(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ユーザ装置に対する完全性保護データレートの適用
(51)【国際特許分類】
H04W 28/02 20090101AFI20240730BHJP
H04W 12/10 20210101ALI20240730BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20240730BHJP
H04W 76/20 20180101ALI20240730BHJP
【FI】
H04W28/02
H04W12/10
H04W92/20
H04W76/20
(21)【出願番号】P 2023026200
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2021544866の分割
【原出願日】2020-02-12
【審査請求日】2023-02-22
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】ハイララ, チャディ
(72)【発明者】
【氏名】シン, ジャグディープ アルワリア
(72)【発明者】
【氏名】林 貞福
(72)【発明者】
【氏名】グプタ, ニーラジ
【審査官】中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/138379(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/029661(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/030529(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/228371(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局であって、
コアネットワークノードから、ユーザ機器(User Equipment; UE)の総計の完全性保護データレート(Total Integrity Protected Data Rate)を示す情報を受信する手段と、
前記UEのユーザプレーン送信を扱う他の基地局に、前記他の基地局のための前記総計の完全性保護データレートの一部を示す情報を送信する手段と、
前記他の基地局から、前記他の基地局で前記UEに関連付けられる全てのプロトコルデータユニット(Protocol Data Unit; PDU)についての前記総計の完全性保護データレートが、前記他の基地局のための前記総計の完全性保護データレートの一部を超えていることを示す情報を受信する手段と、
前記総計の完全性保護データレートの一部を超えていることを示す情報の受信に基づいて、前記他の基地局との間で、
前記他の基地局のための前記総計の完全性保護データレートの一部、及び、
前記他の基地局において前記UEに関連付けられる少なくとも一つのプロトコルデータユニット(Protocol Data Unit; PDU)セッション、
の少なくともいずれかを更新する手段と、
を備える、基地局。
【請求項2】
前記基地局は、マスターノードであり、前記他の基地局はセカンダリーノードである、または、
前記基地局は、分散基地局の中央ユニット(Central Unit; CU)であり、前記他の基地局は分散基地局の分散ユニット(Distributed Unit; DU)である、または、
前記基地局は、分散基地局の中央ユニットの制御プレーン部(Central Unit-Control Plane; CU-CP)であり、前記他の基地局は、分散基地局の中央ユニットのユーザプレーン部(Central Unit-User Plane; CU-UP)である、請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
基地局であって、
他の基地局から、ユーザ機器(User Equipment; UE)の総計の完全性保護データレート(Total Integrity Protected Data Rate)の一部を示す情報を受信する手段と、
前記他の基地局へ、前記基地局で前記UEに関連付けられる全てのプロトコルデータユニット(Protocol Data Unit; PDU)についての前記総計の完全性保護データレートが、前記総計の完全性保護データレートの一部を超えていることを示す情報を送信する手段と、
前記総計の完全性保護データレートの一部を超えていることを示す情報の送信に基づいて、前記他の基地局との間で、
前記総計の完全性保護データレートの一部、及び、
前記UEに関連付けられる少なくとも一つのプロトコルデータユニット(Protocol Data Unit; PDU)セッション、
の少なくともいずれかを更新する手段と、を備え、
前記総計の完全性保護データレートの一部を示す情報は、コアネットワークノードから前記他の基地局に送信される、前記UEの総計の完全性保護データレートを示す情報に基づいて構成される、基地局。
【請求項4】
基地局における方法であって、
コアネットワークノードから、ユーザ機器(User Equipment; UE)の総計の完全性保護データレート(Total Integrity Protected Data Rate)を示す情報を受信することと、
前記UEのユーザプレーン送信を扱う他の基地局に、前記他の基地局のための前記総計の完全性保護データレートの一部を示す情報を送信することと、
前記他の基地局から、前記他の基地局で前記UEに関連付けられる全てのプロトコルデータユニット(Protocol Data Unit; PDU)についての前記総計の完全性保護データレートが、前記他の基地局のための前記総計の完全性保護データレートの一部を超えていることを示す情報を受信することと、
前記総計の完全性保護データレートの一部を超えていることを示す情報の受信に基づいて、前記他の基地局との間で、
前記他の基地局のための前記総計の完全性保護データレートの一部、及び、
前記他の基地局において前記UEに関連付けられる少なくとも一つのプロトコルデータユニット(Protocol Data Unit; PDU)セッション、
の少なくともいずれかを更新することと、
を含む、方法。
【請求項5】
基地局における方法であって、
他の基地局から、ユーザ機器(User Equipment; UE)の総計の完全性保護データレート(Total Integrity Protected Data Rate)の一部を示す情報を受信することと、
前記他の基地局へ、前記基地局で前記UEに関連付けられる全てのプロトコルデータユニット(Protocol Data Unit; PDU)についての前記総計の完全性保護データレートが、前記総計の完全性保護データレートの一部を超えていることを示す情報を送信することと、
前記総計の完全性保護データレートの一部を超えていることを示す情報の送信に基づいて、前記他の基地局との間で、
前記総計の完全性保護データレートの一部、及び、
前記UEに関連付けられる少なくとも一つのプロトコルデータユニット(Protocol Data Unit; PDU)セッション、
の少なくともいずれかを更新することと、を含み、
前記総計の完全性保護データレートの一部を示す情報は、コアネットワークノードから前記他の基地局に送信される、前記UEの総計の完全性保護データレートを示す情報に基づいて構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3GPP(3rd Generation Partnership Project:第3世代パートナーシッププロジェクト)規格又は等価物若しくはその派生物に従って動作する無線通信システム及びその装置に関する。本開示は、いわゆる「5G」(あるいは「Next Generation(次世代)」)システムにおける、ユーザ装置に対する完全性保護データレートの適用に関する改良に特に関連するが、但し排他的ではない。
【背景技術】
【0002】
3GPP規格の最新の発展は、MTC(Machine Type Communications:マシンタイプコミュニケーション)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット通信、車両通信及び自律走行車、高解像度ビデオストリーミング、及び/又はスマートシティサービスなどの様々なアプリケーション及びサービスをサポートすることが期待される進化する通信技術を指し示す、いわゆる「5G」又は「NR」(New Radio)規格である。5G技術は、仮想市場に対するネットワークアクセスを可能にし、サードパーティに対してネットワーキングサービスを提供し且つ新たなビジネスチャンスを創造するためのネットワーク(RAN)の共有をサポートする。3GPPは、いわゆる3GPPのNextGen(Next Generation:次世代)RAN(radio access network:無線アクセスネットワーク)及び3GPPのNGC(NextGen core:次世代コア)ネットワークを通じて、5Gをサポートすることを意図している。5Gネットワークの様々な詳細は、例えば、NGMN(Next Generation Mobile Networks)アライアンスによる「NGMN 5G White Paper(NGMN 5G白書)」V1.0に記載されており、その文献はhttps://www.ngmn.org/5g-white-paper.htmlからの入手可能である。
【0003】
エンドユーザ通信装置は、一般にUE(User Equipment:ユーザ装置)と呼ばれ、人間によって操作されてもよいし、自動化された(MTC/IoT)装置を備えていてもよい。5G/NR通信システムの基地局は、一般に、「NR-BS」(New Radio Base Station:NR基地局)又は「gNB」と呼ばれるが、それらは、より典型的には、LTE(Long Term Evolution:ロングタームエボリューション)基地局(一般に「4G」基地局とも呼ばれる)に関連付けられた用語「eNB」(又は5G/NR eNB)を用いて呼ばれることもあるということが理解される。3GPP TS(Technical Specification:技術仕様書)38.300 V15.4.0及びTS 37.340 V15.4.0は、とりわけ、以下のノードを定義する。
gNB:UEにNRユーザプレーン及び制御プレーンプロトコル終端を提供し、NGインタフェースを介して5GC(5G core network:5Gコアネットワーク)に接続されるノード。
ng-eNB:UEにE-UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)ユーザプレーン及び制御プレーンプロトコル終端を提供し、NGインタフェースを介して5GCに接続されるノード。
En-gNB:UEにNRユーザプレーン及び制御プレーンプロトコル終端を提供し、EN-DC(E-UTRA-NR Dual Connectivity:デュアルコネクティビティ)におけるセカンダリノード(Secondary Node)として動作するノード。
NG-RANノード:gNB又はng-eNBの何れか。
【0004】
3GPPは、また、隣接するNG-RANノード間のネットワークインタフェースとして、いわゆる「Xn」インタフェースも定義している。
【0005】
最近では、gNB(本明細書では「分散」gNBと称する)の機能を、1つ以上のDU(distributed unit:分散ユニット)と典型的にはより上位レベルの機能を実行するCU(central unit:中央ユニット)との間で分割し、次世代コアとの通信及び下位レベルの機能を実行するDUと通信し、エアインタフェースを通じて周辺(すなわちgNBによって動作するセル内)のUE(user equipment:ユーザ装置)と通信してもよいことも提案されてきた。具体的には、3GPP TS 38.401 V15.4.0は、以下の機能単位を規定する。
gNB-CU(gNB Central Unit:中央ユニット):gNBのRRC(Radio Resource Control:無線リソース制御)層、SDAP(Service Data Adaptation Protocol:サービスデータ適応プロトコル)層及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol:パケットデータコンバージェンスプロトコル)層、又はEn-gNBのRRC層及びPDCP層をホスティングし、1つ以上のgNB-DUの動作を制御する論理的なノード。gNB-CUは、gNB-DUに接続されたF1インタフェースを終端する。
gNB-DU(gNB Distributed Unit:gNB分散ユニット):gNB又はEn-gNBのRLC(Radio Link Control:無線リンク制御)層、MAC(Medium Access Control:媒体アクセス制御)層、及びPHY(Physical:物理)層をホスティングする論理ノードであって、その動作は、gNB-CUによって部分的に制御される。1つのgNB-DUは、1つ又は複数のセルをサポートする。1つのセルは、1つのgNB-DUのみによってサポートされる。gNB-DUは、gNB-CUに接続されたF1インタフェースを終端する。
