(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電池および電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/533 20210101AFI20240730BHJP
H01M 50/54 20210101ALI20240730BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240730BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20240730BHJP
H01M 50/553 20210101ALI20240730BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20240730BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M50/54
H01M50/105
H01M50/566
H01M50/553
H01M50/50 201Z
(21)【出願番号】P 2022102546
(22)【出願日】2022-06-27
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】各務 僚
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181622(JP,A)
【文献】国際公開第2020/218214(WO,A1)
【文献】特開2023-84066(JP,A)
【文献】国際公開第2013/146513(WO,A1)
【文献】特開2023-087373(JP,A)
【文献】特開2007-234466(JP,A)
【文献】特開2012-054029(JP,A)
【文献】特開2012-164470(JP,A)
【文献】特開2013-171618(JP,A)
【文献】特開2024-003414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
前記電極体の側面部から延在する複数の集電タブと、
前記複数の集電タブと接続された集電端子と、
前記電極体および前記複数の集電タブを収納するラミネートフィルムと、
を有する電池であって、
前記集電タブは、前記電極体側の端部である根元部と、前記集電端子と接続するための接続部と、前記根元部および前記接続部を結ぶ中間部と、を有し、
前記複数の前記集電タブは、それぞれの前記接続部が、厚さ方向に積層された積層接続部を有し、
前記集電端子は、前記電極体の前記側面部に対向する内面と、前記内面の外縁に沿って配置された側面と、を有し、
前記集電端子の前記側面に、前記ラミネートフィルムが配置され、
前記内面に、前記積層接続部の主面が接合され、
前記電極体の積層方向の平面視において、前記集電端子は、前記内面の位置に該当する第1端部、および、前記第1端部に対向する第2端部を含む基部と、前記基部から、前記電極体とは反対側に突出する突出部と、を有する、電池。
【請求項2】
前記電極体の積層方向の断面視において、前記中間部は、前記中間部の一部同士が対向するように湾曲した湾曲構造を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記集電端子は、前記突出部として、第1突出部と、第2突出部とを有し、
前記電極体の積層方向の平面視において、前記電極体および前記集電端子の対向方向をD
1とし、前記D
1に直交する方向をD
2とし、前記D
1に平行であり、かつ、前記D
2における前記集電端子の中点を通過する軸をAXとした場合に、
前記AXにより区画された前記集電端子の一方の領域に、前記第1突出部が配置され、
前記AXにより区画された前記集電端子の他方の領域に、前記第2突出部が配置されている、請求項1または請求項2に記載の電池。
【請求項4】
複数の電池を積層した電池モジュールであって、
前記電池が、請求項1または請求項2に記載の電池である、電池モジュール。
【請求項5】
複数の電池が積層された電池モジュールであって、
前記電池が、請求項3に記載の電池であり、
前記電池モジュールは、前記電池として、電池A、電池Bおよび電池Cを有し、
前記電池A、前記電池Bおよび前記電池Cは、連続して積層されており、
