(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】カセット
(51)【国際特許分類】
B41J 17/32 20060101AFI20240730BHJP
B41J 2/325 20060101ALI20240730BHJP
B41J 15/02 20060101ALI20240730BHJP
B41J 15/04 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B41J17/32 A
B41J2/325 A
B41J15/02
B41J15/04
(21)【出願番号】P 2023105704
(22)【出願日】2023-06-28
(62)【分割の表示】P 2019178159の分割
【原出願日】2019-09-30
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 信次
(72)【発明者】
【氏名】村山 健太郎
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-236307(JP,A)
【文献】特開2012-126141(JP,A)
【文献】特開2005-280060(JP,A)
【文献】特開2000-006504(JP,A)
【文献】特開平07-108744(JP,A)
【文献】特開平05-139006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 17/32
B41J 2/325
B41J 15/02
B41J 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷テープと、
インクリボンと、
第1方向に延びる第1回転軸について回転可能な入力ギアと、
前記第1方向に延びる第2回転軸について回転可能な出力ギアと、
前記入力ギアと前記出力ギアとに係合するアイドルギアと、
前記被印刷テープの少なくとも一部、前記入力
ギアの少なくとも一部、前記出力
ギアの少なくとも一部、及び前記
アイドルギアの少なくとも一部が内部に配置されたケースと、
を備え、
前記出力
ギアの一部は、前記ケースの外に位置し、
前記出力
ギアは、前記第1方向において、
前記被印刷テープと前記インクリボンとの間に位置する、カセット。
【請求項2】
被印刷テープと、
インクリボンと、
第1方向に延びる第1回転軸について回転可能な入力ギアと、
前記第1方向に延びる第2回転軸について回転可能な出力ギアと、
前記入力ギアと前記出力ギアとに係合するアイドルギアと、
前記被印刷テープの少なくとも一部、前記入力
ギアの少なくとも一部、前記出力
ギアの少なくとも一部、及び前記
アイドルギアの少なくとも一部が内部に配置されたケースと、
を備え、
前記ケースは、
前記ケースの前記第1方向と直交する第2方向における端面
である第1面
と、
前記第1面と前記第2方向に離れた第2面と、
前記ケースの前記第1方向及び前記第2方向の双方と直交する第3方向における端面
である第3面
と、
前記第3面と前記第3方向に離れた第4面と、
を有し、
前記出力
ギアは、前記第1面と前記第2面との間、かつ、前記第3面と前記第4面との間に位置する
、カセット。
【請求項3】
ヘッド開口をさらに備え、
前記出力
ギアの少なくとも一部は、前記第1方向において、前記ヘッド開口と重なる、請求項
1又は請求項2に記載
のカセット。
【請求項4】
前記出力
ギアの前記
第2回転軸は、前記ヘッド開口を通る、請求項
3に記載
のカセット。
【請求項5】
前記出力
ギアは、前記
第2回転軸について回転する円盤と、前記円盤の前記第1方向
に沿った面に設けられた歯とを有
し、
前記円盤の前記第1方向と垂直な一方の面は、前記第1方向において前記ケースと対向し、
前記円盤の前記第1方向と垂直な他方の面の少なくとも一部は、前記第1方向において前記ケースと対向しない、請求項
1から請求項
4のいずれか1項に記載
のカセット。
【請求項6】
前記出力
ギアは、前記
第2回転軸について回転する円盤と、前記円盤の前記第1方向
に沿った面に設けられた歯とを有
し、
前記出力ギアのうち、前記ケースの外に位置している部分の歯底円の周長は、前記出力ギアの歯底円の周長の1/8以上1/3以下である、請求項
1から請求項
5のいずれか1項に記載
のカセット。
【請求項7】
前記出力
ギアは、前記
第2回転軸について回転する円盤と、前記円盤の前記第1方向
に沿った面に設けられた歯とを有
し、
前記ケースは、前記第1方向において前記出力ギアと重なる位置に配置されると共に、前記第1方向と平行な端面を有する突出部を有し、
前記突出部の前記端面は、前記出力ギアの歯底円と前記出力ギアの前記
第2回転軸との間に位置する、請求項
1から請求項
6のいずれか1項に記載
のカセット。
【請求項8】
前記ケースは、
前記ヘッド開口よりも前記インクリボンの搬送方向の上流において前記ヘッド開口に隣接して設けられると共に、前記インクリボンを支持する第2上流支持部と、
前記ヘッド開口よりも前記インクリボンの搬送方向の下流において前記ヘッド開口に隣接して設けられると共に、前記インクリボンを支持する第2下流支持部と、
を有し、
前記第2上流支持部と前記第2下流支持部とを結ぶ仮想直線は、前記第1方向において、前記出力
ギアと重なるか、又は前記出力
ギアと接する、請求項
3に記載
のカセット。
【請求項9】
前記ケースは、
