(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】可燃物選別回収装置、可燃物選別回収方法、及び可燃物選別回収装置を備えた廃棄物処理設備
(51)【国際特許分類】
B09B 5/00 20060101AFI20240730BHJP
B01D 45/06 20060101ALI20240730BHJP
B07B 4/08 20060101ALI20240730BHJP
B09B 3/35 20220101ALI20240730BHJP
B02C 18/00 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
B09B5/00 M ZAB
B01D45/06
B07B4/08 Z
B09B3/35
B02C18/00
(21)【出願番号】P 2021046506
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 萌
(72)【発明者】
【氏名】阿部 盛一
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-023341(JP,A)
【文献】特開2005-288209(JP,A)
【文献】特開2000-129274(JP,A)
【文献】特開2000-354853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 5/00
B09B 3/35
B07B 4/08
B01D 45/06
B02C 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃物と不燃物が混在する廃棄物を破砕する破砕手段と、
前記破砕手段によって破砕された前記廃棄物から鉄類を選別し回収する鉄類選別回収手段と、
前記鉄類選別回収手段によって選別し回収された前記鉄類を除いた前記廃棄物を粒度毎に選別する粒度選別手段と、
前記粒度選別手段によって選別された前記廃棄物の中から前記可燃物を回収する可燃物回収手段と、
を備え
た可燃物選別回収装置
であって、
前記可燃物回収手段は、前記可燃物を真空で吸引する吸引ノズルであり、該吸引ノズルの先端が、前記粒度選別手段である回転篩式のトロンメルの回転篩内に設置されていることを特徴とする可燃物選別回収装置。
【請求項2】
前記粒度選別手段は、細かな不燃物を選別する第一の選別手段と、前記細かな不燃物より大きな非鉄金属類を含む可燃物に選別する第二の選別手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の可燃物選別回収装置。
【請求項3】
前記可燃物回収手段によって回収された前記可燃物を空気と可燃物に分離する分離手段を更に備えたことを特徴とする請求項1
又は2に記載の可燃物選別回収装置。
【請求項4】
前記分離手段は、回転式であることを特徴とする請求項
3に記載の可燃物選別回収装置。
【請求項5】
可燃物と不燃物が混在する廃棄物を破砕する破砕工程と、
前記破砕工程によって破砕された前記廃棄物から鉄類を選別し回収する鉄類選別回収工程と、
前記鉄類選別回収工程によって選別し回収された前記鉄類を除いた前記廃棄物を
、回転篩式のトロンメルを用いて粒度毎に選別する粒度選別工程と、
前記粒度選別工程によって選別された前記廃棄物の中から前記可燃物を
真空で吸引する吸引ノズルを用いて回収する可燃物回収工程と、
を備え
た可燃物選別回収方法
であって、
前記可燃物回収工程で用いる前記吸引ノズルの先端を、前記粒度選別工程で用いる前記トロンメルの前記回転篩内に設置したことを特徴とする可燃物選別回収方法。
【請求項6】
請求項1乃至
4のいずれかに記載の可燃物選別回収装置と、
前記可燃物選別回収装置により可燃物が回収された廃棄物の中から非鉄金属類を選別し回収する非鉄金属類選別回収手段と、を備えたことを特徴とする廃棄物処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃物選別回収装置、可燃物選別回収方法、及び可燃物選別回収装置を備えた廃棄物処理設備に係り、特に、可燃物と不燃物が混在する廃棄物から可燃物を選別し、効率よく回収することで非鉄金属類の回収率を上げることが可能な、可燃物選別回収装置、可燃物選別回収方法、及び可燃物選別回収装置を備えた廃棄物処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、主に、ビン類(清涼飲料水や栄養ドリンク、海苔の佃煮等)、陶磁器類(茶碗等)に加えて、稀にフライパン等が紛れ込んでいる不燃物や、上記ビン類や陶磁器類を入れるごみ袋(ビニール袋)でなる可燃物が含まれる様々な種類の廃棄物から、資源として再利用あるいは減容化することを目的として、選別設備により廃棄物を選別する装置が種々提案されている。
