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特許7528892作業支援システムおよび作業支援複合システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】作業支援システムおよび作業支援複合システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240730BHJP
   B60R 1/20 20220101ALI20240730BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20240730BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20240730BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240730BHJP
   G05D 1/221 20240101ALI20240730BHJP
【FI】
E02F9/20 N
B60R1/20 100
E02F9/24 B
E02F9/26 B
H04N7/18 J
G05D1/221
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021139430
(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公開番号】P2023032998
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 均
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 誠司
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 洋一郎
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/187560(WO,A1)
【文献】特許第5473870(JP,B2)
【文献】特開2018-115077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 9/24
E02F 9/26
H04N 7/18
B60R 1/20
G05D 1/221
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のクローラを備える下部走行体と、前記下部走行体に対して旋回可能な上部旋回体と、を有する作業機械と、前記作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムであって、
前記上部旋回体に設けられ、かつ前記下部走行体の少なくとも一方の前記クローラを撮像領域に含むよう設けられている第1撮像装置を通じて取得される第1撮像画像における、前記一対のクローラのそれぞれの前後方向のそれぞれに偏在して配置された、相互に形態が異なり、かつ前記一対のクローラの前方に設けられている第1マーカ及び、前記一対のクローラの後方に設けられている第2マーカのそれぞれの映り込み態様に基づいて、前記下部走行体の前進方向又は後退方向を認識する第1支援処理要素と、
前記第1支援処理要素によって認識された前記下部走行体の前進方向又は後退方向を表す指標画像を前記第1撮像画像の前記作業機械又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を前記遠隔操作装置に送信する第2支援処理要素と、
を有することを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項2】
前記第1支援処理要素は、前記上部旋回体の前記下部走行体に対する旋回に応じて変化する前記一対のクローラの映り込み態様と、前記第1マーカ及び、前記第2マーカのそれぞれの映り込み態様と、に基づく、前記上部旋回体の前記下部走行体に対する旋回角度を認識し、
前記第2支援処理要素は、前記第1支援処理要素によって認識された前記上部旋回体の前記下部走行体に対する前記旋回角度に対応した角度で、前記指標画像を前記第1撮像画像の前記作業機械又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を前記遠隔操作装置に送信することを特徴とする請求項1に遠隔操作システム。
【請求項3】
前記第2支援処理要素は、前記上部旋回体に前記第1撮像装置とは別個に設けられている第2撮像装置を通じて取得された第2撮像画像に、前記上部旋回体の前記下部走行体に対する前記旋回角度に応じた前記下部走行体の前進方向又は後退方向を表す指標画像を前記第2撮像画像の前記作業機械又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を前記遠隔操作装置に送信することを特徴とする請求項2に記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記第1支援処理要素は、前記第1撮像画像に映り込んでいる前記第1マーカ並びに前記第2マーカの別及び、前記第1撮像画像に映り込んでいる前記第1マーカ並びに前記第2マーカの個数に基づいて、前記上部旋回体の前記下部走行体に対する旋回角度を認識することを特徴とする請求項2又は3に記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記第1支援処理要素は、前記第1撮像画像に含まれている前記第1マーカ及び前記第2マーカの映り込み態様としての、前記第1マーカ又は前記第2マーカの前記第1撮像画像における左右方向の位置に基づく前記上部旋回体の前記下部走行体に対する旋回角度を認識する請求項2乃至4のうちいずれか1項に記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記第1支援処理要素は、前記下部走行体から突出して形成された立体状の前記第1マーカ又は前記下部走行体から突出して形成された立体状の前記第2マーカを含む前記第1撮像画像を取得する請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の遠隔操作システム。
【請求項7】
前記第1撮像装置は、前記上部旋回体の前記下部走行体に対する旋回方向において相互に異なる方向に向けて複数配置され、
前記第1支援処理要素は、複数の前記第1撮像装置を通じて取得される複数の第1撮像画像における、前記第1マーカ及び前記第2マーカのそれぞれの映り込み態様に基づいて、前記下部走行体の前進方向又は後退方向を認識し、
前記第2支援処理要素は、前記第1支援処理要素が前記下部走行体の前進方向又は後退方向を認識する際に用いた前記第1撮像画像に対して前記指標画像を重畳した前記合成画像を前記遠隔操作装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の遠隔操作システム。
【請求項8】
前記第1支援処理要素は、前記遠隔操作装置における前記作業機械への操作の受け付けの可否を示す情報(具体例:遮断レバーのON/OFF)である操作受付情報を取得し、
前記第2支援処理要素は、前記操作受付情報が前記作業機械への操作の受け付けが可の場合に前記合成画像を前記遠隔操作装置に送信する請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の遠隔操作システム。
【請求項9】
前記第1支援処理要素は、前記遠隔操作装置における前記作業機械の前進又は後退の操作入力の意思を表す動作である準備動作の走行操作情報(具体例:オペレータの手足のモーション、走行レバー等の操作、走行レバーの触り方)を取得し、
前記第2支援処理要素は、前記準備動作で表されている前記意思が前進の前記操作入力である場合には、前記下部走行体の前進方向を表す前記指標画像を用いて生成された前記合成画像を前記遠隔操作装置に送信し、前記準備動作で表されている前記意思が後退の前記操作入力である場合には、前記下部走行体の後退方向を表す前記指標画像を用いて生成された前記合成画像を前記遠隔操作装置に送信する請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の遠隔操作システム。
【請求項10】
左右一対のクローラを備える下部走行体と、前記下部走行体に対して旋回可能な上部旋回体と、を有する作業機械と、前記作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムであって、
前記上部旋回体に設けられ、かつ前記下部走行体の少なくとも一方の前記クローラを撮像領域に含むよう設けられている第1撮像装置を通じて取得される第1撮像画像における、前記一対のクローラのそれぞれの前後方向のそれぞれに偏在して配置された、相互に形態が異なり、かつ前記一対のクローラの前方に設けられている第1マーカ及び、前記一対のクローラの後方に設けられている第2マーカのそれぞれの映り込み態様に基づいて、前記下部走行体の前進方向又は後退方向を認識する第1支援処理要素と、
前記第1支援処理要素によって認識された前記下部走行体の前進方向又は後退方向を表す指標画像を、前記上部旋回体に前記第1撮像装置とは別個に設けられている第2撮像装置を通じて取得された第2撮像画像の前記作業機械又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を前記遠隔操作装置に送信する第2支援処理要素と、
