(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】偏光素子ユニット、偏光光照射ユニット、偏光光照射装置及び偏光光照射方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240730BHJP
G02B 27/28 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B27/28 Z
(21)【出願番号】P 2024016121
(22)【出願日】2024-02-06
【審査請求日】2024-02-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田近 望
【審査官】鈴木 玲子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/157113(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/066918(WO,A1)
【文献】特開2006-133498(JP,A)
【文献】特開2004-144884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
G02B 27/28
G02F 1/1337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を偏光する偏光素子ユニットであって、
第1方向を長手方向、前記第1方向に直交する第2方向を短手方向とする開口を有するフレームと、
前記開口内に前記第1方向に沿って配列した複数のワイヤーグリッド偏光素子であって、前記ワイヤーグリッド偏光素子はそれぞれが、
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の周りに回転可能に前記フレームに支持され、
前記複数のワイヤーグリッドのうち少なくとも1つの前記ワイヤーグリッド偏光素子は
、前記複数のワイヤーグリッドのうち他の前記ワイヤーグリッド偏光素子に比べて前記長手方向の幅が小さい、又は
前記第3方向の周りの回転可能範囲が大きい複数のワイヤーグリッド偏光素子と
を具備する偏光素子ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の偏光素子ユニットであって、
少なくとも1つのワイヤーグリッド偏光素子は、他の前記ワイヤーグリッド偏光素子に比べて前記長手方向の幅が小さく、かつ前記
第3方向の周りの回転可能範囲が大きい
偏光素子ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の偏光素子ユニットであって、
複数の前記ワイヤーグリッド偏光素子は、前記長手方向の端に位置する前記ワイヤーグリッド偏光素子の前記長手方向の幅が、前記長手方向の中央に位置する前記ワイヤーグリッド偏光素子の前記長手方向の幅より小さい
偏光素子ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の偏光素子ユニットであって、
複数の前記ワイヤーグリッド偏光素子は、前記長手方向の端に位置する前記ワイヤーグリッド偏光素子の前記回転可能範囲が、前記長手方向の中央に位置する前記ワイヤーグリッド偏光素子の前記回転可能範囲より大きい
偏光素子ユニット。
【請求項5】
請求項3に記載の偏光素子ユニットであって、
複数の前記ワイヤーグリッド偏光素子は、前記長手方向の端に近接する前記ワイヤーグリッド偏光素子ほど前記長手方向の幅が小さい
偏光素子ユニット。
【請求項6】
請求項1に記載の偏光素子ユニットであって、
複数の前記ワイヤーグリッド偏光素子は、前記長手方向の端に位置する前記ワイヤーグリッド偏光素子の前記回転可能範囲が、前記長手方向の中央に位置する前記ワイヤーグリッド偏光素子の前記回転可能範囲より大きい
偏光素子ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の偏光素子ユニットであって、
複数の前記ワイヤーグリッド偏光素子は、前記長手方向の端に位置する前記ワイヤーグリッド偏光素子の前記長手方向の幅が、前記長手方向の中央に位置する前記ワイヤーグリッド偏光素子の前記長手方向の幅より小さい
偏光素子ユニット。
【請求項8】
請求項6に記載の偏光素子ユニットであって、
複数の前記ワイヤーグリッド偏光素子は、前記長手方向の端に近接する前記ワイヤーグリッド偏光素子ほど前記回転可能範囲が大きい
偏光素子ユニット。
【請求項9】
請求項1に記載の偏光素子ユニットであって、
各前記ワイヤーグリッド偏光素子は、ワイヤーの延伸方向が前記長手方向に対して平行ではなく、かつ前記長手方向に対して直交しない
偏光素子ユニット。
【請求項10】
請求項9に記載の偏光素子ユニットであって、
各前記ワイヤーグリッド偏光素子は前記ワイヤーの延伸方向が前記長手方向に対して45°の角度をなす
偏光素子ユニット。
【請求項11】
偏光光を出射する偏光光照射ユニットであって、
光源と、
前記光源に対して固定されたフレームと、
