(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】車載通信装置及び通信管理方法
(51)【国際特許分類】
H04L 65/1066 20220101AFI20240730BHJP
【FI】
H04L65/1066
(21)【出願番号】P 2021040432
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾石 元気
(72)【発明者】
【氏名】中尾 堅志
(72)【発明者】
【氏名】前川 仁樹
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 英司
(72)【発明者】
【氏名】有木 紘志
【審査官】和平 悠希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/179123(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/136613(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/026767(WO,A1)
【文献】特開2021-036643(JP,A)
【文献】特開2019-146099(JP,A)
【文献】特開2014-149759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
H04L 41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載通信装置と前記車両の外部に設けられ前記車載通信装置を管理する管理サーバーとを用いて、前記車載通信装置と通信事業者との通信を管理する通信管理方法であって、
前記管理サーバーが、前記車両に搭載された複数の機能のうち、有効化の対象である有効化対象機能を特定するための識別フラグ情報を前記車載通信装置に送信するフラグ送信ステップと、
前記車載通信装置が、前記識別フラグ情報を受信した場合に、当該識別フラグ情報に基づいて前記有効化対象機能ごとに互いに異なる専用の送信元ポートを割り当てるポート割当ステップと、
前記車載通信装置が、前記通信事業者において前記有効化対象機能ごとにデータ通信量の積算ができるように、前記ポート割当ステップで割り当てられた前記送信元ポートを介して当該送信元ポートに割り当てられた前記有効化対象機能のデータ通信をするデータ通信ステップとを備える、通信管理方法。
【請求項2】
前記識別フラグ情報は、前記有効化対象機能ごとに互いに異なる前記専用の送信元ポートになるように割当先の前記送信元ポートを指定するポート指定情報を含み、
前記管理サーバーが、前記通信事業者に前記有効化対象機能ごとに割り当てた前記送信元ポートの情報を提供する情報提供ステップをさらに備える、請求項1に記載の通信管理方法。
【請求項3】
前記管理サーバーが、前記車両と前記車両にサービスを提供するサービス提供者との間で交わされた前記有効化対象機能の契約情報を受信した場合に、当該有効化対象機能を特定するための識別フラグ情報を管理テーブルに登録する登録ステップをさらに備え、
前記フラグ送信ステップにおいて、前記管理サーバーは、前記登録ステップで登録された識別フラグ情報を、前記有効化対象機能を特定するための識別フラグ情報として送信する、請求項1に記載の通信管理方法。
【請求項4】
前記管理サーバーには、複数のリバースプロキシサーバーが設けられており、
前記データ通信ステップにおける前記車載通信装置のデータ通信は、前記識別フラグ情報に基づいて割り当てられた前記リバースプロキシサーバーを介して実行される、請求項1に記載の通信管理方法。
【請求項5】
車両に搭載された車載機器を外部のネットワークに接続するための車載通信装置であって、
前記車載機器が有する機能のうち有効化の対象である有効化対象機能と、前記有効化対象機能ごとに割り当てられかつ前記有効化対象機能ごとに互いに異なる送信元ポートとの対応関係を記憶する記憶部と、
前記車両の外部から新たな前記有効化対象機能を特定するための識別フラグ情報が受信された場合に、当該新たな有効化対象機能に、前記記憶部に記憶された他の前記有効化対象機能とは互いに異なる送信元ポートを割り当て、当該割り当ての情報を前記記憶部に記憶するとともに、それぞれの前記送信元ポートを介して当該送信元ポートに割り当てられた前記有効化対象機能についての情報通信が行われるように制御する制御部とを備える、車載通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、車両に搭載される車載通信装置および管理サーバーと車載通信装置との間の通信を管理する通信管理方法に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
パソコン等の一般的な情報通信において、セキュリティ確保のため、複数の送信元ポートを乗り換えるソースポートランダマイゼーションが行われている。送信元ポートの選択は、例えば、負荷分散の観点でされるものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、特許文献2には、データ通信の項目ごとにデータ通信にかかる通信費用の負担先を設定し、使用した通信容量の累積値を負担先ごとにカウントする通信システムが示されている。特許文献2の通信システムでは、通信装置およびサーバーが通信費用の負担先を示す識別子をデータに付与してデータ通信を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-146099号公報
【文献】特開2019-12974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2のように、通信装置およびサーバーが通信費用の負担先を示す識別子をデータに付与してデータ通信を行うとした場合、処理が煩雑になる恐れがある。例えば、同じ時刻帯において、車両に対して、あるサービス提供者(第1のサービス提供者)から音楽等のストリームデータが配信され、別のサービス提供者(第2のサービス提供者)との間では別のサービスに関するデータのやり取りが行われているとする。例えば、ストリームデータは、時間的に連続するデータを扱うので、第1のサービス提供者との間でやり取りされたデータと、第2のサービス提供者との間でやり取りされたデータとの判別が難しくなるおそれがある。判別の精度を高めるために、識別子を付するデータ間隔を狭くする場合や、識別子をパケットごとに付与することも考えられるが、サービス提供者側において、短い時間間隔で識別子を付与する必要があり、車両とサービス提供者の間に介在するキャリア事業者(キャリアシステム)におけるデータの振り分けも処理が煩雑となるため、現実的ではない。
【0006】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、サービス内容やサービス提供者毎にデータ通信量を判別しやすくし、それぞれのデータ通信に対する費用の請求先を振り分けることができるように構成された通信管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、車両に搭載された車載通信装置と車両の外部に設けられ当該車載通信装置を管理する管理サーバーとを用いて、前記車載通信装置と通信事業者との通信を管理する通信管理方法を対象として、前記管理サーバーが、前記車両に搭載された複数の機能のうち、有効化させる有効化対象機能を特定するための識別フラグ情報を前記車載通信装置に送信するフラグ送信ステップと、前記車載通信装置が、前記識別フラグ情報を受信した場合に、当該識別フラグ情報に基づいて前記有効化対象機能ごとに互いに異なる専用の送信元ポートを割り当てるポート割当ステップと、前記車載通信装置が、前記通信事業者において前記有効化対象機能ごとにデータ通信量の積算ができるように、前記ポート割当ステップで割り当てられた前記送信元ポートを介して当該送信元ポートに割り当てられた前記有効化対象機能のデータ通信をするデータ通信ステップとを備える。
【0008】
上記の通信管理方法によると、有効化対象機能ごとに送信元ポートが設定される。すなわち、有効化対象機能ごとに送信元のポートが固定される。これにより、例えば、通信事業者において通信されるデータから識別子を読み取り、データごとに分類するといったような、煩雑な処理を要せずに、機能ごとに通信費用の請求先を振り分けることができる。また、送信元ポート自体を分けているので、通信時刻が重複するようなデータ通信を行うような場合においても、それぞれの機能やサービスについてのデータ通信量を明確に分けることができる。
【0009】
上記態様の通信管理方法において、前記識別フラグ情報は、前記有効化対象機能ごとに互いに異なる前記専用の送信元ポートになるように割当先の前記送信元ポートを指定するポート指定情報を含み、前記管理サーバーが、前記通信事業者に前記有効化対象機能ごとに割り当てた前記送信元ポートの情報を提供する情報提供ステップをさらに備える、としてもよい。
【0010】
これにより、通信事業者において有効化対象機能ごとの通信データを分離しやすくなり、有効化対象機能ごとに互いに異なる請求先への請求処理をより簡単に行うことができるようになる。
