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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】紫外線殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/32 20230101AFI20240730BHJP
【FI】
C02F1/32
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021101507
(22)【出願日】2021-06-18
(65)【公開番号】P2023000586
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智行
(72)【発明者】
【氏名】下西 正太
(72)【発明者】
【氏名】山森 翔太
(72)【発明者】
【氏名】林 貴文
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-076422(JP,A)
【文献】特開2020-075098(JP,A)
【文献】登録実用新案第3222475(JP,U)
【文献】特開2014-046306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/20- 1/26
1/30- 1/38
B01J 10/00-12/02
14/00-19/32
A61L 2/00- 2/28
11/00-12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外発光素子と、
前記紫外発光素子が発する紫外線により殺菌する水を収容可能であるとともに内側面を有する殺菌室と、
前記殺菌室の内部に水を流入させるための流入管と、
前記流入管と前記殺菌室とを連通させるための流路と、
前記流路が前記殺菌室の前記内側面に達することにより前記内側面に開口する開口部である流入口と、
を有し、
前記紫外発光素子は、
前記内側面に沿って配置されており、
前記紫外発光素子の光照射面は、
前記内側面の内側を向いており、
前記内側面の中心軸の軸方向に対して垂直な断面でみたときに前記内側面の周に沿う前記流入口の長さが、
前記内側面の中心軸の軸方向に対して平行な方向の前記流入口の長さの2倍よりも長く、
前記内側面は曲面を有する筒状であり、
前記内側面の中心軸の軸方向に対して垂直な断面でみたときに前記流入口の箇所における前記流路の接線が、前記内側面の中心軸を通らないこと
を含む紫外線殺菌装置。
【請求項2】
請求項1記載の紫外線殺菌装置において、
前記紫外発光素子を列状に配置した紫外線照射部を有し、
前記紫外線照射部の光照射面が、
前記殺菌室の前記内側面の一部を構成していること
を含む紫外線殺菌装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の紫外線殺菌装置において、
前記流路は、
前記内側面の中心軸に垂直な断面でみたときに、
前記流入口に近い箇所ほど前記内側面の中心軸に近づくように湾曲していること
を含む紫外線殺菌装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の紫外線殺菌装置において、
前記流路は、
前記流入口と連なる直管部分を有すること
を含む紫外線殺菌装置。
【請求項5】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の紫外線殺菌装置において、
前記殺菌室は、
前記内側面と第1端面と第2端面とを有し、
前記流入口は、
前記第1端面の側に設けられており、
前記第2端面は、
前記第1端面と対面しており、
前記流路は、
前記流入口に近づくほど前記第1端面から遠ざかること
を含む紫外線殺菌装置。
【請求項6】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の紫外線殺菌装置において、
前記殺菌室を収容する筐体を有し、
前記流路は、
前記筐体の内部に設けられている第1流路と、
前記第1流路から前記流入口まで設けられている第2流路と、
を含む紫外線殺菌装置。
【請求項7】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の紫外線殺菌装置において、
前記内側面の中心軸の軸方向に対して垂直な断面でみたときに、
前記流入口の箇所における前記流路の接線と前記内側面の中心軸との間の距離T1と、
前記内側面の中心軸と前記内側面との間の最も近い距離R1と、
が次式
(1/2)・R1 ≦ T1
を満たすこと
を含む紫外線殺菌装置。
【請求項8】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の紫外線殺菌装置において、
複数の前記流路と複数の前記流入口とを有すること