前記光源の長手方向に沿って配列した複数のワイヤーグリッド偏光素子であって、前記ワイヤーグリッド偏光素子はそれぞれが、前記光源から入射する光の光軸方向の周りに回転可能に前記フレームに支持され、
前記複数のワイヤーグリッドのうち少なくとも1つの前記ワイヤーグリッド偏光素子は
、前記複数のワイヤーグリッドのうち他の前記ワイヤーグリッド偏光素子に比べて前記長手方向の幅が小さい、又は前記光軸方向の周りの回転可能範囲が大きい複数のワイヤーグリッド偏光素子と
を具備する偏光光照射ユニット。
【請求項12】
照射対象物に偏光光を照射する偏光光照射装置であって、
光源と、前記光源に対して固定されたフレームと、前記光源の長手方向に沿って配列した複数のワイヤーグリッド偏光素子であって、前記ワイヤーグリッド偏光素子はそれぞれが、前記光源から入射する光の光軸方向の周りに回転可能に前記フレームに支持され、
前記複数のワイヤーグリッドのうち少なくとも1つの前記ワイヤーグリッド偏光素子は
、前記複数のワイヤーグリッドのうち他の前記ワイヤーグリッド偏光素子に比べて前記長手方向の幅が小さい、又は前記光軸方向の周りの回転可能範囲が大きい複数のワイヤーグリッド偏光素子とを備える偏光光照射ユニットと、
前記照射対象物を搬送する搬送機構と
を具備する偏光光照射装置。
【請求項13】
照射対象物に偏光光を照射する偏光光照射方法であって、
光源に対して固定されたフレームと、前記光源の長手方向に沿って配列した複数のワイヤーグリッド偏光素子であって、前記ワイヤーグリッド偏光素子はそれぞれが、前記光源から入射する光の光軸方向の周りに回転可能に前記フレームに支持され、
前記複数のワイヤーグリッドのうち少なくとも1つの前記ワイヤーグリッド偏光素子は
、前記複数のワイヤーグリッドのうち他の前記ワイヤーグリッド偏光素子に比べて前記長手方向の幅が小さい、又は前記光軸方向の周りの回転可能範囲が大きい複数のワイヤーグリッド偏光素子とを備える偏光素子ユニットに前記光源から光を入射させる
偏光光照射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光光を生成する偏光素子ユニット、偏光光照射ユニット、偏光光照射装置及び偏光光照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルの配向膜等、照射対象物に所定の波長の偏光光を照射することにより配向を行なう光配向と呼ばれる技術がある。帯状の長い照射対象物に対して光配向を行うために、棒状ランプとワイヤーグリッド偏光素子を組み合せた偏光光照射装置が知られている(例えば、特許文献1)。この偏光光照射装置では、棒状ランプから出射され、ワイヤーグリッド偏光素子により偏光された光が照射対象部物に照射され、光配向処理がなされる。
【0003】
ワイヤーグリッド偏光素子はアルミニウム等の金属線を石英ガラス上に平行に配置したものである。電磁波中にワイヤーグリッド偏光素子を挿入すると、ワイヤーグリッドの長手方向に平行な偏光成分は反射され、同方向に直交する偏光成分は通過する。照射対象物における配向方向は、照射対象物に入射する偏光光の偏光軸の方向に依存するため、偏光軸の均一性は重要である。
【0004】
ここで、棒状ランプは拡散光源であるため、棒状ランプの長手方向を左右方向とすると、ランプの中央付近のワイヤーグリッド偏光素子へは直上と左右方向から光が入射する。一方、ランプ端部のワイヤーグリッド偏光素子へは左または右からの光が入射しない。そのため、ランプ端部のワイヤーグリッド偏光素子から出射される偏光光の偏光軸はずれ(ばらつき)が大きく、偏光光が照射される領域の端部には偏光軸のずれた(ばらついた)偏光光が照射されてしまう。特にワイヤーグリッドの長手方向を棒状ランプの長手方向に対して45°とする場合、偏光軸のずれた偏光光が照射される領域は大きくなる。
【0005】
このため、棒状ランプとワイヤーグリッド偏光素子を備える偏光光照射ユニットごと、照射対象物に対して回転可能に構成された偏光光照射装置も開発されている(例えば、特許文献2)。この構成では棒状ランプの長手方向とワイヤーグリッドの長手方向を一致させたまま、ワイヤーグリッドの長手方向を照射対象物に対して変更することが可能であり、偏光軸のずれた偏光光が照射される領域を抑制することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-133498号公報
【文献】特開2006-126464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載のように偏光光照射ユニットごと回転させる場合、回転させるスペースが必要であり、設置可能場所が限られる。また、偏光光照射ユニットを回転させると照射対象物との距離や角度が変化し、偏光光の照射条件が影響を受ける場合がある。このため、設置場所の制約を受けずに偏光軸のずれ(ばらつき)が少ない偏光光を広範囲に照射することができる偏光光照射ユニットが求められている。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、偏光軸のずれが少ない偏光光を広範囲に照射することが可能な偏光素子ユニット、偏光光照射ユニット、偏光光照射装置及び偏光光照射方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る偏光素子ユニットは、入射光を偏光する偏光素子ユニットであって、フレームと、複数のワイヤーグリッド偏光素子とを具備する。
