュエータ駆動用の電源を使用する。
【0005】
しかしながら、従来のアクチュエータ駆動回路では、アクチュエータに接続される出力端子が、アクチュエータ駆動用の電源電圧より高いトラックのバッテリ電圧に短絡するバッテリショートへの対策がなされていないという課題があった。すなわち、出力端子がバッテリショートすると、ハーフブリッジ回路が有する還流ダイオードを介して電源の回り込み経路が形成され、バッテリショートした出力端子に接続されたアクチュエータ以外のアクチュエータに過電流が流れてしまう。
【0006】
本開示の1つの局面では、アクチュエータに接続される端子が、アクチュエータ駆動用の電源電圧より高い電圧を有する電源線に短絡した場合にアクチュエータを保護する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、アクチュエータ駆動装置であって、第1電源線(L1)と、第2電源線(L2)と、複数のドライバ回路(91~94)と、駆動制御部(90,95~98)と、過電流検出部(951、961,971,981)と、異常停止部(S110~S130、S150、S170~S180、S200)と、故障判定部(S140、S190)と、故障抑制部(S160、S210)と、を備える。
【0008】
第1電源線は、第1電圧で電子制御ユニットに電源を供給するように構成される。第2電源線は、第1電圧より低電圧の第2電圧で電子制御ユニットに搭載された少なくとも一部の機器に電源を供給するように構成される。ドライバ回路は、第2電源線から電源供給を受けて作動し、それぞれがアクチュエータに接続される複数対の出力端子(T21~T24)のそれぞれに対して、第2電圧又は接地電圧を印加するように構成される。駆動制御部は、複数のドライバ回路を駆動することでアクチュエータの動作を制御するように構成される。過電流検出部は、複数のドライバ回路のそれぞれに設けられ、過電流の有無を検出するように構成される。異常停止部は、複数のドライバ回路のいずれかで過電流が検出された場合、過電流が検出されたドライバ回路によって駆動されるアクチュエータを対象アクチュエータとして、対象アクチュエータの駆動に用いられる全てのドライバ回路を停止するように構成される。故障判定部は、過電流の原因が出力端子の第1電源線への短絡異常であるか否かを判定するように構成される。故障抑制部は、故障判定部にて第1電源線への短絡異常であると判定された場合に、複数のドライバ回路の全てを停止するように構成される。
【0009】
このような構成によれば、複数のドライバ回路、ひいては出力端子に流れる過電流の原因が第1電源線への短絡異常であるか否かを判定する。そして、第1電源線への短絡異常であると判定された場合、短絡した出力端子に接続されたアクチュエータだけでなく、他のアクチュエータも強制停止する。したがって、第1電源線への短絡異常に起因する過電流が、アクチュエータに流れ込むことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】車載エアコンアシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態におけるモータ駆動I/Fの構成を示す回路図を含んだブロック図である。
【
図3】モータ駆動I/Fが正常に駆動されている状態を示す説明図である。
【
図4】モータ駆動I/Fにおいてモータ出力端子がバッテリショートした場合の状態を示す説明図である。
【
図5】処理部が実行する故障抑制処理のフローチャートである。
【
図6】制御部がHB回路毎に実行するHB駆動制御の手順を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態におけるモータ駆動I/Fの構成を示す回路図を含んだブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
本実施形態では、車載エアコンシステム1を用いて説明する。車載エアコンシステム1は、普通自動車のバッテリより高い電圧を供給するバッテリを搭載したトラック等の車両に適用される。なお、車両は、車室内の空調を制御するために空調ダクトを備える。空調ダクトは、最も上流側に、車室内の空気(以下、内気)を取り入れる内気吸込口、及び車室外の空気(以下、外気)を取り入れる外気吸込口を有する。空調ダクトは、最も下流側に、自動車の前面窓ガラスの内面に向かって主に温風を吹き出すデフロスタ吹出口、乗員の頭胸部に向かって主に冷風を吹き出すフェイス吹出口、及び乗員の足元に向かって主に温風を吹き出すフット吹出口を有する。空調ダクト内には、エバポレータ及びヒータコアが配置される。ヒータコアはエバポレータの下流側に配置される。
