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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/14 20090101AFI20240730BHJP
   H04W 16/06 20090101ALI20240730BHJP
   H04W 52/18 20090101ALI20240730BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W16/06
H04W52/18
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021506212
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2020002747
(87)【国際公開番号】W WO2020189022
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】P 2019049174
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 信一郎
(72)【発明者】
【氏名】澤井 亮
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/025605(WO,A1)
【文献】特開2018-011156(JP,A)
【文献】特開2013-251853(JP,A)
【文献】特開2009-232041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数帯を一次利用する第1の通信装置に関する第1の情報を受信する第1の受信部と、
前記第1の情報に基づいて前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する設定部と、
前記設定部が設定した前記第1の通信装置の保護に関する情報に基づいて、前記所定の周波数帯を二次利用する第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを算出する算出部と、を備え、
前記設定部は、前記第1の受信部が前記第1の情報を新たに受信した場合には、新たな前記第1の情報に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を更新し、
前記算出部は、更新された前記第1の通信装置の保護に関する情報に基づいて、前記第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを更新し、
前記第1の通信装置の保護に関する情報には、前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲の情報が含まれ、
前記第1の情報には、前記第1の通信装置の設置態様の情報として、前記第1の通信装置が固定設置か可動設置かを特定するための情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の通信装置の設置態様が固定設置の場合には、前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲として、前記第1の通信装置の設置態様が可動設置であった場合よりも広い保護エリアの範囲を設定する、
報処理装置。
【請求項2】
前記第1の通信装置の保護に関する情報には、前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲の情報、及び前記第1の通信装置に関する干渉マージンの情報の少なくとも一方の情報が含まれ、
前記設定部は、新たな前記第1の情報に基づいて、前記保護エリアの範囲の情報、及び前記干渉マージンの情報の少なくとも一方の情報を更新し、
前記算出部は、前記設定部により更新された情報に基づいて、前記第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを更新する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の情報には、前記第1の通信装置の秘匿度の情報が含まれる、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の通信装置の保護に関する情報には、前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲の情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の通信装置の前記秘匿度が所定の基準より高い場合には、前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲として、前記第1の通信装置の前記秘匿度が所定の基準より低かった場合よりも広い保護エリアの範囲を設定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1の情報には、前記第1の通信装置が行う通信の重要度或いは優先度の情報が含まれる、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の通信装置の保護に関する情報には、前記第1の通信装置に関する干渉マージンの情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の通信装置が行う通信の重要度或いは優先度が所定の基準より高い場合には、前記第1の通信装置に関する干渉マージンとして、前記第1の通信装置が行う通信の重要度或いは優先度が所定の基準より低かった場合よりも大きな干渉マージンを設定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の情報には、前記第1の通信装置の移動に関する情報が含まれ、
前記第1の通信装置の保護に関する情報には、前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲の情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の通信装置の移動に関する情報に基づいて前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲を設定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記移動に関する情報には、前記第1の通信装置の移動距離、移動方向、移動速度、及び移動範囲の少なくとも1つの情報が含まれる、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第2の通信装置に関する第2の情報を受信する第2の受信部、を備え、
前記設定部は、前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定し、
前記算出部は、前記設定部が設定した前記第1の通信装置の保護に関する情報に基づいて、前記第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを算出する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第2の情報には、前記第2の通信装置の利用、運用、若しくは管理の主体に関する情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の情報と、前記第2の通信装置の利用、運用、若しくは管理の主体に関する情報と、に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第2の情報には、前記主体の信用度を判別するための情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の情報と、前記第2の情報により特定される前記信用度と、に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第2の情報には、前記主体が通信サービス提供者か否かを特定するための情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の情報と、前記主体が通信サービス提供者か否かを示す情報に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第2の情報には、前記主体が有する無線通信に関する免許種別の情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の情報と、前記主体が有する免許種別の情報に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第2の情報には、前記第2の通信装置の無線通信方式の情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の情報と、前記第2の通信装置の無線通信方式の情報と、に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記第2の情報には、前記第2の通信装置が行う通信の重要度或いは優先度の情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の情報と、前記第2の通信装置が行う通信の重要度或いは優先度の情報と、に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
所定の周波数帯を一次利用する第1の通信装置に関する第1の情報を受信する第1の受信ステップと
前記第1の情報に基づいて前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する設定ステップと
前記設定ステップで設定した前記第1の通信装置の保護に関する情報に基づいて、前記所定の周波数帯を二次利用する第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを算出する算出ステップとを有し、
前記設定ステップでは、前記第1の受信ステップで前記第1の情報を新たに受信した場合には、新たな前記第1の情報に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を更新し、
前記算出ステップでは、更新された前記第1の通信装置の保護に関する情報に基づいて、前記第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを更新し、
前記第1の通信装置の保護に関する情報には、前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲の情報が含まれ、
前記第1の情報には、前記第1の通信装置の設置態様の情報として、前記第1の通信装置が固定設置か可動設置かを特定するための情報が含まれ、
前記設定ステップでは、前記第1の通信装置の設置態様が固定設置の場合には、前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲として、前記第1の通信装置の設置態様が可動設置であった場合よりも広い保護エリアの範囲を設定する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線システム(無線装置)に割り当て可能な電波資源(無線リソース)が枯渇するという問題が表面化している。どの電波帯域もすでに既存の無線システム(無線装置)が利用しているため、新規に無線システムに電波資源を割り当てることは困難である。そこで、近年では、コグニティブ無線技術の活用による電波資源の更なる有効利用が注目されはじめている。コグニティブ無線技術では、既存の無線システムの時間的・空間的な空き電波(White Space)を利用することにより電波資源を捻出する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】WINNF-TS-0247-V1.0.0 CBRS Certified Professional Installer Accreditation Technical Specification
【文献】WINNF-TS-0016-V1.2.1 Signaling Protocols and Procedures for Citizens Broadband Radio Service (CBRS): Spectrum Access System (SAS) - Citizens Broadband Radio Service Device (CBSD) Interface Technical Specification
【文献】ECC Report 186, Technical and operational requirements for the operation of white space devices under geo-location approach, CEPT ECC, 2013 January
【文献】White Space Database Provider (WSDB) Contract, available at https://www.ofcom.org.uk/__data/assets/pdf_file/0026/84077/white_space_database_contract_for_operational_use_of_wsds.pdf
【文献】WINNF-TS-0096-V1.2.0 Signaling Protocols and Procedures for Citizens Broadband Radio Service (CBRS): Spectrum Access System (SAS) - SAS Interface Technical Specification
【文献】WINNF-TS-0112-V1.4.1 Requirements for Commercial Operation in the U.S. 3550-3700 MHz Citizens Broadband Radio Service Band
【文献】IEEE Std 802.19.1aTM-2017 “Coexistence Methods for Geo-location Capable Devices Operating under General Authorization”
【文献】47 C.F.R Part 96 Citizens Broadband Radio Service,https://www.ecfr.gov/cgi-bin/text-idx?node=pt47.5.96#se47.5.96
【文献】WINNF-TS-0245-V1.0.0 Operations for Citizens Broadband Radio Service (CBRS): Priority Access License (PAL) Database Technical Specification
【文献】“電波利用に関する現状と課題について”,総務省,2017年11月
【文献】“周波数共用条件の検討状況について”,総務省,2018年10月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単に空き電波を利用しただけでは電波資源の有効利用が実現できるとは限らない。例えば、電波資源の有効利用を実現するためには、無線システム(無線通信装置)に効率的に空き電波を配分する必要があるが、多様な電波の利用態様がある中で、効率的に空き電波を配分するのは容易ではない。
【0005】
そこで、本開示では、電波資源の効率的な利用を実現可能な情報処理装置、情報処理方法、及び通信装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示に係る一形態の情報処理装置は、所定の周波数帯を一次利用する第1の通信装置に関する第1の情報を受信する第1の受信部と、前記第1の情報に基づいて前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する設定部と、前記設定部が設定した前記第1の通信装置の保護に関する情報に基づいて、前記所定の周波数帯を二次利用する第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを算出する算出部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】セカンダリシステムを構成する各通信装置への干渉マージンの配分例を示す説明図である。
図2】CBRSでの階層構造を示す説明図である。
図3】CBRSの帯域を示す説明図である。
図4】本開示の実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
図5】通信制御装置が分散的に配置されるモデルを示す図である。
図6】1つの通信制御装置が中央制御的に複数の通信制御装置を統括するモデルを示す図である。
図7】本開示の実施形態に係る電波利用装置の構成例を示す図である。
図8】本開示の実施形態に係る管理装置の構成例を示す図である。
図9】本開示の実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
図10】本開示の実施形態に係る基地局装置の構成例を示す図である。
図11】本開示の実施形態に係るプロキシ装置の構成例を示す図である。
図12】本開示の実施形態に係る通信制御装置の構成例を示す図である。
図13】本開示の実施形態で想定する干渉モデルの一例を示す説明図である。
図14】本開示の実施形態で想定する干渉モデルの他の例を示す説明図である。
図15】干渉マージン一斉配分型のプライマリシステム保護方法を説明するための説明図である。
図16】剰余干渉マージンが発生した様子を示す図である。
図17】干渉マージン逐次配分型のプライマリシステム保護方法を説明するための説明図である。
図18】登録手続きを説明するためのシーケンス図である。
図19】利用可能周波数情報問い合わせ手続きを説明するためのシーケンス図である。
図20】周波数利用許可手続きを説明するためのシーケンス図である。
図21】周波数利用通知手続きを説明するためのシーケンス図である。
図22】管理情報の交換手続きを説明するためのシーケンス図である。
図23】周波数の二次利用を可能とする通信システムの機能構成の一例を示す図である。
図24】第1の識別子の一例を示す図である。
図25】第1の識別子の別の例を示す図である。
図26】第2の識別子の一例を示す図である。
図27】第2の識別子の他の例を示す図である。
図28】一次利用装置情報範囲決定処理の一例(第1の例)を示す図である。
図29】一次利用装置情報範囲決定処理の他の例(第2の例)を示す図である。
図30】一次利用装置情報範囲決定処理の他の例(第3の例)を示す図である。
図31】二次利用パラメータ算出処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0009】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字又はアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて通信制御装置60、及び60のように区別する。また、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて通信システム2A、及び2Bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、通信制御装置60、及び60を特に区別する必要が無い場合には、単に通信制御装置60と称する。また、通信システム2A、及び2Bを特に区別する必要が無い場合には、単に通信システム2と称する。
【0010】
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.はじめに
1-1.周波数共用実現のための無線システムの制御
1-2.本実施形態の概要
1-3.周波数と共用に関する用語について
2.通信システムの構成
2-1.通信システムの全体構成
2-2.電波利用装置の構成
2-3.管理装置の構成
2-4.端末装置の構成
2-5.基地局装置の構成
2-6.プロキシ装置の構成
2-7.通信制御装置の構成
3.干渉モデル
4.プライマリシステム保護方法
4-1.干渉マージン一斉配分型
4-2.干渉マージン逐次配分型
5.諸手続きの説明
5-1.登録手続き
5-2.利用可能周波数情報問い合わせ手続き
5-3.周波数利用許可手続き
5-4.周波数利用通知
5-5.諸手続きの補足
5-6.端末装置に関する諸手続き
5-7.通信制御装置間で発生する手続き
6.一次利用装置の保護に関する情報の動的決定(第1の実施例)
6-1.説明に用いるシステム構成
6-2.第1の識別子
6-3.第2の識別子
6-4.一次利用装置情報範囲決定処理
6-5.一次利用装置情報の提供
6-6.二次利用パラメータ算出処理
6-7.二次利用許可の取得
7.一次利用装置の保護に関する情報の動的決定(第2の実施例)
7-1.設定処理
7-2.二次利用パラメータ算出処理
8.変形例
8-1.第1の情報に関する変形例
8-2.第2の情報に関する変形例
8-3.保護情報の設定に関する変形例
8-4.システム構成に関する変形例
8-5.その他の変形例
9.むすび
【0011】
<<1.はじめに>>
近年、無線システムに割り当て可能な電波資源(例えば、周波数)が枯渇するという問題が表面化している。しかしながら、どの電波帯域もすでに既存の無線システムが利用しているため、新規の電波資源割り当てが困難である。そこで、近年では、コグニティブ無線技術の活用による電波資源の更なる有効利用が注目されはじめている。
【0012】
コグニティブ無線技術では、既存の無線システムの時間的・空間的な空き電波(White Space)を利活用(例えば、動的周波数共用(DSA:Dynamic Spectrum Access))することにより、電波資源を捻出する。例えば、米国では、世界的には3GPP band 42、43とされている周波数帯とオーバーラップするFederal use band(3.55-3.70GHz)の一般国民への開放を目指し、周波数共用技術を活用するCBRS(Citizens Broadband Radio Service)の法制化・標準化が加速している。
【0013】
なお、コグニティブ無線技術は、動的周波数共用のみならず、無線システムによる周波数利用効率の向上にも寄与する。例えば、ETSI EN 303 387やIEEE 802.19.1-2014では、空き電波を利用する無線システム間の共存技術が規定されている。
【0014】
<1-1.周波数共用実現のための無線システムの制御>
一般に周波数共用においては、各国・地域の規制当局(NRA:National Regulatory Authority)によって、周波数帯域の利用に係る免許または認可を受けた1次利用者(プライマリユーザ)の無線システム(プライマリシステム)の保護が義務付けられる。典型的には、当該NRAによってプライマリシステムの許容干渉基準値が設けられ、二次利用者(セカンダリユーザ)の無線システム(セカンダリシステム)には、共用によって発生する与干渉が許容干渉基準値を下回ることを求められる。
【0015】
周波数共用を実現するため、例えば、通信制御装置(例えば、周波数管理データベース)が、プライマリシステムに対して致命的な干渉を与えないようにセカンダリシステムの通信を制御する。通信制御装置は、通信装置の通信等を管理する装置である。例えば、通信制御装置は、GLDB(Geo-location Database)、SAS(Spectrum Access System)等の電波資源(例えば、周波数)の管理のための装置(システム)である。本実施形態の場合、通信制御装置は、後述の通信制御装置60に相当する。通信制御装置60については、後に詳述する。
【0016】
ここで、プライマリシステムとは、例えば、所定の周波数帯をセカンダリシステム等の他のシステムに優先して使用するシステム(例えば、既存のシステム)である。また、セカンダリシステムとは、例えば、プライマリシステムが使用する周波数帯を二次利用(例えば、動的周波数共用)するシステムである。プライマリシステム及びセカンダリシステムは、それぞれ、複数の通信装置で構成されていてもよいし、1つの通信装置で構成されていてもよい。通信制御装置は、セカンダリシステムを構成する1又は複数の通信装置のプライマリシステムへの干渉の累積(Interference Aggregation)が、プライマリシステムの干渉許容量(干渉マージンともいう。)を越えないように、1又は複数の通信装置に干渉許容量を配分する。このとき、干渉許容量は、プライマリシステムの運営者や電波を管理する公的機関等が予め定めた干渉量であってもよい。以下の説明では、干渉マージンといった場合は、干渉許容量のことを指す。また、干渉の累積のことを、累積与干渉電力と呼ぶことがある。
【0017】
図1は、セカンダリシステムを構成する各通信装置への干渉マージンの配分例を示す説明図である。図1の例では、通信システム1がプライマリシステムであり、通信システム2がセカンダリシステムである。通信システム1は電波利用装置10等を備える。また、通信システム2は基地局装置40、40、40等を備える。なお、図1の例では、通信システム1は電波利用装置10を1つしか備えていないが、通信システム1が備える電波利用装置10は複数であってもよい。また、図1の例では、通信システム2は基地局装置40を3つ備えているが、通信システム2が備える基地局装置40は3つより少なくてもよいし、多くてもよい。また、通信システム2が備える無線通信装置は、必ずしも基地局装置でなくてもよい。なお、図1の例では、プライマリシステム(図1の例では通信システム1)及びセカンダリシステム(図1の例では通信システム2)がそれぞれ1つしか示されていないが、プライマリシステム及びセカンダリシステムはそれぞれ複数あってもよい。
【0018】
電波利用装置10、及び基地局装置40、40、40は、それぞれ、電波を送受信可能である。電波利用装置10が許容する干渉量はIacceptである。また、基地局装置40、40、40が通信システム1(プライマリシステム)の所定の保護点に与える干渉量は、それぞれ、与干渉量I、I、Iである。ここで、保護点は、通信システム1の保護のための干渉算出基準点である。
【0019】
通信制御装置は、通信システム1の所定の保護点への干渉の累積(図1に示す受信干渉量I+I+I)が干渉マージンIacceptを超えないように、複数の基地局装置40に干渉マージンIacceptを配分する。例えば、通信制御装置は、与干渉量I、I、IがそれぞれIaccept/3となるように各基地局装置40に干渉マージンIacceptを配分する。或いは、通信制御装置は、与干渉量I、I、IがそれぞれIaccept/3以下となるように、各基地局装置40に干渉マージンIacceptを配分する。勿論、干渉マージンの配分方法はこの例に限定されない。
【0020】
通信制御装置は、配分された干渉量(以下、配分干渉量という。)に基づいて、各基地局装置40に許容される最大送信電力(以下、最大許容送信電力という。)を算出する。例えば、通信制御装置は、伝搬損失、アンテナゲイン等に基づいて、配分干渉量から逆算することによって、各基地局装置40の最大許容送信電力を算出する。そして、通信制御装置は、算出した最大許容送信電力の情報を各基地局装置40に通知する。
【0021】
<1-2.本実施形態の概要>
2018年6月、第5世代移動通信システム(5G)向けの標準規格候補の初版となるRelease 15規格が3GPP(Third Generation Partnership Project)にて策定された。この規格に基づいて、2019年後半から5Gサービスが開始されるものと期待される。
【0022】
この5Gに対する市場の期待が高まる一方、課題として挙げられるのが、周波数帯の割り当ての問題である。超広帯域なサービスを実現する5Gでは、広い周波数帯域を確保できるミリ波の活用が議論されている。ただし、ミリ波帯の活用にはいくつか課題もある。ミリ波帯は伝搬損失が大きく、通信の安定性も低いことから、ホットスポット的な活用が想定され、広いカバレージを実現しようとすると、多くの基地局を設置する必要がある。つまり、設置コスト、運用コストの増大が懸念される。以上の理由から、導入初期は伝搬特性が比較的優れたサブ6GHzと呼ばれる6GHz以下の周波数帯の確保が望まれている。
【0023】
また、5G向けの周波数としては、インフラ装置、端末調達の観点から、国際的に共通の周波数帯であることが望ましいが、このサブ6GHzに含まれる多くの周波数帯は既に他の無線システムや公共目的で利用されているのが実情である。これを解決すべく、例えば非特許文献10(総務省:“電波利用に関する現状と課題について”,2017年11月)にあるように、日本国内でも公共用周波数の再編や民間共用の議論が開始されている。
【0024】
このような状況から、現在、電波を一次利用している通信機器(プライマリシステム)を置き換えることなく、かつ、枯渇しつつある周波数帯域の利用効率を高めるための周波数共用(二次利用)技術を実現することが強く望まれている。しかし、多様な電波の利用態様がある中で、周波数帯域の利用効率を高めるのは容易ではない。以下、この課題の一例を具体的に説明する。
【0025】
これまでに、例えば、2.3GHz帯に関しては、一次利用されている公共業務(固定・移動)にテレビジョン放送用の無線中継伝送装置であるFPU(Field Pickup Unit)を共用する案が検討され、2330MHz-2370MHzに、このFPUを導入するに至っている。非特許文献11(総務省:“周波数共用条件の検討状況について”,2018年10月)によれば、「同一又は隣接周波数を使用する既存の各無線システム(現行FPUを含む。)との干渉検討等を実施し、周波数共用条件の検討を実施する」とあり、共用する周波数帯を広げる検討が行われている。この2.3GHz帯の一部周波数帯は、航空自衛隊が航空警戒管制多重通信網の代替及び緊急時の見通し外区間の確保を目的とした移動式見通し外多重通信装置が使用していると思われる。
【0026】
所定の周波数帯を共用する際には、所定の周波数帯の一次利用の頻度や利用状況を二次利用側である程度把握されてしまう可能性があると考えられるが、一次利用の主体によっては、防衛や安全等の観点からその利用状況を公にしたくない状況も考え得る。例えば、所定の周波数帯が2.3GHz帯であるとすると、航空自衛隊のシステムが一次利用装置となると考えられ、一次利用装置の運営者(例えば、防衛省)にとっては、防衛や安全の観点からその利用状況を公にしたくないと想定される。そうなると、当該周波数帯が二次利用できるにも関わらず、当該周波数帯を二次利用させないという話になりかねない。
【0027】
この他にも、プライマリシステムが移動可能な無線通信装置を含む場合には、当該無線通信装置がどこで通信を行うのか分からないために、当該無線通信装置が無線通信に使う周波数帯を、常に、且つ、いかなる場所でも、二次利用させないという話になりかねない。
【0028】
そこで、本実施形態では、通信システムは、所定の周波数帯を一次利用する一次利用装置(プライマリシステム)に関する情報(例えば、一次利用装置の設置態様の情報)に基づいて当該一次利用装置の保護に関する情報を設定する。保護に関する情報は、例えば、一次利用装置に係る保護エリアの範囲の情報や一次利用装置に関する干渉マージンの情報である。保護に関する情報は、一次利用装置の位置情報であってもよい。そして、通信システムは、設定した情報に基づいて、所定の周波数帯を二次利用する二次利用装置(セカンダリシステム)の電波送信に関する通信パラメータを算出する。
【0029】
これにより、通信システムは、一次利用装置の状況(例えば、所定の周波数帯の利用態様)に応じて柔軟に通信パラメータを決定できるので、電波資源の効率的な利用を実現できる。
【0030】
なお、一次利用装置の保護に関する情報の設定に際しては、二次利用装置の情報が加味されてもよい。以下、これを具体的に説明する。
【0031】
例えば、一次利用の状況(例えば、プライマリシステムとなる基地局装置が固定設置されているか、若しくは、可動設置されているか)に応じて、その基地局の設置位置の秘匿度が異なることが考えられる。例えば、固定設置されている基地局は、その設置位置が悪意のある者に知られてしまうと、簡単に攻撃を受けてしまう可能性がある。一方で、可動設置の基地局の場合には、その位置を変更可能であることから、攻撃のリスクは低減されると想定される。
