(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】状態検出センサの製造方法
(51)【国際特許分類】
H10N 10/17 20230101AFI20240730BHJP
G01K 17/20 20060101ALI20240730BHJP
H10N 10/01 20230101ALN20240730BHJP
【FI】
H10N10/17 A
G01K17/20
H10N10/01
(21)【出願番号】P 2021128436
(22)【出願日】2021-08-04
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井村 友弘
(72)【発明者】
【氏名】郷古 倫央
(72)【発明者】
【氏名】谷口 敏尚
(72)【発明者】
【氏名】岡本 圭司
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189554(JP,A)
【文献】特開2014-135455(JP,A)
【文献】特開2006-332443(JP,A)
【文献】特開2017-219418(JP,A)
【文献】特開2003-324154(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0036951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 10/00
G01K 17/20
H10N 15/00
H10N 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂で構成され、第1面(101)およびその反対側の第2面(102)を有し、前記第1面から前記第2面に到達する複数の第1貫通孔(103)が形成され、前記複数の第1貫通孔に、第1導電型の複数の第1熱電部材(104)のそれぞれと前記第1導電型と異なる第2導電型の複数の第2熱電部材(105)のそれぞれとが交互に配置された第1基材(10)と、
導電性材料で構成され、前記第1基材に対して前記第1面側に配置され、前記複数の第1熱電部材のうち1つの第1熱電部材と前記複数の第2熱電部材のうち1つの第2熱電部材とを接続する1つ以上の第1配線(111)と、
熱可塑性樹脂で構成され、前記第1基材に対して前記第1面側に配置され、前記1つ以上の第1配線を覆う第1絶縁層(12)と、
導電性材料で構成され、前記第1絶縁層のうち前記第1配線側とは反対側の表面(122)に形成された第1電極(13)と、
導電性材料で構成され、前記第1基材に対して前記第2面側に配置され、前記複数の第1熱電部材のうち1つの第1熱電部材と前記複数の第2熱電部材のうち1つの第2熱電部材とを接続する複数の第2配線(14)と、
熱可塑性樹脂で構成され、前記第1基材に対して前記第2面側に配置され、前記第1基材側の第3面(151)および前記第1基材から離れた側の第4面(152)を有し、前記第3面から前記第4面に到達する複数の第2貫通孔(153)が形成され、前記複数の第2貫通孔に、前記第1導電型の複数の第1熱電部材(154)のそれぞれと前記第2導電型の複数の第2熱電部材(155)のそれぞれとが交互に配置された第2基材(15)と、
導電性材料で構成され、前記第2基材に対して前記第3面側に配置され、前記第2基材の前記複数の第1熱電部材のうち1つの第1熱電部材と前記第2基材の前記複数の第2熱電部材のうち1つの第2熱電部材とを接続する複数の第3配線(16)と、
導電性材料で構成され、前記第2基材に対して前記第4面側に配置され、前記第2基材の前記複数の第1熱電部材のうち1つの第1熱電部材と前記第2基材の複数の第2熱電部材のうち1つの第2熱電部材とを接続する1つ以上の第4配線(171)と、
熱可塑性樹脂で構成され、前記第2基材に対して前記第4面側に配置され、前記1つ以上の第4配線を覆う第2絶縁層(18)と、
導電性材料で構成され、前記第2絶縁層のうち前記第4配線側とは反対側の表面(182)に形成された第2電極(19)と、
熱可塑性樹脂で構成され、前記第1基材と前記第2基材との間に配置され、一面(201)とその反対側の他面(202)とを有し、前記複数の第2配線および前記第1基材の前記第2面のうち前記複数の第2配線から露出した部分に対して前記一面が接合され、前記複数の第3配線および前記第2基材の前記第3面のうち前記複数の第3配線から露出した部分に対して前記他面が接合された中間絶縁層(20)と、を備え、
前記1つ以上の第1配線と前記複数の第2配線とによって、前記第1基材の前記複数の第1熱電部材のそれぞれと前記第1基材の前記複数の第2熱電部材のそれぞれとが交互に直列に接続されてなる導電体が、第1センサ部(21)を構成し、
前記複数の第3配線と前記1つ以上の第4配線とによって、前記第2基材の前記複数の第1熱電部材のそれぞれと前記第2基材の前記複数の第2熱電部材のそれぞれとが交互に直列に接続されてなる導電体が、第2センサ部(22)を構成し、
前記第1センサ部と前記第2センサ部とは、前記第1センサ部と前記第2センサ部とに対して熱流が同じ向きで通過したときに、前記第1センサ部に生じる熱起電力の極性と、前記第2センサ部に生じる熱起電力の極性とが反対の関係を有した状態で、電気的に直列に接続されており、
前記第1電極は、前記第1センサ部と前記第2センサ部とが電気的に直列に接続された接続体(23)の一端側に電気的に接続され、
前記第2電極は、前記接続体の他端側に電気的に接続されている状態検出センサの製造方法であって、
一面(121)に前記1つ以上の第1配線(11)が形成され、他面(122)に前記第1電極(13)が形成された前記第1絶縁層(12)を用意すること(S1)と、
前記複数の第1貫通孔(103)が形成されているとともに、前記複数の第1貫通孔に、前記第1基材の前記複数の第1熱電部材(104)を形成するための第1形成材料(31)、および、前記第1基材の前記複数の第2熱電部材(105)を形成するための第2形成材料(32)が充填された前記第1基材(10)を用意すること(S1)と、
一面(201)に前記複数の第2配線(14)が形成され、他面(202)に前記複数の第3配線(16)が形成された前記中間絶縁層(20)を用意すること(S1)と、
前記複数の第2貫通孔(153)が形成されているとともに、前記複数の第2貫通孔に、前記第2基材の前記複数の第1熱電部材(154)を形成するための第1形成材料(31)、および、前記第2基材の前記複数の第2熱電部材(155)を形成するための第2形成材料(32)が充填された前記第2基材(15)を用意すること(S1)と、
一面(181)に前記1つ以上の第4配線(17)が形成され、他面に(182)に前記第2電極(19)が形成された前記第2絶縁層(18)を用意すること(S1)と、
前記第1絶縁層の前記一面が前記第1基材に対向し、前記中間絶縁層の前記一面が前記第1基材に対向し、前記第2絶縁層の前記一面が前記第2基材に対向した状態となるように、前記第1絶縁層、前記第1基材、前記中間絶縁層、前記第2基材および前記第2絶縁層を、この記載順に一方向に積層して、積層体を形成すること(S2)と、
前記積層体に対して加熱しながら一方向に加圧すること(S3)と、を含む、状態検出センサの製造方法。
【請求項2】
前記第2基材の前記複数の第1熱電部材のうち1つの第1熱電部材は、前記第1基材の前記複数の第2熱電部材のうち1つの第2熱電部材に対して、前記状態検出センサの厚さ方向で対向して配置され、
前記第2基材の前記複数の第2熱電部材のうち1つの第2熱電部材は、前記第1基材の前記複数の第1熱電部材のうち1つの第1熱電部材に対して、前記状態検出センサの厚さ方向で対向して配置され、
前記第1基材を用意することにおける前記複数の第1貫通孔に充填される前記第1形成材料と、前記第2基材を用意することにおける前記複数の第2貫通孔に充填される前記第1形成材料とは、同じ材料であり、
前記第1基材を用意することにおける前記複数の第1貫通孔に充填される前記第2形成材料と、前記第2基材を用意することにおける前記複数の第2貫通孔に充填される前記第2形成材料とは、同じ材料である、請求項
1に記載の状態検出センサの製造方法。
【請求項3】
前記第2基材の前記複数の第1熱電部材のそれぞれは、前記第1基材の前記複数の第2熱電部材のそれぞれに対して、前記状態検出センサの厚さ方向で対向して配置されており、
前記第2基材の前記複数の第2熱電部材のそれぞれは、前記第1基材の前記複数の第1熱電部材のそれぞれに対して、前記状態検出センサの厚さ方向で対向して配置されており、
前記第1基材の前記複数の第1熱電部材は、前記第1基材の前記複数の第2熱電部材に対して線対称となる位置に配置されており、
前記第2基材の前記複数の第1熱電部材は、前記第2基材の前記複数の第2熱電部材に対して線対称となる位置に配置されており、
前記第1基材を用意することにおける前記複数の第1貫通孔に充填される前記第1形成材料と、前記第2基材を用意することにおける前記複数の第2貫通孔に充填される前記第1形成材料とは、同じ材料であり、
前記第1基材を用意することにおける前記複数の第1貫通孔に充填される前記第2形成材料と、前記第2基材を用意することにおける前記複数の第2貫通孔に充填される前記第2形成材料とは、同じ材料であり、
前記第1基材(10)を用意することは、
前記複数の第1貫通孔が形成された前記第1基材の表面に第1マスク(71)を設置し、前記第1マスクによって、前記複数の第1貫通孔のうち前記複数の第1熱電部材の形成予定の第1貫通孔を開口させ、前記複数の第1貫通孔のうち前記複数の第2熱電部材の形成予定の第1貫通孔を塞いだ状態で、前記複数の第1貫通孔に対して前記第1形成材料を充填することと、
