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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】照明装置、照明方法、プロジェクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/105 20200101AFI20240730BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240730BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20240730BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240730BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240730BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20240730BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240730BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240730BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240730BHJP
【FI】
H05B47/105
F21S2/00 300
G02F1/01 D
G02F1/13 505
G02F1/13357
G02F1/1347
G03B21/14 A
G03B21/00 D
F21Y115:30
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022524294
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2021012611
(87)【国際公開番号】W WO2021235085
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2024-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2020086878
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田原 寛之
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-133668(JP,A)
【文献】特表2017-520022(JP,A)
【文献】特表2017-532583(JP,A)
【文献】国際公開第2016/208171(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/098281(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
F21S 2/00
G02F 1/00
G03B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を有する光源部と、
前記光源部からの入射光に対する空間光位相変調を行う位相変調部と、
前記位相変調部の位相変調面を分割して形成される複数のドメインが、投影面上の共通領域にFreeform法に基づき求められた共通の位相分布に基づく光強度分布を再生するように前記位相変調部を制御する制御部と、を備える
照明装置。
【請求項2】
前記光源部は複数の発光素子を有する
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記Freeform法により計算した位相分布に対し前記ドメインのサイズに応じたスケーリング処理を施して得た位相分布を前記共通の位相分布として用いる
請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ドメインごとの位相分布として、前記共通の位相分布に対しドメイン位置に応じたレンズ成分を加算して得た位相分布を割り当てる
請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記ドメインの分割数を動的に変化させる
請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記入射光の光強度分布の均一性を評価した結果に基づいて前記ドメインの分割数を変化させる
請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記均一性の評価が低い場合は高い場合よりも前記分割数を増加させる
請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記均一性の評価が低くなるに従って前記分割数を増加させる
請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記光源部は複数の発光素子を有し、
前記制御部は、
前記均一性の評価を、前記光源部における非発光の前記発光素子の検出有無に基づいて行う
請求項6に記載の照明装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記投影面を撮像した撮像画像に基づき、前記投影面における再生像の光強度分布と目標とする光強度分布との差を求め、該差に基づいて前記ドメインの分割数を変化させる
請求項5に記載の照明装置。
【請求項11】
発光素子を有する光源部と、前記光源部からの入射光に対する空間光位相変調を行う位相変調部とを備えた照明装置における照明方法であって、
前記位相変調部の位相変調面を分割して形成される複数のドメインが、投影面上の共通領域にFreeform法に基づき求められた共通の位相分布に基づく光強度分布を再生するように前記位相変調部を制御する
照明方法。
【請求項12】
発光素子を有する光源部と、
前記光源部からの入射光に対する空間光位相変調を行う位相変調部と、
前記位相変調部により空間光位相変調が施された光について空間光強度変調を行う強度変調部と、
前記位相変調部の位相変調面を分割して形成される複数のドメインが、前記強度変調部の強度変調面上の共通領域にFreeform法に基づき求められた共通の位相分布に基づく光強度分布を再生するように前記位相変調部を制御する制御部と、を備える
プロジェクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、入射光に対する空間光位相変調を行うことで所望の像を再生する照明装置とその方法、及びそのような照明装置を適用したプロジェクタ装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルやDMD(Digital Micromirror Device)等の空間光変調器(Spatial Light Modulator:SLM)を用いて入射光に対する空間光変調を行って所望の像(光強度分布)を再生する技術が知られている。例えば、入射光に対する空間光強度変調を行うことで所望の像を再生する技術が広く知られている。
【0003】
或いは、入射光に対する空間光位相変調を行うことで、所望の再生像を投影する技術も知られている(例えば、下記特許文献1を参照)。空間光強度変調を行う場合、所望の光強度分布を再生するにあたってはSLMにおいて入射光の一部が減光又は遮光されるものとなるが、空間光位相変調の場合には、SLMにおいて減光や遮光を行わずに所望の光強度分布を再生可能であるため、光の利用効率を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2017-520022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