前記ヘッド開口よりも前記被印刷テープの搬送方向の上流において前記ヘッド開口に隣接して設けられると共に、前記被印刷テープを支持する第1上流支持部と、
前記ヘッド開口よりも前記被印刷テープの搬送方向の下流において前記ヘッド開口に隣接して設けられると共に、前記被印刷テープを支持する第1下流支持部と、
を有し、
前記第1上流支持部と前記第1下流支持部とを結ぶ仮想直線は、前記第1方向において、前記出力
ギアと重ならない、請求項
8に記載
のカセット。
【請求項10】
前記出力
ギアは、前記第1方向において、前記第2上流支持部と重なる、請求項
8又は請求項
9に記載
のカセット。
【請求項11】
前記ケースは、前記ヘッド開口よりも前記被印刷テープの搬送方向の上流において前記被印刷テープと前記インクリボンとが平行に搬送される搬送路を有し、
前記入力
ギアの少なくとも一部は、前記搬送路における前記被印刷テープの搬送方向と前記第1方向との双方とに垂直な方向において、前記出力
ギアと重なる、請求項
8から請求項
10のいずれか1項に記載
のカセット。
【請求項12】
ヘッド開口をさらに備え、
前記ケースは、
前記ヘッド開口よりも前記被印刷テープの搬送方向の上流において前記ヘッド開口に隣接して設けられると共に、前記被印刷テープを支持する第1上流支持部と、
前記ヘッド開口よりも前記被印刷テープの搬送方向の下流において前記ヘッド開口に隣接して設けられると共に、前記被印刷テープを支持する第1下流支持部と、
を有し、
前記出力
ギアの少なくとも一部は、前記第1方向において、前記第1上流支持部と前記第1下流支持部と前記入力
ギアの前記
第1回転軸とを結ぶ仮想三角形と重なる、請求項
1又は請求項2に記載
のカセット。
【請求項13】
前記インクリボンを巻き取る入力スプー
ルをさらに備え、
前記入力スプールは、スプライン歯が設けられた内周面を有し、
前記入力
ギアの前記
第1回転軸は、前記入力スプールの前記内周面で規定される中空部を通る、請求項
1から請求項
12のいずれか1項に記載
のカセット。
【請求項14】
前記インクリボンを巻き取る入力スプールをさらに備え、
前記入力ギアは、前記第1方向において、前記入力スプールと前記被印刷テープとの間に位置する、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項15】
前記被印刷テープの第1ロールと、
前記インクリボンの第2ロールと、
をさらに備え、
前記第1ロール、前記出力
ギア、及び前記第2ロールは、前記第1方向において、前記第1ロール、前記出力
ギア、及び前記第2ロールの順に並んで配置される、請求項
1から請求項
14のいずれか1項に記載
のカセット。
【請求項16】
前記ケースは、
前記第1ロールを収納する第1ケース部と、
前記第2ロールを収納する第2ケース部と、
前記第1ロールを構成する前記被印刷テープを前記第1ケース部から前記第2ケース部に送る通路と、
を有する、請求項
15に記載
のカセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置及び印刷用カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
テープに印刷等の処理を行う装置では、テープを収納したカセットを本体に着脱することで、テープの交換及び供給が行われる。このような装置に用いられるカセットとして、テープが巻回されたリールにギアを設けたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のカセットで、上記ギアを用いてカセットから駆動力を出力する場合、出力部(つまりギア)と入力部(つまりリールの穴)とが共にリールに形成されているため、カセットへの入力位置とカセット外部への出力位置との配置に制限が生じる。
【0005】
本開示の一局面は、カセットへの駆動力入力位置とカセット外部への駆動力出力位置との配置の自由度を高められる印刷装置及び印刷用カセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、被印刷テープを有する印刷用カセットと、被印刷テープを搬送するプラテンローラと、駆動源と、を備える印刷装置である。
【0007】
印刷用カセットは、駆動源からの駆動力が入力される入力部と、第1方向と平行な回転軸心周りに回転すると共に、プラテンローラに駆動力を伝達する出力部と、入力部と出力部とに駆動連結され、入力部に入力された駆動力を出力部に伝達する伝達機構と、被印刷テープの少なくとも一部、入力部の少なくとも一部、出力部の少なくとも一部、及び伝達機構の少なくとも一部が内部に配置されたケースと、を有する。
【0008】
出力部の一部は、ケースの外に位置する。出力部及びケースを第1方向と垂直な仮想面に投影した投影図において、出力部は、ケースの外縁よりも内側に位置する。
【0009】
本開示の別の態様は、被印刷テープと、駆動力が入力される入力部と、第1方向と平行な回転軸心周りに回転すると共に、被印刷テープを搬送するための駆動力を外部に出力するための出力部と、入力部と出力部とに駆動連結され、入力部に入力された駆動力を出力部に伝達する伝達機構と、被印刷テープの少なくとも一部、入力部の少なくとも一部、出力部の少なくとも一部、及び伝達機構の少なくとも一部が内部に配置されたケースと、を備える印刷用カセットである。
【0010】
出力部の一部は、ケースの外に位置する。出力部及びケースを第1方向と垂直な仮想面に投影した投影図において、出力部は、ケースの外縁よりも内側に位置する。
【0011】