前記複数の第1貫通孔が形成された前記第1基材の表面に第2マスク(72)を設置し、前記第2マスクによって、前記複数の第1貫通孔のうち前記複数の第1熱電部材の形成予定の第1貫通孔を塞ぎ、前記複数の第1貫通孔のうち前記複数の第2熱電部材の形成予定の第1貫通孔を開口した状態で、前記複数の第1貫通孔に対して前記第2形成材料を充填することと、を含み、
前記第2基材(15)を用意することは、
前記第1基材に前記第1形成材料を充填するときに対して、前記第1マスクの表裏を反転させて、前記複数の第2貫通孔が形成された前記第2基材の表面に前記第1マスクを設置し、前記第1マスクによって、前記複数の第2貫通孔のうち前記複数の第1熱電部材の形成予定の第2貫通孔を開口させ、前記複数の第2貫通孔のうち前記複数の第2熱電部材の形成予定の第2貫通孔を塞いだ状態で、前記複数の第2貫通孔に対して前記第1形成材料を充填することと、
前記第1基材に前記第2形成材料を充填するときに対して、前記第2マスクの表裏を反転させて、前記複数の第2貫通孔が形成された前記第2基材の表面に前記第2マスクを設置し、前記第2マスクによって、前記複数の第2貫通孔のうち前記複数の第1熱電部材の形成予定の第2貫通孔を塞ぎ、前記複数の第2貫通孔のうち前記複数の第2熱電部材の形成予定の第2貫通孔を開口した状態で、前記複数の第2貫通孔に対して前記第2形成材料を充填することと、とを含む、請求項
1に記載の状態検出センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、状態検出センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に状態検出センサが開示されている。この状態検出センサは、通過する熱流の向きおよび熱量に応じた第1センサ信号を出力する板状の第1熱流センサと、通過する熱流の向きおよび熱量に応じた第2センサ信号を出力する板状の第2熱流センサと、所定の熱容量を有する板である熱緩衝板とを備える。なお、単位時間当たりの熱量(すなわち、熱エネルギの移動量)が熱流量である。単位時間、単位面積当たりの熱量が熱流束である。
【0003】
第1熱流センサと第2熱流センサとの間に、熱緩衝板が挟まれている。熱緩衝板は、第1熱流センサと第2熱流センサとのそれぞれに対して、接着性を有する熱伝シート等の接合部材を用いて接合されている。第1熱流センサと第2熱流センサとのそれぞれを通過する熱流の向きが同じときに、第1センサ信号の極性と第2センサ信号の極性とが反対となるように、第1熱流センサと第2熱流センサとが配置されている。第1熱流センサと第2熱流センサとは、電気的に直列に接続されている。このため、状態検出センサは、第1センサ信号と第2センサ信号とが合わされたセンサ信号を出力する。
【0004】
検出対象の熱流が状態検出センサを通過するとき、第1熱流センサ、熱緩衝板、第2熱流センサの順に熱流が通過する。このとき、第1熱流センサを通過した熱が熱緩衝板に蓄積される。その後、熱緩衝板から第2熱流センサに向けて熱が放出される。このため、定常の熱流が状態検出センサを通過している状態において、同じタイミングで比較したときの各熱流センサを通過する熱流の熱量は同じである。一方、ある周期で変化する熱流が状態検出センサを通過するときでは、同じタイミングで比較したときの各熱流センサを通過する熱流の熱量は異なる。よって、この状態検出センサによれば、定常の熱流をキャンセルし、ある周期で変化する熱流を計測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の状態検出センサでは、計測対象の熱流の変化の周期に応じて、熱緩衝板の熱容量が設定される。熱流の変化が高速になるほど、熱緩衝板の熱容量を小さくする必要がある。これは、熱緩衝板に熱が留まると、熱緩衝板から熱が放出されるまで、次の熱の変化をとらえることができないからである。
【0007】
しかし、上記した状態検出センサでは、2枚の熱流センサの間に熱緩衝板を挟む構造であるため、熱緩衝板にある程度の厚さが必要である。また、熱緩衝板を2枚の熱流センサに接合するために、接合部材が必要である。この接合部材が熱の蓄積と放出を行う熱緩衝体となる。すなわち、熱緩衝板と接合部材とが熱緩衝体として機能する。このため、2枚の熱流センサの間の熱緩衝体の熱容量を小さくすることには、限界がある。
【0008】
本発明は、上記点に鑑みて、上記した従来の状態検出センサと比較して、熱緩衝体の熱容量を小さくすることができる状態検出センサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明によれば、
一面(121)に1つ以上の第1配線(11)が形成され、他面(122)に第1電極(13)が形成された第1絶縁層(12)を用意すること(S1)と、
複数の第1貫通孔(103)が形成されているとともに、複数の第1貫通孔に、第1基材の複数の第1熱電部材(104)を形成するための第1形成材料(31)、および、第1基材の複数の第2熱電部材(105)を形成するための第2形成材料(32)が充填された第1基材(10)を用意すること(S1)と、
一面(201)に複数の第2配線(14)が形成され、他面(202)に複数の第3配線(16)が形成された中間絶縁層(20)を用意すること(S1)と、
複数の第2貫通孔(153)が形成されているとともに、複数の第2貫通孔に、第2基材の複数の第1熱電部材(154)を形成するための第1形成材料(31)、および、第2基材の複数の第2熱電部材(155)を形成するための第2形成材料(32)が充填された第2基材(15)を用意すること(S1)と、
一面(181)に1つ以上の第4配線(17)が形成され、他面に(182)に第2電極(19)が形成された第2絶縁層(18)を用意すること(S1)と、
第1絶縁層の一面が第1基材に対向し、中間絶縁層の一面が第1基材に対向し、第2絶縁層の一面が第2基材に対向した状態となるように、第1絶縁層、第1基材、中間絶縁層、第2基材および第2絶縁層を、この記載順に一方向に積層して、積層体を形成すること(S2)と、
積層体に対して加熱しながら一方向に加圧すること(S3)と、を含む。
【0012】
この製造方法によって状態検出センサが製造される。このため、この製造方法によって製造される状態検出センサによれば、次の効果が得られる。すなわち、この状態検出センサでは、第1センサ部と第2センサ部との間に存在する中間絶縁層が、熱の蓄積と放出とを行う熱緩衝体となる。この状態検出センサは、上記した従来の状態検出センサが備えていた熱緩衝板および熱緩衝板を接合する接合部材を備えていない。さらに、この状態検出センサでは、従来の状態検出センサのうち2つの熱流センサのそれぞれが備えていた絶縁層が、1つの中間絶縁層とされている。これらの理由により、この状態検出センサによれば、従来の状態検出センサと比較して、第1センサ部と第2センサ部との間の熱緩衝体の熱容量を小さくすることができる。
【0013】
また、上記した従来の状態検出センサの製造には、2枚の熱流センサのそれぞれを製造するセンサ製造工程と、2枚の熱流センサの間に熱緩衝板を挟み、これらを貼り合わせる貼り合わせ工程とが必要である。このため、状態検出センサの製造には、時間がかかる。
【0014】
これに対して、本発明の状態検出センサの製造方法は、第1絶縁層、第1基材、中間絶縁層、第2基材および第2絶縁層の5層を一括で加熱加圧することで、第1センサ部と第2センサ部との間に中間絶縁層が存在する状態検出センサを製造する。このため、従来の状態検出センサの製造におけるセンサ製造工程と、貼り合わせ工程とを一つにすることができる。本発明の状態検出センサの製造方法によれば、従来の状態検出センサの製造方法と比較して、製造工程を簡略化することができる。これにより、製造時間の短縮化が可能である。
【0015】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態の状態検出センサの平面図である。
【
図3】第1実施形態の状態検出センサの製造方法を示すフローチャートである。
【
図4】
図3中の積層工程で形成される積層体の分解図である。
【
図6】第2実施形態の状態検出センサの断面図である。
【
図7】第3実施形態の状態検出センサの平面図である。
【
図9】第3実施形態の状態検出センサの製造において、積層工程で形成される積層体の分解図である。
【
図10】第4実施形態の状態検出センサにおける第1電極、第1中間電極および第1金メッキ部の平面レイアウトと、第2電極、第2中間電極および第2金メッキ部の平面レイアウトとを示す図である。
【
図11】第4実施形態の状態検出センサにおける複数の第1配線の平面レイアウトと、複数の第4配線の平面レイアウトとを示す図である。
【
図12】第4実施形態の状態検出センサにおける第1基材の複数の第1熱電部材および複数の第2熱電部材の平面レイアウトを示す図である。
【
図13】第4実施形態の状態検出センサにおける複数の第2配線および一面側配線の平面レイアウトと、複数の第3配線および他面側配線の平面レイアウトとを示す図である。
【
図14】第4実施形態の状態検出センサにおける第2基材の複数の第1熱電部材および複数の第2熱電部材の平面レイアウトを示す図である。
【
図15】第4実施形態の状態検出センサの製造方法において、第1基材の複数の第1貫通孔に第1形成材料を充填する工程を示す第1基材の断面図である。
【
図16】
図15に示す工程で用いる第1マスクの平面図である。
【
図17】第4実施形態の状態検出センサの製造方法において、第1基材の複数の第1貫通孔に第2形成材料を充填する工程を示す第1基材の断面図である。
【
図18】
図17に示す工程で用いる第2マスクの平面図である。
【
図19】第4実施形態の状態検出センサの製造方法において、第2基材の複数の第2貫通孔に第1形成材料を充填する工程を示す第2基材の断面図である。
【
図20】第4実施形態の状態検出センサの製造方法において、第2基材の複数の第2貫通孔に第2形成材料を充填する工程を示す第2基材の断面図である。