空間光位相変調を用いる場合において、所望の像を再生するための位相分布を求める手法としては、特許文献1に開示の手法に代表されるようなFreeform法が知られている。ここで、Freeform法とは、所望の像を再生するための位相分布を光線光学に基づき求める手法の総称である。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される旧来のFreeform法は、入射光の光強度分布が一様な分布(面内方向において光強度差の無い均一な分布)であることを前提とし、且つ、位相変調面全面と投影面全面における光線グリッド点(仮想的な光線が各面を貫く点)が最適な一対一対応の関係で結ばれるように入射光線を屈折作用させる位相分布を求める手法とされているため、入射光の光強度分布が非均一であると、再生像に入射光強度分布が重畳されてしまうものとなる。ここで、最適な一対一対応の関係とは、一対一の対応関係で位相変調面から投影面へマッピングされた光線Grid点の投影面上における密度分布が目標強度分布に極力近くなるという意味である。
【0007】
本技術は上記の事情に鑑み為されたものであり、入射光強度分布に対するロバスト性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術に係る照明装置は、発光素子を有する光源部と、前記光源部からの入射光に対する空間光位相変調を行う位相変調部と、前記位相変調部の位相変調面を分割して形成される複数のドメインが、投影面上の共通領域にFreeform法に基づき求められた共通の位相分布に基づく光強度分布を再生するように前記位相変調部を制御する制御部と、を備えるものである。
Freeform法とは、所望の像を再生するための位相分布を光線光学に基づき求める手法の総称である。上記のように複数のドメインが投影面上の共通領域に共通の位相分布に基づく光強度分布を再生することで、該共通領域に再生される光強度分布は、各ドメインによる光強度分布を合成したものとなる。そのため、入射光の光強度分布が一様でなく非均一な分布であっても、投影面においては各ドメインからの寄与が平均化されるため、再生像の光強度分布が変化し難くなる。
【0009】
上記した本技術に係る照明装置においては、前記光源部は複数の発光素子を有する構成とすることが考えられる。
これにより、所定の光量条件を満たすにあたり光源部に単一の高出力発光素子を用いる必要がなくなる。
【0010】
上記した本技術に係る照明装置においては、前記制御部は、前記Freeform法により計算した位相分布に対し前記ドメインのサイズに応じたスケーリング処理を施して得た位相分布を前記共通の位相分布として用いる構成とすることが考えられる。
これにより、Freeform法による位相分布計算をドメインごとに行う必要がなくなる。
【0011】
上記した本技術に係る照明装置においては、前記制御部は、前記ドメインごとの位相分布として、前記共通の位相分布に対しドメイン位置に応じたレンズ成分を加算して得た位相分布を割り当てる構成とすることが考えられる。
これにより、ドメインごとに共通の位相分布を用いる場合に対応して投影面の共通領域に共通の光強度分布を適切に再生することが可能となる。
【0012】
上記した本技術に係る照明装置においては、前記制御部は、前記ドメインの分割数を動的に変化させる構成とすることが考えられる。
ドメインの分割数を増加させると入射光強度分布に対するロバスト性が高められ、ドメイン分割数を減少させると再生像の解像度が高められる。
【0013】
上記した本技術に係る照明装置においては、前記制御部は、前記入射光の光強度分布の均一性を評価した結果に基づいて前記ドメインの分割数を変化させる構成とすることが考えられる。
これにより、例えば入射光強度分布の均一性が低い場合にはドメイン分割数を増加させて再生像に対する入射光強度分布の影響緩和を図り、入射光強度分布の均一性が高い場合にはドメイン分割数を減少させて再生像の解像度向上を図る等、入射光強度分布に応じた適切なドメイン分割数の制御を行うことが可能となる。
【0014】
上記した本技術に係る照明装置においては、前記制御部は、前記均一性の評価が低い場合は高い場合よりも前記分割数を増加させる構成とすることが考えられる。
これにより、入射光強度分布の均一性が低い場合にはドメイン分割数を増加させて再生像に対する入射光強度分布の影響緩和を図り、入射光強度分布の均一性が高い場合にはドメイン分割数を減少させて再生像の解像度向上を図ることが可能となる。
【0015】
上記した本技術に係る照明装置においては、前記制御部は、前記均一性の評価が低くなるに従って前記分割数を増加させる構成とすることが考えられる。
これにより、入射光強度分布の均一性が低下するに従って、入射光強度分布が再生像に与える影響の緩和効果を高めることが可能となる。
【0016】
上記した本技術に係る照明装置においては、前記光源部は複数の発光素子を有し、前記制御部は、前記均一性の評価を、前記光源部における非発光の前記発光素子の検出有無に基づいて行う構成とすることが考えられる。
これにより、入射光強度分布の均一性評価を発光素子の導通状態についての検出結果に基づき行うことが可能となる。
【0017】
上記した本技術に係る照明装置においては、前記制御部は、前記投影面を撮像した撮像画像に基づき、前記投影面における再生像の光強度分布と目標とする光強度分布との差を求め、該差に基づいて前記ドメインの分割数を変化させる構成とすることが考えられる。
これにより、再生像の光強度分布と目標とする光強度分布との差が抑制されるようにドメイン分割数の調整を行うことが可能とされる。
【0018】
また、本技術に係る照明方法は、発光素子を有する光源部と、前記光源部からの入射光に対する空間光位相変調を行う位相変調部とを備えた照明装置における照明方法であって、前記位相変調部の位相変調面を分割して形成される複数のドメインが、投影面上の共通領域にFreeform法に基づき求められた共通の位相分布に基づく光強度分布を再生するように前記位相変調部を制御する照明方法である。
このような照明方法によっても、上記した本技術に係る照明装置と同様の作用が得られる。
【0019】
本技術に係るプロジェクタ装置は、発光素子を有する光源部と、前記光源部からの入射光に対する空間光位相変調を行う位相変調部と、前記位相変調部により空間光位相変調が施された光について空間光強度変調を行う強度変調部と、前記位相変調部の位相変調面を分割して形成される複数のドメインが、前記強度変調部の強度変調面上の共通領域にFreeform法に基づき求められた共通の位相分布に基づく光強度分布を再生するように前記位相変調部を制御する制御部と、を備えるものである。
これにより、位相変調部を設けて光源部からの入射光についての光利用効率の向上を図るプロジェクタ装置において、位相変調部に対する入射光の光強度分布が一様でなく非均一な分布であっても、再生像の光強度分布が変化し難くなるように図られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本技術に係る第一実施形態としての照明装置の構成例を示した図である。
図2】実施形態としての照明装置が備える光源部の構成例についての説明図である。
図3】空間光位相変調による像再生の原理についての説明図である。
図4】現状におけるFreeform法の課題についての説明図である。
図5】第一実施形態としての像再生手法の概要についての説明図である。
図6】第一実施形態としての像再生手法の作用についての説明図である。
図7】位相変調面における位相変調可能領域とドメインの座標系、及び投影面における投影領域(共通領域)の座標系の説明図である。
図8】位相変調可能領域全域の位相分布と該位相分布が投影領域において実現する強度分布との関係を模式的に表した図である。
図9】ドメインの位相分布と該位相分布が投影領域において実現する強度分布との関係を模式的に表した図である。
図10】スケーリングした位相分布に対するレンズ成分の加算についての説明図である。
図11】ドメインごとの位相分布を求めるための具体的な処理例を示したフローチャートである。
図12】全てのドメインが共通領域に共通の光強度分布を再生することを模式的に表した図である。
図13】一部のドメインのみが共通領域に共通の光強度分布を再生する例の説明図である。
図14】第二実施形態における第一例としての照明装置の構成例を示した図である。
図15】第二実施形態における第一例としてのドメイン分割処理の例を示したフローチャートである。
図16】第二実施形態における第二例としての照明装置の構成例を示した図である。
図17】第二実施形態における第二例としてのドメイン分割処理の例を示したフローチャートである。
図18】実施形態としての照明装置を適用したプロジェクタ装置の構成例を示した図である。
図19】変形例としての光源部についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照し、本技術に係る実施形態を次の順序で説明する。

