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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】シートスライド装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/07 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
B60N2/07
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021053038
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150439
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 定夫
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】実公平05-029936(JP,Y2)
【文献】実公平05-046968(JP,Y2)
【文献】特開2017-024622(JP,A)
【文献】実開平02-113519(JP,U)
【文献】特開昭63-034252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - B60N 2/90
A47C 1/00 - A47C 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが設置されるフロアに対して前記シートが一方向にスライド可能となるように前記シートを支持可能であり、前記一方向と直交する方向に互いに間隔を置いて配置される第1スライドレール及び第2スライドレールと、
前記第1スライドレール及び前記第2スライドレールを駆動する駆動機構と、
前記駆動機構を支持する支持部材と、を備え、
前記第1スライドレールは、
前記フロアに固定される第1ロアレールと、
前記第1ロアレールに対して前記一方向に沿ってスライド可能であり、前記シートを支持可能な第1アッパーレールと、を有し、
前記第2スライドレールは、
前記フロアに固定される第2ロアレールと、
前記第2ロアレールに対して前記一方向に沿ってスライド可能であり、前記シートを支持可能な第2アッパーレールと、を有し、
前記駆動機構は、
前記第1アッパーレールに対して相対回転可能となるように前記第1アッパーレールに固定されており、前記第1ロアレールに対して前記一方向に前記第1アッパーレールを送るための第1送りねじと、
前記第2アッパーレールに対して相対回転可能となるように前記第2アッパーレールに固定されており、前記第2ロアレールに対して前記一方向に前記第2アッパーレールを送るための第2送りねじと、
前記第1送りねじを回転させることが可能な第1回転部材と、
前記第2送りねじを回転させることが可能な第2回転部材と、
前記第1回転部材を収容する第1ギアボックスと、
前記第2回転部材を収容する第2ギアボックスと、
前記第1スライドレールの側方に配置されたモータと、
前記モータの駆動力を前記第1回転部材及び前記第2回転部材に伝達する伝達部材と、を有し、
前記第1ロアレールには、上下方向に前記第1ギアボックスを挿通させる第1挿通孔が形成されており、
前記第2ロアレールには、上下方向に前記第2ギアボックスを挿通させる第2挿通孔が形成されており、
前記支持部材は、
前記第1ギアボックスを支持する第1支持体と、
前記第2ギアボックスを支持する第2支持体と、を有し、
前記第1支持体は、
前記第1ギアボックスが前記第1挿通孔に挿入された状態に保持されるように前記第1ギアボックスを支持する第1ギアボックス支持部と、
前記モータを支持するモータ支持部と、を有し、
前記第2支持体は、前記第2ギアボックスが前記第2挿通孔に挿入された状態に保持されるように前記第2ギアボックスを支持する第2ギアボックス支持部を有し、
前記第1ギアボックス支持部は、前記第1ギアボックスの上端部が前記第1ロアレール及び前記第1アッパーレール間に位置するとともに、前記第1ギアボックスの下端部が前記第1ロアレールの下方に位置するように前記第1ギアボックスを支持し、
前記第2ギアボックス支持部は、前記第2ギアボックスの上端部が前記第2ロアレール及び前記第2アッパーレール間に位置するとともに、前記第2ギアボックスの下端部が前記第2ロアレールの下方に位置するように前記第2ギアボックスを支持し、
