(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2022087758
(22)【出願日】2022-05-30
【審査請求日】2024-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉永 和治
(72)【発明者】
【氏名】木下 雄司
(72)【発明者】
【氏名】木村 和誠
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-007082(JP,A)
【文献】特開2021-017309(JP,A)
【文献】特開2009-263059(JP,A)
【文献】特許第6571916(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が載置される載置面を有する移載対象箇所と、
前記移載対象箇所との間で前記物品を移載する移載装置及び前記移載装置を支持して走行する台車本体を備えた搬送車と、を備えた搬送設備であって、
前記搬送車は、床面に沿って走行すると共に、目的地に応じて定まる方向変換位置において進行方向の変換のために旋回動作を行うように構成され、
前記移載装置は、前記物品を下方から支持する支持面を有する支持部と、前記支持部を昇降させる昇降部と、前記台車本体に対して前記支持部を上下方向に沿う旋回軸心回りに旋回させる旋回部と、を備え、
前記昇降部は、前記支持面の高さを、前記載置面よりも高い第1高さと、前記載置面よりも低い第2高さと、前記第2高さよりも低い第3高さと、に変更可能に構成され、
前記移載装置は、前記支持面を、前記第1高さと、前記第2高さ又は前記第3高さとの間で昇降させることにより前記移載対象箇所との間で前記物品を移載し、
前記搬送車は、前記旋回部により前記支持部を前記台車本体に対して相対旋回させることにより前記支持面に支持された前記物品の平面視での姿勢を変更せずに前記台車本体の方向変換を行う場合には、前記支持面を前記第2高さに配置した状態で前記旋回動作を行い、
前記搬送車は、前記物品を支持した状態で走行を開始した走行開始地点から、前記物品の姿勢変更を伴わない前記旋回動作を行うべき前記方向変換位置までの直進距離が、規定距離以内である場合には、前記支持面を前記第2高さに配置した状態で走行し、前記直進距離が前記規定距離よりも長い場合には、前記支持面を前記第3高さに配置した状態で走行する、搬送設備。
【請求項2】
前記台車本体は、予め定められた基準速度で走行可能に構成され、
前記台車本体は、前記昇降部が前記第1高さと前記第2高さ又は前記第3高さとの間で前記支持面を昇降させる場合には、前記基準速度よりも低速で走行し、或いは停止する、請求項1に記載の搬送設備。
【請求項3】
前記昇降部は、前記第2高さと前記第3高さとの間での前記支持面の昇降を、前記台車本体の走行中に行う、請求項2に記載の搬送設備。
【請求項4】
前記搬送車は、前記支持部による前記物品の支持を補助する補助支持部を備え、
前記補助支持部は、平面視で前記支持部を間に挟むように分かれて配置され、
前記補助支持部は、高さが固定された補助支持面を有し、
前記第3高さは、前記補助支持面の高さと同一又はそれよりも低い、請求項1に記載の搬送設備。
【請求項5】
前記搬送車は、前記支持面に支持された前記物品の平面視での姿勢を前記旋回動作に伴って変更する場合には、前記支持面を前記第3高さに配置した状態で前記旋回動作を行う、請求項4に記載の搬送設備。
【請求項6】
制御装置を備え、
前記制御装置は、前記物品の搬送元から搬送先までの搬送経路を設定し、前記搬送経路に基づいて、前記直進距離が前記規定距離以内であるか否かを判断する、請求項1に記載の搬送設備。
【請求項7】
前記搬送車は、検出部を備え、
前記床面における複数箇所に、前記検出部によって検出される被検出部が設けられ、
前記搬送経路は、複数の前記被検出部を繋ぐように設定され、
前記方向変換位置は、複数の前記被検出部の位置に基づいて定められる、請求項6に記載の搬送設備。
【請求項8】
前記支持部は、平面視において正N角形状(Nは3以上の整数)に形成され、
前記旋回部は、前記台車本体に対して、360/N度単位で前記支持部を旋回させる、請求項1に記載の搬送設備。
【請求項9】
前記移載対象箇所は、少なくとも前記搬送車の車体幅方向に離間して配置された複数の支柱と、各支柱の上部に設けられた物品受け部と、を備え、
複数の前記物品受け部のそれぞれに前記載置面が形成され、
前記搬送車は、平面視で前記支持部を複数の前記物品受け部の間に配置した状態で、前記支持面を、前記第1高さと、前記第2高さ又は前記第3高さとの間で昇降させることにより前記移載対象箇所との間で前記物品を移載する、請求項1に記載の搬送設備。
【請求項10】
複数の前記物品受け部のそれぞれは、前記載置面から上側に突出するように形成されていると共に前記載置面に載置される前記物品の水平方向の位置を規制する規制部を備え、
前記第1高さは、前記規制部の上端よりも高い位置に設定されている、請求項9に記載の搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品が載置される載置面を有する移載対象箇所と、前記移載対象箇所との間で前記物品を移載する移載装置及び前記移載装置を支持して走行する台車本体を備えた搬送車と、を備えた搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような搬送設備の一例が、特許第6571916号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示される符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1の
図12~
図16に示すように、搬送車(1a)は、台車本体(11)と移載装置(12a)とを備えている。台車本体(11)は、移載装置(12a)とは独立して回転可能であり、移載装置(12a)によって支持されている物品(9)の向きを変えずに走行方向を変えることができる。移載装置(12a)には、物品(9)を下方から支持する支持面が形成されている。移載装置(12a)は、支持面の高さを変更可能に構成されている。搬送車(11a)は、移載対象箇所(例えばコンベヤC1)の下に潜り込んだ状態で移載装置(12a)を昇降させることにより、移載装置(12a)の支持面とコンベヤ(C1)との間で物品(9)を移載するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1には、搬送車の走行状態と支持面(移載装置が物品を支持する面)の高さとの関係について特に開示が無い。支持面の高さは、支持されている物品の安定性に影響する。物品の安定性は、搬送車の走行速度に影響する。そして、搬送車の走行速度は、物品の搬送時間に影響する。すなわち、搬送車の走行状態と支持面の高さとの関係は、物品の搬送時間に影響し得る。
【0006】
上記実状に鑑みて、物品の搬送時間の短縮を図り易い搬送設備の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
物品が載置される載置面を有する移載対象箇所と、
前記移載対象箇所との間で前記物品を移載する移載装置及び前記移載装置を支持して走行する台車本体を備えた搬送車と、を備えた搬送設備であって、
前記搬送車は、床面に沿って走行すると共に、目的地に応じて定まる方向変換位置において進行方向の変換のために旋回動作を行うように構成され、
前記移載装置は、前記物品を下方から支持する支持面を有する支持部と、前記支持部を昇降させる昇降部と、前記台車本体に対して前記支持部を上下方向に沿う旋回軸心回りに旋回させる旋回部と、を備え、
前記昇降部は、前記支持面の高さを、前記載置面よりも高い第1高さと、前記載置面よりも低い第2高さと、前記第2高さよりも低い第3高さと、に変更可能に構成され、
前記移載装置は、前記支持面を、前記第1高さと、前記第2高さ又は前記第3高さとの間で昇降させることにより前記移載対象箇所との間で前記物品を移載し、
前記搬送車は、前記旋回部により前記支持部を前記台車本体に対して相対旋回させることにより前記支持面に支持された前記物品の平面視での姿勢を変更せずに前記台車本体の方向変換を行う場合には、前記支持面を前記第2高さに配置した状態で前記旋回動作を行い、