<1.第一実施形態>
[1-1.照明装置の構成]
[1-2.第一実施形態としての像再生手法]
[1-3.処理手順]
<2.第二実施形態>
[2-1.第一例]
[2-1.第二例]
<3.第三実施形態>
[3-1.プロジェクタ装置の構成]
[3-2.第三実施形態としての像再生手法]
<4.変形例>
<5.実施形態のまとめ>
<6.本技術>
【0022】
<1.第一実施形態>
[1-1.照明装置の構成]

図1は、本技術に係る第一実施形態としての照明装置1の構成例を示した図である。
図示のように照明装置1は、光源部2、位相変調SLM(Spatial Light Modulator:空間光変調器)3、駆動部4、及び制御部5を有している。
この照明装置1は、位相変調SLM3が光源部2からの入射光に対する空間光位相変調を行うことで、投影面Sp上に所望の像(光強度分布)を再生するように構成されている。このような照明装置1は、例えば、車両用のヘッドランプ(前照灯)等への適用が考えられる。ヘッドランプへの適用の場合、位相変調SLM3による空間光位相変調によってハイビーム又はロービームの照射範囲を変化させるという構成を採ることが考えられる。
【0023】
光源部2は、位相変調SLM3への入射光の光源として機能する。本例において、光源部2は、例えば図2に例示するように、複数の発光素子2aを有して構成される。具体的に、光源部2は、複数の発光素子2aが二次元に配列されたアレイ状の光源とされ、これら複数の発光素子2aより発せられた光が位相変調SLM3に対して入射される。
本例において、発光素子2aにはレーザ発光素子が用いられる。なお、発光素子2aはレーザ発光素子に限定されるものではなく、例えばLED(Light Emitting Diode)や放電ランプ等の他の発光素子を用いることもできる。
【0024】
位相変調SLM3は、例えば透過型液晶パネルで構成され、入射光に対する空間光位相変調を行う。
なお、位相変調SLM3としては透過型ではなく反射型の空間光位相変調器として構成することもできる。反射型の空間光位相変調器としては、例えば反射型液晶パネルやDMD(Digital Micromirror Device)等を用いることができる。
【0025】
駆動部4は、位相変調SLM3を駆動するための駆動回路を有して構成される。駆動部4は、位相変調SLM3の各画素を個別に駆動することが可能に構成されている。
【0026】
制御部5は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコンピュータ等して構成され、目標画像(つまり目標とする光強度分布を示す情報)を入力し、該目標画像を投影面Sp上に再生するための位相変調SLM3の位相分布を計算する。制御部5は、計算した位相分布に従って位相変調SLM3が駆動されるように駆動部4を制御する。
なお、本実施形態において制御部5が計算する位相分布の詳細については後に改めて説明する。
【0027】
[1-2.第一実施形態としての像再生手法]

先ず、第一実施形態としての像再生手法の説明に先立ち、空間光位相変調による像再生の原理について図3を参照して説明しておく。
図3では、位相変調SLM3の位相変調面Smに入射する各光線と、位相変調SLM3における位相分布の波面と、位相変調後の各光線と、位相変調後の各光線によって投影面Sp上に形成される光強度分布との関係を模式的に示している。
先ず前提として、位相変調SLM3における位相分布の波面は、Freeform法が用いられることで図示のように滑らかな曲線を描く。位相変調SLM3での空間光位相変調によって、入射した各光線は、位相分布の波面の法線方向に進行するように屈折される。この屈折により、投影面Sp上では、光線密度が高まる部分と光線密度が疎となる部分とが形成され、これにより、投影面Sp上に光強度分布が形成される。
このような原理により、位相変調SLM3に設定する位相分布のパターンによって投影面Sp上に所望の像を再生することが可能とされる。
【0028】
ここで、前述のように、目標画像を再生するための位相分布を求める手法としてはFreeform法が知られている。Freeform法は、所望の像を再生するための位相分布を光線光学に基づき求める手法の総称である。
例えば、上述した特許文献1に開示されるような旧来のFreeform法は、図4Aに示すように位相変調面Smへの入射光の光強度分布が一様な分布であること、つまり面内方向において光強度差の無い均一な分布であることを前提とした手法となっている。また、旧来のFreeform法は、位相変調面全面と投影面全面における光線グリッド点(仮想的な光線が各面を貫く点)が最適な一対一対応の関係で結ばれるように入射光線を屈折作用させる位相分布を求める手法とされている。
このため、図4Bに示すように位相変調面Smへの入射光の一部が遮蔽物Oaにより遮蔽される等として、入射光強度分布が一様な分布とならない場合には、入射光強度分布が再生像に重畳してしまい、適切な像再生を行うことができない虞がある。
【0029】
そこで、本実施形態では、入射光強度分布に対するロバスト性向上を図るべく、図5に例示するように、位相変調面Smを複数のドメインDmに分割する手法を採る。具体的に、本実施形態では、複数のドメインDmが投影面Sp上の共通領域Rcに共通の位相分布に基づく光強度分布を再生する、という手法を採る。この際、複数のドメインDmに共通の位相分布はFreeform法により求める。
【0030】
複数のドメインDmが投影面Sp上の共通領域Rcに共通の位相分布に基づく光強度分布を再生することで、共通領域Rcに再生される光強度分布は、各ドメインDmによる光強度分布を合成したものとなる。そのため、入射光の光強度分布が一様でなく非均一な分布であっても、投影面Spにおいては各ドメインDmからの寄与が平均化されるため、再生像の光強度分布が変化し難くなる。
【0031】
図6は、図5で説明した手法を採ることによる作用についての説明図である。
具体的に、図6において、図6Aでは、位相変調面Smへの入射光の一部が遮蔽物Oaによって遮られることで非均一な入射光強度分布とされた場合において、図5で説明した実施形態としての像再生手法を採った際に投影面Spの共通領域Rcに再生される像を例示している。また、図6Bでは、同様に位相変調面Smへの入射光の一部が遮蔽物Oaによって遮られることで非均一な入射光強度分布とされた場合において、ドメインDmごとの再生像を例示している。
図6Bに示すように、遮光の影響が大きいドメインDm、すなわち遮光の影響により入射光線が少ないドメインDmについては、再生像の光量が少なくなる傾向となるが、遮光の影響が小さいドメインDmについては再生像の光量が多くなる傾向となり、投影面Sp上の共通領域Rcでは、各ドメインDmからの寄与が平均化される。その結果、入射光の光強度分布が一様でなく非均一な分布であっても、再生像の光強度分布が変化し難くなる。
【0032】
これにより、入射光の光強度分布が非均一である場合において、入射光強度分布が再生像に重畳され難くすることができ、入射光強度分布に対するロバスト性向上が図られる。
また、位相変調面Smを複数のドメインDmに分割していることで、位相変調SLM3の画素ごとの性能ばらつきに対するロバスト性の向上も図られる。例えば、位相変調SLM3の或る画素が故障した場合、位相変調面Smを分割しない従来手法ではその画素と対応する投影面Spの点において所望の再生像が正常に表示されないものとなるが、本実施形態では、上記のような平均化効果によって投影面Spの該点においても所望の再生像が正常に表示されるように図ることができる。
【0033】
ドメインDmごとの位相分布を求めるための具体的な手法について、図7から図9を参照して説明する。
以下では説明の便宜上、図7のように位相変調面の位相変調可能領域において座標系(x,y) を、位相変調面のドメインDmにおいて座標系(x’,y’) を、投影面における投影領域(上述した共通領域Rc)において座標系(ux,uy)を定める。また、位相変調可能領域に対するドメインDmの位置のシフト量を(Δx,Δy) とし、位相変調可能領域に対するドメインDmの面積縮小倍率をr(r>2)とする。また、位相変調面と投影面との距離をfとする。
先ず、位相変調可能領域全域から投影領域へ光線を一対一に対応させる位相分布PをFreeform 法により求める。特許文献1に記載されているように、位相変調可能領域上の点(x,y)=(x,y)に入射した光線が位相分布Pから受ける屈折作用は、その点(x,y)=(x,y)における位相分布Pの勾配ベクトル

【数1】


で決まり、その光線が投影面を貫く点(ux,uy)=(ux,uy)と位相変調面上の点(x,y)=(x,y)との面内方向の変位は勾配ベクトルと投影距離fとの積として次の[式2]で与えられる。