【0003】
廃棄物を選別する工程としては、袋詰めされた廃棄物を破砕する破砕工程、鉄類を磁力選別機(磁選機とも称する)で選別する磁選工程、磁選工程で選別された後の破砕廃棄物を回転篩(トロンメル)や振動スクリーン等の粒度選別機へ送り、篩い分けを行う篩い分け工程、風力によりプラスチックと重い可燃物を選別する風力選別工程などがあり、各々の目的に応じて工程毎に創意工夫を凝らしている。
【0004】
例えば、特許文献1には、混合系粗大ごみの破砕物を磁選機で磁性物と不純物とに選別し、前記磁性物と一部混入する不燃物を風力併用型振動フィーダに供給して該磁性物に巻き込まれた不純物中の軽量可燃物を捕集機により吸引回収し、前記軽量可燃物が取り除かれた磁性物を回転ドラム型二次磁選機により磁着回収し、不純物である比較的重い可燃物を隙間から回収するとともに、回転篩型選別機に供給して不燃物と可燃物とに篩い分け回収することで可燃物および磁性物の純度を上げることが可能な混合系粗大ごみ選別処理装置に関する技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、不燃物を選別する円筒状の篩本体内に、軽質プラスチック類を吹き飛ばす多数のノズルを備えた空気吹き込み管と、吹き飛ばされた軽質プラスチック類を捕集して篩本体外へ排出する排出用コンベアを備えることで、不燃物と、軽質プラスチック類と、その他のごみの三種類に選別することが可能な粒度・風力複合選別装置に関する技術が開示されている。
【0006】
特許文献3には、破砕したごみを乾燥させ、乾燥後のごみから鉄類及び非鉄金属類を夫々選別除去するとともに、篩い分け及び風力によりガラス粉を含む不燃物を選別除去し、後に残った可燃物を成形固化させることによって固形燃料を製造することが可能な固形燃料の製造方法に関する技術が開示されている。
【0007】
特許文献4には、磁力選別機により金属類が取り除かれた、建設廃棄物である混合不燃物から不燃物精選機で最初に砂・砕石を取り出し、高品質の砂・砕石をリサイクルできるようにした廃棄物選別処理設備に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平10-099783号公報
【文献】特開平10-216637号公報
【文献】特開2000-129274号公報
【文献】特開2003-275687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1~特許文献4をはじめとする従来技術の場合、非鉄金属類選別機に送られた廃棄物には、ごみ袋等の嵩張った可燃物がかなり含まれるため、その中から効率よく非鉄金属類を回収するために、非鉄金属類選別機を大型化する必要があった。また、非鉄金属類選別機は非鉄金属類に渦電流を発生させて、非鉄金属類の磁力と渦電流の反発によって非鉄金属類を選別する装置であるため、可燃物が多いと非鉄金属類と共に可燃物も同伴し、非鉄金属類の回収純度が低下してしまうという問題があった。
【0010】
なお、鉄類と非鉄金属類の回収純度を高めるために、各々磁選機や非鉄金属類選別機の後に、同伴可燃物を除去するジグザグ式風力選別機を設置する場合もある。しかしながら、回収純度を上げるために設置するジグザグ式風力選別機は、風の流れを均一にするために、より多くの風量が必要であり、消費電力が大きい。又、ごみが風力選別機内を通過する時に、ごみの抵抗により風速が変化するために、可燃物と不燃物の選別精度を下げることになる。そのため、補助的に押し込み送風機を設置して、ごみを吸引口の方に流す工夫もあるが、送風口から少しでも離れると、送風機による風の流れはほぼ無くなるので、効果が少ない。又、補助的な送風機には動力も必要となる等の問題点を有する。