(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電子線硬化型組成物、および積層体
(51)【国際特許分類】
C09D 11/101 20140101AFI20240730BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240730BHJP
B32B 27/16 20060101ALI20240730BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240730BHJP
C08F 283/00 20060101ALI20240730BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C09D11/101
B05D7/24 301T
B05D7/24 302P
B32B27/16 101
B32B27/30 A
C08F283/00
C08F290/06
(21)【出願番号】P 2023181155
(22)【出願日】2023-10-20
(62)【分割の表示】P 2023111823の分割
【原出願日】2023-07-07
【審査請求日】2023-11-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井田 康貴
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和哉
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-178020(JP,A)
【文献】特開2019-108426(JP,A)
【文献】国際公開第2022/180887(WO,A1)
【文献】特開2023-028276(JP,A)
【文献】特開2019-178260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/101
B05D 7/24
B32B 27/16
B32B 27/30
C08F 283/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、電子線硬化型組成物の硬化物を有することを特徴とする、積層体の製造方法であって、
前記電子線硬化型組成物が、重量平均分子量5000~50000の樹脂(A)と、重量平均分子量が700以上~3000であり、かつ、(メタ)アクリロイル基1つあたりの重量平均分子量が100~300である(メタ)アクリレート化合物(B)と、顔料(C)とを含
み、
前記樹脂(A)が、ロジン変性樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、および、ジアリルフタレート樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含み、
前記(メタ)アクリレート化合物(B)が、アミン変性(メタ)アクリレート、および、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上を含み、
下記マイグレーション耐性試験において、最もマイグレーション量の多い(メタ)アクリレート化合物の濃度が50ppb未満であり、
基材上に、前記電子線硬化型組成物を塗布し、加速電圧40~120kVかつ照射線量10~60kGyの条件で電子線を照射することを特徴とする積層体の製造方法。
<マイグレーション耐性試験>
OPPフィルムに、インキをフィルムに対して2~3g/m
2
の塗布量となるように印刷し、電子線照射機を使用し、加速電圧110kV、電子線量30kGyにて硬化させた後、印刷面と非印刷面が接触するように重ね合わせ、1kg/dm
2
の荷重付加にて25℃、50%環境条件下にて10日間保持する。
その後、非印刷面の面積0.5dm
2
に対して、50mlの95%エタノールで、60℃にて10日間かけて残留モノマー(未反応の(メタ)アクリレート成分)を抽出する。
次に、四重極-飛行時間型質量分析計、及び液体クロマトグラフを用いて、上記抽出物の分析を行ない、エタノール中に存在する(メタ)アクリレート化合物の各々の濃度を求める。
【請求項2】
樹脂(A)の組成物全量中の含有量(質量%)に対する、(メタ)アクリレート化合物(B)の組成物全量中の含有量(質量%)の比が、0.5~8.0であることを特徴とする、請求項1に記載の
積層体の製造方法。
【請求項3】
樹脂(A)と、(メタ)アクリレート化合物(B)と、顔料(C)との合計含有量が、組成物全量に対し、60~90質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の
積層体の製造方法。
【請求項4】
前記電子線硬化型組成物が、光重合開始剤を実質的に含まないことを特徴とする、請求項1に記載の
積層体の製造方法。
【請求項5】
前記電子線硬化型組成物が、有機溶剤を実質的に含まないことを特徴とする、請求項1に記載の
積層体の製造方法。
【請求項6】
前記電子線硬化型組成物が、ポリテトラフルオロエチレンワックスを実質的に含まないことを特徴とする、請求項1に記載の
積層体の製造方法。
【請求項7】
基材が、フィルム又は紙であることを特徴とする、請求項
1に記載の積層体
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子線硬化型組成物、および積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷産業分野において、瞬間乾燥による工程時間の短縮、揮発性成分非含有(Non-VOC)による環境負荷低減や作業安全性の向上、及び架橋反応による強固な塗膜物性の実現が可能となる観点から、活性エネルギー線による硬化技術の利用が拡大している。
【0003】
チラシ・ポスター等の紙基材をベースとする商業用印刷分野から始まった活性エネルギー線硬化技術の活用は、印刷機や印刷インキを含めた印刷技術の発展により様々な分野へと展開してきており、各種フィルム基材へと適用分野を拡大させつつあり、食品、化粧品、玩具の包装他、パッケージ製品向けの包装材料としての使用が拡大しつつある。
【0004】
特に包装材料が食品用途の場合においては、健康への安全性を確保する観点から、マイグレーションを抑制できる活性エネルギー線硬化型組成物の使用が不可欠である。食品用包装材料におけるマイグレーションについては、食品包装の安全性を確保するために設けられた様々な規制が知られている。なかでも、スイス連邦の条例(Swiss Ordinance RS817.023.21 Annex10)では、食品非接触のインキ及びニスを含む包装材料のポジティブリスト(使用可能な原材料の規制)が設けられ、さらに各原材料について許容されるマイグレーション量(SML)について規制している。スイス連邦の条例における規制水準は非常に厳しいが、その規制水準は、消費者の安全志向の高まりから、近年食品用包材料の世界基準として重要な指標となっている。
【0005】
これに対し、従来の活性エネルギー線硬化型組成物を食品用包装材料の用途で使用した場合、上記SMLの規制水準を満たすことが困難である傾向がある。活性エネルギー線硬化型組成物は、反応形態の観点から紫外線硬化型組成物と電子線硬化型組成物とに大別される。なかでも、紫外線硬化型組成物では光開始剤が必要となるため、低分子量の光重合開始剤が起因してマイグレーションの問題が生じ易い。一方、電子線硬化型組成物では、高エネルギーの電子線を利用するため光開始剤を必要としないため、マイグレーションの問題を改善する観点から、食品用包装材料等の用途向けとしては電子線硬化型組成物を好ましく利用できると考えられる。
【0006】
しかしながら、代表的な電子線硬化型組成物は、紫外線硬化型組成物と同様に、バインダーの主成分として(メタ)アクリレートモノマーを含み、低分子量の(メタ)アクリレートモノマーによるマイグレーションの問題を生じやすい。そのため、電子線硬化型組成物をインキとして使用する場合であっても、マイグレーションの改善に向けたさらなる検討が求められる。
【0007】
また、近年の消費者ニーズの多様化・高度化に対応すべく、パッケージ包装材料を構成する積層体は多様化・複雑化しており、複数の基材構成に対して密着性が良好であり、また、強固な皮膜を得られる活性エネルギー線硬化型組成物が望まれている。
【0008】
しかしながら、活性エネルギー線硬化型組成物の開発において、各種フィルム基材への密着性を重視した設計では皮膜強度が劣化し、皮膜強度を重視した設計では各種フィルム基材に対する密着性が劣化するというトレードオフに陥りやすいという命題が存在する。
【0009】
これに関連したトラブルとして、活性エネルギー線硬化型インキを印刷後のパッケージ包装材料をトラック等で輸送する際に生じる振動や摩擦によって印刷面に傷が付いたり、剥がれてしまうことが大きな課題となっており、この解決が望まれている。
【0010】
また、近年の健康への安全性や環境規制対応から、活性エネルギー線硬化型組成物の材料として使用できる原材料の選択幅が狭まってきており、特に、テトラフルオロエチレンに代表される残留性有機汚染物質や健康や安全性の観点から光開始剤を含有しない活性エネルギー線硬化型組成物が望まれている。
【0011】
一方、活性エネルギー線の印刷においては、平版印刷、フレキソ印刷、樹脂凸版印刷他、様々な印刷方式が使用されている。平版印刷には、湿し水を用い、画線部の油(インキ)と非画線部の水(湿し水)との反発によって画像形成する水有り平版印刷と、非画線部シリコーン層を用い、画線部のインキとの反発によって画像形成する水無し平版印刷があり、中でも作業性の良好である水有り平版印刷が好適に使用されている。
【0012】
