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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20240730BHJP
【FI】
G06F8/65
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023098648
(22)【出願日】2023-06-15
(62)【分割の表示】P 2019128138の分割
【原出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2023108000
(43)【公開日】2023-08-03
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】塩安 麻人
(72)【発明者】
【氏名】池田 真歩
(72)【発明者】
【氏名】野村 建太
(72)【発明者】
【氏名】谷畑 友樹
(72)【発明者】
【氏名】野田 尚志
【審査官】大倉 崚吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-207180(JP,A)
【文献】特開2007-213404(JP,A)
【文献】特開平11-102287(JP,A)
【文献】特開2009-266211(JP,A)
【文献】特開2005-063050(JP,A)
【文献】特開2015-092374(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0131999(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/60-8/658
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと揮発性メモリを有し、
前記プロセッサは、
ファームウェアの更新モードが起動された場合、ファームウェアと自装置との適合性を判断するプログラムを、自装置の外部から取得し、
取得した前記プログラムを前記揮発性メモリ上に展開し、
展開された前記プログラムを用い、自装置の外部から取得したファームウェアの適合性を判断する
処理装置。
【請求項2】
前記プログラムを用い、前記取得したファームウェアが自装置に適合していると判断したとき、自装置が保持するファームウェアを前記取得したファームウェアで更新する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記プログラムを用い、前記取得したファームウェアが自装置に適合していないと判断したとき、前記取得したファームウェアが自装置に適合していない旨の情報を示す情報を出力する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記取得したプログラムを用いた適合性の判断の実行の可否を判断する、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
自装置が適合する前記プログラムのバージョンが記憶される不揮発性メモリを更に有し、
前記プロセッサは、
前記取得したプログラムのバージョンが、前記不揮発性メモリに記憶されているバージョン以降か否かを判断し、
前記取得したプログラムのバージョンが、前記不揮発性メモリに記憶されているバージョン以降である場合、記ファームウェアの適合性の判断を実行する、請求項に記載の処理装置。
【請求項6】
前記取得したプログラムのバージョンが、前記不揮発性メモリに記憶されているバージョンよりも古い場合、
前記プロセッサは、前記取得したプログラムが不適合であることを示す情報を出力し、前記ファームウェアの適合性の判断を実行しない、請求項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは最新のバージョンの前記プログラムを取得する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項8】
コンピュータに、
ファームウェアの更新モードが起動された場合、ファームウェアと自装置との適合性を判断すプログラムを、自装置の外部から取得する機能と、
取得した前プログラムを揮発性メモリ上に展開する機能と、
展開された前プログラムを用い、自装置の外部から取得した前記ファームウェアの適合性を判断する機能と
実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の部品で構成される製品が故障した場合、故障の疑いがあるモジュールを交換して、保守作業の効率を高めている。ところが、保守期間が長いモジュールの場合、修理の必要が生じた時点で、製品にインストールされているファームウェアとの間で互換性が担保されたモジュールを入手できない場合がある。そのような場合、モジュールの交換と同時にファームウェアの更新が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-202117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファームウェアを更新する場合、新たにインストールするファームウェアがインストール先のモジュールに適合しているか否かを判断するプログラム(以下「適合判断プログラム」ともいう)が、ファームウェアのインストールを開始する前に実行される。