前記第1ギアボックス支持部の下端部は、前記モータ支持部の下端部と同じ高さ位置に形成されており、
前記第1ギアボックス支持部は、
前記第1ギアボックスを受ける第1受け部と、
前記第1受け部につながっており前記第1受け部から下方に向かって延びる形状を有する第1当接部と、を含み、
前記モータ支持部は、
前記モータの下方でかつ前記第1受け部よりも低い位置に配置された底板と、
前記底板から起立しており前記モータを支持する起立片と、を有し、
前記第1当接部の下端部は、前記底板の下面と同じ高さ位置に設定されている、シートスライド装置。
【請求項2】
前記起立片は、前記モータの回転軸が前記第1スライドレールの長手方向と平行となる姿勢で前記モータを支持している、請求項1に記載のシートスライド装置。
【請求項3】
前記第2ギアボックス支持部は、前記第1当接部の下端部及び前記底板の底面と同じ高さ位置に形成された下端部を有する、請求項1又は2に記載のシートスライド装置。
【請求項4】
前記伝達部材は、
前記第1回転部材と前記第2回転部材とを連結しており、前記モータの前記駆動力を前記第1回転部材及び前記第2回転部材に伝達する伝達ロッドと、
前記モータに接続されており、前記伝達ロッドに噛み合うギアと、を含み、
前記モータ支持部は、前記ギアの下方を覆う形状を有する、請求項1からのいずれかに記載のシートスライド装置。
【請求項5】
前記伝達部材は、前記ギアを収容するギアケースをさらに含み、
前記モータ支持部は、前記ギアケースを保持する保持部を有する、請求項4に記載のシートスライド装置。
【請求項6】
前記第1支持体は、
前記第1受け部を含む第1下ブラケットと、
前記第1ギアボックスを覆う第1被覆部を含み、前記第1下ブラケットに連結された第1上ブラケットと、を有し、
前記第2支持体は、
前記第2ギアボックスを受ける第2受け部を含む第2下ブラケットと、
前記第2ギアボックスを覆う第2被覆部を含み、前記第2下ブラケットに連結された第2上ブラケットと、を有し、
前記第1受け部及び前記第1被覆部は、前記第1ギアボックス支持部を構成し、
前記第2受け部及び前記第2被覆部は、前記第2ギアボックス支持部を構成する、請求項1から5のいずれかに記載のシートスライド装置。
【請求項7】
前記第1支持体は、前記第1受け部と前記底板とを連結する連結部をさらに有し、
前記連結部は、前記底板から離間するにしたがって次第に上方に向かうように傾斜する形状を有する、請求項1からのいずれかに記載のシートスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、シートスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に搭載されるシートをスライドさせるシートスライド装置が知られている。例えば、特開2013-226921号公報には、フロア上に設けられるロアレールと、ロアレールに対してスライド可能なアッパーレールと、ロアレールに対してアッパーレールをスライドさせる送りねじ機構と、モータと、を備えるスライド装置が開示されている。
【0003】
送りねじ機構は、丸棒状の送りねじと、ギアユニットと、駆動軸と、を有している。送りねじは、アッパーレールに固定されている。ギアユニットは、送りねじに螺合したナットと、ナットに螺合したウォームと、ナットがウォームに螺合した状態に保持するギアボックスと、を有している。ギアボックスは、ロアレール及びアッパーレール間に配置されている。駆動軸の一端は、ロアレールを貫通してウォームに接続されており、駆動軸の他端は、モータに接続されている。駆動軸は、モータの駆動力をウォームに伝達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-226921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2013-226921号公報に記載のスライド装置では、当該スライド装置の組み立てのためにこのスライド装置が組立て台に載置されたり、当該スライド装置の車両への組付け時にこのスライド装置がリフトに載置されたりする際、シートの重量がモータ及びギアボックスを含む駆動機構に入力される懸念がある。このため、駆動機構の保護部材の追加や、それに伴うスライドレールの大型化が必要となる場合がある。
【0006】