【0032】
よって、二次利用装置の運営主体が、例えば通信事業者のように、政府機関からその信用度やより高いセキュリティの確保を担保に免許を取得した事業者の場合には、通信システムは、例えば、固定設置の基地局のピンポイントの位置を含めた、一次利用装置の詳細な位置情報(或いは、詳細な位置情報が特定できてしまう情報)を、一次利用装置の保護に関する情報として設定する。一方で、二次利用装置の運営主体が、免許を持たない、あるいは、比較的低いセキュリティのみ確保してそれ相応の免許のみを取得した事業者の場合には、通信システムは、例えば、ピンポイントな位置としては可動設置の基地局の位置のみを設定する。このとき、通信システムは、固定設置の基地局の位置は、攻撃リスク低減のため、ピンポイントの位置ではなく、保護エリアの情報としてもよい。
【0033】
これにより、従来、秘匿度が高い等の理由により、周波数共用に適さなかった通信システムもプライマリシステムとして保護することができる。すなわち、プライマリシステムとすることができるシステムの裾野を広げることができる。結果として、電波資源の効率的な利用を実現できる。
【0034】
<1-3.周波数と共用に関する用語について>
なお、本実施形態では、プライマリシステム(例えば、通信システム1)及びセカンダリシステム(例えば、通信システム2)は、動的周波数共用環境下にあるものとする。以下、米国のFCC(Federal Communications Commission)が法整備したCBRSを例にとり本実施形態を説明する。なお、本実施形態の通信システム1及び通信システム2は、CBRSに限定されない。
【0035】
図2は、CBRSでの階層構造を示す説明図である。図2に示すように、周波数帯域のユーザの各々は3つのグループのうちのいずれかに分類される。このグループは、“tier”と呼ばれる。当該3つのグループは、それぞれ、既存層(Incumbent Tier)、優先アクセス層(Priority Access Tier)、及び一般認可アクセス層(General Authorized Access Tier)から構成される階層構造が定義されている。この階層構造では、一般認可アクセス層(General Authorized Access Tier)の上位に優先アクセス層(Priority Access Tier)が位置し、優先アクセス層の上位に既存層(Incumbent Tier)が位置している。CBRSを例にとると、既存層に位置するシステム(既存システム)がプライマリシステムとなり、一般認可アクセス層及び優先アクセス層に位置するシステムがセカンダリシステムとなる。
【0036】
既存層(Incumbent Tier)は、共用周波数帯域の既存ユーザからなるグループである。CBRSにおいては、国防総省(DOD:Department of Defense)、固定衛星事業者、新条件適用除外無線ブロードバンド免許人(GWBL:Grandfathered Wireless Broadband Licensee)が、既存ユーザとして定められる。“Incumbent Tier”は、より低い優先度を有する“Priority Access Tier”及び“GAA(General Authorized Access) Tier”への干渉回避又は抑制を要求されない。また、“Incumbent Tier”は、“Priority Access Tier”及び“GAA Tier”による干渉から保護される。即ち、“Incumbent Tier”のユーザは、他のグループの存在を考慮することなく、周波数帯域を使用することが可能である。
【0037】
優先アクセス層(Priority Access Tier)は、PAL(Priority Access License)と呼ばれる免許を有するユーザからなるグループである。“Priority Access Tier”より高い優先度を有する“Incumbent Tier”への干渉回避又は抑制を要求されるが、より低い優先度を有する“GAA Tier”への干渉回避又は抑制を要求されない。また、“Priority Access Tier”は、より高い優先度を有する“Incumbent Tier”による干渉から保護されないが、より低い優先度を有する“GAA Tier”による干渉から保護される。
【0038】
一般認可アクセス層(GAA Tier)は、上記“Incumbent Tier”および“Priority Access Tier”に属さない他の全てのユーザからなるグループである。より高い優先度を有する“Incumbent Tier”及び“Priority Access Tier”への干渉の回避又は抑制を要求される。また、“GAA Tier”は、より高い優先度を有する“Incumbent Tier”に及び“Priority Access Tier”よる干渉から保護されない。即ち、“GAA Tier”は、法制上、日和見的な(opportunistic)周波数利用が要求される“tier”である。
【0039】
なお階層構造はこれらの定義に限定されない。CBRSは一般に3Tier構造と呼ばれるが、2Tier構造であってもよい。代表的な一例として、LSA(Licensed Shared Access)やTVWS(TV band White Space)のような2Tier構造が挙げられる。LSAでは、前記“Incumbent Tier”と“Priority Access Tier”の組み合わせと同等の構造が採用されている。また、TVWSでは、前記“Incumbent Tier”と“GAA Tier”の組み合わせと同等の構造が採用されている。また、4以上のTierが存在してもよい。具体的には、例えば、“Priority Access Tier”に相当する中間層を、さらに優先度付するなどしてもよい。また、例えば、“GAA Tier”も同様に優先度付するなどしてもよい。
【0040】
図3は、CBRSの帯域を示す説明図である。上述のCBRSを例にとると、プライマリシステムは、軍事レーダシステム(Military Radar System)、既存無線システム(Grandfathered Wireless System)、或いは固定衛星業務(宇宙から地球)(Fixed Satellite Service (space-to-earth))となる。ここで、軍事レーダシステムは、代表的には艦載レーダである。また、セカンダリシステムはCBSD(Citizens Broadband Radio Service Device)、EUD(End User Device)と呼ばれる基地局、端末からなる無線ネットワークシステムとなる。セカンダリシステムにはさらに優先度が存在し、共用帯域を免許利用可能な優先アクセス免許(PAL:Priority Access License)と、免許不要と同等の一般認可アクセス(GAA:General Authorized Access)と、が定められている。図3に示す層1(Tier 1)は、図2に示す既存層に相当する。また、図3に示す層2(Tier 2)は、図2に示す優先アクセス層に相当する。また、図3に示す層3(Tier 3)は、図2に示す一般認可アクセス層に相当する。
【0041】
なお、本実施形態のプライマリシステム(通信システム1)は、図3に示した例に限られない。他の種類の無線システムをプライマリシステム(通信システム1)としてもよい。例えば、適用する国・地域・周波数帯域に応じて、他の無線システムをプライマリシステムとしてもよい。例えば、プライマリシステムは、DVB-T(Digital Video Broadcasting-Terrestrial)システム等のテレビジョン放送システムであってもよい。また、プライマリシステムは、FS(Fixed System)と呼ばれる無線システムであってもよい。また、他の周波数帯における周波数共用であってもよい。例えば、代表的な一例として、LSAやTVWS(TV band White Space)が挙げられる。また、プライマリシステムは、LTE(Long Term Evolution)、NR(New Radio)等のセルラー通信システムであってもよい。また、プライマリシステムは、ARNS(Aeronautical Radio Navigation Service)等の航空無線システムであってもよい。勿論、プライマリシステムは、上記の無線システムに限定されず、他の種類の無線システムであってもよい。
【0042】
また、通信システム2が利用する空き電波(White Space)は、Federal use band(3.55-3.70GHz)の電波に限られない。通信システム2は、Federal use band(3.55-3.70GHz)とは異なる周波数帯の電波を空き電波として利用してもよい。例えば、プライマリシステム(通信システム1)がテレビジョン放送システムなのであれば、通信システム2はTVホワイトスペースを空き電波として利用するシステムであってもよい。ここで、TVホワイトスペースとは、テレビジョン放送システム(プライマリシステム)に割当てられている周波数チャネルのうち、当該テレビジョン放送システムにより利用されていない周波数帯のことをいう。このとき、TVホワイトスペースは、地域に応じて使用されていないチャネルであってもよい。
【0043】
また、通信システム1及び通信システム2の関係は、通信システム1をプライマリシステム、通信システム2をセカンダリシステムとした周波数共用関係に限られない。通信システム1及び通信システム2の関係は、同一周波数を利用する同一または異なる無線システム間のネットワーク共存(Network Coexistence)関係であってもよい。
【0044】
一般に周波数共用において、対象帯域を利用する既存システムをプライマリシステム、二次利用者のシステムをセカンダリシステムと呼ぶが、周波数共用環境以外に本実施形態を適用する場合には、これら(プライマリシステム、セカンダリシステム)は別の用語のシステムに置き換えてもよい。例えば、HetNetにおけるマクロセルをプライマリシステム、スモールセルやリレー局をセカンダリシステムとしてもよい。また、基地局をプライマリシステム、そのカバレッジ内に存在するD2DやV2Xを実現するRelay UEやVehicle UEをセカンダリシステムとしてもよい。基地局は固定型に限らず、可搬型/移動型であってもよい。そのような場合、例えば、本発明の提供する通信制御装置は、基地局やリレー局、Relay UE等に具備されてもよい。
【0045】
なお、以下の説明で登場する「周波数」という用語は、別の用語によって置き換えられてもよい。例えば、「周波数」という用語は、「リソース」、「リソースブロック」、「リソースエレメント」、「チャネル」、「コンポーネントキャリア」、「キャリア」、「サブキャリア」、「ビーム」といった用語やこれらと類似の意味を有する用語によって置き換えられてよい。
【0046】
<<2.通信システムの構成>>
以下、本開示の実施形態に係る通信システム1000を説明する。通信システム1000は、通信システム1と、通信システム2と、を備える。通信システム1(第1無線システム)は、所定の周波数帯を利用(一次利用)して無線通信する無線通信システムである。また、通信システム2(第2無線システム)は、通信システム1が使用する周波数帯を二次利用して無線通信する無線通信システムである。例えば、通信システム2は、通信システム1の空き電波を動的周波数共用する無線通信システムである。通信システム2は、所定の無線アクセス技術(Radio Access Technology)を使って、ユーザ或いはユーザが有する装置に対し、無線サービスを提供する。
【0047】
ここで、通信システム1、2は、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、cdma2000(Code Division Multiple Access 2000)、LTE、NR等のセルラー通信システムであってもよい。以下の説明では、「LTE」には、LTE-A(LTE-Advanced)、LTE-A Pro(LTE-Advanced Pro)、及びEUTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)が含まれるものとする。また、「NR」には、NRAT(New Radio Access Technology)、及びFEUTRA(Further EUTRA)が含まれるものとする。
【0048】
NRは、LTEの次の世代(第5世代)の無線アクセス技術(RAT)である。NRは、eMBB(Enhanced Mobile Broadband)、mMTC(Massive Machine Type Communications)及びURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications)を含む様々なユースケースに対応できる無線アクセス技術である。
【0049】
なお、通信システム1、2は、セルラー通信システムに限られない。例えば、通信システム2は、無線LAN(Local Area Network)システム、テレビジョン放送システム、航空無線システム、宇宙無線通信システム等の他の無線通信システムであってもよい。
【0050】
本実施形態では、通信システム1はプライマリシステムであり、通信システム2はセカンダリシステムであるものとする。上述したように、通信システム1及び通信システム2は、それぞれ、複数あってもよい。なお、図1の例では、通信システム1は1つの電波利用装置10(図1に示す電波利用装置10)で構成されていたが、上述したように、複数の電波利用装置10で構成されていてもよい。電波利用装置10の構成は、後述する基地局装置40又は端末装置30の構成と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0051】
<2-1.通信システムの全体構成>
通信システム1000は、典型的には、以下のエンティティで構成される。
通信装置(例えば、基地局装置やプロキシ装置)
端末装置
管理装置(例えば、通信制御装置)
【0052】
なお、以下の説明では、通信装置となるエンティティは、電波利用装置10、基地局装置40、及びプロキシ装置50であるものとするが、通信装置となるエンティティはこれらの装置に限られず、他の通信装置(例えば、管理装置20、端末装置30、通信制御装置60)であってもよい。
【0053】
図4は、本開示の実施形態に係る通信システム1000の構成例を示す図である。上述したように、通信システム1000は、通信システム1と、通信システム2と、を備える。なお、図中の装置は、論理的な意味での装置と考えることも可能である。つまり、同図の装置の一部が仮想マシン(VM:Virtual Machine)、コンテナ(Container)、ドッカー(Docker)などで実現され、それらが物理的に同一のハードウェア上で実装されてもよい。
【0054】
通信システム1は、電波利用装置10と、管理装置20と、を備える。図4の例では、通信システム1は、電波利用装置10、10と、それらを管理する管理装置20とを備える。なお、通信システム1は、必ずしも管理装置20を有していなくてもよい。また、通信システム1は、電波利用装置10を複数有していてもよいし、1つのみ有していてもよい。図4の例の場合、電波利用装置10、10それぞれを1つの通信システム1とみなすことも可能である。
【0055】
通信システム2は、端末装置30と、基地局装置40と、プロキシ装置50と、通信制御装置60と、を備える。図4の例では、通信システム2として、通信システム2Aと、通信システム2Bと、が記載されている。通信システム2Aは、通信システム2a1と、通信システム2a2と、通信システム2a3と、を備える。通信システム2a1は、端末装置30と、基地局装置40と、を備え、通信システム2a2は、端末装置30と、基地局装置40~40と、プロキシ装置50と、を備え、通信システム2a3は、端末装置30~30と、基地局装置40~40と、プロキシ装置50と、を備える。また、通信システム2Bは、端末装置30と基地局装置40とを備える。
【0056】
なお、通信システム2は、必ずしも通信制御装置60を有していなくてもよい。図4の例を使って説明すると、通信制御装置60を外部に有する通信システム2a2及び通信システム2a3を、それぞれ1つの通信システム2とみなしてもよい。また、通信システム2は、必ずしもプロキシ装置50を有していなくてもよい。図4の例では、プロキシ装置50を有していない通信システム2a1を1つの通信システム2とみなしてもよい。
【0057】
通信システム1、2は、通信システム1、2を構成する各装置(例えば、無線通信装置等の通信装置)が連携して動作することで、ユーザ或いはユーザが有する装置に対し、無線サービスを提供する。無線通信装置は、無線通信の機能を有する装置のことである。図4の例では、電波利用装置10と基地局装置40と端末装置30とが無線通信装置に該当する。
【0058】
なお、プロキシ装置50及び通信制御装置60は、無線通信機能を有していてもよい。この場合には、プロキシ装置50及び通信制御装置60も無線通信装置とみなすことができる。以下の説明では、無線通信装置のことを単に通信装置ということがある。なお、通信装置は無線通信装置に限られず、例えば、無線通信機能を有さず、有線通信のみ可能な装置も通信装置とみなすことができる。
【0059】
なお、本実施形態において、「通信装置」という概念には、携帯端末等の持ち運び可能な移動体装置(例えば、端末装置)のみならず、構造物や移動体に設置される装置も含まれる。構造物や移動体そのものを通信装置とみなしてもよい。また、通信装置という概念には、端末装置のみならず、基地局装置及び中継装置も含まれる。通信装置は、処理装置及び情報処理装置の一種である。以下の説明で登場する「通信装置」の記載は、適宜「送信装置」又は「受信装置」と言い換えることが可能である。なお、本実施形態において、「通信」という概念には、「放送」が含まれるものとする。この場合、「通信装置」の記載は、適宜、「放送装置」と言い換えることが可能である。勿論、「通信装置」の記載は、適宜「送信装置」又は「受信装置」と言い換えてもよい。
【0060】
通信システム2は、端末装置30と、基地局装置40と、通信制御装置60と、プロキシ装置50と、をそれぞれ複数備えていてもよい。図4の例では、通信システム2は、端末装置30として端末装置30、30、30、30、30等を備えている。また、通信システム2は、基地局装置40として基地局装置40、40、40、40、405、40等を備えている。また、通信システム2は、通信制御装置60として通信制御装置60、60等を備えている。
【0061】
なお、以下の説明では、無線通信装置のことを無線システムと呼ぶことがある。例えば、端末装置30~30は、それぞれ、1つの無線システムである。また、電波利用装置10及び基地局装置40~40は、それぞれ、1つの無線システムである。なお、以下の説明では、通信システム1を第1無線システムとするが、通信システム1が備える1又は複数の電波利用装置10それぞれを第1無線システムとみなしてもよい。また、以下の説明では、通信システム2が備える1又は複数の基地局装置40それぞれを第2無線システムとするが、通信システム2そのものを第2無線システムとみなしてもよいし、通信システム2が備える1又は複数の端末装置30それぞれを第2無線システムとみなしてもよい。プロキシ装置50及び通信制御装置60が無線通信機能を有するのであれば、プロキシ装置50それぞれ或いは通信制御装置60それぞれを第2無線システムとみなしてもよい。
【0062】
なお、無線システムは、少なくとも1つの無線通信装置を含む複数の通信装置で構成される1つのシステムであってもよい。例えば、1又は複数の基地局装置40と、その配下にある1又は複数の端末装置30と、で構成されるシステムを1つの無線システムとみなしてもよい。また、通信システム1又は通信システム2を、それぞれ、1つの無線システムとみなすことも可能である。以下の説明では、少なくとも1つの無線通信装置を含む複数の通信装置で構成される通信システムのことを、無線通信システム、或いは、単に通信システムと呼ぶことがある。なお、1つの無線通信装置を含む複数の通信装置で構成される1つのシステムを第1無線システム或いは第2無線システムとみなしてもよい。
【0063】
なお、本実施形態において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味するものとする。このとき、システムを構成する全ての構成要素が同一筐体にあってもよいし、同一筐体になくてもよい。例えば、別個の筐体に収納され、有線、及び/又は無線を介して接続されている複数の装置は1つのシステムである。また、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置も1つのシステムである。
【0064】
[電波利用装置]
電波利用装置10は、通信システム1(プライマリシステム)を構成する無線通信装置である。電波利用装置10は、レーダ等の電波発射装置や反射波受信装置であってもよい。上述したように、プライマリシステムは、例えば、軍事レーダシステム、既存システム(例えば、テレビジョン放送システムや既存のセルラー通信システム)、又は固定衛星業務用のシステムである。
【0065】
通信システム1を軍事レーダシステムとする場合、電波利用装置10は、例えば、艦載レーダである。例えば、通信システム1をテレビジョン放送システムとする場合、電波利用装置10は、放送中継局等の放送局(設備としての放送局)である。通信システム1を固定衛星業務用のシステムとする場合、電波利用装置10は、例えば、人工衛星からの電波を受信するパラボラアンテナである。勿論、電波利用装置10はこれらに限定されない。通信システム1を既存のセルラー通信システムとする場合、電波利用装置10は基地局装置であってもよい。
【0066】
[管理装置]
管理装置20は、電波利用装置10を管理する装置である。例えば、管理装置20は、通信システム1の運営者や管理者が保有するサーバやデータベースである。
【0067】
なお、管理装置20は、公的機関が保有するサーバやデータベースであってもよい。例えば、管理装置20は、国・地域の電波行政機関が管理・運用するデータベース(例えば、レギュラトリデータベース)であってもよい。レギュラトリデータベースとしては、例えば、FCC(Federal Communications Commissions)が運用するULS(Universal Licensing System)が挙げられる。
【0068】
また、通信システム1を既存のセルラー通信システムとする場合、管理装置20は、無線ネットワークを管理する装置であってもよい。例えば、管理装置20は、MME(Mobility Management Entity)やAMF(Access and Mobility Management Function)として機能する装置であってもよい。
【0069】
通信システム2が電波利用装置10をノードの一つとするネットワークを構成する場合、管理装置20は、例えば、ネットワーク内の電波利用装置10を統合制御するネットワークマネージャであってもよい。
【0070】
勿論、電波利用装置10は、これらの例に限定されない。なお、管理装置20の機能は、電波利用装置10が有していてもよい。この場合、電波利用装置10を管理装置20とみなすことが可能である。
【0071】
[端末装置]
端末装置30は、通信機能を備えた通信機器である。端末装置30は、典型的にはスマートフォン等の通信機器である。端末装置30は、携帯電話、スマートデバイス(スマートフォン、又はタブレット)、ウェアラブル端末、IoT(Internet of Things)デバイス、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等のユーザ端末であってもよい。端末装置は、User Equipment、User Terminal、User Station、Mobile Terminal、Mobile Station、等と呼ばれることがある。
【0072】
また、端末装置30は、他の端末装置30とサイドリンク通信が可能であってもよい。端末装置30は、サイドリンク通信を行う際、HARQ(Hybrid ARQ(Automatic Repeat reQuest))等の自動再送技術を使用可能であってもよい。なお、端末装置30が使用する無線通信(サイドリンク通信を含む。)は、電波を使った無線通信であってもよいし、赤外線や可視光を使った無線通信(光無線)であってもよい。
【0073】
また、端末装置30は、移動体装置であってもよい。ここで、移動体装置は、移動可能な無線通信装置である。このとき、端末装置30は、移動体に設置される無線通信装置であってもよいし、移動体そのものであってもよい。例えば、端末装置30は、自動車、バス、トラック、自動二輪車等の道路上を移動する車両(Vehicle)、或いは、当該車両に搭載された無線通信装置であってもよい。なお、移動体は、モバイル端末であってもよいし、陸上(狭義の地上)、地中、水上、或いは、水中を移動する移動体であってもよい。また、移動体は、ドローン、ヘリコプター等の大気圏内を移動する移動体であってもよいし、人工衛星等の大気圏外を移動する移動体であってもよい。
【0074】
端末装置30は、同時に複数の基地局装置または複数のセルと接続して通信を実施してもよい。例えば、1つの基地局装置が複数のセル(例えば、pCell、sCell)を介して通信エリアをサポートしている場合に、キャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)技術やデュアルコネクティビティ(DC:Dual Connectivity)技術、マルチコネクティビティ(MC:Multi-Connectivity)技術によって、それら複数のセルを束ねて基地局装置40と端末装置30とで通信することが可能である。或いは、異なる基地局装置40のセルを介して、協調送受信(CoMP:Coordinated Multi-Point Transmission and Reception)技術によって、端末装置30とそれら複数の基地局装置40が通信することも可能である。
【0075】
なお、端末装置30は、人が利用するものである必要はない。端末装置30は、いわゆるMTC(Machine Type Communication)のように、工場の機械、建物に設置されるセンサであってもよい。また、端末装置30は、M2M(Machine to Machine)デバイス、又はIoT(Internet of Things)デバイスであってもよい。また、端末装置30は、D2D(Device to Device)やV2X(Vehicle to everything)に代表されるように、リレー通信機能を具備した装置であってもよい。また、端末装置30は、無線バックホール等で利用されるCPE(Client Premises Equipment)と呼ばれる機器であってもよい。また、端末装置30は、移動体に設置される無線通信装置であってもよいし、移動体そのものであってもよい。
【0076】
[基地局装置]
基地局装置40(第2無線システム)は、端末装置30或いは他の通信装置(他の基地局装置40、他のプロキシ装置50)と無線通信する無線通信装置である。基地局装置40は通信装置の一種である。基地局装置40は、例えば、無線基地局(Base Station、Node B、eNB、gNB、など)や無線アクセスポイント(Access Point)に相当する装置である。基地局装置40は、無線リレー局であってもよい。基地局装置40は、RSU(Road Side Unit)等の路上基地局装置であってもよい。また、基地局装置40は、RRH(Remote Radio Head)と呼ばれる光張り出し装置であってもよい。基地局装置40は、無線アクセス回線と無線バックホール回線を時分割多重、周波数分割多重、或いは、空間分割多重で提供するIAB(Integrated Access and Backhaul)ドナーノード、或いは、IABリレーノードであってもよい。
【0077】
本実施形態では、無線通信システムの基地局のことを基地局装置ということがある。なお、基地局装置40が使用する無線アクセス技術は、セルラー通信技術であってもよいし、無線LAN技術であってもよい。勿論、基地局装置40が使用する無線アクセス技術は、これらに限定されず、他の無線アクセス技術であってもよい。また、基地局装置40が使用する無線通信は、電波を使った無線通信であってもよいし、赤外線や可視光を使った無線通信(光無線)であってもよい。
【0078】
基地局装置40は、必ずしも固定されたものである必要もなく、自動車のように動くものに設置されていてもよい。また、基地局装置40は、必ずしも地上に存在する必要はなく、航空機、ドローン、ヘリコプター、衛星などのように、空中や宇宙に存在する物体や、船、潜水艦などのように海上・海中に存在する物体に通信装置機能が具備されてもよい。このような場合、基地局装置40は固定的に設置されている他の通信装置と無線通信を実施しうる。
【0079】
なお、基地局装置(基地局ともいう。)という概念には、ドナー基地局のみならず、リレー基地局(中継局、或いは中継局装置ともいう。)も含まれる。基地局という概念には、アクセスポイントも含まれる。また、基地局という概念には、基地局の機能を備えた構造物(Structure)のみならず、構造物に設置される装置も含まれる。
【0080】
構造物は、例えば、オフィスビル、家屋、鉄塔、駅施設、空港施設、港湾施設、スタジアム等の建物(Building)である。なお、構造物という概念には、建物のみならず、トンネル、橋梁、ダム、塀、鉄柱等の構築物(Non-building structure)や、クレーン、門、風車等の設備も含まれる。また、構造物という概念には、陸上(狭義の地上)又は地中の構造物のみならず、桟橋、メガフロート等の水上の構造物や、海洋観測設備等の水中の構造物も含まれる。
【0081】
基地局装置40は、ドナー局であってもよいし、リレー局(中継局)であってもよい。また、基地局装置40は、固定局であってもよいし、移動局であってもよい。移動局は、移動可能に構成された無線通信装置(例えば、基地局装置)である。このとき、基地局装置40は、移動体に設置される装置であってもよいし、移動体そのものであってもよい。例えば、移動能力(Mobility)をもつリレー局装置は、移動局としての基地局装置40とみなすことができる。また、車両、ドローン、スマートフォンなど、もともと移動能力がある装置であって、基地局装置の機能(少なくとも基地局装置の機能の一部)を搭載した装置も、移動局としての基地局装置40に該当する。
【0082】
ここで、移動体は、スマートフォンや携帯電話等のモバイル端末であってもよい。また、移動体は、陸上(狭義の地上)を移動する移動体(例えば、自動車、自転車、バス、トラック、自動二輪車、列車、リニアモーターカー等の車両)であってもよいし、地中(例えば、トンネル内)を移動する移動体(例えば、地下鉄)であってもよい。
【0083】
また、移動体は、水上を移動する移動体(例えば、旅客船、貨物船、ホバークラフト等の船舶)であってもよいし、水中を移動する移動体(例えば、潜水艇、潜水艦、無人潜水機等の潜水船)であってもよい。
【0084】
また、移動体は、大気圏内を移動する移動体(例えば、飛行機、飛行船、ドローン等の航空機)であってもよいし、大気圏外を移動する移動体(例えば、人工衛星、宇宙船、宇宙ステーション、探査機等の人工天体)であってもよい。大気圏外を移動する移動体は宇宙移動体と言い換えることができる。
【0085】
また、基地局装置40は、地上に設置される地上基地局装置(地上局装置)であってもよい。例えば、基地局装置40は、地上の構造物に配置される基地局装置であってもよいし、地上を移動する移動体に設置される基地局装置であってもよい。より具体的には、基地局装置40は、ビル等の構造物に設置されたアンテナ及びそのアンテナに接続する信号処理装置であってもよい。勿論、基地局装置40は、構造物や移動体そのものであってもよい。「地上」は、陸上(狭義の地上)のみならず、地中、水上、水中も含む広義の地上である。
【0086】
なお、基地局装置40は、地上基地局装置に限られない。基地局装置40は、空中又は宇宙を浮遊可能な非地上基地局装置(非地上局装置)であってもよい。例えば、基地局装置40は、航空機局装置や衛星局装置であってもよい。
【0087】
航空機局装置は、航空機等、大気圏内を浮遊可能な無線通信装置である。航空機局装置は、航空機等に搭載される装置であってもよいし、航空機そのものであってもよい。なお、航空機という概念には、飛行機、グライダー等の重航空機のみならず、気球、飛行船等の軽航空機も含まれる。また、航空機という概念には、重航空機や軽航空機のみならず、ヘリコプターやオートジャイロ等の回転翼機も含まれる。なお、航空機局装置(又は、航空機局装置が搭載される航空機)は、ドローン等の無人航空機であってもよい。
