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特許7529052情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/85 20140101AFI20240730BHJP
【FI】
H04N19/85
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022574987
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2021001240
(87)【国際公開番号】W WO2022153480
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】バイエ フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】篠原 悠介
(72)【発明者】
【氏名】逸身 勇人
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 浩一
(72)【発明者】
【氏名】ヴィタル チャルヴィ
(72)【発明者】
【氏名】岩井 孝法
【審査官】岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/241074(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/155232(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/207334(WO,A1)
【文献】Pylyp Prystavka et al.,Automated Object Recognition System based on Convolutional Autoencoder,10th International Conference on Advanced Computer Information Technologies (ACIT),IEEE,2020年09月,pp.830-833
【文献】Wenrui Zhang,An Image Recognition Algorithm Based on Self-Encoding and Convolutional Neural Network Fusion,2019 International Conference on Electronic Engineering and Informatics (EEI),IEEE,2019年11月,pp.402-407
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 - 19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一中間特徴データと、前記第一中間特徴データからダウンサンプリングされたデータに基づいて算出される第二中間特徴データとを含み、対象データの表現内容の特徴を示す特徴データに基づく通信データを受信する受信手段と、
受信された前記通信データに基づいて復元された前記第二中間特徴データからアップサンプリングされたデータに基づいて前記第一中間特徴データを復元する特徴復元手段と、
復元された前記第一中間特徴データに基づいて前記対象データを復元する対象復元手段と、
復元された前記第二中間特徴データおよび前記第一中間特徴データの少なくとも何れかに基づいて前記対象データの表現内容に対する認識処理を行う認識手段と、
復元された前記対象データの表現内容と前記認識処理による認識結果とを示す情報を出力する出力手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記受信手段は、量子化された前記特徴データに基づく前記通信データを受信し、
前記特徴復元手段は、量子化された前記特徴データに対して、量子化される前の前記特徴データの確率分布に従ったサンプリングに基づく脱量子化を行う脱量子化手段を備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記受信手段は、第一時刻ステップにおける第一対象データの表現内容の特徴を示す第一特徴データと、前記第一時刻ステップよりも遅い時刻ステップである第二時刻ステップにおける第二対象データの表現内容の特徴を示す第二特徴データとの相違を示す特徴差分データに基づく前記通信データを受信し、
前記特徴復元手段は、受信された前記通信データに基づいて前記特徴差分データを復元し、復元された前記特徴差分データと、前記第一特徴データとに基づいて前記第二特徴データを復元する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受信手段は、量子化された前記特徴差分データに基づく前記通信データを受信し、
前記特徴復元手段は、量子化された前記特徴差分データに対して、量子化される前の前記特徴差分データの確率分布に従ったサンプリングに基づく脱量子化を行う脱量子化手段を備える、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特徴復元手段は、前記第一中間特徴データからダウンサンプリングされたデータに基づいて前記第二中間特徴データを算出する処理の逆演算に該当する処理を用いて、前記第一中間特徴データを復元する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特徴復元手段の処理と前記対象復元手段の処理との組み合わせが、前記通信データの送信元の装置における対象データからの特徴抽出処理の逆演算に該当する処理となるように、前記通信データの送信元の装置が行う処理の設定、前記特徴復元手段が行う処理の設定、または、前記対象復元手段が行う処理の設定の少なくとも何れかを動的に更新する設定更新手段をさらに備える、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
送信側装置と受信側装置とを備え、
前記送信側装置は、
対象データを取得するデータ取得手段と、
第一中間特徴データと、前記第一中間特徴データからダウンサンプリングされたデータに基づいて算出される第二中間特徴データとを含み、前記対象データの表現内容の特徴を示す特徴データを算出する特徴抽出手段と、
前記特徴データに基づいて通信データを生成する通信データ生成手段と、
前記通信データを送信する送信手段と、
を備え、
前記受信側装置は、
前記通信データを受信する受信手段と、
受信された前記通信データに基づいて復元された前記第二中間特徴データからアップサンプリングされたデータに基づいて前記第一中間特徴データを復元する特徴復元手段と、
復元された前記第一中間特徴データに基づいて前記対象データを復元する対象復元手段と、
復元された前記第二中間特徴データおよび前記第一中間特徴データの少なくとも何れかに基づいて前記対象データの表現内容に対する認識処理を行う認識手段と、
復元された前記対象データの表現内容と前記認識処理による認識結果とを示す情報を出力する出力手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項8】
第一中間特徴データと、前記第一中間特徴データからダウンサンプリングされたデータに基づいて算出される第二中間特徴データとを含み、対象データの表現内容の特徴を示す特徴データに基づく通信データを受信することと、
受信された前記通信データに基づいて復元された前記第二中間特徴データからアップサンプリングされたデータに基づいて前記第一中間特徴データを復元することと、
復元された前記第一中間特徴データに基づいて前記対象データを復元することと、
復元された前記第二中間特徴データおよび前記第一中間特徴データの少なくとも何れかに基づいて前記対象データの表現内容に対する認識処理を行うことと、
復元された前記対象データの表現内容と前記認識処理による認識結果とを示す情報を出力することと、
を含む情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
第一中間特徴データと、前記第一中間特徴データからダウンサンプリングされたデータに基づいて算出される第二中間特徴データとを含み、対象データの表現内容の特徴を示す特徴データに基づく通信データを受信することと、
受信された前記通信データに基づいて復元された前記第二中間特徴データからアップサンプリングされたデータに基づいて前記第一中間特徴データを復元することと、
復元された前記第一中間特徴データに基づいて前記対象データを復元することと、
復元された前記第二中間特徴データおよび前記第一中間特徴データの少なくとも何れかに基づいて前記対象データの表現内容に対する認識処理を行うことと、
復元された前記対象データの表現内容と前記認識処理による認識結果とを示す情報を出力することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔監視システムにおいて、(i)送信側での動画像データの圧縮、(ii)送信側から受信側への、圧縮された動画像データの伝送、(iii)受信側での動画像データの復元、および、(iv)復元された画像に対する画像認識が行われることが考えられる。
動画像データの圧縮では、深層学習ベースの動画像圧縮技術を用いることができる(非特許文献1から非特許文献3参照)。また、画像認識では、物体検出手法を用いて、画像中でターゲット(監視対象)を検出して追跡することが考えられる(非特許文献4参照)。ターゲットの検出結果は、例えば復元された画像中に表示して監視者に提示することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Han et al.、“Deep Generative Video Compression”、Neural Information Processing Systems (NIPS) 2019、2019年
【文献】Lu et al.、“DVC: An End-To-End Deep Video Compression Framework”、Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR) 2019、2019年
【文献】Rippel et al.、“Learned Video Compression”、2019 IEEE International Conference on Computer Vision (ICCV)、2019年
【文献】Lin et. al.、“Focal Loss for Dense Object Detection”、2017 IEEE International Conference on Computer Vision (ICCV)、2017年
【文献】Kingma et al.、“Glow: Generative Flow with Invertible 1x1 Convolutions”、Neural Information Processing Systems (NIPS) 2018、2018年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、動画像データを圧縮して送信し、受信データから動画像を復元し、再現された画像に対して画像認識を行う場合、動画像データの圧縮、動画像の復元、および、画像認識の各ステップにおいて、処理時間による遅延が生じ得る。遠隔監視または遠隔制御などリアルタイムの用途の場合、遅延の影響が大きい。例えば、画像認識結果復元画像上に表示する場合、QoE(Quality Of Experience、サービスなどの体験品質)に対して、遅延の悪影響が大きいことが考えられる。
【0005】
本発明の目的の一例は、上述した課題を解決することのできる情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様によれば、情報処理装置は、第一中間特徴データと、前記第一中間特徴データからダウンサンプリングされたデータに基づいて算出される第二中間特徴データとを含み、対象データの表現内容の特徴を示す特徴データに基づく通信データを受信する受信手段と、受信された前記通信データに基づいて復元された前記第二中間特徴データからアップサンプリングされたデータに基づいて前記第一中間特徴データを復元する特徴復元手段と、復元された前記第一中間特徴データに基づいて前記対象データを復元する対象復元手段と、復元された前記第二中間特徴データおよび前記第一中間特徴データの少なくとも何れかに基づいて前記対象データの表現内容に対する認識処理を行う認識手段と、復元された前記対象データの表現内容と前記認識処理による認識結果とを示す情報を出力する出力手段と、を備える。
【0007】
本発明の第二の態様によれば、情報処理システムは、送信側装置と受信側装置とを備え、前記送信側装置は、対象データを取得するデータ取得手段と、第一中間特徴データと、前記第一中間特徴データからダウンサンプリングされたデータに基づいて算出される第二中間特徴データとを含み、前記対象データの表現内容の特徴を示す特徴データを算出する特徴抽出手段と、前記特徴データに基づいて通信データを生成する通信データ生成手段と、前記通信データを送信する送信手段と、を備え、前記受信側装置は、前記通信データを受信する受信手段と、受信された前記通信データに基づいて復元された前記第二中間特徴データからアップサンプリングされたデータに基づいて前記第一中間特徴データを復元する特徴復元手段と、復元された前記第一中間特徴データに基づいて前記対象データを復元する対象復元手段と、復元された前記第二中間特徴データおよび前記第一中間特徴データの少なくとも何れかに基づいて前記対象データの表現内容に対する認識処理を行う認識手段と、復元された前記対象データの表現内容と前記認識処理による認識結果とを示す情報を出力する出力手段と、を備える。
【0008】
