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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240730BHJP
   B60R 1/20 20220101ALI20240730BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20240730BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20240730BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240730BHJP
   G05D 1/221 20240101ALI20240730BHJP
【FI】
E02F9/20 N
B60R1/20 100
E02F9/24 B
E02F9/26 B
H04N7/18 J
G05D1/221
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021139429
(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公開番号】P2023032997
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 均
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 誠司
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 洋一郎
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/187560(WO,A1)
【文献】特許第5473870(JP,B2)
【文献】特開2018-115077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 9/24
E02F 9/26
B60R 1/20
H04N 7/18
G05D 1/221
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体及び前記下部走行体に対して旋回可能な上部旋回体を有する作業機械と、前記作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムであって、
前記作業機械の周囲に配置された撮像装置を通じて取得された撮像画像における、前記下部走行体の映り込み態様と、前記下部走行体の前後方向に偏在して配置されている指定構成要素の映り込み態様と、に基づいて生成される、前記下部走行体の前後方向の少なくとも一方を示す指標画像を前記撮像画像における前記作業機械又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を前記遠隔操作装置に送信する支援処理要素と、
を有することを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項2】
前記撮像装置は、前記作業機械からみた方角が相互に異なる位置に複数配置され、
前記支援処理要素は、一の前記撮像装置を通じて取得された一の前記撮像画像において下部走行体の指定構成要素が映っていない場合、他の前記撮像装置を通じて取得された他の前記撮像画像における、前記下部走行体の映り込み態様と、前記指定構成要素の映り込み態様と、に基づいて生成される、前記下部走行体の前後方向を示す指標画像を前記撮像画像に重畳する請求項1に記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記支援処理要素は、前記他の撮像画像の画像座標、前記一の撮像装置が配置されている位置及び、前記一の撮像画像の撮像領域に基づいて、前記一の撮像画像に前記指標画像を重畳した前記合成画像を前記遠隔操作装置に送信する請求項2に記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記作業機械の前記下部走行体は、左右一対のクローラを有し、
前記支援処理要素は、前記指標画像を前記合成画像における前記クローラのサイズ及び前記合成画像における前記クローラの位置に応じて生成する請求項3に記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記作業機械は、互いに近接して複数台配置され、
前記支援処理要素は、操作対象の候補となる前記作業機械の実空間の位置情報を取得し、かつ前記撮像画像から算出される前記作業機械の位置及び、前記操作対象の候補となる前記作業機械の実空間の前記位置情報が合致する場合、前記操作対象の候補となる前記作業機械を操作対象となる前記作業機械として認識する請求項1乃至4のいずれかに記載の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械と、当該作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械の周囲を撮影するカメラ、又は当該作業機械を互いに異なる角度で撮像可能なカメラを複数台設け、当該複数のカメラによって撮像された複数の撮像画像を用いて、作業機械の俯瞰画像を生成することが行われている。
【0003】