【0012】
図1に示すように、車載エアコンシステム1は、センサ群2と、操作スイッチ群3と、電源4と、ブロワ5と、コンプレッサ6と、アクチュエータ群7と、エアコン電子制御ユニット(以下、エアコンECU)8と、を備える。
【0013】
ブロワ5は、空調ダクト内に設けられるファンと、ファンを駆動するブロワモータを有し、空調ダクトの吸入口から空調ダクト内に空気を吸い込む。コンプレッサ6は、空調ダクトの吸入口より内部に吸入されたガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒を吐出する圧縮部と、この圧縮部を駆動するモータとを有する。
【0014】
アクチュエータ群7は、エアミックスモータ71と、吹出口切替モータ72と、内外気切替モータ73とを備える。各モータ71~73は、いずれも、ステッピングモータ及びサーボモータのいずれかであってもよい。
【0015】
エアミックスモータ71は、エバポレータからヒータコアに流れる冷風の風量を調整するために設けられたエアミックスドアを駆動するモータである。吹出口切替モータ72は、各吹出口(すなわち、デフロスタ吹出口、フェイス吹出口、フット吹出口)を開閉する吹出口ドアを駆動することで、吹出口モードを、デフロスタモード、フェイスモード、フットモード、及びこれらを組み合わせたモードに切り替えるモータである。内外気切替モータ73は、内気吸込口及び外気吸込口から吸入された空気が合流する部位に設けられた内外気切替ドアを駆動することで、吸込口モードを内気循環モード、外気導入モード、内外気導入モードのいずれかに切り替えるモータである。
【0016】
センサ群2は、空調制御に必要な情報を取得するために設けられる。センサ群2には、内気温センサ21と、外気温センサ22と、日射センサ23と、エバポレータ温度センサ24と、開度センサ群25とが含まれる。
【0017】
内気温センサ21は、車室内の空気温度を検出する。外気温センサ22は、車室外の外気温度を検出する。日射センサ23は、車室内に照射される日射量を検出する。エバポレータ温度センサ24は、エバポレータで冷却された空気温度を検出する。開度センサ群25は、アクチュエータ群7に属する各モータ71~73の駆動対象となるエアミックスドア、吹出口ドア、内外気切替ドアについて、各ドアの開度を個別に検出する。
【0018】
操作スイッチ群3は、車室内前面に設けられる。操作スイッチ群3には、エアコンスイッチ、吸込口切替スイッチ、温度設定スイッチ、風量切替スイッチ、及び吹出口切替スイッチなどが含まれてもよい。エアコンスイッチは、コンプレッサ6の起動及び停止を命令するためのスイッチである。内外気切替スイッチは、吸込口モードを切り替えるためのスイッチである。温度設定スイッチは、車室内温度を設定するためのスイッチである。風量切替スイッチは、ブロワ5による車室内への送風量を切り替えるためのスイッチである。吹出口切替スイッチは、吹出口モードを切り替えるためのスイッチである。
【0019】
電源4は、当該車載エアコンシステム1が適用された車両であるトラックに搭載されたバッテリであり、第1電圧VB(例えば、24V)の直流電源を、第1電源線L1を介して、エアコンECU8を含む車両に搭載された各ECUに供給する。
【0020】
エアコンECU8は、第1電源線L1から電源供給を受けて動作し、センサ群2及び操作スイッチ群3からの入力に基づいてブロワ5、及びコンプレッサ6、アクチュエータ群7の駆動することによって、車室内の空調を制御する。
【0021】
エアコンECU8は、センサ入力インタフェース(以下、I/F)81と、スイッチ入力I/F82と、電源降圧回路83と、ブロワ駆動I/F84と、コンプレッサ駆動I/F85と、モータ駆動I/F86と、処理部87とを備える。
【0022】
センサ入力I/F81は、センサ群2に属する各センサ21~24から検出値を取得して処理部87に入力する。スイッチ入力I/F82は、操作スイッチ群3に属する各スイッチの操作状態を検出して処理部87に入力する。
【0023】
電源降圧回路83は、第1電源線L1を介して供給される第1電圧VBを降圧して、アクチュエータ等の駆動に使用する第2電圧VDの駆動用電源、及び論理回路等の駆動に使用する第3電圧VDのロジック用電源を生成する。つまり、第2電圧VD及び第3電圧VCは、第1電圧VBより低電圧に設定される。駆動用電源は、第2電源線L2を介してエアコンECU8に搭載された機器である各駆動I/F84~86等に供給される。ロジック用電源は、第3電源線L3を介してエアコンECU8の各部に供給される。第2電圧VDは、普通自動車のバッテリ電圧(例えば、12V)に設定され、第3電圧VCは、種々の集積回路の駆動に適した電圧(例えば、5V)に設定される。
