(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】熱硬化性インクジェットインク
(51)【国際特許分類】
C09D 11/38 20140101AFI20240730BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20240730BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C09D11/38
H05K3/28 B
B41M5/00 120
(21)【出願番号】P 2021529608
(86)(22)【出願日】2019-07-02
(86)【国際出願番号】 JP2019026355
(87)【国際公開番号】W WO2021001937
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-06-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝田 愛
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/021639(WO,A1)
【文献】特開2016-069580(JP,A)
【文献】特開2016-069571(JP,A)
【文献】特開2017-179130(JP,A)
【文献】特開2011-057751(JP,A)
【文献】特開2013-203830(JP,A)
【文献】特表2012-521386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00-13/00
B41M 5/00-5/52
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板に用いられるソルダーレジストパターン形成用の熱硬化性インクジェットインクであって、
熱硬化性官能基を有する化合物とゲル化剤を含有し、
前記ゲル化剤として、下記一般式(G1)で表される化合物及び下記一般式(G2)で表される化合物を含有し、
前記熱硬化性官能基を有する化合物が、イソシアネート基が熱解離性のブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物であり、
温度によりゾル・ゲル相転移する熱硬化性インクジェットインク。
一般式(G1):R
1-CO-R
2
一般式(G2):R
3-COO-R
4
[式中、R
1~R
4は、それぞれ独立に、炭素数12以上
22以下の直鎖部分を持ち、かつ分岐を持ってもよいアルキル鎖を表す。]
【請求項2】
前記熱解離性のブロック剤が、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物及び活性エチレン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項
1に記載の熱硬化性インクジェットインク。
【請求項3】
25℃での粘度が、1~1×10
4Pa・sの範囲内であり、かつ、40℃以上100℃未満に相転移点を有する請求項1
又は請求項
2に記載の熱硬化性インクジェットインク。
【請求項4】
前記ゲル化剤が、ジステアリルケトン及びベヘン酸ベヘニルである請求項1から請求項
3までのいずれか一項に記載の熱硬化性インクジェットインク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性インクジェットインクに関し、特に、基板密着性、絶縁信頼性、耐熱耐湿性及び各種耐溶剤性に優れた塗膜を形成することができる熱硬化性インクジェットインクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント回路基板のエッチングレジスト、ソルダーレジスト及びマーキングの形成には、フォトリソ現像法やスクリーン印刷法が用いられていた。
インクジェットプリンターを用いたプリント回路基板の製造方法としては、プリント配線板用銅張積層板にインクジェットプリンターを用いて導体回路パターンを描くことによりエッチングレジストを形成し、エッチング処理を行うことが既に提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法は、フォトマスクを必要とするフォトリソ現像法や、スクリーン版を必要とするレジストインクやマーキングインクをスクリーン印刷法に比べて、工程数や手間が大幅に削減できると同時に、現像液や各種インク、洗浄溶剤などの消耗品も削減でき、また、廃水も削減できることから環境のクリーン化が期待できる。
【0003】
ソルダーレジストについても、インクジェット方式を用いて、光と熱により硬化膜を形成することが既に提案されている(例えば、特許文献2及び3参照。)。
しかしながら、プリント回路基板において、あらゆる環境下での銅箔とソルダーレジスト膜界面の密着性が要求されており、特にこれらインクジェット方式を用いたインクにおいては、高温高湿下においての密着性の低下が問題であった。また、高温高湿下における塗膜への水分の浸透により、絶縁性の低下も問題とされ、プリント回路基板に要求される耐熱性や耐湿性及び各種耐溶剤性の塗膜性能の確保が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第573146号公報
【文献】特許第04936725号公報
【文献】特許第05969208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、基板密着性に優れ、高温高湿下における絶縁信頼性を向上させることができ、耐熱耐湿性及び各種耐溶剤性に優れた塗膜を形成することができる熱硬化性インクジェットインクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、熱硬化性官能基を有する化合物とゲル化剤を含有させたゾル・ゲル相転移するインクとすることで、基板密着性、絶縁信頼性、耐熱耐湿性及び各種耐溶剤性に優れた塗膜を形成することができる熱硬化性インクジェットインクを提供することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
【0007】
1.プリント回路基板に用いられるソルダーレジストパターン形成用の熱硬化性インクジェットインクであって、
熱硬化性官能基を有する化合物とゲル化剤を含有し、
前記ゲル化剤として、下記一般式(G1)で表される化合物及び下記一般式(G2)で表される化合物を含有し、
前記熱硬化性官能基を有する化合物が、イソシアネート基が熱解離性のブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物であり、
温度によりゾル・ゲル相転移する熱硬化性インクジェットインク。
一般式(G1):R1-CO-R2
一般式(G2):R3-COO-R4
[式中、R1~R4は、それぞれ独立に、炭素数12以上22以下の直鎖部分を持ち、かつ分岐を持ってもよいアルキル鎖を表す。]
【0011】
2.前記熱解離性のブロック剤が、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物及び活性エチレン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である第1項に記載の熱硬化性インクジェットインク。
【0013】
3.25℃での粘度が、1~1×104Pa・sの範囲内であり、かつ、40℃以上100℃未満に相転移点を有する第1項又は第2項に記載の熱硬化性インクジェットインク。
【0014】
4.前記ゲル化剤が、ジステアリルケトン及びベヘン酸ベヘニルである第1項から第3項までのいずれか一項に記載の熱硬化性インクジェットインク。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記手段により、基板密着性に優れ、高温高湿下における絶縁信頼性を向上させることができ、耐熱耐湿性及び各種耐溶剤性に優れた塗膜を形成することができる熱硬化性インクジェットインクを提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明では、熱硬化性インクジェットインクとして、ゲル化剤を含有させることで、水分の浸透を防ぐことができる。その結果、熱硬化性インクジェットインクを用いて基板に形成された塗布膜について、高温高湿下における基板密着性の低下を抑制し、絶縁信頼性を向上させることができる。また、耐熱耐湿性及び各種耐溶剤性の塗膜性能を確保することができる。
特に、本発明の熱硬化性インクジェットインクをソルダーレジスト形成用のインクとして用いることで、本発明の効果が有効に発揮される。
すなわち、本発明のインクジェットインク中の疎水性のゲル化剤により、高温高湿下におけるソルダーレジスト膜への水分の浸透を防ぎ、その結果、銅箔の酸化を抑制でき、銅箔とソルダーレジスト膜界面の密着性の劣化を防止することができる。また、ソルダーレジスト膜への水分の浸透を抑制できることから、銅のマイグレーションが防止され、絶縁性の低下を抑制することができると推察される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の熱硬化性インクジェットインクは、熱硬化性官能基を有する化合物とゲル化剤を含有し、温度によりゾル・ゲル相転移する。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