を有することを特徴とする遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械と、当該作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、油圧ショベル等の作業機械は、下部走行体と、この下部走行体に対して旋回可能な上部旋回体を備えている。また、上部旋回体には運転室を構成するキャブが設けられている。
【0003】
このような作業機械では、下部走行体に対して上部旋回体が旋回することにより、キャブの正面方向と、作業機械の前進方向又は後退方向と、が相互に異なる方向となる可能性がある。このため、オペレータは、走行操作をしたときに何れの方向に作業機械が進行するのかが分かりにくいという問題がある。
【0004】
そこで、キャブ内に設けたモニターに作業機械の進行方向を矢印で示すことが行われている。例えば、特許文献1においては、下部走行体に対して上部旋回体が旋回可能であり、且つ、機械周辺を撮影するカメラを備え、前記カメラが撮影した画像をキャブ内に配置されたモニター画面に表示する建設機械のモニター装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5473870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のモニター装置では、モニター画面に表示された画像の時間変化により、上部旋回体に対する下部走行体の相対角度を推定する。このため、相対角度を推定するために複雑な画像処理が必要となり、処理負荷が高くなる問題がある。
【0007】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、処理負荷の軽減を図り、かつ簡易な構成で作業機械の前進方向又は後退方向を示すことが可能な遠隔操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため本発明の遠隔操作システムは、左右一対のクローラを備える下部走行体と、前記下部走行体に対して旋回可能な上部旋回体と、を有する作業機械と、前記作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、それぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムであって、前記上部旋回体に設けられ、かつ前記下部走行体の少なくとも一方の前記クローラを撮像領域に含むよう設けられている第1撮像装置を通じて取得される第1撮像画像における、前記一対のクローラのそれぞれの前後方向のそれぞれに偏在して配置された、相互に形態が異なり、かつ前記一対のクローラの前方に設けられている第1マーカ及び、前記一対のクローラの後方に設けられている第2マーカのそれぞれの映り込み態様に基づいて、前記下部走行体の前進方向又は後退方向を認識する第1支援処理要素と、前記第1支援処理要素によって認識された前記下部走行体の前進方向又は後退方向を表す指標画像を前記第1撮像画像の前記作業機械又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を前記遠隔操作装置に送信する第2支援処理要素と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の遠隔操作システムによれば、第1支援処理要素は、第1撮像画像に含まれている第1マーカ及び第2マーカの映り込み態様によって、一対のクローラの前進方向又は後退方向を認識することが可能となる。これにより、第2支援処理要素は、第1撮像画像及び下部走行体の前進方向又は後退方向を示す指標画像を重畳した合成画像を生成することができ、当該合成画像を遠隔操作装置に送信することができる。オペレータは、遠隔操作装置に表示された当該合成画像を目視することにより容易に作業機械の下部走行体の前進方向又は後退方向を把握することが可能となる。
【0010】
本発明の遠隔操作システムにおいて、前記第1支援処理要素は、前記上部旋回体の前記下部走行体に対する旋回に応じて変化する前記一対のクローラの映り込み態様と、前記第1マーカ及び、前記第2マーカのそれぞれの映り込み態様と、に基づく、前記上部旋回体の前記下部走行体に対する旋回角度を認識し、前記第2支援処理要素は、前記第1支援処理要素によって認識された前記上部旋回体の前記下部走行体に対する前記旋回角度に対応した角度で、前記指標画像を前記第1撮像画像の前記作業機械又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を前記遠隔操作装置に送信することが好ましい。
【0011】
このような態様によれば、第1支援処理要素は、例えば、第1撮像画像におけるクローラの映り込み態様、すなわち、第1撮像画像において映っている左右のクローラの別(一方又は両方)、第1撮像装置の撮像方向に対する左右のクローラの傾斜角度等及び、第1撮像画像に映っている第1マーカ並びに第2マーカの別によって、上部旋回体の下部走行体に対する旋回角度を認識することができる。したがって、例えば、第2支援処理要素は、第1撮像装置の撮像方向に対する左右のクローラの傾斜角度に対応して指標画像を重畳させて合成画像を生成することができ、当該合成画像を遠隔操作装置に送信することができる。したがって、オペレータは、合成画像を目視するだけで容易に下部走行体の前進方向又は後退方向を認識することができる。
【0012】
本発明の遠隔操作システムにおいて、前記第2支援処理要素は、前記上部旋回体に前記第1撮像装置とは別個に設けられている第2撮像装置を通じて取得された第2撮像画像に、前記上部旋回体の前記下部走行体に対する前記旋回角度に応じた前記下部走行体の前進方向又は後退方向を表す指標画像を前記第2撮像画像の前記作業機械又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を前記遠隔操作装置に送信することが好ましい。
【0013】
このような態様によれば、第2撮像画像に指標画像が重畳された合成画像を遠隔操作装置に送信することにより、例えば、オペレータは、作業時に目線の移動を行うことなく操作を行うことができる。したがって、オペレータの作業効率の向上を図ることができる。
【0014】
前記第1支援処理要素は、前記第1撮像画像に映り込んでいる前記第1マーカ並びに前記第2マーカの別及び、前記第1撮像画像に映り込んでいる前記第1マーカ並びに前記第2マーカの個数に基づいて、前記上部旋回体の前記下部走行体に対する旋回角度を認識することが好ましい。
【0015】
このような態様によれば、例えば、2つの第1マーカ又は、2つの第2マーカが第1撮像画像に映り込んでいる場合、上部旋回体の下部走行体に対する旋回角度は、特定の角度、例えば、0°又は180°に近い角度であることが認識される。また、例えば、1つの第1マーカ(又は、1つの第2マーカ)が第1撮像画像に映り込んでいる場合、上部旋回体の下部走行体に対する旋回角度は、特定の角度、例えば、45°又は135°(225°又は315°)に近い角度であることが認識される。さらに、第1撮像画像に映り込んでいるマーカの別(第1マーカ又は第2マーカ)により、一対のクローラの前後方向を認識することが可能となる。さらにまた、第1マーカ又は第2マーカが第1撮像画像に映り込んでいない場合、上部旋回体の下部走行体に対する旋回角度は、特定の角度、例えば90°に近い角度であることが認識される。したがって、第1支援処理要素は、第1撮像画像における一対のクローラの映り込み態様を用いずに、上部旋回体の下部走行体に対する旋回角度及び、一対のクローラの前後方向を認識することが可能となる。これにより、第1支援処理要素による一対のクローラの映り込み態様に必要な画像解析処理が不要になるため、第2支援処理要素の処理負荷の低減を図ることができる。
【0016】
本発明の遠隔操作システムにおいて、前記第1支援処理要素は、前記第1撮像画像に含まれている前記第1マーカ及び前記第2マーカの映り込み態様としての、前記第1マーカ又は前記第2マーカの前記第1撮像画像における左右方向の位置に基づく前記上部旋回体の前記下部走行体に対する旋回角度を認識することが好ましい。
【0017】
第1撮像画像に含まれている第1マーカ及び第2マーカの映り込み態様は、上部旋回体の下部走行体に対する旋回角度に応じて変化する。具体的には、その旋回角度の変化に応じて第1マーカ又は第2マーカの第1撮像画像における左右方向の位置が変化する。したがって、第1支援処理要素は、第1撮像画像における第1マーカ及び第2マーカの左右方向の位置を認識することにより、上部旋回体の下部走行体に対する旋回角度を認識することが可能となる。
【0018】
本発明の遠隔操作システムにおいて、前記第1支援処理要素は、前記下部走行体から突出して形成された立体状の前記第1マーカ又は前記下部走行体から突出して形成された立体状の前記第2マーカを含む前記第1撮像画像を取得することが好ましい。
【0019】
このような態様によれば、第1マーカ及び第2マーカが泥や土などが付着した場合であっても、第1支援処理要素は、容易に第1マーカ及び第2マーカを認識することができる。
【0020】
