(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】遮断制御装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20240730BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240730BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20240730BHJP
H02H 3/087 20060101ALI20240730BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240730BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B60R16/02 645A
B60L3/00 H
B60L3/00 S
B60L58/10
H02H3/087
H02H7/18
H02J7/00 S
(21)【出願番号】P 2023505084
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 JP2021021893
(87)【国際公開番号】W WO2022190401
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】P 2021037884
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 純司
(72)【発明者】
【氏名】川上 貴史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 成治
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-309546(JP,A)
【文献】国際公開第2020/026859(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/137451(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/174828(WO,A1)
【文献】特開2016-217869(JP,A)
【文献】特開2005-005243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60L 3/00
B60L 58/10
H02H 3/087
H02H 7/18
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電部と、
前記蓄電部と負荷の間において電力が伝送される経路である電力路と、
前記電力路において前記蓄電部側から前記負荷側へ電力が供給されることを遮断する遮断状態と前記遮断状態を解除した解除状態とに切り替わる遮断部と、
を有する車載システムにおいて、前記遮断部を制御する遮断制御装置であって、
前記車載システムは、前記遮断部が第1遮断部と第2遮断部とを有し、前記第1遮断部が前記解除状態のときに前記電力路において第1の過電流状態が発生した場合に前記第2遮断部が前記遮断状態となるシステムであり、
前記電力路が第2の過電流状態である場合に前記第1遮断部に対して前記遮断状態への切り替えを指示する制御装置を備え、
前記
制御装置は、衝突検知センサが車両の衝突を検知した場合に、前記第1遮断部に対して前記遮断状態への切り替えを指示し、
前記制御装置は、第1装置と、第2装置とを有し、
前記第1装置は、前記衝突検知センサが車両の衝突を検知した場合又は前記第2の過電流状態が発生した場合に前記第1遮断部を前記遮断状態に切り替え、
前記第2装置は、前記第1の過電流状態が発生した場合に前記第2遮断部を前記遮断状態に切り替える遮断制御装置。
【請求項2】
前記車載システムは、前記電力路を流れる電流の状態を検知する第1検知部と、前記電力路を流れる電流の状態を検知する第2検知部と、を有し、
前記制御装置は、前記第1検知部又は前記第2検知部のいずれかの検知結果が前記第2の過電流状態を示す場合に前記第1遮断部に対して前記遮断状態への切り替えを指示する請求項1に記載の遮断制御装置。
【請求項3】
前記
制御装置は、前記第2検知部が故障した場合、前記第2検知部が故障したことを外部へ通知する請求項2に記載の遮断制御装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第
1検知部が故障した場合、前記第2検知部
の前記検知結果に基づいて前記第1遮断部に対して前記遮断状態への切り替えを指示する請求項
2又は請求項3に記載の遮断制御装置。
【請求項5】
前記
第1装置が故障した場合、前記第2
装置は、前記第2遮断部を前記遮断状態に切り替える請求項
1に記載の遮断制御装置。
【請求項6】
前記第1装置が故障した場合、前記第2装置は、前記第
1装置が故障したことを外部へ通知する請求項
5に記載の遮断制御装置。
【請求項7】
蓄電部と、
前記蓄電部と負荷の間において電力が伝送される経路である電力路と、
前記電力路において前記蓄電部側から前記負荷側へ電力が供給されることを遮断する遮断状態と前記遮断状態を解除した解除状態とに切り替わる遮断部と、
を有する車載システムにおいて、前記遮断部を制御する遮断制御装置であって、
前記車載システムは、前記遮断部が第1遮断部と第2遮断部とを有し、前記第1遮断部が前記解除状態のときに前記電力路において第1の過電流状態が発生した場合に前記第2遮断部が前記遮断状態となるシステムであり、
前記電力路が第2の過電流状態である場合に前記第1遮断部に対して前記遮断状態への切り替えを指示する制御装置を備え、
前記車載システムは、前記電力路を流れる電流の状態を検知する検知部を有し、
前記制御装置は、前記検知部の検知結果と、各電流値の電流が前記第1遮断部に流れたときの遮断までの各時間を定めた第1遮断特性と、に基づいて前記第1遮断部の遮断を制御し、前記検知部の検知結果と、各電流値の電流が前記第2遮断部に流れたときの遮断までの各時間を定めた第2遮断特性と、に基づいて前記第2遮断部の遮断を制御し、
前記第1の過電流状態は、前記電力路に流れる電流と、前記電流が前記電力路に流れる時間とが、前記第2遮断特性に基づく遮断条件を満たした状態であり、
前記第2の過電流状態は、前記電力路に流れる電流と、前記電流が前記電力路に流れる時間とが、前記第1遮断特性に基づく遮断条件を満たした状態であり、
前記第1遮断特性よりも前記第2遮断特性のほうが、各電流値の電流が流れたときの遮断までの各時間が短い遮断制御装置。
【請求項8】
前記車載システムは、前記遮断状態と前記解除状態とに切り替わるリレーを有し、
前記制御装置は、前記検知部の検知結果と、各電流値の電流が前記リレーに流れたときの遮断までの各時間を定めた第3遮断特性と、に基づいて前記リレーの遮断を制御し、
前記第3遮断特性よりも前記第1遮断特性及び前記第2遮断特性のほうが、各電流値の電流が流れたときの遮断までの各時間が短い
請求項7に記載の遮断制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遮断制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の衝突を検知すると、高電圧のバッテリと複数の負荷との間の電力路に介在して設けられた制御システムが電力路を高電圧のバッテリ側と、複数の負荷側と、に分断する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される技術は、電力路に流れる電流が複数の過電流状態になることを想定する観点で対策が不十分であり、各過電流状態に合わせた制御を適切に行うことはできない。
【0005】
本開示は上述した事情に基づいてなされたものであり、複数の過電流状態を想定し、各過電流状態に合わせた制御を行うことができる遮断制御装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の遮断制御装置は、
蓄電部と、
前記蓄電部と負荷の間において電力が伝送される経路である電力路と、
前記電力路において前記蓄電部側から前記負荷側へ電力が供給されることを遮断する遮断状態と前記遮断状態を解除した解除状態とに切り替わる遮断部と、
を有する車載システムにおいて、前記遮断部を制御する遮断制御装置であって、
前記車載システムは、前記遮断部が第1遮断部と第2遮断部とを有し、前記第1遮断部が前記解除状態のときに前記電力路において第1の過電流状態が発生した場合に前記第2遮断部が前記遮断状態となるシステムであり、
前記電力路が第2の過電流状態である場合に前記第1遮断部に対して前記遮断状態への切り替えを指示する制御装置を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、複数の過電流状態を想定し、各過電流状態に合わせた制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る遮断制御装置を備えた車載システムを例示するブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る遮断制御装置の第1装置における処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る遮断制御装置の第2装置における処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態2に係る遮断制御装置を備えた車載システムを例示するブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態2における各遮断部、リレーの遮断特性、及び電力路における許容電力特性を例示するグラフである。
【
図6】