前記搬送車は、前記物品を支持した状態で走行を開始した走行開始地点から、前記物品の姿勢変更を伴わない前記旋回動作を行うべき前記方向変換位置までの直進距離が、規定距離以内である場合には、前記支持面を前記第2高さに配置した状態で走行し、前記直進距離が前記規定距離よりも長い場合には、前記支持面を前記第3高さに配置した状態で走行する。
【0008】
本構成によれば、直進距離が規定距離以内である場合には搬送車の走行速度が高くなり難いため、支持面を第2高さに配置することで当該支持面に支持される物品をある程度高い位置に配置した状態を維持しても、物品の姿勢を不安定にさせることなく台車本体を走行させることができる。そして、搬送車は、支持面の高さを第2高さに維持した状態で、旋回動作を行うべき方向変換位置に到達することができるため、当該方向変換位置においては支持面の高さを変更することなく旋回動作に移行することができる。従って、物品の搬送時間を短縮させることが可能となる。また、本構成によれば、直進距離が規定距離よりも長い場合には、支持面を第3高さに配置することで搬送車の重心を低くできるため、物品の姿勢を安定させつつ高速での走行が可能となる。従って、この点からも物品の搬送時間を短縮させることが可能となる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】移載対象箇所の載置面と支持部の支持面との高さの関係を示す図
【
図5】相対旋回動作を行うべき方向変換位置までの直進距離が規定距離以内であって、搬送元と搬送先とで物品の姿勢を変更させない場合の説明図
【
図6】
図6の場合において、各地点における搬送車の挙動を示す図
【
図7】一体旋回動作により搬送元と搬送先とで物品の姿勢を変更させる場合の説明図
【
図8】
図7の場合において、各地点における搬送車の挙動を示す図
【
図9】相対旋回動作を行うべき方向変換位置までの直進距離が規定距離よりも長く、搬送元と搬送先とで物品の姿勢を変更させない場合の説明図
【
図10】
図9の場合において、各地点における搬送車の挙動を示す図
【
図11】その他の実施形態における搬送車を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、搬送設備の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1及び
図2に示すように、搬送設備100は、物品9が載置される載置面7fを有する移載対象箇所7と、移載対象箇所7との間で物品9を移載する移載装置20及び移載装置20を支持して走行する台車本体10を備えた搬送車1と、を備えている。本実施形態では、搬送設備100は、制御装置Cを備えている(
図4参照)。制御装置Cは、設備全体における搬送スケジュールの管理や搬送車1への搬送指令等を行うように構成されている。
【0013】
本実施形態では、物品9は、パレット90と、当該パレット90に載置される複数又は単数の荷91と、を含む。搬送車1は、複数又は単数の荷91が載置されたパレット90、或いは、荷91が載置されていない空のパレット90を搬送するように構成されている。移載対象箇所7は、パレット90を直接載置するように構成されている。
【0014】
本実施形態では、搬送設備100は、搬送車1が走行する走行エリアRAと、物品9に対する作業が行われる作業エリアWAと、を備えている。
【0015】
本実施形態では、複数の移載対象箇所7が、走行エリアRAに隣接する位置に配置されている。従って、搬送車1は、物品9を支持した状態で走行エリアRAを走行することにより、複数の移載対象箇所7のそれぞれに物品9を搬送することが可能となっている。
【0016】
また本実施形態では、複数の移載対象箇所7の一部が、作業エリアWAに隣接する位置に配置されている。作業エリアWAに隣接する移載対象箇所7に搬送された物品9は、作業者やロボットによって処理される。図示の例では、作業エリアWAには作業者Wが配置されている。例えば作業エリアWAでは、作業者Wによる荷91のピッキング作業などが行われる。例えばこのピッキング作業では、パレット90に載置された複数の荷91から必要な荷91を取り出す作業が行われる。なお、作業エリアWAで行われる作業は、上記に限定されることなく、荷91をパレット90に積む作業やその他の作業が行われてもよい。
【0017】
図1に示すように、本実施形態では、搬送設備100は、設備外部から物品9を搬入する搬入部61と、設備外部へ物品9を搬出する搬出部62と、物品9を保管する自動倉庫(不図示)と、自動倉庫に物品9を入庫する入庫部51と、自動倉庫から物品9を出庫する出庫部52と、を備えている。
【0018】
本実施形態では、搬入部61、搬出部62、入庫部51、及び出庫部52のそれぞれは、物品9を搬送するコンベヤを含む。コンベヤは、物品9を搬送する搬送方向に対して直交する方向(幅方向)に離間して配置された一対の搬送部710を備えている。一対の搬送部710のそれぞれは、物品9を、下方から支持した状態で搬送方向に沿って搬送する。すなわち、コンベヤを構成する一対の搬送部710のそれぞれの上面は、物品9が載置される載置面7fである。本例では、コンベヤは、一対のチェーン(搬送部710)により物品9を搬送するチェーンコンベヤを用いて構成されている。各コンベヤは、搬送車1の移載装置20との間で物品9が移載される対象の箇所となる。すなわち本実施形態では、搬入部61、搬出部62、入庫部51、及び出庫部52のそれぞれが備えるコンベヤは、移載対象箇所7に該当する。換言すれば、搬入部61、搬出部62、入庫部51、及び出庫部52のそれぞれは、移載対象箇所7に該当する。
【0019】
本実施形態では、移載対象箇所7は、少なくとも搬送車1の車体幅方向に離間して配置された複数の支柱72と(
図2参照)、各支柱72の上部に設けられた物品受け部720と、を備えている。本例では、搬送設備100に設けられた複数の移載対象箇所7のうち作業エリアWAに隣接する移載対象箇所7が、複数の支柱72と、各支柱72の上部に設けられた物品受け部720と、を備えている。なお、上述のように、それぞれが移載対象箇所7となる搬入部61、搬出部62、入庫部51、及び出庫部52は、物品9を下方から支持可能な一対の搬送部710(本例ではチェーン)を備えている。
【0020】
複数の物品受け部720のそれぞれに、物品9が載置される載置面7fが形成されている。
図1に示すように、本実施形態では、作業エリアWAに隣接する移載対象箇所7は、4本の支柱72(4つの物品受け部720)を備えている。当該移載対象箇所7に載置された物品9は、4本の支柱72(4つの物品受け部720)によってその四隅が下方から支持される。
【0021】
図1及び
図2に示すように、本実施形態では、複数の物品受け部720のそれぞれは、載置面7fから上側に突出するように形成されていると共に載置面7fに載置される物品9の水平方向の位置を規制する規制部721を備えている。複数の物品受け部720のそれぞれの規制部721は、複数の物品受け部720のそれぞれの載置面7fに物品9が載置された状態で、当該物品9の外縁を水平方向の外側から囲むように配置される。これにより、移載対象箇所7に載置された物品9が水平方向に動かないように、当該物品9の水平方向の位置を規制することができる。
【0022】
本実施形態では、搬送車1は、検出部40(
図4参照)を備えている。また、床面における複数箇所に、検出部40によって検出される被検出部8が設けられている。被検出部8は、当該被検出部8が配置された位置情報を記憶し、或いは表示するように構成されている。そして、搬送車1は、検出部40により被検出部8を検出することで、自身の現在位置を把握可能に構成されている。
【0023】
本実施形態では、走行エリアRAには、複数の被検出部8が間隔を空けて規則的に並ぶように配置されている。また、複数の移載対象箇所7のそれぞれにも、被検出部8が配置されている。本例では、床面における複数の移載対象箇所7のそれぞれに対応した箇所に、被検出部8が配置されている。搬送車1は、検出部40による被検出部8の検出結果に基づき自身の現在位置(現在の推定位置)を補正しながら、床面を走行するように構成されている。本例では、被検出部8は、一次元コードや二次元コードなどの識別コードを用いて構成されている。そして、搬送車1の検出部40は、識別コードを読み取るコードリーダを用いて構成されている。但し、このような構成に限定されることなく、例えば、被検出部8がICタグを用いて構成され、検出部40がICタグリーダを用いて構成されていてもよい。或いは、被検出部8がマークを用いて構成され、検出部40がマークを撮像する撮像装置を用いて構成されていてもよい。