を含む紫外線殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、紫外線殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水に含まれる菌を殺菌する殺菌装置には、紫外線を用いる装置がある。従来、紫外線源として水銀ランプがよく用いられてきた。近年では、水銀ランプの代わりに、紫外線を発する半導体発光素子が用いられるようになってきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、円筒状の筐体の内部に水を流しながら、紫外発光素子が発する紫外線により水を殺菌する技術が開示されている(特許文献1の段落[0009])。紫外線照射装置を取り付ける取り付け部5は、円筒状の筐体の軸方向の端部に存在する。紫外発光素子の配光指向性、発熱による放熱性の観点から、殺菌室の外部から紫外線を照射する外照式構造が主流である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-104773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紫外線照射装置から照射される紫外線は、指向性を有するものの、放射状に広がる。このため、紫外線照射装置から離れた箇所では、紫外線の強度がやや低い。すなわち、紫外線照射装置から離れた箇所では殺菌効果がやや低い。
【0006】
特許文献1に記載の紫外線照射モジュールにおいては、紫外線照射装置を取り付ける取り付け部5と対面する第2の端面2の周辺領域では、水を十分に殺菌することが困難である。つまり、十分な殺菌効率が得られない。殺菌効率は、一般に、紫外線照度と照射時間との積である。
【0007】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、紫外線発光素子を備えるとともに強い紫外線照度と長い照射時間とを実現することを図った紫外線殺菌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様における紫外線殺菌装置は、紫外発光素子と、紫外発光素子が発する紫外線により殺菌する水を収容可能であるとともに内側面を有する殺菌室と、殺菌室の内部に水を流入させるための流入管と、流入管と殺菌室とを連通させるための流路と、流路が殺菌室の内側面に達することにより内側面に開口する開口部である流入口と、を有する。紫外発光素子は、内側面に沿って配置されている。紫外発光素子の光照射面は、内側面の内側を向いている。内側面の中心軸の軸方向に対して垂直な断面でみたときに内側面の周に沿う流入口の長さが、内側面の中心軸の軸方向に対して平行な方向の流入口の長さの2倍よりも長い。内側面は曲面を有する筒状である。内側面の中心軸の軸方向に対して垂直な断面でみたときに流入口の箇所における流路の接線が、内側面の中心軸を通らない。
【0009】
この紫外線殺菌装置においては、殺菌室と紫外発光素子との間の距離が近い。そのため、殺菌室の内部の紫外線の強度が十分に高い。また、殺菌室の内部で殺菌対象である水が螺旋状に流れるため、水が殺菌室の内部に滞在する時間が十分に長い。このため、この紫外線殺菌装置の殺菌効率は高い。
【発明の効果】
【0010】
本明細書では、紫外線発光素子を備えるとともに強い紫外線照度と長い照射時間とを実現することを図った紫外線殺菌装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態の紫外線殺菌装置100の概略構成図である。
図2図1のII-II断面を示す断面図である。
図3図1のIII-III断面を示す断面図である。
図4】第1の実施形態の紫外線殺菌装置100の流入口113を示す図である。
図5】第1の実施形態の変形例における紫外線殺菌装置200の断面構造を示す図である。
図6】第1の実施形態の変形例における紫外線殺菌装置300の断面構造を示す図である。
図7】第1の実施形態の変形例における紫外線殺菌装置400の断面構造を示す図である。
図8】第1の実施形態の変形例における紫外線殺菌装置500の断面構造を示す図である。
図9】第1の実施形態の変形例における紫外線殺菌装置600の流入口613を示す図である。
図10】第1の実施形態の変形例における紫外線殺菌装置700の断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態について、紫外線殺菌装置を例に挙げて図を参照しつつ説明する。しかし、本明細書の技術はこれらの実施形態に限定されるものではない。実施形態とは異なる構造を有していても構わない。
【0013】
(第1の実施形態)
1.紫外線殺菌装置
図1は、第1の実施形態の紫外線殺菌装置100の概略構成図である。図2は、図1のII-II断面を示す断面図である。図1および図2に示すように、紫外線殺菌装置100は、筐体110と、流入管111と、流出管112と、紫外線照射部120と、を有する。
【0014】
筐体110は、紫外線照射部120を収容している。筐体110は、殺菌室SR1と、流入管111と、流出管112と、を有する。流入管111は、殺菌処理する水を殺菌室SR1の内部に流入させるための管である。流出管112は、殺菌処理する水を殺菌室SR1の外部に流出させるための管である。
