(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
H02H 7/18 20060101AFI20240730BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20240730BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H02H7/18
B25F5/00 H
H02J7/00 A
B25F5/00 A
(21)【出願番号】P 2022556909
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 JP2021037330
(87)【国際公開番号】W WO2022080252
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2020174984
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【氏名又は名称】村井 弘実
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【氏名又は名称】村井 隆
(72)【発明者】
【氏名】菅野 翔太
(72)【発明者】
【氏名】原野 友敬
(72)【発明者】
【氏名】船引 勇佑
(72)【発明者】
【氏名】若田部 直人
(72)【発明者】
【氏名】尾田 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】渡部 伸二
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-030024(JP,A)
【文献】特開2011-140108(JP,A)
【文献】特開2019-021594(JP,A)
【文献】国際公開第2014/017265(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/18
B25F 5/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力によって作動する作動部と、
前記作動部を収容する胴体部と、
前記胴体部に接続されて、前記作動部に電力を供給するための電池パックが装着可能な電池パック装着部と、
前記電池パック装着部に設けられ、前記電池パックと接続可能な複数の端子を有する端子保持部と、
前記複数の端子を構成する第1正極端子及び第1負極端子に着脱可能に構成されたヒューズユニットであって、前記第1正極端子及び前記第1負極端子の間に接続されるヒューズと、一端が前記ヒューズの一端に接続され他端が前記第1正極端子に着脱可能に接続される第1導体部と、一端が前記ヒューズの他端に接続され他端が前記第1負極端子に着脱可能に接続される第2導体部と、を含むヒューズユニットと、
を有する、ことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器であって、
前記第1正極端子及び前記第1負極端子は、前記電池パックが前記電池パック装着部に装着された状態で、前記電池パックから前記作動部に電力を供給するための電力供給路の一部として機能し、
前記電力供給路は、前記電池パックの正極端子及び負極端子に接続される第1電力供給路と、前記第1電力供給路とは別の第2電力供給路と、を有し、
前記第1電力供給路及び前記第2電力供給路は、前記電池パックが前記電池パック装着部に装着されていない状態では互いに接続されない非接続状態となり、かつ前記電池パックが前記電池パック装着部に装着されている状態では互いに直列に接続される直列接続状態となるよう構成され、
前記第2電力供給路に前記ヒューズユニットが設けられる、ことを特徴とする電気機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気機器であって、
前記第1導体部の他端は前記第1正極端子に篏合した状態で接続され、前記第2導体部の他端は前記第1負極端子に篏合した状態で接続される、ことを特徴とする電気機器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気機器であって、
前記電池パック装着部は、前記電池パックを前記電池パック装着部に向けて前方に移動させて前記電池パックを装着するよう構成され、
前記端子保持部は、前記端子保持部の後部に位置して前記電池パックに対向する正面部と、前記正面部の反対側に位置する背面部と、を有し、
前記端子保持部の前記背面部に前記ヒューズユニットを配置した、ことを特徴とする電気機器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気機器であって、
前記ヒューズは絶縁材で被覆され、前記端子保持部の幅寸法内の領域に配置される、ことを特徴とする電気機器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気機器であって、
前記端子保持部は前記電池パックから電力が入力される入力端子群を有し、前記ヒューズは幅方向で前記入力端子群とオーバーラップする位置に配置された、ことを特徴とする電気機器。
【請求項7】
請求項
4に記載の電気機器であって、
前記ヒューズユニットは、さらに前記ヒューズ、前記第1導体部及び前記第2導体部を保持する基板を有し、前記基板は前記端子保持部の前記背面部に固定される、ことを特徴とする電気機器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の電気機器であって、
前記ヒューズユニットは、前記胴体部及び前記電池パック装着部の外部に配置される、ことを特徴とする電気機器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電気機器であって、
前記端子保持部は、さらに前記複数の端子を保持する樹脂製のホルダ部を有し、前記ホルダ部には前記ホルダ部から所定方向に延在する延出部が設けられ、前記ヒューズは前記延出部で覆われる領域に配置される、ことを特徴とする電気機器。
【請求項10】
請求項2に記載の電気機器であって、
前記電池パックは少なくとも2つのセルユニットを有し、前記第2電力供給路は前記2つのセルユニットを互いに直列に接続するよう構成された、ことを特徴とする電気機器。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか一項に記載の電気機器であって、
前記ヒューズユニットと前記第1正極端子及び前記第1負極端子は、はんだによって互いに固定される、ことを特徴とする電気機器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の電気機器であって、