図6は、実施形態2に係る遮断制御装置の制御装置における遮断特性に基づいた第2遮断部の遮断制御の流れを例示するフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る遮断制御装置の制御装置における遮断特性に基づいた第1遮断部の遮断制御の流れを例示するフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態2に係る遮断制御装置の制御装置における遮断特性に基づいたリレーの遮断制御の流れを例示するフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る遮断制御装置の制御装置における温度に基づいた遮断制御の流れを例示するフローチャートである。
【
図10】
図10は、他の実施形態に係る遮断制御装置を備えた車載システムを例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕本開示の遮断制御装置は、蓄電部と、蓄電部と負荷の間において電力が伝送される経路である電力路と、電力路において蓄電部側から負荷側へ電力が供給されることを遮断する遮断状態と遮断状態を解除した解除状態とに切り替わる遮断部と、を有する車載システムにおいて、遮断部を制御する。車載システムは、遮断部が第1遮断部と第2遮断部とを有し、第1遮断部が解除状態のときに電力路において第1の過電流状態が発生した場合に第2遮断部が遮断状態となるシステムである。電力路が第2の過電流状態である場合に第1遮断部に対して遮断状態への切り替えを指示する制御装置を備える。
【0011】
上記〔1〕の遮断制御装置は、電力路が第1の過電流状態のときに第1遮断部を解除状態で維持しつつ第2遮断部を遮断状態に切り替え得るシステムに適用することができる。そして、上記遮断制御装置は、上記システムにおいて、電力路が第2の過電流状態となった場合に第1遮断部を遮断状態に切り替えて保護を図ることができ、第1の過電流状態と第2の過電流状態とで制御を使い分けることができる。よって、上記遮断制御装置は、複数の過電流状態を想定し、各過電流状態に合わせた制御を行うことができる。
【0012】
〔2〕上記〔1〕の遮断制御装置において、制御装置は、衝突検知センサが車両の衝突を検知した場合に、第1遮断部に対して遮断状態への切り替えを指示し得る。
【0013】
例えば、特許文献1のものは、車両の衝突時において高電圧のバッテリから複数の負荷への電力の供給を即座に停止するとともに、車体への漏電を防止することができる。しかし、高電圧のバッテリから車体への漏電の原因は、車両の衝突に限らない。このため、特許文献1のものは、車両の衝突以外の原因によって生じる高電圧のバッテリから車体への漏電を防止することができない。これに対して、上記〔2〕の遮断制御装置は、車両の衝突だけでなく、電力路における過電流状態も加味して蓄電部から負荷への電力の供給を遮断し、蓄電部から車体への漏電を良好に防止することができる。
【0014】
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕の遮断制御装置において、車載システムは、電力路を流れる電流の状態を検知する第1検知部と、電力路を流れる電流の状態を検知する第2検知部と、を有している。制御装置は、第1検知部又は第2検知部のいずれかの検知結果が第2の過電流状態を示す場合に第1遮断部に対して遮断状態への切り替えを指示し得る。
【0015】
上記〔3〕の遮断制御装置は、第1検知部、及び第2検知部のうちいずれか一方が故障した場合であっても、他方によって電力路における電流の状態を検知し続けることができる。
【0016】
〔4〕上記〔3〕の遮断制御装置において、制御装置は、第2検知部が故障した場合、第2検知部が故障したことを外部へ通知し得る。
【0017】
上記〔4〕の遮断制御装置は、第2検知部の故障に応じて、車両の動作を適切に制御させ易くすることができる。
【0018】
〔5〕上記〔3〕又は〔4〕の遮断制御装置において、制御装置は、第1検知部が故障した場合、第2検知部の検知結果に基づいて第1遮断部に対して遮断状態への切り替えを指示し得る。
【0019】
上記〔5〕の遮断制御装置は、第1検知部が故障した場合でも第2検知部を用いて電力路における電流状態を検知し続けて、第1遮断部を遮断状態に切り替える制御を継続して行うことができる。
【0020】
〔6〕上記〔1〕から〔5〕までのいずれかの遮断制御装置において、第1の過電流状態において電力路に流れる電流の大きさは、第1閾値以上であり、第2の過電流状態において電力路に流れる電流の大きさは、第2閾値以上である。第1閾値は、第2閾値よりも小さくし得る。
【0021】
上記〔6〕の遮断制御装置は、電力路に流れる電流の大きさに対応して各遮断部を適切に遮断状態に切替えることができる。
【0022】
〔7〕上記〔2〕から〔5〕、及び〔2〕を直接的又は間接的に引用する〔6〕のいずれかの遮断制御装置において、制御装置は、第1装置と、第2装置とを有している。第1装置は、衝突検知センサが車両の衝突を検知した場合又は第2の過電流状態が発生した場合に第1遮断部を遮断状態に切り替え、第2装置は、第1の過電流状態が発生した場合に第2遮断部を遮断状態に切り替え得る。
【0023】
上記〔7〕の遮断制御装置は、制御装置を各遮断部に個別に対応させ易いため、各遮断部の特性に特化した遮断状態への切り替え制御を行い易い。
【0024】
〔8〕上記〔7〕の遮断制御装置において、第1装置が故障した場合、第2装置は、第2遮断部を遮断状態に切り替え得る。
【0025】
上記〔8〕の遮断制御装置は、第1装置及び第2装置の2つの制御装置による制御が成立しなくなる事態に陥った場合に第2遮断部を遮断状態に切替えるので、制御装置の冗長性が保てない場合における蓄電部から負荷への電力の供給を制限することができる。
【0026】
〔9〕上記〔8〕の遮断制御装置において、第1装置が故障した場合、第2装置は、第1装置が故障したことを外部へ通知し得る。
【0027】
上記〔9〕の遮断制御装置は、第1装置の故障に応じて、車両の動作を適切に制御させ易くすることができる。
【0028】
〔10〕上記〔1〕の遮断制御装置において、車載システムは、電力路を流れる電流の状態を検知する検知部を有する。制御装置は、検知部の検知結果と、各電流値の電流が第1遮断部に流れたときの遮断までの各時間を定めた第1遮断特性と、に基づいて第1遮断部の遮断を制御する。制御装置は、検知部の検知結果と、各電流値の電流が第2遮断部に流れたときの遮断までの各時間を定めた第2遮断特性と、に基づいて第2遮断部の遮断を制御する。第1の過電流状態は、電力路に流れる電流と、電流が電力路に流れる時間とが、第2遮断特性に基づく遮断条件を満たした状態であり、第2の過電流状態は、電力路に流れる電流と、電流が電力路に流れる時間とが、第1遮断特性に基づく遮断条件を満たした状態である。第1遮断特性よりも第2遮断特性のほうが、各電流値の電流が流れたときの遮断までの各時間が短くし得る。
【0029】
上記〔10〕の遮断制御装置は、第1遮断部及び第2遮断部の各々を、それぞれの遮断特性に従って制御することができる。そして、上記遮断制御装置は、第1遮断部よりも第2遮断部を先に遮断することができるため、第1遮断部よりも第2遮断部を先に遮断することが望まれる使用環境下において有利である。
【0030】
第1遮断特性は、各電流値の電流が第1遮断部に流れたときの遮断までの各時間を定めた特性である。例えば、第1遮断特性は、「第1遮断部に流れる電流値」をI1とし電流値I1の電流が第1遮断部に流れたときの「遮断までの時間」をt1とした場合、少なくとも所定の第1電流範囲において電流値I1と時間t1との関係を電流値ごとに定めている。そして、第1電流範囲における少なくともいずれかの電流値に関し、第1遮断特性において当該電流値に対応付けて定められた「遮断までの時間」以上にわたって当該電流値以上の電流が継続して第1遮断部に流れた場合が「第1遮断特性に基づく遮断条件を満たした状態」である。
【0031】
同様に、第2遮断特性は、各電流値の電流が第2遮断部に流れたときの遮断までの各時間を定めた特性である。例えば、第2遮断特性は、「第2遮断部に流れる電流値」をI2とし電流値I2の電流が第2遮断部に流れたときの「遮断までの時間」をt2とした場合、少なくとも所定の第2電流範囲において電流値I2と時間t2との関係を電流値ごとに定めている。そして、第2電流範囲における少なくともいずれかの電流値に関し、第2遮断特性において当該電流値に対応付けて定められた「遮断までの時間」以上にわたって当該電流値以上の電流が継続して第2遮断部に流れた場合が「第2遮断特性に基づく遮断条件を満たした状態」である。
【0032】
〔11〕上記〔10〕の遮断制御装置において、車載システムは、遮断状態と解除状態とに切り替わるリレーを有する。制御装置は、検知部の検知結果と、各電流値の電流がリレーに流れたときの遮断までの各時間を定めた第3遮断特性と、に基づいてリレーの遮断を制御する。第3遮断特性よりも第1遮断特性及び第2遮断特性のほうが、各電流値の電流が流れたときの遮断までの各時間が短くし得る。
【0033】
上記〔11〕の遮断制御装置は、リレーが遮断状態に切り替わる際にリレー内に生じるアークによってリレーが故障することを避け、リレーを保護するように第1遮断部及び第2遮断部を遮断状態に切り替えることができる。
【0034】
第3遮断特性は、各電流値の電流がリレーに流れたときの遮断までの各時間を定めた特性である。例えば、第3遮断特性は、「リレーに流れる電流値」をI3とし電流値I3の電流がリレーに流れたときの「遮断までの時間」をt3とした場合、少なくとも所定の第3電流範囲において電流値I3と時間t3との関係を電流値ごとに定めている。そして、第3電流範囲における少なくともいずれかの電流値に関し、第3遮断特性において当該電流値に対応付けて定められた「遮断までの時間」以上にわたって当該電流値以上の電流が継続してリレーに流れた場合が「第3遮断特性に基づく遮断条件を満たした状態」である。
[本開示の実施形態の詳細]
【0035】