【0011】
上記態様の通信管理方法において、前記管理サーバーが、前記車両と前記車両にサービスを提供するサービス提供者との間で交わされた前記有効化対象機能の契約情報を受信した場合に、当該有効化対象機能を特定するための識別フラグ情報を管理テーブルに登録する登録ステップをさらに備え、前記フラグ送信ステップにおいて、前記管理サーバーは、前記登録ステップで登録された識別フラグ情報を、前記有効化対象機能を特定するための識別フラグ情報として送信する、としてもよい。
【0012】
上記態様によると、管理サーバーにおいて、サービス提供者から受信した契約情報に基づいて、有効化対象機能ごとに専用の送信元ポートを設定するようにしたので、サービス提供者は契約情報を管理サーバーに伝えるだけでよい。すなわち、サービス提供者による登録手続きなどを依頼することなく、それぞれの有効化対象機能ごとにデータ通信量を明確に分けることができる。
【0013】
前記管理サーバーには、複数のリバースプロキシサーバーが設けられており、前記データ通信ステップにおける前記車載通信装置のデータ通信は、前記識別フラグ情報に基づいて割り当てられた前記リバースプロキシサーバーを介して実行される、としてもよい。
【0014】
上記態様によると、専用の送信元ポートを用いた通信の区分けと、リバースプロキシサーバーを用いた通信の区分けの階層構造になっているので、例えば、サービス提供者ごとにはポートで分けて、車両のグレードの違いをリバースプロキシサーバーで分けるといったように、サービス提供者は同じであっても、車両のグレードに応じて請求の形態が異ならせるような場合であっても、煩雑にならないようにすることができる。
【0015】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、車両に搭載された車載機器を外部のネットワークに接続するための車載通信装置を対象として、前記車載機器が有する機能のうち有効化の対象である有効化対象機能と、前記有効化対象機能ごとに割り当てられかつ前記有効化対象機能ごとに互いに異なる送信元ポートとの対応関係を記憶する記憶部と、前記車両の外部から新たな前記有効化対象機能を特定するための識別フラグ情報が受信された場合に、当該新たな有効化対象機能に、前記記憶部に記憶された他の前記有効化対象機能とは互いに異なる送信元ポートを割り当て、当該割り当ての情報を前記記憶部に記憶するとともに、それぞれの前記送信元ポートを介して当該送信元ポートに割り当てられた前記有効化対象機能についての情報通信が行われるように制御する制御部とを備える。
【0016】
本態様の車載通信装置によると、前述の通信管理方法と同様に、煩雑な処理を要せずに、機能ごとに通信費用の請求先を振り分けることができる。また、送信元ポート自体を分けているので、通信時刻が重複するようなデータ通信を行うような場合においても、それぞれの機能やサービスについてのデータ通信量を明確に分けることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、送信元ポートに基づいて通信費用の請求先を振り分けることができる。これにより、煩雑な処理を要せずに、機能ごとに通信費用の請求先を振り分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る通信管理システムの構成例を示す概念図である。
【
図2】第1実施形態に係る通信管理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3A】第1実施形態の通信管理システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図3B】第1実施形態の通信管理システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図4】メモリに格納された対応テーブルの一例を示す図である。
【
図5】キャリアシステムの請求処理における請求額の一例を示すテーブルである。
【
図6】第1実施形態の通信管理システムの他の動作例を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態に係る通信管理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図8A】第2実施形態の通信管理システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図8B】第2実施形態の通信管理システムの他の動作例を示すフローチャートである。
【
図8C】第2実施形態の通信管理システムの他の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】第3実施形態に係る通信管理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図10】第3実施形態の通信管理システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図11】メモリに格納された対応テーブルの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈することを意図するものではない。
【0020】
<第1実施形態>
-通信管理システム-
図1及び
図2は、第1実施形態に係る通信管理システムの構成例を示す図である。
図1は全体構成を示す概念図であり、
図2は本開示に関係する構成の接続関係を中心に示したブロック構成図である。
【0021】
図1に示すように、通信管理システム1は、各車両5に搭載された車載通信装置2と、車両5とは異なる場所に設けられて車載通信装置2を管理する管理サーバー3とを備える。通信管理システム1は、提供主体や内容の異なる種々のサービスを、車載通信装置2を介して車両5に提供するシステムにおいて、乗員向けのサービスを提供するサービス提供者8と車両5との通信を管理するシステムである。より詳しくは、通信管理システム1は、車両5に搭載された車載機器51とサービス提供者8との間で行われるデータ通信について、通信事業者が管轄するキャリアシステム6において通信費用の請求先を送信元ポートに基づいて振り分けることができるようになっている。
【0022】
ここで、車載機器51は、特に限定されないが、例えば、カーオーディオ装置、カーナビゲーション装置、ヘッドアップディスプレイ装置、ドライブレコーダー、車載アンテナを介して外部ネットワークに接続される着脱式のタブレット装置等が例示される。
【0023】
乗員向けのサービスは、例えば、車載機器51を通して乗員に提供されるサービスや、車載機器51を介して乗員が使用するサービスであり、具体的なサービス内容は特に限定されない。例えば、乗員向けのサービスとして、(1)カーナビゲーション装置等を使用して各種情報を検索するための音声検索サービス、カーオーディオ装置で再生される音楽ストリームや動画ストリーム等のエンターテイメントコンテンツの提供(以下、まとめて「ストリーミングサービス」という)、(2)カーオーディオ装置で再生されるインターネットラジオや、車両の位置やカーナビゲーションシステムに登録された目的地にあわせた観光スポットやレストラン等の周辺情報の提供、(3)車両がドライブスルーなどに入った場合にタブレット装置等に提供されるショップ専用の決済アプリケーションサービスの提供、(4)ドライブレコーダーの映像を通して車両の駐車中の監視サービスや走行中のロードサポートサービスの提供が例示される。
【0024】
-車載通信装置-
車載通信装置2は、車両に搭載された各車載機器51と車外のネットワーク(例えば、通信事業者が管轄するキャリアシステム6)とのデータ通信を中継する中継処理を行う。
【0025】
図1及び
図2に示すように、車載通信装置2は、アンテナ20と、通信ユニット21と、入力部22と、表示部23と、制御ユニット25とを備える。
【0026】
(アンテナ)
アンテナ20は、車両5の外側(以下、単に「車外」という)に電波を出力したり、車外からの電波を受信するように構成される。車載通信装置2は、アンテナ20を介して、例えば、最寄りの基地局61に接続される。基地局61は、キャリアシステム6のネットワーク62に接続される。キャリアシステム6のネットワーク62は、管理サーバー3及びサービス提供者のサーバー等(以下、単に「サービス提供者8」という)に接続される。これにより、車載通信装置2は、キャリアシステム6を通して管理サーバー3やサービス提供者8と双方向のデータ通信ができるようになっている。車載通信装置2とキャリアシステム6とは、例えば、TCP/IPプロトコルに準拠した通信を行う。
【0027】
(通信ユニット)
図2に示すように、通信ユニット21は、複数の入出力ポートPoを備える。複数の入出力ポートPoは、複数の予約ポート(図示省略)と、管理サーバー3と接続するための第1ポートPnと、通信制御部26の制御を受けて車載機器が有する機能のうち有効化の対象となる機能(以下、「有効化対象機能」という)ごとに互いに異なる送信元ポート番号が割り当てられた専用の送信元ポート(以下、専用ポートPsという)とを含む。
