(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】車両用描画装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20240730BHJP
B60Q 1/34 20060101ALI20240730BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
B60Q1/34 Z
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2021188592
(22)【出願日】2021-11-19
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】毛利 文彦
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-079835(JP,A)
【文献】国際公開第2019/159220(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/006217(WO,A1)
【文献】特開2009-298360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
B60Q 1/34
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両の進行方向の路面に所定形状の通知表示を光で描画する車両用描画装置であって、
方向指示器が作動しているとき、または操舵されているときに、前記路面への描画を行うが、
道路脇の歩道を通過する走行のために、前記歩道に進入する場合、
前記方向指示器が作動しているが、操舵がなされていないときには、描画を中止する、
車両用描画装置。
【請求項2】
車両に搭載され、前記車両の進行方向の路面に所定形状の通知表示を光で描画する車両用描画装置であって、
方向指示器が作動しているとき、または操舵されているときに、前記路面への描画を行うが、
道路脇の歩道を通過して道路に進入する場合、歩道上において歩道と平行な方向への描画を禁止、または道路への進入するように、描画する通知表示を変更する、
車両用描画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、前記車両の進行方向の路面に所定形状の通知表示を光で描画する車両用描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には方向指示器が備えられており、方向指示器により自車両の進行方向を他車、歩行者などに知らせる。
【0003】
ここで、方向指示器だけでなく、路面に進行方向の通知表示を行うことも提案されている。すなわち、自車両の進行方向の路面に通知表示の画像を投影表示(描画)することで、自車両の進行方向を他車等において認識しやすくする。特許文献1では、交差点等で、複数車両が縦列した場合において、通知表示の描画が前方車両や自車両に光学的な影響を与えないように、描画を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、縦列車両の前後の距離に応じて、描画する、しないを制御する。しかし、交通環境には様々なシーンがあり、車両前後方向の距離が近い場合以外にも描画が適切でない場合もあり、進路方向についての通知表示の描画制御には改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用描画装置は、車両に搭載され、前記車両の進行方向の路面に所定形状の通知表示を光で描画する車両用描画装置であって、方向指示器が作動しているとき、または操舵されているときに、前記路面への描画を行うが、道路脇の歩道を通過する走行のために、前記歩道に進入する場合、前記方向指示器が作動しているが、操舵がなされていないときには、描画を中止する。
【0007】
対向車両が存在する場合に、対向車線に向かうことを示す前記通知表示の描画を中止するとよい。
【0008】
前記車両が交差点内に位置する場合には、前記通知表示の描画を中止しないようにするとよい。
【0009】
走行する車線を変更する場合に、変更対象となる車線よりさらに外側への前記通知表示の描画を中止するとよい。
【0010】
道路脇の歩道を通過する走行のために、前記歩道に進入する場合、前記方向指示器が作動しているが、操舵がなされていないときには、描画を中止するとよい。
【0011】
また、本発明に係る車両用描画装置は、車両に搭載され、前記車両の進行方向の路面に所定形状の通知表示を光で描画する車両用描画装置であって、方向指示器が作動しているとき、または操舵されているときに、前記路面への描画を行うが、道路脇の歩道を通過して道路に進入する場合、歩道上において歩道と平行な方向への描画を禁止、または道路への進入を表示するように、描画する通知表示を変更するとよい。
