(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】印刷物作成支援システム、印刷物作成支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G06F3/12 308
G06F3/12 375
G06F3/12 373
G06F3/12 343
(21)【出願番号】P 2022007416
(22)【出願日】2022-01-20
(62)【分割の表示】P 2020093388の分割
【原出願日】2020-05-28
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】平野 雄大
(72)【発明者】
【氏名】金山 尚徳
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-156889(JP,A)
【文献】特開2005-100266(JP,A)
【文献】特開2013-196249(JP,A)
【文献】特開2004-133734(JP,A)
【文献】特開平10-171093(JP,A)
【文献】特開2005-092462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
G03F 1/00- 1/92
G06F 40/00-40/197
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物の作成を支援する印刷物作成支援システムであって、
印刷物へ印刷する文言である印刷文言が指示された印刷物原稿を作成するクライアント側端末と、前記印刷物原稿に基づいて、文言にテキスト情報が付与された制作データを作成する第1端末装置と、作成管理装置と、を備え、
前記作成管理装置は、
前記制作データを取得する第1取得部と、
前記制作データから抽出される文言の第1テキスト情報と、前記印刷物原稿で指示された文言の第2テキスト情報とを突合させることにより、前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報とが一致するか否かを判定するテキストチェック部と、
前記制作データにおける前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報とが一致しない場合、
前記第1端末装置に前記制作データの修正を依頼し、前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報が一致した場合、
前記クライアント側端末に前記制作データのデザインを承認する承認フローを申請する第1インターフェイス制御部と、を備える
、
印刷物作成支援システム。
【請求項2】
前記第1取得部は、前記第1インターフェイス制御部からの依頼に応じて前記第1端末装置によって修正された修正後の前記制作データを取得し、
前記テキストチェック部は、修正後の前記制作データにおける前記第1テキスト情報と、前第2テキスト情報とが一致するか否かを判定し、
前記第1インターフェイス制御部は、修正後の前記制作データにおける前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報とが一致するまで、繰り返し、前記第1端末装置に修正を依頼する、
請求項1に記載の印刷物作成支援システム。
【請求項3】
前記第1インターフェイス制御部は、前記承認フローにおいて前記制作データの修正が指示された場合、前記第1端末装置に前記制作データの修正を依頼し、
前記第1取得部は、前記第1インターフェイス制御部からの依頼に応じて前記第1端末装置によって修正された修正後の前記制作データを取得し、
前記テキストチェック部は、修正後の前記制作データにおける前記第1テキスト情報と、前第2テキスト情報とが一致するか否かを判定し、
前記第1インターフェイス制御部は、修正後の前記制作データにおける前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報とが一致するまで、繰り返し、前記第1端末装置に修正を依頼し、修正後の前記制作データにおける前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報が一致した場合、前記クライアント側端末に、再度、前記承認フローを申請する、
請求項1に記載の印刷物作成支援システム。
【請求項4】
前記第1インターフェイス制御部は、前記承認フローに申請した前記制作データの履歴を示す履歴情報を記憶部に記憶させ、前記承認フローにて前記制作データが承認された場合、承認された前記制作データを校了とし、校了した前記制作データの前記履歴情報を前記記憶部に記憶させ、版下データを作成するメーカ側端末に、校了した前記制作データを送信して版下データの作成を依頼する、
請求項1に記載の印刷物作成支援システム。
【請求項5】
印刷物へ印刷する文言である印刷文言が指示された印刷物原稿を作成するクライアント側端末と、前記印刷物原稿に基づいて、文言にテキスト情報が付与された制作データを作成する第1端末装置との各々と、互いに通信可能に接続された作成管理装置において、印刷物の作成を支援する印刷物作成支援方法であって、
第1取得部が、
前記制作データを取得し、
テキストチェック部が、前記制作データから抽出される文言の第1テキスト情報と、前記印刷物原稿で指示された文言の第2テキスト情報とを突合させることにより、前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報とが一致するか否かを判定し、
第1インターフェイス制御部が、前記制作データにおける前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報とが一致しない場合、
前記第1端末装置に前記制作データの修正を依頼し、前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報が一致した場合、
前記クライアント側端末に前記制作データのデザインを承認する承認フローを申請する、
印刷物作成支援方法。
【請求項6】
印刷物へ印刷する文言である印刷文言が指示された印刷物原稿を作成するクライアント側端末と、前記印刷物原稿に基づいて、文言にテキスト情報が付与された制作データを作成する第1端末装置との各々と、互いに通信可能に接続された作成管理装置のコンピュータに、
前記制作データを取得させ、
前記制作データから抽出される文言の第1テキスト情報と、前記印刷物原稿で指示された文言の第2テキスト情報とを突合させることにより、前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報とが一致するか否かを判定させ、
前記制作データにおける前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報とが一致しない場合、
前記第1端末装置に前記制作データの修正を依頼し、前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報が一致した場合、