これらのような構成によれば、伝達機構によって入力部から出力部へと駆動力が伝達できるため、入力部と出力部とを任意の位置に配置することができる。その結果、印刷用カセットへの駆動力の入力位置と印刷用カセット外部への駆動力の出力位置との配置の自由
度を高められる。また、上記投影図において出力部がケースの外縁よりも内側に位置するので、出力部の保護も図られる。
【0012】
本開示のさらに別の態様は、被印刷テープと、駆動力が入力される入力部と、第1方向と平行な回転軸心周りに回転すると共に、被印刷テープを搬送するための駆動力を外部に出力するための出力部と、入力部と出力部とに駆動連結され、入力部に入力された駆動力を出力部に伝達する伝達機構と、被印刷テープの少なくとも一部、入力部の少なくとも一部、出力部の少なくとも一部、及び伝達機構の少なくとも一部が内部に配置されたケースと、を備える印刷用カセットである。
【0013】
出力部の一部は、ケースの外に位置する。出力部の全体は、第1方向において、ケースと重なる。
【0014】
このような構成によれば、伝達機構によって入力部から出力部へと駆動力が伝達できるため、入力部と出力部とを任意の位置に配置することができる。また、出力部の全体が第1方向においてケースと重なるので、出力部の保護も図られる。
【0015】
本開示のさらに別の態様は、被印刷テープと、駆動力が入力される入力部と、第1方向と平行な回転軸心周りに回転すると共に、被印刷テープを搬送するための駆動力を外部に出力するための出力部と、入力部と出力部とに駆動連結され、入力部に入力された駆動力を出力部に伝達する伝達機構と、被印刷テープの少なくとも一部、入力部の少なくとも一部、出力部の少なくとも一部、及び伝達機構の少なくとも一部が内部に配置されたケースと、を備える印刷用カセットである。
【0016】
ケースは、ケースの第1方向と直交する第2方向における端面をそれぞれ構成する第1面と及び第2面と、ケースの第1方向及び第2方向の双方と直交する第3方向における端面をそれぞれ構成する第3面と及び第4面と、を有する。出力部は、第1面と第2面との間、かつ、第3面と第4面との間に位置する。
【0017】
このような構成によれば、伝達機構によって入力部から出力部へと駆動力が伝達できるため、入力部と出力部とを任意の位置に配置することができる。また、出力部が第1面と第2面との間、かつ、第3面と第4面との間に位置するので、出力部の保護も図られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1A、
図1B及び
図1Cは、実施形態における印刷装置において印刷用カセットを印刷装置本体から取り外した状態を示す模式的な斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2Aの印刷用カセットの第1蓋部を取り外した状態を示す模式的な斜視図である。
【
図6】
図6は、
図2Aの印刷用カセットにおけるヘッド開口近傍の模式的な拡大平面図である。
【
図7】
図7は、
図1Aの印刷装置における出力ギアとプラテンギアとの係合状態を示す模式図である。
【
図8】
図8Aは、
図2CのVIIIA-VIIIA線での模式的な断面図であり、
図8Bは、
図2CのVIIIB-VIIIB線での模式的な断面図であり、
図8Cは、
図2CのVIIIC-VIIIC線での模式的な断面図であり、
図8Dは、
図2CのVIIID-VIIID線での模式的な断面図である。
【
図9】
図9は、
図1Aの印刷装置における印刷装置本体の模式的な平面図である。
【
図10】
図10A及び
図10Bは、
図1Aとは異なる実施形態における印刷装置において印刷用カセットを印刷装置本体から取り外した状態を示す模式的な斜視図である。
【
図13】
図13は、
図10Aの印刷装置における出力ギアとプラテンギアとの係合状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1A,1B,1Cに示す印刷装置1は、印刷用カセット10と、印刷装置本体100とを備える。印刷装置1は、テープ状の印刷媒体に印刷を行う装置である。
【0020】
本実施形態では、出力ギア18の軸方向を上下方向とし、上下方向と垂直な方向のうち出力ギア18と入力スプール16とが並ぶ方向を前後方向とし、上下方向と前後方向との双方に垂直な方向を左右方向とする。
【0021】
<印刷用カセット>
印刷用カセット10は、印刷媒体を格納している。印刷用カセット10は、印刷装置本体100に着脱可能である。印刷用カセット10の交換により、印刷媒体の補給、及び印刷媒体の種類(例えば、色、材質等)の変更ができる。
【0022】
印刷用カセット10は、
図2A,2B,2Cに示すように、後述する被印刷テープ、インクリボン等を格納するケース35を備える。印刷用カセット10の外形(つまり、ケース35の形状)は、上下方向に平行な辺と、前後方向に平行な辺と、左右方向に平行な辺とを有する直方体状である。ケース35は、第1蓋部31と、第1枠部32と、第2枠部33と、第2蓋部34とを有する。
【0023】
印刷用カセット10は、
図3に示すように、第1ロール11と、第1供給スプール12と、スペーサフィルム13A,13Bと、第2ロール14と、第2供給スプール15と、入力スプール16と、クラッチバネホルダ17と、出力ギア18と、入力ギア19と、アイドルギア20とを備える。
【0024】
(第1ロール)
第1ロール11は、印刷が行われる被印刷テープを第1供給スプール12に巻回したものである。被印刷テープの表面には、後述する印刷装置本体100の印刷ヘッド102及びインクリボンによって印刷が行われる。