【発明の効果】
【0012】
車両の進行方向を示す通知表示を路面へ描画することで、車両の進路をより分かりやすく周囲へ知らせることができるが、通知表示を出すタイミングにより誤解を招いたり、煩わしくなったりする場合もある。本実施形態によれば、周囲の状況を判断してより適切な通知表示の描画が行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る車両用描画装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】右方向に進路を変更する場合の通知表示の例を示す図である。
【
図3】右方向に進路を変更する場合の通知表示の他の例を示す図である。
【
図4】対向車線に至る通知表示の描画について説明する図である。
【
図5】対向車線に至る通知表示の描画についての処理を示すフローチャートである。
【
図6】車線変更の際に変更対象の車線を越えて通知表示が描画される場合について説明する図であり、左図は車線変更開始前、右図は車線変更中を示す。
【
図7】車線変更の際の通知表示の描画の処理についてのフローチャートである。
【
図8】3車線道路の左側車線から中央車線に車線変更する場合の通知表示を示す図である。
【
図9】交差点での右折の際において、対向車両の前に通知表示が描画される状態を示す図である。
【
図10】交差点での右折の際における通知表示の処理についてのフローチャートである。
【
図11】左折により店舗に進入する際の通知表示を示す図である。
【
図12】左折により店舗に進入する際の通知表示の処理についてのフローチャートである。
【
図13】店舗から、右折で道路に進入しようとする場合の通知表示を示す図である。
【
図14】店舗から右折で道路に進入しようとする際の通知表示の処理についてのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、ここに記載される実施形態に限定されるものではない。
【0015】
「全体構成」
図1は、実施形態に係る車両用描画装置10の構成を示すブロック図である。
【0016】
車両用描画装置10は、車両に搭載され、車両の周辺の路面に進行方向についての進路表示を描画する。
【0017】
位置検出装置12は、GPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)を含み、自車両の位置を検出する。交差点等に設けられる通信機器(例えば、ビーコン)からの位置情報や、交通管理センターや、他車からの情報などを通信で得たり、自車の走行状況や周辺映像を参照したりしてもよい。
【0018】
ナビゲーション装置14は、地図データベースを有し、ディスプレイに地図を表示したり、地図表示上に自車位置を表示したり、目的地までの経路探索をして得られた経路表示をしたり、渋滞情報を取得して経路を変更したりして、車両走行を補助する。
【0019】
カメラ16は、車両の走行に必要な車両周辺の映像を得る。CCD(Charge Coupled Device)や、CMOS(Complementary MOS)などの撮像素子により、映像信号を得る。
【0020】
センサ18は、車両の状態を検出するものであり、車速センサ、ブレーキセンサ、アクセルセンサ、操舵量センサ、温度センサなどを含む。
【0021】
位置検出装置12、ナビゲーション装置14、カメラ16、センサ18からのデータは、プロセッサ20に供給される。プロセッサ20は、CPU、RAM、ROMなどを含むコンピュータで構成され、各種のプログラムを実行して、各種のデータ処理を行う。例えば、対向車などの周辺車両や、障害物を検出し、これらとの相対位置、相対速度などから衝突危険度を算出したり、この検出結果から走行制御したり、通知表示の制御をしたりする。
【0022】
プロセッサ20には、通信装置22が接続されている。通信装置22は、外部の通信機器との間で各種の無線通信を行う。ナビゲーション装置14や、位置検出装置12に必要なデータや、周辺環境についての映像や、他車の走行状況の情報なども通信装置22を介して取得することができる。
【0023】
プロセッサ20には、方向指示器24が接続されている。この方向指示器24は、ドライバーの操作によって、右左折の信号を発生し、対応する方向指示ランプ(ターンランプ)を点滅点灯する。そして、ターンランプの動作についての信号(左右のターンランプのオンオフについての信号)がプロセッサ20に供給される。
【0024】
プロセッサ20には、描画装置30が接続されている。この描画装置30は、路面上に進行方向を示す所定形状の通知表示を描画するものであり、LEDなどからの光を用いて画像を投影するプロジェクターで構成される。
【0025】