前記電池Aの前記第1突出部、前記電池Bの前記第1突出部、および、前記電池Cの前記第1突出部は、前記電極体の積層方向の平面視において、それぞれ少なくとも一部が重複するように配置され、
前記電池Aの前記第2突出部、前記電池Bの前記第2突出部、および、前記電池Cの前記第2突出部は、前記電極体の積層方向の平面視において、それぞれ少なくとも一部が重複するように配置され、
前記電池Bの前記第1突出部は、前記電池Aの前記第1突出部と接合されており、かつ、前記電池Cの前記第1突出部と接合されておらず、
前記電池Bの前記第2突出部は、前記電池Aの前記第2突出部と接合されておらず、かつ、前記電池Cの前記第2突出部と接合されている、電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池および電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の電池は、通常、正極集電体、正極活物質層、電解質層、負極活物質層および負極集電体を有する電極体を備える。電極体は、外装体により封止される。電極体で生じた電気は、集電端子により、外装体の内部から外部に導出される。例えば、特許文献1には、正極/分離膜/負極構造のスタック型またはスタック/折り畳み型電極組立体が開示されている。また、特許文献1の
図2には、複数のタブ(例えば正極タブ40)を密集した形態で結合し、リード(例えば正極リード60)と連結することが開示されている。さらに、特許文献1には、外装体として、ラミネートシート(ラミネートフィルム)を用いることが開示されている。同様に、特許文献2、3にも、外装体として、ラミネートフィルムを用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5550805号
【文献】特開2011-108623号公報
【文献】特開2020-115423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電池(電池セル)を積層し、隣り合う集電端子を接合する際に、集電端子および集電タブの接合部に応力が生じ、集電端子および集電タブの接合性が低下したり、集電タブに破損が生じたりする可能性がある。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、複数の電池を積層し、隣り合う集電端子を接合した場合であっても、集電端子および集電タブの接合部に応力が生じにくい電池を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]
電極体と、上記電極体の側面部から延在する複数の集電タブと、上記複数の集電タブと接続された集電端子と、上記電極体および上記複数の集電タブを収納するラミネートフィルムと、を有する電池であって、上記集電タブは、上記電極体側の端部である根元部と、上記集電端子と接続するための接続部と、上記根元部および上記接続部を結ぶ中間部と、を有し、上記複数の上記集電タブは、それぞれの上記接続部が、厚さ方向に積層された積層接続部を有し、上記集電端子は、上記電極体の上記側面部に対向する内面と、上記内面の外縁に沿って配置された側面と、を有し、上記集電端子の上記側面に、上記ラミネートフィルムが配置され、上記内面に、上記積層接続部の主面が接合され、上記電極体の積層方向の平面視において、上記集電端子は、上記内面の位置に該当する第1端部、および、上記第1端部に対向する第2端部を含む基部と、上記基部から、上記電極体とは反対側に突出する突出部と、を有する、電池。
【0007】
[2]
上記電極体の積層方向の断面視において、上記中間部は、上記中間部の一部同士が対向するように湾曲した湾曲構造を有する、[1]に記載の電池。
【0008】
[3]
上記集電端子は、上記突出部として、第1突出部と、第2突出部とを有し、上記電極体の積層方向の平面視において、上記電極体および上記集電端子の対向方向をD1とし、上記D1に直交する方向をD2とし、上記D1に平行であり、かつ、上記D2における上記集電端子の中点を通過する軸をAXとした場合に、上記AXにより区画された上記集電端子の一方の領域に、上記第1突出部が配置され、上記AXにより区画された上記集電端子の他方の領域に、上記第2突出部が配置されている、[1]または[2]に記載の電池。
【0009】
[4]
複数の電池を積層した電池モジュールであって、上記電池が、[1]から[3]までのいずれかに記載の電池である、電池モジュール。