前記フレームは、光源に対して固定されている。
前記複数のワイヤーグリッド偏光素子は、前記光源の長手方向に沿って配列した複数のワイヤーグリッド偏光素子であって、前記ワイヤーグリッド偏光素子はそれぞれが、前記光源から入射する光の光軸方向の周りに回転可能に前記フレームに支持され、少なくとも1つの前記ワイヤーグリッド偏光素子は他の前記ワイヤーグリッド偏光素子に比べて前記長手方向の幅が小さい、又は前記光軸方向の周りの回転可能範囲が大きい。
【0010】
この構成によれば、各ワイヤーグリッド偏光素子を光源から入射する光の光軸方向の周りに回転させることで、偏光素子ユニットを透過した光の照射面における偏光軸のずれ(ばらつき)を解消することが可能となる。この際、少なくとも1つのワイヤーグリッド偏光素子は他の幅を小さく、又は回転可能範囲を大きくすることで、ワイヤーグリッド偏光素子の位置に応じて偏光軸のずれを解消することが容易となる。
【0011】
少なくとも1つのワイヤーグリッド偏光素子は、他の前記ワイヤーグリッド偏光素子に比べて前記長手方向の幅が小さく、かつ前記光軸方向の周りの回転可能範囲が大きくてもよい。
【0012】
複数の前記ワイヤーグリッド偏光素子は、前記長手方向の端に位置する前記ワイヤーグリッド偏光素子の前記長手方向の幅が、前記長手方向の中央に位置する前記ワイヤーグリッド偏光素子の前記長手方向の幅より小さくてもよい。
【0013】
複数の前記ワイヤーグリッド偏光素子は、前記長手方向の端に位置する前記ワイヤーグリッド偏光素子の前記回転可能範囲が、前記長手方向の中央に位置する前記ワイヤーグリッド偏光素子の前記回転可能範囲より大きくてもよい。
【0014】
複数の前記ワイヤーグリッド偏光素子は、前記長手方向の端に近接する前記ワイヤーグリッド偏光素子ほど前記長手方向の幅が小さくてもよい。
【0015】
複数の前記ワイヤーグリッド偏光素子は、前記長手方向の端に近接する前記ワイヤーグリッド偏光素子ほど前記回転可能範囲が大きくてもよい。
【0016】
各前記ワイヤーグリッド偏光素子は、ワイヤーの延伸方向が前記長手方向に対して平行ではなく、かつ前記長手方向に対して直交しなくてもよい。
【0017】
各前記ワイヤーグリッド偏光素子は前記ワイヤーの延伸方向が前記長手方向に対して45°の角度をなしてもよい。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る偏光素子ユニットは、偏光光を出射する偏光光照射ユニットであって、光源と、フレームと、複数のワイヤーグリッド偏光素子とを具備する。
前記フレームは、前記光源に対して固定されている。
前記ワイヤーグリッド偏光素子は、前記光源の長手方向に沿って配列した複数のワイヤーグリッド偏光素子であって、前記ワイヤーグリッド偏光素子はそれぞれが、前記光源から入射する光の光軸方向の周りに回転可能に前記フレームに支持され、少なくとも1つの前記ワイヤーグリッド偏光素子は他の前記ワイヤーグリッド偏光素子に比べて前記長手方向の幅が小さい、又は前記光軸方向の周りの回転可能範囲が大きい。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る偏光光照射装置は、偏光光照射ユニットと、搬送機構とを具備する。
前記偏光光照射ユニットは、光源と、前記光源に対して固定されたフレームと、前記光源の長手方向に沿って配列した複数のワイヤーグリッド偏光素子であって、前記ワイヤーグリッド偏光素子はそれぞれが、前記光源から入射する光の光軸方向の周りに回転可能に前記フレームに支持され、少なくとも1つの前記ワイヤーグリッド偏光素子は他の前記ワイヤーグリッド偏光素子に比べて前記長手方向の幅が小さい、又は前記光軸方向の周りの回転可能範囲が大きい複数のワイヤーグリッド偏光素子とを備える。
前記搬送機構は、前記照射対象物を搬送する。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る偏光光照射方法は、照射対象物に偏光光を照射する偏光光照射方法であって、
光源に対して固定されたフレームと、前記光源の長手方向に沿って配列した複数のワイヤーグリッド偏光素子であって、前記ワイヤーグリッド偏光素子はそれぞれが、前記光源から入射する光の光軸方向の周りに回転可能に前記フレームに支持され、少なくとも1つの前記ワイヤーグリッド偏光素子は他の前記ワイヤーグリッド偏光素子に比べて前記長手方向の幅が小さい、又は前記光軸方向の周りの回転可能範囲が大きい複数のワイヤーグリッド偏光素子とを備える偏光素子ユニットに前記光源から光を入射させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、偏光軸のずれが少ない偏光光を広範囲に照射することが可能な偏光素子ユニット、偏光光照射ユニット、偏光光照射装置及び偏光光照射方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る偏光光照射装置の模式図である。