本発明の第三の態様によれば、情報処理方法は、第一中間特徴データと、前記第一中間特徴データからダウンサンプリングされたデータに基づいて算出される第二中間特徴データとを含み、対象データの表現内容の特徴を示す特徴データに基づく通信データを受信することと、受信された前記通信データに基づいて復元された前記第二中間特徴データからアップサンプリングされたデータに基づいて前記第一中間特徴データを復元することと、復元された前記第一中間特徴データに基づいて前記対象データを復元することと、復元された前記第二中間特徴データおよび前記第一中間特徴データの少なくとも何れか基づいて前記対象データの表現内容に対する認識処理を行うことと、復元された前記対象データの表現内容と前記認識処理による認識結果とを示す情報を出力することと、を含む。
【0009】
本発明の第四の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、第一中間特徴データと、前記第一中間特徴データからダウンサンプリングされたデータに基づいて算出される第二中間特徴データとを含み、対象データの表現内容の特徴を示す特徴データに基づく通信データを受信することと、受信された前記通信データに基づいて復元された前記第二中間特徴データからアップサンプリングされたデータに基づいて前記第一中間特徴データを復元することと、復元された前記第一中間特徴データに基づいて前記対象データを復元することと、復元された前記第二中間特徴データおよび前記第一中間特徴データの少なくとも何れかに基づいて前記対象データの表現内容に対する認識処理を行うことと、復元された前記対象データの表現内容と前記認識処理による認識結果とを示す情報を出力することと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、対象データの復元処理、および、復元されるデータの表現内容に対する認識処理を行う処理時間が、比較的短くて済む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す概略ブロック図である。
図2】第一実施形態に係る特徴抽出部の構成例を示す概略ブロック図である。
図3】第一実施形態に係る処理ステージ部の構成例を示す概略ブロック図である。
図4】第一実施形態に係る処理ブロック部の構成例を示す概略ブロック図である。
図5】第一実施形態に係る中間特徴生成部の構成例を示す概略ブロック図である。
図6】第一実施形態に係る逆処理ステージ部の構成例を示す概略ブロック図である。
図7】第一実施形態に係る逆処理ブロック部の構成例を示す概略ブロック図である。
図8】第一実施形態に係る取得画像復元部の構成例を示す概略ブロック図である。
図9】第一実施形態に係る認識部の構成例を示す概略ブロック図である。
図10】第一実施形態に係る送信側装置が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
図11】第一実施形態に係る受信側装置が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
図12】第二実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す概略ブロック図である。
図13】第二実施形態に係る特徴差分算出部の構成例を示す概略ブロック図である。
図14】第二実施形態に係る差分処理ステージ部の構成例を示す概略ブロック図である。
図15】第二実施形態に係る差分処理ブロック部の構成例を示す概略ブロック図である。
図16】第二実施形態に係る特徴算出部の構成例を示す概略ブロック図である。
図17】第二実施形態に係る復元処理ステージ部の構成例を示す概略ブロック図である。
図18】第二実施形態に係る復元処理ブロック部の構成例を示す概略ブロック図である。
図19】第二実施形態に係る送信側装置が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
図20】第二実施形態に係る受信側装置が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
図21】第三実施形態に係る情報処理システムの構成の第一例を示す概略ブロック図である。
図22】第三実施形態に係る情報処理システムの構成の第二例を示す概略ブロック図である。
図23】第三実施形態に係る情報処理システムの構成の第三例を示す概略ブロック図である。
図24】第四実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す概略ブロック図である。
図25】第五実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す概略ブロック図である。
図26】第六実施形態に係る情報処理方法における処理の手順の例を示すフローチャートである。
図27】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
以下では、情報処理システムが、画像データの送受信および画像認識を行う場合を例に説明する。ただし、以下の実施形態における送受信および認識処理の対象は画像データに限定されず、階層的に圧縮および伸長(復元)可能ないろいろなデータとすることができる。例えば、情報処理システムが、音声データの送受信および音声認識を行うようにしてもよい。あるいは、情報処理システムが、LiDAR(Light Detection And Ranging)などの各種計測装置が出力する点群データを送受信および認識処理の対象としていてもよい。
【0013】
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す概略ブロック図である。図1に示す構成において、情報処理システム1は、送信側装置10と、受信側装置20とを備える。送信側装置10は、画像取得部11と、特徴抽出部12と、通信データ生成部13と、送信部16とを備える。通信データ生成部13は、量子化部14と、符号化部15とを備える。受信側装置20は、受信部21と、特徴復元部22と、取得画像復元部26と、認識部27と、出力部28とを備える。特徴復元部22は、復号部23と、脱量子化部24と、中間特徴生成部25とを備える。
【0014】
情報処理システム1は、画像の伝送および画像認識を行う。
送信側装置10は、画像を取得し、取得した画像をビットストリーム(Bit Stream)等の送信用データに変換して受信側装置20へ送信する。受信側装置20は、送信側装置10から受信したデータから画像を復元し、また、受信画像に対する画像認識を行う。
【0015】
情報処理システム1は、自動運転車両の監視などの遠隔監視システムであってもよい。送信側装置10が監視地点に設置され、受信側装置20がデータセンタなど送信側装置10から離れた地点に設置されていてもよい。受信側装置20が、画像認識によって自動運転車両における危険を検出または予測して報知するようにしてもよい。
ただし、情報処理システム1の用途は特定の用途に限定されない。
【0016】
送信側装置10から受信側装置20への画像の送信の際、学習モデルを用いて画像の特徴抽出を行い、抽出した特徴を示す特徴データを(必要に応じてデータ変換して)送信するようにしてもよい。そして、受信側装置20が、受信した特徴データに基づいて画像を復元するようにしてもよい。
【0017】
一方、画像の特徴抽出、特徴からの画像の復元、および、画像認識は、何れも比較的計算量が多い。遠隔監視などリアルタイム性が求められる用途では、特に、短時間で効率的に処理を行うことが求められる。
そこで、受信側装置20は、受信データからの画像復元の過程で生成する中間特徴データを用いて画像認識を行う。これにより、受信データから画像を復元した後、復元画像を用いて画像認識を行う場合よりも、短時間で効率的に処理を行うことができる。
受信側装置20は、情報処理装置の例に該当する。
【0018】
情報処理システム1において、画像の特徴が、実数を要素とするベクトルで表されてもよい。すなわち、画像の特徴を示す特徴データが特徴ベクトルの形式で示されていてもよい。特徴ベクトルは、特徴量または特徴量ベクトルとも称される。
【0019】
画像取得部11は、画像を画像データにて取得する。例えば、画像取得部11が、スチルカメラまたはビデオカメラ等の撮像装置を備えて動画像または静止画像を撮像するようにしてもよい。画像取得部11が静止画像を撮像する場合、例えば所定の時間間隔で撮像を繰り返すようにしてもよい。
あるいは、撮像装置が送信側装置10とは別の装置として構成され、画像取得部11が撮像装置から画像データを取得するようにしてもよい。あるいは、画像取得部11が、画像データを記録している記録媒体からが画像データを読み出すようにしてもよい。
画像取得部11は、取得した画像データを特徴抽出部12へ出力する。
【0020】
画像取得部11が取得する画像データのデータ形式は、特定のものに限定されない。例えば、画像取得部11がRGBピクセルデータ(RGB Pixel Data)形式の画像データを取得するようにしてもよいが、これに限定されない。RGBピクセルデータ形式は、ピクセル(画素)ごとに、赤、緑、青それぞれの値が示される画像データ形式である。
【0021】
画像取得部11が取得する画像を取得画像と称する。取得画像を示す画像データを取得画像データと称する。取得画像データは、対象データの例に該当する。取得画像は、対象データの表現内容の例に該当する。
画像取得部11は、取得手段の例に該当する。
【0022】
特徴抽出部12は、取得画像の特徴抽出を行い、特徴データを生成する。特徴データは、取得画像の視覚的な特徴を表すデータである。ここでの「視覚的な」は、画像の形式またはファイルの形式ではなく画像の表示内容に関する特徴であることを示す。上記のように、特徴データは、実数ベクトルの形式で示されていてもよい。
特徴抽出部12は、特徴抽出手段の例に該当する。
【0023】
特徴抽出部12が、深層学習(Deep Learning)の技術を用いて得られたニューラルネットワークモデルを含んでもよい。その場合のニューラルネットワークモデルは、数学的に逆演算可能なニューラルネットワークであるインバーティブルニューラルネットワーク(Invertible Neural Network;INN)であってもよい。
【0024】
ただし、特徴抽出部12の構成は、取得画像を復元可能な特徴データを生成可能なものであればよく、特定の構成に限定されない。特徴データを生成することを、特徴を抽出する、または、特徴データを抽出する、とも称する。画像データの表現内容の画像の特徴を示す特徴データを生成することを、画像データから特徴データを抽出するとも称する。
以下では、特徴抽出部12が、逆演算可能な畳み込みニューラルネットワークによる深層学習モデルを用いて構成される場合を例に説明する。逆演算可能な畳み込みニューラルネットワークによる深層学習モデルを、インバーティブル深層畳み込みニューラルネットワークモデル(Invertible Deep Convolutional Neural Network Model)とも称する。ここでいう逆演算は、元の演算と入出力が逆になる演算である。すなわち、逆演算では、元の演算における出力値が逆演算への入力値となる場合に、元の演算における入力値と同じ値を出力する。
【0025】
図2は、特徴抽出部12の構成例を示す概略ブロック図である。図2に示す構成で特徴抽出部12は、前処理部111と、処理ステージ部112と、チャネル分割部113とを備える。
図2の例において、特徴抽出部12は、3つの処理ステージ部112と、2つのチャネル分割部113とを備える。これらは、2つの処理ステージ部112の間のそれぞれにチャネル分割部113が1つずつ設けられる配置で直列に接続され、さらに、前処理部111に直列に接続されている。3つの処理ステージ部112を区別する場合、データの流れの上流側から下流側へ順に、符号112-1、112-2、112-3を付す。2つのチャネル分割部113を区別する場合、データの流れの上流側から下流側へ順に、符号113-1、113-2を付す。
ただし、特徴抽出部12が備える処理ステージ部112の個数は1つ以上であればよい。特徴抽出部12が備えるチャネル分割部113の個数は、処理ステージ部112の個数よりも1つ少なくてもよい。
【0026】
前処理部111は、画像取得部11が出力する画像データに対し、特徴抽出の前処理を行う。例えば、前処理部111が、画像取得部11が出力する画像データの画像サイズを、特徴抽出部12を構成するニューラルネットワークが受け付ける画像サイズに合わせるように、画像の加工を行うようにしてもよい。また、画像取得部が出力する画像にノイズが多く含まれる場合のノイズフィルタなど、前処理部111が、画像取得部11が出力する画像データに画像フィルタを適用するようにしてもよい。
あるいは、画像取得部11が出力する画像データをそのままニューラルネットワークに入力して特徴抽出を行える場合、特徴抽出部12が、前処理部111を備えていなくてもよい。すなわち、前処理部111による前処理は必須ではない。
【0027】
処理ステージ部112の各々の出力を、中間特徴または中間特徴データとも称する。処理ステージ部112-1の出力を、中間特徴データY1と表記する。処理ステージ部112-2の出力を、中間特徴データY2と表記する。処理ステージ部112-3の出力を、中間特徴データY3と表記する。個々の中間特徴データは、特徴データの一種に該当する。
図2の例において、中間特徴データからチャネル分割されているデータも、特徴データの一種に該当する。
【0028】
複数の特徴データを纏めたデータを特徴データ群とも称する。図2の例では、中間特徴データY1からチャネル分割されたデータ、中間特徴データY2からチャネル分割されたデータ、および、中間特徴データY3が、特徴データ群に纏められている。特徴データ群は、特徴データの一種に該当する。特徴データ群を特徴データとも称する。
図3は、処理ステージ部112の構成例を示す概略ブロック図である。図3に示す構成において、処理ステージ部112は、ダウンサンプリング部121と、処理ブロック部122とを備える。
