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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 55/00 20190101AFI20240730BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20240730BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240730BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240730BHJP
【FI】
B60L55/00
B60L9/18 J
H02J7/00 P
H02J7/00 302A
H02M7/48 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021199393
(22)【出願日】2021-12-08
(65)【公開番号】P2023084971
(43)【公開日】2023-06-20
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保田 智史
【審査官】柳幸 憲子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-292304(JP,A)
【文献】特開2007-068363(JP,A)
【文献】特開平06-284512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 55/00
B60L 9/18
H02J 7/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
第1出力配線、第2出力配線、及び、第3出力配線に電圧を印加するインバータと、
前記第1出力配線、前記第2出力配線、及び、前記第3出力配線に接続されており、車輪を駆動するモータと、
前記第1出力配線、前記第2出力配線、及び、前記第3出力配線に印加されている電圧を外部に供給する出力コネクタと、
前記出力コネクタから外部に供給される電圧を切り換える切換装置、
を有し、
前記切換装置が前記出力コネクタによって構成されており、
前記出力コネクタが、外部コネクタを第1係合位置と第2係合位置で接続可能な構造を有しており、
前記第1係合位置において前記出力コネクタから外部に供給される電圧が、前記第2係合位置において前記出力コネクタから外部に供給される電圧と異なる、
車両。
【請求項2】
前記出力コネクタが、六角形の係合部を有しており、
前記第1係合位置が、外部コネクタが前記係合部に対して第1の角度で係合する位置であり、
前記第2係合位置が、外部コネクタが前記係合部に対して第2の角度で係合する位置である、
請求項1に記載の車両。
【請求項3】
外部コネクタが、第1外部配線、第2外部配線、及び、第3外部配線に接続されており、
前記第1係合位置では、前記第1外部配線が前記第1出力配線に接続され、前記第2外部配線が前記第2出力配線に接続され、前記第3外部配線が前記第3出力配線に接続され、
前記第2係合位置では、前記第1外部配線が前記第1出力配線、前記第2出力配線、及び、前記第3出力配線のうちの1つに接続され、前記第3外部配線が前記第1出力配線、前記第2出力配線、及び、前記第3出力配線のうちの別の1つに接続され、前記第2外部配線が前記第1出力配線、前記第2出力配線、及び、前記第3出力配線のいずれにも接続されない、
請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
車両であって、
第1出力配線、第2出力配線、及び、第3出力配線に電圧を印加するインバータと、
前記第1出力配線、前記第2出力配線、及び、前記第3出力配線に接続されており、車輪を駆動するモータと、
前記第1出力配線、前記第2出力配線、及び、前記第3出力配線に印加されている電圧を外部に供給する出力コネクタと、
前記出力コネクタから外部に供給される電圧を切り換える切換装置、
を有し、
前記インバータが、前記第1出力配線と前記第2出力配線の間に第1交流電圧を印加し、前記第2出力配線と前記第3出力配線の間に前記第1交流電圧に対して180度位相がずれている第2交流電圧を印加する、
両。
【請求項5】
車両であって、