【0018】
本発明の実施態様としては、光重合性官能基を有する化合物と光重合開始剤を含有することが、光照射により塗布した塗布液を仮硬化でき、塗布液の濡れ広がりを抑制でき、高精度なパターンを形成することができる点で好ましい。
【0019】
前記熱硬化性官能基が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基、メルカプト基及びアルコキシ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが、熱硬化性の点で好ましい。
【0020】
前記熱硬化性官能基を有する化合物が、イソシアネート基が熱解離性のブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物であることが、耐高温高湿性が向上する点で好ましい。
【0021】
前記熱解離性のブロック剤が、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物及び活性エチレン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物であることが、インクの保存性と熱解離性の点で好ましい。
【0023】
25℃での粘度が、1~1×104Pa・sの範囲内であることが、着弾して常温に降温した際にインクを十分にゲル化させ、ピニング性が良好となる点で好ましい。さらに、40℃以上100℃未満に相転移点を有することが好ましく、相転移点が40℃以上であると、記録媒体に着弾後、インクが速やかにゲル化するため、ピニング性がより高くなり、相転移点が100℃未満であると、インク取り扱い性が良好になり射出安定性が高くなる。
【0024】
前記ゲル化剤が、前記一般式(G1)又は(G2)で表される化合物うちの少なくとも一種の化合物であることが、ピニング性が良好で、細線と膜厚が両立した描画ができ、細線再現性に優れ得る点で好ましい。
【0025】
プリント回路基板に用いられるソルダーレジストパターン形成用のインクであることが、ソルダーレジスト膜を形成したときに、ソルダーレジスト膜への水分の浸透を防ぐことができる。その結果、プリント回路基板における銅箔とソルダーレジスト膜界面の密着性が良好となり、また、銅のマイグレーションが防止され絶縁性の低下を抑制することができる。
【0026】
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
【0027】
[熱硬化性インクジェットインク]
本発明の熱硬化性インクジェットインク(以下、単にインクともいう。)は、熱硬化性官能基を有する化合物とゲル化剤を含有し、温度によりゾル・ゲル相転移する。
また、本発明の熱硬化性インクジェットインクは、重合性官能基を有する化合物と光重合開始剤を含有する。
【0028】
<熱硬化性官能基を有する化合物>
本発明に係る熱硬化性官能基としては、例えば、「熱硬化性高分子の精密化(遠藤剛、C.M.C(株)、1986年刊)、「最新バインダー技術便覧」第II-I章(原崎勇次、総合技術センター、1985年刊)、「アクリル樹脂の合成・設計と新用途開発」(大津隆行、中部経営開発センター出版部、1985年刊)、「機能性アクリル系樹脂」(大森英三、テクノシステム、1985年刊)等の総説に引例の官能基を挙げることができる。具体的には、前記熱硬化性官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基、メルカプト基及びアルコキシ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが、熱硬化性の点で好ましい。
【0029】
(ヒドロキシ基)
ヒドロキシ基を有する化合物としては、例えば、各種のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等)、上記各種のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとε-カプロラクトンとの付加反応生成物、各種のヒドロキシ基含有ビニルエーテル(例えば2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、3-ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルビニルエーテル、5-ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6-ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等)、上記各種のヒドロキシ基含有ビニルエーテルとε-カプロラクトンとの付加反応生成物、各種のヒドロキシ基含有アリルエーテル(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アリルエーテル、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、4-ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、3-ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル(メタ)アリルエーテル、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アリルエーテル、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アリルエーテル等)、上記各種のヒドロキシ基含有アリルエーテルとε-カプロラクトンとの付加反応生成物などが挙げられる。
【0030】
(カルボキシ基)
カルボキシ基を有する化合物としては、例えば、各種のカルボキシ基含有単量体(例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等)、各種のα,β-不飽和ジカルボン酸と炭素数1以上18以下の1価アルコールとのモノエステル類(例えばフマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノイソブチル、フマル酸モノtert-ブチル、フマル酸モノヘキシル、フマル酸モノオクチル、フマル酸モノ2-エチルヘキシル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノイソブチル、マレイン酸モノtert-ブチル、マレイン酸モノヘキシル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノ2-エチルヘキシル等)、イタコン酸モノアルキルエステル(例えばイタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノイソブチル、イタコン酸モノヘキシル、イタコン酸モノオクチル、イタコン酸モノ2-エチルヘキシル等)などが挙げられる。
さらに、カルボキシ基含有アクリルレート化合物などを挙げることができるが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、及びこれらの無水物等の不飽和カルボン酸と、アクリル単量体との共重合により得ることができ、前記不飽和カルボン酸の中でも、アクリル酸とメタクリル酸が好ましく用いられる。また、カルボン酸基含有アクリル共重合体を構成するアクリル単量体としては、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレートメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ) アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ) アクリレート、2 - ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アセトニトリル、ビニルピロリドン、N-シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。さらにこの他に酢酸ビニル、スチレン等を用いることもできる。これらモノマーは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
(イソシアネート基)
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、分子内にイソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に限定されず、具体的には、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′-MDI)、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′-MDI)、1,4-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル(NBDI)などの脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H6XDI(水添XDI)、H12MDI(水添MDI)、H6TDI(水添TDI)などの脂環式ポリイソシアネート;ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートなどのポリイソシアネート;これらのビュレット体、イソシアヌレート体及びカルボジイミド変性物;などを挙げることができる。