【0029】
図3の例において、処理ステージ部112は、N個の処理ブロック部122を備える。これらN個の処理ブロック部122が直列に接続され、さらに、ダウンサンプリング部121に直列に接続されている。N個の処理ブロック部を区別する場合、データの流れの上流側から下流側へ順に、符号122-1、・・・、122-Nを付す。
Nは1以上の整数であればよい。
【0030】
ダウンサンプリング部121は、画素形式のデータ(画素値の並びによって示されるデータ)の入力を受けて、入力データの画像サイズ(画素数)を縮小する。具体的には、ダウンサンプリング部121への入力データは、前処理された画像データ、または、画素形式の特徴データ(がチャネル分割されたデータ)である。
【0031】
ダウンサンプリング部121が画像サイズを縮小する方法および縮小率は特定のものに限定されない。
例えば、ダウンサンプリング部121が、縦2個×横2個の4つの画素ごとに1つの画素に置き換えることによって、画素数が4分の1の画像に縮小するようにしてもよい。その場合、ダウンサンプリング部121が、4つの画素の画素値のうち最大値を選択するようにしてもよい。あるいは、ダウンサンプリング部121が、4つの画素の画素値の平均を算出して、サイズ縮小後の画像の画素値として用いるようにしてもよい。
【0032】
あるいは、出力チャネル数が、入力チャネル数の4倍に設定されていてもよい。そして、ダウンサンプリング部121が、縦2個×横2個の4つの画素をそれぞれ別のチャネルに割り当てるようにしてもよい。
ここでいう入力チャネル数は、ダウンサンプリング部121への入力データにおけるチャネルの個数である。出力チャネル数は、ダウンサンプリング部121からの出力データにおけるチャネルの個数である。
【0033】
図4は、処理ブロック部122の構成例を示す概略ブロック図である。図4に示す構成において、処理ブロック部122は、アフィンチャネル変換部131と、チャネル分割部132と、畳み込み処理部133と、乗算部134と、加算部135と、チャネル結合部136とを備える。
【0034】
アフィンチャネル変換部131は、畳み込みニューラルネットワークにおけるアフィン層(Affine Layer)に該当する。アフィン層は、全結合層とも称される。アフィンチャネル変換部131は、処理ブロック部122への入力に対する重み付けを行う。この重み付けは、ニューラルネットワークで一般的に行われる、ニューロンモデルへの入力に対する重み付けに相当する。なお、アフィンチャネル変換部131が、1×1の大きさのフィルタを用いて処理を行うようにしてもよい。
【0035】
チャネル分割部132は、アフィンチャネル変換部131の出力をチャネルごとのデータに分割する。例えば、チャネル分割部132は、アフィンチャネル変換部131の出力データに含まれる各チャネルを、グループAおよびグループBの2つのグループの何れかに振り分ける。チャネル分割部132は、グループAに振り分けたチャネルを乗算部134へ出力し、グループBに振り分けたチャネルを畳み込み処理部133およびチャネル結合部136へ出力する。
【0036】
ここでいうチャネルは、個々の画像の特徴データであってもよい。チャネル分割は、個々の画像の特徴データを複数のグループの何れかに振り分けることであってもよい。例えば、アフィンチャネル変換部131の出力データが、複数の画像の特徴データを含み、個々の画像の特徴データがチャネルとして扱われてもよい。チャネル分割部132が、チャネルの分割にて、個々の画像の特徴データを複数のグループの何れかに振り分けるようにしてもよい。
【0037】
畳み込み処理部133は、グループBのデータ(グループBに振り分けられたデータ)の入力を受けて、入力されたデータに対して畳み込み処理を行う。畳み込み処理部133が、入力されたデータに対して畳み込み処理および非線形変換などの一連の処理を行うようにしてもよい。畳み込み処理部133が、畳み込みニューラルネットワークを用いて構成されていてもよい。
畳み込み処理部133は、処理後のデータをグループCおよびグループDの2つのグループに振り分ける。畳み込み処理部133は、グループCに振り分けたデータを乗算部134に出力し、グループDに振り分けたデータを加算部135に出力する。
【0038】
乗算部134は、グループAのデータとグループCのデータとの入力を受けて、グループAのデータとグループCのデータとの要素ごとの乗算を行う。グループAのデータとグループCのデータとは、縦の要素数および横の要素数の何れも同じであり、乗算部134は、グループAのデータとグループCのデータとの同じ位置の要素ごとに、要素の値を乗算する。乗算部134は、乗算結果のデータを加算部135へ出力する。
【0039】
加算部135は、乗算部134からのデータとグループDのデータとの入力を受けて、入力された乗算部134からのデータとグループDのデータとを足し合わせる。具体的には、加算部135は、乗算部134からのデータとグループDのデータとの要素ごとの加算を行う。乗算部134からのデータとグループDのデータとは、縦の要素数および横の要素数の何れも同じであり、加算部135は、乗算部134からのデータとグループDのデータとの同じ位置の要素ごとに、要素の値を加算する。加算部135は、加算結果のデータをチャネル結合部136へ出力する。
【0040】
チャネル結合部136は、チャネル分割部132が行う処理に対して逆の処理を行う。これにより、チャネル結合部136は、加算部135からの1つのデータとグループBの1つのデータとを、1つのデータに結合する。ここでいう逆の処理は、逆演算に相当する処理である。ここでいう結合は、複数のデータを分割可能に1つのデータに纏めることであってもよい。
【0041】
特徴抽出部12のチャネル分割部113の各々は、処理ステージ部112が出力する中間特徴の各々を2つのグループの何れかに振り分ける。これにより、チャネル分割部113は、処理ステージ部112が出力する中間特徴データから、受信側装置20への通信データとして特徴データ群に纏めるためのデータを抽出する。上述したように、チャネルは、個々の画像の特徴データであってもよい。チャネル分割は、個々の画像の特徴データを複数のグループの何れかに振り分けることであってもよい。
図2の例のように処理ステージ部112とチャネル分割部113とを交互に設ける構成とすることで、処理ステージ部112およびチャネル分割部113による処理に対する逆処理を比較的簡単な計算で行うことができる。
【0042】
通信データ生成部13は、特徴データに基づいて通信データを生成する。具体的には、通信データ生成部13は、特徴抽出部12が出力する特徴データ群を、通信データに変換する。
通信データ生成部13は、通信データ生成手段の例に該当する。
【0043】
量子化部14は、入力画像の特徴データを量子化する。ここでいう量子化は、実数から整数への丸め(四捨五入、切り捨て、または、切り上げ)であってもよい。したがって、量子化部14が行う特徴データの量子化は、特徴データに含まれる実数の各々を整数に変換することである。特徴データに含まれる実数は、特徴データの要素である実数ベクトルのさらに要素であってもよい。
量子化部14は、量子化手段の例に該当する。
【0044】
符号化部15は、量子化された特徴データをエントロピ符号化する。ここでいうエントロピ符号化は、入力データ(入力符号)の予測確率分布に基づいて、情報エントロピを最小化するようにデータ変換(符号化)することである。符号化部15が行う処理に、公知のエントロピ符号化アルゴリズムを用いることができる。
【0045】
符号化部15は、エントロピ符号化によって特徴データをビットストリーム(Bit Stream、ビット列で表されるデータストリーム)に変換する。
ただし、情報処理システム1が用いる符号化方式は、エントロピ符号化方式に限定されない。ビットストリームなど通信に適したデータを生成可能ないろいろな符号化方式を、情報処理システム1に適用することができる。
【0046】
量子化部14が行う量子化、および、符号化部15が行う符号化の何れも、特定の処理に限定されない。これらの処理の組み合わせにて特徴データを送信用のビットストリームに変換可能な、いろいろな処理を用いることができる。
【0047】
送信部16は、通信データを送信する。具体的には、送信部16は、符号化部15が出力するビットストリームを、通信信号にて受信側装置20の受信部21へ送信する。送信部16は、送信手段の例に該当する。
送信部16と受信部21との間の通信方式は、特定のものに限定されない。例えば、送信部16と受信部21とが無線通信を行うようにしてもよいし、有線で通信を行うようにしてもよい。
【0048】
受信部21は、取得画像の特徴データに基づく通信データを受信する。具体的には、受信部21は、送信部16からの信号を受信し、ビットストリームを復元する。
受信部21は、受信手段の例に該当する。
【0049】
特徴復元部22は、受信部21が受信した通信データに基づいて、特徴データを復元する。
特徴復元部22は、特徴復元手段の例に該当する。
【0050】
復号部23は、エントロピ復号によってビットストリームを量子化された特徴データに変換する。復号部23が行う復号は、符号化部15が行う符号化の逆演算に該当する。
上記のように、情報処理システム1が用いる符号化方式は、エントロピ符号化方式に限定されない。受信側装置20が行う復号はエントロピ復号に限定されず、送信側装置10によって符号化されたデータを復号するものであればよい。
【0051】
脱量子化部24は、復号部23が取得する量子化された特徴データを脱量子化する。具体的には、脱量子化部24は、特徴データに含まれる整数の各々を実数に変換する。
脱量子化部24が整数を実数に変換する方法は、特定の方法に限定されない。例えば、脱量子化部24が、特徴データの要素としての実数ベクトルの符号化確率を表す確率分布を予め記憶しておき、この確率分布に基づいてサンプリングを行うようにしてもよい。この場合、特徴データの要素としての実数ベクトルの符号化確率を表す確率分布は、量子化される前の特徴データの確率分布の例に該当する。
脱量子化部24が、特徴データの確率分布を脱量子化に反映させることによって、脱量子化を高精度に行えると期待される。
あるいは、脱量子化部24が、整数の値はそのままとし、整数データから実数データへ、データ形式のみを変更するようにしてもよい。
脱量子化部24は、脱量子化手段の例に該当する。
【0052】
脱量子化部24が行う脱量子化は、理想的には量子化部14による量子化の逆演算であるが、通常、送信側における量子化前の値を受信側で常に正確に復元することはできない。脱量子化部24による脱量子化後の特徴データも、量子化ノイズ(量子化誤差)を含んでいると考えられる。量子化ノイズは、量子化および脱量子化に起因する誤差である。量子化ノイズを含んでいることを示す場合、「ノイジー特徴データ」、「ノイジー中間特徴データ」のように、用語に「ノイジー」(Noisy)を付加する。
【0053】
特徴データに含まれる実数の大きさが、量子化での丸め分の大きさに対して大きい場合、受信側装置20が行う受信画像の復元および画像認識に対する、ノイジー特徴データに含まれる量子化ノイズの影響は小さい。受信側装置20の処理に精度を要求される場合、要求される精度に応じて、特徴データに含まれる実数の大きさを大きくしてもよい。特徴データに含まれる実数の大きさを大きくすることは、例えば、取得画像における画素値の上限を大きくとって、画素値を大きい値で表すことで行われる。
脱量子化部24による脱量子化は、量子化部14による量子化に対する近似的な逆演算と捉えることができる。
【0054】
中間特徴生成部25は、脱量子化部24が出力するノイジー特徴データ群から、ノイジー中間特徴データを算出する。中間特徴生成部25の演算は、理想的には特徴抽出部12の演算の逆演算であるが、これに限定されない。中間特徴生成部25は、情報処理システム1の用途に応じた要求精度でノイジー中間特徴データを算出できるものであればよい。
【0055】
以下では、中間特徴生成部25が、逆演算可能な畳み込みニューラルネットワークによる深層学習モデルを用いて構成され、中間特徴生成部25が、特徴抽出部12のうちチャネル分割部113-1、処理ステージ部112-2、チャネル分割部113-2および処理ステージ部112-3の部分の逆モデルとなっている場合を例に説明する。ここでいう逆モデルは、逆演算を行うモデルである。すなわち、中間特徴生成部25が、特徴抽出部12のうち上記の部分による演算に対する逆演算を行う場合を例に説明する。
【0056】
図5は、中間特徴生成部25の構成例を示す概略ブロック図である。図5に示す構成において、中間特徴生成部25は、逆処理ステージ部211と、チャネル結合部212とを備える。
図5の例において、2つの逆処理ステージ部211と、2つのチャネル結合部212とが、交互に配置されて直列に接続されている。2つの逆処理ステージ部211を区別する場合、データの流れの上流側から下流側へ順に、符号211-1、211-2を付す。2つのチャネル結合部212を区別する場合、データの流れの上流側から下流側へ順に、符号212-1、212-2を付す。
【0057】
逆処理ステージ部211の各々は、1つの処理ステージ部112の演算の逆演算を行う。逆処理ステージ部211-1は、処理ステージ部112-3の演算の逆演算を行う。逆処理ステージ部211-2は、処理ステージ部112-2の演算の逆演算を行う。
【0058】
図5の例において、中間特徴生成部25に入力されるノイジー特徴データ群には、ノイジー中間特徴データY1’が含まれる。ノイジー中間特徴データY1’は、処理ステージ部112-3(図2)が出力する中間特徴データY3が、量子化ノイズを含んで復元されたデータである。
【0059】
チャネル結合部212-1の出力を、ノイジー中間特徴データY2’と表記する。ノイジー中間特徴データY2’は、処理ステージ部112-2が出力する中間特徴データY2が、量子化ノイズを含んで復元されたデータである。
