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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02N 11/00 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
H02N11/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021067002
(22)【出願日】2021-04-12
(65)【公開番号】P2022162265
(43)【公開日】2022-10-24
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 修士
【審査官】稲葉 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-022165(JP,A)
【文献】特表2009-500995(JP,A)
【文献】特表2011-507479(JP,A)
【文献】特開平05-300759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するフレキシブル電極と、前記フレキシブル電極との対向面が絶縁層にて被覆されたベース電極とを有し、両電極間への電圧の印加によって前記フレキシブル電極が前記対向面に接近するよう変形するアクチュエータであって、
前記フレキシブル電極は、前記対向面上に配置された回転体であり、
前記ベース電極は、互いに絶縁された複数の電極部に分割され、
前記複数の電極部は、所定方向に沿って配置され、
前記フレキシブル電極は、前記複数の電極部に対して前記電圧が前記所定方向に順次印加されると、前記対向面上で自転しながら前記ベース電極に対して相対的に前記所定方向へ移動する
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記ベース電極は、円環状に形成されて内周面を有し、
前記フレキシブル電極は、前記内周面上に配置され、
前記対向面は、前記内周面であり、
前記所定方向は、前記内周面の周方向に沿う
ことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記フレキシブル電極の移動に従って外部へ仕事を出力する出力部材を更に備え、
前記出力部材は、前記ベース電極の内部に配置され、前記ベース電極の前記内周面に対向する外周面を有する回転体であり、
前記フレキシブル電極は、前記ベース電極の前記内周面と前記出力部材の前記外周面との両面に接触した状態で前記両面の間に配置される
ことを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記電極部のそれぞれの前記所定方向における長さは、前記フレキシブル電極の前記所定方向における長さよりも短い
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性を有する部材の変形を動力として機械的仕事を行うソフトアクチュエータが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5714200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアクチュエータは、電極間距離に沿った方向又は電極に沿った方向に直線的に動く単純な動作を実現できるに過ぎず、アクチュエータとしての使用形態に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、アクチュエータとしての使用形態の多様化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のアクチュエータは、可撓性を有するフレキシブル電極と、前記フレキシブル電極との対向面が絶縁層にて被覆されたベース電極とを有し、両電極間への電圧の印加によって前記フレキシブル電極が前記対向面に接近するよう変形するアクチュエータであって、前記フレキシブル電極は、前記対向面上に配置された回転体であり、前記ベース電極は、互いに絶縁された複数の電極部に分割され、前記複数の電極部は、所定方向に沿って配置され、前記フレキシブル電極は、前記複数の電極部に対して前記電圧が前記所定方向に順次印加されると、前記対向面上で自転しながら前記ベース電極に対して相対的に前記所定方向へ移動することを特徴とする。
【0007】
このような構成により、アクチュエータは、フレキシブル電極をベース電極に対して相対的に移動させる動作を実現することができる。フレキシブル電極の移動経路は、ベース電極を構成する複数の電極部の配置を適宜設定することによって、比較的自由に設計され得る。アクチュエータの仕事を外部に出力する出力部材がフレキシブル電極に取り付けられた場合、出力部材は、フレキシブル電極の移動に従って様々な経路にて移動可能である。よって、本発明のアクチュエータは、使用形態の多様化を図ることができる。
【0008】
更に好ましい態様として、前記ベース電極は、円環状に形成されて内周面を有し、前記フレキシブル電極は、前記内周面上に配置され、前記対向面は、前記内周面であり、前記所定方向は、前記内周面の周方向に沿う。