【
図2】上記偏光光照射装置が備える偏光素子ユニットの模式図である。
【
図3】上記偏光光照射装置が備える偏光素子ユニットの模式図である。
【
図4】上記偏光光照射装置が備える偏光素子ユニットの模式図である。
【
図5】上記偏光素子ユニットにおける偏光素子の支持機構の模式図である。
【
図6】上記偏光素子ユニットにおける偏光素子の支持機構の模式図である。
【
図7】上記偏光素子ユニットにおける偏光素子の支持機構の模式図である。
【
図8】上記偏光光照射装置の光照射面における偏光軸のばらつきを示すグラフである。
【
図9】上記偏光光照射装置の光照射面における偏光軸のばらつきを示すグラフである。
【
図10】上記偏光光照射装置の光照射面における偏光軸のばらつきを示すグラフである。
【
図11】上記偏光素子ユニットに入射する光を示す模式図である。
【
図12】上記偏光素子ユニットにおける、偏光軸のずれを抑制する構成の模式図である。
【
図13】上記偏光素子ユニットにおける、偏光軸のずれを抑制する構成の模式図である。
【
図14】上記偏光素子ユニットにおける、偏光素子の回転を示す模式図である。
【
図15】上記偏光素子ユニットにおける、偏光素子の幅を示す模式図である。
【
図16】本実施形態に係る、他の構成を有する偏光素子ユニットの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る光源装置について説明する。
【0024】
[偏光光照射装置の構成]
図1は、本実施形態に係る偏光光照射装置100の構成を示す模式図である。同図に示すように偏光光照射装置100は、搬送機構110及び偏光光照射ユニット120を有する。
【0025】
搬送機構110は、照射対象物150を搬送する機構である。照射対象物150は偏光光が照射される物体であり、例えば液晶ディスプレイの配向膜である。照射対象物150は例えば、
図1に示すように長尺帯状であり、搬送機構110のロール111及びロール112に巻回され、これらの回転により搬送される。なお、照射対象物150は長尺帯状のものに限られず、搬送機構110もここに示すものに限られない。
【0026】
偏光光照射ユニット120は、照射対象物150に偏光光を照射するユニットである。
図1に示すように偏光光照射ユニット120は、光源121、集光鏡122及び偏光素子ユニット123を備える。
【0027】
光源121は、一方向に延伸された形状を有し、光を放出する。以下、光源121の長手方向をX方向とする。また、上記照射対象物150が搬送される方向を搬送方向とすると、搬送方向はX方向に直交する方向であり、この方向をY方向とする。さらに、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。Z方向は、光源121から偏光光照射ユニット120に入射する光の光軸方向に一致する。
【0028】
光源121はX方向を長手方向とする棒形状を有するランプであり、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等とすることができる。また、光源121はLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の発光素子であってもよく、この場合、光源121は複数の発光素子がX方向に沿って直線状に配列したものであってもよい。
【0029】
集光鏡122は光源121の照射対象物150とは反対側に配置され、光源121から入射する光を照射対象物150に向けて反射する。集光鏡122は
図1に示すようにY方向において曲率を有し、X方向に延伸する曲面状とすることができる。この他にも集光鏡122は光源121から入射する光を照射対象物150に向けて反射するものであればよい。なお、光源121が発光素子の場合等、集光鏡122は必ずしも設けられなくてもよい。
【0030】
偏光素子ユニット123は、光源121及び集光鏡122から入射する光を偏光し、偏光光を生成する。
図2は偏光素子ユニット123の模式図である。同図に示すように偏光素子ユニット123は、フレーム131と複数の偏光素子132を備える。
【0031】
フレーム131は、直接、又は他の部材を介して光源121に対して固定され、複数の偏光素子132を支持する。フレーム131は、X方向を長手方向とし、Y方向を短手方向とする開口131aを有する枠状形状とすることができる。また、フレーム131は他の形状を有するものであってもよく、複数の部材からなるものであってもよい。
【0032】
偏光素子132は、ワイヤーグリッドを備え、入射光を偏光する偏光素子であり、ワイヤーグリッド偏光素子とも呼ばれる。
図2に示すように、偏光素子132は基板133とワイヤーグリッド134を備える。基板133は、石英ガラス等からなり、矩形型の平板形状を有する。ワイヤーグリッド134は、