【0010】
[5]
複数の電池が積層された電池モジュールであって、上記電池が、[3]に記載の電池であり、上記電池モジュールは、上記電池として、電池A、電池Bおよび電池Cを有し、上記電池A、上記電池Bおよび上記電池Cは、連続して積層されており、上記電池Aの上記第1突出部、上記電池Bの上記第1突出部、および、上記電池Cの上記第1突出部は、上記電極体の積層方向の平面視において、それぞれ少なくとも一部が重複するように配置され、上記電池Aの上記第2突出部、上記電池Bの上記第2突出部、および、上記電池Cの上記第2突出部は、上記電極体の積層方向の平面視において、それぞれ少なくとも一部が重複するように配置され、上記電池Bの上記第1突出部は、上記電池Aの上記第1突出部と接合されており、かつ、上記電池Cの上記第1突出部と接合されておらず、上記電池Bの上記第2突出部は、上記電池Aの上記第2突出部と接合されておらず、かつ、上記電池Cの上記第2突出部と接合されている、電池モジュール。
【発明の効果】
【0011】
本開示においては、複数の電池を積層した場合であっても、集電端子および集電タブの接合部に応力が生じにくい電池を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示における電池を例示する概略斜視図である。
【
図2】本開示における電池を例示する概略平面図および概略側面図である。
【
図4】本開示における集電端子およびその周囲を例示する概略平面図である。
【
図5】従来の電池を例示する概略斜視図および概略側面図である。
【
図6】本開示における電池を例示する概略斜視図および概略側面図である。
【
図7】本開示における集電端子を例示する概略平面図である。
【
図8】本開示における集電端子を例示する概略斜視図である。
【
図9】本開示における電極体を例示する概略断面図である。
【
図10】本開示における電池の製造方法を例示する概略斜視図である。
【
図11】本開示における電池モジュールを例示する概略斜視図である。
【
図12】本開示における電池モジュールを例示する概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示における電池および電池モジュールについて、図面を用いて詳細に説明する。以下に示す各図は、模式的に示したものであり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。また、適宜、各部のハッチングを省略する場合がある。
【0014】
A.電池
図1は、本開示における電池を例示する概略斜視図である。
図2(a)および
図2(b)は、本開示における電池を例示する概略平面図であり、
図2(c)は、本開示における電池を例示する概略側面図である。
図1および
図2に示すように、電池100は、電極体10と、電極体10の側面部S
10から延在する複数の集電タブ20と、複数の集電タブ20と接続された集電端子30(第1集電端子30Aおよび第2集電端子30B)と、電極体10および複数の集電タブ20を収納するラミネートフィルム40と、を有する。
【0015】
図3は、
図2におけるA-A断面図である。
図3に示すように、集電タブ20は、電極体10側の端部である根元部Xと、集電端子30と接続するための接続部Yと、根元部Xおよび接続部Yを結ぶ中間部Zと、を有する。また、複数の集電タブ20は、それぞれの接続部Yが、厚さ方向(
図3における上下方向)に積層された積層接続部Wを有する。集電端子30は、電極体10の側面部S
10に対向する内面S
1と、内面S
1に対向する外面S
2と、内面S
1の外縁に沿って配置された4つの側面(S
3、S
4、S
5、S
6)とを有する。なお、
図3に、側面S
4および側面S
6は記載されていない。
図2(c)に示すように、4つの側面S
3~S
6には、ラミネートフィルム40が配置されている。
図3に示すように、集電端子30の内面S
1に、積層接続部Wの主面が接合されている。
【0016】
図4は、本開示における集電端子およびその周囲を例示する概略平面図である。
図4に示すように、集電端子30は、内面S
1の位置に該当する第1端部T
1、および、第1端部T
1に対向する第2端部T
2を含む基部31と、基部31から、電極体10とは反対側に突出する突出部32と、を有する。
【0017】