前記クライアント側端末に前記制作データのデザインを承認する承認フローを申請させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物作成支援システム、印刷物作成支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品や医薬品などの商品には、商品パッケージや取扱い説明書など、商品の包装物や添付物が用意される。これらの包装物や添付物には、商品の名称、内容表示、JAN(Japanese Article Number)コード、キャッチフレーズ、広告などが印刷される。
【0003】
このような包装物や添付物などの印刷物が作成される過程には、クライアント会社、制作会社、及び印刷媒体メーカの三者が関わっている場合が多い。クライアント会社は、印刷物の作成を制作会社に依頼する側であり、例えば、食品メーカや製薬メーカ等である。制作会社は、クライアント会社の依頼に応じて制作データを作成する。制作データとは、制作段階のデータであり、例えば、PDF(Portable Document Format)形式のデータである。印刷媒体メーカは、商品の包装物や添付物となる外装箱や外装フィルム、紙などの印刷媒体を製造したり、印刷媒体に印刷をしたりするメーカである。印刷媒体メーカがクライアント会社の依頼に応じて版下データを作成する。版下データは、印刷の版となるデータであり、校了した制作データに印刷に必要な情報(例えば、裁ちトンボなど)が付与されたデータである。
【0004】
例えば、クライアント会社は、制作会社から制作データが納品されると、制作データに依頼した文言がきちんと反映されているか否かを確認する。クライアント会社は、確認の結果、制作データに誤りが見つかれば、データを制作会社に差戻す。クライアント会社は、確認の結果、制作データに誤りがなければ、制作データを校了データとして、印刷媒体メーカに版下データの作成を依頼する。クライアント会社は、印刷媒体メーカから版下データが納品されると、版下データに依頼した文言がきちんと反映されているか否かを確認する。クライアント会社は、確認の結果、版下データに誤りが見つかれば、データを印刷媒体メーカに差戻す。クライアント会社は、確認の結果、版下データに誤りがなければ、版下データを校了データとして、印刷媒体メーカに印刷を依頼する。
【0005】
このように、商品の包装や添付物の印刷について厳重な校正が行われている。特許文献1には、OCR(Optical character recognition)を用いて、印刷の校正を厳密に能率よく行なうための支援を含めた版下管理を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、OCRが文字を認識する精度には限界がある。このため、制作データや版下データに記載された文言に誤りがないにもかかわらず、OCRが誤った文字認識をしてしまう可能性がある。例えば、制作データや版下データには「ご注意ください」と正しい文言が記載されていたにも関わらず、OCRによって「ごツ主意ください」と誤った文字認識がなされる場合がある。或いは、制作データや版下データに記載された文言に誤りがあったにもかかわらず、OCRが誤った文字認識をしてしまい、誤りが見過ごされてしまう可能性がある。例えば、制作データや版下データには「マラソソ」と誤った文言が記載されていたにも関わらず、OCRによって「マラソン」と誤った文字認識をした結果、制作データや版下データに記載された文言に誤りがないとみなされてしまう場合がある。
【0008】
特に最近のOCRでは、文字認識の精度を向上させるために、機械学習などと組み合わせてより確からしい文字を推測する場合がある。この場合、周辺に出現する文字の出現確率などを用いて、誤りのある文言が正しい文言に修正されてしまう可能性が高い。このように、OCRを用いた校正では、校正を厳密に行うことが困難であるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、OCRを用いることなく、校正を厳密に行うことができる印刷物作成支援システム、印刷物作成支援方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の、印刷物作成支援システムは、印刷物の作成を支援する印刷物作成支援システムであって、印刷物へ印刷する文言である印刷文言が指示された印刷物原稿を作成するクライアント側端末と、前記印刷物原稿に基づいて、文言にテキスト情報が付与された制作データを作成する第1端末装置と、作成管理装置と、を備え、前記作成管理装置は、前記制作データを取得する第1取得部と、前記制作データから抽出される文言の第1テキスト情報と、前記印刷物原稿で指示された文言の第2テキスト情報とを突合させることにより、前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報とが一致するか否かを判定するテキストチェック部と、前記制作データにおける前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報とが一致しない場合、前記第1端末装置に前記制作データの修正を依頼し、前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報が一致した場合、前記クライアント側端末に前記制作データのデザインを承認する承認フローを申請する第1インターフェイス制御部と、を備える。
【0011】
本発明の、印刷物作成支援方法は、印刷物へ印刷する文言である印刷文言が指示された印刷物原稿を作成するクライアント側端末と、前記印刷物原稿に基づいて、文言にテキスト情報が付与された制作データを作成する第1端末装置との各々と、互いに通信可能に接続された作成管理装置において、印刷物の作成を支援する印刷物作成支援方法であって、第1取得部が、前記制作データを取得し、テキストチェック部が、前記制作データから抽出される文言の第1テキスト情報と、前記印刷物原稿で指示された文言の第2テキスト情報とを突合させることにより、前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報とが一致するか否かを判定し、第1インターフェイス制御部が、前記制作データにおける前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報とが一致しない場合、前記第1端末装置に前記制作データの修正を依頼し、前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報が一致した場合、前記クライアント側端末に前記制作データのデザインを承認する承認フローを申請する。
【0012】