【0009】
このような態様により、フレキシブル電極は、ベース電極の内周面上で自転しながら、内周面上を相対的に移動する。ベース電極は、フレキシブル電極の移動に従って移動することができる。アクチュエータは、様々な形態にてアクチュエータとして使用可能である。よって、アクチュエータは、使用形態の多様化を図ることができる。
【0010】
更に好ましい態様として、前記フレキシブル電極の移動に従って外部へ仕事を出力する出力部材を更に備え、前記出力部材は、前記ベース電極の内部に配置され、前記ベース電極の前記内周面に対向する外周面を有する回転体であり、前記フレキシブル電極は、前記ベース電極の前記内周面と前記出力部材の前記外周面との両面に接触した状態で前記両面の間に配置される。
【0011】
このような態様により、出力部材は、フレキシブル電極の移動に従って回転することができる。アクチュエータは、様々な形態にてアクチュエータとして使用可能である。よって、アクチュエータは、使用形態の多様化を図ることができる。
【0012】
更に好ましい態様として、前記電極部のそれぞれの前記所定方向における長さは、前記フレキシブル電極の前記所定方向における長さよりも短い。
【0013】
このような態様により、ベース電極の形状が簡素化し得ると共に、ベース電極の設計自由度が向上し得る。しかも、アクチュエータの駆動回路は、フレキシブル電極の移動を精確に制御することができる。フレキシブル電極の移動形態の自由度が向上し得る。よって、アクチュエータは、使用形態の更なる多様化を容易に図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アクチュエータとしての使用形態の多様化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1のアクチュエータの構成を模式的に示す図。
図2図1に示すアクチュエータの出力部材を説明する図。
図3図1に示すアクチュエータを駆動する過程を説明する図(その1)。
図4図1に示すアクチュエータを駆動する過程を説明する図(その2)。
図5図1に示すアクチュエータを駆動する過程を説明する図(その3)。
図6】実施形態2のアクチュエータを説明する図。
図7図6に示すアクチュエータを駆動する過程を説明する図(その1)。
図8図6に示すアクチュエータを駆動する過程を説明する図(その2)。
図9図6に示すアクチュエータを駆動する過程を説明する図(その3)。
図10】実施形態3のアクチュエータを説明する図。
図11】実施形態4のアクチュエータを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。各実施形態において同一の符号を付された構成については、特に言及しない限り、各実施形態において同様の機能を有し、その説明を省略する。
【0017】
[実施形態1]
図1図5を用いて、実施形態1のアクチュエータ1について説明する。
図1は、実施形態1のアクチュエータ1の構成を模式的に示す図である。図2は、図1に示すアクチュエータ1の出力部材40を説明する図である。
【0018】
アクチュエータ1は、可撓性を有するフレキシブル電極10の変形を動力として機械的仕事を行うソフトアクチュエータである。アクチュエータ1は、一対の電極間に挟持された誘電エラストマの変形を動力とする従来のソフトアクチュエータとは異なり、フレキシブル電極10自体が変形する。アクチュエータ1は、各種産業機械又はロボット等に使用される各種アクチュエータに適用可能である。
【0019】
実施形態1のアクチュエータ1は、フレキシブル電極10及びベース電極20の両電極間への電圧の印加により発生するクーロン力によって、ベース電極20のフレキシブル電極10との対向面21にフレキシブル電極10が接近するようフレキシブル電極10を変形させる(図3を参照)。この際、アクチュエータ1は、ベース電極20の一部とフレキシブル電極10との間に電圧を印加する。その後、アクチュエータ1は、両電極間への電圧の印加を停止して、フレキシブル電極10の一部を復元させる(図4を参照)。その後、アクチュエータ1は、ベース電極20の他の一部とフレキシブル電極10との間に電圧を印加する(図5を参照)。このような電圧の印加と停止とを繰り返すことによって、アクチュエータ1は、フレキシブル電極10をベース電極20に対して相対的に移動させる動作を実現することができる。本実施形態では、フレキシブル電極10がベース電極20に対して相対的に移動する方向を、「相対移動方向R」とも称する。相対移動方向Rは、特許請求の範囲に記載された「所定方向」の一例である。
【0020】
アクチュエータ1は、可能性を有するフレキシブル電極10と、フレキシブル電極10を変形させるクーロン力を発生させるために電圧を印加するためのベース電極20とを備える。
【0021】
フレキシブル電極10は、可撓性を有する導電体によって形成される。フレキシブル電極10の可撓性は、ベース電極20との間に電圧が印加されることにより発生するクーロン力の作用によって変形し、当該電圧の印加が停止されると、原形(変形前の形状、すなわち当該電圧が印加される前の形状)に復元するような可撓性である。
【0022】