gNB-CU-CP(gNB-CU-Control Plane:gNB-CU-制御プレーン):En-gNB又はgNBのRRC及びgNB-CUのPDCPプロトコルの制御プレーン部分をホスティングする論理ノード。gNB-CU-CPは、gNB-CU-UPに接続されたE1インタフェース、及びgNB-DUに接続されたF1-Cインタフェースを終端する。
gNB-CU-UP(gNB-CU-User Plane:gNB-CU-ユーザプレーン):En-gNBのgNB-CUのPDCPプロトコルのユーザプレーン部分、PDCPプロトコルのユーザプレーン部分、及びgNBのgNB-CUのSDAPプロトコルをホスティングする論理ノード。gNB-CU-UPは、gNB-CU-CPに接続されたE1インタフェース、及びgNB-DUに接続されたF1-Uインタフェースを終端する。
【0006】
3GPP TS 38.401に従って、gNB-CU-CPとgNB-CU-UPとの分離のための全体のアーキテクチャは、以下の原理に基づく。
・gNBは、gNB-CU-CP、複数のgNB-CU-UP、及び複数のgNB-DUから構成されてもよい、
・1つのgNB-DUは、1つのgNB-CU-CPのみに接続される、
・1つのgN-CU-UPは、1つのgNB-CU-CPのみに接続される、
・1つのgNB-DUは、同一のgNB-CU-CPの制御下で複数のgNB-CU-UPに接続されることができる、及び
・1つのgN-CU-UPは、同一のgNB-CU-CPの制御下で複数のDUに接続されることができる。
【0007】
但し、弾力性を持たせるために、gNB-DU及び/又はgNB-CU-UPが複数のgNB-CU-CPに接続されてもよいことが理解される。gNB-CU-UPとgNB-DUとの間の接続性は、ベアラコンテキスト管理(Bearer Context Management)機能を用いて、gNB-CU-CPによって確立される。gNB-CU-CPは、UEに対して要求されたサービスに適切なgNB-CU-UP(複数可)を選択する。複数のCU-UPが用いられる場合、CU-UPは、TS 33.210 V15.2.0内に定義されているのと同一のセキュリティドメインに属する。
【0008】
(gNB-CU-CPとgNB-CU-UPと間の)E1インタフェースに関する一般的な態様及び原理は、3GPP TS 38.460 V15.2.0内に記載されている。E1インタフェースは、セットアップ、設定更新、リセット、リリース、及び/又はエラー表示など、様々なインタフェース管理に関連する手順をサポートする。
【0009】
3GPP TS 23.501 V15.4.0は、UEがUP(User Plane:ユーザプレーン)セキュリティを伴うPDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)セッションを有する場合、そのPDUセッションに対して適切なデータレートを適用する必要があるかもしれないということを記載している。具体的には、NG-RANは、関連するユーザプレーンセキュリティ適用(User Plane Security Enforcement)情報に基づきPDUセッションに対してユーザプレーン(User Plane)セキュリティポリシーを適用する。
【0010】
ユーザプレーンセキュリティ適用情報は、UP完全性保護が、以下の何れかであることを示す。
・必要である(PDUセッション上の全てのトラフィックに対してUP完全性保護が適用されるものとする)、
・好適である(PDUセッション上の全てのトラフィックに対して、UP完全性保護が適用されるものとするが、これは必須の条件ではない)、又は
・必要ではない(PDUセッション上にUP完全性保護が適用されないものとする)。
【0011】
ユーザプレーンセキュリティ適用情報は、また、UP機密性保護が以下の何れかであることを示す。
・必要である(PDUセッション上の全てのトラフィックに対してUP機密性保護が適用されるものとする)、
・好適である(PDUセッション上の全てのトラフィックに対して、UP機密性保護が適用されるものとするが、これは必須の条件ではない)、又は
・必要ではない(PDUセッション上にUP機密性保護が適用されないものとする)。
【0012】
ユーザプレーンセキュリティ適用情報は、3GPPアクセスにのみ適用される。PDUセッションの確立時に一旦決定されたユーザプレーンセキュリティ適用情報は、PDUセッションのライフタイムの間、適用される。
【0013】
いわゆるSMF(Session Management Function:セッション管理機能)は、PDUセッション確立に際し、以下の(1つ以上の)事項に基づいて、PDUセッションのユーザプレーンに対するユーザプレーンセキュリティ適用情報を決定する。
・UDM(Unified Data Management:統合データ管理)から受信されたSMサブスクリプト情報の一部である、サブスクライブされたユーザプレーンセキュリティポリシー、
・(例えばUDMがユーザプレーンセキュリティポリシー情報を提供しない場合)SMF内で(DNN(Data Network Name:データネットワーク名)/S-NSSAI(Single Network Slice Selection Assistance Information:単一ネットワークスライス選択補助情報)ごとに)ローカルに設定されたユーザプレーンセキュリティポリシー、及び
・PDUセッション確立中にUEによって示される、DRB(Data Radio Bearer:データ無線ベアラ)に対する完全性保護のUEごとの最大サポートデータレート。
【0014】
3GPPは、(少なくともRel-15に対する)DRBの完全性保護のためにUEごとに最大データレートを制限することに合意した。3GPP TS 38.300のセクション13.1は、完全性保護されたDRBの最大サポートデータレートは、NAS(Non-Access Stratum:非アクセス層)レイヤで示されるUE能力であり、64kbpsの最小値と、UEによってサポートされる最高データレートの最大値を持つ、と述べている。
【0015】
ユーザプレーンセキュリティ適用情報は、PDUセッション関連情報の一部として適用するためにSMFからNG-RANに伝達される。UP完全性保護が「必要」又は「好適」と判定された場合、SMFは、また、「5GSM能力」IE(information element:情報要素)において受信された完全性保護のためにUEごとに最大サポートデータレートを提供する。これは、PDUセッションの確立の際、又はPDUセッションのユーザプレーンのアクティブ化の際に行われる。必要の値を有するユーザプレーンセキュリティ適用情報を満たすことができない場合、NG-RANは、PDUセッションに対するUPリソースの確立を拒否する。NG-RANは、また、UPリソースの確立を受諾するか拒否するかの決定において、完全性保護のためにUEごとの最大サポートデータレートを考慮に入れてもよい。この場合、SMFはPDUセッションを解放する。NG-RANは、好適の値を有するユーザプレーンセキュリティ適用を満たすことができない場合、SMFに通知する。例えば、NG-RANは、UEと適切なUP完全性保護をネゴシエートすることができない場合に、「必要」にセットされたUP完全性保護を有するユーザプレーンセキュリティ適用情報の要件を満たすことができない。
【0016】
ユーザプレーンセキュリティ適用情報と、完全性保護のためのUEごとの最大サポートデータレートとは、ハンドオーバ時にソースからターゲットのNG-RANノードに対して伝達される。ターゲットのRANノードがユーザプレーンセキュリティ適用情報における要件をサポートすることができない場合、ターゲットのRANノードは、PDUセッションに対してリソースをセットアップする要求を拒否する。この場合、PDUセッションは、ターゲットのRANノードに対してハンドオーバされず、PDUセッションが解放される。
【0017】
UEが1つを超える基地局によってサーブされる場合、各サービング基地局は、UEのユーザプレーン通信のうちの少なくとも一部を処理する。例えば、UEは、MN(Master Node:マスタノード)として設定されたgNBによってサーブされてもよく、また、SN(Secondary Node:セカンダリノード)として設定された別のgNBによってサーブされてもよい。同様に、UEは、分散されたgNBの複数のユニットによってサーブされてもよい。従って、UEのPDUセッションが1つを超える基地局を含む場合に、データレート適用を実行するために、UEの最大の完全性保護データレートのうちの「部分(portion)」は、各サービング基地局によって適用される。具体的には、UEがMNとSNとによってサーブされる場合、MNは、受信SNによる適用のために(総計の)UE最大IPデータレートのうちの当該「部分」をシグナリングする。適用可能な部分は、SNに対して送信される最大の完全性保護データレート(Maximum Integrity Protected Data Rate)IEに含まれる。当該「部分」は、MNからSNに(ノード間)、又はSN-CU-CPからSN-CU-UPに(ノード内)送信されるハードリミットである、ということが理解される。
【0018】
本発明者らは、UEのPDUセッションが1つを超える基地局を含む場合のデータレート適用に関する多くの課題を確認してきた。
【0019】
具体的には、ノード間インタラクションの場合には、MN及びSNは、UEのMN終端PDUセッション及びSN終端PDUセッションにおいてそれぞれ「UE最大IPデータレート(UE Maximum IP data rate)」を超えないことを確保する必要がある。従って、MNは、SN終端PDUセッションに対するSNによる適用のために総計の「UE最大IPデータレート」のうちの「部分」をシグナリングする。しかしながら、3GPPは、「部分」の適切な値を選択する際のMNとSNとの間の調整のためのメカニズムを規定していない。また、場合によっては、SNは、MNによってシグナリングされたUE最大IPデータレートのうちの当該「部分」の要件を処理することができないかもしれない(例えば、シグナリングされた当該「部分」の値は、SNリソースのローカルな状態に基づいて満たすには高すぎるかもしれない)。また、SN終端PDUセッションの完全性保護データレートの総計がSNにて進行中のトラフィック内のMN割り当て「部分」を超える場合の状況をどのように処理するのかも明確ではない。
【0020】
ノード内インタラクションの場合に関して、本発明者らは、単一のCU-CPが1つ以上のCU-UPに接続され、同時に、UEが1つ以上のサービス(例えば、1つのCU-UP当たり1つのサービス/PDUセッション)を実行し得ることを見い出した。この場合、CU-CP及びCU-UP(複数可)は、「UE最大IPデータレート」がULトラフィック及びDLトラフィックの両方を超えないということを保証する必要がある。CU-CPが(そのCU-CPに接続される)CU-UPによる適用のための「UE最大IPデータレート」のうちの適切な「部分」をシグナリングする場合、CU-CPは、各CU-UPに対して適切な副部分(sub-portions)をシグナリングする必要があり、これらの「副部分」の総和は当該「部分」の総計以下とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、3GPPは、所与のCU-UPにて適用可能な「部分(複数可)」又は「副部分」の適切な値を選択する際のCU-CPとCU-UP(複数可)との間の調整についてのメカニズムを規定していない。発明者は、1つ以上のCU-UPがUE最大IPデータレートのシグナリングされた「部分(複数可)」の要件を処理することができない場合がある(例えば、シグナリングされた部分/副部分の値が高すぎて、所与のCU-UPにおける下位層の設定及び/又はリソース状態では処理することができない場合がある)ということを見い出した。
【0022】
CU-CP/CU-UPの単一のペアを含む場合でさえ、CU-UP上の総計の完全性保護されたPDUセッションのデータレートが適用可能な「部分」を超える場合に、CU-CP/CU-UPがどのようにして状況を処理するのかが明確ではない。複数のCU-UPの場合、全てのPDUセッション上の(全てのCU-UPの)完全性保護データレートの総計が、総計の「部分」を超える場合に、CU-CP/CU-UPがどのように処理するのかが明確でない。
【0023】