第1出力配線、第2出力配線、及び、第3出力配線に電圧を印加するインバータと、
前記第1出力配線、前記第2出力配線、及び、前記第3出力配線に接続されており、車輪を駆動するモータと、
前記第1出力配線、前記第2出力配線、及び、前記第3出力配線に印加されている電圧を外部に供給する出力コネクタと、
前記出力コネクタから外部に供給される電圧を切り換える切換装置と、
前記インバータを制御する制御回路
を有し、
前記制御回路は、
前記切換装置が第1状態のときに、前記出力コネクタから外部に交流電圧が供給されるように前記インバータを制御し、
前記切換装置が第2状態のときに、前記出力コネクタから外部に直流電圧が供給されるように前記インバータを制御する、
両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、車両に関する。
【0002】
特許文献1に開示の車両は、2つのモータと、2つのインバータを有している。第1インバータの3つの出力配線は、第1モータのステータに接続されている。第2インバータの3つの出力配線は、第2モータのステータに接続されている。各インバータは、対応するモータに交流電圧を供給することで、対応するモータを駆動させる。また、この車両は、各モータのステータの中性点に接続された一対の外部出力配線を有している。この車両は、外部出力配線を介して外部に電圧を供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-212612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両では、外部出力配線に電圧を出力するときに、第1インバータの3つの出力配線が同じ電位(以下第1電位という)に制御され、第2インバータの3つの出力配線が同じ電位(以下第2電位という)に制御される。第1電位と第2電位は異なる電位である。したがって、第1モータの中性点と第2モータの中性点に異なる電位が印加され、外部出力配線の間に電圧が出力される。このように、特許文献1の車両では、外部出力配線に電圧を出力するときに、2つのインバータと2つのモータが必要であった。本明細書では、1つのインバータによって外部に電圧を供給できる車両を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する車両は、第1出力配線、第2出力配線、及び、第3出力配線に電圧を印加するインバータと、前記第1出力配線、前記第2出力配線、及び、前記第3出力配線に接続されているとともに車輪を駆動するモータと、前記第1出力配線、前記第2出力配線、及び、前記第3出力配線に印加されている電圧を外部に供給する出力コネクタと、前記出力コネクタから外部に供給される電圧を切り換える切換装置、を有する。
【0006】
なお、切換装置は、外部に供給される電圧を交流と直流の間で切り換えるものであってもよいし、外部に供給される電圧の大きさを切り換えるものであってもよい。また、外部の配線が3つ以上存在する場合には、切換装置は、外部に供給する電圧の数を切り換えるものであってもよい。例えば、外部の配線が第1配線、第2配線、第3配線を有し、インバータが第1配線と第2配線間に第1電圧を供給可能であるとともに第2配線と第3配線間に第2電圧を供給可能な場合には、切換装置は、第1電圧と第2電圧の両方を外部に供給する状態と、第1電圧と第2電圧の一方のみを外部に供給する状態とを切り換えてもよい。
【0007】
この車両によれば、1つのインバータの3つの出力配線によって外部に電圧を供給することができる。すなわち、1つのインバータによって外部に電圧を供給できる。また、この車両では、切換装置によって外部に供給される電圧を切り換えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の車両に搭載されたモータ駆動回路を示す回路図。
図2】第1係合位置におけるインバータ33と屋内配線を示す回路図。
図3】第1係合位置における出力コネクタ32と外部コネクタ60の断面図。
図4】第2係合位置における出力コネクタ32と外部コネクタ60の断面図。
図5】第2係合位置におけるインバータ33と屋内配線を示す回路図。
図6】外部出力動作におけるインバータ33の出力電圧を示すグラフ。