このような作業機械の一例として、例えば、油圧ショベルの周囲を撮像する複数のカメラと、複数のカメラで撮像された画像に基づいて、俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、を備えた油圧ショベルが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-112030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オペレータは、当該俯瞰画像を見ただけでは下部走行体の前後方向を認識することは困難である。そのため、オペレータは、下部走行体の前後方向を認識するために、下部走行体を前進又は後退させなければならない問題がある。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、作業機械の下部走行体の前後方向を簡易な構成で示すことが可能な遠隔操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本発明の遠隔操作システムは、下部走行体及び前記下部走行体に対して旋回可能な上部旋回体を有する作業機械と、前記作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムであって、前記作業機械の周囲に配置された撮像装置を通じて取得された撮像画像における、前記下部走行体の映り込み態様と、前記下部走行体の前後方向に偏在して配置されている指定構成要素の映り込み態様と、に基づいて生成される、前記下部走行体の前後方向の少なくとも一方を示す指標画像を前記撮像画像における前記作業機械又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を前記遠隔操作装置に送信する支援処理要素と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の遠隔操作システムによれば、撮像画像に作業機械の下部走行体の前後方向を示す指標画像が重畳した合成画像が生成され、当該合成画像が遠隔操作装置に送信されることにより、オペレータは、当該合成画像を目視することにより容易に作業機械の下部走行体の前後方向を把握することが可能となる。
【0009】
本発明の遠隔操作システムにおいて、前記撮像装置は、前記作業機械からみた方角が相互に異なる位置に複数配置され、前記支援処理要素は、一の前記撮像装置を通じて取得された一の前記撮像画像において下部走行体の指定構成要素が映っていない場合、他の前記撮像装置を通じて取得された他の前記撮像画像における、前記下部走行体の映り込み態様と、前記指定構成要素の映り込み態様と、に基づいて生成される、前記下部走行体の前後方向を示す指標画像を前記撮像画像に重畳することが好ましい。
【0010】
このような態様によれば、一の撮像画像に作業機械の下部走行体の指定構成要素が映っていない場合であっても、支援処理要素は、他の撮像画像に基づいて、作業機械の下部走行体の前後方向を示す指標画像が重畳した合成画像を遠隔操作装置に送信することができる。
【0011】
本発明の遠隔操作システムにおいて、前記支援処理要素は、前記他の撮像画像の画像座標、前記一の撮像装置が配置されている位置及び、前記一の撮像画像の一部の領域に基づいて、前記一の撮像画像に前記指標画像を重畳した前記合成画像を前記遠隔操作装置に送信することが好ましい。
【0012】
このような態様によれば、支援処理要素は、例えば、指定構成要素が映っていない作業機械の一の撮像方向(例えば正面方向)又は、他の撮像方向(例えば背面方向)から撮像された撮像画像に指標画像を合成した合成画像を生成することが可能となる。したがって、オペレータは、視線移動を行うことなく、作業機械の下部走行体の前後方向を認識することが可能となる。
【0013】
本発明の遠隔操作システムにおいて、前記作業機械の前記下部走行体は、左右一対のクローラを有し、前記支援処理要素は、前記指標画像を前記合成画像における前記クローラのサイズ及び前記合成画像における前記クローラの位置に応じて生成することが好ましい。
【0014】
このような態様によれば、例えば、支援処理要素は、クローラに指標画像を重畳した合成画像を生成することができるため、指標画像の視認性を高めることができる。このため、オペレータの作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0015】
本発明の遠隔操作システムにおいて、前記作業機械は、互いに近接して複数台配置され、前記支援処理要素は、操作対象の候補となる前記作業機械の実空間の位置情報を取得し、かつ前記撮像画像から算出される前記作業機械の実空間位置及び、前記操作対象の候補となる前記作業機械の実空間の前記位置情報が合致する場合、前記操作対象の候補となる前記作業機械を操作対象となる前記作業機械として認識することが好ましい。
【0016】
このような態様によれば、支援処理要素は、複数台の作業機械が相互に近接して配置された場合であっても、操作対象となる作業機械を判別することが可能となる。したがって、複数台の作業機械のうち、操作対象となる一の作業機械を外観により判別が困難な場合であっても、支援処理要素は、当該一の作業機械を判別し、オペレータが所望する作業機械に対して前記合成画像を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態としての作業支援システムの構成説明図である。
図2図1の遠隔操作装置の構成に関する説明図である。
図3図1の作業機械の構成に関する説明図である。
図4図1の作業機械の周囲の環境に関する説明図である。
図5】作業支援システムの作業支援処理を示すフロー図である。
図6図2の遠隔操作装置の画像出力装置の表示態様を示す説明図である。
図7図5の合成画像生成処理の説明図である。
図8図2の遠隔操作装置の画像出力装置の他の表示態様を示す説明図である。
図9】作業支援システムの他の作業支援処理を示すフロー図である。
図10】第1撮像画像の第1の表示態様を示す説明図である。
図11】第1撮像画像の第2の表示態様を示す説明図である。
図12】第1撮像画像の第3の表示態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0018】
(遠隔操作システムの構成)