図2に示すように複数の平行なワイヤー135によって形成されたグリッドである。各ワイヤー135は直線状の導電体であり、基板133上に形成されている。ワイヤー135は例えば、クロムやアルミニウム等の金属、酸化チタンや酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム等の金属酸化物、又は窒化チタン等の金属窒化物からなるものとすることができる。ワイヤー135のピッチPは、入射する光の波長以下、望ましくは1/3以下が好適である。偏光素子132は
図2に示すように複数がフレーム131に支持され、光源121の長手方向(X方向)に沿って配列し、偏光素子ユニット123を形成する。
【0033】
ワイヤー135の長手方向は
図2に示すようにX方向、即ち光源121の長手方向と平行な方向に限られない。
図3及び
図4は偏光素子132の他の構成を示す模式図である。
図3に示すように、各偏光素子132は、ワイヤー135の長手方向が光源121の長手方向(X方向)と直交する方向(Y方向)となるものであってもよい。また、
図4に示すように、各偏光素子132は、ワイヤー135の長手方向が光源121の長手方向(X方向)に対して平行ではなく、かつ長手方向(X方向)に対して直交しない方向であり、具体的には光源121の長手方向(X方向)に対して45°の角度をなす方向(図中、方向D1)となるものであってもよい。ワイヤー135の長手方向と光源121の長手方向(X方向)のなす角は45°に限られず、任意の角度とすることができる。
【0034】
なお、偏光素子132はガラスウエハを基板としてリソグラフィ技術やエッチング技術を利用して作成されるが、蒸着装置、リソグラフィ装置及びエッチング装置等の処理装置が処理できる基板の大きさには限界があり、基板から切り出される偏光素子132の大きさにも限界がある。そこで、光源121のように一方向に長い光源を用いる場合、
図2乃至
図4に示すように複数の偏光素子132をフレーム131内に並べて配置し、一方向に長い偏光素子とすることができる。
【0035】
偏光素子ユニット123が備える偏光素子132の数は特に限定されず、光源121の長さ(X方向)及び各偏光素子132のサイズに応じた、数とすることができる。具体的には複数の偏光素子132の長さ(X方向)の合計が光源121の長さ(X方向)と同程度となるものが好適であり、例えば光源121の長さ(X方向)が1m、偏光素子132が1辺100mmの正方形である場合、偏光素子132の数は10個が好適である。
【0036】
偏光素子ユニット123はさらに、偏光軸のずれ(ばらつき)を抑制する構成を有する。この詳細については後述する。
【0037】
[偏光素子の支持構造について]
上記のように、複数の偏光素子132はフレーム131に支持されている。ここで、各偏光素子132はそれぞれが、光源121から入射する光の光軸方向(Z方向)の周りに回転可能にフレーム131に支持されている。
図5は1つの偏光素子132のフレーム131への支持構造を示す平面図であり、
図6はその側面図である。
図7は同支持構造による偏光素子132の回転を示す模式図である。
【0038】
図5及び
図6に示すようにフレーム131にはネジ穴131bが設けられ、ネジ穴131bにはネジ141A~Cが挿通されている。偏光素子132はネジ141A~Cによって挟まれることによって、フレーム131に支持されている。具体的には偏光素子132のうち一方の側面(X-Z平面)を側面136とし、その反対側の側面(X-Z平面)を側面137とすると、ネジ141Aは側面136の中部に当接し、ネジ141Bは側面137の中央より左側、ネジ141Cは側面137の中央より右側に当接する。この状態でネジ141B及びネジ141Cを押し引きすることにより、
図7に示すように偏光素子132はネジ141Aを支点として回転し、即ち光軸方向(Z方向)の周りに回転する。
【0039】
このように偏光素子132を、光源121から入射する光の光軸方向(Z方向)の周りに回転可能とすることにより、ワイヤー135の長手方向を微調整することが可能である。ワイヤー135の長手方向は製造時に誤差を生じる可能性があるが、偏光素子132をフレームに対して回転させることで、このような誤差の解消が可能である。誤差の解消に必要な偏光素子132の回転可能範囲は±0.5°程度である。
【0040】
複数の偏光素子132は、端部を重畳させながら、1つずつ交互に上段と下段となるようにフレーム131に支持されている。これにより、各偏光素子132を回転させても、隣接する各偏光素子132との間に隙間が生じないように構成されている。隣接する各偏光素子132との間に隙間が生じると、この隙間から偏光されていない光が漏洩するためである。なお、偏光素子132を上下2段に配置する構成に替えて、偏光素子132を離隔させて配置し、偏光素子132間の隙間を遮光部材によって被覆してもよい。
【0041】
偏光素子132のフレーム131に対する支持構造は上述のものに限定されず、各偏光素子132のそれぞれが、光源121から入射する光の光軸方向(Z方向)の周りに回転可能にフレーム131に支持されるものであればよい。
【0042】
[偏光光照射装置の動作]
偏光光照射装置100の動作について説明する。