前記端子保持部は、第2正極端子と第2負極端子をさらに有し、
前記電池パック装着部に前記電池パックが装着されていない状態において、前記作動部は、前記第1正極端子と前記第1負極端子とを電気的に接続する経路上に配置されず、前記第2正極端子と前記第2負極端子とを電気的に接続する経路上に配置される、ことを特徴とする電気機器。
【請求項13】
電力によって作動する作動部と、
前記作動部を収容する胴体部と、
前記胴体部に接続されて、前記作動部に電力を供給するための電池パックが装着可能な電池パック装着部と、
前記電池パック装着部に設けられ、前記電池パックと接続可能な複数の端子を有する端子保持部と、
前記端子保持部に保持され、一端側が前記電池パックと接続可能に構成される第1端子及び第2端子と、
前記第1端子の他端側と前記第2端子の他端側とを電気的に接続する電流経路上において、着脱可能に接続されるヒューズと、
を有する、ことを特徴とする電気機器。
【請求項14】
請求項13に記載の電気機器であって、
前記ヒューズは、第1導体部によって前記第1端子の他端側に接続され、第2導体部によって前記第2端子の他端側に接続され、
前記第1導体部と前記第2導体部は、基板の一部または配線として構成される、ことを特徴とする電気機器。
【請求項15】
請求項14に記載の電気機器であって、
前記作動部の動作を制御するためのコントローラが前記胴体部に収容され、
前記ヒューズは、前記胴体部の内部において、前記端子保持部と前記コントローラとの間の空間に配置される、ことを特徴とする電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高い電圧を出力することが可能な電池パックの普及やモータの高出力化等によって、電動工具等の電気機器において、大きな電流が流れるようになっている。このため、例えばモータの異常やコントローラの誤作動等、何らかの異変が発生した場合に、電気機器に不具合が生じるレベルの大電流が流れる恐れが増している。下記特許文献1は、交流電源から電動機に繋がる電流路にヒューズを設けた電動工具を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒューズのように自身の変形、破損によって電流を遮断する素子は、素子交換が煩雑になる恐れがある(課題1)。さらに、ヒューズの接続が不十分だと、電気機器の使用に伴う姿勢の変化や振動によってヒューズの接続が不十分になる恐れがある(課題2)。また、ヒューズのような制御部材を新たに組み込む場合、ハウジングの収容空間が圧迫されるほか、内部構成の経年劣化を早めたり、配線が複雑化し組み立てが困難になったりする恐れがある(課題3)。
【0005】
本発明は、上記の課題1~3の少なくともいずれかの解決を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、電気機器である。この電気機器は、電力によって作動する作動部と、前記作動部を収容する胴体部と、前記胴体部に接続されて、前記作動部に電力を供給するための電池パックが装着可能な電池パック装着部と、前記電池パック装着部に設けられ、前記電池パックと接続可能な複数の端子を有する端子保持部と、前記複数の端子を構成する第1正極端子及び第1負極端子に着脱可能に構成されたヒューズユニットであって、前記第1正極端子及び前記第1負極端子の間に接続されるヒューズと、一端が前記ヒューズの一端に接続され他端が前記第1正極端子に着脱可能に接続される第1導体部と、一端が前記ヒューズの他端に接続され他端が前記第1負極端子に着脱可能に接続される第2導体部と、を含むヒューズユニットと、を有する、ことを特徴とする。この態様によれば、ヒューズが溶断した場合には、端子保持部からヒューズユニットを取り外し、新たなヒューズユニットを端子保持部に装着することにより、再び電気機器が使用可能となる。よってメンテナンスの容易な電気機器を提供することができる。
【0007】
前記第1正極端子及び前記第1負極端子は、前記電池パックが前記電池パック装着部に装着された状態で、前記電池パックから前記作動部に電力を供給するための電力供給路の一部として機能するよう構成されてもよい。
【0008】
前記電力供給路は、前記電池パックの正極端子及び負極端子に接続される第1電力供給路と、前記第1電力供給路とは別の第2電力供給路と、を有し、前記第1電力供給路及び前記第2電力供給路は、前記電池パックが前記電池パック装着部に装着されていない状態では互いに接続されない非接続状態となり、かつ前記電池パックが前記電池パック装着部に装着されている状態では互いに直列に接続される直列接続状態となるよう構成され、前記第2電力供給路に前記ヒューズユニットが設けられてもよい。これによれば、電池パックの正極端子及び負極端子に接続される第1電力供給路とは別の第2電力供給路にヒューズユニットを設けるから、第1電力供給路にヒューズユニットを設ける構成に比べて、第1電力供給路をコンパクトに構成することができる。
【0009】
前記第1導体部の他端は前記第1正極端子に篏合した状態で接続され、前記第2導体部の他端は前記第1負極端子に篏合した状態で接続されてもよい。これによれば、例えばはんだ付けのみで接続される構成と比べて、嵌合接続のため振動等の衝撃に強く、かつ交換容易な構成とすることができる。
【0010】
前記電池パック装着部は、前記電池パックを前記電池パック装着部に向けて前方に移動させて前記電池パックを装着するよう構成され、前記端子保持部は、前記端子保持部の後部に位置して前記電池パックに対向する正面部と、前記正面部の反対側に位置する背面部と、を有し、前記端子保持部の前記背面部に前記ヒューズユニットを配置してもよい。これによれば、端子保持部の背面部にある余剰空間を利用してヒューズユニットを配置することができる。よってコンパクトな電気機器を提供することができる。
【0011】
本発明の別の態様は、電気機器である。この電気機器は、電力によって作動する作動部と、前記作動部を収容する胴体部と、前記胴体部に接続されて、前記作動部に電力を供給するための電池パックが装着可能な電池パック装着部と、前記電池パック装着部に設けられ、前記電池パックと接続可能な複数の端子を有する端子保持部と、前記複数の端子を構成する第1正極端子及び第1負極端子に接続されたヒューズユニットであって、前記第1正極端子及び前記第1負極端子の間に接続されるヒューズと、一端が前記ヒューズの一端に接続され他端が前記第1正極端子に接続される第1導体部と、一端が前記ヒューズの他端に接続され他端が前記第1負極端子に接続される第2導体部と、を含むヒューズユニットと、を有する、電気機器であって、前記電池パック装着部は、前記電池パックを前記電池パック装着部に向けて前方に移動させて前記電池パックを装着するよう構成され、前記端子保持部は、前記端子保持部の後部に位置して前記電池パックに対向する正面部と、前記正面部の反対側に位置する背面部と、を有し、前記端子保持部の前記背面部に前記ヒューズユニットを配置した、ことを特徴とする。この態様によれば、端子保持部の背面部側の領域を利用することで、コンパクトな構成にできる。またヒューズへの配線を短くできる。