【0028】
そして、キャリアシステム6がデータを受信した際に、車載通信装置2の当該データの送信元の入出力ポートPoを確認する。その後、管理サーバー3は、キャリアシステム6から管理サーバー3に当該データが出ていく場合には、キャリアシステム6のソースポートPe(以下、単にポートPeという)で通信状態を判断する。
【0029】
なお、専用ポートPsの具体的な割り当て方法、車載通信装置2、キャリアシステム6及び管理サーバー3の相互間の通信については後ほど説明する。また、予約ポートは、従来から知られている構成であり、ここでは詳細説明を省略する。
【0030】
本実施形態では、専用ポートPsは、専用ポートPs1~Psx(xは正の整数)を含み、それぞれの専用ポートPs1~Psxは、対応するキャリアシステム6の宛先ポートPc1~Pcxに接続される。また、第1ポートPnは、宛先ポートPc0に接続される。キャリアシステム6において、各宛先ポートPc0~Pcxは、それぞれ、ネットワーク62を介して対応する接続先(例えば、管理サーバー3やサービス提供者8)に接続される。
【0031】
(入力部)
入力部22は、乗員からの操作入力や音声入力を受け付ける機能を有する。入力部22が受け付ける入力の形態は特に限定されない。具体的な図示は省略するが、入力部22として、例えば、操作入力を受け付けるための操作スイッチやタッチパネル、音声入力を受け付けるためのマイクロフォン等が例示される。また、入力部22として、車内カメラ(図示省略)を設け、乗員のジェスチャーや乗員の状態等(以下、まとめて「乗員の動き」という)をモニタし、その乗員の動きを入力として受け付けるようになっていてもよい。
【0032】
(表示部)
表示部23は、サービス提供者8から提供されるサービスや、入力部22への操作状態等を表示する機能を有する。表示部23の形態は、特に限定されない。具体的な図示は省略するが、表示部23として、例えば、カーナビゲーション装置の表示画面、ヘッドアップディスプレイ、タブレット装置の表示画面等が例示される。表示部23が、接触型又は非接触型のタッチパネルで構成され、入力部22と兼用されてもよい。
【0033】
(制御ユニット)
制御ユニット25は、車載通信装置2の車外ネットワーク(例えば、キャリアシステム6)との通信を制御する通信制御部26と、車載機器51から提供される機能を制御する機能制御部27とを備える。
【0034】
制御ユニット25は、1つ又は複数のチップで構成されたマイクロプロセッサであって、CPUやメモリ等を有している。メモリには、マイクロプロセッサによって実行可能なソフトウェアであるモジュールが格納されている。制御ユニット25の各部の機能は、マイクロプロセッサが、メモリに格納された各モジュールを実行することによって、実現される。制御ユニット25のそれぞれの機能について、1つのモジュールで1つの機能が実現できるように構成されてもよいし、複数のモジュールが協働または連携することで1つの機能が実現できるように構成されてもよい。なおマイクロプロセッサおよびメモリ29は、それぞれ、複数個あってもかまわない。
【0035】
(記憶部(メモリ))
メモリ29には、上記のマイクロプロセッサを動作させるためのモジュールに加えて、車載機器51の有効化対象機能と、各有効化対象機能に割り当てられた専用ポートPsとの対応関係を示す対応テーブル291が記憶されている。
図4には、対応テーブル291の一例を示す。
図4に示す対応テーブル291の詳細については、後ほど説明する。メモリ29は、記憶部の一例である。
【0036】
メモリ29は、例えば、制御ユニット25のチップに内蔵されたRAM(Random Access Memory)で実現されてもよいし、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)のような外部記憶装置等により実現されてもよい。
【0037】
(通信制御部)
通信制御部26は、対応テーブル291を参照して有効化対象機能ごとに互いに異なる専用ポートを割り当てるとともに、それぞれの専用ポートPsを介して割り当てられた有効化対象機能についての情報通信が行われるように制御する。
【0038】
通信制御部26は、車外から新たな有効化対象機能を特定するための識別フラグ情報361が受信された場合に、有効化対象機能に対して、メモリ29に記憶されている他の有効化対象機能とは互いに異なる専用ポートPsを割り当てる。そして、通信制御部26は、有効化対象機能と割り当てられた専用ポートPsとの対応関係を対応テーブル291に登録する。これにより、それぞれの専用ポートPsを介して割り当てられた有効化対象機能についての情報通信ができるようになる。識別フラグ情報361については、後ほど「通信管理システムの動作」において説明する。
【0039】
(機能制御部)
機能制御部27は、車載機器51から提供される機能(以下、「車載機能」という)を制御する。具体的に、機能制御部27は、例えば、入力部22を介して車載機能の有効化のリクエスト入力が受け付けられた場合に、その車載機能が有効かどうかを対応テーブル291を参照して確認する。そして、乗員からリクエストされた車載機能が有効な場合、機能制御部27は、その車載機能を有効化し、乗員に対して入力に応じたサービスが提供されるように制御する。なお、例えば、車載機能自体が有効になってない場合、表示部23には、対象となる車載機能のMENUが表示されないようになっている。また、例えば、車載機能の有効化の条件として、イグニッションがオンされて、ECU(図示省略)がウェークアップされた後に、管理サーバー3のフラグ管理部32から最新の設定値を取得し、フラグがONになっていれば有効化するようにしてもよい。具体的な動作については、後ほど「通信管理システムの動作」において説明する。
【0040】
-管理サーバー-
管理サーバー3は、車両5とは別の場所に設けられ、複数の車両5に対して、それぞれの車両に搭載された車載通信装置2を管理する機能を有する。管理サーバー3は制御ユニット31と記憶部36とを備える。
【0041】
(制御ユニット)
制御ユニット31は、各車両5の対応テーブル361を含むフラグ情報を管理するフラグ管理部32と、管理サーバーがサービス提供者8として車両5にサービスを提供する場合に提供するコンテンツを処理するコンテンツ処理部33とを備える。すなわち、管理サーバー3が管理サーバー3としての動作に加えて、サービス提供者8として動作するようにしてもよい。例えば、車載通信装置2が搭載された車両5を提供する車両メーカーが管理サーバー3についても管理や運営に携わっている場合に、車両メーカーが車両5のユーザー(例えば、乗員)に対して種々のコンテンツやサービスを提供するような場合が該当する。
【0042】
制御ユニット31は、1つ又は複数のチップで構成されたマイクロプロセッサであって、CPUやメモリ等を有している。メモリには、マイクロプロセッサによって実行可能なソフトウェアであるモジュールが格納されている。後述する制御ユニット31の各部の機能は、マイクロプロセッサが、メモリに格納された各モジュールを実行することによって、実現される。制御ユニット25のそれぞれの機能について、1つのモジュールで1つの機能が実現できるように構成されてもよいし、複数のモジュールが協働または連携することで1つの機能が実現できるように構成されてもよい。なおマイクロプロセッサおよびメモリは、それぞれ、複数個あってもかまわない。
【0043】
(記憶部)
記憶部36には、管理する車両5のそれぞれについての識別フラグ情報361と、管理サーバーがサービス提供者8として車両5にサービスを提供する場合に提供するコンテンツ情報362が格納されている。識別フラグ情報361は、サービス提供者8からの登録申請を受け付けた場合などに都度更新される。記憶部36は、例えば、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)のような記憶装置等により実現される。
【0044】
管理サーバー3では、それぞれの車両5からの要求に応じて、その車両5固有の最新の識別フラグ情報361を記憶部36から取り出して提供するようになっている。
【0045】
-通信管理システムの動作例1-
図3(3A、3B)は、通信管理システムの動作の一例を示すフロー図である。
【0046】
図3Aは、管理サーバー3が、サービス提供者8からポートの登録を受け付けるポート登録ステップの動作を示している。ここでは、サービス提供者8によるポート登録の一例として、サービス提供者8Aが音声検索サービスのための専用ポートPs1と、ストリーミングサービスのための専用ポートPs2を登録し、サービス提供者8Bがインターネットラジオのための専用ポートPs3及び周辺情報の提供のための専用ポートPs4を登録する例について示す。
【0047】
なお、
図4では、ポート登録ステップ処理後の対応テーブル291の一例を示している。以下の説明において、
図3Aの開始時点では、
図4の対応テーブル291には、専用ポートPs1~Psxの情報が登録されていないものとする。また、空いている専用ポートPsのことを「空きポート」という。
【0048】