【数2】


よって、位相分布Pによる屈折作用を受けたある光線が位相変調面を貫く点と投影面を貫く点の対応関係は次の[式3]で与えられる

【数3】

【0034】
ドメインDm上に与えるべき位相分布を「P’」と呼ぶことにする。
図8及び図9に示すように、位相分布Pが位相変調可能領域全域に入射した光線を屈折させることで投影領域において実現する強度分布を「I」とし、位相分布P’がドメインDmに入射した光線を屈折させることで投影領域において実現する強度分布を「I’」とする。位相分布P’が満たすべき条件は、強度分布Iと強度分布I’が一致することである。
【0035】
ここで、図9のように、ドメインDm上の任意のある点を点A’とし,その座標を(x’,y’)=(s,s)とする。また、点A’において位相分布P’による屈折作用を受けた光線が投影面を貫く点を点B’とする。
さらに、図8のように、点A’に対して座標(x,y)=(r・s,r・s)の対応関係にある位相変調可能領域上の点を点Aとし、点Aにおいて位相分布Pによる屈折作用を受けた光線が投影面を貫く点を点Bとする。
【0036】
強度分布Iと強度分布I’を一致させるには、点Bと点B’が一致するように位相分布P’を定めればよい。このような条件を満たす位相分布P’が存在するとすると、[式2]で説明したように、点A’における位相分布P’の勾配ベクトルと投影距離fとの積は、点Bと点A’との面内方向の変位と一致するが、点B の座標は[式3]の左辺の表式を用いて

【数4】

となり、点A’の(x,y)座標系による座標は(x,y)=(s+Δx,s+Δy)となることに注意すると、位相分布P’が満たすべき条件式として次の[式5]を得る。

【数5】


[式3]を用いると[式5]は次の[式6]のように書き換えられる。

【数6】

【0037】
ここで、点A’は、ドメインDm上の任意の点であるため、[式6]において(s,s)を改めて(x’,y’)と書き換えた次の[式7]のような条件式を得る。

【数7】


[式7]の右辺における(x’,y’)に関する回転場を計算すると次の[式8]のようになる。

【数8】


ここで、位相分布Pは(x,y)上の既知のスカラー場であり、その勾配場の回転場は任意の(x,y)に対してゼロとなるため、[式8]は結局ゼロとなる。一般に、あるベクトル場を勾配場として与えるようなスカラー場が存在するための必要十分条件はそのベクトル場の回転場が至る所でゼロとなることであるので、[式7]の条件式の右辺の回転場がゼロになることは、[式7]を満たす位相分布P’、すなわち[式7]の右辺を勾配場として与える位相分布P’が確かに存在することを示している。従って、ドメインDm上の任意の点(x’,y’)=(s,s)における位相分布P’の値は、[式7]の右辺を線積分することで以下のように構成することができる。

【数9】




【0038】
上記[式10]における第1の項は位相分布Pを空間方向にも位相方向にも縮小倍率rでスケーリングした成分を表し、第2、3項はドメインDmの位置によって決まるレンズ成分を表す。従って、分割数分の個々の位相分布P’を計算するには、先ず、Freeform法により求めた位相分布Pについて、空間方向と位相方向のスケーリングを行い、このようなスケーリング後の位相分布に対し、ドメインDm毎にその位置に応じたレンズ成分を加算して、各ドメインDmの位相分布P’として割り当てれば良い。
このようにすることで、各ドメインDmからの再生像の位置をずらすことなく、投影面上の共通の投影領域において共通の光強度分布を再生することができる。
【0039】
ここで以下、位相変調可能領域全体について求めた位相分布Pのことを「基礎位相分布Dpr」と表記する。また、この基礎位相分布Dprに対しドメインDmのサイズに応じた空間方向及び位相方向のスケーリングを施して得られる位相分布のことを「共通位相分布Dpc」と表記する。
【0040】
なお、上記では、基礎位相分布Dprは、位相変調面Sm上における位相変調可能領域全域についての位相分布として求めるものとしたが、基礎位相分布Dprは、位相変調面Sm上に設定される基礎領域Arのサイズに対応した位相分布である。基礎領域Arのサイズは、少なくともドメインDmのサイズよりも大きく、位相変調面Sm上の位相変調可能領域以下のサイズであればよい。
【0041】
このとき、基礎位相分布Dprに対するスケーリングについては、基礎領域Arの面積を「arr」、ドメインDmの面積を「ard」としたとき、倍率「ard/arr」によるスケーリングとして行う。
【0042】
図10は、レンズ成分の加算についての説明図である。
ここでは、ドメインDmとして中央に位置されるドメインDm-1と、ドメインDm-1に対しそれぞれ上方、下方に位置されるドメインDm-2、ドメインDm-3とを例示している。図中、レンズ成分Dpl-1として示す位相分布は、ドメインDm-1の位置に対応したレンズ成分としての位相分布、レンズ成分Dpl-2、Dpl-3は、それぞれドメインDm-2、Dm-3の位置に対応したレンズ成分としての位相分布である。
図示のようにドメインDm-1に対して設定すべき位相分布Dpd-1は、共通位相分布Dpcに対してレンズ成分Dpl-1を加算した位相分布として求める。同様に、ドメインDm-2に対して設定すべき位相分布Dpd-2は、共通位相分布Dpcに対してレンズ成分Dpl-2を加算した位相分布として求め、ドメインDm-3に対して設定すべき位相分布Dpd-3は、共通位相分布Dpcに対してレンズ成分Dpl-3を加算した位相分布として求める。
これにより、ドメインDm-1、Dm-2、Dm-3の各ドメインDmが投影面Sp上の共通領域Rcに共通の光強度分布を再生することができる。
【0043】
以下、上記のように共通位相分布Dpcに対しドメインDmごとに対応するレンズ成分Dplを加算して得られる位相分布のことを「ドメイン位相分布Dpd」と総称する。
【0044】
[1-3.処理手順]