【0024】
図5等に示すように、本実施形態では、制御装置C(
図4参照)は、物品9の搬送元Pdから搬送先Paまでの搬送経路Rを設定するように構成されている。搬送経路Rは、複数の被検出部8を繋ぐように設定される。本実施形態では、搬送元Pdは、搬送元Pdとなる移載対象箇所7に配置された被検出部8の位置に基づいて定められる。また、搬送先Paは、搬送先Paとなる移載対象箇所7に配置された被検出部8の位置に基づいて定められる。搬送経路Rは、搬送元Pdに対応する被検出部8から搬送先Paに対応する被検出部8までの間に存在する複数の被検出部8を繋ぐように設定される。平面視で互いに直交する2つの方向(ここでは、2つの水平方向)を第1方向D1及び第2方向D2として、本例では、搬送経路Rは、第1方向D1において隣り合う被検出部8同士、又は第2方向D2において隣り合う被検出部8同士を繋ぐようにして設定される。従って、本例では、搬送経路Rは、第1方向D1に沿う直線経路と第2方向D2に沿う直線経路とを組み合わせた経路とされる。搬送経路Rを走行する搬送車1は、第1方向D1に沿って直進し、又は、第2方向D2に沿って直進する。
【0025】
図1及び
図2に示すように、搬送車1は、床面に沿って走行すると共に、目的地に応じて定まる方向変換位置80(
図5等参照)において進行方向の変換のために旋回動作を行うように構成されている。ここで、
図5等に示すように、「目的地」とは、搬送先Paとなる移載対象箇所7である。また、方向変換位置80は、複数の被検出部8の位置に基づいて定められる。詳細には、搬送経路Rを構成する複数の被検出部8のうち搬送経路Rが曲がる部分(本例では直角に曲がる部分)に配置された被検出部8の位置が、方向変換位置80として定められる。
【0026】
上述のように、搬送車1は、台車本体10と、台車本体10に支持された移載装置20と、を備えている。
【0027】
台車本体10は、走行部11を備えている。本実施形態では、走行部11は、少なくとも車体幅方向に離間して配置された複数の車輪11aと、複数の車輪11aを回転駆動する走行駆動部(不図示)と、を備えている。走行駆動部は、例えば、電動モータ等を用いて構成されている。
【0028】
移載装置20は、移載対象箇所7との間で物品9を移載するように構成されている。搬送車1が移載対象箇所7にいる状態において、移載装置20は、移載対象箇所7に対して物品9を引き渡し、或いは移載対象箇所7から物品9を受け取るように構成されている。
【0029】
図2に示すように、移載装置20は、物品9を下方から支持する支持面21fを有する支持部21と、支持部21を昇降させる昇降部22と、台車本体10に対して支持部21を上下方向に沿う旋回軸心Ax回りに旋回させる旋回部23(
図4参照)と、を備えている。
【0030】
本実施形態では、支持部21は、平面視で矩形状に形成されている(
図3参照)。より詳細には、支持部21は、平面視で正方形状に形成されている。支持部21は、移載対象箇所7における複数の載置面7fの間を上下方向に通過可能な大きさとされており、平面視において、移載対象箇所7における複数の載置面7fの配置間隔よりも小さい。
【0031】
旋回部23は、上下方向に沿う旋回軸心Ax回りに支持部21を旋回駆動する。旋回部23は、例えば、電動モータ等を用いて構成されている。
【0032】
本実施形態では、昇降部22は、軸部材22aと、軸部材22aを上下方向に沿って出退させる昇降駆動部(不図示)と、を備えている。本例では、軸部材22aの上端部に支持部21が連結されている。軸部材22aが、昇降駆動部により駆動されて上下方向に沿って出退することにより、支持部21が上下方向に沿って昇降する。昇降駆動部は、例えば、電動モータ等を用いて構成されている。
【0033】
昇降部22は、支持面21fの高さを、載置面7fよりも高い第1高さH1と、載置面7fよりも低い第2高さH2と、第2高さH2よりも低い第3高さH3と、に変更可能に構成されている。すなわち、昇降部22は、少なくとも3段階に支持面21fの高さを変更することが可能に構成されている。
【0034】
本実施形態では、載置面7fの高さ(以下、単に「載置面高さH7」と称することがある。)は、固定されている。第1高さH1は、載置面高さH7よりも高い。第2高さH2及び第3高さH3は、載置面高さH7よりも低い。すなわち、第1高さH1と、第2高さH2及び第3高さH3との間に、載置面高さH7が設定されている。移載装置20は、支持面21fを、第1高さH1と、第2高さH2又は第3高さH3との間で昇降させることにより移載対象箇所7との間で物品9を移載するように構成されている。具体的には、移載装置20は、物品9を支持した状態の支持面21fを、第1高さH1から第2高さH2又は第3高さH3に変更することで、当該物品9を載置面7fへ引き渡す。また、移載装置20は、支持面21fを、第2高さH2又は第3高さH3から第1高さH1に変更することで、載置面7fに支持された物品9を受け取る。
【0035】
本実施形態では、搬送設備100に設けられる複数の移載対象箇所7それぞれについての載置面高さH7は、共通である。従って移載装置20は、支持面21fを、第1高さH1と、第2高さH2又は第3高さH3との間で昇降させることにより、複数の移載対象箇所7の全てにおいて、物品9を移載(引渡し又は受取り)することができる。
【0036】
具体的には、複数の移載対象箇所7のうち、作業エリアWAに隣接する移載対象箇所7では、以下のように物品9の移載が行われる。すなわち、搬送車1は、平面視で支持部21を複数の物品受け部720の間に配置した状態で、支持面21fを、第1高さH1と、第2高さH2又は第3高さH3との間で昇降させることにより移載対象箇所7との間で物品9を移載する。本実施形態では、第1高さH1は、規制部721の上端よりも高い位置に設定されている。詳細には、第1高さH1は、規制部721の上端よりも、少なくとも支持部21の上下方向の厚さ分高い位置に設定されている。搬送車1は、当該移載対象箇所7へ物品9を引き渡す場合には、物品9を支持した支持面21fを第1高さH1に配置した状態で、平面視で複数の物品受け部720の間に進入する。上記のように、第1高さH1は物品受け部720に設けられた規制部721の上端よりも高い位置に設定されているため、搬送車1の上記進入時に支持部21やそれに支持された物品9が規制部721に干渉しないようにすることができる。また、搬送車1は、当該移載対象箇所7から物品9を受け取る場合には、平面視で複数の物品受け部720の間に進入した状態で支持面21fを第2高さH2又は第3高さH3から第1高さH1へ上昇させて物品9を受け取った後、支持面21fの高さを第1高さH1に維持した状態で複数の物品受け部720の間から退出する。これにより、搬送車1の上記退出時に支持部21やそれに支持された物品9が規制部721に干渉しないようにすることができる。
【0037】
また、複数の移載対象箇所7のうち、搬入部61、搬出部62、入庫部51、又は出庫部52では、以下のように物品9の移載が行われる。すなわち、搬送車1は、平面視で支持部21を一対の搬送部710の間に配置した状態で、支持面21fを、第1高さH1と、第2高さH2又は第3高さH3との間で昇降させることにより当該移載対象箇所7(搬入部61、搬出部62、入庫部51、又は出庫部52)との間で物品9を移載する。搬送車1は、当該移載対象箇所7へ物品9を引き渡す場合には、物品9を支持した支持面21fを第1高さH1に配置した状態で、平面視で一対の搬送部710の間に進入する。また、搬送車1は、当該移載対象箇所7から物品9を受け取る場合には、平面視で一対の搬送部710の間に進入した状態で支持面21fを第2高さH2又は第3高さH3から第1高さH1へ上昇させて物品9を受け取った後、支持面21fの高さを第1高さH1に維持した状態で一対の搬送部710の間から退出する。
【0038】
本実施形態では、搬送車1は、支持部21による物品9の支持を補助する補助支持部30を備えている。補助支持部30は、高さが固定された補助支持面30fを有している。補助支持部30は、台車本体10の上面に固定されており、台車本体10に対する位置が固定されている。