【0024】
ブロワ駆動I/F84は、処理部87からの指示に従ってブロワモータの動作を制御することで、吹出口から吹き出す風量を制御する。コンプレッサ駆動I/F85は、処理部87からの指示に従って圧縮部を駆動するモータの動作を制御する。モータ駆動I/F86は、処理部87からの指示に従ってアクチュエータ群7に属する各モータ71~73の動作を制御する。
【0025】
ブロワ駆動I/F84、及びコンプレッサ駆動I/F85、モータ駆動I/F86と処理部87は、それぞれ集積回路を用いて構成される。これらの駆動I/F84~86と処理部87との間のデータ転送には、SPIが用いられる。SPIは、Serial Peripheral Interfaceの略である。
【0026】
処理部87は、CPU871と、例えば、RAM又はROM等の半導体メモリ(以下、メモリ)872と、を有するマイクロコンピュータを備え、空調制御処理及び故障抑制処理を少なくとも実行する。空調制御処理は、車室内温度が操作スイッチ群3を介して設定されたユーザ設定温度になるように、各センサ21~24の出力に基づいて吹出温度と風量を決め、さらに開度センサ群25の出力に基づいて、ブロワ駆動I/F84,コンプレッサ駆動I/F85、モータ駆動I/F86に対する指令を生成する処理である。故障抑制処理は、アクチュエータ群7に属する各モータ71~73を監視し、異常時にモータを強制停止させることで、モータ71~73の故障を抑制するための処理である。
【0027】
[1-2.モータ駆動I/F]
図2に示すように、モータ駆動I/F86は、アクチュエータ群7に属する各モータ71~73を駆動する。但し、ここでは、図面を見やすくするために、2つのモータM1,M2を駆動する場合の構成について示す。駆動対象となるモータの数は3つ以上であってもよい。モータM1,M2は、アクチュエータ群7に属する各モータ71~73のいずれかである。
【0028】
モータ駆動I/F86は、駆動用電源端子T11と、ロジック用電源端子T12と、接地用端子T13と、を備える。
駆動用電源端子T11は、電源降圧回路83にて生成される第2電圧VDの駆動用電源を供給する第2電源線L2に接続される端子である。但し、駆動用電源端子T11は、逆流防止用のダイオードDを介して第2電源線L2に接続される。
【0029】
ロジック用電源端子T12は、電源降圧回路83にて生成される第3電圧VCのロジック用電源を供給する第3電源線L3に接続される端子である。
接地用端子T13は、モータ駆動I/F86内部のフレームグランドを、外部(例えば、エアコンECU8又は車体)の接地電位を有する部位に接続する端子である。
【0030】
モータ駆動I/F86は、更に、4つの出力端子T21~T24を備える。出力端子T21、T22の間には、モータM1が接続され、出力端子T23、T24の間には、モータM2が接続される。
【0031】
モータ駆動I/F86は、更に、EN端子T31と、CSB端子T32と、SCK端子T33と、SDI端子T34と、SDO端子T35と、を備える。これらの端子T31~T35は、いずれも処理部87に接続される。
【0032】
EN端子T31は、モータ駆動I/F86の動作の許可又は不許可を指示するEN信号が入力される端子である。CSB端子は、クロック同期式シリアル通信の開始/終了を表すCSB信号が入力される端子である。SCK端子は、クロック同期式シリアル通信を行うためのクロックであるSCK信号が入力される端子である。SDI端子は、クロック信号に同期したシリアルデータであるSDI信号が入力される端子である。SDO端子は、クロック信号に同期したシリアルデータであるSDO信号を出力する端子である。
【0033】
モータ駆動I/F86は、ドライバ制御部90と、複数のハーフブリッジ(以下、HB)回路91~94と、複数の駆動回路95~98と、保護機能部99とを備える。
HB回路91は、駆動用電源端子T11と接地用端子T13との間に直列接続された、高電位側スイッチング素子(例えば、Pチャネル型MOSFET)と低電位側スイッチング素子(例えば、Nチャネル型MOSFET)とを含む。つまり、HB回路91は、第2給電線L2を介して電源供給を受けて作動する。以下では高電位側スイッチング素子をHサイド素子、低電位側スイッチング素子をLサイド素子という。Hサイド素子及びLサイド素子には、スイッチオフ時に発生する逆起電力を逃がす還流ダイオードが、それぞれ接続される。HB回路91では、Hサイド素子とLサイド素子との接続点が、HB回路91の出力点とされ、出力端子T21に接続される。
