(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240730BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240730BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
H04N23/60
(21)【出願番号】P 2021056932
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】加藤 実咲
(72)【発明者】
【氏名】中後 晃博
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-156746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置と制御装置とを有する制御システムであって、
前記撮影装置は、
薬剤の種別に基づいて前記薬剤の撮影制御を行
い、
前記薬剤の種別は、前記薬剤がバラ薬であるか一包薬であるかに該当し、
前記撮影制御は、前記薬剤の種別がバラ薬である場合には、1箇所において前記薬剤をカメラに撮影させることを含み、前記薬剤の種別が一包薬である場合には、複数箇所において前記薬剤を前記カメラに撮影させることを含み、
前記制御装置は、
前記撮影装置に対して前記薬剤の種別を出力する出力部と、
前記撮影装置によって前記撮影制御が開始された後に前記薬剤の種別を変更する操作を受け付けるための種別変更オブジェクトの表示を制御する制御部と、
前記薬剤の種別を変更する操作を受け付ける操作部と、
を備え、
前記出力部は、前記操作部によって前記薬剤の種別を変更する操作が受け付けられたことに基づいて、前記薬剤の種別が変更されたことを前記撮影装置に出力し、
前記撮影装置は、前記薬剤の種別がバラ薬である場合、かつ、前記薬剤の種別が変更されたことが前記出力部から出力された場合には、複数箇所において前記薬剤を前記カメラに撮影させ、前記薬剤の種別が一包薬である場合、かつ、前記薬剤の種別が変更されたことが前記出力部から出力された場合には、1箇所において前記薬剤を前記カメラに撮影させる、
制御システム。
【請求項2】
前記撮影制御は、前記薬剤を撮影位置に向けて移動させる動作および前記撮影位置において前記薬剤を
前記カメラに撮影させる動作の少なくともいずれか一つを含む、
請求項
1に記載の
制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記撮影制御が開始された後に前記撮影制御を中断する操作を受け付けるための中断操作オブジェクトの表示を制御する、
請求項
1または2に記載の
制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鑑別対象の薬剤が撮影されて得られた撮影画像に基づいて薬剤を鑑別する技術が知られている。例えば、鑑別対象の薬剤を撮影する撮影装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。かかる薬剤を鑑別する技術においては、薬剤の撮影制御が薬剤の種別に応じて異なるのが一般的である。例えば、薬剤の種別がバラ薬であるか一包化薬であるかに応じて、薬剤の撮影制御が異なる場合がある。そのため、操作者は、撮影制御が開始される前に鑑別対象の薬剤の種別を選択する操作を入力するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、操作者が鑑別対象の薬剤の種別を選択する操作を誤って入力してしまう場合などがあり得る。かかる場合には、操作者が正しい薬剤の種別を選択する操作を入力し直す必要が生じるが、撮影制御が一度始まってしまうと、撮影が終わるまで薬剤の種別を選択する操作を入力できないのが一般的である。そのため、操作者にとって薬剤鑑別システムの利便性が向上しなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、鑑別対象の薬剤の種別に応じて薬剤の撮影制御が異なる薬剤鑑別システムの操作者の利便性を向上させることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明のある観点によれば、撮影装置と制御装置とを有する制御システムであって、前記撮影装置は、薬剤の種別に基づいて前記薬剤の撮影制御を行い、前記薬剤の種別は、前記薬剤がバラ薬であるか一包薬であるかに該当し、前記撮影制御は、前記薬剤の種別がバラ薬である場合には、1箇所において前記薬剤をカメラに撮影させることを含み、前記薬剤の種別が一包薬である場合には、複数箇所において前記薬剤を前記カメラに撮影させることを含み、前記制御装置は、前記撮影装置に対して前記薬剤の種別を出力する出力部と、前記撮影装置によって前記撮影制御が開始された後に前記薬剤の種別を変更する操作を受け付けるための種別変更オブジェクトの表示を制御する制御部と、前記薬剤の種別を変更する操作を受け付ける操作部と、を備え、前記出力部は、前記操作部によって前記薬剤の種別を変更する操作が受け付けられたことに基づいて、前記薬剤の種別が変更されたことを前記撮影装置に出力し、前記撮影装置は、前記薬剤の種別がバラ薬である場合、かつ、前記薬剤の種別が変更されたことが前記出力部から出力された場合には、複数箇所において前記薬剤を前記カメラに撮影させ、前記薬剤の種別が一包薬である場合、かつ、前記薬剤の種別が変更されたことが前記出力部から出力された場合には、1箇所において前記薬剤を前記カメラに撮影させる、制御システムが提供される。
【0008】
前記撮影制御は、前記薬剤を撮影位置に向けて移動させる動作および前記撮影位置において前記薬剤を前記カメラに撮影させる動作の少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0009】
前記制御部は、前記撮影制御が開始された後に前記撮影制御を中断する操作を受け付けるための中断操作オブジェクトの表示を制御してもよい。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、鑑別対象の薬剤の種別に応じて薬剤の撮影制御が異なる薬剤鑑別システムの操作者の利便性を向上させることが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システムの構成例を示す図である。
【
図2】同実施形態に係る薬剤鑑別システムの機能構成例を示す図である。
【
図4】装置筐体の外部に排出されたトレイの上面図である。
【
図6】バラ薬が載置されたシャーレの上面図である。
【
図7】シャーレがトレイの上に載置された状態を示す上面図である。
【
図9】一包化薬がトレイの上に載置された状態を示す上面図である。
【
図10】装置筐体の外部から内部にトレイが搬送される様子を右側から見た側面図である。
【
図14】同実施形態に係る薬剤鑑別システムの動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図16】画像データに基づいて薬剤の種別を認識する手法の例について説明するための図である。
【
図17】本発明の第3の実施形態に係る薬剤鑑別システムの構成例を示す図である。
【
図18】同実施形態に係る薬剤鑑別システムの機能構成例を示す図である。
【
図19】タッチセンサに対する操作の意味の例を説明するための図である。
【
図20】薬剤種別判定ディテクタが設けられたシャーレの上面図である。
【
図21】タッチセンサに対する操作の意味の例を説明するための図である。
【
図22】一包化薬が直接載置されたトレイが移動する様子を示す側面図である。
【
図23】バラ薬がシャーレを介して載置されたトレイが移動する様子を示す側面図である。
【
図24】本発明の実施形態に係る制御装置の例としての情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0025】
<1.第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0026】
[1-1.薬剤鑑別システムの構成]
まず、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システムの構成例について説明する。一例として、薬剤鑑別システムは、患者が持参した薬剤(持参薬)を鑑別する持参薬鑑別システムとして機能し得る。例えば、薬剤鑑別システムは、病院または薬局などに設置され得る。また、薬剤鑑別システムは、主に操作者(例えば、薬剤師など)によって操作される。また、薬剤鑑別システムは、薬剤の撮影および鑑別を制御する制御システムとして機能し得る。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システムの構成例を示す図である。
図1に示されたように、薬剤鑑別システム1は、制御装置10と、撮影装置20とを備える。なお、制御装置10と撮影装置20とは、所定のインタフェースにより接続されている。例えば、インタフェースは、USB(Universal Serial Bus)インタフェースなどであってよい。
【0028】
制御装置10は、薬剤鑑別システム1の全体を制御するコンピュータである。例えば、制御装置10は、本体部180と、操作部112と、表示部114とを備える。操作部112および表示部114それぞれは、本体部180と接続されている。操作部112および表示部114は、後に説明するGUI(Graphical User Interface)部110(