本発明の、プログラムは、印刷物へ印刷する文言である印刷文言が指示された印刷物原稿を作成するクライアント側端末と、前記印刷物原稿に基づいて、文言にテキスト情報が付与された制作データを作成する第1端末装置との各々と、互いに通信可能に接続された作成管理装置のコンピュータに、前記制作データを取得させ、前記制作データから抽出される文言の第1テキスト情報と、前記印刷物原稿で指示された文言の第2テキスト情報とを突合させることにより、前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報とが一致するか否かを判定させ、前記制作データにおける前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報とが一致しない場合、前記第1端末装置に前記制作データの修正を依頼し、前記第1テキスト情報と前記第2テキスト情報が一致した場合、前記クライアント側端末に前記制作データのデザインを承認する承認フローを申請させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、OCRを用いることなく、校正を厳密に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態による印刷物作成支援システム1の構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態による作成管理装置20の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態による商品DB120の構成例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態による制作データDの例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態による履歴情報220の構成例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態による履歴情報220の構成例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態による印刷物作成支援システム1の動作の流れを示すシーケンス図である。
【
図8】本発明の実施形態による印刷物作成支援システム1の動作の流れを示すシーケンス図である。
【
図9】本発明の実施形態による印刷物作成支援システム1の動作の流れを示すシーケンス図である。
【
図10】本発明の実施形態による印刷物作成支援システム1の動作の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
印刷物作成支援システム1は、印刷物を作成する業務を支援するシステムである。本実施形態における印刷物は、商品の包装物や添付物に、記載されるべき文言が印刷されたものである。ここでの商品の包装物や添付物とは、例えば、外装箱、外装フィルム、各種の説明書などである。印刷物に、販促用のシールやカードなどのノベルティが含まれていてもよい。記載されるべき文言とは、商品に関する文言であって、例えば、商品の原材料、商品名称、内容成分、JANコード、キャッチフレーズなどである。以下の説明では、本実施形態の印刷媒体となる包装物や添付物、ノベルティなどのことを単に「印刷媒体」と称する場合がある。
【0017】
図1は、本発明の実施形態による印刷物作成支援システム1の構成例を示すブロック図である。印刷物作成支援システム1は、例えば、クライアント側端末10と、作成管理装置20と、制作側端末30と、メーカ側端末40とを備える。作成管理装置20と他の装置群(クライアント側端末10、制作側端末30、及びメーカ側端末40)は通信可能に接続される。本実施形態において、クライアント側端末10、制作側端末30、及びメーカ側端末40が互いに直接的に通信を行うことはないが、クライアント側端末10、制作側端末30、及びメーカ側端末40が互いに通信可能に接続されていてもよい。また、作成管理装置20と他の装置群は、必ずしも外部ネットワークを介して通信可能に接続されている必要はない。作成管理装置20は、少なくとも、他の装置群とデータ(後述する原稿、制作データ及び版下データなど)のやりとりを行えればよい。例えば、作成管理装置20と他の装置群が、内部(ローカル)ネットワークを介して通信可能に接続され、一人の作業担当者によって、作成管理装置20と他の装置群の操作が行われる運用としてもよい。そして、作業担当者によって、メールや可搬型記憶媒体(USBメモリ等)を用いて、制作側、及びメーカ側に、必要なファイルが通知されるようにしてもよい。
【0018】
印刷物作成支援システム1において、クライアント側端末10と作成管理装置20とが一つの装置で構成されていてもよい。作成管理装置20の機能が、複数の装置(例えば、分散型のクラウドサーバなど)に分散されて実装されていてもよい。この場合、複数のクラウドサーバを互いに連携させることにより作成管理装置20の機能が実現される。
【0019】
クライアント側端末10は、印刷物の作成を制作会社に依頼するコンピュータ装置である。クライアント側端末10は、例えば、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、入力部14と、表示部15とを備える。通信部11は作成管理装置20と通信する。
【0020】
記憶部12は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。記憶部12は、クライアント側端末10の各種の処理を実行するためのプログラム、及び各種の処理を行う際に利用される一時的なデータを記憶する。記憶部12は、商品DB120を記憶する。商品DB120は、商品における印刷媒体ごとに、その印刷媒体に印刷すべき文言が対応づけられた情報である(
図3参照)。
【0021】
制御部13は、クライアント側端末10が備えるハードウェアとしてのCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のProcessing Unit(プロセッシングユニット)が記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、機能が実現される。
【0022】
制御部13は、例えば、原稿作成部130と、承認部131と、装置制御部132とを備える。原稿作成部130は、原稿を作成する。原稿は、印刷物の原稿(印刷物原稿)である。原稿には、印刷物に印刷する文言が指示されている。原稿作成部130は、作成した原稿を、作成管理装置20に送信する。
【0023】
承認部131は、印刷物の制作データ、及び版下データを承認する。制作データは、制作段階のデータであり、制作側端末30により作成されるデータである。制作データは、例えば、商品名や原材料などが、外装箱の側面の寸法に収まるようにデザインされたデータである(
図4参照)。
【0024】
版下データは、印刷の版下となるデータであり、メーカ側端末40により作成されるデータである。版下データは、例えば、校了済みの制作データに、印刷に必要な情報(例えば、裁ちトンボなど)が付与されたデータである。
【0025】