図7】第2係合位置におけるインバータ33と直流負荷を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書が開示する一例の車両では、前記切換装置が前記出力コネクタによって構成されていてもよい。前記出力コネクタが、外部コネクタを第1係合位置と第2係合位置で接続可能な構造を有していてもよい。前記第1係合位置において前記出力コネクタから外部に供給される電圧が、前記第2係合位置において前記出力コネクタから外部に供給される電圧と異なっていてもよい。
【0010】
この構成によれば、外部コネクタを出力コネクタに接続するときの係合位置によって、出力コネクタから外部に供給される電圧を切り換えることができる。
【0011】
本明細書が開示する一例の車両では、前記出力コネクタが、六角形の係合部を有していてもよい。前記第1係合位置が、外部コネクタが前記係合部に対して第1の角度で係合する位置であってもよい。前記第2係合位置が、外部コネクタが前記係合部に対して第2の角度で係合する位置であってもよい。
【0012】
この構成によれば、出力コネクタから外部に供給される電圧を容易に切り換えることができる。
【0013】
本明細書が開示する一例の車両では、外部コネクタが、第1外部配線、第2外部配線、及び、第3外部配線に接続されていてもよい。前記第1係合位置では、前記第1外部配線が前記第1出力配線に接続され、前記第2外部配線が前記第2出力配線に接続され、前記第3外部配線が前記第3出力配線に接続されてもよい。前記第2係合位置では、前記第1外部配線が前記第1出力配線、前記第2出力配線、及び、前記第3出力配線のうちの1つに接続され、前記第3外部配線が前記第1出力配線、前記第2出力配線、及び、前記第3出力配線のうちの別の1つに接続され、前記第2外部配線が前記第1出力配線、前記第2出力配線、及び、前記第3出力配線のいずれにも接続されなくてもよい。
【0014】
この構成によれば、第1係合位置では第1外部配線、第2外部配線、及び、第3外部配線に電圧を出力でき、第2係合位置では第2外部配線に電圧を出力せずに第1外部配線と第2外部配線に電圧を出力できる。
【0015】
本明細書が開示する一例の車両では、前記インバータが、前記第1出力配線と前記第2出力配線の間に第1交流電圧を印加し、前記第2出力配線と前記第3出力配線の間に前記第1交流電圧に対して180度位相がずれている第2交流電圧を印加してもよい。
【0016】
この構成によれば、第1出力配線と第3出力配線の間に振幅が大きい交流電圧を印加することができる。
【0017】
本明細書が開示する一例の車両では、前記インバータを制御する制御回路をさらに有していてもよい。前記制御回路は、前記切換装置が第1状態のときに前記出力コネクタから外部に交流電圧が供給されるように前記インバータを制御し、前記切換装置が第2状態のときに前記出力コネクタから外部に直流電圧が供給されるように前記インバータを制御してもよい。
【0018】
この構成によれば、外部に供給される電圧を交流電圧と直流電圧の間で切り換えることができる。
【実施例1】
【0019】
図1に示すように、車両10は、3つのモータ21~23を有する。モータ21~23は、車両10が有する各車輪を駆動するためのモータである。車両10は、バッテリ12、DC-DCコンバータ14、高電位配線16a、低電位配線16b、及び、3つのインバータ31~33を有する。
【0020】
DC-DCコンバータ14は、バッテリ12、高電位配線16a、及び、低電位配線16bに接続されている。DC-DCコンバータ14は、バッテリ12から供給される直流電圧を昇圧し、昇圧した直流電圧を高電位配線16aと低電位配線16bに印加する。
【0021】
インバータ33は、高電位配線16aと低電位配線16bに接続されている。また、インバータ33は、3つの出力配線33a~33cを有している。インバータ33は、高電位配線16aと低電位配線16bの間に印加されている直流電圧(すなわち、DC-DCコンバータ14の出力電圧)を三相交流電圧に変換し、変換した三相交流電圧を出力配線33a~33cに出力する。出力配線33a~33cのそれぞれは、モータ23に接続されている。モータ23は、インバータ33から三相交流電圧の供給を受けることで駆動する。モータ23は、車両10の後輪を駆動する。
【0022】
インバータ31は、モータ21に接続されている3つの出力配線31a~31cを有する。インバータ31は、高電位配線16aと低電位配線16bの間に印加されている直流電圧を三相交流電圧に変換し、変換した三相交流電圧を出力配線31a~31cに出力する。出力配線31a~31cのそれぞれは、モータ21に接続されている。モータ21は、車両の前輪を駆動する。