本発明の遠隔操作システムにおいて、前記第1撮像装置は、前記上部旋回体の前記下部走行体に対する旋回方向において相互に異なる方向に向けて複数配置され、前記第1支援処理要素は、複数の前記第1撮像装置を通じて取得される複数の第1撮像画像における、前記第1マーカ及び前記第2マーカのそれぞれの映り込み態様に基づいて、前記下部走行体の前進方向又は後退方向を認識し、前記第2支援処理要素は、前記第1支援処理要素が前記下部走行体の前進方向又は後退方向を認識する際に用いた前記第1撮像画像に対して前記指標画像を重畳した前記合成画像を前記遠隔操作装置に送信することが好ましい。
【0021】
このような態様によれば、例えば、一の第1撮像装置の第1撮像画像に第1のマーカ又は第2のマーカが映らない、上部旋回体の下部走行体に対する旋回角度であっても、第1支援処理要素は、他の第1撮像装置が撮像した他の第1撮像画像を用いることにより、一対のクローラの前進方向又は後退方向を認識することが可能となる。
【0022】
本発明の遠隔操作システムにおいて、前記第1支援処理要素は、前記遠隔操作装置における前記作業機械への操作の受け付けの可否を示す情報である操作受付情報を取得し、前記第2支援処理要素は、前記操作受付情報が前記作業機械への操作の受け付けが可の場合に前記合成画像を前記遠隔操作装置に送信することが好ましい。
【0023】
このような態様によれば、オペレータが作業機械に対する操作を行う場合にのみ、下部走行体の前進方向又は後退方向が表示されるようにすることができ、オペレータが感じる煩わしさを低減することができる。
【0024】
本発明の遠隔操作システムにおいて、前記第1支援処理要素は、前記遠隔操作装置における前記作業機械の前進又は後退の操作入力の意思を表す動作である準備動作の走行操作情報を取得し、前記第2支援処理要素は、前記準備動作で表されている前記意思が前進の前記操作入力である場合には、前記下部走行体の前進方向を表す前記指標画像を用いて生成された前記合成画像を前記遠隔操作装置に送信し、前記準備動作で表されている前記意思が後退の前記操作入力である場合には、前記下部走行体の後退方向を表す前記指標画像を用いて生成された前記合成画像を前記遠隔操作装置に送信することが好ましい。
【0025】
このような態様によれば、オペレータが作業機械の前進又は後退の操作を行う場合にのみ、指標画像が重畳された合成画像が表示されるようにすることができ、常に指標画像が重畳された合成画像が表示される煩わしさを低減することができる。
【0026】
本発明の遠隔操作システムは、左右一対のクローラを備える下部走行体と、前記下部走行体に対して旋回可能な上部旋回体と、を有する作業機械と、前記作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムであって、前記上部旋回体に設けられ、かつ前記下部走行体の少なくとも一方の前記クローラを撮像領域に含むよう設けられている第1撮像装置を通じて取得される第1撮像画像における、前記一対のクローラのそれぞれの前後方向のそれぞれに偏在して配置された、相互に形態が異なり、かつ前記一対のクローラの前方に設けられている第1マーカ及び、前記一対のクローラの後方に設けられている第2マーカのそれぞれの映り込み態様に基づいて、前記下部走行体の前進方向又は後退方向を認識する第1支援処理要素と、前記第1支援処理要素によって認識された前記下部走行体の前進方向又は後退方向を表す指標画像を、前記上部旋回体に前記第1撮像装置とは別個に設けられている第2撮像装置を通じて取得された第2撮像画像の前記作業機械又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を前記遠隔操作装置に送信する第2支援処理要素と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態としての作業支援システムの構成説明図である。
図2図1の遠隔操作装置の構成に関する説明図である。
図3図1の作業機械の構成に関する説明図である。
図4】作業支援サーバによる作業支援処理の例を示すフローチャートである。
図5図4の前進後退方向算出処理の例を示すフローチャートである。
図6】撮像装置による撮影された画像の例を示す説明図である。
図7】撮像装置による撮影された画像の例を示す説明図である。
図8】撮像装置による撮影された画像の例を示す説明図である。
図9】撮像装置による撮影された画像の例を示す説明図である。
図10】撮像装置による撮影された画像の例を示す説明図である。
図11】作業支援サーバによる作業支援処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0028】
(遠隔操作システムの構成)
図1に示されている本発明の一実施形態としての作業支援システムは、遠隔操作装置20による複数の作業機械40の遠隔操作を支援するための作業支援サーバ10により構成されている。作業支援サーバ10と、遠隔操作装置20、複数の作業機械40のそれぞれとは共通のまたは別個のネットワークを介して相互に通信可能に構成されている。尚、本図においては、作業支援サーバ10は、複数の作業機械40と接続可能にされているが、作業支援サーバ10は1台以上の作業機械40と接続可能であればよく、その接続台数に制限はない。
【0029】
本実施例においては、作業支援サーバ10を、複数の作業機械40と、当該複数の作業機械40のうち遠隔操作対象となる一の作業機械40を遠隔操作するための遠隔操作装置20と、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムとして説明する。
【0030】
本発明の構成要素(ハードウェア)が、各種情報を「取得する」とは、当該情報を受信すること、当該情報を内部記憶装置(例えば、メモリ)および/または外部記憶装置(例えば、外部のデータベースサーバ)から読み取るまたは検索すること、受信、読み取り、検索等された情報を対象にして演算処理を実行することにより情報を算定、推定、予測、同定等すること、など、各種情報を後続の演算処理において利用可能な形態で準備するためのあらゆる演算処理を包含する概念である。
【0031】
(作業支援サーバの構成)
作業支援サーバ10は、第1支援処理要素101及び、第2支援処理要素102を含む遠隔操作支援装置100と、データベース110と、サーバ無線通信機器122と、を備えている。
【0032】
第1支援処理要素101及び第2支援処理要素102は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアに従った後述の演算処理を実行する。
【0033】
データベース110は、撮像画像データ等を記憶保持する。データベース110は、作業支援サーバ10とは別個のデータベースサーバにより構成されていてもよい。
【0034】
(遠隔操作装置の構成)
遠隔操作装置20は、遠隔制御装置200と、遠隔入力インターフェース210と、遠隔出力インターフェース220と、を備えている。遠隔制御装置200は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0035】
遠隔入力インターフェース210は、遠隔操作機構211及び第3撮像装置212を備えている。
【0036】
遠隔操作機構211には、走行用操作装置と、旋回用操作装置と、ブーム用操作装置と、アーム用操作装置と、バケット用操作装置と、オペレータによる操作の受付状態を切り替える油圧ロックレバー(遮断レバー)と、が含まれている。各操作装置は、回動操作を受ける操作レバーを有している。走行用操作装置の操作レバー(走行レバー)は、作業機械40の左右一対のクローラを備える下部走行体430を動かすために操作される。走行レバーは、走行ペダルを兼ねていてもよい。例えば、走行レバーの基部または下端部に固定されている走行ペダルが設けられていてもよい。旋回用操作装置の操作レバー(旋回レバー)は、作業機械40の旋回機構440を構成する油圧式の旋回モータを動かすために操作される。ブーム用操作装置の操作レバー(ブームレバー)は、作業機械40のブームシリンダ462を動かすために操作される。アーム用操作装置の操作レバー(アームレバー)は作業機械40のアームシリンダ464を動かすために操作される。バケット用操作装置の操作レバー(バケットレバー)は作業機械40のバケットシリンダ466を動かすために操作される。遮断レバーは、作業機械40のパイロット圧弁の状態を切り替えるために操作される。
【0037】
遠隔操作機構211を構成する各操作レバーは、例えば、図2に示されているように、オペレータOP1が着座するためのシートStの周囲に配置されている。シートStは、アームレスト付きのハイバックチェアのような形態であるが、ヘッドレストがないローバックチェアのような形態、または、背もたれがないチェアのような形態など、オペレータOP1が着座できる任意の形態の着座部であってもよい。
【0038】
シートStの前方に左右のクローラに応じた左右一対の走行レバー2110が左右横並びに配置されている。一つの操作レバーが複数の操作レバーを兼ねていてもよい。例えば、図2に示されているシートStの左側フレームの前方に設けられている左側操作レバー2111が、前後方向に操作された場合にアームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合に旋回レバーとして機能してもよい。同様に、図2に示されているシートStの右側フレームの前方に設けられている右側操作レバー2112が、前後方向に操作された場合にブームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合にバケットレバーとして機能してもよい。レバーパターンは、オペレータOP1の操作指示によって任意に変更されてもよい。