【0012】
前記ヒューズは絶縁材で被覆され、前記端子保持部の幅寸法内の領域に配置されてもよい。前記端子保持部は前記電池パックから電力が入力される入力端子群を有し、前記ヒューズは幅方向で前記入力端子群とオーバーラップする位置に配置されてもよい。これによれば、ヒューズを幅寸法内に収めた(端子とオーバーラップ構成とした)ためコンパクトな構成を実現できる。絶縁被覆によって防塵性を高めると大きくなってしまうが、背面部側への配置によってコンパクトさを維持できる。
【0013】
前記ヒューズユニットは、さらに前記ヒューズ、前記第1導体部及び前記第2導体部を保持する基板を有し、前記基板は前記端子保持部の前記背面部に固定されてもよい。これによれば、固定ユニット化によって組み立て容易となる。
【0014】
前記ヒューズユニットは、前記胴体部及び前記電池パック装着部の外部に配置されてもよい。これによれば、胴体部及び電池パック装着部の収容空間を小さくし、本体を小型化できる。
【0015】
前記ヒューズユニットは、前記端子保持部の外面と前記電池パック装着部の外面との間に形成される領域に配置されてもよい。これによれば、ヒューズユニットは、2つの部材に挟まれ、保護される位置関係となる。
【0016】
前記端子保持部は、さらに前記複数の端子を保持する樹脂製のホルダ部を有し、前記ホルダ部には前記ホルダ部から所定方向に延在する延出部が設けられ、前記ヒューズは前記延出部で覆われる領域に配置されてもよい。これによれば、延出部によりヒューズを保護できる。
【0017】
前記電池パックは少なくとも2つのセルユニットを有し、前記第2電力供給路は前記2つのセルユニットを互いに直列に接続するよう構成されてもよい。これによれば、1つのヒューズによって、2つのセルユニットに対する保護を図ることができる。
【0018】
前記ヒューズユニットと前記第1正極端子及び前記第1負極端子は、前記第1導体部及び前記第2導体部に形成された係合部に対する操作又は所定以上の熱によって固定力が減衰する固定手段によって互いに固定されてもよい。これによれば、ヒューズユニットの交換が可能である。
【0019】
本発明の別の態様は、電気機器である。この電気機器は、電力によって作動する作動部と、前記作動部を収容するハウジングと、前記作動部の作動を制御し、前記ハウジングの外部に保持される制御部材と、を有する、ことを特徴とする。この態様によれば、ハウジングの収容空間を制御部材が圧迫せず、コンパクトな構成を実現できる。ハウジング外部のデッドスペースも活用できる。
【0020】
前記制御部材は、電流を遮断可能な電気素子でもよい。前記電気素子は、ヒューズでもよい。前記電気素子は、前記端子保持部に接続・固定されていてもよい。また、電池パックを前記電力の源として前記ハウジングに接続可能に構成してもよい。また、前記電池パックが着脱可能な電池パック装着部が前記ハウジングに設けられていてもよい。また、前記電池パック装着部に設けられる端子保持部または前記電池パックによって前記電気素子が覆われるように構成してもよい。
本発明の別の態様は、電気機器である。この電気機器は、
電力によって作動する作動部と、
前記作動部を収容する胴体部と、
前記胴体部に接続されて、前記作動部に電力を供給するための電池パックが装着可能な電池パック装着部と、
前記電池パック装着部に設けられ、前記電池パックと接続可能な複数の端子を有する端子保持部と、
前記端子保持部に保持され、一端側が前記電池パックと接続可能に構成される第1端子及び第2端子と、
前記第1端子の他端側と前記第2端子の他端側とを電気的に接続する電流経路上において、着脱可能に接続されるヒューズと、を有する、ことを特徴とする。
【0021】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上記の課題1~3の少なくともいずれかの解決が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る電気機器1の側面図。
【
図2】電気機器1のハウジング3の組立て過程を示す分解斜視図。
【
図3】電気機器1の側面図であって、左側ハンドルハウジング4a及び電池パック20を除いた側面図。
【
図4】電気機器1の右側ハンドルハウジング4bと端子保持部30とを組み合わせた状態の斜視図。
【
図5】左側ハンドルハウジング4a及び右側ハンドルハウジング4b並びにそれらに保持された端子保持部30の下方側から見た斜視図。
【
図7】
図6(A)においてヒューズユニット40を分解状態とした端子保持部30及びヒューズユニット40の斜視図。
【
図10】端子保持部30の機器側第1正極端子32、機器側第2正極端子33、機器側第1負極端子34、及び機器側第2負極端子35と、電池パック20の電池側第1正極端子28a、電池側第2正極端子28b、電池側第1負極端子28c、電池側第2負極端子28dと、の接続関係を示す模式図。
【
図11】電池パック20の第1セルユニット26a及び第2セルユニット26bと、電池側第1正極端子28a、電池側第2正極端子28b、電池側第1負極端子28c、電池側第2負極端子28dと、駆動部7と、の接続関係を示す模式図。
【
図12】第1セルユニット26a及び第2セルユニット26bから駆動部7までの電力供給路を示す模式回路図。
【
図13】比較例に関し、電池パック20から18Vを出力させる構成の端子保持部830の機器側正極端子832及び機器側負極端子834と、電池パック20の電池側第1正極端子28a、電池側第2正極端子28b、電池側第1負極端子28c、電池側第2負極端子28dと、の接続関係を示す模式図。
【
図14】本発明の実施の形態2におけるヒューズユニット40A並びにそれを接続する機器側第1正極端子32A及び機器側第1負極端子34Aの斜視図。
【
図15】本発明の実施の形態2に係る電気機器1Aの側断面図。
【
図16】本発明の実施の形態3に係る電気機器1Bの側断面図。
【
図17】本発明の実施の形態4に係る電気機器1Cの側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下において、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示である。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0025】