【0023】
インバータ32は、モータ22に接続されている3つの出力配線32a~32cを有する。インバータ32は、高電位配線16aと低電位配線16bの間に印加されている直流電圧を三相交流電圧に変換し、変換した三相交流電圧を出力配線32a~32cに出力する。出力配線32a~32cのそれぞれは、モータ22に接続されている。モータ22は、車両の前輪を駆動する。
【0024】
また、モータ21~23は、発電機として動作することもできる。例えば、車両10の走行中に車軸の回転をモータ21~23に伝えることで、モータ21~23を発電機として動作させることができる。また、車両10がエンジンを有している場合には、エンジンによってモータ21~23のロータを回転させることで、モータ21~23を発電機として動作させることができる。モータ21~23で発電された電力は、インバータ31~33とDC-DCコンバータ14を介してバッテリ12に供給される。これによって、バッテリ12が充電される。
【0025】
次に、インバータ33の詳細について説明する。なお、インバータ31、32の構造は一般的な構造であるので、インバータ31、32の詳細についての説明は省略する。図2に示すように、インバータ33は、スイッチング素子40a~40fとダイオード42a~42fを有している。スイッチング素子40aは、高電位配線16aと出力配線33aの間に接続されている。ダイオード42aのカソードは、スイッチング素子40aの高電位側の端子に接続されている。ダイオード42aのアノードは、スイッチング素子40aの低電位側の端子に接続されている。スイッチング素子40bは、出力配線33aと低電位配線16bの間に接続されている。ダイオード42bのカソードは、スイッチング素子40bの高電位側の端子に接続されている。ダイオード42bのアノードは、スイッチング素子40bの低電位側の端子に接続されている。スイッチング素子40cは、高電位配線16aと出力配線33bの間に接続されている。ダイオード42cのカソードは、スイッチング素子40cの高電位側の端子に接続されている。ダイオード42cのアノードは、スイッチング素子40cの低電位側の端子に接続されている。スイッチング素子40dは、出力配線33bと低電位配線16bの間に接続されている。ダイオード42dのカソードは、スイッチング素子40dの高電位側の端子に接続されている。ダイオード42dのアノードは、スイッチング素子40dの低電位側の端子に接続されている。スイッチング素子40eは、高電位配線16aと出力配線33cの間に接続されている。ダイオード42eのカソードは、スイッチング素子40eの高電位側の端子に接続されている。ダイオード42eのアノードは、スイッチング素子40eの低電位側の端子に接続されている。スイッチング素子40fは、出力配線33cと低電位配線16bの間に接続されている。ダイオード42fのカソードは、スイッチング素子40fの高電位側の端子に接続されている。ダイオード42fのアノードは、スイッチング素子40fの低電位側の端子に接続されている。
【0026】
インバータ33は、制御回路50を有している。図示していないが、制御回路50は、スイッチング素子40a~40fのゲート端子に接続されている。制御回路50は、スイッチング素子40a~40fをスイッチングさせる。制御回路50がスイッチング素子40aをオンさせるとともにスイッチング素子40bをオフさせると、出力配線33aに高電位配線16aの電位(以下、電位Vhという)が印加される。制御回路50がスイッチング素子40aをオフさせるとともにスイッチング素子40bをオンさせると、出力配線33aに低電位配線16bの電位(すなわち、0V)が印加される。制御回路50がスイッチング素子40cをオンさせるとともにスイッチング素子40dをオフさせると、出力配線33bに電位Vhが印加される。制御回路50がスイッチング素子40cをオフさせるとともにスイッチング素子40dをオンさせると、出力配線33bに0Vが印加される。制御回路50がスイッチング素子40eをオンさせるとともにスイッチング素子40fをオフさせると、出力配線33cに電位Vhが印加される。制御回路50がスイッチング素子40eをオフさせるとともにスイッチング素子40fをオンさせると、出力配線33cに0Vが印加される。制御回路50は、各スイッチング素子40a~40fをスイッチングさせることで、出力配線33a~33cの電位を変化させる。車両10の走行時には、制御回路50は、出力配線33a~33cに、位相が互いに120度ずつずれた交流電圧を発生させる。このように、制御回路50が出力配線33a~33cに三相交流電圧を発生させることで、モータ23が駆動する。また、車両10の走行時には、制御回路50は、モータ23の動作状態と制御目標値に従って、出力配線33a~33cに出力する三相交流電圧の周波数及び振幅を変化させる。