今般、印刷現場においては、生産効率向上やコスト削減を目的として、納期短縮、省人化、省力化、高速印刷化の要望が強くなってきている。そのため、高速でトラブルなく長時間にわたって安定して高品位な印刷物が得られる印刷インキが望まれているが、特にフィルム基材向けの活性エネルギー線硬化型組成物は、印刷インキ化した際に必要な粘弾性や乳化性能を確保することが難しく、高速印刷する際に濃度が不安定になってしまうことや印刷時に汚れが発生しやすいことが課題となっており、その解決が望まれている。
【0013】
この様な状況下、活性エネルギー線硬化型組成物であるインキやニスが検討されてきた。
【0014】
例えば、特許文献1は、アルキルモノアルコール化合物、ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物を必須の反応原料とするウレタン樹脂を開示している。しかしながら、開示されたバインダー樹脂と(メタ)アクリレートモノマーと光開始剤の組合せでは、フィルム基材への密着性が不十分となる傾向がある。
【0015】
また、特許文献2は、ロジン変性樹脂と(メタ)アクリレート化合物と体質顔料を必須成分とする電子線硬化型組成物を開示している。開示された電子線硬化型組成物は、印刷適性の向上は期待できるが、輸送時の振動や摩擦に対する傷つき・剥がれ耐性が十分ではなかった。
【0016】
また、特許文献3は、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、不活性樹脂、アクリル化されたエポキシ化植物油と白色顔料を必須成分とする電子線硬化型組成物を開示している。しかしながら、開示された電子線硬化型組成物は、プライマー用途として開発された構成であり、特に水有り平版印刷で使用される場合、湿し水との乳化バランスが悪く、また、バインダー樹脂を低分子化する必要があることからインキに必要な粘弾性が得られず、長時間にわたって安定して高品位な印刷物を得ることが難しかった。
【0017】
また、特許文献4は、特定の重量平均分子量のウレタン(メタ)アクリレート樹脂と、1~2官能、および、3官能以上の2種類の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物を必須成分とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を開示している。しかしながら、開示された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂以外の(メタ)アクリレート化合物として低分子量の(メタ)アクリレート化合物をしており、印刷インキとして使用する場合、高速印刷時の硬化性やマイグレーション性を劣化させる懸念があり、また、機上での安定性や、水有り平版印刷時においては乳化時の安定性が劣化する傾向があり好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】特開2019-183012号公報
【文献】特開2023-028276号公報
【文献】国際公開第2020/212488号
【文献】国際公開第2020/209264号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、パッケージ包装材料にも使用可能である低マイグレーション性等の安全性を有し、且つ、フィルム基材への優れた密着性及び皮膜強度等を両立することで輸送時の擦れ・剥がれのトラブルを低減し、印刷適性が良好である電子線組成物、および、該電子線硬化型組成物を用いた積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、以下に記載の電子線硬化型組成物を使用することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0021】
すなわち、本発明は、基材上に、電子線硬化型組成物の硬化物を有することを特徴とする、積層体の製造方法であって、
前記電子線硬化型組成物が、重量平均分子量5000~50000の樹脂(A)と、重量平均分子量が700以上~3000であり、かつ、(メタ)アクリロイル基1つあたりの重量平均分子量が100~300である(メタ)アクリレート化合物(B)と、顔料(C)とを含み、
前記樹脂(A)が、ロジン変性樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、および、ジアリルフタレート樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含み、
前記(メタ)アクリレート化合物(B)が、アミン変性(メタ)アクリレート、および、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上を含み、
下記マイグレーション耐性試験において、最もマイグレーション量の多い(メタ)アクリレート化合物の濃度が50ppb未満であり、
基材上に、前記電子線硬化型組成物を塗布し、加速電圧40~120kVかつ照射線量10~60kGyの条件で電子線を照射することを特徴とする積層体の製造方法に関する。
<マイグレーション耐性試験>
OPPフィルムに、インキをフィルムに対して2~3g/m
2
の塗布量となるように印刷し、電子線照射機を使用し、加速電圧110kV、電子線量30kGyにて硬化させた後、印刷面と非印刷面が接触するように重ね合わせ、1kg/dm
2
の荷重付加にて25℃、50%環境条件下にて10日間保持する。
その後、非印刷面の面積0.5dm
2
に対して、50mlの95%エタノールで、60℃にて10日間かけて残留モノマー(未反応の(メタ)アクリレート成分)を抽出する。
次に、四重極-飛行時間型質量分析計、及び液体クロマトグラフを用いて、上記抽出物の分析を行ない、エタノール中に存在する(メタ)アクリレート化合物の各々の濃度を求める。
【0022】
また、本発明は、樹脂(A)の組成物全量中の含有量(質量%)に対する、(メタ)アクリレート化合物(B)の組成物全量中の含有量(質量%)の比が、0.5~8.0であることを特徴とする、上記記載の積層体の製造方法に関する。
【0026】
また、本発明は、樹脂(A)と、(メタ)アクリレート化合物(B)と、顔料(C)との合計含有量が、組成物全量に対し、60~90質量%であることを特徴とする、上記記載の積層体の製造方法に関する。
【0027】
また、本発明は、光重合開始剤を実質的に含まないことを特徴とする、上記記載の積層体の製造方法に関する。
【0028】
また、本発明は、有機溶剤を実質的に含まないことを特徴とする、上記記載の積層体の製造方法に関する。
【0029】
また、本発明は、ポリテトラフルオロエチレンワックスを実質的に含まないことを特徴とする、上記記載の積層体の製造方法に関する。
【0031】
また、本発明は、基材が、フィルム又は紙であることを特徴とする、上記記載の積層体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0033】
本発明によって、パッケージ包装材料にも使用可能である低マイグレーション性等の安全性を有し、且つ、フィルム基材への優れた密着性及び皮膜強度等を両立することで輸送時の擦れ・剥がれのトラブルを低減し、印刷適性が良好である電子線組成物、および、該電子線硬化型組成物を用いた積層体を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下に記載の実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0035】
なお、本発明中に記載される「共役二重結合」とは、複数の二重結合が単結合を挟んで交互に連なっている結合を指す。ただし、芳香族化合物に含まれるπ電子共役系は、共役二重結合からは除かれる。
【0036】
<樹脂(A)>
本樹脂における樹脂(A)は、重量平均分子量が5,000~50,000の樹脂である。重量平均分子量が5,000~50,000であれば、樹脂種は特に限定されず、公知のものを使用できるが、(メタ)アクリレート化合物との相溶性が良好で、溶解可能な樹脂が好ましい。
樹脂の重量平均分子量が5,000未満であると、電子線硬化型組成物をインキ化した際に必要なインキ粘弾性が得られにくく、水有り平版印刷に用いる場合には乳化性能も得られにくいため好ましくない。また、重量平均分子量が50,000を超えると、フィルムとの密着性を著しく阻害するため好ましくない。
本発明における樹脂(A)の重量平均分子量は、10,000~25、000であることが好ましい。
【0037】
樹脂(A)は、重量平均分子量が上記範囲内であれば、分子内に(メタ)アクリロイル基を含んでも含まなくても良い。
【0038】
樹脂(A)として、具体的には、ジアリルフタレート樹脂、ロジン変性樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、スチレンアクリル重合樹脂、石油樹脂等が挙げられる。
【0039】
樹脂(A)は、印刷適性、皮膜強度、密着性の観点から、ロジン変性樹脂、および、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0040】
<ロジン変性樹脂>
本発明におけるロジン変性樹脂とは、樹脂骨格中に、ロジン由来の骨格を含有する樹脂のことである。
【0041】
また、本発明におけるロジン変性樹脂は、ロジン類、多塩基酸およびポリオールを含む原料成分の反応生成物を含むことが好ましい。
【0042】
本発明において、ロジン類とは、環式ジテルペン骨格を有する一塩基酸を指し、ロジン酸、不均化ロジン酸、水添ロジン酸、または前記化合物のアルカリ金属塩等を表す。