本開示の目的は、スライドレールの大型化の回避と、シートの重量のギアボックスへの入力の抑制と、を達成可能なシートスライド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示の一局面に従ったシートスライド装置は、シートが設置されるフロアに対して前記シートが一方向にスライド可能となるように前記シートを支持可能であり、前記一方向と直交する方向に互いに間隔を置いて配置される第1スライドレール及び第2スライドレールと、前記第1スライドレール及び前記第2スライドレールを駆動する駆動機構と、前記駆動機構を支持する支持部材と、を備え、前記第1スライドレールは、前記フロアに固定される第1ロアレールと、前記第1ロアレールに対して前記一方向に沿ってスライド可能であり、前記シートを支持可能な第1アッパーレールと、を有し、前記第2スライドレールは、前記フロアに固定される第2ロアレールと、前記第2ロアレールに対して前記一方向に沿ってスライド可能であり、前記シートを支持可能な第2アッパーレールと、を有し、前記駆動機構は、前記第1アッパーレールに対して相対回転可能となるように前記第1アッパーレールに固定されており、前記第1ロアレールに対して前記一方向に前記第1アッパーレールを送るための第1送りねじと、前記第2アッパーレールに対して相対回転可能となるように前記第2アッパーレールに固定されており、前記第2ロアレールに対して前記一方向に前記第2アッパーレールを送るための第2送りねじと、前記第1送りねじを回転させることが可能な第1回転部材と、前記第2送りねじを回転させることが可能な第2回転部材と、前記第1回転部材を収容する第1ギアボックスと、前記第2回転部材を収容する第2ギアボックスと、前記第1スライドレールの側方に配置されたモータと、前記モータの駆動力を前記第1回転部材及び前記第2回転部材に伝達する伝達部材と、を有し、前記第1ロアレールには、上下方向に前記第1ギアボックスを挿通させる第1挿通孔が形成されており、前記第2ロアレールには、上下方向に前記第2ギアボックスを挿通させる第2挿通孔が形成されており、前記支持部材は、前記第1ギアボックスを支持する第1支持体と、前記第2ギアボックスを支持する第2支持体と、を有し、前記第1支持体は、前記第1ギアボックスが前記第1挿通孔に挿入された状態に保持されるように前記第1ギアボックスを支持する第1ギアボックス支持部と、前記モータを支持するモータ支持部と、を有し、前記第2支持体は、前記第2ギアボックスが前記第2挿通孔に挿入された状態に保持されるように前記第2ギアボックスを支持する第2ギアボックス支持部を有し、前記第1ギアボックス支持部は、前記第1ギアボックスの上端部が前記第1ロアレール及び前記第1アッパーレール間に位置するとともに、前記第1ギアボックスの下端部が前記第1ロアレールの下方に位置するように前記第1ギアボックスを支持し、前記第2ギアボックス支持部は、前記第2ギアボックスの上端部が前記第2ロアレール及び前記第2アッパーレール間に位置するとともに、前記第2ギアボックスの下端部が前記第2ロアレールの下方に位置するように前記第2ギアボックスを支持し、前記第1ギアボックス支持部の下端部は、前記モータ支持部の下端部と同じ高さ位置に形成されている。
【発明の効果】
【0008】
この開示によれば、スライドレールの大型化の回避と、シートの重量のギアボックスへの入力の抑制と、を達成可能なシートスライド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態のシートスライド装置の斜視図である。
図2図1に示されるシートスライド装置の平面図である。
図3図2におけるIII-IIIでの断面図である。
図4図3における実線IVで示される範囲の拡大図である。
図5図2におけるV-V線での断面図である。
図6図5における実線VI-VI線で示される範囲の拡大図である。
図7】駆動機構及び支持部材の斜視図である。
図8】第1下ブラケットの斜視図である。
図9】第2下ブラケットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で参照する図面では、同一又はそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態のシートスライド装置の斜視図である。図2は、図1に示されるシートスライド装置の平面図である。このシートスライド装置1は、乗り物用シート、特に、車両用シートをスライドさせる装置に好適である。
【0012】
図1及び図2に示されるように、本実施形態のシートスライド装置1は、第1スライドレール100と、第2スライドレール200と、駆動機構300と、支持部材400と、を備えている。
【0013】