図1に示されている本発明の一実施形態としての作業支援システムは、遠隔操作装置20による複数の作業機械40の遠隔操作を支援するための作業支援サーバ10により構成されている。作業支援サーバ10と、遠隔操作装置20、複数の作業機械40、第1撮像装置50、第2撮像装置60のそれぞれとは共通のまたは別個のネットワークを介して相互に通信可能に構成されている。尚、本図においては、作業支援サーバ10は、複数の作業機械40と接続可能にされているが、作業支援サーバ10は1台以上の作業機械40と接続可能であればよく、その接続台数に制限はない。また、本図においては、第1撮像装置50及び、第2撮像装置60がネットワークを介して相互に通信可能に接続されているが、当該ネットワークに接続される撮像装置は、2台以上であってもよいし、1台のみでもよい。
【0019】
本実施例においては、作業支援サーバ10を、複数の作業機械40と、当該複数の作業機械40のうち遠隔操作対象となる一の作業機械40を遠隔操作するための遠隔操作装置20と、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムとして説明する。
【0020】
本発明の構成要素(ハードウェア)が、各種情報を「取得する」とは、当該情報を受信すること、当該情報を内部記憶装置(例えば、メモリ)および/または外部記憶装置(例えば、外部のデータベースサーバ)から読み取るまたは検索すること、受信、読み取り、検索等された情報を対象にして演算処理を実行することにより情報を算定、推定、予測、同定等すること、など、各種情報を後続の演算処理において利用可能な形態で準備するためのあらゆる演算処理を包含する概念である。
【0021】
(作業支援サーバの構成)
作業支援サーバ10は、支援処理要素101を含む遠隔操作支援装置100と、データベース110と、サーバ無線通信機器122と、を備えている。を備えている。
【0022】
支援処理要素101は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアに従った後述の演算処理を実行する。
【0023】
データベース110は、第1撮像装置50及び、第2撮像装置60等の撮像装置によって撮像された撮像画像データ等を記憶保持する。データベース110は、作業支援サーバ10とは別個のデータベースサーバにより構成されていてもよい。
【0024】
(遠隔操作装置の構成)
遠隔操作装置20は、遠隔制御装置200と、遠隔入力インターフェース210と、遠隔出力インターフェース220と、を備えている。遠隔制御装置200は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0025】
遠隔入力インターフェース210は、遠隔操作機構211を備えている。
【0026】
遠隔操作機構211には、走行用操作装置と、旋回用操作装置と、ブーム用操作装置と、アーム用操作装置と、バケット用操作装置と、オペレータによる操作の受付状態を切り替える遮断レバーと、が含まれている。各操作装置は、回動操作を受ける操作レバーを有している。走行用操作装置の操作レバー(走行レバー)は、作業機械40の左右一対のクローラを備える下部走行体430を動かすために操作される。走行レバーは、走行ペダルを兼ねていてもよい。例えば、走行レバーの基部または下端部に固定されている走行ペダルが設けられていてもよい。旋回用操作装置の操作レバー(旋回レバー)は、作業機械40の旋回機構440を構成する油圧式の旋回モータを動かすために操作される。ブーム用操作装置の操作レバー(ブームレバー)は、作業機械40のブームシリンダ462を動かすために操作される。アーム用操作装置の操作レバー(アームレバー)は作業機械40のアームシリンダ464を動かすために操作される。バケット用操作装置の操作レバー(バケットレバー)は作業機械40のバケットシリンダ466を動かすために操作される。
【0027】
遠隔操作機構211を構成する各操作レバーは、例えば、図2に示されているように、オペレータOP1が着座するためのシートStの周囲に配置されている。シートStは、アームレスト付きのハイバックチェアのような形態であるが、ヘッドレストがないローバックチェアのような形態、または、背もたれがないチェアのような形態など、オペレータOP1が着座できる任意の形態の着座部であってもよい。
【0028】
シートStの前方に左右のクローラに応じた左右一対の走行レバー2110が左右横並びに配置されている。一つの操作レバーが複数の操作レバーを兼ねていてもよい。例えば、図2に示されているシートStの左側フレームの前方に設けられている左側操作レバー2111が、前後方向に操作された場合にアームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合に旋回レバーとして機能してもよい。同様に、図2に示されているシートStの右側フレームの前方に設けられている右側操作レバー2112が、前後方向に操作された場合にブームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合にバケットレバーとして機能してもよい。レバーパターンは、オペレータOP1の操作指示によって任意に変更されてもよい。
【0029】
図略の遮断レバーは、シートStの左側フレームの前方において左側操作レバー2111の下方に設けられており、上げられた(OFFにされた)場合に各操作レバー2110、2111、2112が操作されても作業機械40が動かないようにロックする一方、下げられた(ONにされた)場合に当該ロックを解除するための操作レバーとして機能する。
【0030】
遠隔出力インターフェース220は、画像出力装置221と、遠隔無線通信機器222とを備えている。
【0031】