【0039】
図3に示すように、本実施形態では、補助支持部30は、平面視で支持部21を間に挟むように分かれて配置されている。本例では、複数(図示の例では4つ)の補助支持部30が、平面視で支持部21の周囲に分かれて配置されている。
【0040】
図2に示すように、第1高さH1及び第2高さH2は、補助支持面30fの高さよりも高い。一方、第3高さH3は、補助支持面30fの高さと同一又はそれよりも低い。本実施形態では、第3高さH3は、補助支持面30fの高さよりも低い。これにより、物品9を支持している状態の支持面21fが、第1高さH1又は第2高さH2から第3高さH3に配置されることで、支持面21fによる物品9の支持が解除され、当該物品9は、補助支持部30の補助支持面30fによって支持される。
【0041】
ここで、物品9の適切な姿勢(平面視での適切な姿勢)は、複数の移載対象箇所7のそれぞれによって異なる。例えば、作業エリアWAに隣接する移載対象箇所7では、物品9の姿勢が、当該物品9の作業を行うのに適した姿勢であることが求められる。他の移載対象箇所7としての、搬入部61、搬出部62、入庫部51、及び出庫部52のそれぞれでは、物品9の姿勢が、当該物品9の搬送を行うのに適した姿勢であることが求められる。
【0042】
搬送車1は、搬送元Pdの移載対象箇所7と搬送先Paの移載対象箇所7とで、物品9の平面視での姿勢を変更する必要がある場合(例えば
図7に示す場合)には、搬送元Pdの移載対象箇所7と搬送先Paの移載対象箇所7との間で物品9を搬送している途中で、物品9の姿勢を搬送先Paの移載対象箇所7に応じた適切な姿勢に変更する。
【0043】
上述のように、搬送車1は、進行方向の変換のために、その場で旋回動作を行うように構成されている(
図3参照)。本開示に係る搬送設備100では、搬送車1の旋回動作を利用して、平面視での物品9の姿勢を変更する。或いは、搬送設備100では、搬送車1の旋回動作によっても平面視での物品9の姿勢が変更しないようにする。以下、詳細に説明する。
【0044】
搬送車1は、物品9の平面視での姿勢変更を伴わない相対旋回動作と、物品9の平面視での姿勢変更を伴う一体旋回動作との、少なくとも2種類の旋回動作を行うように構成されている。
図3(a)は、搬送車1が相対旋回動作を行っている様子を示している。
図3(b)は、搬送車1が一体旋回動作を行っている様子を示している。相対旋回動作では、台車本体10の旋回とは独立して、台車本体10が旋回する方向とは逆方向に旋回部23によって支持部21が旋回する(
図3(a)参照)。一体旋回動作では、旋回部23によっては支持部21は旋回することなく、台車本体10の旋回によって当該旋回方向と同じ方向に支持部21が旋回する(
図3(b)参照)。なお、
図3では、支持部21の姿勢の理解を容易にするために、支持部21の半分にハッチングを付している。
【0045】
図2及び
図3に示すように、搬送車1は、旋回部23により支持部21を台車本体10に対して相対旋回させることにより支持面21fに支持された物品9の平面視での姿勢を変更せずに台車本体10の方向変換を行う場合には、支持面21fを第2高さH2に配置した状態で旋回動作(相対旋回動作)を行う。搬送車1が物品9を支持する場合には、当該物品9は、支持部21又は補助支持部30(台車本体10)によって支持される。上記のように支持面21fが第2高さH2に配置された状態では、物品9は支持部21のみによって支持される。このとき、物品9の支持に台車本体10(補助支持部30)は関与しない。そのため、支持面21fを第2高さH2に配置しておくことで、物品9の姿勢が、台車本体10の方向変換(旋回)の影響を受けないようにすることが可能となる。従って、物品9の平面視での姿勢変更を伴わない相対旋回動作を適切に行うことができる。
【0046】
本実施形態では、搬送車1は、物品9の平面視での姿勢変更を伴わない相対旋回動作を行う場合には、台車本体10の旋回角度と同じ旋回角度で、台車本体10の旋回方向とは逆方向に支持部21を旋回させる。本実施形態では、支持部21は、平面視において正N角形状(Nは3以上の整数)に形成されており、旋回部23は、台車本体10に対して、360/N度単位で支持部21を旋回させるように構成されている。これにより、支持部21が平面視での姿勢変更を行わずに搬送車1が旋回動作を行っても、支持部21の外形と台車本体10との平面視での関係を同じにすることができる。上述のように、本例では、支持部21は、平面視において正方形状(N=4)に形成されている。そのため、旋回部23は、台車本体10に対して、360/4度(90度)単位で支持部21を旋回させる。すなわち、
図3(a)に示す例では、搬送車1は、平面視において、台車本体10を時計回りに90度旋回させると共に、支持部21を反時計回りに90度旋回させている。図示のように、相対旋回動作により台車本体10の姿勢は変化しているが、支持部21の姿勢は変化していない。
【0047】
図2及び
図3に示すように、搬送車1は、支持部21を台車本体10に対して一体旋回させることにより支持面21fに支持された物品9の平面視での姿勢変更を伴って台車本体10の方向変換を行う場合には、支持面21fを第3高さH3に配置した状態で旋回動作(一体旋回動作)を行う。すなわち、搬送車1は、支持面21fに支持された物品9の平面視での姿勢を旋回動作に伴って変更する場合には、支持面21fを第3高さH3に配置した状態で旋回動作(一体旋回動作)を行う。上述のように、搬送車1が物品9を支持する場合には、当該物品9は、支持部21又は補助支持部30(台車本体10)によって支持される。支持面21fが第2高さH2に配置された状態では、物品9は支持部21のみによって支持されるが、その支持面21fが第3高さH3に配置されると、支持面21fに支持されていた物品9は、第3高さH3よりも高い位置に配置された補助支持面30fに支持される。このとき、物品9の支持に支持部21は関与しない。そのため、支持面21fを第3高さH3に配置しておくことで、物品9の姿勢は、台車本体10の方向変換(旋回)に依存することになる。従って、物品9の平面視での姿勢変更を伴う一体旋回動作を適切に行うことができる。
【0048】
図3(b)に示す例では、搬送車1は、平面視において、台車本体10を時計回りに90度旋回させている。これにより、旋回部23により駆動されない支持部21は、台車本体10と共に時計回りに90度旋回する。図示のように、一体旋回動作により、台車本体10の姿勢及び支持部21の姿勢が変化している。
【0049】
図1に示すように、本実施形態では、台車本体10は、予め定められた基準速度Vs(
図8参照)で走行可能に構成されている。本例では、基準速度Vsは、台車本体10の最高速度とされる。基準速度Vs(本例では最高速度)は、設備の運用等によって適宜定められる。本例では、制御装置Cは(
図4参照)、台車本体10の走行速度Vを基準速度Vsに設定することが可能に構成されている。
図1に示された「V」は、台車本体10の実際の走行速度Vである。制御装置Cは、台車本体10の走行速度Vを基準速度Vsに設定した場合には、例えば、基準速度Vsを目標値として台車本体10の走行速度Vをフィードバック制御する。
【0050】
図4に示すように、本実施形態では、制御装置Cは、設備全体を管理する上位制御装置Ctと、各搬送車1に搭載され、各搬送車1の機能部を制御する搬送制御装置C1と、を含む。上位制御装置Ctと搬送制御装置C1とは、互いに通信するように構成されている。上位制御装置Ctは、物品9の搬送元Pdと搬送先Paとを指定すると共に、搬送元Pdから搬送先Paまでの搬送経路Rを指定した搬送指令を、搬送制御装置C1(搬送車1)に出力する。搬送指令を受けた搬送制御装置C1は、当該搬送指令に応じて、自身が搭載された搬送車1の各機能部を制御する。上位制御装置Ct及び搬送制御装置C1は、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各処理または各機能が実現される。以下では、上位制御装置Ctと搬送制御装置C1とを、単に「制御装置C」と総称することがある。
【0051】
〔例1〕
次に、
図5及び
図6を参照して、搬送車1が搬送元Pdから搬送先Paへ物品9を搬送する場合の一例について説明する。なお、
図5及び
図6では、説明の便宜のため、搬送車1や物品9等を省略している。
【0052】