【0027】
また、インバータ33は、外部出力配線34a~34cを有している。外部出力配線34aは出力配線33aに接続されている。外部出力配線34bは出力配線33bに接続されている。外部出力配線34cは出力配線33cに接続されている。外部出力配線34a~34cの端部に、出力コネクタ36が設けられている。出力コネクタ36に、車両10の外部から外部コネクタ60を接続することで、インバータ33を車両10の外部の配線に接続することができる。これによって、インバータ33から車両10の外部の配線に電圧を出力することができる。例えば、図2に示すように、家屋に設けられた外部コネクタ60を車両10の出力コネクタ36に接続することで、インバータ33を屋内配線64a~64cに接続することができる。これによって、インバータ33から屋内配線64a~64cに電圧を出力することができる。
【0028】
屋内配線64a~64cには、照明65、冷蔵庫66、クッキングヒータ67、及び、エアコン68が接続されている。照明65と冷蔵庫66は、屋内配線64bと屋内配線64cの間に接続されている。照明65と冷蔵庫66は、100Vの交流電圧によって動作する機器である。クッキングヒータ67とエアコン68は、屋内配線64aと屋内配線64cの間に接続されている。クッキングヒータ67とエアコン68は、200Vの交流電圧によって動作する機器である。
【0029】
図3は、出力コネクタ36と外部コネクタ60の係合部の断面構造を示している。図3に示すように、外部コネクタ60はソケットであり、出力コネクタ36はプラグである。
【0030】
外部コネクタ60は、ソケット形状のケース62を有している。ケース62の内周面の断面形状は、正六角形である。したがって、ケース62の内周面は、6個の平面によって構成されている。ケース62の内周面を構成する6個の平面のうちの5つの平面のそれぞれに、端子60a~60eが設けられている。ケース62の内周面を構成する6個の平面のうちの1つの平面には、端子が設けられていない。端子60aと端子60bは屋内配線64aに接続されており、端子60cと端子60dは屋内配線64cに接続されており、端子60eは屋内配線64bに接続されている。
【0031】
出力コネクタ36は、プラグ形状の基体38を有している。基体38の外周面の断面形状は、正六角形である。したがって、基体38の外周面は、6個の平面によって構成されている。基体38の外周面を構成する6個の平面のうちの3つの平面のそれぞれに、端子36a~36cが設けられている。基体38の外周面を構成する6個の平面のうちの残りの3つの平面には、端子が設けられていない。端子36a~36cが設けられている各平面の間に、端子が設けられていない平面が存在している。端子36aは外部出力配線34aに接続されており、端子36bは外部出力配線34bに接続されており、端子36cは外部出力配線34cに接続されている。出力コネクタ36は、外部コネクタ60に挿入可能な形状を有している。
【0032】
図3に示すように、出力コネクタ36の端子36aが外部コネクタ60の端子60aに接触する位置(以下、第1係合位置という)で出力コネクタ36を外部コネクタ60に挿入すると、出力コネクタ36の端子36bが外部コネクタ60の端子60cに接続され、出力コネクタ36の端子36cが外部コネクタ60の端子60eに接続される。この状態では、図2に示すように、外部出力配線34aが屋内配線64aに接続され、外部出力配線34bが屋内配線64bに接続され、外部出力配線34cが屋内配線64cに接続される。
【0033】