画像出力装置221は、例えば図2に示されているように、シートStの前方、左斜め前方および右斜め前方のそれぞれに配置された略矩形状の画面を有する中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211、右側画像出力装置2212及び中央画像出力装置2210の下方に配置された略矩形状の画面を有する下側画像出力装置2213により構成されている。中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211、右側画像出力装置2212及び下側画像出力装置2213のそれぞれの画面(画像表示領域)の形状およびサイズは同じであってもよく相違していてもよい。
【0032】
中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211、右側画像出力装置2212及び下側画像出力装置2213のそれぞれの画面は、鉛直方向に対して平行であってもよく、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211、右側画像出力装置2212及び下側画像出力装置2213のうち少なくとも1つの画像出力装置が、複数に分割された画像出力装置により構成されていてもよい。例えば、中央画像出力装置2210が、略矩形状の画面を有する上下に隣接する一対の画像出力装置により構成されていてもよい。
【0033】
(作業機械の構成)
図1に示されているように、作業機械40は、実機制御装置400と、実機入力インターフェース410と、実機出力インターフェース420と、作動機構460と、を備えている。
【0034】
実機制御装置400は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0035】
作業機械40は、例えば、油圧式、電動式または油圧式および電動式が組み合わされたハイブリッド駆動式のクローラショベル(建設機械)であり、図3に示されているように、下部走行体430と、下部走行体430に旋回機構440を介して旋回可能に搭載されている上部旋回体450と、を備えている。上部旋回体450の前方左側部にはキャブ454(運転室)が設けられている。上部旋回体450の前方中央部には作動機構460が設けられている。
【0036】
下部走行体430は、図4に示されているように、左右一対のクローラ430a、430bを備える。また、下部走行体430は、図3にも示すように、右側のクローラ430aを駆動させるための駆動部材431及び、左側のクローラ430bを駆動させるための駆動部材431を備えている。駆動部材431は、下部走行体430の前後方向における後方側に偏在して配置されている指定構成要素の1つである。駆動部材431としては、例えば、駆動モータ、駆動モータに係合する歯車等が挙げられる。
【0037】
実機入力インターフェース410は、実機操作機構411と、実機撮像装置412aと、アタッチ撮像装置412bと、後方撮像装置412cと、を備えている。実機操作機構411は、キャブ454の内部に配置されたシートの周囲に遠隔操作機構211と同様に配置された複数の操作レバーを備えている。
【0038】
遠隔操作レバーの操作態様に応じた信号を受信し、当該受信信号に基づいて実機操作レバーを動かす駆動機構またはロボットがキャブ454に設けられている。
【0039】
実機撮像装置412a(以後、メインカメラとも称される)は、例えばキャブ454の内部に設置され、フロントウィンドウおよび左右一対のサイドウィンドウ越しに作動機構460の少なくとも一部を含む環境を撮像する。当該撮像画像には、フロントウィンドウ(またはウィンドウフレーム)およびサイドウィンドウのうち一部または全部が省略されていてもよい。
【0040】
アタッチ撮像装置412b(以後、アタッチカメラとも称される)は、例えばアーム463に設置され、アタッチメントであるバケット465の少なくとも一部を含む環境を撮像する。
【0041】
後方撮像装置412cは、(以後、後方カメラとも称される)は、例えば、上部旋回体450において、キャブ454のシートからみてフロントウィンドウが設けられている方向を前方とした場合、キャブ454の後方を撮像可能にボンネット(図示せず)やカウンタウェイト(図示せず)又はキャブ454に設けられている。
【0042】
実機入力インターフェース410は、実機状態センサ群(図示せず)を含む。実機状態センサ群(図示せず)は、上部旋回体450に対するブーム461の回動角度(起伏角度)、ブーム461に対するアーム463の回動角度、および、アーム463に対するバケット465の回動角度のそれぞれを測定するための角度センサ、下部走行体430に対する上部旋回体450の旋回角度を測定するための旋回角度センサ、バケット465に対して作用する外力を測定するための外力センサ、上部旋回体450に作用する3軸加速度を測定するための3軸加速度センサ、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の位置情報取得センサ等により構成されている。
【0043】
実機出力インターフェース420は、実機無線通信機器422を備えている。
【0044】
作動機構としての作動機構460は、上部旋回体450に起伏可能に装着されているブーム461と、ブーム461の先端に回動可能に連結されているアーム463と、アーム463の先端に回動可能に連結されているバケット465と、を備えている。作動機構460には、伸縮可能な油圧シリンダにより構成されているブームシリンダ462、アームシリンダ464およびバケットシリンダ466が装着されている。作業部として、バケット465のほか、ニブラ、カッター、マグネットなど、さまざまなアタッチメントが用いられてもよい。
【0045】
ブームシリンダ462は、作動油の供給を受けることにより伸縮してブーム461を起伏方向に回動させるように当該ブーム461と上部旋回体450との間に介在する。アームシリンダ464は、作動油の供給を受けることにより伸縮してアーム463をブーム461に対して水平軸回りに回動させるように当該アーム463と当該ブーム461との間に介在する。バケットシリンダ466は、作動油の供給を受けることにより伸縮してバケット465をアーム463に対して水平軸回りに回動させるように当該バケット465と当該アーム463との間に介在する。