第1スライドレール100及び第2スライドレール200は、シート(図示略)が設置される車両のフロアFL(図3を参照)に対してシートが一方向(図2における上下方向)にスライド可能となるようにシートを支持可能である。第1スライドレール100及び第2スライドレール200は、一方向と直交する方向(図2における左右方向)に互いに間隔を置いて配置されている。本実施形態では、前記一方向は、前後方向に設定されている。
【0014】
第1スライドレール100は、第1ロアレール110と、第1アッパーレール120と、を有している。
【0015】
図3に示されるように、第1ロアレール110は、フロアFLに固定される。第1ロアレール110は、一方向に長く延びる形状を有している。第1ロアレール110は、フロアFLと対向する底壁112を有している。底壁112には、後述の第1ギアボックス313を挿通させる第1挿通孔112h(図4及び図6を参照)が形成されている。
【0016】
第1アッパーレール120は、第1ロアレール110に対して一方向に沿ってスライド可能であり、シートを支持可能である。第1アッパーレール120は、第1ロアレール110の長手方向と同方向に長く延びる形状を有している。第1アッパーレール120は、底壁112と対向する天壁122を有している。
【0017】
第2スライドレール200は、第1スライドレール100と同様の構造を有している。そのため、第2スライドレール200の説明を簡略化する。すなわち、第2スライドレール200は、第1ロアレール110と同様の形状を有する第2ロアレール210と、第1アッパーレール120と同様の形状を有する第2アッパーレール220と、を有している。
【0018】
駆動機構300は、第1スライドレール100及び第2スライドレール200を駆動する。より詳細には、駆動機構300は、第1ロアレール110に対して第1アッパーレール120を駆動するとともに、第2ロアレール210に対して第2アッパーレール220を駆動する。駆動機構300は、第1送りねじ311と、第1回転部材312と、第1ギアボックス313と、第2送りねじ321と、第2回転部材322と、第2ギアボックス323と、モータ330と、伝達部材340と、を有している。
【0019】
第1送りねじ311は、第1アッパーレール120に対して相対回転可能となるように第1アッパーレール120に固定されている。第1送りねじ311は、取付部材311aを介して第1アッパーレール120の天壁122に固定されている。第1送りねじ311は、円柱状に形成されている。第1送りねじ311の表面には、ねじ溝が形成されている。第1送りねじ311は、第1ロアレール110に対して一方向に第1アッパーレール120を送るための部材である。
【0020】
第1回転部材312は、第1送りねじ311を回転させることが可能である。図4及び図6に示されるように、第1回転部材312は、ナット312aと、第1ギア312bと、第2ギア312cと、を有している。
【0021】
ナット312aは、第1送りねじ311に取り付けられている。このナット312aが回転することにより、第1送りねじ311は、ナット312aに対して一方向に相対移動する。
【0022】
第1ギア312bは、ナット312aの下方に配置されており、ナット312aに噛み合っている。第2ギア312cは、第1ギア312bの下方に配置されており、第1ギア312bに噛み合っている。例えば、第1ギア312b及び第2ギア312cとして、ウォームが用いられる。
【0023】
第1ギアボックス313は、第1回転部材312を収容している。第1ギアボックス313は、第1ギア312bがナット312aに噛み合い、第2ギア312cが第1ギア312bに噛み合うようにナット312a、第1ギア312b及び第2ギア312cを保持している。図4及び図6に示されるように、第1ギアボックス313の上部には、上部突起313aが形成されている。第1ギアボックス313の下部には、下部突起313bが形成されている。第1ギアボックス313は、第1ロアレール110の第1挿通孔112hを通じて、第1ロアレール110の下方から挿入される。
【0024】
第2送りねじ321、第2回転部材322及び第2ギアボックス323は、それぞれ、第1送りねじ311、第1回転部材312及び第1ギアボックス313と同様の構造を有している。そのため、第2送りねじ321、第2回転部材322及び第2ギアボックス323の説明を省略する。
【0025】
モータ330は、第1スライドレール100の側方に配置されている。図1及び図2に示されるように、モータ330は、第1スライドレール100及び第2スライドレール200間で、かつ、第2スライドレール200よりも第1スライドレール100に近い位置に配置されている。モータ330は、その回転軸が第1スライドレール100の長手方向と平行となる姿勢で配置されている。