【
図21】第5実施形態の状態検出センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0018】
(第1実施形態)
図1、2に示す本実施形態の状態検出センサ1は、一面とその反対側の他面とを有する板形状である。状態検出センサ1は、一面および他面に垂直な方向である厚さ方向に、各層が積層されている。具体的には、状態検出センサ1は、第1基材10と、複数の第1配線11と、第1絶縁層12と、第1電極13と、複数の第2配線14と、第2基材15と、複数の第3配線16と、複数の第4配線17と、第2絶縁層18と、第2電極19と、中間絶縁層20とを備える。
【0019】
第1基材10は、ポリイミド等の熱可塑性樹脂で構成され、絶縁性を有する。第1基材10は、フィルム状であり、第1面101およびその反対側の第2面102を有する。第1基材10には、第1面101から第2面102に到達する複数の第1貫通孔103が形成されている。複数の第1貫通孔103に、複数の第1熱電部材104のそれぞれと複数の第2熱電部材105のそれぞれとが交互に配置されている。
【0020】
複数の第1熱電部材104および複数の第2熱電部材105は、熱エネルギと電気エネルギとを相互に変換する特性を持つ熱電材料で構成される。第1熱電部材104は、第1導電型の熱電材料で構成される。第1導電型の熱電材料としては、例えば、P型の半導体材料であるBi―Sb―Teの焼結合金が用いられる。第2熱電部材105は、第1導電型とは異なる第2導電型の熱電材料で構成される。第2熱電部材105としては、例えば、N型の半導体材料であるBi―Teの焼結合金が用いられる。
【0021】
複数の第1配線11は、第1基材10に対して第1面101側に配置されている。複数の第1配線11は、導電性材料で構成され、所定の平面形状にパターニングされた膜である。複数の第1配線11には、1つの熱電部材接続用の第1配線111が含まれる。熱電部材接続用の第1配線111は、複数の第1熱電部材104のうち1つの第1熱電部材104と複数の第2熱電部材105のうち1つの第2熱電部材105とを接続する。
【0022】
複数の第1配線11には、1つの電極接続用の第1配線112が含まれる。電極接続用の第1配線112は、第1熱電部材104および第2熱電部材105の一方と第1電極13とを電気的に接続するための配線である。
【0023】
第1絶縁層12は、第1基材10に対して第1面101側に配置されている。第1絶縁層12は、複数の第1配線11を覆う絶縁層である。第1絶縁層12は、第1基材10と同じ熱可塑性樹脂で構成され、絶縁性を有する。第1絶縁層12は、フィルム状である。第1絶縁層12は、複数の第1配線11に接するとともに、第1基材10の第1面101のうち複数の第1配線11から露出した部分に接する。第1絶縁層12は、第1配線11側の表面である一面121と、第1配線11側とは反対側の表面である他面122とを有する。
【0024】
第1電極13は、第1絶縁層12の他面122に形成されている。第1電極13は、導電性材料で構成され、所定の平面形状にパターニングされた膜である。第1電極13は、第1絶縁層12に形成されたスルーホール123を介して、電極接続用の第1配線112と電気的に接続されている。スルーホール123は、絶縁層を貫通する貫通孔の内面に形成された導電膜を有する。この導電膜は、絶縁層の両面に存在する配線同士を接続する層間接続部材である。
【0025】
複数の第2配線14は、第1基材10に対して第2面102側に配置されている。複数の第2配線14は、導電性材料で構成され、所定の平面形状にパターニングされた膜である。複数の第2配線14のそれぞれは、複数の第1熱電部材104のうち1つの第1熱電部材104と複数の第2熱電部材105のうち1つの第2熱電部材105とを接続する。
【0026】
第2基材15は、第1基材10に対して第2面102側に配置されている。第2基材15は、第1基材10と同じ材料で構成される。第2基材15は、フィルム状であり、第3面151およびその反対側の第4面152を有する。第3面151は、第2基材15のうち第1基材10側の表面である。第4面152は、第2基材15のうち第1基材10から離れた側の表面である。
【0027】
第2基材15には、第3面151から第4面152に到達する複数の第2貫通孔153が形成されている。複数の第2貫通孔153に、複数の第1熱電部材154のそれぞれと複数の第2熱電部材1555のそれぞれとが交互に配置されている。第2基材15の複数の第1熱電部材154は、第1基材10の複数の第1熱電部材104と同じ熱電材料で構成される。すなわち、第2基材15の複数の第1熱電部材154は、第1導電型の熱電材料で構成される。第2基材15の複数の第2熱電部材155は、第1基材10の複数の第2熱電部材105と同じ熱電材料で構成される。すなわち、第2基材15の複数の第2熱電部材155は、第2導電型の熱電材料で構成される。
【0028】
第2基材15の複数の第1熱電部材154のそれぞれは、第1基材10の複数の第1熱電部材104のそれぞれに対して、状態検出センサ1の厚さ方向で対向する位置に配置されている。第2基材15の複数の第2熱電部材155のそれぞれは、第1基材10の複数の第2熱電部材105のそれぞれに対して、状態検出センサ1の厚さ方向で対向する位置に配置されている。
【0029】
複数の第3配線16は、第2基材15に対して第3面151側に配置されている。複数の第3配線16は、導電性材料で構成され、所定の平面形状にパターニングされた膜である。複数の第3配線16のそれぞれは、複数の第1熱電部材154のうち1つの第1熱電部材154と複数の第2熱電部材155のうち1つの第2熱電部材155とを接続する。
【0030】
複数の第4配線17は、第2基材15に対して第4面152側に配置されている。複数の第4配線17は、導電性材料で構成され、所定の平面形状にパターニングされた膜である。複数の第4配線17には、1つの熱電部材接続用の第4配線171が含まれる。熱電部材接続用の第4配線171は、複数の第1熱電部材154のうち1つの第1熱電部材154と複数の第2熱電部材155のうち1つの第2熱電部材155とを接続する。
【0031】
複数の第4配線17には、1つの電極接続用の第4配線172が含まれる。電極接続用の第4配線172は、第1熱電部材154および第2熱電部材155の一方と第2電極19とを電気的に接続するための配線である。
【0032】
第2絶縁層18は、第2基材15に対して第4面152側に配置されている。第2絶縁層18は、複数の第4配線17を覆う絶縁層である。第2絶縁層18は、第1絶縁層12と同じ材料で構成され、絶縁性を有する。第2絶縁層18は、フィルム状である。第2絶縁層18は、複数の第4配線17に接するとともに、第2基材15の第4面152のうち複数の第4配線17から露出した部分に接する。第2絶縁層18は、第4配線17側の表面である一面181と、第4配線17側とは反対側の表面である他面182に形成されている。
【0033】
第2電極19は、第2絶縁層18の他面182に形成されている。第2電極19は、導電性材料で構成され、所定の平面形状にパターニングされた膜である。第2電極19は、第2絶縁層18に形成されたスルーホール183を介して、電極接続用の第4配線172と電気的に接続されている。
【0034】
中間絶縁層20は、第1基材10と第2基材15との間に配置されている。中間絶縁層20は、第1絶縁層12と同じ材料で構成され、絶縁性を有する。中間絶縁層20は、フィルム状であり、一面201とその反対側の他面202とを有する。中間絶縁層20の一面201は、複数の第2配線14に接合されているとともに、第1基材10の第2面102のうち複数の第2配線14から露出した部分に接合されている。中間絶縁層20の他面202は、複数の第3配線16に接合されているとともに、第2基材15の第3面151のうち複数の第3配線16から露出した部分に接合されている。中間絶縁層20の厚さは、20~200μm程度である。
【0035】
熱電部材接続用の第1配線111と複数の第2配線14とによって、第1基材10に設けられた複数の第1熱電部材104のそれぞれと第1基材10に設けられた複数の第2熱電部材105のそれぞれとが交互に直列に接続されている。この第1熱電部材104と第2熱電部材105とが交互に直列に接続されてなる導電体が、第1センサ部21を構成する。
【0036】
複数の第3配線16と熱電部材接続用の第4配線171とによって、第2基材15に設けられた複数の第1熱電部材154のそれぞれと第2基材15に設けられた複数の第2熱電部材155のそれぞれとが交互に直列に接続されている。第1熱電部材154と第2熱電部材155とが交互に直列に接続されてなる導電体が、第2センサ部22を構成する。
【0037】
第1センサ部21と第2センサ部22とは、第1センサ部21と第2センサ部22とに対して同じ熱量の熱流が通過したときに、第1センサ部21に生じる熱起電力の大きさの絶対値と、第2センサ部22に生じる熱起電力の大きさの絶対値とが同じとなるように、構成されている。なお、第1センサ部21に生じる熱起電力の大きさの絶対値と、第2センサ部22に生じる熱起電力の大きさの絶対値との差が、許容される所定値以下となるように、構成されていればよい。
【0038】
また、第1センサ部21と第2センサ部22とは、第1センサ部21と第2センサ部22とに対して熱流が同じ向きで通過したときに、第1センサ部21に生じる熱起電力の極性と、第2センサ部22に生じる熱起電力の極性とが反対の関係となるように、構成されている。そして、第1センサ部21と第2センサ部22とは、第1センサ部21と第2センサ部22とに対して熱流が同じ向きで通過したときに、第1センサ部21に生じる熱起電力の極性と、第2センサ部22に生じる熱起電力の極性とが反対の関係を有した状態で、電気的に直列に接続されている。