【0046】
図4に示すように、第1撮像装置50及び、第2撮像装置60は、例えば、作業機械40の外観を撮像領域AR1,AR2に含むように、作業機械40の外部に設けられている支柱に取り付けられている。第1撮像装置50及び、第2撮像装置60は、互いに異なる光軸方向AX1、AX2で作業機械40の外観を撮像するように設置されている。尚、第1撮像装置50及び、第2撮像装置60は、例えば、作業支援サーバ10からの指令に応じて、光軸方向AX1、AX2を自由に変更できるような雲台に取り付けられていてもよい。尚、第1撮像装置50及び、第2撮像装置60の光軸方向AX1、AX2の変更は、例えば、第1撮像装置50及び、第2撮像装置60に備えられている光学系の調整機構によって行ってもよい。例えば、第1撮像装置50及び、第2撮像装置60の光軸方向AX1、AX2は、クローラ430a,430bを撮像可能に、水平面に向けて調整するとよい。また、本図においては、第1撮像装置50及び、第2撮像装置60の光軸方向AX1、AX2が上面視において直交するように第1撮像装置50及び、第2撮像装置60を配置した。しかし、第1撮像装置50及び、第2撮像装置60は、任意に配置することができ、上面視でその光軸方向AX1、AX2が直交しない関係で配置することができる。
【0047】
例えば、図4に示すように、第1撮像装置50は、作業機械40の下部走行体430の前後方向の前方に配置され、第2撮像装置60は、作業機械40の下部走行体430の左右方向の左方(左クローラ430b側)に配置されている。このように第1撮像装置50及び、第2撮像装置60が配置されていることにより、作業機械40の下部走行体430が旋回しても第1撮像装置50及び第2撮像装置60の少なくとも一方は、その撮像領域に一対のクローラ430a、430bの側面を含ませることができる。すなわち、第1撮像装置50及び第2撮像装置60のうち、少なくとも一方は、下部走行体430に設けられている指定構成要素である駆動部材431を撮像可能である。
【0048】
尚、第1撮像装置50及び、第2撮像装置60は、互いに異なる光軸方向で作業機械40の外観を撮像するように設置されていればよく、例えば、他の作業機械40に搭載されている実機撮像装置412であってもよい。
【0049】
また、第1撮像装置50及び、第2撮像装置60は、実施の態様に応じて適宜増設してもよい。例えば、作業機械40が移動することが想定される場合においては、作業機械40の移動先においても、第1撮像装置50及び第2撮像装置60の少なくとも一方は、その撮像領域に一対のクローラ430a、430bの側面を含ませることができるように、適宜第1撮像装置50及び第2撮像装置60を設置するとよい。
【0050】
上記の作業支援サーバ10、遠隔操作装置20、作業機械40、第1撮像装置50及び、第2撮像装置60の連携により発揮される作業支援システムの作業支援処理について図5に示されているフローチャートを用いて説明する。
【0051】
作業支援システムは、遠隔操作装置20の起動をトリガーとして、作業支援処理を開始する。オペレータによって、例えば、遮断レバーがOFFにされると、遠隔操作装置20は、操作信号を作業支援サーバ10に送信する(STEP201)。
【0052】
作業支援サーバ10は、操作信号を受信すると、第1撮像装置50及び第2撮像装置60に対して画像送信要求を送信する(STEP101)。
【0053】
第1撮像装置50は、画像送信要求を受信すると、撮像した画像を作業支援サーバ10に送信する(STEP501)。
【0054】
第2撮像装置60は、画像送信要求を受信すると、撮像した画像を作業支援サーバ10に送信する(STEP601)。
【0055】
作業支援サーバ10の支援処理要素101は、第1撮像装置50によって撮像された画像(第1撮像画像)及び第2撮像装置60によって撮像された画像(第2撮像画像)を受信すると、第1撮像装置50によって撮像された第1撮像画像又は、第2撮像装置50によって撮像された第2撮像画像における、下部走行体の映り込み態様と、一対のクローラ430a,430bのそれぞれの前後方向のそれぞれに偏在して配置されている指定構成要素の映り込み態様と、に基づいて、当該一対のクローラ430a,430bが映り込んでいる第1撮像画像又は、第2撮像画像における下部走行体430の前進方向又は後退方向を推定する(STEP102)。
【0056】
支援処理要素101は、STEP102の処理において、例えば、第1撮像画像に下部走行体430の指定構成要素である駆動部材431が映っている場合、クローラ430a,430bを側方から見た際の当該クローラ430a,430bの前後方向において、当該駆動部材431が位置する側を第1撮像画像におけるクローラ430a、430bの後退方向として推定する。
【0057】
例えば、支援処理要素101は、データベース110に格納された、予め機械学習(例えば、教師あり学習)によって構築された学習モデルを用いて、クローラ430a、430bの後退方向として推定することができる。具体的には、作業機械40の外観を様々な角度から撮像した複数の撮像画像を用いて、クローラ430a,430bの側方が映っている各々の撮像画像について、クローラ430a,430bを側方から見た際の当該クローラ430a,430bの前後方向における当該クローラ430a,430bの後退方向を学習させておく。
【0058】
支援処理要素101は、当該学習モデルに第1撮像画像又は、第2撮像画像を入力して実空間におけるクローラ430a,430bの前後方向、すなわち、下部走行体430のクローラ430a、430bの前進方向又は、後退方向のベクトルを認識する。支援処理要素101は、第1撮像画像又は、第2撮像画像における下部走行体430の前進方向又は後退方向を推定する。
【0059】