【0039】
シートStの左側フレームの前方において左側操作レバー2111の下方に設けられている遮断レバー2113は、上げられた(OFFにされた)場合に各操作レバー2110、2111、2112が操作されても作業機械40が動かないようにロックする一方、下げられた(ONにされた)場合に当該ロックを解除するための操作レバーとして機能する。
【0040】
遠隔出力インターフェース220は、遠隔画像出力装置221と、遠隔無線通信機器222とを備えている。
【0041】
遠隔画像出力装置221は、例えば図2に示されているように、シートStの前方、左斜め前方および右斜め前方のそれぞれに配置された略矩形状の画面を有する中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212により構成されている。中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のそれぞれの画面(画像表示領域)の形状およびサイズは同じであってもよく相違していてもよい。
【0042】
中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のそれぞれの画面は、鉛直方向に対して平行であってもよく、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のうち少なくとも1つの画像出力装置が、複数に分割された画像出力装置により構成されていてもよい。例えば、中央遠隔画像出力装置2210が、略矩形状の画面を有する上下に隣接する一対の画像出力装置により構成されていてもよい。
【0043】
遠隔音響出力装置222は、一または複数のスピーカーにより構成され、例えば図2に示されているように、シートStの後方、左アームレスト後部および右アームレスト後部のそれぞれに配置された中央遠隔音響出力装置2220、左側遠隔音響出力装置2221および右側遠隔音響出力装置2222により構成されている。中央遠隔音響出力装置2220、左側遠隔音響出力装置2221および右側遠隔音響出力装置2222のそれぞれの仕様は同じであってもよく相違していてもよい。
【0044】
第3撮像装置212は、例えば、シートSt及び遠隔操作機構211を撮像可能に設けられている。第3撮像装置212は、本実施例においては、図2にも示すように、中央遠隔画像出力装置2210の上端側において、光軸をシートStに向けて設けられている。すなわち、第3撮像装置212は、オペレータOP1がシートStに着座した際に、遠隔操作機構211の操作するためのオペレータOP1の動作を撮像可能に設置されている。
【0045】
(作業機械の構成)
図1に示されているように、作業機械40は、実機制御装置400と、実機入力インターフェース410と、実機出力インターフェース420と、を備えている。実機制御装置400は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0046】
作業機械40は、例えば、油圧式、電動式または油圧式および電動式が組み合わされたハイブリッド駆動式のクローラショベル(建設機械)であり、図3に示されているように、左右一対のクローラを備える下部走行体430と、下部走行体430に旋回機構440を介して旋回可能に搭載されている上部旋回体450と、を備えている。上部旋回体450の前方左側部にはキャブ454(運転室)が設けられている。上部旋回体450の前方中央部には作動機構460が設けられている。
【0047】
図6Bにも示すように、作業機械40の一対のクローラ430a、430bのそれぞれの前方には第1マーカM1が設けられている。また、図10Cにも示すように、作業機械40の一対のクローラ430a、430bのそれぞれの後方には第2マーカM2が設けられている。
【0048】
第1マーカM1及び第2マーカM2は、互いに識別可能なマーカであればよく、例えば、前後情報を保持した二次元コード、〇、△等の図形、記号等であってもよい。また、第1マーカM1及び第2マーカM2は、互いに識別可能なマーカであれば、例えば、クローラから外方に突出して形成されているステップ(オペレータがキャブ454に乗り込む際に足をかけるためのステップ)、凸部等や、クローラから凹んで形成されている凹部等の立体的形状であってもよい。例えば、第1マーカM1及び第2マーカM2に泥等によって覆われた場合、記号、図形等を画像認識させることが困難であるが、立体的形状であれば、その立体形状に応じた形態が表れていれば、画像認識させることができる。
【0049】
すなわち、第1マーカM1及び第2マーカM2は、一対のクローラ430a、430bのそれぞれの前後方向のそれぞれに偏在して配置され、相互に形態が異なる。尚、第1マーカM1及び、第2マーカM2は、を画像データとしてデータベース110記憶されている。
【0050】
実機入力インターフェース41は、実機操作機構411と、第1撮像装置412a、412bと、第2撮像装置412cと、を備えている。実機操作機構411は、キャブ454の内部に配置されたシートの周囲に遠隔操作機構211と同様に配置された複数の操作レバーを備えている。
【0051】
遠隔操作レバーの操作態様に応じた信号を受信し、当該受信信号に基づいて実機操作レバーを動かす駆動機構またはロボットがキャブ454に設けられている。
【0052】
第1撮像装置(以後、足元カメラとも称される)412aは、図3にも示すように、上部旋回体450に設けられ、かつ下部走行体430の少なくとも一方のクローラを撮像領域に含むよう設けられている。本実施例において、足元カメラ412aは、上部旋回体450のキャブ454の底面(外壁面)に設けられている。具体的には、足元カメラ412aは、キャブ454のフロントウィンドウが設けられている正面方向に受光素子(撮像方向)を向けてキャブ454の底面(外壁面)に設けられている。尚、足元カメラ412aは、例えば、ブームフットの基端側等に設けられていてもよい。
【0053】
第1撮像装置は、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回方向において相互に異なる方向に向けて複数配置されることが好ましい。本実施例においては、足元カメラ412aとは別に、第1撮像装置(以後、左カメラとも称される)412bが設けられている。足元カメラ412aと左カメラ412bとは、互いに光軸が異なる方向に設置されている。左カメラ412bは、足元カメラ412aの撮像領域に入らない領域を撮像領域とすることがさらに好ましい。
【0054】
言い換えれば、足元カメラ412a及び左カメラ412bのうち少なくとも一方が、上部旋回体450の下部走行体430に対する角度がいずれの角度であっても、第1マーカM1及び第2マーカM2のうち少なくとも一方を撮像領域に含むように足元カメラ412a及び左カメラ412bが設けられている。例えば、足元カメラ412aと左カメラ412bとは、互いの光軸方向のなす角度が約90°であることが好ましい。本実施例においては、左カメラ412bは、キャブ454の左側のサイドウィンドウが設けられている方向に受光素子(撮像方向)を向けてキャブ454の外壁面に設けられている。
【0055】
尚、左カメラ412bは、例えば、キャブ454の右側のサイドウィンドウが設けられている方向に受光素子(撮像方向)を向けてキャブ454の外壁面に設けられているようにしてもよい。また、左カメラ412bは、キャブ454の屋根に設けられていてもよいし、キャブ454の室内から外部(例えば、右側方、左側方)を撮影可能に設けられてもよい。
【0056】
第2撮像装置412c(以後、メインカメラとも称される)は、足元カメラ412a及び、左カメラ412bとは別個に上部旋回体450に設けられている。メインカメラ412cは、例えばキャブ454の内部に設置され、フロントウィンドウおよび左右一対のサイドウィンドウ越しに作動機構460の少なくとも一部を含む環境を撮像する。当該撮像画像には、フロントウィンドウ(またはウィンドウフレーム)およびサイドウィンドウのうち一部または全部が省略されていてもよい。
【0057】
実機状態センサ群414は、上部旋回体450に対するブーム461の回動角度(起伏角度)、ブーム461に対するアーム463の回動角度、および、アーム463に対するバケット465の回動角度のそれぞれを測定するための角度センサ、下部走行体430に対する上部旋回体450の旋回角度を測定するための旋回角度センサ、バケット465に対して作用する外力を測定するための外力センサ、上部旋回体450に作用する3軸加速度を測定するための3軸加速度センサ等により構成されている。
【0058】
実機出力インターフェース42は、実機画像出力装置421と、実機無線通信機器422と、を備えている。実機画像出力装置421は、例えば、キャブ454の内部であってフロントウィンドウの近傍に配置されている。実機画像出力装置421は、省略されていてもよい。また、実機無線通信機器422は、作業支援サーバ10および作業機械40との間で無線通信を実行する。
【0059】