(実施の形態1)
図1~
図12を参照し、本発明の実施の形態1を説明する。本実施の形態は、電気機器1に関する。電気機器1は、コードレス型の電動工具であり、具体的には携帯用丸鋸(携帯用切断機)である。
図1及び
図2により、電気機器1における互いに直交する前後、上下、左右の各方向を定義する。前後方向は、電気機器1に対する電池パック20の脱着時のスライド方向である。
【0026】
図1に示すように、電気機器1は、ベース2と、ハウジング3と、を備える。ベース2の底面は、被削材(加工材)との摺動面である。ハウジング3は、ベース2に連結され、ベース2の上方に位置する。ハウジング3は、相互に組み合わされて一体化された、ハンドルハウジング4、胴体部としてのモータハウジング5、及びギヤケース(ソーカバー)6を含む。ハンドルハウジング4及びモータハウジング5は、例えば樹脂成形体である。ギヤケース6は、例えばアルミ等の金属製である。ハンドルハウジング4に、トリガスイッチ12が設けられる。トリガスイッチ12は、作業者がモータ7の駆動、停止を指示するための操作部である。
【0027】
ハンドルハウジング4は、
図2に示すように、左側ハンドルハウジング4a及び右側ハンドルハウジング4bをネジ止め等により互いに組み合わせて一体化したものである。モータハウジング5は、
図2に示すように、前側モータハウジング5a及び後側モータハウジング5bをネジ止め等により互いに組み合わせて一体化したものである。ハンドルハウジング4及びモータハウジング5は、ギヤケース6にネジ止め等により固定、一体化される。ギヤケース6は、ベース2に連結され、周知のとおりベース2に対して上下方向に揺動可能かつ左右方向の少なくとも一方に傾動可能である。
【0028】
図2に示すように、モータハウジング5には、モータ7、インバータ・センサ基板8、及びファン14が収容される。モータ7は、ブラシレスモータである。インバータ・センサ基板8は、モータ7の左方に設けられる。インバータ・センサ基板8は、モータ7に駆動電流を供給するインバータ回路、及びモータ7の回転位置を検出するホールIC等の磁気センサを搭載する。ファン14は、モータ7の右方に設けられ、モータ7と一体に回転し、遠心方向に冷却風を発生させる。ギヤケース6は、図示しない減速機構を収容する。この減速機構は、モータ7の回転を減速し、
図1に示す鋸刃9に伝達する。鋸刃9は、ベース2の下方に突出する。鋸刃9の外周のうちベース2の下方に突出した部分は、回動式の保護カバー10によって大部分が覆われる。
【0029】
図5に示すように、ハンドルハウジング4の後下部は、電池パック装着部4cとなっている。電池パック装着部4cには、端子保持部30が設けられる。
図2では、端子保持部30の図示を省略している。端子保持部30は、左側ハンドルハウジング4a及び右側ハンドルハウジング4bに挟持され、電池パック装着部4cに位置する。端子保持部30は、電池パック20と接続可能な後述の複数の端子を有する。電池パック装着部4cには、
図1に示すように、モータ7に電力を供給するための電池パック20を装着できる。
【0030】
電池パック装着部4cは、電池パック20を電池パック装着部4cに向けて前方に移動させて電池パック20を装着するよう構成される。電池パック装着部4cは、左右一対のレール受部4d及びラッチ凹部4eを含む。レール受部4dは、前後方向と平行に延び、
図8に示す電池パック20のレール部21cと係合し、電池パック20を電池パック装着部4cに向けて前方に移動(スライド)させる際のガイドとなる。ラッチ凹部4eは、
図8に示す電池パック20のラッチ凸部22と係合し、電池パック20を電池パック装着部4cに対して係止する。ハンドルハウジング4内の、電池パック装着部4cの上方に、コントローラ11が保持される。コントローラ11は、左側ハンドルハウジング4a及び右側ハンドルハウジング4bに挟持される。コントローラ11は、マイクロコントローラを搭載し、インバータ回路を制御することでモータ7の駆動を制御する。
【0031】
図6(A)~(E)及び
図7を参照し、電気機器1の端子構成及びヒューズユニット40の構成を説明する。
図6(A)は、端子保持部30及びそれに組み付けられたヒューズユニット40を前方側から見た斜視図である。
図6(B)は、端子保持部30を後方側から見た斜視図である。
図6(C)、(D)は、それぞれ
図6(A)、(B)から端子のみを抽出した斜視図である。
図6(E)は、
図6(C)から機器側第1正極端子32、機器側第2正極端子33、機器側第1負極端子34、及び機器側第2負極端子35のみを抽出した斜視図である。
図7は、
図6(A)においてヒューズユニット40を分解状態とした端子保持部30及びヒューズユニット40の斜視図である。
【0032】
端子保持部30は、機器側第1正極端子32、機器側第2正極端子33、機器側第1負極端子34、機器側第2負極端子35、及び4つの機器側信号端子36を、例えば樹脂成形体であるホルダ31で保持したものである。保持の態様は、例えばインサート成形(一体成形)である。機器側第1正極端子32と機器側第2正極端子33は、左右方向における位置が同じで上下に分かれている。同様に、機器側第1負極端子34と機器側第2負極端子35は、左右方向における位置が同じで上下に分かれている。各端子の一端は、後方を向き、電池パック20に対向する端子保持部30の正面部30aにおいてホルダ31から後方に突出する。
【0033】
機器側第2正極端子33、機器側第2負極端子35、及び機器側信号端子36の他端は、上方に面する端子保持部30の上面部30cにおいてホルダ31の上面部から上方に突出する。機器側第1正極端子32及び機器側第1負極端子34の他端は、前方を向く端子保持部30の背面部30bにおいてホルダ31から前方に突出する。端子保持部30は、背面部30bにおいてホルダ31の前面(背面)から前方に突出する側方延出部31a及び下方延出部31bを有する。側方延出部31aは、ホルダ31の背面において左右両端部からそれぞれ前方に延在する。下方延出部31bは、ホルダ31の背面において下端部から前方に延在する。
【0034】
側方延出部31a及び下方延出部31bは、互いに連なることで前方から見た場合にU字状の形状を成し、ヒューズユニット40の左方、下方、及び右方を覆う。すなわち、ヒューズユニット40は、側方延出部31a及び下方延出部31bで覆われる領域に配置される。ヒューズユニット40の後方は、ホルダ31の背面部に覆われる。ヒューズユニット40の前方及び上方は、ハンドルハウジング4の