【0034】
HB回路92~94は、HB回路91と同様に構成される。但し、HB回路92の出力点は出力端子T22に接続され、HB回路93の出力点は出力端子T23に接続され、HB回路94の出力点は出力端子T24に接続される。
【0035】
駆動回路95は、ドライバ制御部90からの指示に従い、HB回路91に属するHサイド素子及びLサイド素子のオンオフ状態を制御する。同様に、駆動回路96~98は、ドライバ制御部90からの指示に従い、それぞれに対応づけられたHB回路92~94に属するHサイド素子及びLサイド素子のオンオフ状態を制御する。
【0036】
ここで、各HB回路91~94に属するHサイド素子及びLサイド素子のオンオフ状態を、(Hサイド素子,Lサイド素子)で表す。駆動回路95~98は、HB回路91~94を、(ON,OFF)となるハイ駆動状態、(OFF,ON)となるロー駆動状態、(OFF,OFF)となる非駆動状態のいずれかに設定する。HB回路91~94をハイ駆動状態に設定した場合、出力端子T21~T24には、それぞれ第2電圧VDが印加される。HB回路91~94をロー駆動状態に設定した場合、出力端子T21~T24には接地電圧が印加される。
【0037】
例えば、駆動回路95,96によるモータM1の制御について説明する。モータM1を停止する時には、HB回路91,92をいずれも非駆動状態に設定する。モータM1を正回転で駆動する時には、HB回路91をハイ駆動状態、HB回路92をロー駆動状態に設定する。モータM1を逆回転で駆動するときには、HB回路92をロー駆動状態、HB回路92をハイ駆動状態に設定する。
【0038】
駆動回路97,98によるモータM2の制御についても同様である。但し、上記説明において、HB回路91,92をHB回路93,94に読み替えるものとする。
駆動回路95~98は、それぞれ、過電流検出部951,961,971,981を備える。過電流検出部951,961,971,981は、Hサイド素子及びLサイド素子のそれぞれについて個別に過電流の有無を検出する。具体的には、例えば、カレントミラー回路を用いて、検出対象のスイッチング素子に流れる電流に比例した電流を抽出し、この抽出された電流があらかじめ設定された閾値以上である場合に過電流であると判定する。判定結果は、ドライバ制御部90に通知される。
【0039】
保護機能部99は、過電圧、減電圧、高温等の状態を検出し、ドライバ制御部90に通知する。保護機能部99は、状態を通知するだけでなく、これらの状態に異常がある場合に、モータ駆動I/F86を故障から保護する動作を行うように構成されてもよい。
【0040】
ドライバ制御部90は、論理回路で構成され、SPIによる処理部87との間でのデータ転送、及び駆動回路95~98に対する指令を出力する。なお、ドライバ制御部90が、処理部87に転送するデータには、駆動回路95~98にてスイッチング素子毎に検出された過電流の判定結果が含まれる。処理部87へのデータ転送は、周期的に行ってもよいし、判定結果に変化があった場合だけ行ってもよい。また、ドライバ制御部90が、処理部87から受け取るデータには、各モータM1,M2の動作を制御するのに必要な情報が含まれる。
【0041】
[1-3.基本動作]
ここで、モータ駆動I/F86における基本的な正常時動作及び異常時動作を、
図3及び
図4を用いて説明する。
【0042】
正常時動作として、
図3に示すように、HB回路91がハイ駆動状態、HB回路92がロー駆動状態に設定されている場合を説明する。この場合、
図3中、太線の矢印で示すように、駆動用電源端子T11→HB回路91のHサイド素子→出力端子T21→モータM1→出力端子T22→HB回路92のLサイド素子→接地用端子T13のように電流が流れ、モータM1が正回転する。
【0043】
HB回路91をロー駆動状態、HB回路92をハイ駆動状態に設定した場合、矢印での図示は省略するが、駆動用電源端子T11→HB回路92のHサイド素子→出力端子T22→モータM1→出力端子T21→HB回路91のLサイド素子→接地用端子T13のように電流が流れ、モータM1が逆回転する。
【0044】
なお、HB回路93,94を用いたモータM2の駆動も同様である。但し、上記説明において、HB回路91,92は、HB回路93,94に、出力端子T21,T22は、出力端子T23,T24に、モータM1はモータM2に読み替えるものとする。