例えば、方向指示器24から右方向の信号が出力され、右方向のターンランプが点滅している状態では、描画装置30は、自車の前方から右方向または左方向に向けて走行することを示す矢印や予想される走行軌跡を示す矢印などの表示を路面上に投影する。
【0026】
「進行方向表示」
図2は、車両が右方向に進路を変更する場合、例えば方向指示器24の右方向へ進路を変更(例えば、右折)することのスイッチがオンになった場合の路面への通知表示の例を示す図である。
【0027】
なお、通知表示は、操舵に応じて、行ってもよい。すなわち、プロセッサ20は、位置検出装置12、ナビゲーション装置14、カメラ16、センサ18などからの情報によって、車両40の進路について予測が可能である。従って、この予測に応じて通知表示を制御することもできる。特に、右方向や左方向への進路変更が予測されている地点で、対応する操舵が開始されれば、その時点で予測通りの進路変更が行われると判断して、通知表示を行うことができる。
【0028】
車両40の前方右45度方向に逆V字のマークを3つ並べる進行方向についての通知表示42を路上に描画する。これによって、周辺の車両、歩行者などが、この進行方向表示を見て、車両の進行方向を知ることができる。なお、車両の方向指示器24は通常通り動作する。なお、左方向への進路変更の場合には、方向が左右反対になるが、通知表示としては右方向の場合と同様の表示を採用することができる。
【0029】
なお、本明細書においては、車両が左側通行する道路で、右折が対向車線を横切る走行であることを前提としている。車両が右側通行する道路では、左折が対向車線を横切る走行であり、左折において本実施形態における右折と同様の処理を行うとよい。
【0030】
図3は、右方向へ進路を変更する場合の通知表示の他の例を示す図である。このように右に折れ曲がる表示や、右45度の矢印表示などを採用することもできる。
【0031】
「通知表示の描画制御」
車両走行における周辺環境には、様々なものがあり、その時々の周囲環境に応じ路面への進行方向表示を描画するか、しないかを決める必要がある。以下、具体的な描画制御の例について説明する。
【0032】
<右折による店舗への進入>
図4は、対向車線に至る通知表示の中止について示す図である。
図4では、片側1車線の道路で、自車両40aは道路右側にある駐車場のある店舗(例えば、コンビニエンスストア)44に右折して入ろうとしている。すなわち、自車両40aは、対向車線を通過して店舗44に進入しようとしている。そして、対向車線では対向車両40bが店舗44の前を通過しようとしている。
【0033】
もし、対向車両40bがいなかったり、離れた位置にあったり自車両40aの右折を容認して止まっていたりしている場合には、自車両40aにおいて右方向の通知表示を行うことに問題はない。
【0034】
一方、対向車両40bがあり、対向車両40bが通過した後、右折により(対向車線を通過して)店舗44に進入しようとしている場合に、対向車両40bの通過前に通知表示を行うと、対向車両40bにおいて自車両40aが右折してくるものと誤解する場合も考えられる。
【0035】
従って、このような場合には、自車両40aによる対向車線へ向けての通知表示の描画を中止する。
【0036】
図5は、この場合の通知表示の処理を示すフローチャートである。まず、自車両40aの方向指示器24が右方向を示しているか(右方向のターンランプがオンか)を判定する(S11)。この判定でNOの場合には、通知表示はオフであればそのままとし、オンだった場合には通知表示をオフする(S12)。S11の判定でYESの場合は、対向車両40bがあるかを判定する(S13)。すなわち、所定距離内に自車両40aに向かって走行してくる対向車両40bであって、自車両40aがその対向車両40bの通過を待つ対向車両40bがあるかを判定する。これは、自車両40aおよび対向車両40bの速度、位置、自車両の速度、位置などから、右折した場合の危険度を判定し決定するとよい。
【0037】
ここで、自車両40aが進入しようとする店舗44を特定しておくとよい。例えば、ナビゲーション装置14において目的地として店舗44が設定してある場合にはその目的地からこれから進入しようとする店舗44が決定できる。また、ナビゲーション装置14の地図データおよび自車位置から、方向指示器24がオンされた段階で進入する店舗を決定することもできる。そして、危険度判定により危険度が低く問題がない場合には、S13において対向車両40bなし(NO)と判定する。S13の判定においてNOの場合には、通知表示をオンする(S14)。
【0038】
一方、S13の判定においてYES、すなわち危険度の大きな対向車両40bがあると判定された場合には、通知表示をオフ(描画を中止)する(S12)。なお、S13においてYESの場合に、自車両40aが右折動作に入りそうな場合(危険度が所定以上の場合)には警告を発したり、自動ブレーキを作動して右折を中止させたりするとよい。言い換えれば、自車両40aの車速が所定値以下の低速か、停止しており、かつブレーキが踏まれていることなどによって、右折動作に入らないことが確認できる場合を除き、警告を発するとよい。なお、警告としては、画面表示や音声による警告を採用できる。