【0088】
なお、無人航空機という概念には、無人航空システム(UAS:Unmanned Aircraft Systems)、つなぎ無人航空システム(tethered UAS)も含まれる。また、無人航空機という概念には、軽無人航空システム(LTA:Lighter than Air UAS)、重無人航空システム(HTA:Heavier than Air UAS)が含まれる。その他、無人航空機という概念には、高高度無人航空システムプラットフォーム(HAPs:High Altitude UAS Platforms)も含まれる。
【0089】
衛星局装置は、大気圏外を浮遊可能な無線通信装置である。衛星局装置は、人工衛星等の宇宙移動体に搭載される装置であってもよいし、宇宙移動体そのものであってもよい。衛星局装置となる衛星は、低軌道(LEO:Low Earth Orbiting)衛星、中軌道(MEO:Medium Earth Orbiting)衛星、静止(GEO:Geostationary Earth Orbiting)衛星、高楕円軌道(HEO:Highly Elliptical Orbiting)衛星の何れであってもよい。勿論、衛星局装置は、低軌道衛星、中軌道衛星、静止衛星、又は高楕円軌道衛星に搭載される装置であってもよい。
【0090】
上述したように、基地局装置40は中継局装置であってもよい。中継局装置は、例えば、航空局や地球局である。中継局装置は上述の中継装置の一種とみなすことができる。航空局は、航空機局装置と通信を行うために、地上又は地上を移動する移動体に設置された無線局である。また、地球局は、衛星局装置と通信するために、地球(空中を含む。)に位置する無線局である。地球局は、大型地球局であってもよいし、VSAT(Very Small Aperture Terminal)等の小型地球局であってもよい。
【0091】
なお、地球局は、VSAT制御地球局(親局、HUB局ともいう。)であってもよいし、VSAT地球局(子局ともいう。)であってもよい。また、地球局は、地上を移動する移動体に設置される無線局であってもよい。例えば、船舶に搭載される地球局として、船上地球局(ESV:Earth Stations on board Vessels)が挙げられる。また、地球局には、航空機(ヘリコプターを含む。)に設置され、衛星局と通信する航空機地球局が含まれていてもよい。また、地球局には、地上を移動する移動体に設置され、衛星局を介して航空機地球局と通信する航空地球局が含まれていてもよい。なお、中継局装置は、衛星局や航空機局と通信する携帯移動可能な無線局であってもよい。
【0092】
基地局装置40のカバレッジの大きさは、マクロセルのような大きなものから、ピコセルのような小さなものであってもよい。勿論、基地局装置40のカバレッジの大きさは、フェムトセルのような極めて小さなものであってもよい。また、基地局装置40はビームフォーミングの能力を有していてもよい。この場合、基地局装置40はビームごとにセルやサービスエリアが形成されてもよい。
【0093】
基地局装置40は、さまざまなエンティティによって利用、運用、及び/又は管理されうる。例えば、基地局装置40は、移動体通信事業者(MNO:Mobile Network Operator)、仮想移動体通信事業者(MVNO:Mobile Virtual Network Operator)、仮想移動体通信イネーブラ(MVNE:Mobile Virtual Network Enabler)、ニュートラルホストネットワーク(NHN:Neutral Host Network)事業者、エンタープライズ、教育機関(学校法人、各自治体教育委員会、等)、不動産(ビル、マンション等)管理者、個人などが想定されうる。勿論、基地局装置40の利用、運用、及び/又は管理の主体はこれらに限定されない。
【0094】
基地局装置40は一事業者が設置及び/又は運用を行うものであってもよいし、一個人が設置及び/又は運用を行うものであってもよい。勿論、基地局装置40の設置・運用主体はこれらに限定されない。例えば、基地局装置40は、複数の事業者または複数の個人が共同で設置・運用を行うものであってもよい。また、基地局装置40は、複数の事業者または複数の個人が利用する共用設備であってもよい。この場合、設備の設置及び/又は運用は利用者とは異なる第三者によって実施されてもよい。
【0095】
事業者によって運用される基地局装置40は、典型的には、コアネットワークを介してインターネット接続される。また、基地局装置40は、OA&M(Operation, Administration & Maintenance)と呼ばれる機能により、運用管理・保守がなされる。なお、通信システム2には、例えば、ネットワーク内の基地局装置40を統合制御するネットワークマネージャが存在しうる。
【0096】
[プロキシ装置]
プロキシ装置50(プロキシシステム)は、1又は複数の通信装置(例えば、基地局装置40)を代理(代表)して通信制御装置60と通信する装置である。プロキシ装置50も通信装置の一種である。
【0097】
プロキシ装置50は、非特許文献2等で規定されるDP(Domain Proxy)であってもよい。ここで、DPとは、複数のCBSDそれぞれ、又は複数のCBSDで構成されるネットワークに代わってSASと通信するエンティティのことをいう。なお、1又は複数の通信装置を代理(代表)して通信制御装置60と通信する機能を有しているのであれば、プロキシ装置50は、非特許文献2で規定されるDPに限られない。ネットワーク内の基地局装置40を統合制御するネットワークマネージャをプロキシ装置50とみなしてもよい。
【0098】
なお、プロキシシステムは、1つの装置で構成されていてもよいし、複数の装置で構成されていてもよい。プロキシ装置50と基地局装置40との間の通信は有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。同様に、プロキシ装置50と通信制御装置60との間の通信は有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0099】
なお、プロキシ装置50が代理(代表)する通信装置は基地局装置40に限られず、例えば、端末装置30であってもよい。以下の説明では、プロキシ装置50が代理(代表)する1又は複数の通信装置(例えば、1又は複数の基地局装置40)のことを配下の通信装置(例えば、配下の基地局装置40)ということがある。
【0100】
[通信制御装置]
通信制御装置60は、基地局装置40を管理する装置である。例えば、通信制御装置60は、基地局装置40の無線通信を制御する装置である。例えば、通信制御装置60は、基地局装置40が使用する通信パラメータ(動作パラメータともいう。)を決定し、基地局装置40に対して許可又は指示を行う装置である。
【0101】
このとき、通信制御装置60は、ネットワーク内の無線装置を統合制御するネットワークマネージャであってもよい。ETSI EN 303 387やIEEE 802.19.1-2014を例にとると、通信制御装置60は、無線機器間の電波干渉制御を行うSpectrum Manager/Coexistence Managerといった制御装置であってもよい。また、例えば、IEEE 802.11-2016にて規定されるRLSS(Registered Location Secure Server)も通信制御装置60となりうる。また、周波数共用環境下では、GLDB(Geolocation database)やSAS(Spectrum Access System)といったデータベース(データベースサーバ、装置、システム)も通信制御装置60となりうる。
【0102】
なお、通信システム2がセルラー通信システムなのであれば、通信制御装置60は、コアネットワークを構成する装置であってもよい。コアネットワークCNは、例えば、EPC(Evolved Packet Core)や5GC(5G Core network)である。コアネットワークがEPCなのであれば、通信制御装置60は、例えば、MME(Mobility Management Entity)としての機能を有する装置であってもよい。また、コアネットワークが5GCなのであれば、通信制御装置60は、例えば、AMF(Access and Mobility Management Function)、或いは、SMF(Session Management Function)としての機能を有する装置であってもよい。なお、通信システム2がセルラー通信システムの場合であっても、通信制御装置60は必ずしもコアネットワークを構成する装置である必要はない。例えば、通信制御装置60はRNC(Radio Network Controller)としての機能を有する装置であってもよい。
【0103】
なお、通信制御装置60はゲートウェイの機能を有していてもよい。例えば、コアネットワークがEPCなのであれば、通信制御装置60は、S-GW(Serving Gateway)やP-GW(Packet Data Network Gateway)としての機能を有する装置であってもよい。また、コアネットワークが5GCなのであれば、通信制御装置60は、UPF(User Plane Function)としての機能を有する装置であってもよい。なお、通信制御装置60は必ずしもコアネットワークを構成する装置でなくてもよい。例えば、コアネットワークがW-CDMAやcdma2000のコアネットワークであるとする。このとき、通信制御装置60はRNC(Radio Network Controller)として機能する装置であってもよい。
【0104】
基本的には、通信制御装置60の制御対象は基地局装置40となるが、通信制御装置60はその配下の端末装置30を制御してもよい。また、通信制御装置60は、複数のセカンダリシステムを制御してもよい。この場合、通信システム2は、複数のセカンダリシステムを備えるシステムとみなすことが可能である。
【0105】
また、通信制御装置60は、1つの通信システム2に複数存在していてもよい。図5は、通信制御装置60が分散的に配置されるモデルを示す図である。この場合、複数の通信制御装置60(図5の例の場合、通信制御装置60及び通信制御装置60)は互いに管理する基地局装置40の情報を交換し、必要な周波数の割り当てや干渉制御の計算を行う。
【0106】
また、通信制御装置60は、マスタ-スレーブ型の装置であってもよい。図6は、1つの通信制御装置が中央制御的に複数の通信制御装置を統括するモデル(いわゆるマスタ-スレーブ型のモデル)を示す図である。図6の例では、通信制御装置60がマスタ通信制御装置であり、通信制御装置60、60がスレーブ通信制御装置である。このようなシステムの場合、マスタ通信制御装置は複数のスレーブ通信制御装置を統括し、集中的に意思決定を行うことが可能である。また、マスタ通信制御装置は、負荷分散(ロードバランシング)などを目的として、各スレーブ通信制御装置に対して、意思決定権限の委譲・破棄等を実施することも可能である。
【0107】
なお、通信制御装置60は、その役目のために、基地局装置40、端末装置30、及びプロキシ装置50以外のエンティティからも必要な情報を取得しうる。具体的には、通信制御装置60は、例えば、国・地域の電波行政機関が管理・運用するデータベース(レギュラトリデータベース)から、プライマリシステムの位置情報等、保護に必要な情報を取得しうる。レギュラトリデータベースの一例としては、米国連邦通信委員会(Federal Communications Commissions)が運用するULS(Universal Licensing System)などが挙げられる。保護に必要な情報のその他の例としては、例えば、帯域外輻射制限(OOBE(Out-of-Band Emission) Limit)、隣接チャネル漏洩比(ACLR:Adjacent Channel Leakage Ratio)、隣接チャネル選択性(Adjacent Channel Selectivity)、フェージングマージン、及び/又は保護比率(PR:Protection Ratio)等を含みうる。これらの例については、法制上、数値が固定的に与えられる場合にはそれらを用いることが望ましい。
【0108】
また、その他の一例としては、通信制御装置60が、プライマリシステムの電波検知を目的に設置・運用される電波センシングシステムから電波センシング情報を取得することも想定されうる。具体的な一例としては、通信制御装置60は、米国CBRSにおける環境センシング機能(ESC:Environmental Sensing Capability)のような電波センシングシステムから、プライマリシステムの電波検知情報を取得しうる。また、通信装置や端末がセンシング機能を具備する場合、通信制御装置60は、これらからプライマリシステムの電波検知情報を取得してもよい。
【0109】
以下、通信システム1000が備える各装置の構成を具体的に説明する。
【0110】
<2-2.電波利用装置の構成>
最初に、電波利用装置10の構成を説明する。図7は、本開示の実施形態に係る電波利用装置10の構成例を示す図である。電波利用装置10は、所定の周波数帯を一次利用する装置である。例えば、電波利用装置10は、他の無線通信装置と無線通信する通信装置(無線システム)である。この場合、電波利用装置10は、通信装置の一種とみなすことができる。なお、電波利用装置10は、電波発射装置や反射波受信装置であってもよい。電波利用装置10は、情報処理装置の一種である。
【0111】
電波利用装置10は、処理部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。なお、図7に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、電波利用装置10の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
【0112】
処理部11は、所定の周波数帯の電波を利用するための処理部である。例えば、処理部11は、所定の周波数帯の電波の出力や受信をするための各種処理を行う信号処理部である。電波利用装置10が無線通信装置なのであれば、処理部11は、他の通信装置と無線通信する無線通信インタフェースであってもよい。ここで、他の通信装置には、セルラー通信等を行う通信装置のみならず、テレビ放送等の放送波を送信する送信装置や放送波を受信する受信装置も含まれる。
【0113】
記憶部12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部12は、電波利用装置10の記憶手段として機能する。
【0114】
制御部13は、電波利用装置10の各部を制御するコントローラ(Controller)である。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部13は、電波利用装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部13は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0115】
なお、電波利用装置10は管理装置20としての機能を有していてもよい。この場合、制御部13は、管理装置20の制御部が有する各機能ブロックを有していてもよい。
【0116】
<2-3.管理装置の構成>
次に、管理装置20の構成を説明する。図8は、本開示の実施形態に係る管理装置20の構成例を示す図である。管理装置20は、電波利用装置10を管理する装置である。管理装置20は、電波利用装置10の電波出力を管理する装置であってもよいし、電波利用装置10の設置態様や管理主体等の情報を管理する装置であってもよい。管理装置20は、情報処理装置の一種である。
【0117】
管理装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備える。なお、図7に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、管理装置20の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
【0118】
通信部21は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。通信部21は、ネットワークインタフェースであってもよいし、機器接続インタフェースであってもよい。例えば、通信部21は、NIC(Network Interface Card)等のLAN(Local Area Network)インタフェースであってもよいし、USB(Universal Serial Bus)ホストコントローラ、USBポート等により構成されるUSBインタフェースであってもよい。また、通信部21は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。通信部21は、管理装置20の通信手段として機能する。通信部21は、制御部23の制御に従って電波利用装置10と通信する。
【0119】
記憶部22は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部22は、管理装置20の記憶手段として機能する。記憶部22は、第1の識別子等を記憶する。第1の識別子については後述する。
【0120】
制御部23は、管理装置20の各部を制御するコントローラである。制御部23は、例えば、CPU、MPU等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部23は、管理装置20内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部23は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0121】
制御部23は、図8に示すように、割当部231と、検出部232と、決定部233と、提供部234と、を備える。制御部23を構成する各ブロック(割当部231~提供部234)はそれぞれ制御部23の機能を示す機能ブロックである。これら機能ブロックはソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。例えば、上述の機能ブロックが、それぞれ、ソフトウェア(マイクロプログラムを含む。)で実現される1つのソフトウェアモジュールであってもよいし、半導体チップ(ダイ)上の1つの回路ブロックであってもよい。勿論、各機能ブロックがそれぞれ1つのプロセッサ又は1つの集積回路であってもよい。機能ブロックの構成方法は任意である。なお、制御部23は上述の機能ブロックとは異なる機能単位で構成されていてもよい。
【0122】
上述したように、電波利用装置10を管理装置20とみなすことが可能である。この場合、以下の説明で登場する「管理装置20」の記載は、適宜「電波利用装置10」に置き換え可能である。以下の説明で登場する「制御部23」、「割当部231」、「検出部232」、「決定部233」、及び「提供部234」の記載も、適宜「制御部13」に置き換え可能である。
【0123】
<2-4.端末装置の構成>
次に、端末装置30の構成を説明する。図9は、本開示の実施形態に係る端末装置30の構成例を示す図である。端末装置30は、基地局装置40及び/又は通信制御装置60と無線通信する通信装置(無線システム)である。端末装置30は、情報処理装置の一種である。
【0124】
端末装置30は、無線通信部31と、記憶部32と、入出力部33と、制御部34と、を備える。なお、図9に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、端末装置30の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
【0125】
無線通信部31は、他の通信装置(例えば、基地局装置40及び他の端末装置30)と無線通信する無線通信インタフェースである。無線通信部31は、制御部34の制御に従って動作する。無線通信部31は1又は複数の無線アクセス方式に対応する。例えば、無線通信部31は、NR及びLTEの双方に対応する。無線通信部31は、W-CDMAやcdma2000等、他の無線アクセス方式に対応していてもよい。
【0126】
無線通信部31は、受信処理部311と、送信処理部312と、アンテナ313と、を備える。無線通信部31は、受信処理部311、送信処理部312、及びアンテナ313をそれぞれ複数備えていてもよい。なお、無線通信部31が複数の無線アクセス方式に対応する場合、無線通信部31の各部は、無線アクセス方式毎に個別に構成されうる。例えば、受信処理部311及び送信処理部312は、LTEとNRとで個別に構成されてもよい。受信処理部311、及び送信処理部312の構成は、基地局装置40の受信処理部411、及び送信処理部412と同様である。
【0127】
記憶部32は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部32は、端末装置30の記憶手段として機能する。
【0128】
入出力部33は、ユーザと情報をやりとりするためのユーザインタフェースである。例えば、入出力部33は、キーボード、マウス、操作キー、タッチパネル等、ユーザが各種操作を行うための操作装置である。又は、入出力部33は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等の表示装置である。入出力部33は、スピーカー、ブザー等の音響装置であってもよい。また、入出力部33は、LED(Light Emitting Diode)ランプ等の点灯装置であってもよい。入出力部33は、端末装置30の入出力手段(入力手段、出力手段、操作手段又は通知手段)として機能する。
【0129】
制御部34は、端末装置30の各部を制御するコントローラである。制御部34は、例えば、CPU、MPU等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部34は、端末装置30内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部34は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。なお、制御部34は、基地局装置40の制御部が有する各機能ブロックを有していてもよい。
【0130】
<2-5.基地局装置の構成>
次に、基地局装置40の構成を説明する。図10は、本開示の実施形態に係る基地局装置40の構成例を示す図である。基地局装置40は、通信制御装置60の制御に従って端末装置30と無線通信する通信装置(無線システム)である。基地局装置40は、情報処理装置の一種である。
【0131】
基地局装置40は、無線通信部41と、記憶部42と、ネットワーク通信部43と、制御部44と、を備える。なお、図10に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、基地局装置40の機能は、複数の物理的に分離された装置に分散して実装されてもよい。
【0132】
無線通信部41は、他の通信装置(例えば、端末装置30、通信制御装置60、プロキシ装置50、及び他の基地局装置40)と無線通信する無線通信インタフェースである。無線通信部41は、制御部44の制御に従って動作する。無線通信部41は複数の無線アクセス方式に対応してもよい。例えば、無線通信部41は、NR及びLTEの双方に対応してもよい。無線通信部41は、W-CDMAやcdma2000等の他のセルラー通信方式に対応してもよい。また、無線通信部41は、セルラー通信方式に加えて、無線LAN通信方式に対応してもよい。勿論、無線通信部41は、1つの無線アクセス方式に対応するだけであってもよい。
【0133】
無線通信部41は、受信処理部411と、送信処理部412と、アンテナ413と、を備える。無線通信部41は、受信処理部411、送信処理部412、及びアンテナ413をそれぞれ複数備えていてもよい。なお、無線通信部41が複数の無線アクセス方式に対応する場合、無線通信部41の各部は、無線アクセス方式毎に個別に構成されうる。例えば、基地局装置40がNRとLTEとに対応しているのであれば、受信処理部411及び送信処理部412は、NRとLTEとで個別に構成されてもよい。
【0134】
受信処理部411は、アンテナ413を介して受信された上りリンク信号の処理を行う。受信処理部411は、無線受信部411aと、多重分離部411bと、復調部411cと、復号部411dと、を備える。
【0135】
無線受信部411aは、上りリンク信号に対して、ダウンコンバート、不要な周波数成分の除去、増幅レベルの制御、直交復調、デジタル信号への変換、ガードインターバルの除去、高速フーリエ変換による周波数領域信号の抽出等を行う。例えば、基地局装置40の無線アクセス方式が、LTE等のセルラー通信方式であるとする。このとき、多重分離部411bは、無線受信部411aから出力された信号から、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)等の上りリンクチャネル及び上りリンク参照信号を分離する。復調部411cは、上りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)等の変調方式を使って受信信号の復調を行う。復調部411cが使用する変調方式は、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、又は256QAMであってもよい。復号部411dは、復調された上りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。復号された上りリンクデータ及び上りリンク制御情報は制御部44へ出力される。
【0136】
送信処理部412は、下りリンク制御情報及び下りリンクデータの送信処理を行う。送信処理部412は、符号化部412aと、変調部412bと、多重部412cと、無線送信部412dと、を備える。
【0137】
符号化部412aは、制御部44から入力された下りリンク制御情報及び下りリンクデータを、ブロック符号化、畳み込み符号化、ターボ符号化等の符号化方式を用いて符号化を行う。変調部412bは、符号化部412aから出力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の所定の変調方式で変調する。多重部412cは、各チャネルの変調シンボルと下りリンク参照信号とを多重化し、所定のリソースエレメントに配置する。無線送信部412dは、多重部412cからの信号に対して、各種信号処理を行う。例えば、無線送信部412dは、高速フーリエ変換による時間領域への変換、ガードインターバルの付加、ベースバンドのデジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、アップコンバート、余分な周波数成分の除去、電力の増幅等の処理を行う。送信処理部412で生成された信号は、アンテナ413から送信される。
【0138】
記憶部42は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部42は、基地局装置40の記憶手段として機能する。記憶部42は、所望送信電力情報、動作パラメータ、保有リソース情報等を記憶する。
【0139】
所望送信電力情報は、基地局装置40が、電波の送信に必要な送信電力の情報として、通信制御装置60に要求する送信電力の情報である。
【0140】
動作パラメータは、基地局装置40の電波送信動作に関する情報(例えば、設定情報)である。例えば、通動作パラメータは、基地局装置40に許容された送信電力の最大値(最大許容送信電力)の情報である。勿論、動作パラメータは、最大許容送信電力の情報に限定されない。
【0141】
また、保有リソース情報は、基地局装置40の無線リソースの保有に関する情報である。例えば、保有リソース情報は、基地局装置40が現在使用可能な無線リソースの情報である。例えば、保有リソース情報は、基地局装置40が通信制御装置60から割り当てられた干渉マージンの保有量の情報である。保有量の情報は、後述のリソースブロック単位の情報であってもよい。すなわち、保有リソース情報は、基地局装置40が保有するリソースブロックに関する情報(例えば、リソースブロック保有量)であってもよい。
【0142】
ネットワーク通信部43は、他の装置(例えば、通信制御装置60、プロキシ装置50、及び他の基地局装置40)と通信するための通信インタフェースである。例えば、ネットワーク通信部43は、NIC(Network Interface Card)等のLAN(Local Area Network)インタフェースである。ネットワーク通信部43は、USB(Universal Serial Bus)ホストコントローラ、USBポート等により構成されるUSBインタフェースであってもよい。また、ネットワーク通信部43は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。ネットワーク通信部43は、基地局装置40のネットワーク通信手段として機能する。ネットワーク通信部43は、制御部44の制御に従って、他の装置と通信する。
【0143】
制御部44は、基地局装置40の各部を制御するコントローラ(Controller)である。制御部44は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部44は、基地局装置40内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部44は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0144】
制御部44は、図10に示すように、第1の提供部441と、第2の提供部442と、要求部443と、取得部444と、設定部445と、通信制御部446と、を備える。制御部44を構成する各ブロック(第1の提供部441~通信制御部446)はそれぞれ制御部44の機能を示す機能ブロックである。これら機能ブロックはソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。例えば、上述の機能ブロックが、それぞれ、ソフトウェア(マイクロプログラムを含む。)で実現される1つのソフトウェアモジュールであってもよいし、半導体チップ(ダイ)上の1つの回路ブロックであってもよい。勿論、各機能ブロックがそれぞれ1つのプロセッサ又は1つの集積回路であってもよい。機能ブロックの構成方法は任意である。なお、制御部44は上述の機能ブロックとは異なる機能単位で構成されていてもよい。
【0145】
上述したように、端末装置30の制御部34は、基地局装置40の制御部44が有する各機能ブロックを有していてもよい。この場合、以下の説明で登場する「基地局装置40」の記載は、適宜「端末装置30」に置き換え可能である。また、以下の説明で登場する「制御部44」、「第1の提供部441」、「第2の提供部442」、「要求部443」、「取得部444」、「設定部445」、及び「通信制御部446」の記載も、適宜「制御部13」に置き換え可能である。
【0146】
<2-6.プロキシ装置の構成>
次に、プロキシ装置50の構成を説明する。図11は、本開示の実施形態に係るプロキシ装置50の構成例を示す図である。プロキシ装置50は、基地局装置40及び通信制御装置60と通信する通信装置である。プロキシ装置50は、情報処理装置の一種である。
【0147】
プロキシ装置50は、無線通信部51と、記憶部52と、ネットワーク通信部53と、制御部54と、を備える。なお、図11に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、プロキシ装置50の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
【0148】
無線通信部51は、他の通信装置(例えば、基地局装置40、端末装置30、通信制御装置60、及び他のプロキシ装置50)と無線通信する無線通信インタフェースである。無線通信部51は、制御部54の制御に従って動作する。無線通信部51は1又は複数の無線アクセス方式に対応する。例えば、無線通信部51は、NR及びLTEの双方に対応する。無線通信部51は、W-CDMAやcdma2000等、他の無線アクセス方式に対応していてもよい。無線通信部51の構成は、基地局装置40の無線通信部41と同様である。
【0149】