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、可燃物と不燃物が混在する廃棄物から可燃物を選別し効率よく回収することで、非鉄金属類の選別精度を上げることが可能な可燃物選別回収装置、可燃物選別回収方法、及び可燃物選別回収装置を備えた廃棄物処理設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、可燃物と不燃物が混在する廃棄物を破砕する破砕手段と、前記破砕手段によって破砕された前記廃棄物から鉄類を選別し回収する鉄類選別回収手段と、前記鉄類選別回収手段によって選別し回収された前記鉄類を除いた前記廃棄物を粒度毎に選別する粒度選別手段と、前記粒度選別手段によって選別された前記廃棄物の中から前記可燃物を回収する可燃物回収手段と、を備えた可燃物選別回収装置であって、前記可燃物回収手段は、前記可燃物を真空で吸引する吸引ノズルであり、該吸引ノズルの先端が、前記粒度選別手段である回転篩式のトロンメルの回転篩内に設置されていることを特徴とする可燃物選別回収装置により、前記課題を解決するものである。
【0013】
ここで、前記粒度選別手段は、細かな不燃物を選別する第一の選別手段と、前記細かな不燃物より大きな非鉄金属類を含む可燃物に選別する第二の選別手段と、を備えることができる。
【0015】
又、前記可燃物回収手段によって回収された前記可燃物を空気と可燃物に分離する分離手段を更に備えることができる。
【0016】
又、前記分離手段を、回転式とすることができる。
【0017】
本発明は、又、可燃物と不燃物が混在する廃棄物を破砕する破砕工程と、前記破砕工程によって破砕された前記廃棄物から鉄類を選別し回収する鉄類選別回収工程と、前記鉄類選別回収工程によって選別し回収された前記鉄類を除いた前記廃棄物を、回転篩式のトロンメルを用いて粒度毎に選別する粒度選別工程と、前記粒度選別工程によって選別された前記廃棄物の中から前記可燃物を真空で吸引する吸引ノズルを用いて回収する可燃物回収工程と、を備えた可燃物選別回収方法であって、前記可燃物回収工程で用いる前記吸引ノズルの先端を、前記粒度選別工程で用いる前記トロンメルの前記回転篩内に設置することにより、同様に前記課題を解決するものである。
【0018】
本発明は、又、前記可燃物選別回収装置と、前記可燃物選別回収装置により可燃物が回収された廃棄物の中から非鉄金属類を選別し回収する非鉄金属類選別回収手段と、を備えたことを特徴とする廃棄物処理設備により、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、先端をトロンメルの回転篩内に設置した吸引ノズルにより、非鉄金属類選別機に可燃物及び非鉄金属類を搬送する前にごみ袋などの大きな可燃物を効率よく回収することが可能になり、アルミニウム(以下、単にアルミとも称する)等の非鉄金属類の回収純度を上げることが可能になる。更に、風量を小さくして消費電力を低減すると共に、非鉄金属類選別機の小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本発明が採用された廃棄物処理設備の全体構成を示す図
【
図4】同じくトロンメル内の吸引ノズルの配置を示す断面図
【
図6】同じく(A)トロンメル内で吸い上げる場合と、(B)コンベアから吸い上げる場合の作用を比較して示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。また、以下に記載した実施形態における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0022】
本発明に係る可燃物選別回収装置の実施形態の要部構成を
図1に示す。
【0023】
収集したごみである廃棄物は、例えば二軸せん断方式の回転式破砕機で構成される破砕機(破砕手段)30によって、例えば100mm以下に破砕される。袋は完全に破砕されないことがあるが、破袋はできているので袋内のごみはばらける。
【0024】
破砕機30で破砕された廃棄物は、例えば不燃処理施設用の磁力選別機(磁力選別手段)40に送られ、ここで鉄類が選別され回収される。なお、鉄の回収純度を高めるために磁力選別機40の後に同伴可燃物を除去する、例えばジグザグ式の風力選別機42を設置する場合もある。
【0025】