図3に示す隔壁部4fに覆われる。このようにヒューズユニット40は、全方向的にホルダ31(側方延出部31a、下方延出部31b)及び隔壁
部4fに覆われる。隔壁部4fは、ハンドルハウジング4の外壁(電池パック装着部4cの外壁)の一部である。ヒューズユニット40は、ホルダ31の外面と電池パック装着部4cの外面との間に形成される領域に配置される。ヒューズユニット40は、隔壁部4fの外側、すなわちハウジング3の外部に配置される。
【0035】
ヒューズユニット40は、機器側第1正極端子32及び機器側第1負極端子34に着脱可能に構成される。ヒューズユニット40は、ヒューズ41と、基板42を含む。基板42は、第1導体部49と、第2導体部50と、機器側第1正極端子32が貫通(嵌合)する貫通穴43と、機器側第1負極端子34が貫通(嵌合)する貫通穴46と、を含む。第1導体部49は、貫通穴43の周囲に形成されたランド44と、ヒューズ41の一端が接続されるランド45と、を含む。第2導体部50は、貫通穴46の周囲に形成されたランド47と、ヒューズ41の他端が接続されるランド48と、を含む。
【0036】
機器側第1正極端子32は、はんだ付け等の着脱可能な固定方法によりランド44に接続、固定される。機器側第1負極端子34は、はんだ付け等の着脱可能な固定方法によりランド47に接続、固定される。これにより、基板42が背面部30b(ホルダ31の背面)に固定される。ランド44に対する機器側第1正極端子32のはんだ付け、及びランド47に対する機器側第1負極端子34のはんだ付けにより基板42を背面部30bに固定している場合、はんだ付け部分(係合部)に所定以上の熱を加えることで固定力を減衰し、基板42をホルダ31の背面から取り外すことができる。
【0037】
第1導体部49及び第2導体部50は、基板42の一部である。第1導体部49の一端はランド45であり、他端はランド44である。第2導体部50の一端はランド48であり、他端はランド47である。前述のように基板42を背面部30bから取り外せることから、第1導体部49は機器側第1正極端子32に着脱可能であり、第2導体部50は機器側第1負極端子34に着脱可能である。
【0038】
ヒューズ41は、機器側第1正極端子32及び機器側第1負極端子34の間に接続される。ヒューズ41の一端は、ランド45にはんだ付け等により接続される。ヒューズ41の他端は、ランド48にはんだ付け等により接続される。これによりヒューズ41は基板42に保持される。ヒューズ41は、表面が絶縁材で被覆されたヒューズチップとして構成される。ヒューズ41は、前後、上下、左右の各方向においてホルダ31の寸法範囲内の領域に位置する。ヒューズ41は、上下方向において、機器側第1正極端子32、機器側第2正極端子33、機器側第1負極端子34、及び機器側第2負極端子35(電池パック20から電力が入力される入力端子群)とオーバーラップする位置に配置される。換言すれば、正面部30aに位置する端子(入力端子群)とヒューズ41は、上下方向で少なくとも一部がオーバーラップする位置関係となっている。
【0039】
図8及び
図9に示すように、電池パック20は、例えば樹脂成形体からなるケース21を有する。ケース21は、充電時の冷却に用いられる風窓21a、21bを有する。ケース21は、下ケース24及び上ケース25をネジ止め等により相互に組み合わせて一体化したものである。ケース21は、上端部の左右にレール部21cを有する。レール部21cの前部の下方には、ラッチ凸部22が設けられる。レール部21c及びラッチ凸部22は、電池パック装着部4cのレール受部4d及びラッチ凹部4eと係合する。ラッチ操作部23は、ラッチ凸部22とラッチ凹部4eとの係合を解除する操作部である。
【0040】
ケース21内には、セルユニット26及び基板27が収容保持される。セルユニット26は、それぞれ5本の二次電池セルを直列接続した2つのセルユニット(
図11で後述の第1セルユニット26a及び第2セルユニット26b)を含む。基板27は、端子保持部30の各端子と接続される端子群28を搭載している。端子群28は、ケース21の上面部において前方に臨む。端子群28は、
図10及び
図11に示す電池側第1正極端子28a、電池側第2正極端子28b、電池側第1負極端子28c、及び電池側第2負極端子28dを含むと共に、
図10及び
図11では図示を省略した複数の電池側信号端子を含む。電池側信号端子は、機器側信号端子36に接続される。電池側第1正極端子28a及び電池側第2正極端子28bは、左右方向における位置が同じで上下に分かれている。同様に、電池側第1負極端子28c及び電池側第2負極端子28dは、左右方向における位置が同じで上下に分かれている。
【0041】
図10に示すように、電池側第1正極端子28aは、機器側第1正極端子32に接続される。電池側第2正極端子28bは、機器側第2正極端子33に接続される。電池側第1負極端子28cは、機器側第1負極端子34に接続される。電池側第2負極端子28dは、機器側第2負極端子35に接続される。前述のように、機器側第1正極端子32及び機器側第1負極端子34は、ヒューズユニット40を介して互いに接続される。機器側第2正極端子33及び機器側第2負極端子35は、作動部(駆動部)13に接続される。作動部13は、モータ7及びそれに電流を供給するインバータ回路を組み合わせたものである。なお、モータ7のみを作動部としてもよい。
【0042】
機器側第1正極端子32及び機器側第1負極端子34は、電池パック20が電池パック装着部4cに装着された状態で、電池パック20から作動部13に電力を供給するための電力供給路の一部として機能する。機器側第2正極端子33及び機器側第2負極端子35の間の電力供給路、すなわち
図11及び
図12に示す作動部13を通る第1電力供給路51は、電池パック20が電池パック装着部4cに装着された状態で、電池パック20から作動部13に電力を供給するための電力供給路の一部を成す。機器側第1正極端子32及び機器側第1負極端子34の間の電力供給路、すなわち
図11及び
図12に示す第2電力供給路52は、電池パック20が電池パック装着部4cに装着された状態で、電池パック20から作動部13に電力を供給するための電力供給路の一部を成す。
【0043】
上述した端子保持部30の端子構造により、第1電力供給路51及び第2電力供給路52は、電池パック20が電池パック装着部4cに装着されていない状態では互いに接続されない非接続状態となり、かつ電池パック20が電池パック装着部4cに装着されている状態では互いに直列に接続される直列接続状態となる。第2電力供給路52は、第1セルユニット26a及び第2セルユニット26bを互いに直列に接続する。1セルあたり3.6Vであれば、第1セルユニット26a及び第2セルユニット26bはそれぞれ18Vであり、電池側第2正極端子28b及び電池側第2負極端子28dの間には36Vが現れる。ヒューズユニット40は、第2電力供給路52に設けられる。ヒューズ41は、自身に大電流が流れると溶断して第2電力供給路52を遮断、すなわち作動部13の作動を停止するものであり、作動部13の作動を制御するための制御部材である。