次に、異常時動作として、
図4に示すように、HB回路91,93がハイ駆動状態、HB回路92,94がロー駆動状態に設定されているときに、バッテリショート(すなわち、第1電源線L1への短絡異常)が発生した場合を説明する。なお、バッテリショートにより、出力端子T22には第1電圧VBが印加される。
【0045】
バッテリショートにより、出力端子には第1電圧VBが印加され、駆動用電源端子T11に印加される第2電圧VDより高くなる。従って、出力端子T22→HB回路92のHサイド素子の還流ダイオード→HB回路93のHサイド素子→出力端子T23→モータM2→HB回路94のLサイド素子→接地用端子T13のように電流が流れる。これと同時に、出力端子T22→HB回路92のLサイド素子→接地用端子T13のように電流が流れる。
【0046】
つまり、モータM2が正回転又は逆回転で駆動されているときに、モータM1が接続された出力端子T21又はT22でバッテリショートが発生すると、モータM2に過電流が流れることになる。同様に、モータM1が正回転又は逆回転で駆動されているときに、モータM2が接続された出力端子T23又はT24でバッテリショートが発生すると、モータM1に過電流が流れることになる。
【0047】
以下で説明する故障予防処理は、及びHB駆動制御は、モータM1,M2に、このような過電流が流れ込むことを抑制するために実行される。
なお、HB回路91~94が、
図3に示すように駆動されているときに、出力端子T21がGNDショート又はモータM1がモータショートした場合、HB回路91のHサイド素子で過電流が検出される。但し、この場合、出力端子T23,T24に接続されたモータM2に過電流の影響が及ぶことはない。
【0048】
[1-4.故障抑制処理]
次に、処理部87が実行する故障抑制処理について、
図5のフローチャートを用いて説明する。故障予防処理は、電源降圧回路83を介して処理部87にロジック用電源が供給されることで、処理部87が起動すると、周期的に実行される。
【0049】
故障抑制処理が開始されると、S110では、処理部87は、モータ駆動I/F86から過電流の判定結果を取得する。
続くS120では、処理部87は、出力端子T21(すなわち、HB回路91)で過電流が検出されているか否かを判定し、過電流が検出されていれば、処理をS140に移行し、過電流が検出されていなければ、処理をS130に移行する。
【0050】
S130では、処理部87は、出力端子T22(すなわち、HB回路92)で過電流が検出されたか否かを判定し、過電流が検出されていれば、処理をS140に移行し、過電流が検出されていなければ、処理をS170に移行する。
【0051】
S140では、処理部87は、HB回路91又はHB回路92において過電流が検出されたのがHサイド素子であるか否かを判定する。処理部87は、過電流が検出されたのがHサイド素子である場合は、過電流の原因はバッテリショートではなく、GNDショート又はモータショートであると判定して、処理をS150に移行する。また、処理部87は、過電流が検出されたのがHサイド素子ではない場合、即ち、Lサイド素子で過電流が検出された場合は、過電流の原因はバッテリショートであると判定して、処理をS160に移行する。
【0052】
S150では、処理部87は、出力端子T21,T22に接続されたモータM1の駆動に関わるHB回路91,92を強制停止する指令を、モータ駆動I/F86に出力して、処理を終了する。
【0053】
S160では、処理部87は、すべてのHB回路91~94を強制停止する指令を、モータ駆動I/F86に出力して処理を終了する。
S170では、処理部87は、出力端子T23(すなわち、HB回路93)で過電流が検出されたか否かを判定し、過電流が検出されていれば、処理をS190に移行し、過電流が検出されていなければ、処理をS180に移行する。
【0054】
S180では、処理部87は、出力端子T24(すなわち、HB回路94)で過電流が検出されたか否かを判定し、過電流が検出されていれば、処理をS190に移行し、過電流が検出されていなければ、処理を終了する。
【0055】
S190では、処理部87は、HB回路93又はHB回路94において過電流が検出されたのがHサイド素子であるか否かを判定する。処理部87は、過電流が検出されたのがHサイド素子である場合は、過電流の原因はバッテリショートではなく、GNDショート又はモータショートであると判定して、処理をS200に移行する。また、処理部87は、過電流が検出されたのがHサイド素子ではない場合、即ち、Lサイド素子で過電流が検出された場合は、過電流の原因はバッテリショートであると判定して、処理をS210に移行する。