支援処理要素101は、STEP102の処理において、例えば、第1撮像画像に下部走行体430の指定構成要素である駆動部材431が映っていない場合であり、かつ第2撮像画像に下部走行体430の駆動部材431が映っている場合、クローラ430a,430bを側方から見た際の当該クローラ430a,430bの前後方向において当該駆動部材431が位置する側を第2撮像画像における下部走行体430のクローラ430a、430bの後退方向として推定する。こうすることで、第1撮像装置50の光軸方向とクローラ430a,430bの前後方向との兼ね合いで第1撮像画像に駆動部材431が映っていない場合であっても、第2撮像画像から当該前後方向を推定することができる。
【0060】
また、支援処理要素101は、作業支援サーバ10の支援処理要素101は、STEP102において推定された第1撮像画像又は、第2撮像画像における下部走行体430の前進方向又は後退方向を表す指標画像を、第1撮像画像、第2撮像画像及び、メイン画像の少なくとも1つの画像の作業機械40又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を生成し(STEP103)、遠隔操作装置20に送信する(STEP104)。
【0061】
例えば、支援処理要素101は、第1撮像装置50によって撮像された図6の右側画像出力装置2212に表示された第1撮像画像に指標画像I1を重畳した合成画像を生成する。例えば、図6においては、指標画像I1は、第1撮像画像における下部走行体430の前進方向を示している。
【0062】
支援処理要素101は、例えば、第1撮像画像及び第2撮像画像に下部走行体430の駆動部材431が映っている場合、上記のSTEP102の前後方向推定処理によって推定された方向に基づいて、指標画像I1,I2を重畳させた合成画像を生成することが可能である。
【0063】
また、例えば、支援処理要素101は、一の撮像装置である第1撮像装置50を通じて取得された第1撮像画像において下部走行体430の駆動部材431が映っていない場合、他の撮像装置である第2撮像装置60を通じて取得された第2撮像画像における、下部走行体430の映り込み態様と、駆動部材431の映り込み態様と、に基づいて生成される、下部走行体430の前後方向を示す指標画像I1,I2を第1撮像画像に重畳するようにしてもよい。
【0064】
すなわち、支援処理要素101は、STEP102の前後方向推定処理で推定した下部走行体430の前後方向に対応させて、指標画像I1,I2及びI3を第1撮像画像、第2撮像画像及び、メイン画像のうち、少なくとも1つの撮像画像に作業機械40又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を生成する。
【0065】
具体的には、支援処理要素101は、例えば、第2撮像装置60によって撮像された図6の左側画像出力装置2211に表示された第2撮像画像に指標画像I2を重畳した合成画像を生成する。さらに、支援処理要素101は、メインカメラ412によって撮像された図6の下側画像出力装置2213に表示されているメイン画像に指標画像I3を重畳した合成画像を生成する。
【0066】
例えば、第2撮像画像に基づいて認識された下部走行体430の前後方向を示す指標画像を第1撮像画像に重畳させる場合には、次のようにするとよい。図7に示すように、支援処理要素101は、上述のSTEP102の処理によって、実空間におけるクローラ430bの前進方向のベクトルB1を得る。
【0067】
例えば、支援処理要素101は、当該ベクトルB1について座標変換を行うことにより、第1撮像画像座標系におけるベクトルB2を求めることができる。
【0068】
具体的には、第2撮像画像座標系から第1撮像画像座標系への座標変換を表わす回転行列R及び並進行列Tに基づき、実空間座標系を基準としたクローラ430bの前進方向のベクトルB=RB+Tが計算される。回転行列R及び並進行列Tは、予めデータベース110に保存されている。回転行列R及び並進行列Tは、数学的にこれと等価なクォータニオンによって定義されていてもよい。
【0069】
実空間におけるベクトルB1の始点が、第1撮像画像座標系に座標変換された結果としての点位置S1’が求められる。
【0070】
第1撮像画像座標系を基準としたベクトルB1の始点は、ベクトル^p1’=DS1’^e’(S1’)により表わされる。「^」はベクトルを意味する(以下同じ。)。「^e’(S1’)」は、第1撮像画像座標系のピクセル位置S1’を通る第1撮像装置50の視線方向を示す単位ベクトルである。
【0071】
同様にして、実空間におけるベクトルB1の終点が、第1撮像画像座標系に座標変換された結果としての点位置S2’が求められる。
【0072】
第1撮像画像座標系を基準としたベクトルB1の終点は、ベクトル^p2’=DS2’^e’(S2’)により表わされる。「^」はベクトルを意味する(以下同じ。)。「^e’(S2’)」は、第1撮像画像座標系のピクセル位置S2’を通る第1撮像装置50の視線方向を示す単位ベクトルである。
【0073】
同様にして、支援処理要素101は、当該ベクトルB1について座標変換を行うことにより、第2撮像画像座標系におけるベクトルB3を求めることができる。
【0074】
実空間におけるベクトルB1の始点が、第2撮像画像座標系に座標変換された結果としての点位置S1”が求められる。
【0075】
第2撮像画像座標系を基準としたベクトルB1の始点は、ベクトル^p1”=DS1”^e’(S1”)により表わされる。「^」はベクトルを意味する(以下同じ。)。「^e”(S1”)」は、第1撮像画像座標系のピクセル位置S1”を通る第2撮像装置60の視線方向を示す単位ベクトルである。
【0076】
同様にして、実空間におけるベクトルB1の終点が、第2撮像画像座標系に座標変換された結果としての点位置S2”が求められる。
【0077】