記憶部52は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部52は、プロキシ装置50の記憶手段として機能する。記憶部52は、配下の基地局装置40それぞれの所望送信電力情報、動作パラメータ、保有リソース情報等を記憶していてもよい。
【0150】
ネットワーク通信部53は、他の装置(例えば、基地局装置40、通信制御装置60、及び、他のプロキシ装置50)と通信するための通信インタフェースである。例えば、ネットワーク通信部53は、NIC等のLANインタフェースである。ネットワーク通信部53は、USBホストコントローラ、USBポート等により構成されるUSBインタフェースであってもよい。また、ネットワーク通信部53は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。ネットワーク通信部53は、プロキシ装置50のネットワーク通信手段として機能する。ネットワーク通信部53は、制御部54の制御に従って、他の装置と通信する。
【0151】
制御部54は、プロキシ装置50の各部を制御するコントローラである。制御部54は、例えば、CPU、MPU等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部54は、プロキシ装置50内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部54は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0152】
制御部54は、図11に示すように、第1の提供部541と、第2の提供部542と、要求部543と、取得部544と、設定部545と、を備える。制御部54を構成する各ブロック(第1の提供部541~設定部545)はそれぞれ制御部54の機能を示す機能ブロックである。これら機能ブロックはソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。例えば、上述の機能ブロックが、それぞれ、ソフトウェア(マイクロプログラムを含む。)で実現される1つのソフトウェアモジュールであってもよいし、半導体チップ(ダイ)上の1つの回路ブロックであってもよい。勿論、各機能ブロックがそれぞれ1つのプロセッサ又は1つの集積回路であってもよい。機能ブロックの構成方法は任意である。なお、制御部54は上述の機能ブロックとは異なる機能単位で構成されていてもよい。制御部54を構成する各ブロックの動作は後述する。
【0153】
制御部54を構成する各ブロック(第1の提供部541~設定部545)の動作は、基地局装置40の制御部54を構成する各ブロック(第1の提供部441~設定部445)動作と同じであってもよい。この場合、以下の説明で登場する「プロキシ装置50」の記載は、適宜、「基地局装置40」に置き換え可能である。同様に、以下の説明で登場する「制御部54」、「第1の提供部541」、「第2の提供部542」、「要求部543」、「取得部544」、「設定部545」の記載は、適宜、「制御部44」、「第1の提供部441」、「第2の提供部442」、「要求部443」、「取得部444」、「設定部445」に置き換え可能である。
【0154】
<2-7.通信制御装置の構成>
通信制御装置60は、基地局装置40の無線通信を制御する装置である。通信制御装置60は、基地局装置40を介して、或いは直接、端末装置30の無線通信を制御してもよい。通信制御装置60は、情報処理装置の一種である。
【0155】
図12は、本開示の実施形態に係る通信制御装置60の構成例を示す図である。通信制御装置60は、無線通信部61と、記憶部62と、ネットワーク通信部63、制御部64と、を備える。なお、図12に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、通信制御装置60の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。例えば、通信制御装置60は、複数のサーバ装置により構成されていてもよい。
【0156】
無線通信部61は、他の通信装置(例えば、基地局装置40、端末装置30、プロキシ装置50、及び他の通信制御装置60)と無線通信する無線通信インタフェースである。無線通信部61は、制御部64の制御に従って動作する。無線通信部61は1又は複数の無線アクセス方式に対応する。例えば、無線通信部61は、NR及びLTEの双方に対応する。無線通信部61は、W-CDMAやcdma2000等、他の無線アクセス方式に対応していてもよい。無線通信部61の構成は、基地局装置40の無線通信部41と同様である。
【0157】
記憶部62は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部62は、基地局装置40の記憶手段として機能する。記憶部62は、通信システム2を構成する複数の基地局装置40それぞれの動作パラメータを記憶する。なお、記憶部62は、通信システム2を構成する複数の基地局装置40それぞれの保有リソース情報を記憶していてもよい。上述したように、保有リソース情報は、基地局装置40の無線リソースの保有に関する情報である。
【0158】
ネットワーク通信部63は、他の装置(例えば、基地局装置40、プロキシ装置50、及び、他の通信制御装置60)と通信するための通信インタフェースである。ネットワーク通信部63は、ネットワークインタフェースであってもよいし、機器接続インタフェースであってもよい。例えば、ネットワーク通信部63は、NIC(Network Interface Card)等のLAN(Local Area Network)インタフェースであってもよい。また、ネットワーク通信部63は、USB(Universal Serial Bus)ホストコントローラ、USBポート等により構成されるUSBインタフェースであってもよい。また、ネットワーク通信部63は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。ネットワーク通信部63は、通信制御装置60の通信手段として機能する。ネットワーク通信部63は、制御部64の制御に従って基地局装置40、端末装置30及びプロキシ装置50と通信する。
【0159】
制御部64は、通信制御装置60の各部を制御するコントローラである。制御部64は、例えば、CPU、MPU等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部64は、通信制御装置60内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部64は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0160】
制御部64は、図12に示すように、第1の受信部641と、第2の受信部642と、設定部643と、算出部644と、通知部645と、を備える。制御部64を構成する各ブロック(第1の受信部641~通知部645)はそれぞれ制御部64の機能を示す機能ブロックである。これら機能ブロックはソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。例えば、上述の機能ブロックが、それぞれ、ソフトウェア(マイクロプログラムを含む。)で実現される1つのソフトウェアモジュールであってもよいし、半導体チップ(ダイ)上の1つの回路ブロックであってもよい。勿論、各機能ブロックがそれぞれ1つのプロセッサ又は1つの集積回路であってもよい。機能ブロックの構成方法は任意である。なお、制御部64は上述の機能ブロックとは異なる機能単位で構成されていてもよい。制御部64を構成する各ブロックの動作は後述する。
【0161】
<<3.干渉モデル>>
次に、本実施形態で想定する干渉モデルを説明する。図13は、本開示の実施形態で想定する干渉モデルの一例を示す説明図である。なお、以下の説明で登場する、基地局装置40の記載は、無線通信機能を有する他の通信装置を示すワードに置き換え可能である。
【0162】
図13に示す干渉モデルは、例えば、プライマリシステムがサービスエリアを持つ場合に適用される。図13の例では、通信システム1(プライマリシステム)はサービスエリアを有する無線通信システムとなっている。このサービスエリアが、例えば、通信システム1の保護エリアとなる。保護エリアには、干渉計算基準点(以下、保護点という。)は複数設定される。保護点(Protection Point)は、例えば、通信システム1の運営者や電波を管理する公的機関等(以下、管理者という。)により設定される。例えば、管理者は、保護エリアを格子状に区切り、所定の格子の中心を保護点としてもよい。保護点の決定方法は任意である。各保護点の干渉マージンは管理者等により設定される。図13には、通信システム2(セカンダリシステム)を構成する複数の基地局装置40が、保護点に与える干渉が示されている。通信システム2の通信制御装置60は、各保護点における累積干渉が、設定された干渉マージンを超えないように、複数の基地局装置40の送信電力を制御する。
【0163】
図14は、本開示の実施形態で想定する干渉モデルの他の例を示す説明図である。図14に示す干渉モデルは、例えば、プライマリシステムが受信のみ行う場合に適用される。図14の例では、通信システム1(プライマリシステム)は、電波利用装置10として受信アンテナを有している。電波利用装置10は、例えば、衛星地上局の受信アンテナである。通信システム2の通信制御装置60は、受信アンテナの位置を保護点とし、その地点における累積干渉が干渉マージンを超えないように、複数の基地局装置40の送信電力を制御する。
【0164】
<<4.プライマリシステム保護方法>>
次に、プライマリシステム保護方法について説明する。上述したように、プライマリシステム保護方法は、例えば、以下の2種類に分類可能である。
(1)干渉マージン一斉配分型
(2)干渉マージン逐次配分型
【0165】
なお、干渉マージン一斉配分型のプライマリシステム保護方法の例としては、例えば、非特許文献3にて開示されている手法(例えば、最大許容EIRPの計算手法)が挙げられる。また、干渉マージン逐次配分型のプライマリシステム保護方法の例としては、例えば、非特許文献6で開示されている逐次配分処理(IAP:Iterative Allocation Process)が挙げられる。
【0166】
以下、「干渉マージン一斉配分型」のプライマリシステム保護方法と「干渉マージン逐次配分型」のプライマリシステム保護方法について説明する。なお、以下の説明で登場する、基地局装置40の記載は、無線通信機能を有する他の通信装置を示すワードに置き換え可能である。
【0167】
<4-1.干渉マージン一斉配分型>
最初に、干渉マージン一斉配分型のプライマリシステム保護方法について説明する。図15は、干渉マージン一斉配分型のプライマリシステム保護方法を説明するための説明図である。上述したように、干渉マージン一斉配分型では、通信制御装置60は、「プライマリシステムの保護基準点とセカンダリシステムの位置関係によって一意に求まる値」を基準値としてセカンダリシステムの最大許容送信電力を算出する。図15の例では、プライマリシステムの許容可能干渉閾値がIacceptとなっている。この閾値は、実際の閾値でもよいし、計算誤差や干渉変動を考慮して実際の閾値からある程度のマージン(例えば保護比率(Protection Ratio))を見込んで設定された値であってもよい。
【0168】
干渉マージン一斉配分型のプライマリシステム保護方法において、干渉制御とは、許容可能干渉閾値を越えないように、無線装置の送信電力(EIRP、Conducted Power+Antenna gain等)を決定することを意味する。このとき、基地局装置40が多数存在し、それぞれが許容可能干渉閾値を越えないようにすると、通信システム1(プライマリシステム)において受信される干渉電力が許容可能干渉閾値を越えてしまう恐れがある。そこで、通信制御装置60に登録されている基地局装置40の数に基づき、干渉マージン(許容可能干渉量)を「配分」する。
【0169】
例えば、図15の例では、基地局装置40の総数は5である。そのため、個々には、Iaccept/5の許容干渉量が配分される。基地局装置40は自身でこの配分量を認識することはできないので、通信制御装置を通じて認識する、またはこの配分量に基づいて決定された送信電力を取得する。通信制御装置は、他の通信制御装置が管理する無線装置の数を認識できないので、相互に情報をやりとりすることによって、総数を認識することができ、許容干渉量を配分することができるようになる。例えば、通信制御装置60内では3Iaccept/5の許容干渉量が割り当てられる。
【0170】
なお、この手法では、基地局装置40が使用しなかった干渉マージンは剰余干渉マージンとなり得る。図16は、剰余干渉マージンが発生した様子を示す図である。図16には、2つの通信制御装置60(通信制御装置60、60)のそれぞれに設定された総干渉量が示されている。また、図16には、2つの通信制御装置60の管理下にある複数の基地局装置40(基地局装置40~4011)が通信システム1の所定の保護点に与える干渉量(与干渉量)が示されている。2つの通信制御装置60それぞれの総干渉量から基地局装置40による干渉量を引いた干渉量が、剰余干渉マージンである。以下の説明では、余った干渉量のことを剰余干渉マージンという。剰余干渉マージンは剰余干渉量と言い換えることが可能である。
【0171】
<4-2.干渉マージン逐次配分型>
次に、干渉マージン逐次配分型のプライマリシステム保護方法について説明する。上述したように、干渉マージン逐次配分型では、通信制御装置60は、「セカンダリシステムの所望送信電力」を基準値としてセカンダリシステムの最大許容送信電力を算出する。図17は、干渉マージン逐次配分型のプライマリシステム保護方法を説明するための説明図である。干渉マージン逐次配分型では、例えば、複数の基地局装置40それぞれが、所望送信電力情報を記憶部42に記憶している。所望送信電力情報は、基地局装置40が、電波の送信に必要な送信電力の情報として、通信制御装置60に要求する送信電力の情報である。図17の例では、基地局装置4012~4015が、それぞれ、所望送信電力情報A~Dを保持している。通信制御装置60は、所望送信電力情報A~Dに基づいて、基地局装置4012~4015にそれぞれ干渉量A~Dを割り当てる。
【0172】
<<5.諸手続きの説明>>
次に、通信システム2のエンティティ間で発生しうる諸手続きについて説明する。なお、以下の説明で登場する、基地局装置40の記載は、無線通信機能を有する他の通信装置を示すワードに置き換え可能である。
【0173】
<5-1.登録手続き(Registration Procedure)>
【0174】
登録手続きとは、基地局装置40に関するデバイスパラメータを通信制御装置60に登録する手続きのことである。典型的には、基地局装置40または複数の基地局装置40を含む1以上の通信システムが、デバイスパラメータを含む登録リクエストを通信制御装置60へ通知することで登録手続きが開始される。登録リクエストは1又は複数の基地局装置40を代理(代表)する通信システム(例えば、プロキシ装置50等のプロキシシステム)が送信してもよい。
【0175】
以下の説明では、複数の基地局装置40を代理(代表)する通信システムはプロキシ装置50であるものとするが、以下の説明で登場するプロキシ装置50のワードは、プロキシシステム等、他の通信装置を代理(代表)する通信システムを示すワードに置き換え可能である。
【0176】
[所要パラメータの詳細]
デバイスパラメータとは、例えば、以下に示す情報のことを指す。
通信装置固有の情報
位置情報
アンテナ情報
無線インタフェース情報
法的情報
設置者情報
実施の際には、これら以外の情報がデバイスパラメータとして扱われてもよい。
【0177】
通信装置固有の情報とは、基地局装置40を特定可能な情報、基地局装置40のハードウェアに関する情報などである。例えば、シリアル番号、製品型番などが含まれうる。
【0178】
基地局装置40を特定可能な情報は、通信装置利用者情報、通信装置製造番号などを指す。例えば、通信装置利用者情報としては利用者ID、コールサインなどが想定されうる。利用者IDは通信装置利用者が独自に生成してもよいし、通信制御装置60が事前に発行したものであってもよい。
【0179】
基地局装置40のハードウェアに関する情報は、例えば、送信電力クラス情報、製造者情報などが含まれうる。送信電力クラス情報は、例えば、FCC C.F.R Part 96においては、Category A、Category Bという2種類のクラスが規定されており、いずれかの情報が含まれうる。また、3GPP TS 36.104やTS 38.104において、eNodeB、gNodeBのクラスがいくつか規定されており、これらも用いられうる。
【0180】
基地局装置40のソフトウェアに関する情報は、例えば、通信制御装置60とのインタラクションに必要な処理が記述された実行プログラムに関するバージョン情報やビルド番号などが含まれうる。また、基地局装置40として動作するためのソフトウェアのバージョン情報やビルド番号なども含まれてもよい。
【0181】
位置情報とは、典型的には、基地局装置40の地理位置を特定可能な情報である。例えば、GPS(Global Positioning System)、Beidou、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)、GalileoやA-GPS(Assisted Global Positioning System)に代表される位置測位機能によって取得される座標情報である。典型的には、緯度、経度、高度、測位誤差に関する情報が含まれうる。または、例えば、NRA(National Regulatory Authority)またはその委託機関によって管理される情報管理装置に登録される位置情報であってよい。または、例えば、特定の地理位置を原点とするX軸、Y軸、Z軸の座標であってもよい。また、このような座標情報と一緒に屋外/屋内を示す識別子が付与されうる。
【0182】
また、位置情報とは、基地局装置40が位置する領域を示す情報であってもよい。例えば、郵便番号、住所など、行政によって定められた情報が用いられてもよい。また、例えば、3以上の地理座標の集合によって領域が示されてもよい。これらの領域を示す情報は、上記座標情報と一緒に提供されてもよい。
【0183】
また、位置情報には、基地局装置40が屋内に位置する場合に、建物のフロアを示す情報が付与されてもよい。例えば、階数、地上/地下を示す識別子などが付与されてもよい。また、例えば、建物内の部屋番号、部屋名のように、屋内のさらなる閉空間を示す情報が付与されてもよい。
【0184】
上記位置測位機能は、典型的には、基地局装置40によって具備されることが望ましい。しかしながら、位置測位機能の性能や、設置位置によっては、必ずしも要求される精度を満たす位置情報が取得できるとは限らない。そのため、位置測位機能は、設置者によって用いられてもよい。そのような場合、設置者によって測定された位置情報が基地局装置40に書き込まれることが望ましい。
【0185】
アンテナ情報とは、典型的には、基地局装置40が具備するアンテナの性能や構成等を示す情報である。典型的には、例えば、アンテナ設置高、チルト角(Downtilt)、水平方向の向き(Azimuth)、照準(Boresight)、アンテナピークゲイン、アンテナモデルといった情報が含まれうる。
【0186】
また、アンテナ情報には、形成可能なビームに関する情報も含まれうる。例えば、ビーム幅、ビームパターン、アナログ/デジタルビームフォーミングのケイパビリティといった情報が含まれうる。
【0187】
また、アンテナ情報には、MIMO(Mutiple Input Multiple Output)通信の性能や構成に関する情報も含まれうる。例えば、アンテナエレメント数、最大空間ストリーム数、といった情報が含まれうる。また、用いるコードブック(Codebook)情報や、ウェイト行列情報(SVD(Singular Value Decomposition)、EVD (Eigen Value Decomposition)、BD(Block Diagonalization)などによって得られるユニタリ行列、ZF(Zero-Forcing)行列、MMSE(Minimum Mean Square Error)行列)なども含まれうる。また、非線形演算を要するMLD(Maximum Likelihood Detection)等を具備する場合、それを示す情報が含まれてもよい。
【0188】
上記アンテナ情報には、ZoD(Zenith of Direction, Departure)が含まれてもよい。当該ZoDは、電波到来角度の一種である。上記ZoDは、基地局装置40のアンテナから放射される電波から他の基地局装置40により推定されてもよい。この場合に、基地局装置40は、基地局若しくはアクセスポイントとして動作する端末装置、D2D通信を行う装置、又はムービングリレー基地局などであってもよい。ZoDは、MUSIC(Multiple Signal Classification)又はESPRIT(Estimation of Signal Propagation via Rotation Invariance Techniques)などの電波到来方向推定技術により推定され得る。メジャメント情報として通信制御装置60によって用いられうる。
【0189】
無線インタフェース情報とは、典型的には、基地局装置40が具備する無線インタフェース技術を示す情報のことである。例えば、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMTS、E-UTRA、5G NRまたはさらなる次世代のセルラーシステムで用いられる技術や、MulteFire、LTE-U(LTE-Unlicensed)といったLTE準拠の派生技術、WiMAX、WiMAX2+といったMAN(Metropolitan Area Network)、IEEE 802.11系の無線LANといった標準技術を示す識別子情報が含まれる。また、これらを定める技術仕様書のバージョン番号またはリリース番号も付与されうる。必ずしも標準技術である必要はなく、プロプライエタリな無線技術を示す情報が含まれてもよい。
【0190】
また、無線インタフェース情報には、基地局装置40がサポートする周波数帯域情報も含まれうる。例えば、上限周波数および下限周波数の組み合わせの1以上、中心周波数および帯域幅の組み合わせの1以上または、1以上の3GPP Operating Band番号などによって表現されうる。
【0191】
基地局装置40がサポートする周波数帯域情報として、さらに、キャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)やチャネルボンディング(Channel Bonding)のケイパビリティ情報も含まれうる。例えば、組み合わせ可能な帯域情報などが含まれうる。また、キャリアアグリゲーションについては、プライマリコンポーネントキャリア(PCC:Primary Component Carrier)やセカンダリコンポーネントキャリア(SCC:Secondary Component Carrier)として利用したい帯域に関する情報も含まれうる。また、同時にアグリゲート可能なCC数も含まれうる。
【0192】
基地局装置40がサポートする周波数帯域情報として、また、PAL、GAAのような電波利用優先度を示す情報が含まれてもよい。
【0193】
また、無線インタフェース情報には、基地局装置40がサポートする変調方式情報も含まれうる。例えば、代表的な一例として、FSK(Frequency Shift Keying)、n値PSK(Phase Shift Keying)(nは2、4、8等)やn値QAM(Quadrature Amplitude Modulation)(nは4,16,64,256等)といった一次変調方式を示す情報や、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)やDFT-s-OFDM(DFT spread OFDM)、FBMC(Filter Bank Multi Carrier)といった二次変調方式を示す情報が含まれうる。
【0194】
また、無線インタフェース情報には、誤り訂正符号に関する情報も含まれうる。例えば、Turbo符号、LDPC(Low Density Parity Check)符号、Polar符号などのケイパビリティや適用する符号化率情報が含まれうる。
【0195】
変調方式情報や誤り訂正符号に関する情報は、別の態様として、MCS(Modulation and Coding Scheme)インデックスでも表現されうる。
【0196】
また、無線インタフェース情報には、基地局装置40がサポートする各無線技術特有の機能を示す情報も含まれうる。例えば、代表的な一例として、LTEで規定されているTM(Transmission Mode)情報が挙げられる。この他にも、特定の機能に関して2以上のモードを有するものについては、上記TMのように無線インタフェース情報に含まれうる。また、技術仕様において、2以上のモードが存在しなくても仕様上必須でない機能を基地局装置40がサポートする場合には、これを示す情報も含まれうる。
【0197】
また、無線インタフェース情報には、基地局装置40がサポートする無線アクセス方式(RAT:Radio Access Technology)情報も含まれうる。例えば、TDMA(Time Division Multiple Access)、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)といった直交多元接続方式(OMA:Orthogonal Multiple Access)、PDMA(Power Division Multiple Access、Superposition Coding(SPC)とSuccessive Interference Canceller(SIC)との組み合わせによって実現される手法が代表例)、CDMA(Code Division Multiple Access)、SCMA(Sparse Code Multiple Access)、IDMA(Interleaver Division Multiple Access)、SDMA(Spatial Division Multiple Access)といった非直交多元接続方式(NOMA:Non Orthogonal Multiple Access)、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)やCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection)といった日和見的接続方式(Opportunistic Access)などを示す情報が含まれうる。
【0198】
また、無線インタフェース情報には、基地局装置40がサポートするデュプレクスモードに関する情報も含まれうる。代表的な一例として、例えば、FDD(Frequency Division Duplex)、TDD(Time Division Duplex)、FD(Full Duplex)が含まれうる。無線インタフェース情報として、TDDが含まれる場合、基地局装置40が使用する/サポートするTDD Frame Configuration情報が付与されうる。また、上記周波数帯域情報で示される周波数帯域ごとにデュプレクスモードに関する情報が含まれてもよい。
【0199】
また、無線インタフェース情報には、基地局装置40がサポートする送信ダイバーシチ手法に関する情報も含まれうる。例えば、時空間符号化(STC:Space Time Coding)などが含まれてもよい。
【0200】
また、無線インタフェース情報には、ガードバンド情報も含まれうる。例えば、規格上定められるガードバンドサイズに関する情報が含まれうる。または、例えば、基地局装置40が所望するガードバンドサイズに関する情報が含まれてもよい。
【0201】
法的情報とは、典型的には、各国・地域の電波行政機関またはそれに準ずる機関によって定められる、基地局装置40が順守しなければならない規制に関する情報や、基地局装置40が取得している認証情報などのことである。上記規制に関する情報として、典型的には、例えば、帯域外輻射の上限値情報、受信機のブロッキング特性に関する情報などが含まれうる。上記認証情報として、典型的には、例えば、型式認証(Type Approval)情報(FCC ID、技術基準適合証明など)、認証取得の基準となる法規制情報(例えばFCC規則番号、ETSI Harmonized Standard番号等)などが含まれうる。
【0202】
法的情報のうち、数値に関するものについては、無線インタフェース技術の規格書において定められているものを代用してもよい。例えば、帯域外輻射の上限値情報の代わりに、隣接チャネル漏洩比(ACLR:Adjacent Channel Leakage Ratio)を用いて、帯域外輻射の上限値を導出し利用してもよい。また、必要に応じて、ACLRそのものを用いてもよい。また、隣接チャネル選択性(ACS:Adjacent Channel Selectivity)をブロッキング特性の代わりに用いてもよい。また、これらを併用してもよいし、隣接チャネル干渉比(ACIR:Adjacent Channel Interference Ratio)を用いてもよい。
【0203】
設置者情報とは、基地局装置40の設置を行った者(設置者)を特定することが可能な情報、設置者に紐づく固有の情報などが含まれうる。例えば、非特許文献2においては、設置者を特定することが可能な情報として、CPIR-ID(Certified Professional Installer Registration ID)、CPI名が開示されている。また、設置者に紐づく固有の情報として、例えば、連絡用住所(Mailing/Contact address)、Eメールアドレス、電話番号、PKI(Public Key Identifier)などが開示されている。これらに限らず、必要に応じて設置者に関するその他の情報が含まれてもよい。
【0204】
[所要パラメータの補足]
登録手続きにおいて、実施形態によっては、基地局装置40のみならず端末装置30に関するデバイスパラメータを通信制御装置60に登録することも要求されることが想定される。そのような場合、上記(所要パラメータの詳細)で述べた説明中の「通信装置」という用語を「端末装置」またはそれに準ずる用語で置き換えて適用してもよい。また、上記(所要パラメータの詳細)では述べられていない「端末装置」特有のパラメータも登録手続きにおける所要パラメータとして扱われてよい。例えば、3GPPで規定されるUE(User Equipment)Categoryなどが挙げられる。
【0205】
[登録処理の詳細]
図18は、登録手続きを説明するためのシーケンス図である。基地局装置40または複数の基地局装置40を含む1以上の通信システムは、上記デバイスパラメータを用いて登録リクエストメッセージを生成し(ステップS11)、通信制御装置60へ通知する(ステップS12)。メッセージの生成及び/又は通知は、プロキシ装置50が行ってもよい。
【0206】
ここで、デバイスパラメータに設置者情報が含まれる場合、この情報を用いて、登録リクエストに改ざん防止の加工等を施してもよい。また、登録リクエストに含まれる情報の一部又は全部に暗号化処理が施されてもよい。具体的には、例えば、設置者と通信制御装置60との間で事前に設置者特有の公開鍵を共有しておき、設置者は秘密鍵を用いて情報の暗号化を施す、という処理が実施されうる。暗号化の対象としては、例えば、位置情報といった防犯上センシティブな情報が挙げられる。
【0207】
また、位置情報に関しては、非特許文献2で開示されているように、例えば、設置者が、直接、通信制御装置60に書き込んでもよい。
【0208】
登録リクエスト受信後、通信制御装置60は、基地局装置40の登録処理を実施し(ステップS13)、処理結果に応じて登録レスポンスを返す(ステップS14)。登録に必要な情報の不足、異常がなければ通信制御装置60は記憶部42に情報を記録し、正常完了を通知する。そうでなければ、通信制御装置60は登録失敗を通知する。登録が正常完了する場合、通信制御装置60は、通信装置個別にIDを割り振り、そのID情報を応答時に同封して通知してもよい。登録失敗となる場合、典型的には、基地局装置40または複数の基地局装置40を含む1以上の通信システム、またはこれらの運用者(例えば、移動体通信事業者や個人)や設置者は、登録リクエストの修正等を行い、正常完了するまで登録手続きを試行する。
【0209】