【0044】
図13は、比較例に関し、電池パック20から18Vを出力させる構成の端子保持部830の機器側正極端子832及び機器側負極端子834と、電池パック20の電池側第1正極端子28a、電池側第2正極端子28b、電池側第1負極端子28c、電池側第2負極端子28dと、の接続関係を示す模式図である。機器側正極端子832は、電池側第1正極端子28a及び電池側第2正極端子28b間を短絡させる。機器側負極端子834は、電池側第1負極端子28c及び電池側第2負極端子28d間を短絡させる。これにより、第1セルユニット26a及び第2セルユニット26bは互いに並列接続となり、電池パック20からは18Vが出力される。
【0045】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0046】
(1) ヒューズ41によってモータ7やセルユニット26等の構成に大きな電流が流れることを抑制可能となる。また、ヒューズユニット40が着脱可能となっているため、ヒューズ41が溶断した場合には、端子保持部30からヒューズユニット40を取り外し、新たなヒューズユニット40を端子保持部30に装着することにより、再び電気機器1が使用可能となる。よって電気機器1のメンテナンスを容易にできる。また、ヒューズ41はコントローラ11の制御に関わらず電流を遮断可能なので、万が一コントローラ11の動作が正常状態でなくなってしまった場合にも対応可能である。
【0047】
(2) 電池パック20の電池側第2正極端子28b及び電池側第2負極端子28dに接続される第1電力供給路51とは別の第2電力供給路52にヒューズユニット40を設けるため、第1電力供給路51にヒューズユニット40を設ける構成に比べて、第1電力供給路51をコンパクトに構成することができる。第2電力供給路52は、作動部13を通るメインラインではないため、メンテナンスが容易である。
【0048】
(3) 機器側第1正極端子32は貫通穴43に嵌合した状態でランド44にはんだ付け等により接続され、機器側第1負極端子34は貫通穴46に嵌合した状態でランド47にはんだ付け等により接続される。このように嵌合接続とすることで、はんだ付けのみで接続される構成と比較して、振動等の衝撃に強く、かつ交換容易な構成とすることができる。
【0049】
(4) 端子保持部30の背面部30bの前方(背面側)空間を利用してヒューズユニット40を配置するため、電気機器1をコンパクトにできる。またヒューズ41への配線(第1導体部49及び第2導体部50)を短くできる。背面部30bの後方は電池パック20を移動・装着するための空間として利用されるため、前方領域をヒューズ41の配置空間として利用することで電池装着に影響を与えにくい構成とすることができる。
【0050】
(5) ヒューズ41を、機器側第1正極端子32、機器側第2正極端子33、機器側第1負極端子34、及び機器側第2負極端子35とオーバーラップする配置としているため、コンパクトな構成を実現できる。ヒューズ41は、絶縁被覆によって防塵性が高まっている一方で大きくなっているが、ホルダ31の背面部側への配置によってコンパクトさを維持できる。
【0051】
(6) ヒューズユニット40は、基板42にヒューズ41、第1導体部49、及び第2導体部50を保持した固定ユニット構成のため、組立て及び取外しが容易となる。
【0052】
(7) ヒューズユニット40がハウジング3の外部に配置されるため、ハウジング3の内部の収容空間を圧迫せず、本体の大型化を抑制できる。また、外部に配置されるため、ハウジング3等を分解せずにヒューズユニット40を視認・操作することが可能な構成を採用することも可能となり、メンテナンス性を向上させることが可能となる。本実施の形態においては、後述するように側方延出部31a、下方延出部31b、隔壁部4fによってヒューズユニット40の保護を図っているが、メンテナンス性を重視するのであれば、側方延出部31a、下方延出部31bを削除し、電池パック20を取り外すことでヒューズ41を露出させてアクセス可能に構成することも可能である。この場合には、電池パック20を取り外さないとヒューズ41に対する操作ができない構成となるので、メンテナンスの面でもよい。なお、当該効果はヒューズユニット40のみに限られず、ハウジング3の外部に配置可能な種々の電気部材にも適用可能である。例えば、コンデンサや、ノイズ対策の電子素子にも適用可能であり、従来の電気機器にこれら素子を追加したい際に、ハウジングの内容(収容)空間に余裕がない場合等に対応することができる。これによって、ハウジングの形状を変更せずに電気部品(電気素子)を追加することが容易となる。
【0053】
(8) ヒューズユニット40は、全方向的にホルダ31(側方延出部31a、下方延出部31b)及び隔壁部4fに覆われるため、ヒューズ41が他部品や外部との接触、及び塵など保護されると共に、電池パック20やコントローラ11にヒューズ41の熱が伝わることを抑制できる。当該効果はヒューズユニット40に限られず、他の電気部品をハウジングの外部に配置した場合においても、当該構成にて電気部品を保護することが可能となる。
【0054】
(9) ヒューズユニット40は、第2電力供給路52に設けられるため、1つのヒューズで2つのセルユニットに対する保護を図ることができる。
【0055】
(実施の形態2)
図14は、本発明の実施の形態2におけるヒューズユニット40A並びにそれを接続する機器側第1正極端子32A及び機器側第1負極端子34Aの斜視図である。ヒューズユニット40Aは、ヒューズ41Aと、第1導体部49Aと、第2導体部50Aと、を有する。第1導体部49Aの一端は、ヒューズ41Aの一端に接続される。第1導体部49Aの他端は、機器側第1正極端子32Aにはんだ付け等により接続される。第2導体部50Aの一端は、ヒューズ41Aの他端に接続される。第2導体部50Aの他端は、機器側第1負極端子34Aにはんだ付け等により接続される。
【0056】
図15は、本発明の実施の形態2に係る電気機器1Aの側断面図である。電気機器1Aは、コードレス型の電動工具であり、具体的には携帯型のクリーナ(電気掃除機)である。
図15により、電気機器1Aにおける互いに直交する前後、上下の各方向を定義する。また、前後及び上下方向と垂直な方向を左右方向と定義する。前後方向は、電気機器1Aに対する電池パック20の脱着時のスライド方向である。
