(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】通信装置及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/15 20180101AFI20240730BHJP
H04W 72/0457 20230101ALI20240730BHJP
H04W 8/22 20090101ALI20240730BHJP
H04W 88/10 20090101ALI20240730BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20240730BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240730BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H04W76/15
H04W72/0457 110
H04W8/22
H04W88/10
H04W24/10
H04W84/12
H04L27/26 114
(21)【出願番号】P 2021532686
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 JP2020018255
(87)【国際公開番号】W WO2021009992
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2019129983
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000763
【氏名又は名称】弁理士法人大同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠介
(72)【発明者】
【氏名】相尾 浩介
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 茂
【審査官】▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-509792(JP,A)
【文献】特開2017-108411(JP,A)
【文献】米国特許第09793965(US,B1)
【文献】国際公開第2014/087775(WO,A1)
【文献】特開2018-113700(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0176918(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
H04L 27/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部における通信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で参照信号を送信するとともに、
第1の端末及び第2の端末から前記参照信号の通信結果を受信する動作を制御し、前記第1の周波数帯域における
前記第1の端末との通信と前記第2の周波数帯域における
前記第2の端末との通信を同時に行うように制御する、
通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の端末及び第2の端末とケイパビリティ情報を交換した結果に基づいて、前記参照信号の送信先を決定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記参照信号を送信することを事前に通知する通知信号を前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で送信するように制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域における前記参照信号の送信時刻又は送信される順序のうち少なくとも一方を含む前記通知信号を送信するように制御する、
請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域のうち一部の周波数帯域のみの信号品質を推定できるように、前記参照信号の長さを動的に変更する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信結果は、前記
第1の端末及び第2の端末にデータ送信するときの変調多値数並びに符号化方式を決定するための情報を含む、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記
第1の端末及び第2の端末にデータ送信するときに、周波数リソースブロック毎に変調多値数並びに符号化方式を決定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
前記制御部は、周波数リソースブロック毎に決定した変調多値数並びに符号化方式に関する情報をデータフレームで通知する、
請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で無線信号を送受信する通信装置における通信方法であって、
前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で参照信号を送信するステップと、
第1の端末及び第2の端末から前記参照信号の通信結果を受信するステップと、
前記第1の周波数帯域における
前記第1の端末との通信と前記第2の周波数帯域における
前記第2の端末との通信を同時に行うステップと、
を有する通信方法。
【請求項10】
第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部における通信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で参照信号を請求項1に記載の通信装置から受信するとともに、請求項1に記載の通信装置に前記参照信号の通信結果を送信する動作を制御する、
通信装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記参照信号を送信することを事前に通知する通知信号を受信したことに応じて、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で前記参照信号を受信するように制御する、
請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で受信した前記参照信号の信号品質を推定し、その推定結果に基づく前記通信結果を送信するように制御する、
請求項10に記載の通信装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記通信装置にデータ送信するときの変調多値数並びに符号化方式を決定するための情報を含む前記通信結果を送信するように制御する、
請求項10に記載の通信装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記参照信号の送信元からデータフレームを受信する動作を制御する、
請求項10に記載の通信装置。
【請求項15】
前記データフレームは、周波数リソースブロック毎の変調多値数並びに符号化方式に関する情報を含む、
請求項14に記載の通信装置。
【請求項16】
第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で無線信号を送受信する通信装置における通信方法であって、
前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で参照信号を請求項1に記載の通信装置から受信するステップと、
請求項1に記載の通信装置に前記参照信号の通信結果を送信する動作を制御するステップと、
を有する通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、無線信号を送受信する通信装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信技術が広範に普及している。例えばIEEE802.11などで規格化されている無線LAN(Local Area Network)では、基地局と配下の端末との間で無線によるデータ通信が行われる。基地局から多数の他端末への通信が必要となる状況下では、端末間の干渉を低減して多数の端末への同時通信を高効率で実現することが重要である。
【0003】
1台の基地局から複数の端末に異なる周波数チャネルを割り当てて送信する際、割り当てたスペクトラム密度が端末間で異なると、スペクトラム密度の小さい端末は、スペクトラム密度の大きい端末への送信信号の帯域外漏洩によるSINR(Signal-to-Interference and Noise Power Ratio:受信信号電力対干渉及び雑音電力比)が相対的に小さくなり、受信信号の品質が劣化するという問題がある。一般に帯域外漏洩の上限は規定されているが、実際の帯域外漏洩電力は設計されたRF(Radio Frequency)回路に依存し、さらに経年劣化によって特性が変化するため、送信機側だけで帯域外漏洩を推定することは難しい。
【0004】