従って、本発明は、(少なくともいくつかの)上記の課題に対処するか又は少なくとも軽減する方法及び関連する装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、基地局装置によって行われる方法であって、UE(user equipment:ユーザ装置)のユーザプレーン送信を処理する少なくとも1つのSN(secondary node:セカンダリノード)から、前記SNで前記UEに関連付けられた全てのPDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)セッションについての総計の完全性保護データレートを識別する情報を取得することと、前記少なくとも1つのSNからの前記情報が、前記SNで前記UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての前記総計の完全性保護データレートが、関連付けられたデータレート部分を超えることを示す場合、前記データレート部分と、前記SNで前記UEに関連付けられた少なくとも1つのPDUセッションとのうちの少なくとも1つを更新することと、を備える方法を提供する。
【0025】
本発明は、UE(user equipment:ユーザ装置)のユーザプレーン送信を処理するSN(Secondary node:セカンダリノード)として設定された基地局装置により行われる方法であって、MN(Master Node:マスタノード)又は制御プレーンユニットに、前記SNで前記UEに関連付けられた全てのPDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)についての総計の完全性保護データレートを識別する情報を提供することと、前記SNで前記UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての前記総計の完全性保護データレートが、関連付けられたデータレート部分を超える場合、前記データレート部分と、前記SNで前記UEに関連付けられた少なくとも1つのPDUセッションとのうちの少なくとも1つを更新することと、を備える方法を提供する。
【0026】
本発明は、UE(user equipment:ユーザ装置)のユーザプレーン送信を処理するコアネットワークノードにより行われる方法であって、MN(Master Node:マスタノード)に、前記UEに関連付けられた少なくとも1つのPDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)についての完全性保護トラフィックの合計が所定のレベルに到達していることを示す情報を提供すること、を備える方法を提供する。
【0027】
本発明の例示的な態様は、対応するシステム、装置、及びコンピュータプログラム製品、例えば、命令が格納されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、当該命令は、プログラム可能なプロセッサを、例示的な態様に記載された方法、及び、上記の又は特許請求の範囲に列挙された実現手段を実行するようにプログラムするように、及び/又は、適切に構成されたコンピュータを、特許請求の範囲の何れかに列挙された装置を提供するようにプログラムするように動作可能な命令が格納された上記記憶媒体に及ぶ。
【0028】
本明細書(この用語には特許請求の範囲が含まれる)に開示されている及び/又は図面に示されている各特徴は、他の開示及び/又は図示されている特徴から独立して(又はそれらと組み合わせて)本発明に組み込むことができる。特に限定されることなく、特定の独立請求項に従属する何れかの請求項の特徴は、任意の組み合わせで、又は個別に、その独立請求項に導入されることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
次に、本発明の例示的な実施形態を、以下の添付の図面を参照して、例示的に説明する。
【
図1】
図1は、本発明の例示的な実施形態が適用され得る一般的なモバイル(セルラ又は無線)通信システムを概略的に示す。
【
図2】
図2は、本発明の例示的な実施形態が適用され得る、マスタノードとセカンダリノードとを含むモバイル(セルラ又は無線)通信システムを概略的に示す。
【
図3】
図3は、
図2に示したシステムにおける、マスタノード及びセカンダリノードの更なる詳細を示す。
【
図4】
図4は、本発明の例示的な実施形態が適用され得る、分散基地局を含むモバイル(セルラ又は無線)通信システムを概略的に示す。
【
図5】
図5は、
図4に示したシステムにおける分散基地局の更なる詳細を示す。
【
図6】
図6は、
図1、
図2、及び
図4に示したシステムの一部を形成するモバイル装置(ユーザ装置)の概略ブロック図である。
【
図7】
図7は、
図1、
図2、及び
図4に示したシステムの一部を形成する基地局装置の概略ブロック図である。
【
図8】
図8は、
図1、
図2、及び
図4に示したシステムの一部を形成するコアネットワークノードの概略ブロック図である。
【
図9】
図9は、
図1、
図2、及び
図4に示したシステムにおける、本発明の例示的な実施形態が実装され得るいくつかの例示的な方法を概略的に示す。
【
図10】
図10は、
図1、
図2、及び
図4に示したシステムにおける、本発明の例示的な実施形態が実装され得るいくつかの例示的な方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
概要
3GPP規格の下では、NodeB(又はLTEにおいては「eNB」、5Gにおいては「gNB」)は、通信装置(ユーザ装置又は「UE」)がコアネットワークに接続し、他の通信装置又は遠隔サーバと通信するための基地局である。通信装置は、例えば、携帯電話、スマートフォン、スマートウォッチ、携帯情報端末、ラップトップ/タブレットコンピュータ、ウェブブラウザ、eブックリーダなどの移動通信装置であってもよい。このようなモバイル装置(又は一般的な固定式の装置でもよい)は、典型的には、ユーザによって操作される(従って、それらは多くの場合ユーザ装置、「UE」と総称される)が、IoT装置及び同様のMTC装置をネットワークに接続することも可能である。簡単にするために、本願では、基地局という用語を用いて、このような基地局に言及し、モバイル装置又はUEという用語を用いて、このような通信装置に言及する。
【0031】
当業者の理解を効率的にするために、本発明は、3GPPシステム(5Gネットワーク)との関連で詳細に説明されるが、本発明の原理は、スライススケジューリングが実行される他のシステムに対しても適用することができる。
【0032】
図1は、本発明の例示的な実施形態が適用され得るモバイル(セルラ又は無線)通信システム1aを概略的に示す。
【0033】
このネットワークでは、モバイル装置3(UE)のユーザが適切な3GPP RAT(radio access technology:無線アクセス技術)、例えば、E‐UTRA及び/又は5G RATを使用して、それぞれの基地局5及びコアネットワーク7を介して、互いに及び他のユーザと通信することができる。多数の基地局5が(無線)アクセスネットワーク又は(R)ANを形成することが理解される。当業者が理解するように、3つのモバイル装置3及び1つの基地局5が例示の目的のために
図1に示されるが、システムは、実装される際に、典型的には他の基地局及びモバイル装置(UE)を含む。
【0034】
E-UTRA/4Gプロトコルをサポートする基地局5を「eNB」と呼んでもよく、また、NextGeneration/5Gプロトコルをサポートする基地局5を「gNBs」と呼んでもよい。
図1における基地局5は、次世代(5G)規格に従って動作するように構成される。但し、基地局5は、4G及び5Gの双方、及び/又は他の任意の3GPP又は非3GPPの通信プロトコルをサポートするように構成されてもよいことが理解される。
【0035】
隣接する基地局5は(いわゆる「Xn」インタフェース、及び/又は、「X2」インタフェースなど)基地局インタフェースに、適切な基地局を介して互いに接続されている。基地局5は、また、(いわゆる「S1」、「N1」、「N2」、及び/又は「N3」インタフェースなど)適切なインタフェースを介して、コアネットワークノードに接続されている。コアネットワーク7(例えば、NR/5Gの場合は5GC、又はLTEの場合はEPC)は、典型的には、通信システム1aにおける通信をサポートするための、及び、(とりわけ)加入者管理、モビリティ管理、 課金、セキュリティ、通話/セッション管理のための、論理ノード(又は「機能」)を含む。例えば、「Next Generation」/5Gシステムのコアネットワーク7は、他の機能の中でも、とりわけ、CPF(control plane function:制御プレーン機能)10及びUPF(user plane function:ユーザプレーン機能)11を含む。CPF10は、(とりわけ)、(
図1に個別に示された)SMF(Session Management Function:セッション管理機能)12、AMF(Access and Mobility Function:アクセス及びモビリティ機能)、PCF(Policy Control Function:ポリシー制御機能)、OAM(Operations and Maintenance:動作及びメンテナンス)機能、AF(Application Function:アプリケーション機能)、及び/又はNF(Network Function:ネットワーク機能)のうちの1つ以上を提供するように構成されてもよいことが理解される。コアネットワーク7は、また、RAN(基地局5)に対して、及び外部ネットワーク20(典型的にはインターネットなどのIP(Internet Protocol:インターネットプロトコル)ネットワーク)に対して、コアネットワーク7を接続するための少なくとも1つのGW(gateway:ゲートウェイ)13(例えばサービングゲートウェイ)を備える。
【0036】
UE3がそのサービング基地局5を介してPDUセッションを開始する場合、基地局5は、PDUセッションが完全性保護を必要とするか否か、及び、その基地局5にて終端されるUEの完全性保護されたDRB(Data Radio Bearer:データ無線ベアラ)に対して最大データレートを適用することが必要か否かをチェックする。具体的には、基地局5は、(関連するユーザプレーンセキュリティ適用情報が、UP完全性保護が「必要」又は「好適」であることを示す場合)関連するユーザプレーンセキュリティ適用情報に基づいてPDUセッションに対してユーザプレーンセキュリティポリシーを適用する。
【0037】
ここで
図2に転じると、この図のモバイル(セルラ又は無線)通信システム1bは、
図1に示したものと事実上同じである。但し、この場合のUE3は、MN(Master Node:マスタノード)5Mとして設定された基地局と、SN(Secondary node:セカンダリノード)5Sとして設定された基地局とによってサーブされる。この場合、MN 5Mは、PDUセッションが完全性保護を必要とするか否か、UE3をサーブするMN 5M及びSN 5Sを介してUEの完全性保護されたDRB(Data Radio Bearers:データ無線ベアラ)の最大データレートを適用することが必要であるか否かをチェックする。具体的には、MN 5Mは、関連するユーザプレーンセキュリティ適用情報(それが「必要」又は「好適」にセットされる場合)に基づいてPDUセッションに対してユーザプレーンセキュリティポリシーを適用する。
【0038】
図3に示すように、MN 5M及びSN 5Sの双方は、(UEのユーザプレーンの)そのノードによってサーブされるDRB(複数可)のRLC(Radio Link Control:無線リンク制御)層及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol:パケットデータコンバージェンスプロトコル)層のそれぞれの部分をホスティングする。
図3には示さないが、MN 5M及びSN 5Sが、それらのDRBのMAC(Medium Access Control:媒体アクセス制御)層及びPHY(Physical:物理)層などの対応する下位層もホスティングすることが理解される。
【0039】
MN 5Mは、MN 5Mにて終端されたベアラ(DRB)上のデータレートを測定し、SN 5Sは、SN 5Sにて終端されたベアラ(DRB)上のデータレートを測定する。MN 5Mは、SN 5Sによる適用のために(総計の)UE最大IPデータレートの「部分」をシグナリングする(又は適切であれば、複数のSNに対してそれぞれの部分/副部分をシグナリングする)ことができる。より詳細には、適用可能な部分(又はその部分を識別する情報)は、(例えば、PDUセッションがUE3に対して確立される場合に)SN 5Sに対して送信されたシグナリングメッセージの最大の完全性保護データレートIEに含まれている。
【0040】