承認部131は、作成管理装置20から制作データを受信する。承認部131は、記載に誤りがない、原稿に指示された内容が正しく記載された、記載誤りのない制作データを受信する。これは、作成管理装置20によって、制作データに記載された文言と、原稿において指示された文言とが一致するか否かの確認(後述するテキストチェック)が行われるためである。作成管理装置20は、テキストチェックの結果、制作データに記載された文言と、原稿において指示された文言とが一致することが確認された場合にのみ、制作データをクライアント側端末10に送信する。作成管理装置20がテキストチェックを行う方法については後で詳しく説明する。
【0026】
承認部131は、制作データを受信すると、承認者による承認が行われるように、例えば、制作データを表示部15に表示させる。承認者は、表示部15に表示された制作データの文字の配置やデザインなどに問題があるか否かを目視などで確認し、制作データを承認するか否かを判断する。承認者は、判断結果、すなわち承認するか、承認せずに差戻して修正を依頼するかを、入力部14を介して入力する。承認者によって承認された制作データが、校了済みの制作データとなる。
【0027】
承認部131は、作成管理装置20から版下データを受信する。承認部131は、記載に誤りがない、原稿において指示された内容が正しく記載された版下データを受信する。これは、作成管理装置20によって、版下データに示された文言と、校了済の制作データに記載された文言との形状の差分が許容される範囲にあるか否かの確認(後述する画像チェック)が行われるためである。作成管理装置20は、画像チェックの結果、版下データに示された文言と、校了済みの制作データに記載された文言との形状の差分が許容される範囲にあることが確認された場合にのみ、版下データをクライアント側端末10に送信する。作成管理装置20が画像チェックを行う方法については後で詳しく説明する。
【0028】
承認部131は、版下データを受信すると、承認者による承認が行われるように、例えば、版下データを表示部15に表示させる。承認者は、表示部15に表示された版下データに問題があるか否かを目視などで確認し、制作データを承認するか否かを判断する。承認者は、判断結果、すなわち承認するか、承認せずに差戻して修正を依頼するかを、入力部14を介して入力する。承認者によって承認された制作データが、校了済みの版下データとなる。
【0029】
装置制御部132は、クライアント側端末10を統括的に制御する。例えば、装置制御部132は、原稿作成部130によって作成された原稿を取得して通信部11を介して作成管理装置20に送信させる。装置制御部132は、通信部11によって受信された制作データや版下データを取得して装置制御部132に出力する。
【0030】
入力部14は、マウスやキーボードなどの入力装置から入力された情報を取得する。入力部14は、例えば、承認者による承認結果を取得する。表示部15は、液晶ディスプレイなどの表示装置を含み、各種の画像を表示する。各種の画像とは、例えば、商品DB120に登録された内容や、原稿、制作データ、及び版下データなどである。
【0031】
制作側端末30は、原稿にしたがった制作データを作成するコンピュータ装置である。制作側端末30は、例えば、通信部31と制作データ取得部32とを備える。通信部31は、作成管理装置20と通信を行う。通信部31は、作成管理装置20から原稿を受信する。
【0032】
制作データ取得部32は、原稿にしたがって作成された制作データを取得する。例えば、制作データは、制作データを作成する専用端末によって作成される。制作データが完成した時点で、その制作データが専用端末によって制作側端末30に登録(記憶)される。これにより、制作データ取得部32は、制作データを取得する。制作データ取得部32は、取得した制作データを、通信部31を介して、作成管理装置20に送信する。
【0033】
また、通信部31は、作成管理装置20から制作データの修正依頼を受信する。制作データ取得部32は、修正依頼にしたがって修正された制作データを取得する。例えば、制作データは、専用端末によって修正される。制作データの修正が完成した時点で、修正後の制作データが専用端末によって制作側端末30に登録(記憶)される。これにより、制作データ取得部32は、修正後の制作データを取得する。制作データ取得部32は、修正後の制作データを、通信部31を介して、作成管理装置20に送信する。
【0034】
メーカ側端末40は、校了後の制作データにしたがった版下データを作成するコンピュータ装置である。メーカ側端末40は、例えば、通信部41と版下データ取得部42とを備える。通信部41は、作成管理装置20と通信を行う。通信部41は、作成管理装置20から校了後の制作データを受信する。
【0035】
版下データ取得部42は、校了後の制作データにしたがって作成された版下データを取得する。例えば、版下データは、版下データを作成する専用端末によって作成される。版下データが完成した時点で、その版下データが専用端末によってメーカ側端末40に登録(記憶)される。これにより、版下データ取得部42は、版下データを取得する。版下データ取得部42は、作成した版下データを、通信部41を介して、作成管理装置20に送信する。
【0036】
また、通信部41は、作成管理装置20から版下データの修正依頼を受信する。版下データ取得部42は、修正依頼にしたがって修正された版下データを取得する。例えば、版下データは、専用端末によって修正される。版下データの修正が完成した時点で、修正後の制作データが専用端末によってメーカ側端末40に登録(記憶)される。これにより、版下データ取得部42は、修正後の版下データを取得する。版下データ取得部42は、修正後の版下データを、通信部31を介して、作成管理装置20に送信する。
【0037】
作成管理装置20は、印刷物の作成を管理するコンピュータ装置である。作成管理装置20は、従来、クライアント側端末10と制作側端末30との間で行われていた制作データの作成に関するやりとりを仲介する。作成管理装置20は、従来、クライアント側端末10とメーカ側端末40との間で行われた版下データの作成に関するやりとりを仲介する。
【0038】
図2は、本発明の実施形態による作成管理装置20の構成例を示すブロック図である。作成管理装置20は、例えば、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。通信部21は、クライアント側端末10、制作側端末30、及びメーカ側端末40と通信する。
【0039】
記憶部22は、記憶媒体、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、RAM、ROM、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。記憶部12は、作成管理装置20の各種の処理を実行するためのプログラム、及び各種の処理を行う際に利用される一時的なデータを記憶する。記憶部22は、履歴情報220を記憶する。履歴情報220は、制作データ及び版下データの履歴(版)を記憶する。
【0040】