図2に示すように、偏光素子132は、ワイヤー135の長手方向が光源121の長手方向と平行な方向(X方向)であるものとする。光源121を点灯させると、光源121から出射された光は直接、又は集光鏡122によって反射され、偏光素子ユニット123に入射する。光の進路中に偏光素子132が存在すると、光のうちワイヤー135の長手方向(
図2中、X方向)に平行な偏光成分は大部分がワイヤーグリッド134によって反射され、同方向(
図2中、X方向)に直交する偏光成分はワイヤーグリッド134を透過する。これにより照射対象物150には、ワイヤー135の長手方向(
図1中、X方向)に垂直な方向(
図1中、Y方向)を偏光軸方向とする偏光光が照射される領域151が形成される。
【0043】
また、
図3に示すように、偏光素子132は、ワイヤー135の長手方向が光源121の長手方向と直交する方向(Y方向)であるものとすることもできる。この場合、偏光素子132に入射する光のうち、ワイヤー135の長手方向(
図3中、Y方向)に平行な偏光成分は大部分がワイヤーグリッド134によって反射され、同方向(
図3中、Y方向)に直交する偏光成分はワイヤーグリッド134を透過する。これにより照射対象物150には、ワイヤー135の長手方向(
図1中、Y方向)に垂直な方向(
図1中、X方向)を偏光軸方向とする偏光光が照射される領域152が形成される。
【0044】
さらに、
図4に示すように、偏光素子132は、ワイヤー135の長手方向が光源121の長手方向に対して45°となる方向D1であるものとすることもできる。この場合、偏光素子132に入射する光のうち、ワイヤー135の長手方向(
図4中、方向D1)に平行な偏光成分は大部分がワイヤーグリッド134によって反射され、同方向(
図4中、方向D1)に直交する偏光成分はワイヤーグリッド134を透過する。これにより照射対象物150には、ワイヤー135の長手方向(
図1中、方向D1)に垂直な方向(
図1中、方向D2)を偏光軸方向とする偏光光が照射される領域153が形成される。
【0045】
照射対象物150が、液晶パネル等に用いられる配向膜である場合、配向膜の配向方向は、配向膜に照射される偏光光の偏光軸方向に依存する。配向膜に生じさせる配向方向は、配向膜の用途や種類、液晶パネルの種類、液晶パネルメーカのデザインルール等により種々異なり、上述した領域151~153(
図1参照)のように各種の配向方向が求められる。このため、ワイヤー135の長手方向が辺に対して90°あるいは45°の偏光素子132を準備しておき、目的に応じた偏光素子132をフレーム131に装着することで、各種の配向方向が実現される。
【0046】
[偏光軸のばらつきについて]
偏光光照射装置100により照射対象物150に偏光光を照射する際、偏光軸にばらつきが生じる場合がある。
図8乃至10は偏光光照射装置100の光照射面における偏光軸のばらつきを示すグラフである。
図8はワイヤー135の長手方向が光源121の長手方向と平行な方向(X方向)である場合(
図2参照)の偏光軸のばらつきを示し、
図9はワイヤー135の長手方向が光源121の長手方向と直交する方向(Y方向)である場合(
図3参照)、
図10はワイヤー135の長手方向が光源121の長手方向と45°の角度をなす方向(方向D1)である場合(
図4参照)の偏光軸のばらつきを示す。各図において本来の偏光軸方向を矢印で示す。また、偏光軸のばらつきが±0.5°以下の領域を白色で示し、偏光軸のばらつきが±0.5°を超える領域を、斜線を付して示す。
【0047】
図8に示すように、ワイヤー135の長手方向が光源121の長手方向と平行な方向(X方向)である場合、照射領域の端部に偏光軸のばらつきが大きい領域が生じる。
図11は光源121及び集光鏡122から偏光素子ユニット123に入射する光を示す模式図である。なお、集光鏡122は図示を省略している。同図に示すように、偏光素子ユニット123の中央部に位置する偏光素子132には、各方向から均等に光(図中、矢印L1)が入射する。一方、偏光素子ユニット123の端部に位置する偏光素子132には、光(図中、矢印L2)が入射する方向が限られる。このため、
図11に示すように、照射領域の端部に偏光軸のばらつきが大きい領域が生じる。
【0048】
図9に示すように、ワイヤー135の長手方向が光源121の長手方向と直交する方向(Y方向)である場合、偏光軸のばらつきが大きい領域はさらに大きくなる。また、
図10に示すように、ワイヤー135の長手方向が光源121の長手方向と45°の角度をなす方向である場合、偏光軸のばらつきが大きい領域は特に大きくなる。偏光軸のばらつきが大きくなると、例えば液晶ディスプレイの配向膜を作製する際、液晶ディスプレイのコントラストが場所により異なり、映像にムラが発生するといった問題が生じる。これに対し、偏光光照射装置100では、以下のような構成とすることにより、偏光軸のばらつきを抑制可能である。
【0049】
[偏光素子ユニットの詳細について]
上述したように偏光素子ユニット123は、偏光軸のずれ(ばらつき)を抑制する構成を有する。
図12及び
図13はこの構成を示す模式図である。なお、