ところで、適合判断プログラムが、モジュール内の不揮発性メモリに記憶されている場合がある。この場合、交換用の部品として保管されている間に、新たなファームウェアがリリースされることが起こり得る。しかし、適合判断プログラムがプログラミングされたのはモジュールの製造時である。このため、不揮発性メモリに記憶して使用する適合判断プログラムでは、新たにリリースされたファームウェアとの互換性を判断できない。
【0005】
本発明は、不揮発性メモリに記憶されている適合判断プログラムを用いてファームウェアの更新の適否を判断する場合とは異なり、互換性がないファームウェアが誤ってインストールされないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、プロセッサと揮発性メモリを有し、前記プロセッサは、ファームウェアの更新モードが起動された場合、ファームウェアと自装置との適合性を判断するプログラムを、自装置の外部から取得し、取得した前記プログラムを前記揮発性メモリ上に展開し、展開された前記プログラムを用い、自装置の外部から取得したファームウェアの適合性を判断する処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プログラムを用い、前記取得したファームウェアが自装置に適合していると判断したとき、自装置が保持するファームウェアを前記取得したファームウェアで更新する、請求項1に記載の処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記プログラムを用い、前記取得したファームウェアが自装置に適合していないと判断したとき、前記取得したファームウェアが自装置に適合していない旨の情報を示す情報を出力する、請求項1に記載の処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記プロセッサは、前記取得したプログラムを用いた適合性の判断の実行の可否を判断する、請求項1に記載の処理装置である。
請求項に記載の発明は、自装置が適合する前記プログラムのバージョンが記憶される不揮発性メモリを更に有し、前記プロセッサは、前記取得したプログラムのバージョンが、前記不揮発性メモリに記憶されているバージョン以降か否かを判断し、前記取得したプログラムのバージョンが、前記不揮発性メモリに記憶されているバージョン以降である場合、記ファームウェアの適合性の判断を実行する、請求項に記載の処理装置である。
請求項に記載の発明は、前記取得したプログラムのバージョンが、前記不揮発性メモリに記憶されているバージョンよりも古い場合、前記プロセッサは、前記取得したプログラムが不適合であることを示す情報を出力し、前記ファームウェアの適合性の判断を実行しない、請求項に記載の処理装置である。
請求項に記載の発明は、前記プロセッサは最新のバージョンの前記プログラムを取得する、請求項1に記載の処理装置である。
請求項に記載の発明は、コンピュータに、ファームウェアの更新モードが起動された場合、ファームウェアと自装置との適合性を判断すプログラムを、自装置の外部から取得する機能と、取得した前プログラムを揮発性メモリ上に展開する機能と、展開された前プログラムを用い、自装置の外部から取得した前記ファームウェアの適合性を判断する機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、ファームウェアの適合性の判断に使用するプログラムが固定されないので、適合しないファームウェアが誤ってインストールされないようにできる。
請求項2記載の発明によれば、適合するファームウェアで更新できる。
請求項3記載の発明によれば、適合しないファームウェアによる更新を未然に回避できる。
請求項4記載の発明によれば、適合性の判断の実行の可否を判断できる。
請求項記載の発明によれば、適合性の判断に使用するプログラムのバージョンの適合性を事前に確認するので、適合しないファームウェアが誤ってインストールされないようにできる。
請求項記載の発明によれば、適合しないプログラムによるファームウェアの適合性の判断を回避できる。
請求項記載の発明によれば、自装置が適合するプログラムのバージョンを不揮発性メモリに記憶しておく必要をなくすことができる。
請求項記載の発明によれば、ファームウェアの適合性の判断に使用するプログラムが固定されないので、互換性がないファームウェアが誤ってインストールされないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1で使用するネットワークシステムの全体構成の例を概略的に示す図である。
図2】画像形成装置とサーバのハードウェア構成を説明する図である。
図3】実施の形態1における画像形成装置の起動時に実行される処理動作の例を説明するフローチャートである。
図4】実施の形態1におけるデバイスボードの交換作業を模式的に説明する図である。
図5】実施の形態2の使用形態の一例を概略的に示す図である。
図6】実施の形態2における画像形成装置の起動時に実行される処理動作の例を説明するフローチャートである。