例えば、送信先装置の性能に応じてデータ送信に使用するサブキャリア数を変更し、隣接した周波数チャネルに信号を乗せないことで干渉を低減する送信方法について提案がなされている(特許文献1を参照のこと)。また、周波数チャネルの電力や変調多値数を下げることで干渉を低減する通信システムについても提案がなされている(特許文献2を参照のこと)。
【0005】
また、アップリンクにおいて複数の端末が基地局へ受信応答を行う際における、帯域外漏洩電力により干渉するという問題に対して、受信応答の電力制御又は送信時間の制御によって干渉量を制御する無線通信システムについて提案がなされている(特許文献3を参照のこと)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-60689号公報
【文献】特開2010-136431号公報
【文献】特開2011-146988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書で開示する技術の目的は、基地局から複数の端末へ異なる周波数帯を使用してデータ送信を行う通信システムで動作する通信装置及び通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示する技術は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、
第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部における通信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で参照信号を送信するとともに、前記参照信号の送信先から通信結果を受信する動作を制御する、
通信装置である。
【0009】
前記制御部は、前記第1の端末及び第2の端末とケイパビリティ情報を交換した結果に基づいて、前記参照信号の送信先を決定し、前記参照信号を送信することを事前に通知する通知信号を前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で送信するように制御する。そして、前記制御部は、前記第1の周波数帯域における第1の端末との通信と前記第2の周波数帯域における第2の端末との通信を同時に行うように制御する。
【0010】
また、本明細書で開示する技術の第2の側面は、
第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で無線信号を送受信する通信装置における通信方法であって、
前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で参照信号を送信するステップと、
前記参照信号の送信先から通信結果を受信するステップと、
を有する通信方法である。
【0011】
また、本明細書で開示する技術の第3の側面は、
第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部における通信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で参照信号を受信するとともに、前記参照信号の送信元に通信結果を送信する動作を制御する、
通信装置である。
【0012】
前記制御部は、前記参照信号を送信することを事前に通知する通知信号を受信したことに応じて、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で前記参照信号を受信するように制御する。また、前記制御部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で受信した前記参照信号の信号品質を推定し、その推定結果に基づく前記通知結果として送信するように制御する。
【0013】
また、本明細書で開示する技術の第4の側面は、
第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で無線信号を送受信する通信装置における通信方法であって、
前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で参照信号を受信するステップと、
前記参照信号の送信元に通信結果を送信する動作を制御するステップと、
を有する通信方法である。
【発明の効果】
【0014】
本明細書で開示する技術によれば、基地局から複数の端末へ異なる周波数帯を使用してデータ送信を行う際の、帯域外漏洩電力を推定するための処理を行う通信装置及び通信方法を提供することができる。
【0015】
また、本明細書で開示する技術によれば、帯域外漏洩電力の推定結果に基づいて、端末毎に割り当てられる変調多値数並びに符号化方式を制御する通信装置及び通信方法を提供することができる。
【0016】
また、本明細書で開示する技術によれば、端末毎に割り当てる変調多値数並びに符号化方式を決定するための情報を通知し、又は端末毎に割り当てる変調多値数並びに符号化方式を通知する通信装置及び通信方法を提供することができる。
【0017】
なお、本明細書に記乗された効果は、あくまでも例示であり、本明細書で開示する技術によりもたらされる効果はこれに限定されるものではない。また、本明細書で開示する技術が、上記の効果以外に、さらに付加的な効果を奏する場合もある。
【0018】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、通信システムの構成例を示した図である。
【
図2】
図2は、通信装置200の構成例を示した図である。
【
図3】
図3は、APがSTA1及びSTA2にそれぞれBand1とBand2を使って同時に送信したときにおける送信信号のスペクトラムを示した図である。
【
図4】
図4は、隣接する周波数帯域間で干渉を受ける領域を拡大して示した図である。
【
図5】
図5は、APとSTA1及びSTA2の間で実施される通信シーケンス例(第1の実施例)を示した図である。
【
図6】
図6は、ケイパビリティ情報フレーム600の構成例を示した図である。
【
図7】
図7は、Out band Soundingのフェーズで実施されるフレーム交換のシーケンス例(第1の実施例)を示した図である。
【
図8】
図8は、Partial Sounding Announcementフレーム800の構成例を示した図である。
【
図9】
図9は、P-NDP-Sフレーム900の構成例(第1の実施例)を示した図である。
【
図10】
図10は、P-NDP-Iフレーム1000の構成例(第1の実施例)を示した図である。
【
図11】
図11は、Feedbackフレーム1100の構成例を示した図である。
【
図12】
図12は、データフレーム1200の構成例を示した図である。
【
図13】
図13は、APにおいてOut band Sounding及びデータ送信を実施するための処理手順を示したフローチャートである。
【
図14】
図14は、APとSTA1及びSTA2の間で実施される通信シーケンス例(第2の実施例)を示した図である。
【
図15】
図15は、APとSTA1及びSTA2の間で実施される通信シーケンス例(第2の実施例)を示した図である。を示した図である。
【
図16】
図16は、P-NDP-S/Iフレーム1600の構成例(第2の実施例)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0021】
A.システム構成
図1には、本明細書で開示する技術を適用した通信システムの構成例を模式的に示している。図示の通信システムは、1台の基地局(AP)と、基地局に接続した複数の端末(STA1、STA2)で構成される。そして、通信システム内ではBand1及びBand2という異なる周波数帯域を利用可能であるが、APは、STA1とはBand1を用いて無線通信を行い、STA2とはBand2を用いて無線通信を行うものとする。ここで、Band1とBand2は隣接する周波数帯域とする。なお、1台の基地局に3台以上の端末が接続することも想定されるが、ここでは説明の簡素化のため2台のみを描いている。また、通信システムでは、Band1及びBand2以外の周波数帯域を含む3以上の周波数帯域を利用可能であってもよい。
【0022】
図2には、上記の通信システムにおいて、AP又はSTAのいずれかとして動作することが可能な通信装置200の構成例を示している。
【0023】
図示の通信装置200は、制御部210と、電源部220と、複数(図示の例では3個)の通信部230-1、230-2、230-3と、各通信部230-1、…毎のアンテナ部240-1、…で構成される。各通信部230-1、230-2、230-3は、それぞれ異なる周波数帯域で動作することを想定している。
図1に示した通信システムではBand1及びBand2の2つの周波数帯域で動作することを想定していることから、通信装置200がAPの場合には、Band1及びBand2の両方の周波数帯域で無線通信を行うために、少なくとも2つの通信部230-1、230-2を装備している。また、通信装置200がSTA1又はSTA2の場合には、Band1又はBand2のうち使用する一方の周波数帯域に対応した通信部のみを装備していてもよい。なお、各通信部230-1及び通信部230-2、…毎のアンテナ部240-1は同一の構成なので、以下では、簡素化のため通信部230及びアンテナ部240として参照することにする。