図5は、搬送元Pdとなる移載対象箇所7での物品9の姿勢と、搬送先Paとなる移載対象箇所7での物品9の姿勢と、が同じ場合における、搬送車1の搬送経路Rを示している。
図6は、この場合における、搬送経路Rの各地点での支持面21fの高さ、台車本体10の設定速度、及び搬送車1の動作を示している。
【0053】
図5に示す例では、搬送元Pdの被検出部8と、地点Aの被検出部8と、地点Bの被検出部8と、地点Cの被検出部8と、搬送先Paの被検出部8と、を繋ぐように、搬送経路Rが設定されている。搬送車1は、搬送元Pd→地点A→地点B→地点C→搬送先Paの順番に搬送経路Rを走行する。
【0054】
この場合、
図6に示すように、搬送車1は、搬送元Pdでは、支持面21fの高さを第3高さH3から第1高さH1に変更することで、搬送元Pdの移載対象箇所7から物品9を受け取る。搬送元Pdでは、台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。本例では、搬送車1が搬送元Pdの移載対象箇所7から物品9を受け取る際の走行速度Vはゼロに設定される。すなわち、台車本体10は停止している。
【0055】
搬送車1は、物品9を受け取った後は、物品9を支持した状態で次の地点(被検出部8の位置)に向けて走行を開始する。図示の例では、搬送車1は、搬送元Pdから地点Aに向けて走行を開始する。
【0056】
ここで、搬送車1は、物品9を支持した状態で走行を開始した走行開始地点(ここでは搬送元Pd)から、物品9の姿勢変更を伴わない旋回動作(相対旋回動作)を行うべき方向変換位置80(ここでは地点B)までの直進距離Lが、規定距離Ls以内である場合には、支持面21fを第2高さH2に配置した状態で走行する。このように直進距離Lが規定距離Ls以内である場合に、走行開始地点において支持面21fが第2高さH2に配置されていない場合には、支持面21fの高さの第2高さH2への変更は、搬送車1の走行開始前に行ってもよいし、搬送車1の走行開始後の走行中に行ってもよい。後者の場合、搬送車1が方向変換位置80に到達する前に、支持面21fの高さの第2高さH2への変更が完了する。本実施形態では、制御装置Cは、物品9の搬送元Pdから搬送先Paまでの搬送経路Rを設定し、搬送経路Rに基づいて、直進距離Lが規定距離Ls以内であるか否かを判断する。上述のように、本例では、搬送経路Rは、第1方向D1に沿う直線経路と第2方向D2に沿う直線経路とを組み合わせた経路とされる。制御装置Cは、搬送経路Rを構成するこれらの直線経路に基づいて直進距離Lを算出し、当該直進距離Lが規定距離Ls以内であるか否かを判断する。規定距離Lsは、設備の運用等に基づいて適宜定められる。
【0057】
図5に示す例では、搬送車1が最初に到達する方向変換位置80は、地点Bである。また、走行開始地点である搬送元Pdから地点Bまでの直進距離Lが、規定距離Ls以内である(L≦Ls)。従って、搬送車1は、搬送元Pdから地点Bまでの間は、支持面21fを第2高さH2に配置しつつ走行する。これにより、相対旋回動作を行う場合には支持面21fを第2高さH2に配置する必要があるところ、搬送車1は、相対旋回動作を行うべき方向変換位置80(地点B)に到達するよりも前に、支持面21fを第2高さH2に配置しておくことができる。従って、搬送車1は、方向変換位置80(ここでは地点B)においては支持面21fの高さを変更することなく相対旋回動作に移行することができる。その結果、物品9の搬送時間を短縮させることが可能となる。
【0058】
図5及び
図6に示す例では、搬送車1は、搬送元Pdから地点Aまでの間に、支持面21fの高さを第1高さH1から第2高さH2に変更する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。
【0059】
搬送車1は、地点Aでは、支持面21fの高さを第2高さH2に維持する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。搬送車1は、この状態で、地点Aから地点Bへ走行する。
【0060】
搬送車1は、地点Bでは、支持面21fの高さを第2高さH2に維持する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。本例では、地点Bでの走行速度Vはゼロに設定される。搬送車1は、停止した状態で、方向変換位置80である地点Bにおいて相対旋回動作を行う。これにより、物品9の平面視での姿勢を変更させることなく、台車本体10の進行方向を次の地点Cへ向ける。その後、搬送車1は、地点Bから地点Cへ向けて走行を開始する。
【0061】
図5及び
図6に示す例では、搬送車1の走行開始地点(ここでは地点B)から、物品9の姿勢変更を伴わない旋回動作(相対旋回動作)を行うべき方向変換位置80(ここでは地点C)までの直進距離Lが、規定距離Ls以内である(L≦Ls)。従って、搬送車1は、地点Bから地点Cまでの間は、支持面21fを第2高さH2に配置しつつ走行する。このように、搬送車1の走行開始地点は、搬送経路Rの始点(搬送元Pd)に限られず、搬送車1が旋回動作を行った場合には、当該旋回動作が行われた地点(本例では、地点B)を走行開始地点として直進距離Lが定められる。
【0062】
搬送車1は、地点Cでは、支持面21fの高さを第2高さH2に維持する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。本例では、地点Cでの走行速度Vはゼロに設定される。搬送車1は、停止した状態で、方向変換位置80である地点Cにおいて相対旋回動作を行う。これにより、物品9の平面視での姿勢を変更させることなく、台車本体10の進行方向を搬送先Paへ向ける。その後、搬送車1は、地点Cから搬送先Paへ向けて走行を開始する。
【0063】
搬送車1は、地点Cから搬送先Paまでの間に、支持面21fの高さを第2高さH2から第1高さH1に変更する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。
【0064】
搬送車1は、搬送先Paでは、支持面21fの高さを第1高さH1から第3高さH3に変更することで、搬送先Paの移載対象箇所7に物品9を引き渡す。搬送先Paでは、台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。本例では、搬送車1が搬送先Paの移載対象箇所7に物品9を引き渡す際の走行速度Vはゼロに設定される。すなわち、台車本体10は停止している。
【0065】
〔例2〕
次に、
図7及び
図8を参照して、搬送車1が搬送元Pdから搬送先Paへ物品9を搬送する場合の一例について説明する。なお、
図7及び
図8では、説明の便宜のため、搬送車1や物品9等を省略している。
【0066】
図7は、搬送元Pdとなる移載対象箇所7での物品9の姿勢と、搬送先Paとなる移載対象箇所7での物品9の姿勢と、が異なる場合における、搬送車1の搬送経路Rを示している。
図8は、この場合における、搬送経路Rの各地点での支持面21fの高さ、台車本体10の設定速度、及び搬送車1の動作を示している。
【0067】
図7に示す例では、搬送元Pdの被検出部8と、地点Aの被検出部8と、地点Bの被検出部8と、地点Cの被検出部8と、地点Dの被検出部8と、搬送先Paの被検出部8と、を繋ぐように、搬送経路Rが設定されている。搬送車1は、搬送元Pd→地点A→地点B→地点C→地点D→搬送先Paの順番に搬送経路Rを走行する。
【0068】
この場合、
図8に示すように、搬送車1は、搬送元Pdでは、支持面21fの高さを第3高さH3から第1高さH1に変更することで、搬送元Pdの移載対象箇所7から物品9を受け取る。搬送元Pdでは、台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。本例では、搬送車1が搬送元Pdの移載対象箇所7から物品9を受け取る際の走行速度Vはゼロに設定される。すなわち、台車本体10は停止している。
【0069】
搬送車1は、物品9を受け取った後は、物品9を支持した状態で次の地点(被検出部8の位置)に向けて走行を開始する。図示の例では、搬送車1は、搬送元Pdから地点Aに向けて走行を開始する。
【0070】
ここで、搬送車1は、物品9を支持した状態で走行を開始した走行開始地点(ここでは搬送元Pd)から、物品9の姿勢変更を伴う旋回動作(一体旋回動作)を行うべき方向変換位置80(ここでは地点B)までの直進距離が、規定距離以内であるか否かに可関わらず、支持面21fを第3高さH3に配置した状態で走行する。