図11のフローチャートを参照し、ドメイン位相分布Dpdを求めるための具体的な処理手順の例を説明する。
なお、図11に示す処理は図1に示した制御部5が実行する。
【0045】
先ず、制御部5はステップS101で、目標画像を入力する。
ここで、動画像の再生である場合、目標画像としては、動画像を構成するフレーム画像を入力する。動画像の再生である場合、図11に示す処理は、動画像のフレーム周期で繰り返し実行する。静止画の再生である場合には、目標画像として静止画を入力する。この場合、図11に示す処理は、再生すべき1枚の静止画に対し少なくとも1回実行すればよい。
【0046】
ステップS101に続くステップS102で制御部5は、位相分布計算処理を実行する。この位相分布計算処理は、Freeform法により前述した基礎位相分布Dprを計算する処理となる。具体的には、ステップS101で入力した目標画像を投影面Sp上で再生するための基礎位相分布DprをFreeform法により計算する。
【0047】
ステップS102に続くステップS103で制御部5は、位相分布のスケーリングを行う。具体的には、ステップS102で計算した基礎位相分布Dprに対して上述した空間方向及び位相方向のスケーリングを行って、共通位相分布Dpcを得る。
【0048】
ステップS103に続くステップS104で制御部5は、ドメイン識別子nを初期値である0にリセットする。このドメイン識別子nは、処理対象とするドメインDmを識別するために制御部5が管理する識別子である。
【0049】
ステップS104に続くステップS105で制御部5は、n番目ドメインのレンズ成分Dplを取得する。ここで、本例において制御部5には、予めドメインDmごとのレンズ成分Dplが記憶されている。このため、ステップS105で制御部5は、これら記憶されたレンズ成分Dplのうちn番目のドメインDmについてのレンズ成分Dplを取得する処理を行う。
【0050】
ステップS105に続くステップS106で制御部5は、スケーリング後の位相分布にレンズ成分Dplを加算し、n番目ドメインの位相分布を算出する。すなわち、ステップS103のスケーリング処理で得られた共通位相分布Dpcに対しステップS105で取得したレンズ成分Dplを加算することで、n番目のドメインDmについてのドメイン位相分布Dpdを算出する。
【0051】
ステップS106に続くステップS107で制御部5は、ドメイン識別子nが最大値nMAX以上であるか否かを判定する。ここで、最大値nMAXは、ドメインDmの分割数に対応する値であり、例えばドメインDmの分割数=16であれば「15」が設定される。
【0052】
ステップS107において、ドメイン識別子nが最大値nMAX以上でない場合、制御部5はステップS108に進んでドメイン識別子nを1インクリメントし、ステップS105に戻る。これにより、ドメイン位相分布Dpdの算出が未完了のドメインDmがある場合には、次のドメインDmについてステップS105以降の処理が再度行われる。
【0053】
一方、ステップS107においてドメイン識別子nが最大値nMAX以上であれば、制御部5は図11に示す一連の処理を終える。
【0054】
なお、上記では全てのドメインDmが投影面Sp上の共通領域Rcに共通の光強度分布を再生することを前提とした。
図12は、このように全てのドメインDmが共通領域Rcに共通の光強度分布を再生することを模式的に表している。
【0055】
しかしながら、全てのドメインDmが共通領域Rcに共通の光強度分布を再生することは必須ではなく、図13に例示するように、一部のドメインDmのみが共通領域Rcに共通の光強度分布を再生する構成を採ることもできる。
【0056】
<2.第二実施形態>
[2-1.第一例]

続いて、第二実施形態について説明する。
第二実施形態は、ドメインDmの分割数を動的に変化させるものである。
ここでは、第二実施形態における第一例として、ドメインDmの分割数を、入射光の光強度分布の均一性を評価した結果に基づいて変化させる例を説明する。
【0057】
入射光の光強度分布は、経時的に変化し得るものである。特に、本例のように光源部2として複数の発光素子2aが配列された光源を用いる場合、故障等により一部の発光素子2aが非発光となることが想定され、位相変調SLM3への入射光強度分布が経時的に変化し得る。
【0058】
先の図6の原理説明から理解されるように、ドメインDmの分割数を少なくすると、各ドメインDmによる入射光強度分布の平均化効果が低下する傾向となり、分割数を多くすると該平均化効果は高まる傾向となる。一方で、ドメインDmの分割数を少なくした場合には、一つのドメインDmに割り当てられる画素数が多くなることから、再生像の解像度向上を図ることができる。
【0059】
そこで、本例では、入射光の光強度分布の均一性を評価し、均一性の評価が低い場合は高い場合よりもドメインDmの分割数を増加させるという手法を採る。
これにより、入射光強度分布の均一性が低い場合にはドメインDmの分割数を増加させて再生像に対する入射光強度分布の影響緩和を図り、入射光強度分布の均一性が高い場合にはドメインDmの分割数を減少させて再生像の解像度向上を図ることが可能となる。
従って、入射光強度分布に対するロバスト性と再生像の解像度とについて、入射光強度分布に応じた適切なバランス調整を行うことができる。
【0060】
図14は、第二実施形態における第一例としての照明装置1Aの構成例を示した図である。
なお、以下の説明において、既に説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
照明装置1Aにおいて、図1に示した照明装置1との差異点は、非発光素子検出部6が設けられた点と、制御部5に代えて制御部5Aが設けられた点である。
非発光素子検出部6は、光源部2における非発光の発光素子2aを検出する。例えば、非発光素子検出部6は、各発光素子2aの導通状態に基づき、非発光の発光素子2aを検出する。具体的に、本例の非発光素子検出部6は、各発光素子2aの駆動電流値を監視し、駆動電流値が所定値以下の発光素子2aを非発光の発光素子2aとして検出する。
【0062】
制御部5Aは、非発光素子検出部6による検出結果に基づき、ドメインDmの分割数を動的に変化させる処理を行う。具体的に、制御部5Aは、図15に示す処理を実行する。
【0063】
図15は、第二実施形態における第一例としてのドメイン分割処理の例を示したフローチャートである。
先ず、制御部5AはステップS201で、非発光の発光素子2aがあるか否かを判定する。この判定は、非発光素子検出部6の検出結果に基づき行う。
非発光の発光素子2aがないと判定した場合、制御部5Aは図15に示す一連の処理を終える。つまりこの場合、ドメインDmの分割数は変更されずに維持される。具体的には、後述する基準分割数が維持される。
【0064】
一方、非発光の発光素子2aがあると判定した場合、制御部5AはステップS202に進んで非発光素子数(非発光の発光素子2aの数)が閾値TH1以下か否かを判定する。ここで、閾値TH1は2以上の自然数として設定される。なお、非発光素子数は、非発光素子検出部6の検出結果に基づき求めることができる。
【0065】
非発光素子数が閾値TH1以下であれば、制御部5AはステップS203に進んで、ドメイン分割数を「基準分割数+α1」に設定する。ここで、基準分割数は、ドメインDmの分割数について予め定められた基準となる分割数であり、本例では、光源部2に非発光の発光素子2aが無い状態に対応して定められた分割数とされる。例えば、基準分割数は、位相変調SLM3の画素数等にもよるが、4×4=16や6×6=36等に設定することが考えられる。
【0066】
一方、非発光素子数が閾値TH1以下でなければ、制御部5AはステップS204に進んで、ドメイン分割数を「基準分割数+α2」に設定する。ここで、α2>α1である。
これにより、非発光素子数が1以上且つ閾値TH1以下であれば、ドメインDmの分割数として「基準分割数+α1」が設定され、非発光素子数が閾値TH1よりも大きい場合にはドメインDmの分割数として「基準分割数+α1」よりも大きい「基準分割数+α2」が設定される。これは、入射光強度分布の均一性の評価が低くなるに従って、ドメインDmの分割数を増加させていると換言することができる。
【0067】
制御部5Aは、ステップS203又はS204の処理を実行したことに応じて図15に示す一連の処理を終える。
【0068】
ここで、ドメインDmの分割数を動的に変化させる場合には、設定され得る分割数ごとに、ドメインDmごとのレンズ成分Dplを用意しておく。例えば、制御部5Aが読み出し可能なメモリに記憶させておく。ドメインDmの分割数を変化させた場合、制御部5Aは、このようにメモリに記憶された各分割数についてのドメインDmごとのレンズ成分Dplのうち、変更後の分割数についてのドメインDmごとのレンズ成分Dplを取得し、ドメイン位相分布Dpdの計算に用いる。
なお、ドメインDmの分割数を変化させるごとに、各ドメインDmのレンズ成分Dplを計算して取得することも考えられる。
【0069】
[2-1.第二例]