チャネル結合部212-2の出力を、ノイジー中間特徴データY3’と表記する。ノイジー中間特徴データY3’は、処理ステージ部112-1が出力する中間特徴データY1が、量子化ノイズを含んで復元されたデータである。
【0060】
図6は、逆処理ステージ部211の構成例を示す概略ブロック図である。図6に示す構成において、逆処理ステージ部211は、逆処理ブロック部221と、アップサンプリング部222とを備える。
図6の例において、N個の逆処理ブロック部221が直列に接続され、さらに、アップサンプリング部222が直列に接続されている。N個の逆処理ブロック部221を区別する場合、データの流れの上流側から下流側へ順に、符号221-1、・・・、221-Nを付す。
【0061】
逆処理ブロック部221の各々は、1つの処理ブロック部122の演算の逆演算を行う。逆処理ブロック部221-1、・・・、221-Nは、それぞれ、処理ブロック部122-N、・・・、122-1の演算の逆演算を行う。
【0062】
図7は、逆処理ブロック部221の構成例を示す概略ブロック図である。図7に示す構成において、逆処理ブロック部221は、チャネル分割部231と、畳み込み処理部232と、減算部233と、除算部234と、チャネル結合部235と、逆アフィンチャネル変換部236とを備える。
【0063】
チャネル分割部231は、チャネル結合部136の演算の逆演算を行う。これによりチャネル分割部231は、チャネル分割部132と同様の処理を行う。例えば、チャネル分割部231は、チャネル分割部231自らへの入力データに含まれる各チャネルを、チャネル分割部132と同様に、グループA’およびグループB’の2つのグループの何れかに振り分ける。グループA’は、グループAに相当するグループである。グループB’は、グループBに相当するグループである。
チャネル分割部231は、グループA’に振り分けたデータを減算部233へ出力し、グループB’に振り分けたデータを畳み込み処理部232およびチャネル結合部235へ出力する。
【0064】
畳み込み処理部232と、減算部233と除算部234との組み合わせにて、畳み込み処理部133と、乗算部134と、加算部135との組み合わせによる演算の逆演算を行う。
畳み込み処理部232は、畳み込み処理部133と同様の処理を行う。具体的には、畳み込み処理部232は、グループB’のデータの入力を受けて、入力されたデータに対して畳み込み処理を行う。畳み込み処理部133が、入力されたデータに対して畳み込み処理および非線形変換などの一連の処理を行う場合、畳み込み処理部232も、畳み込み処理部133と同様の一連の処理を行う。畳み込み処理部232が、畳み込みニューラルネットワークを用いて構成されていてもよい。
【0065】
畳み込み処理部232は、処理後のデータをグループC’およびグループD’の2つのグループに振り分ける。グループC’は、グループCに相当するグループである。グループD’はグループDに相当するグループである。
畳み込み処理部232は、グループD’に振り分けたデータを減算部233に出力し、グループC’に振り分けたデータを除算部234に出力する。
【0066】
減算部233は、加算部135の逆演算を行う。具体的には、減算部233は、グループA’のデータとグループD’のデータとの入力を受けて、入力されたグループA’のデータからグループD’のデータを減算する。さらに具体的には、減算部233は、グループA’のデータとグループD’のデータとの要素ごとに、グループA’のデータの要素の値からグループD’のデータの要素の値を減算する。グループA’のデータとグループD’のデータとは、縦の要素数および横の要素数の何れも同じであり、減算部233は、グループA’のデータとグループD’のデータとの同じ位置の要素ごとに、グループA’のデータの要素の値からグループD’のデータの要素の値を減算する。減算部233は、減算結果のデータを除算部234へ出力する。
【0067】
除算部234は、乗算部134の逆演算を行う。具体的には、除算部234は、減算部233からのデータとグループC’のデータとの入力を受けて、減算部233からのデータとグループC’のデータとの要素ごとに、減算部233からのデータの要素の値をグループC’のデータの要素の値で除算する。減算部233からのデータとグループC’のデータとは、縦の要素数および横の要素数の何れも同じであり、除算部234は、減算部233からのデータとグループC’のデータとの同じ位置の要素ごとに、減算部233からのデータの要素の値をグループC’のデータの要素の値で除算する。除算部234は、除算結果のデータをチャネル結合部235へ出力する。
【0068】
チャネル結合部235は、チャネル分割部231が行う処理に対して逆の処理を行う。これにより、チャネル結合部235は、除算部234からの1つのデータとグループB’の1つのデータとを、1つのデータに結合する。
チャネル結合部235の処理は、チャネル分割部132が行う処理に対する逆の処理にも該当する。
逆アフィンチャネル変換部236は、アフィンチャネル変換部131の演算の逆演算を行う。
【0069】
逆処理ステージ部211のアップサンプリング部222は、理想的には、ダウンサンプリング部121の演算の逆演算を行う。ただし、送信側におけるダウンサンプリング前のデータを受信側で常に正確に復元できない場合がある。例えば上記のように、ダウンサンプリング部121が、4つの画素をそれら4つの画素の画素値の平均の画素値を有する1つの画素に置き換える場合について考える。この場合、アップサンプリング部222は、通常、得られる1つの画素値から元の4つの画素値を算出することはできない。
【0070】
そこで、アップサンプリング部222が、ダウンサンプリング前のデータを近似的に復元するようにしてもよい。例えば、アップサンプリング部222が、入力データの各画素を縦2個×横2個の4つの画素に分割し、各画素の値を元の画素の値と同じ値に設定することによって、データ(画像データまたは特徴データ)を4倍のサイズの画像データに変換するようにしてもよい。
【0071】
中間特徴生成部25のチャネル結合部212は、チャネル分割部113の演算に対する逆演算を行う。これにより、チャネル結合部212は、複数のチャネルを1つに纏めたデータを生成する。チャネル結合部212-1は、チャネル分割部113-2の演算に対する逆演算を行う。チャネル結合部212-2は、チャネル分割部113-1の演算に対する逆演算を行う。
【0072】
取得画像復元部26は、中間特徴生成部25が出力する中間特徴データに基づいて画像を算出する。具体的には、取得画像復元部26は、特徴抽出部12の処理のうち、前処理部111および処理ステージ部112-1の処理に対する逆の処理を行うことによって、取得画像を復元する。取得画像復元部26が算出する画像を、復元画像とも称する。
取得画像復元部26は、対象復元手段の例に該当する。取得画像復元部26による取得画像の復元は、特徴復元部22が復元した特徴データに基づいて取得画像データを復元する処理に該当する。
【0073】
図8は、取得画像復元部26の構成例を示す概略ブロック図である。図8に示す構成において、取得画像復元部26は、逆処理ステージ部211と、後処理部241とを備える。
取得画像復元部26の逆処理ステージ部211を、中間特徴生成部25の逆処理ステージ部(図5)と区別する場合、取得画像復元部26の逆処理ステージ部211を、逆処理ステージ部211-3と表記する。逆処理ステージ部211-3は、処理ステージ部112-1(図2)の逆モデルに該当する。
後処理部241は、前処理部111の演算の逆演算を行う。
復元画像は、取得画像に類似する。具体的には、復元画像は、取得画像に量子化ノイズが加わった画像である。
【0074】
認識部27は、中間特徴生成部25が出力するノイジー中間特徴データ群に基づいて画像認識を行う。中間特徴生成部25が出力するノイジー中間特徴データ群は、復元画像の特徴データに相当する。認識部27が行う画像認識は、復元画像に対する画像認識に相当する。復元画像に対する画像認識は、復元画像の元の画像である取得画像に対する画像認識といえる。
したがって、認識部27が行う画像認識は、特徴復元部22が復元した特徴データに基づいて、取得画像データの表現内容である取得画像に対する認識処理を行うことに該当する。認識部27は、認識手段の例に該当する。
【0075】
図9は、認識部27の構成例を示す概略ブロック図である。図9に示す構成において、認識部27は、中間特徴処理部251と、アップサンプリング部252と、加算部253と、位置推定処理部254と、分類処理部255と、NMS(Non-Maximum Suppression)処理部256とを備える。
図9の例において、3つの中間特徴処理部251それぞれに1つずつ位置推定処理部254および分類処理部255が接続されている。
【0076】
また、1つ目の中間特徴処理部251の出力が1つ目のアップサンプリング部252に入力され、そのアップサンプリング部252の出力と、2つ目の中間特徴処理部251の出力とを、1つ目の加算部253が画素ごとに加算している。加算後のデータが、2つ目のアップサンプリング部252に入力され、そのアップサンプリング部252の出力と、3つ目の中間特徴処理部251の出力とを、2つ目の加算部253が画素ごとに加算している。
【0077】
3つの中間特徴処理部251を区別する場合、上記の1つめの中間特徴処理部251を中間特徴処理部251-1と表記する。2つめの中間特徴処理部251を中間特徴処理部251-2と称する。3つめの中間特徴処理部251を中間特徴処理部251-3と称する。
【0078】
3つの位置推定処理部254を区別する場合、中間特徴処理部251-1に接続している位置推定処理部254を位置推定処理部254-1と表記する。中間特徴処理部251-2に接続している位置推定処理部254を位置推定処理部254-2と表記する。中間特徴処理部251-3に接続している位置推定処理部254を位置推定処理部254-3と表記する。
【0079】
3つの分類処理部255を区別する場合、中間特徴処理部251-1に接続している分類処理部255を分類処理部255-1と表記する。中間特徴処理部251-2に接続している分類処理部255を分類処理部255-2と表記する。中間特徴処理部251-3に接続している分類処理部255を分類処理部255-3と表記する。
【0080】
2つのアップサンプリング部252を区別する場合、中間特徴処理部251-1の出力が入力されるアップサンプリング部252をアップサンプリング部252-1と表記する。中間特徴処理部251-2の出力が入力されるアップサンプリング部252をアップサンプリング部252-2と表記する。
【0081】
2つの加算部253を区別する場合、中間特徴処理部251-2の出力と、アップサンプリング部252-1の出力とを加算する加算部253を、加算部253-1と表記する。中間特徴処理部251-3の出力と、アップサンプリング部252-2の出力とを加算する加算部253を、加算部253-2と表記する。
【0082】
中間特徴処理部251の各々は、ノイジー中間特徴データに含まれるノイジー中間特徴において、認識対象を検出する。中間特徴処理部251が認識対象を1つも検出しない場合があってもよい。また、1つの中間特徴処理部251が複数の認識対象を検出する場合があってもよい。
中間特徴処理部251が認識対象を検出する方法として、公知の方法を用いることができる。
【0083】
アップサンプリング部252の各々は、逆処理ステージ部211のアップサンプリング部222(図6)と同様の処理を行う。アップサンプリング部252は、アップサンプリング部222の場合と同様、ダウンサンプリング部121によるダウンサンプリング前のデータを復元する。アップサンプリング部252が、ダウンサンプリング部121によるダウンサンプリング前のデータを近似的に復元するようにしてもよい。
加算部253の各々は、中間特徴処理部251の出力と、アップサンプリング部252の出力とを画素ごとに足し合わせる。
【0084】
位置推定処理部254の各々は、中間特徴処理部251が検出した認識対象の復元画像における位置を推定する。
位置推定処理部254が認識対象の復元画像における位置を検出する方法として公知の方法を用いることができる。
【0085】
分類処理部255は、中間特徴処理部251が検出した認識対象をクラス分類する。このクラス分類は、認識対象の種類の推定であってもよい。
分類処理部255が認識対象をクラス分類する方法として公知の方法を用いることができる。
【0086】
NMS処理部256は、同じクラスとして認識された領域が画像上(ここでは復元画像上)で重なっている場合に、その重なりを解消する。NMS処理部256が、重なっている同じクラスの領域のうち何れか1つを残して他を削除するようにしてもよい。あるいは、NMS処理部256が、重なっている領域を、それらの領域を包含する1つの領域に置き換えるようにしてもよい。
NMS処理部256が処理を行う方法として、Non-Maximum Suppressionとして公知の方法を用いるようにしてもよい。
【0087】
出力部28は、取得画像復元部26が生成する復元画像と、認識部27による認識結果とを示す情報を出力する。例えば、出力部28が表示装置を備えて復元画像を表示するようにしてもよい。そして、出力部28が、復元画像における認識対象をバウンディングボックス(Bounding Box、その領域をちょうど囲う矩形)で囲って示し、その認識対象のクラスをバウンディングボックスの色で示すようにしてもよい。
だたし、出力部28が、復元画像と認識結果とを出力する方法は、特定の方法に限定されない。
出力部28が、復元画像と認識結果とを別々に出力するようにしてもよい。
出力部28は、出力手段の例に該当する。
【0088】
図10は、送信側装置10が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。送信側装置10が、図10の処理を繰り返し行うようにしてもよい。例えば、送信側装置10が、静止画像の取得を所定の周期で繰り返す場合、静止画像を取得する毎に図10の処理を行うようにしてもよい。