図7に示す例では、搬送車1が最初に到達する方向変換位置80が地点Bであり、搬送車1は、当該地点Bでは、物品9の姿勢変更を伴う一体旋回動作を行う予定である。従って、搬送車1は、搬送元Pdから地点Bまでの間は、支持面21fを第3高さH3に配置しつつ走行する。これにより、一体旋回動作を行う場合には支持面21fを第3高さH3に配置する必要があるところ、搬送車1は、一体旋回動作を行うべき方向変換位置80(地点B)に到達するよりも前に、支持面21fを第3高さH3に配置しておくことができる。従って、搬送車1は、方向変換位置80(ここでは地点B)においては支持面21fの高さを変更することなく一体旋回動作に移行することができる。更に、支持面21fを第3高さH3に配置することで、搬送車1の重心を低くすることができるため、物品9の姿勢を安定させつつ高速での走行が可能となる。従って、物品9の搬送時間を短縮させることが可能となる。
【0071】
図7及び
図8に示す例では、搬送車1は、搬送元Pdから地点Aまでの間に、支持面21fの高さを第1高さH1から第3高さH3に変更する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。ここで、支持面21fが第1高さH1に配置された状態では、支持面21fが第2高さH2及び第3高さH3に配置されている場合に比べて、支持面21fに支持されている物品9の位置が高くなり、その分、物品9の姿勢が安定し難い。本実施形態では、台車本体10は、昇降部22が第1高さH1と第2高さH2又は第3高さH3との間で支持面21fを昇降させる場合には、基準速度Vsよりも低速で走行し、或いは停止する。これにより、支持面21fの高さが第1高さH1となる状態が含まれる場合の支持面21fの高さ変更を確実性高く実行することができる。
【0072】
搬送車1は、地点Aでは、支持面21fの高さを第3高さH3に維持する。上述のように、支持面21fが第3高さH3に配置された状態では、搬送車1は、物品9を安定して支持することができるため、高速での走行が可能となる。従って、このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsに設定されている(V=Vs)。搬送車1は、この状態で、地点Aから地点Bへ走行する。
【0073】
搬送車1は、地点Bでは、支持面21fの高さを第3高さH3に維持する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。本例では、地点Bでの走行速度Vはゼロに設定される。搬送車1は、停止した状態で、方向変換位置80である地点Bにおいて一体旋回動作を行う。これにより、台車本体10の進行方向を地点Cへ向けると共に、物品9の姿勢を搬送先Paでの適正姿勢に変更する。その後、搬送車1は、地点Bから地点Cへ向けて走行を開始する。
【0074】
搬送車1は、地点Cでは、支持面21fの高さを第3高さH3に維持する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsに設定されている(V=Vs)。搬送車1は、この状態で、地点Cから地点Dへ走行する。
【0075】
搬送車1は、地点Dでは、支持面21fの高さを第3高さH3に維持する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsに設定されている(V=Vs)。搬送車1は、この状態で、地点Dから搬送先Paへ走行する。
【0076】
搬送車1は、地点Dから搬送先Paまでの間に、支持面21fの高さを第3高さH3から第1高さH1に変更する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。
【0077】
搬送車1は、搬送先Paでは、支持面21fの高さを第1高さH1から第3高さH3に変更することで、搬送先Paの移載対象箇所7に物品9を引き渡す。搬送先Paでは、台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。本例では、搬送車1が搬送先Paの移載対象箇所7に物品9を引き渡す際の走行速度Vはゼロに設定される。すなわち、台車本体10は停止している。
【0078】
〔例3〕
次に、
図9及び
図10を参照して、搬送車1が搬送元Pdから搬送先Paへ物品9を搬送する場合の一例について説明する。なお、
図9及び
図10では、説明の便宜のため、搬送車1や物品9等を省略している。
【0079】
図9は、搬送元Pdとなる移載対象箇所7での物品9の姿勢と、搬送先Paとなる移載対象箇所7での物品9の姿勢と、が同じ場合における、搬送車1の搬送経路Rを示している。
図10は、この場合における、搬送経路Rの各地点での支持面21fの高さ、台車本体10の設定速度、及び搬送車1の動作を示している。
【0080】
図9に示す例では、搬送元Pdの被検出部8と、地点Aの被検出部8と、地点Bの被検出部8と、地点Cの被検出部8と、地点Dの被検出部8と、地点Eの被検出部8と、搬送先Paの被検出部8と、を繋ぐように、搬送経路Rが設定されている。搬送車1は、搬送元Pd→地点A→地点B→地点C→地点D→地点E→搬送先Paの順番に搬送経路Rを走行する。
【0081】
この場合、
図10に示すように、搬送車1は、搬送元Pdでは、支持面21fの高さを第3高さH3から第1高さH1に変更することで、搬送元Pdの移載対象箇所7から物品9を受け取る。搬送元Pdでは、台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。本例では、搬送車1が搬送元Pdの移載対象箇所7から物品9を受け取る際の走行速度Vはゼロに設定される。すなわち、台車本体10は停止している。
【0082】
搬送車1は、物品9を受け取った後は、物品9を支持した状態で次の地点(被検出部8の位置)に向けて走行を開始する。図示の例では、搬送車1は、搬送元Pdから地点Aに向けて走行を開始する。
【0083】
図9に示す例では、搬送車1が最初に到達する方向変換位置80は、地点Bである。また、走行開始地点である搬送元Pdから地点Bまでの直進距離Lが、規定距離Ls以内である(L≦Ls)。従って、搬送車1は、搬送元Pdから地点Bまでの間は、支持面21fを第2高さH2に配置しつつ走行する。
【0084】
図9及び
図10に示す例では、搬送車1は、搬送元Pdから地点Aまでの間に、支持面21fの高さを第1高さH1から第2高さH2に変更する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。
【0085】
搬送車1は、地点Aでは、支持面21fの高さを第2高さH2に維持する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。搬送車1は、この状態で、地点Aから地点Bへ走行する。
【0086】
搬送車1は、地点Bでは、支持面21fの高さを第2高さH2に維持する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。本例では、地点Bでの走行速度Vはゼロに設定される。搬送車1は、停止した状態で、方向変換位置80である地点Bにおいて相対旋回動作を行う。これにより、物品9の平面視での姿勢を変更させることなく、台車本体10の進行方向を次の地点Cへ向ける。その後、搬送車1は、地点Bから地点Cへ向けて走行を開始する。
【0087】
ここで、搬送車1は、物品9を支持した状態で走行を開始した走行開始地点(ここでは地点B)から、物品9の姿勢変更を伴わない旋回動作(相対旋回動作)を行うべき方向変換位置80(ここでは地点E)までの直進距離Lが、規定距離Lsよりも長い場合には、支持面21fを第3高さH3に配置した状態で走行する。このように直進距離Lが規定距離Lsよりも長い場合に、走行開始地点において支持面21fが第3高さH3に配置されていない場合には、支持面21fの高さの第3高さH3への変更は、搬送車1の走行開始前に行ってもよいし、搬送車1の走行開始後の走行中に行ってもよい。後者の場合、搬送車1が方向変換位置80に到達する前に、支持面21fの高さの第3高さH3への変更が完了する。直進距離Lが規定距離Lsよりも長い場合には、後で支持面21fを第2高さH2に配置する必要があったとしても(すなわち相対旋回動作を行う場合には支持面21fを第2高さH2に配置しておく必要がある。)、搬送車1は、支持面21fの高さを第2高さH2よりも低い第3高さH3にしておいて高速走行する方が、物品9の搬送時間の短縮に寄与できる。上述のように、支持面21fを第3高さH3に配置することで搬送車1の重心を低くできるため、物品9の姿勢を安定させつつ高速での走行が可能となる。本実施形態では、搬送車1は、直進距離Lが規定距離Lsよりも長い場合には、基準速度Vsで走行する。