【0039】
第1センサ部21と第2センサ部22との電気的な接続は、中間絶縁層20に形成されたスルーホール203を介して、第1センサ部21の一端側に位置する第2配線14と、第2センサ部22の一端側に位置する第3配線16とが、電気的に接続されることで実現されている。
【0040】
第1電極13は、第1センサ部21と第2センサ部22が直列に接続された接続体の一端側に接続されている。第2電極19は、その接続体の他端側に接続されている。その接続体が、センサ本体部23を構成する。
【0041】
状態検出センサ1は、第1金メッキ部24と、第2金メッキ部25とを備える。第1金メッキ部24は、状態検出センサ1のセンサエリアA1における第1絶縁層12の他面122に形成されている。センサエリアA1は、複数の第1熱電部材104、154および複数の第2熱電部材105、155が配置された領域である。第1金メッキ部24は、第1電極13と電気的に接続されていない。第2金メッキ部25はセンサエリアA1における第2絶縁層18の他面182に形成されている。第2金メッキ部25は、第2電極19と電気的に接続されていない。第1金メッキ部24および第2金メッキ部25は、センサエリアA1を覆うことで、複数の第1熱電部材104、154および複数の第2熱電部材105、155等の酸化を防止する。
【0042】
次に、本実施形態の状態検出センサ1の製造方法について説明する。この製造方法は、
図3に示すように、用意工程S1と、積層工程S2と、加熱加圧工程S3とを含む。
【0043】
用意工程S1では、
図4に示す第1絶縁層12、第1基材10、中間絶縁層20、第2基材15、第2絶縁層18の5層を用意することが行われる。
【0044】
用意される第1絶縁層12の一面121には、複数の第1配線11が形成されている。この第1絶縁層12の他面122には、第1電極13および第1金メッキ部24が形成されている。この第1絶縁層12には、第1電極13と第1配線11とを接続するスルーホール123が形成されている。
【0045】
用意される第1基材10には、第1面101から第2面102に到達する複数の第1貫通孔103が形成されている。複数の第1貫通孔103には、複数の第1熱電部材104を形成するための第1形成材料31、および、複数の第2熱電部材105を形成するための第2形成材料32が充填されている。第1形成材料31としては、例えば、P型のBi―Sb―Te合金の粉末に有機溶剤を加えられてペースト化されたものが用いられる。第2形成材料32としては、例えば、N型のBi―Te合金の粉末に有機溶剤が加えられてペースト化されたものが用いられる。
【0046】
用意される中間絶縁層20の一面201には、複数の第2配線14が形成されている。この中間絶縁層20の他面202には、複数の第3配線16が形成されている。この中間絶縁層20には、第2配線14と第3配線16とを接続するスルーホール203が形成されている。
【0047】
用意される第2基材15には、第3面151から第4面152に到達する複数の第2貫通孔153が形成されている。複数の第2貫通孔153には、複数の第1熱電部材154を形成するための第1形成材料31、および、複数の第2熱電部材155を形成するための第2形成材料32が充填されている。第2基材15の第1形成材料31は、第1基材10の第1形成材料31と同じ材料である。第2基材15の第2形成材料32は、第1基材10の第2形成材料32と同じ材料である。
【0048】
用意される第2絶縁層18の一面181には、複数の第4配線17が形成されている。この第2絶縁層18の他面182には、第2電極19および第2金メッキ部25が形成されている。この第2絶縁層18には、第2電極19と第4配線17とを接続するスルーホール183が形成されている。
【0049】
用意工程S1の後に、積層工程S2が行われる。積層工程S2では、
図4に示すように、第1絶縁層12、第1基材10、中間絶縁層20、第2基材15、第2絶縁層18の5層を、この記載順に一方向に積層して、積層体を形成することが行われる。このとき、第1絶縁層12の一面121が第1基材10に対向する。中間絶縁層20の一面201が第1基材10に対向する。第2絶縁層18の一面181が第2基材15に対向する。この状態となるように、5層が積層される。
【0050】
積層工程S2の後に、加熱加圧工程S3が行われる。加熱加圧工程S3では、積層体に対して加熱しながら一方向に加圧することが行われる。これにより、第1基材10において、第1、第2形成材料31、32に含まれる粉末が焼結して、第1基材10の複数の第1、第2熱電部材104、105が形成される。複数の第1、第2熱電部材104、105と複数の第1、第2配線11、14とが拡散接合によって接合される。同様に、第2基材15において、第1、第2形成材料31、32に含まれる粉末が焼結して、第2基材15の複数の第1、第2熱電部材154、155が形成される。複数の第1、第2熱電部材154、155と複数の第3、第4配線16、17とが拡散接合によって接合される。第1基材10および第2基材15の基材と、第1絶縁層12、中間絶縁層20および第2絶縁層18の絶縁層とは、融着または図示しない接着層を介し接合される。このようにして、
図2に示す状態検出センサ1が製造される。
【0051】
次に、本実施形態の状態検出センサ1から出力されるセンサ信号について説明する。
【0052】
状態検出センサ1の厚さ方向に、状態検出センサ1を熱流が通過する。このとき、第1センサ部21を通過する熱流の向きおよび熱量に応じた熱起電力が、第1センサ部21に生じる。第2センサ部22を通過する熱流の向きおよび熱量に応じた熱起電力が、第2センサ部22に生じる。なお、単位時間当たりの熱量が熱流量である。単位時間、単位面積当たりの熱量が熱流束である。
【0053】
第1センサ部21と第2センサ部22とは、第1センサ部21と第2センサ部22とに対して熱流が同じ向きで通過したときに、第1センサ部21に生じる熱起電力の極性と、第2センサ部22に生じる熱起電力の極性とが反対の関係を有した状態で、電気的に直列に接続されている。第1センサ部21と第2センサ部22とが接続されたセンサ本体部23の一端側に第1電極13が接続されている。センサ本体部23の他端側に第2電極19が接続されている。このため、状態検出センサ1は、第1センサ部21の熱起電力と第2センサ部22の熱起電力との和をセンサ信号として出力する。出力されるセンサ信号は、例えば、電圧である。
【0054】
次に、状態検出センサ1による検出対象物の状態の検出について説明する。状態検出センサ1は、検出対象物からの熱流を検出できる位置に設置される。検出対象物から放出された熱流が、第1センサ部21、中間絶縁層20、第2センサ部22の順に、状態検出センサ1を通過する。このとき、第1センサ部21を通過した熱が中間絶縁層20に蓄積される。中間絶縁層20から第2センサ部22に向けて熱が放出される。このため、定常の熱流が状態検出センサ1を通過している状態において、同じタイミングで比較したときの各センサ部21、22を通過する熱流の熱量は同じである。一方、ある周期で変化する熱流が状態検出センサを通過するときでは、同じタイミングで比較したときの各センサ部21、22を通過する熱流の熱量は異なる。よって、この状態検出センサ1によれば、定常の熱流をキャンセルし、ある周期で変化する熱流を検出することができる。検出対象物の状態が変わると、熱流が変化する。このため、熱流の変化を検出することで、検出対象物の状態を検出することができる。
【0055】
なお、本実施形態の状態検出センサ1の出力結果と同じ出力波形は、本実施形態と異なり、2つの熱流センサからの出力値に基づいて、ソフトウェアによる計算によって取得することも可能である。しかし、本実施形態によれば、熱流の変化に応じた信号が状態検出センサ1から直接出力されるため、計算よりも早期に、熱流の変化の情報を取得することができる。
【0056】
次に、本実施形態の状態検出センサ1の効果について、
図5に示す比較例1の状態検出センサJ1と対比して説明する。比較例1の状態検出センサJ1では、特許文献1に記載の状態検出センサと同様に、第1熱流センサJ2と第2熱流センサJ3との間に、熱緩衝板J4が挟まれている。
【0057】
第1熱流センサJ2は、本実施形態の状態検出センサ1と同様に、複数の第1熱電部材104および複数の第2熱電部材105が設けられた第1基材10と、複数の第1配線11と、第1絶縁層12と、第1電極13と、複数の第2配線14とを備える。さらに、第1熱流センサJ2は、絶縁層41と、第2電極42とを備える。絶縁層41は、第1基材10の第2面102側に配置されている。絶縁層41は、複数の第2配線14を覆う。絶縁層41は、第1基材10と同じ熱可塑性樹脂で構成される。絶縁層41は、フィルム状である。絶縁層41は、複数の第2配線14に接するとともに、第1基材10の第2面102のうち複数の第2配線14から露出した部分に接する。第2電極42は、第1電極13と同様に、第1絶縁層12の他面122に形成されている。第2電極42は、第1絶縁層12に形成されたスルーホール124を介して、複数の第1配線11のうち電極接続用の第1配線113と電気的に接続されている。
【0058】