<実施形態1>
〔車載システムの概要〕
遮断制御装置30を有する
図1に示す車載システム10は、車載用の電源システムとして構成されており、蓄電部91、電力路31、遮断部34、検知部38、及び遮断制御装置30に備えられた制御装置20等を備えている。車載システム10は、蓄電部91から蓄電部91と負荷94との間において電力が伝送される経路である電力路31を介して負荷94に対して電圧を印加し得る構成をなす。
【0036】
蓄電部91は、直流電圧を生じる直流電源であり、例えば、鉛バッテリ、LiB、オルタネーター、コンバータ等の電源手段が用いられている。蓄電部91には高電位側の端子と低電位側の端子が設けられ、高電位側の端子は電力路31に電気的に接続され、低電位側の端子は例えばグラウンドに電気的に接続されている。蓄電部91は、電力路31に対して所定の出力電圧を印加する構成をなしている。
【0037】
電力路31は、蓄電部91と負荷94との間において電力が伝送される経路となる電力経路であり、蓄電部91及び負荷94のそれぞれに電気的に接続されている。
【0038】
負荷94は、車載用電子部品であり、例えば、電動部品、ECU、ADAS対象部品等の製品が適用対象となる。負荷94は電力路31に電気的に接続されている。
【0039】
本開示において、「電気的に接続される」とは、接続対象の両方の電位が等しくなるように互いに導通した状態(電流を流せる状態)で接続される構成であることが望ましい。ただし、この構成に限定されない。例えば、「電気的に接続される」とは、両接続対象の間に電気部品が介在しつつ両接続対象が導通し得る状態で接続された構成であってもよい。
【0040】
遮断部34は、第1遮断部34A、及び第2遮断部34Bを有している。遮断部34は、電力路31において蓄電部91側から負荷94側へ電力が供給されることを遮断する遮断状態と、遮断状態を解除した解除状態とに切り替わる。第1遮断部34Aは、第2遮断部34Bよりも蓄電部91側の電力路31に介在して設けられ、第2遮断部34Bは、第1遮断部34Aよりも負荷94側の電力路31に介在して設けられている。第1遮断部34Aには、例えば、パイロヒューズ等が用いられる。第1遮断部34Aは、後述する制御装置20の第1装置20Aから駆動信号Dが与えられることによって、電力路31において蓄電部91側から負荷94側へ電力が供給されることを遮断する遮断状態にし、蓄電部91側から負荷94側への電力の供給を停止する。
【0041】
パイロヒューズは、例えば、駆動信号Dが与えられると、内蔵された火薬に引火し、火薬の爆発力を利用して自身に内蔵する蓄電部91側の電力路31と負荷94側の電力路31とを電気的に接続する導電路を瞬時に分割して遮断状態になる。このため、パイロヒューズは、リレー等に比べ、短時間で電力路31を遮断状態にすることができる。遮断状態に切り替わった第1遮断部34Aは、遮断状態を解除して蓄電部91側から負荷94側へ電力が供給されることを許容する解除状態に切り替わらない。
【0042】
第2遮断部34Bには、例えば、リレー、FET、トランジスタ等が用いられる。第2遮断部34Bは、後述する制御装置20の第2装置20Bから遮断信号C1が与えられることによって、電力路31において蓄電部91側から負荷94側へ電力が供給されることを遮断する遮断状態に切り替わる。第2遮断部34Bは、制御装置20の第2装置20Bから導通信号C2が与えられることによって、遮断状態を解除した解除状態に切り替わる。解除状態にされた第2遮断部34Bは、電力路31を介して蓄電部91側から負荷94側へ電力を供給することができる。第2遮断部34Bは、遮断信号C1が与えられてから電力路31を遮断状態にするまでに要する時間が第1遮断部34Aに比べて長い。
【0043】
検知部38は、第1検知部38A、及び第2検知部38Bを有している。第1検知部38Aは、第1遮断部34Aよりも蓄電部91側の電力路31に介在して設けられている。第2検知部38Bは、第1検知部38Aよりも蓄電部91側の電力路31に介在して設けられている。第1検知部38A、及び第2検知部38Bは、例えば、抵抗器及び差動増幅器を有し、電力路31を流れる電流を示す値(具体的には、電力路31を流れる電流の値に応じたアナログ電圧)を電流値Aとして出力し得る構成をなす。このように、第1検知部38A、及び第2検知部38Bは、電力路31に流れる電流の状態を検出するのである。
【0044】
第1検知部38Aが検知し得る電力路31における電流値の絶対値は、第2検知部38Bが検知し得る電流値Aの絶対値よりも大きい。第1検知部38Aの入出力誤差は、第2検知部38Bの入出力誤差よりも大きい。ここでいう、入出力誤差とは、電力路31に流れる電流の大きさと、この電流の大きさを示す電流値Aとの差である。第1検知部38Aの遅延時間は、第2検知部38Bの遅延時間よりも短い。ここでいう、遅延時間とは、電力路31に流れる電流が検知部に入力してから、検知部が電流値Aを出力するまでに要する時間である。つまり、第2検知部38Bは、第1検知部38Aに比べて高精度に電力路31の電流を検知することができる。そして、第1検知部38Aは、第2検知部38Bに比べて、電力路31に流れる電流を検知する速度が速い。
【0045】
遮断制御装置30は、遮断部34を制御する装置である。遮断制御装置30に備えられた制御装置20は、第1装置20A、及び第2装置20Bを有している。第1装置20A、及び第2装置20Bの各々は、例えば、マイクロコンピュータやFPGA等の制御を行い得る回路、及び部品等で構成される。第1装置20Aは、第1遮断部34Aを遮断状態に切り替える遮断駆動装置として動作し得る。第2装置20Bは第2遮断部34Bを遮断状態と解除状態とに切り替える電源監視装置として動作し得る。
【0046】
第1装置20Aは、車両内に設けられた衝突検知センサ50から出力される車両の衝突を検知した旨を知らせる衝突検知信号Nが入力される構成とされている。衝突検知センサ50には、サテライトセンサ等の公知のセンサが採用され得る。衝突検知センサ50は、車両の衝突を検知しない場合、第1装置20Aに衝突検知信号Nを出力しない。衝突検知センサ50は、車両の衝突を検知した場合、第1装置20Aに衝突検知信号Nを出力する。衝突検知センサ50が車両の衝突を検知して衝突検知信号Nを第1装置20Aに出力した場合、第1装置20Aは、第1遮断部34Aへ駆動信号Dを出力して、第1遮断部34Aに対して遮断状態への切り替えを指示する。
【0047】
さらに、第1装置20Aには、第1検知部38A、及び第2検知部38Bの各々が検知した電力路31における電流値Aが入力される構成とされている。第1装置20Aは、第1検知部38A、又は第2検知部38Bのいずれかから入力された検知結果である電流値Aに基づいて、第1遮断部34Aへの駆動信号Dの出力を制御する。具体的には、第1装置20Aは、第1検知部38A、又は第2検知部38Bのいずれかの検知結果である電流値Aが第2の過電流状態を示す場合に第1遮断部34Aに駆動信号Dを与え、第1遮断部34Aに対して遮断状態への切り替えを指示する。つまり、第1装置20Aは、衝突検知センサ50が車両の衝突を検知した場合、又は第2の過電流状態が発生した場合の第1遮断部34Aを遮断状態に切り替えるのである。なお、第2の過電流状態については、後述する。
【0048】
また、第1装置20Aは、第1検知部38Aが故障しているか否かを監視し得る構成とされている。第1装置20Aは、第1検知部38Aが故障していないと判別した場合、第1検知部38Aから入力される電流値Aに基づいて第1遮断部34Aへの駆動信号Dの出力を制御する。
【0049】
第1装置20Aは、第1検知部38Aが故障していると判別した場合、第2検知部38Bの検知結果である電流値Aに基づいて第1遮断部34Aへ駆動信号Dを出力し第1遮断部34Aに対して遮断状態への切り替えを指示する構成とされている。具体的には、第1装置20Aは、第1検知部38Aが故障していると判別した場合、第2検知部38Bから入力される電流値Aが第2の過電流状態を示す場合に第1遮断部34Aに駆動信号Dを与え、第1遮断部34Aに対して遮断状態への切り替えを指示する。第1装置20Aは、第1検知部38Aが故障していると判別した場合、第2装置20Bに対して、第1検知部38Aが故障していることを示す、第1検知部故障信号F1を出力する。
【0050】
第1装置20Aにおける、第1検知部38Aの故障を判定する構成の一例について説明する。第1装置20Aは、第1検知部38Aから入力される電流値Aを所定の時間毎に監視する構成とされている。第1装置20Aは、例えば、所定の時間毎に第1検知部38Aから入力される電流値Aを複数回分記憶する構成とされている。第1装置20Aは、記憶した複数回分の電流値Aの平均値と、第1検知部38Aから今回入力された電流値A(すなわち、最も新しい電流値A)との大きさを比較する。第1装置20Aは、こうして比較した結果、今回入力された電流値Aと、記憶した複数回分の電流値Aの平均値との差が、所定の値以上である場合に、第1検知部38Aが故障したと判別する。つまり、第1検知部38Aが電力路31における電流に対応した電流値Aを出力できない状態は、第1検知部38Aが故障した状態である。
【0051】
さらに、第1装置20Aは、自身が故障しているか否かを判定し得る構成とされている。衝突検知センサ50が車両の衝突を検知した場合、又は第2の過電流状態が発生した場合に第1遮断部34Aを遮断状態に切り替えることができない状態や、第1検知部38Aの故障を判定できない状態は、第1装置20Aが故障した状態である。第1装置20Aには、第1装置20Aを構成する各電子部品の状態を監視する監視部20Cが設けられている。監視部20Cは、例えば、マイクロコンピュータ等によって構成されている。監視部20Cは、第1装置20Aを構成する各電子部品のうちのいずれかが故障した場合、これを検知する。第1装置20Aは、監視部20Cが故障を検知した場合、第2装置20Bに対して、自身が故障したことを示す第1装置故障信号F2を出力する。
【0052】