第二実施形態の第二例は、再生像と目標画像との光強度分布差に基づいてドメインDmの分割数を変化させるものである。
図16は、第二実施形態における第二例としての照明装置1Bの構成例を示した図である。
図1に示した照明装置1との差異点は、撮像部7が設けられた点と、制御部5に代えて制御部5Bが設けられた点である。
【0070】
撮像部7は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子を有し、位相変調SLM3により投影面Spに投影された再生像を撮像する。
【0071】
制御部5Bは、撮像部7による撮像画像に基づき、再生像の光強度分布と目標画像の光強度分布(目標とする光強度分布)との差を求め、該光強度分布の差に基づいてドメインDmの分割数を変化させる。具体的には、図17に示す処理を行う。
【0072】
図17は、第二実施形態における第二例としてのドメイン分割処理の例を示したフローチャートである。
先ず、制御部5BはステップS301で、撮像画像に基づき、再生像と目標画像との光強度分布差の評価値を計算する。この評価値は、例えば、光強度分布差が大きいほど値が大きくなる評価値として計算する。
【0073】
ステップS301に続くステップS302で制御部5Bは、評価値が所定値以上か否かを判定する。評価値が所定値以上でないと判定とした場合(つまり光強度分布差が小さい場合)、制御部5Bは図17に示す一連の処理を終える。
【0074】
一方、評価値が所定値以上であると判定とした場合、制御部5BはステップS303に進んでドメイン分割数を「基準分割数+α」に設定し、図17に示す一連の処理を終える。
これにより、再生像と目標画像との光強度分布差が大きい場合は小さい場合よりもドメインDmの分割数が増加される。その結果、再生像と目標画像との光強度分布差が抑制されるようにドメイン分割数の調整を行うことが可能となる。
【0075】
なお、第二例において、ドメインDmの分割数は、目標画像と再生像との光強度分布差が大きくなるに従って増加させるようにすることもできる。
また、第二例において、撮像部7は照明装置1Bと一体に構成される必要はなく、照明装置1Bに外付けとされてもよい。
【0076】
<3.第三実施形態>
[3-1.プロジェクタ装置の構成]

第三実施形態は、これまで説明した実施形態としての照明装置をプロジェクタ装置に適用したものである。
図18は、実施形態としての照明装置を適用したプロジェクタ装置10の構成例を示した図である。
図示のようにプロジェクタ装置10は、図1に示した照明装置1と同様に光源部2、位相変調SLM3、駆動部4、及び制御部5を備えると共に、強度変調SLM11、低周波画像生成部12、高周波画像生成部13、及び駆動部14を備えている。
【0077】
強度変調SLM11は、例えば透過型の液晶パネルで構成され、入射光に対し空間光強度変調を行う。図示のように強度変調SLM11は位相変調SLM3の後段に配置され、光源部2より発せられ位相変調SLM3により空間光位相変調が施された光が入射される。
プロジェクタ装置10は、強度変調SLM11により空間光強度変調が施された光を投影面Sp’に投影することで、投影面Sp’に目標画像の再生像を投影する。
【0078】
なお、強度変調SLM11としては、例えば反射型の液晶パネルやDMD等の反射型の空間光変調器を用いることもできる。
【0079】
低周波画像生成部12は、目標画像についてのローパスフィルタとして構成され、目標画像の低周波成分を抽出し、低周波画像として制御部5に出力する。この場合の制御部5は、低周波画像生成部12が出力する低周波画像を目標画像として、図7で例示した第一実施形態としての処理を行って各ドメインDmについてのドメイン位相分布Dpdを計算する。そして、計算したドメイン位相分布Dpdに従った空間光位相変調が行われるように駆動部4を制御する。
ここで、図中に示す投影面Spの位置を参照して分かるように、この場合における位相分布は、強度変調SLM11における強度変調面上において目標とする像を再生するようにFreeform法により計算される。また、この場合、ドメインDmごとのレンズ成分Dplは、このように強度変調SLM11の強度変調面に設定された投影面Sp上の共通領域Rcに各ドメインDmによる光強度分布が再生されるように計算されたものを用いる。
【0080】
高周波画像生成部13は、目標画像についてのハイパスフィルタとして構成され、目標画像の高周波成分を抽出し、高周波画像として駆動部14に出力する。
駆動部14は、入力された高周波画像に従って強度変調SLM11の各画素を駆動する。
これにより、強度変調SLM11による空間光強度変調を受けた光には高周波画像に応じた光強度分布が与えられる。
【0081】
[3-2.第三実施形態としての像再生手法]

ここで、従来のプロジェクタ装置では、光源からの光に強度変調SLM11による空間光強度変調を施すことで再生像を得るようにしていたが、空間光強度変調では光源からの入射光の一部を遮蔽又は減光することになるため、光の利用効率が低く、高コントラスト化を図り難いという事情があった。
【0082】
そこで、本実施形態では、第一、第二実施形態で説明した照明装置、すなわち空間光位相変調によって所望の光強度分布を再生するという照明装置をプロジェクタ装置10に応用し、光の利用効率の向上を図り、再生像のコントラスト向上を図る。
【0083】
図18に示す構成によれば、強度変調SLM11の強度変調面に設定された投影面Spの共通領域Rcには、位相変調SLM3の空間光位相変調により、目標画像の低周波画像に応じた光強度分布が再生される。これは、強度変調SLM11による空間光強度変調が行われる前に、目標画像の大まかな光強度分布を形成しておくことに相当し、いわば、液晶ディスプレイにおけるバックライトのエリア分割駆動に似た制御となる。ただし、ここでの光強度分布は位相変調により形成されるものであるため、光源からの光の利用効率の低下防止が図られる。
この場合の強度変調SLM11は、位相変調SLM3によって再生された低周波画像の再生像のディテールを整えて、投影面Sp’上に目標画像に応じた光強度分布を再生するように機能する。これにより、再生像の解像度低下の抑制を図りつつ、再生像の高コントラスト化を図ることができる。
【0084】
図18に示すプロジェクタ装置10では、位相変調SLM3における空間光位相変調の手法として、各ドメインDmが共通領域に共通の光強度分布を再生する手法が採られている。このことで、投影面Sp’上における再生像に光源からの入射光の光強度分布が重畳してしまうことの防止が図られる。換言すれば、投影面Sp’における像再生について、入射光強度分布に対するロバスト性向上が図られる。
【0085】
なお、図示による説明は省略するが、プロジェクタ装置10においても、第二実施形態の第一例や第二例で説明したようなドメインDmの分割数を動的に変化させる処理が行われてもよい。
【0086】
<4.変形例>