作動機構としての作動機構460は、上部旋回体450に起伏可能に装着されているブーム461と、ブーム461の先端に回動可能に連結されているアーム463と、アーム463の先端に回動可能に連結されているバケット465と、を備えている。作動機構460には、伸縮可能な油圧シリンダにより構成されているブームシリンダ462、アームシリンダ464およびバケットシリンダ466が装着されている。作業部として、バケット465のほか、ニブラ、カッター、マグネットなど、さまざまなアタッチメントが用いられてもよい。
【0060】
ブームシリンダ462は、作動油の供給を受けることにより伸縮してブーム461を起伏方向に回動させるように当該ブーム461と上部旋回体450との間に介在する。アームシリンダ464は、作動油の供給を受けることにより伸縮してアーム463をブーム461に対して水平軸回りに回動させるように当該アーム463と当該ブーム461との間に介在する。バケットシリンダ466は、作動油の供給を受けることにより伸縮してバケット465をアーム463に対して水平軸回りに回動させるように当該バケット465と当該アーム463との間に介在する。
【0061】
上記の作業支援サーバ10、遠隔操作装置20、作業機械40の連携により発揮される作業支援システムの作業支援処理について図4に示されているフローチャートを用いて説明する。
【0062】
作業支援システムは、遠隔操作装置20の起動をトリガーとして、作業支援処理を開始する。オペレータによって、例えば、遮断レバー2113がOFFにされると、遠隔操作装置20は、操作信号を作業支援サーバ10に送信する(STEP201)。
【0063】
作業支援サーバ10は、操作信号を受信すると、遠隔操作装置20の操作対象である作業機械40に対して画像の送信を要求する(STEP101)。
【0064】
作業機械40は、画像送信要求を受信すると、第1撮像装置412a,412b、第2撮像装置412cによって撮像された画像(第1撮像画像、第2撮像画像)を作業支援サーバ10に送信する(STEP401)。
【0065】
作業支援サーバ10の第1支援処理要素101は、第1撮像装置412a,412b、第2撮像装置412cによって撮像された画像(第1撮像画像、第2撮像画像)を受信すると、第1撮像装置412a,412bによって撮像された第1撮像画像における、一対のクローラ430a,430bのそれぞれの前後方向のそれぞれに偏在して配置された、相互に形態が異なり、かつ一対のクローラの前方に設けられている第1マーカM1及び、一対のクローラ430a,430bの後方に設けられている第2マーカM2のそれぞれの映り込み態様に基づいて、下部走行体430の前進方向又は後退方向を認識する(前後方向推定処理)(STEP102)。
【0066】
第2支援処理要素102は、第1支援処理要素101によって認識された下部走行体430の前進方向又は後退方向を表す指標画像を生成する(STEP103)。
【0067】
また、第2支援処理要素102は、指標画像を、第1撮像画像の作業機械40又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を生成し(STEP104)、遠隔操作装置20に送信する(STEP105)。
【0068】
例えば、第2支援処理要素102は、足元カメラ412aによって撮像された図6B~10Bの第1撮像画像(以後、足元画像とも称する)に指標画像I1を重畳した合成画像を生成する。また、第2支援処理要素102は、例えば、左カメラ412bによって撮像された図10Cの第1撮像画像(以後、左画像とも称する)に指標画像I1を重畳した合成画像を生成する。さらに、第2支援処理要素102は、メインカメラ412cによって撮像された図6C~9C、図10Dの第2撮像画像(以後、メイン画像とも称する)に指標画像I2を重畳した合成画像を生成する。
【0069】
すなわち、第2支援処理要素102は、第1支援処理要素101によって認識された上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度に対応した角度で、指標画像I1,I2を第1撮像画像(足元画像、左画像)及び、メイン画像のうち、少なくとも1つの撮像画像に作業機械40又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を生成する。
【0070】
具体的には、第1支援処理要素101は、第1撮像装置(足元カメラ、左カメラ)412a,412bの撮像方向に対する左右のクローラ430a,430bの傾斜角度等及び、第1撮像画像(足元画像、左画像)に映っている第1マーカM1並びに第2マーカM2の別によって、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度を認識する。第2支援処理要素は、例えば、第1撮像装置(足元カメラ、左カメラ)412a,412bの撮像方向に対する左右のクローラ430a,430bの傾斜角度に対応して指標画像I1,I2を重畳させて合成画像を生成することができる。
【0071】
遠隔操作装置20は、受信した合成画像を、例えば、中央遠隔画像出力装置2210に表示する(STEP202)。尚、合成画像は、中央遠隔画像出力装置2210以外に表示させてもよく、例えば、左側遠隔画像出力装置2211、右側遠隔画像出力装置2212等の画像出力装置に表示させてもよい。
【0072】
STEP102の第1撮像画像における第1マーカ又は、第2マーカの映りこみ態様に基づいて、下部走行体430の前進方向又は後退方向を認識する前後方向推定処理について説明する。
【0073】
図5に示すように、第1支援処理要素101は、足元画像に第1マーカM1又は第2マーカM2が映っているか否かを判定する(STEP211)。
【0074】
STEP211の判定は、例えば、データベース110にあらかじめ記録された第1マーカM1の画像データ(意匠のデータ)及び第2マーカM2の画像データ(意匠のデータ)を参照し、当該第1マーカM1の画像データ(意匠のデータ)又は、第2マーカM2の画像データ(意匠のデータ)に一致する意匠が足元画像に含まれているか否かに基づいて行われる。
【0075】
具体的には、第1支援処理要素101は、足元画像に映り込んでいる第1マーカM1の意匠(又は、第2マーカM2の意匠)に対してアスペクト比を用いて補正を行った後に、データベース110に記録されている第1マーカM1(又は、第2マーカM2)の画像データとの類似度を算出する。第1支援処理要素101は、当該類似度が所定値以上の場合を第1マーカM1(又は、第2マーカM2)が足元画像に含まれていると判定する。
【0076】
STEP211の判定は、このような判定手法に限られず、例えば、上部旋回体450の下部走行体430に対する角度に応じた足元画像の第1マーカM1並びに第2マーカM2の複数の画像データ及び、左画像の第1マーカM1並びに第2マーカM2の複数の画像データを予めデータベース110に記録させておく。第1支援処理要素101は、当該複数の画像データと、作業機械40から送信された足元画像及び左画像の画像データを比較することによって、第1マーカM1及び第2マーカM2が足元画像又は左画像に含まれているか否かを判定するようにしてもよい。
【0077】
第1支援処理要素101は、STEP211の判定において、足元画像に第1マーカM1又は第2マーカM2が映っていると判定すると(STEP211:YES)、そのマーカが第1マーカM1であるか否かを判定する(STEP212)。
【0078】
STEP212の判定は、例えば、第1支援処理要素101が、STEP211の判定において一致すると判定した画像に基づいて行われる。
【0079】
第1支援処理要素101は、STEP212の判定において、足元画像に映っているマーカが第1マーカM1である判定すると(STEP212:YES)、足元画像に映っている第1マーカM1の数が1つであるか否かを判定する(STEP213)。
【0080】
STEP213の判定は、例えば、第1支援処理要素101が、STEP211の判定において一致すると判定した画像の数に基づいて行われる。
【0081】
第1支援処理要素101は、足元画像に映っている第1マーカM1の数が1つではないと判定した場合(STEP213:NO)、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度を0±α°として認識する(STEP214)。言い換えれば、第1支援処理要素101は、キャブ454のフロントウィンドウが設けられている正面方向と、下部走行体430の前進方向が一致すると判定する。
【0082】
ここで、αは、0°を中心として、足元画像に2つの第1マーカM1が映っている角度の範囲である。角度αは、第1撮像装置412aに用いられているレンズの画角(広角レンズ、魚眼レンズ等)、下部走行体430の一対のクローラ430a、430bの離間距離等に応じて適宜設定することができる。尚、第1支援処理要素101は、下部走行体430の後退方向については、前進方向とは反対側の方向を後退方向として認識する。
【0083】