図2)を構成し得る。本体部180は、撮影装置20によって撮影された薬剤の撮影画像に基づいて薬剤の鑑別を行う。
【0029】
操作部112は、操作者の操作を受け付ける入力装置によって構成される。ここでは、操作部112がマウスおよびキーボードによって実現される場合を主に想定する。しかし、操作部112は、マウスおよびキーボード以外の入力装置(例えば、タッチパネルなど)によって実現されてもよい。操作部112によって受け付けられた操作者の操作は、本体部180に提供される。なお、
図1に示された例では、操作部112は、制御装置10の内部に存在する。しかし、操作部112は、制御装置10の外部に存在してもよい。
【0030】
表示部114は、ディスプレイによって構成される。ディスプレイの種類は特に限定されないが、一例として液晶ディスプレイなどであってよい。例えば、表示部114は、本体部180による制御に従って各種情報の表示を行う。表示部114によって表示された各種情報は、操作者によって視認される。なお、
図1に示された例では、表示部114は、制御装置10の内部に存在する。しかし、表示部114は、制御装置10の外部に存在してもよい。
【0031】
撮影装置20は、薬剤(例えば、持参薬)を撮影して撮影画像を得る。例えば、撮影装置20は、箱型の装置筐体220を備える。装置筐体220の前面には、上下方向の中央部にトレイ排出口290が設けられている。撮影装置20は、このトレイ排出口290からトレイを前方に排出することにより、トレイを装置筐体220の外部に露出することが可能であり、前方に排出したトレイを後方に引き戻すことにより、トレイを装置筐体220の内部に収容できるようになっている。
【0032】
なお、トレイ排出口290には、シャッタ292が設けられている。シャッタ292は、トレイ排出時においては開いた状態となり、トレイ収容時においては閉じた状態となる。
【0033】
[1-2.薬剤鑑別システムの機能構成]
続いて、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の機能構成例について説明する。
【0034】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の機能構成例を示す図である。
図2に示されたように、薬剤鑑別システム1は、制御装置10と、撮影装置20とを備える。制御装置10は、GUI部110と、鑑別コントローラ120と、装置制御部130と、鑑別部150と、鑑別結果記憶部160と、薬剤データベース170とを備える。上記したように、GUI部110は、操作部112および表示部114を備える。
【0035】
鑑別コントローラ120、装置制御部130および鑑別部150は、制御装置10の図示しない制御部によって実現され得る。図示しない制御部は、CPU(Central Processing Unit)などを含み、不揮発性の記憶装置により記憶されているプログラムがCPUによりRAM(Random Access Memory)に展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、図示しない制御部は、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
【0036】
鑑別結果記憶部160および薬剤データベース170は、図示しない記憶部によって実現され得る。図示しない記憶部は、図示しない制御部を動作させるためのプログラムおよびデータを記憶することが可能な記憶装置である。また、図示しない記憶部は、図示しない制御部の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶装置は、不揮発性の記憶装置であってよい。
【0037】
ハードウェア制御部210は、撮影装置20の図示しない制御部によって実現され得る。図示しない制御部は、CPUなどを含み、不揮発性の記憶装置により記憶されているプログラムがCPUによりRAMに展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、図示しない制御部は、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
【0038】
薬剤データベース170には、複数の薬剤それぞれのデータベース画像(登録画像)があらかじめ格納されている。より詳細には、薬剤データベース170には、表面および裏面それぞれのデータベース画像および特徴(例えば、薬剤の形、色、刻印文字など)が薬剤ごとにあらかじめ登録されている。
【0039】
鑑別コントローラ120は、トレイの排出を指示する操作を受け付けるためのトレイ排出指示画面の表示部114による表示を制御する。
【0040】
図3は、トレイ排出指示画面の例を示す図である。
図3を参照すると、トレイ排出指示画面G10が示されている。トレイ排出指示画面G10は、トレイの排出を指示する操作を入力するためのトレイ排出指示ボタンG11を含んでいる。鑑別コントローラ120は、操作部112によってトレイ排出指示ボタンG11を選択する操作が操作者から受け付けられると、装置制御部130を介して撮影装置20に対してトレイ排出指示を出力する。撮影装置20において、ハードウェア制御部210は、トレイ排出指示の入力を受け付けると、トレイ排出口290からトレイが排出されるよう制御する。
【0041】
図4は、装置筐体220の外部に排出されたトレイの上面図である。
図4に示されるように、トレイ230は、スライドレール221に取り付けられており、スライドレール221が前後方向にスライドすることに伴って、装置筐体220から排出されたり装置筐体220に収容されたりする。
【0042】
トレイ230には、受け皿232が設けられている。受け皿232は、透明な材質によって構成されており、受け皿232の上に鑑別対象の薬剤が載置され得る。さらに、トレイ230には、トレイ位置検出ディテクタ231が設けられている。トレイ位置検出ディテクタ231は、後に説明するトレイ位置検出センサ240(
図10)によって検出される部位である。例えば、トレイ位置検出センサ240が光センサによって構成される場合、トレイ位置検出ディテクタ231は、遮光する材質によって構成されていればよい。
【0043】
鑑別コントローラ120は、撮影開始画面の表示部114による表示を制御する。
【0044】
図5は、撮影開始画面の例を示す図である。
図5を参照すると、撮影開始画面G20が示されている。撮影開始画面G20は、薬剤の種別としてバラ薬を選択する操作を受け付けるためのバラ薬選択ボタンG21、および、薬剤の種別として一包化薬を選択する操作を受け付けるための一包化薬選択ボタンG22を含んでいる。操作者は、鑑別対象の薬剤をトレイ230(
図4)の上に載置する。以下、
図6および
図7を参照しながら、バラ薬の載置について説明し、
図8および
図9を参照しながら一包化薬の載置について説明する。
【0045】
図6は、バラ薬が載置されたシャーレの上面図である。
図6に示されるように、シャーレ30は、不透明な材質によって構成される不透明材質エリア31と、透明な材質によって構成される透明材質エリア32とを備える。不透明材質エリア31は、透明材質エリア32が取り付け可能に構成されており、シャーレ30の枠を構成する。
【0046】
透明材質エリア32には、カプセル剤載置部材33aおよび33bが設けられており、カプセル剤載置部材33aおよび33bの間にカプセル剤M1を載置可能になっている。これにより、カプセル剤M1が安定してシャーレ30の上に載置され得る。同様に、カプセル剤載置部材33cおよび33dの間にカプセル剤を載置可能になっている。一方、錠剤M2は、転がりにくい形状を有しているため、透明材質エリア32のうちカプセル剤載置部材33a~33dが設けられていないエリアに載置され得る。なお、シャーレ30の上に載置されるカプセル剤M1および錠剤M2それぞれの個数は特に限定されない。
【0047】
図7は、シャーレ30がトレイ230の上に載置された状態を示す上面図である。
図7を参照すると、カプセル剤M1および錠剤M2が載置されたシャーレ30がトレイ230の受け皿232の上に載置されている。このように、鑑別対象の薬剤がバラ薬である場合、鑑別対象の薬剤は、シャーレ30の上に直接載置され、シャーレ30がトレイ230の受け皿232の上に直接載置されることにより、鑑別対象の薬剤がシャーレ30を介してトレイ230の上に載置され得る。
【0048】
図8は、一包化薬の外観例を示す図である。
図8に示されるように、一包化薬40は、カプセル剤M1および錠剤M2が透明な袋に包まれた状態で扱われる。すなわち、カプセル剤M1および錠剤M2は、透明な袋に包まれた状態で薬剤鑑別システム1によって鑑別され得る。なお、透明な袋に包まれるカプセル剤M1および錠剤M2それぞれの個数は特に限定されない。
【0049】
図9は、一包化薬がトレイ230の上に載置された状態を示す上面図である。
図9を参照すると、カプセル剤M1および錠剤M2が透明な袋に包まれた状態の一包化薬40がトレイ230の受け皿232の上に直接載置されている。このように、一包化薬40が鑑別される場合には、透明な袋に包まれた状態のまま、カプセル剤M1および錠剤M2が鑑別され得る。
【0050】
このようにして、装置筐体220の外部に露出されたトレイ230の上に、鑑別対象の薬剤が操作者によって載置され、操作部112によってバラ薬選択ボタンG21(
図5)または一包化薬選択ボタンG22(