まず、ステップS41において、サービス提供者8Aは、管理サーバー3に対して利用可能なポートの情報を問い合わせる。
【0049】
管理サーバー3では、サービス提供者8Aからの問い合わせを受信すると、記憶部36の識別フラグ情報361を参照し、問い合わせを受けた車両5(以下、「対象車両5」という)の空きポートを示す情報(以下、「空きポート情報」という)をサービス提供者8Aに提供する(ステップS31)。前述のとおり、この時点では、専用ポートPs1~Psxには、専用ポートPsの情報が登録されていない。そこで、管理サーバー3は、対象車両5の空きポート情報として、専用ポートPs1~Psxが空きポートであることをサービス提供者8Aに通知する。
【0050】
サービス提供者8Aは、管理サーバー3から対象車両5の空きポート情報を受信すると、任意の空きポートに対して提供するサービスの登録を申請する(ステップS42)。ここでは、サービス提供者8Aは、専用ポートPs1に「音声検索サービス」を登録し、専用ポートPs2に「ストリーミングサービス」を登録することを申請する。
【0051】
管理サーバー3は、サービス提供者8Aから専用ポートPs1,Ps2の登録申請を受信すると、対象車両5の識別フラグ情報361にサービス提供者8Aから申請された専用ポートPs1,Ps2についての情報を登録する(ステップS32)。対応テーブル291への登録内容は、特に限定されないが、登録されたサービスを特定するための識別情報、換言すると、車載機器が有する機能のうち新たに有効化させる有効化対象機能を特定するための識別情報である。例えば、対応テーブル291への登録内容は、管理サーバー3の識別フラグ情報361と同じ情報である。
【0052】
識別フラグ情報361は、例えば、事業者名やブランド名のようにサービス提供者8を特定したり、サービス名のようにサービス提供者8が提供するサービス自体を特定できるようなサービス識別情報と、それぞれのサービス識別情報ごとに割り当てられる送信元ポート(専用ポートPs)を示す割り当て情報とが対応付けられた情報である。
図4では、識別フラグ情報361として、サービス提供者8及び提供されるサービス名と専用ポートPsとを対応づけして登録している例を示している。例えば、サービス提供者8ごとに専用ポートPsを設定する場合、識別フラグ情報361としてサービス名の登録はなくてもよい。同様に、サービス提供者8によらずに、提供されるサービスごとに専用ポートPsを設定する場合、識別フラグ情報361としてサービス提供者8の登録はなくてもよい。また、
図4では、対応テーブル291において、それぞれの専用ポートPsでのデータ通信についての請求先情報が紐づけされている。なお、
図4に示すように、車種やグレードごとに異なる請求先が設定されていてもよい。
【0053】
図3Aに戻り、次のステップS33において、管理サーバー3は、サービス提供者8Aの音声検索サービスに関するデータ通信が専用ポートPs1を介して行われ、ストリーミングサービスに関するデータ通信が専用ポートPs2を介して行われることをキャリアシステム6に通知する。
【0054】
キャリアシステム6は、管理サーバー3からの通知を受信すると、記憶部68のデータベース681に、管理サーバー3から受信した情報を登録する(ステップS21)。これにより、管理サーバー3の識別フラグ情報361と同じ情報がキャリアシステム6と共有される。さらに、キャリアシステム6では、受信した専用ポートPsの割り当て情報(対応テーブル291の情報)に基づいて、ネットワーク62において専用ポートPs1とサービス提供者8A用のポートPe1とが接続され、専用ポートPs2とサービス提供者8A用のポートPe2とが接続されるようにする。
【0055】
同様にして、ステップS51において、サービス提供者8Bは、管理サーバー3に対して対象車両5において利用可能なポートの情報を問い合わせる。
【0056】
管理サーバー3では、サービス提供者8Bからの問い合わせを受信すると、記憶部36の識別フラグ情報361を参照し、空きポート情報をサービス提供者8Bに提供する(ステップS34)。対象車両5の識別フラグ情報361において、サービス提供者8Aのサービスが専用ポートPs1,Ps2に登録されているので、管理サーバー3は、対象車両5の空きポート情報として、専用ポートPs3~Psxが空きポートであることをサービス提供者8Bに通知する。
【0057】
サービス提供者8Bは、管理サーバー3から対象車両5の空きポート情報を受信すると、任意の空きポートに対して提供するサービスの登録を申請する(ステップS52)。ここでは、サービス提供者8Bは、専用ポートPs3にインターネットラジオを登録し、専用ポートPs4に周辺情報の提供サービスを登録することを申請する。
【0058】
管理サーバー3は、サービス提供者8Bから専用ポートPs3,Ps4の登録申請を受信すると、記憶部36に格納された対象車両5の識別フラグ情報361に専用ポートPs3,Ps4の情報を登録する(ステップS35)。
【0059】
次のステップS36において、管理サーバー3は、サービス提供者8Bのインターネットラジオに関するデータ通信が専用ポートPs3を介して行われ、サービス提供者8Bの周辺情報の提供サービスに関するデータ通信が専用ポートPs4を介して行われることをキャリアシステム6に通知する。
【0060】
キャリアシステム6は、管理サーバー3からの通知を受信すると、メモリ68のデータベース681に、管理サーバー3から受信した情報を登録する(ステップS22)。これにより、対象車両5について管理サーバー3の識別フラグ情報361と同じ情報がキャリアシステム6に共有される。さらに、受信した専用ポートPsの割り当て情報(識別フラグ情報361)に基づいて、ネットワーク62において専用ポートPs3とサービス提供者8B用のポートPe3とが接続され、専用ポートPs4とサービス提供者8A用のポートPe4とが接続されるようにする。
【0061】
なお、上記のポート登録ステップの処理が、車両の製造時や出荷前のように車両がユーザーに引き渡される前にあらかじめ車両のメーカー等によって実施されてもよい。また、同処理が、車両販売後においてサービス提供者8以外の整備業者等によって設定されてもよい(例えば、
図4の専用ポートPs6参照)。
【0062】
以下では、
図3Bを用いて、車両5のイグニッションスイッチがオンされた後の通信管理システム1の動作について説明する。
【0063】
図3Bの通信管理システム1の動作では、管理サーバー3がフラグ送信ステップを実行した後に、車載通信装置2がポート割当ステップ及びデータ通信ステップを実行する処理を行う例を示している。
【0064】
フラグ送信ステップでは、管理サーバー3が、対象車両5の車載機器51の有効化対象機能を特定するための識別フラグ情報を対象車両5の車載通信装置2に送信する。ポート割当ステップでは、車載通信装置2が、識別フラグ情報を受信した場合に、有効化対象機能ごとに互いに異なる専用ポートPsを割り当てる。データ通信ステップでは、車載通信装置2が、ポート割当ステップで割り当てられた専用ポートPsを介して、その専用ポートPsに割り当てられた有効化対象機能のデータの入出力を実行する。
【0065】
これにより、キャリアシステム6において、有効化対象機能ごとに情報量の積算ができるようになる。
【0066】
以下において、
図3Bを参照しつつ具体的に説明する。
【0067】
ステップS11において、対象車両5のイグニッションスイッチ(図示省略)がオンされると、ステップS12において、対象車両5の車載通信装置2は、管理サーバー3に対し、最新の有効化対象機能を特定するための識別フラグ情報361を要求する。
【0068】
管理サーバー3では、対象車両5の車載通信装置2から識別フラグ情報361の要求を受信すると、記憶部36を参照し、対象車両5の車載通信装置2に最新の識別フラグ情報361を送信する(ステップS37)。
【0069】
車載通信装置2では、管理サーバー3から識別フラグ情報361を受信すると、その識別フラグ情報361に基づいて、有効化対象機能の有効化処理を実行する(ステップS13)。具体的に、車載通信装置2は、識別フラグ情報361に基づいて、有効化対象機能ごとに互いに異なる専用ポートPsを割り当てる。識別フラグ情報361には、それぞれのサービス識別情報の専用ポートPsの割り当て情報が含まれているので、車載通信装置2は、識別フラグ情報361に示された専用ポートPsにそれぞれの有効化対象機能を割り当てる。有効化対象機能の有効化には、例えば、乗員からの使用リクエストがあった場合に、乗員が有効化対象機能を使用できるようにすることが含まれる。
【0070】
例えば、識別フラグ情報361として、
図4に示されるテーブルのサービス提供者8A,8Bの情報が受信された場合、通信制御部26は、サービス提供者8Aが提供する音声検索サービスやストリーミングサービスのアプリケーションを有効化する。さらに、通信制御部26は、音声検索サービスにかかわるデータ通信が専用ポートPs1を介して行われるように設定し、ストリーミングサービスに関するデータ通信が専用ポートPs2を介して行われるように設定する。同様に、通信制御部26は、サービス提供者8Bが提供するインターネットラジオや周辺情報の提供サービスのアプリケーションを有効化する。さらに、通信制御部26は、インターネットラジオにかかわるデータ通信が専用ポートPs3を介して行われるように設定し、周辺情報の提供サービスに関するデータ通信が専用ポートPs4を介して行われるように設定する。