【0057】
電気機器1Aの外殻は、本体ハウジング102及びダストケース103によって構成される。本体ハウジング102及びダストケース103は、共に例えば樹脂成形体である。ダストケース103は、本体ハウジング102の後方に着脱可能に接続、固定される。ダストケース103の前端部には、ダストケース吸気口103aが設けられる。ダストケース吸気口103aには、図示しない延長管あるいはフレキシブルホースを取付け可能である。
【0058】
ダストケース103の内部には、フィルタ装置140が設けられる。フィルタ装置140は、本体ハウジング102の前端部に開口する本体吸気口102dを覆う。ファンモータユニット106の前端部とシール部材130とが、本体吸気口102d内に延在する。本体吸気口102dは、ダストケース103内の空間と連通する。本体ハウジング102の後端部の左右両側面に、それぞれ排気口102eが設けられる。本体ハウジング102は、収容部102aと、ハンドル部102bと、電池パック装着部102cと、覆い部102fと、を有する。
【0059】
収容部102aは、本体ハウジング102の前部にあたる部分である。収容部102aは、ファンモータユニット106等を収容する。ハンドル部102bは、収容部102aの上端部から後方に延びる部分である。作業者は、ハンドル部102bを握って電気機器1Aを取り回す。ハンドル部102bの上面には、操作パネル(スイッチ部)105が設けられる。操作パネル105に設けられた各種スイッチにより、電気機器1Aの起動、停止や電気機器1Aの風量を切替え可能である。
【0060】
電池パック装着部102cは、本体ハウジング102の後下部にあたる部分である。電池パック装着部102cには、電気機器1Aの電源となる電池パック20が着脱可能に装着される。電池パック装着部102cには、端子保持部30Aが設けられる。端子保持部30Aは、左右に分割構造の本体ハウジング102の左部と右部に挟持され、電池パック装着部102cに位置する。詳細な図示は省略するが、端子保持部30Aは、実施の形態1の端子保持部30の機器側第1正極端子32を
図14に示す機器側第1正極端子32Aに置換し、端子保持部30の機器側第1負極端子34を
図14に示す機器側第1負極端子34Aに置換し、端子保持部30の側方延出部31a及び下方延出部31bが形成されていないものである。
【0061】
覆い部102fは、電池パック装着部102cに装着された電池パック20の前面の風窓21a(
図8)を覆って保護する。
図14に示すように機器側第1正極端子32A及び機器側第1負極端子34Aに接続されたヒューズユニット40は、
図15に示すように覆い部102fの内側の空間に延在する。これにより、デッドスペースを有効活用できる。
【0062】
ファンモータユニット106は、モータ及びそれと一体回転するファン、並びに制御基板108を一体に有するユニットである。ファンモータユニット106は、電池パック20からの供給電力で動作する。モータは、ブラシレスモータである。ファンは、遠心ファンであって、集塵用の気流を発生する。制御基板108は、ファンモータユニット106の駆動を制御する制御部として機能する。シール部材130は、円環状に形成されたゴム等の環状の弾性体であって、本体ハウジング102とファンモータユニット106との間をシールする(気密に閉塞する)。
【0063】
作業者が操作パネル105のスイッチを操作してファンモータユニット106が駆動すると、ファンモータユニット106が駆動する。これによって発生する気流は、ダストケース吸気口103aからダストケース103内に取り込まれる。気流は、フィルタ装置140を通過して、本体吸気口102dを通ってファンモータユニット106内に取り込まれる。気流は、ファンモータユニット106内から後方に排気される。気流は、最終的に排気口102eから本体ハウジング102の外部に排気される。ダストケース吸気口103aから気流と共に進入した塵埃は、フィルタ装置140に捕集され、ダストケース103の内部かつフィルタ装置140の外側に溜まる。
【0064】
本実施の形態によれば、余剰空間である覆い部102fの内部空間にヒューズユニット40Aを延在させることで、ヒューズユニット40Aが本体ハウジング102の内部空間を圧迫することを抑制し、電気機器1Aをコンパクトにできる。
【0065】
(実施の形態3)
図16は、本発明の実施の形態3に係る電気機器1Bの側断面図である。電気機器1Bは、コードレス型の電動工具であり、具体的にはトリマである。
図16により、電気機器1Bにおける互いに直交する前後、上下の各方向を定義する。また、前後及び上下方向と垂直な方向を左右方向と定義する。前後方向は、電気機器1Bに対する電池パック20の脱着時のスライド方向である。
【0066】
電気機器1Bの外殻は、ハウジング202及びベース203によって構成される。ハウジング202は、例えば樹脂成形体である。ベース203は、例えば樹脂成形体である。ベース203は、例えば金属製の筒ケース208を囲うようにハウジング202の下部外周に設けられ、ハウジング202に対して上下移動可能である。ハウジング202に対するベース203の上下移動により、ベース203の下面からの図示しない先端工具の突出量を調整できる。先端工具は、チャック205により保持され、モータ204によって回転駆動される。
【0067】
ハウジング202内に、モータ204が収容される。ハウジング202の上端部は、電池パック装着部である。電池パック装着部には、電池パック20を着脱可能に装着できる。電池パック装着部の内部には、コントローラ206が設けられる。コントローラ206は、下方に開口する金属製である。電池パック装着部には、端子保持部30Aが設けられる。端子保持部30Aは、左右に分割構造のハウジング202の左部と右部に挟持され、電池パック装着部に位置する。端子保持部30Aは、コントローラ206の上方に位置する。端子保持部30Aに接続されたヒューズユニット40Aは、ハウジング202内において、端子保持部30Aとコントローラ206との間に延在する。
【0068】
ハウジング202は、吸気口202a及び排気口202bを有する。ヒューズユニット40Aは、吸気口202a及び排気口202bを繋ぐ領域、すなわち風路に存在しない。これによりヒューズユニット40Aの防塵性が良い。また、本実施の形態においては、コントローラ206のヒューズユニット40A側の外殻は金属となっており、耐熱性を確保している。
【0069】
(実施の形態4)
図17は、本発明の実施の形態4に係る電気機器1Cの側断面図である。電気機器1Cは、コードレス型の電動工具であり、具体的にはコンクリートバイブレータである。