図7】実施の形態2におけるデバイスボードの交換作業を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
<実施の形態1>
<システム構成>
図1は、実施の形態1で使用するネットワークシステム1の全体構成の例を概略的に示す図である。
図1に示すネットワークシステム1は、ネットワーク10に接続される画像形成装置20と、サーバ30とで構成される。図1の場合、画像形成装置20は1台であるが複数台でもよい。なお、本実施の形態におけるネットワーク10はインターネットである。
【0010】
図1に示す画像形成装置20は、用紙に画像を形成する機能に加え、原稿等の画像イメージを読み取る機能やファクシミリ通信を制御する機能も備えている。なお、列記した機能は一例に過ぎず、他の機能を備えることを妨げない。
サーバ30は、画像形成装置20にインストールするファームウェア31と、画像形成装置20で使用する制御基板のハードウェア構成とファームウェア31との適合性を判断するプログラム(以下「適合判断プログラム」という)32を管理する外部装置である。本実施の形態におけるサーバ30は、画像形成装置20を製造したメーカが運用している。以下では、制御基板をデバイスボードという。
【0011】
図2は、画像形成装置20とサーバ30のハードウェア構成を説明する図である。
画像形成装置20は、CPU(=Central Processing Unit)211等で構成されるデバイスボード201と、外部装置との通信に使用されるネットワークIF(=Interface)202と、用紙に画像を印刷する印刷機構203と、ファクシミリ通信に使用するファクシミリ機構204と、原稿から画像を読み取るスキャナ205と、タッチパネル等で構成される操作パネル206とで構成されている。
【0012】
デバイスボード201は、CPU211と、ネットワークIF212と、揮発性の記憶デバイスであるRAM(=Random Access Memory)213と、書き換えが可能な不揮発性の記憶デバイスであるフラッシュROM(=Read Only Memory)214と、PCI(=Peripheral Component Interconnect)等のIF215と、書き換えが可能な不揮発性の記憶デバイスであるストレージ216とで構成されている。
フラッシュROM214には、ブートプログラムが記憶されている。ストレージ216はIF215との着脱が自在であり、例えばハードディスク装置や半導体メモリが使用される。
ここでのデバイスボード201は、処理装置の一例である。なお、CPU211はプロセッサ又はコンピュータの一例である。また、RAM213は揮発性メモリの一例である。また、フラッシュROM214は不揮発性メモリの一例である。
【0013】
サーバ30は、CPU301と、外部装置との通信に使用されるネットワークIF302と、揮発性の記憶デバイスであるRAM303と、不揮発性の記憶デバイスであるROM304と、不揮発性の記憶デバイスであるハードディスク装置305とで構成されている。
ハードディスク装置305には、前述したファームウェア31と適合判断プログラム32とが記憶されている。本実施の形態の場合、ハードディスク装置305に記憶される適合判断プログラム32のバージョンは、常に最新となるようにサーバ30において管理されている。
バージョンが最新の適合判断プログラム32は、過去に製造された任意のデバイスボード201と任意のファームウェアとの互換性の判断が可能である。
【0014】
<処理動作>
以下では、図3及び図4を使用して、故障したデバイスボード201を新しいデバイスボード201Nに交換する場合の処理動作を説明する。
図3は、実施の形態1における画像形成装置20の起動時に実行される処理動作の例を説明するフローチャートである。図中のSはステップを意味する。
図4は、実施の形態1におけるデバイスボード201の交換作業を模式的に説明する図である。図4の場合、故障したデバイスボード201に取り付けられていたストレージ216は、故障したデバイスボード201から取り外された後、交換用のデバイスボード201Nに取り付けられる。
【0015】
交換用のデバイスボード201Nは、交換の対象であるデバイスボード201とハードウェア構成が同じになるように製造されているが、使用期間が長くなると、一部の部品の入手が不能になることがある。このような場合、入手が不能になった部品の後継部品や互換部品がデバイスボード201Nの製造に使用される。なお、デバイスボード201Nの製造では、製造の時点でリリースされているファームウェアとの互換性も考慮される。ただし、互換性の担保は、デバイスボード201Nを製造した時点で存在するファームウェアとの間であり、将来リリースされるファームウェアとの互換性の担保は不可能である。
【0016】
新たなデバイスボード201Nが取り付けられた状態で主電源がオンになると、フラッシュROM214からブートプログラムが読み出され、CPU211により実行される。
まず、CPU211は、ファームウェアの更新モードでの起動か否かを判定する(ステップ1)。
ファームウェアの更新モードによる起動が指示されていない状態で主電源がオンになった場合、CPU211は、ステップ1で否定結果を得、通常モードで起動する(ステップ2)。