【0071】
その後のステップS14において、例えば、サービス提供者8Aの音声検索サービスを使用するための操作が受け付けられると、音声検索サービスのアプリケーションが起動される。車載通信装置2では、専用ポートPs1を介してサービス提供者8Aとのデータ通信が開始される。具体的には、車載通信装置2からサービス提供者8Aに音声検索についてのリクエストが送られ(ステップS15)、サービス提供者8Aから車載通信装置2に検索結果のレスポンスが返信される(ステップS45)。
【0072】
キャリアシステム6の演算ユニット63では、車載通信装置2からサービス提供者8Aへのリクエストにかかわるデータ通信量と、サービス提供者8Aから車載通信装置2へのレスポンスにかかわるデータ通信量とが積算され、専用ポートPs1の使用分、すなわち、音声検索サービスで使用されたデータ通信量B1として記憶部68に記録される(ステップS25)。
【0073】
また、例えば、ステップS16において、サービス提供者8Bのインターネットラジオの使用要求が受け付けられると、インターネットラジオのアプリケーションが起動される。車載通信装置2は、専用ポートPs3を介してサービス提供者8Bとのデータ通信が開始される。具体的には、車載通信装置2からサービス提供者8Bに乗員によって選局されたラジオチャンネルについてのリクエストが送られ(ステップS17)、サービス提供者8Bから車載通信装置2にインターネットラジオの音声ストリームデータのレスポンスが返信される(ステップS57)。キャリアシステム6の演算ユニット63では、車載通信装置2からサービス提供者8Bへのリクエストにかかわるデータ通信量と、サービス提供者8Bから車載通信装置2へのレスポンスにかかわるデータ通信量とが積算され、専用ポートPs3の使用分、すなわち、インターネットラジオで使用されたデータ通信量B3として記録される(ステップS27)。
【0074】
そして、キャリアシステム6の演算ユニット63では、所定の期間ごと(例えば、月ごと)に、専用ポートPsごとにデータ通信量(リクエストデータ及びレスポンスデータ)が積算され、その積算結果に基づいた請求処理が実行される。そして、キャリア事業者は、管理サーバー3から受信した識別フラグ情報に紐づけて送信された請求先情報に基づいた請求先に、その所定期間に関するデータ通信量に応じた金額を請求する(ステップS28)。
【0075】
図5では、各専用ポートPs1~Ps6のデータ通信量と、そのデータ通信に係る費用の請求先との対応関係の一例を示している。
図5では、車両が
図4に示す車種Aである場合に適用される費用に基づいて請求される例を示している。
【0076】
-通信管理システムの動作例2-
図6は、通信管理システムの他の動作例を示すフロー図である。
【0077】
図6の通信管理システム1では、車両5が所定の領域に進入した際に、サービス提供者8Cから主体的にサービスの利用案内をして、車両5の乗客が提案されたサービスを利用する場合における通信管理システムの動作例を示す。
【0078】
より詳しくは、
図6では、車両5が店舗のドライブスルーサービスを利用する際に、決済アプリケーションサービスの利用案内を受け、乗員がそのサービスを利用する例について説明する。
【0079】
なお、本動作例においても、前述の「通信管理システムの動作例1」と同様に、管理サーバー3がフラグ送信ステップを実行した後に、車載通信装置2がポート割当ステップ及びデータ通信ステップを実行する処理を行う。
【0080】
以下において、
図6を参照しつつ具体的に説明する。なお、説明の便宜上、乗員は、サービス提供者8Cから任意のデータが受信されることを了承しているものとする。また、
図6の開始時点において、
図4の対応テーブル291には、専用ポートPs1~Ps4,Ps6がすでに登録されている状態とする。
【0081】
ステップS61において、車両5がサービス提供者8Cが提供するドライブスルーのサービスエリアに進入する。サービス提供者8Cは、車両5の進入が検知されると、管理サーバー3に対して車両5において利用可能なポートの情報を問い合わせる(ステップS91)。
【0082】
管理サーバー3では、サービス提供者8Aからの問い合わせを受信すると、記憶部36の識別フラグ情報361を参照し、対象車両5の空きポート情報をサービス提供者8Cに提供する(ステップS81)。対象車両5の識別フラグ情報361において、専用ポートPs1~Ps4,Ps6がすでに登録されているので、管理サーバー3は、対象車両5の空きポート情報として、専用ポートPs5,Ps7~Psxが空きポートであることをサービス提供者8Bに通知する。
【0083】
サービス提供者8Cは、管理サーバー3から対象車両5の空きポート情報を受信すると、任意の空きポートに対して提供するサービスの登録を申請する(ステップS92)。ここでは、サービス提供者8Cは、専用ポートPs5にショップ専用の決済アプリケーションを登録することを申請したとする。
【0084】
管理サーバー3は、サービス提供者8Cから専用ポートPs5の登録申請を受信すると、記憶部36に格納された対象車両5の識別フラグ情報361に専用ポートPs5の情報を登録する(ステップS82)。
【0085】
次のステップS83において、管理サーバー3は、サービス提供者8Cの決済アプリケーションに関するデータ通信が専用ポートPs5を介して行われることをキャリアシステム6に通知する。
【0086】
キャリアシステム6は、管理サーバー3からの通知を受信すると、メモリ68のデータベース681に、管理サーバー3から受信した情報を登録する(ステップS71)。さらに、受信した専用ポートPsの割り当て情報(識別フラグ情報361)に基づいて、ネットワーク62において専用ポートPs5(図示省略)とサービス提供者8C用のポートPe5(図示省略)とが接続されるようにする。さらに、キャリアシステム6は、対象車両5の車載通信装置2に最新の識別フラグ情報361を送信する(ステップS72)。
【0087】
車載通信装置2では、管理サーバー3から識別フラグ情報361を受信すると、その識別フラグ情報に基づいて、有効化対象機能の有効化処理を実行する(ステップS62)。具体的に、車載通信装置2は、識別フラグ情報361に基づいて、サービス提供者8Cの決済アプリケーションに関するデータ通信が専用ポートPs5を介して行われるように設定する。この設定が終了すると、サービス提供者8Cから対象車両5の車載通信装置2への通信が可能になる。
【0088】
そこで、サービス提供者8Cは、対象車両5に決済アプリケーションの案内情報を送信する(ステップS94)。対象車両5の車載通信装置2では、決済アプリケーションの案内情報を受信すると、決済アプリケーションの案内画面を表示部23に表示させる(ステップS63)。
【0089】
入力部22を介して乗員から決済アプリケーションのダウンロード要求操作がされると、車載通信装置2は、サービス提供者8Cに決済アプリケーションのダウンロードについてのリクエストが送られ(ステップS64)、サービス提供者8Aから車載通信装置2に検索結果のレスポンスが返信される(ステップS95)。
【0090】
対象車両5では、決済アプリケーションがダウンロードされると決済アプリケーションがインストールされ(ステップS65)、対象車両5とサービス提供者8Cとの間で決済処理が実行される(ステップS66,S96)。
【0091】
ここで、ステップS94の対象車両5に決済アプリケーションの案内情報の送信からステップS66,S96の決済処理の実行までの間における決済アプリケーションに関するデータ通信は、専用ポートPs5を介して行われる。
【0092】
キャリアシステム6の演算ユニット63では、専用ポートPs5を介して行われた決済アプリケーションに関するデータ通信量が積算され、専用ポートPs5の使用分、すなわち、決済アプリケーションで使用されたデータ通信量B5として記憶部68に記録される(ステップS73)。その後、前述の
図3BのステップS26と同様に、キャリア事業者からサービス提供者8Cに、専用ポートPs5のデータ通信量に応じた請求額が請求される(ステップS73)。
【0093】
以上のように、本実施形態に係る通信管理システム1は、車両5に搭載された車載通信装置2と車外に設けられ車載通信装置2を管理する管理サーバー3とを用いて、車載通信装置2と通信事業者のキャリアシステム6との通信を管理する。具体的には、管理サーバー3が、車両5に搭載された複数の機能のうち有効化させる有効化対象機能を特定するための識別フラグ情報361を車載通信装置2に送信する。車載通信装置2では、管理サーバー3から識別フラグ情報361を受信した場合に、識別フラグ情報361に基づいて有効化対象機能ごとに互いに異なる専用ポートPsを割り当てる。また、車載通信装置2は、キャリアシステム6において有効化対象機能ごとにデータ通信量の積算ができるように、有効化対象機能ごとに割り当てられた専用ポートPsを介して、それぞれの専用ポートPsに割り当てられた有効化対象機能の通信データが入出力されるようにする。