【0026】
伝達部材340は、モータ330の駆動力を第1回転部材312及び第2回転部材322に伝達する。伝達部材340は、減速機341と、ウォーム342と、ギア343と、ギアケース344と、伝達ロッド345と、を有している。
【0027】
減速機341は、モータ330の出力軸に接続されている。
【0028】
ウォーム342は、減速機341の出力軸に接続されている。
【0029】
ギア343は、ウォーム342に噛み合うように配置されている。つまり、ギア343は、ウォーム342及び減速機341を介してモータ330に接続されている。ギア343は、ウォーム342の下方に配置されている。本実施形態では、ギア343として、ヘリカルギアが用いられている。
【0030】
ギアケース344は、ギア343を収容している。
【0031】
伝達ロッド345は、第1回転部材312と第2回転部材322とを連結しており、モータ330の駆動力を第1回転部材312及び第2回転部材322に伝達する。伝達ロッド345は、ギア343に挿通されており、ギア343と一体的に回転する。図4図6に示されるように、伝達ロッド345の一端部345aは、第1回転部材312の第2ギア312cに接続されている。図5及び図7に示されるように、伝達ロッド345の他端部345bは、第2回転部材322の第2ギア322cに接続されている。本実施形態では、伝達ロッド345は、六角柱状に形成されている。
【0032】
支持部材400は、駆動機構300を支持している。支持部材400は、第1支持体401と、第2支持体402と、を有している。
【0033】
第1支持体401は、第1ギアボックス313を支持している。本実施形態では、第1支持体401は、第1ギアボックス313及びモータ330を支持している。第1支持体401は、第1下ブラケット410と、第1上ブラケット420と、を有している。
【0034】
第1下ブラケット410は、第1受け部411と、第1下フランジ部412と、モータ支持部413と、連結部416と、第1当接部417と、を有している。
【0035】
第1受け部411は、第1ギアボックス313を受ける部位である。第1受け部411は、第1ギアボックス313の下部を受ける形状を有している。図4図6及び図8に示されるように、第1受け部411には、第1ギアボックス313の下部突起313bを受け入れる受入口411hが形成されている。
【0036】
第1下フランジ部412は、第1受け部411につながっている。第1下フランジ部412は、第1受け部411の上端部から一方向における両側に突出する形状を有している。
【0037】
モータ支持部413は、モータ330を支持する部位である。モータ支持部413は、ギア343の下方を覆う形状を有している。具体的に、モータ支持部413は、底板414と、起立片415と、を有している。
【0038】
底板414は、平板状に形成されている。底板414は、ギア343の下方に配置されている。底板414は、シートスライド装置1の組立て時に組立て台TA(図5及び図6を参照)に載置される。組立て台TAは、平坦に形成されている。底板414は、第1受け部411よりも低い位置に形成されている。
【0039】
起立片415は、底板414のうち第1受け部411が位置する側とは反対側の縁部から起立する形状を有している。図6及び図8に示されるように、起立片415は、ギアケース344を保持する保持部415hを有している。本実施形態では、保持部415hは、起立片415をその厚み方向に貫通する貫通孔で構成されている。
【0040】
連結部416は、第1受け部411とモータ支持部413とを連結している。より詳細には、連結部416は、第1受け部411及び第1下フランジ部412と、モータ支持部413の底板414と、を連結している。連結部416は、底板414から離間するにしたがって次第に上方に向かうように傾斜する形状を有している。
【0041】
第1当接部417は、シートスライド装置1の組立て時に組立て台TAに当接する部位である。第1当接部417は、第1受け部411のうちモータ支持部413が位置する側とは反対側の縁部につながっている。第1当接部417は、第1受け部411から離間するにしたがって次第に下方に向かう形状を有している。図6に示されるように、第1当接部417の下端部(下端面)は、底板414の下面と同じ高さ位置に形成されている。
【0042】