第2装置20Bには、第2検知部38Bが検知した電力路31における電流値Aが入力される。第2装置20Bは、第1遮断部34Aが解除状態のときに第1の過電流状態が発生した場合に第2遮断部34Bに対して遮断信号C1を与え、第2遮断部34Bを遮断状態に切り替える。第2装置20Bは、第2検知部38Bから入力された電流値Aが第1の過電流状態でなく、且つ第2の過電流状態でない場合に第2遮断部34Bに対して導通信号C2を与え、第2遮断部34Bを解除状態にする。
【0053】
〔第1の過電流状態、及び第2の過電流状態について〕
ここで、第1の過電流状態、及び第2の過電流状態について説明する。第1の過電流状態において電力路31に流れる電流の大きさは、第1閾値以上、且つ第1閾値より大きい第2閾値未満である。つまり、第1閾値は、第2閾値よりも小さい。第1の過電流状態は、第2装置20Bにおいて、第2検知部38Bから入力された電流値Aを利用して判定する。具体的には、第2装置20Bが第2検知部38Bから入力された電流値A(すなわち、電力路31に流れる電流)の大きさが第1閾値以上、且つ第1閾値より大きい第2閾値未満であると判別した場合が第1の過電流状態に相当する。
【0054】
また、第2の過電流状態において電力路31に流れる電流の大きさは、第2閾値以上である。第2の過電流状態は、第1装置20Aにおいて、第1検知部38A、又は第2検知部38Bから入力された電流値Aを利用して判定する。具体的には、第1装置20Aが第1検知部38A、又は第2検知部38Bから入力された電流値A(すなわち、電力路31に流れる電流)の大きさが第2閾値以上であると判別した場合が第2の過電流状態に相当する。
【0055】
第2装置20Bは、第2検知部38Bから入力される電流値Aを所定の時間毎に監視することによって、第2検知部38Bが故障しているか否かを判定し得る構成とされている。第2装置20Bは、例えば、所定の時間毎に第2検知部38Bから入力される電流値Aを複数回分記憶する構成とされている。第2装置20Bは、記憶した複数回分の電流値Aの平均値と、第2検知部38Bから今回入力された電流値A(すなわち、最新の電流値A)との大きさを比較する。第2装置20Bは、こうして比較した結果、今回入力された電流値Aと、記憶した複数回分の電流値Aの平均値との差が、所定の値以上である場合に、第2検知部38Bが故障したと判別する。つまり、第2検知部38Bが電力路31における電流に対応した電流値Aを出力できない状態は、第2検知部38Bが故障した状態である。
【0056】
第2装置20Bは、第2検知部38Bが故障していると判別した場合、第2検知部38Bが故障していることを示す第2検知部故障信号F3を外部に出力して、第2検知部38Bが故障したことを外部に通知し得る構成とされている。さらに、第2装置20Bは、第1装置20Aから第1検知部故障信号F1や第1装置故障信号F2が入力されている場合、第1検知部故障信号F1や第1装置故障信号F2を外部に出力し得る構成とされている。つまり、第2装置20Bは、第1装置20Aが故障した場合、第1装置20Aが故障したことを外部に通知する。第2検知部38Bが故障し、且つ第1検知部38Aが故障していない状態である場合、第1装置20Aは、第1検知部38Aから入力された検知結果である電流値Aに基づいて、第1遮断部34Aへの駆動信号Dの出力を継続して制御し得る。第2検知部38Bが故障した場合、例えば、第2装置20Bは、第2遮断部34Bに導通信号C2を継続して与える構成とされている。
【0057】
外部に出力された第2検知部故障信号F3、第1検知部故障信号F1、及び第1装置故障信号F2は、例えば、表示器52の動作を制御する表示器制御装置51に出力され、表示器制御装置51を介して、表示器52やブザー等に出力される。表示器52は、例えば、車両のダッシュボードに設けられたランプ等である。また、これら故障信号F1,F2,F3は、表示器制御装置51を介さずに表示器52に直接出力することによって表示器52を直接動作させる構成であってもよい。また、これら故障信号F1,F2,F3は、外部のECUに出力する構成であってもよい。
【0058】
〔制御装置の動作について〕
次に、
図2、3等を参照しつつ、制御装置20の動作の一例について説明する。
図2に示すフローチャートは、所定の開始条件成立時に第1装置20Aによって実行される処理であり、
図3に示すフローチャートは、所定の開始条件成立時に第2装置20Bによって実行される処理である。
図2、3に示すフローチャートは、第1装置20A、及び第2装置20Bの各々において、平行して繰り返して行われる。
【0059】
〔第1装置における制御について〕
図2等を参照しつつ第2装置20Bにおいて実行される制御について説明する。先ず、ステップS1において、車両に設けられた始動スイッチ(イグニッションスイッチ)をオフ状態からオン状態に切り替える。次に、ステップS2に移行すると、第1装置20Aは、第1検知部38Aが故障しているか否かを判定する。
【0060】
ここで、ステップS2に移行する前に、第1装置20Aは、監視部20Cによって自身が故障しているか否かを判定してもよい。監視部20Cが故障を検知していない場合、第1装置20Aは、ステップS2に移行する。また、監視部20Cが故障を検知した場合、第1装置20Aは、第2装置20Bに対して、自身が故障したことを示す第1装置故障信号F2を出力して、
図2における処理の実行を終了してもよい。
【0061】
ステップS2において、第1検知部38Aが故障していないと第1装置20Aが判別(ステップS2におけるNo)すると、ステップS3に移行する。第1装置20Aは、ステップS3に移行すると、第1検知部38Aからの電流値Aを用いて電力路31に流れる電流の検知を行う。
【0062】
次に、ステップS4に移行すると、第1装置20Aは、電力路31に流れる電流が第2の過電流状態であるか否かを判定する。具体的には、第1装置20Aは、第1検知部38Aが検知した電力路31の電流値Aが、第2閾値以上であるかを判定する。第1装置20Aは、電流値Aが、第2閾値以上である場合、電力路31に流れる電流が第2の過電流状態であると判別(ステップS4におけるYes)し、ステップS5に移行する。第1装置20Aは、ステップS5に移行すると、第1遮断部34Aに駆動信号Dを送信して
図2における処理の実行を終了する。
【0063】
なお、衝突検知センサ50から衝突検知信号Nが入力されると、第1装置20Aは、いずれのステップを実行中であっても、直ちにステップS5に移行して、第1遮断部34Aに駆動信号Dを送信して、
図2における処理の実行を終了する。つまり、第1装置20Aは、車両の衝突を検知した衝突検知センサ50から衝突検知信号Nが入力された場合、強制的に第1遮断部34Aに駆動信号Dを送信する割り込み処理を実行する。
【0064】
第1装置20Aは、ステップS4において、電流値Aが、第2閾値未満である場合、電力路31に流れる電流が第2の過電流状態でないと判別(ステップS4におけるNo)すると、ステップS3に移行する。ステップS3に移行すると、第1装置20Aは、第1検知部38Aからの電流値Aを用いて電力路31に流れる電流の検知を再び行う。
【0065】
ステップS2において、第1検知部38Aが故障していると第1装置20Aが判別(ステップS2におけるYes)すると、ステップS6に移行する。第1装置20Aは、ステップS6に移行すると、第1検知部38Aの電流の検知を停止する。例えば、第1装置20Aは、第1検知部38Aから電流値Aが入力されても、その値を採用しないようにする。次に、ステップS7に移行すると、第1装置20Aは、第1検知部38Aが故障したことを示す第1検知部故障信号F1を第2装置20Bに出力する。
【0066】
ステップS8に移行すると、第1装置20Aは、第2検知部38Bをからの電流値Aを用いて電力路31に流れる電流の検知を行う。この場合、第2検知部38Bからの電流値Aは、第1装置20A、及び第2装置20Bの各々で利用された状態である。つまり、第1検知部38Aが故障した場合、第1装置20A、及び第2装置20Bは、第2検知部38Bからの電流値Aに基づいて、第1遮断部34A、及び第2遮断部34Bの各々に遮断状態への切り替えを指示する。
【0067】
ステップS9に移行すると、第1装置20Aは、電力路31に流れる電流が第2の過電流状態であるか否かを判定する。具体的には、第1装置20Aは、第2検知部38Bが検知した電力路31の電流値Aが、第2閾値以上であるかを判定する。第1装置20Aは、第2検知部38Bが検知した電力路31の電流値Aが、第2閾値以上である場合、電力路31に流れる電流が第2の過電流状態であると判別(ステップS9におけるYes)し、ステップS5に移行する。第1装置20Aは、ステップS5に移行すると、第1遮断部34Aに駆動信号Dを送信して
図2における処理の実行を終了する。
【0068】
第1装置20Aは、ステップS9において、電流値Aが、第2閾値未満である場合、電力路31に流れる電流が第2の過電流状態でないと判別(ステップS9におけるNo)すると、ステップS8に移行する。ステップS8に移行すると、第1装置20Aは、第2検知部38Bからの電流値Aを用いて電力路31に流れる電流の検知を再び行う。
【0069】
〔第2装置における制御について〕
図3等を参照しつつ第2装置20Bにおいて実行される制御について説明する。先ず、ステップS1において、車両に設けられた始動スイッチ(イグニッションスイッチ)をオフ状態からオン状態に切り替える。次に、ステップS12に移行すると、第2装置20Bは、第2検知部38Bが故障しているか否かを判定する。
【0070】
ここで、ステップS12に移行する前に、第2装置20Bは、第1装置20Aから第1検知部故障信号F1、又は第1装置故障信号F2が入力されているか否かを判定してもよい。第1装置20Aから第1検知部故障信号F1、及び第1装置故障信号F2が入力されていない場合、第2装置20Bは、ステップS12に移行する。また、第1装置20Aから第1検知部故障信号F1、又は第1装置故障信号F2が入力されている場合、第2装置20Bは、第1検知部故障信号F1や第1装置故障信号F2を外部に出力して、