図4は、分散基地局5(分散gNB)によってUE3がサーブされるシナリオを示す。モバイル(セルラ又は無線)通信システム1cにおける分散gNB5は、制御プレーン(gNB-CU-CP)5Cの中央ユニットと、ユーザプレーン(gNB-CU-UP)5Uに対する少なくとも1つの中央ユニットと、少なくとも1つの関連セルをそれぞれサーブする複数の分散ユニット(gNB-DU)5Dとを備える。適切であれば、分散gNB5のいくつかの構成要素(例えば、gNB-CU-CP5C、及び/又は少なくとも1つのgNB-CU-UP5Uの機能)が、コアネットワーク7内に設けられてもよい、ということが理解される。説明のために特定の名称により個別の機能を説明するが、対応する機能は、専用の回路及び/又は関連付けられたプロセッサを制御するソフトウェア命令を用いて実装された1つ以上の適切なノードにより、分離して又は組み合わせて実装されてもよい。
【0041】
分散gNB5の様々なサブユニット(機能)は、適切なインタフェースを通じて以下の通り結合される。すなわち、gNB-CU-CP5Cは、F1-CインタフェースによってgNB-DU5Dに接続され、gNB-CU-UP5Uは、F1-UインタフェースによってgNB-DU5Dに接続され、及び、gNB-CU-UP5Uは、E1インタフェースによってgNB-CU-CP5Cに接続される。モバイル装置3と基地局5とは、適切なエアインタフェース(例えば、いわゆる「Uu」インタフェースなど)を介して接続される。分散基地局5も、また、(いわゆる「S1」、「N1」、「N2」、及び/又は「N3」インタフェースなどの)適切なインタフェースを介して、コアネットワークノードに接続されている。
【0042】
上記のシステム1a~1cにおいて、UE3をサーブするノードは、UEの完全性保護されたDRB(Data Radio Bearer:データ無線ベアラ)の最大データレートを共同して適用するように構成される。
【0043】
1つのオプションにおいては、これは、MN 5MとSN 5Sとの間の適切なノード間インタラクションによって実現される。具体的には、SN 5Sは、定期的に、又は、イベントによってトリガされた場合(例えば、自身の(SN終端)PDUセッション上の完全性保護されたトラフィックがしきい値を超える場合)に、自身の(SN終端)PDUセッション上の完全性保護されたトラフィックを(所定期間にわたって)監視し、関連付けられたレポートを生成する(そしてMN 5Mに対してレポートを送信する)ように構成されてもよく、上記しきい値は、UEの完全性保護されたDRBの最大データレートのSNの部分のパーセンテージ(例えば、50%、80%、又は100%)として定義されてもよい。MN 5M及びSN 5Sの設定に応じて、SN 5Sは、その完全性保護されたDRB上のUE3に対して割り当てられたPDUセッションリソースを変更若しくは解放(又は変更若しくは解放するようにMN 5Mに要求)してもよい。代替的に、MN 5Mは、(例えば、SN 5Sからの適切な要求に従って)SN 5Sに対して適用可能な「部分」を増加させてもよい。
【0044】
別のオプションにおいては、UPF11は、全ての完全性保護されたPDUセッションのデータレートを監視するように構成されてもよい。全てのPDUセッション上の総計の完全性保護されたUPトラフィックが全てのDRBの完全性保護のためにUEごとに最大サポートデータレートに達するところである(又は達している)ことをUPF11が検出する場合、その後、UPF11は、基地局5に対して、適切な支援情報(例えば、警告メッセージ)を提供してもよい。UPF11からの支援情報の受信に際して、MN 5Mは、SN 5S(SN終端DRBに対して)から全ての完全性保護されたPDUセッション上の総計データレートを取得して、完全性保護されたPDUセッションが適用可能なデータレートリミットを超えているのか否かをチェックするように構成されてもよい。SN終端PDUセッションが割り当てられたリミット(「SN部分」)を超える場合、MN 5Mは、例えば、(a)SN 5Sを一時的に外すか、又は(b)ベアラタイプをSN終端ベアラからMN終端ベアラに変更してもよい。MN終端PDUセッションが割り当てられたリミット(「MN部分」)を超える場合、MN 5Mは、PDUセッションのそれ自身の(MN終端)DRBの1つ以上を変更又は外すように構成されてもよい。
【0045】
更に別のオプションにおいては、UEの完全性保護されたDRBに対する最大データレートの適用は、分散gNB5のgNB-CU-CP5C部とgNB-CU-UP5U部との間の適切なノード間インタラクションによって実現される。
図5に示すように、(「CU-CP」と示された)gNB-CU-CP5C及び(「CU-UP
1」~「CU-UP
N」と示された)任意の対応するgNB-CU-UP5Uは、セカンダリノード5Sの機能を事実上提供してもよい。この場合、各gNB-CU-UP5U部は、UEの完全性保護されたDRBの最大データレートの関連付けられた副部分を受信する。異なるgNB-CU-UP5U部が、それらに割り当てられた異なる関連する副部分を有してもよいことが理解される。gNB-CU-UP5U部は、それらの関連データの使用をgNB-CU-CP5Cに対してレポートする。この場合、レポートされたデータの使用に基づいて、gNB-CU-CP5Cは、CU-UPベースごとに、前のオプションのMN 5Mと同様の動作を行ってもよい。gNB-CU-CP5Cは、また、CU-UP部によって報告されたデータレートに応じて、CU-UPベースごとに、副部分の割り当てを更新(増加/減少)してもよい。
【0046】
更なるオプションにおいては、分割PDUセッションの最大の完全性保護データレートの適用は、コアネットワーク7から(UPF11から)の適切な支援情報を用いて実現されてもよい。PDUセッションリソースのセットアップ又はPDUセッションリソースの変更の間に、UPF11にてPDUセッションが分割されてもよいことが理解される。この場合、コアネットワーク7(AMF/SMF)は、PDFセッションレベルの最大IPデータレート、DRBレベルの最大IPデータレート、及びQoSフローレベルの最大IPデータレートを識別する情報(例えば1つ以上の情報要素)を基地局5に対してシグナリングする。1つのCN-UP5Uにおいて、QoSフローごとの完全性保護データレートがQoSフローレベル最大の完全性保護データレートを超えれば、そのCN-UP5Uは、これに関してCN-CP5Cに通知する。CN-CP5Cは、(a)CN-UP5Uを一時的に外すか、(b)検討中のQoSフローのデータレートを低減するようにCN-UP5Uに要求してもよい。
【0047】
CU-CP5Cが(SN 5Sの)複数のCU-UP5Uに対して接続される場合、CU-CP5Cは、(例えば、適切な計算式に基づいて)各CU-UP5Uに対してSNの最大の完全性保護データレート部分の適切な副部分を割り当てる(そして必要であれば調整する)ように構成されてもよいことが理解される。
【0048】
上記のオプションのいくつか(又は全て)で用いられ得る様々な例示的なメッセージ及び情報要素は、詳細な説明において表1~表10に示される。
【0049】
UE(User Equipment:ユーザ装置)
図6は、
図1a~
図1cに示すUE(mobile device:モバイル装置)3の主要構成要素を示すブロック図である。図示するように、UE3は、1つ以上のアンテナ33を介して、接続されたノード(複数可)に信号を送信し、当該ノード(複数可)から信号を受信するように動作可能なトランシーバ回路31を含む。
図6には必ずしも示されていないが、UE3は、当然ながら、(ユーザインターフェース35のような)従来のモバイル装置の通常の機能の全てを有することになり、これは、必要に応じて、ハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアのうちの任意の1つ又は任意の組み合わせによって提供され得る。コントローラ37は、メモリ39内に格納されたソフトウェアに従ってUE3の動作を制御する。ソフトウェアは、メモリ39に予めインストールされていてもよく、及び/又は電気通信ネットワーク1を介して、若しくは例えばRMD(removable data storage device:取り外し可能なデータ記憶装置)からダウンロードされてもよい。ソフトウェアは、とりわけ、オペレーティングシステム41と少なくとも通信制御モジュール43とを含む。通信制御モジュール43は、UE3と、(R)ANノード5及びコアネットワークノード含む他のノードとの間で、シグナリングメッセージ及びアップリンク/ダウンリンクデータパケットを処理(生成/送信/受信)する役割を担う。このようなシグナリングメッセージは、完全性保護されたDRBのUEの最大サポートデータレートを表示するための適切にフォーマットされたメッセージ及び情報要素を含んでもよい。その表示は、UE3をサーブするRANノード5を介して、NAS(Non-Access Stratum:非アクセス層)レイヤにてコアネットワーク7に対して提供されてもよい。
【0050】
基地局
図7は、
図1a~
図1cに示した基地局装置5の主要構成要素を示すブロック図である。図示するように、基地局5は、1つ以上のアンテナ53を介して、接続されたUE3(複数可)から信号を受信し、当該UE3に信号を送信し、ネットワークインタフェース55を介して(直接的あるいは間接的に)他のネットワークノードに信号を送信し、当該ノードから信号を受信するように動作可能なトランシーバ回路51を含む。ネットワークインタフェース55は、典型的には適切な基地局-基地局インタフェース(X2/Xnなど)と、適切な基地局-コアネットワークインタフェース(S1/N1/N2/N3など)とを含む。
【0051】
コントローラ57は、メモリ59内に格納されたソフトウェアに従って基地局5の動作を制御する。ソフトウェアは、メモリ59に予めインストールされていてもよく、及び/又は電気通信ネットワーク1を介して、若しくは例えばRMD(removable data storage device:取り外し可能なデータ記憶装置)からダウンロードされてもよい。ソフトウェアは、とりわけ、オペレーティングシステム61と少なくとも通信制御モジュール63とを含む。
【0052】
通信制御モジュール63は、基地局5と、UE3やコアネットワークノードなどの他のノードとの間のシグナリングを処理(生成/送信/受信)する役割を担う。このようなシグナリングメッセージは、適切にフォーマットされたメッセージ、及び基地局5によってサーブされた特定のUE3によってサポートされた完全性保護されたDRBの最大データレートに関する情報要素を含んでもよい。
【0053】
基地局5がMN 5M又はSN 5Sとして動作する場合、通信制御モジュール63は、基地局5の現在の動作に適切なシグナリングメッセージ及び情報要素を処理(生成/送信/受信)する役割も担う。
【0054】
基地局5が分散gNB又はEn-gNBを備える場合、ネットワークインタフェース55は、また、分散gNB又はEn-gNBのそれぞれの機能間の信号を通信するE1インタフェース及びF1インタフェース(ユーザプレーンのためのF1-U及び制御プレーンのためのF1-C)を含む。この場合、ソフトウェアは、また、gNB-CU-CPサブモジュール5C、gNB-CU-UPサブモジュール5U、及びgNB-DUサブモジュール5Dのうちの少なくとも1つを含む。この場合、各サブモジュールは、そのサブモジュールによって提供される機能に従ってシグナリングメッセージ及び情報要素を処理(生成/送信/受信)する役割を担う。
【0055】
コアネットワークノード
図8は、
図1a~
図1cに示したSMF12などの例示的なコアネットワークノードの主要構成要素を示すブロック図である。図示したように、コアネットワークノードは、ネットワークインタフェース75を介して他のノード(UE3、基地局5、及び他のコアネットワークノードを含む)に信号を送信し、当該他のノードから信号を受信するように動作可能なトランシーバ回路71を含む。コントローラ77は、メモリ79に記憶されたソフトウェアに従って、コアネットワークノードの動作を制御する。ソフトウェアは、メモリ79に予めインストールされていてもよく、及び/又は電気通信ネットワーク1を介して、若しくは例えばRMD(removable data storage device:取り外し可能なデータ記憶装置)からダウンロードされてもよい。ソフトウェアは、とりわけ、オペレーティングシステム81と少なくとも通信制御モジュール83とを含む。
【0056】
通信制御モジュール83は、コアネットワークノードと、UE3、基地局5、及び他のコアネットワークノードなどの他のノードとの間のシグナリングを処理(生成/送信/受信)する役割を担う。
【0057】
上記の説明において、理解を容易にするために、携帯電話、UE、基地局、及びコアネットワークノードは、いくつかのディスクリートモジュールを有するものとして説明されている。これらのモジュールは、例えば、既存のシステムが本発明を実装するように変更されている特定のアプリケーションのために、例えば、他のアプリケーションにおいては、例えば、最初から本発明の特徴を念頭に置いて設計されたシステムにおいて、このように提供されてもよいが、その一方で、これらのモジュールは、オペレーティングシステム又はコードの全体に組み込まれてもよく、従って、これらのモジュールは、別個のエンティティとして識別できなくてもよい。これらのモジュールは、また、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせで実装されてもよい。