【0094】
このように、車両に搭載された機能ごとに専用ポートPsが設定される、すなわち、機能ごとに送信元のポートが固定され、キャリアシステム6では、送信元ポートに基づいて通信費用の請求先を振り分けることができる。これにより、サービス提供者8に通信データに所定のデータ単位ごとに識別子を付与させたり、キャリアシステム6において通信されるデータから識別子を読み取り、データごとに分類するといったような、煩雑な処理を要せずに、機能ごとに通信費用の請求先を振り分けることができる。また、送信元ポート自体を分けているので、通信時刻が重複するようなデータ通信を行うような場合においても、それぞれの機能やサービスについてのデータ通信量を明確に分けることができる。
【0095】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係る通信管理システムの構成例を示す図である。
図7において、
図2と共通の構成については、同じ符号を付しており、以下では、
図2との相違点を中心に説明する。
【0096】
-通信管理システム-
図7において、車載通信装置2の構成は
図2と同じであり、管理サーバー3の構成が
図2と異なっている。
【0097】
管理サーバー3は、
図2と同様に、制御ユニット31と、記憶部36とを備える。
【0098】
制御ユニット31は、
図2で説明したフラグ管理部32に加えて、契約管理部37を備える。契約管理部37は、乗員とサービス提供者8との間の契約状態を管理したり、乗員とサービス提供者8との間の契約種別(例えば、サービスプラン)を管理したりする。
【0099】
記憶部36は、
図2の記憶部36と同様に構成される。
図7では、識別フラグ情報361に加えて、乗員とサービス提供者8との間の契約内容を含む契約情報363が格納されている。
【0100】
-通信管理システムの動作例3-
図8Aは、第2実施形態の通信管理システム1の動作例を示すフロー図である。
【0101】
図8Aの動作例では、前述の第1実施形態での動作例に加えて、管理サーバー3が、車両5とサービス提供者8との間で交わされた有効化対象機能の契約情報363を受信した場合に、その契約情報363及び有効化対象機能を特定するための識別フラグ情報361を管理テーブルに登録する登録ステップをさらに備える。そして、前述のフラグ送信ステップでは、管理サーバー3が、前述の登録ステップで登録された識別フラグ情報361を送信する。その後のポート割当ステップ及びデータ通信ステップの動作は、実施形態1と同様である。
【0102】
以下において、
図8Aを参照しつつ具体的に説明する。ここでは、サービス提供者8と契約した車両5を「対象車両5」という。
【0103】
まず、ステップT11,T51では、対象車両5の車載通信装置2とサービス提供者8のサーバー81との間で、車両用の特定のサービス(以下、「特定サービス」という)の契約処理が実行される。具体的には、入力部22への乗員による操作入力に基づいて、車載通信装置2とサーバー81との間で、サービス提供者8A用のIDとパスワードが設定され、そのIDとパスワードを使って車載通信装置2からサーバー81にログインして、契約手続きが実行される。特定サービスの契約処理に際して、車載通信装置2からサーバー81(サービス提供者8)に、契約情報363と車両5固有の識別情報(以下、固有識別情報という)が送信される。固有識別情報は、例えば、VIN(Vehicle Identification Number)が使用される。ここでは、対象車両5における契約対象の特定サービスが、サービス提供者8Aのストリーミングサービスであるとする。
【0104】
サービス提供者8は、特定サービスの契約締結が完了すると、上記の契約処理で締結された契約に関する契約情報363を管理サーバー3に送信する(ステップT52)。
【0105】
管理サーバー3は、契約情報を受信すると(ステップT41)、使用する専用ポートPsの登録処理を行う(ステップT42)。より詳しくは、管理サーバー3は、サービス提供者8から契約情報363を受信すると、記憶部36の識別フラグ情報361を参照し、対象車両5の空きポートに対して契約情報363に基づいて提供されるサービスの登録をする。
【0106】
管理サーバー3は、記憶部36の識別フラグ情報361を参照し、そのときの対象車両5の空きポート(例えば、専用ポートPs2)に「ストリーミングサービス」を登録する。
【0107】
次のステップT43において、管理サーバー3は、サービス提供者8Aのストリーミングサービスに関するデータ通信が専用ポートPs2を介して行われることをキャリアシステム6に通知する。
【0108】
キャリアシステム6は、管理サーバー3からの通知を受信すると、メモリ68のデータベース681に、管理サーバー3から受信した情報を登録する(ステップT31)。さらに、受信した専用ポートPsの割り当て情報(識別フラグ情報361)に基づいて、ネットワーク62において専用ポートPs2とサービス提供者8A用のポートPe2とが接続されるようにする。
【0109】
【0110】
具体的には、ステップT12において、対象車両5のイグニッションスイッチ(図示省略)がオンされると、ステップT13において、対象車両5の車載通信装置2は、管理サーバー3に対し、最新の有効化対象機能を特定するための識別フラグ情報361を要求する。
【0111】
管理サーバー3では、対象車両5の車載通信装置2から識別フラグ情報361の要求を受信すると、記憶部36を参照し、対象車両5の車載通信装置2に最新の識別フラグ情報361を送信する(ステップT44)。
【0112】
車載通信装置2では、管理サーバー3から識別フラグ情報361を受信すると、その識別フラグ情報361に基づいて、有効化対象機能の有効化処理を実行する(ステップT14)。具体的には、車載通信装置2は、識別フラグ情報361に示された専用ポートPsにそれぞれの有効化対象機能を割り当てる。例えば、通信制御部26は、識別フラグ情報361として、上記のストリーミングサービスの情報(
図4のテーブル参照)が受信された場合、サービス提供者8Aが提供するストリーミングサービスのアプリケーションを有効化する。さらに、通信制御部26は、ストリーミングサービスに関するデータ通信が専用ポートPs2を介して行われるように設定する。
【0113】
その後のステップT15において、例えば、サービス提供者8Aのストリーミングサービスを使用するための操作が受け付けられると、車載機器51において、ストリーミングサービスのアプリケーションが起動される。車載通信装置2では、専用ポートPs1を介してサービス提供者8Aとのデータ通信が開始される。具体的には、車載通信装置2からサービス提供者8Aに音声検索についてのリクエストが送られ(ステップT16)、サービス提供者8Aから車載通信装置2に検索結果のレスポンスが返信される(ステップT53)。
【0114】
キャリアシステム6の演算ユニット63では、車載通信装置2からサービス提供者8Aへのリクエストにかかわるデータ通信量と、サービス提供者8Aから車載通信装置2へのレスポンスにかかわるデータ通信量とが積算され、専用ポートPs2の使用分、すなわち、音声検索サービスで使用されたデータ通信量B2として記憶部68に記録される(ステップT32)。
【0115】
そして、キャリアシステム6の演算ユニット63では、所定の期間ごと(例えば、月ごと)に、専用ポートPsごとにデータ通信量(リクエストデータ及びレスポンスデータ)が積算され、その積算結果に基づいた請求処理が実行される。そして、キャリア事業者は、管理サーバー3から受信した識別フラグ情報に紐づけて送信された請求先情報に基づいた請求先に、その所定期間に関するデータ通信量に応じた金額を請求する(ステップT34)。
【0116】
このように、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、煩雑な処理を要せずに、機能ごとに通信費用の請求先を振り分けることができる。また、送信元ポート(専用ポートPs)自体を分けているので、通信時刻が重複するようなデータ通信を行うような場合においても、それぞれの機能やサービスについてのデータ通信量を明確に分けることができる。
【0117】
さらに、管理サーバー3において、サービス提供者8から受信した契約情報に基づいて専用ポートPsを設定するようにしたので、サービス提供者8は契約情報363を管理サーバー3に伝えるだけでよい。すなわち、サービス提供者8による登録手続きなどを依頼することなく、それぞれの機能やサービスについてのデータ通信量を明確に分けることができる。
【0118】
-通信管理システムの動作例4-
図8Bは、第2実施形態の通信管理システム1の他の動作例を示すフロー図である。
図8Bでは、
図8Aと共通の動作について同一の符号を付しており、ここでは相違点を中心に説明するものとする。
図8Bについても、
図8Aと同様に、対象車両5における契約対象の特定サービスが、サービス提供者8Aのストリーミングサービスであるとする。
【0119】
図8Bでは、特定サービスの契約処理が実行された後の動作が、
図8Aと異なっている。
【0120】
具体的に、
図8Bにおいて、サービス提供者8は、特定サービスの契約締結が完了すると、使用する専用ポートPsの登録処理を行う。この登録処理の動作は、前述の