ロジン類として具体的には、共役二重結合を有するアビエチン酸、およびその共役化合物である、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、レボピマル酸や、共役二重結合を有さないピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、およびデヒドロアビエチン酸等が挙げられる。
またこれらのロジン類を含有する天然樹脂として、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等が挙げられる。
【0043】
多塩基酸としては、一分子中に二つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸および、その無水物が挙げられる。
【0044】
多塩基酸としては、例えば、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、3-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、4-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、o-フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、およびこれらの酸無水物等が挙げられる。
【0045】
ポリオールとしては、一分子中に二つ以上の水酸基を有する化合物が挙げられ、2価アルコール、3価以上のアルコールなどが挙げられる。
【0046】
2価のアルコールとしては、直鎖状アルキレン2価アルコールである1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,2-テトラデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,2-ヘキサデカンジオール等が、
分岐状アルキレン2価アルコールである2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ジメチルペンタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオ-ル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ジメチロールオクタン、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール等が、
環状アルキレン2価アルコールとして、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘプタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、水添カテコール、水添レゾルシン、水添ハイドロキノン等が、
さらに、ポリエチレングリコール(n=2~20)、ポリプロピレングリコール(n=2~20)、ポリテトラメチレングリコール(n=2~20)等のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0047】
さらに、3価以上のアルコールである、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン、ペンタエリスリトール、1,2,6-ヘキサントリオール、3-メチルペンタン-1,3,5-トリオール、ヒドロキシメチルヘキサンジオール、トリメチロールオクタン、ジグリセリン、ジトリメチロ-ルプロパン、ジペンタエリスリト-ル、ソルビトール、イノシトール、トリペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0048】
<ウレタン(メタ)アクリレート樹脂>
本発明におけるウレタン(メタ)アクリレート樹脂とは、イソシアネート基とヒドロキシ基を反応させた、ウレタン結合と(メタ)アクリロイル基を有する樹脂のことである。
【0049】
本発明におけるウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、当技術分野で周知の方法にしたがって製造することができる。例えば、一実施形態において、ポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートと、ポリオールとを、イソシアネート基が過剰となる配合比で反応させることによって得られる化合物であってよい。
【0050】
一実施形態において、塗膜物性を容易に向上できる観点から、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、ポリエステルセグメントを含む化合物及び/又はポリエーテルセグメントを含む化合物であることが好ましい。このような化合物は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂を製造するための反応において、ポリオールとして、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールを使用することによって得られる。
【0051】
以下、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の原料として使用できる代表的な化合物について説明する。
【0052】
ポリイソシアネートとしては、特に限定されるものではなく、トリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。反応制御の点で2官能であることが好ましい。
【0053】
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定されるものではなく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート類、グリセリン(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0054】
ポリオールとしては、グリコール類、ポリエーテルポリオール類、及びポリエステルポリオール類などが挙げられる。
【0055】
グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2個の水酸基を有する化合物が挙げられる。
【0056】
ポリエーテルポリオール類としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、オキサシクロブタン、オキサシクロヘプタン等のアルキレンオキサイドの重合体、共重合体、及びグラフト共重合体;ヘキサンジオール、メチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール若しくはこれらの混合物の縮合によるポリエーテルポリオール類などの、水酸基を2 個以上有するものを用いることができる。
さらに、ビスフェノールA やビスフェノールF等のビスフェノール類にエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたグリコール類を使用することもできる。
【0057】
ポリエステルポリオール類としては、例えば、多価アルコール成分と多塩基酸成分とが縮合反応したポリエステルポリオールが挙げられる。
【0058】
多価アルコールとしては、2価アルコール及び3価以上のアルコールの少なくとも一方を使用することができる。
2価アルコールとしては、特に限定されるものではなく、直鎖状、分岐状、又は環状のアルキレン2価アルコールを使用できる。
直鎖状アルキレン2価アルコールとして、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,2-テトラデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,2-ヘキサデカンジオール等が挙げられる。
分岐状アルキレン2価アルコールである2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ジメチルペンタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオ-ル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ジメチロールオクタン、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール等が、
環状アルキレン2価アルコールとして、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘプタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA 、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS 、水添カテコール、水添レゾルシン、水添ハイドロキノン等が挙げられる。
【0059】
3価以上の多価アルコールとしては、特に限定されるものではなく、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ソルビタン、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、イノシトール、トリペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0060】
多塩基酸としては、特に限定されるものではなく、脂肪族、脂環族のいずれでもよい。