【0088】
図9に示す例では、走行開始地点である地点Bから次の方向変換位置80である地点Eまでの直進距離Lが、規定距離Lsよりも長い(L>Ls)。従って、搬送車1は、地点Bから地点Eまでの間は、支持面21fを第3高さH3に配置しつつ基準速度Vsで走行する。
【0089】
搬送車1は、地点Bから地点Cまで走行する間に、支持面21fの高さを第2高さH2から第3高さH3に変更する。すなわち本実施形態では、昇降部22は、第2高さH2と第3高さH3との間での支持面21fの昇降を、台車本体10の走行中に行う。第2高さH2と第3高さH3との間での支持面21fの高さ変更は、支持面21fの高さが第1高さH1となる状態が含まれないため、物品9の姿勢を比較的安定させ易い。上記構成のように、第2高さH2と第3高さH3との間での支持面21fの昇降を台車本体10の走行中に行うようにすることで、物品9の搬送時間の短縮に寄与できる。搬送車1が走行しながら第2高さH2と第3高さH3との間で支持面21fを昇降させる場合の走行速度V、すなわち図示の例では、搬送車1が地点Bから地点Cまで走行する間の走行速度Vは、基準速度Vsに設定されている。但し、この場合であっても走行速度Vは基準速度Vsよりも低く設定されていてもよい。
【0090】
搬送車1は、地点Cでは、支持面21fの高さを第3高さH3に維持する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsに設定されている(V=Vs)。搬送車1は、この状態で、地点Cから地点Dへ走行する。
【0091】
搬送車1は、地点Dでは、支持面21fの高さを第3高さH3に維持する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsに設定されている(V=Vs)。搬送車1は、この状態で、地点Dから地点Eへ走行する。
【0092】
地点Eは、物品9の姿勢変更を伴わない相対旋回動作を行うべき方向変換位置80であり、地点Eでは支持面21fを第2高さH2に配置しておく必要がある。搬送車1は、地点Dから地点Eまで走行する間に、支持面21fの高さを第3高さH3から第2高さH2に変更する。上述のように、第2高さH2と第3高さH3との間での支持面21fの高さ変更では、物品9の姿勢を比較的安定させ易いため、搬送車1は、走行中に支持面21fの高さ変更を行う。なお、このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsに設定されている(V=Vs)。
【0093】
搬送車1は、地点Eでは、支持面21fの高さを第2高さH2に維持する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。本例では、地点Eでの走行速度Vはゼロに設定される。搬送車1は、停止した状態で、方向変換位置80である地点Eにおいて相対旋回動作を行う。これにより、物品9の平面視での姿勢を変更させることなく、台車本体10の進行方向を搬送先Paへ向ける。その後、搬送車1は、地点Eから搬送先Paへ向けて走行を開始する。
【0094】
搬送車1は、地点Eから搬送先Paまでの間に、支持面21fの高さを第2高さH2から第1高さH1に変更する。このときの台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。
【0095】
搬送車1は、搬送先Paでは、支持面21fの高さを第1高さH1から第3高さH3に変更することで、搬送先Paの移載対象箇所7に物品9を引き渡す。搬送先Paでは、台車本体10の走行速度Vは、基準速度Vsよりも低く設定されている(V<Vs)。本例では、搬送車1が搬送先Paの移載対象箇所7に物品9を引き渡す際の走行速度Vはゼロに設定される。すなわち、台車本体10は停止している。
【0096】
以上説明した搬送設備100によれば、物品9の搬送時間の短縮を図ることができる。
【0097】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0098】
(1)上記の実施形態では、支持部21が、平面視において正N角形状(Nは3以上の整数)に形成されており、旋回部23は、台車本体10に対して、360/N度単位で支持部21を旋回させるように構成されている例について説明した。そして、その一例として、支持部21が平面視において正方形状(N=4)に形成され、旋回部23が台車本体10に対して360/4度(90度)単位で支持部21を旋回させる例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば
図11に示すように、支持部21が平面視において正八角形状(N=8)に形成され、旋回部23が台車本体10に対して360/8度(45度)単位で支持部21を旋回させるように構成されていてもよい。これにより、支持部21が平面視での姿勢変更を行わずに搬送車1が旋回動作を行っても、支持部21の外形と台車本体10との平面視での関係を同じにすることができる。なお、詳細な図示は省略するが、支持部21が平面視において正円状に形成されており、旋回部23が台車本体10に対して任意の角度で支持部21を旋回させるように構成されていてもよい。これによっても上記同様の効果を奏することができる。すなわち、支持部21が平面視での姿勢変更を行わずに搬送車1が旋回動作を行っても、支持部21の外形と台車本体10との平面視での関係を同じにすることができる。
【0099】
(2)上記の実施形態では、昇降部22が、第2高さH2と第3高さH3との間での支持面21fの昇降を、台車本体10の走行中に行う例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、昇降部22は、台車本体10の停止中に、第2高さH2と第3高さH3との間での支持面21fの昇降を行うようにしてもよい。
【0100】
(3)上記の実施形態では、昇降部22が、第1高さH1と第2高さH2と第3高さH3との、少なくとも3段階に支持面21fの高さを変更することが可能に構成されている例について説明した。昇降部22は、4段階以上に支持面21fの高さを変更することが可能に構成されていてもよい。
【0101】
(4)上記の実施形態では、移載対象箇所7が、少なくとも搬送車1の車体幅方向に離間して配置された複数の支柱72と、各支柱72の上部に設けられた物品受け部720と、を備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、移載対象箇所7は、例えば、車体幅方向に離間して配置された一対の載置板などを備えていてもよい。
【0102】
(5)上記の実施形態では、搬送経路Rが、複数の被検出部8を繋ぐように設定される例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、搬送経路Rは、例えば、床面に連続的に設けられた磁気テープなどに基づいて設定されてもよい。また、方向変換位置80が、床面に設けられた被検出物(被検出部8や磁気テープ等の、搬送経路Rを設定するための被検出物)の位置に基づいて定められない構成とすることもできる。例えば、搬送車1が、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機の検出信号等に基づき自車の現在位置を認識し、当該現在位置が方向変換位置80に到達した場合に旋回動作を行う構成とすることができる。
【0103】
(6)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0104】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送設備について説明する。
【0105】
物品が載置される載置面を有する移載対象箇所と、