磁力選別機40によって鉄類が除かれた廃棄物は、例えば回転篩式のトロンメルである粒度選別機(粒度選別手段)50に送られ、ここで、篩い分け用の細かい篩目52A(
図3参照)を有する円筒状の回転する1段目篩(ごみがガラス、陶磁器類の場合、例えば篩目サイズ20mmのスクリーン)(第1の選別手段、1段目スクリーンとも称する)52によりガラス片や砂などの細かい不燃物が選別され、次いで1段目篩52より粗い篩目54A(
図3参照)を有する円筒状の回転する2段目篩(例えば篩目サイズ55mmのスクリーン)(第2の選別手段、2段目スクリーンとも称する)54によって細かな不燃物よりも大きなごみが選別され、例えば20mm以上の紙やフィルム状プラスチックの可燃物は、非磁性物の非鉄金属類片とともに2段目スクリーン54上を搬送される。
【0026】
粒度選別機50によって選別された非鉄金属類を含む可燃物は、例えば粒度選別機50内の2段目スクリーン54に設置された吸引ノズル(可燃物回収手段)60により真空で吸引され、紙やフィルム状プラスチックなどが真空吸引される。この際、粒度選別機50で廃棄物を大きさによって分けることで、軽い砂などの不燃物が吸引ノズル60で吸引されるのを防ぐことができる。
【0027】
前記吸引ノズル60の出側には、吸引ノズル60によって回収された可燃物を空気と可燃物に分離する、例えば回転式の分離機62が設けられている。この分離機62により吸引ノズル60で吸引された可燃物は、詰まることなく回収される。
【0028】
前記吸引ノズル60によって吸引されなかった非鉄金属類を含む可燃物は、非鉄金属類選別機(アルミ選別機とも称する)80に送られ、必要に応じて風力選別機81を経て非鉄金属類が回収される。
【0029】
このようにして、非鉄金属類選別機80に搬送される可燃ごみが少なくなるので、非鉄金属類選別機80を小型化することができる。
【0030】
前記可燃物選別回収装置が採用された廃棄物処理設備の全体構成例を
図2に示す。
【0031】
ガラスや陶磁器類でなる不燃物が、トラック12で不燃物ヤード10に運ばれる。不燃物ヤード10に運ばれた不燃物は、例えばフォークリフト14で不燃物受入ホッパ16を介して不燃物供給コンベア18に投入される。図において、20は各所に配置された監視用テレビカメラ(ITV)、22は火災を防止するための散水ノズルである。
【0032】
前記不燃物供給コンベア18で搬送された不燃物は、例えば回転式の破砕機30に上部から投入される。破砕機30内で破砕された不燃物は、破砕機搬送コンベア32により不燃処理施設用の磁選機40に運ばれる。この磁選機40により選別された磁性物は、磁性物貯留コンテナ44に運ばれる。
【0033】
一方、磁選機40により磁性物が取り除かれた廃棄物は、トロンメル50に投入される。トロンメル50内の1段目スクリーン52により篩い分けされた砂などの細かい不燃物は、後出不燃物搬送コンベア92により不燃物貯留コンテナ94に運ばれる。
【0034】
一方、1段目スクリーン52を通過した廃棄物は2段目スクリーン54に送られる。この2段目スクリーン54の直上には、
図3に示すような吸引ノズル60が設けられており、この吸引ノズル60で吸引された紙やフィルム状プラスチックなどの軽くて大きなごみは吸引パイプ61を経て分離機62に送られ、ここで吸引用の空気と可燃物に分離され、可燃物が可燃物貯留コンテナ64に送られる。
図3において、56は、円筒状のスクリーン52、54をトロンメル50内で回転させるための駆動モータである。
【0035】
前記トロンメル50の1段目スクリーン52の篩目サイズは、例えば直径20mm、2段目スクリーン54の篩目サイズは、例えば直径55mmとされている。なお、トロンメル50のスクリーン52、54の篩目サイズは20mm、55mmに限定されず、ごみの種類に応じて変えることができる。
【0036】
前記トロンメル50内には、挿入された吸引ノズル60のトロンメル底面、即ち2段目スクリーン54の表面からの距離は、
図4に示す如く対象とする可燃物によってL1、L2のように変更可能とされている。
【0037】
又、前記吸引ノズル60の断面形状は、例えば
図5(A)に示すような円形、又は
図5(B)に示すような長方形又は正方形とすることが可能である。
【0038】