第2熱流センサJ3は、本実施形態の状態検出センサ1と同様に、複数の第1熱電部材154および複数の第2熱電部材155が設けられた第2基材15と、複数の第3配線16と、複数の第4配線17と、第2絶縁層18と、第3電極19とを備える。第3電極19は、本実施形態の状態検出センサ1の第2電極19と同じである。さらに、第2熱流センサJ3は、絶縁層43と、第4電極44とを備える。絶縁層43は、第2基材15の第3面151側に配置されている。絶縁層43は、複数の第3配線16を覆う。絶縁層43は、第2基材15と同じ熱可塑性樹脂で構成される。絶縁層43は、フィルム状である。絶縁層43は、複数の第3配線16に接するとともに、第2基材15の第3面151のうち複数の第3配線16から露出した部分に接する。第4電極44は、第3電極19と同様に、第2絶縁層18の他面182に形成されている。第4電極44は、第2絶縁層18に形成されたスルーホール184を介して、複数の第4配線17のうち電極接続用の第4配線173と電気的に接続されている。
【0059】
熱緩衝板J4は、第1熱流センサJ2および第2熱流センサJ3とは別体である。熱緩衝板J4は、金属や樹脂等で構成される板である。第1熱流センサJ2と熱緩衝板J4とは、接着性を有する熱伝シートや熱伝ペースト等の第1接合部材45を介して接合されている。第2熱流センサJ3と熱緩衝板J4とは、接着性を有する熱伝シートや熱伝ペースト等の第2接合部材46を介して接合されている。
【0060】
第1熱流センサJ2は、第1センサ部21を通過する熱流の向きおよび熱量に応じたセンサ信号を出力する。第2熱流センサJ3は、第2センサ部22を通過する熱流の向きおよび熱量に応じたセンサ信号を出力する。第1熱流センサJ2と第2熱流センサJ3とのそれぞれを通過する熱流の向きが同じときに、第1センサ信号の極性と第2センサ信号の極性とが反対となるように、第1熱流センサJ2と第2熱流センサJ3とが配置されている。第1熱流センサJ2と第2熱流センサJ3とは、図示しない外部配線を介して、電気的に直列に接続されている。このため、比較例1の状態検出センサJ1は、第1センサ信号と第2センサ信号とが合わされたセンサ信号を出力する。
【0061】
検出対象の熱流が比較例1の状態検出センサJ1を通過するとき、第1熱流センサJ2と第2熱流センサJ3の一方の熱流センサ、熱緩衝板J4、第1熱流センサJ2と第2熱流センサJ3の他方の熱流センサの順に熱流が通過する。このとき、熱緩衝板J4は、熱の蓄積と放出を行う。この状態検出センサJ1によれば、定常の熱流をキャンセルし、ある周期で変化する熱流を計測することができる。
【0062】
計測対象の熱流の変化の周期に応じて、熱緩衝板J4の熱容量が設定される。熱流の変化が高速になるほど、熱緩衝板J4の熱容量を小さくする必要がある。これは、熱緩衝板J4に熱が留まると、その熱が熱緩衝板J4から放出されるまで、次の熱の変化をとらえることができないからである。
【0063】
しかし、比較例1の状態検出センサJ1では、第1センサ部21と第2センサ部22との間には、第1熱流センサJ2の絶縁層41と、第1接合部材45と、熱緩衝板J4と、第2接合部材46と、第2熱流センサJ3の絶縁層43と、が存在する。これらが、熱の蓄積と放出を行う熱緩衝体となるため、熱緩衝体の熱容量を小さくすることには限界がある。
【0064】
これに対して、本実施形態の状態検出センサ1では、第1センサ部21と第2センサ部22との間に存在する中間絶縁層20が、熱の蓄積と放出とを行う熱緩衝体となる。この状態検出センサ1は、比較例1の状態検出センサJ1が備えていた熱緩衝板J4および熱緩衝板J4を接合する第1、第2接合部材45、46を備えていない。さらに、この状態検出センサ1では、比較例1の状態検出センサJ1のうち2つの熱流センサJ2、J3のそれぞれが備えていた絶縁層41、43が、1つの中間絶縁層20とされている。これらの理由により、この状態検出センサ1によれば、比較例1の状態検出センサJ1と比較して、第1センサ部21と第2センサ部22との間の熱緩衝体の熱容量を小さくすることができる。
【0065】
また、比較例1の状態検出センサJ1の製造には、2つの熱流センサJ2、J3のそれぞれを製造するセンサ製造工程と、2つの熱流センサJ2、J3の間に熱緩衝板J4を挟み、これらを貼り合わせる貼り合わせ工程とが必要である。このため、状態検出センサの製造には、時間がかかる。
【0066】
これに対して、本実施形態の状態検出センサ1の製造方法は、第1絶縁層12、第1基材10、中間絶縁層20、第2基材15および第2絶縁層18の5層を一括で加熱加圧する。これにより、第1センサ部21と第2センサ部22との間に中間絶縁層20が存在する状態検出センサ1が製造される。このため、比較例1の状態検出センサJ1の製造におけるセンサ製造工程と、貼り合わせ工程とを一つにすることができる。本実施形態の状態検出センサ1の製造方法によれば、比較例1の状態検出センサJ1の製造方法と比較して、製造工程を簡略化することができる。これにより、製造時間の短縮化が可能である。
【0067】
(第2実施形態)
図6に示すように、本実施形態の状態検出センサ1では、第2基材15の複数の第1熱電部材154のそれぞれは、第1基材10の複数の第2熱電部材105のそれぞれに対して、状態検出センサ1の厚さ方向で対向する位置に配置されている。第2基材15の複数の第2熱電部材155のそれぞれは、第1基材10の複数の第1熱電部材104のそれぞれに対して、状態検出センサ1の厚さ方向で対向する位置に配置されている。状態検出センサ1の他の構成は、第1実施形態と同じである。また、状態検出センサ1の製造方法は、第2基材15の複数の第1熱電部材154および複数の第2熱電部材155の配置を除いて、第1実施形態と同じである。
【0068】
状態検出センサ1の製造において、加熱加圧工程S3が行われた後の熱電部材の厚さは、複数の第1熱電部材104、154と複数の第2熱電部材105、155とで異なる場合がある。これは、複数の第1熱電部材104、154を形成するための第1形成材料31の加熱加圧後の変形量と、複数の第2熱電部材105、155を形成するための第2形成材料32の加熱加圧後の変形量とが異なるからである。例えば、第1形成材料31として、P型のBi―Sb―Te合金の粉末が用いられ、第2形成材料32として、N型のBi―Teの合金の粉末が用いられた場合、複数の第1熱電部材104、154よりも複数の第2熱電部材105、155の方が薄くなる。
【0069】
このため、第1実施形態の状態検出センサ1のように、第1基材10と第2基材15とにおいて、同じ導電型の熱電部材同士が、状態検出センサ1の厚さ方向で対向して配置される場合、第1基材10の薄い部分と第2基材15の薄い部分とが一致する。このため、状態検出センサ1の厚さのバラツキが顕著となる。
【0070】
これに対して、本実施形態によれば、同じ導電型の熱電部材同士が、状態検出センサ1の厚さ方向で対向して配置されていないので、状態検出センサ1の厚さのバラツキを小さく抑えることができる。
【0071】
なお、本実施形態では、第2基材15の複数の第1熱電部材154の全部が第1基材10の複数の第2熱電部材105と対向する。第2基材15の複数の第2熱電部材155の全部が第1基材10の複数の第1熱電部材104と対向する。この場合に限らず、複数の第1熱電部材154の一部のみが、第1基材10の第2熱電部材105と対向してもよい。複数の第2熱電部材155の一部のみが、第1基材10の第1熱電部材104と対向してもよい。
【0072】
要するに、第2基材15の複数の第1熱電部材154のうち1つの第1熱電部材154は、第1基材10の複数の第2熱電部材のうち1つの第2熱電部材に対して、状態検出センサ1の厚さ方向で対向していればよい。第2基材の複数の第2熱電部材155のうち1つの第2熱電部材155は、第1基材10の複数の第1熱電部材104のうち1つの第1熱電部材104に対して、状態検出センサ1の厚さ方向で対向していればよい。これによれば、第2基材15の複数の第1熱電部材154および複数の第2熱電部材155の全部において、同じ導電型の熱電部材同士が、状態検出センサ1の厚さ方向で対向している場合と比較して、状態検出センサ1の厚さのバラツキを小さく抑えることができる。
【0073】
(第3実施形態)
図7、8に示すように、本実施形態の状態検出センサ1は、中間電極としての第1中間電極51および第2中間電極52を備える。第1中間電極51は、第1電極13と同様に、第1絶縁層12の他面122に形成されている。第2中間電極52は、第2電極19と同様に、第2絶縁層18の他面182に形成されている。第2中間電極52は、第1中間電極51に対して状態検出センサ1の厚さ方向で対向する位置に配置されている。
【0074】
第1中間電極51および第2中間電極52は、第1センサ部21と第2センサ部22との間に電気的に接続されている。
【0075】
具体的には、第1中間電極51は、第1絶縁層12に形成されたスルーホール125を介して、第1センサ部21の複数の第1配線11のうち電極接続用の第1配線114に電気的に接続されている。電極接続用の第1配線114は、第1熱電部材104および第2熱電部材105の一方と第1中間電極51とを電気的に接続するための配線である。これにより、第1中間電極51は、第1センサ部21に対して、第1電極13側とは反対側に電気的に接続されている。
【0076】
第2中間電極52は、第2絶縁層18に形成されたスルーホール185を介して、第2センサ部22の複数の第4配線17のうち電極接続用の第4配線174に電気的に接続されている。電極接続用の第4配線174は、第1熱電部材154および第2熱電部材145の一方と第2中間電極52とを電気的に接続するための配線である。これにより、第2中間電極52は、第2センサ部22に対して第2電極19側とは反対側に電気的に接続されている。
【0077】
電極接続用の第1配線114と電極接続用の第4配線174とは、第1基材10の接続用の熱電部材106と、第2基材15の接続用の熱電部材156とを介して、電気的に接続されている。
【0078】