【0025】
第1ロール11の上下方向の外側には、第1ロール11を挟むように2つのスペーサフ
ィルム13A,13Bが配置されている。スペーサフィルム13A,13Bは、第1ロール11と第1蓋部31との間と、第1ロール11と第1枠部32との間とに配置されている。
【0026】
(第1供給スプール)
第1供給スプール12は、回転軸心周りに回転可能である。第1供給スプール12は、後述する印刷装置本体100のプラテンローラ103による被印刷テープの搬送に伴って回転することで、被印刷テープを印刷ヘッド102に供給する。
【0027】
(第2ロール)
第2ロール14は、被印刷テープの印刷に用いられるインクリボンを第2供給スプール15に巻回したものである。
【0028】
インクリボンは、後述するヘッド開口33Bにおいて、被印刷テープと重ね合わされ、印刷ヘッド102による印刷に供される。印刷に使用されたインクリボンは、後述する入力スプール16に巻き取られる。また、第2ロール14には、クラッチバネホルダ17に保持されたクラッチバネによって回転抵抗が付される。
【0029】
(第2供給スプール)
第2供給スプール15は、回転軸心周りに回転可能である。第2供給スプール15の回転軸心は、第1供給スプール12の回転軸心、つまり上下方向と平行である。
【0030】
第2供給スプール15は、インクリボンの入力スプール16による巻き取りに伴って回転することで、インクリボンを印刷ヘッド102に供給する。また、第2供給スプール15の少なくとも一部は、上下方向において、第1ロール11と重なる位置に配置されている。
【0031】
(入力スプール)
入力スプール16は、回転軸心周りに回転可能である。入力スプール16の回転軸心は、第2供給スプール15の回転軸心と平行である。
【0032】
入力スプール16は、円筒状であり、内周面16Aで規定される中空部を有する。入力スプール16の内周面16Aにはスプライン歯16Bが設けられている。スプライン歯16Bには、後述する印刷装置本体100の駆動シャフト105が連結される。入力スプール16は、駆動シャフト105によって回転され、インクリボンを巻き取る。
【0033】
(出力ギア)
出力ギア18は、被印刷テープを搬送するための駆動力を外部に出力するためのギアである。出力ギア18は、後述する印刷装置本体100のプラテンギア104を介してプラテンローラ103に駆動力を伝達する出力部である。
【0034】
出力ギア18は、回転軸心周りに回転する円盤と、円盤の上下方向と平行な面に設けられた歯とを有する。円盤の上下方向と垂直な一方の面(つまり上面)は、上下方向においてケース35の後述するカバー部32Bと対向している。円盤の上下方向と垂直な他方の面(つまり下面)の一部は、上下方向においてケース35と対向していない。
【0035】
出力ギア18は、ヘッド開口33Bに一部が露出しており、一部がケース35の外に位置している。出力ギア18は、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、ヘッド開口33Bにおいてプラテンギア104に係合する。
【0036】
図4に示すように、第1ロール11、出力ギア18、及び第2ロール14(つまり第2供給スプール15)は、上下方向において、第1ロール11、出力ギア18、及び第2ロール14の順に並んで配置されている。つまり、出力ギア18は、上下方向において、第1ロール11と第2ロール14との間に位置する。
【0037】
(入力ギア)
図3に示すように、入力ギア19は、後述するアイドルギア20を介して出力ギア18と間接的に係合し、駆動力を出力ギア18に伝達するためのギアである。入力ギア19には、印刷装置本体100の駆動源からの駆動力が入力される。
【0038】
入力ギア19は、ギア19Aと、ギア19Aの下面に固定されると共に、内周面にスプライン歯を有する円筒状のスプール19Bとを有する。ギア19Aは、スプール19Bに入力された駆動力によってスプール19Bと一体回転する。
【0039】
入力ギア19の回転軸心(つまり、ギア19Aの回転軸心及びスプール19Bの回転軸心)は、入力スプール16の回転軸心と同一線上に配置されている。
図4に示すように、入力スプール16、入力ギア19、及び第1ロール11は、上下方向において、入力スプール16、入力ギア19、及び第1ロール11の順に並んで配置されている。
【0040】
つまり、入力ギア19は、上下方向において、入力スプール16と第1ロール11との間に位置する。また、入力ギア19の少なくとも一部は、上下方向において、第1ロール11と重なる位置に配置されている。
【0041】
入力ギア19の回転軸心は、入力スプール16の中空部を通る。つまり、駆動シャフト105が入力スプール16と入力ギア19とに同時に挿通される。その結果、入力ギア19は、入力スプール16と直接連結はされていないが、入力スプール16と共通の駆動源(つまり駆動シャフト105)によって回転される。
【0042】
(アイドルギア)
アイドルギア20は、入力ギア19と出力ギア18とに駆動連結され(つまり係合し)、入力ギア19に入力された駆動力を出力ギア18に伝達するための伝達機構を構成している。
【0043】
アイドルギア20は、入力ギア19に係合した第1ギア20Aと、出力ギア18に係合した第2ギア20Bとが同軸上に並んで配置された段ギアである。第2ギア20Bは、第1ギア20Aよりも径が小さい。また、第2ギア20Bは、上下方向において、第1ギア20Aよりも第1ロール11に近い位置(つまり上方)に配置されている。アイドルギア20は、入力ギア19に入力された駆動力を減速させる減速機構を構成している。