フレキシブル電極10は、導電ゴム又は導電ゲル等を用いて形成されてもよい。この導電ゴムとしては、例えば、導電材を混ぜ合わせて成形されたエラストマが挙げられる。この導電材としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック若しくはカーボンナノチューブの微粉末、銀若しくは銅の金属微粉末、又は、シリカ若しくはアルミナ等の絶縁体にスパッタ等によって金属をコートしたコアシェル構造の導電体微粉末等が挙げられる。上記の導電ゲルとしては、例えば、3次元ポリマーマトリックスの中に、水若しくは保湿剤等の溶媒、電解質及び添加剤等を保持させた機能性ゲル材料等が挙げられる。この機能性ゲル材料としては、例えば、積水化成品工業株式会社のテクノゲル(登録商標)が挙げられる。
【0023】
フレキシブル電極10は、ベース電極20のフレキシブル電極10との対向面21上に配置された回転体である。回転体とは、或る軸と同一平面上にある矩形平面等の平面を、当該軸の周回方向に回転させることによって形成される立体物である。回転体であるフレキシブル電極10の回転中心軸は、相対移動方向Rに交差(例えば直交)し、且つ、ベース電極20の対向面21に沿った(例えば対向面21に平行な)軸である。ベース電極20の対向面21の法線方向と相対移動方向Rとを含む平面(上下方向及び前後方向を含む平面)によって切断されたフレキシブル電極10の外表面の断面は、丸みを帯びて閉じた形状に形成される。例えば、フレキシブル電極10の外表面の当該断面は、円、楕円又はオーバル等の形状に形成される。フレキシブル電極10は、球、円柱、円筒又は円環等の形状に形成されてもよい。本実施形態では、フレキシブル電極10が球形状に形成されているものとする。
【0024】
フレキシブル電極10は、フレキシブル電極10とベース電極20との間への電圧の印加時に、ベース電極20の対向面21上で自転しながらベース電極20に対して相対的に移動する。本実施形態では、ベース電極20が移動せず、フレキシブル電極10が対向面21上を移動する。本実施形態では、フレキシブル電極10は、ベース電極20の対向面21上に載置され、当該電圧の印加時に対向面21上を転動する。本実施形態のフレキシブル電極10の相対移動方向Rは、前方向である。なお、フレキシブル電極10は、複数設けられていてもよい。
【0025】
ベース電極20は、剛性を有する導電体によって形成される。ベース電極20の形成に用いられる材料としては、鉄、銅又はアルミニウムのような金属材料が挙げられる。或いは、ベース電極20は、セラミックス等の耐熱性、剛性及び絶縁性を有する非金属材料を用いて形成された基板の一面を、導電性を有する金属膜等にて被覆することによって形成されてもよい。金属膜が被覆される基板の一面は、フレキシブル電極10に対向する面である。
【0026】
ベース電極20のフレキシブル電極10との対向面21は、絶縁層22によって被覆される。絶縁層22は、ベース電極20とフレキシブル電極10との間への電圧の印加によってベース電極20に蓄積された電荷が確実に維持されるよう、セラミックスから成る強誘電体を用いて形成される。特に、絶縁層22は、ペロブスカイト構造を有する強誘電体を用いて形成される。ペロブスカイト構造を有する強誘電体としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛((Pb,La)(Zr,Ti)O)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸バリウムストロンチウム((Ba,Sr)TiO)、又は、ニオブ酸カリウムナトリウム((NaK)NbO)等が挙げられる。チタン酸バリウムには、CaZrOやBaSnO等の物質が固溶されていてもよい。
【0027】
また、絶縁層22の形成に用いられる材料としては、フレキシブル電極10を変形させるクーロン力が発生し得るような高い比誘電率を有する材料であることが好適である。絶縁層22の比誘電率は、例えば、セラミックス(ファインセラミックス)が採用されることによって1000以上であってもよい。チタン酸バリウムは、比誘電率が1000~10000前後である。チタン酸ジルコン酸鉛は、比誘電率が500~5000である。チタン酸ストロンチウムは、比誘電率が200~500である。これらのペロブスカイト構造を有する強誘電体は、高い比誘電率を有する材料である。
【0028】
ベース電極20は、相対移動方向R(前後方向)に延びる板状に形成される。ベース電極20の相対移動方向Rにおける長さは、フレキシブル電極10の相対移動方向Rにおける長さよりも長い。ベース電極20の対向面21は、フレキシブル電極10のベース電極20との接触部以外では、フレキシブル電極10の接平面に対して傾斜する。フレキシブル電極10とベース電極20との間には、空間23が形成される。空間23は、フレキシブル電極10のベース電極20との接触部の前側及び後側に形成される。空間23は、フレキシブル電極10とベース電極20との間への電圧の印加時に、ベース電極20の対向面21に接近するよう変形するフレキシブル電極10を受け入れるための空間である。
【0029】
ベース電極20は、ベース電極20の対向面21を分割することによって複数の電極部25a~25dに分割される。分割された電極部の数は、任意である。複数の電極部25a~25dは、板状の絶縁部26によって互いに絶縁されている。板状の絶縁部26により、複数の電極部25a~25dには、フレキシブル電極10との間において互いに独立して電圧が印加される。なお、本実施形態では、複数の電極部25a~25dのそれぞれを総称して「電極部25」とも称する。