本開示によれば、所定の集電端子を用いることで、複数の電池を積層し、隣り合う集電端子を接合した場合であっても、集電端子および集電タブの接合部に応力が生じにくい電池となる。ここで、
図5(a)は、従来の電池を例示する概略斜視図であり、
図5(b)は、
図5(a)に示す電池を図面下側から観察した概略側面図である。また、
図6(a)は、本開示における電池を例示する概略斜視図であり、
図6(b)は、
図6(a)に示す電池を図面下側から観察した概略側面図である。
図5(a)、(b)に示すように、従来の電池において、集電端子30および集電タブ20の接合部は、集電端子30の主面(法線方向が厚さ方向と一致する面)に配置されていた。集電端子30の厚さは薄いため、複数の電池を積層する際に、厚さ方向における集電端子30の位置変化が大きい。その結果、集電端子30および集電タブ20の接合部には、大きな応力が生じ、集電端子および集電タブの接合性が低下したり、集電タブに破損が生じたりする可能性がある。これに対して、
図6(a)、(b)に示すように、本開示においては、積層接続部Wの主面が面接触可能な内面S
1を有する集電端子30を用いる。すなわち、集電端子30の厚さは厚いため、複数の電池を積層する際に、厚さ方向における集電端子30の位置変化が小さい。その結果、集電端子30および集電タブ20の接合部には、大きな応力が生じることを抑制できる。さらに、集電端子30が突出部32を有するため、突出部32を有しない場合に比べて、複数の電池を積層する際に、厚さ方向における集電端子30の位置変化が小さいという利点がある。特に、後述するように、複数の集電タブ20が湾曲構造を有する場合、集電端子30および集電タブ20の接合部に応力が生じた場合であっても、湾曲構造により応力が分散されやすくなる。
【0018】
1.電池の構成
本開示における電池は、電極体と、上記電極体の側面部から延在する複数の集電タブと、上記複数の集電タブと接続された集電端子と、上記電極体および上記複数の集電タブを収納するラミネートフィルムと、を有する。
【0019】
(1)電極体
本開示における電極体は、通常、正極集電体、正極活物質層、電解質層、負極活物質層および負極集電体を、厚さ方向において、この順に有する発電単位を備える。電極体の形状は特に限定されないが、例えば、頂面部と、頂面部に対向する底面部と、頂面部および底面部を連結する、4つの側面部と、を有することが好ましい。頂面部の形状は、特に限定されないが、例えば、正方形、長方形、菱形、台形、平行四辺形等の四角形が挙げられる。また、頂面部の形状は、四角形以外の多角形であってもよく、円形等の曲線を有する形状であってもよい。また、底面部の形状については、頂面部の形状と同様である。側面部の形状は、特に限定されないが、例えば、正方形、長方形、菱形、台形、平行四辺形等の四角形が挙げられる。
【0020】
(2)複数の集電タブ
本開示における複数の集電タブは、電極体の側面部から延在するように配置される。「電極体の側面部」とは、電極体を構成し、かつ、その法線方向が、電極体の積層方向と交差する部位をいう。例えば、
図3において、電極体10の側面部S
10の法線方向(図面上下方向)は、電極体10の積層方向(図面左右方向)と直交している。また、「電極体の積層方向」とは、電極体を構成する各層の厚さ方向をいう。
【0021】
図3に示すように、集電タブ20は、電極体10側の端部である根元部Xと、集電端子30と接続するための接続部Yと、根元部Xおよび接続部Yを結ぶ中間部Zと、を有する。根元部Xは、集電タブ20における電極体10側の端部(境界部)である。接続部Yは、集電端子30と接続するための部位であり、後述する積層接続部Wを構成する部位である。中間部Zは、根元部Xおよび接続部Yを結ぶ部位である。本開示において、複数の集電タブは、それぞれの接続部が、厚さ方向に積層された積層接続部を有する。
図3において、複数の集電タブ20における各々の接続部Yは、集電タブ20の厚さ方向に積層されており、それにより、積層接続部Wが形成されている。積層接続部Wにおいて、各々の接続部Yは互いに接合されている(互いに固定されている)。
【0022】
図3に示すように、電極体10の積層方向の断面視において、中間部Zは、中間部Zの一部同士が対向するように湾曲した湾曲構造(破線で示した領域)を有することが好ましい。