【0044】
(ケース)
図3に示すように、第1蓋部31は、印刷用カセット10の上端部を構成している。第1枠部32は、第1蓋部31の下側に配置され、第1蓋部31と上下方向に連結されている。第2枠部33は、第1枠部32の下側に配置され、第1枠部32と上下方向に連結されている。第2蓋部34は、印刷用カセット10の下端部を構成している。第2蓋部34は、第2枠部33と上下方向に連結されている。
【0045】
第1蓋部31と第1枠部32とは、第1ロール11を収納する第1ケース部41(
図4参照)を構成している。つまり、第1ロール11は、第1蓋部31と第1枠部32とで囲まれた空間に配置されている。
【0046】
第2蓋部34と第2枠部33とは、第2ロール14、第2供給スプール15、及び入力スプール16を収納する第2ケース部42(
図4参照)を構成している。つまり、第2ロール14、第2供給スプール15、及び入力スプール16は、第2蓋部34と第2枠部33とで囲まれた空間に配置されている。
【0047】
第1枠部32と第2枠部33とは、出力ギア18の一部、入力ギア19、及びアイドルギア20が内部に配置された第3ケース部43(
図4参照)を構成している。つまり、出力ギア18の一部、入力ギア19、及びアイドルギア20は、第1枠部32と第2枠部33とで囲まれた空間に配置されている。第3ケース部43は、上下方向において、第1ケース部41と第2ケース部42との間に配置されている。
【0048】
第1枠部32は、第1側壁32Aと、カバー部32Bと、第1ガイド32Cと、第1ギア支持部32Dと、第2ギア支持部32Eと、第3ギア支持部32Fとを有する。第1側壁32Aは、印刷用カセット10の上下方向と平行な側面を構成する。カバー部32Bは、上下方向と垂直な表面を有する部位である。
【0049】
カバー部32Bは、上下方向において出力ギア18と重なる位置に配置されている。本実施形態では、カバー部32Bは、第1側壁32Aの下端部と連続して設けられ、第1枠部32の右前方の角部に配置されている。
【0050】
出力ギア18、カバー部32B、及び第1ロール11は、上下方向において、出力ギア18、カバー部32B、及び第1ロール11の順に並んで配置されている。また、上述のように、出力ギア18の上面の全領域は、カバー部32Bによって覆われている。
【0051】
第1ガイド32Cは、
図5に示すように、第1ロール11から引き出された被印刷テープ11Aが巻き掛けられる部位である。第1ガイド32Cは、第1ロール11の周方向に沿って離間して配置された複数の板状のリブを有する。複数のリブは、第1ロール11の径方向に突出しており、下方に向かうほど突出量(つまり板幅)が大きくなっている。
【0052】
図3に示される第1ギア支持部32Dは、出力ギア18を回転可能に支持する。第2ギア支持部32Eは、入力ギア19を回転可能に支持する。第3ギア支持部32Fは、アイドルギア20を回転可能に支持する。
【0053】
第2枠部33は、第2側壁33Aと、ヘッド開口33Bと、排出口33Cと、第2ガイド33Dと、突出部33Eと、搬送路33Gとを有する。第2側壁33Aは、印刷用カセット10の上下方向と平行な側面を構成する。
【0054】
ヘッド開口33Bは、第2側壁33Aの一部を切り欠いた部位である。ヘッド開口33Bは、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、印刷ヘッド102が下方から挿入されることで、内部に印刷ヘッド102が配置される空間である。ヘッド開口33Bは、印刷用カセット10の下方に開口している。
【0055】
第2ガイド33Dは、第1ガイド32Cを通過した被印刷テープ11Aが巻き掛けられる部位である。第2ガイド33Dは、第1ガイド32Cと同様に、第2ロール14の周方向に沿って離間して配置された複数の板状のリブを有する。複数のリブは、第2ロール14の径方向に突出しており、下方に向かうほど突出量(つまり板幅)が小さくなる。
【0056】
突出部33Eは、上下方向において出力ギア18と重なる位置に配置されると共に、上下方向と平行な端面33Fを有する。突出部33Eは、出力ギア18の下側(つまり、出力ギア18を挟んでカバー部32Bとは反対側)に配置されている。
【0057】
搬送路33Gは、ヘッド開口33Bよりも被印刷テープの搬送方向の上流において被印刷テープとインクリボンとが平行に搬送される部位である。本実施形態では、搬送路33Gにおける被印刷テープの搬送方向は、左から右に向かう方向であり、搬送路33G内において、被印刷テープの被印刷面とは逆の面が当接する複数の支持点を結んだ直線と平行である。
【0058】
入力ギア19の一部は、搬送路33Gにおける被印刷テープ11Aの搬送方向(つまり左右方向)と上下方向との双方とに垂直な方向(つまり前後方向)において、出力ギア18と重なっている。
【0059】
図6に示すように、ヘッド開口33Bにおいて、被印刷テープ11A及びインクリボン14Aが左右方向に架け渡される。印刷後の被印刷テープ11Aは、排出口33Cから印刷装置1の外部に排出される。
【0060】
出力ギア18及びケース35を上下方向と垂直な仮想面に投影した投影図において、出力ギア18は、ケース35の外縁よりも内側に位置している。また、出力ギア18の全体は、上下方向において、ケース35と重なっている。
【0061】