図5)を選択する操作が操作者から受け付けられると、鑑別コントローラ120は、装置制御部130を介して撮影装置20に対して薬剤の種別を含んだ撮影開始指示を出力する出力部として機能する。撮影装置20において、ハードウェア制御部210は、撮影開始指示の入力を受け付けると、トレイ230が装置筐体220の内部に収容されるよう制御する。
【0051】
図10は、装置筐体220の外部から内部にトレイ230が搬送される様子を右側から見た側面図である。上記したように、トレイ230は、スライドレール221が後方向にスライドすることに伴って装置筐体220の内部に収容される。装置筐体220の内部には、トレイ230を検出するトレイ位置検出センサ240が設けられている。例えば、トレイ位置検出センサ240は、発光部および受光部によって構成される光センサであり、発光部によって発せられた光がトレイ位置検出ディテクタ231によって遮光され、受光部によって光が検出されなくなることによってトレイ230を検出する。軸242は、トレイ位置検出センサ240の軸を示している。
【0052】
また、装置筐体220の内部には、薬剤を撮影するカメラ250が設けられている。軸252は、カメラ250の光軸を示している。カメラ250は、上側カメラおよび下側カメラを含んでおり、上側カメラおよび下側カメラによってトレイ230の上に載置された薬剤の両面を撮影する。例えば、ハードウェア制御部210は、トレイ位置検出センサ240によってトレイ230が検出された後、トレイ230が所定の距離だけ装置筐体220の内部に搬送された位置を撮影位置とし、トレイ230の上に載置された薬剤が撮影位置において撮影されるように制御する。
【0053】
ハードウェア制御部210による鑑別対象の薬剤の撮影制御は、薬剤の種別によって異なる。撮影制御は、薬剤を撮影位置に向けて移動させる動作および撮影位置において薬剤をカメラ250に撮影させる動作の少なくともいずれか一つを含む。例えば、薬剤の種別がバラ薬である場合には、装置筐体220の内部の1箇所において薬剤の表面および裏面が撮影される。一方、薬剤の種別が一包化薬である場合には、装置筐体220の内部の3箇所それぞれにおいて薬剤の表面および裏面が撮影される。
【0054】
このように薬剤の種別によって撮影回数が異なるのは、以下に示す理由による。例えば、薬剤の種別が一包化薬である場合、袋の中においてカプセル剤の位置が定まっていないため、カプセル剤の刻印部分が真上または真下を向いていない可能性がある。そのため、薬剤の種別が一包化薬である場合、3箇所から薬剤を撮影することにより刻印部分を撮影できるようにするのが望ましい。なお、撮影箇所は必ずしも3箇所に限定されない。
【0055】
一方、薬剤の種別がバラ薬である場合、操作者は刻印部分を真上に向けてシャーレにカプセル剤を載置することができる。そのため、薬剤の種別がバラ薬である場合、1箇所から薬剤を撮影するだけでも刻印部分が確実に撮影され得る。
【0056】
図11は、撮影位置の例を示す図である。
図11を参照すると、装置筐体220の内部を搬送されるトレイ230-1~230-5を右側から見た側面図が示されている。また、
図11を参照すると、装置筐体220、トレイ位置検出センサの軸242、カメラの光軸である軸252が示されている。ここで、トレイ230-1は、装置筐体220から排出されたトレイ230を示している。
【0057】
トレイ230-2は、バラ薬の撮影位置まで搬送されたトレイを示している。鑑別対象の薬剤がバラ薬である場合には、トレイ230-2の位置(1箇所)において薬剤が撮影される。一方、トレイ230-3~230-5は、一包化薬の撮影位置まで搬送されたトレイを示している。鑑別対象の薬剤が一包化薬である場合には、トレイ230-3~230-5それぞれの位置(3箇所)において順に薬剤が撮影される。
【0058】
一方、制御装置10において、鑑別コントローラ120は、撮影装置20における撮影制御が開始された後に、撮影中画面の表示部114による表示を制御する。なお、撮影中画面の表示の制御の開始タイミングは、撮影装置20における撮影制御が開始される前であっても後であってもよい。すなわち、撮影中画面の表示の制御の開始タイミングが、撮影装置20における撮影制御が開始される前であっても、撮影装置20における撮影制御が開始された後にまで引き続き、撮影中画面が表示されるように制御されればよい。
【0059】
図12は、撮影中画面の例を示す図である。
図12を参照すると、撮影中画面G30が示されている。撮影中画面G30は、鑑別対象の薬剤の種別を変更する操作を受け付けるための種別変更ボタンG31(種別変更オブジェクト)、および、撮影制御を中断する操作を受け付けるための撮影中断ボタンG32(中断操作オブジェクト)を含んでいる。
【0060】
鑑別コントローラ120は、操作部112によって種別変更ボタンG31を選択する操作が操作者から受け付けられると、かかる操作が受け付けられたことに基づいて、装置制御部130を介して撮影装置20に対して種別が変更されたことを出力する。撮影装置20において、ハードウェア制御部210は、種別が変更されたことの入力を受け付けると、かかる入力を受け付けたことに基づいて薬剤の種別を変更し、変更後の種別に応じた薬剤の撮影制御を行う。
【0061】
鑑別コントローラ120は、操作部112によって撮影中断ボタンG32を選択する操作が操作者から受け付けられると、かかる操作が受け付けられたことに基づいて、装置制御部130を介して撮影装置20に対して撮影中断指示を出力する。撮影装置20において、ハードウェア制御部210は、撮影中断指示の入力を受け付けると、かかる入力を受け付けたことに基づいて薬剤の撮影制御を中断し、薬剤をトレイから取り出させるため、トレイ排出口290からトレイが排出されるよう制御する。そして、鑑別コントローラ120は、再び撮影開始画面の表示部114による表示を制御する。
【0062】
種別変更ボタンG31および撮影中断ボタンG32のいずれを選択する操作も入力されなかった場合には、撮影開始画面G20において選択された薬剤の種別に応じた薬剤の撮影制御が行われる。そして、ハードウェア制御部210は、トレイ230が装置筐体220の外部に排出されるように制御するとともに、薬剤が撮影された撮影画像を、装置制御部130を介して鑑別コントローラ120に出力する。鑑別コントローラ120は、薬剤の撮影画像を操作者に確認させるための撮影画像確認画面の表示部114による表示を制御する。
【0063】
図13は、撮影画像確認画面の例を示す図である。
図13を参照すると、撮影画像確認画面G40が示されている。撮影画像確認画面G40は、薬剤の撮影画像G43を含んでいる。さらに、撮影画像確認画面G40は、画像の撮り直しを指示する操作を入力するための再撮影ボタンG41および撮影画像を確定させる操作を入力するための確定ボタンG42を含んでいる。
【0064】
鑑別コントローラ120は、操作部112によって再撮影ボタンG41を選択する操作が操作者から受け付けられると、再び撮影開始画面の表示部114による表示を制御する。一方、鑑別コントローラ120は、操作部112によって確定ボタンG42を選択する操作が操作者から受け付けられると、薬剤の撮影画像を鑑別部150に出力して鑑別を依頼する。
【0065】
鑑別部150は、薬剤の撮影画像に基づいて薬剤を鑑別する。鑑別部150は、薬剤データベース170から薬剤ごとのデータベース画像の特徴を取得するとともに、撮影画像の特徴を抽出し、データベース画像と撮影画像との各組み合わせにおける特徴同士の類似度(以下、「類似スコア」とも言う。)を算出する。
【0066】
鑑別部150は、撮影画像との類似スコアが高いデータベース画像から順に高い順位を付する。このようにして付された順位は、鑑別対象の薬剤に対する鑑別結果に含まれる。すなわち、鑑別結果には、鑑別対象の薬剤に対応する複数の候補薬剤それぞれのID(薬剤ID)、および、各候補薬剤の類似スコアの順位(例えば、第1候補、第2候補、・・・、第N候補など)が少なくとも含まれ得る。
【0067】
鑑別部150は、このようにして得られた鑑別結果を鑑別コントローラ120に出力する。そして、鑑別コントローラ120は、薬剤の鑑別結果の表示部114による表示を制御する。
【0068】
以上、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の機能構成例について説明した。
【0069】
[1-3.薬剤鑑別システムの動作]
続いて、
図14を参照しながら(適宜
図1~
図13も参照しながら)、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の動作例について説明する。なお、ここでの動作例の説明では、撮影装置20によって撮影された画像を操作者が鑑別対象の画像として採用するまでの手順に着目する。また、以下の動作例において表示部114に表示される各種画面は、薬剤鑑別アプリケーションの機能によって表示され得る。
【0070】
図14は、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の動作例を説明するためのフローチャートである。
図14に示されたように、まず、制御装置10において、鑑別コントローラ120は、トレイの排出を指示する操作を受け付けるためのトレイ排出指示画面G10(
図3)の表示部114による表示を制御する(S11)。鑑別コントローラ120は、操作部112によってトレイ排出指示ボタンG11を選択する操作が操作者から受け付けられると、装置制御部130を介して撮影装置20に対してトレイ排出指示を出力する。
【0071】
撮影装置20において、ハードウェア制御部210は、トレイ排出指示の入力を受け付けると、トレイ排出口290からトレイが排出されるよう制御する(S12)。続いて、鑑別コントローラ120は、撮影開始画面G20(