【0039】
このように、本実施形態では、対向車両40bが所定距離以内にあって、自車両40aに向かって走行している場合、自車両40aが右折はしないことを前提に進行方向表示の描画を中止する。これによって、対向車線への紛らわしい通知表示の描画を中止することができる。
【0040】
<車線変更>
車線変更をする際に、方向指示器24をオンにする。そして、隣接車線に移動してステアリングを戻すことによって、車線変更が完了する。方向指示器24はステアリングを戻すことによりオフになる場合もある。車線変更の最中は、方向指示器24はオンのままであり、この際に変更対象の車線を越えて進行方向表示が描画される場合がある。
【0041】
図6の左図は車線変更開始前を示し、自車両40aはこれから右側に車線変更しようとしており、方向指示器24の右方向の方向指示をオンにする。これによって、右側の隣接車線に向けて進路方向を示す通知表示が描画される。後続車両40dは、方向指示器24だけでなく、通知表示を参照することができる。
【0042】
ここで、
図6の右図のように、自車両40aが車線を跨ぎ、車線変更の対象となる右側の車線に進入する際にはステアリングは右方向に切ったままである場合が多い。その場合に、自車両40aの進行方向の通知表示が、変更対象の車線を越えて、さらに右側の車線に表示される場合がある。なお、図において自車両40aに先行する車両40を先行車両40cとしている。
【0043】
特に、
図6の右図では、変更対象の右側の車線は対向車線である。この場合、対向車線に通知表示の一部が描画されてしまう可能性がある。対向車線を走行する対向車両40bにとって、このような表示は紛らわしく、この表示を避けた方がよい。そこで、本実施形態では、このような表示がなされないように通知表示を中止する。例えば、自車両40aが右側車線に進入した時点で(車線を跨いだら)、表示を中止する。これによって、対向車線への不要な通知表示を防止することができる。
【0044】
図7は、車線変更の際に通知表示を中止する処理についてのフローチャートである。
【0045】
まず、方向指示器24において、右方向がオンかを判定する(S21)。S21の判定でNOであれば、通知表示のオフを維持する(S22)。方向指示器24がオフであれば、S22は通知表示のオフを維持すればよい。従って、方向指示器24がオンからオフに変わった場合に通知表示がオンからオフに変更される。S21の判定がYESであれば、車両が隣接する右側車線に進入したかを判定する(S23)。S23の判定でNOであれば、通知表示をオンする(S24)。通知表示がオンである場合にはS24において通知表示のオンが維持される。一方、S23の判定でYESであれば、S22に移行し、通知表示をオフする。
【0046】
従って、方向指示器がオンの場合に隣接する右側車線に進入するまでは通知表示がオンし、進入した場合に通知表示がオフされる。なお、隣接車線に進入する前にステアリングの戻し操作により方向指示器24がオンからオフに変わればその場合にも通知表示はオフされる。
【0047】
図8は、3車線道路の左側車線から中央車線に車線変更する場合を示す図である。この場合も、右側車線に不要な表示なされる場合がある。上述と同様に対象車線へ進入した時点(車線を跨いだら)で、表示を中止することで右側車線を走行する後続車両40dに対し紛らわしい表示がなされることを防止することができる。
【0048】
<交差点での表示>
交差点において、右折しようとする場合には、交差点の手前(たとえば、交差点の30m手前)から方向指示器24をオンにする。ここで、先行車両40cとの距離が近ければ、路面に通知表示ができないため進行方向の通知表示はしない。一方、先行車両40cとの距離があれば、通知表示を行う。しかし、交差点の手前の右側車線では、通知表示が対向車線側にまで描画される。従って、
図9に示すように対向車両40bが走行してきた場合、その前方の路上に通知表示がなされるのは好ましくない。
【0049】
そこで、交差点での右折の場合には、交差点に入った時点からその表示を開始するとよい。
【0050】
図10は、交差点での右折の際における通知表示の処理についてのフローチャートである。方向指示器24において、右方向がオンかを判定する(S31)。S31の判定でNOであれば、通知表示のオフを維持する(S32)。S31の判定でYESの場合には、交差点の手前か否かを判定する(S33)。
【0051】
S33の判定で、NOであれば、交差点手前の処理ではないので、特別な処理は行わない。S33の判定でYESであれば、交差点に進入したかを判定する(S34)。ここで、交差点の外縁は、例えば、横断歩道の交差点側の端より交差点の中心側の線、交差する道路の外縁の延長線などとし、これを車両40の前端や、前輪が通過したこと、などで判定すればよい。