第1上ブラケット420は、第1被覆部421と、第1上フランジ部422と、を有している。
【0043】
第1被覆部421は、第1ギアボックス313の上部を被覆する形状を有している。図4及び図6に示されるように、第1被覆部421の上部には、第1ギアボックス313の上部突起313aを受け入れる受入口421hが形成されている。
【0044】
第1上フランジ部422は、第1被覆部421につながっている。第1上フランジ部422は、第1被覆部421の下端部から一方向における両側に突出する形状を有している。第1上フランジ部422は、締結部材Bにより第1下フランジ部412に固定されている。図4に示されるように、締結部材Bは、各フランジ部412,422を第1ロアレール110の底壁112に固定している。
【0045】
図4及び図6に示されるように、第1受け部411及び第1当接部417は、第1ギアボックス313が第1ロアレール110の第1挿通孔112hに挿入された状態に保持されるように第1ギアボックス313を支持する「第1ギアボックス支持部401A(図4及び図7を参照)」を構成している。第1ギアボックス支持部401Aは、第1ギアボックス313の上部が第1ロアレール110及び第1アッパーレール120間に位置するとともに第1ギアボックス313の下部が第1ロアレール110から下方に露出するように第1ギアボックス313を支持している。本実施形態では、第1受け部411及び第1当接部417の他、第1下フランジ部412、第1被覆部421、第1上フランジ部422及び締結部材Bも第1ギアボックス支持部401Aを構成している。
【0046】
第1ギアボックス支持部401Aの下端部(第1当接部417の下端部)は、モータ支持部413の下端部(底板414の下面)と同じ高さ位置に形成されている。第1ギアボックス支持部401Aは、第1ギアボックス313の上端部が第1ロアレール110及び第1アッパーレール120間でかつ第1アッパーレール120の天壁122から下方に離間した位置に位置するとともに、第1ギアボックス313の下端部が第1ロアレール110の下方に位置するように第1ギアボックス313を支持している。
【0047】
第2支持体402は、第2ギアボックス323を支持している。図7に示されるように、第2支持体402は、第2下ブラケット430と、第2上ブラケット440と、を有している。
【0048】
図7及び図9に示されるように、第2下ブラケット430は、第2受け部431と、第2下フランジ部432と、第2当接部433と、を有している。第2受け部431及び第2下フランジ部432は、第1下ブラケット410の第1受け部411及び第1下フランジ部412と同じ構造を有している。
【0049】
第2当接部433は、左右方向における第2受け部431の両縁部につながっている。第2当接部433は、第2受け部431から離間するにしたがって次第に下方に向かう形状を有している。
【0050】
図5に示されるように、伝達ロッド345及び第1支持体401の第1下ブラケット410の下端部間の距離H1は、伝達ロッド345及び第2支持体402の第2下ブラケット430の下端部間の距離H2と同じである。なお、前記距離H1は、伝達ロッド345の中心軸Cと、底板414及び第1当接部417の下面と、の間の距離を意味する。前記距離H2は、伝達ロッド345の中心軸Cと第2当接部433の下面との間の距離を意味する。
【0051】
第2上ブラケット440は、第1上ブラケット420と同じ構造を有している。すなわち、第2上ブラケット440は、第2被覆部441と、第2上フランジ部442と、を有している。
【0052】
第2受け部431及び第2当接部433は、第2ギアボックス323が第2ロアレール210の第2挿通口に挿入された状態に保持されるように第2ギアボックス323を支持する「第2ギアボックス支持部402A(図7を参照)」を構成している。本実施形態では、第2受け部431及び第2当接部433の他、第2下フランジ部432、第2上フランジ部442及び締結部材Bも第2ギアボックス支持部402Aを構成している。
【0053】
第2ギアボックス支持部402Aの下端部(第2当接部433の下端部)は、第1ギアボックス支持部401Aの下端部(第1当接部417の下端部)及びモータ支持部413の下端部(底板414の下面)と同じ高さ位置に形成されている。第2ギアボックス支持部402Aは、第1ギアボックス313の上端部が第1ロアレール110及び第1アッパーレール120間でかつ第1アッパーレール120の天壁122から下方に離間した位置に位置するとともに、第1ギアボックス313の下端部が第1ロアレール110の下方に位置するように第1ギアボックス313を支持している。