【0089】
図10の処理において、画像取得部11は、画像を取得する(ステップS101)。上記のように、画像取得部11が取得する画像を取得画像とも称する。
次に、特徴抽出部12は、取得画像の特徴データを抽出する(ステップS102)。
次に、量子化部14は、特徴データを量子化する(ステップS103)。
【0090】
次に、符号化部15は、量子化された特徴データを符号化する(ステップS104)。符号化部15は、量子化された特徴データの符号化によって、量子化された特徴データをビットストリームに変換する。
そして、送信部16は、符号化部15が出力するビットストリームを受信側装置20へ送信する(ステップS105)。
ステップS105の後、送信側装置10は、図10の処理を終了する。
【0091】
図11は、受信側装置20が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。受信側装置20が、送信側装置10による図10の処理の繰り返しに応じて、図11の処理を繰り返し行うようにしてもよい。
図11の処理において、受信部21は、ビットストリームを受信する(ステップS201)。
【0092】
次に、復号部23は、受信部21が受信したビットストリームを復号する(ステップS202)。上述したように、復号部23は、送信側装置10の符号化部15が行う符号化の逆演算によって復号を行う。復号部23は、ビットストリームの復号によって、量子化された特徴データを生成する。
【0093】
次に、脱量子化部24は、ステップS202でのビットストリームの復号によって得られたデータを脱量子化することによって、ノイジー特徴データを算出する(ステップS203)。上述したように、ノイジー特徴データは、特徴抽出部12が抽出する特徴データに量子化ノイズが加わったものといえる。
【0094】
次に、中間特徴生成部25が、ノイジー特徴データに基づいてノイジー中間特徴データを生成する(ステップS204)。
取得画像復元部26は、ノイジー中間特徴データに基づいて復元画像を生成する(ステップS205)。
また、認識部27は、ノイジー中間特徴データに基づいて画像認識を行い、認識結果を算出する(ステップS206)。
そして、出力部28は、復元画像および認識結果を出力する(ステップS207)。
ステップS207の後、受信側装置20は、図11の処理を終了する。
【0095】
以上のように、受信部21は、取得画像データの表現内容である取得画像の特徴を示す特徴データに基づく通信データを受信する。特徴復元部22は、受信された通信データに基づいて特徴データを復元する。取得画像復元部26は、復元された前記データに基づいて取得画像データを復元する。認識部27は、復元された特徴データに基づいて取得画像データの表現内容である取得画像に対する画像認識を行う。出力部28は、復元された対象データの表現内容と認識処理による認識結果とを示す情報を出力する。
【0096】
このように、受信側装置20は、特徴復元部22が復元する特徴データを、取得画像復元部26による取得画像の復元、および、認識部27による画像認識の両方に用いる。受信側装置20によれば、画像を復元した後、復元された画像を用いて画像認識を行う場合との比較において、取得画像データの復元処理、および、復元されるデータの表現内容である復元画像に対する画像認識を行う処理時間が短くて済む。
【0097】
また、受信部21は、量子化された特徴データに基づく通信データを受信する。脱量子化部24は、量子化された特徴データに対して、量子化される前の特徴データの確率分布に従ったサンプリングに基づく脱量子化を行う。
脱量子化部24が、特徴データの確率分布を脱量子化に反映させることによって、脱量子化を高精度に行えると期待される。
【0098】
また、受信部21は、中間特徴データY1と、中間特徴データY1からダウンサンプリング部121によってダウンサンプリングされたデータに基づいて算出される中間特徴データY2とに基づく通信データを受信する。特徴復元部22は、中間特徴データY2が受信された通信データに基づいて復元されたノイジー中間特徴データY2’からアップサンプリング部222によってアップサンプリングしたデータに基づいてノイジー中間特徴データY3’を復元する。
このように、受信側装置20が、異なる画像サイズの特徴データを用いて取得画像データを復元することによって、送信側装置10での画像の圧縮率の調整が比較的容易になる。
【0099】
また、特徴復元部22は、処理ステージ部112が、中間特徴データY1からダウンサンプリングされたデータに基づいて中間特徴データY2を算出する処理の逆演算に該当する処理を用いて、中間特徴データY1を復元する。
これにより、特徴復元部22が、中間特徴データを比較的高精度に復元できると期待される。
【0100】
<第二実施形態>
図12は、第二実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す概略ブロック図である。図2に示す構成において、情報処理システム2は、送信側装置30と、受信側装置40とを備える。送信側装置30は、画像取得部11と、特徴抽出部12と、通信データ生成部31と、送信部16と、ノイジー特徴データ記憶部35と、を備える。通信データ生成部31は、量子化部14と、符号化部15と、脱量子化部32と、特徴差分算出部33と、特徴算出部34とを備える。受信側装置20は、受信部21と、特徴復元部41と、取得画像復元部26と、認識部27と、出力部28と、ノイジー特徴データ記憶部43とを備える。特徴復元部41は、復号部23と、脱量子化部24と、中間特徴生成部25と、特徴算出部42とを備える。
【0101】
図12の各部のうち図1の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(11、12、14、15、16、21、23、24、25、26、27、28)を付し、ここでは詳細な説明を省略する。
図12に示す情報処理システム2の構成を、図1に示す情報処理システム1と比較すると、動画像を効率的に伝送し処理するための機能部が追加されている。それ以外の点では、情報処理システム2は、情報処理システム1と同様である。
【0102】
第二実施形態では、画像取得部11は、動画像、または、例えば1秒周期など比較的短い周期で繰り返し撮像される静止画像を取得する。画像取得部11が動画像を取得する場合、動画像の各フレームのデータを取得画像データとして扱う。
取得画像データのうちの1つを第一取得画像データと称し、第一取得画像の次に撮像される取得画像のデータを第二取得画像データと称する。第一取得画像データは、第一対象データの例に該当する。第二取得画像データは、第二対象データの例に該当する。
【0103】
特徴抽出部12は、画像取得部11が取得する複数の画像(画像取得部11が動画像を取得する場合は、動画像のフレーム)それぞれの特徴データを算出する。例えば、特徴抽出部12は、第一取得画像データから第一特徴データを抽出し、第二取得画像データから第二特徴データを抽出する。
【0104】
通信データ生成部31は、画像取得部11が取得する最初の画像については、第一実施形態の通信データ生成部13と同様、その画像の特徴データ(例えば特徴データ群)を通信データに変換する。
一方、通信データ生成部31は、画像取得部11が取得する2つ目以降の画像については、特徴差分データを算出し、算出した特徴差分データに基づいて通信データを生成する。特徴差分データは、特徴抽出部12が算出する2つの特徴データの相違を示すデータである。例えば、通信データ生成部31は、第一特徴データと第二特徴データとの相違を示す特徴差分データを算出し、算出した特徴差分データに基づいて通信データを生成する。
特に、通信データ生成部31は、量子化部14における量子化、および、脱量子化部32における脱量子化によって、量子化ノイズを含むノイジー特徴差分データを生成し、ノイジー特徴差分データに基づいて通信データを生成する。
【0105】
脱量子化部32は、受信側装置40の脱量子化部24と同じ処理を行う。これにより、脱量子化部32は、脱量子化部24が生成するノイジー特徴データと同じノイジー特徴データを生成する。
ノイジー特徴データ記憶部35は、ノイジー特徴データを一時的に記憶する。ノイジー特徴データ記憶部35が記憶するノイジー特徴データは、次の処理におけるノイジー特徴差分データの生成に用いられる。ここでいう次の処理は、画像取得部11が取得する動画像のフレームごとの処理など、画像取得部11が取得する画像ごとの処理のうち、次の画像に対する処理である。
特徴差分算出部33は、ノイジー特徴差分データを算出する。ノイジー特徴差分データは、連続する処理でそれぞれ生成される特徴データと、1つ前の処理で生成されたノイジー特徴データとの差分データである。
【0106】
送信側装置30は、2つ目以降の画像の処理では、特徴データに代えてノイジー特徴差分データを量子化および符号化して得られるビットストリームを受信側装置40へ送信する。受信側装置40は、受信するビットストリームからノイジー特徴差分データを復元する。そして、受信側装置40は、復元したノイジー特徴差分データと、1つ前の処理におけるノイジー特徴データとを足し合わせることによって、今回の処理におけるノイジー特徴データを算出する。それ以降の処理は、第一実施形態の受信側装置20の場合と同様である。
受信側装置40は、情報処理装置の例に該当する。
【0107】
送信側装置30の特徴算出部34は、2つ目以降の画像の処理において、脱量子化部32が算出する今回の処理におけるノイジー特徴差分データと、ノイジー特徴データ記憶部35が記憶している前回の処理におけるノイジー特徴データとを足し合わせて、今回の処理におけるノイジー特徴データを算出する。特徴算出部34は、ノイジー特徴データ記憶部35が記憶している前回の処理におけるノイジー特徴データを、特徴算出部34自らが算出した今回の処理におけるノイジー特徴データに更新する。ここでいうデータの更新は、データの上書きであってもよい。
【0108】
受信側装置40のノイジー特徴データ記憶部43は、送信側装置30のノイジー特徴データ記憶部35と同様、ノイジー特徴データを一時的に記憶する。
特徴算出部42は、脱量子化部24が復元する、今回の処理におけるノイジー特徴差分データと、ノイジー特徴データ記憶部43が記憶している前回の処理におけるノイジー特徴データとを足し合わせる。これにより、特徴算出部42は、今回の処理におけるノイジー特徴データを算出する。特徴算出部42は、算出したノイジー特徴データを、中間特徴生成部25へ出力する。また、特徴算出部42は、ノイジー特徴データ記憶部43が記憶している前回の処理におけるノイジー特徴データを、特徴算出部42自らが算出した今回の処理におけるノイジー特徴データに更新する。
【0109】
図13は、特徴差分算出部33の構成例を示す概略ブロック図である。図13に示す構成において、特徴差分算出部33は、差分処理ステージ部311と、アップサンプリング部312とを備える。
図13は、特徴差分算出部33がインバーティブル深層畳み込みニューラルネットワークモデルを用いて構成される場合の例を示している。ただし、特徴差分算出部33の構成は、特定のものに限定されない。
【0110】
図13の例において、特徴差分算出部33は、3つの差分処理ステージ部311と、2つのアップサンプリング部312とを備える。これらは、2つの差分処理ステージ部311の間のそれぞれにアップサンプリング部312が1つずつ設けられる配置で直列に接続されている。3つの差分処理ステージ部311を区別する場合、データの流れの上流側から下流側へ順に、符号311-1、311-2、311-3を付す。2つのアップサンプリング部312を区別する場合、データの流れの上流側から下流側へ順に、符号312-1、312-2を付す。
【0111】
以下、現在の処理における時刻ステップを時刻ステップtで表し、前回の処理における時刻ステップを時刻ステップt-1で表す。
差分処理ステージ部311の各々は、時刻ステップtにおける特徴データと時刻ステップt-1におけるノイジー特徴データとの差分を算出する。
【0112】
図14は、差分処理ステージ部311の構成例を示す概略ブロック図である。図14に示す構成において、差分処理ステージ部311は、差分処理ブロック部321を備える。
図14の例において、N個の差分処理ブロック部321が直列に接続されている。N個の差分処理ブロック部321を区別する場合、データの流れの上流側から下流側へ順に、符号321-1、・・・、321-Nを付す。
【0113】
図15は、差分処理ブロック部321の構成例を示す概略ブロック図である。図15に示す構成において、差分処理ブロック部321は、アフィンチャネル変換部331と、チャネル分割部332と、畳み込み処理部333と、乗算部334と、加算部335と、チャネル結合部336とを備える。
【0114】
アフィンチャネル変換部331、チャネル分割部332、乗算部334、加算部335、および、チャネル結合部336は、図4のアフィンチャネル変換部131、チャネル分割部132、乗算部134、加算部135、および、チャネル結合部136と同様である。アフィンチャネル変換部331は、他の差分処理ブロック部321からのデータ、または、特徴抽出部12からの特徴データに対して、アフィンチャネル変換部131と同様の処理を行う。
【0115】
畳み込み処理部333は、チャネル分割部332からのデータと、時刻ステップt-1におけるノイジー特徴データと、アップサンプリング部312からのデータとの入力を受ける。
チャネル分割部332から畳み込み処理部333へのデータは、グループBに相当するグループのデータである。また、畳み込み処理部333は、ノイジー特徴データ記憶部35が記憶する、時刻ステップt-1におけるノイジー特徴データを取得する。
【0116】
畳み込み処理部333は、チャネル分割部332からのデータと、時刻ステップt-1におけるノイジー特徴データと、アップサンプリング部312からのデータとを結合し、結合したデータに対して畳み込み処理部133の場合と同様の処理を行う。