なお、登録手続きは、複数回実行されることがある。具体的には、例えば、移動・精度改善などにより、位置情報が所定の基準を超えて変更される場合に登録手続きが再実行されうる。所定の基準は、典型的には、法制度によって定められる。例えば、47 C.F.R Part 15において、Mode II personal/portable white space deviceは、100メートル以上位置情報が変わる場合には、再度データベースにアクセスすることが義務付けられている。
【0210】
<5-2.利用可能周波数情報問い合わせ手続き(Available Spectrum Query Procedure)>
利用可能周波数情報問い合わせ手続きとは、基地局装置40またはプロキシ装置50が、通信制御装置60に対して、利用可能な周波数に関する情報を問い合わせる手続きのことである。典型的には、基地局装置40またはプロキシ装置50が、当該基地局装置40(或いは当該プロキシ装置50配下の基地局装置40)を特定可能な情報を含む問い合わせリクエストを通信制御装置60へ通知することで手続きが開始される。
【0211】
(1)例1
ここで、利用可能周波数情報とは、典型的には、当該基地局装置40(或いは当該プロキシ装置50配下の基地局装置40)の位置においてプライマリシステムに対して致命的な干渉を与えず、安全に二次利用が可能な周波数を示す情報のことである。例えば、F1という周波数チャネルを利用するプライマリシステム保護のために、排除ゾーン(Exclusion Zone)などの二次利用禁止エリアに基地局装置40が設置されている場合、その基地局装置40に対しては、F1という周波数チャネルは利用可能チャネルとして通知されない。
【0212】
(2)例2
また、例えば、二次利用禁止エリア外であっても、プライマリシステムに対して致命的な干渉を与えると判断される場合には、当該周波数チャネルは利用可能チャネルとして通知されない場合がある。
【0213】
(3)例3
また、利用可能周波数情報は、例2のプライマリシステム保護要件以外の条件によっても利用可能として通知されない周波数チャネルが存在しうる。具体的には、例えば、基地局装置40間で発生しうる干渉を事前に回避するために、当該基地局装置40(或いは当該プロキシ装置50配下の基地局装置40)の近傍に存在する他の基地局装置40が利用中の周波数チャネルを、利用可能チャネルとして通知しない場合もある。
【0214】
(4)例4
これらの場合(例2、例3)に該当する場合であっても、プライマリシステムや近傍の基地局装置40と同じ周波数を利用可能チャネルとして通知することは可能である。そのような場合には、典型的には、最大許容送信電力情報が利用可能周波数情報に含まれる。最大許容送信電力は、典型的には、等価等方輻射電力(EIRP:Equivalent Isotropic Radiated Power)で表現される。必ずしもこれに限られる必要はなく、例えば、空中線電力(Conducted Power)とアンテナゲインの組み合わせで提供されてもよい。給電線損失(Feeder Loss)も含まれてもよい。さらに、アンテナゲインは、空間的な方向ごとに許容ピークゲインが設定されてもよい。
【0215】
[所要パラメータの詳細]
基地局装置40を特定可能な情報とは、例えば、上記登録手続き時に登録した通信装置固有の情報や上述の(登録処理の詳細)で説明したID情報などが想定されうる。
【0216】
また、問い合わせリクエストには、問い合わせ要件情報も含まれうる。問い合わせ要件情報とは、例えば、利用可能か否かを知りたい周波数帯域を示す情報が含まれうる。また、例えば、送信電力情報も含まれうる。基地局装置40またはプロキシ装置50は、例えば、所望の送信電力を用いることができそうな周波数情報のみを知りたい場合に送信電力情報を含めうる。問い合わせ要件情報は必ずしも含まれる必要はない。
【0217】
また、問い合わせリクエストには、メジャメントレポートも含まれうる。メジャメントレポートは、基地局装置40および/または端末装置30が実施するメジャメントの結果が含まれる。例えば、生データのみならず、加工された情報も含まれうる。例えば、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSSI(Reference Signal Strength Indicator)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)に代表される標準化されたメトリックが用いられうる。
【0218】
[利用可能周波数評価処理の詳細]
図19は、利用可能周波数情報問い合わせ手続きを説明するためのシーケンス図である。基地局装置40またはプロキシ装置50が、当該基地局装置40(或いは当該プロキシ装置50配下の基地局装置40)を特定可能な情報を含む問い合わせリクエストを生成し(ステップS21)、通信制御装置60へ通知する(ステップS22)。
【0219】
問い合わせリクエスト受信後、通信制御装置60は、問い合わせ要件情報に基づいて、利用可能周波数の評価を行う(ステップS23)。例えば、上述の例1~例3で説明したようにプライマリシステムやその二次利用禁止エリア、近傍の基地局装置40の存在を考慮して利用可能周波数の評価を行うことが可能である。
【0220】
上述の例4で説明したように、通信制御装置60は、最大許容送信電力情報を導出してもよい。典型的には、プライマリシステムまたはその保護領域(Protection Zone)における許容可能干渉電力情報、プライマリシステムが被る干渉電力レベルの算定基準位置(Reference Point)情報、基地局装置40の登録情報、伝搬損失推定モデルを用いて算出される。具体的には、一例として、以下の数式によって算出される。
MaxTx(dBm)=ITh(dBm)+PL(d)(dB) …(1)
【0221】
ここで、PMaxTx(dBm)は最大許容送信電力、ITh(dBm)は許容可能干渉電力、dは基準位置(Reference Point)と基地局装置40との間の距離、PL(d)(dB)は距離dにおける伝搬損失である。本数式においては送受信機におけるアンテナゲインを明示的に示していないが、最大許容送信電力の表現方法(EIRP、Conducted power等)や受信電力の参照点(アンテナ入力点、アンテナ出力点、等)に応じて含めてよい。また、フェージングによる変動を補償するためのセーフティマージン等も含まれてよい。また、フィーダロス等、必要に応じて考慮されてよい。
【0222】
また、上記数式は、単体の基地局装置40が干渉源である仮定に基づいて記述されている。例えば、同時に複数の基地局装置40からの累積的な干渉(Aggregated Interference)を考慮しなければならない場合には、補正値を加味してもよい。具体的には、例えば、非特許文献3で開示されている3種類(Fixed/Predetermined、Flexible、Flexible Minimized)の干渉マージン方式に基づいて補正値が決定されうる。
【0223】
なお、上記数式は、対数を用いて表現されているが、実施の際には、当然のことながら真数に変換して用いてもよい。また、本実施形態に記載される全ての対数表記のパラメータは、適宜真数に変換して用いてもよい。
【0224】
(1)手法1
また、上述の(所要パラメータの詳細)の項で説明したように、送信電力情報が問い合わせ要件情報に含まれる場合には、上述の方法とは別の方法で利用可能周波数の評価を行うことが可能である。具体的には、例えば、送信電力情報で示される所望の送信電力を用いたと仮定した場合に、推定される与干渉量がプライマリシステムまたはその保護領域(Protection Zone)における許容可能干渉電力を下回る場合には、当該周波数チャネルが利用可能であると判断され、基地局装置40(又はプロキシ装置50)へ通知される。
【0225】
(2)手法2
上記他システム関連情報に基づいて、上記帯域使用条件が算出される例を説明したが、本開示は係る例に限定されない。例えば、REM(Radio Environment Map)のエリアと同様に、基地局装置40が共用帯域を使用可能なエリア/空間が予め定められている場合には、上記位置関連情報及び上記高さ関連情報のみに基づいて、利用可能周波数情報が導出されてもよい。また、例えば、位置及び高さと利用可能周波数情報とを関連付けるルックアップテーブルが用意されている場合にも、上記位置関連情報及び上記高さ関連情報のみに基づいて、上記利用可能周波数情報が導出されてもよい。
【0226】
利用可能周波数の評価は、必ずしも問い合わせリクエスト受信後に実施する必要はない。例えば、前述の登録手続きの正常完了後に、問い合わせリクエストなしに、通信制御装置60が主体的に実施してもよい。そのような場合、通信制御装置60は、手法2で例示したREMやルックアップテーブルまたはそれらと相似の情報テーブルを作成してもよい。
【0227】
いずれの手法においても、PALやGAAのような電波利用優先度についても評価を行ってもよい。例えば、登録済デバイスパラメータまたは問い合わせ要件に電波利用優先度に関する情報が含まれる場合、当該優先度に基づいて周波数利用が可能かどうかを判定し、通知してもよい。また、例えば、非特許文献2で開示されているように、事前にユーザから高優先度利用(例えば、PAL)を行う基地局装置40に関する情報(非特許文献2では、Cluser Listと呼ばれる。)が通信制御装置60に登録されている場合、その情報に基づいて評価を行ってもよい。
【0228】
利用可能周波数の評価完了後、通信制御装置60は評価結果を基地局装置40(又はプロキシ装置50)へ通知する(ステップS24)。基地局装置40は、通信制御装置60から受け取った評価結果を用いて、所望通信パラメータの選定を行ってもよい。
【0229】
<5-3.周波数利用許可手続き(Spectrum Grant Procedure)>
周波数利用許可手続きとは、基地局装置40が通信制御装置60から周波数の二次利用許可を受けるための手続きである。典型的には、登録手続きの正常完了後、基地局装置40または複数の基地局装置40を含む1以上の通信システムが、当該基地局装置40を特定可能な情報を含む周波数利用許可リクエストを通信制御装置60へ通知することで手続きが開始される。この通知は、プロキシ装置50が行ってもよい。なお、「登録手続きの正常完了後」というのは、必ずしも、利用可能周波数情報問い合わせ手続きを実施する必要がないことも意味する。
【0230】
本発明においては、少なくとも以下の2種類の周波数利用許可リクエストの方式が用いられうることを想定する。
指定方式
フレキシブル方式
【0231】
指定方式とは、基地局装置40が所望通信パラメータとして、少なくとも利用したい周波数帯域、最大送信電力を指定して、所望通信パラメータに基づく運用の許可を通信制御装置60に求めるリクエスト方式である。必ずしもこれらのパラメータに限定される必要はなく、無線インタフェース技術特有のパラメータ(変調方式やデュプレクスモードなど)が指定されてもよい。また、PAL、GAAのような電波利用優先度を示す情報が含まれてもよい。
【0232】
フレキシブル方式とは、基地局装置40が、通信パラメータに関する要件のみを指定し、当該要件を満たしつつ二次利用許可が可能な通信パラメータの指定を通信制御装置60に求めるリクエスト方式である。通信パラメータに関する要件は、帯域幅または所望最大送信電力または所望最小送信電力が含まれうる。必ずしもこれらのパラメータに限定される必要はなく、無線インタフェース技術特有のパラメータ(変調方式やデュプレクスモードなど)が指定されてもよい。具体的には、例えば、TDD Frame Configurationのうち、1以上を事前に選択して通知してもよい。
【0233】
いずれの方式であっても、メジャメントレポートが含まれてもよい。メジャメントレポートは、基地局装置40および/または端末装置30が実施するメジャメントの結果が含まれる。例えば、生データのみならず、加工された情報も含まれうる。例えば、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSSI(Reference Signal Strength Indicator)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)に代表される標準化されたメトリックが用いられうる。
【0234】
[周波数利用許可処理の詳細]
図20は、周波数利用許可手続きを説明するためのシーケンス図である。基地局装置40または複数の基地局装置40を含む1以上の通信システムが、当該基地局装置40を特定可能な情報を含む周波数利用許可リクエストを生成し(ステップS31)、通信制御装置60へ通知する(ステップS32)。リクエストの生成及び/又は通知は、プロキシ装置50が行ってもよい。
【0235】
通信制御装置60は周波数利用許可リクエストの取得後、周波数利用許可リクエスト方式に基づいて、周波数利用許可処理を行う(ステップS33)。例えば、通信制御装置60は、<5-2.利用可能周波数情報問い合わせ手続き>の例1~例3で説明した手法を利用して、プライマリシステムやその二次利用禁止エリア、近傍の基地局装置40の存在を考慮して周波数利用許可処理を行うことが可能である。
【0236】
フレキシブル方式が用いられる場合、通信制御装置60は、<5-2.利用可能周波数情報問い合わせ手続き>の例4で説明した手法を利用して、最大許容送信電力情報を導出してもよい。典型的には、通信制御装置60は、プライマリシステムまたはその保護領域(Protection Zone)における許容可能干渉電力情報、プライマリシステムが被る干渉電力レベルの算定基準位置(Reference Point)情報、基地局装置40の登録情報、伝搬損失推定モデルを用いて最大許容送信電力を算出する。例えば、通信制御装置60は、以下の式(2)によって最大許容送信電力を算出する。
MaxTx(dBm)=ITh(dBm)+PL(d)(dB) …(2)
【0237】
ここで、PMaxTx(dBm)は最大許容送信電力、ITh(dBm)は許容可能干渉電力、dは基準位置(Reference Point)と基地局装置40との間の距離、PL(d)(dB)は距離dにおける伝搬損失である。本数式においては送受信機におけるアンテナゲインを明示的に示していないが、最大許容送信電力の表現方法(EIRP、Conducted power等)や受信電力の参照点(アンテナ入力点、アンテナ出力点、等)に応じて数式を変形して用いてもよい。また、フェージングによる変動を補償するためのセーフティマージン等も含まれてよい。また、フィーダロス等、必要に応じて考慮されてよい。
【0238】
また、上記数式は、単体の基地局装置40が干渉源である仮定に基づいて記述されている。例えば、同時に複数の基地局装置40からの累積的な干渉(Aggregated Interference)を考慮しなければならない場合には、補正値を加味してもよい。具体的には、例えば、非特許文献3で開示されている3種類(Fixed/Predetermined、Flexible、Flexible Minimized)の方式に基づいて補正値が決定されうる。
【0239】
伝搬損失推定モデルは、さまざまなモデルが用いられうる。用途ごとにモデルが指定される場合、指定されるモデルを用いることが望ましい。例えば、非特許文献6においては、その用途ごとに、eHATA(Extended Hata)やITM(Irregular Terrain Model)といった伝搬損失モデルが採用されている。当然ながら、本発明の実施の際には、伝搬損失モデルはこれらに限定する必要はない。
【0240】
所定の用途において、モデルが指定されていない場合、必要に応じて使い分けてもよい。具体的な一例として、例えば、他の基地局装置40への与干渉電力を推定する際には自由空間損失モデルのようにアグレッシブなモデルを用いて、基地局装置40のカバレッジを推定する際にはコンサバティブなモデルを用いるといった使い分けが可能である。
【0241】
また、指定方式が用いられる場合、<5-2.利用可能周波数情報問い合わせ手続き>の手法1で説明した手法を用いて周波数利用許可処理を行うことが可能である。具体的には、例えば、送信電力情報で示される所望の送信電力を用いたと仮定した場合に、推定される与干渉量がプライマリシステムまたはその保護領域(Protection Zone)における許容可能干渉電力を下回る場合には、当該周波数チャネルの利用が許可可能であると判断され、基地局装置40(又はプロキシ装置50)へ通知される。
【0242】
いずれの手法においても、PALやGAAのような電波利用優先度についても評価を行ってもよい。例えば、登録済デバイスパラメータまたは問い合わせ要件に電波利用優先度に関する情報が含まれる場合、当該優先度に基づいて周波数利用が可能かどうかを判定し、通知してもよい。また、例えば、非特許文献2で開示されているように、事前にユーザから高優先度利用(例えば、PAL)を行う基地局装置40に関する情報(非特許文献2では、Cluser Listと呼ばれる。)が通信制御装置60に登録されている場合、その情報に基づいて評価を行ってもよい。
【0243】
周波数利用許可処理は、必ずしもリクエスト受信時に実施する必要はない。例えば、前述の登録手続きの正常完了後に、周波数利用許可リクエストなしに、通信制御装置60が主体的に実施してもよい。また、例えば、一定周期毎に周波数利用許可判定処理を実施してもよい。そのような場合、<5-2.利用可能周波数情報問い合わせ手続き>の手法2で例示したREMやルックアップテーブルそれらと相似の情報テーブルを作成してもよい。
【0244】
周波数利用許可処理の完了後、通信制御装置60は判定結果を基地局装置40へ通知する(ステップS34)。
【0245】
<5-4.周波数利用通知(Spectrum Use Notification/Heartbeat)>
周波数利用通知とは、基地局装置40またはプロキシ装置50が、通信制御装置60に対して、上記周波数利用許可手続きで利用が認められた通信パラメータに基づく周波数利用の通知を行う手続きのことである。典型的には、基地局装置40またはプロキシ装置50が、当該基地局装置40を特定可能な情報を含む通知メッセージを通信制御装置60へ通知することで手続きが開始される。
【0246】
この手続きに関しては、周波数の利用が通信制御装置60から拒絶されるまでは周期的に実施されることが望ましい。この手続きが正常完了すれば、基地局装置40は、電波送信を開始または継続してもよい。例えば、グラント(Grant)の状態がGrantedだったのであれば、この手続きの成功によりグラントの状態はAuthorizedに移行する。また、グラントの状態がAuthorizedだったのであれば、この手続きの失敗によりグラントの状態はGranted或いはIdoleに移行する。
【0247】
ここで、グラントとは、通信制御装置60(例えば、SAS)が基地局装置40(例えば、CBSD)に与える電波送信の認可のことである。グラントについては、例えば、非特許文献2に記載されている。非特許文献2では、米国の3550-3700MHzの周波数共用のためのデータベース(SAS)-基地局(CBSD)間のシグナリングプロトコルが規格化されている。この規格では、SASがCBSDに与える電波送信の認可のことを“グラント(Grant)”と呼んでいる。グラントで認められる動作パラメータは、最大許容EIRP(Equivalent Isotropic Radiated Power)と周波数チャネルの2つで定義される。すなわち、複数の周波数チャネルを用いて電波送信を行うためには、CBSDはSASから複数のグラントを獲得する必要がある。
【0248】
グラントには、電波送信の許可状態を示すステート(State)が定義されている。電波送信の許可状態を示すステートとしては、Granted状態やAuthorized状態が挙げられる。Granted状態は、グラントを保有するものの電波送信をしてはいけない状態、Authorized状態はグラントで定義される動作パラメータ値に基づいて電波送信が許可されている状態を示す。この2つの状態は、同規格で規定されるハートビート手続き(Heartbeat Procedure)の結果によって遷移する。
【0249】
以下の説明では、周波数利用通知のことをハートビートリクエスト(Heartbeat Request)、或いは単にハートビート(Heartbeat)ということがある。また、ハートビートリクエストの送信間隔のことをハートビートインターバル(Heartbeat Interval)ということがある。
【0250】
図21は、周波数利用通知手続きを説明するためのシーケンス図である。基地局装置40または複数の基地局装置40を含む1以上の通信システムが、当該基地局装置40を特定可能な情報を含む通知メッセージを生成し(ステップS41)、通信制御装置60へ通知する(ステップS42)。メッセージの生成及び/又は通知は、プロキシ装置50が行ってもよい。
【0251】
周波数利用通知受信後、通信制御装置60は、電波送信の開始/継続が許容されるか判定してもよい(ステップS43)。判定方法として、例えば、プライマリシステムの周波数利用情報の確認が挙げられる。具体的には、プライマリシステムの利用周波数の変更、電波利用が定常的でないプライマリシステム(例えば、艦載レーダ)の周波数利用状況の変更、などに基づいて、電波送信の開始/継続許可または拒否を決定することが可能である。
【0252】
判定処理が完了したら、通信制御装置60は、判定結果を基地局装置40(又はプロキシ装置50)へ通知する(ステップS44)。
【0253】
本手続きにおいて、通信制御装置60から基地局装置40(又はプロキシ装置50)に対して通信パラメータの再構成(Reconfiguration)命令が行われてもよい。典型的には、周波数利用通知のレスポンスにおいて実施されうる。例えば、推奨される通信パラメータ情報が提供されうる。
【0254】
<5-5.諸手続きの補足>
ここで、諸手続きは以降で説明する通りに、個別に実装される必要は必ずしもない。例えば、2つの異なる手続きの役割を備えた第3の手続きを代用することによって上記2つの異なる手続きを実現してもよい。具体的には、例えば、登録リクエストと利用可能周波数情報問い合わせリクエストが一体的に通知されてもよい。また、例えば、周波数利用許可手続きと周波数利用通知が一体的に実施されてもよい。当然のことながら、これらの組み合わせに限定されず、3つ以上であってもよい。また、上記手続きが分離されて実施されてもよい。
【0255】
また、本実施形態が既存システムとの周波数共用を目的として適用される場合、諸手続き又は同等の手続きは、本実施形態の技術が実施される国・地域における当該周波数帯域に係る電波法に基づいて適切なものが選定、利用されることが望ましい。例えば、特定の国・地域において特定の周波数帯の利用にあたって通信装置の登録が義務付けられる場合には、上記登録手続きが実施されることが望ましい。
【0256】
また、本実施形態における「情報を取得する」という表現またはそれに準ずる表現は、必ずしも、上記手続き通りに取得することを意味しているわけではない。例えば、利用可能周波数評価処理において基地局装置40の位置情報を用いることが記載されているが、必ずしも登録手続きで取得される情報を用いる必要はなく、利用可能周波数情報問い合わせ手続きリクエストに位置情報が含まれる場合、その位置情報を用いてもよい、ということを意味する。換言すれば、本実施形態に記載の範囲内、技術的な実現性の範囲内で、記載されているパラメータを他の手続きに含めてよいということを意味する。
【0257】
また、上記手続きで示した通信制御装置60から基地局装置40(又はプロキシ装置50)へのレスポンスに含まれうる情報は、プッシュ通知されてもよい。具体的な一例として、利用可能周波数情報や推奨通信パラメータ情報、電波送信継続拒否通知などはプッシュ通知されてもよい。
【0258】
<5-6.端末装置に関する諸手続き>
端末装置30についても、基本的には、<5-1>から<5-4>で説明した各手続きを用いることが可能である。ただし、基地局装置40と異なり、端末装置30はモビリティを有する。すなわち、動的に位置情報が更新される。法制によっては、一定以上位置情報が変わる場合、通信制御装置60への再登録が義務付けられる場合もある。そこで、英国情報通信庁(Ofcom:Office of Communication)が定める運用形態(非特許文献4参照)においては、以下に示す2種類の通信パラメータが規定されている。
個別パラメータ(Specific Operational Parameters)
一般パラメータ(Generic Operational Parameters)
【0259】
個別パラメータ(Specific Operational Parameters)とは、当該非特許文献において、「特定のスレーブWSD(White Space Device)に特有の動作パラメータ」として定義されている。換言すれば、端末装置30に相当するスレーブWSDのデバイスパラメータを用いて計算される通信パラメータのことである。特徴として、スレーブWSDの位置情報を用いてWSDB(White Space Database)によって計算されるということが挙げられる。
【0260】
このような特徴から、個別パラメータは、低モビリティまたは固定設置される端末装置30に適していると想定される。
【0261】
一般パラメータ(Generic Operational Parameters)とは、当該非特許文献において、「所定のマスタWSD(基地局装置40に相当)のカバレッジエリア内に位置するどのスレーブWSDも使用可能な動作パラメータ」として定義されている。特徴としては、スレーブWSDの位置情報を用いずにWSDBによって計算されるということが挙げられる。
【0262】
このような特徴から、一般パラメータは、高モビリティの端末装置30に適していると想定される。
【0263】
これら、端末装置30向けの情報は、基地局装置40からユニキャスト/ブロードキャストによって提供されうる。例えば、FCC規則Part 15 Subpart Hで規定されるCVS(Contact Verification Signal)に代表されるブロードキャスト信号が用いられうる。または、無線インタフェース特有のブロードキャスト信号によって提供されてもよい。具体的には、例えば、LTEや5G NRで用いられるPBCH(Physical Broadcast Channel)、NR-PBCHなどによって提供されてよい。
【0264】
<5-7.通信制御装置間で発生する手続き>
[情報交換]
通信制御装置60は、他の通信制御装置60と管理情報の交換を行うことができる。図22は、管理情報の交換手続きを説明するためのシーケンス図である。図22の例では、通信制御装置60と通信制御装置60が情報を交換している。勿論、情報交換を行う通信制御装置は、通信制御装置60と通信制御装置60の2つに限られない。
【0265】
管理情報の交換手続きでは、少なくとも、以下の情報が交換されることが望ましい。
通信装置登録情報
通信装置通信パラメータ情報
エリア情報
【0266】
通信装置登録情報とは、典型的には、上記登録手続きにおいて通信制御装置60に登録される基地局装置40のデバイスパラメータのことである。必ずしも、登録されている全ての情報が交換される必要はない。例えば、個人情報に該当する恐れのある情報は交換される必要はない。また、通信装置登録情報を交換する際に、暗号化・曖昧化された情報が交換されてもよい。例えば、バイナリ値に変換された情報や、電子署名の仕組みを用いて署名された情報が交換されてもよい。
【0267】
通信装置通信パラメータ情報とは、典型的には、基地局装置40が現在使用している通信パラメータに関する情報のことである。少なくとも、利用周波数、送信電力を示す情報が含まれることが望ましい。その他の通信パラメータが含まれてもよい。
【0268】
エリア情報とは、典型的には、所定の地理領域を示す情報のことである。この情報には、様々な属性の領域情報が、様々な態様で含まれうる。
【0269】
例えば、非特許文献5で開示されているPPA(PAL Protection Area)のように高優先度セカンダリシステムとなる基地局装置40の保護領域情報が含まれてもよい。この場合のエリア情報は、例えば、3以上の地理位置座標の集合で表現されうる。また、例えば、複数の通信制御装置60が共通の外部データベースを参照可能な場合、当該情報を示すIDで表現されうる。
【0270】
また、例えば、基地局装置40のカバレッジを示す情報が含まれてもよい。この場合のエリア情報も、例えば、3以上の地理位置座標の集合で表現されうる。また、例えば、基地局装置40の地理位置を原点とする円を想定し、半径サイズを示す情報でも表現されうる。また、例えば、複数の通信制御装置60が共通の外部データベースを参照可能な場合、当該情報を示すIDで表現されうる。
【0271】
また、別の態様として、行政などによりあらかじめ定められたエリア区画に関する情報も含まれうる。具体的には、例えば、住所を示すことで一定の領域を示すことが可能である。また、例えば、ライセンスエリアなども同様に表現し得る。
【0272】
また、さらなる別の態様として、エリア情報は必ずしも平面的なエリアを表現する必要はなく、3次元の空間を表現してもよい。例えば、空間座標系を用いて表現されてもよい。また、例えば、建物の階数、フロアや部屋番号など、所定の閉空間を示す情報が用いられてもよい。
【0273】
これらの情報は、さまざまな方式により交換されうる。以下にその一例を示す。
ID指定方式
期間指定方式
領域指定方式
ダンプ方式
【0274】
ID指定方式とは、通信制御装置60が管理する情報を特定するためにあらかじめ付与されているIDを用いて、上記IDに該当する情報を取得する方式である。例えば、ID:AAAという基地局装置40を通信制御装置60が管理していると仮定する。このときに通信制御装置60が、通信制御装置60に対してID:AAAを指定して情報取得リクエストを行う。リクエスト受信後、通信制御装置60はID:AAAの情報検索を行い、該当する基地局装置40の登録情報、通信パラメータ情報をレスポンスで通知する。
【0275】
期間指定方式とは、特定の期間を指定し、当該期間に所定の条件を満たす情報が交換されうる。
【0276】
所定の条件とは、例えば、情報の更新の有無が挙げられる。例えば、特定期間における通信装置情報の取得をリクエストで指定された場合、当該期間に新規に登録された基地局装置40の登録情報や通信パラメータに変更があった基地局装置40の登録情報と通信パラメータの情報がレスポンスで通知されうる。
【0277】
所定の条件とは、例えば、通信制御装置60が記録しているかどうかが挙げられる。例えば、特定期間における通信装置情報の取得をリクエストで指定された場合、当該期間に通信制御装置60が記録していた基地局装置40の登録情報、通信パラメータの情報がレスポンスで通知されうる。さらには、当該期間における最新情報が通知されうる。または、情報ごとに更新履歴が通知されてもよい。
【0278】
領域指定方式とは、特定の領域を指定し、当該領域に属する情報が交換される。例えば、特定領域における通信装置情報の取得をリクエストで指定された場合、当該領域に設置されている基地局装置40の登録情報、通信パラメータの情報がレスポンスで通知されうる。
【0279】
ダンプ方式とは、通信制御装置60が記録している全ての情報を提供する方式である。少なくとも、基地局装置40に関する情報やエリア情報はダンプ方式で提供されることが望ましい。
【0280】
ここまでの通信制御装置60間情報交換についての説明は、全てプル方式に基づくものである。すなわち、リクエストで指定されたパラメータに該当する情報がレスポンスされる形態であり、一例として、HTTP GETメソッドで実現されうる。しかしながら、プル方式に限定される必要はなく、プッシュ方式で能動的に他の通信制御装置60に情報を提供してもよい。プッシュ方式は、一例として、HTTP POSTメソッドで実現されうる。
【0281】
[命令・依頼手続き]
通信制御装置60は、互いに命令及び/又は依頼を実施してもよい。具体的には、一例として、基地局装置40の通信パラメータの再構成(Reconfiguration)が挙げられる。例えば、通信制御装置60が管理する基地局装置40が、通信制御装置60の管理する基地局装置40から多大な干渉を受けていると判断される場合に、通信制御装置60が通信制御装置60に対して、基地局装置40の通信パラメータ変更依頼をしてもよい。
【0282】
別の一例として、エリア情報の再構成(Reconfiguration)が挙げられる。例えば、通信制御装置60の管理する基地局装置40に関するカバレッジ情報や保護領域情報の計算に不備が見られる場合、通信制御装置60が通信制御装置60に対して、当該エリア情報の再構成を依頼してもよい。これ以外にも、さまざまな理由からエリア情報の再構成依頼が行われてもよい。