第1撮像画像座標系を基準としたベクトルB1の終点は、ベクトル^p2”=DS2”^e”(S2”)により表わされる。「^」はベクトルを意味する(以下同じ。)。「^e”(S2”)」は、第1撮像画像座標系のピクセル位置S2”を通る第2撮像装置60の視線方向を示す単位ベクトルである。
【0078】
第1撮像画像座標系において当該座標位置S1’及びS2’(図7白丸参照)は、一般的にピクセル位置S0’(図7黒丸参照)に一致しない。このため、最近傍点補間法、双線形補間法又はバイキュービックスプライン法など、公知の補間方法にしたがって、基準画像座標系の各ピクセル位置S0’に対して、座標位置S0”に対応する距離ZS”に基づいて定まる距離(実点距離)Zsが割り当てられる。
【0079】
このようにして、実空間座標系のベクトルB1が、第1撮像画像座標系に座標変換された結果としてのベクトルB2が求められる。尚、このような合成画像の生成は、同様にして、下部走行体430の前後方向を示す指標画像をメイン画像に重畳させることができる。
【0080】
遠隔操作装置20は、受信した合成画像を、画像出力装置221に表示する(STEP202)。尚、合成画像は、画像出力装置221の任意の画像出力装置に表示させることができ、例えば、中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211、右側画像出力装置2212、下側画像出力装置2213のいずれの画像出力装置に表示させてもよい。
【0081】
例えば、図6に示す表示例においては、中央画像出力装置2210は、左右に2分割された画面の領域を有し、左側の画面の領域にはアタッチカメラ412bによって撮像されたバケット465の拡大画像が表示されている。また、中央画像出力装置2210の右側の画面領域には、後方カメラ412cによって撮像された後方画像が表示されている。
【0082】
右側画像出力装置2212には、第1撮像装置50によって撮像された第1撮像画像に指標画像I1が重畳された合成画像が表示されている。
【0083】
左側画像出力装置2211には、第2撮像画像60によって撮像された第2撮像画像に指標画像I2が重畳された合成画像が表示されている。
【0084】
下側画像出力装置2213には、メインカメラ412aによって撮像されたメイン画像に指標画像I3が重畳された合成画像が表示されている。
【0085】
尚、指標画像I1,I2,I3の表示態様は、下部走行体430の前方方向を示すものに限られず、例えば、下部走行体430の後退方向を示していてもよい。また、指標画像I1,I2,I3は、下部走行体430の前進方向及び後退方向を示す両矢印で示されてもよい。このように、指標画像I1,I2,I3を両矢印で示した場合、前進方向及び後退方向を相互に識別可能な態様で示すとよい。例えば、指標画像I1,I2,I3を両矢印で示す場合、前進方向を示し、後退方向を破線で示すとよい。
【0086】
また、合成画像における指標画像は、重畳させる画像に映り込んでいるクローラ430a,430bの位置、大きさ等に応じて、適宜サイズ等を調整するとよい。例えば、図8に示すように、右側画像出力装置2212の第1撮像画像に映っている作業機械40よりも、左側画像出力装置2211の第2撮像画像に映っている作業機械40の方が小さい場合、第2撮像画像のクローラ430a,430bの大きさや、幅に応じて指標画像I2のサイズを指標画像I1よりも小さく調整して重畳させるとよい。
【0087】
このように、支援処理要素101は、指標画像I1,I2,I3を合成画像におけるクローラ430a,430bのサイズ及び合成画像におけるクローラ430a,430bの位置に応じて生成するようにするとよい。
【0088】
尚、複数の作業機械40が互いに近接して配置されている場合は、操作対象となる作業機械40を特定した上で上記の作業支援処理を行うとよい。
【0089】
例えば、図9に示すように、作業支援システムは、遠隔操作装置20の起動をトリガーとして、作業支援処理を開始する。オペレータによって、例えば、遮断レバーがOFFにされると、遠隔操作装置20は、操作信号を作業支援サーバ10に送信する(STEP211)。
【0090】
作業支援サーバ10は、操作信号を受信すると、操作対象となる作業機械40に対して実空間の位置情報の送信を要求する(STEP111)。
【0091】
作業機械40は、実空間の位置情報送信要求を受信すると、GNSS(Global Navigation Satellite System)を通じて実空間の位置情報を取得し(STEP411)、作業支援サーバ10に実空間の位置情報及び、自身の作業機械の識別情報である号機情報(例えば、A号機等の識別記号、製造番号等の識別番号等)と共に送信する(STEP412)。
【0092】
作業支援サーバ10は、実空間の位置情報を受信すると、作業機械40の周囲に配置されている撮像装置の実空間の位置情報を参照して作業機械40を撮像可能な撮像装置を選択し、当該選択によって選択された1の撮像装置である、例えば、第1撮像装置50に対して画像送信要求を送信する(STEP112)。
【0093】
第1撮像装置50は、画像送信要求を受信すると、撮像した第1撮像画像を作業支援サーバ10に送信する(STEP511)。
【0094】
作業支援サーバ10の支援処理要素101は、第1撮像画像を受信すると、予めデータベース110に登録されている第1撮像装置50の実空間の設置位置及び、第1撮像画像に映り込んでいる作業機械40の位置に基づいて、作業機械40の実空間の位置を推定する(STEP113)。
【0095】
作業支援サーバ10の支援処理要素101は、作業機械40から送信された実空間の位置情報と、STEP113において推定した作業機械40の実空間の位置(位置情報)が一致しているか否かを判定する(STEP114)。
【0096】