図17により、電気機器1Cにおける互いに直交する前後、上下の各方向を定義する。また、前後及び上下方向と垂直な方向を左右方向と定義する。前後方向は、電気機器1Cに対する電池パック20の脱着時のスライド方向である。
【0070】
電気機器1Cの本体の外殻は、ハウジング302によって構成される。ハウジング302は、例えば左右二分割構造の樹脂成形体である。ハウジング302は、モータ収容部302aと、把持部(ハンドル部)302bと、電池パック装着部302cと、を含む。ハウジング302は、略D型形状である。把持部302bの他端(下端)は、電池パック装着部302cに接続される。
【0071】
モータ収容部302aは、モータ(電動モータ)306を収容する。把持部302bには、トリガスイッチ305が設けられる。トリガスイッチ305により、作業者はモータ306の駆動、停止を指示可能である。電池パック装着部302cの内部に、制御基板308が設けられる。電池パック装着部302cには、モータ306の駆動源(電源)となる電池パック20が着脱可能に装着(スライド接続)される。電池パック20は、電動工具に着脱可能なものであることが望ましい。電池パック装着部302cの下面及び電池パック装着部302cに装着された電池パック20は、開閉可能なカバー317に覆われる。
【0072】
電池パック装着部302cに、端子保持部30Aが設けられる。端子保持部30Aは、左右に分割構造のハウジング302の左部と右部に挟持され、電池パック装着部302cに位置する。端子保持部30Aに接続されたヒューズユニット40Aのヒューズ41Aは、ハウジング302内において、ネジボス302dとハウジング302の内面との間に位置する。これにより、ネジボス302dとハウジング302の内面とで、ヒューズ41Aを、別途の固定部品なしで簡易的に位置決めできる。ネジボス302dは、ハウジング302の左部と右部をネジ止めするために用いられる。
【0073】
モータ306は、インナーロータ型のブラシレスモータである。モータ306の後方には、スイッチング素子基板309が設けられる。スイッチング素子基板309は、モータ306に駆動電流を供給するインバータ回路のスイッチング素子を搭載する。モータ306の前方に、モータ306と一体回転するファン307が設けられる。ファン307は、モータ306を冷却する冷却風を発生する。
【0074】
先端工具310は、ハウジング302の前端から前方に延びる。先端工具310は、振動部311と、フレキシブルホース312と、フレキシブルシャフト313と、を含む。フレキシブルシャフト313は、モータ306に直結であり、モータ306と一体に回転する。フレキシブルホース312は、フレキシブルシャフト313の周囲を覆う。振動部311は、フレキシブルホース312の前端部に接続される。振動部311は、内部に偏心錘311aを有する。偏心錘311aは、フレキシブルシャフト313を介してモータ306によって回転駆動される。偏心錘311aの重心は、振動部311の中心軸に対して偏心している。偏心錘311aの回転により、振動部311が振動する。すなわち、振動部311は、モータ306によって振動する。作業者は、振動する振動部311を生コンクリート内に挿入し、打込み作業や締固め作業を実施する。
【0075】
本実施の形態によれば、ハウジング302の左部と右部をネジ止めするために用いられるネジボス302dと、ハウジング302の内面と、の間にヒューズ41Aを配置することで、ネジボス302dとハウジング302の内面とでヒューズ41Aを簡易的に位置決めできる。このため、ヒューズ41Aを固定するための別途の部品が不要で、部品点数の増加を抑制できる。
【0076】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0077】
本発明の電気機器は、電動工具に限定されず、作動部としての照明装置を有するライトや、作動部としての音響装置を有するラジオ等、モータを有しない機器であってもよい。
図14に示す第1導体部49Aと機器側第1正極端子32Aとの接続、及び第2導体部50Aと機器側第1負極端子34Aとの接続には、圧着端子を用いてもよい。第1セルユニット26a及び第2セルユニット26bの各々における電池セルの数や機器側信号端子36の数などの各種数値は、実施の形態で具体的に示した値に限定されず、任意である。
【符号の説明】
【0078】
1,1A~1C…電気機器、2…ベース、3…ハウジング、4…ハンドルハウジング、4a…左側ハンドルハウジング、4b…右側ハンドルハウジング、4c…電池パック装着部、4d…レール受部、4e…ラッチ凹部、4f…隔壁部、5…モータハウジング、5a…前側モータハウジング、5b…後側モータハウジング、6…ギヤケース、7…モータ、8…インバータ・センサ基板、9…鋸刃、10…保護カバー、11…コントローラ、12…トリガスイッチ、13…作動部、14…ファン、20…電池パック、21…ケース、21a…風窓、21b…風窓、21c…レール部、22…ラッチ凸部、23…ラッチ操作部、24…下ケース、25…上ケース、26…セルユニット、26a…第1セルユニット、26b…第2セルユニット、27…基板、28…端子群、28a…電池側第1正極端子、28b…電池側第2正極端子、28c…電池側第1負極端子、28d…電池側第2負極端子、30…端子保持部、31…ホルダ、31a…側方延出部、31b…下方延出部、32…機器側第1正極端子、33…機器側第2正極端子、34…機器側第1負極端子、35…機器側第2負極端子、36…機器側信号端子、40…ヒューズユニット、41…ヒューズ、42…基板、43…貫通穴、44…端子用ランド、45…ヒューズ用ランド、46…貫通穴、47…端子用ランド、48…ヒューズ用ランド、49…第1導体部、50…第2導体部、51…第1電力供給路、52…第2電力供給路、102…本体ハウジング、102a…収容部、102b…ハンドル部、102c…電池パック装着部、102d…本体吸気口、102e…排気口、102f…覆い部、103…ダストケース、103a…ダストケース吸気口、105…操作パネル(スイッチ部)、106…ファンモータユニット、108…制御基板、140…フィルタ装置、202…ハウジング、202a…吸気口、202b…排気口、203…ベース、204…モータ(電動モータ)、205…チャック、206…コントローラ、207…LED、208…筒ケース、302…ハウジング、302a…モータ収容部、302b…把持部(ハンドル部)、302c…電池パック装着部、302d…ネジボス、306…モータ(電動モータ)、307…ファン、308…制御基板、309…スイッチング素子基板、310…先端工具、311…振動部、311a…偏心錘(アンバランサ)、312…フレキシブルホース、313…フレキシブルシャフト、317…カバー。