【0058】
詳細な説明
ここで、上記のシステム1a~1cにおける完全性保護されたDRBに対して適用可能な最大データレートの適用を可能にするために実装しうる幾つかの手順を、単なる例として説明する。これらの手順は、それぞれ分離して実装しても技術的な利点を得ることができるが、これらの手順を任意に組み合わせて実装してもよいことが理解される。
【0059】
いくつかの例示的な実施形態のより詳細な説明を、
図9及び
図10を参照しながら、以下に提供する。具体的には、
図9は、UE3がMN 5M及びSN 5Sによってサーブされる場合に、UE3に対する完全性保護データレートの関連部分を管理し適用するための例示的な実施形態を概略的に示す。
図10は、UE3が(複数のユニットの)分散基地局5によってサーブされる場合に、UE3に対する完全性保護データレートの関連部分を管理し適用するための例示的な実施形態を概略的に示す。
【0060】
以下の例示的な実施形態において、用語「部分」は、ノードにて終端する完全性保護されたDRBに対してそのノードにて適用されるUE固有の最大データレートの一部を指す。「部分」は、事実上UEのSN終端PDUセッション(少なくとも1つのPDUセッション)上の完全性保護されたトラフィックの最大データレートの(ハード)リミットである。
【0061】
gNB-MNとgNB-SNとの間のノード間インタラクション
図9は、UE3がMN 5M及びSN 5Sによってサーブされる場合に、UE3に対する完全性保護データレートの関連部分を管理し適用するための例示的な実施形態を概略的に示す。本手順には簡潔さのために省略されている付加的なステップを含んでもよいことが理解される。
【0062】
第1の例示的な実施形態
ステップ1:MN 5Mは、SN 5Sから、SN 5Sにて終端したUEのDRBに関する情報を要求する。例えば、MN 5Mは、(適切にフォーマットされた「レポート特性」フィールド(‘Report Characteristics’ field)によって)SN 5Sによって終端された(UEのダウンリンクトラフィック及び/又はアップリンクトラフィックのための)全ての関連付けられた完全性保護されたベアラ上のUE3のデータ使用レポートを要求してもよい。MN 5Mは、その要求において、適切にフォーマットされた情報要素(例えば、「S-NG-RANノードレポート特性」IEなど)を含む。
図9のステップ1に示すように、この例における要求は「S-NODE ADDITION REQUEST」メッセージを備えるが、任意の適切なメッセージを用いてもよい。
【0063】
MN 5Mは、適切にフォーマットされた情報要素(例えば、「S-NG-RANノードレポートタイプ(S-NG-RAN node Reporting Type)」IEなど)を用いて、SN 5Sから要求されたレポートタイプを指示する。情報要素は、また、イベントによってトリガされた場合及び/又はオンデマンドで、SN 5SがMN 5Mに定期的に報告する必要があるか否かを規定してもよい。レポートの周期は、適切にフォーマットされた情報要素(例えば、「S-NG-RANノードレポート周期(S-NG-RAN node Reporting Periodicity)」IEなど)を通して指示されてもよい。表1に示すように、上記のIEは、同一のメッセージ(同一のS-NODE ADDITION REQUESTメッセージ)に含まれてもよい、ということが理解される。表2は、SN 5Sが要求されたレポートを生成することができるか否かを示すために、SN 5SからMN 5Mに対して送信される適切な受信確認メッセージ(例えば、S-NODE ADDITION REQUEST ACKNOWLEDGEメッセージ)のいくつかのフィールドを示す。
【表1】
【0064】
【0065】
SN 5Sが要求されたレポートを提供することができない場合、S-NODE ADDITION REQUEST ACKNOWLEDGEメッセージに含まれる適切にフォーマットされた情報要素(例えば、「S-NG-RANノードレポート受信確認(S-NG-RAN node Report Acknowledge)」IEなど)を用いてMN 5Mに通知し、手続きを終了する。
【0066】
但し、SN 5Sが、要求されたレポートを提供できる場合、(S-NODE ADDITION REQUEST ACKNOWLEDGEメッセージ内の情報要素を適宜設定することにより)MN 5Mに通知し、次のステップに進む。
【0067】
ステップ2:SN 5Sは、SN 5Sにて終端したUEのPDUセッション(ダウンリンクトラフィック及び/又はアップリンクトラフィック)上の完全性保護されたトラフィックを(例えば所定期間yにわたって)監視し、(ステップ1においてMN 5Mから受信された要求に応じた)レポートを生成する。この例では、SN 5Sは、適切にフォーマットされた「S-NODE DATA USAGE REPORT」メッセージなどにおいて、要求されたレポートを送信する。このメッセージのコンテンツの例を表3に示す。
【0068】
【0069】
このメッセージは、M-NG-RAN(MN 5M)に対してUE関連情報を提供するために、S-NG-RANノード(SN 5S)によって送信される。
【0070】
イベントトリガによるレポートの場合、SN終端PDUセッション(DL又はUL)の測定された完全性保護データレートの総計が、関連付けられた「部分」を超える場合、SN 5Sは、MN 5Mに対してそのレポートを送信する。
【0071】
ステップ3:MN 5Mは、SN 5Sにて終端したPDUセッションのダウンリンクトラフィック又はアップリンクトラフィックのレポートされた完全性保護データレートの総計がそのSN 5S(すなわちステップ1で設定された初期値)の「部分」の値を超えているか否かをチェックする。
【0072】
レポートされた完全性保護データレートの総計が関連付けられた部分を超えている場合、ノードは、以下のオプションのうちの1つを行うように構成されてもよい。
【0073】
オプション1(MN主導の変更):MN 5Mは、完全性保護されたDRB(SN終端DRB)のUE3に対して、割り当てられたPDUセッションリソースを変更又は解放するようにSN 5Sに要求する。例えば、MN 5Mは、適切にフォーマットされたS-NODE MODIFICATION REQUESTメッセージをSN 5Sに対して送信してもよい。これは、SN 5SがSN終端PDUセッションのUE完全性保護されたダウンリンクトラフィック又はアップリンクトラフィックを調節することを可能にする。
【0074】
オプション2(SN主導の変更):SN 5Sは、完全性保護されたDRB(SN終端DRB)上のUE3に対して、割り当てられたリソースを変更又は解放するためのMN 5Mからの許可を要求する。例えば、SN 5Sは、適切にフォーマットされたS-NODE MODIFICATION REQUIREDメッセージをMN 5Mに対して送信してもよい。MN 5Mが、SN 5Sに対して、要求された変更が許可されたことを確認する応答をすると、SN 5Sは、SN終端PDUセッションのUE完全性保護されたダウンリンクトラフィック又はアップリンクトラフィックを調節することができる。
【0075】
オプション3:MN 5Mは、SN 5Sに対して適用可能な「部分」を増加させることを決定し、(例えば、適切にフォーマットされたS-NODE MODIFICATION REQUESTメッセージを用いて)SN 5Sに対して更新された値を送信する。
【0076】
オプション4:SN 5Sは、当該「部分」を増加させるようにMN 5Mに要求する。この場合、SN 5Sは、そのローカルなトラフィック状態及びリソース状態に対してより適している特定の部分の値を要求してもよい。代替的に、SN 5Sは、(特定の値を何ら指定することなく)その「部分」に増加させた値が所望されるということを(例えば、1ビットを用いて)示してもよい。
【0077】
レポートされた完全性保護データレートの総計が関連付けられた部分を超えていなくても、ノードは、上記のオプション(又は同様の手続き)の1つを行うように構成されてもよい、ということが理解される。例えば、MN 5Mは、SN 5Sに対して適用可能な部分を定期的に調節し、SN数が変化した場合(例えば、SNがUE3のために追加される場合、又は以前のSNがUE3をサーブしていない場合)に当該部分を調節し、及び/又は、レポートされた完全性保護データレートの総計が関連付けられたしきい値を下回った(若しくは上回った)場合に当該部分を調節するように構成されてもよい。
【0078】
SN 5Sは、また、(ステップ1においてシグナリングされた)UE最大IPデータレートの関連付けられた部分をサポートすることができない場合に、PDUセッション(複数可)の確立を拒否するように構成されてもよいことが理解される。この場合、例えば、SN 5Sは、(ステップ1において受信したメッセージに応じて)適切にフォーマットされたS-NODE ADDITION REQUEST ACKNOWLEDGEメッセージ又は適切にフォーマットされたS-NODE MODIFICATION REQUEST ACKNOWLEDGEメッセージにより、MN 5Mに対して応答するように構成されてもよい。
【0079】
(ステップ1における)S-NODE ADDITION REQUESTメッセージがS-NG-RANノードの最大の完全性保護データレートIEを含んでおり、S-NG-RANノード(SN 5S)がこの最大データレートに適合することができないのであれば、S-NG-RANノードは、UEのSN終端PDUセッションの確立を拒否してもよく、これらの失敗したPDUセッションを応答の適切な情報要素に含む。例えば、1つの、適切にフォーマットされた「PDUセッションリソース未承認リスト - SN終端(PDU Session Resources Not Admitted List - SN terminated)」IEを(適切な理由値とともに)用いてもよい。
【0080】
(ステップ1における)S-NODE MODIFICATION REQUESTメッセージがS-NG-RANノードの最大の完全性保護データレートIEを含んでおり、S-NG-RANノード(SN 5S)がこの最大データレートに適合することができないのであれば、S-NG-RANノードは、UEのSN終端PDUセッションの確立又は変更を拒否してもよく、これらの失敗したPDUセッションを応答の適切な情報要素に含む。例えば、1つの、適切にフォーマットされた「PDUセッションリソース追加未承認リスト(PDU Session Resources Not Admitted to be Added List)」IEを(適切な理由値とともに)用いてもよい。
【0081】
第2の例示的な実施形態
UPF11がSMF13から「全てのDRBの完全性保護のためのUEごとの最大サポートデータレート」の値を取得してもよいことが理解される。UPF11は、全てのIP(integrity protected:完全性保護された)PDUセッションのデータレートを監視するように構成されてもよい。全てのPDUセッション上の完全性保護されたUPトラフィックの総計が一定レベル(例えば、全てのDRBの完全性保護のためのUEごとの最大サポートデータレート)にほぼ達していることを、UPF11が検出すると、その後、UPF11は、NG-RANに対して、IPトラフィックの総計が全てのDRBの完全性保護のためのUEごとの最大サポートデータレートに近づいているということを示す適切な支援情報(例えば警告メッセージ)を提供することができる。
【0082】
UPF11から支援情報を受信するのに際して、MN 5Mは、(SN終端DRBの)全ての完全性保護されたPDUセッション上の総計データレートを提供するように、SN 5Sに要求する。MN 5Mは、また、任意のMN終端DRBの全ての完全性保護されたPDUセッション上のそれ自身の総計データレートを取得する。
【0083】
その後、MN 5Mは、SN終端及び/又はMN終端の完全性保護されたPDUセッションが、全てのDRBの完全性保護のためのUEごとの最大サポートデータレートの一部を超えたか否かをチェックする。
【0084】
SN終端PDUセッションが割り当てられたリミット(「部分」)を超えるのであれば、MN 5Mは、例えば、以下の適切な動作を講ずることができる。すなわち、(a)一時的にSN 5Sを外す、又は(b)SN終端からMN終端ベアラまでベアラタイプを変更する。
【0085】
MN終端PDUセッションが全てのDRBの完全性保護のためのUEごとの最大サポートデータレートの割り当て部分を超える場合、MN 5Mは、PDUセッションのそれ自身の(MN終端)DRBの1つ以上を変更又は外すように構成されてもよい。
【0086】
CU-CPとCU-UPとの間のノード内インタラクション
第3の例示的な実施形態
この例示的な実施形態は、