【0024】
通信部230は、例えばマイクロプロセッサなどのプロセッサや回路で構成され、無線制御部231と、データ処理部232と、変復調部233と、信号処理部234と、チャネル推定部235と、並列的に配置された複数の無線インターフェース(IF)部236-1、…、236-Nと、各無線インターフェース部236-1、…、236-Nに直列的に接続されたアンプ部237-1、…、237-Nを備えている(但し、Nは2以上の整数とする)。そして、各アンプ部237-1、…、237-Nには、当該通信部230に対応するアンテナ部240を構成する各アンテナ素子が接続されている。
【0025】
直列接続された無線インターフェース部236、アンプ部237、及びアンテナ部240中のアンテナ素子を1組として、1つ以上の組が通信部230の構成要素となっていてもよい。また、各無線インターフェース部236-1、…、236-Nに、各々に対応するアンプ部237-1、…、237-Nの機能が内包されていてもよい。
【0026】
データ処理部232では、自身の通信プロトコルの上位層からデータが入力される送信時において、そのデータから無線送信のためのパケットを生成し、さらにメディアアクセス制御(Media Access Control:MAC)のためのヘッダの付加や誤り検出符号の付加などの処理を実施して、処理後のデータを変復調部233へ提供する。また、データ処理部232は、変復調部233からの入力がある受信時においては、MACヘッダの解析、パケット誤りの検出、パケットのリオーダー処理などを実施し、処理後のデータを自身のプロトコル上位層へ提供する。
【0027】
無線制御部231は、当該通信装置200内の各部間の情報の受け渡しを制御する。また、無線制御部231は、変復調部233及び信号処理部234におけるパラメータ設定や、データ処理部232におけるパケットのスケジューリング、無線インターフェース部236及びアンプ部237のパラメータ設定及び送信電力制御を行なう。
【0028】
変復調部233は、送信時には、データ処理部232からの入力データに対し、無線制御部231によって設定された符号化方式及び変調方式に基づいて、符号化、インターリーブ及び変調処理を行い、データシンボルストリームを生成して、信号処理部234に提供する。また、変復調部233は、受信時には、信号処理部234からの入力シンボルストリームに対して、送信時とは反対の復調処理、デインターリーブ、及び復号化処理を行い、データ処理部232若しくは無線制御部231にデータを提供する。
【0029】
信号処理部234は、送信時には、必要に応じ変復調部233からの入力に対して空間分離に供される信号処理を行い、得られた1つ以上の送信シンボルストリームをそれぞれの無線インターフェース部236-1、…、236-Nに提供する。また、信号処理部234は、受信時には、それぞれの無線インターフェース部236-1、…、236-Nから入力された受信シンボルストリームに対して信号処理を行い、必要に応じてストリームの空間分解を行って、変復調部233に提供する。
【0030】
チャネル推定部235は、それぞれの無線インターフェース部236-1、…、236-Nからの入力信号のうち、プリアンブル部分及びトレーニング信号部分から伝搬路の複素チャネル利得情報を算出する。算出された複素チャネル利得情報は、無線制御部231を介して変復調部233での復調処理及び信号処理部234での空間処理に利用される。
【0031】
無線インターフェース部236は、送信時には、信号処理部234からの入力をアナログ信号へ変換し、フィルタリング、及び搬送波周波数へのアップコンバート、位相制御を実施し、対応するアンプ部237又はアンテナ部240へ送出する。また、無線インターフェース部236は、受信時には、対応するアンプ部237又はアンテナ部240からの入力に対して、送信時とは反対のダウンコンバートやフィルタリング、デジタル信号への変換などの処理を実施し、信号処理部234及びチャネル推定部235へデータを提供する。
【0032】
アンプ部237は、送信時には、無線インターフェース部236から入力されたアナログ信号を所定の電力まで増幅し、アンテナ部240内の対応するアンテナ素子へと送出する。また、アンプ部237は、受信時には、アンテナ部240内の対応するアンテナ素子から入力された信号を所定の電力まで低雑音増幅して、無線インターフェース部236に出力する。
【0033】
アンプ部237は、送信時の機能と受信時の機能のうち少なくとも一方が無線インターフェース部236に内包されていてもよい。また、アンプ部237は、送信時の機能と受信時の機能のうち少なくとも一方が通信部230以外の構成要素となっていてもよい。
【0034】
一組の無線インターフェース部236及びアンプ部237で、1つのRF(Radio Frequency)ブランチを構成している。1本のRFブランチで1バンドの送受信を行えるものとする。
図2に示す装置構成例では、通信部230はN本のRFブランチを備えていることになる。
【0035】
制御部210は、例えばマイクロプロセッサなどのプロセッサや回路で構成され、無線制御部231及び電源部220の制御を行なう。また、制御部210は、無線制御部231の上述した動作の少なくとも一部を、無線制御部231の代わりに実施してもよい。特に本実施形態においては、制御部210及び無線制御部231が、後述する各実施例に係る動作を実現するために、各部の動作を制御する。
【0036】
電源部220は、バッテリ電源又は固定電源で構成され、当該通信装置200に対して駆動用の電力を供給する。
【0037】
通信装置200が待機中は、通信部230がスタンバイ状態やスリープ状態(若しくは、少なくとも一部の機能を停止させた状態)に遷移して、低消費電力化を図るように構成してもよい。
図2に示す装置構成例では、通信部230は、N本のRFブランチを備えているが、RFブランチ毎にスタンバイ状態やスリープ状態に遷移できるように構成してもよい。但し、キャリアアグリゲーションでのデータ送受信を実施する際には、少なくともアグリゲーションするバンド数のRFブランチが通常の動作状態に復帰している必要がある。
【0038】
なお、制御部210と通信部230を併せて、1つ又は複数のLSI(Large Scale Integration)で構成することができる。
【0039】
B.隣接する周波数帯域の同時利用
図3には、APがSTA1及びSTA2にそれぞれBand1とBand2を使って同時に送信したときにおける送信信号のスペクトラムを示している。上述したように、Band1とBand2は隣接する周波数帯域である。したがって、Band2はBand1からの帯域外漏洩の影響を受け、逆に、Band1はBand2からの帯域外漏洩の影響を受ける。
図3中、参照番号301で示す斜線の領域は、隣接する周波数帯域間で干渉を受ける領域である。また、
図4には、隣接する周波数帯域間で干渉を受ける領域301を拡大して示している。
【0040】
一般に、送信信号の電力が等しくても、伝送に使用する帯域幅が異なればスペクトラム密度が異なる。OFDM(Orthogonal Frequency DIvision Multiplexing:直交周波数分割多重)変調では、送信データを任意のサブキャリアに乗せるが、送信データを乗せた周波数帯域外へ漏洩電力が生じる。
図3及び
図4に示すように、特に隣接する周波数帯域を利用する場合には、帯域の境界付近で局所的に漏洩電力による干渉が大きくなることで、SINRが小さくなる。
図4中、参照番号401は、帯域外漏洩の影響を受けたSINRを示し、参照番号402は、帯域外漏洩の影響を受けていないSINRを示している。
【0041】
バンドパスフィルタなどの部品を用いて所望の周波数帯域以外への漏洩電力を低下させることができる(周知)。しかしながら、フィルタの特性は経年変化などにより、正確に得ることが難しい。このため、周波数特性が平坦な伝搬路においても、干渉によって周波数帯域毎の受信信号の品質が異なることから、受信信号の品質毎に最適なMCS(Modulation and Coding Scheme:変調多値数及び符号化方式)を決定する必要がある。
【0042】
そこで、本明細書では、帯域外漏洩による受信信号の品質劣化を効率的に推定するためのサウンディング方法、並びに受信信号の品質に応じて決定されるMCSの通知方法について、以下で説明する。本明細書中では、所望信号が送られる所望帯域における信号品質と帯域外漏洩によって受信される干渉信号の信号品質の推定とそのフィードバックを行う通信手順のことを「Out band Sounding」と呼ぶことにする。また、周波数毎に変更したMCSを通知するシグナリング情報を「MBO(Multi Band Operation) SIG」と呼ぶことにする。
【0043】