図5)の表示部114による表示を制御する(S13)。
【0072】
操作者は、撮影開始画面G20に表示されている指示に従って、鑑別対象の薬剤をトレイの上に載置する。例えば、鑑別対象の薬剤の種別がバラ薬である場合には、操作者は、シャーレ30(
図6)の上に薬剤を載置し、薬剤が載置されたシャーレ30をトレイ230(
図7)の受け皿232の上に載置する。一方、鑑別対象の薬剤の種別が一包化薬である場合には、操作者は、一包化薬をトレイ230(
図9)の受け皿232の上に直接載置する。
【0073】
操作者は、鑑別対象の薬剤の種別に応じて、バラ薬選択ボタンG21(
図5)、または、一包化薬選択ボタンG22(
図5)を選択する操作を操作部112に入力する。操作部112によってバラ薬選択ボタンG21または一包化薬選択ボタンG22を選択する操作が操作者から受け付けられると、鑑別コントローラ120は、装置制御部130を介して撮影装置20に対して薬剤の種別を含んだ撮影開始指示を出力する。
【0074】
さらに、鑑別コントローラ120は、撮影中画面G30(
図12)の表示部114による表示を制御する(S14)。撮影中画面G30は、トレイが排出されるまでの間(すなわち、S41が完了するまでの間)、表示され続ける。これによって、操作者は、トレイが排出されるまでの間、撮影中画面G30に含まれる種別変更ボタンG31または撮影中断ボタンG32を選択する操作を入力することによって、鑑別対象の薬剤の種別変更または撮影制御の中断を行わせることが可能である。
【0075】
撮影装置20において、ハードウェア制御部210は、撮影開始指示の入力を受け付けると、トレイ230が装置筐体220の内部に収容されるよう制御する(S15)。
【0076】
撮影装置20において、ハードウェア制御部210は、撮影開始指示に含まれた薬剤の種別を判定する(S16)。より詳細に、ハードウェア制御部210は、薬剤の種別がバラ薬である場合には(S16において「バラ薬」)、S21に動作を移行させる。一方、ハードウェア制御部210は、薬剤の種別が一包化薬である場合には(S16において「一包化薬」)、S31に動作を移行させる。
【0077】
S21に動作が移行すると、ハードウェア制御部210は、薬剤の種別がバラ薬である場合における撮影制御の全体のうち、S22の種別変更判定までに行われる撮影制御(以下、「バラ薬撮影制御1」とも言う。)を行う(S21)。そして、S22に動作が移行される。ここでは、バラ薬撮影制御1が、トレイ230(
図11)をトレイ230-2の位置まで移動させる動作を含む場合を想定する。しかし、後にも説明するように、バラ薬撮影制御1が含む動作は、かかる動作に限定されない。
【0078】
S31に動作が移行すると、ハードウェア制御部210は、薬剤の種別が一包化薬である場合における撮影制御の全体のうち、S32の種別変更判定までに行われる撮影制御(以下、「一包化薬撮影制御1」とも言う。)を行う(S31)。そして、S32に動作が移行される。ここでは、一包化薬撮影制御1が、トレイ230(
図11)をトレイ230-3の位置まで移動させる動作、トレイ230-3の位置において薬剤が撮影されるようにカメラを制御する動作、および、トレイ230をトレイ230-4の位置まで移動させる動作を含む場合を想定する。しかし、後にも説明するように、一包化薬撮影制御1が含む動作は、かかる動作に限定されない。
【0079】
S22に動作が移行すると、鑑別コントローラ120は、種別変更判定を行う(S22)。すなわち、鑑別コントローラ120は、操作部112によって種別変更ボタンG31(
図12)を選択する操作が操作者から受け付けられた場合(S22において「YES」)、装置制御部130を介して撮影装置20に対して種別が変更されたことを出力する。かかる判定によって種別変更が簡単に行われ得る。撮影装置20において、ハードウェア制御部210は、種別が変更されたことの入力を受け付けると、かかる入力を受け付けたことに基づいて薬剤の種別を変更し、変更後の種別に応じたS31の動作に移行する。
【0080】
なお、S31では、一包化薬撮影制御1として、トレイ230(
図11)をトレイ230-3の位置まで移動させる動作が行われるが、S21において既にトレイ230がトレイ230-2の位置まで移動している場合は、トレイ230-2の位置からトレイ230-3の位置まで移動させる動作を行う。トレイ230を排出してから撮影開始画面G20(
図5)において種別を選択し直す一般的な技術では、装置筐体220の外部に一度排出されたトレイ230をトレイ230-3の位置まで移動させる必要があったことに比べると、処理時間の短縮が期待され得る。
【0081】
一方、鑑別コントローラ120は、操作部112によって種別変更ボタンG31(
図12)を選択する操作が操作者から受け付けられない場合(S22において「NO」)、S23に動作を移行させる。
【0082】
S32に動作が移行すると、鑑別コントローラ120は、種別変更判定を行う(S32)。すなわち、鑑別コントローラ120は、操作部112によって種別変更ボタンG31(
図12)を選択する操作が操作者から受け付けられた場合(S32において「YES」)、装置制御部130を介して撮影装置20に対して種別が変更されたことを出力する。かかる判定によって種別変更が簡単に行われ得る。撮影装置20において、ハードウェア制御部210は、種別が変更されたことの入力を受け付けると、かかる入力を受け付けたことに基づいて薬剤の種別を変更し、変更後の種別に応じたS21の動作に移行する。
【0083】
なお、S21では、バラ薬撮影制御1として、トレイ230(
図11)をトレイ230-2の位置まで移動させる動作が行われるが、S31において既にトレイ230がトレイ230-4の位置まで移動している場合は、トレイ230-4の位置からトレイ230-2の位置まで移動させる動作を行う。トレイ230を排出してから撮影開始画面G20(
図5)において種別を選択し直す一般的な技術では、装置筐体220の外部に一度排出されたトレイ230をトレイ230-2の位置まで移動させる必要があったことに比べると、処理時間の短縮が期待され得る。
【0084】
一方、鑑別コントローラ120は、操作部112によって種別変更ボタンG31(
図12)を選択する操作が操作者から受け付けられない場合(S32において「NO」)、S33に動作を移行させる。
【0085】
S23に動作が移行すると、鑑別コントローラ120は、撮影中断判定を行う(S23)。すなわち、鑑別コントローラ120は、操作部112によって撮影中断ボタンG32(
図12)を選択する操作が操作者から受け付けられた場合(S23において「YES」)、装置制御部130を介して撮影装置20に対して撮影中断指示を出力する。撮影中断は、種別変更と異なり、トレイ230を装置筐体220の外部に排出する。そのため、撮影中断は、トレイ230に載置する薬剤を誤ってしまい薬剤をトレイ230に載置し直したい場合などに好適である。
【0086】
撮影装置20において、ハードウェア制御部210は、撮影中断指示の入力を受け付けた場合、薬剤の撮影制御を中断し、薬剤をトレイから取り出させるため、トレイ排出口290からトレイが排出されるよう制御する(S24)。そして、S13に動作が移行される。
【0087】
一方、鑑別コントローラ120は、操作部112によって撮影中断ボタンG32(
図12)を選択する操作が操作者から受け付けられない場合(S23において「NO」)、S25に動作を移行させる。
【0088】
S33に動作が移行すると、鑑別コントローラ120は、撮影中断判定を行う(S33)。すなわち、鑑別コントローラ120は、操作部112によって撮影中断ボタンG32(
図12)を選択する操作が操作者から受け付けられた場合(S33において「YES」)、装置制御部130を介して撮影装置20に対して撮影中断指示を出力する。
【0089】
撮影装置20において、ハードウェア制御部210は、撮影中断指示の入力を受け付けた場合、薬剤の撮影制御を中断し、薬剤をトレイから取り出させるため、トレイ排出口290からトレイが排出されるよう制御する(S34)。そして、S13に動作が移行される。
【0090】
一方、鑑別コントローラ120は、操作部112によって撮影中断ボタンG32(
図12)を選択する操作が操作者から受け付けられない場合(S33において「NO」)、S35に動作を移行させる。
【0091】
S25に動作が移行すると、ハードウェア制御部210は、薬剤の種別がバラ薬である場合における撮影制御の全体のうち、S21のバラ薬撮影制御1の続きから最後までに行われる撮影制御(以下、「バラ薬撮影制御2」とも言う。)を行う(S25)。そして、S41に動作が移行される。ここでは、バラ薬撮影制御2が、S21のバラ薬撮影制御1によってトレイ230-2(
図11)の位置に停止しているトレイ230に載置された薬剤が撮影されるようにカメラを制御する動作を含む場合を想定する。しかし、後にも説明するように、バラ薬撮影制御2が含む動作は、かかる動作に限定されない。
【0092】
S35に動作が移行すると、ハードウェア制御部210は、薬剤の種別が一包化薬である場合における撮影制御の全体のうち、S31の一包化薬撮影制御1の続きから最後までに行われる撮影制御(以下、「一包化薬撮影制御2」とも言う。)を行う(S35)。そして、S41に動作が移行される。ここでは、一包化薬撮影制御2が、S31の一包化薬撮影制御1によってトレイ230-4(