図4に示したシステム1cにおける(分散基地局5のCU-CP部とCU-UP部との間の)ノード内インタラクションに適用可能である。
図5は、分散基地局が、複数のCU-UP部を利用してセカンダリノード5Sとして機能するように構成されてもよい、例示的な方法を概略的に示す。
ステップ1:MN 5M(この場合、マスタノードとして動作する基地局5)は、SN 5S(UEの制御プレーンとユーザプレーンとを処理するために、それぞれ、1つのCP5C部と複数のUP5U部に分離されてもよい)に対して適切な部分を割り当てる。上述の通り、当該部分は、(SN終端DRBの)全ての完全性保護されたPDUセッション上で許可される最大の完全性保護された総計データレートを指す。完全性保護データレートの総計は、GBR(guaranteed bit rate:保証されたビットレート)、非GBR、又はGBRと非GBRの両方のQoS(quality of service:サービス品質)フローのレートを含む。
【0087】
ステップ2:CP5Cは、副部分の総和がMN 5Mから受信したSNの特定の部分の値以下になるように、適切な副部分を、その全てのUP5U(SN 5Sを形成する)に対して割り当てる。
ステップ3:各UP5Uは、期間x(それは所定/デフォルトの期間、又はMN 5Mによって設定された期間であってもよい)にわたって、その完全性保護データレートの総計を監視し始める。
【0088】
所与のUP_iで監視された完全性保護データレートの総計が、期間xにおいてその副部分の値を超える場合、UP_iは、CP5Cからのより大きな副部分を要求するものとする。これを受けて、CP5Cは、以下のチェックのうちの少なくとも1つを行う。
・(全ての副部分の)総和がSN部分未満である場合、(好ましくは他のUPのそれぞれの副部分を変更することなく、又はその総和を変更することなく)CP5Cは、UP_iの副部分_iを増加させる、及び
・(全ての副部分の)総和がSN部分と等しければ、CP5Cは、以下に示すオプションのうちの1つを行ってもよい。
【数1】
【0089】
第4の例示的な実施形態
この例示的な実施形態のステップ1及びステップ2は、第3の例示的な実施形態のステップ1及びステップ2と同じである。
ステップ3:各UP5Uは、(上記のように)期間xにわたって、その完全性保護データレートの総計を監視し始める。
【0090】
所与のUP_iで監視された完全性保護データレートの総計が、期間xにおいて、対応する副部分_iからのオフセット値の範囲にある場合、そのUP_iは、CP5Cからのより大きな副部分を要求するように構成されてもよい。例えば、オフセット値は、データレートで測定されてもよく、(1)UPのローカルな条件(リソース、送信バッファ状態、チャネル状態、負荷、など)、及び(2)UPのサービス要件(例えば、低遅延の要件 - オンラインビデオゲーミング)に基づいてもよい。
【0091】
UP_iがより大きな副部分をCP5Cから要求する場合、CP5Cは、以下のチェックのうちの一方又は双方を行う。
・(全ての副部分の)総和がSN部分未満である場合、CP 5Cは、UP_iの副部分_iを増加させる(好ましくは、他のUPのそれぞれの副部分を変更することなく、又はその総和を変更することなく)、及び
・(全ての副部分の)総和がSN部分と等しい場合、CP5Cは、上記のオプション1~4のうちの1つを行ってもよい。
【0092】
ノード内及びノード内インタラクション:gNB-MNとgNB-SNとの間/CU-CPとCU-UPとの間
【0093】
第5の例示的な実施形態
この例示的な実施形態は、
図4及び
図5に示した例示的なアーキテクチャに対して適用可能であってもよい。
【0094】
ステップ1:5Gコアネットワーク7(例えばSMF/AMF)は、例えば、適切にフォーマットされた情報要素(「PDUセッション完全性保護最大データレート」IEなど)を送信することによって、適用可能な完全性保護データレートについて、MN5に通知する。この情報要素は、例えば、(AMFからMN 5Mへの)「PDU SESSION RESOURCE SETUP REQUEST」メッセージ内の「PDUセッションリソースセットアップ要求転送(PDU Session Resource Setup Request Transfer)」IE(又はそれに類似するもの)に含まれていてもよい。「PDUセッションリソースセットアップ要求転送」IEのコンテンツの例を、表4~表6に示す。
【0095】
この例では、PDUセッションごとに全ての完全性保護されたDRBを可能にした、所与のUEの最大の完全性保護データレートを定義する、PDUセッション完全性保護最大データレートIEが用いられる。適切であれば、別の適切な情報要素が用いられてもよいことが理解される。この例における情報要素は、また、UEのダウンリンクDRB及びアップリンクDRBに対して適用可能な完全性保護データレートを指定するために、「PDUセッション完全性保護最大データレートダウンリンク(PDU Session Integrity Protected Maximum Data Rate Downlink)」IE及び「PDUセッション完全性保護された最大データレートアップリンク(PDU Session Integrity Protected Maximum Data Rate Uplink)」IEをそれぞれ含む。表7は、上記の情報要素の例を示す。
【0096】
ステップ2:MN 5Mは、PDUセッション完全性保護最大データレートIE(例えば、「S-NODE ADDITION REQUEST」メッセージ又は類似のものに含まれる)をSN 5Sに対して送信(転送)する。
【0097】
ステップ3:CU-CP5C(「gNB-SN-CP」)は、所与のPDUセッションの完全性保護されたトラフィックを監視するためにCU-UP5Uによって用いられる、PDUセッション完全性保護最大データレートIE(例えば、「BEARER CONTEXT SETUP REQUEST」メッセージ又は類似のものに含まれる)をCU-UP5U(「gNB-SN-UP」)に対して送信する。複数のCU-UP5Uがある場合、CU-CP5Cは、各CU-UP5Uに対して、PDUセッション完全性保護最大データレートIEを送信する。
【0098】
ステップ4:各CU-UP5Uは、期間xにわたって、PDUセッションの全てのDRBのDLトラフィック又はULトラフィックについての完全性保護データレートの総計を監視し始める。
【0099】
完全性保護されたDLデータレートの総計がPDUセッション完全性保護最大データレートダウンリンクよりも大きいか、又は完全性保護されたULデータレートの総計がPDUセッション完全性保護最大データレートアップリンクよりも大きければ、CU-UP5Uは、以下のメカニズムのうちの1つを用いて、PDUセッション完全性保護最大データレートダウンリンク及び/又はPDUセッション完全性保護最大データレートアップリンクを適用する。
【0100】
オプション1:CU-UP5Uは、PDUセッションにおける完全性保護されたダウンリンク/アップリンクDRBを変更又は削除する(例えば、それらの関連付けられたプライオリティレベル、プリエンプション能力、などに従ってDRB/QoSフローに対して割り当てられたリソースを変更/削除する)。DL/ULトラフィックについての完全性保護データレートの総計を減少させるために、CU-UP5Uは、例えば適切な理由値(例えば、「PDUセッションの最大の完全性保護されたDLデータレート理由」又は「PDUセッションの最大の完全性保護されたULデータレート理由」)を用いて、DBRを変更又は削除する理由をCU-CP5Cに通知する。従って、事実上、このオプションでは、CU-UP5Uは、(例えばベアラコンテキスト変更要求メッセージ(Bearer Context Modification Required message)などの適切なメッセージを用いて)DRBの変更又は削除に進む前にDRBの変更又は削除を許可するようにCU-CP5Cに求める。上記の理由値は、例えば、表8に示したような適切な「理由(Cause)」情報要素を用いて提供されてもよい。
【0101】
オプション2:CN-UP5Uは、適切な情報要素(例えば、「PDU最大IPデータレートDLレポート(PDU Maximum IP Data Rate DL Report)」IE、「PDU最大IPデータレートULレポート(PDU Maximum IP Data Rate UL Report)」IEなど)を用いて、完全性保護されたDLトラフィック又は完全性保護されたULトラフィックが、関連付けられたPDUセッション完全性保護最大データレートダウンリンク又はPDUセッション完全性保護最大データレートアップリンクを超えたことを、CN-CP5Cに通知する。例えば、CU-UP5Uは、(CU-UPからCU-CPへの)DATA USAGE REPORTメッセージに含まれるデータ使用レポートリストIEに、PDU最大IPデータレートDLレポートIE又はPDU最大IPデータレートULレポートIEを含めてもよい。全てのDRBのデータ使用レポートに基づいて、CU-CP5Cは、CU-UP5Uにて完全性保護されたトラフィックを減少させるために、いくつかのDRB(少なくとも1つのDRB)を変更又は削除するようにCU-UP5Cに要求する。従って、事実上、このオプションでは、CU-CP5Cは、適切なフォーマットされたBEARER CONTEXT MODIFICATION REQUESTメッセージ又は類似のものを用いて、DRBを変更又は削除するように、CU-UP5Uに求める。DATA USAGE REPORTメッセージ及びデータ使用レポートリスト情報要素のコンテンツの例を、表9及び表10に示す。
【0102】
【0103】
上記の情報要素はAMFに対して透過的である。注記:この例において、PDUセッション完全性保護最大データレートIEは「オプション」である。
【0104】
【0105】
上記の情報要素はAMFに対して透過的である。注記:この例において、PDUセッション完全性保護最大データレートIEは「条件付き」である。
【0106】
【0107】
上記の情報要素はAMFに対して透過的である。
【0108】
【0109】
上記の情報要素は、ダウンリンク方向及びアップリンク方向に定義され、NG-RANノード(基地局5/MN 5M)に対してSMF12によって提供されるPDUセッションごとの全ての完全性保護されたDRBに適用可能である。
【0110】
【0111】
理由情報要素の目的は、E1APプロトコルのための特定のイベントの理由を示すことである。
【0112】
【0113】
このメッセージは、データボリュームをレポートするためにCU-CP5Uに対してCU-UP5Uによって送信される。
【0114】
【0115】
この情報要素は、UE3に対して、データ使用の情報を提供する。
【0116】
UPFにて分割されたPDUセッション
【0117】
第6の例示的な実施形態
この例示的な実施形態は、PDUセッションが、PDUセッションリソースセットアップ又はPDUセッションリソース変更中のUPF11にて分割されるシナリオに関する。
【0118】
この場合については、分離されたPDUセッションの最大の完全性保護データレートの適用は、関連付けられたパケットQoSパラメータ及びPDUセッションのデータレートを認識しているコアネットワーク7(UPF11)からの支援情報を必要とする。
【0119】
ステップ1:コアネットワーク7(AMF/SMF)は、(例えばAMFからMN 5Mに対して送信されるPDU SESSION RESOURCE SETUP REQUESTメッセージにおけるPDUセッションリソースセットアップ要求転送IEにおいて)MN 5Mに対して以下のようにシグナリングする。
・PDFセッションレベル最大IPデータレート(を指定する情報要素)
・DRBレベル最大IPデータレート(を指定する情報要素)
・QoSフローレベル最大IPデータレート(を指定する情報要素)
【0120】
ステップ2:MN 5Mは、(例えば、適切にフォーマットされたS-NODE ADDITION REQUESTメッセージを用いて)SN 5Sに対して受信情報(IE)をシグナリング(転送)する。
【0121】
ステップ3:SN 5SのCU-CP5C部は、(例えば、適切にフォーマットされたBEARER CONTEXT SETUP REQUESTメッセージを用いて)CU-UP5Uに対して情報を転送する。情報は、その後、その全てのDRB上の完全性保護されたトラフィックを監視するためにCU-UP5Uによって用いられる。
【0122】
具体例の手段として、PDUセッションは、UPF11にて、2つの異なるCU-UP5U(MN5を介して)に対して転送される2つのQoSフローに分割されてもよい。各CU-UP5Uは、期間zにわたって、QoSレベル上のそれ自身の(部分の)完全性保護データレートを監視し始める。1つのCU-UP5Uにおいて、QoSフローごとの完全性保護データレートがQoSフローレベル最大の完全性保護データレートを超えれば、そのCU-UP5Uは、これに関してCU-CP5Cに通知する。この場合、CU-CP5Cは、例えば、(a)CU-UP5Uを一時的に外す、又は、(b)(以下QoSフローレベル最大の完全性保護データレート又はその適用される部分/副部分以下に)検討中のQoSフローのデータレートを減少させるようにCU-UP5Uにリクエスするように構成されてもよい。