【0030】
複数の電極部25a~25dは、フレキシブル電極10の相対移動方向Rに沿って配置される。相対移動方向Rは、図1に示すような直線的な方向に限定されず、曲線的な方向であってもよいし、ループする方向であってもよい。相対移動方向Rは、複数の電極部25a~25dの配置を適宜設定することによって、比較的自由に設計され得る。すなわち、アクチュエータ1は、複数の電極部25a~25dの配置を適宜設定することによって、フレキシブル電極10の移動経路を比較的自由に設計することができる。複数の電極部25a~25dには、電圧が相対移動方向Rに向かって順次印加される。本実施形態の複数の電極部25a~25dには、電圧が前方向に向かって順次印加される。
【0031】
複数の電極部25a~25dのそれぞれの相対移動方向Rにおける長さL1は、フレキシブル電極10の相対移動方向Rにおける長さL2よりも長い(L1>L2)。複数の電極部25a~25dのそれぞれの対向面21は、前方向に向かうに従って下方向(重力方向)に緩やかに傾斜する。
【0032】
複数の電極部25a~25dのそれぞれの後縁部(フレキシブル電極10の相対移動方向Rとは反対方向の縁部)には、突起部27が形成される。突起部27は、複数の電極部25a~25dのそれぞれの後縁部から後方向に向かって突出する。突起部27の相対移動方向Rにおける長さは、絶縁部26の相対移動方向Rにおける長さよりも長い。突起部27の相対移動方向Rにおける長さは、当該突起部27が形成された電極部25に隣り合う電極部25の対向面21上に位置するフレキシブル電極10が電圧の印加により対向面21に接近するよう変形した際に当該フレキシブル電極10が当該突起部27に接触する程度の長さである(図3を参照)。
【0033】
アクチュエータ1は、アクチュエータ1の仕事をアクチュエータ1の外部に出力する出力部材40を有する。出力部材40は、アクチュエータ1の動作に従って変位する従動部材である。出力部材40は、アクチュエータ1の仕事の出力対象である対象物の仕様等に応じて適宜設計される。
【0034】
出力部材40は、ベース電極20の対向面21上を移動するフレキシブル電極10に取り付けられる。例えば、出力部材40は、フレキシブル電極10から左右方向に延びる棒状部材によって構成されてもよい。この場合、出力部材40は、フレキシブル電極10の移動に従って変位して、出力部材40に当接する対象物を移動させることができる。フレキシブル電極10が複数設けられる場合、出力部材40は、図2に示すように、前後方向及び左右方向に延びる板状部材41によって構成されてもよい。板状部材41は、フレキシブル電極10上に載置される。この場合、出力部材40の上には、対象物が載置されてもよく、出力部材40は、フレキシブル電極10の移動に従って変位して、出力部材40に載置された対象物を移動させることができる。
【0035】
アクチュエータ1は、フレキシブル電極10とベース電極20との間に電圧を印加してアクチュエータ1を駆動する駆動回路50に接続される。
【0036】
駆動回路50は、直流電圧源等によって構成される電源51と、駆動回路50の各構成要素とフレキシブル電極10及びベース電極20とを接続する配線52と、半導体素子等によって構成されるスイッチ53a~57bと、集積回路等によって構成される制御部70とを含む。
【0037】
フレキシブル電極10は、配線52によって、電源51の正極及び負極の一方に接続されると共に、フレームグラウンド(又はアース)に接続される。ベース電極20を構成する複数の電極部25a~25dのそれぞれは、配線52によって、電源51の正極及び負極の他方に接続されると共に、フレームグラウンドに接続される。スイッチ53aは、フレキシブル電極10と電源51との間に接続される。スイッチ53bは、フレキシブル電極10とフレームグラウンドとの間に接続される。スイッチ54aは、電極部25aと電源51との間に接続される。スイッチ54bは、電極部25aとフレームグラウンドとの間に接続される。スイッチ55aは、電極部25bと電源51との間に接続される。スイッチ55bは、電極部25bとフレームグラウンドとの間に接続される。スイッチ56aは、電極部25cと電源51との間に接続される。スイッチ56bは、電極部25cとフレームグラウンドとの間に接続される。スイッチ57aは、電極部25dと電源51との間に接続される。スイッチ57bは、電極部25dとフレームグラウンドとの間に接続される。
【0038】
制御部70は、駆動回路50の各構成要素を制御する回路である。制御部70は、スイッチ53a~57bのON/OFF状態を制御することによって、フレキシブル電極10とベース電極20を構成する複数の電極部25a~25dのそれぞれとの間における電圧の印加と停止とを切り替える。また、制御部70は、電源51の出力電圧の大きさを制御することによって、印加される電圧の大きさを制御することができる。これにより、制御部70は、フレキシブル電極10に作用するクーロン力の大きさを制御することができ、フレキシブル電極10の変形量を制御することができる。更に、制御部70は、電圧の印加と停止とを切り替える速度を制御することによって、フレキシブル電極10の変形速度を制御することができる。更に、制御部70は、電圧の印加と停止とを切り替えるタイミングを制御することによって、フレキシブル電極10の変形タイミングを制御することができる。