図11)の位置に停止しているトレイ230に載置された薬剤が撮影されるようにカメラを制御する動作、トレイ230をトレイ230-5の位置まで移動させる動作、および、トレイ230-5の位置において薬剤が撮影されるようにカメラを制御する動作を含む場合を想定する。しかし、後にも説明するように、一包化薬撮影制御2が含む動作は、かかる動作に限定されない。
【0093】
ハードウェア制御部210は、トレイ230が装置筐体220の外部に排出されるように制御するとともに(S41)、薬剤が撮影された撮影画像を、装置制御部130を介して鑑別コントローラ120に出力する。鑑別コントローラ120は、薬剤の撮影画像を操作者に確認させるための撮影画像確認画面G40(
図13)の表示部114による表示を制御する(S42)。操作者は、表示された撮影画像を確認し、撮影画像を鑑別に使う画像として採用する場合には、確定ボタンG42を選択する操作を入力し、画像を取り直させたい場合には、再撮影ボタンG41を選択する操作を入力する。
【0094】
鑑別コントローラ120は、撮り直し判定を行う(S43)。すなわち、鑑別コントローラ120は、操作部112によって再撮影ボタンG41を選択する操作が操作者から受け付けられると、S13に動作を移行させる。一方、鑑別コントローラ120は、操作部112によって確定ボタンG42を選択する操作が操作者から受け付けられると、薬剤の撮影画像を鑑別部150に出力して鑑別を依頼する。
【0095】
以上、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の動作例について説明した。
【0096】
[1-3.第1の実施形態の効果]
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システム1によれば、操作者は撮影制御の開始後に薬剤の種別を変更したい場合、撮影中画面の種別変更ボタンを押すだけでよい。そのため、薬剤の撮影が完了し、トレイが装置筐体の外部に排出されるのを待った後に撮り直し指示を出し、正しい種別を選択し直すといった操作が必要なくなる。
【0097】
また、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システム1によれば、薬剤の種別の変更のみならずトレイの上に載置された薬剤を置き替えて撮影し直したい場合などには、撮影中断ボタンを押して撮影を中断させることも可能である。これにより、操作者の作業が単純になり、さらに撮影が完了するのを待つ必要がなくなるので作業時間の短縮が期待される。
【0098】
[1-4.第1の実施形態の変形例]
上記した例では、
図14に示されるように、バラ薬撮影制御1(S21)とバラ薬撮影制御2(S25)との間に、種別変更判定(S22)および撮影中断判定(S23)が行われ、一包化薬撮影制御1(S31)と一包化薬撮影制御1(S35)との間に、種別変更判定(S32)および撮影中断判定(S33)が行われる場合について主に説明した。しかし、種別変更判定および撮影中断判定が行われるタイミングは、かかる例に限定されない。
【0099】
例えば、種別変更判定および撮影中断判定は、撮影制御に含まれる段階ごとに行われてもよい。これによって、操作者による種別変更の指示または撮影中断の指示がよりタイムリーに反映され、処理時間の短縮が期待される。
【0100】
すなわち、薬剤の種別がバラ薬である場合、種別変更判定および撮影中断判定は、トレイ230-2(
図11)の位置にトレイ230が移動した後、および、トレイ230-2の位置において薬剤が撮影された後のそれぞれに行われてもよい。
【0101】
一方、薬剤の種別が一包化薬である場合、種別変更判定および撮影中断判定は、トレイ230-3の位置にトレイ230が移動した後、トレイ230-3の位置において薬剤が撮影された後、トレイ230-4の位置にトレイ230が移動した後、トレイ230-4の位置において薬剤が撮影された後、トレイ230-5の位置にトレイ230が移動した後、および、トレイ230-5の位置において薬剤が撮影された後のそれぞれに行われてもよい。
【0102】
あるいは、種別変更判定および撮影中断判定は、撮影制御が終わった後に行われてもよい。
【0103】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0104】
<2.第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の構成例を示す図として、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の構成例を示す図(
図1)を用いる。
【0105】
[2-1.薬剤鑑別システムの機能構成]
まず、本発明の第2の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の機能構成例について説明する。本発明の第2の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の機能構成例を示す図として、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の機能構成例を示す図(
図2)を用いる。以下では、本発明の第2の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の機能のうち、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の機能と異なる機能について主に説明する。
【0106】
本発明の第1の実施形態においては、撮影開始画面G20(
図5)においてバラ薬選択ボタンG21および一包化薬選択ボタンG22のいずれが選択されたかに応じて、薬剤の種別が認識される場合を主に説明した。一方、本発明の第2の実施形態においては、薬剤が一包化薬である場合には、薬剤がトレイ230(
図9)に直接載置され、薬剤がバラ薬である場合には、薬剤がシャーレ30(
図7)を介してトレイ230に直接載置されることに着眼する。
【0107】
すなわち、ハードウェア制御部210は、所定の検出データに基づいて、鑑別対象の薬剤がトレイ230(
図9)に直接載置されているかシャーレ30(
図7)を介してトレイ230に載置されているかを認識することにより薬剤の種別を認識する認識部として機能する。これによって、操作者による薬剤の種別を選択する操作の誤りがなくなり、作業の正確性の向上および作業効率の向上が期待される。
【0108】
後の変形例において説明するように、検出データとしては様々な種類のデータが使用され得るが、ここでは、検出データとして、カメラ250(
図10)によって撮影された画像データが使用される場合を主に想定する。以下では、このような薬剤の種別の認識について詳細に説明する。
【0109】
本発明の第1の実施形態と同様に、鑑別コントローラ120は、トレイ排出指示画面G10(
図3)の表示部114による表示を制御し、鑑別コントローラ120は、操作部112によってトレイ排出指示ボタンG11を選択する操作が操作者から受け付けられると、装置制御部130を介して撮影装置20に対してトレイ排出指示を出力する。撮影装置20において、ハードウェア制御部210は、トレイ排出指示の入力を受け付けると、トレイ排出口290からトレイが排出されるよう制御する。
【0110】
鑑別コントローラ120は、撮影開始画面の表示部114による表示を制御する。
【0111】
図15は、撮影開始画面の例を示す図である。
図15を参照すると、撮影開始画面G50が示されている。本発明の第1の実施形態においては、撮影開始画面G20(
図5)にバラ薬選択ボタンG21および一包化薬選択ボタンG22が含まれていたが、本発明の第2の実施形態においては、バラ薬選択ボタンG21および一包化薬選択ボタンG22の代わりに、撮影開始ボタンG51が撮影開始画面G50に含まれている。
【0112】
装置筐体220の外部に露出されたトレイ230の上に、鑑別対象の薬剤が操作者によって載置され、操作部112によって撮影開始ボタンG51を選択する操作が操作者から受け付けられると、鑑別コントローラ120は、装置制御部130を介して撮影装置20に対して撮影開始指示を出力する。このとき、撮影開始指示には、薬剤の種別が含まれていなくてよい。
【0113】
撮影装置20において、ハードウェア制御部210は、撮影開始指示の入力を受け付けると、トレイ230が装置筐体220の内部に収容されるよう制御する。ハードウェア制御部210は、カメラ250(
図10)によって撮影可能な位置にトレイ230を移動させ、カメラ250によってトレイ230が撮影されるようにカメラ250を制御する。
【0114】
ハードウェア制御部210は、カメラ250による撮影によって得られた画像データに基づいて、鑑別対象の薬剤がトレイ230(
図9)に直接載置されているかシャーレ30(
図7)を介してトレイ230に載置されているかを認識することにより薬剤の種別を認識する。以下では、画像データに基づいて薬剤の種別を認識する手法の例について説明する。
【0115】
図16は、画像データに基づいて薬剤の種別を認識する手法の例について説明するための図である。
【0116】
鑑別対象の薬剤がバラ薬である場合には、
図16に示されるように、トレイ230の受け皿232の上にシャーレ30が載置されるため、透明な材質によって構成された受け皿232のうち、
図16において斜線で示されたエリアR1がシャーレ30の不透明材質エリア31によって覆われる。一方、鑑別対象の薬剤が一包化薬である場合には、トレイ230の受け皿232の上に一包化薬が直接載置されるため、
図16において斜線で示されたエリアR1の大部分が不透明な材質によって覆われることはない。