出力ギア18の一部は、上下方向においてヘッド開口33Bと重なっている。特に、出力ギア18の回転軸心O1は、ヘッド開口33Bを通っている。また、突出部33Eの端面33Fは、出力ギア18の歯底円と、出力ギア18の回転軸心O1との間に位置している。
【0062】
出力ギア18のうち、ケース35の外に位置している部分(つまり、突出部33Eと上下方向に重なっていない部分)の歯底円の周長Lは、出力ギア18の歯底円の周長の1/8以上1/3以下である。
【0063】
ケース35は、被印刷テープ11Aを支持する第1上流支持部331及び第1下流支持部332と、インクリボン14Aを支持する第2上流支持部333及び第2下流支持部334とをさらに有する。
【0064】
第1上流支持部331は、ヘッド開口33Bよりも被印刷テープ11Aの搬送方向の上流においてヘッド開口33Bに隣接して設けられている。第1下流支持部332は、ヘッド開口33Bよりも被印刷テープ11Aの搬送方向の下流においてヘッド開口33Bに隣接して設けられている。第1下流支持部332は、第1上流支持部331よりも右後方に位置する。
【0065】
第2上流支持部333は、ヘッド開口33Bよりもインクリボン14Aの搬送方向の上流においてヘッド開口33Bに隣接して設けられている。第2下流支持部334は、ヘッド開口33Bよりもインクリボン14Aの搬送方向の下流においてヘッド開口33Bに隣接して設けられている。第2下流支持部334は、第2上流支持部333よりも右後方に位置する。
【0066】
第2上流支持部333と第2下流支持部334とを結ぶ仮想直線S2は、上下方向において、出力ギア18と重なっている。一方、第1上流支持部331と第1下流支持部332とを結ぶ仮想直線S1は、上下方向において、出力ギア18と重なっていない。そのため、ヘッド開口33Bにおいて被印刷テープ11Aとインクリボン14Aとは前後方向に離間して搬送される。また、出力ギア18は、上下方向において、第2上流支持部333と重なっている。
【0067】
図7に示すように、出力ギア18の一部は、上下方向において、第1上流支持部331と第1下流支持部332と入力ギア19の回転軸心O2とを結ぶ仮想三角形S3と重なっている。特に、本実施形態では、出力ギア18の回転軸心O1が仮想三角形S3を通っている。
【0068】
図8A,8B,8C,8Dに示すように、第1ガイド32C及び第2ガイド33Dは、第1ロール11を構成する被印刷テープ11Aを第1ケース部41から第2ケース部42に送る通路を構成している。
【0069】
具体的には、
図8Aに示すように、第1ロール11から引き出された被印刷テープ11Aは、螺旋を描くように第1ガイド32Cに第1ロール11の径方向外側から当接しながら第1ケース部41内で下後方に向かって搬送される。被印刷テープ11Aは、さらに
図8Bに示すように、第3ケース部43を上下方向に跨ぎつつ、左下方に向かって搬送される。
【0070】
第2ケース部42に到達した被印刷テープ11Aは、
図8Cに示すように、第2ガイド33Dに径方向外側から当接しながら下前方に向かって搬送される。印刷用カセット10の下端部に到達した被印刷テープ11Aは、
図8Dに示すように、ヘッド開口33Bを通過して排出口33Cから排出される。
【0071】
また、出力ギア18は、
図8Aに示すように、ケース35の第1面35Aと第2面35Bとの間に位置している。さらに、出力ギア18は、
図8Dに示すように、ケース35の第3面35Cと第4面35Dとの間に位置している。
【0072】
第1面35A及び第2面35Bは、ケース35の前後方向における端面をそれぞれ構成している。具体的には、第1面35Aは、最前面であり、第2面35Bは、最後面である。また、第3面35C及び第4面35Dは、ケース35の左右方向における端面をそれぞれ構成している。具体的には、第3面35Cは、最左面であり、第4面35Dは、最右面である。
【0073】
<印刷装置本体>
印刷装置本体100は、
図1Bに示すように、カセット挿入部101と、印刷ヘッド102と、プラテンローラ103と、プラテンギア104と、駆動シャフト105とを備える。
【0074】
(カセット挿入部)
カセット挿入部101は、印刷用カセット10が装着される凹部である。カセット挿入部101は、印刷用カセット10の位置決め機能を有する。
【0075】
(印刷ヘッド)
印刷ヘッド102は、印刷用カセット10が保持する被印刷テープに印刷するための装置である。
【0076】
印刷ヘッド102は、カセット挿入部101の内部に配置されている。印刷ヘッド102は、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、ヘッド開口33Bにおいて、被印刷テープ及びインクリボンと前後方向に重なる位置に配置される。
【0077】
印刷ヘッド102は、個別に発熱が制御される複数の発熱素子を有する。後述するプラテンローラ103によってヘッド開口33Bに搬送された被印刷テープは、インクリボン
を介して発熱素子が発熱した印刷ヘッド102に押し付けられる。これにより、インクリボンの表面に配置されたインクの一部が被印刷テープに転写され、被印刷テープに文字、記号等が印刷される。
【0078】
(プラテンローラ)
プラテンローラ103は、被印刷テープを印刷用カセット10内から外部に向けて搬送するためのローラである。プラテンローラ103の回転軸心は、上下方向と平行である。
【0079】