【0015】
筐体110は殺菌室SR1を収容する。筐体110は、内側面110aと端面110bと端面110cとを有する。殺菌室SR1は、内側面110aと端面110bと端面110cとにより囲まれた空間である。殺菌室SR1は、内側面110aと端面110bと端面110cとを有する。内側面110aと端面110bと端面110cとは、殺菌室SR1の内部に向かって面している。殺菌室SR1は、殺菌の対象である水を一時的に内部に収容可能である。内側面110aは円筒内面である。端面110b、110cは、内側面110aの中心軸(円筒軸方向)に垂直な平面である。端面110cは、端面110bと対面する位置に配置されている。殺菌室SR1の円筒軸方向の長さは殺菌室SR1の円筒の直径よりも長い。
【0016】
紫外線照射部120は、殺菌室SR1の内部に向けて紫外線を照射する。紫外線照射部120は、筐体110の内側面110aの近くに内側面110aに隣接して配置されている。紫外線照射部120は、複数の紫外発光素子121を列状に配置したユニットである。紫外発光素子121は、水を殺菌するための紫外線を発する。紫外線照射部120は、筐体110の内側面110aに沿うように配置されている。紫外発光素子121の列は、内側面110aの中心軸に平行に配置されている。つまり、紫外発光素子121の列は、筐体110の円筒の長手方向に平行に配置されている。このように紫外発光素子121は、内側面110aに沿って配置されている。2列の紫外線照射部120は、内側面110aの中心軸を挟んで互いに向かい合う向きに配置されている。このため、紫外発光素子121の配光の最大出力となる方向は、紫外発光素子121から内側面110aの中心軸に向かう方向である。紫外発光素子121の光照射面は、内側面110aの内側を向いている。紫外発光素子121は、例えば、200nm以上300nm以下のピーク波長を有する。
【0017】
筐体110の内側面110aを構成する材料のうち、紫外線照射部120の箇所では、紫外線を透過する材料であるとよい。
【0018】
筐体110の外径は、例えば、50mm以上100mm以下である。筐体110の中心軸方向の長さは、例えば、100mm以上200mm以下である。
【0019】
流入管111は、殺菌室SR1の内部に水を流入させるための管である。流入管111は、殺菌室SR1と連通している。流入管111には、殺菌前の水が流れる。
【0020】
流出管112は、殺菌室SR1の内部の水を外部に流出させるための管である。流出管112は、殺菌室SR1と連通している。流出管112には、殺菌後の水が流れる。
【0021】
2.流入口
図3は、図1のIII-III断面を示す断面図である。図3は、内側面110aの中心軸の軸方向に対して垂直な断面を示している。図3に示すように、筐体110は流路C1と流入口113とを有する。流路C1は筐体110の円筒の外側面から内側面110aに達する貫通孔である。流路C1は、流入管111と殺菌室SR1とを連通する。流路C1は、流入口113と連なる直管部分を有する。
【0022】
流入口113は、流路C1が殺菌室SR1の内側面110aに達することにより内側面110aに開口する開口部である。流入口113は、端面110cの側に設けられている。流入口113は、端面110bの側に位置していてもよい。端面110bと端面110cとの間の長さがL1であるとすると、端面110bと流入口113との間の距離は(1/8)・L以下である。
【0023】
図3に示すように、流路C1の方向Kxは、筐体110の内側面110aの中心軸を通らない方向である。また、内側面110aの中心軸の軸方向に対して垂直な断面でみたときに流入口113の箇所における流路C1の接線が、内側面110aの中心軸を通らない。このため、流路C1から殺菌室SR1に流れ込む水は筐体110の内側面110aに衝突するとともに内側面110aの中心軸のまわりに回転する流れを生成する。つまり、図3の矢印K2に示すように、水は内側面110aに沿って対流する。実際には、図1に示すように、水は螺旋状の流れとなる。
【0024】
図3に示すように、内側面110aと流路C1とは連続である。さらに、内側面110aと流路C1との間の境界面において、筐体110は、段差がない滑らかな接続面を有する。
【0025】
図4は、第1の実施形態の紫外線殺菌装置100の流入口113を示す図である。流入口113は、筐体110の内側面110aと流路C1とが合流する開口部である。図4に示すように、流入口113の形状は内側面110aに沿う長方形形状である。内側面110aが円筒内面であることから、流入口113は円筒内面に形成された長方形形状である。流入口113の内側面110aに沿う周方向の長さ(道のり)W1は、流入口113の内側面110aの中心軸の軸方向の長さH1よりも長い。
【0026】
内側面110aに沿う周方向の流入口113の長さ(道のり)W1と、内側面110aの中心軸の軸方向の流入口113の長さH1とは、次式を満たす。
H1 < W1
【0027】
好ましくは、次式を満たす。