図3における処理の実行を終了してもよい。
【0071】
ステップS12において、第2検知部38Bが故障していると第2装置20Bが判別(ステップS12におけるYes)すると、ステップS13に移行する。第2装置20Bは、ステップS13に移行すると、第2検知部38Bが故障していることを示す第2検知部故障信号F3を外部に出力し
図3における処理の実行を終了する。
【0072】
ステップS12において、第2検知部38Bが故障していないと第2装置20Bが判別(ステップS12におけるNo)すると、ステップS14に移行する。第2装置20Bは、ステップS14に移行すると、第2検知部38Bからの電流値Aを用いて電力路31に流れる電流の検知を行う。
【0073】
次に、ステップS15に移行すると、第2装置20Bは、電力路31に流れる電流が第1の過電流状態であるか否かを判定する。具体的には、第2装置20Bは、第2検知部38Bが検知した電力路31に流れる電流を示す電流値Aが、第1閾値以上であり、第1閾値よりも大きい第2閾値未満であるかを判定する。第2装置20Bは、電流値Aが、第1閾値以上であり、第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、電力路31に流れる電流が第1の過電流状態であると判別(ステップS15におけるYes)すると、ステップS16に移行する。第2装置20Bは、ステップS16に移行すると、第2遮断部34Bに遮断信号C1を送信して
図3における処理の実行を終了する。
【0074】
第2装置20Bは、ステップS15において、電流値Aが、第1閾値未満である場合、電力路31に流れる電流が第1の過電流状態でないと判別(ステップS15におけるNo)すると、ステップS14に移行する。ステップS14に移行すると、第2装置20Bは、第2検知部38Bからの電流値Aを用いて電力路31に流れる電流の検知を再び行う。
【0075】
次に、本構成の効果を例示する。
本開示の遮断制御装置30は、蓄電部91と、蓄電部91と負荷94の間において電力が伝送される経路である電力路31と、電力路31において蓄電部91側から負荷94側へ電力が供給されることを遮断する遮断状態と遮断状態を解除した解除状態とに切り替わる遮断部34と、を有する車載システム10において、遮断部34を制御する。車載システム10は、遮断部34が第1遮断部34Aと第2遮断部34Bとを有し、第1遮断部34Aが解除状態のときに電力路31において第1の過電流状態が発生した場合に第2遮断部34Bが遮断状態となるシステムである。遮断制御装置30は、電力路31が第2の過電流状態である場合に第1遮断部34Aに対して遮断状態への切り替えを指示する制御装置20を備える。この構成によれば、電力路31が第1の過電流状態のときに第1遮断部34Aを解除状態で維持しつつ第2遮断部34Bを遮断状態に切り替え得るシステムに適用することができる。そして、遮断制御装置30は、上記システムにおいて、電力路31が第2の過電流状態となった場合に第1遮断部34Aを遮断状態に切り替えて保護を図ることができ、第1の過電流状態と第2の過電流状態とで制御を使い分けることができる。よって、遮断制御装置30は、複数の過電流状態を想定し、各過電流状態に合わせた制御を行うことができる。
【0076】
本開示の遮断制御装置30の制御装置20は、衝突検知センサ50が車両の衝突を検知した場合に、第1遮断部34Aに対して遮断状態への切り替えを指示する。この構成によれば、車両の衝突だけでなく、電力路31における電流の状態も加味して蓄電部91から負荷94への電力の供給を遮断し、蓄電部から車体への漏電を良好に防止することができる。
【0077】
本開示の車載システム10は、電力路31を流れる電流の状態を検知する第1検知部38Aと、電力路31を流れる電流の状態を検知する第2検知部38Bと、を有している。制御装置20は、第1検知部38A又は第2検知部38Bのいずれかの検知結果が第2の過電流状態を示す場合に第1遮断部34Aに対して遮断状態への切り替えを指示する。この構成によれば、遮断制御装置30は、第1検知部38A、及び第2検知部38Bのうちいずれか一方が故障した場合であっても、他方によって電力路31における電流の状態を検知し続けることができる。
【0078】
本開示の遮断制御装置30の制御装置20は、第2検知部38Bが故障した場合、第2検知部38Bが故障したことを外部へ通知する。この構成によれば、遮断制御装置30は、第2検知部38Bの故障に応じて、車両の動作を適切に制御させ易くすることができる。
【0079】
本開示の遮断制御装置30の制御装置20は、第1検知部38Aが故障した場合、第2検知部38Bの検知結果に基づいて第1遮断部34Aに対して遮断状態への切り替えを指示する。この構成によれば、遮断制御装置30は、第1検知部38Aが故障した場合でも第2検知部38Bを用いて電力路31における電流状態を検知し続けて、第1遮断部34Aを遮断状態に切り替える制御を継続して行うことができる。
【0080】
本開示の遮断制御装置30において、第1の過電流状態において電力路31に流れる電流の大きさは、第1閾値以上であり、第2の過電流状態において電力路31に流れる電流の大きさは、第2閾値以上であり、第1閾値は、第2閾値よりも小さい。この構成によれば、遮断制御装置30は、電力路31に流れる電流の大きさに対応して各遮断部を適切に遮断状態に切替えることができる。
【0081】
本開示の遮断制御装置30の制御装置20は、第1装置20Aと、第2装置20Bとを有している。第1装置20Aは、衝突検知センサ50が車両の衝突を検知した場合又は第2の過電流状態が発生した場合に第1遮断部34Aを遮断状態に切り替える。第2装置20Bは、第1の過電流状態が発生した場合に第2遮断部34Bを遮断状態に切り替える。この構成によれば、遮断制御装置30は、制御装置20を各遮断部に個別に対応させ易いため、各遮断部の特性に特化した遮断状態への切り替え制御を行い易い。
【0082】
本開示の遮断制御装置30において、第1装置20Aが故障した場合、第2装置20Bは、第1装置20Aが故障したことを外部へ通知する。この構成によれば、遮断制御装置30は、第1装置20Aの故障に応じて、車両の動作を適切に制御させ易くすることができる。
【0083】
<実施形態2>
実施形態2の遮断制御装置130を有する車載システム110は、電力路131、遮断部134、検知部138の構成が実施形態1と異なる点、リレー136、及び温度検知部137を備えている点等が実施形態1と異なる。実施形態1と同様の構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0084】
〔車載システムの概要〕
遮断制御装置130を有する
図4に示す車載システム110は、蓄電部91、電力路131、遮断部134、検知部138、リレー136、温度検知部137、及び制御装置120(遮断制御装置130)等を備えている。
【0085】
電力路131は、高電位側電力路131A、及び低電位側電力路131Bを有している。蓄電部91の高電位側の端子は、高電位側電力路131Aに電気的に接続されている。蓄電部91の低電位側の端子は、低電位側電力路131Bに電気的に接続されている。蓄電部91は、高電位側電力路131Aと低電位側電力路131Bとの間に所定の電位差(すなわち、出力電圧)を生じさせる。
【0086】
高電位側電力路131Aは、負荷94の正極に電気的に接続されている。低電位側電力路131Bは、負荷94のグラウンド端子に電気的に接続されている。
【0087】
遮断部134は、第1遮断部134E、第2遮断部134Fを有している。第1遮断部134Eは、第1高電位側遮断部134A、及び第1低電位側遮断部134Cを有している。第1高電位側遮断部134A、及び第1低電位側遮断部134Cには、例えば、パイロヒューズ等が用いられる。第2遮断部134Fは、第2高電位側遮断部134B、及び第2低電位側遮断部134Dを有している。第2高電位側遮断部134B、及び第2低電位側遮断部134Dには、例えば、FETが用いられる。
【0088】
第1高電位側遮断部134A、第2高電位側遮断部134Bは、高電位側電力路131Aに介在して設けられている。第1高電位側遮断部134Aは、第2高電位側遮断部134Bよりも蓄電部91側の高電位側電力路131Aに介在して設けられ、第2高電位側遮断部134Bは、第1高電位側遮断部134Aよりも負荷94側の高電位側電力路131Aに介在して設けられている。第1低電位側遮断部134C、第2低電位側遮断部134Dは、低電位側電力路131Bに介在して設けられている。第1低電位側遮断部134Cは、第2低電位側遮断部134Dよりも蓄電部91側の低電位側電力路131Bに介在して設けられ、第2低電位側遮断部134Dは、第1低電位側遮断部134Cよりも負荷94側の低電位側電力路131Bに介在して設けられている。
【0089】
第1高電位側遮断部134A、及び第1低電位側遮断部134Cは、制御装置120の第1装置20Aから駆動信号Dが与えられることによって、遮断状態になる。第2高電位側遮断部134B、及び第2低電位側遮断部134Dは、制御装置120の第2装置20Bから遮断信号C1が与えられることによって、遮断状態に切り替わる。第2高電位側遮断部134B、及び第2低電位側遮断部134Dは、制御装置20の第2装置20Bから導通信号C2が与えられることによって、解除状態に切り替わる。
【0090】
検知部138は、第2高電位側遮断部134Bよりも負荷94側の高電位側電力路131Aに介在して設けられている。検知部138は、例えば、抵抗器及び差動増幅器を有し、高電位側電力路131Aを流れる電流を示す値(具体的には、高電位側電力路131Aを流れる電流の値に応じたアナログ電圧)を電流値Aとして出力し得る構成をなす。つまり、検知部138は、電力路131を流れる電流の状態を検知する。
【0091】