【0283】
<<6.一次利用装置の保護に関する情報の動的決定(第1の実施例)>>
次に、第1の実施例に係る通信システム1000の動作について説明する。通信システム1000は、一次利用装置に関する情報に基づき、一次利用装置の保護に関する情報を動的に決定する。通信システム1000は、一次利用装置の保護に関する情報に基づき、二次利用装置の動作パラメータ(通信パラメータともいう。)を算出する。
【0284】
ここで、一次利用装置(第1の通信装置)は、所定の周波数帯を一次利用する装置のことである。例えば、一次利用装置は、電波利用装置10のことである。なお、以下の説明で登場する一次利用装置のワードは、第1無線システムやプライマリシステムのワードに置き換え可能である。この場合、第1無線システム又はプライマリシステムは、複数の通信装置(例えば、複数の電波利用装置10)で構成されていてもよいし、1つの通信装置(例えば、1つの電波利用装置10)で構成されていてもよい。
【0285】
また、二次利用装置(第2の通信装置)は、所定の周波数帯を二次利用する装置のことである。例えば、二次利用装置は、基地局装置40や端末装置30のことである。なお、以下の説明で登場する二次利用装置のワードは、第2無線システムやセカンダリシステムのワードに置き換え可能である。この場合、第2無線システム又はセカンダリシステムは、複数の通信装置(例えば、複数の基地局装置40及び/又は複数の端末装置30)で構成されていてもよいし、1つの通信装置(例えば、1つの基地局装置40又は1つの端末装置30)で構成されていてもよい。
【0286】
<6-1.説明に用いるシステム構成>
図23は、周波数の二次利用を可能とする通信システム1000の機能構成の一例を示す図である。通信システム1000は、管理装置20と、プロキシ装置50と、通信制御装置60と、を備える。
【0287】
なお、図23に示す構成は、通信システム1000の動作を理解容易にするため、<<2.通信システムの構成>>で説明した構成を簡略化したものである。すなわち、図23に示した装置は、本説明に必要な代表的構成を抽出したものであり、他の装置に置き換えることが可能である。例えば、管理装置20は通信システム1(プライマリシステム)を構成する他の装置(例えば、電波利用装置10)に置き換え可能である。また、プロキシ装置50は通信システム2(セカンダリシステム)を構成する他の装置(例えば、端末装置30や基地局装置40)に置き換え可能である。
【0288】
以下、通信システム1000の動作を説明する前に、管理装置20、プロキシ装置50、及び、通信制御装置60それぞれの機能構成を説明する。
【0289】
[管理装置]
管理装置20は、通信システム1(プライマリシステム)が備える各装置(例えば、電波利用装置10)を管理する装置である。管理装置20は、割当部231、検出部232、決定部233、及び、提供部234を備える。
【0290】
上述したように、図23に示す管理装置20は、通信システム1(プライマリシステム)が備える他の装置に置き換え可能である。例えば、管理装置20を電波利用装置10に置き換え可能である。この場合、以下に示す割当部231、検出部232、決定部233、及び提供部234の記載は、電波利用装置10の制御部13が備える機能ブロックを示す記載に置き換え可能である。
【0291】
以下、管理装置20が備える各ブロックの機能を説明する。
【0292】
割当部231は、第1の識別子を各一次利用装置に割り当てる。第1の識別子は、一次利用装置に関する情報である。例えば、第1の識別子は、一次利用装置の秘匿度、通信の重要度(例えば、通信の内容の重要度)、或いは、優先度に応じて一次利用装置を分類するための情報である。勿論、第1の識別子はこれらの例に限定されない。第1の識別子については後述する。
【0293】
検出部232は、一次利用装置の運用状況等をモニターする。例えば、一次利用装置が固定設置されているのか、或いは、移動しているのかをモニターする。また、検出部232は、一次利用装置の秘匿度、通信の重要度、或いは、通信の優先度をモニターする。ここで、一次利用装置の秘匿度は、一次利用装置が端末装置である場合には、あらかじめ端末のIDに紐づけて設定されていてもよい。また、秘匿度と端末のIDの紐づけは、サブスクリプション契約(Subscription Agreement)で行われてもよい。秘匿度は、複数の段階、例えば、5段階に分類(Classify)されてもよい。
【0294】
割当部231は、検出部232の結果に基づいて、動的に第1の識別子を各一次利用装置に割り当てる。そして、決定部233は、割り当てられた第1の識別子に基づいて、一次利用装置の位置情報に加えて(或いは替えて)、保護エリアの範囲を設定する。
【0295】
例えば、一次利用装置の存在そのものを秘匿したい場合、固定設置されている状態は一次利用装置の位置を長い期間にわたって特定されるリスクが高いものと考えられる。そこで、割当部231は、一次利用装置が固定設置か可動設置かを識別するための情報を第1の識別子として当該一次利用装置に割り当てる。そして、決定部233は、第1の識別子に基づいて一次利用装置に関する保護エリアの範囲を設定する。
【0296】
なお、割当部231は、所定のタイミングで第1の識別子を再割り当てしてもよい。例えば、割当部231は、固定設置されていた一次利用装置が移動を開始した場合に、第1の識別子を再割り当てしてもよい。そして、決定部233は、再割り当てされた第1の識別子に基づいて、一次利用装置に関する保護エリアの範囲を設定してもよい。このケースでは、一次利用装置は移動しているので、一次利用装置の位置が長い期間にわたって特定されるリスクは低いと考えられる。そこで、このケースでは、決定部233は、一次利用装置の保護エリアとして小さな範囲(第1の範囲)を設定する。
【0297】
また、割当部231は、移動していた一次利用装置が固定設置された場合に、第1の識別子を再割り当てしてもよい。そして、決定部233は、再割り当てされた第1の識別子に基づいて、一次利用装置に関する保護エリアの範囲を設定してもよい。このケースでは、一次利用装置は固定設置されているので、一次利用装置の位置が長い期間にわたって特定されるリスクは高いと考えられる。そこで、決定部233は、一次利用装置の保護エリアとして大きな範囲(例えば、上記第1の範囲より大きな範囲)を設定する。
【0298】
これにより、一次利用装置の位置が特定される、或いは、第三者から攻撃を受ける等のリスクを低減することができる。また、攻撃や妨害のリスクの低い状態では、二次利用できるエリアと期間を増やすことができる。
【0299】
また、移動経路を秘匿したい一次利用装置も存在すると想定し得る。この場合、割当部231は、一次利用装置が移動を開始した場合に、この状況に適した第1の識別子(例えば、所定の閾値より高い秘匿度)を再割り当てする。そして、決定部233は、再割り当てされた第1の識別子に基づいて、一次利用装置に関する保護エリアの範囲を設定する。例えば、決定部233は、一次利用装置の位置を秘匿できるように、一次利用装置の保護エリアとして大きな範囲(例えば、所定の閾値より低い秘匿度の場合の保護エリアの範囲より大きな保護エリアの範囲)を設定する。これにより、一次利用装置の移動経路を秘匿することができる。
【0300】
ここで、例えば、検出部232は、移動距離が任意の閾値を超えた場合に、移動状態に遷移したと判断してもよい。これにより、小さな移動に伴う頻繁な割当部231による第1の識別子を再割り当ての頻度を抑制することができる。加えて、決定部233による保護エリアの範囲の設定等の処理の負荷の増大も抑制することができる。また、プロキシ装置50への第1の識別子や保護エリアの範囲に関する情報の更新頻度も削減することができる。この結果として、プロキシ装置50との通信処理に伴う付加削減や、プロキシ装置50の処理削減にも貢献する。つまり、再割り当ておよび保護エリアの範囲の設定の頻度を有意な程度に抑制することで、サーバ負荷と周波数利用効率の改善の間のトレードオフが実現可能となる。
【0301】
また、検出部232が、特に重要な内容ではない通信を行っていたある一次利用装置が、有事の際、重要な内容の通信を開始したことを検出したとする。この場合、割当部231は、当該一次利用装置の通信を保護すべく、この状況に適した第1の識別子(例えば、所定の閾値より高い重要度)を再割り当てする。決定部233は、再割り当てされた第1の識別子に基づいて、一次利用装置に関する保護エリアの範囲を設定する。このケースでは、一次利用装置の通信は高い保護が必要な通信である。そこで、決定部233は、一次利用装置の保護エリアとして大きな保護エリアの範囲(例えば、所定の閾値より低い重要度の場合の保護エリアの範囲より大きな保護エリアの範囲)を設定する。また、決定部233は、一次利用装置の保護エリアの範囲の情報に加えて(或いは替えて)、干渉マージンの量を設定するようにしてもよい。これにより、二次利用装置から一次利用装置への電波干渉の生じるリスクを低減でき、重要な内容の通信の動的な保護が期待できる。
【0302】
また、秘匿度合いの低い内容の通信(例えば、所定の閾値より低い秘匿度の通信)を行っていたある一次利用装置が、秘匿度合いの高い内容の通信(例えば、所定の閾値より高い秘匿度の通信)を開始したとする。この場合、当該一次利用装置の通信を保護すべく、割当部231は、この秘匿度に適した第1の識別子を再割り当てする。決定部233は、再割り当てされた第1の識別子に基づいて、一次利用装置に関する保護エリアの範囲を設定する。このケースでは、一次利用装置の通信は高い保護が必要な通信である。そこで、決定部233は、一次利用装置の保護エリアとして大きな保護エリアの範囲(例えば、所定の閾値より低い秘匿度の場合の保護エリアの範囲より大きな保護エリアの範囲)を設定する。これにより、二次利用装置から一次利用装置への電波干渉の生じるリスクを低減でき、秘匿度合いの高い内容の通信の動的な保護と、第三者に通信を傍受されるリスクを低減することができる。
【0303】
提供部234は、決定部233により設定された一次利用装置に関する情報を通信制御装置60に提供する。ここで、提供部234は、あらかじめ決められた頻度、例えば、1日毎に、通信制御装置60に対して、一次利用装置に関する情報のアップデートを実行してもよい。また、提供部234は、割当部231による第1の識別子の再割り当てのタイミングに合わせて、一次利用装置に関する情報のアップデートを実行してもよく、その際、第1の識別子の再割り当てが行われた一次利用装置に限って行ってもよい。
【0304】
[プロキシ装置]
プロキシ装置50は、通信システム2(セカンダリシステム)が備える各装置(例えば、基地局装置40)の代表となる装置である。プロキシ装置50は、第1の提供部541、第2の提供部542、要求部543、取得部544、及び、設定部545を備える。
【0305】
上述したように、図23に示すプロキシ装置50は、通信システム2(セカンダリシステム)が備える他の装置に置き換え可能である。例えば、プロキシ装置50は基地局装置40に置き換え可能である。この場合、以下に示す第1の提供部541、第2の提供部542、要求部543、取得部544、及び、設定部545の記載は、基地局装置40の制御部44が備える各機能ブロック(例えば、第1の提供部441、第2の提供部442、要求部443、取得部444、及び、設定部445)を示す記載に置き換え可能である。
【0306】
以下、プロキシ装置50が備える各ブロックの機能を説明する。
【0307】
第1の提供部541は、第2の識別子を要求部543に提供する。第2の識別子は、例えば、二次利用装置を管理する主体を分類する指標である。ここで、二次利用装置は、所定の周波数帯を二次利用する装置のことであり、図4に示す例であれば、例えば、基地局装置40や端末装置30のことである。
【0308】
第1の提供部541は、少なくとも、位置情報と周波数チャネルの情報を含む二次利用装置に関する情報を要求部543に提供する。ここで、二次利用装置に関する情報は、通信機能がサポートする通信方式、周波数バンド、最大送信出力電力等のケイパビリティであってもよい。
【0309】
要求部543は、通信制御装置60に対して、二次利用の許可要求(例えば、グラントリクエスト等の周波数利用許可リクエスト)を行う。この二次利用の許可要求には、少なくとも、第2の識別子、二次利用装置の位置情報、所望動作パラメータが含まれる。ここで、動作パラメータ(通信パラメータともいう。)は、少なくとも、最大送信電力(或いは、最大EIRP(Equivalent Isotropic Radiated Power))、及び、周波数帯域の情報を含む。ただし、通信制御装置60が二次利用装置に対して登録情報(Registration Information)を要求する場合には、二次利用装置の位置情報は、登録リクエスト、或いは、登録情報の更新処理に合わせて、通信制御装置60に提供されてもよい。つまり、二次利用の許可要求(例えば、周波数利用許可リクエスト)には、二次利用装置の位置情報が含まれていなくてもよい。登録情報(Registration Information)の更新は、例えば、二次利用装置が一定の距離移動した場合に起動される。
【0310】
取得部544は、要求部543による二次利用の許可要求の応答として、二次利用の許可情報(例えば、グラントレスポンス)を取得する。ここで、二次利用の許可情報には、例えば、許可する二次利用装置の識別子、二次利用の判定結果、或いは、二次利用を許可する場合に付される識別情報、許可する期間に関する情報が含まれる。また、通信制御装置60は、二次利用の許可の要求を承認しない場合には、その応答として、利用可能な動作パラメータを含む所定の情報を取得部544に提供してもよい。要求部543は、取得部544が取得した利用可能な動作パラメータに準ずる動作パラメータを含む二次利用の許可を再度要求することで、二次利用の許可を速やかに得ることが可能となる。
【0311】
設定部545は、取得部544を介して、通信制御装置60から許可された条件の動作パラメータを二次利用装置に対して設定する。この設定が完了した後、二次利用装置は所望周波数帯域での二次利用を開始することが可能となる。
【0312】
[通信管理装置]
通信制御装置60は、二次利用装置の電波送信に関する管理を行う装置である。通信制御装置60は、第1の受信部641、第2の受信部642、設定部643、算出部644、及び、通知部645を備える。
【0313】
第1の受信部641は、管理装置20から、一次利用装置に関する情報(第1の情報)を取得する。一次利用装置に関する情報(第1の情報)は、上述の「一次利用装置の保護に関する情報」であってもよい。例えば、一次利用装置に関する情報は、一次利用装置の位置情報、保護エリアの範囲、及び/又は干渉マージンの量であってもよい。また、一次利用装置に関する情報(第1の情報)は、上述の「第1の識別子」であってもよい。
【0314】
第2の受信部642は、プロキシ装置50から、二次利用装置に関する情報(第2の情報)を取得する。ここで、二次利用装置に関する情報は、例えば、二次利用装置の識別子、第2の識別子、二次利用装置の位置情報、及び/又は所望動作パラメータに関する情報である。なお、二次利用装置の識別子、第2の識別子、二次利用装置の位置情報、及び所望動作パラメータに関する情報のそれぞれを取得するタイミングは、同時でもよいし、異なるタイミングであってもよい。
【0315】
設定部643は、第1の受信部641を介して管理装置20から取得した一次利用装置に関する情報(第1の情報)を保存する。さらに、設定部643は、第2の受信部642を介してプロキシ装置50から取得した二次利用装置に関する情報(第2の情報)を保存する。そして、第1の情報及び/又は第2の情報に基づいて、動作パラメータの算出に使用される「一次利用装置の保護に関する情報」を設定する。第1の情報が一次利用装置の保護に関する情報そのものであれば、設定部643は、第1の情報を、動作パラメータの算出に使用される「一次利用装置の保護に関する情報」として設定してもよい。
【0316】
算出部644は、設定部643に保存されている一次利用装置に関する情報、及び、二次利用装置に関する情報に基づいて、二次利用の許可要求に係る二次利用装置(以下、対象の二次利用装置という。)が、任意の一次利用装置に与える影響を算出する。ここで、一次利用装置に与える影響は、例えば、干渉の量である。さらに、算出部644は、任意の一次利用装置に係る保護エリアの範囲、或いは、干渉マージンの量を考慮して、対象の二次利用装置に許可する動作パラメータとなる二次利用パラメータを算出する。
【0317】
通知部645は、二次利用システム(例えば、プロキシ装置50)、或いは、対象の二次利用装置(例えば、基地局装置40や端末装置30)からの二次利用の許可要求の応答として、算出部644が算出した二次利用パラメータを二次利用システム、或いは、対象の二次利用装置に通知する。
【0318】
<6-2.第1の識別子>
上述したように、第1の識別子は、一次利用装置への干渉保護や秘匿の程度をどの程度考慮するかを判断する指標として用いられる。周波数の二次利用を判断する際、一次利用対象に対する干渉保護エリアを極小化、干渉マージンを最小化することにより、周波数の二次利用効率を最大化させることができる。半面、周波数を一次利用する主体が、例えば、公安や防衛に関連する場合、一次利用装置の通信は通信内容の重要性に応じて、最大限保護されるべきものであると考えられる。例えば、有事の際の緊急を要する情報は、最大限優先されるべき情報であると想定される。また、一次利用装置の正確な位置を開示したくない場合も想定される。その場合、干渉保護エリアをより大きくして一次利用装置の正確な位置を特定困難にしたいものと想定される。そこで、本実施形態では、第1の識別子を使って一次利用装置への干渉保護の程度や一次利用装置の秘匿の程度(例えば、一次利用装置そのものの存在の秘密の度合い)を分類できるようにする。
【0319】
図24は、第1の識別子の一例を示す図である。この例では、一次利用対象の各装置の設置態様に基づいて当該装置への干渉保護や秘匿の程度が分類される。例えば、第1の識別子として“2”が割り当てられた一次利用装置の情報に関しては、提供部234は、通信制御装置60が精度の高い干渉計算をできるよう、当該装置の正確な位置を通信制御装置60に開示する。一方で、第1の識別子として“1”が割り当てられた一次利用装置に関しては、提供部234は、通信制御装置60が当該装置の正確な位置が特定できないよう、例えば、当該装置の正確な位置を含む範囲情報を通信制御装置60に開示する。ここで、一次利用対象の各装置の設置態様は、一次利用対象の各装置の機密度としてもよい。
【0320】
図25は、第1の識別子の別の例を示す図である。この例では、一次利用対象の各装置の通信の重要性に基づいて当該装置に関する情報の開示区分が分類される。例えば、第1の識別子”高”が割り当てられた一次利用装置の情報に関しては、提供部234は、当該装置の正確な位置ではなく、例えば、正確な位置を含む大きな範囲(所定の面積より大きな範囲)の情報を通信制御装置60に開示する。また、第1の識別子の”中”が割り当てられた一次利用装置の情報に関しては、提供部234は、当該装置の正確な位置ではなく、例えば、正確な位置を含むより小さな範囲(所定の面積より小さな範囲)を通信制御装置60に開示する。一方、第1の識別子の“低”が割り当てられた一次利用装置の情報に関しては、当該装置の正確な位置(例えば、誤差を含まないピンポイントの位置)を通信制御装置60に開示する。ここで、通信の重要性は、通信の優先度と読み替えてもよい。
【0321】
なお、管理装置20は、第1の識別子に基づいて一次利用装置が許容する干渉量(許容干渉量)を変更してもよい。以下の説明では、許容干渉量(干渉マージン)のことを被干渉マージンということがある。例えば、第1の識別子が通信の重要度であるとする。この場合、管理装置20は、第1の識別子“高”が割り当てられた一次利用装置には、被干渉マージンとして大きなマージン(例えば、所定の閾値より大きな干渉マージン)を設定し、第1の識別子“低”が割り当てられた一次利用装置には、被干渉マージンとして小さなマージン(例えば、所定の閾値より小さな干渉マージン)を設定する。
【0322】
なお、第1の識別子は上記の例に限定されない。また、第1の識別子は、複数の要素を組み合わせて開示区分が分類されたものであってもよい。例えば、第1の識別子は一次利用装置の設置態様(或いは一次利用装置の秘匿度)、及び、一次利用装置の通信の重要度(或いは、優先度)の組み合わせに基づいて当該装置に関する情報の開示区分が分類されたものであってもよい。
【0323】
<6-3.第2の識別子>
上述したように、第2の識別子は、例えば、二次利用装置を利用、運用、及び/又は管理する主体(以下、二次利用主体という。)の信用度を区分する指標として用いられる。ここで、信用度の分類は、二次利用主体の有する免許の種類の区分によってなされてもよい。
【0324】
例えば、第2の識別子がプロキシ装置50から管理装置20に提供されるとする。或いは、第2の識別子が通信制御装置60から管理装置20に提供されるとする。この場合、一次利用装置が使用する周波数帯を二次利用する複数の二次利用装置が全て信用度の高い二次利用主体(例えば、免許事業者)の装置の場合には、管理装置20は、秘匿度の高い情報を通信制御装置60に開示する。例えば、管理装置20は、通信制御装置60が干渉計算をするのに必要な全ての一次利用装置の正確な設置位置情報(例えば、誤差を含まないピンポイントの情報)を通信制御装置60に開示する。
【0325】
一方、複数の二次利用装置の中に信用度の低い二次利用主体(例えば、無免許利用者)の装置が含まれる場合には、管理装置20は、秘匿度の低い情報を通信制御装置60に開示する。例えば、管理装置20は、正確な設置位置情報としては、例えば、秘匿度が低い(例えば、秘匿度が所定の閾値より低い)一次利用装置の情報のみを通信制御装置60に開示する。このとき、秘匿度が高い(例えば、秘匿度が所定の閾値より高い)一次利用装置の設置位置情報については、管理装置20は、例えば、正確な設置位置情報ではなく、誤差を含んだ位置情報及び/又は範囲情報(エリア情報)としてもよい。勿論、管理装置20は、秘匿度が高い一次利用装置の設置位置情報を開示しなくてもよい。
【0326】
図26は、第2の識別子の一例を示す図である。この例では、二次利用主体が免許事業者であるか否かに基づいて二次利用主体の信用度が分類される。例えば、複数の二次利用装置が、全て、第2の識別子“1”が割り当てられた二次利用主体の装置の場合には、管理装置20は、複数の二次利用装置が全て信用度の高い主体の装置であると判断し、秘匿度の高い情報、例えば、各一次利用装置それぞれの正確な位置情報(例えば、誤差を含まないピンポイントの情報)を通信制御装置60に開示する。一方、複数の二次利用装置の中に第2の識別子“2”が割り当てられた二次利用主体の装置が含まれる場合には、管理装置20は、複数の二次利用装置の中に信用度が低い主体の装置が含まれると判断し、秘匿度の低い情報、例えば、各一次利用装置の正確な位置を含む範囲情報(例えば、決定部233が設定する保護エリアの範囲の情報)或いは誤差を含んだ位置情報を通信制御装置60に開示する。なお、第2の識別子はエリア毎に設定されてもよい。例えば、都道県毎に設定される。
【0327】
なお、第2の識別子は、信用度の情報に限られない。図27は、第2の識別子の他の例を示す図である。第2の識別子は、例えば、サービス態様の情報であってもよい。サービス態様の情報とは、二次利用装置が提供する通信サービスの態様を示す情報である。例えば、サービス態様の情報は、基地局装置40が端末装置30に提供する通信サービスのタイプが、eMBB、mMTC、及びURLLCのうちの少なくとも1つを含む複数のタイプのいずれのタイプかを特定するための情報であってもよい。
【0328】
ここで、二次利用装置が提供する通信サービスのタイプの判別は、5Gで新たに導入されたネットワークスライスの識別情報、例えば、スライスID(Slice ID)に基づいて行われてもよい。このとき、スライスIDは、S-NSSAI(Single Network Slice Selection Assistance Information)であってもよい。S-NSSAIは、例えば、SST(Slice/Service type)から構成される。また、S-NSSAIは、SSTおよびSD(Slice Differentiator)から構成されてもよい。スライスIDは、二次利用装置が提供する通信サービスのタイプ(例えば、基地局装置40が提供する通信サービスがURLLCかeMBBかmMTCか)を示す情報とみなすことができる。なお、通信サービスのタイプの判別は、スライスID以外の、予め設定された他の基準に基づいて行われてもよい。例えば、通信サービスのタイプの判別は、基地局装置40の有する能力に基づいて行われてもよい。
【0329】
なお、URLLCでは信頼性の要求事項が厳しい。そこで、管理装置20は、複数の二次利用装置の中に第2の識別子“URLLC”が割り当てられた二次利用主体の装置が含まれる場合には、通信制御装置60が精度の高い干渉計算ができるよう、秘匿度の高い情報、例えば、各一次利用装置それぞれの正確な位置情報(例えば、誤差を含まないピンポイントの情報)を通信制御装置60に開示する。一方、複数の二次利用装置の中に第2の識別子“URLLC”が割り当てられた二次利用主体の装置が含まれない場合には、管理装置20は、秘匿度の低い情報、例えば、各一次利用装置の正確な位置を含む範囲情報或いは誤差を含んだ位置情報を通信制御装置60に開示する。
【0330】
<6-4.一次利用装置情報範囲決定処理>
次に、一次利用装置情報範囲決定処理について説明する。
【0331】
[第1の例]
図28は、一次利用装置情報範囲決定処理の一例(第1の例)を示す図である。図28に示す処理は、例えば、管理装置20の決定部233で実行される。本処理は、検出部232が、複数ある一次利用装置のうちのいずれか(以下、対象の一次利用装置という。)の情報を検出し、その検出した情報に基づいて割当部231が当該一次利用装置に第1の識別子を割り当てた場合に実行される。なお、本処理は、例えば、第1の識別子が図24に示す情報の場合に適用し得る。
【0332】
まず、決定部233は割当部231から第1の識別子を取得する(ステップS101)そして、決定部233は、第1の識別子に基づいて対象の一次利用装置の設置態様が“固定設置”であるか否かを判別する(ステップS102)。
【0333】
対象の一次利用装置の設置態様が“固定設置”の場合(ステップS102:Yes)、決定部233は、一次利用装置の位置が長期にわたり特定されないよう、広い範囲を保護エリアとして決定する。例えば、決定部233は、対象の一次利用装置の正確な位置は開示することなく、対象の一次利用装置の正確な位置を含む第1の範囲を通信制御装置60に開示すると決定する(ステップS103)。第1の範囲は、例えば、対象の一次利用装置の位置を含む50kmのエリアである。そして、決定部233は、決定した第1の範囲を通信制御装置60に通知する保護エリアとして設定する。
【0334】
対象の一次利用装置の設置態様が“固定設置”でない場合(ステップS102:No)、決定部233は、第1の識別子に基づいて対象の一次利用装置の設置態様が“可動設置”であるか否かを判別する(ステップS104)。
【0335】
対象の一次利用装置の設置態様が“可動設置”の場合(ステップS104:Yes)、決定部233は、対象の一次利用装置の正確な位置を通信制御装置60に通知すると決定する(ステップS105)。この場合、対象の一次利用装置の保護エリアは、決定部233が決定してもよいし、通信制御装置60が決定してもよい。そして、決定部233は、対象の一次利用装置の正確な位置を通信制御装置60に通知する情報として設定する。
【0336】
対象の一次利用装置の設置態様が“固定設置”でも“可動設置”でもない場合は、決定部233は、設置態様に合わせ適宜開示情報を決定する。
【0337】
[第2の例]
図29は、一次利用装置情報範囲決定処理の他の例(第2の例)を示す図である。図29に示す処理は、例えば、管理装置20の決定部233で実行される。本処理は、検出部232が、複数ある一次利用装置のうちのいずれか(以下、対象の一次利用装置という。)の情報を検出し、その検出した情報に基づいて割当部231が当該一次利用装置に第1の識別子を割り当てた場合に実行される。なお、本処理は、例えば、第1の識別子が図25に示す情報の場合に適用し得る。
【0338】
まず、決定部233は割当部231から第1の識別子を取得する(ステップS201)そして、決定部233は、第1の識別子に基づいて対象の一次利用装置の通信の重要度(或いは優先度)が“高”であるか否かを判別する(ステップS202)。
【0339】
対象の一次利用装置の通信の重要度(或いは優先度)が“高”の場合(ステップS202:Yes)、決定部233は、通信を行う一次利用装置の位置が特定されたり、通信が傍受されたりされないよう、広い範囲を保護エリアとして決定する。例えば、決定部233は、対象の一次利用装置の正確な位置は開示することなく、対象の一次利用装置の正確な位置を含む第1の範囲を通信制御装置60に開示すると決定する(ステップS203)。第1の範囲は、例えば、対象の一次利用装置の位置を含む50kmのエリアである。そして、決定部233は、決定した第1の範囲を通信制御装置60に通知する保護エリアとして設定する。
【0340】
対象の一次利用装置の通信の重要度(或いは優先度)が“高”でない場合(ステップS202:No)、決定部233は、第1の識別子に基づいて対象の一次利用装置の通信の重要度が“中”であるか否かを判別する(ステップS204)。
【0341】
対象の一次利用装置の通信の重要度(或いは優先度)が“中”の場合(ステップS204:Yes)、決定部233は、中程度の範囲を保護エリアとして決定する。例えば、決定部233は、対象の一次利用装置の正確な位置は開示することなく、対象の一次利用装置の位置を含む第2の範囲を通信制御装置60に開示すると決定する(ステップS205)。第2の範囲は、第1の範囲より小さな範囲である。例えば、第2の範囲は、対象の一次利用装置の位置を含む10kmのエリアである。そして、決定部233は、決定した第2の範囲を通信制御装置60に通知する保護エリアとして設定する。
【0342】
対象の一次利用装置の通信の重要度(或いは優先度)が“中”でない場合(ステップS204:No)、すなわち、通信の重要度(或いは優先度)が“低”の場合、決定部233は、対象の一次利用装置の正確な位置を通信制御装置60に通知すると決定する(ステップS206)。この場合、対象の一次利用装置の保護エリアは、決定部233が決定してもよいし、通信制御装置60が決定してもよい。そして、決定部233は、対象の一次利用装置の正確な位置を通信制御装置60に通知する情報として設定する。
【0343】
なお、ステップS203では、決定部233は、50kmの範囲を保護エリアとして設定したが、50kmのエリアの代わりに、無限大のエリアを設定してもよい。これにより、実質的に、対象の一次利用装置の位置情報を開示しないことと等価な動作を実現し得る。
【0344】
また、保護エリアの大きさはステップS203、S205、S206で示した大きさに限定されない。また、保護エリアの大きさは、所定の基準に従い動的に変更し得る。例えば、保護エリアの大きさは、時間帯、通信の重要度(或いは優先度)、一次利用装置の位置、一次利用装置の設置態様、及び/又は一次利用装置の秘匿度等により動的に変更し得る。
【0345】
[第3の例]
図30は、一次利用装置情報範囲決定処理の他の例(第3の例)を示す図である。図30に示す処理は、例えば、管理装置20の決定部233で実行される。本処理は、検出部232が、複数ある一次利用装置のうちのいずれか(以下、対象の一次利用装置という。)の情報を検出し、その検出した情報に基づいて割当部231が当該一次利用装置に第1の識別子を割り当てた場合に実行される。なお、本処理は、例えば、第1の識別子が図25に示す情報の場合に適用し得る。
【0346】
まず、決定部233は割当部231から第1の識別子を取得する(ステップS301)そして、決定部233は、第1の識別子に基づいて対象の一次利用装置の通信の重要度が“高”であるか否かを判別する(ステップS302)。
【0347】
対象の一次利用装置の通信の重要度が“高”の場合(ステップS302:Yes)、決定部233は、通信が妨害されないよう、大きな被干渉マージンを設定する。例えば、決定部233は、対象の一次利用装置の被干渉マージンとして第1の値を設定する(ステップS303)。第1の値は、例えば、20dBである。