図3においては、複数の集電タブ20のうち、最も右側に位置する集電タブ20の中間部Zは、中間部Zの一部同士が対向していないため、上記湾曲構造を有しないが、その他の複数の集電タブ20の中間部Zは、いずれも湾曲構造を有する。このように、複数の集電タブ20のうち、少なくとも一つの集電タブ20の中間部Zが、湾曲構造を有することが好ましい。湾曲構造において、対向する中間部Zの一部同士は、直接接触するように配置されていてもよく、空間を設けて配置されていてもよい。また、
図3に示すように、複数の集電タブ20における中間部Zは、U字状に湾曲していることが好ましい。
【0023】
(3)集電端子
本開示における集電端子は、電極体の側面部に対向する内面と、前記内面の外縁に沿って配置された側面と、を有する。内面の形状は、特に限定されないが、例えば、正方形、長方形、菱形、台形、平行四辺形等の四角形が挙げられる。また、側面の数は、例えば複数である。また、側面の数は、例えば、内面の外縁の形状に依存する。例えば、内面の外縁の形状が、四角形の場合、集電端子は、4つの側面を有していてもよい。また、集電端子は、内面に対向する外面を有していてもよい。内面は、通常、ラミネートフィルムによりシールされた領域内にある面に該当する。外面は、通常、ラミネートフィルムによりシールされた領域外にある面に該当する。後述する基部および突出部は、それぞれ、内面に対向する外面を有していてもよい。内面、側面および外面は、それぞれ、平面であってもよく、曲面であってもよい。
【0024】
図4に示すように、平面視上、集電端子30は、基部31および突出部32を有する。基部31は、内面S
1の位置に該当する第1端部T
1と、第1端部T
1に対向する第2端部T
2を含む。
図4において、第2端部T
2は、外面S
21の位置に該当する。また、
図4に示すように、電極体10および集電端子30の対向方向をD
1とし、D
1に直交する方向をD
2とする。基部31は、方向D
1において、第1端部T
1の位置から、第2端部T
2の位置までの部位に該当する。集電端子30の基部31は、内面S
1と、内面S
1に対向する外面S
2と、内面S
1の外縁に沿って配置された4つの側面(S
3、S
4、S
5、S
6)とを有していてもよい。基部31の形状としては、例えば、直方体が挙げられる。一方、方向D
1において、突出部32は、基部31から、電極体10とは反対側に突出する部位である。
図4において、突出部32は、外面S
22の位置に該当する第3端部T
3を有する。第3端部T
3は、方向D
1において、第2端部T
2よりも外側(電極体10とは反対側)に位置する。突出部32の形状としては、例えば、直方体が挙げられる。突出部32は基部31から連続的に形成されていることが好ましい。
【0025】
本開示における集電端子は、複数の突出部を有していてもよい。
図4において、集電端子30は、突出部32として、第1突出部32aおよび第2突出部32bを有する。
図4に示すように、方向D
1に平行であり、かつ、方向D
2における集電端子30の中点Cを通過する軸をAXとする。軸AXにより区画された集電端子30の一方の領域に、第1突出部32aが配置され、軸AXにより区画された集電端子30の他方の領域に、第2突出部32bが配置されていることが好ましい。
図4に示すように、集電端子30は、U字形状を有することが好ましい。また、
図7に示すように、集電端子30は、1つの突出部32を有していてもよい。
図7に示す集電端子30は、T字形状を有する。
【0026】
図8に示すように、方向D
1における集電端子30の長さをL
1とし、方向D
2における集電端子30の長さをL
2とし、方向D
3(D
1およびD
2の両方に直交する方向)における集電端子30の長さをL
3とする。また、方向D
1における基部の長さをL
11とし、方向D
1における突出部の長さをL
12とする。L
11に対するL
12の割合(L
12/L
11)は、例えば、0.5以上、5以下であり、1以上3以下であってもよい。L
11およびL
12は、それぞれ、例えば、0.5cm以上、5cm以下である。L
2は、L
1より大きくてもよい。L
1に対するL
2の割合(L
2/L
1)は、例えば2以上であり、5以上であってもよく、10以上であってもよい。L
2は、L
3より大きくてもよい。L
3に対するL
2の割合(L
2/L
3)は、例えば5以上であり、10以上であってもよく、50以上であってもよい。L
1は、L
3より大きくてもよい。L
3に対するL
1の割合(L