【0032】
イソシアネート基を有するアクリレート又はメタクリレート化合物としては、分子内にイソシアネート基とアクリロイル基又はメタクリロイル基とを有するものであればよく、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-イソシアナートエチルアクリレート、3-イソシアナートプロピルアクリレート、2-イソシアナートエチルメタクリレート、3-イソシアナートプロピルメタクリレート、その他ヒドロキシエチルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート又はメタクリレートとトリレンジイソシアネートなどのポリイソシアネートとの反応生成物なども用いられる。
【0033】
前記イソシアネート基を有する化合物のうち、イソシアネート基が熱解離性のブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物であることが、耐高温高湿性が向上する点で好ましい。
ブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物の場合、イソシアネートの三量化反応から生成するイソシアヌレート環は、ウレタン、ウレア結合などに比べて結合の熱安定性が高く、耐熱性に優れるが、さらに多官能のイソシアネート化合物を用いた場合は、さらにイソシアヌレート環を持ったネットワーク構造が形成され、より耐熱性が向上し、高温時の湿度の影響を受けにくくなる。
【0034】
前記熱解離性のブロック剤は、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物及び活性エチレン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物であることが、インク保存性と熱解離性の点で好ましい。
【0035】
オキシム系化合物としては、ホルムアミドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、等が挙げられる。
【0036】
ピラゾール系化合物としては、ピラゾール、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、等が挙げられる。
【0037】
活性エチレン系化合物としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、等が挙げられる。
【0038】
前記ブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物としては、例えば、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、2-[(3-ブチリデン)アミノオキシカルボニルアミノ]エチルメタクリレート、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルアクリレート、2-[(3-ブチリデン)アミノオキシカルボニルアミノ]エチルアクリレートが挙げられる。
【0039】
(エポキシ基)
エポキシ基を有する化合物としては、例えば、各種の鎖式エポキシ基含有単量体(例えばグリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等)、各種の(2-オキソ-1,3-オキソラン)基含有ビニル単量体(例えば(2-オキソ-1,3-オキソラン)メチル(メタ)アクリレート等)、各種の脂環式エポキシ基含有ビニル単量体(例えば3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート等)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノール又はこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類などが挙げられる。
【0040】
さらに、エポキシ基を有する化合物として、(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物、エポキシ化合物の部分(メタ)アクリル化合物物等が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記エポキシ化合物の部分(メタ)アクリル化物としては、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って触媒の存在下で反応させることにより得られる。上記エポキシ化合物の部分(メタ)アクリル化物に用いることができるエポキシ化合物としては、ノボラック型エポキシ化合物及びビスフェノール型エポキシ化合物等が挙げられる。上記ノボラック型エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、トリスフェノールノボラック型エポキシ化合物、及びジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。上記ビスフェノール型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、2,2′-ジアリルビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノール型エポキシ化合物、及びポリオキシプロピレンビスフェノールA型エポキシ化合物等が挙げられる。エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との配合量を適宜変更することにより、所望のアクリル化率のエポキシ化合物を得ることが可能である。
【0041】
((メタ)アクリロイル基)
「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基又はメタアクリロイル基を意味する。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸、及びt-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどを含む単官能のアクリレート、並びに、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、及びトリシクロデカンジメタノールジアクリレートなどを含む2官能のアクリレート、並びにトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートなどの3官能以上のアクリレートを含む多官能のアクリレートなどが含まれる。
【0042】
前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物のうち、イミド基を有する(メタ)アクリレート化合物であることが、耐高温高湿性が向上する点で好ましい。
イミド基を有する(メタ)アクリレート化合物の場合、イミド基の極性が高いため、強い金属密着性が得られる。また、自身も強い凝集力を有しているため、高湿下でも金属密着性への影響が少ない。
【0043】
イミド基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、特開平10-36462号及び同11-21470号に記載されているイミドアクリレート又はイミドメタクリレートが挙げられる。
【0044】
(マレイミド基)
マレイミド基を有する化合物としては、例えば、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-ヘキシルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-オクチルマレイミド、N-ドデシルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-p-カルボキシフェニルマレイミド、N-p-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-p-クロロフェニルマレイミド、N-p-トリルマレイミド、N-p-キシリルマレイミド、N-o-クロロフェニルマレイミド、N-o-トリルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-2,5-ジエチルフェニルマレイミド、N-2,5-ジメチルフェニルマレイミド、N-m-トリルマレイミド、N-α-ナフチルマレイミド、N-o-キシリルマレイミド、N-m-キシリルマレイミド、ビスマレイミドメタン、1,2-ビスマレイミドエタン、1,6-ビスマレイミドヘキサン、ビスマレイミドドデカン、N,N′-m-フェニレンジマレイミド、N,N′-p-フェニレンジマレイミド、4,4′ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4′-ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4′-ビスマレイミド-ジ(3-メチルフェニル)メタン、4,4′-ビスマレイミド-ジ(3-エチルフェニル)メタン、4,4′-ビスマレイミド-ジ(3-メチル-5-エチル-フェニル)メタン、N,N′-(2,2-ビス-(4-フェノキシフェニル)プロパン)ジマレイミド、N,N′-2,4-トリレンジマレイミド、N,N′-2,6-トリレンジマレイミド、N,N′-m-キシリレンジマレイミド、ビスフェノール A ジフェニルエーテルビスマレイミド等が挙げられる。