脂肪族多塩基酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライ酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、芳香族多塩基酸としてオフソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、3-メチルハイミック酸、4-メチルハイミック酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,8-ナフタル酸およびこれらの無水物が挙げられる。
脂環族多塩基酸として、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、3-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、4-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3-メチルヘキサヒドロフタル酸、4-メチルヘキサヒドロフタル酸およびこれらの無水物が挙げられる。
【0061】
さらに、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、メチルグルコシド等の、3個以上の水酸基を有する化合物をポリオールとして使用することもできる。
【0062】
ここで、ポリオールとして、上述のポリオール及び多官能アルコール類は、特に制限なく使用することができる。それぞれの特徴に合わせて単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。例えば、塗膜の透明性及び耐湿熱性の観点からは、ポリエーテルポリオールの使用が好ましく、特にポリプロピレングリコール骨格を有するポリオールを主に使用することがより好ましい。また接着力、耐熱性の観点からは、ポリエステルポリオールの使用が好ましい。
【0063】
<(メタ)アクリレート化合物(B)>
本発明における(メタ)アクリレート化合物(B)は、重量平均分子量が700以上~3000であり、かつ、(メタ)アクリロイル基1つあたりの重量平均分子量が100~300である(メタ)アクリレート化合物である。
重量平均分子量および(メタ)アクリロイル基1つあたりの重量平均分子量がこの範囲にあることで、低マイグレーション性、皮膜強度、密着性のバランスに優れる。
【0064】
本発明の(メタ)アクリレート化合物(B)としては、重量平均分子量が700以上~3000であり、かつ、(メタ)アクリロイル基1つあたりの重量平均分子量が100~300である(メタ)アクリレート化合物であれば好適に使用できるが、アミン変性(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、および、エポキシ化植物油(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましく、アミン変性(メタ)アクリレート、および/またはポリエステル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
【0065】
本発明におけるアミン変性(メタ)アクリレートは、分子中にアミノ基を1つ以上有している(メタ)アクリレート化合物である。
【0066】
本発明におけるアミン変性(メタ)アクリレートは、アミン当量が400~2500であることが好ましい。アミン当量が400~2500であることで、表面硬化性、皮膜強度、水有り平版印刷時の地汚れ性、がいずれも良好となる。
【0067】
ここで、本発明におけるアミン当量は、アミン変性(メタ)アクリレートにおけるアミン由来の1活性水素当たりの分子量として算出できる。
【0068】
また、本発明におけるアミン変性(メタ)アクリレートは、電子線硬化型組成物全量中に0.5~10質量%含有させることが好ましい。含有量がこの範囲であると表面硬化性、皮膜強度、水有り平版印刷時の地汚れ性、がいずれも良好となる。
【0069】
本発明におけるアミン変性(メタ)アクリレートとして、例えばDAICEL-ALLNEX社製EBECRYL LEO 10553(重量平均分子量780、1分子当たりのアクリロイル基数4、1アクリロイル基当たりの重量平均分子量195)、EBECRYL80(重量平均分子量1000、1分子当たりのアクリロイル基数4、1アクリロイル基当たりの重量平均分子量250)等が例示できる。
【0070】
本発明におけるポリエステル(メタ)アクリレートは、分子中にポリエステル構造を有する(メタ)アクリレート化合物(アミノ基を有する場合を除く)である。
【0071】
また、本発明におけるポリエステル(メタ)アクリレートは、アクリロイル基を分子内に3~10個有することが望ましい。
【0072】
また、本発明におけるポリエステル(メタ)アクリレートは、電子線硬化型組成物全量中に10~50質量%含有させることが望ましい。含有量が10~50質量%であることで、密着性、粘弾性、水有り平版印刷時の乳化性がいずれも良好となる。
【0073】
本発明におけるポリエステル(メタ)アクリレートとして、例えばDAICEL-ALNEX社製 EBECRYL LEO10801(重量平均分子量1500、1分子当たりのアクリロイル基数6)、EBECRYL450(重量平均分子量1600、1分子当たりのアクリロイル基数6)、EBECRYL800(重量平均分子量780、1分子当たりのアクリロイル基数4)、EBECRYL810(重量平均分子量1000、1分子当たりのアクリロイル基数4)、EBECRYL812(重量平均分子量800、1分子当たりのアクリロイル基数3)、EBECRYL846(重量平均分子量1100、1分子当たりのアクリロイル基数6)、EBECRYL870(重量平均分子量1500、1分子当たりのアクリロイル基数6)等を例示できる。
【0074】
また、本発明における(メタ)アクリレート化合物(B)は、インキの粘弾性の観点から上記アミン変性(メタ)アクリレートと上記ポリエステルアクリレートを併用して用いることがより好ましい。
【0075】
また、本発明における(メタ)アクリレート化合物(B)としては、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、エポキシ化植物油(メタ)アクリレート等を用いることもでき、これらは、重量平均分子量が700~3000、かつ、(メタ)アクリロイル基1つあたりの重量平均分子量が100~300であれば、公知の材料を使用できる。これらポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、エポキシ化植物油(メタ)アクリレート等は各種の変性をされたものを用いても良い。
【0076】
また、本発明における樹脂(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)の組成物全量中の含有量(質量%)の比は、0.5~8.0であることが好ましく、2.0~4.0であることがより好ましい。樹脂(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)の組成物全量中の含有量(質量%)の比が0.5~8.0であると、必要な密着性と、水有り平版印刷インキ化した際にインキの粘弾性とが両立できる。
【0077】
本発明における顔料(C)は、有色顔料および体質顔料である。本発明における有色顔料は無機顔料および有機顔料を使用できる。
【0078】
本発明における有色顔料の内、無機顔料の具体例として、黄鉛、亜鉛黄、紺青、カドミウムレッド、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、群青、カーボンブラック、グラファイト、及びアルミニウム粉等が挙げられる。
【0079】
また、本発明における有色顔料の内、有機顔料の具体例として、β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系、β-オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系、及びピラゾロン系等の溶性アゾ顔料、β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系モノアゾ、アセト酢酸アリリド系ジスアゾ、及びピラゾロン系等の不溶性アゾ顔料、銅フタロシアニンブルー、ハロゲン化(塩素又は臭素化)銅フタロシアニンブルー、及びスルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系等)、イソインドリノン系、金属錯体系、キノフタロン系等の多環式顔料及び複素環式顔料等が挙げられる。
【0080】
また、本発明における有色顔料は、これらの1種を単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよく、また後述される1種以上の体質顔料を組み合わせて使用してもよい。
【0081】
また、本発明における有色顔料の含有量は、カラーインキであれば有色顔料を全電子線硬化型組成物中に2~30質量%、より好ましくは5~25質量%含有させることが望ましい。また、白インキであれば酸化チタンを30~70質量%、より好ましくは40~60質量%含有させることが望ましい。また、無色インキやニスおよび希釈用のメジウムを調整する場合は、有色顔料を含有させなくても良い。
【0082】
また、本発明における体質顔料は、着色力を持たない顔料を意味し、前述の有色顔料と区別される。本発明の体質顔料の具体例として、硫酸バリウム、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、二酸化珪素、及び水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらの1種を単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。