1/L
3)は、例えば2以上であり、5以上であってもよく、10以上であってもよい。
【0027】
特に図示しないが、方向D1における電極体の長さをLXとし、方向D2における電極体の長さをLYとし、方向D3における電極体の長さをLZとする。LXに対するL1の割合(L1/LX)は、特に限定されない。LYに対するL2の割合(L2/LY)は、例えば、0.8以上であり、0.9以上であってもよく、0.95以上であってもよい。L2/LYは、例えば1.0以下である。LZに対するL3の割合(L3/LZ)は、例えば、0.8以上であり、0.9以上であってもよく、0.95以上であってもよい。L3/LZは、例えば1.0以下である。
【0028】
電池を集電端子側から側面視した場合、集電端子の内面と、電極体の側面部とは、重複するように配置されている。集電端子の内面と、電極体の側面部とが重複する領域を重複領域とする。電極体の側面部の面積SAに対する、重複領域の面積SBの割合(SB/SA)は、例えば80%以上であり、90%以上であってもよく、95%以上であってもよい。一方、SB/SAは、100%以下である。
【0029】
図3に示すように、集電端子30における内面S
1に、積層接続部Wの主面が接合される。「積層接続部Wの主面」とは、積層接続部Wを構成する面であって、かつ、その法線方向が接続部Yの厚さ方向と一致する面をいう。積層接続部Wの主面は、内面S
1に対して、直接接触して接合されていてもよく、他の部材(例えば、導電層)を介して接合されていてもよい。集電端子30の内面S
1と、積層接続部Wとは、通常、互いに接合されている(互いに固定されている)。
【0030】
(4)ラミネートフィルム
本開示におけるラミネートフィルムは、電極体および複数の集電タブを収納する。
図2(b)において、ラミネートフィルム40は、電極体10と、複数の集電タブ20と、を覆っている。
図2(b)、(c)に示すように、ラミネートフィルム40は、集電端子30の各側面S
3~S
6の一部を覆っている。
図2(c)に示すように、側面S
3~S
6には、それぞれラミネートフィルム40が配置されている。各側面およびラミネートフィルムは、直接接触していてもよく、他の部材(例えば、密着性を向上させる樹脂層)を介して配置されていてもよい。一方、
図1に示すように、電極体10および集電端子30の対向方向D
1に沿って、ラミネートフィルム40同士が融着したシール部41が配置されている。
【0031】
2.電池の部材
本開示における電池は、電極体と、集電タブと、集電端子と、ラミネートフィルムと、を少なくとも備える。
【0032】
本開示における電極体は、通常、正極集電体、正極活物質層、電解質層、負極活物質層および負極集電体を、厚さ方向において、この順に有する発電単位を備える。電極体は、通常、厚さ方向に積層された複数の発電単位を有する。例えば
図9に示す電極体10は、厚さ方向(方向D
3)に積層された複数の発電単位Uを有する。それぞれの発電単位Uは、正極集電体4、正極活物質層1、電解質層3、負極活物質層2および負極集電体5を、厚さ方向(方向D
3)において、この順に有する。また、隣り合う発電単位Uは、1つの負極集電体5を共有している。
【0033】
正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有する。正極活物質層は、導電材、電解質およびバインダーの少なくとも一つをさらに含有していてもよい。正極活物質としては、例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2等の酸化物活物質が挙げられる。導電材としては、例えば、炭素材料が挙げられる。電解質は、固体電解質であってもよく、液体電解質(電解液)であってもよい。固体電解質は、ゲル電解質等の有機固体電解質であってもよく、酸化物固体電解質、硫化物固体電解質等の無機固体電解質であってもよい。また、バインダーとしては、例えば、ゴム系バインダー、フッ化物系バインダーが挙げられる。
【0034】
負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有する。負極活物質層は、導電材、電解質およびバインダーの少なくとも一つをさらに含有していてもよい。負極活物質としては、例えば、Li、Si等の金属活物質、グラファイト等のカーボン活物質、Li4Ti5O12等の酸化物活物質が挙げられる。導電材、電解質およびバインダーについては、上述した内容と同様である。また、電解質層は、正極活物質層および負極活物質層の間に配置され、少なくとも電解質を含有する。電解質は、固体電解質であってもよく、液体電解質であってもよい。電解質については、上述した内容と同様である。電解質層は、セパレータを有していてもよい。