また、図4に示すように、図3に示す位置から外部コネクタ60を出力コネクタ36に対して軸回りに60度回転させた位置(以下、第2係合位置という)でも、出力コネクタ36を外部コネクタ60に挿入することができる。第2係合位置では、出力コネクタ36の端子36aが外部コネクタ60の端子60bに接続され、出力コネクタ36の端子36bが外部コネクタ60の端子60dに接続される。また、第2係合位置では、出力コネクタ36の端子36cが外部コネクタ60のいずれの端子にも接続されない。この状態では、図5に示すように、外部出力配線34aが屋内配線64aに接続され、外部出力配線34cが屋内配線64cに接続される一方で、外部出力配線34bが屋内配線64bに接続されない。
【0034】
このように、出力コネクタ36と外部コネクタ60の接続角度を変更することで、外部出力配線34a~34cと屋内配線64a~64cの間の接続状態を変更することができる。
【0035】
次に、インバータ33の外部出力動作について説明する。出力コネクタ36に外部コネクタ60が接続された状態において車両10で所定の操作が行われると、インバータ33は外部出力動作を実行する。図6は、外部出力動作における出力電圧V34a、V34c、Vdを示している。出力電圧V34aは外部出力配線34aの外部出力配線34bに対する電位である。出力電圧V34cは外部出力配線34cの外部出力配線34bに対する電位である。出力電圧Vdは外部出力配線34aの外部出力配線34cに対する電位である。すなわち、出力電圧Vdは、出力電圧V34aから出力電圧V34cを減算した値である。また、図6において、実線のグラフは実際の電圧の変化を示しており、破線のグラフは実線のグラフを一定の時間で積分した値を示している。図6において実線で示すように、制御回路50は、出力電圧V34a、V34cとして、デューティ比を調整しながら電圧Vhと0Vを交互に周期的に出力する。これによって、図6において破線で示すように、制御回路50は、外部出力配線34a、34cとして疑似的に交流電圧を発生させる。外部出力動作では、制御回路50は、出力電圧V34a、V34cのそれぞれが、一定の周波数かつ一定の振幅で変化する交流電圧となるように制御を行う。より具体的には、制御回路50は、出力電圧V34a、V34cのそれぞれが、100Vの交流電圧となるように制御を行う。また、制御回路50は、出力電圧V34aの位相と出力電圧V34cの位相が180度ずれるように制御を行う。したがって、出力電圧Vdは、200Vの交流電圧となる。
【0036】
図2、3に示すように、第1係合位置では、外部出力配線34aが屋内配線64aに接続され、外部出力配線34bが屋内配線64bに接続され、外部出力配線34cが屋内配線64cに接続される。したがって、インバータ33によって、屋内配線64aと屋内配線64cの間に電圧Vd(すなわち、200Vの交流電圧)が印加され、屋内配線64bと屋内配線64cの間に電圧V34c(すなわち、100Vの交流電圧)が印加される。したがって、インバータ33によって、クッキングヒータ67とエアコン68に200Vの交流電圧が供給され、照明65と冷蔵庫66に100Vの交流電圧が供給される。このように、第1係合位置では、インバータ33から200V用の機器と100V用の機器との両方に電圧が供給される。
【0037】
図4、5に示すように、第2係合位置では、外部出力配線34aが屋内配線64aに接続され、外部出力配線34cが屋内配線64cに接続される一方で、外部出力配線34bが屋内配線64bに接続されない。したがって、インバータ33によって屋内配線64aと屋内配線64cの間に電圧Vd(すなわち、200Vの交流電圧)が印加される一方で、屋内配線64bと屋内配線64cの間にはインバータ33から電圧が供給されない。このため、インバータ33からクッキングヒータ67とエアコン68に200Vの交流電圧が供給されるが、インバータ33から照明65と冷蔵庫66には電圧が供給されない。このように、第2係合位置では、インバータ33から200V用の機器には電圧が供給されるが、インバータ33から100V用の機器には電圧が供給されない。
【0038】
このように、実施例1の車両によれば、インバータ33から外部に200Vの交流電圧と100Vの交流電圧の両方が供給される状態と、インバータ33から外部に200Vの交流電圧のみが供給される状態とを切り換えることができる。特に、出力コネクタ36と外部コネクタ60の接続角度を変更するだけで、インバータ33から外部への交流電圧の供給状態を容易に変更することができる。
【0039】