2・H1 < W1
【0028】
ここで、長さW1は、筐体110の内側面110aの中心軸の軸方向に対して垂直な断面でみたときに、内側面110aの周に沿う流入口113の長さである。長さH1は、筐体110の内側面110aの中心軸の軸方向に対して平行な方向の流入口113の長さである。
【0029】
3.殺菌
ここで、紫外線殺菌装置100を用いた殺菌方法について説明する。まず、紫外線照射部120の紫外発光素子121を点灯し、紫外発光素子121が紫外線を照射する。次に、処理対象である水を流入管111から殺菌室SR1に導入する。ここで、図1および図3に示すように、水は矢印K2の向きに螺旋を描きながら殺菌室SR1の内部に留まる。そして、水は殺菌室SR1の内部で螺旋状に移動しながら紫外線を照射されて殺菌される。
【0030】
4.第1の実施形態の効果
4-1.照射距離
紫外線照射部120の紫外発光素子121から殺菌室SR1の中心までの距離は、殺菌室SR1の内側面110aの内径とほぼ等しい。紫外線殺菌装置100が殺菌処理する水の存在領域のうち最も遠い距離が、殺菌室SR1の内径とほぼ等しい。このため、この紫外線殺菌装置100における紫外線の照射強度は十分に高い。よって、この紫外線殺菌装置100における殺菌効率は高い。
【0031】
4-2.照射時間
水は殺菌室SR1の内部を螺旋状に移動しながら紫外線を照射される。このため、水が殺菌室SR1の内部における移動距離は、殺菌室SR1の長さよりも十分に長い。ここで、殺菌室SR1の長さとは、端面110bと端面110cとの間の距離である。したがって、殺菌対象である水が殺菌室SR1の内部に留まっている時間は、十分に長い。よって、この紫外線殺菌装置100における殺菌効率は高い。
【0032】
4-3.発光素子の冷却
紫外線照射部120は筐体110の内側面110aに近い位置に配置されている。このため、紫外発光素子121が発する熱は、殺菌対象である水に吸収される。つまり、紫外線照射部120の紫外発光素子121は、殺菌対象である水によって冷却される。
【0033】
5.変形例
5-1.開口部の数
図5は、第1の実施形態の変形例における紫外線殺菌装置200の断面構造を示す図である。紫外線殺菌装置200は、筐体210と、紫外線照射部120と、を有する。筐体210は、内側面210aに2箇所の流入口213を有する。もちろん、筐体210は、流入口213の箇所に、それぞれ、流路C2を有する。流路213および流路C2は、筐体210の内側面210aの中心軸に対して回転対称である。つまり、一方の流路213および流路C2を内側面210aの中心軸のまわりに180°回転させると、他方の流路213および流路C2に重なる。このように、紫外線殺菌装置200は、2つの流入口213と流路C2とを有する。また、紫外線殺菌装置は、3以上の流入口および流路を有していてもよい。つまり、紫外線殺菌装置は、複数の流入口および複数の流路を有する。
【0034】
5-2.流入口の位置
図6は、第1の実施形態の変形例における紫外線殺菌装置300の断面構造を示す図である。紫外線殺菌装置300は、筐体310と、紫外線照射部120と、を有する。筐体310は、流入口313と流路C3とを有する。流路C3の方向Kyは、筐体310の内側面310aの中心軸を通らない方向である。流路C3の中心線と、筐体310の内側面310aの中心軸と、の間の距離T1は、筐体310の内側面310aの内径R1よりも小さい。内側面310aの中心軸の軸方向に対して垂直な断面でみたときに、流路C3の中心線と、筐体310の内側面310aの中心軸と、の間の距離T1は、筐体310の内側面310aの内径R1は次式を満たすとよい。
(1/2)・R1 ≦ T1 ≦ R1
【0035】
もちろん、距離T1が内径R1に近いほど、水は効率よく螺旋状に移動する。なお、流路が湾曲している場合には、距離T1は、流入口の箇所における流路の接線と内側面の中心軸との間の距離である。内側面が円筒内面でない場合には、距離R1は、内側面の中心軸と内側面との間の最も近い距離である。
【0036】
5-3.流路が湾曲している場合
図7は、第1の実施形態の変形例における紫外線殺菌装置400の断面構造を示す図である。紫外線殺菌装置400は、筐体410と、紫外線照射部120と、を有する。筐体410は、内側面410aと流路C4と流入口413とを有する。流路C4は、内側面410aの中心軸に垂直な断面でみたときに、流入口413に近い箇所ほど内側面410aの中心軸に近づくように湾曲している。この場合であっても、流路C4は、内側面410aの中心軸の軸方向に対して垂直な断面でみたときに、流入口413の箇所における流路C4の接線は、内側面410aの中心軸を通らない。
【0037】
5-4.流路が筐体の内部を通っている場合