接続用の熱電部材106は、第1基材10に形成された複数の第1貫通孔103のうち1つの第1貫通孔103に配置されている。この接続用の熱電部材106は、第1基材10のうち第1中間電極51に対して状態検出センサ1の厚さ方向で対向する位置に配置されている。この接続用の熱電部材106は、第1基材10の第1熱電部材104と第2熱電部材105との一方と同じ熱電材料で構成されている。この接続用の熱電部材106は、電極接続用の第1配線114と接続されている。この接続用の熱電部材106は、中間絶縁層20の一面201に形成された一面側配線53と接続されている。
【0079】
接続用の熱電部材156は、第2基材15に形成された複数の第2貫通孔153のうち1つの第2貫通孔153に配置されている。この接続用の熱電部材156は、第2基材15のうち第1中間電極51に対して状態検出センサ1の厚さ方向で対向する位置に配置されている。この接続用の熱電部材156は、第2基材15の第1熱電部材154と第2熱電部材155との一方と同じ熱電材料で構成されている。この接続用の熱電部材156は、電極接続用の第4配線174と接続されている。この接続用の熱電部材156は、中間絶縁層20の他面202に形成された他面側配線54と接続されている。他面側配線54は、中間絶縁層20に形成されたスルーホール204を介して、一面側配線53と電気的に接続されている。
【0080】
本実施形態の状態検出センサ1の他の構成は、第1実施形態の状態検出センサと同じである。
【0081】
本実施形態の状態検出センサ1の製造方法は、第1実施形態と同様に、用意工程S1と、積層工程S2と、加熱加圧工程S3とを含む。用意工程S1で用意される各層が第1実施形態と異なる。他の工程は、第1実施形態と同じである。
【0082】
図9に示すように、用意工程S1で用意される第1絶縁層12の他面122には、第1中間電極51が形成されている。この第1絶縁層12には、第1中間電極51と第1配線11とを接続するスルーホール125が形成されている。この第1絶縁層12の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0083】
用意される第1基材10には、複数の第1貫通孔103が形成されている。複数の第1貫通孔103には、接続用の熱電部材106を形成するための第1貫通孔103が含まれる。この第1貫通孔103に第1形成材料31が充填されている。この第1基材10の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0084】
用意される中間絶縁層20の一面201には、一面側配線53が形成されている。この中間絶縁層20の他面202には、他面側配線54が形成されている。この中間絶縁層20には、一面側配線53と他面側配線54とを接続するスルーホール204が形成されている。この中間絶縁層20の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0085】
用意される第2基材15には、複数の第2貫通孔153が形成されている。複数の第2貫通孔153には、接続用の熱電部材156を形成するための第2貫通孔153が含まれる。この第2貫通孔153に第2形成材料が充填されている。この第2基材15の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0086】
用意される第2絶縁層18の他面182には、第2中間電極52が形成されている。この第2絶縁層18には、第2中間電極52と第4配線17とを接続するスルーホール185が形成されている。この第2絶縁層18の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0087】
次に、本実施形態の状態検出センサ1の効果について、比較例1、第1実施形態の状態検出センサと対比して説明する。各状態検出センサが製造されると、センサ特性の保証のために、特性検査が行われる。
【0088】
図5に示される比較例1の状態検出センサJ1では、第1熱流センサJ2と第2熱流センサJ3とが外部配線で接続される。このことから、第1熱流センサJ2と第2熱流センサJ3との各熱流センサの出力を計測することが可能である。このため、特性検査の方法として、状態検出センサに一定の熱流を与える方法を採用することができる。一定の熱流を与える方法では、状態検出センサに熱源プレートが接触される。熱源プレートから状態検出センサに一定の熱流が与えられる。計測装置は、各熱流センサの出力を計測し、計測値から熱電係数を算出する。熱電係数は、出力値を熱流量または熱流束に変換するための変換係数である。算出した熱電係数が、所定の数値範囲内であれば各熱流センサのセンサ特性が適正である。両方の熱流センサのセンサ特性が適正であれば、状態検出センサのセンサ特性は適正であり、状態検出センサのセンサ特性が保証される。
【0089】
一方、
図2に示される第1実施形態の状態検出センサ1では、状態検出センサ1の内部で、第1センサ部21と第2センサ部22とが電気的に直列に接続されている。第1センサ部21と第2センサ部22との各センサ部の出力を計測することができない。このため、特性検査の方法として、状態検出センサ1に一定の熱流を与える方法を採用することができない。
【0090】
第1実施形態の状態検出センサ1では、第1センサ部21の熱起電力と、第2センサ部22の熱起電力の和が、センサ信号として出力される。状態検出センサに一定の熱流を与えたとき、各センサ部のセンサ特性が適正でない場合であっても、第1センサ部21の熱起電力の絶対値と第2センサ部22の熱起電力の絶対値とが同じであれば、状態検出センサ1の出力値はゼロになる。すなわち、状態検出センサ1の出力値は、各センサ部のセンサ特性が適正である場合と同じになる。このため、センサ特性が適正でなくても、センサ特性が適正であると誤判定され、特性検査を適切に行うことができない。
【0091】
なお、第1実施形態の状態検出センサ1に対する特性検査の方法としては、一定周期で状態検出センサ1に力を加えたときの出力を計測する方法が考えられる。この方法では、状態検出センサ1が、2枚の板状の弾性部材で挟まれた状態で、力学的な応力を加える装置に取り付けられる。2枚の弾性部材に応力が加えられたときに生じる熱流が状態検出センサ1に与えられる。計測装置は、このときに得られた状態検出センサ1の出力を計測する。これが複数回繰り返されたときの出力値が比較される。比較した出力値が同じであれば、センサ特性が適正であると判定される。
【0092】
しかし、この方法は、動的な検査であり、2枚の弾性部材に応力が加えられたときに、検査対象にガタツキが生じる。このため、計測誤差が生じやすい。これに対して、一定の熱流を与える方法は、静的な検査である。このため、計測誤差が小さい。よって、特性検査の方法として、一定の熱流を与える方法が採用されることが好ましい。
【0093】
本実施形態の状態検出センサ1は、第1電極13および第2電極19に加えて、第1中間電極51および第2中間電極52を備える。第1電極13は、第1センサ部21の一端側に電気的に接続されている。第1中間電極51は、第1センサ部21の他端側に電気的に接続されている。第1電極13および第1中間電極51が、図示しない計測装置に接続されることで、第1センサ部21の出力を計測することが可能である。第2電極19は、第2センサ部22の一端側に電気的に接続されている。第2中間電極52は、第2センサ部22の他端側に電気的に接続されている。第2電極19および第2中間電極52が、図示しない計測装置に接続されることで、第2センサ部22の出力を計測することが可能である。
【0094】
このため、本実施形態の状態検出センサ1では、特性検査の方法として、状態検出センサに一定の熱流を与える方法を採用することができる。計測装置は、第1センサ部21と第2センサ部22の各センサ部の出力を計測し、計測値から熱電係数を算出する。算出した熱電係数が、所定の数値範囲内であれば各センサ部のセンサ特性が適正である。両方のセンサ部のセンサ特性が適正であれば、状態検出センサ1のセンサ特性は適正であり、状態検出センサ1のセンサ特性が保証される。
【0095】
さらに、本実施形態の状態検出センサ1によれば、下記の効果を奏する。
【0096】
(1)本実施形態の状態検出センサ1は、第1電極13および第2電極19に加えて、第1中間電極51および第2中間電極52を備える。このため、これらの電極と計測装置との接続の仕方によって、本実施形態の状態検出センサ1は、検出対象物から放出された熱流の熱量に応じたセンサ信号と、検出対象物から放出された熱流の変化に応じたセンサ信号との少なくとも一方を出力することができる。
【0097】
具体的には、第1電極13および第1中間電極51を計測装置に接続する。これにより、第1センサ部21を通過する熱流の向きおよび熱量に応じたセンサ信号を出力することができる。また、第2電極19および第2中間電極52を計測装置に接続する。これにより、第2センサ部22を通過する熱流の向きおよび熱流に応じたセンサ信号を出力することができる。また、第1電極13および第2電極19を計測装置に接続する。これにより、センサ本体部23を通過する熱流の変化に応じたセンサ信号を出力することができる。
【0098】
また、これらの接続を全部行うことで、第1センサ部21を通過する熱流の向きおよび熱量に応じたセンサ信号、第2センサ部22を通過する熱流の向きおよび熱量に応じたセンサ信号およびセンサ本体部23を通過する熱流の変化に応じたセンサ信号を出力することができる。
【0099】
このように、本実施形態の状態検出センサ1を、熱流センサとして使用したり、状態検出センサとして使用したり、熱流センサと状態検出センサとを併用したセンサとして使用したりすることができる。
【0100】