ここで、実施形態としては上記で説明した具体例に限定されるものではなく、多様な変形例としての構成を採り得る。
例えば、上記では、基礎位相分布DprをFreeform法により都度計算する例を挙げたが、基礎位相分布Dprとしては予め計算されたものを用いることも可能である。
例えば、照明装置1として、ヘッドライトへの適用等の場合は、再生すべき画像(光強度分布)が限られていることがある。その場合には、再生すべき画像ごとに予め計算された基礎位相分布Dprの情報を制御部5が読み出し可能なメモリに記憶させておき、再生画像の切り替えタイミングで、該メモリから該当する基礎位相分布Dprを読み出して用いるようにすることもできる。
また、ドメインDmの分割数が固定である場合には、ドメインDmごとのレンズ成分Dplは固定となるため、該固定のレンズ成分Dplを用いて、再生すべき画像ごとに各ドメインDmのドメイン位相分布Dpdを予め計算しておくことができる。この場合には、これら予め計算された画像ごとの各ドメインDmのドメイン位相分布Dpdをメモリに記憶させておき、再生画像の切り替えタイミングで、該メモリから該当するドメイン位相分布Dpdを読み出して用いるようにすることもできる。
【0087】
また、光源部2については、図19に示す光源部2Aのように、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色の発光素子2r、2g、2bが複数配列されたものを用いることもできる。この場合、これら各色の発光素子2r、2g、2bが発する光の合成光により、白色による像再生を行うことができる。
このとき、実施形態としての照明装置やプロジェクタ装置では、像再生は屈折現象を利用して行われるものであるため(図3等を参照)、CGH(Computer-Generated Hologram)のように回折現象を利用して像再生を行う場合のような波長選択性の問題については無視することができる。このため、図19に例示する各色の発光素子2r、2g、2bを配列した光源部2Aを用いた場合であっても、波長選択性を考慮して発光素子2r、2g、2bを色ごとに時分割で発光させる必要はなくなる。また、三板式のプロジェクタ装置のように色ごとに光路や空間光変調器を分けて設ける構成を採る必要もなくなる。
【0088】
<5.実施形態のまとめ>

以上で説明してきたように実施形態としての照明装置(同1、1A、1B、又はプロジェクタ装置10)は、発光素子(同2a、2r、2g、2b)を有する光源部(同2、2A)と、光源部からの入射光に対する空間光位相変調を行う位相変調部(位相変調SLM3)と、位相変調部の位相変調面を分割して形成される複数のドメイン(同Dm)が、投影面(同Sp)上の共通領域(同Rc)にFreeform法に基づき求められた共通の位相分布(共通位相分布Dpc)に基づく光強度分布を再生するように位相変調部を制御する制御部(同5、5A、5B)と、を備えるものである。
このように複数のドメインが投影面上の共通領域に共通の位相分布に基づく光強度分布を再生することで、該共通領域に再生される光強度分布は、各ドメインによる光強度分布を合成したものとなる。そのため、入射光の光強度分布が一様でなく非均一な分布であっても、投影面においては各ドメインからの寄与が平均化されるため、再生像の光強度分布が変化し難くなる。
従って、入射光の光強度分布が非均一である場合において、非均一な入射光強度分布が再生像に重畳され難くすることができ、入射光強度分布に対するロバスト性向上を図ることができる。
入射光強度分布に対するロバスト性向上が図られることで、光源部が一様な強度分布の光を発する必要がなくなり、複数の発光素子が配列されたアレイ状の光源部を用いることができる。これにより、コスト削減を図ることができる。
また、アレイ状の光源部を用いた場合に、経年変化により発光素子間の発光強度差が大きくなったとしても再生像への影響を緩和することができる。
【0089】
また、実施形態としての照明装置においては、光源部は複数の発光素子を有している。
これにより、所定の光量条件を満たすにあたり光源部に単一の高出力発光素子を用いる必要がなくなる。
従って、光源部の低コスト化を図ることができる。
【0090】
さらに、実施形態としての照明装置においては、制御部は、Freeform法により計算した位相分布に対しドメインのサイズに応じたスケーリング処理を施して得た位相分布を共通の位相分布として用いている。
これにより、Freeform法による位相分布計算をドメインごとに行う必要がなくなる。
従って、処理負担の軽減を図ることができる。
【0091】
さらにまた、実施形態としての照明装置においては、制御部は、ドメインごとの位相分布として、共通の位相分布に対しドメイン位置に応じたレンズ成分(同Dpl)を加算して得た位相分布を割り当てている。
これにより、ドメインごとに共通の位相分布を用いる場合に対応して投影面の共通領域に共通の光強度分布を適切に再生することが可能となる。
従って、位相分布計算に係る処理負担軽減を図りつつ入射光強度分布に対するロバスト性向上を図ることができる。
【0092】
また、実施形態としての照明装置においては、制御部(同5A、5B)は、ドメインの分割数を動的に変化させている。
ドメインの分割数を増加させると入射光強度分布に対するロバスト性が高められ、ドメイン分割数を減少させると再生像の解像度が高められる。
従って、ドメインの分割数を動的に変化させることで、これらロバスト性や再生像の解像度について動的なバランス調整を行うことができる。
【0093】
さらに、実施形態としての照明装置においては、制御部(同5A)は、入射光の光強度分布の均一性を評価した結果に基づいてドメインの分割数を変化させている。
これにより、例えば入射光強度分布の均一性が低い場合にはドメイン分割数を増加させて再生像に対する入射光強度分布の影響緩和を図り、入射光強度分布の均一性が高い場合にはドメイン分割数を減少させて再生像の解像度向上を図る等、入射光強度分布に応じた適切なドメイン分割数の制御を行うことが可能となる。
従って、入射光強度分布に対するロバスト性と再生像の解像度とについて、入射光強度分布に応じた適切なバランス調整を行うことができる。
【0094】
さらにまた、実施形態としての照明装置においては、制御部は、均一性の評価が低い場合は高い場合よりも分割数を増加させている。
これにより、入射光強度分布の均一性が低い場合にはドメイン分割数を増加させて再生像に対する入射光強度分布の影響緩和を図り、入射光強度分布の均一性が高い場合にはドメイン分割数を減少させて再生像の解像度向上を図ることが可能となる。
従って、入射光強度分布に対するロバスト性と再生像の解像度とについて、入射光強度分布に応じた適切なバランス調整を行うことができる。
【0095】
また、実施形態としての照明装置においては、制御部は、均一性の評価が低くなるに従って分割数を増加させている。
これにより、入射光強度分布の均一性が低下するに従って、入射光強度分布が再生像に与える影響の緩和効果を高めることが可能となる。
従って、入射光強度分布が再生像に与える影響を適切に緩和することができる。
【0096】
さらに、実施形態としての照明装置においては、光源部は複数の発光素子を有し、制御部は、均一性の評価を、光源部における非発光の発光素子の検出有無に基づいて行っている。
これにより、入射光強度分布の均一性評価を発光素子の導通状態についての検出結果に基づき行うことが可能となる。
従って、均一性評価のための検出部の構成を簡略化することができ、部品点数の削減及びコスト削減を図ることができる。
【0097】
さらにまた、実施形態としての照明装置においては、制御部(同5B)は、投影面を撮像した撮像画像に基づき、投影面における再生像の光強度分布と目標とする光強度分布との差を求め、該差に基づいてドメインの分割数を変化させている。
これにより、再生像の光強度分布と目標とする光強度分布との差が抑制されるようにドメイン分割数の調整を行うことが可能とされる。
従って、入射光強度分布に対するロバスト性向上を図ることができる。
【0098】
また、実施形態としての照明方法は、発光素子を有する光源部と、光源部からの入射光に対する空間光位相変調を行う位相変調部とを備えた照明装置における照明方法であって、位相変調部の位相変調面を分割して形成される複数のドメインが、投影面上の共通領域にFreeform法に基づき求められた共通の位相分布に基づく光強度分布を再生するように位相変調部を制御する照明方法である。
【0099】
このような実施形態としての照明方法によっても、上記した実施形態としての照明装置と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0100】
また、実施形態としてのプロジェクタ装置(同10)は、発光素子を有する光源部と、光源部からの入射光に対する空間光位相変調を行う位相変調部と、位相変調部により空間光位相変調が施された光について空間光強度変調を行う強度変調部(強度変調SLM11)と、位相変調部の位相変調面を分割して形成される複数のドメインが、強度変調部の強度変調面上の共通領域にFreeform法に基づき求められた共通の位相分布に基づく光強度分布を再生するように位相変調部を制御する制御部(同5)と、備えるものである。
これにより、位相変調部を設けて光源部からの入射光についての光利用効率の向上を図るプロジェクタ装置において、位相変調部に対する入射光の光強度分布が一様でなく非均一な分布であっても、再生像の光強度分布が変化し難くなるように図ることが可能となる。
従って、再生像の高コントラスト化を図りつつ、入射光強度分布に対するロバスト性向上を図ることができる。
【0101】
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0102】
<6.本技術>

なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
発光素子を有する光源部と、
前記光源部からの入射光に対する空間光位相変調を行う位相変調部と、
前記位相変調部の位相変調面を分割して形成される複数のドメインが、投影面上の共通領域にFreeform法に基づき求められた共通の位相分布に基づく光強度分布を再生するように前記位相変調部を制御する制御部と、を備える
照明装置。
(2)
前記光源部は複数の発光素子を有する
前記(1)に記載の照明装置。
(3)
前記制御部は、
前記Freeform法により計算した位相分布に対し前記ドメインのサイズに応じたスケーリング処理を施して得た位相分布を前記共通の位相分布として用いる
前記(1)又は(2)に記載の照明装置。
(4)
前記制御部は、
前記ドメインごとの位相分布として、前記共通の位相分布に対しドメイン位置に応じたレンズ成分を加算して得た位相分布を割り当てる
前記(3)に記載の照明装置。
(5)
前記制御部は、
前記ドメインの分割数を動的に変化させる
前記(1)から(4)の何れかに記載の照明装置。
(6)
前記制御部は、
前記入射光の光強度分布の均一性を評価した結果に基づいて前記ドメインの分割数を変化させる
前記(5)に記載の照明装置。
(7)
前記制御部は、
前記均一性の評価が低い場合は高い場合よりも前記分割数を増加させる
前記(6)に記載の照明装置。
(8)
前記制御部は、
前記均一性の評価が低くなるに従って前記分割数を増加させる
前記(7)に記載の照明装置。
(9)
前記光源部は複数の発光素子を有し、
前記制御部は、
前記均一性の評価を、前記光源部における非発光の前記発光素子の検出有無に基づいて行う
前記(6)から(8)の何れかに記載の照明装置。
(10)
前記制御部は、
前記投影面を撮像した撮像画像に基づき、前記投影面における再生像の光強度分布と目標とする光強度分布との差を求め、該差に基づいて前記ドメインの分割数を変化させる
前記(5)から(9)の何れかに記載の照明装置。
(11)
発光素子を有する光源部と、前記光源部からの入射光に対する空間光位相変調を行う位相変調部とを備えた照明装置における照明方法であって、
前記位相変調部の位相変調面を分割して形成される複数のドメインが、投影面上の共通領域にFreeform法に基づき求められた共通の位相分布に基づく光強度分布を再生するように前記位相変調部を制御する
照明方法。
(12)
発光素子を有する光源部と、
前記光源部からの入射光に対する空間光位相変調を行う位相変調部と、
前記位相変調部により空間光位相変調が施された光について空間光強度変調を行う強度変調部と、
前記位相変調部の位相変調面を分割して形成される複数のドメインが、前記強度変調部の強度変調面上の共通領域にFreeform法に基づき求められた共通の位相分布に基づく光強度分布を再生するように前記位相変調部を制御する制御部と、を備える
プロジェクタ装置。
【符号の説明】
【0103】
1、1A、1B 照明装置
2、2A 光源部
2a、2r、2g、2b 発光素子
3 位相変調SLM
4、14 駆動部
5、5A、5B 制御部
6 非発光素子検出部
7 撮像部
Sp、Sp’ 投影面
Sm 位相変調面
Dm、Dm-1、Dm-2、Dm-3 ドメイン
Rc 共通領域
Oa 遮蔽物
Ar 基礎領域
Dpr 基礎位相分布
Dpc 共通位相分布
Dpd ドメイン位相分布
Tar、Tas 接線
Dpl、Dpl-1、Dpl-2、Dpl-3 レンズ成分
10 プロジェクタ装置
11 強度変調SLM
12 低周波画像生成部
13 高周波画像生成部
図1
図2
図3
図4
図5
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