【0117】
そこで、鑑別コントローラ120は、透明な材質によって構成された受け皿232のうち、シャーレ30の不透明材質エリア31によって覆われるエリアR1の位置をあらかじめ把握しておき、画像データにおいてエリアR1が不透明な材質によって覆われているか(例えば、輝度が閾値より低いか否か)を認識することにより、鑑別対象の薬剤の種別がバラ薬であるか一包化薬であるかを認識すればよい。その後、本発明の第1の実施形態と同様に、ハードウェア制御部210によって、薬剤の種別に応じた薬剤の撮影制御が行われる。
【0118】
以上、本発明の第2の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の機能構成例について説明した。
【0119】
[2-2.薬剤鑑別システムの動作]
続いて、本発明の第2の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の動作例について説明する。ここでも、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の動作例の説明に用いた
図14を用いて説明する。まず、本発明の第1の実施形態と同様に、
図14に示したS11~S12が実行される。鑑別コントローラ120は、撮影開始画面G50(
図15)の表示部114による表示を制御する(S13)。
【0120】
操作者は、撮影開始画面G50に表示されている指示に従って、鑑別対象の薬剤をトレイの上に載置する。操作者は、鑑別対象の薬剤の種別に関わらず、撮影開始ボタンG51を選択する操作を操作部112に入力する。操作部112によって撮影開始ボタンG51を選択する操作が操作者から受け付けられると、鑑別コントローラ120は、装置制御部130を介して撮影装置20に対して撮影開始指示を出力する。
【0121】
本発明の第1の実施形態と同様に、
図14に示したS14~S15が実行される。
【0122】
ハードウェア制御部210は、カメラ250(
図10)によって撮影可能な位置にトレイ230を移動させ、カメラ250によってトレイ230が撮影されるようにカメラ250を制御する。ここで、トレイ230を撮影する位置は特に限定されない。例えば、トレイ230を撮影する位置は、バラ薬を撮影する撮影位置であってもよいし、一包化薬を撮影する最初の撮影位置であってもよい。
【0123】
ハードウェア制御部210は、画像データに基づいて、鑑別対象の薬剤がトレイ230(
図9)に直接載置されているかシャーレ30(
図7)を介してトレイ230に載置されているかを認識することにより薬剤の種別を認識する(S16)。一例として、ハードウェア制御部210は、画像データにおいてエリアR1(
図16)が不透明な材質によって覆われているかを認識することにより、鑑別対象の薬剤の種別がバラ薬であるか一包化薬であるかを認識する。
【0124】
ハードウェア制御部210によって鑑別対象の薬剤の種別がバラ薬であると認識された場合には、S21に動作が移行される。一方、ハードウェア制御部210によって鑑別対象の薬剤の種別が一包化薬であると認識された場合には、S31に動作が移行される。以降の動作は、本発明の第1の実施形態と同様に実行される。
【0125】
以上、本発明の第2の実施形態に係る薬剤鑑別システム1の動作例について説明した。
【0126】
[2-3.第2の実施形態の効果]
以上に説明したように、鑑別対象の薬剤の種別が薬剤鑑別システム1によって認識される。これによって、操作者による薬剤の種別を選択する操作の誤りがなくなり、作業の正確性の向上および作業効率の向上が期待される。
【0127】
[2-4.第2の実施形態の変形例]
上記した例では、薬剤の種別の認識に使用される検出データの例として画像データが使用される場合について主に説明した。しかし、検出データは、画像データに限定されない。
【0128】
例えば、検出データは、光センサによって検出されたセンサデータなどであってもよい。このとき、ハードウェア制御部210は、S15(
図14)においてトレイ230が装置筐体220の内部に収容されたときに、光センサによって検出されたエリアR1のセンサデータを取得し、センサデータにおいてエリアR1が不透明な材質によって覆われているか(例えば、遮光されているか否か)を認識することにより、鑑別対象の薬剤の種別がバラ薬であるか一包化薬であるかを認識してもよい。
【0129】
なお、トレイ位置検出センサ240が光センサによって構成される場合には、光センサとしてトレイ位置検出センサ240が使用されてもよい。
【0130】
あるいは、検出データは、トレイ230に設けた重量センサによって計測された重量データなどであってもよい。このとき、S12(
図14)においてトレイ230が装置筐体220の外部に排出されたときに、トレイ230に載置されている物体の重量が重量センサによって計測され、ハードウェア制御部210は、トレイ230に載置されている物体の重量がシャーレ30の重量に該当するか(例えば、閾値を超えるか)否かに応じて、鑑別対象の薬剤の種別がバラ薬であるか一包化薬であるかを認識してもよい。
【0131】
なお、ハードウェア制御部210は、シャーレ30の重量が計測され始めてから所定の時間が経過した場合に、自動的にトレイ230を装置筐体220の内部に収容し、薬剤の撮影制御を開始してもよい。これによって、薬剤の種別がバラ薬である場合には、トレイ230にシャーレ30を載置するだけで薬剤の撮影制御が開始するため、操作者が撮影開始ボタンG51を選択する操作を入力する必要がなくなり、さらなる操作の簡略化が可能となる。なお、操作者による薬剤の載置は、S12(
図14)でトレイを排出した後、S13において表示した
図15のG51が押下されるまでに行われる。重量センサによる計測は、G51が押下された後、S15が開始される段階で実行されてもよい。
【0132】
また、上記では、画像データに基づいて薬剤の種別を認識する場合について主に説明した。このとき、ハードウェア制御部210は、薬剤の種別を認識するとともに、画像データに基づいて薬剤が正しく載置されているか否かを判定してもよい。
【0133】
ハードウェア制御部210は、薬剤が正しく載置されていないと判定した場合には、トレイ230を装置筐体220の外部に排出してもよい。そして、鑑別コントローラ120は、薬剤を正しく載置することを促す指示を薬剤鑑別アプリケーションの機能によって表示部114に表示させてもよい。
【0134】
なお、薬剤が正しく載置されていない状態は、バラ薬撮影用のシャーレ30の上に一包化薬が載置されている状態であってもよいし、トレイ230の上に(シャーレ30を介さずに)直接バラ薬が載置されている状態であってもよい。あるいは、薬剤が正しく載置されていない状態は、カプセル剤載置部材33a(
図6)および33bの間、および、カプセル剤載置部材33cおよび33dの間以外の箇所にカプセル剤が載置されている状態であってもよいし、カプセル剤載置部材33a~33dが設けられているエリアに錠剤が載置されている状態であってもよい。
【0135】
また、上記では、
図14に示した種別変更判定S22およびS32が行われる場合について主に説明した。しかし、本発明の第2の実施形態においては、薬剤の種別が薬剤鑑別システム1によって行われるため、薬剤の種別が誤って認識されることはなくなり、操作者が薬剤の種別を変更する必要がなくなることが想定される。したがって、
図14に示した種別変更判定S22およびS32は行われなくてもよい。
【0136】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
【0137】
<3.第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0138】
[3-1.薬剤鑑別システムの構成]
まず、本発明の第3の実施形態に係る薬剤鑑別システムの構成例について説明する。以下では、本発明の第3の実施形態に係る薬剤鑑別システムの構成のうち、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システム1と異なる構成について主に説明する。
【0139】
図17は、本発明の第3の実施形態に係る薬剤鑑別システムの構成例を示す図である。
図17に示されたように、本発明の第3の実施形態に係る薬剤鑑別システム2は、制御装置10と、撮影装置22とを備える。また、撮影装置22は、タッチセンサ280を備える。なお、
図17に示された例では、装置筐体220にタッチセンサ280が設けられているが、タッチセンサ280が設けられる位置は、装置筐体220に限定されない。例えば、タッチセンサ280は、装置筐体220と有線または無線を介して接続されていてもよい。
【0140】
[3-2.薬剤鑑別システムの機能構成]
続いて、本発明の第3の実施形態に係る薬剤鑑別システム2の機能構成例について説明する。以下では、本発明の第3の実施形態に係る薬剤鑑別システム2の機能のうち、本発明の第1の実施形態に係る薬剤鑑別システム1に対して追加される機能について主に説明する。
【0141】
図18は、本発明の第3の実施形態に係る薬剤鑑別システム2の機能構成例を示す図である。
図18に示されたように、薬剤鑑別システム2は、制御装置10と、撮影装置22とを備える。撮影装置22は、撮影装置20(
図2)と比較し、タッチセンサドライバ260を備える。
【0142】