また、実施例1の車両では、インバータ33の出力電圧(すなわち、出力配線33a~33cの電圧)を外部へ供給するので、1つのインバータ33によって外部に電圧を供給することができる。したがって、インバータ33で外部出力動作を実行しているときに、インバータ31、32で他の動作を実行することができる。例えば、エンジン等によってモータ21、22で発電を行い、発生した電力をインバータ31、32を介してバッテリ12に供給する動作を実行することができる。
【実施例2】
【0040】
実施例2のインバータ33では、第2係合位置における外部供給動作が実施例1とは異なる。実施例2のインバータ33の第1係合位置における外部供給動作は、実施例1(すなわち、図2、6)と等しい。したがって、以下では、実施例2のインバータ33の第2係合位置における外部供給動作について説明する。
【0041】
図7は、実施例2のインバータ33の第2係合位置における外部供給動作を示している。図7では、直流負荷70の電源コネクタが外部コネクタ60として出力コネクタ36に接続されている。図7では、外部コネクタ60が第2係合位置で出力コネクタ36に設足されている。直流負荷70は、プラス配線82とマイナス配線84を有している。外部コネクタ60が出力コネクタ36に第2係合位置で接続されると、プラス配線82が外部出力配線34aに接続され、マイナス配線84が外部出力配線34cに接続される。
【0042】
実施例2では、制御回路50は、出力コネクタ36が外部コネクタ60に第1係合位置で接続されているか第2係合位置で接続されているかを検知する。制御回路50は、第2係合位置の場合には、スイッチング素子40aをオン、スイッチング素子40bをオフ、スイッチング素子40eをオフ、及び、スイッチング素子40fをオンに制御する。したがって、外部出力配線34aに常時電圧Vhが印加され、外部出力配線34cに常時0Vが印加される。このため、外部出力配線34aと外部出力配線34cの間に直流電圧Vhが印加される。したがって、プラス配線82とマイナス配線84を介して直流負荷70に直流電圧Vhが供給される。なお、スイッチング素子40a、40fのオン時間を調整することで、外部出力配線34aと外部出力配線34cの間に印加される直流電圧の大きさを電圧Vhよりも低い値に調整してもよい。
【0043】
このように、実施例2では、第1係合位置ではインバータ33から外部に交流電圧が供給され、第2係合位置ではインバータ33から外部に直流電圧が供給される。すなわち、実施例2では、インバータ33から外部に交流電圧が供給される状態と、インバータ33から外部に直流電圧が供給される状態とを切り換えることができる。
【0044】
なお、上述した実施例1、2では、出力コネクタ36に対する外部コネクタ60の接続角度によって外部に出力される電圧が切り換えられた。すなわち、出力コネクタ36によって、外部に出力される電圧を切り換える切換装置が構成されていた。しかしながら、スイッチ等によって外部に出力される電圧を切り換える切換装置が構成されていてもよい。
【0045】
また、上述した実施例1では、第1係合位置では2種類の交流電圧が外部に供給され、第2係合位置では1種類の交流電圧が外部に供給された。また、上述した実施例2では、第1係合位置では交流電圧が外部に供給され、第2係合位置では直流電圧が外部に供給された。しかしながら、第1係合位置と第2係合位置の間で、外部に供給される電圧の大きさ、電圧の周波数等が変化してもよい。
【0046】
また、上述した実施例1、2では、出力コネクタ36がプラグであり、外部コネクタ60がソケットであった。しかしながら、出力コネクタ36がソケットであり、外部コネクタ60がプラグであってもよい。
【0047】
実施例の屋内配線64aは、第1外部配線の一例である。実施例の屋内配線64bは、第2外部配線の一例である。実施例の屋内配線64cは、第3外部配線の一例である。
【0048】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0049】
10 :車両
12 :バッテリ
14 :DC-DCコンバータ
21-23 :モータ
31-33 :インバータ
34 :出力コネクタ
34a :外部出力配線
34b :外部出力配線
34c :外部出力配線
36 :出力コネクタ
50 :制御回路
60 :外部コネクタ
64a-64c :屋内配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7