制御部23は、作成管理装置20が備えるハードウェアとしてのCPU、GPU等のプロセッシングユニットが記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、機能が実現される。制御部23は、例えば、テキストチェック部230と、画像チェック部231と、IF制御部232と、装置制御部233とを備える。
【0041】
テキストチェック部230は、制作データのテキストチェックを行う。テキストチェックは、制作データに記載された文言と、原稿において指示された文言とが一致するか否かを判定する処理である。テキストチェック部230は、原稿と制作データのそれぞれの文字のテキスト情報を突合させることによりテキストチェックを行う。
【0042】
本実施形態における制作データのデータ形式は、文字に、その文字のテキスト情報が対応づけられたものである。テキスト情報は、文字コードなど、文字を識別する情報である。例えば、制作データのデータ形式は、テキストPDFである。テキストPDFは、文字に、その文字のフォント情報が埋め込まれたPDF形式のデータである。これにより、制作データに記載されている文字のテキスト情報を用いて、当該文字を識別することが可能となる。すなわち、OCRを用いることなく、制作データに記載されている文字を識別することが可能となる。
【0043】
テキストチェック部230は、通信部21を介して、制作側端末30によって作成された制作データを取得する。テキストチェック部230は、まず、受信した制作データに対応する原稿を特定する。例えば、テキストチェック部230は、制作データに記載された内容から商品を特定する。ここでの商品は、制作データに対応する印刷物に包装されたり、添付されたりする対象となる商品である。テキストチェック部230は、制作データに記載された商品名や、JANコードなど、商品を一意に識別可能な情報(商品識別情報)に基づいて商品を特定する。テキストチェック部230は、特定した商品に基づいて商品DB120を参照し、制作データに対応する原稿を特定する。テキストチェック部230は特定した原稿において指示された文言(印刷が指示された文言)のテキスト情報を抽出する。また、テキストチェック部230は、制作データに記載された文言のテキスト情報を抽出する。テキストチェック部230は、双方のテキスト情報を比較し、両者のテキスト情報が一致するか否かを判定する。テキストチェック部230は、テキストチェックの判定結果をIF制御部232に出力する。
【0044】
画像チェック部231は、版下データの画像チェックを行う。画像チェックは、制作データに記載された文言の形状と、版下データに示された文言の形状の差分が許容される範囲にあるか否かを判定する処理である。画像チェック部231は、制作データと版下データのそれぞれの画素情報を突合させることにより画像チェックを行う。
【0045】
本実施形態における版下データのデータ形式は、文字にテキスト情報が対応づけられていないものであり、例えば、文字が画像情報として認識されるものである。例えば、版下データのデータ形式は、画像PDFである。画像PDFは、文字に、ビットマップ情報が埋め込まれたPDF形式のデータである。
【0046】
画像チェック部231は、通信部21を介して、メーカ側端末40によって作成された版下データを取得する。画像チェック部231は、取得した版下データの画像情報、例えば画素ごとの位置座標とその画素値を示す情報を取得する。画像チェック部231は、履歴情報220に記憶された校了後の制作データを取得し、取得した制作データの画像情報を取得する。画像チェック部231は、双方の画像情報を画素ごとに比較し、両者の画像情報に差があるか否かを判定する。
【0047】
実際の現場では、画像に差がある場合であっても、その差が微細であれば許容されることもある。例えば、フォントに長体がかかって、文字の形状が校了後の制作データで示されたものと比較して縦長の形状に変換されているものや、或いは微細な位置ずれ等が許容される場合がある。例えば、画像チェック部231は、双方の画像情報を画素ごとに比較した差分を視認可能に表示する情報を判定結果として作成する。
【0048】
例えば、画像チェック部231は、版下データのうち、校了後の制作データと画素値が一致する画素を黒色、一致しない画素を赤色とする等、差分を視認可能な態様で示す差分画像の画像情報を作成する。例えば、作成管理装置20は、画像チェック部231によって作成された差分画像を液晶ディスプレイなどの表示装置(不図示)に表示させる。版下データのチェックを担当する担当者は、表示装置に表示された差分画像を視認し、版下データにおける画像の差分が許容できるものか否かを判断する。担当者は、許容できるものか否かを示す情報を、キーボードなどの入力装置(不図示)を介して、作成管理装置20に操作入力する。画像チェック部231は、版下データの画像の差分が許容されるか否かが判断された画像チェックの結果をIF制御部232に出力する。
【0049】
IF制御部232は、制作側端末30との制作データに関するやり取りを行う。画像チェック部231は、制作側端末30に原稿にしたがった制作データの作成を依頼する。
【0050】
IF制御部232は、テキストチェック部230によるテキストチェックの結果、制作データに記載された文言と、原稿において指示された文言とが一致しないと判定された場合、制作データを制作側端末30に差し戻す。具体的に、IF制御部232は、制作データを制作側端末30に送信して制作データの修正を依頼する。この場合において、IF制御部232は、原稿と一致しなかった文言を、修正対象として指摘するようにしてもよい。IF制御部232は、修正後の制作データのテキストチェックの結果、制作データに記載された文言と、原稿において指示された文言とが一致すると判定されるまで、制作データの差戻しを繰り返し行う。
【0051】
IF制御部232は、テキストチェックの結果、制作データに記載された文言と、原稿において指示された文言とが一致すると判定された場合、制作データをクライアント側端末10に送信して承認フローに制作データを回す。承認フローは、クライアント側端末10の承認部131が行う処理である。
【0052】
IF制御部232は、承認フローに回した制作データの履歴(版)を管理する。IF制御部232は、承認フローに回した制作データを、履歴情報220として、記憶部22に記憶させる。IF制御部232は、例えば、承認フローに回した制作データが承認されなかった場合、その制作データを最新版として履歴情報220に記憶する。
【0053】
IF制御部232は、承認フローの結果、制作データが承認されることなく修正が指示された場合、制作データを制作側端末30に送信して、制作データの修正を依頼する。IF制御部232は、修正後の制作データにおけるテキストチェックの結果が、制作データに記載された文言と、原稿において指示された文言とが一致すると判定されるまで、制作データの差戻しを繰り返し行う。IF制御部232は、テキストチェックの結果が制作データに記載された文言と、原稿において指示された文言とが一致すると判定された場合には制作データを再度の承認フローに回す。
【0054】