【0039】
図3は、図1に示すアクチュエータ1を駆動する過程を説明する図(その1)である。図4は、図1に示すアクチュエータ1を駆動する過程を説明する図(その2)である。図5は、図1に示すアクチュエータ1を駆動する過程を説明する図(その3)である。なお、図3図5において、二点鎖線は、電圧が印加される前の初期位置におけるフレキシブル電極10の原形を示す。
【0040】
図3に示すように、駆動回路50の制御部70は、スイッチ53a,54aをON状態に制御し、スイッチ53b,54b,55a~57bをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10と、フレキシブル電極10の位置に対応する電極部25aとの間には電圧が印加される。この場合、電源51の正極に接続されたフレキシブル電極10は正の電荷を帯び、電源51の負極に接続された電極部25aは負の電荷を帯びる。電極部25aの対向面21を被覆する絶縁層22は、誘電分極する。電極部25aの絶縁層22は、電極部25aとの界面付近が正の電荷を帯び、当該界面の反対側(空間23側)の表面付近が負の電荷を帯びる。電極部25aの絶縁層22とフレキシブル電極10との間には、クーロン力が発生する。当該クーロン力によって、フレキシブル電極10は、電極部25aの絶縁層22に引き付けられる。すなわち、当該クーロン力によって、電極部25aの対向面21上に位置するフレキシブル電極10は、電極部25aの対向面21に接近するように変形する。このフレキシブル電極10の変形により、フレキシブル電極10は、電極部25aの前方向において隣り合う電極部25bの後縁部に形成された突起部27と接触する。
【0041】
図3に示す場合の後、駆動回路50の制御部70は、図4に示すように、スイッチ53b,54bをON状態に制御し、スイッチ53a,54a,55a~57bをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10と電極部25aとの間への電圧の印加が停止される。この場合、フレキシブル電極10とベース電極20の電極部25aとに蓄積された電荷は、フレームグラウンドに解放される。フレキシブル電極10は、フレキシブル電極10の復元力によって電極部25aの対向面21から離隔するように変形し、原形に復元する。この際、フレキシブル電極10は、電極部25bの突起部27に接触した状態で復元する。
【0042】
図4に示す場合の後、駆動回路50の制御部70は、図5に示すように、スイッチ53a,54b,55aをON状態に制御し、スイッチ53b,54a,55b,56a~57bをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10と、フレキシブル電極10が接触する突起部27を有する電極部25bとの間には電圧が印加される。この場合、電極部25b(の絶縁層22)とフレキシブル電極10との間には、クーロン力が発生する。当該クーロン力によって、電極部25bの突起部27に接触するフレキシブル電極10は、電極部25bの対向面21に接近するように変形する。このフレキシブル電極10の変形により、フレキシブル電極10は、自転しながら電極部25bの突起部27を乗り越え、電極部25bの対向面21上に移動する。フレキシブル電極10に取り付けられた出力部材40は、フレキシブル電極10の移動に従って移動するように変位する。なお、図4に示す場合の後にフレキシブル電極10と電極部25bとの間に電圧を印加する場合、スイッチ54bは、図5ではON状態に制御されていたが、OFF状態に制御されてもよい。
【0043】
上記のように、駆動回路50の制御部70は、複数の電極部25に対して電圧の印加と停止とを相対移動方向Rに向かって順次繰り返す。フレキシブル電極10は、ベース電極20の対向面21上を自転しながら相対移動方向Rへ移動することができる。
【0044】
これにより、実施形態1のアクチュエータ1は、フレキシブル電極10をベース電極20に対して相対的に移動させる動作を実現することができる。しかも、出力部材40は、フレキシブル電極10の移動に従って様々な経路にて移動可能であり、対象物を様々な経路にて移動させることができる。よって、実施形態1のアクチュエータ1は、アクチュエータとしての使用形態の多様化を図ることができる。
【0045】
なお、図1に示すアクチュエータ1では、ベース電極20が移動せず、フレキシブル電極10が対向面21上を移動していた。しかしながら、実施形態1のアクチュエータ1は、フレキシブル電極10が対向面21上で移動せずに回転可能に支持され、ベース電極20が移動するように構成されてもよい。この場合、出力部材40は、ベース電極20に取り付けられてもよい。
【0046】
[実施形態2]
図6図9を用いて、実施形態2のアクチュエータ1について説明する。実施形態2のアクチュエータ1において、従前の実施形態と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