【0045】
(メルカプト基)
メルカプト基を有する化合物としては、エチルチオアクリレート、エチルチオメタクリレート、ビフェニルチオアクリレート、ビフェニルチオメタクリレート、ニトロフェニルチオアクリレート、ニトロフェニルチオメタクリレート、トリフェニルメチルチオアクリレート、トリフェニルメチルチオメタクリレート、1,2-ビス[(2-メルカプトエチル)チオ]-3-メルカプトプロパンのトリスアクリレート、2-プロペン酸の2-(メルカプトメチル)-メチルエステル、及びメタクリル酸の2-[(2-メルカプトエチル)チオ]エチルエステル、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられる。
【0046】
(アルコキシ基)
アルコキシ基を有する化合物としては、メトキシメチルアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、ジメトキシメチルアクリレート及びジメトキシメチルメタクリレート、1-メトキシエチルアクリレート、1-メトキシエチルメタクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、1,1-メトキシエチルアクリレート及び1,1-メトキシエチルメタクリレート、1-エトキシエチルアクリレート、1-エトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエチルアクリレート及び2-エトキシエチルメタクリレート、N-エトキシメチルアクリルアミド、N-エトキシメチルメタクリルアミド、エトキシメチルアクリレート及びエトキシメチルメタクリレート、アクリル変性アルキル化メラミン等が挙げられる。
【0047】
(その他の官能基)
熱硬化性官能基として、前記した官能基の他に、オキセタニル基やオキサゾリン基を有する化合物が挙げられる。
オキセタニル基を有する化合物としては、オキセタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。このような化合物の市販品としては、大阪有機化学社製の商品名:OXE-10やOXE-30などが挙げられる。
オキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、及びこれらのオキサゾリン基含有モノマーのオキサゾリン基上に置換基を有するモノマーなどが挙げられる。
【0048】
<ゲル化剤>
本発明に係るゲル化剤は、光及び熱により硬化した硬化膜中に均一に分散した状態で保持されることが好ましく、これにより硬化膜中への水分の浸透を防ぐことができる。
このようなゲル化剤は、下記一般式(G1)又は(G2)で表される化合物うちの少なくとも一種の化合物であることが、インクの硬化性を阻害せずに硬化膜中に分散される点で好ましい。さらに、インクジェット印字において、ピニング性が良好で、細線と膜厚が両立した描画ができ、細線再現性に優れる点で好ましい。
一般式(G1):R1-CO-R2
一般式(G2):R3-COO-R4
[式中、R1~R4は、それぞれ独立に、炭素数12以上の直鎖部分を持ち、かつ分岐を持ってもよいアルキル鎖を表す。]
【0049】
前記一般式(G1)で表されるケトンワックス又は上記一般式(G2)で表されるエステルワックスは、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基(アルキル鎖)の炭素数が12以上であるため、ゲル化剤の結晶性がより高まり、耐水性が向上する、かつ、下記カードハウス構造においてより十分な空間が生ずる。そのため、溶媒、光重合性化合物等のインク媒体が上記空間内に十分に内包されやすくなり、インクのピニング性がより高くなる。
また、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基(アルキル鎖)の炭素数は26以下であることが好ましく、26以下であると、ゲル化剤の融点が過度に高まらないため、インクを出射するときにインクを過度に加熱する必要がない。
上記観点からは、R1及びR2、又は、R3及びR4は炭素原子数12以上23以下の直鎖状の炭化水素基であることが特に好ましい。
また、インクのゲル化温度を高くして、着弾後により急速にインクをゲル化させる観点からは、R1若しくはR2のいずれか、又はR3若しくはR4のいずれかが飽和している炭素原子数12以上23以下の炭化水素基であることが好ましい。
上記観点からは、R1及びR2の双方、又は、R3及びR4の双方が飽和している炭素原子数11以上23未満の炭化水素基であることがより好ましい。
【0050】
前記一般式(G1)で表されるケトンワックスの例には、ジリグノセリルケトン(C24-C24)、ジベヘニルケトン(C22-C22)、ジステアリルケトン(C18-C18)、ジエイコシルケトン(C20-C20)、ジパルミチルケトン(C16-C16)、ジミリスチルケトン(C14-C14)、ジラウリルケトン(C12-C12)、ラウリルミリスチルケトン(C12-C14)、ラウリルパルミチルケトン(C12-C16)、ミリスチルパルミチルケトン(C14-C16)、ミリスチルステアリルケトン(C14-C18)、ミリスチルベヘニルケトン(C14-C22)、パルミチルステアリルケトン(C16-C18)、バルミチルベヘニルケトン(C16-C22)、ステアリルベヘニルケトン(C18-C22)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、カルボニル基で分断される二つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
【0051】
一般式(G1)で表されるケトンワックスの市販品の例には、Stearonne(Alfa Aeser社製;ステアロン)、18-Pentatriacontanon(Alfa Aeser社製)、Hentriacontan-16-on(Alfa Aeser社製)及びカオーワックスT-1(花王社製)が含まれる。
【0052】
一般式(G2)で表される脂肪酸又はエステルワックスの例には、ベヘニン酸ベヘニル(C21-C22)、イコサン酸イコシル(C19-C20)、ステアリン酸ステアリル(C17-C18)、ステアリン酸パルミチル(C17-C16)、ステアリン酸ラウリル(C17-C12)、パルミチン酸セチル(C15-C16)、パルミチン酸ステアリル(C15-C18)、ミリスチン酸ミリスチル(C13-C14)、ミリスチン酸セチル(C13-C16)、ミリスチン酸オクチルドデシル(C13-C20)、オレイン酸ステアリル(C17-C18)、エルカ酸ステアリル(C21-C18)、リノール酸ステアリル(C17-C18)、オレイン酸ベヘニル(C18-C22)リノール酸アラキジル(C17-C20)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、エステル基で分断される二つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
【0053】
一般式(G2)で表されるエステルワックスの市販品の例には、ユニスターM-2222SL及びスパームアセチ、日油社製(「ユニスター」は同社の登録商標)、エキセパールSS及びエキセパールMY-M、花王社製(「エキセパール」は同社の登録商標)、EMALEX CC-18及びEMALEX CC-10、日本エマルジョン社製(「EMALEX」は同社の登録商標)並びにアムレプスPC、高級アルコール工業社製(「アムレプス」は同社の登録商標)が含まれる。
これらの市販品は、2種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製してインクに含有させてもよい。これらのゲル化剤のうち、よりピニング性を高める観点からは、ケトンワックス、エステルワックス、高級脂肪酸、高級アルコール及び脂肪酸アミドが好ましい。
【0054】
本発明に係るゲル化剤の含有量は、インクの全質量に対して0.5~5.0質量%の範囲内であることが好ましい。ゲル化剤の含有量を上記範囲内とすることで、ゲル化剤の溶媒成分に対する溶解性及びピニング性効果が良好となり、さらに硬化膜としたときの耐水性が良好になる。また、上記観点からは、インクジェットインク中のゲル化剤の含有量は、0.5~2.5質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0055】
また、以下の観点から、ゲル化剤は、インクのゲル化温度以下の温度で、インク中で結晶化することが好ましい。ゲル化温度とは、加熱によりゾル化又は液体化したインクを冷却していったときに、ゲル化剤がゾルからゲルに相転移し、インクの粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化又は液体化したインクを、粘弾性測定装置(例えば、MCR300、Physica社製)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇した温度を、そのインクのゲル化温度とすることができる。
【0056】