【0348】
対象の一次利用装置の通信の重要度が“高”でない場合(ステップS302:No)、決定部233は、第1の識別子に基づいて対象の一次利用装置の通信の重要度が“中”であるか否かを判別する(ステップS304)。
【0349】
対象の一次利用装置の通信の重要度が“中”の場合(ステップS304:Yes)、決定部233は、中程度の被干渉マージンを設定する。例えば、決定部233は、対象の一次利用装置の被干渉マージンとして第2の値を設定する(ステップS305)。第2の値は、第1の値より小さな値である。例えば、第2の値は、10dBである。
【0350】
対象の一次利用装置の通信の重要度が“中”でない場合(ステップS304:No)、すなわち、通信の重要度が低の場合、決定部233は、より広い範囲で二次利用できるように被干渉マージンを設定する。例えば、決定部233は、対象の一次利用装置の被干渉マージンとして第3の値を設定する(ステップS306)。第3の値は、第2の値より小さな値である。例えば、第3の値は、0dBである。
【0351】
被干渉マージンは、周波数を二次利用する装置の送信電力を設定する際に考慮されるマージンであり、より大きなマージンを設定することにより、プライマリシステムへの干渉レベルを下げることができる。
【0352】
なお、被干渉マージンの大きさはステップS303、S305、S306で示した大きさに限定されない。また、被干渉マージンの大きさは、所定の基準に従い動的に変更し得る。例えば、被干渉マージンの大きさは、時間帯、通信の重要度(或いは優先度)、一次利用装置の位置、一次利用装置の設置態様、及び/又は一次利用装置の秘匿度等により動的に変更し得る。
【0353】
<6-5.一次利用装置情報の提供>
上述の一次利用装置情報範囲決定処理の実行後、提供部234は、対象の一次利用装置に関する情報を通信制御装置60に提供する。例えば、提供部234は、一次利用装置情報範囲決定処理で設定された一次利用装置の保護に関する情報(例えば、一次利用装置の位置、保護エリアの範囲、及び/又は、被干渉マージンの量を示す情報)を提供する。
【0354】
<6-6.二次利用パラメータ算出処理>
次に、通信制御装置60が実行する二次利用パラメータ算出処理について説明する。
【0355】
図31は、二次利用パラメータ算出処理の一例を示す図である。二次利用パラメータ算出処理は通信制御装置60の算出部644及び通知部645により実行される。
【0356】
なお、二次利用パラメータ算出処理の前に、通信制御装置60の第1の受信部641は、対象の一次利用装置に関する情報を管理装置20から取得する。対象の一次利用装置に関する情報(第1の情報)は、例えば、対象の一次利用装置(例えば、電波利用装置10)の保護に関する情報(以下、保護情報という。)である。保護情報は、例えば、一次利用装置の位置、保護エリアの範囲、及び/又は、被干渉マージンの量を示す情報である。
【0357】
そして、設定部643は、取得した情報に基づいて保護情報を設定する。取得した情報が保護情報そのものであれば、設定部643は、取得した情報を保護情報として設定する。なお、設定部643は、第1の受信部641が対象の一次利用装置に関する情報を新たに受信した場合には、新たに受信した情報に基づいて保護情報を再設定(以下、変更、或いは更新ともいう。)する。
【0358】
また、通信制御装置60の第2の受信部642は、二次利用装置の登録処理、或いは、二次利用の許可要求処理に合わせて、二次利用装置に関する情報をプロキシ装置50(或いは二次利用装置自身)から取得する。二次利用装置に関する情報は、例えば、二次利用装置の識別子、第2の識別子、二次利用装置の位置情報、所望動作パラメータに関する情報である。そして、設定部643は、取得した情報を動作パラメータの計算に使用する情報として設定する。なお、設定部643は、第2の受信部642が一次利用装置に関する情報を新たに受信した場合には、新たに受信した情報を動作パラメータの計算に使用する情報として再設定(以下、変更、或いは更新ともいう。)する。
【0359】
以上を前提に二次利用パラメータ算出処理を説明する。
【0360】
通信制御装置60の算出部644は、処理の開示条件を満たしたか否か判別する(ステップS401)。例えば、算出部644は、一次利用装置に関する情報に変更があったか否か、若しくは、二次利用許可の要求があったか否を判定する。開示条件を満たしていない場合(ステップS401:No)、算出部644は、開始条件を満たすまでステップS401を繰り返す。
【0361】
開示条件を満たした場合(ステップS401:Yes)、算出部644は、設定部643が設定した、対象の一次利用装置の保護情報を取得する。例えば、算出部644は、保護情報として、対象の一次利用装置の位置情報(ステップS402)を取得する。なお、位置情報が設定されていない場合は、算出部644は、位置情報を取得しなくてもよい。また、算出部644は、保護情報として、対象の一次利用装置の保護エリアの範囲に関する情報を取得する(ステップS403)。
【0362】
また、算出部644は、設定部643が設定した、対象の二次利用装置に関する情報を取得する。例えば、算出部644は、対象の二次利用装置に関する情報として、対象の二次利用装置の位置情報を取得する(ステップS404)。また、算出部644は、対象の二次利用装置に関する情報として、対象の二次利用装置の所望動作パラメータの情報を取得する(ステップS405)。
【0363】
続いて、算出部644は、対象の二次利用装置に許容する最大電力を算出する。例えば、算出部644は、対象の二次利用装置の位置と、対象の一次利用装置に割り当てられた保護エリア内の任意の位置と、の距離を算出する(ステップS406)。そして、算出部644は、所望動作パラメータに含まれる周波数帯域において、対象の一次利用装置に与える干渉の量が許容範囲以下、若しくは、未満となる許容最大電力を算出する(ステップS407)。なお、ステップS406では、算出部644は、対象の二次利用装置の位置と、対象の一次利用装置に割り当てられた保護エリアと、の最短距離を算出してもよい。
【0364】
次に、算出部644は、算出した許容最大電力が所望動作パラメータに含まれる所望送信電力以上であるか、否かを判定する(ステップS408)。ここで、許容最大電力、及び所望送信電力は、EIRPに換算された電力でもよい。また、ステップS408で、対象の二次利用装置の許容最大電力が有意な送信電力(例えば、-10dBm)以上であるか、否かを判定するようにしてもよい。この有意な送信電力は動的に設定可能であってもよい。
【0365】
許容最大電力が所望動作パラメータに含まれる所望送信電力以上である場合(ステップS408:Yes)、算出部644は、所望動作パラメータに含まれる周波数帯域の二次利用を許可する(ステップS409)。そして、通信制御装置60の通知部645は、二次利用許可要求の応答として、二次利用パラメータを通知する(ステップS410)。この二次利用パラメータは、所望動作パラメータであってもよい。
【0366】
またの許容最大電力が所望動作パラメータに含まれる所望送信電力以上でない場合(ステップS408:No)、算出部644は、所望動作パラメータに含まれる周波数帯域の二次利用を拒否する(ステップS411)。そして、通知部645は、二次利用許可要求の応答として、二次利用を許可しない旨を通知する(ステップS412)。なお、通知部645は、二次利用を許可しない旨に加えて、利用可能な動作パラメータ(例えば、別の周波数帯域での動作パラメータ候補)を通知してもよい。
【0367】
<6-7.二次利用許可の取得>
プロキシ装置50の取得部544は、通信制御装置60から図31に示す処理の結果として、二次利用の許可、及び、二次利用対象装置の動作パラメータを取得する。そして、設定部545は、動作パラメータを二次利用装置(例えば、基地局装置40)に設定する。二次利用の許可、及び、二次利用対象装置の動作パラメータは、二次利用装置(例えば、基地局装置40や端末装置30)が直接取得してもよい。二次利用装置の制御部(例えば、基地局装置40の通信制御部446や端末装置30の制御部34)は、動作パラメータに基づいて、二次利用の許可に係る周波数帯を使った電波送信を実行する。
【0368】
<<7.一次利用装置の保護に関する情報の動的決定(第2の実施例)>>
なお、図23に示す周波数を二次利用するシステムの構成の一例では、割当部231、検出部232、決定部233、及び、提供部234が管理装置20に実装される例を示したが、本実施形態はこの構成に限定されない。
【0369】
例えば、通信制御装置60を信用の高い主体、例えば、政府機関、或いは、政府から認証を受けた機関が運用する場合には、割当部231、検出部232、決定部233、及び、提供部234の一部又は全部の機能は、通信制御装置60に実装されてもよい。
【0370】
以下、決定部233の機能を通信制御装置60の設定部643が有する例を説明する。第2の実施例では、第1の識別子が提供部234によってそのまま通信制御装置60に提供されるものとする。通信制御装置60の第1の受信部641は、第1の識別子を、対象の一次利用装置に関する情報(第1の情報)として取得する。
【0371】
<7-1.設定処理>
以下、設定部643が実行する設定処理について説明する。以下の説明では、図28図30を流用して設定処理を説明する。
【0372】
[第1の例]
第1の例に係る設定処理は、図28に示した第1の例に係る一次利用装置情報範囲決定処理に相当する。以下、図28を参照しながら第1の例に係る設定処理を説明する。第1の例に係る設定処理は、例えば、通信制御装置60の設定部643で実行される。本処理は、第1の受信部641が、第1の識別子を取得した場合に実行される。本処理は、例えば、第1の識別子が図24に示す情報の場合に適用し得る。
【0373】
まず、設定部643は第1の受信部641から第1の識別子を取得する(ステップS101)そして、設定部643は、第1の識別子に基づいて対象の一次利用装置の設置態様が“固定設置”であるか否かを判別する(ステップS102)。
【0374】
対象の一次利用装置の設置態様が“固定設置”の場合(ステップS102:Yes)、設定部643は、一次利用装置の位置が長期にわたり特定されないよう、広い範囲を保護エリアとして決定する。例えば、設定部643は、対象の一次利用装置の正確な位置を含む第1の範囲を、保護エリアとして決定する(ステップS103)。第1の範囲は、例えば、対象の一次利用装置の位置を含む50kmのエリアである。そして、設定部643は、決定した第1の範囲を保護情報として設定する。
【0375】
対象の一次利用装置の設置態様が“固定設置”でない場合(ステップS102:No)、設定部643は、第1の識別子に基づいて対象の一次利用装置の設置態様が“可動設置”であるか否かを判別する(ステップS104)。
【0376】
対象の一次利用装置の設置態様が“可動設置”の場合(ステップS104:Yes)、設定部643は、対象の一次利用装置の正確な位置を保護情報として設定する。この場合、対象の一次利用装置の保護エリアは、設定部643が別途決定してもよい。
【0377】
対象の一次利用装置の設置態様が“固定設置”でも“可動設置”でもない場合は、設定部643は、設置態様に合わせ、適宜、保護情報を設定する。
【0378】
[第2の例]
第2の例に係る設定処理は、図29に示した第2の例に係る一次利用装置情報範囲決定処理に相当する。以下、図29を参照しながら第2の例に係る設定処理を説明する。第2の例に係る設定処理は、例えば、通信制御装置60の設定部643で実行される。本処理は、第1の受信部641が、第1の識別子を取得した場合に実行される。本処理は、例えば、第1の識別子が図25に示す情報の場合に適用し得る。
【0379】
まず、設定部643は第1の受信部641から第1の識別子を取得する(ステップS201)そして、設定部643は、第1の識別子に基づいて対象の一次利用装置の通信の重要度(或いは優先度)が“高”であるか否かを判別する(ステップS202)。
【0380】
対象の一次利用装置の通信の重要度(或いは優先度)が“高”の場合(ステップS202:Yes)、設定部643は、通信を行う一次利用装置の位置が特定されたり、通信が傍受されたりされないよう、広い範囲を保護エリアとして決定する。例えば、設定部643は、対象の一次利用装置の正確な位置を含む第1の範囲を保護エリアとして決定する(ステップS203)。第1の範囲は、例えば、対象の一次利用装置の位置を含む50kmのエリアである。そして、設定部643は、決定した第1の範囲を保護情報として設定する。
【0381】
対象の一次利用装置の通信の重要度(或いは優先度)が“高”でない場合(ステップS202:No)、設定部643は、第1の識別子に基づいて対象の一次利用装置の通信の重要度(或いは優先度)が“中”であるか否かを判別する(ステップS204)。
【0382】
対象の一次利用装置の通信の重要度が“中”の場合(ステップS204:Yes)、設定部643は、中程度の範囲を保護エリアとして決定する。例えば、設定部643は、対象の一次利用装置の位置を含む第2の範囲を通信制御装置60に開示すると決定する(ステップS205)。第2の範囲は、第1の範囲より小さな範囲である。例えば、第2の範囲は、対象の一次利用装置の位置を含む10kmのエリアである。そして、設定部643は、決定した第2の範囲を保護情報として設定する。
【0383】
対象の一次利用装置の通信の重要度(或いは優先度)が“中”でない場合(ステップS204:No)、すなわち、通信の重要度(或いは優先度)が“低”の場合、設定部643は、対象の一次利用装置の正確な位置を保護情報として設定する(ステップS206)。この場合、対象の一次利用装置の保護エリアは、設定部643が別途決定してもよい。
【0384】
また、保護エリアの大きさはステップS203、S205、S206で示した大きさに限定されない。保護エリアは無限大のエリアであってもよい有限大のエリアであってもよい。また、保護エリアの大きさは、所定の基準に従い動的に変更し得る。例えば、保護エリアの大きさは、時間帯、通信の重要度(或いは優先度)、一次利用装置の位置、一次利用装置の設置態様、及び/又は一次利用装置の秘匿度等により動的に変更し得る。
【0385】
[第3の例]
第3の例に係る設定処理は、図30に示した第3の例に係る一次利用装置情報範囲決定処理に相当する。以下、図30を参照しながら第3の例に係る設定処理を説明する。第3の例に係る設定処理は、例えば、通信制御装置60の設定部643で実行される。本処理は、第1の受信部641が、第1の識別子を取得した場合に実行される。本処理は、例えば、第1の識別子が図25に示す情報の場合に適用し得る。
【0386】
まず、設定部643は第1の受信部641から第1の識別子を取得する(ステップS301)そして、設定部643は、第1の識別子に基づいて対象の一次利用装置の通信の重要度が“高”であるか否かを判別する(ステップS302)。
【0387】
対象の一次利用装置の通信の重要度が“高”の場合(ステップS302:Yes)、設定部643は、通信が妨害されないよう、大きな被干渉マージンを設定する。例えば、設定部643は、対象の一次利用装置の被干渉マージンとして第1の値を設定する(ステップS303)。第1の値は、例えば、20dBである。この場合、第1の値が対象の一次利用装置の保護情報となる。
【0388】
対象の一次利用装置の通信の重要度が“高”でない場合(ステップS302:No)、設定部643は、第1の識別子に基づいて対象の一次利用装置の通信の重要度が“中”であるか否かを判別する(ステップS304)。
【0389】
対象の一次利用装置の通信の重要度が“中”の場合(ステップS304:Yes)、設定部643は、中程度の被干渉マージンを設定する。例えば、設定部643は、対象の一次利用装置の被干渉マージンとして第2の値を設定する(ステップS305)。第2の値は、第1の値より小さな値である。例えば、第2の値は、10dBである。この場合、第2の値が対象の一次利用装置の保護情報となる。
【0390】
対象の一次利用装置の通信の重要度が“中”でない場合(ステップS304:No)、すなわち、通信の重要度が低の場合、設定部643は、より広い範囲で二次利用できるように被干渉マージンを設定する。例えば、設定部643は、対象の一次利用装置の被干渉マージンとして第3の値を設定する(ステップS306)。第3の値は、第2の値より小さな値である。例えば、第3の値は、0dBである。この場合、第3の値が対象の一次利用装置の保護情報となる。
【0391】
なお、被干渉マージンの大きさはステップS303、S305、S306で示した大きさに限定されない。また、被干渉マージンの大きさは、所定の基準に従い動的に変更し得る。例えば、被干渉マージンの大きさは、時間帯、通信の重要度(或いは優先度)、一次利用装置の位置、一次利用装置の設置態様、及び/又は一次利用装置の秘匿度等により動的に変更し得る。
【0392】
<7-2.二次利用パラメータ算出処理>
通信制御装置60の算出部644は、設定部643が設定した保護情報に基づいて、対象の二次利用装置の動作パラメータを算出する。そして、通知部645は算出された動作パラメータをプロキシ装置50(或いは二次利用装置)に通知する。その他、算出部644及び通知部645が実行する処理は<6-6.二次利用パラメータ算出処理>で説明した処理と同様であってもよい。
【0393】
なお、設定部643は、第1の受信部641が対象の一次利用装置に関する第1の識別子(第1の情報)を新たに受信した場合には、新たに受信した情報に基づいて保護情報を更新する。そして、保護情報が更新された場合には、算出部644は、更新された保護情報に基づいて、対象の二次利用装置の動作パラメータを更新する。
【0394】
例えば、保護情報に、対象の一次利用装置に関する保護エリアの範囲の情報、及び第1の通信装置に関する干渉マージンの情報の少なくとも一方の情報が含まれるとする。この場合、設定部643は、更新された第1の識別子(第1の情報)に基づいて、保護エリアの範囲の情報、及び前記干渉マージンの情報の少なくとも一方の情報を更新する。そして、算出部644は、設定部643により更新された情報に基づいて、対象の二次利用装置の電波送信に関する動作パラメータを更新する。
【0395】
<<8.変形例>>
上述の実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
【0396】
<8-1.第1の情報に関する変形例>
例えば、上述の実施形態(第1の実施例及び第2の実施例)では、第1の識別子(第1の情報)は、一次利用装置の設置態様や一次利用装置の通信の重要度等の情報であるものとした。しかしながら、第1の識別子はこれらの情報に限定されない。
【0397】
[第1の情報に関する変形例1]
例えば、第1の識別子(第1の情報)には、一次利用装置の移動に関する情報(以下、移動情報という。)が含まれていてもよい。ここで、移動情報には、一次利用装置の移動距離、移動方向、移動速度、及び移動範囲の少なくとも1つの情報が含まれていてもよい。移動情報は、現在、過去、未来のいずれの移動情報であってもよい。ここで、現在の移動情報とは、例えば、現在の(例えば、リアルタイムの)一次利用装置の移動の情報であり、過去の移動情報とは、例えば、すでに行われた一次利用装置の移動の情報(例えば、一時間前から現在までの移動情報)であり、未来の移動情報とは、これから予定される一次利用装置の移動の情報である。
【0398】
そして、決定部233又は設定部643は、一次利用装置の移動情報に基づいて当該一次利用装置に関する保護エリアの範囲を設定してもよい。例えば、決定部233又は設定部643は、一次利用装置の移動距離、移動方向、移動速度、又は移動範囲が所定の閾値より大きい場合(すなわち、一次利用装置の活動範囲が大きい場合)には、大きな保護エリアを設定し、一次利用装置の移動距離、移動方向、移動速度、又は移動範囲が所定の閾値より小さい場合(すなわち、一次利用装置の活動範囲が小さい場合)には、小さな保護エリアを設定する。
【0399】
例えば、移動情報が一次利用装置の現在の移動速度であるとする。このとき、決定部233又は設定部643は、移動情報に基づき一次利用装置が所定の閾値より大きな速度で移動しているか否かを判別する。一次利用装置が所定の閾値より大きな速度で移動している場合には、決定部233又は設定部643は、広い範囲(例えば、第1の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして設定し、一次利用装置が所定の閾値より小さな速度で移動している場合には、狭い範囲(例えば、第1の範囲より狭い第2の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして設定する。決定部233又は設定部643は、一次利用装置の移動方向により保護エリアの形状を変更してもよい。
【0400】
これにより、移動しながら使用される通信装置(通信システム)もプライマリシステムとして保護することができる。すなわち、プライマリシステムとすることができるシステムの裾野を広げることができる。結果として、電波資源の効率的な利用を実現できる。なお、この例では、保護情報を保護エリアとしたが、保護情報は保護エリアに限定されず、例えば、被干渉マージンであってもよい。
【0401】
[第1の情報に関する変形例2]
また、第1の識別子(第1の情報)には一次利用装置のサービス態様の情報が含まれていてもよい。ここでサービス態様の情報とは、一次利用装置が提供する通信サービスの態様を示す情報である。例えば、サービス態様の情報は、電波利用装置10(例えば、基地局装置)が他の電波利用装置10(例えば、端末装置)に提供する通信サービスのタイプが、eMBB、mMTC、及びURLLCのうちの少なくとも1つを含む複数のタイプのいずれのタイプかを特定するための情報である。
【0402】
そして、決定部233又は設定部643は、一次利用装置が提供している通信サービスのタイプに基づいて当該一次利用装置に関する保護エリアの範囲を設定してもよい。上述したように、URLLC等、信頼性の要求事項が厳しいサービスタイプが存在する。そこで、決定部233又は設定部643は、一次利用装置が高信頼性を求められる通信サービスを提供している場合には、大きな保護エリアを設定し、一次利用装置が高信頼性をあまり求められない通信サービスを提供している場合には、小さな保護エリアを設定する。
【0403】
例えば、決定部233又は設定部643は、一次利用装置が提供している通信サービスのタイプがURLLCの場合には、決定部233又は設定部643は、広い範囲(例えば、第1の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして設定し、一次利用装置が提供している通信サービスのタイプがURLLCでない場合には、狭い範囲(例えば、第1の範囲より狭い第2の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして設定する。
【0404】
これにより、高信頼性が求められる通信装置(通信システム)もプライマリシステムとして保護することができる。すなわち、プライマリシステムとすることができるシステムの裾野を広げることができる。結果として、電波資源の効率的な利用を実現できる。なお、この例では、保護情報を保護エリアとしたが、保護情報は保護エリアに限定されず、例えば、被干渉マージンであってもよい。なお、サービス態様の情報は、上述のネットワークスライスの識別情報であってもよい。
【0405】
[第1の情報に関する変形例3]
その他、第1の識別子(第1の情報)には、一次利用装置が使用する無線通信方式の情報が含まれていてもよい。この場合、決定部233又は設定部643は、一次利用装置が使用する無線通信方式の情報に基づいて、一次利用装置の保護情報を設定してもよい。例えば、一次利用装置が使用する無線通信方式がミリ波帯等の伝搬損失が大きく、通信の安定性も低い周波数帯を使った通信方式の場合には、決定部233又は設定部643は、大きな値(第1の値)の被干渉マージンを設定し、一次利用装置が使用する無線通信方式がテレビジョン放送用の周波数帯等の安定性の高い周波数帯を使った通信方式の場合には、決定部233又は設定部643は、小さな値(第1の値より小さな第2の値)の被干渉マージンを設定する。
【0406】
これにより、干渉に弱い等の理由で二次利用に適さない通信方式の通信装置(通信システム)もプライマリシステムとして保護することができる。すなわち、プライマリシステムとすることができるシステムの裾野を広げることができる。結果として、電波資源の効率的な利用を実現できる。なお、この例では、保護情報を被干渉マージンとしたが、保護情報は被干渉マージンに限定されず、例えば、保護エリアであってもよい。
【0407】
[第1の情報に関する変形例4]
また、上述の実施形態(第1の実施例及び第2の実施例)では、決定部233又は設定部643は、一次利用装置の設置態様が固定設置の場合に、広い範囲(例えば、第1の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして設定し、一次利用装置の設置態様が可動設置の場合に、狭い範囲(例えば、第1の範囲より狭い第2の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして設定した。しかし、保護エリアの範囲の設定はこの例に限定されない。
【0408】
例えば、決定部233又は設定部643は、移動経路を秘匿したい一次利用装置の設置態様が可動設置の場合に、広い範囲(例えば、第1の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして決定し、一次利用装置の設置態様が固定設置の場合に、狭い範囲(例えば、第1の範囲より狭い第2の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして設定してもよい。
【0409】
これにより、動作パラメータの算出後に一次利用装置の設置場所が変更されたとしても、一次利用装置の通信を保護できるようになる。なお、この例では、保護情報を保護エリアとしたが、保護情報は保護エリアに限定されず、例えば、被干渉マージンであってもよい。
【0410】
[第1の情報に関する他の変形例]
また、第1の識別子(第1の情報)は、一次利用装置の秘匿度を示す情報であってもよい。そして、決定部233又は設定部643は、第1の識別子に基づいて当該一次利用装置の保護情報を設定してもよい。
【0411】
例えば、決定部233又は設定部643は、一次利用装置の秘匿度が所定の基準より高い場合には、広い範囲(例えば、第1の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして決定し、一次利用装置の秘匿度が所定の基準より低い場合には、狭い範囲(例えば、第1の範囲より狭い第2の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして設定してもよい。
【0412】
その他、一次利用装置の保護情報の設定に使う第1の情報は複数あってもよい。例えば、第1の情報は、一次利用装置の設置態様と、一次利用装置が行う通信の重要度の情報と、であってよい。そして、決定部233又は設定部643は、複数の第1の情報を組み合わせて一次利用装置の保護情報を決定してもよい。
【0413】
<8-2.第2の情報に関する変形例>
上述の実施形態(第1の実施例及び第2の実施例)では、決定部233又は設定部643は、第1の識別子(第1の情報)に基づき一次利用装置の保護情報を設定した。しかしながら、決定部233又は設定部643は、第2の識別子(第2の情報)に基づき保護情報を設定してもよい。
【0414】
[第2の情報に関する変形例1]
このとき、第2の識別子(第2の情報)には、二次利用装置の利用、運用、若しくは管理の主体に関する情報(以下、二次利用主体情報という。)が含まれていてもよい。この場合、決定部233又は設定部643は、二次利用主体情報に基づいて、一次利用装置の保護情報を設定してもよい。
【0415】
なお、二次利用主体情報は、二次利用主体の信用度を判別するための情報であってもよい。この場合、決定部233又は設定部643は、当該二次利用主体の信用度に基づいて、一次利用装置の保護情報を設定してもよい。例えば、二次利用主体が信用できる主体の場合には、狭い保護エリア(或いは小さな被干渉マージン)を設定し、二次利用主体が信用できない主体の場合には、広い保護エリア(或いは大きな被干渉マージン)を設定する。
【0416】
例えば、二次利用主体情報が、当該二次利用主体が通信サービス提供者か否か(例えば、通信サービス提供者かエンドユーザか)を特定するための情報であるとする。この場合、決定部233又は設定部643は、当該二次利用主体が通信サービス提供者か否かの情報に基づいて、一次利用装置の保護情報を設定する。例えば、当該二次利用主体が通信サービス提供者の場合、決定部233又は設定部643は、狭い範囲(例えば、第2の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして設定し、当該二次利用主体が通信サービス提供者でない場合(例えば、エンドユーザの場合)には、広い範囲(例えば、第2の範囲より広い第1の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして設定する。
【0417】
また、二次利用主体情報が、当該二次利用主体の免許種別の情報であるとする。この場合、決定部233又は設定部643は、当該二次利用主体の免許種別に基づいて、一次利用装置の保護情報を設定する。例えば、当該二次利用主体が免許事業者の場合、決定部233又は設定部643は、狭い範囲(例えば、第2の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして設定し、当該二次利用主体が無免許事業者の場合には、広い範囲(例えば、第2の範囲より広い第1の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして設定する。
【0418】
なお、決定部233又は設定部643は、保護情報を設定するにあたり、免許種別の情報に加えて、当該免許がどの地域で与えられているかを判別要素としてもよい。例えば、決定部233又は設定部643は、当該免許の与えられた地域が一次利用装置の設置位置をカバーしている場合には、当該地域において当該二次利用主体は非常に高い信頼性があるので、狭い範囲(例えば、第3の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして設定する。また、決定部233又は設定部643は、二次利用主体は免許事業者であるものの当該免許の与えられた地域が一次利用装置の設置位置をカバーしていない場合には、中程度の範囲(例えば、第1の範囲より広い第2の範囲)を一次利用装置の保護エリアとして設定する。二次利用主体が無免許事業者である場合には、広い範囲(例えば、第2の範囲より広い第1の範囲)を保護エリアとして設定する。
【0419】
これにより、セカンダリシステムの利用、運用、若しくは管理の主体の情報(例えば、信用度)に基づき柔軟に保護情報を設定できる。結果として、電波資源の効率的な利用を実現できる。なお、この例では、保護情報を保護エリアとしたが、保護情報は保護エリアに限定されず、例えば、被干渉マージンであってもよい。
【0420】
[第2の情報に関する変形例2]
また、第2の識別子(第2の情報)には二次利用装置のサービス態様の情報が含まれていてもよい。ここでサービス態様の情報とは、二次利用装置が提供する通信サービスの態様を示す情報である。例えば、サービス態様の情報は、基地局装置40が端末装置30に提供する通信サービスのタイプが、eMBB、mMTC、及びURLLCのうちの少なくとも1つを含む複数のタイプのいずれのタイプかを特定するための情報である。
【0421】
そして、決定部233又は設定部643は、二次利用装置が提供している通信サービスのタイプに基づいて当該一次利用装置に関する保護エリアの範囲を設定してもよい。上述したように、URLLC等、信頼性の要求事項が厳しいサービスタイプが存在する。そこで、決定部233又は設定部643は、二次利用装置が高信頼性を求められる通信サービスを提供している場合には、一次利用装置の被干渉マージンとして大きな値を設定し、二次利用装置が高信頼性をあまり求められない通信サービスを提供している場合には、一次利用装置の被干渉マージンとして小さな値を設定する。
【0422】