【0054】
以上に説明したシートスライド装置1において、モータ330が駆動されると、減速機341、ウォーム342及びギア343を介して伝達ロッド345がその中心軸Cまわりに回転する。そうすると、伝達ロッド345の両端部345a,345bに接続された回転部材312,322が回転するため、各送りねじ311,321が回転する。これにより、各アッパーレール120,220が各ロアレール110,210に対して一方向に移動する。
【0055】
以上に説明したシートスライド装置1では、各ギアボックス支持部401A,402Aは、ギアボックス313,323の上端部がロアレール110,210及びアッパーレール120,220間に位置するとともに、ギアボックス313,323の下端部がロアレール110,210の下方に位置するようにギアボックス313,323を支持している。換言すれば、各ギアボックス支持部401A,402Aは、ギアボックス313,323の下部がロアレール110,210の下方に露出する状態でギアボックス313,323を支持している。このため、ギアボックス313,323の全体がロアレール110,210及びアッパーレール120,220間に収容される場合に比べ、各ロアレール110,210の高さが低減される。
【0056】
さらに、第1ギアボックス支持部401Aの下端部(第1当接部417の下端部)は、モータ支持部413の下端部(底板414の下面)と同じ高さ位置に形成されている。このため、このシートスライド装置1が組立て台TAに取り付けられた際、シートの重量は、アッパーレール120,220及びロアレール110,210を介して、組立て台TAに当接している支持部材400で受けられる。よって、シートの重量の各ギアボックス313,323への入力が抑制される。また、シートの重量のモータ330への入力も抑制される。
【0057】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0058】
上記実施形態におけるシートスライド装置は、シートが設置されるフロアに対して前記シートが一方向にスライド可能となるように前記シートを支持可能であり、前記一方向と直交する方向に互いに間隔を置いて配置される第1スライドレール及び第2スライドレールと、前記第1スライドレール及び前記第2スライドレールを駆動する駆動機構と、前記駆動機構を支持する支持部材と、を備え、前記第1スライドレールは、前記フロアに固定される第1ロアレールと、前記第1ロアレールに対して前記一方向に沿ってスライド可能であり、前記シートを支持可能な第1アッパーレールと、を有し、前記第2スライドレールは、前記フロアに固定される第2ロアレールと、前記第2ロアレールに対して前記一方向に沿ってスライド可能であり、前記シートを支持可能な第2アッパーレールと、を有し、前記駆動機構は、前記第1アッパーレールに対して相対回転可能となるように前記第1アッパーレールに固定されており、前記第1ロアレールに対して前記一方向に前記第1アッパーレールを送るための第1送りねじと、前記第2アッパーレールに対して相対回転可能となるように前記第2アッパーレールに固定されており、前記第2ロアレールに対して前記一方向に前記第2アッパーレールを送るための第2送りねじと、前記第1送りねじを回転させることが可能な第1回転部材と、前記第2送りねじを回転させることが可能な第2回転部材と、前記第1回転部材を収容する第1ギアボックスと、前記第2回転部材を収容する第2ギアボックスと、前記第1スライドレールの側方に配置されたモータと、前記モータの駆動力を前記第1回転部材及び前記第2回転部材に伝達する伝達部材と、を有し、前記第1ロアレールには、上下方向に前記第1ギアボックスを挿通させる第1挿通孔が形成されており、前記第2ロアレールには、上下方向に前記第2ギアボックスを挿通させる第2挿通孔が形成されており、前記支持部材は、前記第1ギアボックスを支持する第1支持体と、前記第2ギアボックスを支持する第2支持体と、を有し、前記第1支持体は、前記第1ギアボックスが前記第1挿通孔に挿入された状態に保持されるように前記第1ギアボックスを支持する第1ギアボックス支持部と、前記モータを支持するモータ支持部と、を有し、前記第2支持体は、前記第2ギアボックスが前記第2挿通孔に挿入された状態に保持されるように前記第2ギアボックスを支持する第2ギアボックス支持部を有し、前記第1ギアボックス支持部は、前記第1ギアボックスの上端部が前記第1ロアレール及び前記第1アッパーレール間に位置するとともに、前記第1ギアボックスの下端部が前記第1ロアレールの下方に位置するように前記第1ギアボックスを支持し、前記第2ギアボックス支持部は、前記第2ギアボックスの上端部が前記第2ロアレール及び前記第2アッパーレール間に位置するとともに、前記第2ギアボックスの下端部が前記第2ロアレールの下方に位置するように前記第2ギアボックスを支持し、前記第1ギアボックス支持部の下端部は、前記モータ支持部の下端部と同じ高さ位置に形成されている。