Out band Soundingでは、APからSTAへ事前にサウンディングの開始を通知するPartial Sounding Announcement、APが送信する信号品質推定用のフレームであるP(Partial)-NDP(Null Data Packet)-I(Interference)及びP-NDP-S(Signal)、又はP-NDP-S/I、STAが推定結果に基づいて送信信号のMCSの関する情報をAPに通知するFeedbackの各フレームが使用される。APが複数のSTAからFeedbackフレームを得るときには、別途Triggerフレームが必要となる場合がある。
【0044】
ここで、P-NDP-Sは所望帯域のみサウンディングを行うためのサウンディングフレームであり、P-NDP-Iは干渉帯域のサウンディングを行うためのサウンディングフレームである。また、P-NDP-S/Iは、所望帯域及び干渉帯域のサウンディングを行うためのサウンディングフレームである。
【0045】
P-NDP-S及びP-NDP-I、P-NDP-S/Iに含まれる信号品質推定用の系列を、推定したい周波数・範囲に基づいて設計することで、これらのサウンディングフレームのフレーム長を短縮化することが可能である。
【0046】
また、MBO-SIGでは、任意にグループ化したサブキャリアに対して一括してMCSを変更したことを通知することで、伝送レートを改善することが可能となる。
【実施例1】
【0047】
図5には、第1の実施例として、APとSTA1及びSTA2の間で実施される通信シーケンス例を示している。なお、APとSTA1及びSTA2からなる通信システムでは、
図1に示したようにAPは、STA1とはBand1を用いて無線通信を行い、STA2とはBand2を用いて無線通信を行うことを想定している。また、APとSTA1及びSTA2は、それぞれ
図2に示した装置構成を装備し、Band1及びBabd2を用いた無線通信が可能であるものとする。
【0048】
図5に示す通信シーケンスでは主に、ケイパビリティ交換(Capability Exchange)と、アソシエーション(Association)と、送信権獲得と、Out band Soundingと、MCS割り当ての決定と、データ送信(Data Transmitting)の6つのフェーズを想定している。なお、各フェーズを実施する順番は、
図5に示した例に限定される訳ではない。例えばケイパビリティ交換がアソシエーションの後に行われてもよい。また、各フェーズが必ずしも分離されていなくてもよい。例えば、ケイパビリティ交換とアソシエーションが同時に行われてもよい。
【0049】
ケイパビリティ交換のフェーズ(F510)では、APとSTA2間、並びにAPとSTA1間で、互いのケイパビリティ情報の交換がそれぞれ行われる。本実施例では、APとSTA1、STA2間において、Out band Soundingが実行可能か否かの情報が交換される、という点に主な特徴がある。APとSTA1、STA2の間で交換されるケイパビリティ情報の詳細や、ケイパビリティ情報の交換に使用されるフレームの詳細については、後述する。
【0050】
アソシエーションのフェーズ(F520)では、APとSTA1の間、及びAPとSTA2の間での接続処理を完了させる。アソシエーションは、例えばIEEE802.11規格に則って、STA1並びにSTA2の各々からのアソシエーション要求とAPによるアソシエーション応答により実施される。
【0051】
送信権獲得のフェーズ(F530)では、APとSTA1、STA2の間で、APからSTA1及びSTA2へのデータ送信を行うことの合意が形成される。例えばCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)に則ってAPが送信権を獲得するようにしてもよい。
【0052】
Out band Soundingのフェーズ(F540)では、APからSTA1、STA2への信号品質推定用のフレームの送信と、STA1及びSTA2からのフィードバックが実施される。具体的には、APがBand1及びBand2を用いてSTA1及びSTA2に同時に送信する場合において、STA1は、信号品質推定用のフレームに基づいて所望帯域(Band1)における帯域外漏洩電力を推定し、この推定結果に基づいてBand1において所望の品質で受信できるMCSを決定できる情報をAPへ、Feedbackフレームで通知する。また、STA2も、信号品質推定用のフレームに基づいて所望帯域(Band2)における帯域外漏洩電力を推定し、この推定結果に基づいてBand2において所望の品質で受信できるMCSを決定できる情報をAPへ、Feedbackフレームで通知する。STA1及びSTA2がAPに通知する情報は、例えば送信レートを指定する情報、SINRでもよい。本実施例におけるOut band Soundingのフェーズの詳細については、後述に譲る。
【0053】
なお、Out band Soundingのフェーズは、MCS割り当ての決定の前に常に実施されることが好ましい。但し、AP側でMCS割り当ての決定の前に毎回行う必要がないと判断した場合には、省略してもよい。
【0054】
MCS割り当ての決定のフェーズ(F550)では、APが、Out band Soundingのフェーズ(F540)でSTA1及びSTA2からFeedbackフレームで通知された情報に基づいて、続くデータ送信のフェーズ(F560)でAPがSTA1及びSTA2の各々に送信する信号のMCSを、サブキャリア毎又はグルーピングされたサブキャリア毎(言い換えれば、周波数リソースブロック毎)に決定する。
【0055】
データ送信のフェーズ(F560)では、MCS割り当ての決定のフェーズ(F550)で決定したMCSを用いて、APからSTA1、STA2へのデータ送信が行われる。データ送信に先立ち(具体的には、データフレームのヘッダ内のMBO-SIGによって)、使用されるMCSがSTA1及びSTA2の各々に通知される。この通知では、サブキャリア毎又はグルーピングされたサブキャリア毎にMCSが通知される。
【0056】
図6には、ケイパビリティ交換のフェーズ(F510)において、ケイパビリティ情報の交換のために使用されるケイパビリティ情報フレーム600の構成例を示している。
【0057】
参照番号601で示すTimestampフィールドには、当該フレームの送受信間で時刻同期をとるための情報が格納される。
【0058】
参照番号602で示すBSSIDフィールドには、当該フレームの送信元の通信端末が属するBSS(Basic Service Set)の識別情報が格納される。
【0059】
参照番号603で示すOB Soundingフィールドには、当該フレームの送信元の通信端末がOut band Soundingを実施可能であるか否か、及びOut band Soundingにおいて送受信できるチャネル推定用のフレーム長の情報が格納される。ここで、送受信できるチャネル推定用のフレーム長は、一意に決まっている必要はなく、例えば送信時には3種類、受信時には2種類への対応が可能であるという情報でもよい。
【0060】
図7には、本実施例において、Out band Soundingのフェーズ(F540)で実施される、フレーム交換のシーケンス例を示している。但し、横軸を時間軸とする。また、四角の箱は、AP又はSTA1がその横軸に対応する周波数帯域(Band1又はBand2)で送信したフレームを示し、各箱から伸びる矢印の先はフレームの送信先を示すものとする。
【0061】
Out band Soundingのフェーズ(F540)では、APからSTA1へ、Partial Sounding Announcement、P-NDP-S、P-NDP-Iの3種類のフレームが送信され、その後、STA1からAPへFeedbackフレームが返信される。
【0062】
APは、STA1にサウンディングの開始を通知するために、STA1へのデータ送信に使用する所望帯域であるBand1上で、Partial Sounding Announcementフレームを送信する。Partial Sounding Announcementフレームには、直後に送信される信号品質推定用のフレーム(P-NDP-S、P-NDP-I)に関する情報が含まれる。
【0063】
続いて、APは、STA1が所望帯域であるBand1における受信信号品質を推定するためのP-NDP-Sフレームを、Band1上で送信する。STA1は、P-NDP-Sフレームを用いて、所望信号の受信電力を推定するようにしてもよい。
【0064】
続いて、APは、STA1が干渉帯域であるBand2における受信信号品質を推定するためのP-NDP-Iフレームを、Band2上で送信する。STA1は、P-NDP-Iフレームを用いて、Band2からBand1へ帯域外漏洩する信号の受信電力を推定する。
【0065】
図7に示したフレーム交換シーケンス例では、Partial Sounding Announcementフレームの後に、P-NDP-S、P-NDP-Iの順に送信されるが、この順序の通りでなくてもよい。また、P-NDP-SとP-NDP-I(言い換えれば、所望信号の受信電力と漏洩信号の受信電力をそれぞれ推定するサウンディング)をまとめて1つのフレームとして送信するようにしてもよい。
【0066】
STA1は、P-NDP-S及びP-NDP-Iの各フレームを用いて所望信号及び漏洩信号の各信号品質を推定して、その推定結果に基づく情報を格納したFeedbackフレームを、所望帯域であるBand1上で、APに返信する。Feedbackフレームには、APがBand1及びBand2で同時に無線信号を送信する場合に、Band1をSTA1に割り当てたときに設定すべきMCSに関する情報(若しくは、MCSを決定できる情報)が格納される。