【0123】
CU-CPとCU-UPとの間のノード内インタラクション
【0124】
第7の例示的な実施形態
この例示的な実施形態において、CU-CP5Cは、(
図5に示したように)接続されている全てのCU-UP5Uから適切なレポートを(レポート特性IEなどを通して)要求するように構成される。
【0125】
ステップ1:CU-CP5Cは、(CU-CP 5Cが属するSN 5Sに対して割り当てられた)最大の完全性保護データレート部分を複数のCU-UP5Uの複数のそれぞれの副部分に分割する。例えば、CU-CP5Cは、次式を用いるように構成されてもよい。
【0126】
【0127】
ステップ2:CU-CP5Cは、CU-CP5Cに対してそのレポート(完全性保護されたDRB上のデータ使用のレポート-ダウンリンク/アップリンクトラフィック)を送信するようにCU-UP5Uに要求するために、BEARER CONTEXT SETUP REQUESTメッセージに適切な情報要素(例えば「UPレポート特性(UP Report Characteristics)」IE)を含める。CU-UP5Uは、CU-CP5Cがレポートを定期的に提供するべきか又はイベントをトリガとして提供するべきかの、その要求を示す。レポートの定期性は、適切な情報要素(例えば、「UPレポートの定期性(UP Reporting Periodicity)」IEなど)を通して示されてもよい。
【0128】
ステップ3:CU-UP5Uは、CU-CP5Cに対するその応答(例えば、BEARER CONTEXT SETUP RESPONSEメッセージ又は類似のもの)の中で、適切な情報要素(例えば、「UPレポート受信確認」IEなど)を用いて、要求されたレポートを提供することができるか否かを、CU-CP5Cに対して示す。
【0129】
ステップ4:各CU-UP5Uは、そのDRB(DL及び/又はUL)上の完全性保護されたトラフィックを(所定期間yにわたって)監視し、要求に応じて(定期的に、又はイベントによってトリガされた場合に)、レポートを生成する。
【0130】
ステップ5:CU-UP5Uは、CU-CP5Cに対して、適切なメッセージで(例えば、「UP DATA USAGE REPORT」メッセージ又は類似のもの)、要求されたレポートを送信する。
ステップ6:CU-UP(複数可)5Uからのレポート(複数可)に基づいて、CU-CP5Cは、(ステップ1において)最大の完全性保護データレート部分を超えないように、部分_1、部分_2、…の初期値を更新し始めてもよい。更新された値は、例えば、BEARER CONTEXT MODIFICATION REQUESTメッセージ(及び/又は同種のもの)を用いて、CU-UP5Uに対して送信される。
【0131】
CU-UP5Uは、イベントトリガとしてそのレポート(例えば、UP DATA USAGE REPORTメッセージ)を送信するように構成されてもよい、ということが理解される。この場合、CU-UP_iにおけるUE完全性保護データレート(DL/UL)の総計が、その許可された「部分_i」を超えるとき、CU-CP5Cは、そのCU-UP_iの「部分_i」に対して新規の(より高い)値を割り当ててもよく、適切なメッセージ(例えば、BEARER CONTEXT MODIFICATION REQUESTメッセージ又は類似のもの)に新規の値を含めてもよい。代替的に、CU-CP5Cは、当該CU-UP_iにて完全性保護されたユーザプレーントラフィックを調節するためにCU-UP_iにおけるPDUセッション(又はDRB、QoSフロー)に対して割り当てられたリソースを変更することを、CU-UP_iに要求してもよい。
【0132】
CU-UP5UにおけるUE完全性保護データレート(DL/UL)の総計が、(所与のサービス/アプリケーションのために必要とする)完全性保護データレートの適切な最小閾値を下回ると、CU-CP5Cは、CU-UP側にて完全性保護されたUPトラフィックを調節するためにPDUセッション(DRB、QoSフロー)に対してリソースを変更するようにCU-UP5Uに要求するように構成されてもよい。
【0133】
全てのCU-UPに対して「部分」を更新するのではなく、レポートのトリガとなったCU-UPについてのみ「部分」値を変更するようにCU-CP5Cが決定してもよい、ということが理解される。但し、この場合でさえ、CU-CP5Cは、全ての部分の総和が、値を更新する前の総和と同じ(又はそれ未満)に留まることを確保する必要がある。例えば、CU-CP5Cは、次式を用いてもよい(ここで、*は更新値を示す)。
【0134】
【0135】
具体例のために、CU-CP5Cは、CU-UP_1及びCU-UP_2に対して(すなわちレポートを送信したCU-UP)、部分_1及び部分_2の値をそれぞれ更新してもよい。この場合、CU-CP5Cは、以下の更新を行ってもよい。
【0136】
【0137】
この例において、CU-CP5Cは、部分_1の一部を部分_2に、事実上、再割り当てし、そのため、更新の結果として部分_SNの値が増加しない(すなわち、部分_1の値における減少は部分_2の値における増加に対応するが、いかなる場合も、部分_1の値における減少は、部分_2の値における増加よりも大きい)ことが理解される。
【0138】
変形例及び代替例
以上、詳細な例示的な実施形態について説明してきた。当業者が理解しうるように、上記の例示的な実施形態に対して、多数の変形及び代替を行うことができ、そこで実施される本発明の利点を得ることができる。ここでは、例示のために、これらの代替例及び変形例のうちのいくつかのみを説明する。
【0139】
5G NRとLTEシステム(「E-UTRAN」(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network))の両方に対して、上記の例示的な実施形態が適用されてもよいことが理解される。
【0140】
上記の例においては、「gNB」タイプの基地局が説明されているが、モバイル(セルラ)電話/スマートフォン、MTC/IoT装置及び/又は他のモバイル又は固定配置の通信装置などのUEに対して無線アクセスを提供するための他の基地局(例えば、eNBs、ng-eNB、En-gNB、NG-RANノード)又は同様の装置に対して、機能の多くを拡張することができることが理解される。
図1~
図4には示していないが、基地局は、また、1つ以上の関連付けられたセルを、直接的に、又は、ホーム基地局、中継器、及び/又は遠隔無線通信ヘッドなどの他のノードを通じて、制御してもよい。
【0141】
上記の説明では、UE、基地局、コアネットワークノードは、理解しやすくするために、(通信制御モジュールなどの)いくつかの個別モジュールを有するものとして説明されている。これらのモジュールは、例えば、既存のシステムが本発明を実装するように変形された特定の用途のために、又は、例えば、最初から本発明の特徴を念頭に置いて設計されたシステムにおける他の用途のために、このような方法で提供されてもよい。その一方で、これらのモジュールは、オペレーティングシステム又はコードの全体に組み込まれてもよく、従って、これらのモジュールは、別個のエンティティとして識別できなくてもよい。これらのモジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせで実装されてもよい。
【0142】
各コントローラは、例えば、1つ以上のハードウェアで実装されたコンピュータプロセッサと、マイクロプロセッサと、CPU(central processing unit:中央処理装置)と、ALU(arithmetic logic unit:算術論理ユニット)と、IO(input/output:入出力)回路と、内部メモリ/キャッシュ(プログラム及び/若しくはデータ)と、プロセッシングレジスタと、通信バス(例えば、コントロール、データ、及び/若しくはアドレスバス)と、DMA(direct memory access:ダイレクトメモリアクセス)機能と、ハードウェア若しくはソフトウェアで実装されたカウンタ、ポインタ、及び/若しくはタイマなどを含む(但しそれらに限定はされない)任意の適当な形式の処理回路を備えてもよい。
【0143】
上記の例示的な実施形態で、多くのソフトウェアモジュールを説明した。当業者が理解しうるように、ソフトウェアモジュールは、コンパイルされた形態又はコンパイルされていない形態で提供されてもよく、コンピュータネットワーク上の信号として、又は記録媒体上で、UE、基地局、及びコアネットワークノードに供給されてもよい。更に、このソフトウェアの一部又は全部によって実行される機能は、1つ又は複数の専用ハードウェア回路を使用して実行してもよい。但し、ソフトウェアモジュールの使用は、UE、基地局、及びコアネットワークノードの機能を更新するために、それらの更新を容易にするため好ましい。
【0144】
上記の例示的な実施形態は、また、「非モバイル」若しくは概して固定式のユーザ装置に対しても適用可能である。
【0145】
上記の方法は、少なくとも1つのSNから情報を取得する前に、コアネットワークノードから、UEに関連付けられた少なくとも1つのPDUセッションについての完全性保護トラフィックの合計が、所定のレベルに到達していることを示す情報を取得すること、を更に含んでもよい。
【0146】
そのSNでUEに関連付けられた少なくとも1つのPDUセッションを更新することは、UEに関連付けられた少なくとも1つのDRBを削除することと、UEに関連付けられた少なくとも1つのSN終端ベアラをMN(Master Node:マスタノード)終端ベアラに変更することと、UEのためのユーザプレーン送信を処理するノードのセットからSNを外すことと、のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0147】
本方法は、少なくとも1つのSNにPDUセッション完全性保護最大データレートのうちの少なくとも一部分を割り当て、PDUセッション完全性保護最大データレートのうちの残りの部分を前記基地局装置のMN(Master Node:マスタノード)に割り当てることを更に含んでもよい。
【0148】
本方法はMNでUEに関連付けられた全てのPDUセッションの総計データレートを識別する情報を取得することと、取得された情報が、MNでUEに関連付けられた全てのPDUセッションの総計データレートが、関連付けられたデータレート部分を超えることを示す場合、MNで少なくとも1つのDRBを変更又は削除することと、を更に含んでもよい。
【0149】
所定のレベルは、関連付けられた最大の完全性保護データレートの所定のしきい値又は所定のパーセンテージ(例えば、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%)であってもよい。
【0150】
本方法は、MN(Master Node:マスタノード)で、コアネットワークノードから、UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての完全性保護データに許可される最大データレートを識別する情報を取得することと、(例えば、SNの追加で、)少なくとも1つのSNに、UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての完全性保護データに許可される最大データレートを識別する取得された情報を送信することと、を更に含んでもよい。
【0151】
UEに関連付けられたPDUセッションがUPFにて分割される場合に、本方法は、MN(Master Node:マスタノード)で、コアネットワークノードから、PDUセッションレベルでUEに許可される最大の完全性保護データレートと、DRBレベルでUEに許可される最大の完全性保護データレートとのうちの少なくとも1つを識別する少なくとも1つの情報要素を取得することと、QoS(Quality of Service:サービス品質)フローレベルでUEに許可される最大の完全性保護データレートと、少なくとも1つの情報要素に基づいて、UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての完全性保護データに許可される最大データレートを適用することと、を更に含んでもよい。
【0152】
本方法は、少なくとも1つの情報要素をSNに転送し、SNで、少なくとも1つの情報要素に基づいて、UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての完全性保護データのデータレートを監視すること、を更に含んでもよい。
【0153】
基地局装置は、UEのユーザプレーン送信を処理するためのCU(Central Unit:中央ユニット)と複数のDU(Distributed Unit:分散ユニット)とを備える分散基地局を備えてもよい。