【0083】
また、本発明における体質顔料の含有量は、カラーインキの流動性や耐ミスチング性を向上させる目的においては5質量%以下で使用することが好ましく、使用しなくても良い。一方、透明インキやニスの用途で使用される場合には、用途に応じて30質量%以下で使用することが好ましい。
【0084】
また、本発明は樹脂(A)と、(メタ)アクリレート化合物(B)と、顔料(C)との合計含有量が、組成物全量に対し、60~90質量%であることを特徴とする。本発明の電子線硬化型組成物がカラーインキとして使用される場合においては、60~80質量%が好ましく、より好ましくは65~75質量%である。また、本発明の電子線硬化型組成物が白インキとして使用される場合においては、70~90質量%が好ましく、より好ましくは75~85質量%である。また、本発明の電子線硬化型組成物がニス及びメジウムとして使用される場合においては、60~80質量%が好ましく、65~75質量%であることがより好ましい。樹脂(A)と、(メタ)アクリレート化合物(B)と、顔料(C)との合計含有量が、組成物全量に対し60~90質量%であると、水有り平版印刷に必要な粘弾性と、流動性や転移性等、必要な印刷適性が得られる。
【0085】
本発明において、樹脂(A)および(メタ)アクリレート化合物(B)以外の、(メタ)アクリレート化合物(以下、「その他の(メタ)アクリレート化合物」とする)を使用することができる。
【0086】
本発明における、その他の(メタ)アクリレート化合物は、要求される硬化皮膜特性に応じて、適宜選択でき、単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。
【0087】
また、本発明における、その他の(メタ)アクリレート化合物は、硬化性と低マイグレーションの観点から、重量平均分子量が500以上、且つ、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物で構成されることが好ましい。
【0088】
<電子線硬化型ワニス>
本発明の電子線硬化型組成物は、樹脂(A)を含む電子線硬化型ワニスから製造することもできる。
【0089】
電子線硬化型ワニスは、樹脂(A)と(メタ)アクリレート化合物とを使用して作製することができる。特に限定するものではないが、電子線硬化型ワニスは、ワニスの全質量を基準として、樹脂(A)を10~80質量%と、(メタ)アクリレート化合物を20~90質量%とを含有することが好ましく、樹脂(A)を20~70質量%と、その他の(メタ)アクリレート化合物を30~80質量%とを含有することがより好ましい。
この時(メタ)アクリレート化合物は、ワニスの粘度を所望の範囲に調整できるものであれば、(メタ)アクリレート化合物(B)、および、その他の(メタ)アクリレート化合物のいずれも使用可能である。
【0090】
電子線硬化型ワニスを作成する際に使用される(メタ)アクリレート化合物は、低マイグレーション性を確保する観点から、重量平均分子量が500以上であることが好ましい。
【0091】
本発明における電子線硬化型ワニスは、上記成分に加えて、後述する光重合禁止剤を含んでもよい。このような実施形態では、光重合禁止剤を常法により添加し、使用することができる。上記ワニスに光重合禁止剤を添加する場合、その配合量は、電子線硬化型ワニスの全質を基準として、3質量%以下にすることが好ましく、0.01~1質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
【0092】
本発明における電子線硬化型ワニスは、例えば、常温から160℃の間の温度条件下で、上記成分を混合することで製造することができる。
例えば、ロジン変性樹脂と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと、ハイドロキノンとを、100℃の温度条件下で、加熱溶融して得たワニスを好適に使用することができる。
【0093】
(重合禁止剤)
本発明の電子線硬化型組成物は、上記成分に加えて、さらに重合禁止剤を含んでもよい。このような実施形態では、重合禁止剤を常法により添加し、使用することができる。重合禁止剤を添加する場合、硬化性を阻害しない観点から、その配合量は、電子線硬化型組成物の全質量に基準として、3質量%以下にすることが好ましく、0.01~1質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0094】
重合禁止剤の具体例としては、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-tert-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、ジ-t-ブチル-7-フェニルキノンメチド等が挙げられる。
特に、ピペリジン環上の2位および6位に各々2個ずつ(計4個)の炭化水素基を有する化合物である、2,2,6,6-テトラアルキルピペリジン誘導体や2,2,6,6-テトラメチルピペリジン誘導体、1-アルキル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン誘導体または1-ヒドロ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン誘導体等のヒンダートアミン系から選択される1種以上の化合物を使用することが好ましく、印刷機械での硬化反応を阻害でき、優れた保存安定性を提供できる。
【0095】
(各種添加剤)
本発明の電子線硬化型組成物は、目的に応じて、粘弾性調整剤、分散剤、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤等の各種添加剤をさらに含んでもよい。各種添加剤は、常法によって組成物に添加することができる。組成物に対して各種添加剤を添加する場合、他の成分の効果を阻害しない範囲で配合量を調整することが好ましい。各種添加剤の配合量は、電子線硬化型組成物の全質量を基準として、5質量%以下であることが好ましい。
【0096】
一方、近年、難分解性、高蓄積性、長距離移動性、有害性(人の健康・生態系)を持つ残留性有機汚染物質による地球規模の汚染が懸念されており、2004年5月に発効された残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)等を代表として規制が進みつつある。そのため、印刷インキの耐摩擦剤用途として用いられているポリテトラフルオロエチレンワックス中にはPFAS等、残留性有機汚染物質を含む可能性があり、本発明においては、ポリテトラフルオロエチレンワックスを実質的に含まないことが好ましい。
【0097】
ここで、本発明における実質的に含有しないとは、意図的に添加することなく、かつ、非意図的添加による含有量が1質量%未満であることを意味する。非意図的添加には、各原料に微量に含まれている場合や、組成物の製造工程、印刷物作製工程におけるコンタミネーションなどが該当する。
【0098】
また、本発明の電子線硬化型組成物は有機溶剤を実質的に含有しない。印刷インキの粘度調整剤として用いられている有機溶剤は、残留性有機汚染物質であるMOSH/MOAHを含有する懸念があり、また、揮発性成分を含有しないこと(Non-VOC)により環境負荷低減や作業安全性の向上が期待できることから、本発明においては、有機溶剤を実質的に含まないことが好ましい。
【0099】
また、本発明の電子線硬化型組成物は光重合開始剤を実質的に含有しない。光重合開始剤は、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化性を発現・向上させる効果が期待できる一方で、パッケージ市場において、特に食品用包材、トイレタリー包材や医療用包材などにおいて、光重合開始剤の成分がマイグレーションすることで安全性や品質が低下する懸念があることから、本発明においては、光重合開始剤を実質的に含まないことが好ましい。
【0100】
また、本発明の電子線硬化型組成物で使用する各種原材料として、カーボンニュートラルの観点などからは、植物などの再生可能な資源を利用したバイオマス由来の原材料を好ましく用いることができる。
【0101】
本発明の電子線硬化型組成物を平版印刷インキとして使用する場合、常温から120℃間の温度条件下で、上記の各構成成分をフラッシング、練肉、及び混合することによって製造することができる。インキを製造するために、例えば、ニーダー、三本ロール、アトライター、サンドミル、ゲートミキサー等の各種器材を用いることが好ましい。インキの製造において、樹脂(A)は、樹脂(A)そのものの形態で添加してもよいし、上記樹脂(A)を含む電子線硬化型ワニスの形態で添加してもよい。
【0102】
<積層体>
本発明における積層体は、電子線硬化型組成物が電子線硬化型インキの場合は電子線硬化型インキを基材に印刷し、電子線で硬化することによって得られる。また、電子線硬化型組成物が電子線硬化型ニスの場合は、基材に電子線硬化型ニスを印刷、もしくは、基材にインキを印刷した印刷物に電子線硬化型ニスを印刷し、電子線で硬化することによって得られる。
【0103】