<光重合性官能基を有する化合物>
本発明に係る光重合性官能基を有する化合物(光重合性化合物ともいう。)は、
光重合性化合物は、活性光線の照射によって重合または架橋反応を生じて重合又は架橋し、インクを硬化させる作用を有する化合物であればよい。光重合性化合物の例には、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物が含まれる。光重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマー又はこれらの混合物のいずれであってもよい。光重合性化合物は、インクジェットインク中に1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
ラジカル重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物であることが好ましく、(メタ)アクリレートであることがより好ましい。そのような化合物としては、前記の(メタ)アクリル基を有する化合物が挙げられる。
カチオン重合性化合物は、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、及びオキセタン化合物などでありうる。カチオン重合性化合物は、インクジェットインク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
【0057】
<光重合開始剤>
本発明に係る光重合開始剤は、前記光重合性化合物がラジカル重合性化合物であるときは、光ラジカル開始剤を用い、前記光重合性化合物がカチオン重合性化合物であるときは、光酸発生剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、本発明のインク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。光重合開始剤は、光ラジカル開始剤と光酸発生剤の両方の組み合わせであってもよい。
光ラジカル開始剤には、開裂型ラジカル開始剤及び水素引き抜き型ラジカル開始剤が含まれる。
【0058】
開裂型ラジカル開始剤の例には、アセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン系の開始剤、アシルホスフィンオキシド系の開始剤、ベンジル及びメチルフェニルグリオキシエステルが含まれる。
アセトフェノン系の開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン及び2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノンが含まれる。
ベンゾイン系の開始剤の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
アシルホスフィンオキシド系の開始剤の例には、2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドが含まれる。
【0059】
水素引き抜き型ラジカル開始剤の例には、ベンゾフェノン系の開始剤、チオキサントン系の開始剤、アミノベンゾフェノン系の開始剤、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン及びカンファーキノンが含まれる。
ベンゾフェノン系の開始剤の例には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4′-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4′-メチル-ジフェニルスルフィド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン及び3,3′-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノンが含まれる。
チオキサントン系の開始剤の例には、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン及び2,4-ジクロロチオキサントンが含まれる。
アミノベンゾフェノン系の開始剤の例には、ミヒラーケトン及び4,4′-ジエチルアミノベンゾフェノンが含まれる。
【0060】
光酸発生剤の例には、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187~192ページに記載の化合物が含まれる。
光重合開始剤の含有量は、インクが十分に硬化できる範囲であればよく、例えば、本発明のインクの全質量に対して0.01~10質量%の範囲内とすることができる。
光重合開始剤の市販品の例には、Irgacure TPO(BASF社製)、819(BASF社製)、Irgacure 379(BASF社製)、Genocure ITX(Rahn A.G.社製)Genocure EPD(Rahn A.G.社製)等が含まれる。
【0061】
本発明のインクは、必要に応じて光重合開始剤助剤や重合禁止剤などをさらに含んでもよい。
光重合開始剤助剤は、第3級アミン化合物であってよく、芳香族第3級アミン化合物が好ましい。
芳香族第3級アミン化合物の例には、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸イソアミルエチルエステル、N,N-ジヒドロキシエチルアニリン、トリエチルアミン及びN,N-ジメチルヘキシルアミン等が含まれる。中でも、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸イソアミルエチルエステルが好ましい。これらの化合物は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
【0062】
<着色剤>
本発明のインクは、必要に応じて着色剤をさらに含有してもよい。
着色剤は、染料又は顔料でありうるが、インクの構成成分に対して良好な分散性を有し、かつ耐候性に優れることから、顔料が好ましい。顔料は、特に限定されないが、例えば、カラーインデックスに記載される下記番号の有機顔料又は無機顔料が挙げられる。
【0063】
赤又はマゼンタ顔料の例には、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36から選ばれる顔料又はその混合物等が含まれる。
【0064】
青又はシアン顔料の例には、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17-1、22、27、28、29、36、60から選ばれる顔料又はその混合物等が含まれる。
【0065】
緑顔料の例には、Pigment Green 7、26、36、50から選ばれる顔料又はその混合物が含まれる。
黄顔料の例には、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193から選ばれる顔料又はその混合物等が含まれる。
黒顔料の例には、Pigment Black 7、28、26から選ばれる顔料又はその混合物等が含まれる。
【0066】
顔料の市販品の例には、Black Pigment(Mikuni社製)、クロモファインイエロー2080、5900、5930、AF-1300、2700L、クロモファインオレンジ3700L、6730、クロモファインスカーレット6750、クロモファインマゼンタ6880、6886、6891N、6790、6887、クロモファインバイオレット RE、クロモファインレッド6820、6830、クロモファインブルーHS-3、5187、5108、5197、5085N、SR-5020、5026、5050、4920、4927、4937、4824、4933GN-EP、4940、4973、5205、5208、5214、5221、5000P、クロモファイングリーン2GN、2GO、2G-550D、5310、5370、6830、クロモファインブラックA-1103、セイカファストイエロー10GH、A-3、2035、2054、2200、2270、2300、2400(B)、2500、2600、ZAY-260、2700(B)、2770、セイカファストレッド8040、C405(F)、CA120、LR-116、1531B、8060R、1547、ZAW-262、1537B、GY、4R-4016、3820、3891、ZA-215、セイカファストカーミン6B1476T-7、1483LT、3840、3870、セイカファストボルドー10B-430、セイカライトローズR40、セイカライトバイオレットB800、7805、セイカファストマルーン460N、セイカファストオレンジ900、2900、セイカライトブルーC718、A612、シアニンブルー4933M、4933GN-EP、4940、4973(大日精化工業社製); KET Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(DIC社製);Colortex Yellow 301、314、315、316、P-624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA-414、U263、Finecol Yellow T-13、T-05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P-625、102、H-1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、ColortexBlue516、517、518、519、A818、P-908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(山陽色素社製);Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP-S(東洋インキ社製)、Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG-02、Hostapeam BlueB2G(ヘキストインダストリー社製);Novoperm P-HG、Hostaperm Pink E、Hostaperm Blue B2G(クラリアント製);カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9(三菱化学製)等が挙げられる。