リレー136は、高電位側リレー136A、及び低電位側リレー136Bを有している。高電位側リレー136A、及び低電位側リレー136Bは、例えば、公知のコンタクタや機械式リレー等が用いられる。高電位側リレー136Aは、検知部138よりも負荷94側の高電位側電力路131Aに介在して設けられている。低電位側リレー136Bは、第2低電位側遮断部134Dよりも負荷94側の低電位側電力路131Bに介在して設けられている。高電位側リレー136A、及び低電位側リレー136Bは、制御装置120の第2装置20Bから遮断信号C3が与えられることによって、遮断状態に切り替わる。高電位側リレー136A、及び低電位側リレー136Bは、制御装置20の第2装置20Bから導通信号C4が与えられることによって、解除状態に切り替わる。
【0092】
温度検知部137は、例えば、公知の温度センサによって構成され、電力路131や遮断部134の近傍に配置される。温度検知部137は、配置位置の温度(すなわち、電力路131や遮断部134の近傍の温度)を示す電圧値を温度値Vtとして出力し、制御装置120に入力し得る構成とされている。
【0093】
遮断制御装置130に備えられた制御装置120は、例えば、マイクロコンピュータやFPGA等の制御を行い得る回路、及び部品等で構成される。制御装置120は、遮断特性に基づいて遮断制御と、温度に基づいた遮断制御と、を実行し得る。
【0094】
〔遮断特性に基づいた遮断制御の概要〕
図5に、第1遮断部134E、第2遮断部134F、及びリレー136の各々における第1遮断特性Fc1、第2遮断特性Fc2、第3遮断特性Fc3と、電力路131における許容電流特性Fc4と、を示す。横軸には、高電位側電力路131Aに流れる電流値Aが対応する。縦軸には、高電位側電力路131Aを電流値Aの電流が流れている時間が対応する。高電位側電力路131Aに流れる電流値Aは、遮断部134、及びリレー136に流れる電流の電流値Aでもある。高電位側電力路131Aに電流値Aの電流が流れる時間は、遮断部134、及びリレー136に電流値Aの電流が流れる時間に相当する。
【0095】
第1遮断特性Fc1、第2遮断特性Fc2、第3遮断特性Fc3、及び許容電流特性Fc4は、例えば、制御装置120のメモリに、テーブルデータや関数等、検知部138からの電流値Aと比較し得る形式で記憶されている。横軸を、電力路131を流れる電流(各電流値A)とし、縦軸を各電流値Aのときの遮断までの各時間とするグラフ(すなわち、電流-時間特性を示すグラフ)において、第1遮断特性Fc1を示す曲線は、第2遮断特性Fc2を示す曲線よりも上位置である。そして、第3遮断特性Fc3を示す曲線は、第1遮断特性Fc1及び第2遮断特性Fc2を示す曲線よりも上位置である。
【0096】
第1遮断特性Fc1、第2遮断特性Fc2、及び第3遮断特性Fc3は、各電流値Aの電流が第1遮断部134E、第2遮断部134F、及びリレー136の各々に流れたときに遮断状態に切り替わるまでの各時間を定めている。電力路131の許容電流特性Fc4は、例えば、電力路131から発煙する電流値A及び通電時間を示している(すなわち、発煙特性。)。許容電流特性Fc4は、電力路131が有する電線やコネクタ等の電気部品の電気的特性に基づいたものであり、これら電気部品の電気的特性を合成して得たものである。許容電流特性Fc4は、電力路131に流れる電流値Aが大きい程、より短い時間で電力路131が発煙することを示している。
【0097】
図5に示すように、第1遮断部134Eの第1遮断特性Fc1よりも、第2遮断部134Fの第2遮断特性Fc2のほうが、各電流値Aの電流が流れたときの遮断状態に切り替わる各時間が短い。例えば、第1遮断部134EにH1(A)の電流が流れる場合に第1遮断特性Fc1に従って第1遮断部134Eが遮断されるまでの時間T1(以下、単に第1遮断部134Eの遮断時間T1ともいう)よりも、第2遮断部134FにH1(A)の電流が流れる場合に第2遮断特性Fc2に従って第2遮断部134Fが遮断されるまでの時間T2(以下、単に第2遮断部134Fの遮断時間T2ともいう)のほうが短い。同様に、第1遮断部134EにH2(A)の電流が流れた場合の第1遮断部134Eの遮断時間T3よりも、第2遮断部134FにH2(A)の電流が流れる場合の第2遮断部134Fの遮断時間T4のほうが短い。
【0098】
また、リレー136の第3遮断特性Fc3よりも、第1遮断部134Eの第1遮断特性Fc1、及び第2遮断部134Fの第2遮断特性Fc2のほうが、各電流値Aの電流が流れたときの遮断状態に切り替わる各時間が短い。例えば、リレー136にH1(A)の電流が流れる場合に、第3遮断特性Fc3に従ってリレー136が遮断されるまでの時間T5(以下、単にリレー136の遮断時間T5ともいう)よりも、第1遮断部134EにH1(A)の電流が流れる場合の第1遮断部134Eの遮断時間T1、及び第2遮断部134Fの遮断時間T2のほうが短い。同様に、リレー136にH2(A)の電流が流れる場合のリレー136の遮断時間T6よりも、第1遮断部134EにH2(A)の電流が流れる場合の第1遮断部134Eの遮断時間T3、及び第2遮断部134Fの遮断時間T4のほうが短い。
【0099】
いずれの電流H1、H2に着目した場合でも、第1遮断部134EにH(A)の電流が流れる場合の第1遮断部134Eの遮断時間よりも、第2遮断部134FにH(A)の電流が流れる場合の第2遮断部134Fの遮断時間のほうが短い。そして、リレー136にH(A)の電流が流れる場合のリレー136の遮断時間よりも、第1遮断部134EにH(A)の電流が流れる場合の第1遮断部134Eの遮断時間、及び第2遮断部134Fの遮断時間のほうが短い。
【0100】
また、電力路131に各電流値Aの電流が流れたときに発煙するまでの各時間よりも、第1遮断特性Fc1、第2遮断特性Fc2、及び第3遮断特性Fc3のほうが、各電流値Aの電流が流れたときの遮断状態に切り替わる各時間が短い。これによって、第1遮断部134E、第2遮断部134F、及びリレー136の各々が、第1遮断特性Fc1、第2遮断特性Fc2、第3遮断特性Fc3に従って遮断状態に切り替わることによって、電力路131からの発煙を防止することができる。
【0101】
第1遮断特性Fc1、第2遮断特性Fc2、及び第3遮断特性Fc3は、電流値Aが大きい程、より短い時間で遮断部134、リレー136が遮断状態に切り替わることを示している。第1遮断特性Fc1、第2遮断特性Fc2、及び第3遮断特性Fc3の各々において、遮断状態に切り替わる電流値Aの最小値は、B1,B2,B3である。B1,B2,B3は、各々の遮断特性における遮断閾値である。また、第1遮断特性Fc1、第2遮断特性Fc2、第3遮断特性Fc3の各々における電流値Aの最大値は、U1,U2,U3である。
【0102】
〔第1の過電流状態、第2の過電流状態、第3の過電流状態について〕
第1の過電流状態は、制御装置120において、検知部138からの検知結果と、第2遮断特性Fc2と、を利用して判定する。具体的には、制御装置120は、検知部138から入力された電流値Aが、遮断閾値B2以上の値であり、且つこの電流値Aと、電流値Aの電流が持続して電力路131に流れる時間とが、第2遮断特性Fc2に基づく遮断条件を満たした(第2遮断特性Fc2を示す曲線よりも大きい位置にある)場合、第1の過電流状態であると判別する。ここでいう第2遮断特性Fc2を示す曲線よりも大きい位置にあるとは、
図5の第2遮断特性Fc2を示す曲線よりも右に位置することである。
【0103】
電流値Aと、電流値Aの電流が持続して電力路131に流れる時間とが第2遮断特性Fc2に基づく遮断条件を満たすか否かは、以下の構成によって判定することが考えられる。例えば、電力路131に流れる電流が遮断閾値B2以上の値の場合、この値の電流が持続して電力路131に流れる時間を制御装置120が有するタイマによって計測する。そして、電流の電流値と、この電流値を持続して電力路131に電流が流れる時間とが、第2遮断特性Fc2を示す曲線よりも大きい位置にあるかを判定する。
【0104】
第2の過電流状態は、制御装置120において、検知部138からの検知結果と、第1遮断特性Fc1と、を利用して判定する。具体的には、制御装置120は、検知部138から入力された電流値Aが、遮断閾値B1以上の値であり、且つこの電流値Aと、電流値Aの電流が持続して電力路131に流れる時間とが、第1遮断特性Fc1に基づく遮断条件を満たした(第1遮断特性Fc1を示す曲線よりも大きい位置にある)場合、第2の過電流状態であると判別する。
【0105】
電流値Aと、電流値Aの電流が持続して電力路131に流れる時間とが第1遮断特性Fc1に基づく遮断条件を満たすか否かは、例えば、電力路131に流れる電流が遮断閾値B1以上の値の場合、この値の電流が持続して電力路131に流れる時間を制御装置120が有するタイマによって計測する。そして、電流の電流値と、この電流値を持続して電力路131に電流が流れる時間とが、第1遮断特性Fc1を示す曲線よりも大きい位置になるかを判定する。
【0106】
さらに、制御装置120は、検知部138の検知結果である電流値Aが、遮断閾値B3以上の値であり、且つこの電流値Aと、電流値Aの電流が持続して電力路131に流れる時間とが、第3遮断特性Fc3に基づく遮断条件を満たした(第3遮断特性Fc3を示す曲線よりも大きい位置にある)場合、第3の過電流状態であると判別する。第3の過電流状態であるか否かは、制御装置120が有するタイマを用いる。
【0107】
〔制御装置における遮断特性に基づいた遮断制御について〕
次に、
図6から
図8等を参照しつつ、制御装置120の遮断特性に基づいた遮断制御の一例について説明する。
図6から
図8に示すフローチャートは、所定の開始条件成立時に制御装置120によって平行して繰り返し実行される処理である。
【0108】
〔制御装置における遮断特性に基づいた第2遮断部の遮断制御について〕
先ず、