【0154】
少なくとも1つのSNからの、SNでUEに関連付けられた全てのPDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)セッションについての総計の完全性保護データレートを識別する情報は、データ使用レポートを含んでもよい。
【0155】
少なくとも1つのSNから情報を取得することは、定期的に、MNからの要求により、及びイベントによりトリガされた場合に、のうちの少なくとも1つにおいて情報を取得することを含んでもよい。
【0156】
本方法は、基地局装置が、SNのうちの少なくとも一部として動作するように構成された複数のユニットに接続されている場合に、各々のユニットに、UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての総計の完全性保護データレートのうちのそれぞれの部分を割り当てること、を含んでもよい。
この場合、本方法は、ユニットの少なくとも1つから取得され、そのユニットでUEに関連付けられた全てのPDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)セッションについての総計の完全性保護データレートを識別するそれぞれの情報に応じて、部分の割り当てを更新すること、を含んでもよい。
【0157】
様々な他の変形が当業者には明らかであり、ここでは、それ以上詳細には説明しない。
【0158】
上記の例示的な実施形態の一部又は全部は、以下の付記項に示すように説明することができるが、以下のものに限定するものではない。
【0159】
(付記1)
基地局装置により行われる方法であって、
UE(user equipment:ユーザ装置)のユーザプレーン送信を処理する少なくとも1つのSN(Secondary node:セカンダリノード)から、前記SNで前記UEに関連付けられた全てのPDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)セッションについての総計の完全性保護データレートを識別する情報を取得することと、
前記少なくとも1つのSNからの前記情報が、前記SNで前記UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての前記総計の完全性保護データレートが、関連付けられたデータレート部分を超えることを示す場合、前記データレート部分と、前記SNで前記UEに関連付けられた少なくとも1つのPDUセッションと、のうちの少なくとも1つを更新することと、を備える方法。
【0160】
(付記2)
前記少なくとも1つのSNから前記情報を取得する前に、コアネットワークノードから、前記UEに関連付けられた少なくとも1つのPDUセッションについての完全性保護トラフィックの合計が、所定のレベルに到達していることを示す情報を取得すること、を更に備える付記1記載の方法。
【0161】
(付記3)
前記SNで前記UEに関連付けられた少なくとも1つのPDUセッションを前記更新することは、前記UEに関連付けられた少なくとも1つのDRBを削除することと、前記UEに関連付けられた少なくとも1つのSN終端ベアラをMN(Master Node:マスタノード)終端ベアラに変更することと、前記UEのためのユーザプレーン送信を処理するノードのセットから前記SNを外すことと、のうちの少なくとも1つを備える、付記1又は2記載の方法。
【0162】
(付記4)
少なくとも1つのSNにPDUセッション完全性保護最大データレートのうちの少なくとも一部を割り当て、前記PDUセッション完全性保護最大データレートのうちの残りの部分を前記基地局装置のMN(Master Node:マスタノード)に割り当てること、を更に備える付記1乃至3のうち何れか1項記載の方法。
【0163】
(付記5)
前記MNで前記UEに関連付けられた全てのPDUセッションの総計データレートを識別する情報を取得することと、
前記取得された情報が、前記MNで前記UEに関連付けられた全てのPDUセッションの前記総計データレートが、関連付けられたデータレート部分を超えることを示す場合、前記MNで少なくとも1つのDRBを変更又は削除することと、を更に備える付記1乃至4のうち何れか1項記載の方法。
【0164】
(付記6)
前記所定のレベルは、関連する最大の完全性保護データレートの所定のしきい値又は所定のパーセンテージ(例えば、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%)である、付記1乃至5のうち何れか1項記載の方法。
【0165】
(付記7)
MN(Master Node:マスタノード)で、コアネットワークノードから、前記UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての完全性保護データに許可される最大データレートを識別する情報を取得することと、
(例えば、SNの追加で、)前記少なくとも1つのSNに、前記UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての完全性保護データに許可される最大データレートを識別する前記取得された情報を送信することと、を更に備える付記1乃至6のうち何れか1項記載の方法。
【0166】
(付記8)
前記UEに関連付けられたPDUセッションがUPFで分割される場合に、
MN(Master Node:マスタノード)で、コアネットワークノードから、
PDUセッションレベルで前記UEに許可される最大の完全性保護データレートと、DRBレベルで前記UEに許可される最大の完全性保護データレートと、QoS(Quality of Service:サービス品質)フローレベルで前記UEに許可される最大の完全性保護データレートと、のうちの少なくとも1つを識別する少なくとも1つの情報要素を取得することと、
前記少なくとも1つの情報要素に基づいて、前記UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての完全性保護データに許可される前記最大データレートを適用することと、を更に備える付記1乃至7のうち何れか1項記載の方法。
【0167】
(付記9)
前記少なくとも1つの情報要素を前記SNに転送し、前記SNで、前記少なくとも1つの情報要素に基づいて、前記UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての完全性保護データの前記データレートを監視すること、を更に備える付記8記載の方法。
【0168】
(付記10)
前記基地局装置は、前記UEのユーザプレーン送信を処理するためのCU(Central Unit:中央ユニット)と複数のDU(Distributed Unit:分散ユニット)とを備える分散基地局を備える、付記1乃至9のうち何れか1項記載の方法。
【0169】
(付記11)
前記少なくとも1つのSNからの、前記SNで前記UEに関連付けられた全てのPDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)セッションについての総計の完全性保護データレートを識別する前記情報は、データ使用レポートを備える、付記1乃至10のうちの何れか1項記載の方法。
【0170】
(付記12)
前記少なくとも1つのSNから前記情報を取得することは、定期的に、前記MNからのリクエストにより、及びイベントによりトリガされた場合に、のうちの少なくとも1つにおいて前記情報を取得することを備える、付記1乃至11のうちの何れか1項記載の方法。
【0171】
(付記13)
前記基地局装置が、SNの少なくとも一部として動作するように構成された複数のユニットに接続されている場合に、各々のユニットに、前記UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての前記総計の完全性保護データレートのうちのそれぞれの部分を割り当てることを、更に備える付記1乃至12のうち何れか1項記載の方法。
【0172】
(付記14)
前記ユニットの少なくとも1つから取得され、そのユニットで前記UEに関連付けられた全てのPDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)セッションについての総計の完全性保護データレートを識別するそれぞれの情報に応じて、前記部分の前記割り当てを更新すること、を備える付記13記載の方法。
【0173】
(付記15)
UE(user equipment:ユーザ装置)のユーザプレーン送信を処理するSN(Secondary node:セカンダリノード)として構成された基地局装置により行われる方法であって、
MN(Master Node:マスタノード)又は制御プレーンユニットに、前記SNで前記UEに関連付けられた全てのPDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)セッションについての総計の完全性保護データレートを識別する情報を提供することと、
前記SNで前記UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての前記総計の完全性保護データレートが、関連付けられたデータレート部分を超える場合、前記データレート部分と、前記SNで前記UEに関連付けられた少なくとも1つのPDUセッションと、のうちの少なくとも1つを更新することと、を備える方法。
【0174】
(付記16)
UE(user equipment:ユーザ装置)のユーザプレーン送信を処理するコアネットワークノードにより行われる方法であって、
MN(Master Node:マスタノード)に、前記UEに関連付けられた少なくとも1つのPDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)セッションについての完全性保護トラフィックの合計が所定のレベルに到達していることを示す情報を提供すること、を備える方法。
【0175】
(付記17)
付記1乃至16のうちの何れか1項記載の方法を行うための命令を備えるコンピュータプログラム。
【0176】
(付記18)
コントローラとトランシーバとを備え、前記コントローラが、
UE(user equipment:ユーザ装置)のユーザプレーン送信を処理する少なくとも1つのSN(Secondary node:セカンダリノード)から、前記SNで前記UEに関連付けられた全てのPDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)セッションについての総計の完全性保護データレートを識別する情報を取得し、
前記少なくとも1つのSNからの前記情報が、前記SNで前記UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての前記総計の完全性保護データレートが、関連付けられたデータレート部分を超えることを示す場合、前記データレート部分と、前記SNで前記UEに関連付けられた少なくとも1つのPDUセッションと、のうちの少なくとも1つを更新する、ように構成された、基地局装置。
【0177】
(付記19)
UE(user equipment:ユーザ装置)のユーザプレーン送信を処理するSN(Secondary node:セカンダリノード)として構成された基地局装置であって、
コントローラとトランシーバとを備え、前記コントローラが、
MN(Master Node:マスタノード)又は制御プレーンユニットに、前記SNで前記UEに関連付けられた全てのPDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)セッションについての総計の完全性保護データレートを識別する情報を提供し、
前記SNで前記UEに関連付けられた全てのPDUセッションについての前記総計の完全性保護データレートが、関連付けられたデータレート部分を超える場合、前記データレート部分と、前記SNで前記UEに関連付けられた少なくとも1つのPDUセッションと、のうちの少なくとも1つを更新する、ように構成された、基地局装置。
【0178】
(付記20)
UE(user equipment:ユーザ装置)のユーザプレーン送信を処理するコアネットワークノードであって、
コントローラとトランシーバとを備え、前記コントローラが、
MN(Master Node:マスタノード)に、前記UEに関連付けられた少なくとも1つのPDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)セッションについての完全性保護トラフィックの合計が所定のレベルに到達していることを示す情報を提供する、ように構成された、コアネットワークノード。
【0179】
本出願は2019年2月15日に出願された英国特許出願第1902167.4号に基づいており、その優先権の利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。