【0067】
隣接帯域から所望帯域への帯域外漏洩信号のサウンディングを、本明細書では「Partial Sounding」とも呼ぶ。APは、以前に実施したPartial Soundingに対するFeedbackフレームで得た情報を利用できると判断した場合には、Partil Soundingを実施せずに、前回のFeedbackフレームで得た情報に基づいてMCSを決定して、データ送信を実施するようにしてもよい。他方、APは、Partial Soundingを実施した後に、STA1からFeedbackフレームを受信できなかった場合には、STA1に対して再送を要求するようにしてもよい。
【0068】
なお、
図7では、APとSTA1間でのフレーム交換シーケンスのみを描いているが、Out band Soundingのフェーズ(F540)ではAPとSTA2間でも同様のフレーム交換シーケンスが実施されるものとする。
【0069】
図8には、Partial Sounding Announcementフレーム800の構成例を示している。同フレーム800は、APが、STAに対してOut band Soundingの開始を通知するために使用する。
【0070】
参照番号801で示すFrame Controlフィールドには、当該フレームがPartial Sounding Announcementであることを示す情報が格納される。参照番号802で示すDuration/IDフィールドには、当該フレームの長さを示す情報が格納される。
【0071】
参照番号803で示すRAフィールドには、当該フレームの送信先となるSTAを識別する情報(Receiver Address)が格納され、参照番号804で示すTAフィールドには、当該フレームの元であるAPを識別する情報(Transmitter Address)が格納される。送信先並びに送信元の通信端末を識別する情報として、例えばMACアドレスが使用される。
【0072】
参照番号805で示すSounding Bandsフィールドには、後続するP-NDPフレームがどのような順序でどの周波数帯域で送られるかを示す情報が格納される。なお、P-NDPフレームが送られる順序は、送信開始時刻を示す情報であってもよい。
【0073】
図8に示す例では、Sounding Bandsフィールド805は、参照番号805-1、805-2、…、805-Nでそれぞれ示す、Channel Band1、Channel Band2、…、Channel BandNの各フィールドを含んでいる。Channel Band1フィールド805-1には、このPartial Sounding Announcementフレーム800の直後にP-NDP-S及びP-NDP-Iの各サウンディングフレームが送られる周波数帯域に関する情報が格納される。同様に、Channel Band2には、その直後にP-NDP-S及びP-NDP-Iの各サウンディングフレームが送られる周波数帯域に関する情報が格納される。各Channel Bandフィールド805-1、805-2、…、805-N内には、例えば、該当するサウンディングフレームの送信開始時刻や送信される順序、P-NDP-S及びP-NDP-Iの種別(所望信号又は帯域外干渉信号のいずれのサウンディングフレームであるか)を示す情報などが格納される。
【0074】
参照番号806で示すSounding Dialog Tokenフィールドには、サウンディングの時刻又はAPが他のPartil Soundingと識別するための情報が格納される。
【0075】
図9には、P-NDP-Sフレーム900の構成例を示している。同フレーム900は、受信したSTA側で所望帯域(
図7に示す例では、Band1)の受信信号の品質(若しくは、所望信号の受信電力)を推定するために、APが送信する。
【0076】
参照番号901で示すSTF(Short Training Field)フィールドには、当該フレーム900を受信した通信端末が時刻同期及び周波数同期に使用する情報(例えば、既知の信号系列)が格納される。
【0077】
参照番号902で示すP-LTF(Partial-Long Training Sequence)フィールドには、当該フレーム900を受信した通信端末が所望帯域の受信信号(P-NDP-S)の品質を推定するために使用する情報(例えば、既知の信号系列からなる参照信号)が格納される。
【0078】
ここで、P-LTFは、所望帯域(
図7に示す例では、Band1)における信号品質推定において、一部のみ周波数の品質を推定されるような情報を含んでいてもよい。すなわち、Band1(若しくは、Band2)のうち一部の周波数帯域のみの信号品質を推定できるように、P-LTFのフレーム長を動的に変更するようにしてもよい。特に信号品質を推定したい周波数が複数の連続するサブキャリアの場合には、P-LTFはSTFよりも短いフィールド長に変更されてもよい(
図9に示す例では、STFフィールド901が64ビット長であるのに対し、P-LTFフィールド902は16ビット長である)。例えば、サブキャリア番号kがk=-32,-31,…,31の値をとる場合において、-32≦k≦-25の16個のサブキャリアのみの信号品質を推定したい場合には、下式(1)及び(2)に従う系列L
1(s)を用いてもよい。但し、sをP-LTF内のサンプル番号とし、L
1(s)は16サンプルからなる(s=0,1,…,15)。
【0079】
【0080】
【0081】
また、サブキャリア番号kがk=-64,-63,…,63の値をとる場合において、56≦k≦63の8個のサブキャリアのみの信号品質を推定したい場合には、下式(3)及び(4)に従う系列L2(s)を用いてもよい。但し、sをP-LTF内のサンプル番号とし、L2(s)は16サンプルからなる(s=0,1,…,7)。
【0082】
【0083】
【0084】
図10には、P-NDP-Iフレーム1000の構成例を示している。同フレーム900は、受信したSTA側で所望帯域に隣接帯域(
図7に示す例では、Band2)から所望帯域に漏洩する信号の品質(若しくは、干渉信号の受信電力)を推定するために、APが送信する。
【0085】
参照番号1001で示すSTF1フィールドには、当該フレーム1000をBand1で受信した通信端末が時刻同期及び周波数同期に使用する情報が格納される。また、参照番号1002で示すSTF2フィールドには、当該フレーム1000をBand2で受信した通信端末が時刻同期及び周波数同期に使用する情報が格納される。
【0086】
参照番号1003で示すP-LTFフィールドには、当該フレーム1000をBand2で受信した通信端末が隣接帯域から所望帯域に漏洩する干渉信号(P-NDP-I)の品質を推定するために使用する情報が格納される。P-LTFフィールド1003には、P-NDP-Sフレーム900のP-LTFフィールド902と同様の既知の信号系列を用いてもよい。
【0087】
図11には、Feedbackフレーム1100の構成例を示している。同フレーム1100は、STAが、P-NDP-S及びP-NDP-Iの各フレームを用いて所望信号及び漏洩信号の各信号品質を推定した結果、又はその推定結果に基づく情報を、APにフィードバックするために使用される。
【0088】
参照番号1101で示すFrame Controlフィールドには、当該フレームがPartial Sounding Announcementであることを示す情報が格納される。参照番号1102で示すDuration/IDフィールドには、当該フレームの長さを示す情報が格納される。
【0089】
参照番号1103で示すRAフィールドには、当該フレームの送信先となるAPを識別する情報が格納され、参照番号1104で示すTAフィールドには、当該フレームの元であるSTAを識別する情報が格納される。送信先並びに送信元の通信端末を識別する情報として、例えばMACアドレスが使用される。
【0090】
参照番号1105で示すOB(Out band) Controlフィールドは、参照番号1111~1114でそれぞれ示す、Channel Width、Grouping、 Coefficient Size、Signal Levelの各フィールドを含んでいる。
【0091】
Channel Widthフィールド1111には、当該フレーム1100が送信されるべき周波数帯域を示す情報が含まれている。また、Signal Levelフィールド1114には、当該フレーム1100の返信先となるAPが当該フレーム1100の返信元のSTAへデータ送信を行うときに設定すべきMCSを決定するための情報をサブキャリア毎に示した情報が格納される。Signal Levelフィールド1114には、例えば、各サブキャリアにおけるP-NDP-Sの受信信号レベルや、P-NDP-SとP-NDP-I間の受信信号レベルの比などが格納される。
【0092】
Signal Levelフィールド1114には、必ずしもすべてのサブキャリアの情報が格納される必要はなく、例えば所定の間隔で間引かれた情報のみが格納されていてもよい。情報を間引く場合には、Groupingフィールド1112で、どのサブキャリアの情報がSignal Levelフィールドに格納されているかを示す情報が格納される。