【0056】
S200では、処理部87は、出力端子T23,T24に接続されたモータM2の駆動に関わるHB回路93,94を強制停止する指令を、モータ駆動I/F86に出力して、処理を終了する。
【0057】
S210では、処理部87は、すべてのHB回路91~94を強制停止する指令を、モータ駆動I/F86に出力して処理を終了する。
[1-5.HB駆動制御]
ドライバ制御部90が、処理部87からの指令に従って、駆動回路95~98(ひいては、HB回路91~94)のそれぞれに対して実行するHB駆動制御の手順を、
図6に示すフローチャートを用いて説明する。HB駆動制御は、論理回路の組み合わせによって実現されてもよい。HB回路駆動制御は、電源降圧回路83を介してドライバ制御部90にロジック用電源が供給されることで、ドライバ制御部90が起動すると、周期的に実行される。
【0058】
ここでは、制御対象がHB回路91,92(すなわち、モータM1)である場合について説明する。制御対象がHB回路93、94(すなわち、モータM2)である場合も同様である。
【0059】
HB回路駆動制御が開始されると、S310にて、ドライバ制御部90は、HB回路91,92に対する駆動指令があるか否かを判定し、駆動指令がなければ処理を終了し、駆動指令があれば、処理をS120に移行する。なお、駆動指令には、制御対象となるHB回路91,92を、ハイ駆動状態、ロー駆動状態、非駆動状態のいずれかに設定する指令の他、強制停止により非駆動状態に設定する指令も含まれる。強制停止は、処理部87が実行する故障抑制処理によって指示される。
【0060】
S320では、ドライバ制御部90は、HB回路91,92は、強制停止中であるか否かを判定し、強制停止中であれば、処理をS330に移行し、強制停止中でなければ、処理をS340に移行する。
【0061】
S330では、ドライバ制御部90は、強制停止からの経過時間が、あらかじめ設定された再開待時間以上であるか否かを判定する。ドライバ制御部90は、経過時間が再開待時間以上であると判定した場合は、強制停止を解除して、処理をS340に移行し、経過時間が再開待時間に達していなければ処理を終了する。
【0062】
S340では、ドライバ制御部90は、駆動指令の内容に従って、HB回路91,92をハイ駆動状態、ロー駆動状態、非駆動状態のいずれかに設定する指令を、駆動回路95,96に出力して処理を終了する。但し、非駆動状態に設定する指令が強制停止による場合、動作状態を通常動作中から強制停止中の状態に遷移し、強制停止されてからの経過時間の計測を開始する。
【0063】
つまり、HB駆動制御では、強制停止された場合、再開待時間が経過した時点で、強制停止を解除し、HB回路91,92の駆動を再開する。その結果、異常が検出されなければ、そのまま、制御を続け、異常が検出された場合は、再度、強制停止される。
【0064】
[1-6.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)エアコンECU8では、出力端子T21~T24(すなわち、HB回路91~94)にて過電流が検出され、かつ、過電流が検出されたのがHB回路のLサイド素子であるか否かによって、過電流の原因がバッテリショートであるか否かを判定する。そして、バッテリショートであると判定された場合、バッテリショートした出力端子に接続されたモータだけでなく、他のモータも強制停止する。
【0065】
したがって、エアコンECU8によれば、出力端子T21~T24のバッテリショートに起因する過電流が、モータM1,M2に回り込んで、モータM1,M2の動作に影響を与えることを抑制できる。
【0066】
(1b)モータ駆動I/F86では、モータM1,M2が強制停止された場合、再開待時間が経過した時点で強制停止を解除して、モータM1,M2の駆動を再開する。このため、検出された異常が一時的なものである場合は、強制停止の状態から自動的に復帰することができる。
【0067】
[1-7.用語の対応]
本開示におけるHB回路91~94がドライバ回路に相当し、駆動回路95~98及び制御部90が駆動制御部に相当する。また、本開示におけるS110~S130、S150、S170~S180、S200が異常停止部に相当し、S140、S190が故障判定部に相当し、S160、S210が故障抑制部に相当する。
【0068】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0069】