図12においてフレーム131及び偏光素子132の支持機構は図示を省略する。
【0050】
図12に示すように、偏光素子ユニット123が備える偏光素子132は、偏光素子132Aと偏光素子132Bを含む。偏光素子132Aは、光源121の長軸方向(X方向)において偏光素子ユニット123の中央部に位置する偏光素子132であり、偏光素子132Bは、光源121の長軸方向(X方向)において偏光素子ユニット123の両端部に位置する偏光素子132である。
【0051】
図12では、中央部に位置する3つの偏光素子132を偏光素子132Aとし、両端部に位置する2つずつの偏光素子132を偏光素子132Bとしているがこれに限られない。偏光素子ユニット123のうち光源121の長軸方向(X方向)において両端部に位置するそれぞれ1つ以上の偏光素子132を偏光素子132Bとし、その他の偏光素子132を偏光素子132Aとすることができる。
【0052】
偏光素子132Aの、光源121の長軸方向(X方向)に沿った幅を幅W1とし、偏光素子132Bの、同方向(X方向)に沿った幅を幅W2とする。幅W2は幅W1より小さい幅であり、例えば幅W1の1/2の幅である。また、幅W2は幅W1より小さければよく、幅W1の3/4や幅W1の1/4等であってもよい。
【0053】
さらに、偏光素子132は光軸方向(Z方向)の周りに回転可能に構成されている(
図7参照)が、偏光素子132Bの回転可能範囲は偏光素子132Aの回転可能範囲より大きい。具体的には
図13に示すように偏光素子132Bはネジ141A~Cによってフレーム131に支持されており、ネジ141Bとネジ141Cの間隔を偏光素子132Aの同間隔より狭くすることにより、偏光素子132Bの回転可能範囲を偏光素子132Aの回転可能範囲より大きくすることができる。また、偏光素子132Bの支持に用いられているネジ141B及びネジ141Cのネジ溝部分の長さを長くすることにより、偏光素子132Bの回転可能範囲を偏光素子132Aの回転可能範囲より大きくすることも可能である。この他にも偏光素子132の支持構造に応じて、偏光素子132Bの回転可能範囲を偏光素子132Aの回転可能範囲より大きくすることが可能である。
【0054】
例えば、偏光素子132Aの回転可能範囲はワイヤー135°の製造時の誤差を解消するため、±0.5°とすることができる。一方、偏光素子132Bの回転可能範囲はそれより大きく。±2°とすることができる。この他にも、偏光素子132Bの回転可能範囲は偏光素子132Aの回転可能範囲より大きいものであればよい。
【0055】
図14は、偏光素子132Bの回転を示す模式図である。偏光素子ユニット123を上記のような構成とすることにより、偏光素子ユニット123のうち光源121の長軸方向(X方向)において両端部に位置する偏光素子132Bを大きく回転させることができ、両端部における偏光軸のずれを緩和することが可能となる。一方、偏光素子ユニット123では、光源121の長軸方向(X方向)における位置に応じた偏光軸のずれが、偏光素子ユニット123の両端に接近するほど急激に大きくなる。したがって、両端部の偏光素子132を単に回転させるだけでは偏光軸の変化が大きくなりすぎる。これに対し、偏光素子132Bの幅W2を偏光素子132Aの幅W1より小さくすることで、
図14に示すように偏光素子132Bの回転角度を段階的に変化させ、偏光軸のずれを適切に解消させることが可能となる。
【0056】
このように偏光素子ユニット123では、偏光素子132Bの、光源121の長軸方向(X方向)に沿った幅を偏光素子132Aの同方向(X方向)に沿った幅より小さくし、かつ偏光素子132Bの光軸方向(Z方向)の周りの回転可能範囲を偏光素子132Aの同回転可能範囲より大きくすることで、偏光素子ユニット123の端部における偏光軸のずれを解消することができる。したがって、偏光光照射ユニット120は照射対象物150に対して偏光軸のずれが少ない偏光光を広範囲に照射することが可能である。また、偏光光照射ユニット120は偏光軸のずれを解消させるために偏光光照射ユニットごと回転させる(特許文献2参照)ものでないため、設置場所の制約も小さい。
【0057】
なお、偏光素子132は、ワイヤー135の長手方向が光源121の長手方向(X方向)と45°の角度をなす方向であるものについて説明したが、ワイヤー135の長手方向は同方向(X方向)に平行な方向(
図2参照)や同方向(X方向)に直交する方向(
図3参照)であってもよい。これらの場合、偏光軸にずれが生じる領域(
図8及び
図9参照)は小さいが存在するため、上記構成とすることで偏光軸のずれの解消が可能である。
【0058】
また、偏光素子132Bの幅は互いに同一でなくてもよい。
図15は、偏光素子132Bの幅を示す模式図である。同図に示すように、偏光素子132Bは光源121の長軸方向(X方向)において中央部側の偏光素子132B
1と同方向(X方向)において端部側の偏光素子132B
2を含むものであってもよい。偏光素子132B
1は光源121の長軸方向(X方向)において幅W3を有し、偏光素子132B
2は同方向(X方向)において幅W4を有する。幅W3は偏光素子132Aの同方向(X方向)における幅W1より小さく、幅W4は幅W3より小さい。