図6は、実施形態2のアクチュエータ1を説明する図である。
【0047】
実施形態2のアクチュエータ1では、ベース電極20が、複数の電極部25a~25dの代わりに、複数の電極部28a~28hによって構成される。複数の電極部28a~28hのそれぞれの相対移動方向Rにおける長さL1は、フレキシブル電極10の相対移動方向Rにおける長さL2よりも短い(L1<L2)。複数の電極部28a~28hのそれぞれには、突起部27が形成されていない。複数の電極部28a~28hのそれぞれの対向面21は、同一平面上に配置されており、平坦である。なお、本実施形態では、複数の電極部28a~28hのそれぞれを総称して「電極部28」とも称する。
【0048】
実施形態2の駆動回路50は、スイッチ54a~57bの代わりに、複数の電極部28a~28hに応じたスイッチ58a~65bを含む。スイッチ58aは、電極部28aと電源51との間に接続される。スイッチ58bは、電極部28aとフレームグラウンドとの間に接続される。スイッチ59aは、電極部28bと電源51との間に接続される。スイッチ59bは、電極部28bとフレームグラウンドとの間に接続される。スイッチ60aは、電極部28cと電源51との間に接続される。スイッチ60bは、電極部28cとフレームグラウンドとの間に接続される。スイッチ61aは、電極部28dと電源51との間に接続される。スイッチ61bは、電極部28dとフレームグラウンドとの間に接続される。スイッチ62aは、電極部28eと電源51との間に接続される。スイッチ62bは、電極部28eとフレームグラウンドとの間に接続される。スイッチ63aは、電極部28fと電源51との間に接続される。スイッチ63bは、電極部28fとフレームグラウンドとの間に接続される。スイッチ64aは、電極部28gと電源51との間に接続される。スイッチ64bは、電極部28gとフレームグラウンドとの間に接続される。スイッチ65aは、電極部28hと電源51との間に接続される。スイッチ65bは、電極部28hとフレームグラウンドとの間に接続される。
【0049】
図7は、図6に示すアクチュエータ1を駆動する過程を説明する図(その1)である。図8は、図6に示すアクチュエータ1を駆動する過程を説明する図(その2)である。図9は、図6に示すアクチュエータ1を駆動する過程を説明する図(その3)である。なお、図7図9において、二点鎖線は、電圧が印加される前の初期位置におけるフレキシブル電極10の原形を示す。
【0050】
図7に示すように、駆動回路50の制御部70は、スイッチ53a,58a,59a,60a,61a,62aをON状態に制御し、スイッチ53b,58b,59b,60b,61b,62bをOFF状態に制御する。また、制御部70は、スイッチ63a~65bをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10と、フレキシブル電極10の位置に対応する電極部28a~28eとの間には電圧が印加される。この場合、フレキシブル電極10は、電極部28a~28eの対向面21に接近するように変形する。
【0051】
駆動回路50の制御部70は、図7に示す場合において電圧を印加するべき、フレキシブル電極10の位置に対応する電極部28を、次のようにして選択することができる。
すなわち、制御部70は、フレキシブル電極10が対向面21に接触する位置に最も近い電極部28cを基準として選択する。そして、制御部70は、基準の電極部28cから、前方向及び後方向にそれぞれ隣り合って配置された所定数Nの電極部28d,28e及び電極部28a,28bを、図7に示す場合において電圧を印加するべき電極部28として選択する。この所定数Nは、電極部28の相対移動方向Rにおける長さL1と、フレキシブル電極10の相対移動方向Rにおける長さL2と、絶縁部26の相対移動方向Rにおける長さL3とに基づいて予め決定される。例えば、制御部70は、選択された電極部28aから電極部28eまでの相対移動方向Rにおける長さ{N×L1+(N-1)×L3}が、フレキシブル電極10の相対移動方向Rにおける長さL2の0.5倍以上1倍以下となるように、所定数Nを決定すればよい。
【0052】
図7に示す場合の後、駆動回路50の制御部70は、図8に示すように、スイッチ53b,58b,59b,60a,61a,62aをON状態に制御し、スイッチ53a,58a,59a,60b,61b,62bをOFF状態に制御する。また、制御部70は、スイッチ63a~65bをOFF状態に制御する。この場合、図7に示す場合において電圧が印加された電極部28a~28eのうちフレキシブル電極10の後端部(相対移動方向Rとは反対方向の端部)に対応する電極部28a,28bとフレキシブル電極10とは、フレームグラウンドに導通し、電圧の印加が停止される。電極部28a,28b及びフレキシブル電極10に蓄積された電荷は、フレームグラウンドに解放される。これにより、フレキシブル電極10の後端部は、フレキシブル電極10の復元力によって、電極部28a,28bの対向面21から離隔するように変形する。一方、フレキシブル電極10の前端部(相対移動方向Rの端部)及び中間部(前端部と後端部との間の部分)に対応する電極部28c~28eは、電源51に導通したままである。電極部28c~28eに蓄積された電荷は、維持される。これにより、フレキシブル電極10の前端部及び中間部は、電極部28c~28eの対向面21に接近するように変形した状態を維持する。すなわち、フレキシブル電極10は、フレキシブル電極10の後端部だけが復元する。フレキシブル電極10には、前方向に向かってフレキシブル電極10を自転させるようなモーメントが作用する。これにより、フレキシブル電極10は、電圧が印加された電極部28c~28eのうちフレキシブル電極10から前方向において最も前側の電極部28eを越えて、当該電極部28eに対して前方向において隣り合う電極部28fの対向面21と接触する。