上述した第1実施形態では、故障抑制処理を、モータ駆動I/F86から提供される過電流の判定結果を参照して、処理部87が実行している。これに対し、第2実施形態では、故障抑制処理と同等の制御を、モータ駆動I/F86Aのドライバ制御部90Aに実行させる点で、第1実施形態と相違する。
【0070】
第2実施形態におけるモータ駆動I/F86Aは、
図7に示すように、ドライバ制御部90Aが、故障抑制部901を備える。故障抑制部901は、第1実施形態にて説明した故障抑制処理と同等の制御を実現する。
【0071】
[2-3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0072】
(2a)本実施形態では、故障抑制処理に相当する制御を、ドライバ制御部90が実行するため、処理部87での負荷を軽減できる。
(2b)本実施形態では、モータ駆動I/F86Aと処理部87との間で過電流の判定結果をやりとりする必要がないため、出力端子T21~T22にて発生するバッテリショーと等の異常を速やかに検出し、速やかに対処できる。
【0073】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0074】
(3a)本開示では、駆動回路95~98が、HB回路91~94における過電流を、Hサイド素子及びLサイド素子のそれぞれについて個別に判定するように構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、駆動回路95~98は、HB回路91~94における過電流を、Hサイド素子及びLサイド素子の区別なく一括して判定するように構成されてもよい。この場合、駆動回路95~98によるHB回路91~94の駆動状態と、HB回路91~94毎の過電流の判定結果との組み合わせで、過電流の原因がバッテリショートであるか否か判定してもよい。例えば、ロー駆動状態にあるHB回にて過電流が検出された場合に、バッテリショートであると判定し、ハイ駆動状態にあるHB回路にて過電流が検出された場合に、GNDショート又はモータショートであると判定してもよい。
【0075】
(3b)本開示では、出力端子T21~T24のバッテリショートを、駆動回路95~98が有する過電流検出機能を用いて判定しているが、出力端子T21~T24への印加電圧を検出する端子電圧検出部を用いて判定してもよい。この場合、端子電圧検出部にて検出される出力端子T21~T24の印加電圧が、第2電圧VDに許容値を加えた閾値電圧より大きい場合に、バッテリショートであると判定してもよい。
【0076】
(3c)本開示では、強制停止からの復帰を、ドライバ制御部90の制御によって実現しているが、処理部87の処理によって実現してもよい。
(3d)本開示に記載の処理部87及びドライバ制御部90、並びにその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の処理部87及びドライバ制御部90、並びにその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の処理部87及びドライバ制御部90、並びにその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。処理部87及びドライバ制御部90に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0077】
(3e)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0078】
(3f)前述したアクチュエータ駆動装置としてのエアコンECU8の他、当該アクチュエータ駆動装置を構成要素とするシステム、当該アクチュエータ駆動装置を構成する処理部87及びドライバ制御部90としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、アクチュエータの故障抑制方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0079】
1…車載エアコンシステム、2…センサ群、3…操作スイッチ群、4…電源、7…アクチュエータ群、8…エアコンECU、83…電源降圧回路、86,86A…モータ駆動I/F、87…処理部、90,90A…ドライバ制御部、91~94…ハーフブリッジ回路、95~98…駆動回路、871…CPU、872…メモリ、901…故障抑制部、L1…第1電源線、L2…第2電源線、M1,M2…モータ、T11…駆動用電源端子、T13…接地用端子、T21~T24…出力端子。