【0052】
S34の判定で、NOであれば、S32に移行して通知表示をオフし、YESであれば通知表示をオンする(S35)。
【0053】
このようにして、交差点手前では通知表示をオフにして、交差点に入ってから通知表示をオンすることができる。なお、交差点に入ってからオンした通知表示は方向指示器のオフによってオフすればよい。
【0054】
<左折での店舗への進入>
図11には、自車両40aが、左折で店舗に進入する際の状況について示してある。この場合には、図示のように道路脇の歩道を横切る場合が多く、自車両40aによる路上への描画による通知表示は、歩行者が見ることになる。自車両40aにおいて、歩行者が所定の距離(数m)以内におり、ドライバーが歩行者に気が付き、かつブレーキを踏んで停止しようとしている場合には、表示を中止するとよい。これによって、歩行者が、車両40が来ると勘違いして止まってしまうことを防止することができる。
【0055】
図12は、左折により店舗に進入する際の処理についてのフローチャートである。方向指示器24において、左方向がオンかを判定する(S41)。S41の判定でNOであれば、通知表示のオフを維持する(S42)。S41の判定でYESの場合には、所定距離内(例えば、前後30m以内)に歩行者がいるか否かを判定する(S43)。なお、歩行者は、車両40と同一方向および反対方向のいずれの方向に向いて歩いているものも対象とする。
【0056】
S43の判定で、NOであれば、通知表示をオンする(S44)。S43の判定でYESであれば、通知表示をオフする(S45)。なお、この場合も、歩行者についての衝突危険度を判定し、衝突危険度が所定以上の場合に歩行者ありと判定するとよい。また、必要に応じてドライバーに対し、停止についての警告を発してもよい。
【0057】
<店舗から道路への進入>
図13は、店舗の駐車場から、車両40が道路に進入しようとする場合の状況を示す図である。このような場合、図示のように、車両40が歩道を横切る場合が多い。
【0058】
車両40が、道路に出る時に車両40が歩道に直角ではなく、走行しようとする道路での進行方向に向けて傾いて歩道に進入する場合がある。このような場合には、通知表示が、車両40が歩道に向かい走行するような表示になる可能性がある。
【0059】
このような場合には、車両40の進行方向から、道路に向けて進行していると判断し、歩道に向けて表示に代えて、進入しようとしている道路に向けての表示に変更する。
【0060】
なお、通知表示を中止することも考えられるが、道路にはオートバイなど他の車両が走行している場合もあり、オートバイへの警告なども考慮し、車両の状況からみて最適位置に通知表示の位置を変更する。
【0061】
図14は、店舗から歩道を横切り道路に進入する際の処理についてのフローチャートである。方向指示器24がオンかを判定する(S51)。S51の判定でNOであれば、通知表示のオフを維持する(S52)。S51の判定でYESの場合には、表示しようとする通知表示の方向が歩道内に向けてのものかを判定する(S53)。これは、カメラ16の映像、地図データなどを利用して判定すればよい。
【0062】
S53の判定で、NOであれば、車道に向けての表示であると判断し、通知表示をオンする(S54)。S53の判定でYESであれば、通知表示を侵入しようとしている車線に向けての表示に変更する(S55)。
【0063】
なお、店舗から左折により道路に進入する際にも、同様の変更を行い、通知表示が歩道に向くのを防止してもよい。また、道路に進入する際には、道路に十分近づき、通知表示が歩道に向かない位置に達してから通知表示をオンにすることもできる。
【0064】
「その他」
上述の説明では、方向指示器24の操作に応じて、通知表示をオンすることを前提としたが、操舵状態により通知表示をオンすることを前提として、通知表示の中止制御を行ってもよい。すなわち、左方向に操舵した場合に左方向の通知表示をオンし、右方向に操舵咲いた場合に右方向の通知表示をオンし、この通知表示を上述のようにして中止することができる。
【0065】
また、上述したように、左側通行で右折が対向車線を横切るターンであることを前提としているので、右側通行であれば左折が本明細書の右折に対応する。車両40の状況は、位置検出装置12、ナビゲーション装置14、カメラ16、センサ18、方向指示器24で得られる情報の他、通信装置22を介し外部から供給される情報を使用することができ、これらを組み合わせてより正しい車両40の状況を検出するとよい。
【符号の説明】
【0066】
10 車両用描画装置、12 位置検出装置、14 ナビゲーション装置、16 カメラ、18 センサ、20 プロセッサ、22 通信装置、24 方向指示器、30 描画装置、40 車両、42 通知表示、44 店舗。