本発明に使用できる基材はフィルム状の基材が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン基材、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル基材、ポリカーボネート基材、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系基材、ナイロン基材、ポリアミド基材、ポリ塩化ビニル基材、ポリ塩化ビニリデン基材、セロハン基材、紙基材、アルミニウム基材など、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム状の基材が挙げられる。また、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの無機化合物をポリエチレンテレフタレート基材、ナイロン基材に蒸着した蒸着基材も用いることができ、更に蒸着処理面がポリビニルアルコールなどによるコート処理を施されていても良い。基材は、印刷される面(印刷層と接する面)が易接着処理されていることが好ましく、易接着処理とは、例えば、コロナ放電処理、紫外線/オゾン処理、プラズマ処理、酸素プラズマ処理、プライマー処理等が挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレート基材において、十分な密着性が得られない場合は、アクリルコート処理、ポリエステル処理、ポリ塩化ビニリデン処理などを施されていてもよい。
【0104】
また、基材は紙基材を用いても良い。該紙基材としては通常の紙や段ボールなどであり、膜厚としては特に指定は無いが、例えば、0.2mm~1.0mm、20~150g/m2のものが使用でき、印刷表面が易接着処理されていても良い。また紙基材は意匠性を付与させる目的で表面がアルミなどの金属で蒸着処理されていても良く、また、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂やその他の樹脂などで表面コート処理を施されていても良く、さらにコロナ処理などの表面処理が施されていても良い。例えばコート紙やアート紙などが挙げられる。
【0105】
本発明の電子線硬化型組成物の印刷方法は特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。電子線硬化型組成物がインキの場合には、具体的には水有りオフセット印刷(湿し水を使用する通常の平版印刷)、水無しオフセット印刷(湿し水を使用しない平版印刷)、樹脂凸版印刷、スクリーン印刷などが用いられる。中でも、オフセット印刷を用いることが好ましく、水有りオフセット印刷を用いることがより好ましい。
【0106】
また、電子線硬化型組成物がニスの場合にも同様に、好適に用いられる用途として水有りオフセット印刷、水無しオフセット印刷、樹脂凸版印刷、スクリーン印刷が挙げられる他、粘弾性を調整することで、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷等、各種印刷方法や、各種コーターでのコーティング等を選択できる。
【0107】
本発明の電子線硬化型組成物は、各種印刷方法によって印刷された後、電子線照射機を通って硬化され、印刷層が形成される。硬化に用いられる電子線は、フィルムへのダメージと電子線硬化型組成物の硬化性のバランスを考慮し、40~120kV、好ましくは60~110kVの加速電圧において、照射線量10~60kGy、より好ましくは15~45kGyの条件で調整された電子線を照射することが望ましい。照射線量が10~60kGyであると、十分な皮膜強度が得られ、かつ、フィルム強度低下、臭気、黄変等のフィルムへのダメージによる問題が抑制できる。
【0108】
本発明の電子線硬化型組成物は、各種基材や、フォーム用印刷物、各種書籍用印刷物、カルトン紙等の各種包装用印刷物、各種プラスチック印刷物、シール/ラベル用印刷物、美術印刷物、金属印刷物(美術印刷物、飲料缶印刷物、缶詰等の食品印刷物)などの印刷物に適用できる。
【実施例】
【0109】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、本明細書に記載の「部」は質量部を表し、「%」は質量%を示す。
【0110】
以下の実施例で実施した各種測定の詳細は以下のとおりである。
【0111】
(ロジン酸類の成分分析)
原料として使用するロジン酸類をガスクロマトグラフィー質量分析計で分析し、全ロジン酸ピーク面積100%に対する、各ピーク面積比(%)を求めた。より具体的には、ロジン酸類中に含まれ、α,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)とディールスアルダー付加反応を起こす共役系ロジン酸と、前記共役系ロジン酸以外との含有比を、それぞれ該当するピーク面積の比から求めた。
【0112】
(ディールスアルダー付加反応の進行の確認と、生成した上記付加反応物の定量)
ディールスアルダー付加反応の反応液をガスクロマトグラフィー質量分析計で分析し、原料として使用した、ロジン酸類(a1)、およびα,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(a2)の検出ピークの減少によって反応の進行を確認した。検出ピークの減少に変化が見られない時点で反応を終了した。
【0113】
(重量平均分子量の測定)
重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC-8320)を用いて測定した。検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。また、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、カラムとしてTSKgel SuperHM-M(東ソー株式会社製)を3本用いた。測定は、流速0.6mL/分、注入量10μL、及びカラム温度40℃の条件下で行った。
【0114】
1.バインダー樹脂の調製
1-1.ロジン変性樹脂の調製
以下に示す処方に従い、ロジン変性樹脂を調製した。
なお、以下に示す処方で使用したガムロジンは、α,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(a2)とディールスアルダー付加反応を起こす共役系ロジン酸の含有量が80質量%であり、前記共役系ロジン酸以外の含有量が20質量%であった。
【0115】
(ロジン変性樹脂1の調製)
撹拌機、水分離器付き還流冷却器、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、ガムロジン52.9部と無水フタル酸37.0部、グリセリン10.0部、触媒としてp-トルエンスルホン酸一水和物0.1部を添加し、230℃で6時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン変性樹脂1を得た。
【0116】
(ロジン変性樹脂2の調製)
撹拌機、水分離器付き還流冷却器、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、ガムロジン50.0部とテトラヒドロ無水フタル酸41.9部、グリセリン8.0部、触媒としてp-トルエンスルホン酸一水和物0.1部を添加し、230℃で7時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン変性樹脂2を得た。
【0117】
(ロジン変性樹脂3の調製)
撹拌機、水分離器付き還流冷却器、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、ガムロジン25.0部と無水マレイン酸15.9部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。反応混合物に安息香酸38部、トリメチロールプロパン5.0部、ペンタエリスリトール16.0部、触媒としてp-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で9時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン変性樹脂3を得た。
【0118】
(ロジン変性樹脂4の調製)
撹拌機、水分離器付き還流冷却器、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、ガムロジン27.0部と無水マレイン酸17.0部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。反応混合物に安息香酸31.9部、トリメチロールプロパン8.0部、ペンタエリスリトール16.0部、触媒としてp-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で10時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン変性樹脂4を得た。
【0119】
(ロジン変性樹脂5の調製)
撹拌機、水分離器付き還流冷却器、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、ガムロジン38.5部と無水マレイン酸27.0部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。反応混合物にテトラヒドロ無水フタル酸11.6部、グリセリン14.8部、ペンタエリスリトール8.0部、触媒としてp-トルエンスルホン酸一水和物0.1部を添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン変性樹脂5を得た。
【0120】
(ロジン変性樹脂6の調製)