図8は、第1の実施形態の変形例における紫外線殺菌装置500の断面構造を示す図である。紫外線殺菌装置500は、筐体510と、紫外線照射部120と、を有する。筐体510は、内側面510aと流路C5と流入口513とを有する。流路C5は、流路C5aと流路C5bとを有する。流入口513は、流路C5bと筐体510の内側面510aとの間に位置している。流路C5aは流路C5bと連通している。流路C5aは、流入管111から流路C5bまで連結する管である。流路C5aは、筐体510の内部を内側面510aの中心軸に平行に配置されている。流路C5aは、筐体510の内部に設けられている。流路C5bは、流路C5aから流入口513まで設けられている。このように、流路C5は、必ずしも、筐体510を外側から内側まで貫通していなくてもよい。
【0038】
5-5.流入口の向き
図9は、第1の実施形態の変形例における紫外線殺菌装置600の流入口613を示す図である。紫外線殺菌装置600は、筐体610と、紫外線照射部120と、を有する。筐体610は、内側面610aと流路C6と流入口613とを有する。流路C6は、流入口613に近づくほど、端面610cから遠ざかる。つまり、流路C6は、螺旋状の一部に近い形状をしている。流路C6の中心線を通る方向Kzは、端面610cと平行ではない。この場合であっても、水は殺菌室SR1の内部で螺旋状に移動する。また、流入口613は、流路C6から下流側にいくにしたがって、端面610cから遠ざかる形状を有する。
【0039】
5-6.紫外線照射部
図10は、第1の実施形態の変形例における紫外線殺菌装置700の断面構造を示す図である。紫外線殺菌装置700は、筐体710と、紫外線照射部120と、を有する。筐体710は、内側面710aと流路C1と流入口113とを有する。紫外線照射部120は、照射面120aを有する。照射面120aは、紫外線照射部120の光取り出し面である。紫外線殺菌装置700においては、紫外線照射部120の照射面120aは、殺菌室SR1の内側面の一部を構成する。つまり、殺菌室SR1の内側面は、筐体710の内側面710aと紫外線照射部120の照射面120aとにより構成される。内側面710aと照射面120aとは連続面であるとよい。また、内側面710aと照射面120aとの間には段差がないことが好ましい。
【0040】
5-7.内側面
内側面110aは円筒内面に限らない。内側面は、曲面と平面とを有していてもよい。ただし、内側面は筒状の内側面であるため、筒形状の中心軸を定めることができる。
【0041】
5-8.反射膜
筐体110の内側面110aに紫外線を反射する反射膜を設けてもよい。
【0042】
5-9.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
【0043】
(付記)
第1の態様における紫外線殺菌装置は、紫外発光素子と、紫外発光素子が発する紫外線により殺菌する水を収容可能であるとともに内側面を有する殺菌室と、殺菌室の内部に水を流入させるための流入管と、流入管と殺菌室とを連通させるための流路と、流路が殺菌室の内側面に達することにより内側面に開口する開口部である流入口と、を有する。紫外発光素子は、内側面に沿って配置されている。紫外発光素子の光照射面は、内側面の内側を向いている。内側面の中心軸の軸方向に対して垂直な断面でみたときに内側面の周に沿う流入口の長さが、内側面の中心軸の軸方向に対して平行な方向の流入口の長さよりも長い。
【0044】
第2の態様における紫外線殺菌装置においては、内側面の中心軸の軸方向に対して垂直な断面でみたときに流入口の箇所における流路の接線が、内側面の中心軸を通らない。
【0045】
第3の態様における紫外線殺菌装置は、紫外発光素子を列状に配置した紫外線照射部を有する。紫外線照射部の光照射面が、殺菌室の内側面の一部を構成している。
【0046】
第4の態様における紫外線殺菌装置においては、流路は、内側面の中心軸に垂直な断面でみたときに、流入口に近い箇所ほど内側面の中心軸に近づくように湾曲している。
【0047】
第5の態様における紫外線殺菌装置においては、流路は、流入口と連なる直管部分を有する。
【0048】
第6の態様における紫外線殺菌装置においては、殺菌室は、内側面と第1端面と第2端面とを有する。流入口は、第1端面の側に設けられている。第2端面は、第1端面と対面している。流路は、流入口に近づくほど第1端面から遠ざかる。
【0049】
第7の態様における紫外線殺菌装置は、殺菌室を収容する筐体を有する。流路は、筐体の内部に設けられている第1流路と、第1流路から流入口まで設けられている第2流路と、を有する。
【0050】
第8の態様における紫外線殺菌装置においては、内側面の中心軸の軸方向に対して垂直な断面でみたときに、流入口の箇所における流路の接線と内側面の中心軸との間の距離T1と、内側面の中心軸と内側面との間の最も近い距離R1と、が次式
(1/2)・R1 ≦ T1
を満たす。
【0051】
第9の態様における紫外線殺菌装置は、複数の流路と複数の流入口とを有する。
【符号の説明】
【0052】
100…紫外線殺菌装置
110…筐体
110a…内側面
110b…端面
110c…端面
111…流入管
112…流出管
113…流入口
120…紫外線照射部
121…紫外発光素子
SR1…殺菌室
図1
図2
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図7
図8
図9
図10