図6に示すステップS21において、車両に設けられた始動スイッチ(イグニッションスイッチ)をオフ状態からオン状態に切り替える。次に、ステップS22に移行する。制御装置120は、ステップS22に移行すると、検知部138からの電流値Aを用いて電力路131に流れる電流の検知を行う。
【0109】
次に、ステップS23に移行すると、制御装置120は、電力路131に流れる電流が通常電流状態であるか否かを判定する。具体的には、制御装置120は、電流値Aが、遮断閾値B2よりも小さいと判別した場合、電力路131に流れる電流が通常電流状態であると判別(ステップS23におけるYes)し、ステップS22に移行する。制御装置120は、通常電流状態であると判別すると、ステップS22の処理を繰り返す。また、制御装置120は、電流値Aが、遮断閾値B2以上であると判別した場合、電力路131に流れる電流が通常電流状態でないと判別(ステップS23におけるNo)し、ステップS24に移行する。
【0110】
ステップS24に移行すると、制御装置120は、電力路131に流れる電流と、この電流が電力路131に流れる時間とが、第2遮断特性Fc2に基づく遮断条件を満たした状態であるか否かを判定する。具体的には、電力路131に流れる電流の電流値Aと、電力路131に電流値A(遮断閾値B2以上)の電流が持続して流れる時間とが、第2遮断特性Fc2を示す曲線よりも大きい位置(すなわち、第2遮断特性Fc2に基づく遮断条件を満たした状態である)か否かを判定する。ステップS24において、制御装置120が、電力路131に流れる電流と、この電流が電力路131に流れる時間とが、第2遮断特性Fc2に基づく遮断条件を満たした状態であると判別する。すると、制御装置120は、第1の過電流状態であると判別し、ステップS25に移行する。こうして、制御装置120は、電力路131に流れる電流の電流値Aと、電力路131に電流が電流値Aを持続して流れる時間と、が第2遮断特性Fc2に基づく遮断条件を満たした場合に第1の過電流状態であると判別する。
【0111】
制御装置120は、ステップS25に移行すると、第2遮断部134Fに遮断信号C1を送信して
図6における処理の実行を終了する。つまり、制御装置120は、検知部138の検知結果と、第2遮断特性Fc2と、に基づいて第2遮断部134Fの遮断を制御する。例えば、このとき、電力路131に流れる電流の電流値Aと、電力路131に電流値A(遮断閾値B2以上)の電流が持続して流れる時間とが、第1遮断特性Fc1を示す曲線よりも小さい位置である場合、第1遮断部134Eは、解除状態である。つまり、制御装置120は、第1遮断部134Eが解除状態のときに第1の過電流状態が発生した場合に第2遮断部134Fに対して遮断信号C1を与えるのである。また、ステップS24において、電力路131に流れる電流と、この電流が電力路131に流れる時間とが、第2遮断特性Fc2に基づく遮断条件を満たしていないと制御装置120が判別すると、ステップS24の実行を繰り返す。
【0112】
〔制御装置における遮断特性に基づいた第1遮断部の遮断制御について〕
図7に示すステップS21からステップS22は、
図6におけるステップS21からステップS22と同じであるので、説明は省略する。
【0113】
ステップS33において、制御装置120は、電力路131に流れる電流が通常電流状態であるか否かを判定する。具体的には、制御装置120は、電流値Aが、遮断閾値B1よりも小さいと判別した場合、電力路131に流れる電流が通常電流状態であると判別(ステップS33におけるYes)し、ステップS22に移行する。制御装置120は、通常電流状態であると判別すると、ステップS22の処理を繰り返す。また、制御装置120は、電流値Aが、遮断閾値B1以上であると判別した場合、電力路131に流れる電流が通常電流状態でないと判別(ステップS33におけるNo)し、ステップS34に移行する。
【0114】
ステップS34に移行すると、制御装置120は、電力路131に流れる電流の電流値Aと、電力路131に電流値A(遮断閾値B1以上)の電流が持続して流れる時間とが、第1遮断特性Fc1を示す曲線よりも大きい位置(すなわち、第1遮断特性Fc1に基づく遮断条件を満たした状態である)か否かを判定する。ステップS34において、制御装置120が、電力路131に流れる電流と、この電流が電力路131に流れる時間とが、第1遮断特性Fc1に基づく遮断条件を満たしたと判別する。すると、制御装置120は、第2の過電流状態であると判別し、ステップS35に移行する。こうして、制御装置120は、電力路131に流れる電流の電流値Aと、電力路131に電流が電流値Aを持続して流れる時間と、が第1遮断特性Fc1に基づく遮断条件を満たした場合に第2の過電流状態であると判別する。
【0115】
制御装置120は、ステップS35に移行すると、第1遮断部134Eに駆動信号Dを送信して
図7における処理の実行を終了する。つまり、制御装置120は、検知部138の検知結果と、第1遮断特性Fc1と、に基づいて第1遮断部134Eの遮断を制御する。また、ステップS34において、電力路131に流れる電流と、この電流が電力路131に流れる時間とが、第1遮断特性Fc1に基づく遮断条件を満たしていないと制御装置120が判別すると、ステップS34の実行を繰り返す。
【0116】
〔制御装置における遮断特性に基づいたリレーの遮断制御について〕
図8に示すステップS21からステップS22は、
図6、7におけるステップS21からステップS22と同じであるので、説明は省略する。
【0117】
ステップS43において、制御装置120は、電流値Aが、遮断閾値B3よりも小さいと判別した場合、電力路131に流れる電流が通常電流状態であると判別(ステップS43におけるYes)し、ステップS22に移行する。制御装置120は、通常電流状態であると判別すると、ステップS22の処理を繰り返す。また、制御装置120は、電流値Aが、遮断閾値B3以上であると判別した場合、電力路131に流れる電流が通常電流状態でないと判別(ステップS43におけるNo)し、ステップS44に移行する。
【0118】
ステップS44に移行すると、制御装置120は、電力路131に流れる電流の電流値Aと、電力路131に電流値A(遮断閾値B3以上)の電流が持続して流れる時間とが、第3遮断特性Fc3を示す曲線よりも大きい位置(すなわち、第3遮断特性Fc3に基づく遮断条件を満たした状態である)か否かを判定する。ステップS44において、制御装置120が、電力路131に流れる電流と、この電流が電力路131に流れる時間とが、第3遮断特性Fc3に基づく遮断条件を満たすと判別する。すると、制御装置120は、第3の過電流状態であると判別し、ステップS45に移行する。こうして、制御装置120は、電力路131に流れる電流の電流値Aと、電力路131に電流が電流値Aを持続して流れる時間とが、第3遮断特性Fc3に基づく遮断条件を満たした場合に第3の過電流状態であると判別する。
【0119】
制御装置120は、ステップS45に移行すると、リレー136に遮断信号C3送信して
図8における処理の実行を終了する。つまり、制御装置120は、検知部138の検知結果と、第3遮断特性Fc3と、に基づいてリレー136の遮断を制御する。また、ステップS44において、電力路131に流れる電流と、この電流が電力路131に流れる時間とが、第3遮断特性Fc3を示す曲線よりも大きい位置でないと制御装置120が判別すると、ステップS44の実行を繰り返す。このように、
図6から
図8の制御を平行して行うことによって、制御装置120は、第1遮断部134E、第2遮断部134F、及びリレー136の遮断制御を個別に行うことができる。これによって、第1遮断部134E、第2遮断部134F、及びリレー136の何れかが故障した場合であっても、確実に電力路131の通電を遮断することができる。
【0120】
〔温度に基づいた遮断制御の概要〕
制御装置120は、下に示す式1の電力路131の放熱、及び発熱に関する関係式に、検知部138からの電流値Aを通電電流Iとして代入し、電力路131の上昇温度ΔTwを算出し得る。
【0121】
ΔTw(n)=ΔTw(n-1)×exp(-Δt/τw)+Rthw×Rw(n-1)×I(n-1)2×(1-exp(-Δt/τw))…(式1)
【0122】
式1は、電力路131の放熱に係る項(ΔTw(n-1)×exp(-Δt/τw))と、電力路131の発熱に係る項(Rthw×Rw(n-1)×I(n-1)2×(1-exp(-Δt/τw)))と、からなる。ここで、I(n)は、サンプリング(検出)n(1以上の整数)回目の電流値(A)である。ΔTw(n)は、サンプリングn回時での電力路131の上昇温度(℃)である。Rw(n)は、サンプリングn回時の電力路131の抵抗(Ω)である。Rw(0)は、所定の温度To(例えば20℃)での電力路131の抵抗(Ω)である。Rthwは、電力路131の熱抵抗(℃/W)である。τwは、電力路131の放熱時定数(s)である。Δtは、サンプリング間隔(所定時間)(s)である。
【0123】
〔制御装置における温度に基づいた遮断制御について〕
次に、
図9等を参照しつつ、制御装置120の温度に基づいた遮断制御の一例について説明する。
図9に示すフローチャートは、所定の開始条件成立時に制御装置120によって繰り返し実行される処理である。
図9に示すフローチャートは、例えば、
図6から
図8に示すフローチャートとともに、制御装置120において、平行して繰り返して行われる。
【0124】
先ず、
図9に示すステップS21において、車両に設けられた始動スイッチ(イグニッションスイッチ)をオフ状態からオン状態に切り替える。次に、ステップS52に移行する。制御装置120は、ステップS52に移行すると、検知部138からの電流値Aを用いて電力路131に流れる電流の検知を行う。これとともに、制御装置120は、温度検知部137からの温度値Vtを用いて、電力路131や遮断部134の近傍の温度の検知を行う。
【0125】