具体的には、畳み込み処理部333は、結合後のデータに対して畳み込み処理を行う。畳み込み処理部333が、結合後のデータに対して畳み込み処理および非線形変換などの一連の処理を行うようにしてもよい。畳み込み処理部333が、畳み込みニューラルネットワークを用いて構成されていてもよい。
【0117】
なお、差分処理ステージ部311-1では、アップサンプリング部312からの入力が無い。そこで、差分処理ステージ部311-1の差分処理ブロック部321では、畳み込み処理部333が、チャネル分割部332からのデータと、時刻ステップt-1におけるノイジー特徴データとを結合するようにしてもよい。
【0118】
畳み込み処理部333は、処理後のデータをグループCに相当するグループおよびグループDに相当するグループの2つのグループに振り分ける。畳み込み処理部333は、グループCに相当するグループに振り分けたデータを乗算部334に出力し、グループDに相当するグループに振り分けたデータを加算部335に出力する。
【0119】
図16は、特徴算出部34の構成例を示す概略ブロック図である。図16に示す構成において、特徴算出部34は、復元処理ステージ部341と、アップサンプリング部342とを備える。
図16は、特徴算出部34がインバーティブル深層畳み込みニューラルネットワークモデルを用いて構成される場合の例を示している。ただし、特徴算出部34の構成は、特定のものに限定されない。
【0120】
図16の例において、特徴算出部34は、3つの復元処理ステージ部341と、2つのアップサンプリング部342とを備える。これらは、2つの復元処理ステージ部341の間のそれぞれにアップサンプリング部342が1つずつ設けられる配置で直列に接続されている。3つの復元処理ステージ部341を区別する場合、データの流れの上流側から下流側へ順に、符号341-1、341-2、341-3を付す。2つのアップサンプリング部342を区別する場合、データの流れの上流側から下流側へ順に、符号342-1、342-2を付す。
復元処理ステージ部341の各々は、時刻ステップt-1における特徴データと、時刻ステップtにおけるノイジー特徴差分データとに基づいて、時刻ステップtにおけるノイジー特徴データを算出する。
【0121】
図17は、復元処理ステージ部341の構成例を示す概略ブロック図である。図17に示す構成において、復元処理ステージ部341は、復元処理ブロック部351を備える。
図17の例において、N個の復元処理ブロック部351が直列に接続されている。N個の復元処理ブロック部351を区別する場合、データの流れの上流側から下流側へ順に、符号351-1、・・・、351-Nを付す。
【0122】
図18は、復元処理ブロック部351の構成例を示す概略ブロック図である。図18に示す構成において、復元処理ブロック部351は、チャネル分割部361と、畳み込み処理部362と、減算部363と、除算部364と、チャネル結合部365と、逆アフィンチャネル変換部366とを備える。
【0123】
チャネル分割部361、減算部363、除算部364、チャネル結合部365、および、逆アフィンチャネル変換部366は、逆処理ブロック部221のチャネル分割部231、減算部233、除算部234、チャネル結合部235、および、逆アフィンチャネル変換部236と同様である。チャネル分割部361は、他の復元処理ブロック部351からのデータ、または、脱量子化部24が出力するノイジー特徴差分データに対してチャネル分割部231と同様の処理を行う。
【0124】
チャネル分割部361が行う処理は、チャネル結合部336が行う処理の逆処理に該当する。減算部363が行う演算は、加算部335が行う演算に対する逆演算に該当する。除算部364が行う演算は、乗算部334が行う演算に対する逆演算に該当する。チャネル結合部365が行う処理は、チャネル分割部332が行う処理の逆処理に該当する。
【0125】
畳み込み処理部362は、畳み込み処理部333と同様の処理を行う。具体的には、畳み込み処理部362は、チャネル分割部361からのデータと、時刻ステップt-1におけるノイジー特徴データと、アップサンプリング部342からのデータとの入力を受ける。
チャネル分割部361から畳み込み処理部362へのデータは、グループBに相当するグループのデータである。また、畳み込み処理部362は、ノイジー特徴データ記憶部35が記憶する、時刻ステップt-1におけるノイジー特徴データを取得する。
【0126】
畳み込み処理部362は、チャネル分割部361からのデータと、時刻ステップt-1におけるノイジー特徴データと、アップサンプリング部342からのデータとを結合し、結合したデータに対して畳み込み処理部333の場合と同様の処理を行う。
具体的には、畳み込み処理部362は、結合後のデータに対して畳み込み処理を行う。畳み込み処理部362が、結合後のデータに対して畳み込み処理および非線形変換などの一連の処理を行うようにしてもよい。畳み込み処理部362が、畳み込みニューラルネットワークを用いて構成されていてもよい。
【0127】
畳み込み処理部362は、処理後のデータをグループCに相当するグループおよびグループDに相当するグループの2つのグループに振り分ける。畳み込み処理部362は、グループDに相当するグループに振り分けたデータを減算部363に出力し、グループCに相当するグループに振り分けたデータを除算部364に出力する。
【0128】
受信側装置40の特徴復元部41は、受信部21が受信した通信データに基づいて特徴差分データを復元し、復元された特徴差分データと、ノイジー特徴データ記憶部43が記憶する時刻ステップt-1におけるノイジー特徴データとに基づいて、時刻ステップtにおける特徴データを復元する。
特徴復元部41は、特徴復元手段の例に該当する。
【0129】
第二実施形態では、送信側装置30と受信側装置40とが特徴差分データを示す通信データを送受信することにより、脱量子化部24は、量子化された特徴差分データに対する脱量子化を行う。
第一実施形態での量子化された特徴データの脱量子化の場合と同様、脱量子化部24が、量子化される前の特徴差分データの確率分布に従ったサンプリングに基づく脱量子化を行うようにしてもよい。例えば、脱量子化部24が、特徴差分データの要素としての実数ベクトルの符号化確率を表す確率分布を予め記憶しておき、この確率分布に基づいてサンプリングを行うようにしてもよい。
【0130】
受信側装置40の特徴算出部42は、送信側装置30の特徴算出部34と同様である。送信側装置30と受信側装置40とで同様の処理を行ってノイジー特徴データを生成し、記憶しておく。
送信側装置30は、ノイジー特徴差分データの算出に、ノイジー特徴データ記憶部35が記憶しているノイジー特徴データを前回のノイジー特徴データ(時刻ステップt-1)として用いる。受信側装置40は、ノイジー特徴差分データからノイジー特徴データ(時刻ステップt)を復元する際に、ノイジー特徴データ記憶部43が記憶している前回のノイジー特徴データ(時刻ステップt-1)を用いる。
受信側装置40が、送信側装置30と同様の、前回のノイジー特徴データを用いて今回のノイジー特徴データを復元することによって、今回のノイジー特徴データを高精度に復元できると期待される。
【0131】
図19は、送信側装置30が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。図19は、送信側装置30が、動画像または連写した静止画像など、複数の画像(動画像の場合はフレーム)を受信側装置に40に送信する場合の、1つの画像に対する処理の手順の例を示している。送信側装置30は、画像ごとに、図19の処理を繰り返し行う。
【0132】
1つ目の画像の送信と2つ目以降の画像の送信とでは、送信側装置30の処理が異なるため、送受信の対象の画像が何個目の画像かの個数を、時刻ステップとして表す。例えば、送信側装置30が、1つ目の画像を送信するための処理を行う場合、時刻ステップt=1とする。
【0133】
図19の処理において、画像取得部11は、画像を取得する(ステップS301)。上記のように、画像取得部11が取得する画像を取得画像とも称する。また、今回の処理の時刻ステップを、時刻ステップtとする。tは正の整数である。
次に、特徴抽出部12は、取得画像の特徴データを抽出する(ステップS302)。
【0134】
次に、送信側装置30は、時刻ステップtがt=1か否かを判定する(ステップS303)。すなわち、送信側装置30は、送信対象の画像が1つ目の画像か否かを判定する。
t=1であると判定した場合(ステップS303:YES)、量子化部14は、特徴データを量子化する(ステップS311)。
【0135】
次に、符号化部15は、量子化されたデータを符号化する(ステップS331)。ここでいう「量子化されたデータ」は、t=1のときはステップS311で量子化された特徴データである。一方、t≧2のときは、「量子化されたデータ」は、ステップS322で量子化された差分データである。符号化部15は、量子化されたデータの符号化によって、送信用のビットストリームを生成する。
【0136】
次に、送信部16は、符号化部15が生成したビットストリームを受信側装置40へ送信する(ステップS332)。
次に、送信側装置30は、時刻ステップtがt=1か否かを判定する(ステップS333)。すなわち、送信側装置30は、ステップS332で送信した画像が、1つめの画像か否かを判定する。
【0137】
t=1であると判定した場合(ステップS333:YES)、脱量子化部32は、量子化されたデータを脱量子化することによって、ノイジー特徴データを算出し、ノイジー特徴データ記憶部35に記憶させる(ステップS341)。t=1の場合、ステップS311で量子化部14が特徴データを量子化している。このことから、ステップS341における脱量子化によってノイジー特徴データが得られる。
ステップS341の後、送信側装置30は、図19の処理を終了する。
【0138】
一方、ステップ303において、t≧2であると送信側装置30が判定した場合(ステップS303:NO)、特徴差分算出部33が、特徴差分データを算出する(ステップS321)。
具体的には、特徴差分算出部33は、ノイジー特徴データ記憶部35が記憶しているノイジー特徴データを読み出す。このノイジー特徴データは、送信側装置30による図19の処理の前回の実行で得られたものであるから、時刻ステップt-1のノイジー特徴データである。
【0139】
そして、特徴差分算出部33は、ステップS302で特徴抽出部12が抽出した特徴データ(時刻ステップt)と、ノイジー特徴データ記憶部35から読み出したノイジー特徴データ(時刻ステップt-1)とに基づいて、特徴差分データを算出する。
ステップS321の後、量子化部14は、特徴差分データを量子化する(ステップS322)。
ステップS322の後、処理がステップS331へ進む。
【0140】
一方、ステップS333でt≧2であると送信側装置30が判定した場合(ステップS333:NO)、脱量子化部32は、量子化されたデータを脱量子化することによって、ノイジー特徴差分データを算出する(ステップS351)。t≧2の場合、ステップS322で量子化部14が特徴差分データを量子化している。このことから、ステップS351における脱量子化によってノイジー特徴差分データが得られる。
ステップS351の後、特徴算出部34は、ノイジー特徴データを算出し、ノイジー特徴データ記憶部35に記憶させる(ステップS352)。
具体的には、特徴算出部34は、ノイジー特徴データ記憶部35が記憶しているノイジー特徴データ(時刻ステップt-1)を読み出す。そして、特徴算出部34は、ステップS351で脱量子化部32が算出したノイジー特徴差分データ(時刻ステップt)と、ノイジー特徴データ記憶部35から読み出したノイジー特徴データ(時刻ステップt-1)とに基づいて、ノイジー特徴データ(時刻ステップt)を算出する。特徴算出部34は、算出したノイジー特徴データ(時刻ステップt)をノイジー特徴データ記憶部35に記憶させる。
ステップS352の後、送信側装置30は、図19の処理を終了する。
【0141】
図20は、受信側装置40が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。受信側装置40が、送信側装置30による図19の処理の繰り返しに応じて、図20の処理を繰り返し行う。
図20のステップS401およびS402は、ビットストリームが特徴データを表す場合と特徴差分データを表す場合とがある点以外は、図11のステップS201およびS202と同様である。ステップS402において、時刻ステップtがt=1の場合は、量子化された特徴データが得られる。一方、t≧2の場合は、量子化された特徴差分データが得られる。
【0142】
ステップS402の後、受信側装置40は、時刻ステップtがt=1か否かを判定する(ステップS403)。すなわち、受信側装置40は、復元対象の画像が1つ目の画像か否かを判定する。
t=1であると受信側装置40判定した場合(ステップS403:YES)、脱量子化部24は、ノイジー特徴データを算出し、ノイジー特徴データ記憶部43に記憶させる(ステップS411)。
具体的には、脱量子化部24は、図11のステップS203の場合と同様、ビットストリームの復号によって得られたデータを脱量子化することによって、ノイジー特徴データを算出する。そして、脱量子化部24は、算出したノイジー特徴データをノイジー特徴データ記憶部43に記憶させる。
ステップS411の後、処理がステップS431へ進む。
ステップS431からS434は、図11のステップS204~S207と同様である。
ステップS434の後、受信側装置40は、図20の処理を終了する。
【0143】
一方、ステップS403において、t≧2であると受信側装置40が判定した場合(ステップS403:NO)、脱量子化部24は、ステップS402でのビットストリームの復号によって得られたデータを脱量子化することによって、ノイジー特徴差分データを算出する(ステップS421)。