STEP114における判定は、例えば、支援処理要素101が、第1撮像装置50の実空間の位置情報と、第1撮像装置50の光軸方向とを、取得する。支援処理要素101は、第1撮像装置50の光軸方向に基づいて、第1撮像装置50の設置位置からみた作業機械40が配置されている方向を推定する。支援処理要素101は、当該推定した作業機械40の方向における実空間の位置情報を所定の範囲内(例えば、第1撮像装置50から200m以内、かつ当該方向の中心から半径20m以内)で算出する。支援処理要素101は、当該算出した複数の実空間の位置情報に、作業機械40から送信された実空間の位置情報と一致する位置情報が含まれているか否かによって判定する。
【0097】
支援処理要素101は、STEP114において、2つの位置情報が一致すると判定した場合(STEP114:YES)、当該作業機械40を操作対象となる作業機械40として認識し(STEP115)、合成画像を遠隔操作装置20に送信する(STEP116)。
【0098】
すなわち、支援処理要素101は、操作対象の候補となる作業機械40の実空間の位置情報を取得し、かつ第1撮像画像から算出される作業機械40の位置及び、操作対象の候補となる作業機械40の実空間の位置情報が合致する場合、操作対象の候補となる作業機械40を操作対象となる作業機械40として認識する。
【0099】
遠隔操作装置20は、受信した合成画像を、画像出力装置221に表示する(STEP212)。
【0100】
また、支援処理要素101は、STEP114において、2つの実空間の位置情報が一致しないと判定した場合(STEP114:NO)、STEP112に戻り、STEP114において、2つの実空間の位置情報が一致するまで処理が繰り返される。
【0101】
以上の実施例の説明では、作業支援サーバ10によって作業支援処理が実行される説明をした。しかし、作業支援処理は、遠隔操作装置20によって行われてもよいし、作業機械40によって行われてもよい。
【0102】
以上の実施例の説明では、支援処理要素101は、STEP102の処理において、第1撮像画像に下部走行体430の指定構成要素である駆動部材431が映っていない場合、第2撮像画像から前後方向を推定するようにしていたが、これに限られない。例えば、第1撮像画像において、クローラ430a,430bを側方から見た際の当該クローラ430a,430bの前後方向において指定構成要素が配されていない側を前方として推定するようにしてもよい。具体的には、支援処理要素101は、第1撮像画像に下部走行体430の前後方向に偏在した箇所(クローラ430a,430bの前後方向において指定構成要素が配されていない側の端部)が映っている場合であって、下部走行体430の指定構成要素である駆動部材431が映っていない場合、クローラ430a,430bを側方から見た際の当該クローラ430a,430bの前後方向において当該偏在した箇所が位置する側(駆動部材431がない側)を第1撮像画像おける下部走行体430のクローラ430a、430bの前進方向として推定するようにしてもよい。こうすることで、第1撮像画像において駆動部材431等の指定構成要素が障害物等により隠れていることで映っていない場合であっても、当該前後方向を推定することができる。
【0103】
また、支援処理要素101は、データベース110に格納された、予め機械学習(例えば、教師あり学習)によって構築された学習モデルを用いて、クローラ430a、430bの後退方向として推定することができる旨を説明した。クローラ430a,430bの前後方向の推定は、このような態様に限られず、例えば、支援処理要素101は、クローラ430a,430bを側方から見た際の当該クローラ430a,430bの見かけ上の形状に基づいて下部走行体430の前進方向又は後退方向のベクトルの傾きを認識するようにしてもよい。
【0104】
具体的には、支援処理要素101は、図10のように、第1撮像画像において、クローラ430a,430bのどちらかの側方のみが映り込んでいる場合には第1撮像装置50の光軸AX1に対して垂直な方向に当該ベクトルの傾きがあると認識する。
【0105】
また、図11のように、第1撮像画像において、クローラ430a,430bの両方を認識しクローラ430aの一端側に重なるように映り込んでいる(一方のクローラ430aの外側の側面と、他方のクローラ430bの内側の側面が映り込んでいる)場合には、第1支援処理要素101は第1撮像装置50の光軸AX1に対して傾きがあるベクトルであると認識する。
【0106】
具体的には、図11に示される例においては、第1支援処理要素101は、第1撮像装置50の光軸AX1方向から見てクローラ430aとクローラ430bとが重なる一端側(図11の第1撮像画像において、右側であり、クローラ430a及びクローラ430bの延在方向の一端側)が第1撮像装置50の光軸AX1に対して比較的手前側(図11の第1撮像画像において、下側)に位置し、クローラ430aの一端側の反対側である他端側(図11の第1撮像画像において、左側であり、クローラ430a及びクローラ430bの延在方向の他端側)が第1撮像装置50の光軸に対して比較的奥側(図11の第1撮像画像において、上側)に位置するように当該ベクトルの傾きがあると認識する。
【0107】
図12のように、第1撮像画像において第1支援処理要素101がクローラ430a,430bの両方を認識しかつクローラ430a,430bが重ならないように映り込んでいる場合(クローラ430a、430bの正面方向又は背面方向が映り込んでいる場合)には、第1支援処理要素101は、第1撮像装置50の光軸AX1に沿う方向又は当該光軸AX1と反対の方向に沿う方向に当該ベクトルの傾きがあると認識する。
【0108】
第1支援処理要素101は、以上のような処理を行うことによってクローラ430a、430bの後退方向として推定することができる。
【符号の説明】
【0109】
10‥作業支援サーバ
101‥第1支援処理要素
102‥第2支援処理要素
20‥遠隔操作装置
40‥作業機械
430‥下部走行体
430a、430b‥クローラ
450‥上部旋回体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12