【0067】
顔料の分散は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、及びペイントシェーカー等により行うことができる。
顔料の分散は、顔料粒子の体積平均粒径が、好ましくは0.08~0.5μmの範囲内、最大粒径が好ましくは0.3~10μmの範囲内、より好ましくは0.3~3μmの範囲内となるように行われることが好ましい。
顔料の分散は、顔料、分散剤、及び分散媒体の選定、分散条件、及び濾過条件等によって、調整される。
【0068】
本発明のインクは、顔料の分散性を高めるために、分散剤をさらに含んでもよい。
分散剤の例には、ヒドロキシ基を有するカルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、及びステアリルアミンアセテート等が含まれる。分散剤の市販品の例には、Avecia社のSolsperseシリーズや、味の素ファインテクノ社のPBシリーズ等が含まれる。
【0069】
本発明のインクは、必要に応じて分散助剤をさらに含んでもよい。分散助剤は、顔料に応じて選択されればよい。
【0070】
分散剤及び分散助剤の合計量は、顔料に対して1~50質量%の範囲内であることが好ましい。
【0071】
本発明のインクは、必要に応じて顔料を分散させるための分散媒体をさらに含んでもよい。分散媒体として溶剤をインクに含ませてもよいが、形成された画像における溶剤の残留を抑制するためには、前述のような光重合性化合物(特に粘度の低いモノマー)を分散媒体として用いることが好ましい。
【0072】
染料は、油溶性染料等が挙げられる。
油溶性染料は、以下の各種染料が挙げられる。マゼンタ染料の例には、MS Magenta VP、MS Magenta HM-1450、MS Magenta HSo-147(以上、三井化学社製)、AIZENSOT Red-1、AIZEN SOT
Red-2、AIZEN SOTRed-3、AIZEN SOT Pink-1、SPIRON Red GEH SPECIAL(以上、保土谷化学社製)、RESOLIN Red FB 200%、MACROLEX Red Violet R、MACROLEX ROT5B(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Red B、KAYASET Red 130、KAYASET Red 802(以上、日本化薬社製)、PHLOXIN、ROSE BENGAL、ACID Red(以上、ダイワ化成社製)、HSR-31、DIARESIN Red K(以上、三菱化成社製)、Oil Red(BASFジャパン社製)が含まれる。
【0073】
シアン染料の例には、MS Cyan HM-1238、MS Cyan HSo-16、Cyan HSo-144、MS Cyan VPG(以上、三井化学社製)、AIZEN SOT Blue-4(保土谷化学社製)、RESOLIN BR.Blue BGLN 200%、MACROLEX Blue RR、CERES Blue GN、SIRIUS SUPRATURQ.Blue Z-BGL、SIRIUS SUPRA TURQ.Blue FB-LL 330%(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Blue FR、KAYASET Blue N、KAYASET Blue 814、Turq.Blue GL-5 200、Light Blue BGL-5200(以上、日本化薬社製)、DAIWA Blue 7000、OleosolFast Blue GL(以上、ダイワ化成社製)、DIARESIN Blue P(三菱化成社製)、SUDAN Blue 670、NEOPEN Blue 808、ZAPON Blue 806(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
【0074】
イエロー染料の例には、MS Yellow HSm-41、Yellow KX-7、Yellow EX-27(三井化学社製)、AIZEN SOT Yellow-1、AIZEN SOT YelloW-3、AIZEN SOT Yellow-6(以上、保土谷化学社製)、MACROLEX Yellow 6G、MACROLEX FLUOR.Yellow 10GN(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Yellow SF-G、KAYASET Yellow2G、KAYASET Yellow A-G、KAYASET Yellow E-G(以上、日本化薬社製)、DAIWA Yellow 330HB(ダイワ化成社製)、HSY-68(三菱化成社製)、SUDAN Yellow 146、NEOPEN Yellow 075(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
【0075】
ブラック染料の例には、MS Black VPC(三井化学社製)、AIZEN SOT Black-1、AIZEN SOT Black-5(以上、保土谷化学社製)、RESORIN Black GSN 200%、RESOLIN BlackBS(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Black A-N(日本化薬社製)、DAIWA Black MSC(ダイワ化成社製)、HSB-202(三菱化成社製)、NEPTUNE Black X60、NEOPEN Black X58(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
【0076】
着色剤は本発明のインク中に、1種又は2種類以上を含み、所望の色に調色してもよい。
着色剤の含有量は、インク全量に対して0.1~20質量%の範囲内であることが好ましく、0.4~10質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0077】
<その他の成分>
本発明のインクは、本発明の効果が得られる範囲において、重合禁止剤及び界面活性剤を含むその他の成分をさらに含んでいてもよい。これらの成分は、本発明のインク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
【0078】
(重合禁止剤)
重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム及びシクロヘキサノンオキシムが含まれる。
重合禁止剤の市販品の例には、Irgastab UV10(BASF社製)、Genorad 18(Rahn A.G.社製)等が含まれる。
【0079】
重合禁止剤の量は、本発明の効果が得られる範囲において、任意に設定することができる。
重合禁止剤の量は、インクの全質量に対して、例えば0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
【0080】
(界面活性剤)
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及び脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類及びポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、及び第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、並びにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
【0081】
シリコーン系の界面活性剤の例には、ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物、具体的には、Tego rad 2250、Evonik社製、KF-351A、KF-352A、KF-642及びX-22-4272、信越化学工業社製、BYK307、BYK345、BYK347及びBYK348、ビッグケミー社製(「BYK」は同社の登録商標)、並びにTSF4452、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製が含まれる。
【0082】
フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部又は全部をフッ素で置換したものを意味する。