【0144】
次に、特徴算出部42は、ノイジー特徴データ(時刻ステップt)を算出し、ノイジー特徴データ記憶部43に記憶させる(ステップS422)。具体的には、特徴算出部42は、ノイジー特徴データ記憶部43が記憶しているノイジー特徴データを読み出す。このノイジー特徴データは、受信側装置40による図20の処理の前回の実行で得られたものであるから、時刻ステップt-1のノイジー特徴データである。
【0145】
そして、特徴算出部42は、ステップS421で脱量子化部24が算出したノイジー特徴差分データ(時刻ステップt)と、ノイジー特徴データ記憶部35から読み出したノイジー特徴データ(時刻ステップt-1)とに基づいて、ノイジー特徴データ(時刻ステップt)を算出する。特徴算出部42は、算出したノイジー特徴データをノイジー特徴データ記憶部43に記憶させる。
ステップS422の後、処理がステップS431へ進む。
【0146】
以上のように、受信部21は、第一時刻ステップにおける取得画像の特徴を示す第一特徴データと、第一時刻ステップよりも遅い時刻ステップである第二時刻ステップにおける取得画像の特徴を示す第二特徴データとの相違を示す特徴差分データに基づく通信データを受信する。特徴復元部41は、受信された通信データに基づいて特徴差分データを復元し、復元された特徴差分データと、第一特徴データとに基づいて第二特徴データを復元する。
受信側装置40によれば、特徴差分データに基づく通信データを受信することによって、特徴データに基づく通信データを受信する場合よりも、通信量が少なくて済むと期待される。
【0147】
また、受信部21は、量子化された差分データに基づく通信データを受信する。脱量子化部24は、量子化された特徴差分データに対して、量子化される前の特徴差分データの確率分布に従ったサンプリングに基づく脱量子化を行う。
脱量子化部24が、特徴差分データの確率分布を脱量子化に反映させることによって、脱量子化を高精度に行えると期待される。
【0148】
<第三実施形態>
情報処理システム1または情報処理システム2において、通信データの圧縮率を動的に変化させるなど、送信側装置が行う処理の設定を動的に更新するようにしてもよい。その際、受信側装置が行う処理の設定も動的に更新するようにしてもよい。第三実施形態では、その点について説明する。
【0149】
図21は、第三実施形態に係る情報処理システムの構成の第一例を示す概略ブロック図である。図21に示す構成において、情報処理システム3aは、送信側装置51と、受信側装置52と、設定更新装置53とを備える。設定更新装置53は、設定更新部54を備える。
【0150】
送信側装置51および受信側装置52は、送信側装置10および受信側装置20であってもよい。すなわち、第一実施形態に基づいて第三実施形態を実施するようにしてもよい。あるいは、送信側装置51および受信側装置52は、送信側装置30および受信側装置40であってもよい。すなわち、第二実施形態に基づいて第三実施形態を実施するようにしてもよい。
【0151】
設定更新部54は、送信側装置51の処理の設定と、受信側装置52の処理の設定とを更新する。例えば、設定更新部54は、特徴抽出部12の処理と、中間特徴生成部25および取得画像復元部26の処理とが逆演算の関係になるように、これらの処理の設定を動的に更新する。さらに例えば、設定更新部54が、特徴抽出部12の処理ステージ部112の個数と、中間特徴生成部25および取得画像復元部26の逆処理ステージ部211の個数の合計とが同じ個数になるように、これらの個数を動的に変化させるようにしてもよい。
設定更新部54は、設定更新手段の例に該当する。
これにより、通信データの圧縮率を動的に変化させるなど処理の設定を動的に変化させることができ、かつ、受信側装置52が、特徴データの復元を高精度に行えると期待される。
【0152】
設定更新部54が、送信側装置または受信側装置の何れかに設けられていてもよい。
図22は、第三実施形態に係る情報処理システムの構成の第二例を示す概略ブロック図である。図22に示す構成において、情報処理システム3bでは、設定更新部54が、送信側装置51に設けられている。それ以外の点では、情報処理システム3bは、情報処理システム3aの場合と同様である。
【0153】
図23は、第三実施形態に係る情報処理システムの構成の第三例を示す概略ブロック図である。図23に示す構成において、情報処理システム3cでは、設定更新部54が、受信側装置52に設けられている。それ以外の点では、情報処理システム3cは、情報処理システム3aの場合と同様である。
【0154】
<第四実施形態>
図24は、第四実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す概略ブロック図である。図24に示す構成において、情報処理装置610は、受信部611と、特徴復元部612と、対象復元部613と、認識部614と、出力部615と、を備える。
【0155】
かかる構成において、受信部611は、対象データの表現内容の特徴を示す特徴データに基づく通信データを受信する。特徴復元部612は、受信された通信データに基づいて特徴データを復元する。対象復元部613は、復元された特徴データに基づいて対象データを復元する。認識部614は、復元された特徴データに基づいて対象データの表現内容に対する認識処理を行う。出力部615は、復元された対象データの表現内容と認識処理による認識結果とを示す情報を出力する。
受信部611は、受信手段の例に該当する、特徴復元部612は、特徴復元手段の例に該当する。対象復元部613は、対象復元手段の例に該当する。認識部614は、認識手段の例に該当する。出力部615は、出力手段の例に該当する。
【0156】
このように、情報処理装置610は、特徴復元部612が復元する特徴データを、対象復元部613による対象データの復元、および、認識部614による認識処理の両方に用いる。情報処理装置610によれば、対象データを復元した後、復元された対象データを用いて認識処理を行う場合との比較において、対象データの復元処理、および、復元される対象データの表現内容に対する認識処理を行う処理時間が短くて済む。
【0157】
<第五実施形態>
図25は、第五実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す概略ブロック図である。図25に示す構成において、情報処理システム620は、送信側装置630と受信側装置640とを備える。送信側装置630はデータ取得部631と、特徴抽出部632と、通信データ生成部633と、送信部634と、を備える。受信側装置640は、受信部641と、特徴復元部642と、対象復元部643と、認識部644と、出力部645と、を備える。
【0158】
かかる構成において、データ取得部631は、対象データを取得する。特徴抽出部632は、対象データの表現内容の特徴を示す特徴データを算出する。通信データ生成部633は、特徴データに基づいて通信データを生成する。送信部634は、通信データを送信する。受信部641は、通信データを受信する。特徴復元部642は、受信された通信データに基づいて特徴データを復元する。対象復元部643は、復元された特徴データに基づいて対象データを復元する。認識部644は、復元された特徴データに基づいて対象データの表現内容に対する認識処理を行う。出力部645は、復元された対象データの表現内容と認識処理による認識結果とを示す情報を出力する。
【0159】
このように、受信側装置640は、特徴復元部642が復元する特徴データを、対象復元部643による対象データの復元、および、認識部644による認識処理の両方に用いる。情報処理システム620によれば、対象データを復元した後、復元された対象データを用いて認識処理を行う場合との比較において、対象データの復元処理、および、復元される対象データの表現内容に対する認識処理を行う処理時間が短くて済む。
【0160】
<第六実施形態>
図26は、第六実施形態に係る情報処理方法における処理の手順の例を示すフローチャートである。図26に示す処理は、通信データを取得すること(ステップS611)と、特徴データを復元すること(ステップS612)と、対象データを復元すること(ステップS613)と、認識処理を行うこと(ステップS614)と、結果を出力すること(ステップS615)とを含む。
【0161】
通信データを取得すること(ステップS611)では、対象データの表現内容の特徴を示す特徴データに基づく通信データを受信する。特徴データを復元すること(ステップS612)では、受信された通信データに基づいて特徴データを復元する。対象データを復元すること(ステップS613)では、復元された特徴データに基づいて対象データを復元する。認識処理を行うこと(ステップS614)では、復元された特徴データに基づいて対象データの表現内容に対する認識処理を行う。結果を出力すること(ステップS615)では、復元された対象データの表現内容と認識処理による認識結果とを示す情報を出力する。
【0162】
図26に示す情報処理方法によればステップS612で復元する特徴データを、ステップS613での対象データの復元、および、ステップS614での認識処理の両方に用いる。図26に示す情報処理方法によれば対象データを復元した後、復元された対象データを用いて認識処理を行う場合との比較において、対象データの復元処理、および、復元される対象データの表現内容に対する認識処理を行う処理時間が短くて済む。
【0163】
図27は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
図27に示す構成において、コンピュータ700は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)710と、主記憶装置720と、補助記憶装置730と、インタフェース740とを備える。
【0164】
上記の送信側装置10、受信側装置20、送信側装置30、受信側装置40、送信側装置51、受信側装置52、設定更新装置53、情報処理装置610、送信側装置630、および、受信側装置640のうち何れか1つ以上またはその一部が、コンピュータ700に実装されてもよい。その場合、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU710は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置720に確保する。各装置と他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って通信を行うことで実行される。
【0165】
送信側装置10がコンピュータ700に実装される場合、特徴抽出部12、通信データ生成部13およびその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0166】
また、CPU710は、プログラムに従って、送信側装置10の処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。
画像取得部11による画像データの取得は、例えば、インタフェース740が撮像装置を備え、CPU710の制御に従って撮像を行うことで実行される。送信部16によるデータの送信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。
【0167】
受信側装置20がコンピュータ700に実装される場合、特徴復元部22、取得画像復元部26、認識部27、およびその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0168】
また、CPU710は、プログラムに従って、受信側装置20の処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。
受信部21によるデータの受信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。出力部28による情報の出力は、例えば、インタフェース740が表示装置を備え、CPU710の制御に従って画像を表示することで実行される。
【0169】
送信側装置30がコンピュータ700に実装される場合、特徴抽出部12、通信データ生成部31およびその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0170】
また、CPU710は、プログラムに従って、ノイジー特徴データ記憶部35など送信側装置30の処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。
画像取得部11による画像データの取得は、例えば、インタフェース740が撮像装置を備え、CPU710の制御に従って撮像を行うことで実行される。送信部16によるデータの送信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。
【0171】
受信側装置40がコンピュータ700に実装される場合、取得画像復元部26、認識部27、特徴復元部41、およびその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0172】
また、CPU710は、プログラムに従って、ノイジー特徴データ記憶部43など受信側装置40の処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。
受信部21によるデータの受信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。出力部28による情報の出力は、例えば、インタフェース740が表示装置を備え、CPU710の制御に従って画像を表示することで実行される。
【0173】
情報処理装置610がコンピュータ700に実装される場合、特徴復元部612、対象復元部613および認識部614の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0174】