【0059】
このように偏光素子132は、光源121の長軸方向(X方向)において端に近接する偏光素子132ほど同方向(X方向)の幅が小さくなるものとすることもできる。ここでは偏光素子132Bの幅が2段階で小さくなる構成について示したが、偏光素子132Bの幅は3段階以上の段階で小さくなるものであってもよい。偏光素子132の回転可能範囲についても同様に、光源121の長軸方向(X方向)において端に近接する偏光素子132ほど光軸方向(Z方向)の周りの回転可能範囲が大きくなるものとすることもできる。
【0060】
[偏光素子ユニットの各種構成について]
上記説明において偏光素子132Bは、偏光素子132Aに対して光源121の長軸方向(X方向)に沿った幅が小さく、かつ光軸方向(Z方向)の周りの回転可能範囲が大きいとしたが、いずれか一方のみであってもよい。即ち、偏光素子132Bは、偏光素子132Aに対して光源121の長軸方向(X方向)に沿った幅が小さいが、光軸方向(Z方向)の周りの回転可能範囲は偏光素子132Aと同一であってもよい。反対に、偏光素子132Bは、偏光素子132Aに対して光源121の長軸方向(X方向)に沿った幅は同一であるが、光軸方向(Z方向)の周りの回転可能範囲は偏光素子132Aより大きくてもよい。これらの場合でも偏光軸のずれの解消が可能である。
【0061】
また、上記説明において偏光素子ユニット123は、光源121の長軸方向(X方向)において偏光素子ユニット123の中央部に位置する偏光素子132Aと、同端部に位置する偏光素子132Bを備えるとしたが、それに替えて次のような構成を有するものであってもよい。
図16はその構成を有する偏光素子ユニット123の模式図である。同図に示すように、偏光素子ユニット123は、偏光素子132Cと偏光素子132Dを備えるものであってもよい。偏光素子132Dは光源121の長軸方向(X方向)において偏光素子ユニット123の中央部に位置し、偏光素子132Cは偏光素子132D以外の偏光素子132である。
【0062】
偏光素子132Cは、光源121の長軸方向(X方向)に沿った幅W1を有し、偏光素子132Dは、同方向(X方向)に沿った幅W5を有する。幅W5は幅W1より小さい幅であり、例えば幅W1の1/2の幅である。また、幅W5は幅W1より小さければよく、幅W1の3/4や幅W1の1/4等であってもよい。さらに、偏光素子132Dは光軸方向(Z方向)の周りの回転可能範囲が偏光素子132Cの同回転可能範囲より大きい。この構成によれば、偏光素子ユニット123の中央部で偏光軸のずれが生じる場合に偏光素子132Dの回転角度によって偏光軸のずれの解消が可能である。偏光素子ユニット123の中央部での偏光軸のずれは、偏光素子ユニット123の支持構造による影響等によって生じ得る。
【0063】
この場合も偏光素子132Dの数は2つに限られず、1つ以上であればよい。また、偏光素子132Dは光源121の長軸方向(X方向)に沿った幅と光軸方向(Z方向)の周りの回転可能範囲のどちらか一方のみが偏光素子132Cと相違していてもよい。
【0064】
さらに、偏光素子ユニット123の端部や中央部に限られず、偏光軸のずれが生じる位置の偏光素子132において光源121の長軸方向(X方向)に沿った幅を他の偏光素子より小さくし、又は光軸方向(Z方向)の周りの回転可能範囲を他の偏光素子より大きくすることで偏光軸のずれの解消が可能である。さらに、偏光軸のずれが生じる位置の偏光素子132において光源121の長軸方向(X方向)に沿った幅を他の偏光素子より小さくし、かつ光軸方向(Z方向)の周りの回転可能範囲を他の偏光素子より大きくすることで、より高精度に偏光軸のずれの解消が可能である。
【0065】
[本開示について]
以上説明した本技術に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。即ち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
110…搬送機構
120…偏光光照射ユニット
121…光源
122…集光鏡
123…偏光素子ユニット
131…フレーム
132…偏光素子
133…基板
134…ワイヤーグリッド
135…ワイヤー
150…照射対象物
【要約】
【課題】偏光軸のずれが少ない偏光光を広範囲に照射することが可能な偏光素子ユニット、偏光光照射ユニット、偏光光照射装置及び偏光光照射方法を提供すること。
【解決手段】
本発明の一形態に係る偏光素子ユニットは、入射光を偏光する偏光素子ユニットであって、フレームと、複数のワイヤーグリッド偏光素子とを具備する。前記フレームは、光源に対して固定されている。前記複数のワイヤーグリッド偏光素子は、前記光源の長手方向に沿って配列した複数のワイヤーグリッド偏光素子であって、前記ワイヤーグリッド偏光素子はそれぞれが、前記光源から入射する光の光軸方向の周りに回転可能に前記フレームに支持され、少なくとも1つの前記ワイヤーグリッド偏光素子は他の前記ワイヤーグリッド偏光素子に比べて前記長手方向の幅が小さい、又は前記光軸方向の周りの回転可能範囲が大きい。
【選択図】
図1