【0053】
図8に示す場合の後、駆動回路50の制御部70は、図9に示すように、スイッチ53a,58b,59b,60a,61a,62a,63a,64aをON状態に制御し、スイッチ53b,58a,59a,60b,61b,62b,63b,64bをOFF状態に制御する。また、制御部70は、スイッチ65a,65bをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10と電極部28c~28gとの間には電圧が印加される。この場合、図7に示す場合と比べて新たに電圧が印加された電極部28f、28g(の絶縁層22)とフレキシブル電極10との間には、新たにクーロン力が発生する。当該クーロン力によって、電極部28fの対向面21に接触するフレキシブル電極10の前端部は、電極部28f,28gの対向面21に接近するように変形する。フレキシブル電極10には、前方向に向かってフレキシブル電極10を自転させるようなモーメントが作用する。これにより、フレキシブル電極10は、自転しながら電極部28fを越えて、電極部28gの対向面21に接触する程に移動することができる。
【0054】
なお、駆動回路50の制御部70は、図9に示す場合において新たに電圧を印加するべき電極部28を、図7に示す場合と同様に選択することができる。すなわち、駆動回路50の制御部70は、図8に示す場合において電圧の印加を停止したフレキシブル電極10の後端部に対応する電極部28の数と同数の、相対移動方向Rの先に配置された電極部28を、新たに電圧を印加するべき電極部28として選択する。
【0055】
上記のように、駆動回路50の制御部70は、フレキシブル電極10と、フレキシブル電極10の位置に対応する電極部28a~28eとの間に電圧を印加する。その後、制御部70は、フレキシブル電極10の後端部に対応する電極部28a,28bへの電圧の印加を停止する。その後、制御部70は、フレキシブル電極10の相対移動方向Rの先に配置された電極部28f,28gに対して新たに電圧を印加する。このように、駆動回路50の制御部70は、複数の電極部28に対して電圧の印加と停止とを相対移動方向Rに向かって順次繰り返す。フレキシブル電極10は、ベース電極20の対向面21上を自転しながら相対移動方向Rへ移動することができる。
【0056】
実施形態2のアクチュエータ1は、電極部28の長さL1がフレキシブル電極10の長さL2よりも短いことにより、電極部28に対して突起部27を形成しなくても、フレキシブル電極10をベース電極20に対して相対的に移動させる動作を実現することができる。実施形態2のベース電極20は、実施形態1よりも、その形状が簡素化し得ると共に、設計自由度が向上し得る。しかも、実施形態2の駆動回路50は、フレキシブル電極10とベース電極20との間に印加される電圧を精細に制御することができるので、フレキシブル電極10の移動を精確に制御することができる。フレキシブル電極10の移動形態の自由度が向上し得る。よって、実施形態2のアクチュエータ1は、使用形態の更なる多様化を容易に図ることができる。
【0057】
[実施形態3]
図10を用いて、実施形態3のアクチュエータ1について説明する。実施形態3のアクチュエータ1において、従前の実施形態と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
図10は、実施形態3のアクチュエータ1を説明する図である。図10は、アクチュエータ1の相対移動方向Rに沿った断面を示す。図10では、ベース電極20を構成する複数の電極部28及び絶縁部26の図示、絶縁層22の図示、及び、駆動回路50の図示が省略されている。図11においても、これらの図示が省略されている。
【0058】
実施形態3のアクチュエータ1では、ベース電極20が円環又は円筒等の形状に形成される。ベース電極20は、実施形態2のベース電極20の両端に配置された電極部28を、絶縁部26を介して接続することによって形成される。ベース電極20は、内周面31及び外周面32を有する。ベース電極20の対向面21は、内周面31である。ベース電極20は、アクチュエータ1の外部の面P上に載置される。ベース電極20の外周面32は、面Pに接触する。実施形態3のフレキシブル電極10は、ベース電極20の内部に配置される。フレキシブル電極10は、ベース電極20の内周面31上に配置される。フレキシブル電極10の相対移動方向Rは、内周面31の周方向に沿う。
【0059】
実施形態3の駆動回路50は、実施形態2と同様に、複数の電極部28に対して電圧の印加と停止とを相対移動方向Rに向かって順次繰り返す。フレキシブル電極10は、ベース電極20の内周面31上で自転しながら、内周面31上を相対的に移動する。フレキシブル電極10を内部に含むベース電極20の重心は、フレキシブル電極10の移動に従って移動する。ベース電極20は、図10の破線の矢印に示すように、面P上で自転しながら面P上を移動する。