また、CPU710は、プログラムに従って、情報処理装置610の処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。
受信部611によるデータの受信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。出力部615による情報の出力は、例えば、インタフェース740が表示装置を備え、CPU710の制御に従って画像を表示することで実行される。
【0175】
送信側装置630がコンピュータ700に実装される場合、特徴抽出部632および通信データ生成部633の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0176】
また、CPU710は、プログラムに従って、送信側装置630の処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。
データ取得部631による対象データの取得は、インタフェース740が撮像装置など対象データ取得のためのデバイスを備え、CPU710の制御に従って動作することで実行される。送信部634によるデータの送信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。
【0177】
受信側装置640がコンピュータ700に実装される場合、特徴復元部642、対象復元部643および認識部644の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0178】
また、CPU710は、プログラムに従って、受信側装置640の処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。
受信部641によるデータの受信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。出力部645による情報の出力は、例えば、インタフェース740が表示装置を備え、CPU710の制御に従って画像を表示することで実行される。
【0179】
なお、送信側装置10、受信側装置20、送信側装置30、受信側装置40、送信側装置51、受信側装置52、設定更新装置53、情報処理装置610、送信側装置630、および、受信側装置640が行う処理の全部または一部を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0180】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
また、上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限定されない。
【0181】
(付記1)
対象データの表現内容の特徴を示す特徴データに基づく通信データを受信する受信手段と、
受信された前記通信データに基づいて前記特徴データを復元する特徴復元手段と、
復元された前記特徴データに基づいて前記対象データを復元する対象復元手段と、
復元された前記特徴データに基づいて前記対象データの表現内容に対する認識処理を行う認識手段と、
復元された前記対象データの表現内容と前記認識処理による認識結果とを示す情報を出力する出力手段と、
を備える情報処理装置。
【0182】
(付記2)
前記受信手段は、量子化された前記特徴データに基づく前記通信データを受信し、
前記特徴復元手段は、量子化された前記特徴データに対して、量子化される前の前記特徴データの確率分布に従ったサンプリングに基づく脱量子化を行う脱量子化手段を備える、
付記1に記載の情報処理装置。
【0183】
(付記3)
前記受信手段は、第一時刻ステップにおける第一対象データの表現内容の特徴を示す第一特徴データと、前記第一時刻ステップよりも遅い時刻ステップである第二時刻ステップにおける第二対象データの表現内容の特徴を示す第二特徴データとの相違を示す特徴差分データに基づく前記通信データを受信し、
前記特徴復元手段は、受信された前記通信データに基づいて前記特徴差分データを復元し、復元された前記特徴差分データと、前記第一特徴データとに基づいて前記第二特徴データを復元する、
付記1に記載の情報処理装置。
【0184】
(付記4)
前記受信手段は、量子化された前記特徴差分データに基づく前記通信データを受信し、
前記特徴復元手段は、量子化された前記特徴差分データに対して、量子化される前の前記特徴差分データの確率分布に従ったサンプリングに基づく脱量子化を行う脱量子化手段を備える、
付記3に記載の情報処理装置。
【0185】
(付記5)
前記受信手段は、第一中間特徴データと、前記第一中間特徴データからダウンサンプリングされたデータに基づいて算出される第二中間特徴データとに基づく前記通信データを受信し、
前記特徴復元手段は、受信された前記通信データに基づいて復元された前記第二中間特徴データからアップサンプリングされたデータに基づいて前記第一中間特徴データを復元する、
付記1から4の何れか一つに記載の情報処理装置。
【0186】
(付記6)
前記特徴復元手段は、前記第一中間特徴データからダウンサンプリングされたデータに基づいて前記第二中間特徴データを算出する処理の逆演算に該当する処理を用いて、前記第一中間特徴データを復元する、
付記5に記載の情報処理装置。
【0187】
(付記7)
前記特徴復元手段の処理と前記対象復元手段の処理との組み合わせが、前記通信データの送信元の装置における対象データからの特徴抽出処理の逆演算に該当する処理となるように、前記通信データの送信元の装置が行う処理の設定、前記特徴復元手段が行う処理の設定、または、前記対象復元手段が行う処理の設定の少なくとも何れかを動的に更新する設定更新手段をさらに備える、
付記6に記載の情報処理装置。
【0188】
(付記8)
送信側装置と受信側装置とを備え、
前記送信側装置は、
対象データを取得するデータ取得手段と、
前記対象データの表現内容の特徴を示す特徴データを算出する特徴抽出手段と、
前記特徴データに基づいて通信データを生成する通信データ生成手段と、
前記通信データを送信する送信手段と、
を備え、
前記受信側装置は、
前記通信データを受信する受信手段と、
受信された前記通信データに基づいて前記特徴データを復元する特徴復元手段と、
復元された前記特徴データに基づいて前記対象データを復元する対象復元手段と、
復元された前記特徴データに基づいて前記対象データの表現内容に対する認識処理を行う認識手段と、
復元された前記対象データの表現内容と前記認識処理による認識結果とを示す情報を出力する出力手段と、
を備える情報処理システム。
【0189】
(付記9)
前記通信データ生成手段は、前記特徴データを量子化する量子化手段を備え、
前記特徴復元手段は、量子化された前記特徴データに対して、量子化される前の前記特徴データの確率分布に従ったサンプリングに基づく脱量子化を行う脱量子化手段を備える、
付記8に記載の情報処理システム。
【0190】
(付記10)
前記データ取得手段は、第一時刻ステップにおける第一対象データと、前記第一時刻ステップよりも遅い時刻ステップである第二時刻ステップにおける第二対象データとを取得し、
前記特徴抽出手段は、前記第一対象データの表現内容の特徴を示す第一特徴データと、前記第二対象データの表現内容の特徴を示す第二特徴データとを算出し、
前記通信データ生成手段は、前記第一特徴データと前記第二特徴データとの相違を示す特徴差分データを算出し、算出した特徴差分データに基づいて前記通信データを生成し、
前記特徴復元手段は、受信された前記通信データに基づいて前記特徴差分データを復元し、復元された前記特徴差分データと、前記第一特徴データとに基づいて前記第二特徴データを復元する、
付記8に記載の情報処理システム。
【0191】
(付記11)
前記通信データ生成手段は、前記特徴差分データを量子化する量子化手段を備え、
前記特徴復元手段は、量子化された前記特徴差分データに対して、量子化される前の前記特徴差分データの確率分布に従ったサンプリングに基づく脱量子化を行う脱量子化手段を備える、
付記10に記載の情報処理システム。
【0192】
(付記12)
前記送信側装置は、
量子化誤差を含む前記特徴データであるノイジー特徴データを記憶するノイジー特徴データ記憶手段
をさらに備え、
前記通信データ生成手段は、
量子化誤差を含む前記第一特徴データである第一ノイジー特徴データを前記ノイジー特徴データ記憶手段から読み出し、前記第一ノイジー特徴データと前記第二特徴データとの相違を示す前記特徴差分データを算出する特徴差分算出手段と、
前記第一ノイジー特徴データと前記第二特徴データとの相違を示す前記特徴差分データが量子化された後脱量子化されたデータと、前記第一ノイジー特徴データとに基づいて、量子化誤差を含む前記第二特徴データである第二ノイジー特徴データを算出し、前記ノイジー特徴データ記憶手段が記憶する前記ノイジー特徴データを前記第二ノイジー特徴データに更新する特徴復元手段と、
を備える、
付記11に記載の情報処理システム。
【0193】
(付記13)
前記特徴抽出手段は、第一中間特徴データと、前記第一中間特徴データからダウンサンプリングされたデータに基づいて算出される第二中間特徴データとを含む前記特徴データを算出し、
前記特徴復元手段は、受信された前記通信データに基づいて復元された前記第二中間特徴データからアップサンプリングされたデータに基づいて前記第一中間特徴データを復元する、
付記8から12の何れか一つに記載の情報処理システム。
【0194】
(付記14)
前記特徴復元手段は、前記特徴抽出手段が前記第一中間特徴データからダウンサンプリングされたデータに基づいて前記第二中間特徴データを算出する処理の逆演算に該当する処理を用いて、前記第一中間特徴データを復元する、
付記13に記載の情報処理システム。
【0195】
(付記15)
前記特徴復元手段の処理と前記対象復元手段の処理との組み合わせが、前記通信データの送信元の装置における対象データからの特徴抽出処理の逆演算に該当する処理となるように、前記通信データの送信元の装置が行う処理の設定、前記特徴復元手段が行う処理の設定、または、前記対象復元手段が行う処理の設定の少なくとも何れかを動的に更新する設定更新手段をさらに備える、
付記14に記載の情報処理システム。
【0196】
(付記16)
対象データの表現内容の特徴を示す特徴データに基づく通信データを受信することと、
受信された前記通信データに基づいて前記特徴データを復元することと、
復元された前記特徴データに基づいて前記対象データを復元することと、
復元された前記特徴データに基づいて前記対象データの表現内容に対する認識処理を行うことと、
復元された前記対象データの表現内容と前記認識処理による認識結果とを示す情報を出力することと、
を含む情報処理方法。
【0197】
(付記17)
送信側装置が、対象データを取得することと、
前記送信側装置が、前記対象データの表現内容の特徴を示す特徴データを算出することと、
前記送信側装置が、前記特徴データに基づいて通信データを生成することと、
前記送信側装置が、前記通信データを送信することと、
受信側装置が、前記通信データを受信することと、
前記受信側装置が、受信された前記通信データに基づいて前記特徴データを復元することと、
前記受信側装置が、復元された前記特徴データに基づいて前記対象データを復元することと、
前記受信側装置が、復元された前記特徴データに基づいて前記対象データの表現内容に対する認識処理を行うことと、
前記受信側装置が、復元された前記対象データの表現内容と前記認識処理による認識結果とを示す情報を出力することと、
を含む情報処理方法。
【0198】
(付記18)
コンピュータに、
対象データの表現内容の特徴を示す特徴データに基づく通信データを受信することと、
受信された前記通信データに基づいて前記特徴データを復元することと、
復元された前記特徴データに基づいて前記対象データを復元することと、
復元された前記特徴データに基づいて前記対象データの表現内容に対する認識処理を行うことと、
復元された前記対象データの表現内容と前記認識処理による認識結果とを示す情報を出力することと、
を実行させるためのプログラムを記録する記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0199】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法および記録媒体に適用してもよい。
【符号の説明】
【0200】
1、2、620 情報処理システム
10、30、630 送信側装置
11 画像取得部
12、632 特徴抽出部
13、31、633 通信データ生成部
14 量子化部
15 符号化部
16、634 送信部
20、40、640 受信側装置
21、611、641 受信部
22、41、612、642 特徴復元部
23 復号部
24、32 脱量子化部
25 中間特徴生成部
26 取得画像復元部
27、614、644 認識部
28、615、645 出力部
33 特徴差分算出部
34、42 特徴算出部
35、43 ノイジー特徴データ記憶部
111 前処理部
112 処理ステージ部
113、132、231 チャネル分割部
121 ダウンサンプリング部
122 処理ブロック部
131 アフィンチャネル変換部
133、232、362 畳み込み処理部
134 乗算部
135、253 加算部
136、212、235、365 チャネル結合部
211 逆処理ステージ部
221 逆処理ブロック部
222、252、312、342 アップサンプリング部
233、363 減算部
234、364 除算部
236 逆アフィンチャネル変換部
241 後処理部
251 中間特徴処理部
254 位置推定処理部
255 分類処理部
311 差分処理ステージ部
341 復元処理ステージ部
351 復元処理ブロック部
610 情報処理装置
613、643 対象復元部
631 データ取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27