次に、ステップS53に移行すると、制御装置120は、式1に基づいて電力路131の上昇温度ΔTwを算出し、算出した上昇温度ΔTwを基準温度Tcに加算して現在の電力路131の温度Tpを推定する。例えば、基準温度Tcは、始動スイッチ(イグニッションスイッチ)をオフ状態からオン状態に切り替えた後、初めてステップS52を実行した際に、温度検知部137から制御装置120に入力される温度値Vtである。その際、電力路131のサンプリング間隔(所定時間)Δt当たりの温度変化ΔTsを算出し、このサンプリング間隔Δt当たりの温度変化ΔTsを用いて電力路131の上昇温度ΔTwを算出する。ここで、Δt当たりの温度変化ΔTsは、下に示す式2で表される。式2は、式1を変形したものである。
【0126】
ΔTs=ΔTw(n)-ΔTw(n-1)
=(Rthw×Rw(n-1)×I(n-1)2-ΔTw(n-1))×(1-exp(-Δt/τw))…(式2)
【0127】
次に、ステップS54に移行すると、制御装置120は、推定した現在の電力路131の温度Tpを、電力路131の所定の上限温度Tmaxと比較し、電力路131の温度Tpが上限温度Tmaxよりも小さいかどうかを判定する。上限温度Tmaxは、例えば、制御装置120のメモリ等に予め定数として記憶されている。制御装置120が電力路131の温度Tpが上限温度Tmaxよりも小さい(ステップS54におけるYes)と判別した場合、制御装置120は、ステップS53に移行して、再びステップS23を実行する。具体的には、次のサンプリング間隔Δt当たりの温度変化ΔTsを計算する。そして、サンプリング間隔Δt当たりの温度変化ΔTsを前回算出した電力路131の上昇温度ΔTw(n-1)に加算し、今回までの基準温度Tcからの電力路131の上昇温度ΔTw(n)を新たに算出する。制御装置120は、算出した上昇温度ΔTw(n)を基準温度Tcに加算して今回の電力路131の温度Tpとする。制御装置120は、電力路131の温度Tpが上限温度Tmax以上となるまで、上昇温度ΔTwの算出及び電力路131の温度Tpの推定(ステップS53)と、電力路131の温度Tpと上限温度Tmaxとの比較(ステップS54)と、を繰り返す。また、ステップS54において、上昇温度ΔTwと所定の閾値との大きさを比較する構成としてもよい。
【0128】
制御装置120が電力路131の温度Tpが上限温度Tmaxよりも小さくない、すなわち、電力路131の温度Tpが上限温度Tmax以上である(ステップS54におけるNo)と判定した場合、ステップS55に移行する。制御装置120は、ステップS55に移行すると、第2遮断部134Fに遮断信号C1を送信して第2遮断部134Fを遮断状態に切り替える。そして、
図9における処理を終了する。これによって、電力路131に電流が流れることを遮断し、電力路131のさらなる温度上昇を防止する。つまり、制御装置120は、第2遮断部134Fの周囲の温度に基づいて第2遮断部134Fを遮断状態に切り替える。なお、第2遮断部134Fとともに、制御装置120によって、第1遮断部134Eや、リレー136を遮断状態に切り替えてもよい。
【0129】
次に、本構成の効果を例示する。
本開示の遮断制御装置130において、車載システム110は、電力路131を流れる電流の状態を検知する検知部138を有する。制御装置120は、検知部138の検知結果と、各電流値Aの電流が第1遮断部134Eに流れたときの遮断までの各時間を定めた第1遮断特性Fc1と、に基づいて第1遮断部134Eの遮断を制御する。制御装置120は、検知部138の検知結果と、各電流値Aの電流が第2遮断部134Fに流れたときの遮断までの各時間を定めた第2遮断特性Fc2と、に基づいて第2遮断部134Fの遮断を制御する。第1の過電流状態は、電力路131に流れる電流と、この電流が電力路131に流れる時間とが、第2遮断特性Fc2に基づく遮断条件を満たした状態である。第2の過電流状態は、電力路131に流れる電流と、この電流が電力路131に流れる時間とが、第1遮断特性Fc1に基づく遮断条件を満たした状態である。第1遮断特性Fc1よりも第2遮断特性Fc2のほうが、各電流値Aの電流が流れたときの遮断までの各時間が短い。
【0130】
この構成によれば、遮断制御装置130は、第1遮断部134E及び第2遮断部134Fの各々を、それぞれの遮断特性に従って制御することができる。そして、上記遮断制御装置130は、第1遮断部134Eよりも第2遮断部134Fを先に遮断することができるため、第1遮断部134Eよりも第2遮断部134Fを先に遮断することが望まれる使用環境下において有利である。
【0131】
本開示の遮断制御装置130において、車載システム110は、遮断状態と解除状態とに切り替わるリレー136を有する。制御装置120は、検知部138の検知結果と、各電流値Aの電流がリレーに流れたときの遮断までの各時間を定めた第3遮断特性Fc3と、に基づいてリレー136の遮断を制御する。第3遮断特性Fc3よりも第1遮断特性Fc1及び第2遮断特性Fc2のほうが、各電流値Aの電流が流れたときの遮断までの各時間が短い。この構成によれば、遮断制御装置130は、リレー136が遮断状態に切り替わる際にリレー136内に生じるアークによってリレー136が故障することを避けることができる。つまり、リレー136を保護するように第1遮断部134E及び第2遮断部134Fを遮断状態に切り替えることができる。
【0132】
本開示の遮断制御装置130において、制御装置120は、第2遮断部134Fの周囲の温度に基づいて第2遮断部134Fを遮断状態に切り替える。この構成によれば、遮断制御装置130は、第2遮断部134Fの周囲の温度を加味して第2遮断部134Fを遮断状態に切り替える制御を実行することができ、より良好に電力路131を保護することができる。
【0133】
<他の実施形態>
本構成は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0134】
実施形態1では、第2装置20Bは、第1装置20Aから、第1装置故障信号F2が入力された場合、第1装置故障信号F2を外部に出力して通知する構成が開示されている。これに限らず、第2装置は、第1装置から、第1装置故障信号が入力された場合、第2遮断部を遮断状態に切り替えてもよい。この構成によれば、遮断制御装置は、第1装置及び第2装置の2つの制御装置による制御が成立しなくなる事態に陥った場合に第2遮断部を遮断状態に切替える。このため、制御装置としての冗長性が保てない場合における蓄電部から負荷への電力の供給を制限することができる。
【0135】
実施形態1では、第1の過電流状態は、電力路31における電流値Aが第1閾値以上、且つ第1閾値より大きい第2閾値未満である状態であった。これに限らず、第1の過電流状態は、電力路における電流値が第1閾値以上であってもよい。つまり、第1閾値の範囲に、第2閾値以上の範囲を含んでいてもよい。
【0136】
実施形態1では、第1装置20A、及び第2装置20Bの各々において、電流値Aと第1閾値及び第2閾値とを比較して、電力路31を流れる電流の状態を判定している。これに限らず、第1装置、及び第2装置の各々において、電流値の微分値を検出する処理を周期的に繰り返し、微分値の絶対値の大きさと、閾値とを比較して、電力路を流れる電流の状態を判定する構成としてもよい。また、第1閾値、及び第2閾値は、固定値としてもよく、負荷の動作状況に応じて変更し、電力路を流れる電流の状態を判定してもよい。
【0137】
実施形態1では、第1装置20A、及び第2装置20Bが設けられている。これに限らず、第1装置及び第2装置を1つの制御装置として一体的に設けてもよい。
【0138】
検知部として、コンパレータを用いてもよい。この場合、電力路における電流値が所定の閾値以上の値を示したときに所定のハイレベル信号を出力し、電流値が所定の閾値未満の値を示したときに所定のローレベル信号を出力する。また、カレントトランス等を用いた構成としてもよい。
【0139】
実施形態1では、第1装置20Aは、監視部20Cが故障を検知した場合、第2装置20Bに対して、自身が故障したことを示す第1装置故障信号F2を出力することが開示されている。これに限らず、第2装置から第1装置に対して故障診断指示信号を出力する構成とし、第1装置は、故障診断指示信号が入力された場合に監視部による故障を検知する動作を行ってもよい。
【0140】
実施形態2とは異なり、
図10に示すように、低電位側電力路131Bに第1低電位側遮断部、第2低電位側遮断部を設けない構成としてもよい。
【0141】
実施形態2とは異なり、第1遮断部、第2遮断部うちいずれか一方のみを設ける構成としてもよい。
【0142】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0143】
10,110,210…車載システム
20…制御装置
20A…第1装置(制御装置)(遮断制御装置)
20B…第2装置(制御装置)(遮断制御装置)
20C…監視部
30,130…遮断制御装置
31,131…電力路
131A…高電位側電力路(電力路)
131B…低電位側電力路(電力路)
34,134…遮断部
34A,134E…第1遮断部(遮断部)
34B,134F…第2遮断部(遮断部)
38,138…検知部
38A…第1検知部(検知部)
38B…第2検知部(検知部)
50…衝突検知センサ
51…表示器制御装置
52…表示器
91…蓄電部
94…負荷
134A…第1高電位側遮断部(第1遮断部)(遮断部)
134B…第2高電位側遮断部(第2遮断部)(遮断部)
134C…第1低電位側遮断部(第1遮断部)(遮断部)
134D…第2低電位側遮断部(第2遮断部)(遮断部)
136…リレー
136A…高電位側リレー
136B…低電位側リレー
137…温度検知部
A…電流値
B1,B2,B3…遮断閾値
C1,C3…遮断信号
C2,C4…導通信号
D…駆動信号
F1…第1検知部故障信号
F2…第1装置故障信号
F3…第2検知部故障信号
Fc1…第1遮断特性
Fc2…第2遮断特性
Fc3…第3遮断特性
Fc4…許容電流特性
N…衝突検知信号
U1,U2,U3…最大値
Vt…温度値