撹拌機、水分離器付き還流冷却器、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、ガムロジン37.0部と無水マレイン酸30.0部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。反応混合物にテトラヒドロ無水フタル酸9.9部、グリセリン15.0部、ペンタエリスリトール8.0部、触媒としてp-トルエンスルホン酸一水和物0.1部を添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン変性樹脂6を得た。
【0121】
ロジン変性樹脂1~6の処方、重量平均分子量を、それぞれ表1に示す。
【0122】
【0123】
なお、表1において、樹脂(A)の調製時に使用した各単量体の配合量は全て固形分の質量部である。
【0124】
1-2.ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の調製
以下に示す処方に従い、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂を調製した。
【0125】
(ポリエステルポリオール1の調製)
攪拌機、ディーンスターク管、温度計、ガス導入管を備えた4つ口フラスコ内に原料としてエチレングリコール36.2部、アジピン酸63.8部を入れ、撹拌しながら220℃まで加熱した。反応の進行に伴い生成する縮合水を系外へ除きながら反応を行い、理論脱水量に達したところで反応を終了しポリエステルポリオール1を得た。
【0126】
(ポリエステルポリオール2~6の調製)
ポリエステルポリオール1の処方を、それぞれ表2に示す処方に変更したことを除き、全てポリエステルポリオール1の調製と同様にして、ポリエステルポリオール樹脂2~6を調製した。
【0127】
【0128】
(ウレタン(メタ)アクリレート樹脂1の調製)
攪拌機、冷却器、温度計、ガス導入管を備えた4つ口フラスコ内にポリエステルポリオール1を50.4部、ヘキサメチレンジイソシアネートを29.3部を入れ、撹拌しながら100℃で3時間反応させた。次いで、HEAを20.3部入れ、さらに110℃で5時間反応させウレタン(メタ)アクリレート樹脂1を得た。
【0129】
(ウレタン(メタ)アクリレート樹脂2~6の調製)
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の処方を、それぞれ表3に示す処方に変更したことを除き、全てウレタン(メタ)アクリレート樹脂1の調製と同様にして、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂2~6を調製した。また、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂1~6の重量平均分子量を表1に示した。
なお、用いた市販品の詳細は以下の通りである。
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
【0130】
【0131】
1-3.ポリエステル樹脂の調製
以下に示す処方に従い、ポリエステル樹脂を調製した。
攪拌機、ディーンスターク管、温度計、ガス導入管を備えた4つ口フラスコ内に原料としてグリセリン10部、エチレングリコール20部、無水フタル酸59部を入れ、撹拌しながら220℃まで加熱した。反応の進行に伴い生成する縮合水を系外へ除きながら反応を行い、理論脱水量に達したところで反応を終了しポリエステル樹脂1を得た。(重量平均分子量:10500、水酸基価119KOH/g)
【0132】
そのほか、以下に示す市販の樹脂を用いた。
・DAP-K (ジアリルフタレート樹脂、重量平均分子量25,000、株式会社大阪ソー
ダ製)
【0133】
2.ワニスの調製
攪拌機、ディーンスターク管、温度計、ガス導入管を備えた4つ口フラスコ内に、表4の配合に従って原材料を入れ、撹拌しながら100℃まで加熱し、100℃で2時間撹拌・溶融して表4のワニス1~14を得た。なお、用いた市販品の詳細は以下の通りである。
なお、用いた市販品の詳細は以下の通りである。
Miramer M600:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重量平均分子量578、1分子当たりのアクリロイル基の数:6、1アクリロイル基当たりの重量平均分子量:96、美源スペシャリティケミカル(株)製)
【0134】
【0135】
3.電子線硬化型平版印刷インキ、電子線硬化型ニスの調製
実施例1~27、比較例1~12
(電子線硬化型平版印刷インキ、電子線硬化型ニスの調製)
表5に記載の配合比率となるよう、それぞれを混合し、40℃に温度設定した三本ロールミルにて練肉し、実施例1~27、比較例1~12のインキおよびニスを得た。
【0136】
また、インキ調製のため、以下に示す市販の材料を用いた。
・FG-7330G:LIONOL BLUE FG-7330G(藍顔料、東洋カラー株式会社製)
・CR-90-2:タイペーク CR-90-2(酸化チタン、石原産業株式会社製)
・AEROSIL200V(ヒュームドシリカ、日本アエロジル株式会社製)
・ハイフィラー#5000PJ(タルク、松村産業株式会社製)
・EBECRYL 10551(アミン変性アクリレート、重量平均分子量:500、1分子当たりのアクリロイル基の数:2.5、1アクリロイル基当たりの重量平均分子量:200、ダイセル・オルネクス株式会社製)
・EBECRYL 10553(アミン変性アクリレート、重量平均分子量:780、1分子当たりのアクリロイル基の数:4、1アクリロイル基当たりの重量平均分子量:195、ダイセル・オルネクス株式会社製)
・EBECRYL 80(アミン変性アクリレート、重量平均分子量:1,000、1分子当たりのアクリロイル基の数:4、1アクリロイル基当たりの重量平均分子量:250、ダイセル・オルネクス株式会社製)
・Laromer PO 9139(アミン変性アクリレート、重量平均分子量:5,900、BASF社製)
・EBECRYL 851(ポリエステルアクリレート、重量平均分子量:500、1分子当たりのアクリロイル基の数:2.5、1アクリロイル基当たりの重量平均分子量:200、ダイセル・オルネクス株式会社製)
・EBECRYL 800(ポリエステルアクリレート、重量平均分子量:780、1分子当たりのアクリロイル基の数:4、1アクリロイル基当たりの重量平均分子量:195、ダイセル・オルネクス株式会社製)
・EBECRYL 810(ポリエステルアクリレート、重量平均分子量:1000、1分子当たりのアクリロイル基の数:4、1アクリロイル基当たりの重量平均分子量:250、ダイセル・オルネクス株式会社製)
・EBECRYL 450(ポリエステルアクリレート、重量平均分子量:1,600、1分子当たりのアクリロイル基の数:6、1アクリロイル基当たりの重量平均分子量:267、ダイセル・オルネクス株式会社製)
・UF-3007(ポリエステルアクリレート、重量平均分子量:3,600、1分子当たりのアクリロイル基の数:2.5、1アクリロイル基当たりの重量平均分子量:1440、共栄社化学株式会社製)
・Miramer M3150 (トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物(15モル)トリアクリレート、重量平均分子量956、1分子当たりのアクリロイル基の数:3、1アクリロイル基当たりの重量平均分子量:319、MIWON社製)
・Miramer M3160 (トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物(6モル)トリアクリレート、重量平均分子量560、1分子当たりのアクリロイル基の数:3、1アクリロイル基当たりの重量平均分子量:187、MIWON社製)
・ポリストップ7300P(重合禁止剤、伯東株式会社)
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
4.電子線硬化型平版印刷インキ、電子線硬化型ニスの評価
実施例及び比較例で調製したそれぞれの電子線硬化型平版印刷インキおよびニスについて、下記の方法に従い積層体を作成し、下記の評価を行った。
【0141】
(輸送振動試験)
PETフィルム(エンブレットPTM、12μm)上に、バーコーターを用いてラミネート接着剤(東洋モートン株式会社製TM-321A/TM-321B=2/1)を酢酸エチルに有効成分が30質量%となるよう希釈した接着剤希釈液を、常温にて溶剤揮発後の固形分塗布量が2.0~2.5g/m2となるように塗布し、乾燥オーブンで溶剤を揮散させた後、アルミニウム箔(厚み7μm、以下AL)と貼り合わせた。次に、得られた積層体のAL箔面に、上記と同様にラミネート接着剤を塗布し溶剤を揮散させ、塗布面をOPAフィルム(エンブレムONM、15μm)と貼り合わせた。得られた積層体のOPAフィルム面に、上記と同様にしてラミネート接着剤を塗布し溶剤を揮散させ、塗布面を未延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化 学株式会社製 FHK2 厚み40μm、以下CPP)のコロナ処理面と貼り合わせた。
得られた積層体を、35℃、湿度60%RT~80%RTの環境下にて24時間放置して、
PET/接着剤層/AL/接着剤層/OPA/接着剤層/CPPの構成である積層体を得た。
【0142】
得られた積層体のPETフィルム面上に、実施例1~27、比較例1~12のインキ及びニスをRIテスター(株式会社明製作所製の簡易展色装置)を用いて、フィルムに対して、1g/m2の塗布量となるように印刷した。刷後の塗膜は直ちに、岩崎電気社製電子線照射機EC250/15/180Lを使用し、加速電圧110kV、電子線量30kGyにて硬化させ、インキ層/PET/接着剤層/AL/接着剤層/OPA/接着剤層/CPPの構成である積層体を得た。
【0143】