タッチセンサドライバ260は、撮影装置22の図示しない制御部によって実現され得る。図示しない制御部は、CPU(Central Processing Unit)などを含み、不揮発性の記憶装置により記憶されているプログラムがCPUによりRAM(Random Access Memory)に展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、図示しない制御部は、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
【0143】
本発明の第1の実施形態と同様に、鑑別コントローラ120は、トレイ排出指示画面G10(
図3)の表示部114による表示を制御する。鑑別コントローラ120は、操作部112によってトレイ排出指示ボタンG11を選択する操作が操作者から受け付けられると、装置制御部130を介して撮影装置22に対してトレイ排出指示を出力する。撮影装置22において、ハードウェア制御部210は、トレイ排出指示の入力を受け付けると、トレイ排出口290からトレイ230が排出されるよう制御する。
【0144】
操作者は、鑑別対象の薬剤をトレイ230の上に載置した後、タッチセンサ280に対して操作を入力する。以下の説明においては、操作者によってタッチセンサ280に入力される操作が、薬剤の種別と、薬剤を継続撮影および継続鑑別するか否かとの双方を指定する操作である場合を主に想定する。しかし、操作者によってタッチセンサ280に入力される操作は、薬剤の種別と、薬剤を継続撮影および継続鑑別するか否かとの一方を指定する操作であってもよい。
【0145】
なお、継続撮影は、トレイ230に現在載置されている薬剤の撮影に引き続いて、次の薬剤(第2の薬剤)を撮影することである。すなわち、次に撮影される薬剤が存在することを継続撮影が有るとも言い、次に撮影される薬剤が存在しないことを継続撮影が無いとも言う。
【0146】
継続鑑別は、トレイ230に現在載置されている薬剤の鑑別に引き続いて、次の薬剤(第2の薬剤)を鑑別することである。すなわち、次に鑑別される薬剤が存在することを継続鑑別が有るとも言い、次に鑑別される薬剤が存在しないことを継続鑑別が無いとも言う。
【0147】
タッチセンサドライバ260は、タッチセンサ280に対する操作者からの入力操作に基づいて、トレイ230に現在載置されている薬剤(第1の薬剤)の種別を認識する認識部として機能する。さらに、タッチセンサドライバ260は、タッチセンサ280に対する操作者からの入力操作に基づいて、継続撮影および継続鑑別の有無を認識する。
【0148】
図19は、タッチセンサ280に対する操作の意味の例を説明するための図である。
図19を参照すると、タッチセンサ280への操作と、タッチセンサ280への操作の意味(すなわち、薬剤の種別、継続撮影および継続鑑別の有無)とが対応付けられている。タッチセンサドライバ260は、
図19に示された、タッチセンサ280への操作とタッチセンサ280への操作の意味との対応関係と、タッチセンサ280に対する操作とに基づいて、薬剤の種別と継続撮影および継続鑑別の有無とを認識する。
【0149】
タッチセンサドライバ260は、認識した薬剤の種別と継続撮影および継続鑑別の有無とをハードウェア制御部210に出力する。その後、ハードウェア制御部210は、トレイ230が装置筐体220の内部に収容されるよう制御する。そして、本発明の第1の実施形態と同様に、ハードウェア制御部210によって、薬剤の種別に応じた薬剤の撮影制御が行われる。
【0150】
ハードウェア制御部210は、薬剤の撮影制御が終わると、トレイ230が装置筐体220の外部に排出されるように制御するとともに、薬剤が撮影された撮影画像を、装置制御部130を介して鑑別コントローラ120に出力する。鑑別コントローラ120は、薬剤の撮影画像を鑑別部150に出力して鑑別を依頼する。
【0151】
鑑別コントローラ120は、タッチセンサドライバ260によって継続撮影および継続鑑別が無いと認識された場合には、鑑別部150によって鑑別されて得られた鑑別結果の表示部114による表示を制御する。一方、ハードウェア制御部210は、タッチセンサドライバ260によって継続撮影および継続鑑別が有ると認識された場合には、継続撮影および継続鑑別が有ると認識されたことに基づいて、トレイ排出口290からトレイが排出されるよう制御する。
【0152】
トレイ排出口290からトレイが排出されると、操作者は、次の薬剤をトレイに載置し、同じようにタッチセンサ280に対して、薬剤の種別と、薬剤を継続撮影および継続鑑別するか否かとの双方を指定する操作を入力する。そして、ハードウェア制御部210によって、次の薬剤の撮影制御が実行される。以降は、薬剤鑑別システム1によって同様の動作が繰り返し実行される。
【0153】
以上、本発明の第3の実施形態に係る薬剤鑑別システム2の機能構成例について説明した。
【0154】
[3-3.第3の実施形態の効果]
以上に説明したように、本発明の第3の実施形態に係る薬剤鑑別システム2によれば、操作者は、鑑別対象の薬剤の種別を指定する操作を、撮影装置22に設けられたタッチセンサ280に入力することが可能である。そのため、操作者は、撮影装置22のトレイ230に薬剤を載置した後、撮影装置22から制御装置10に戻り、制御装置10の操作部112に薬剤の種別を選択する操作を入力する手間がなくなる。これによって、操作者の利便性が向上するとともに、作業時間の短縮が期待される。
【0155】
さらに、本発明の第3の実施形態に係る薬剤鑑別システム2によれば、操作者は、継続撮影および継続鑑別の有無を指定する操作を、撮影装置22に設けられたタッチセンサ280に入力することが可能である。そのため、操作者は、撮影装置22のトレイ230に薬剤を載置した後、撮影装置22から制御装置10に戻り、制御装置10の操作部112に継続撮影および継続鑑別の有無を指定する操作を入力する手間がなくなる。これによって、操作者の利便性が向上するとともに、作業時間の短縮が期待される。
【0156】
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
【0157】
<4.第4の実施形態>
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。本発明の第4の実施形態に係る薬剤鑑別システム2の構成例を示す図として、本発明の第3の実施形態に係る薬剤鑑別システム2の構成例を示す図(
図17)を用いる。
【0158】
[4-1.薬剤鑑別システムの機能構成]
まず、本発明の第4の実施形態に係る薬剤鑑別システム2の機能構成例について説明する。本発明の第4の実施形態に係る薬剤鑑別システム2の機能構成例を示す図として、本発明の第3の実施形態に係る薬剤鑑別システム2の機能構成例を示す図(
図18)を用いる。以下では、本発明の第4の実施形態に係る薬剤鑑別システム2の機能のうち、本発明の第3の実施形態に係る薬剤鑑別システム2の機能と異なる機能について主に説明する。
【0159】
本発明の第3の実施形態においては、タッチセンサドライバ260が、タッチセンサ280に対する操作者からの入力操作に基づいて、トレイ230に現在載置されている薬剤(第1の薬剤)の種別を認識する場合を主に説明した。一方、本発明の第4の実施形態においては、シャーレに設けられた部位(以下、「薬剤種別判定ディテクタ」とも言う。)が検出されるか否かに基づいて、トレイ230に現在載置されている薬剤の種別を認識する。
【0160】
図20は、薬剤種別判定ディテクタが設けられたシャーレの上面図である。
図20を参照すると、シャーレ30に薬剤種別判定ディテクタ233が設けられている。また、トレイ230にはトレイ位置検出ディテクタ231も設けられている。薬剤種別判定ディテクタ233は、トレイ位置検出ディテクタ231と同様に、トレイ位置検出センサ240(
図10)によって検出される部位である。例えば、トレイ位置検出センサ240が光センサによって構成される場合、薬剤種別判定ディテクタ233は、遮光する材質によって構成されていればよい。
【0161】
トレイ位置検出ディテクタ231および薬剤種別判定ディテクタ233それぞれが設けられる位置は限定されない。ただし、トレイ位置検出ディテクタ231および薬剤種別判定ディテクタ233は、トレイ位置検出センサ240によって両方が検出されるように、前後方向にずれた位置に設けられているのが望ましい。さらに、トレイ位置検出ディテクタ231および薬剤種別判定ディテクタ233は、トレイ位置検出センサ240によって連続的に検出されるように、真上から見て前後方向に間隔を空けずに設けられているのが望ましい。
【0162】
本発明の第3の実施形態と同様に、鑑別コントローラ120は、トレイ排出指示画面G10(
図3)の表示部114による表示を制御する。鑑別コントローラ120は、操作部112によってトレイ排出指示ボタンG11を選択する操作が操作者から受け付けられると、装置制御部130を介して撮影装置22に対してトレイ排出指示を出力する。撮影装置22において、ハードウェア制御部210は、トレイ排出指示の入力を受け付けると、トレイ排出口290からトレイが排出されるよう制御する。
【0163】
操作者は、鑑別対象の薬剤をトレイ230の上に載置した後、タッチセンサ280に対して操作を入力する。本発明の第4の実施形態においては、操作者によってタッチセンサ280に入力される操作が、薬剤を継続撮影および継続鑑別するか否かを指定する操作である。
【0164】
タッチセンサドライバ260は、タッチセンサ280に対する操作者からの入力操作に基づいて、継続撮影および継続鑑別の有無を認識する認識部として機能する。
【0165】
図21は、タッチセンサ280に対する操作の意味の例を説明するための図である。