プラテンローラ103は、カセット挿入部101の内部において、印刷ヘッド102の近傍に配置されている。プラテンローラ103は、ヘッド開口33Bにおいて被印刷テープに当接し、被印刷テープを印刷ヘッド102に押し当てる。
【0080】
(プラテンギア)
プラテンギア104は、プラテンローラ103に連結され、出力ギア18と係合するギアである。本実施形態では、プラテンギア104の回転軸心は、プラテンローラ103の回転軸心と同一線上に配置されている。
【0081】
プラテンローラ103及びプラテンギア104は、
図9に示す印刷用カセット10と離間した位置と、
図7に示すプラテンギア104が出力ギア18に係合した位置との間で揺動可能である。
【0082】
(駆動シャフト)
駆動シャフト105は、入力スプール16に挿入されると共に入力ギア19に係合し、入力スプール16と入力ギア19とを回転させるためのシャフトである。
【0083】
駆動シャフト105は、カセット挿入部101の内部に配置されている。駆動シャフト105の回転軸心は、上下方向と平行である。駆動シャフト105は、図示しない駆動源(例えばモータ)によって回転軸心を中心に回転する。
【0084】
図7に示すように、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、駆動シャフト105が入力ギア19に係合すると共にプラテンギア104が出力ギア18に係合する。具体的には、駆動シャフト105を印刷用カセット10の入力スプール16及び入力ギア19に挿入し、プラテンローラ103及びプラテンギア104を印刷用カセット10のヘッド開口33Bに向けて揺動させることで、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着される。
【0085】
印刷用カセット10が装着された状態で駆動シャフト105により入力ギア19が回転されることで出力ギア18が回転され、出力ギア18の回転によりプラテンギア104が回転し、プラテンギア104の回転によりプラテンローラ103が回転する。
【0086】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)アイドルギア20によって入力ギア19から出力ギア18へと駆動力が伝達できるため、入力ギア19と出力ギア18とを任意の位置に配置することができる。その結果、印刷用カセット10への駆動力の入力位置と印刷用カセット10外部への駆動力の出力位置との配置の自由度を高められる。また、上下方向の投影図において出力ギア18がケース35の外縁よりも内側に位置するので、出力ギア18の保護も図られる。
【0087】
(1b)第1ロール11、出力ギア18、及び第2ロール14が上下方向において第1ロール11、出力ギア18、及び第2ロール14の順に並んで配置されることで、印刷用
カセット10が落下し、上下方向と垂直な面が床面等に衝突した際の出力ギア18の損傷が抑制される。
【0088】
(1c)出力ギア18のうち、ケース35の外に位置している部分の歯底円の周長が出力ギア18の歯底円の周長の1/8以上1/3以下であること、及び/又は突出部33Eの端面33Fが出力ギア18の歯底円と出力ギア18の回転軸心との間に位置することにより、プラテンギア104との係合を確実にしつつ、出力ギア18の保護を図ることができる。
【0089】
(1d)第2上流支持部333と第2下流支持部334とを結ぶ仮想直線S2が上下方向において出力ギア18と重なることで、印刷用カセット10の装着時にプラテンローラ103とインクリボンとの干渉を避けることができる。
【0090】
(1e)ヘッド開口33Bにおいて被印刷テープとインクリボンとの間に隙間ができるため、被印刷テープ及びインクリボンのどちらか一方が蛇行したときに、他方の搬送に対する影響を抑えることができる。
【0091】
(1f)入力ギア19の一部が前後方向において出力ギア18と重なること、及び/又は出力部の一部が仮想三角形S3と重なることで、左右方向において入力ギア19と出力ギア18とが占める領域を小さくすることができる。その結果、印刷用カセット10の左右方向のサイズを小さくできる。
【0092】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
図10A,10Bに示す印刷装置1Aは、印刷用カセット10Aと、印刷装置本体100Aとを備える。
【0093】
<印刷用カセット>
印刷用カセット10Aは、第1実施形態の印刷用カセット10に、
図11に示す第3ロール21と、追加スプール22と、追加ギア23と、ピンチローラ24とを追加すると共に、第1実施形態の入力スプール16、第1蓋部31、第1枠部32、第2枠部33及び第2蓋部34を、入力スプール25、第1蓋部36、第1枠部37、第2枠部38及び第2蓋部39に置き換えたものである。
【0094】
入力スプール25は、スプライン歯16Bを有しない点を除いて、入力スプール16と同じものである。第1蓋部36、第1枠部37、第2枠部38及び第2蓋部39は、それぞれ、第1蓋部31、第1枠部32、第2枠部33及び第2蓋部34を左右方向に延伸させたものである。印刷用カセット10Aのその他の構成は、以下に説明する点を除き、第1実施形態の印刷用カセット10と同じであるため、説明を省略する。
【0095】
第3ロール21は、被印刷テープの保護に用いられるラミネートテープを入力スプール25に巻回したものである。ラミネートテープは、印刷ヘッド102によって印刷が行われた被印刷テープに貼り合わされる接着面を有する。
【0096】