フッ素系の界面活性剤の例には、Megafac F、DIC社製(「Megafac」は同社の登録商標)、Surflon、AGCセイケミカル社製(「Surflon」は同社の登録商標)、Fluorad FC、3M社製(「Fluorad」は同社の登録商標)、Monflor、インペリアル・ケミカル・インダストリー社製、Zonyls、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社製、Licowet VPF、ルベベルケ・ヘキスト社製、及びFTERGENT、ネオス社製(「FTERGENT」は同社の登録商標)が含まれる。
【0083】
界面活性剤の量は、本発明の効果が得られる範囲において、任意に設定することができる。界面活性剤の量は、インクの全質量に対して、例えば0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
【0084】
<硬化促進剤>
本発明においては、必要に応じて硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤としては、樹脂成分の熱硬化を促進するものであれば特に制限はなく用いることができる。
硬化促進剤として、例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾール-テトラフェニルボレート、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7-テトラフェニルボレートなどが挙げられる。
【0085】
<カップリング剤>
本発明においては、必要に応じて各種カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤が含まれることによって、銅箔との密着性を向上させることができる。
各種カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、アルミニウム系カップリング剤が挙げられる。
【0086】
<イオン捕捉剤>
本発明においては、必要に応じてイオン捕捉剤を含んでもよい。イオン捕捉剤が含まれることによって、イオン性不純物が吸着され、硬化膜が吸湿した条件における絶縁性が向上するなどの利点がある。
イオン捕捉剤としては、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤、ジルコニウム化合物、アンチモンビスマス系マグネシウムアルミニウム化合物などの無機イオン吸着剤などが挙げられる。
【0087】
<溶剤>
本発明のインクにおいて、硬化性の観点から本来は無溶剤が好ましいが、インク粘度の調整のために添加することもできる。
【0088】
(物性)
本発明のインクの25℃における粘度は、1~1×104Pa・sの範囲内であることが、着弾して常温に降温した際にインクを十分にゲル化させ、ピニング性が良好となる点で好ましい。
また、インクジェットヘッドからの吐出性をより高める観点からは、本発明のインクの80℃における粘度は、3~20mPa・sの範囲内であることが好ましく、7~9mPa・sの範囲内であることがより好ましい。
【0089】
本発明のインクは、40℃以上100℃未満の範囲内に相転移点を有することが好ましい。相転移点が40℃以上であると、記録媒体に着弾後、インクが速やかにゲル化するため、ピニング性がより高くなる。また、相転移点が100℃未満であると、インク取り扱い性が良好になり射出安定性が高くなる。
より低温でインクを吐出可能にし、画像形成装置への負荷を低減させる観点からは、本発明のインクの相転移点は、40~60℃の範囲内であることがより好ましい。
【0090】
本発明のインクの80℃における粘度、25℃における粘度及び相転移点は、レオメータにより、インクの動的粘弾性の温度変化を測定することにより求めることができる。
本発明において、これらの粘度及び相転移点は、以下の方法によって得られた値である。
本発明のインクを100℃に加熱し、ストレス制御型レオメータPhysica MCR301(コーンプレートの直径:75mm、コーン角:1.0°)、Anton Paar社製によって粘度を測定しながら、剪断速度11.7(1/s)、降温速度0.1℃/sの条件で20℃までインクを冷却して、粘度の温度変化曲線を得る。
80℃における粘度及び25℃における粘度は、粘度の温度変化曲線において80℃、25℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求めることができる。相転移点は、粘度の温度変化曲線において、粘度が200mPa・sとなる温度として求めることができる。
【0091】
インクジェットヘッドからの吐出性をより高める観点からは、本発明に係る顔料粒子の平均分散粒径は、50~150nmの範囲内であり、最大粒径は300~1000nmの範囲内であることが好ましい。さらに好ましい平均分散粒径は80~130nmの範囲内である。
本発明における顔料粒子の平均分散粒径とは、データサイザーナノZSP、Malvern社製を使用して動的光散乱法によって求めた値を意味する。なお、着色剤を含むインクは濃度が高く、この測定機器では光が透過しないので、インクを200倍で希釈してから測定する。測定温度は常温(25℃)とする。
【0092】
[ソルダーレジスト膜の形成方法]
本発明の熱硬化性インクジェットインクは、プリント回路基板に用いられるソルダーレジストパターン形成用のインクであることが好ましい。本発明の熱硬化性インクジェットインクを用いてソルダーレジストパターン(ソルダーレジスト膜)を形成したときに、ソルダーレジスト膜への水分の浸透を防ぐことができ、その結果、プリント回路基板における銅箔とソルダーレジスト膜界面の密着性が良好となり、また、銅のマイグレーションが防止され絶縁性の低下を抑制することができる。
【0093】
本発明の熱硬化性インクジェットインクを用いたソルダーレジスト膜の形成方法は、(1)本発明のインクをインクジェットヘッドのノズルから吐出して、回路形成されたプリント回路基板上に着弾させる工程と、(3)インクを加熱して本硬化する工程とを含むことが好ましい。
本発明のインクに光重合性官能基を有する化合物と光重合開始剤を含有する場合は、上記(1)と(3)の工程の間に、着弾したインクに活性光線を照射してインクを仮硬化させる工程((2)の工程)を含むことが好ましい。
【0094】
<(1)の工程>
(1)の工程では、本発明のインクの液滴をインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体であるプリント回路基板上の、形成すべきレジスト膜に応じた位置に着弾させて、パターニングする。
インクジェットヘッドからの吐出方式は、オンデマンド方式とコンティニュアス方式のいずれでもよい。
オンデマンド方式のインクジェットヘッドは、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型及びシェアードウォール型等の電気-機械変換方式、並びにサーマルインクジェット型及びバブルジェット(登録商標)(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型等の電気-熱変換方式等のいずれでもよい。
【0095】
インクの液滴を、加熱した状態でインクジェットヘッドから吐出することで、吐出安定性を高めることができる。吐出される際のインクの温度は、40~100℃の範囲内であることが好ましく、吐出安定性をより高めるためには、40~90℃の範囲内であることがより好ましい。特には、インクの粘度が7~15mPa・sの範囲内、より好ましくは8~13mPa・sの範囲内となるようなインク温度において射出を行うことが好ましい。
【0096】
ゾル・ゲル相転移型のインクは、インクジェットヘッドからのインクの吐出性を高めるために、インクジェットヘッドに充填されたときのインクの温度が、当該インクの(ゲル化温度+10)℃~(ゲル化温度+30)℃に設定されることが好ましい。インクジェットヘッド内のインクの温度が、(ゲル化温度+10)℃未満であると、インクジェットヘッド内若しくはノズル表面でインクがゲル化して、インクの吐出性が低下しやすい。一方、インクジェットヘッド内のインクの温度が(ゲル化温度+30)℃を超えると、インクが高温になりすぎるため、インク成分が劣化することがある。
【0097】
インクの加熱方法は、特に制限されない。例えば、ヘッドキャリッジを構成するインクタンク、供給パイプ及びヘッド直前の前室インクタンク等のインク供給系、フィルター付き配管並びにピエゾヘッド等の少なくともいずれかをパネルヒーター、リボンヒーター又は保温水等によって加熱することができる。
吐出される際のインクの液滴量は、記録速度及び画質の面から、2~20pLの範囲内であることが好ましい。
【0098】
プリント回路基板は、特に限定されないが、例えば、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素・ポリエチレン・PPO・シアネートエステル等を用いた高周波回路用銅張積層版等の材質を用いたもので全てのグレード(FR-4等)の銅張積層版、その他ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板、ステンレス鋼板等であることが好ましい。
【0099】
<(2)の工程>
(2)の工程では、(1)の工程で着弾させたインクに活性光線を照射して、該インクを仮硬化する。