【0035】
正極集電体は、正極活物質層の集電を行う。正極集電体の材料としては、例えば、アルミニウム、SUS、ニッケル等の金属が挙げられる。正極集電体の形状としては、例えば箔状が挙げられる。負極集電体は、負極活物質層の集電を行う。負極集電体の材料としては、例えば、銅、SUS、ニッケル等の金属が挙げられる。負極集電体の形状としては、例えば箔状が挙げられる。
【0036】
本開示における電池は、集電タブとして、正極タブおよび負極タブを有する。
図9に示すように、正極タブ4tは、電極体10の側面部S
10から、電極体10の積層方向(方向D
3)と交差する方向に延在している。また、
図9に示すように、正極タブ4tは、正極活物質層1から連続的に形成されたものであってもよい。電極体10の積層方向(方向D
3)から観察した場合に、正極タブ4tは、正極活物質層1と重複しない位置に配置される。また、
図9において、負極タブ5tは、電極体10の側面部から、電極体10の積層方向(方向D
3)と交差する方向に延在している。負極タブの詳細については、正極タブと同様であるので、ここでの記載は省略する。
図9に示すように、電極体10の一方の側面部から、正極タブ4tが延在し、電極体10の他方の側面部から、負極タブ5tが延在していてもよい(両タブ構造)。一方、特に図示しないが、電極体の同一の側面部から、正極タブおよび負極タブが延在していてもよい(片タブ構造)。
【0037】
本開示における集電端子は、電極体における集電タブと電気的に接続されている。集電端子の形状としては、例えば、板状が挙げられる。また、集電端子の材料としては、例えば、Al、SUS等の金属が挙げられる。
【0038】
本開示におけるラミネートフィルムは、熱融着層および金属層がラミネートされた構造を少なくとも有する。また、ラミネートフィルムは、熱融着層、金属層および樹脂層を、厚さ方向に沿って、この順に有していてもよい。熱融着層の材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のオレフィン系樹脂が挙げられる。金属層の材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼が挙げられる。樹脂層の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロンが挙げられる。熱融着層の厚さは、例えば40μm以上100μm以下である。金属層の厚さは、例えば30μm以上60μm以下である。樹脂層の厚さは、例えば20μm以上60μm以下である。ラミネートフィルムの厚さは、例えば80μm以上、250μm以下である。
【0039】
本開示における電池は、典型的にはリチウムイオン二次電池である。電池の用途としては、例えば、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)、ガソリン自動車、ディーゼル自動車等の車両の電源が挙げられる。特に、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)または電気自動車(BEV)の駆動用電源に用いられることが好ましい。また、本開示における電池は、車両以外の移動体(例えば、鉄道、船舶、航空機)の電源として用いられてもよく、情報処理装置等の電気製品の電源として用いられてもよい。
【0040】
3.電池の製造方法
本開示における電池の製造方法は、上述した電池を製造できる方法であれば、特に限定されない。
図10は、本開示における電池の製造方法を例示する概略斜視図である。まず、
図10(a)に示すように、負極集電体5の両面に、それぞれ負極活物質層2を形成する。負極活物質層を形成する方法としては、例えば、負極活物質層の材料を含有するスラリーを、負極集電体上に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。次に、
図10(b)に示すように、2つの負極活物質層2上に、それぞれ、電解質層(図示せず)、正極活物質層(図示せず)および正極集電体4を配置し、積層体αを得る。