IF制御部232は、承認フローの結果、制作データが承認された場合、制作データを校了版の制作データとした履歴情報220を記憶部22に記憶させる。IF制御部232は、校了済の制作データをメーカ側端末40に送信し、版下データの作成を依頼する。
【0055】
IF制御部232は、画像チェック部231による画像チェックの結果、制作データに記載された文言と、版下データに示された文言の形状の差分が許容される範囲にないと判定した場合、版下データをメーカ側端末40に差戻して制作データの修正を依頼する。この場合において、IF制御部232は、制作データとの差分を示す差分画像を、修正対象として指摘するようにしてもよい。IF制御部232は、修正後の版下データにおける画像チェックの結果が、制作データに記載された文言と、版下データに示された文言の形状の差分が許容される範囲にあると判定されるまで、版下データの差戻しを繰り返し行う。
【0056】
IF制御部232は、画像チェックの結果、制作データと、版下データの画像との形状の差分が許容される範囲にあると判定された場合、版下データをクライアント側端末10に送信して承認フローに制作データを回す。
【0057】
IF制御部232は、承認フローに回した版下データの履歴(版)を管理する。IF制御部232は、承認フローに回した版下データを履歴情報220として、記憶部12に記憶させる。IF制御部232は、例えば、承認フローに回した版下データが承認されなかった場合、その版下データを最新版として履歴情報220に記憶する。
【0058】
IF制御部232は、承認フローの結果、版下データが承認されることなく修正が指示された場合、版下データをメーカ側端末40に送信して、版下データの修正を依頼する。IF制御部232は、修正後の版下データにおける画像チェックの結果が、制作データに記載された文言と、版下データに示された文言の形状の差分が許容される範囲にあると判定されるまで、版下データの差戻しを繰り返し行う。IF制御部232は、修正後の版下データにおける画像チェックの結果が、制作データに記載された文言と、版下データに示された文言の形状の差分が許容される範囲にあると判定された場合には版下データを再度の承認フローに回す。
【0059】
IF制御部232は、承認フローの結果、版下データが承認された場合、版下データを校了済の版下データとした(校了版とした)履歴情報220を、記憶部22に記憶させる。IF制御部232は、校了済の版下データをメーカ側端末40に送信し、この校了済の版下データにて印刷物の作成を依頼する。
【0060】
装置制御部233は、作成管理装置20を統括的に制御する。装置制御部233は、例えば、通信部21によって受信された制作データをテキストチェック部230に出力する。装置制御部233は、通信部21によって受信された版下データを画像チェック部231に出力する。装置制御部233は通信部21によって受信された原稿や承認フローの結果を、IF制御部232に出力する。
【0061】
図3は、本発明の実施形態による商品DB120の構成例を示す図である。商品DB120は、例えば、商品ID、印刷媒体(印刷媒体1、印刷媒体2、…)などの項目を備える。商品IDは商品を一意に識別する情報である。印刷媒体は、商品の包装物や添付物などの印刷媒体を示す情報である。印刷媒体には、例えば、印刷媒体ID、印刷媒体タイプ、記載内容などの項目がある。印刷媒体IDは印刷媒体を一意に識別する識別情報である。印刷媒体タイプは印刷媒体IDで特定される印刷媒体のタイプを示す情報であって、例えば、外装箱、外装フィルム、説明書、販促用のシールなどを示す情報である。記載内容は、印刷媒体IDで特定される印刷媒体に印刷すべき文言(印刷する内容)を示す情報である。この例では、外装箱に、商品名称「商品名:XXXのチョコレート」、一括表示「●名称:チョコレート菓子原材料名:チョコレート(砂糖、ココアバター、全粉乳、カカオマス)、小麦粉、牛乳、卵、…」、及びJANコードを印刷する場合の例が示されている。
【0062】
図4は、本発明の実施形態による制作データDを示す図である。
図4には、
図3の例に示す商品DB120に基づく原稿にしたがって作成された制作データDの例が示されている。この場合の原稿には、
図3の印刷媒体IDで特定される外装箱に、
図3の記載内容を印刷する指示が示されている。制作データDは、外装箱のサイズなどを考慮して、指示された記載内容がデザインされる。この例では、外装箱の側面に印刷するようにデザインされ、側面上部から下部に向かう方向に沿って、商品名称、一括表示、JANコードの順に、それぞれの文言や、バーコードなどの図形が記載されている。
【0063】
図5、及び
図6は、本発明の実施形態による履歴情報220の構成例を示す図である。
図5には、履歴情報220Aとして、校正中の制作段階の履歴が示されている。
図6には、履歴情報220Bとして、校了した原稿の履歴が示されている。履歴情報220は、例えば、商品ID、印刷媒体ID、履歴などの項目を備える。商品ID及び印刷媒体IDは、
図3の商品ID及び印刷媒体IDと同様である。履歴は、印刷原稿の履歴である。
【0064】
図5の例では、制作段階の印刷原稿として、制作データ及び素材データの組合せが示されている。素材データは背景やロゴなどのデータである。この例では、初稿が制作データ1.0、素材データ1.0の組合せが登録(記憶)され、最新版が制作データ5.0、素材データ2.0の組合せが登録されている。
【0065】
図6の例では、印刷原稿として、制作データ、素材データ及び版下データの組合せが示されている。この例では、初稿が制作データ1.0、素材データ1.0の組合せが登録(記憶)され、校了版が制作データ5.0、素材データ2.0、版下データ5.0の組合せが登録されている。
【0066】
図7~
図10は、本発明の実施形態による印刷物作成支援システム1の動作の流れを示すシーケンス図である。
図7及び
図8には制作データの作成に関する処理の流れが示されている。
図9及び
図10には版下データの作成に関する処理の流れが示されている。
【0067】
図7に示すように、まず、登録者によって、クライアント側端末10に商品DB120に商品が登録される(ステップS10)。これにより、クライアント側端末10は、原稿を作成する。原稿には、商品DB120に登録された商品の包装物や添付物などの印刷媒体に印刷する文言が指示されている。クライアント側端末10は、作成した原稿を作成管理装置20に送信する。
【0068】
作成管理装置20は、クライアント側端末10から原稿を受信すると、受信した原稿に基づいて、制作データの作成を制作側端末30に依頼する(ステップS11)。制作側端末30は、作成管理装置20から原稿を受信すると、受信した原稿に基づいて、制作データを作成する(ステップS12)。制作側端末30は、作成した制作データを作成管理装置20に送信する。
【0069】