例えば、図6Aに示すように、作業機械40の下部走行体430の前進方向と、上部旋回体450の正面方向が一致している場合、図6Bに示される足元画像には、左右一対のクローラ430a、430bと、各々のクローラ430a、430bに設けられた2つの第1マーカM1と、が映る。したがって、第1支援処理要素101は、足元画像に2つの第1マーカM1映り込んでいるこのような場合に、キャブ454のフロントウィンドウが設けられている正面方向と、下部走行体430の前進方向が一致すると判定する。尚、第2支援処理要素102は、上述のSTEP104の合成画像生成理で説明したように、図6Bに示すように、当該角度の応じた指標画像I1を足元画像に重畳させ、かつ図6Cに示すように、指標画像I2をメイン画像に重畳させる。
【0084】
すなわち、第1支援処理要素101は、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回に応じて変化する一対のクローラ430a、430bの足元画像における映り込み態様と、第1マーカM1及び、第2マーカM2のそれぞれの足元画像における映り込み態様と、に基づく、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度を認識する。尚、第1支援処理要素101は、実機状態センサ群414の旋回角度センサによって取得された旋回データを参照して当該旋回角度を認識するようにしてもよい。
【0085】
第1支援処理要素101は、足元画像に映っている第1マーカの数が1つであると判定すると(STEP213:YES)、足元画像に映っている第1マーカが付されているクローラが右クローラ430aか否かを判定する(STEP215)。
【0086】
例えば、第1支援処理要素101は、上部旋回体450の下部走行体430に対する角度に応じた足元画像の右クローラ430a並びに、左クローラ430bの複数の画像データ及び、左画像の右クローラ430a並びに、左クローラ430bの複数の画像データを予めデータベース110に記録させておく。第1支援処理要素101は、当該複数の画像データと、作業機械40から送信された足元画像及び左画像の画像データを比較することによって、右クローラ430aが足元画像又は左画像に含まれているか否かを判定する。
【0087】
第1支援処理要素101は、足元画像に映っているクローラが右クローラ430aであると判定すると(STEP215:YES)、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度を45±α°として認識する(STEP216)。言い換えれば、第1支援処理要素101は、キャブ454の正面方向が、下部走行体430の前進方向に対してなす角度が45±α°であると判定する。すなわち、第1支援処理要素101は、キャブ454の正面方向に対して、下部走行体430は45°の方向を前進方向として認識する。
【0088】
例えば、図7Aに示すように、上部旋回体450の正面方向が下部走行体430の前進方向に対して45±α°の角度をなす場合、図7Bに示される足元画像には、例えば、右のクローラ430aと、右のクローラ430aに設けられた1つの第1マーカM1と、が映る。したがって、第1支援処理要素101は、足元画像に右のクローラ430a及び、1つの第1マーカM1が映り込んでいるこのような場合に、キャブ454のフロントウィンドウが設けられている正面方向が、下部走行体430の前進方向に対して45±α°の角度をなすと判定する。尚、第2支援処理要素102は、上述のSTEP104の合成画像生成理で説明したように、図7Bに示すように、当該角度の応じた指標画像I1を足元画像に重畳させ、かつ図7Cに示すように、指標画像I2をメイン画像に重畳させる。
【0089】
第1支援処理要素101は、足元画像に映っているクローラが左クローラ430bであると判定すると(STEP215:NO)、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度を315±α°として認識する(STEP217)。言い換えれば、第1支援処理要素101は、キャブ454の正面方向が、下部走行体430の前進方向に対してなす角度が315±α°であると判定する。すなわち、第1支援処理要素101は、キャブ454の正面方向に対して、下部走行体430は315±α°の方向を前進方向として認識する。
【0090】
例えば、図8Aに示すように、上部旋回体450の正面方向が下部走行体430の前進方向に対して315±α°の角度をなす場合、図8Bに示される足元画像には、例えば、左のクローラ430bと、左のクローラ430bに設けられた1つの第1マーカM1と、が映る。したがって、第1支援処理要素101は、足元画像に左のクローラ430b及び、1つの第1マーカM1映り込んでいるこのような場合に、キャブ454のフロントウィンドウが設けられている正面方向が、下部走行体430の前進方向に対して315°の角度をなすと判定する。尚、第2支援処理要素102は、上述のSTEP104の合成画像生成理で説明したように、図8Bに示すように、当該角度の応じた指標画像I1を足元画像に重畳させ、かつ図8Cに示すように、指標画像I2をメイン画像に重畳させる。
【0091】
第1支援処理要素101は、STEP212の判定において、足元画像に映っているマーカが第2マーカである判定すると(STEP212:NO)、足元画像に映っている第2マーカM2の数が1つであるか否かを判定する(STEP218)。
【0092】
第1支援処理要素101は、足元画像に映っている第2マーカM2の数が1つではないと判定した場合(STEP218:NO)、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度を180±α°として認識する(STEP219)。言い換えれば、第1支援処理要素101は、キャブ454のフロントウィンドウが設けられている正面方向と、下部走行体430の前進方向とが反対の関係にあると判定する。
【0093】
第1支援処理要素101は、足元画像に映っている第2マーカM2の数が1つであると判定すると(STEP218:YES)、足元画像に映っている第2マーカM2が付されているクローラが右クローラ430aか否かを判定する(STEP220)。
【0094】
第1支援処理要素101は、足元画像に映っているクローラが右クローラ430aであると判定すると(STEP220:YES)、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度を135±α°として認識する(STEP221)。言い換えれば、第1支援処理要素101は、キャブ454の正面方向が、下部走行体430の前進方向に対してなす角度が135±α°であると判定する。すなわち、第1支援処理要素101は、キャブ454の正面方向に対して、下部走行体430は135±α°の方向を前進方向として認識する。
【0095】
第1支援処理要素101は、足元画像に映っているクローラが左クローラ430bであると判定すると(STEP220:NO)、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度を225±α°として認識する(STEP222)。言い換えれば、第1支援処理要素101は、キャブ454の正面方向が、下部走行体430の前進方向に対してなす角度が225±α°であると判定する。すなわち、第1支援処理要素101は、キャブ454の正面方向に対して、下部走行体430は225±α°の方向を前進方向として認識する。
【0096】
例えば、図9Aに示すように、上部旋回体450の正面方向が下部走行体430の前進方向に対して225±α°の角度をなす場合、図9Bに示される足元画像には、例えば、左のクローラ430bと、左のクローラ430bに設けられた1つの第2マーカM2と、が映る。したがって、第1支援処理要素101は、足元画像に左のクローラ430b及び、1つの第2マーカM2映り込んでいるこのような場合に、キャブ454のフロントウィンドウが設けられている正面方向が、下部走行体430の前進方向に対して225±α°の角度をなすと判定する。尚、第2支援処理要素102は、上述のSTEP104の合成画像生成理で説明したように、図9Bに示すように、当該角度の応じた指標画像I1を足元画像に重畳させ、かつ図9Cに示すように、指標画像I2をメイン画像に重畳させる。
【0097】
第1支援処理要素101は、STEP211の判定において、足元画像に第1マーカM1又は第2マーカM2が映っていないと判定すると(STEP211:NO)、上述のように足元画像又は、左画像のいずれかに第1マーカM1若しくは第2マーカM2が映っているため、左画像を参照し、左画像に映っているマーカが第1マーカM1であるか否かを判定する(STEP223)。
【0098】
第1支援処理要素101は、左画像に映っているマーカが第1マーカM1であると判定した場合(STEP223:Y)、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度を90±α°として認識する(STEP224)。言い換えれば、第1支援処理要素101は、キャブ454の正面方向が、下部走行体430の前進方向に対してなす角度が90±α°であると判定する。すなわち、第1支援処理要素101は、キャブ454の正面方向に対して、下部走行体430は90±α°の方向を前進方向として認識する。
【0099】
第1支援処理要素101は、左画像に映っているマーカが第2マーカM2であると判定した場合(STEP223:NO)、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度を270±α°として認識する(STEP225)。言い換えれば、第1支援処理要素101は、キャブ454の正面方向が、下部走行体430の前進方向に対してなす角度が270±α°であると判定する。すなわち、第1支援処理要素101は、キャブ454の正面方向に対して、下部走行体430は270±α°の方向を前進方向として認識する。