活性光線は、例えば電子線、紫外線、α線、γ線、及びエックス線等から選択することができるが、好ましくは紫外線である。
紫外線の照射は、例えばPhoseon Technology社製の水冷LEDを用いて、波長395nmの条件下で行うことができる。LEDを光源とすることで、光源の輻射熱によってインクが溶けることによるインクの硬化不良を抑制することができる。
【0100】
紫外線の照射は、370~410nmの範囲内の波長を有する紫外線のレジスト膜表面におけるピーク照度が、好ましくは0.5~10W/cm2の範囲内、より好ましくは1~5W/cm2の範囲内となるように行う。輻射熱がインクに照射されることを抑制する観点からは、レジスト膜に照射される光量は500mJ/cm2未満であることが好ましい。
活性光線の照射は、インク着弾後0.001~300秒の間に行うことが好ましく、高精細なレジスト膜を形成するためには、0.001~60秒の間に行うことがより好ましい。
【0101】
<(3)の工程>
(3)の工程では、(2)の仮硬化後、さらにインクを加熱して本硬化する。
加熱方法は、例えば、110~180℃の範囲内に設定したオーブンに10~60分投入することが好ましい。
【0102】
なお、本発明の熱硬化性インクジェットインクは、前記したソルダーレジストパターン形成用のインクとして用いる他、電子部品用の接着剤や封止剤、回路保護剤などとして用いることもできる。
【実施例】
【0103】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
【0104】
<イエロー顔料分散体の調製>
下記分散剤1及び分散剤2と、分散媒をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱撹拌溶解し、室温まで冷却した後、これに下記顔料を加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gとともにガラス瓶に入れ密栓した。これをペイントシェーカーにて、所望の粒径になるまで分散処理した後、ジルコニアビーズを除去した。
分散剤1:EFKA7701(BASF社製) 5.6質量部
分散剤2:Solsperse22000(日本ルーブリゾール社製) 0.4質量部
分散媒:ジプロピレングリコールジアクリレート(0.2%UV-10含有)
80.6質量部
顔料:PY185(BASF社製、パリオトールイエローD1155)13.4質量部
【0105】
<シアン顔料分散体の調製>
前記イエロー顔料分散体の調製において、分散剤、分散媒及び顔料を下記に示すとおりに変更した以外は同様にして調製した。
分散剤:EFKA7701(BASF社製) 7質量部
分散媒:ジプロピレングリコールジアクリレート(0.2%UV-10含有)70質量部
顔料:PB15:4(大日精化製、クロモファインブルー6332JC) 23質量部
【0106】
<ゲル化剤>
ゲル化剤として、下記に示すものを用いた。
・ジステアリルケトン(下記表中、d1と表記)
・ベヘニン酸ベヘニル(下記表中、d2と表記)
【0107】
<熱硬化性官能基を有する化合物>
下記表Iに示すものを用いた。
【0108】
【0109】
<光重合性官能基を有する化合物>
光重合性官能基を有する化合物として、下記表IIに示すものを用いた。
【0110】
【0111】
<光重合開始剤>
光重合開始剤として、下記に示すものを用いた。
・TPO(BASF社製)
【0112】
<光増感助剤>
光増感助剤として、下記に示すものを用いた。
・ITX(Lambson社製)
【0113】
<熱硬化助剤>
前記表IIに示すものを用いた。
【0114】
<インクジェットインクの調製>
下記表に記載のインク組成にしたがって調製し、ADVATEC社製テフロン3μmメンブレンフィルターで濾過を行った。Physica社製粘弾性測定装置 MCR300、シェアレート1000(1/s)にて、各インクの80℃粘度及びゲル相転移温度を測定した。
ここで、ゲル相転移温度は、降温速度0.1℃/s、歪み5%、角周波数10radian/s、降温速度0.1℃/sで温度変化させて得られる粘弾性曲線において、複素粘性率が1Pa以上となる温度を表す。
本発明のインクの25℃での粘度はいずれも1~1×104Pa・sであるのに対し、比較例のインクはいずれも1Pa・s未満であった。
また、本発明のインクのゲル相転移温度はいずれも40~100℃の温度であったが、比較例のインクはゲル相転移現象が見られなかった。
なお、表I及び表IIに記載の右欄の記号(a1~a28、b1~b10、c1及びc2)は、各商品名に対応して付したものである。
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
<インクジェットによるパターン形成>
調製した各インクジェットインクを、ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録ヘッドを有するインクジェット記録装置に装填した。この装置を用いて、プリント配線板用銅張積層板上(FR-4 厚さ1.6mm、大きさ150mm×95mm)にパターン形成を行った。
インク供給系は、インクタンク、インク流路、インクジェット記録ヘッド直前のサブインクタンク、金属フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなる。インクタンクからヘッド部分までインクを90℃に加温する。ピエゾヘッドにもヒーターを内蔵させ、記録ヘッド内のインク温度を90℃に加熱した。ピエゾヘッドは、ノズル径22μmで、ノズル解像度360dpiのヘッドを千鳥に配置して720dpiのノズル列を形成した。
このインクジェット装置を用いて、液滴量が6.0plのドットになるように電圧を印加し、基板上に、20mm×50mmのベタパターンとライン&スペースが100μmの櫛型パターンを、それぞれ厚さが20μmになるように印字したのち、Phoseon Technology社製LEDランプ(395nm、8W/cm2、water cooled unit)を500mJ/cm2になるよう照射してインク層を仮硬化した。その後、150℃に設定したオーブンに60分投入し本硬化し、印字サンプルを得た。
【0120】
[評価]
<基板密着性>
前記ベタパターンの印字サンプルについて、硬化膜にJIS K5600のクロスカット法に準じて碁盤目状に切り込みを入れ、粘着テープを貼付し、引き剥がすことで、硬化膜の剥離状態を観察し、下記方法で付着残留率を求め、下記基準にしたがって評価した。ここで、付着残留率は、切り込みを入れて作成したマス目の数を分母とし、テープ剥離に残留しているマス目の数を分子として算出される。
(基準)
◎:付着残留率100%
○:付着残留率80%以上100%未満
△:付着残留率60%以上80%未満
×:付着残留率60%未満
【0121】
<耐熱耐湿性>
前記ベタパターンの印字サンプルについて、85℃、相対湿度85%の条件下で500時間放置した。その後、前記した基板密着性の評価を行い、硬化膜の剥離状態を観察した。
【0122】
<耐溶剤性>
前記ベタパターンの印字サンプルについて、プロピレングリコールモノメチルアセテートに20℃20分浸漬した後、水洗乾燥後、前記した基板密着性の評価を行い、硬化膜の剥離状態を観察した。
【0123】
<耐酸性>
前記ベタパターンの印字サンプルについて、10質量%の硫酸水溶液に20℃20分浸漬した後、水洗乾燥後、前記した基板密着性の評価を行い、硬化膜の剥離状態を観察した。
【0124】
<耐アルカリ性>
前記ベタパターンの印字サンプルについて、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液に20℃20分浸漬した後、水洗乾燥後、前記した基板密着性の評価を行い、硬化膜の剥離状態を観察した。
【0125】
<ハンダ耐熱性>
前記ベタパターンの印字サンプルについて、260℃ハンダ浴に10秒3回浸漬した後、前記した基板密着性の評価を行い、硬化膜の剥離状態を観察した。
【0126】
<絶縁信頼性>
プリント配線板用銅張積層板(FR-4 厚さ1.6mm、大きさ150mm×95mm)に、ライン&スペース75μmで導電性の櫛型配線パターンを作成し、該櫛型配線パターンの全体を覆うように調製した各インクジェットインクを用いてインクジェットにてベタパターンを形成した。得られたサンプルを85℃、相対湿度85%RH及び100Vを印加した条件で1000時間までの絶縁性評価を下記基準にしたがい行った。
(基準)
◎:1000時間経過後に、顕著な抵抗値の低下や短絡が無く、絶縁抵抗値が108Ω以上
○:500時間経過後に、顕著な抵抗値の低下や短絡が無く、絶縁抵抗値が108Ω以上
△:250時間経過後に、顕著な抵抗値の低下や短絡が無く、絶縁抵抗値が108Ω以上
×:250時間経過前に、絶縁抵抗値が108Ω未満
【0127】
【0128】
前記した結果に示されるように、本発明のインクは、比較例のインクに比べて、基板密着性、耐熱耐湿性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、ハンダ耐熱性及び絶縁信頼性の点で優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、基板密着性、絶縁信頼性、耐熱耐湿性及び各種耐溶剤性に優れた塗膜を形成することができる熱硬化性インクジェットインクに利用することができる。