【0060】
実施形態3の出力部材40は、実施形態1と同様に、面P上を移動するベース電極20に取り付けられ、ベース電極20から左右方向に延びる棒状部材によって構成されてもよい。また、複数組のベース電極20及びフレキシブル電極10が設けられる場合、出力部材40は、実施形態1と同様に、ベース電極20上に載置される板状部材41によって構成されてもよい。
【0061】
実施形態3のアクチュエータ1は、実施形態1,2と同様に、フレキシブル電極10がベース電極20に対して相対的に移動する動作を実現することができる。但し、実施形態3のフレキシブル電極10は、ベース電極20の内周面31上で自転しながら、内周面31上を相対的に移動する。実施形態3のベース電極20は、フレキシブル電極10の移動に従って移動することができる。実施形態3のアクチュエータ1は、実施形態1,2とは異なる様々な形態にてアクチュエータとして使用可能である。よって、実施形態3のアクチュエータ1は、使用形態の多様化を図ることができる。
【0062】
[実施形態4]
図11を用いて、実施形態4のアクチュエータ1について説明する。実施形態4のアクチュエータ1において、従前の実施形態と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
図11は、実施形態4のアクチュエータ1を説明する図である。
【0063】
実施形態4のアクチュエータ1では、実施形態3とは異なり、フレキシブル電極10の移動に従って外部へ仕事をする出力部材40が、ベース電極20の内部に配置された回転体42によって構成される。回転体42は、或る軸と同一平面上にある矩形平面等の平面を、当該軸の周回方向に回転させることによって形成される立体物である。回転体42は、円環、円筒又は円柱等の形状に形成される。図11では、回転体42である出力部材40は、円環状に形成され、内周面43及び外周面44を有する。出力部材40の外周面44は、ベース電極20の内周面31に対向する。出力部材40の回転中心軸は、ベース電極20の中心軸Cに一致してもよい。出力部材40の内周面43には、出力部材40の回転中心軸に沿って延びるシャフト等が、出力部材40と一体的に取り付けられてもよい。
【0064】
実施形態4のフレキシブル電極10は、複数設けられる。複数のフレキシブル電極10のそれぞれは、ベース電極20の内周面31と出力部材40の外周面44との両面に接触した状態で、当該両面の間に配置される。複数のフレキシブル電極10は、出力部材40の回転中心軸の周回方向に回転可能に出力部材40を支持する。実施形態4のベース電極20は、回転及び移動しないよう固定される。
【0065】
実施形態4の駆動回路50は、実施形態3と同様に、複数の電極部28に対して電圧の印加と停止とを相対移動方向Rに向かって順次繰り返す。複数のフレキシブル電極10のそれぞれは、ベース電極20の内周面31上で自転しながら、内周面31上を相対的に移動する。複数のフレキシブル電極10のそれぞれに接触する出力部材40は、フレキシブル電極10の移動に従って回転する。
【0066】
実施形態4のアクチュエータ1は、実施形態1~3と同様に、フレキシブル電極10がベース電極20に対して相対的に移動する動作を実現することができる。但し、実施形態4のフレキシブル電極10は、実施形態3と同様に、ベース電極20の内周面31上で自転しながら、内周面31上を相対的に移動する。実施形態4の出力部材40は、フレキシブル電極10の移動に従って回転することができる。実施形態4のアクチュエータ1は、実施形態1~3とは異なる様々な形態にてアクチュエータとして使用可能である。よって、実施形態4のアクチュエータ1は、使用形態の多様化を図ることができる。
【0067】
なお、図11に示すアクチュエータ1では、回転体42が出力部材40を構成していた。そして、図11に示すアクチュエータ1は、ベース電極20が固定され、回転体42が回転していた。しかしながら、実施形態4のアクチュエータ1は、回転体42が出力部材40を構成していなくてもよい。そして、実施形態4のアクチュエータ1は、回転体42が固定され、ベース電極20が回転するように構成されてもよい。すなわち、実施形態4のアクチュエータ1は、回転体42又はベース電極20を回転させることができる。ベース電極20が回転するように構成される場合、出力部材40は、実施形態3と同様に構成され、ベース電極20に取り付けられてもよい。
【0068】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができる。本発明は、或る実施形態の構成を他の実施形態の構成に追加したり、或る実施形態の構成を他の実施形態と置換したり、或る実施形態の構成の一部を削除したりすることができる。
【符号の説明】
【0069】
1…アクチュエータ、10…フレキシブル電極、20…ベース電極、21…対向面、22…絶縁層、25a~25d…電極部、28a~28h…電極部、31…内周面、40…出力部材、42…回転体、44…外周面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11