【0100】
例えば、図10Aに示すように、上部旋回体450の正面方向が下部走行体430の前進方向に対して270±α°の角度をなす場合、図10Bに示される足元画像には、例えば、左のクローラ430bのみが映る。したがって、第1支援処理要素101は、図10Cに示される左画像を参照し、例えば、左右一対のクローラ430a、430bと、各々のクローラ430a、430bに設けられた2つの第1マーカM1と、が映っていることを認識する。したがって、第1支援処理要素101は、左画像に2つの第1マーカM1が映り込んでいるこのような場合に、キャブ454のフロントウィンドウが設けられている正面方向が、下部走行体430の前進方向に対する角度が270±α°であると判定する。尚、第2支援処理要素102は、上述のSTEP104の合成画像生成理で説明したように、図10Cに示すように、当該角度の応じた指標画像I1を左画像に重畳させ、かつ図10Dに示すように、指標画像I2をメイン画像に重畳させる。
【0101】
したがって、第1支援処理要素101は、複数の第1撮像装置412a,412bを通じて取得される複数の第1撮像画像(足元画像、左画像)における、第1マーカM1及び第2マーカM2のそれぞれの映り込み態様に基づいて、下部走行体430の前進方向又は後退方向を認識する。
【0102】
尚、上述の説明においては、足元画像、左画像において映り込んでいる、第1マーカM1並びに第2マーカM2の種別の判定及び、足元画像、左画像において映り込んでいる第1マーカM1並びに第2マーカM2の個数の判定は、STEP211~213、STEP218及びSTEP223において、個別に判定した。しかし、これらの判定は、上記の画像処理により1のステップで行うようにしてもよい。
【0103】
また、上述の説明においては、第1撮像画像(足元画像、左画像)に映り込んでいるクローラ430a、430bの別を加味して上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度を認識したが、これには限られない。
【0104】
例えば、第1支援処理要素101は、第1撮像画像(足元画像、左画像)に映り込んでいる第1マーカM1並びに第2マーカM2の別及び、第1撮像画像(足元画像、左画像)に映り込んでいる第1マーカM1並びに第2マーカM2の個数に基づいて、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度を認識するようにしてもよい。
【0105】
具体的には、第1支援処理要素101は、第1撮像画像に映り込んでいるマーカが、第1マーカM1であるか、第2マーカであるかを認識しかつ、当該認識した、第1マーカM1又は、第2マーカの第1撮像画像に映り込んでいる個数を認識する。
【0106】
例えば、第1支援処理要素101は、キャブ454の正面方向と、下部走行体430の前進方向が一致する角度を0±α°とするとき、2つの第1マーカM1又は、2つの第2マーカM2が第1撮像画像(足元画像)に映り込んでいる場合、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度は、特定の角度、例えば、0°又は、180°に近い角度(0±α°又は、180±α°)であることを認識する。
【0107】
また、第1支援処理要素101は、例えば、1つの第1マーカM1又は、1つの第2マーカM2が第1撮像画像(足元画像)に映り込んでいる場合、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度は、特定の角度、例えば、45°又は135°に近い角度(45±α°又は、135±α°)であることを認識する。
【0108】
さらに、第1支援処理要素101は、第1撮像画像(足元画像)に映り込んでいるマーカの別(第1マーカM1又は第2マーカM2)により、一対のクローラ430a、430bの前後方向を認識することが可能となる。さらにまた、第1マーカM1及び第2マーカM2が第1撮像画像(足元画像)に映り込んでいない場合、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度は、特定の角度、例えば90°に近い角度(90±α°)であることが認識される。したがって、第1撮像画像(足元画像、左画像)における一対のクローラ430a,430bの映り込み態様を用いずに、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度及び、一対のクローラ430a、430bの前後方向を認識することが可能となる。これにより、一対のクローラ430a、430bの映り込み態様に必要な画像解析処理が不要になるため、第2支援処理要素102の処理負荷の低減を図ることができる。
【0109】
また、第1支援処理要素101は、第1撮像画像(足元画像、左画像)に含まれている第1マーカM1及び第2マーカM2の映り込み態様としての、第1マーカM1及び第2マーカM2の第1撮像画像(足元画像、左画像)における左右方向の位置に基づく上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度を認識するようにしてもよい。
【0110】
このような態様によれば、例えば、キャブ454の正面方向と、下部走行体430の前進方向が一致する角度を0°とするとき、2つの第1マーカM1(又は、2つの第2マーカM2)の一方の第1マーカM1(又は、第2マーカM2)が、第1撮像画像(足元画像、左画像)の中央よりも右端側に位置し、他方の第1マーカM1(又は、第2マーカ)が第1撮像画像(足元画像)の中央よりも左端側に位置する場合、第1支援処理要素101は、上部旋回体450の下部走行体430に対する角度が、特定の角度、例えば、0°又は180°に近い角度(0±α°又は180±α°)であることを認識する。
【0111】
尚、第1支援処理要素101は、例えば、第1マーカM1同士を結ぶ線の中点の位置において、より詳細な角度判定を行ってもよい。例えば、上部旋回体450の下部走行体430に対する角度が3度である場合、当該角度が0°である場合よりも、第1マーカM1同士を結ぶ線の中点の位置は、足元画像の左右方向の右側に位置する。このような様々な当該角度に応じた第1マーカM1同士を結ぶ線の中点の位置を画像データとしてデータベース110に複数記録しておく。第1支援処理要素101は、当該中点の位置を参照して、足元画像の中点の位置の一致度を算出して詳細な当該角度の判定を行ってもよい。
【0112】
また、例えば、第1撮像画像(足元画像)において、右側のクローラ430aの第1マーカM1が左右方向の中央近傍に位置するときは、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度は、特定の角度、例えば、45°に近い角度(45±α°)であることが認識される。また、例えば、第1撮像画像(足元画像)において、左側のクローラ430bの第1マーカM1が左右方向の中央近傍に位置するときは、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度は、特定の角度、例えば、135°に近い角度(135±α°)であることが認識される。
【0113】
このように、第1撮像画像に含まれている第1マーカM1及び第2マーカM2の映り込み態様は、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度に応じて変化する。具体的には、その旋回角度の変化に応じて第1マーカM1及び第2マーカM2の第1撮像画像における左右方向の位置が変化する。したがって、第1支援処理要素101は、第1撮像画像(足元画像)における第1マーカM1及び第2マーカM2の左右方向の位置を認識することにより、上部旋回体450の下部走行体430に対する旋回角度を認識することが可能となる。
【0114】
第2支援処理要素102は、合成画像の表示又は、非表示を所定のタイミングに基づいて行うとよい。以下、第2支援処理要素102による合成画像の表示又は、非表示の制御について説明する。
【0115】
図11に示すように、遠隔操作装置20は、遠隔操作装置20の起動をトリガーとして、作業支援処理を開始する。オペレータOP1によって、例えば、遮断レバー2113がOFFにされると(STEP231:YES)、遠隔操作装置20は、操作信号を作業支援サーバ10に送信する(STEP232)。
【0116】
作業支援サーバ10の第1支援処理要素101は、操作信号を受信すると、遮断レバー2113がOFFにされたことを認識し(STEP111:YES)、第1支援処理要素101及び第2支援処理要素102が合成画像の表示処理を行う(STEP112)。
【0117】
したがって、第1支援処理要素101は、遠隔操作装置20における作業機械40への操作の受け付けの可否を示す情報である操作受付情報を操作信号として取得する。STEP112の表示処理においては、STEP102の前後方向推定処理からSTEP105の合成画像送信処理までが行われる。したがって、第2支援処理要素102は、操作受付情報が作業機械40への操作の受け付けが可の場合に合成画像を遠隔操作装置20に送信する。