図3Aにおけるポート登録ステップと同様である。
【0121】
まず、
図3AのステップS41と同様に、サービス提供者8Aは、管理サーバー3に対して利用可能なポートの情報を問い合わせる(ステップT55)。
【0122】
管理サーバー3では、
図3AのステップS31と同様に、サービス提供者8Aからの問い合わせを受信すると、記憶部36の識別フラグ情報361を参照し、対象車両5の空きポート情報をサービス提供者8に提供する(ステップT46)。
【0123】
サービス提供者8Aは、
図3AのステップS42と同様に、管理サーバー3から対象車両5の空きポート情報を受信すると、任意の空きポートに対して提供するサービスの登録を申請する(ステップT53)。ここで、サービス提供者8Aは、管理サーバー3に対して、前述の空きポートの利用申請に加えて、契約内容を示す契約情報363を提供する。ここでは、サービス提供者8Aから管理サーバー3に、専用ポートPs2をストリーミングサービスに割り当てる利用申請がされたものとする。
【0124】
管理サーバー3は、
図3AのステップS32と同様に、サービス提供者8から空きポートの利用申請及び契約情報363を受信すると、記憶部36に格納されている対象車両5の識別フラグ情報361に受信した空きポートの利用申請情報を登録する(ステップT42)。さらに、管理サーバー3は、受信した契約情報363を対象車両5と紐づけて記憶部36に登録する。
【0125】
また、次のステップT43において、
図3AのステップS33と同様に、管理サーバー3は、専用ポートPsの割り当てについて、キャリアシステム6に通知する。
【0126】
キャリアシステム6は、
図3AのステップS21と同様に、管理サーバー3からの通知を受信すると、メモリ68のデータベース681に、管理サーバー3から受信した情報を登録する(ステップT31)。これにより、管理サーバー3の識別フラグ情報361と同じ情報がキャリアシステム6と共有される。
【0127】
その後の処理は、
図8Aと同じであり、ここでは詳細説明を省略する。
【0128】
本動作例においても、第1実施形態と同様に、煩雑な処理を要せずに、機能ごとに通信費用の請求先を振り分けることができる。また、送信元ポート(専用ポートPs)自体を分けているので、通信時刻が重複するようなデータ通信を行うような場合においても、それぞれの機能やサービスについてのデータ通信量を明確に分けることができる。
【0129】
-通信管理システムの動作例5-
図8Cは、第2実施形態の通信管理システム1の他の動作例を示すフロー図である。
図8Cでは、
図8Aと共通の動作について同一の符号を付しており、ここでは相違点を中心に説明するものとする。
図8Bについても、
図8Aと同様に、対象車両5における契約対象の特定サービスが、サービス提供者8Aのストリーミングサービスであるとする。
【0130】
図8Cでは、乗員が所有する端末装置9を利用して、サービス提供者8Aのストリーミングサービスを契約し、携帯端末装置9から対象車両5に対して、サービスの利用要求がされたものとする。なお、
図8Cにおいて、乗員の端末装置9と車両とは、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等を用いて無線接続されているものとする。
【0131】
まず、ステップT21,T51では、端末装置9とサービス提供者8Aのサーバー81との間で、特定サービスの契約処理が実行される。ここでの契約処理は、
図8AのステップT11,T51における契約処理と同様の処理が行われる。
【0132】
サービス提供者8Aは、特定サービスの契約締結が完了すると、
図8Aの場合と同様に、上記の契約処理で締結された契約に関する契約情報363を管理サーバー3に送信する(ステップT52)。その後のステップT41~T43及びステップT31の処理は、
図8Aと同様であり、ネットワーク62において専用ポートPs2とサービス提供者8A用のポートPe2とが接続される。
【0133】
その後、ステップT12において、対象車両5のイグニッションスイッチ(図示省略)がオンされ、ステップST22で、乗員が車両内にある端末装置9を操作して契約済みの特定サービス(ここでは、サービス提供者8Aのストリーミングサービス)を車両5で使用することを要求したとする。すると、端末装置9は、車載通信装置2に特定サービスの利用リクエストを送信する。
【0134】
車載通信装置2では、端末装置9からの利用リクエストを受信すると、キャリアシステム6を介して管理サーバー3に利用リクエストを受けた特定サービスの契約状況の照会を行う(ステップT17)。ここでは、車載通信装置2は、管理サーバー3に対してサービス提供者8Aのストリーミングサービスの契約状況の照会を行う。
【0135】
管理サーバー3は、対象車両5からの問い合わせを受信すると、記憶部36を参照して上記特定サービスの契約状況を照会し(ステップT48)、対象車両5の車載通信装置2に最新の識別フラグ情報361を車載通信装置2に送信する(ステップT44)。ここでは、サービス提供者8Aのストリーミングサービスの契約がすでに交わされているので、管理サーバー3から対象車両5の車載通信装置2に、識別フラグ情報361として、サービス提供者8Aのストリーミングサービスに対して専用ポートPs2が割り当てられているとの情報が送信される。
【0136】
車載通信装置2では、
図3BのステップS13と同様に、管理サーバー3から識別フラグ情報361を受信すると、その識別フラグ情報に基づいて、有効化対象機能の有効化処理を実行する(ステップT14)。
【0137】
その後、車載通信装置2において、ストリーミングサービスの使用操作が受け付けられると、専用ポートPsを介してサービス提供者8とのデータ通信が開始される。ここでは、車載通信装置2からサービス提供者8Aにストリーミングサービスについてのリクエストが送られ(ステップT16)、サービス提供者8から車載通信装置2に検索結果のレスポンスが返信される(ステップT53)。
【0138】
キャリアシステム6の演算ユニット63では、車載通信装置2からサービス提供者8へのリクエストにかかわるデータ通信量と、サービス提供者8から車載通信装置2へのレスポンスにかかわるデータ通信量とが積算され、専用ポートPs2でストリーミングサービス用に使用されたデータ通信量B2として記憶部68に記録される(ステップT32)。
【0139】
そして、キャリアシステム6の演算ユニット63では、所定の期間ごと(例えば、月ごと)に、専用ポートPsごとにデータ通信量(リクエストデータ及びレスポンスデータ)が積算され、その積算結果に基づいた請求処理が実行される。そして、キャリア事業者は、管理サーバー3から受信した識別フラグ情報に紐づけて送信された請求先情報に基づいた請求先に、その所定期間に関するデータ通信量に応じた金額を請求する(ステップT34)。
【0140】
以上のように、本動作例においても、第1実施形態と同様に、サービス提供者8に通信データに所定のデータ単位ごとに識別子を付与させたり、キャリアシステム6において通信されるデータから識別子を読み取り、データごとに分類するといったような、煩雑な処理を要せずに、機能ごとに通信費用の請求先を振り分けることができる。また、送信元ポート自体を分けているので、通信時刻が重複するようなデータ通信を行うような場合においても、それぞれの機能やサービスについてのデータ通信量を明確に分けることができる。
【0141】
上記の第1及び第2実施形態では、サービス提供者によらずに、すなわち、同一のサービス提供者であっても、サービスの内容が異なる場合には、互いに異なる専用ポートPsを割り当てる例について説明したが、これに限定されない。
【0142】
例えば、上記実施形態と同様に、サービスの内容が互いに異なる場合には、サービス提供者によらずにサービス毎に互いに異なる専用ポートPsを割り当てつつ、車両5のグレードに応じてFQDNを互いに異ならせるようにしてもよい。また、サービス提供者ごとに互いに異なる専用ポートPsを割り当てて、サービス内容の違いについては、FQDNを互いに異ならせることで、通信業者において、データ通信量を分けて積算し、サービス内容ごとに請求処理ができるようにしてもよい。
<第3実施形態>
第3実施形態では、車両5のグレードに応じてFQDNを互いに異ならせる例について、
図9~
図11を参照しつつ説明する。
図9は、本実施形態に係る通信管理システムの構成例を示す図である。
図9において、
図7と共通の構成については、同じ符号を付しており、以下では、
図7との相違点を中心に説明する。以下の説明において、車両CAはハイグレードの車種Aであり、車両CBはローグレードの車種Bである。
【0143】
-通信管理システム-
図9において、車両CA及び車両CBにそれぞれ搭載されている車載通信装置2の構成は
図7と同じである。なお、本実施形態では、便宜上、車両Aの各専用ポートPsと車両Bの各専用ポートPsには、互いに同じサービスが割り振られているものとする。例えば、専用ポートPs1には、車両A及び車両Bともに、サービス提供者8Aの音声検索サービスが割り振られているものとする。なお、
