(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】無人航空機
(51)【国際特許分類】
B64D 37/04 20060101AFI20240730BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20240730BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240730BHJP
B64U 10/14 20230101ALI20240730BHJP
B64U 20/30 20230101ALI20240730BHJP
B64U 50/32 20230101ALI20240730BHJP
【FI】
B64D37/04
B64C27/04
B64C39/02
B64U10/14
B64U20/30
B64U50/32
(21)【出願番号】P 2021071031
(22)【出願日】2021-04-20
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸田 知之
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏輔
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/147196(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2020/0277069(US,A1)
【文献】特開2020-006812(JP,A)
【文献】特開2021-049966(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109733622(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 37/04
B64C 39/02
B64C 27/04
B64U 10/14
B64U 20/30
B64U 50/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部と該円筒部の軸線方向の端部に形成された半球部とを有する燃料タンクを備えた無人航空機において、
前記半球部が前記円筒部よりも重力方向の下側に位置するように前記燃料タンクが配置されたことを特徴とする無人航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクを備えた無人航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の無人航空機として、円筒部と、円筒部の軸線方向の端部に形成された半球部とを有する燃料タンクを備えたものが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の無人航空機においては、燃料タンクを配置する場合に、半球部よりも耐衝撃性が低い円筒部が重力方向の下側、即ち、地上側に位置するように配置されると、着地する際に円筒部が半球部よりも先に地面などに接触し易くなり、燃料タンクが変形しやすくなるおそれがあるという問題がある。また、燃料タンク内の残圧(MPa)が高圧ガス保安法で規定されている高圧ガスの状態、例えば常用の温度でゲージ圧が1MPa以上であり、燃料タンクの質量が大きいと、着地時の衝撃荷重が燃料タンクの質量に比例して大きくなるので、衝撃荷重が燃料タンクの耐衝撃荷重を超えてしまい、燃料タンクが変形するおそれがあるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、着地する際に円筒部が先に地面などに接触することを抑制し、燃料タンクが変形する可能性を低減させることができる無人航空機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る無人航空機は、円筒部と該円筒部の軸線方向の端部に形成された半球部とを有する燃料タンクを備えた無人航空機において、前記半球部が前記円筒部よりも重力方向の下側に位置するように前記燃料タンクが配置されたことを特徴とする。
【0007】
本発明により、着地する際に円筒部が半球部よりも先に地面などに接触することが抑制され、燃料タンクが変形する可能性が低減される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る無人航空機によれば、着地する際に円筒部が先に地面などに接触することを抑制し、燃料タンクが変形する可能性を低減させることができる無人航空機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る無人航空機の斜視図。
【
図2】本発明の実施形態に係る無人航空機の正面図。
【
図3】本発明の実施形態に係る無人航空機の図であり、
図3(a)は、平面図を示し、
図3(b)は、側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る無人航空機を適用した実施形態に係る無人航空機1について図面を参照して説明する。
【0011】
無人航空機1は、
図1、
図2、
図3(a)および
図3(b)に示すように、本体2と、4個のプロペラ3と、6本の燃料タンク4と、支持部材5と、連結部材6と、配管7と、図示しない燃料電池と、無人航空機1の動作を制御する図示しないコントローラと、送受信を行う図示しない送受信機とを含んで構成されている。無人航空機1は、プロペラ3の回転により、上昇、下降、左右の旋回、前進および後進が可能な、いわゆるドローンからなる。なお、プロペラ3は、4個以外の複数個であってもよく、燃料タンク4は、8本以外の本数、例えば、4本であってもよく、1本であってもよい。
【0012】
本体2は、平板構造からなり、
図2に示す支持部材固定部11と、
図3(a)に示す連結部材固定部12と、
図1に示す配管固定部13とを有している。支持部材固定部11は、支持部材5の端部を固定しており、連結部材固定部12は、連結部材6の端部を固定しており、配管固定部13は、配管7の端部を固定している。
【0013】
プロペラ3は、ブレード21と、ロータ22とにより構成されており、ブレード21はロータ22の回転により回転する。ロータ22は連結部材6に固定されており、燃料電池から出力される動力により回転する。
【0014】
燃料タンク4は、
図2に示すように、円筒部31と、半球部32と、配管連結部33とを有しており、支持部材5により、半球部32が円筒部31よりも重力方向の下になるように本体2に固定されている。半球部32は、円筒部31の軸線方向の両端部に形成されており、円筒部31よりも高い耐衝撃性を有している。燃料タンク4には、水素などの高圧の燃料が充填されており、配管7を介して燃料を燃料電池に供給するように構成されている。
【0015】
支持部材5は、
図2および
図3(b)に示すように、支柱41と、補強部材42とにより構成されており、支柱41は、燃料タンク4の側面に接合されており、上端部で本体2の支持部材固定部11に固定されている。したがって、支持部材5は、各燃料タンク4を本体2の下側で吊り下げ支持している。補強部材42は、一端部が支柱41の上端部および下端部に固定され、他端部が、燃料タンク4の半球部32に固定されている。
【0016】
連結部材6は、棒状の部材からなり、
図1および
図3(a)に示すように、一端部で本体2の連結部材固定部12に固定され、他端部でロータ22に固定されている。配管7は、
図1に示すように、燃料タンク4の配管連結部33に対応する各端部で本体2の配管固定部13に固定されており、燃料電池と接続され、燃料タンク4内の燃料を燃料電池に供給するように構成されている。
【0017】
実施形態に係る無人航空機1の効果について説明する。
実施形態に係る無人航空機1は、円筒部31と円筒部31の軸線方向の端部に形成された半球部32とを有する6本の燃料タンク4を備えており、半球部32が円筒部31よりも高い耐衝撃性を有し、半球部32が円筒部31よりも重力方向の下側に位置するように燃料タンク4がそれぞれ配置されている。この構成により、着地する際に円筒部31が半球部32よりも先に地面などに接触することを抑制することができ、燃料タンク4が変形する可能性を低減させることができるという効果が得られる。
【0018】
また、実施形態に係る無人航空機1は、6本の燃料タンク4を備えており、各燃料タンク4は、半球部32が円筒部31よりも高い耐衝撃性を有し、半球部32が円筒部31よりも重力方向の下側に位置するように燃料タンク4がそれぞれ配置されている。この構成により、燃料タンク4は、8本に分かれているので、各質量が小さくなる。着地により燃料タンク4に作用する衝撃荷重は、質量に比例して小さくなるので、各燃料タンク4に作用する着地の衝撃荷重が小さくなり、着地の際、燃料タンク4が変形する可能性を低減させることができるという効果が得られる。
【0019】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0020】
1・・・無人航空機、2・・・本体、3・・・プロペラ、4・・・燃料タンク、5・・・支持部材、6・・・連結部材、7・・・配管、11・・・支持部材固定部、12・・・連結部材固定部、13・・・配管固定部、21・・・ブレード、22・・・ロータ、31・・・円筒部、32・・・半球部、33・・・配管連結部、41・・・支柱、42・・・補強部材