作成管理装置20は、制作側端末30から制作データを受信すると、受信した制作データのテキストチェックを実施する(ステップS13)。作成管理装置20は、テキストチェックの結果、記載に誤りがあった場合にはステップS100に示す処理を行う。記載に誤りがあるとは、制作データに記載された内容と、原稿に記載された内容とが一致しないことである。作成管理装置20は、修正後の制作データのテキストチェックの結果、記載に誤りがなくなるまでステップS100に示す処理を繰り返し行う。
【0070】
ステップS100の処理を行う場合、作成管理装置20は、制作側端末30に制作データの修正を依頼する。この場合、作成管理装置20は、制作データに記載された内容と、原稿に記載された内容とが一致しない箇所を、修正箇所として示すようにしてもよい。制作側端末30は、作成管理装置20から依頼された修正の内容に基づいて、制作データを修正する(ステップS14)。制作側端末30は、修正した制作データを作成管理装置20に送信する。
【0071】
一方、作成管理装置20は、ステップS13におけるテキストチェックの結果、記載に誤りがない場合、制作データをクライアント側端末10に送信し、制作データを承認フローに回す。ここでの記載に誤りがないとは、制作データに記載された内容と、原稿に記載された内容とが一致することである。作成管理装置20は、承認フローに回した制作データを記憶部12に記憶させ、履歴情報220を更新することにより、制作データの履歴を管理する(ステップS15)。クライアント側端末10は、作成管理装置20から制作データを受信すると、受信した制作データの承認を実施する(ステップS16)。
【0072】
図8に示すように、クライアント側端末10は、制作データの承認フローを実施し(ステップS20)、その結果、承認がなされなかった場合にはステップS200に示す処理を行う。すなわち、クライアント側端末10は、制作データの承認がなされなかった旨、及び修正の指示を作成管理装置20に送信する。作成管理装置20は、クライアント側端末10から修正の指示を受信すると、履歴情報220を更新して制作データの履歴を管理する(ステップS21)。そして、作成管理装置20は、制作側端末30に制作データの修正を依頼する。この場合、作成管理装置20は、クライアント側端末10から通知された修正の内容を、修正箇所として示すようにしてもよい。制作側端末30は、作成管理装置20から依頼された修正の内容に基づいて、制作データを修正する(ステップS23)。制作側端末30は、修正した制作データを作成管理装置20に送信する。作成管理装置20は、修正後の制作データに、上述したステップS13~S16に示す処理を行う。
【0073】
一方、クライアント側端末10は、ステップS20において制作データの承認を実施した結果、承認がなされた場合、その旨を作成管理装置20に送信する。作成管理装置20は、制作データの履歴情報220を更新し(ステップS24)、制作データを校了したデータとして確定させる(ステップS25)。
【0074】
図9に示すように、校正後の制作データが登録されると、作成管理装置20は、校正後の制作データをメーカ側端末40に入稿し、校了後の制作データにしたがった版下データの作成を依頼する(ステップS30)。メーカ側端末40は、作成管理装置20から校了後の制作データを受信すると、受信した制作データに基づいて、版下データを作成する(ステップS31)。メーカ側端末40は、作成した版下データを作成管理装置20に送信する。
【0075】
作成管理装置20は、メーカ側端末40から版下データを受信すると、受信した版下データの画像チェックを実施する(ステップS32)。作成管理装置20は、画像チェックの結果、記載に誤りがあった場合にはステップS300に示す処理を行う。ここでの記載に誤りがあるとは、制作データに記載された文言の形状と、版下データに示された文言の画像の形状の差分が許容される範囲にないことである。作成管理装置20は、修正後の版下データの画像チェックの結果、記載に誤りがなくなるまでステップS300に示す処理を繰り返し行う。
【0076】
ステップS300の処理を行う場合、作成管理装置20は、メーカ側端末40に版下データの修正を依頼する。この場合、作成管理装置20は、制作データに記載された文言の形状と、版下データに示された文言の画像の形状の差分が許容できない箇所を、修正箇所として示すようにしてもよい。メーカ側端末40は、作成管理装置20から依頼された修正の内容に基づいて、版下データを修正する(ステップS33)。メーカ側端末40は、修正した版下データを作成管理装置20に送信する。
【0077】
一方、作成管理装置20は、ステップS32における画像チェックの結果、記載に誤りがない場合、版下データをクライアント側端末10に送信し、版下データを承認フローに回す。ここでの記載に誤りがないとは、制作データに記載された文言の形状と、原稿に記載された文言の画像の形状の差分が許容される範囲にあることである。作成管理装置20は、承認フローに回した版下データを記憶部12に記憶させ、履歴情報220を更新することにより、版下データの履歴を管理する(ステップS34)。クライアント側端末10は、作成管理装置20から版下データを受信すると、受信した版下データの承認を実施する(ステップS35)。
【0078】
図10に示すように、クライアント側端末10は、版下データの承認を実施し(ステップS40)、その結果、承認がなされなかった場合にはステップS400に示す処理を行う。すなわち、クライアント側端末10は、版下データの承認がなされなかった旨、及び修正の指示を作成管理装置20に送信する。作成管理装置20は、クライアント側端末10から修正の指示を受信すると、履歴情報220を更新して版下データの履歴を管理する(ステップS41)。そして、作成管理装置20は、メーカ側端末40に版下データの修正を依頼する。この場合、作成管理装置20は、クライアント側端末10から通知された修正の内容を、修正箇所として示すようにしてもよい。メーカ側端末40は、作成管理装置20から依頼された修正の内容に基づいて、版下データを修正する(ステップS43)。メーカ側端末40は、修正した版下データを作成管理装置20に送信する。作成管理装置20は、修正後の版下データに、上述したステップS32~S35に示す処理を行う。
【0079】
一方、クライアント側端末10は、ステップS40において制作データの承認を実施した結果、承認がなされた場合、その旨を作成管理装置20に送信する。作成管理装置20は、版下データの履歴情報220を更新し(ステップS24)、制作データを校了したデータとして確定させる(ステップS25)。
【0080】