一方、ファームウェアの更新モードによる起動を指示された状態で主電源がオンになった場合、CPU211は、ステップ1で肯定結果を得る。すなわち、CPU211は、更新モードで起動する(ステップ3)。
【0017】
次に、CPU211は、サーバ30から最新バージョンの適合判断プログラム32をダウンロードする(ステップ4)。図4に示すように、本実施の形態で使用するサーバ30には、常に最新バージョンの適合判断プログラム32が記憶されている。
続いて、CPU211は、サーバ30からファームウェア31をダウンロードする(ステップ5)。
なお、適合判断プログラム32とファームウェア31のダウンロードは並行に実行してもよいし、ファームウェア31のダウンロード後に適合判断プログラム32をダウンロードしてもよい。
【0018】
ダウンロードが完了すると、CPU211は、適合判断プログラム32をRAM213上に展開する(ステップ6)。すなわち、適合判断プログラム32は、揮発性の記憶デバイスであるRAM213上に展開される。このため、主電源がオフに操作されると、適合判断プログラム32は、RAM213から失われる。
もっとも、適合判断プログラム32がRAM213から失われても、ファームウェア31はフラッシュROM214に書き込まれているので通常モードによる起動には支障がない。
【0019】
また、ファームウェア31の更新モードによる起動でも、ステップ4に示すように、起動の度に適合判断プログラム32をダウンロードして適合性の判断に用いるので、主電源のオフによる適合判断プログラム32の消失は、ファームウェア31の更新モードによる起動に悪影響はない。
むしろ、ブートプログラムを起動するために主電源を一旦オフした時点でRAM213に記憶されている適合判断プログラム32が消えるため、古い適合判断プログラム32の実行が排除される。
【0020】
RAM213への展開が完了すると、CPU211は、適合判断プログラム32を起動する(ステップ7)。
次に、CPU211は、自装置のハードウェア構成とダウンロードしたファームウェア31との適合性の診断を開始する(ステップ8)。ここでの自装置とは、デバイスボード201Nのことである。
ここで、CPU211は、適合判断プログラム32の実行を通じ、ダウンロードされたファームウェア31が自装置のハードウェア構成に適合するか否かを判定する(ステップ9)。
【0021】
適合が確認された場合、CPU211は、ステップ9で肯定結果を得、ファームウェア31のフラッシュROM214への書き込みを開始する(ステップ10)。
一方、適合しないことが確認された場合、CPU211は、ステップ9で否定結果を得、操作パネル206(図2参照)にエラーを表示する(ステップ11)。この場合は、サーバ30からダウンロードされたファームウェア31をフラッシュROMに書き込むと、画像形成装置20が正しく動作しないことを意味する。
【0022】
そこで、CPU211は、「現在のファームウェアは正しく動作しません。別のファームウェアを使用してください」等を操作パネル206に表示し、ブート動作を中断する。
エラー表示を確認した保守スタッフは、別のデバイスボード201Nへの交換や古いファームウェア31のダウンロード等の対策を実行する。
いずれにしても、交換後のデバイスボード201Nに適合しないファームウェア31に更新される事態が未然に回避される。
【0023】
<実施の形態2>
前述の実施の形態の場合には、最新の適合判断プログラム32(図1参照)が記憶されているサーバ30(図1参照)に、画像形成装置20(図1参照)がネットワーク10(図1参照)経由で接続されている場合について説明した。
しかし、画像形成装置20がネットワーク10に接続されていない状態で使用される場合も考えられる。また、画像形成装置20がネットワーク10経由で接続されているサーバ30に、最新の適合判断プログラム32(図1参照)が記憶されている保証がない場合も考えられる。
本実施の形態は、これらの場合にも、デバイスボード201Nに適合しない適合判断プログラム32が使用されない仕組みについて説明する。
【0024】
<システム構成>
図5は、実施の形態2の使用形態の一例を概略的に示す図である。図5の場合、画像形成装置20はネットワークに接続されていない。なお、ファームウェア41と適合判断プログラム42は、画像形成装置20に設けられているメディアポートに接続可能な半導体メモリ40に記憶されている。
なお、画像形成装置20の構成は、図2で説明した構成と同じである。ただし、本実施の形態で使用するフラッシュROM214(図2参照)には、デバイスボード201の製造時点で適合することが検証済みの適合判断プログラムのバージョンが記憶されている。
【0025】
<処理動作>
以下では、図6及び図7を使用して、故障したデバイスボード201を新しいデバイスボード201Nに交換する場合の処理動作を説明する。
図6は、実施の形態2における画像形成装置20の起動時に実行される処理動作の例を説明するフローチャートである。図6には、図3との対応部分に対応する符号を付して示している。
図7は、実施の形態2におけるデバイスボード201の交換作業を模式的に説明する図である。図7の場合も、故障したデバイスボード201に取り付けられていたストレージ216は、故障したデバイスボード201から取り外した後、交換用のデバイスボード201Nに取り付けて使用される。