前記移載対象箇所との間で前記物品を移載する移載装置及び前記移載装置を支持して走行する台車本体を備えた搬送車と、を備えた搬送設備であって、
前記搬送車は、床面に沿って走行すると共に、目的地に応じて定まる方向変換位置において進行方向の変換のために旋回動作を行うように構成され、
前記移載装置は、前記物品を下方から支持する支持面を有する支持部と、前記支持部を昇降させる昇降部と、前記台車本体に対して前記支持部を上下方向に沿う旋回軸心回りに旋回させる旋回部と、を備え、
前記昇降部は、前記支持面の高さを、前記載置面よりも高い第1高さと、前記載置面よりも低い第2高さと、前記第2高さよりも低い第3高さと、に変更可能に構成され、
前記移載装置は、前記支持面を、前記第1高さと、前記第2高さ又は前記第3高さとの間で昇降させることにより前記移載対象箇所との間で前記物品を移載し、
前記搬送車は、前記旋回部により前記支持部を前記台車本体に対して相対旋回させることにより前記支持面に支持された前記物品の平面視での姿勢を変更せずに前記台車本体の方向変換を行う場合には、前記支持面を前記第2高さに配置した状態で前記旋回動作を行い、
前記搬送車は、前記物品を支持した状態で走行を開始した走行開始地点から、前記物品の姿勢変更を伴わない前記旋回動作を行うべき前記方向変換位置までの直進距離が、規定距離以内である場合には、前記支持面を前記第2高さに配置した状態で走行し、前記直進距離が前記規定距離よりも長い場合には、前記支持面を前記第3高さに配置した状態で走行する。
【0106】
本構成によれば、直進距離が規定距離以内である場合には搬送車の走行速度が高くなり難いため、支持面を第2高さに配置することで当該支持面に支持される物品をある程度高い位置に配置した状態を維持しても、物品の姿勢を不安定にさせることなく台車本体を走行させることができる。そして、搬送車は、支持面の高さを第2高さに維持した状態で、旋回動作を行うべき方向変換位置に到達することができるため、当該方向変換位置においては支持面の高さを変更することなく旋回動作に移行することができる。従って、物品の搬送時間を短縮させることが可能となる。また、本構成によれば、直進距離が規定距離よりも長い場合には、支持面を第3高さに配置することで搬送車の重心を低くできるため、物品の姿勢を安定させつつ高速での走行が可能となる。従って、この点からも物品の搬送時間を短縮させることが可能となる。
【0107】
前記台車本体は、予め定められた基準速度で走行可能に構成され、
前記台車本体は、前記昇降部が前記第1高さと前記第2高さ又は前記第3高さとの間で前記支持面を昇降させる場合には、前記基準速度よりも低速で走行し、或いは停止する、と好適である。
【0108】
支持面が第1高さに配置された状態では、支持面が第2高さ及び第3高さに配置されている場合に比べて、支持面に支持されている物品の位置が高くなり、その分、物品の姿勢が安定し難い。本構成によれば、支持面の高さを変更する場合であってその変更の際に支持面の高さが第1高さとなる状態が含まれる場合には、台車本体は、基準速度よりも低速で走行し、或いは停止する。そのため、支持面の高さが第1高さとなる状態が含まれる場合の支持面の高さ変更を確実性高く実行することができる。
【0109】
前記昇降部は、前記第2高さと前記第3高さとの間での前記支持面の昇降を、前記台車本体の走行中に行う、と好適である。
【0110】
支持面の高さが第1高さとなる状態が含まれる支持面の高さ変更を実行する場合に比べて、支持面の高さが第1高さとなる状態が含まれない、第2高さと第3高さとの間での支持面の高さ変更では、物品の姿勢を安定させ易い。本構成によれば、このような場合には台車本体の走行中に支持面の高さ変更を実行することで、台車本体の走行と支持面の高さ変更とを同時期に行うことができるため、搬送時間の短縮を図り易い。
【0111】
前記搬送車は、前記支持部による前記物品の支持を補助する補助支持部を備え、
前記補助支持部は、平面視で前記支持部を間に挟むように分かれて配置され、
前記補助支持部は、高さが固定された補助支持面を有し、
前記第3高さは、前記補助支持面の高さと同一又はそれよりも低い、と好適である。
【0112】
本構成によれば、支持面が第3高さに配置された状態において、補助支持面を用いて物品を支持することができるため、物品をより安定して支持することができる。
【0113】
前記搬送車は、前記支持面に支持された前記物品の平面視での姿勢を前記旋回動作に伴って変更する場合には、前記支持面を前記第3高さに配置した状態で前記旋回動作を行う、と好適である。
【0114】
本構成によれば、支持面を第3高さに配置することにより補助支持面によって物品を支持した状態で、搬送車が旋回動作を行うことにより、台車本体の姿勢と共に物品の平面視での姿勢を変更することができる。これにより、搬送車の旋回動作によって、物品の平面視での姿勢を移載対象箇所に適した姿勢に変更することができる。
【0115】
制御装置を備え、
前記制御装置は、前記物品の搬送元から搬送先までの搬送経路を設定し、前記搬送経路に基づいて、前記直進距離が前記規定距離以内であるか否かを判断する、と好適である。
【0116】
本構成によれば、直進距離が規定距離以内であるか否かの判断を制御装置により適切に行うことができる。
【0117】
前記搬送車は、検出部を備え、
前記床面における複数箇所に、前記検出部によって検出される被検出部が設けられ、
前記搬送経路は、複数の前記被検出部を繋ぐように設定され、
前記方向変換位置は、複数の前記被検出部の位置に基づいて定められる、と好適である。
【0118】
本構成によれば、比較的簡易な構成により搬送車の走行位置を高精度に制御し易い。また、搬送車の搬送経路や方向変換位置を、設備の運用状況等に応じて柔軟に変更し易い。
【0119】
前記支持部は、平面視において正N角形状(Nは3以上の整数)に形成され、
前記旋回部は、前記台車本体に対して、360/N度単位で前記支持部を旋回させる、と好適である。
【0120】
本構成によれば、支持部が平面視での姿勢変更を行わずに搬送車が旋回動作を行っても、支持部の外形と台車本体との平面視での関係を同じにすることができる。従って、支持部及び台車本体の構造を簡略化し易い。
【0121】
前記移載対象箇所は、少なくとも前記搬送車の車体幅方向に離間して配置された複数の支柱と、各支柱の上部に設けられた物品受け部と、を備え、
複数の前記物品受け部のそれぞれに前記載置面が形成され、
前記搬送車は、平面視で前記支持部を複数の前記物品受け部の間に配置した状態で、前記支持面を、前記第1高さと、前記第2高さ又は前記第3高さとの間で昇降させることにより前記移載対象箇所との間で前記物品を移載する、と好適である。
【0122】
本構成によれば、支持面の昇降によって移載対象箇所との間で物品を移載可能な構成を容易に実現することができる。
【0123】
複数の前記物品受け部のそれぞれは、前記載置面から上側に突出するように形成されていると共に前記載置面に載置される前記物品の水平方向の位置を規制する規制部を備え、
前記第1高さは、前記規制部の上端よりも高い位置に設定されている、と好適である。
【0124】
本構成によれば、移載対象箇所に載置された物品の水平方向の位置を規制部によって規制することができる。また、支持面が第1高さに配置された状態で搬送車が移載対象箇所を出入りする場合であっても、支持部と規制部とが干渉しないようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本開示に係る技術は、物品が載置される載置面を有する移載対象箇所と、前記移載対象箇所との間で前記物品を移載する移載装置及び前記移載装置を支持して走行する台車本体を備えた搬送車と、を備えた搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0126】
100 :搬送設備
1 :搬送車
10 :台車本体
20 :移載装置
21 :支持部
21f :支持面
22 :昇降部
23 :旋回部
30 :補助支持部
30f :補助支持面
40 :検出部
7 :移載対象箇所
7f :載置面
72 :支柱
720 :物品受け部
721 :規制部
8 :被検出部
80 :方向変換位置
9 :物品
Ax :旋回軸心
C :制御装置
Pa :搬送先
Pd :搬送元
R :搬送経路
L :直進距離
Ls :規定距離
H1 :第1高さ
H2 :第2高さ
H3 :第3高さ
Vs :基準速度