【0093】
Coefficient Sizeフィールド1113には、Signal Levelフィールド1114に格納されている情報の精度や分解能を表す情報が格納される。
【0094】
図12には、データフレーム1200の構成例を示している。同フレーム1200は、データ送信のフェーズ(F560)で、APからSTAへデータを送信する際に用いられる。
【0095】
参照番号1201で示すL(Legacy)-STFフィールドには、当該フレーム1200を受信した通信端末が時刻同期及び周波数同期に使用する情報が格納される。
【0096】
参照番号1202で示すL-LTFフィールドには、当該フレーム1200を受信した通信端末において、当該フレーム1200の送信元との伝搬路を推定するための情報からなる参照信号が格納される。なお、L-LTFフィールド1202には、L-STFと同様に、時刻同期及び周波数同期に使用する情報が格納されていてもよい。
【0097】
参照番号1203で示すL-SIGフィールドには、当該フィールド1203以降のデータ部の長さを示す情報などが格納される。
【0098】
L-STFフィールド1201、L-LTFフィールド1203、及びL-SIGフィールド1203は、Band1及びBand2で同時に送信されることが想定される。通信システムにおいて利用できる他の周波数帯域で送信するようにしてもよい。
【0099】
参照番号1204で示すMBO SIGフィールドには、後続するSTA1及びSTA2へのデータ信号が伝送される周波数帯域及びMCSを示す情報が格納される。MBO SIGフィールド1204には、Band1及びBand2でそれぞれSTA1、STA2の情報が格納されるが、STA1及びSTA2の両者に関する情報が格納されていてもよい。
【0100】
MBO SIGフィールド1204は、サブキャリア毎又はグルーピングされたサブキャリア毎(言い換えれば、周波数リソースブロック毎)に設定したMCSを示すように構成されている。以下、MBO SIGフィールド1204内に含まれる情報について説明する。
【0101】
参照番号1211で示すNum Gpフィールドには、当該フレーム1200の送信に使用する周波数帯域を分割した数を示す情報が格納される。
図12に示す例では、周波数帯域はM個のグループに分割されているものとする(但し、Mは1以上の整数)。
【0102】
参照番号1212-1、…、1212-Mでそれぞれ示す、MCS_1、…、MCS_Mの各フレームには、周波数帯域をM個に分割したグループ毎の、データ送信時に用いられる最適なMCS(変調多値数並びに符号化方式)を示す情報がそれぞれ格納される。
【0103】
参照番号1213-1及び1214-1でそれぞれ示すTone_1 START及びTone_1 ENDの各フィールドには、周波数帯域をM個に分割した1番目のグループの周波数帯域を示す情報が格納される。例えば、使用するサブキャリア毎に異なるサブキャリア番号が順に設定されている場合、1番目の(最も低い周波数を含む)グループの最初のサブキャリア番号及び最後のサブキャリア番号を示す情報が、Tone_1 STARTフィールド1213-1及びTone_1 ENDフィールド1214-1にそれぞれ格納される。
【0104】
また、参照番号1213-M及び1214-Mでそれぞれ示すTone_M START及びTone_M ENDの各フィールドには、周波数帯域をM個に分割したM番目のグループの周波数帯域、例えば、M番目の(最も高い周波数を含む)グループの最初のサブキャリア番号及び最後のサブキャリア番号を示す情報が、Tone_M STARTフィールド1213-M及びTone_M ENDフィールド1214-Mにそれぞれ格納される。
【0105】
但し、周波数帯域が固定サイズ(すなわち、同じサブキャリア数)で等分されている場合には、Tone_1 STARTフィールド1213-1及びTone_1 ENDフィールド1214-1、…、Tone_M STARTフィールド1213-M及びTone_M ENDフィールド1214-Mは不要である。
【0106】
なお、L-STFフィールド1201、L-LTFフィールド1203、及びL-SIGフィールド1203は、Band1及びBand2で同時に送信されるが、STA1及びSTA2が共通して用いることができる周波数帯域で送信されてもよい。
【0107】
参照番号1205で示すDATAフィールドには、APがSTA1、STA2に伝達する信号が格納される。DATAフィールド1205は、Band1及びBand2の両方の周波数帯域で同時に送信されるが、Band1におけるDATAフィールド1205はSTA1への情報が含まれ、Band2におけるDATAフィールド1205はSTA2への情報が含まれている。
【0108】
図13には、APにおいてOut band Sounding及びデータ送信を実施するための処理手順をフローチャートの形式で示している。この処理手順は、例えばAPとして動作する通信装置200の制御部210の統括的な制御下で実行されるものとする。
【0109】
APは、先行するケイパビリティ交換のフェーズ(F510)でSTAとケイパビリティ情報の交換を行っている。まず、APは、対象とするSTAから受信したケイパビリティ情報フレーム(
図6を参照のこと)のOB Soundingフィールドに記載されている情報に基づいて、そのSTAとOut band Soundingを実施することが可能かどうかをチェックする(ステップS1301)。
【0110】
Out band Soundingを実施できない場合には(ステップS1301のNo)、APは、Out band Soundingを実施せず、MBO SIGを付加したDATAフレーム(
図12を参照のこと)をSTAに送信して(ステップS1305)、本処理を終了する。
【0111】
一方、Out band Soundingを実施できる場合には(ステップS1301のYes)、APは、対象とするSTAから前回受信したFeedbackフレームの情報を使用するかどうかをさらにチェックする(ステップS1302)。
【0112】
前回受信したFeedbackフレームの情報を使用する場合には(ステップS1302のYes)、APは、Out band Soundingを実施せず、MBO SIGを付加したDATAフレーム(
図12を参照のこと)をSTAに送信して(ステップS1305)、本処理を終了する。
【0113】
また、前回受信したFeedbackフレームの情報を使用しない場合には(ステップS1302のNo)、APは、対象とするSTAとOut band Soundingを実行する(ステップS1303)。
【0114】
APは、例えば
図7に示した通信シーケンスに従って、Out band Soundingを実施する。すなわち、APは、対象とするSTAに対してPartial Sounding Announcementフレームを送信した後、サウンディング用のP-NDP-SとP-NDP-Iの各フレームを任意の順で送信する。
【0115】
その後、APは、対象とするSTAからFeedbackフレームを受信すると(ステップS1304のYes)、そのFeekbackフレームに記載された情報に基づいて、そのSTAに送信する信号のMCSをサブキャリア毎又はグルーピングされたサブキャリア毎に決定する。そして、APは、サブキャリア毎又はグルーピングされたサブキャリア毎に決定したMCSの情報を含むMBO SIGを付加したDATAフレーム(
図12を参照のこと)をSTAに送信して(ステップS1305)、本処理を終了する。
【0116】
また、APは、対象とするSTAからFeedbackフレームを受信しない場合には(ステップS1304のNo)、Feedbackフレームを受信できるまで(ステップS1307のNo)、そのSTAに対してフィードバックを要求する(ステップS1306)。
【0117】
そして、APは、フィードバック要求によりSTAからFeedbackフレームを受信すると(ステップS1304のYes)、そのFeekbackフレームに記載された情報に基づいて、そのSTAに送信する信号のMCSをサブキャリア毎又はグルーピングされたサブキャリア毎に決定し、MBO SIGを付加したDATAフレーム(
図12を参照のこと)をSTAに送信して(ステップS1305)、本処理を終了する。
【0118】
第1の実施例では、帯域外漏洩による干渉が存在する通信環境下で、STAがSINRを推定する際に、推定用フレーム(P-NDP-S、P-NDP-I)を異なる周波数帯域(Band1、Band2)で連続送信することによって、推定の所要時間を短縮することで、推定による実効レートの低下を抑制することができる。
【0119】
第1の実施例では、帯域外漏洩による干渉を被る周波数のみのSINRを推定する場合、推定用の系列を短縮したフレーム(P-NDP-S、P-NDP-I)を用いることによって、SINRの推定時間を短縮することができ、推定による実効レートの低下を抑制することができる。
【0120】