(2)本実施形態の状態検出センサ1では、第1センサ部21と第2センサ部22とが、接続用の熱電部材106、156を介して、電気的に接続されている。接続用の熱電部材106、156は、状態検出センサ1のうち第1中間電極51に対して状態検出センサ1の厚さ方向で対向する領域内に配置されている。すなわち、接続用の熱電部材106、156は、状態検出センサ1のうちセンサエリアA1とは異なる領域に配置されている。このため、接続用の熱電部材106、156が、第1センサ部21のセンサ信号、第2センサ部22のセンサ信号およびセンサ本体部23のセンサ信号へ与える影響を、小さく抑えることができる。
【0101】
(第4実施形態)
本実施形態の状態検出センサ1は、第3実施形態の状態検出センサ1と同様に、
図8に示す断面構造を有する。しかし、本実施形態の状態検出センサ1では、下記の通り、複数の第1熱電部材104、154および複数の第2熱電部材105、155等の数、並びに、それらの平面レイアウトが、第3実施形態の状態検出センサ1と異なる。下記の各部材の平面レイアウトは、状態検出センサ1に対して第1電極13側からみた平面レイアウトである。
【0102】
図10に示すように、第1電極13、第1中間電極51および第1金メッキ部24が、第1絶縁層12の表面に配置される。第1電極13および第1中間電極51は、第1金メッキ部24に対して一方向の片側に配置される。第1電極13および第1中間電極51は、一方向に直交する方向に並んで配置される。
【0103】
図11に示すように、複数の第1配線11が配置される。本実施形態では、複数の第1配線11は、複数の熱電部材接続用の第1配線111を含む。複数の熱電部材接続用の第1配線111の大部分は、図の上下方向に延びた形状を有する。電極接続用の第1配線112の一部は、
図10の第1電極13に対応する位置に配置される。電極接続用の第1配線114の一部は、
図10の第1中間電極51に対応する位置に配置される。
【0104】
図12に示すように、第1基材10の複数の第1熱電部材104および複数の第2熱電部材105は、配置される。
図12では、第1熱電部材104と第2熱電部材105との識別を容易とするために、第1熱電部材104と第2熱電部材105とに異なる向きのハッチングが付されている。複数の第1熱電部材104のそれぞれと複数の第2熱電部材105のそれぞれとは、図の上下方向に交互に並んで配置される。
【0105】
複数の第1熱電部材104は、複数の第2熱電部材105に対して、図の上下方向に平行な仮想直線61を対称軸とする線対称となる位置に、配置される。具体的には、仮想直線61よりも図の左側に配置される複数の第1熱電部材104は、仮想直線61よりも図の右側に配置される複数の第2熱電部材105に対して、線対称となる位置に配置される。仮想直線61よりも図の右側に配置される複数の第1熱電部材104は、仮想直線61よりも図の左側に配置される複数の第2熱電部材105に対して、線対称となる位置に、配置される。図の左側が一方側に対応し、図の右側が他方側に対応する。
【0106】
仮想直線61に対して図の左右方向の片側に配置される複数の第1熱電部材104のそれぞれは、図の左右方向に、互いに間を空けて、ジグザグに配置される。仮想直線61に対して図の左右方向の片側に配置される複数の第2熱電部材105のそれぞれは、図の左右方向に、互いに間を空けて、ジグザグに配置される。
【0107】
図13に示すように、複数の第2配線14および一面側配線53が配置される。複数の第2配線14の大部分は、図中の上下方向に延びた形状を有する。一面側配線53は、
図10の第1中間電極51に対応する位置に配置される。
【0108】
図13に示すように、複数の第3配線16および他面側配線54は、複数の第2配線14および一面側配線53と同じように配置される。このため、
図13には、複数の第2配線14および一面側配線53の符号と、複数の第3配線16および他面側配線54の符号との両方が付されている。
【0109】
図14に示すように、第2基材15の複数の第1熱電部材154および複数の第2熱電部材155が配置される。
図14では、第1熱電部材154と第2熱電部材155との識別を容易とするために、第1熱電部材154と第2熱電部材155とに異なる向きのハッチングが付されている。第1熱電部材154のハッチングの向きは、
図12の第1熱電部材104と同じである。第2熱電部材155のハッチングの向きは、
図12の第2熱電部材105と同じである。
【0110】
複数の第1熱電部材154および複数の第2熱電部材155は、
図12に示される第1基材10の複数の第1熱電部材104および複数の第2熱電部材105に対して、第1熱電部材と第2熱電部材とを入れ換えた位置に、配置される。すなわち、状態検出センサ1の厚さ方向で第2基材15を第1基材10に投影したとき、第2基材15の複数の第1熱電部材154は、
図12に示される第1基材10の複数の第2熱電部材105と同じ位置に配置される。第2基材15の複数の第2熱電部材155は、
図12に示される第1基材10の複数の第1熱電部材104と同じ位置に配置される。
【0111】
図11に示すように、複数の第4配線17は、複数の第1配線11と同じように配置される。このため、
図11には、複数の第1配線11の符号と、複数の第4配線17の符号との両方が付されている。複数の第4配線17は、複数の熱電部材接続用の第4配線171を含む。複数の熱電部材接続用の第4配線171の大部分は、図中の上下方向に延びた形状を有する。電極接続用の第4配線172の一部は、
図10の第1電極13に対応する位置に配置される。電極接続用の第4配線174の一部は、
図10の第1中間電極51に対応する位置に配置される。
【0112】
図10に示すように、第2絶縁層18の表面に、第2電極19、第2中間電極52および第2金メッキ部25のそれぞれが、第1電極13、第1中間電極51および第1金メッキ部24のそれぞれに対して、状態検出センサ1の厚さ方向で対向する位置に配置される。
図10には、第1絶縁層12、第1電極13、第1中間電極51および第1金メッキ部24の符号と、第2絶縁層18、第2電極19、第2中間電極52および第2金メッキ部25の符号との両方が付されている。なお、第2絶縁層18の表面における第2電極19、第2中間電極52および第2金メッキ部25の配置は、
図10を左右反転した位置である。
【0113】
本実施形態の状態検出センサ1の製造方法は、第3実施形態と同様に、用意工程S1と、積層工程S2と、加熱加圧工程S3とを含む。本実施形態では、用意工程S1での第1基材10を用意することには、以下の工程が含まれる。
【0114】
すなわち、
図15に示すように、第1基材10に形成された複数の第1貫通孔103に対して、第1マスク71を用いて、第1形成材料31が充填される。
図15では、複数の第1貫通孔103のうち一部の第1貫通孔103が示されている。
図17も同様である。
【0115】
具体的には、第1マスク71が、複数の第1貫通孔103が形成された第1基材10の第1面101に設置される。第1マスク71は、第1形成材料31の充填を補助する板形状の治具である。第1マスク71としては、例えば、ステンレス板が用いられる。
図16に示すように、第1マスク71は、複数の第1開口部71aを有する。複数の第1開口部71aの配置は、
図12に示す複数の第1熱電部材104の配置と同じである。
図16に示す第1マスク71の表裏を反転させたときの複数の第1開口部71aの配置は、
図14に示す複数の第1熱電部材154の配置と同じである。
図15に示すように、第1マスク71は、第1基材10に設置された状態のとき、複数の第1貫通孔103のうち複数の第1熱電部材104の形成予定の第1貫通孔103を開口させる。第1マスク71は、複数の第1貫通孔103のうち複数の第2熱電部材105の形成予定の第1貫通孔103を塞ぐ。第1マスク71は、第1基材10の第1面101のうち複数の第1貫通孔103以外の領域を覆う。
【0116】
そして、図示しないが、ペースト状の第1形成材料31が、第1マスク71の表面に塗布される。この第1形成材料31が、スキージ等によって、第1マスク71に押し付けられる。これにより、この第1形成材料31が複数の第1貫通孔103のうち一部の第1貫通孔103に充填される。その後、第1マスク71が第1基材10から外される。
【0117】
続いて、
図17に示すように、第1基材10に形成された複数の第1貫通孔103に対して、第2マスク72を用いて、第2形成材料32が充填される。
【0118】
具体的には、第2マスク72が、第1基材10の第1面101に設置される。第2マスク72は、第2形成材料32の充填を補助する板形状の治具である。第2マスク72としては、例えば、ステンレス板が用いられる。
図18に示すように、第2マスク72は、複数の第2開口部72aを有する。複数の第2開口部72aの配置は、
図12に示す複数の第2熱電部材105の配置と同じである。
図18に示す第2マスク72の表裏を反転させたときの複数の第2開口部72aの配置は、
図14に示す複数の第2熱電部材155の配置と同じである。
図17に示すように、第2マスク72は、第1基材10に設置された状態のとき、複数の第1貫通孔103のうち複数の第2熱電部材105の形成予定の第1貫通孔103を開口させる。第2マスク72は、複数の第1貫通孔103のうち複数の第1熱電部材104の形成予定の第1貫通孔103を塞ぐ。第2マスク72は、第1基材10の第1面101のうち複数の第1貫通孔103以外の領域を覆う。
【0119】
そして、図示しないが、ペースト状の第2形成材料32が、第2マスク72の表面に塗布される。この第2形成材料32が、スキージ等によって、第2マスク72に押し付けられる。これにより、この第2形成材料32が複数の第1貫通孔103のうち他の一部の第1貫通孔103に充填される。その後、第2マスク72が第1基材10から外される。このようにして、複数の第1貫通孔103に第1形成材料31および第2形成材料32が充填された第1基材10が用意される。
【0120】
さらに、本実施形態では、用意工程S1での第2基材15を用意することには、以下の工程が含まれる。