【0118】
作業支援サーバ10の第1支援処理要素101は、STEP112の合成画像の表示処理を行ってから所定時間(例えば、60秒)の経過又は、予め指定された指定操作(例えば、ブーム用操作装置、アーム用操作装置、バケット用操作装置の操作、又は後述する走行モーション)が行われたかを判定する(STEP113)。
【0119】
作業支援サーバ10の第1支援処理要素101は、STEP113の判定において、合成画像の表示処理を行ってから所定時間の経過又は、予め指定された指定操作が行われたと判定すると(STEP113:YES)、第1支援処理要素101及び第2支援処理要素102が合成画像の非表示処理を行う(STEP114)。すなわち、第1支援処理要素101及び第2支援処理要素102は、STEP104の合成画像生成処理及び、STEP105の合成画像送信処理を停止する。
【0120】
作業支援サーバ10の第1支援処理要素101は、STEP113の判定において、合成画像の表示処理を行ってから所定時間の経過又は、予め指定された指定操作が行われていないと判定すると(STEP113:NO)、後述するSTEP119の判定に進む。
【0121】
遠隔操作装置20は、STEP232において操作信号を作業支援サーバ10に送信すると、次いで、第3撮像装置212によって撮像された第3撮像画像を作業支援サーバ10に送信する(STEP233)。
【0122】
作業支援サーバ10の第1支援処理要素101は、STEP114において合成画像の非表示処理を行った後に、取得した第3撮像画像を参照し、オペレータOP1が作業機械40を走行させるための動作である走行モーションを行ったか否かを判定する(STEP115)。
【0123】
走行モーションは、遠隔操作機構211の走行用操作装置を操作するためのオペレータOP1の動作である。走行モーションは、例えば、走行用操作装置の操作レバー(走行レバー)の操作、走行ペダルの操作をするための動作が挙げられる。
【0124】
STEP115の判定は、例えば、オペレータOP1と走行レバー2110との状態が、非相互作用状態から相互作用状態に遷移したことで判定される。ここで、非相互作用状態とは、例えば、オペレータOP1が走行レバー2110を握っていない状態、または、触れていない状態である。また、相互作用状態とは、例えば、オペレータOP1が走行レバー2110を握っている状態、または、触れている状態である。尚、非相互作用状態としてオペレータOP1の足が走行ペダルの上に位置しない状態、相互作用状態としてオペレータOP1の足が走行ペダルの上に位置する状態を採用してもよい。こうすることで、オペレータOP1が下部走行体430を動作させる意思がある蓋然性が高い状況で下部走行体430がまだ動作を開始していない操作初期段階において、走行モーションを行ったか否かを判定することができる。
【0125】
したがって、第1支援処理要素101は、遠隔操作装置20における作業機械40の前進又は後退の操作入力の意思を表す動作である準備動作の走行操作情報を走行モーションとして取得する。
【0126】
第1支援処理要素101は、STEP115の判定において、オペレータOP1が作業機械40を走行させるための動作である走行モーションを行っていないと判定した場合(STEP115:NO)、STEP113の判定に戻る。
【0127】
第1支援処理要素101は、STEP115の判定において、オペレータOP1が作業機械40を走行させるための動作である走行モーションを行ったと判定した場合(STEP115:YES)、前進操作、後退操作の種別を判断し、指標画像を前進方向又は後退方向に合わせて合成画像を生成し、当該合成画像の表示処理を行う(STEP116)。STEP116の合成画像の表示処理では、STEP112の合成画像の表示処理と同一の処理が行われる。
【0128】
したがって、第2支援処理要素102は、準備動作で表されている意思が前進の操作入力である場合には、下部走行体430の前進方向を表す指標画像を用いて生成された合成画像を遠隔操作装置20に送信する。また、第2支援処理要素102は、準備動作で表されている意思が後退の操作入力である場合には、下部走行体430の後退方向を表す指標画像を用いて生成された合成画像を遠隔操作装置20に送信する。
【0129】
遠隔操作装置20は、STEP233において第3撮像画像を作業支援サーバ10に送信すると、次いで、オペレータOP1による作業機械40を動作させるための操作に応じた操作信号を作業支援サーバ10に送信する(STEP234)。
【0130】
第1支援処理要素101は、遠隔操作装置20から送信された操作信号に基づいて、走行操作がなされた否かを判定する(STEP117)。第1支援処理要素101は、例えば、操作信号に走行操作に関する信号が含まれているか否かによってSTEP117の判定を行う。
【0131】
第1支援処理要素101は、STEP117の判定において、走行操作がなされていないと判定すると(STEP117:NO)、STEP113の判定に戻る。
【0132】
第1支援処理要素101は、STEP117の判定において、走行操作がなされたと判定すると(STEP117:YES)、第1支援処理要素101及び第2支援処理要素102は、合成画像の非表示処理を行う(STEP118)。STEP118の合成画像の非表示処理では、STEP114と同一の処理が行われる。
【0133】
第1支援処理要素101は、遮断レバー2113がONにされているかを判定する(STEP119)。
【0134】
第1支援処理要素101は、STEP119の判定において、遮断レバー2113がONにされていると判定すると(STEP119:YES)、処理を終了する。
【0135】
第1支援処理要素101は、STEP119の判定において、遮断レバー2113がOFFにされていると判定すると(STEP119:NO)、STEP113の判定に戻る。
【0136】
以上の実施例の説明では、作業支援サーバ10によって作業支援処理が実行される説明をした。しかし、作業支援処理は、遠隔操作装置20によって行われてもよいし、作業機械40によって行われてもよい。
【0137】
また、上述の実施例では、第1支援処理要素101及び第2支援処理要素102は、互いに異なる処理要素として説明したが、各々支援処理要素を1の「支援処理要素」で処理してもよい。
【0138】
また、上述の実施例では、オペレータOP1が走行モーションを行ったか否かの判定は、第3撮像装置212により取得した第3撮像画像を参照することによって行われるとして説明を記載したが、これに限定されない。例えば、オペレータが走行レバー2110を把持したことを検知する把持センサを、当該オペレータOP1が走行レバー2110を把持する部分に配置し、第1支援処理要素101は、当該把持センサによる検知を取得することによって走行モーションが行われたか否かを判定するようにしてもよい。把持センサは、例えば、走行レバー2110に配置されたセンサ電極と、当該把持センサと人体(オペレータOP1)との間の静電容量値を測定する測定部を含むものであってもよいし、オペレータOP1が走行レバー2110に触れた際に生じる圧力を測定する圧電素子等の測定部を含むものであってもよい。
【0139】
上述の実施例では、指定操作が行われたと判定した場合(STEP113:YES)に合成画像を非表示にする処理(STEP114)をしていた。しかし、STEP114は、即時に実行されなくてもよい。例えば、指定操作又は走行モーションが行われたと判定した場合(STEP113:YES)であっても、STEP112における合成画像の表示処理を行ってから所定時間(例えば、60秒)が経過した後にSTEP114が実行されてもよい。この場合の所定時間は任意に設定することができ、60秒よりも短く設定されてもよい。こうすることで、オペレータOP1に下部走行体430の前進方向又は後退方向を確実に認識させることができる。
【0140】
上述の実施例では、走行操作がなされたと判定すると(STEP117:YES)、合成画像の非表示処理を行う(STEP118)ようにしている。しかし、STEP118の処理は、任意に実行される処理であり、例えば、走行操作がなされている間は、合成画像の表示処理が継続されるようにしてもよい。
【0141】
上述の実施例にでは、第1撮像画像(足元画像、左画像)には、指標画像が重畳されるようにした。しかし、第1撮像画像(足元画像、左画像)には、必ずしも指標画像が重畳されなくてもよい。例えば、第2撮像画像(メイン画像)にのみ指標画像が重畳されるようにしてもよい。言い換えれば、第2支援処理要素102は、第1支援処理要素101によって認識された下部走行体430の前進方向又は後退方向を表す指標画像を、上部旋回体430に第1撮像装置412a、412bとは別個に設けられている第2撮像装置412cを通じて取得された第2撮像画像の作業機械40又はその周囲に少なくとも部分的に重畳した合成画像を遠隔操作装置20に送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0142】
10‥作業支援サーバ
101‥第1支援処理要素
102‥第2支援処理要素
20‥遠隔操作装置
40‥作業機械
430‥下部走行体
430a、430b‥クローラ
450‥上部旋回体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11