【0041】
その後、
図10(c)に示すように、複数の積層体αを、積層方向D
Lに積層し、積層体βを作製する。次に、
図10(d)に示すように、正極タブ4tの先端を接合して、積層接続部Wを作製し、積層接続部Wの主面を、集電端子30の内面S
1と接合する。積層接続部Wの作製方法としては、例えば、レーザー溶接、電子ビーム溶接等の溶接を用いる方法、導電性ペーストを用いる方法、半田を用いる方法が挙げられる。また、積層接続部Wの主面と、集電端子30の内面S
1とを接合する方法も、積層接続部Wの作製方法と同様である。次に、
図10(e)に示すように、集電端子30における内面S
1および外面S
2の法線方向が、積層方向D
Lと直交するように、集電端子30を回転させる。その後、負極タブ(図示せず)にも同様の処理を行い、得られた部材を、1枚のラミネートフィルムを用いて、対向する2つの集電端子の一部(少なくとも、それぞれの外面)が露出するように、電極体を覆うことで、電池が得られる。
【0042】
B.電池モジュール
図11は、本開示における電池モジュールを例示する概略斜視図である。
図11に示す電池モジュール200は、複数の電池100が、電極体の積層方向D
Lに積層されている。
【0043】
本開示によれば、上記「A.電池」に記載された電池を用いることで、隣り合う集電端子を接合した場合であっても、集電端子および集電タブの接合部に応力が生じにくい電池モジュールとなる。
【0044】
本開示における電池モジュールは、3以上の電池を有することが好ましい。連続的に積層された3つの電池を、それぞれ、電池A、電池Bおよび電池Cと称する。例えば、上からN番目(N≧1)の電池を電池Aとし、その直下の電池を電池Bとし、電池Bの直下の電池を電池Cとすることができる。
【0045】
例えば、
図11に示す複数の電池100のうち、最も上の電池100を電池Aとし、その直下の電池100を電池Bとし、電池Bの直下の電池100を電池Cとする。
図11において、電池Aの第1突出部32a、電池Bの第1突出部32a、および、電池Cの第1突出部32aは、電極体の積層方向D
Lの平面視において、それぞれ少なくとも一部が重複するように配置されている。同様に、
図11において、電池Aの第2突出部32b、電池Bの第2突出部32b、および、電池Cの第2突出部32bは、電極体の積層方向D
Lの平面視において、それぞれ少なくとも一部が重複するように配置されている。
【0046】
図11において、電池B(上から2番目の電池100)を基準とする。電池Bの第1突出部32aは、電池A(最も上に位置する電池100)の第1突出部32aと接合されており、かつ、電池C(上から3番目の電池100)の第1突出部32aと接合されていないことが好ましい。さらに、電池Bの第2突出部32bは、電池A(最も上に位置する電池100)の第2突出部32bと接合されておらず、かつ、電池C(上から3番目の電池100)の第2突出部32bと接合されていることが好ましい。このように、電極体の積層方向D
Lにおいて、(i)隣り合う第1突出部32aの接合部と、隣り合う第1突出部32aの非接合部とを交互に配置すること、(ii)隣り合う第2突出部32bの接合部と、隣り合う第2突出部32bの非接合部とを交互に配置すること、および、(iii)第1突出部32aにおける接合部および非接合部の周期と、第2突出部32bにおける接合部および非接合部の周期とをずらすこと、を満たすことにより、集電端子に変形が生じることを効果的に抑制できる。
【0047】
また、
図11では、電極体の積層方向D
Lにおいて、複数の第1集電端子30Aが重複するように配置されている。この場合、それぞれの電池100は、並列に接続される。一方、
図12に示すように、電極体の積層方向D
Lにおいて、複数の第1集電端子30Aと、複数の第2集電端子30Bと、が重複するように配置されていてもよい。この場合、複数の第1集電端子30Aで接合された電池群と、複数の第2集電端子30Bで接合された電池群とは、直列に接続される。
【0048】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0049】
1…正極活物質層
2…負極活物質層
3…電解質層
4…正極集電体
5…負極集電体
10…電極体
20…集電タブ
30…集電端子
40…ラミネートフィルム
100…電池
200…電池モジュール