図10では、車両CA及び車両CBについて、それぞれの第1ポートPnの図示を省略している。
【0144】
なお、車両CAの各専用ポートPsと車両CBの各専用ポートPsには、互いに異なるサービスが割り振られていてもよく、同様の効果が得られる。
【0145】
管理サーバー3は、制御ユニット31と、記憶部36と、動的サーバー38とを備える。制御ユニット31及び記憶部36は、
図7と同様であり、ここではその詳細説明を省略する。
【0146】
動的サーバー38は、いわゆる、リバースプロキシ(Reverse Proxy)のサーバーであって、例えば、管理サーバー3に動的に生成されるプロキシサーバである。動的サーバー38は、例えば、車種ごとに互いに異なるプロキシサーバーが設けられる。
図10では、ハイグレードの車種Aに対応して設けられた第1プロキシサーバー381(
図11ではFQ1と記載)と、ローグレードの車種Bに対応して設けられた第2プロキシサーバー382(
図11ではFQ2と記載)とを備える。なお、具体的なサーバーの構成としては、従来から知られているリバースプロキシサーバーを適用できるので、ここではその具体的な説明を省略する。
【0147】
車両CAの専用ポートPs1~Ps3は、キャリアシステム6の宛先ポートPc1~Pc3及びポートPe1~Pe3を介して第1プロキシサーバー381に接続される。車両CBの専用ポートPs1~Ps3は、キャリアシステム6の宛先ポートPc4~Pc6及びポートPe4~Pe6を介して第2プロキシサーバー382に接続される。第1プロキシサーバー381及び第2プロキシサーバー382は、それぞれサービス提供者8に接続される。
【0148】
すなわち、本実施形態では、管理サーバー3において、車両5とサービス提供者8との間に複数のリバースプロキシサーバーを設けている。そして、車載通信装置2とサービス提供者8との間のデータ通信は、識別フラグ情報361に基づいて割り当てられたリバースプロキシサーバーを介して実行される。
【0149】
記憶部36は、
図7の記憶部36と同様に構成される。
図7では、識別フラグ情報361に加えて、固有識別情報365が格納されている。固有識別情報365は、各車両のグレードを特定するための情報を含み、例えば、VINが使用される。
【0150】
-通信管理システムの動作例-
図11は、第3実施形態の通信管理システム1の動作例を示すフロー図である。ここでは、サービス提供者8と契約した車両5が2台あるものとし、それぞれを「対象車両CA、対象車両CB」という。また、
図11において、
図8Aと対応する動作について同一の符号を付しており、ここでは相違点を中心に説明するものとする。
【0151】
図11のステップT61では、対象車両CAとサービス提供者8の特定サービスが契約され、ステップT71では、対象車両CBとサービス提供者8の特定サービスが契約される。ここでは、対象車両CA,CBともに、サービス提供者8Aのストリーミングサービスが契約されたとする。
図11では、対象車両CA,CBは、契約時にそれぞれの固有識別情報365を送信する。
【0152】
サービス提供者8は、特定サービスの契約締結が完了すると、上記の契約処理で締結された契約に関する契約情報363及び対象車両CA,CBの固有識別情報365を紐づけて管理サーバー3に送信する(ステップT52)。ここでは、例えば、サービス提供者8Aは、対象車両CA,CBとのストリーミングサービスの契約情報363及び対象車両CA,CBのVINをそれぞれ紐づけて管理サーバー3に送信する。
【0153】
管理サーバー3は、契約情報及び固有識別情報365を受信すると(ステップT41)、使用する専用ポートPsの登録処理を行う(ステップT42)。より詳しくは、管理サーバー3は、サービス提供者8から契約情報363を受信すると、記憶部36の対象車両CA,CBのそれぞれについての識別フラグ情報361を参照し、空きポートに対して契約情報363に基づいて提供されるサービスを登録する。さらに、管理サーバー3は、対象車両CA,CBのそれぞれについて、記憶部36の識別フラグ情報361を参照し、そのときの対象車両5の空きポートに契約されたサービスを割り当てる。ここでは、
図11に示すように、対象車両CA,CBともに、サービス提供者8Aのストリーミングサービスが専用ポートPs2に割り当てられる。
【0154】
さらに、管理サーバー3は、対象車両CAに第1プロキシサーバー381のFQDNを割り当て、対象車両CBに第2プロキシサーバー382のFQDNを割り当てる。なお、第1プロキシサーバー381及び第2プロキシサーバー382はあらかじめ構成されていてもよいし、必要に応じて追加構成されるようにしてもよい。
【0155】
次のステップT43において、管理サーバー3は、サービス提供者8Aのストリーミングサービスに関する対象車両CAのデータ通信が対象車両CAの専用ポートPs2を介して行われることをキャリアシステム6に通知する。同様に、管理サーバー3は、サービス提供者8Aのストリーミングサービスに関する対象車両CBのデータ通信が対象車両CBの専用ポートPs2を介して行われることをキャリアシステム6に通知する。
【0156】
キャリアシステム6は、管理サーバー3からの通知を受信すると、メモリ68のデータベース681に、管理サーバー3から受信した情報を登録する(ステップT31)。さらに、キャリアシステム6は、受信した専用ポートPsの割り当て情報(識別フラグ情報361)に基づいて、ネットワーク62において対象車両CAの専用ポートPs2とサービス提供者8A用のポートPe2とが接続されるようにする。同様に、キャリアシステム6は、受信した専用ポートPsの割り当て情報(識別フラグ情報361)に基づいて、ネットワーク62において対象車両CBの専用ポートPs2とサービス提供者8A用のポートPe5とが接続されるようにする。
【0157】
これ以降の動作は、
図8Aの動作と同様である。具体的には、
図11において、対象車両CAについてのステップT62~T66の動作が
図8AのステップT12~T16の動作と実質的に同じである。また、対象車両CBについてのステップT72~T76の動作が
図8AのステップT12~T16の動作と実質的に同じである。
【0158】
そして、対象車両CAにおいて、サービス提供者8Aのストリーミングサービスを使用するための操作が受け付けられると、対象車両CAの専用ポートPs2を介してサービス提供者8Aとのデータ通信が開始される(ステップT66,T54)。キャリアシステム6の演算ユニット63では、対象車両CAからサービス提供者8Aへのリクエストにかかわるデータ通信量と、サービス提供者8Aから対象車両CAへのレスポンスにかかわるデータ通信量とが積算される。その積算結果は、対象車両CAにおいて、ストリーミングサービスで使用されたデータ通信量B21として記憶部68に記録される(ステップT32)。
【0159】
同様に、キャリアシステム6の演算ユニット63では、対象車両CBからサービス提供者8Aへのリクエストにかかわるデータ通信量と、サービス提供者8Aから対象車両CBへのレスポンスにかかわるデータ通信量とが積算される。その積算結果は、対象車両CBにおいてストリーミングサービスで使用されたデータ通信量B22として記憶部68に記録される(ステップT32)。
【0160】
そして、キャリアシステム6の演算ユニット63では、所定の期間ごと(例えば、月ごと)に、専用ポートPsごとにデータ通信量(リクエストデータ及びレスポンスデータ)が積算され、その積算結果に基づいた請求処理が実行される。そして、キャリア事業者は、管理サーバー3から受信した識別フラグ情報361に紐づけて送信された請求先情報に基づいた請求先に、その所定期間に関するデータ通信量に応じた金額を請求する(ステップT34)。例えば、キャリアシステム6の演算ユニット63が管理サーバー3から
図11の識別フラグ情報361を受信していた場合、対象車両CAについては、全額をサービス提供者8Aに請求し、対象車両CBについては、サービス提供者8Aと利用者のそれぞれに、50%ずつ請求する。
【0161】
以上のように、本実施形態においても、前述の第1及び第2実施形態と同様に、煩雑な処理を要せずに、機能ごとに通信費用の請求先を振り分けることができ、それぞれの機能やサービスについてのデータ通信量を明確に分けることができる。
【0162】
さらに、サービス提供者ごとにはポートで分けて、車両のグレードの違いをFQDNで分けるというように、階層構造にしているので、車両のグレードに応じて請求の形態が異なる場合においても、煩雑にならないようにすることができる。サービス提供者の数が増える場合や、サービスの数が増えた場合においても同様である。
【0163】
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。また、前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0164】
ここに開示された技術は、提供主体の異なる種々のサービスを、車載通信装置を介して車両に提供するシステムにおいて非常に有用である。
【符号の説明】
【0165】
2 車載通信装置
3 管理サーバー
5 車両
Ps 専用ポート(専用の送信元ポート)
29 メモリ
25 制御ユニット