【0026】
主電源がオンになると、フラッシュROM214からブートプログラムが読み出され、CPU211により実行される。
まず、CPU211は、ファームウェアの更新モードでの起動か否かを判定する(ステップ1)。
ファームウェアの更新モードによる起動が指示されていない状態で主電源がオンになった場合、CPU211は、ステップ1で否定結果を得、通常モードで起動する(ステップ2)。
一方、ファームウェアの更新モードによる起動を指示された状態で主電源がオンになった場合、CPU211は、ステップ1で肯定結果を得る。すなわち、CPU211は、更新モードで起動する(ステップ3)。
【0027】
次に、CPU211は、半導体メモリ40からのファームウェア41と適合判断プログラム42の転送が完了したか否かを判定する(ステップ21)。転送が完了していない場合、ステップ21で否定結果が得られる。
ステップ21で肯定結果が得られると、CPU211は、適合判断プログラム42をRAM213上に展開する(ステップ6)。ただし、本実施の形態の場合、半導体メモリ40から転送された適合判断プログラム42は最新バージョンの保証はない。
なお、本実施の形態の場合も、適合判断プログラム42の展開先は、揮発性の記憶デバイスであるRAM213である。
【0028】
RAM213への展開が完了すると、CPU211は、フラッシュROM214に記憶されているバージョンと展開された適合判断プログラム42のバージョンを比較する(ステップ22)。
ここで、ステップ22で展開された適合判断プログラム42のバージョンの方が古いと判断された場合、CPU211は、操作パネル206(図2参照)にエラーを表示する(ステップ23)。操作パネル206には、例えば「最新のバージョンの適合判断プログラムを使用してください」等が表示される。
【0029】
ここでのエラーは、例えばフラッシュROM214に記憶されているバージョンが7であるのに対し、RAM213に展開された適合判断プログラム42のバージョンが6の場合に表示される。換言すると、ここでのエラーは、デバイスボード201の製造時点が、転送された適合判断プログラム42のリリース時点よりも新しい場合に表示される。
このように、本実施の形態の場合には、フラッシュROM214に自装置の適合性の判断に使用が可能な適合判断プログラム42のバージョンが記憶されているので、エラーの表示を通じ、誤った適合判断プログラム42の転送を保守スタッフに知らせることが可能になる。
【0030】
一方、ステップ22で展開された適合判断プログラム42のバージョンの方が新しいと判断された場合、CPU211は、適合判断プログラム42を起動する(ステップ7)。
次に、CPU211は、自装置のハードウェア構成と転送されたファームウェア41との適合性の診断を開始する(ステップ24)。
ここで、CPU211は、適合判断プログラム42の実行を通じ、ファームウェア41が自装置のハードウェア構成に適合するか否かを判定する(ステップ9)。
【0031】
適合が確認された場合、CPU211は、ステップ9で肯定結果を得、ファームウェア41のフラッシュROM214への書き込みを開始する(ステップ10)。一方、適合しないことが確認された場合、CPU211は、ステップ9で否定結果を得、操作パネル206(図2参照)にエラーを表示する(ステップ11)。
ステップ11のエラー表示の内容は、ステップ23のエラー表示の内容とは異なる。
なお、本実施の形態の場合にも、実施の形態1の場合のように、画像形成装置20がネットワーク10(図1参照)経由でサーバ30(図1参照)と接続される構成への適用が可能である。もっとも、本実施の仕組みが効果を発揮するのは、サーバ30に記憶されている適合判断プログラム42のバージョンが最新であるか不明な場合である。
【0032】
<他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0033】
例えば前述の実施の形態では、CPU211と、RAM213と、フラッシュROM214とを含むデバイスボード201(図2参照)を備える装置の一例として複数の機能を備える画像形成装置20を説明したが、いずれかの機能の専用装置でも構わない。また、デバイスボード201を備える装置は、画像を形成する装置に限定する必要はなく、テレビやプロジェクタ等の映像機器、通信装置、いわゆる家電製品、車両、船舶、航空機でもよい。
【0034】
また、前述の実施の形態では、書き換え可能な不揮発性メモリの一例としてフラッシュROM214(図2参照)を例示したが、EEPROM(=Electrically Erasable Programmable ROM)その他の記憶デバイスを用いてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…ネットワークシステム、10…ネットワーク、20…画像形成装置、30…サーバ、31、41…ファームウェア、32、42…適合判断プログラム、40…半導体メモリ、201、201N…デバイスボード、203…印刷機構、204…ファクシミリ機構、205…スキャナ、206…操作パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7