得られた積層体を用いて、14cm×18cmの大きさのパウチを作成し、内容物として水150mlを充填した。このパウチをそれぞれ20個作成し、段ボールに入れて、制御加速度1G、加振周波数6Hzの条件にて、横方向15分間、縦方向15分間、高さ方向15分間、それぞれ輸送振動試験を実施し、以下に従って評価した。産業上実用可能なレベルは「3」以上であるが、「4」以上がより好ましい。
【0144】
(輸送振動試験の評価基準)
5:20個中いずれのパウチにも傷・剥がれが目視にて確認できない。
4:20個中1個のパウチに傷・剥がれが目視にて確認できる。
3:20個中2個のパウチに傷・剥がれが目視にて確認できる。
2:20個中3~10個のパウチに傷・剥がれが目視にて確認できる。
1:20個中11~20個のパウチに傷・剥がれが目視にて確認できる。
【0145】
(密着性試験)
実施例1~27、比較例1~12の電子線硬化型平版印刷インキ及びニスを、RIテスター(株式会社明製作所製の簡易展色装置)を用いて、フィルムに対して、1g/m2の塗布量となるよう印刷した。印刷後の塗膜は直ちに、岩崎電気社製電子線照射機EC250/15/180Lを使用し、加速電圧110kV、電子線量30kGyにて硬化し、得られた積層体を用いてテープ密着性の評価を実施した。測定は粘着テープ(ニチバン社製セロハンテープ(幅12mm))を用いて、印刷面にテープを貼り、180度の角度で素早く引き剥がした際に、印刷物側に残存した塗膜の面積%を以下の基準に従い5段階で評価した。産業上実用可能なレベルは「3」以上であるが、「4」以上がより好ましい。
【0146】
(密着性試験の評価基準)
5:残存した塗膜の面積が90%以上
4:残存した塗膜の面積が70%以上90%未満
3:残存した塗膜の面積が50%以上70%未満
2:残存した塗膜の面積が25%以上50%未満
1:残存した塗膜の面積が25%未満
【0147】
なお、密着検討に際して、以下に示すフィルムを用いたが、本発明における効果はこれらのフィルムに限定されるものではない。
OPP:フタムラ化学株式会社製 FOR(30μm)
PE :白色ポリエチレンフィルム(50μm)
PET:ユニチカ株式会社製 エンブレットPTM(12μm)
OPA:ユニチカ株式会社製 エンブレムONM(15μm)
【0148】
(マイグレーション耐性試験)
OPPフィルム(フタムラ化学株式会社製 FOR、30μm)上に、バーコーターを用いてラミネート接着剤(東洋モートン株式会社製TM-321A/TM-321B=2/1)を酢酸エチルに有効成分が30%となるよう希釈した接着剤希釈液を、常温にて溶剤揮発後の固形分塗布量が2.0~2.5g/m2となるように塗布し、乾燥オーブンで溶剤を揮散させた後、塗布面を未延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製 FHK2 厚み40μm、以下CPP)のコロナ処理面と貼り合わせた。次に、35℃、湿度60%RT~80%RTの環境下にて24時間放置して、OPP/接着剤層/CPP構成である積層体を得た。
【0149】
得られた積層体のOPPフィルム面に、実施例1~27、比較例1~12のインキをRIテスター(株式会社明製作所製の簡易展色装置)を用いて、フィルムに対して、2~3g/m2の塗布量となるように印刷した。刷後の塗膜は直ちに、岩崎電気社製電子線照射機EC250/15/180Lを使用し、加速電圧110kV、電子線量30kGyにて硬化させ、インキ層/OPP/接着剤層/CPPの構成である積層体を得た。次に、得られた印刷物を9cm×9cmに切り出したものを3枚作製し、3枚を印刷面と非印刷面が接触するように重ね合わせ、1kg/dm2の荷重付加にて25℃、50%環境条件下にて10日間保持した。その後、3枚の内の中央の印刷物を取り出し、その非印刷面の面積0.5dm2に対して、50mlの95%エタノールが接触するように、マイグレーションセルにセットした。その後、攪拌を加えながら、60℃にて10日間かけて残留モノマー(未反応の(メタ)アクリレート成分)を抽出した。マイグレーションセルは、器具により完全に密閉されており、上記工程において内容物の損失や、内容物(抽出物)へのその他成分の混入は完全に抑制できる。
次に、Bruker Daltonics社製の四重極-飛行時間型質量分析計、及び
島津製作所製のLC30Aシリーズ液体クロマトグラフを用いて、上記抽出物の分析を行
ない、エタノール中に存在する(メタ)アクリレート成分(A)として、(メタ)アクリ
レート化合物の各々の濃度を求めた。さらに、下記基準にしたがってマイグレーション耐
性を評価した。産業上実用可能なレベルは「3」以上であるが、「4」以上がより好ましい。
【0150】
(マイグレーション耐性の評価基準)
5:(メタ)アクリレート成分(A)のうち、最もマイグレーション量の多い(メタ)
アクリレート化合物の濃度が10ppb未満である
4:(メタ)アクリレート成分(A)のうち、最もマイグレーション量の多い(メタ)
アクリレート化合物の濃度が10ppb以上、25ppb未満である
3:(メタ)アクリレート成分(A)のうち、最もマイグレーション量の多い(メタ)
アクリレート化合物の濃度が25ppb以上、50ppb未満である
2:(メタ)アクリレート成分(A)のうち、最もマイグレーション量の多い(メタ)
アクリレート化合物の濃度が50ppb以上、100ppb未満である
1:(メタ)アクリレート成分(A)のうち、最もマイグレーション量の多い(メタ)
アクリレート化合物の濃度が100ppb以上である
【0151】
<印刷適性の評価>
実施例1~27及び比較例1~12で得られたインキ及びニスを用いて印刷試験を行った。印刷試験は、Comexi CI-8(Comexi社製のオフセット印刷機)を用い、OPPフィルム(フタムラ化学株式会社製 FOR(30μm))に対して実施した。印刷速度は、200m/分、EB照射条件は、110kV、30kGyにて実施した。
また、印刷試験では湿し水としてSUNFOUNT S27H(SUNCHRMICAL社製)3.0%を含む水道水を使用した。正常に印刷できる条件範囲の境界付近における印刷状態の比較を行うために、水巾の下限値よりも2%高い水ダイヤル値で印刷を行った。なお「水巾の下限」とは、正常な印刷が可能である、湿し水の最低供給量を意味し、「水ダイヤル」とは、上記湿し水の供給量を調整するために、上記印刷機に備えられたダイヤルを意味する。
【0152】
(皮膜強度試験)
実施例1~27及び比較例1~12のインキを印刷して得られた印刷物の表面を、99.5%エタノール溶液に浸漬した綿棒を使用して、1秒あたり1往復で擦り、硬化膜表面が削れるまでの往復回数を以下の基準に従い5段階で評価した。産業上実用可能なレベルは「3」以上であるが、「4」以上がより好ましい。
5:100回以上
4:50回以上100回未満
3:30回以上50回未満
2:10回以上30回未満
1:10回未満
【0153】
(高速印刷適性試験)
実施例1~27及び比較例1~12で得られたインキにおいて、印刷速度以外の条件を固定した条件で、印刷速度を100m/分にて基準濃度に調整した後、200m/分へ印刷速度を増加させ、500m印刷した際の濃度変動を以下の基準に従い、初期濃度安定性を5段階で評価した。実用可能なレベルは「3」以上であるが、「4」以上がより好ましい。
5:濃度変動が±5%未満
4:濃度変動が±5%以上、10%未満
3:濃度変動が±10%以上、15%未満
2:濃度変動が±15%以上、20%未満
1:濃度変動が±20%以上
【0154】
(地汚れ耐性試験)
上記印刷試験において、印刷長さが長くなってくると、湿し水を供給しているローラーに徐々にインキが付着してくる。湿し水の供給量が少なくなってくると、印刷物の画像形成をしている非画線部(インキが載ってはいけない箇所)にインキが載りやすくなる。これらの結果から、印刷長さが長くなると、印刷物上に汚れが発生しやすくなる。このような汚れに対する耐性について、上記の理由から水ダイヤルを水巾の下限値よりも2%高い水ダイヤル値に設定し、印刷物を目視で確認し、以下の基準に従い、5段階で評価した。実用可能なレベルは「3」以上であるが、「4」以上がより好ましい。
5:8,000mの印刷で、特にフィルム上に地汚れが確認できない。
4:6,000m以上8,000m未満の印刷で、非画線部に地汚れが発生する。
3:4,000m以上6,000m未満の印刷で、非画線部に地汚れが発生する。
2:2,000m以上4,000m未満の印刷で、非画線部に地汚れが発生する。
1:2,000m未満の印刷で、非画線部に地汚れが発生する。
【0155】
【0156】
以上のように、本願発明によって、各フィルム基材に対して優れた密着性を付与し、パッケージ市場において重要な低マイグレーション性や輸送耐性を付与し、且つ健康や環境に対する安全性に優れた電子線硬化型組成物、および、該電子線硬化型組成物を用いた積層体を提供することができた。また、電子線硬化型組成物をインキとして用いる場合に、印刷適性に優れる電子線硬化型組成物を提供することができた。
【要約】
【課題】本本発明の目的は、環境や健康に対する安全性を向上し、食品包材にも使用可能である低マイグレーション性を有し、且つ、フィルム基材への優れた密着性及び皮膜強度を両立することができ、かつ印刷時の作業性が良好である電子線硬化型組成物、および、該電子線硬化型組成物を用いた積層体を提供することである。また、本発明のさらなる課題は、電子線硬化型組成物をインキとして用いる場合に、印刷適性に優れる電子線硬化型組成物を提供することである。
【解決手段】上記課題は、重量平均分子量5000~50000の樹脂(A)と、重量平均分子量が700以上~3000であり、かつ、(メタ)アクリロイル基1つあたりの重量平均分子量が100~300である(メタ)アクリレート化合物(B)と、顔料(C)とを含む電子線硬化型組成物により解決できる。
【選択図】なし