【0059】
このシートスライド装置では、各ギアボックス支持部は、ギアボックスの上端部がロアレール及びアッパーレール間に位置するとともにギアボックスの下端部がロアレールの下方に位置するようにギアボックスを支持するため、ギアボックスの全体がロアレール及びアッパーレール間に収容される場合に比べて各ロアレールの高さが低減される。さらに、第1ギアボックス支持部の下端部は、モータ支持部の下端部と同じ高さ位置に形成されているため、シートスライド装置が組立て台に載置された際におけるシートの重量のギアボックスへの入力が抑制される。
【0060】
また、前記伝達部材は、前記第1回転部材と前記第2回転部材とを連結しており、前記モータの前記駆動力を前記第1回転部材及び前記第2回転部材に伝達する伝達ロッドを含むことが好ましい。
【0061】
また、前記伝達ロッド及び前記第1支持体の下端部間の距離は、前記伝達ロッド及び前記第2支持体の下端部間の距離と同じであることが好ましい。
【0062】
この態様では、シートスライド装置に支持されたシートのフロアに対する傾きが抑制される。
【0063】
また、前記伝達部材は、前記モータに接続されており、前記伝達ロッドに噛み合うギアをさらに含み、前記モータ支持部は、前記ギアの下方を覆う形状を有することが好ましい。
【0064】
この場合において、前記伝達部材は、前記ギアを収容するギアケースをさらに含み、前記モータ支持部は、前記ギアケースを保持する保持部を有することが好ましい。
【0065】
また、前記第1支持体は、前記第1ギアボックスを受ける第1受け部を含む第1下ブラケットと、前記第1ギアボックスを覆う第1被覆部を含み、前記第1下ブラケットに連結された第1上ブラケットと、を有し、前記第2支持体は、前記第2ギアボックスを受ける第2受け部を含む第2下ブラケットと、前記第2ギアボックスを覆う第2被覆部を含み、前記第2下ブラケットに連結された第2上ブラケットと、を有し、前記第1受け部及び前記第1被覆部は、前記第1ギアボックス支持部を構成し、前記第2受け部及び前記第2被覆部は、前記第2ギアボックス支持部を構成することが好ましい。
【0066】
この場合において、前記第1下ブラケットは、前記第1受け部と前記モータ支持部とを連結する連結部をさらに有することが好ましい。
【0067】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 シートスライド装置、100 第1スライドレール、110 第1ロアレール、112 底壁、112h 第1挿通孔、120 第1アッパーレール、122 天壁、200 第2スライドレール、210 第2ロアレール、220 第2アッパーレール、300 駆動機構、311 第1送りねじ、312 第1回転部材、313 第1ギアボックス、321 第2送りねじ、322 第2回転部材、323 第2ギアボックス、330 モータ、340 伝達部材、341 減速機、342 ウォーム、343 ギア、344 ギアケース、345 伝達ロッド、400 支持部材、401 第1支持体、401A 第1ギアボックス支持部、402 第2支持体、402A 第2ギアボックス支持部、410 第1下ブラケット、411 第1受け部、412 第1下フランジ部、413 モータ支持部、414 底板、415 起立片、415h 保持部、416 連結部、417 第1当接部、420 第1上ブラケット、421 第1被覆部、422 第1上フランジ部、430 第2下ブラケット、431 第2受け部、432 第2下フランジ部、433 第2当接部、440 第2上ブラケット、441 第2被覆部、442 第2上フランジ部、B 締結部材、C 中心軸。
図1
図2
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図5
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図7
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図9