以上説明したように、実施形態の印刷物作成支援システム1は、印刷物の作成を支援するシステムである。印刷物作成支援システム1は、通信部21と、テキストチェック部230と、画像チェック部231を備える。通信部21は、原稿(印刷物原稿)に基づいて作成された、制作データを取得する。通信部21は「第1取得部」の一例である。原稿には印刷物へ印刷する文言である印刷文言が指示されている。制作データに記載された文言にはテキスト情報が付与されている。テキストチェック部230は、制作データから抽出されるテキスト情報(第1テキスト情報)と、原稿で指示された文言のテキスト情報(第2テキスト情報)とを突合させることにより、第1テキスト情報と第2テキスト情報とが一致するか否かを判定する。通信部21は、校了データに基づいて作成された版下データを取得する。通信部21は「第2取得部」の一例である。校了データは、テキストチェック部230によって第1テキスト情報と第2テキスト情報とが一致すると判定された制作データである。版下データは、校了データの文言が画像に変換されている。画像チェック部231は、版下データから抽出される画像情報(第1画像情報)と、校了データから抽出される画像情報(第2画像情報)を突合させることにより、第1画像情報と第2画像情報との形状の差分が許容される範囲にあるか否かを判定する。校了データから抽出される画像情報とは、例えば、校了データに示されている文言のテキスト情報の画像を示す情報である。
【0081】
これにより、実施形態の印刷物作成支援システム1は、制作データについてはテキスト情報を用いた校正を実施することができ、版下データについては画像情報を用いた校正を実施することができる。したがって、OCRを用いることなく、校正を厳密に行うことが可能である。
【0082】
また、実施形態の印刷物作成支援システム1は、商品DB120と原稿作成部130とを更に備える。商品DB120は、商品に対応する印刷物の印刷文言に、商品を一意に識別する商品識別情報が対応づけられた情報である。商品DB120は「商品データベース」の一例である。原稿作成部130は、商品DB120を参照することにより原稿を作成する。原稿には、商品に対応する印刷物に印刷する内容として、印刷文言と商品識別情報が指示されている。テキストチェック部230は、制作データに示された商品識別情報に基づいて、商品DB120を参照することにより、制作データに対応する原稿にて指示された印刷文言を取得する。これにより、実施形態の印刷物作成支援システム1では、制作データに記載されたJANコードなどの商品識別情報をキーとして、記載すべき文言(印刷が指示された文言)を特定することができる。
【0083】
また、実施形態の印刷物作成支援システム1では、画像チェック部231は、第1画像情報を構成する画素群の画素値と、第2画像情報を構成する画素群の画素値とを比較することにより、第1画像情報と第2画像情報との形状の差分が許容される範囲にあるか否かを判定する。これにより、実施形態の印刷物作成支援システム1では、画像の差分におうじた判断を行うことができ、OCRを用いることなく版下データの校正を実施することができる。
【0084】
また、実施形態の印刷物作成支援システム1は、IF制御部232を更に備える。IF制御部232は、テキストチェック部230によって、第1テキスト情報と第2テキスト情報とが一致しないと判定された場合、制作側端末30に制作データの修正を指示する。IF制御部232は、「第1インターフェイス制御部」の一例である。制作側端末30は、「第1端末装置」の一例である。IF制御部232は、テキストチェック部230によって第1テキスト情報と第2テキスト情報とが一致すると判定された場合、制作データを承認フローに申請する。これにより、実施形態の印刷物作成支援システム1では、制作データに誤りがある場合には自動的に制作側端末30に差し戻して修正を依頼することができる。誤りがない制作データを承認フローに回すことができるため、承認の過程で記載誤りを確認する必要がなく、承認フローをスムーズに進めることが可能となる。
【0085】
また、実施形態の印刷物作成支援システム1では、IF制御部232は、承認フローにて制作データが承認されなかった場合、制作側端末30に制作データの修正を指示する。IF制御部232は、承認フローにて制作データが承認された場合、当該承認された制作データを校了データとする。これにより、実施形態の印刷物作成支援システム1では、承認されなかった場合には制作側端末30に修正を依頼することができる。承認された制作データを校了後のデータとして、校了した制作データを用いた版下データの作成を進めることができ、印刷物の作成を効率よく進めることができる。
【0086】
また、実施形態の印刷物作成支援システム1では、IF制御部232は、承認フローに申請した制作データの履歴を示す履歴情報220を記憶部22に記憶させる。これにより、実施形態の印刷物作成支援システム1では、承認フローに申請された制作データを管理することができる。
【0087】
また、実施形態の印刷物作成支援システム1は、IF制御部232を更に備える。IF制御部232は、画像チェック部231によって、第1画像情報と第2画像情報との形状の差分が許容される範囲にないと判定された場合、メーカ側端末40に版下データの修正を指示する。IF制御部232は、「第2インターフェイス制御部」の一例である。メーカ側端末40は、「第2端末装置」の一例である。IF制御部232は、画像チェック部231によって第1画像情報と第2画像情報との形状の差分が許容される範囲にあると判定された場合、版下データを承認フローに申請する。これにより、実施形態の印刷物作成支援システム1では、版下データに誤りがある場合には自動的にメーカ側端末40に差し戻して修正を依頼することができる。誤りがない版下データを承認フローに回すことができるため、承認の過程で記載誤りを確認する必要がなく、承認フローをスムーズに進めることが可能となる。
【0088】
また、実施形態の印刷物作成支援システム1では、IF制御部232は、承認フローにて版下データが承認されなかった場合、メーカ側端末40に版下データの修正を指示する。IF制御部232は、承認フローにて版下データが承認された場合、当該承認された版下データを校了データとする。これにより、実施形態の印刷物作成支援システム1では、承認されなかった場合にはメーカ側端末40に修正を依頼することができる。承認された制作データを校了後のデータとして、校了した版下データを用いた印刷物の作成を進めることができ、印刷物の作成を効率よく進めることができる。
【0089】
また、実施形態の印刷物作成支援システム1では、IF制御部232は、承認フローに申請した版下データの履歴を示す履歴情報220を記憶部22に記憶させる。これにより、実施形態の印刷物作成支援システム1では、承認フローに申請された版下データを管理することができる。
【0090】
上述した実施形態における印刷物作成支援システム1、クライアント側端末10、及び作成管理装置20の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0091】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1…印刷物作成支援システム
10…クライアント側端末
120…商品DB(商品データベース)
13…制御部
130…原稿作成部
20…作成管理装置
21…通信部(第1取得部)(第2取得部)
22…記憶部
220…履歴情報
23…制御部
230…テキストチェック部
231…画像チェック部
232…IF制御部(第1インターフェイス部)(第2インターフェイス部)
233…装置制御部
30…制作側端末(第1端末装置)
40…メーカ側端末(第2端末装置)