本実施形態においては、吸引ノズル60をトロンメル50内に設置して、トロンメル50の2段目スクリーン54から吸い上げるようにしているので、
図6(A)に示す如く、可燃物58を風の流れに乗せて容易に吸い上げることができる。吸引ノズル60の断面形状を直径200mmの円形とし、可燃物58までの距離Lを約200mm、吸引ノズル60での風速を20m/sとした場合、可燃物58の風速は約2m/sとなり、可燃物58をすべて回収できた。これに対して、
図6(B)に示す如く、例えば平坦なコンベア57から可燃物58を吸い上げる場合には、コンベア57の周りの風の流れによって、トロンメル50の2段目スクリーン54から吸い上げる場合ほど効率よく吸い上げることができない。
【0039】
前記吸引ノズル60によって吸引された紙やごみ袋は分離機62に送られ、ここで吸引空気と可燃物に分離される。
【0040】
前記分離機62は、
図7に詳細に示す如く、本体ケーシング62A内に挿入された円筒状のケージフィルタ62Bと、排出ロータ62Cと、駆動用モータ62Dを主に備えており、
図8に示す如く、フィルム状プラスチックや布類等の大きな排出物と、細かい粒子及び空気を含む排気を効率よく分離することができる。なお、分離機62には渦巻き状のサイクロンを利用する方式のものもあるが、吸引される可燃ごみは軽くて大きいため、サイクロン式分離機では内部で閉塞が起こる可能性がある。よって、回転式分離機が望ましい。
【0041】
前記トロンメル50の2段目スクリーン54で篩い分けられた非鉄金属類を含む廃棄物は、非鉄金属類(ここではアルミ)選別機80に送られて、アルミとそれ以外に分離される。アルミはアルミ搬送コンベア82を経て破砕アルミ貯留コンテナ84に送られ回収される。
【0042】
一方、アルミ選別機80によって回収されなかった不燃物は、不燃物搬送コンベア90に送られ、トロンメル50の1段目スクリーン52を通過した不燃物と共に不燃物搬送コンベア92で不燃物貯留コンテナ94に送られる。
【0043】
前記不燃物搬送コンベア90の直上には吸引ノズル91が配設されており、この吸引ノズル91で吸引された可燃物は、前記トロンメル50内の吸引ノズル60で吸引された可燃物と共に吸引パイプ61を経て前記分離機62に送られる。
【0044】
図において、100はバグフィルタ、102はバグフィルタ下コンベアである。
【0045】
トロンメル50内のごみは、
図6(A)に示した如く、ほぼ2段目スクリーン54の最下面を搬送されるため、吸引ノズル60で吸引すべき箇所を特定できる。又、2段目スクリーン54からの風の流れがごみ下面に発生するため、選別のための風量を少なくすることができる。従来は、例えば
図9に例示するような堅型のジグザグ式風力選別機で一辺200mmの正方形断面が必要であったのが、本実施形態では直径200mmの円形にして、風量を少なくすることができる。これにより、吸引風量を低減して、電力を約20%以上低減することができた。
【0046】
上記のようにして、吸引ノズル60で紙やフィルム状プラスチックの可燃物を吸引し回収することで、非鉄金属類選別機80に搬送される可燃ごみが少なくなるので、非鉄金属類選別機80を約半分に小型化することができ、電力を約50%低減できた。これに対して従来は、固形物は100mm以下に破砕できていたが、フィルム状の可燃物はすべてを100mm以下に破砕することができないので、大きな形状(約200mm)の可燃物に合わせた非鉄金属類選別機になっていた。
【0047】
本実施形態では、総合的に可燃物の回収率91.4%、非鉄金属類(アルミ)の回収純度79.3%を達成することができた。
【0048】
なお、廃棄物処理設備の構成は
図2に限定されず、破砕機30として二軸せん断方式の回転式の破砕機以外の破砕機を用いることができる。粒度選別機も回転篩を用いるトロンメル50に限定されず、例えば振動スクリーンを用いるものであってもよい。非鉄金属類選別機もアルミ選別機80に限定されない。
【符号の説明】
【0049】
10…不燃物ヤード
30…破砕機
40…磁力選別機
44…磁性物貯留コンテナ
50…トロンメル(粒度選別機)
52、54…サイズ分け用篩(スクリーン)
58…可燃物
60…吸引ノズル
62…分離機
64…可燃物貯留コンテナ
80…アルミ選別機(非鉄金属類選別機)
84…破砕アルミ貯留コンテナ
94…不燃物貯留コンテナ
100…バグフィルタ