第1の実施例では、帯域外漏洩による干渉が存在する通信環境下におけるデータ送信時でも、サブキャリア毎に最適な変調多値数並びに符号化方式を適用することで、通信システムの容量を最適化することができる。このとき、変更又は通知する変調多値数並びに符号化方式は、サブキャリア毎ではなくグルーピングされたサブキャリアなど適切な粒度で適用させることで、オーバーヘッドの肥大化による実効レートの低下を抑制することができる。
【実施例2】
【0121】
図14には、第2の実施例として、APとSTA1及びSTA2の間で実施される通信シーケンス例を示している。なお、APとSTA1及びSTA2からなる通信システムでは、
図1に示したようにAPは、STA1とはBand1を用いて無線通信を行い、STA2とはBand2を用いて無線通信を行うことを想定している。また、APとSTA1及びSTA2は、それぞれ
図2に示した装置構成を装備し、Band1及びBabd2を用いた無線通信が可能であるものとする。
【0122】
図14に示す通信シーケンスでは、第1の実施例と同様に、ケイパビリティ交換(Capability Exchange)と、アソシエーション(Association)と、送信権獲得と、Out band Soundingと、MCS割り当ての決定と、データ送信(Data Transmitting)の6つのフェーズを想定している。なお、各フェーズを実施する順番は、
図14に示した例に限定される訳ではない。例えばケイパビリティ交換がアソシエーションの後に行われてもよい。また、各フェーズが必ずしも分離されていなくてもよい。例えば、ケイパビリティ交換とアソシエーションが同時に行われてもよい。
【0123】
ケイパビリティ交換のフェーズ(F1410)では、APとSTA2間、並びにAPとSTA1間で、Out band Soundingが実行可能か否かの情報を含む、互いのケイパビリティ情報の交換がそれぞれ行われる(同上)。
【0124】
アソシエーションのフェーズ(F1420)では、APとSTA1の間、及びAPとSTA2の間で、例えばIEEE802.11に則ったアソシエーション要求及びアソシエーション応答により、接続処理を完了させる(同上)。
【0125】
送信権獲得のフェーズ(F1430)では、例えばCSMA/CAに則ってAPが送信権を獲得するようにして、APとSTA1、STA2の間で、APからSTA1及びSTA2へのデータ送信を行うことの合意が形成される(同上)。
【0126】
Out band Soundingのフェーズ(F1440)では、APからSTA1、STA2への信号品質推定用のフレームの送信と、STA1及びSTA2からのフィードバックが実施される。APがBand1及びBand2を用いてSTA1及びSTA2に同時に送信する場合において、STA1及びSTA2の各々は、信号品質推定用のフレームに基づいて所望帯域における帯域外漏洩電力を推定する。その後、APは、STA1及びSTA2の各所望帯域Band1及びBand2上で、STA1及びSTA2がFeedbackフレームを送信するタイミングの情報を含んだTriggerフレームを送信する。STA1及びSTA2は、それぞれの推定結果に基づいてBand1において所望の品質で受信できるMCSを決定できる情報を、Triggerフレームで指示されたタイミングで、APへフィードバックする。本実施例におけるOut band Soundingのフェーズの詳細については、後述に譲る。
【0127】
MCS割り当ての決定のフェーズ(F1450)では、APが、Out band Soundingのフェーズ(F1440)でSTA1及びSTA2から通知された情報に基づいて、続くデータ送信のフェーズ(F1460)でAPがSTA1及びSTA2の各々に送信する信号のMCSを、サブキャリア毎又はグルーピングされたサブキャリア毎に決定する。
【0128】
データ送信のフェーズ(F1460)では、MCS割り当ての決定のフェーズ(F1450)で決定したMCSを用いて、APからSTA1、STA2へのデータ送信が行われる。データ送信に先立ち(具体的には、データフレームのヘッダ内のMBO-SIGによって)、使用されるMCSがSTA1及びSTA2の各々に通知される。この通知では、サブキャリア毎又はグルーピングされたサブキャリア毎にMCSが通知される。
【0129】
図15には、本実施例において、Out band Soundingのフェーズ(F1440)で実施される、フレーム交換のシーケンス例を示している。但し、横軸を時間軸とする。また、四角の箱は、AP又はSTA1がその横軸に対応する周波数帯域(Band1又はBand2)で送信したフレームを示し、各箱から伸びる矢印の先はフレームの送信先を示すものとする。
【0130】
Out band Soundingのフェーズ(F1440)では、APからSTA1へ、Partial Sounding Announcement、P-NDP-S/I、Triggerの3種類のフレームが送信され、その後、STA1からAPへFeedbackフレームが返信される。
【0131】
APは、STA1の所望帯域であるBand1上でPartial Sounding Announcementフレームを送信するとともに、STA2の所望帯域であるBand2上でPartial Sounding Announcementフレームを送信して、サウンディングの開始を通知する。
【0132】
Partial Sounding Announcementフレームの構成は、第1の実施例と同様でよい(
図8を参照のこと)。Partial Sounding Announcementフレームには、直後に送信される信号品質推定用のP-NDP-S/Iフレームに関する情報が含まれる。
【0133】
続いて、APは、STA1及びSTA2それぞれの所望帯域であるBand1及びBand2上で、P-NDP-S/Iフレームを送信する。STA1は、Band1上で受信するP-NDP-S/Iフレームに基づいて所望信号の受信電力を推定するとともに、Band2上で受信するP-NDP-S/Iフレームに基づいてBand2からBand1へ帯域外漏洩する信号の受信電力を推定する。同様に、STA2は、Band2上で受信するP-NDP-S/Iフレームに基づいて所望信号の受信電力を推定するとともに、Band1上で受信するP-NDP-S/Iフレームに基づいてBand1からBand2へ帯域外漏洩する信号の受信電力を推定する。
【0134】
続いて、APは、STA1及びSTA2の各所望帯域Band1及びBand2上で、STA1及びSTA2がFeedbackフレームを送信するタイミングの情報を含んだTriggerフレームを送信する。但し、Triggerフレームではなく、直前のP-NDP-S/Iフレームの中に、Feedbackフレームを送信するタイミングの情報を格納するようにしてもよい。
【0135】
STA1及びSTA2は、P-NDP-S/Iフレームを用いてフレームを用いて所望信号及び漏洩信号の各信号品質を推定した結果に基づく情報を格納したFeedbackフレームを生成する。Feedbackフレームの構成は、第1の実施例と同様でよい(
図11を参照のこと)。そして、STA1及びSTA2は、Triggerフレームで指示されたタイミングで、各々の所望帯域であるBand1及びBand2上で、FeedbackフレームをAPに返信する。
【0136】
図16には、P-NDP-S/Iフレーム1600の構成例を示している。
【0137】
参照番号1601で示すSTF1フィールドは、当該フレーム1600をBand1で受信した通信端末が時刻同期及び周波数同期に使用する情報が格納される。また、参照番号1602で示すSTF2フィールドは、当該フレーム1600をBand2で受信した通信端末が時刻同期及び周波数同期に使用する情報が格納される。
【0138】
参照番号1603で示すP-LTFフィールドには、当該フレーム1600をBand2で受信した通信端末が、所望帯域の信号品質を推定し(但し、通信端末がBand2を所望帯域とする場合)、又は隣接帯域から所望帯域に漏洩する干渉信号の品質を推定する(但し、通信端末がBand1を所望帯域とする場合)ために使用する情報が格納される。
【0139】
また、参照番号1604で示すP-LTFフィールドには、当該フレーム1600をBand1で受信した通信端末が、所望帯域の信号品質を推定し(但し、通信端末がBand1を所望帯域とする場合)、又は隣接帯域から所望帯域に漏洩する干渉信号の品質を推定する(但し、通信端末がBand2を所望帯域とする場合)ために使用する情報が格納される。
【0140】
P-LTFフィールド1603及び1604には、第1の実施例におけるP-NDP-Sフレーム900のP-LTFフィールド902と同様の既知の信号系列を用いてもよい。
【0141】
また、第1の実施例と同様に、P-LTFフィールド1603及び1604は、それぞれBand1及びBand2における信号品質推定において、一部のみ周波数の品質を推定されるような情報を含んでいてもよい。すなわち、Band1及びBand2の各々の一部の周波数帯域のみの信号品質を推定できるように、P-LTFフィールド1603及び1604のフィールド長を動的に変更するようにしてもよい。
【0142】
なお、周波数帯域毎にP-LTFを送信する順序は、
図16に示した例に限定されない。周波数帯域毎にP-LTFを送信する順序を示す情報を、例えばPartial Sounding Announcementフレームで各STAに通知するようにしてもよい。