追加スプール22は、回転軸心周りに回転可能である。追加スプール22の回転軸心は、第2供給スプール15の回転軸心(つまり上下方向)と平行である。追加スプール22は、後述する追加ギア23の回転によりインクリボンを巻き取る巻取りスプールである。
【0097】
追加ギア23は、追加スプール22に連結されると共に、アイドルギア20に係合している。追加ギア23は、入力ギア19に入力された駆動力によって回転し、追加スプール
22を回転させる。
【0098】
ピンチローラ24は、後述する押圧ローラ106と共に、ラミネートテープを印刷後の被印刷テープに押し付ける。ピンチローラ24は、ヘッド開口33Bよりも被印刷テープの搬送方向の下流に配置されている。
【0099】
<印刷装置本体>
印刷装置本体100Aは、第1実施形態の印刷装置本体100に、
図12に示される押圧ローラ106を追加したものである。印刷装置本体100Aのその他の構成は、以下に説明する点を除き、第1実施形態の印刷装置本体100と同じであるため、説明を省略する。
【0100】
押圧ローラ106は、プラテンローラ103及びプラテンギア104と共に揺動可能に構成されている。つまり、押圧ローラ106は、
図12に示す印刷用カセット10Aと離間した位置と、
図13に示すピンチローラ24と共に被印刷テープ及びラミネートテープを押圧する位置との間で揺動可能である。
【0101】
[2-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)第1実施形態と同様の利点を有したまま、ラミネートテープによって被印刷テープの印刷内容を保護することができる。
【0102】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0103】
(3a)上記実施形態の印刷装置は、インクリボンを用いて印刷するものに限定されない。印刷装置は、被印刷テープとして帯状の感熱紙を用いて印刷を行ってもよい。例えば、印刷装置は、インクリボンに代えてラミネートテープ(つまり保護テープ)を用いてもよい。また、印刷用カセットは、必ずしも第2ロールと第2供給スプールとを有しなくてもよい。
【0104】
例えば、
図14に示す印刷用カセット10Bは、第1実施形態の印刷用カセット10において、第1ロール11を感熱紙の第1ロール51に置き換えると共に、第2ロール14をラミネートテープの第2ロール52に置き換えたものである。印刷用カセット10Bでは、第2ロール52は、第2実施形態の入力スプール25に巻回されている。また、印刷用カセット10Bは、第2実施形態のピンチローラ24を備える一方で、第2供給スプール15は備えない。
【0105】
(3b)上記実施形態の印刷用カセットは、2つ以上のアイドルギアを有してもよい。また、入力ギアと出力ギアとに係合する伝達機構は、必ずしも減速機構を含まなくてもよい。つまり、アイドルギアは必ずしも段ギアでなくてもよい。さらに、印刷用カセットは、ギア以外の伝達機構を有してもよい。
【0106】
(3c)上記実施形態の印刷用カセットにおいて、プラテンローラに駆動力を伝達する出力部は、ギアに限定されない。例えば、出力部として、ローラ又はスプールが用いられてもよい。また、駆動源からの駆動力が入力される入力部も、ギアに限定されない。例えば、入力部として、ローラ又はスプールが用いられてもよい。
【0107】
(3d)第2実施形態の印刷用カセットは、ラミネートテープが巻回された第3供給ス
プールとして追加スプールが使用されると共に、入力スプールがインクリボンの巻取スプールとして使用されてもよい。
【0108】
例えば、
図15に示す印刷用カセット10Cは、第2実施形態の印刷用カセット10Aにおいて、追加スプール22にラミネートテープの第3ロール21を巻回したものである。印刷用カセット10Cは、第2実施形態の入力スプール25に代えて、第1実施形態の入力スプール16を備える。入力スプール16は、インクリボンの巻取りスプールとして使用される。
【0109】
(3e)上記実施形態の印刷用カセットにおいて、出力部が上述した投影図においてケースの外縁よりも外側に位置してもよい。また、主力部の全体が上下方向においてケースと重ならなくてもよい。
【0110】
例えば、
図16A,16B,16C,16Dに示す印刷用カセット10Dは、出力ギア18の一部が上下方向においてケース40と重ならない。つまり、ケース40は、出力ギア18の一部がケース40と上下方向に重ならない切欠きを有する。ただし、印刷用カセット10Dでは、出力ギア18は、ケース40の最前面40Aと最高面40Bとの間、かつ、最左面40Cと第右面40Dとの間に位置している。
【0111】
(3f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0112】
1,1A…印刷装置、10,10A,10B,10C…印刷用カセット、
11…第1ロール、11A…被印刷テープ、12…第1供給スプール、
14…第2ロール、14A…インクリボン、15…第2供給スプール、
16…入力スプール、18…出力ギア、19…入力ギア、20…アイドルギア、
21…第3ロール、22…追加スプール、23…追加ギア、24…ピンチローラ、
31…第1蓋部、32…第1枠部、32B…カバー部、33…第2枠部、
33B…ヘッド開口、33C…排出口、34…第2蓋部、35…ケース、
41…第1ケース部、42…第2ケース部、43…第3ケース部、
100,100A…印刷装置本体、101…カセット挿入部、102…印刷ヘッド、
103…プラテンローラ、104…プラテンギア、105…駆動シャフト。