【0121】
すなわち、
図19に示すように、第2基材15に形成された複数の第2貫通孔153に対して、第1マスク71を用いて、第1形成材料31が充填される。
図19では、複数の第2貫通孔153のうち一部の第2貫通孔153が示されている。
図20も同様である。
【0122】
具体的には、第1基材10の第1形成材料31の充填に用いた第1マスク71の表裏が反転された状態で、第1マスク71が、複数の第2貫通孔153が形成された第2基材15の第3面151に設置される。これにより、第1マスク71は、第2基材15に設置された状態のとき、複数の第2貫通孔153のうち複数の第1熱電部材154が形成される第2貫通孔153を開口させる。第1マスク71は、複数の第2貫通孔153のうち複数の第2熱電部材155が形成される第2貫通孔153を塞ぐ。第1マスク71は、第2基材15の第3面151のうち複数の第2貫通孔153以外の領域を覆う。
【0123】
そして、図示しないが、ペースト状の第1形成材料31が、第1マスク71の表面に塗布される。この第1形成材料31が、スキージ等によって、第1マスク71に押し付けられる。これにより、この第1形成材料31が複数の第2貫通孔153のうち一部の第2貫通孔153に充填される。その後、第1マスク71が第2基材15から外される。
【0124】
続いて、
図20に示すように、第2基材15に形成された複数の第2貫通孔153に対して、第2マスク72を用いて、第2形成材料32が充填される。
【0125】
具体的には、第1基材10の第2形成材料32の充填に用いた第2マスク72の表裏が反転された状態で、第2マスク72が、第1基材10の第1面101に設置される。これにより、第2マスク72は、第2基材15に設置された状態のとき、複数の第2貫通孔153のうち複数の第2熱電部材155が形成される第2貫通孔153を開口させる。第2マスク72は、複数の第2貫通孔153のうち複数の第1熱電部材154が形成される第2貫通孔153を塞ぐ。第2マスク72は、第2基材15の第3面151のうち複数の第2貫通孔153以外の領域を覆う。
【0126】
そして、図示しないが、ペースト状の第2形成材料32が、第2マスク72の表面に塗布される。この第2形成材料32が、スキージ等によって、第2マスク72に押し付けられる。これにより、この第2形成材料32が複数の第2貫通孔153のうち他の一部の第2貫通孔153に充填される。その後、第2マスク72が第2基材15から外される。このようにして、複数の第2貫通孔153に第1形成材料31および第2形成材料32が充填された第2基材15が用意される。
【0127】
ここで、
図8に示すように、第2基材15の複数の第1熱電部材154のそれぞれは、第1基材10の複数の第2熱電部材105のそれぞれに対して対向して配置される。第2基材15の複数の第2熱電部材155のそれぞれは、第1基材10の複数の第1熱電部材104のそれぞれに対して対向して配置される。しかし、本実施形態と異なり、第1基材10において、複数の第1熱電部材104および複数の第2熱電部材105が線対称に配置されていない。第2基材15において、複数の第1熱電部材154および複数の第2熱電部材155が線対称に配置されていない場合を考える。
【0128】
この場合、第1基材10に第1形成材料31を充填するときに用いるマスク、第1基材10に第2形成材料32を充填するときに用いるマスク、第2基材15に第1形成材料31を充填するときに用いるマスク、第2基材15に第2形成材料32を充填するときに用いるマスクとして、4種類のマスクを用いることが必要である。
【0129】
または、これらのマスクとして、2種類のマスクを洗浄して用いることが必要である。すなわち、第1基材10に第1形成材料31を充填するときに用いたマスクを洗浄する。その洗浄したマスクを用いて、第2基材15に第2形成材料32を充填する。第1基材10に第2形成材料32を充填するときに用いたマスクを洗浄する。その洗浄したマスクを用いて、第2基材15に第1形成材料31を充填する。このとき、異なる材料が混入しないように、マスクを洗浄する必要がある。
【0130】
これに対して、本実施形態によれば、
図8の断面構造と同様に、第2基材15の複数の第1熱電部材154のそれぞれは、第1基材10の複数の第2熱電部材105のそれぞれに対して、状態検出センサ1の厚さ方向で対向して配置される。第2基材15の複数の第2熱電部材155のそれぞれは、第1基材10の複数の第1熱電部材104のそれぞれに対して、状態検出センサ1の厚さ方向で対向して配置される。そして、第1基材10の複数の第1熱電部材104のそれぞれは、第1基材10の複数の第2熱電部材105に対して、線対称となる位置に配置される。第2基材15の複数の第1熱電部材154のそれぞれは、第2基材15の複数の第2熱電部材155に対して、線対称となる位置に配置される。
【0131】
このため、第1基材10に第1形成材料31を充填するときに用いるマスクと、第2基材15に第1形成材料31を充填するときに用いるマスクとを、表裏反転して共用することができる。第1基材10に第2形成材料32を充填するときに用いるマスクと、第2基材15に第2形成材料32を充填するときに用いるマスクとを、表裏反転して共用することができる。
【0132】
よって、4種類のマスクを用いる場合と比較して、用いるマスクを減らすことができる。また、2種類のマスクを洗浄して用いる場合と比較して、異種材料の混入を防止するための洗浄を不要にすることができ、製造工程を簡略化することができる。
【0133】
(第5実施形態)
図21に示すように、本実施形態の状態検出センサ1は、中間絶縁層20に形成されたスルーホール203を介して、第1センサ部21と第2センサ部22とが電気的に接続されている点で、第3実施形態の状態検出センサ1と相違する。本実施形態の状態検出センサ1では、第2基材15の第1熱電部材154と第2熱電部材155との位置が、第3実施形態と逆であるが、同じであってもよい。状態検出センサ1の他の構成は、第3実施形態の状態検出センサ1と同じである。本実施形態の状態検出センサ1によっても、第3実施形態の状態検出センサ1と同様に、特性検査の方法として、状態検出センサ1に一定の熱流を与える方法を採用することができる。
【0134】
なお、本実施形態の状態検出センサ1では、電極接続用の第1配線114に直に接続された第2熱電部材105は、第1センサ部21の熱電変換素子として機能するが、センサ本体部23の熱電変換素子として機能しない。同様に、電極接続用の第4配線174に直に接続された第2熱電部材155は、第2センサ部22の熱電変換素子として機能するが、センサ本体部23の熱電変換素子として機能しない。このように、センサエリアA1に、熱電変換素子として機能しない熱電部材が含まれることによって、センサ本体部23のセンシングに誤差が生じる。
【0135】
これに対して、第3実施形態の状態検出センサ1では、センサエリアA1に、熱電変換素子として機能しない熱電部材が含まれない。このため、第3実施形態の状態検出センサ1の方が、本実施形態の状態検出センサ1よりも好ましい。
【0136】
(他の実施形態)
(1)第3~第5実施形態では、状態検出センサ1は、中間電極としての第1中間電極51および第2中間電極52を備える。しかしながら、状態検出センサ1は、第1中間電極51と第2中間電極52の一方の中間電極のみを備えていてもよい。この場合、一方の中間電極が、第1センサ部21と第2センサ部22との間に電気的に接続される。これによっても、第3実施形態と同じ効果が得られる。
【0137】
(2)上記した各実施形態において、第1熱電部材104、154と、第2熱電部材105、155との位置が入れ替わってもよい。
【0138】
(3)上記した各実施形態では、第1基材10の複数の第1熱電部材104と第2基材15の複数の第1熱電部材154とは、同じ材料で構成される。第1基材10の複数の第2熱電部材105と第2基材15の複数の第2熱電部材155とは、同じ材料で構成される。しかしながら、第1基材10の複数の第1熱電部材104と第2基材15の複数の第1熱電部材154とは、導電型が同じであれば、異なる材料で構成されてもよい。同様に、第1基材10の複数の第2熱電部材105と第2基材15の複数の第2熱電部材155とは、導電型が同じであれば、異なる材料で構成されてもよい。
【0139】
すなわち、上記した各実施形態では、第1基材10を用意することにおける複数の第1貫通孔103に充填される第1形成材料31と、第2基材15を用意することにおける複数の第2貫通孔153に充填される第1形成材料31とは、同じ材料であるが、異なる材料であってもよい。同様に、第1基材10を用意することにおける複数の第1貫通孔103に充填される第2形成材料32と、第2基材15を用意することにおける複数の第2貫通孔153に充填される第2形成材料32とは、同じ材料であるが、異なる材料であってもよい。
【0140】
(4)上記した各実施形態では、第1基材10、第1絶縁層12、第2基材15、第2絶縁層18および中間絶縁層20のそれぞれは、同じ材料で構成される。しかしながら、第1基材10、第1絶縁層12、第2基材15、第2絶縁層18および中間絶縁層20のそれぞれは、熱可塑性樹脂で構成されていれば、同じ材料で構成されていなくてもよい
【0141】
(5)上記した各実施形態において、スルーホールによる層間接続は、ビアによる層間接続に変更可能である。
【0142】
(6)本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0143】
10 第1基材
111 熱電部材接続用の第1配線
12 第1絶縁層
14 複数の第2配線
15 第2基材
16 複数の第3配線
171 熱電部材接続用の第4配線
18 第2絶縁層
20 中間絶縁層