【0143】
第2の実施例においても、帯域外漏洩による干渉が存在する通信環境下で、信号品質推定の所要時間を短縮することで、推定による実効レートの低下を抑制することができる。また、第2の実施例においても、帯域外漏洩による干渉が存在する通信環境下におけるデータ送信時に、サブキャリア毎に最適な変調多値数並びに符号化方式を適用することで、通信システムの容量を最適化することができる。
【0144】
第1の実施例では、P-NDP-S、P-NDP-Iという2種類のサウンディングフレームを用い、且つ、STA1とSTA2の各々に対して(すなわち、所望帯域が異なるSTA毎に)個別にサウンディングを行う。これに対し、第2の実施例ではP-NDP-S/Iという1種類のサウンディングフレームを用い、且つ、STA1とSTA2の両方(すなわち、所望帯域が異なるすべてのSTA)に対して同時にサウンディングを行うので、サウンディングの所要時間を短縮することができる。但し、STA1及びSTA2に対してFeedbakフレームを送信するタイミングを、Triggerフレームなどで通知する必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0145】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0146】
本明細書で開示する技術は、例えばIEEE802.11規格に則った通信システムに適用することができるが、もちろんそれ以外の無線規格に則った、さまざまなタイプのマルチバンド通信システムにも適用することが可能である。
【0147】
要するに、例示という形態により本明細書で開示する技術について説明してきたのであり、本明細書の記乗内容を限定的に解釈するべきではない。本明細書で開示する技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【0148】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
【0149】
(1)第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部における通信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で参照信号を送信するとともに、前記参照信号の送信先から通信結果を受信する動作を制御する、
通信装置。
【0150】
(2)前記制御部は、前記第1の周波数帯域における第1の端末との通信と前記第2の周波数帯域における第2の端末との通信を同時に行うように制御する、
上記(1)に記載の通信装置。
【0151】
(3)前記制御部は、前記第1の端末及び第2の端末とケイパビリティ情報を交換した結果に基づいて、前記参照信号の送信先を決定する、
上記(2)に記載の通信装置。
【0152】
(4)前記制御部は、前記参照信号を送信することを事前に通知する通知信号を前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で送信するように制御する、
上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の通信装置。
【0153】
(5)前記制御部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域における前記参照信号の送信時刻又は送信される順序のうち少なくとも一方を含む前記通知信号を送信するように制御する、
上記(4)に記載の通信装置。
【0154】
(6)前記制御部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域のうち一部の周波数帯域のみの信号品質を推定できるように、前記参照信号の長さを動的に変更する、
上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の通信装置。
【0155】
(7)前記通知結果は、前記送信先にデータ送信するときの変調多値数並びに符号化方式を決定するための情報を含む、
上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の通信装置。
【0156】
(8)前記制御部は、前記送信先にデータ送信するときに、周波数リソースブロック毎に変調多値数並びに符号化方式を決定する、
上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の通信装置。
【0157】
(9)前記制御部は、周波数リソースブロック毎に決定した変調多値数並びに符号化方式に関する情報をデータフレームで通知する、
上記(8)に記載の通信装置。
【0158】
(10)第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で無線信号を送受信する通信装置における通信方法であって、
前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で参照信号を送信するステップと、
前記参照信号の送信先から通信結果を受信するステップと、
を有する通信方法。
【0159】
(10-1)前記通知結果は前記送信先にデータ送信するときの変調多値数並びに符号化方式を決定するための情報を含む、
上記(10)に記載の通信方法。
【0160】
(10-2)前記送信先にデータ送信するときに、周波数リソースブロック毎に変調多値数並びに符号化方式を決定するステップをさらに有する、
上記(10)に記載の通信方法。
【0161】
(10-3)周波数リソースブロック毎に決定した変調多値数並びに符号化方式に関する情報を含むデータフレームを送信するステップをさらに有する、
上記(10)に記載の通信方法。
【0162】
(11)第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部における通信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で参照信号を受信するとともに、前記参照信号の送信元に通信結果を送信する動作を制御する、
通信装置。
【0163】
(12)前記制御部は、前記参照信号を送信することを事前に通知する通知信号を受信したことに応じて、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で前記参照信号を受信するように制御する、
上記(11)に記載の通信装置。
【0164】
(13)前記制御部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で受信した前記参照信号の信号品質を推定し、その推定結果に基づく前記通知結果を送信するように制御する、
上記(11)又は(12)のいずれかに記載の通信装置。
【0165】
(14)前記制御部は、前記通信装置にデータ送信するときの変調多値数並びに符号化方式を決定するための情報を含む前記通知結果を送信するように制御する、
上記(11)乃至(13)のいずれかに記載の通信装置。
【0166】
(15)前記制御部は、前記参照信号の送信元からデータフレームを受信する動作を制御する、
上記(11)乃至(14)のいずれかに記載の通信装置。
【0167】
(16)前記データフレームは、周波数リソースブロック毎の変調多値数並びに符号化方式に関する情報を含む、
上記(15)に記載の通信装置。
【0168】
(17)第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で無線信号を送受信する通信装置における通信方法であって、
前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で参照信号を受信するステップと、
前記参照信号の送信元に通信結果を送信する動作を制御するステップと、
を有する通信方法。
【0169】
(17-1)前記参照信号を送信することを事前に通知する通知信号を受信したことに応じて、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で前記参照信号を受信する、
上記(17)に記載の通信方法。
【0170】
(17-2)前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で受信した前記参照信号の信号品質を推定し、その推定結果に基づく前記通知結果として送信する、
上記(17)に記載の通信方法。
【0171】
(17-3)前記通信装置にデータ送信するときの変調多値数並びに符号化方式を決定するための情報を含む前記通知結果を送信する、
上記(17)に記載の通信方法。
【0172】
(17-4)前記参照信号の送信元からデータフレームを受信するステップをさらに有する、
上記(17)に記載の通信方法。
【符号の説明】
【0173】
200…通信装置、210…制御部、220…電源部
230…通信部、231…無線制御部、232…データ処理部
233…変復調部、234…信号処理部、235…チャネル推定部
236…無線インターフェース部、237…アンプ部
240…アンテナ部