図21を参照すると、タッチセンサ280への操作と、タッチセンサ280への操作の意味(すなわち、継続撮影および継続鑑別の有無)とが対応付けられている。タッチセンサドライバ260は、
図21に示された、タッチセンサ280への操作とタッチセンサ280への操作の意味との対応関係と、タッチセンサ280に対する操作とに基づいて、継続撮影および継続鑑別の有無を認識する。
【0166】
タッチセンサドライバ260は、認識した継続撮影および継続鑑別の有無をハードウェア制御部210に出力する出力部として機能する。その後、ハードウェア制御部210は、トレイ230が装置筐体220の内部に収容されるよう制御する。このトレイ230が装置筐体220の内部に移動しているときに、ハードウェア制御部210は、薬剤種別判定ディテクタ233が検出されたか否かに基づいて、トレイ230に載置された薬剤の種別を認識する認識部として機能する。
【0167】
図22は、一包化薬が直接載置されたトレイ230が移動する様子を示す側面図である。
図22を参照すると、トレイ位置検出ディテクタ231がトレイ230に存在している。一方、一包化薬はトレイ230に直接載置されるため、トレイ230にシャーレ30は載置されておらず、シャーレ30に設けられた薬剤種別判定ディテクタ233はトレイ230とともに移動していない。
【0168】
かかる場合においては、トレイ位置検出センサ240によって遮光が検出される時間(以下、「トレイ位置検出センサ240がONになる時間」とも言う。)は、時系列データF1に示されるように、トレイ位置検出ディテクタ231の検出時間(より詳細には、トレイ位置検出ディテクタ231の前後方向の幅に対応する時間)となる。したがって、トレイ位置検出センサ240がONになる時間は、比較的短い時間である。
【0169】
図23は、バラ薬がシャーレを介して載置されたトレイ230が移動する様子を示す側面図である。
図23を参照すると、トレイ位置検出ディテクタ231がトレイ230に存在している。さらに、バラ薬はシャーレを介してトレイ230に載置されるため、シャーレ30に設けられた薬剤種別判定ディテクタ233もトレイ230とともに移動している。
【0170】
かかる場合においては、トレイ位置検出センサ240がONになる時間は、時系列データF2に示されるように、トレイ位置検出ディテクタ231および薬剤種別判定ディテクタ233の検出時間(より詳細には、トレイ位置検出ディテクタ231および薬剤種別判定ディテクタ233の前後方向の幅の合計に対応する時間)となる。したがって、トレイ位置検出センサ240がONになる時間は、比較的長い時間である。
【0171】
ハードウェア制御部210は、トレイ位置検出センサ240がONになる時間が、トレイ位置検出ディテクタ231の検出時間と合致するか、トレイ位置検出ディテクタ231および薬剤種別判定ディテクタ233の検出時間に合致するかに基づいて、薬剤の種別を判定する。
【0172】
より詳細に、ハードウェア制御部210は、トレイ位置検出センサ240がONになる時間が、トレイ位置検出ディテクタ231の検出時間と合致する場合には、トレイ230に載置された薬剤が一包化薬であると判定する。一方、ハードウェア制御部210は、トレイ位置検出センサ240がONになる時間が、トレイ位置検出ディテクタ231の検出時間および薬剤種別判定ディテクタ233の検出時間の合計に合致する場合には、トレイ230に載置された薬剤がバラ薬であると判定する。
【0173】
そして、本発明の第3の実施形態と同様に、ハードウェア制御部210によって、薬剤の種別に応じた薬剤の撮影制御が行われる。以降の動作は、本発明の第3の実施形態と同様に実行される。
【0174】
以上、本発明の第4の実施形態に係る薬剤鑑別システム2の機能構成例について説明した。
【0175】
[4-3.第4の実施形態の効果]
以上に説明したように、本発明の第4の実施形態に係る薬剤鑑別システム2によれば、シャーレに設けられた薬剤種別判定ディテクタ233が検出されるか否かに応じて、トレイに載置された薬剤の種別が薬剤鑑別システム2によって判定される。そのため、操作者は、撮影装置22のトレイ230に薬剤を載置した後、撮影装置22から制御装置10に戻り、制御装置10の操作部112に薬剤の種別を選択する操作を入力する手間がなくなる。これによって、操作者の利便性が向上するとともに、作業時間の短縮が期待される。
【0176】
さらに、本発明の第4の実施形態に係る薬剤鑑別システム2によれば、本発明の第3の実施形態と同様に、操作者は、継続撮影および継続鑑別の有無を指定する操作を、撮影装置22に設けられたタッチセンサ280に入力することが可能である。そのため、操作者は、撮影装置22のトレイ230に薬剤を載置した後、撮影装置22から制御装置10に戻り、制御装置10の操作部112に継続撮影および継続鑑別の有無を指定する操作を入力する手間がなくなる。これによって、操作者の利便性が向上するとともに、作業時間の短縮が期待される。
【0177】
<5.ハードウェア構成例>
続いて、本発明の実施形態に係る制御装置10のハードウェア構成例について説明する。以下では、本発明の実施形態に係る制御装置10のハードウェア構成例として、情報処理装置900のハードウェア構成例について説明する。なお、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成例は、制御装置10のハードウェア構成の一例に過ぎない。したがって、制御装置10のハードウェア構成は、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成から不要な構成が削除されてもよいし、新たな構成が追加されてもよい。
【0178】
図24は、本発明の実施形態に係る制御装置10の例としての情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904と、ブリッジ905と、外部バス906と、インタフェース907と、入力装置908と、出力装置909と、ストレージ装置910と、通信装置911と、を備える。
【0179】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバス等から構成されるホストバス904により相互に接続されている。
【0180】
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バス等の外部バス906に接続されている。なお、必ずしもホストバス904、ブリッジ905および外部バス906を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0181】
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバー等ユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路等から構成されている。情報処理装置900を操作するユーザは、この入力装置908を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0182】
出力装置909は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、ランプ等の表示装置およびスピーカ等の音声出力装置を含む。
【0183】
ストレージ装置910は、データ格納用の装置である。ストレージ装置910は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置等を含んでもよい。ストレージ装置910は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置910は、ハードディスクを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0184】
通信装置911は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置911は、無線通信または有線通信のどちらに対応してもよい。
【0185】
以上、本発明の実施形態に係る制御装置10のハードウェア構成例について説明した。
【0186】
<6.まとめ>
【0187】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0188】
例えば、上記では、本発明の第1の実施形態から本発明の第4の実施形態までを別々に説明したが、本発明の第1の実施形態から本発明の第4の実施形態までのいずれか二つ以上が適宜に組み合わされて実施されてもよい。例えば、本発明の第1の実施形態または本発明の第2の実施形態に係る薬剤種別判定と、本発明の第3の実施形態または本発明の第4の実施形態に係る継続撮影および継続鑑別の有無の判定とが組み合わされて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0189】
1、2 薬剤鑑別システム
10 制御装置
110 GUI部
112 操作部
114 表示部
120 鑑別コントローラ
130 装置制御部
150 鑑別部
160 鑑別結果記憶部
170 薬剤データベース
180 本体部
20、22 撮影装置
210 ハードウェア制御部
220 装置筐体
230 トレイ
221 スライドレール
231 トレイ位置検出ディテクタ
232 受け皿
233 薬剤種別判定ディテクタ
240 トレイ位置検出センサ
250 カメラ
260 タッチセンサドライバ
280 タッチセンサ
290 トレイ排出口
292 シャッタ
30 シャーレ
31 不透明材質エリア
32 透明材質エリア