例えば、決定部233又は設定部643は、複数の二次利用装置の中に通信サービスのタイプがURLLCの装置が存在している場合には、決定部233又は設定部643は、大きな値(例えば、第1の値)を一次利用装置の被干渉マージンとして設定する。一方、複数の二次利用装置の中に通信サービスのタイプがURLLCの装置が存在していない場合には、決定部233又は設定部643は、小さな値(例えば、第1の値より小さい第2の値)を一次利用装置の被干渉マージンとして設定する。
【0423】
これにより、セカンダリシステムの通信サービスのタイプに応じて柔軟に保護情報を設定できる。結果として、電波資源の効率的な利用を実現できる。なお、この例では、保護情報を被干渉マージンとしたが、保護情報は被干渉マージンに限定されず、例えば、保護エリアであってもよい。また、サービス態様の情報は、上述のネットワークスライスの識別情報であってもよい。
【0424】
[第2の情報に関する変形例3]
また、第2の識別子(第2の情報)には、二次利用装置が使用する無線通信方式の情報が含まれていてもよい。この場合、決定部233又は設定部643は、二次利用装置が使用する無線通信方式の情報に基づいて、一次利用装置の保護情報を設定してもよい。
【0425】
例えば、二次利用装置が使用する無線通信方式が、ミリ波帯を使った近距離通信等、狭い範囲でしか通信できない通信方式の場合には、決定部233又は設定部643は、一次利用装置の被干渉マージンとして大きな値(第1の値)を設定する。また、二次利用装置が使用する無線通信方式がマクロセルを使ったセルラー通信等、広い範囲の通信を行う通信方式の場合には、決定部233又は設定部643は、一次利用装置の被干渉マージンとして小さな値(第1の値より小さな第2の値)を設定する。
【0426】
これにより、セカンダリシステムの通信方式に応じて柔軟に保護情報を設定できる。結果として、電波資源の効率的な利用を実現できる。なお、この例では、保護情報を被干渉マージンとしたが、保護情報は被干渉マージンに限定されず、例えば、保護エリアであってもよい。
【0427】
[第2の情報に関する変形例4]
また、第2の識別子(第2の情報)には、二次利用装置が行う通信の重要度或いは優先度の情報が含まれていてもよい。この場合、決定部233又は設定部643は、二次利用装置が行う通信の重要度或いは優先度の情報に基づいて、一次利用装置の保護情報を設定してもよい。
【0428】
例えば、二次利用装置が行う通信の重要度が“高”の場合には、決定部233又は設定部643は、一次利用装置の保護エリアとして狭い範囲(例えば、第3の範囲)或いは一次利用装置の正確な位置(例えば、誤差の無いピンポイントの位置)を設定する。また、二次利用装置が行う通信の重要度が“中”の場合には、決定部233又は設定部643は、一次利用装置の保護エリアとして中程度範囲(例えば、第3の範囲より広い第2の範囲)を設定する。また、二次利用装置が行う通信の重要度が“低”の場合には、決定部233又は設定部643は、一次利用装置の保護エリアとして広い範囲(例えば、第2の範囲より広い第1の範囲)を設定する。
【0429】
これにより、セカンダリシステムの通信の重要度に応じて柔軟に保護情報を設定できる。結果として、電波資源の効率的な利用を実現できる。なお、この例では、保護情報を保護エリアとしたが、保護情報は保護エリアに限定されず、例えば、被干渉マージンであってもよい。
【0430】
[第2の情報に関するその他の変形例]
なお、一次利用装置の保護情報の設定に使う第2の情報は複数あってもよい。例えば、第2の情報は、二次利用装置が行う通信の重要度の情報と、二次利用主体の信用度の情報とであってよい。そして、決定部233又は設定部643は、複数の第2の情報を組み合わせて一次利用装置の保護情報を決定してもよい。
【0431】
例えば、通信の重要度をセカンダリシステム側で自由に設定できるとすると、皆が高い重要度を設定してしまい、常に高い重要度の二次利用装置で溢れかえってしまうことが想定される。そこで、決定部233又は設定部643は、例えば、重要度“高”を付けた複数の二次利用装置を信用度でフィルタリングする。例えば、決定部233又は設定部643は、信用度が“低”の二次利用装置を保護情報の決定の考慮装置から排除する。そして、フィルタリング後も信用度が“高”の二次利用装置が所定数存在する場合には、決定部233又は設定部643は、一次利用装置の保護エリアとして狭い範囲(例えば、第2の範囲)を設定する。一方、信用度が高い二次利用装置が所定数存在しない場合には、決定部233又は設定部643は、一次利用装置の保護エリアとして広い範囲(例えば、第2の範囲より広い第1の範囲)を設定する。
【0432】
これにより、システム全体としてより効率的な電波資源の利用を実現できる。なお、この例では、保護情報を保護エリアとしたが、保護情報は保護エリアに限定されず、例えば、被干渉マージンであってもよい。
【0433】
<8-3.保護情報の設定に関する変形例>
上述の実施形態(第1の実施例及び第2の実施例)では、決定部233又は設定部643は、第1の識別子(第1の情報)と第2の識別子(第2の情報)のいずれかの情報に基づき保護情報を設定したが、第1の識別子(第1の情報)と第2の識別子(第2の情報)の双方の情報に基づき保護情報を設定してもよい。
【0434】
[保護情報の設定に関する変形例1]
例えば、第2の識別子に、二次利用装置の利用、運用、若しくは管理の主体に関する情報(以下、二次利用主体情報という。)が含まれるとする。この場合、決定部233又は設定部643は、第1の識別子と二次利用主体情報とに基づいて、一次利用装置の保護情報を設定してもよい。
【0435】
(信用度)
なお、二次利用主体情報は、二次利用主体の信用度を判別するための情報であってもよい。この場合、決定部233又は設定部643は、第1の識別子と当該二次利用主体の信用度とに基づいて、一次利用装置の保護情報を設定してもよい。
【0436】
例えば、第1の識別子が一次利用装置の通信の重要度であるとする。このとき、一次利用装置の通信の重要度が“高”で、二次利用主体の信用度が“高”である場合には、決定部233又は設定部643は、保護エリアとして中程度の範囲(例えば第2の範囲)を設定する。一方、一次利用装置の通信の重要度が“高”で、二次利用主体の信用度が“低”の場合には、保護エリアとして広い範囲(第2の範囲より広い第1の範囲)を設定する。このとき、一次利用装置の通信の重要度が“低”の場合には、決定部233又は設定部643は、二次利用主体の信用度に関わらず、保護エリアとして狭い範囲(例えば第2の範囲より狭い第1の範囲)を設定してもよい。
【0437】
これにより、システム全体としてより効率的な電波資源の利用を実現できる。なお、この例では、保護情報を保護エリアとしたが、保護情報は保護エリアに限定されず、例えば、被干渉マージンであってもよい。
【0438】
(通信サービス提供者)
なお、二次利用主体情報は、当該二次利用主体が通信サービス提供者か否か(例えば、通信サービス提供者かエンドユーザか)を特定するための情報であってもよい。この場合、決定部233又は設定部643は、第1の識別子と当該二次利用主体が通信サービス提供者か否かの情報とに基づいて、一次利用装置の保護情報を設定する。
【0439】
例えば、第1の識別子が一次利用装置の設置態様であるとする。このとき、一次利用装置の設置態様が“固定設置”で、二次利用主体が“通信サービス提供者”である場合には、決定部233又は設定部643は、保護エリアとして中程度の範囲(例えば第2の範囲)を設定する。一方、一次利用装置の設置態様が“固定設置”で、二次利用主体が“エンドユーザ”の場合には、保護エリアとして広い範囲(第2の範囲より広い第1の範囲)を設定する。このとき、一次利用装置の設置態様が“移動設置”の場合には、決定部233又は設定部643は、二次利用主体のサービス提供者か否かに関わらず、保護エリアとして狭い範囲(例えば第2の範囲より狭い第1の範囲)を設定してもよい。
【0440】
これにより、システム全体としてより効率的な電波資源の利用を実現できる。なお、この例では、保護情報を保護エリアとしたが、保護情報は保護エリアに限定されず、例えば、被干渉マージンであってもよい。
【0441】
(免許種別)
また、二次利用主体情報が、当該二次利用主体の免許種別の情報であるとする。この場合、決定部233又は設定部643は、第1の識別子と当該二次利用主体の免許種別の情報とに基づいて、一次利用装置の保護情報を設定する。
【0442】
例えば、第1の識別子が一次利用装置の通信の重要度であるとする。このとき、一次利用装置の通信の重要度が“高”で、二次利用主体の免許種別が“免許事業者”である場合には、決定部233又は設定部643は、被干渉マージンとして中程度の値(例えば第2の値)を設定する。一方、一次利用装置の通信の重要度が“高”で、二次利用主体の免許種別が“無免許利用者”の場合には、被干渉マージンとして大きな値(第2の値より大きい第1の値)を設定する。このとき、一次利用装置の通信の重要度が“低”の場合には、決定部233又は設定部643は、二次利用主体の免許種別に関わらず、被干渉マージンとして小さな値(例えば第2の値より小さな第3の値)を設定してもよい。
【0443】
これにより、システム全体としてより効率的な電波資源の利用を実現できる。なお、この例では、保護情報を被干渉マージンとしたが、保護情報は被干渉マージンに限定されず、例えば、保護エリアであってもよい。
【0444】
[保護情報の設定に関する変形例2]
また、第2の識別子(第2の情報)には二次利用装置のサービス態様の情報が含まれていてもよい。この場合、決定部233又は設定部643は、第1の識別子と二次利用装置が提供している通信サービスのタイプとに基づいて一次利用装置の保護情報を設定する。
【0445】
例えば、第1の識別子が一次利用装置の通信の重要度であるとする。このとき、一次利用装置の通信の重要度が“高”で、二次利用装置の通信サービスタイプが“URLLC”である場合には、決定部233又は設定部643は、被干渉マージンとして中程度の値(例えば第2の値)を設定する。一方、一次利用装置の通信の重要度が“高”で、二次利用装置の通信サービスタイプが“mMTC”又は“eMBB”の場合には、被干渉マージンとして大きな値(第2の値より大きい第1の値)を設定する。このとき、一次利用装置の通信の重要度が“低”の場合には、決定部233又は設定部643は、二次利用主体の免許種別に関わらず、被干渉マージンとして小さな値(例えば第2の値より小さな第3の値)を設定してもよい。
【0446】
これにより、システム全体としてより効率的な電波資源の利用を実現できる。なお、この例では、保護情報を被干渉マージンとしたが、保護情報は被干渉マージンに限定されず、例えば、保護エリアであってもよい。なお、サービス態様の情報は、上述のネットワークスライスの識別情報であってもよい。
【0447】
[保護情報の設定に関する変形例3]
また、第2の識別子(第2の情報)には二次利用装置の無線通信方式の情報が含まれていてもよい。この場合、決定部233又は設定部643は、第1の識別子と二次利用装置の無線通信方式とに基づいて一次利用装置の保護情報を設定する。
【0448】
例えば、第1の識別子が一次利用装置の設置態様であるとする。このとき、一次利用装置の設置態様が“固定設置”で、二次利用装置の通信方式がミリ波帯を使った近距離通信方式である場合には、決定部233又は設定部643は、被干渉マージンとして中程度の値(例えば第2の値)を設定する。一方、一次利用装置の設置態様が“固定設置”で、二次利用装置の通信方式がマクロセルを使ったセルラー通信方式の場合には、被干渉マージンとして小さな値(第2の値より小さい第3の値)を設定する。このとき、一次利用装置の設置態様が“可動設置”の場合には、決定部233又は設定部643は、二次利用主体の無線通信方式に関わらず、被干渉マージンとして大きな値(例えば第2の値より大きな第1の値)を設定してもよい。
【0449】
これにより、システム全体としてより効率的な電波資源の利用を実現できる。なお、この例では、保護情報を被干渉マージンとしたが、保護情報は被干渉マージンに限定されず、例えば、保護エリアであってもよい。
【0450】
[保護情報の設定に関する変形例4]
また、第2の識別子(第2の情報)には、二次利用装置が行う通信の重要度或いは優先度の情報が含まれていてもよい。この場合、決定部233又は設定部643は、第1の識別子と、二次利用装置が行う通信の重要度或いは優先度の情報と、に基づいて、一次利用装置の保護情報を設定してもよい。
【0451】
例えば、第1の識別子が一次利用装置の通信の重要度であるとする。このとき、一次利用装置の通信の重要度が“高”で、二次利用主体の通信の重要度(或いは優先度)が“高”である場合には、決定部233又は設定部643は、保護エリアとして中程度の範囲(例えば第2の範囲)を設定する。一方、一次利用装置の通信の重要度が“高”で、二次利用主体の通信の重要度(或いは優先度)が“低”の場合には、保護エリアとして広い範囲(第2の範囲より広い第1の範囲)を設定する。このとき、一次利用装置の通信の重要度が“低”の場合には、決定部233又は設定部643は、二次利用主体の通信の重要度(或いは優先度)に関わらず、保護エリアとして狭い範囲(例えば第2の範囲より狭い正確な位置)を設定してもよい。
【0452】
これにより、セカンダリシステムの通信の重要度に応じて柔軟に保護情報を設定できる。結果として、電波資源の効率的な利用を実現できる。なお、この例では、保護情報を保護エリアとしたが、保護情報は保護エリアに限定されず、例えば、被干渉マージンであってもよい。
【0453】
[保護情報の設定に関するその他の変形例]
なお、一次利用装置の保護情報の設定に使う第1の情報及び第2の情報はそれぞれ複数あってもよい。例えば、第1の情報は、一次利用装置の設置態様の情報と一次利用装置が行う通信の重要度の情報と、であってもよい。また、第2の情報は、二次利用装置が行う通信の重要度の情報と、二次利用主体の信用度の情報と、であってよい。そして、決定部233又は設定部643は、複数の第1の情報及び複数の第2の情報を組み合わせて一次利用装置の保護情報を決定してもよい。
【0454】
<8-4.システム構成に関する変形例>
本実施形態の通信制御装置60は、上述の実施形態で説明した装置に限定されない。例えば、通信制御装置60は、周波数共用が行われる周波数帯域を二次利用する基地局装置40を制御する以外の機能を有する装置であってもよい。例えば、本実施形態の通信制御装置60の機能をネットワークマネージャが具備してもよい。このとき、ネットワークマネージャは、例えば、C-RAN(Centralized Radio Access Network)と呼ばれるネットワーク構成のC-BBU(Centralized Base Band Unit)またはこれを備える装置であってもよい。また、ネットワークマネージャの機能を基地局(アクセスポイントを含む。)が具備してもよい。これらの装置(ネットワークマネージャ等)も通信制御装置とみなすことが可能である。
【0455】
また、上述の実施形態では、通信制御装置60は、通信システム2に属する装置であるものとしたが、必ずしも通信システム2に属する装置でなくてもよい。通信制御装置60は、通信システム2の外部の装置であてもよい。通信制御装置60は、基地局装置40を直接制御せず、通信システム2を構成する装置を介して間接的に基地局装置40を制御してもよい。また、セカンダリシステム(通信システム2)は複数存在していてもよい。このとき、通信制御装置60は、複数のセカンダリシステムを管理してもよい。この場合、セカンダリシステムそれぞれを第2無線システムとみなすことができる。
【0456】
なお、一般に周波数共用において、対象帯域を利用する既存システムをプライマリシステム、二次利用者をセカンダリシステムと呼ぶが、プライマリシステム及びセカンダリ詩システムは、別の用語に置き換えてもよい。HetNET(Heterogeneous Network)におけるマクロセルをプライマリシステム、スモールセルやリレー局をセカンダリシステムとしてもよい。また、基地局をプライマリシステム、そのカバレッジ内に存在するD2DやV2X(Vehicle-to-Everything)を実現するRelay UEやVehicle UEをセカンダリシステムとしてもよい。基地局は固定型に限らず、可搬型/移動型であってもよい。
【0457】
さらに、各エンティティ間のインタフェースは、有線・無線問わない。例えば、本実施形態で登場した各エンティティ(通信装置、通信制御装置、又は端末装置)間のインタフェースは、周波数共用に依存しない無線インタフェースであってもよい。周波数共用に依存しない無線インタフェースとしては、例えば、移動体通信事業者によってLicensed bandを介して提供される無線インタフェースや、既存の免許不要帯域を利用する無線LAN通信、等が挙げられる。
【0458】
<8-5.その他の変形例>
本実施形態の電波利用装置10、管理装置20、端末装置30、基地局装置40、プロキシ装置50、又は通信制御装置60を制御する制御装置は、専用のコンピュータシステムで実現してもよいし、汎用のコンピュータシステムで実現してもよい。
【0459】
例えば、上述の動作を実行するためのプログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布する。そして、例えば、該プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行することによって制御装置を構成する。このとき、制御装置は、電波利用装置10、管理装置20、端末装置30、基地局装置40、プロキシ装置50、又は通信制御装置60の外部の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)であってもよい。また、制御装置は、電波利用装置10、管理装置20、端末装置30、基地局装置40、プロキシ装置50、又は通信制御装置60の内部の装置(例えば、制御部13、制御部23、制御部34、制御部44、制御部54、又は制御部64)であってもよい。
【0460】
また、上記通信プログラムをインターネット等のネットワーク上のサーバ装置が備えるディスク装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をサーバ装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
【0461】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0462】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0463】
また、上記してきた実施形態は、処理内容を矛盾させない領域で適宜組み合わせることが可能である。また、本実施形態のシーケンス図或いはフローチャートに示された各ステップは、適宜順序を変更することが可能である。
【0464】
また、例えば、本実施形態は、装置またはシステムを構成するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
【0465】
なお、本実施形態において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0466】
また、例えば、本実施形態は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0467】
<<9.むすび>>
以上説明したように、本開示の一実施形態によれば、通信制御装置60は、所定の周波数帯を一次利用する一次利用装置に関する第1の情報を受信し、第1の情報に基づいて一次利用装置の保護に関する情報を設定する。そして、通信制御装置60は、設定した一次利用装置の保護に関する情報に基づいて、所定の周波数帯を二次利用する二次利用装置の電波送信に関する通信パラメータを算出する。
【0468】
これにより、従来、秘匿度が高い等の理由により、周波数共用に適さなかった通信システムもプライマリシステムとして保護することができる。すなわち、プライマリシステムとすることができるシステムの裾野を広げることができる。結果として、電波資源の効率的な利用を実現できる。
【0469】
以上、本開示の各実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の各実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0470】
また、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0471】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
所定の周波数帯を一次利用する第1の通信装置に関する第1の情報を受信する第1の受信部と、
前記第1の情報に基づいて前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する設定部と、
前記設定部が設定した前記第1の通信装置の保護に関する情報に基づいて、前記所定の周波数帯を二次利用する第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを算出する算出部と、
を備える情報処理装置。
(2)
前記設定部は、前記第1の受信部が前記第1の情報を新たに受信した場合には、新たな前記第1の情報に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を更新し、
前記算出部は、更新された前記第1の通信装置の保護に関する情報に基づいて、前記第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを更新する、
前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記第1の通信装置の保護に関する情報には、前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲の情報、及び前記第1の通信装置に関する干渉マージンの情報の少なくとも一方の情報が含まれ、
前記設定部は、新たな前記第1の情報に基づいて、前記保護エリアの範囲の情報、及び前記干渉マージンの情報の少なくとも一方の情報を更新し、
前記算出部は、前記設定部により更新された情報に基づいて、前記第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを更新する、
前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記第1の情報には、前記第1の通信装置の設置態様の情報が含まれる、
前記(2)に記載の情報処理装置。
(5)
前記第1の通信装置の保護に関する情報には、前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲の情報が含まれ、
前記設置態様の情報には、前記第1の通信装置が固定設置か可動設置かを特定するための情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の通信装置の設置態様が固定設置の場合には、前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲として、前記第1の通信装置の設置態様が可動設置であった場合よりも広い保護エリアの範囲を設定する、
前記(4)に記載の情報処理装置。
(6)
前記第1の情報には、前記第1の通信装置の秘匿度の情報が含まれる、
前記(2)に記載の情報処理装置。
(7)
前記第1の通信装置の保護に関する情報には、前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲の情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の通信装置の前記秘匿度が所定の基準より高い場合には、前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲として、前記第1の通信装置の前記秘匿度が所定の基準より低かった場合よりも広い保護エリアの範囲を設定する、
前記(6)に記載の情報処理装置。
(8)
前記第1の情報には、前記第1の通信装置が行う通信の重要度或いは優先度の情報が含まれる、
前記(2)に記載の情報処理装置。
(9)
前記第1の通信装置の保護に関する情報には、前記第1の通信装置に関する干渉マージンの情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の通信装置が行う通信の重要度或いは優先度が所定の基準より高い場合には、前記第1の通信装置に関する干渉マージンとして、前記第1の通信装置が行う通信の重要度或いは優先度が所定の基準より低かった場合よりも大きな干渉マージンを設定する、
前記(8)に記載の情報処理装置。
(10)
前記第1の情報には、前記第1の通信装置の移動に関する情報が含まれ、
前記第1の通信装置の保護に関する情報には、前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲の情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の通信装置の移動に関する情報に基づいて前記第1の通信装置に関する保護エリアの範囲を設定する、
前記(2)に記載の情報処理装置。
(11)
前記移動に関する情報には、前記第1の通信装置の移動距離、移動方向、移動速度、及び移動範囲の少なくとも1つの情報が含まれる、
前記(10)に記載の情報処理装置。
(12)
前記第2の通信装置に関する第2の情報を受信する第2の受信部、を備え、
前記設定部は、前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定し、
前記算出部は、前記設定部が設定した前記第1の通信装置の保護に関する情報に基づいて、前記第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを算出する、
前記(1)~(11)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(13)
前記第2の情報には、前記第2の通信装置の利用、運用、若しくは管理の主体に関する情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の情報と、前記第2の通信装置の利用、運用、若しくは管理の主体に関する情報と、に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する、
前記(12)に記載の情報処理装置。
(14)
前記第2の情報には、前記主体の信用度を判別するための情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の情報と、前記第2の情報により特定される前記信用度と、に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する、
前記(13)に記載の情報処理装置。
(15)
前記第2の情報には、前記主体が通信サービス提供者か否かを特定するための情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の情報と、前記主体が通信サービス提供者か否かを示す情報に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する、
前記(13)に記載の情報処理装置。
(16)
前記第2の情報には、前記主体が有する無線通信に関する免許種別の情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の情報と、前記主体が有する免許種別の情報に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する、
前記(13)に記載の情報処理装置。
(17)
前記第2の情報には、前記第2の通信装置の無線通信方式の情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の情報と、前記第2の通信装置の無線通信方式の情報と、に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する、
前記(12)に記載の情報処理装置。
(18)
前記第2の情報には、前記第2の通信装置が行う通信の重要度或いは優先度の情報が含まれ、
前記設定部は、前記第1の情報と、前記第2の通信装置が行う通信の重要度或いは優先度の情報と、に基づいて、前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する、
前記(12)に記載の情報処理装置。
(19)
所定の周波数帯を一次利用する第1の通信装置に関する第1の情報を受信し、
前記第1の情報に基づいて前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定し、
設定した前記第1の通信装置の保護に関する情報に基づいて、前記所定の周波数帯を二次利用する第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを算出する、
情報処理方法。
(20)
コンピュータを、
所定の周波数帯を一次利用する第1の通信装置に関する第1の情報を受信する第1の受信部、
前記第1の情報に基づいて前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する設定部、
前記設定部が設定した前記第1の通信装置の保護に関する情報に基づいて、前記所定の周波数帯を二次利用する第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを算出する算出部、
として機能させるための情報処理プログラム。
(21)
所定の周波数帯を一次利用する第1の通信装置に関する第1の情報を受信する第1の受信部と、前記第1の情報に基づいて前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する設定部と、前記設定部が設定した前記第1の通信装置の保護に関する情報に基づいて、前記所定の周波数帯を二次利用する第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを算出する算出部と、を備える情報処理装置から前記通信パラメータを取得する取得部と、
前記通信パラメータに基づいて前記所定の周波数帯を使った電波送信を実行する通信制御部と、を備える、
通信装置。
(22)
所定の周波数帯を一次利用する第1の通信装置に関する第1の情報を受信する第1の受信部と、前記第1の情報に基づいて前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する設定部と、前記設定部が設定した前記第1の通信装置の保護に関する情報に基づいて、前記所定の周波数帯を二次利用する第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを算出する算出部と、を備える情報処理装置から前記通信パラメータを取得し、
前記通信パラメータに基づいて前記所定の周波数帯を使った電波送信を実行する、
通信方法。
(23)
コンピュータを、
所定の周波数帯を一次利用する第1の通信装置に関する第1の情報を受信する第1の受信部と、前記第1の情報に基づいて前記第1の通信装置の保護に関する情報を設定する設定部と、前記設定部が設定した前記第1の通信装置の保護に関する情報に基づいて、前記所定の周波数帯を二次利用する第2の通信装置の電波送信に関する通信パラメータを算出する算出部と、を備える情報処理装置から前記通信パラメータを取得する取得部、
前記通信パラメータに基づいて前記所定の周波数帯を使った電波送信を実行する通信制御部、
として機能させるための情報処理プログラム。
【符号の説明】
【0472】
1、2、1000 通信システム
10 電波利用装置
20 管理装置
30 端末装置
40 基地局装置
50 プロキシ装置
60 通信制御装置
11 処理部
12、22、32、42、52、62 記憶部
13、23、34、44、54、64 制御部
21 通信部
31、41、51、61 無線通信部
33 入出力部
43、53、63 ネットワーク通信部
311、411 受信処理部
312、412 送信処理部
231 割当部
232 検出部
233 決定部
234 提供部
441、541 第1の提供部
442、542 第2の提供部
443、543 要求部
444、544 取得部
445、545、643 設定部
446 通信制御部
641 第1の受信部
642 第2の受信部
644 算出部
645 通知部
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